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サーマルリレーの主回路不導通(ヒータ溶断) TH-N12~N400
電磁開閉器テクニカルシート シート No. BQN-S8-9497-09 (1/2 頁) 分類 表題 機種 故障原因 サーマルリレーの主回路不導通(ヒータ溶断) TH-N12~N400 1.サーマルリレーのヒータ溶断の事例 主回路通電電流に、想定外の過電流が通電(3.項参照)された場合、サーマルリレー内部のヒータが溶断すること がある。【写真 1】は、6/T3 相のヒータが溶断し、結果として欠相状態となった事例である。 【写真 1】 サーマルリレーのヒータ溶断 (TH-N20の事例) 6/T3 相のヒータ機構部 6/T3 相 4/T2 相 2/T1 相 <2/T1 相用> ヒータは健全な状態 拡大 <6/T3 相用> ヒータの複数個所が 溶断している状態 接点機構部 ヒータ機構部 <注 意> 『サーマルリレーのヒータ溶断』は、ヒータの溶断箇所でアーク電流が持続し、 異常発熱から発火にいたる可能性がある非常に危険な故障モードである。 2.サーマルリレーの動作原理 【図 1】 【図 1】 サーマルリレーの構造 ①主回路電流通電によりヒータが発熱し過熱さ れたバイメタルが『矢印①方向』に変形する。 ②バイメタルの変形に伴い押し板が『矢印②方 向』に移動する。 ③押し板の移動により、周囲温度補償バイメタ 支点Ⅱ:可動 b 接点(95)の支点 ルと一体構造である作動レバーが『矢印③方 向』に移動する。 ④作動レバーの移動により、動作レバーが『支 点Ⅰ』を中心に『矢印④方向』に回転する。 ③ ⇒動作レバーの回転が、赤点線を超えたとこ ④ ろで可動 b 接点(95)が『支点Ⅱ』を中心に反 転しサーマルリレーがトリップ状態となる。 ⇒サーマルリレーのトリップ信号(a,b 接点)をト リガとし、電磁接触器等の他機器にて主回 ① ② 支点Ⅰ:作動レバーの支点 路電流を遮断する。 ※サーマルリレー自体には主回路電流を遮断する機構はない。 発行日 2011 年 10 月 27 日 三菱電機株式会社 名古屋製作所 電磁開閉器テクニカルシート シート No. BQN-S8-9497-09 (2/2 頁) 分類 表題 機種 故障原因 サーマルリレーの主回路不導通(ヒータ溶断) TH-N12~N400 3.ヒータ溶断の原因 <要因①>「定格電流の 13 倍未満の過電流通電が持続」の要因【図 2-1 参照】 サーマルリレーの過電流トリップの特 【図 2-1】 モータ保護協調の各特性の関係① 時間 性を【図 2-1】の太線で示す。 サーマルリレーは、過電流トリップ時に 接点信号を出力し、その接点信号を受 モータの熱特性 (許容過電流-時間特性) モータの 全負荷電流 ブレーカの動作特性 サーマルリレーの動作特性 けたコンタクタ等が過電流を遮断する。 しかしながら、サーマルリレーが接点 信号を出力した後も、何らかの理由に より、過電流通電が持続すると、ヒータ ヒータの溶断点 が溶断する場合がある。 クロスすること クロスさせない モータの 始動電流 モータの 突入電流 電流 サーマルリレー 105% 720% 整定電流の倍数 サーマルリレーで保護 瞬時引外し電流 ブレーカで保護 <要因②>「保護協調の不完全、且つ、定格電流の 13 倍以上の過大電流が通電」の要因【図 2-2 参照】 サーマルリレーは、定格電流の 13 倍以 上の電流が通電されると、ヒータが溶断 する可能性がある。 【図 2-2】 モータ保護協調の各特性の関係② 時間 ブレーカの動作特性 モータの熱特性 サーマルリレーとブレーカの保護協調が サーマルリレーの動作特性 【図 2-2】のように不完全な場合で、且つ、 ヒータの溶断点 定格電流の 13 倍以上の過大電流が通 クロスしていない 電された場合は、サーマルリレーヒータ の溶断時間の方がブレーカの動作時間 よりも早いため、ヒータが溶断する場合 がある。 以 上 電流 1300% サーマルリレーで保護 ブレーカで保護 サーマルリレーでもブレーカでも 保護できない領域 発行日 2011 年 10 月 27 日 三菱電機株式会社 名古屋製作所