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港湾工事・地盤改良工・舗装工に貢献する技術

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港湾工事・地盤改良工・舗装工に貢献する技術
震災復興支援技術
■日本鉱業協会スラグ委員会
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-17-11 榮葉ビル8F
TEL:03-5280-2327・FAX:03-5280-7128
URL: http:/kogyo-kyokai.gr.jp
建設資材としての非鉄スラグの利用技術!!
港湾工事・地盤改良工・舗装工に貢献する技術
非鉄スラグは非鉄金属製造の副産物として大量に生産されており、これまでセメント原料や海砂・山砂の代わ
りとして利用されてきました。この副産物の利用は、天然資源の代替となり自然環境破壊を防ぐことから近年推
奨されてきております。この非鉄スラグの銅スラグおよびフェロニッケルスラグはコンクリート用細骨材のJIS規
格も制定されたことから、年間約600万tが種々の用途で利用されております。一部には輸出されている状況もあ
り、さらなる国内利用を呼びかけている現状にあります。今回、震災の復興への利用にあたり骨材等が不足してい
る現状を踏まえ、その代替として有望な非鉄スラグを紹介させて頂くため、日本鉱業協会 スラグ委員会委員長
栗栖一之氏にお話を伺った。
非鉄スラグについて
(案)」を沿岸センターより発刊した。こ
一方、コンクリート用の天然骨材は、
れには様々な工事への利用技 術をま
非鉄スラグは、ステンレス鋼の製造
環境保護の観点から、全国的に川砂や
とめた。このマニュアルには、非鉄スラ
に用いられるフェロニッケルを製錬す
海砂の採取規制が進み、品質が安定し
グの環境安全性の評価方法が示され、
る際に生成するフェロニッケルスラグ
た良 質な骨材を継 続的に供 給するこ
様々な用途への安全な利用方法が分
と、銅を製錬する際に生成する銅スラ
とが困難となり新たな骨材の 供 給 が
かるものとなっている。このことから
グと、亜鉛を製錬する際に生成する亜
急務となりつつあった。この度の震災
震 災復 興においても様々な面で利用
鉛スラグがある。生産量は、フェロニッ
においても同様に骨材 などの 資材が
しやすい材料となったと考えている。
ケルスラグ、銅スラグともそれぞれ年
大きく不足している状況にあるが、非
非鉄スラグの 特 長は工場製品である
産約300万トンに達する。これらを有
鉄スラグの国内利用はいまだ少ない。
ことから品質が安定していることにあ
効に利用することは、資源の再利用の
みならず、フェロニッケル、銅、亜 鉛の
復興に向けた利用について
安定的供給のためにも重要な課題で
復興における需要として東北地方に
あるといえる。
おいて、平成24年度の銅スラグのコン
フェロニッケルスラク゛は粒子が堅
クリート用細骨材としての使用量は前
硬で吸水率が低いという特 長を有す
年比40%増の約38千トンを販売、ま
るもので、循環型社会形成への寄与を
た、フェロニッケルスラグのコンクリー
目的に用途開発が行われ、1992年に
ト用細骨材は前年比150%の大幅増
る。その他にも有効な特長が多くある
のでこの点を以下にアピールしたい。
JIS A 5011−2「コンクリート用スラ
の約20千トンを販売した。これらの増
グ骨材−第2部:フェロニッケルスラグ
加要因は震災関連の工事案件増加に
骨材」
が制定された。
よると思われる。これ 以 外にも、震 災
一方、銅スラグは、酸化鉄を多量に含
復興工事として宮城県の北上川下流
むという特性を生かしてセメントの鉄
域の堤防の液状化対 策工事における
原料と、堅硬で粒状である特性を生か
地盤改良材としてフェロニッケルスラ
特長1 密度が大きい
してブラスト材に使 用されてきた。こ
グを約36千トンご使用いただき今後
非鉄スラグは、天然砂に比較して密
ちらも1997年にJIS A 5011−3「コ
追加検討中である。
度が3割程度高いことで、港湾工事で
ンクリート用スラグ骨材−第3部:銅ス
ラグ骨材」が制定されている。
00
に利用されてきた。
非鉄スラグの有効利用について
亜 鉛スラグは銅スラグに近い 性状
一昨年度、
「港湾・空港工事における
を有し、セメントの鉄原料などを中心
非 鉄 スラ グ の 利 用 技 術 マ ニ ュ アル
「日本の新技術・新工法」
写真1. 消波ブロック
は最大限効果を発揮する。ケーソン中
表1. 非鉄スラグの物理的性質
日本鉱業協会スラグ委員会
http:/kogyo-kyokai.gr.jp
詰 材として 用 い れ ば 、天 然 砂よりも
ケーソン幅を2割程度圧縮でき、建設
費の削減ができる。また、コンクリート
用骨材として利 用すれば単位体 積 質
量2.4∼2.9t/m 3の重量コンクリート
を製造することが可能である。また、こ
れらの港湾構造物への適用は、津波や
波 浪に対して『粘り強い港 湾 施 設』を
構築することに大きく寄与するものと
思われる。
図1. 120万輪走行試験のわだち掘れ量(mm)
写真2. ケーソン中詰材装入工事
路床材として利用されている。この特
特長2 せん断抵抗角が大きく・透水
性値は、すり減り減量が30%以下、修
性が高い
正CBR値が路盤材では90%以上、路
フェロニッケルスラグは地盤改良工
床材の場合では70%程度と締め固め
のサンドコンパクション材として使用
性能が高い特長がある。また、雨水等
した場合、せん断抵抗角は単独使用で
による水硬性や膨 張 等 の無い安定し
32∼37°、天然砂との混合使用でも
た資材でもある。
表2. 舗装の種類
34∼35°という値が得られる。また、
銅スラグの単独使用では34∼38°の
値となり、何れも地盤改良材として天
然 砂と同 等 の 値となる 。透 水係 数 は
10 -3cm/sのオーダーで天然砂と同程
度であり、且つ、長 期使 用後も固結せ
写真5. 載荷試験風景
ず、サンドドレーン材として優れた特性
ライフを30%延長することを可能に
を発揮する。
写真4. 路盤材の施工風景
するものであった。また、ひび割れ性に
ついても約20%減少が可能となった。
特長4 道路舗装の長寿命化
フェロニッケルスラグが舗装の長寿命
フェロニッケルスラグはアスファル
化に大きく役立つという結果が得られ
ト混合物用骨材としても使用されてき
たが、この施工方法や使用条件は通常
たが、この耐久性について工学的な検
と同じであることから、使用条件の変
証がなされていなかった。そこで、アス
更なしにフェロニッケルスラグの採用
ファルト混合物用骨材に使用した場合
は可能である。アスファルト舗装の長
の耐久性評価を(独) 土木研究所 舗装
寿命化は道 路 舗装 のコスト削減への
走行実験施設において行った。舗装の
大 きな 寄 与が 期 待 さ れること から 、
種類を表2に、試験 風景を写真5に示
フェロニッケルスラグ骨材の利用を呼
特長3 道路用材料として高い性能
す。載荷試験の結果を図1に示すが、わ
びかけていきたいと考えている。
フェロニッケルスラグは路盤材及び
だち掘れ性の大きな改善となり、舗装
写真3. サンドコンパクション工事 施工風景
「日本の新技術・新工法」
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