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映画「海すずめ」で宇和 島の魅力を世界へ発信、 今こそRESTARTの時
公益財団法人宇和島伊達文化 保存会 理事長 /宇和島伊達家 13 代当主 伊達 宗信 (宇和島市) 「海すずめ」と宇和島伊達400年祭 映画「海すずめ」で宇和 島の魅力を世界へ発信、 今こそ RESTART の時 全国劇場公開映画「海すずめ」は、今年 初夏公開予定で、完成へ向けていよいよ 大詰めの時期にある。本企画は2013 年 頃 に 大 森 研 一 氏( 砥 部 町 出 身 )と の 出 会いから始まった。全国公開され記憶に も新しい映画「瀬戸内海賊物語」や「ポプ ラの秋」の監督だ。私は、2015年「宇 和島伊達400年祭」をきっかけに地域 の良さを見直し盛り上げていきたいとの 想いを強く持っていた。地元からの期待 も高まり、大森監督と共に有志による製 作実行委員会を立ち上げ、宇和島を舞台 にした映画企画を進めるに至った。 「 海 す ず め 」は、小 説 家 に な る 夢 を も ち市立図書館自転車課で働く、主人公の す ず め( 武 田 梨 奈 さ ん )が、自 転 車 に 乗 って街じゅうに本を届ける、あたたかな 人々の中で繰り広げられる青春物語。今 でも城下の暮らし文化が息づく自然あふ れるまち、宇和島を全面的舞台にロケが 行われ、史実とフィクションを交え描か れた、爽やかな現代ムービーである。 世代を超えて地域ぐるみ市民参加型 で映画を盛り上げる 「宇和島伊達400年 「 海 す ず め 」は、 祭 」開 催 期 間 中 に 製 作 が 始 ま っ た。撮 影 は昨年秋約 3週間かけ て行われた。 幼稚園児か らおじいち ゃんおばあ ちゃんまで、 あらゆる世 代の300 人のエキス トラが参加 した。 地元の飲 食店が協力 し合い日替 わりで炊き 製作記者発表会(東京) 特集 ❷ 映画「海すずめ」 監督:大森研一 出演:武田梨奈 小林豊 内藤剛志 岡田奈々 吉行和子 2016 年初夏公開 http://umisuzume.com 出しがふるまわ れ た。撮 影 が 滞 りなく順調に運 ぶようにあらゆ る 場 面 で、多 く の地元ボランテ ィアによる協力 も い た だ い た。 テレビで見る遠 い世界のヒロイ ン、ヒ ー ロ ー た ち が、地 元 宇 和 島 の 街 を 歩 き、食 を 楽 し み、撮 影 に 臨 ん だ。地元でホットな話題になることはも ちろん、市外県外から多くのファンたち も駆け付けた。 「宇和島伊達400年 本 映 画 製 作 は、 祭 」の 数 々 の イ ベ ン ト の 中 で も、行 政 と 民間が垣根や世代を超えて一体となっ た、メモリアルで大きな目玉企画のひと つになったに違いない。 笑顔の現場で「宇和島を好きになっ てくれた」キャストやスタッフたち 大森監督が大切にしてくれ、地元で受 け入れる側として私たち実行委員会も 大 事 に し た こ と は、 「アットホームな雰 囲気、笑顔の現場」。宇和島、南予地方の 良さは、温厚な人間性や地域性にあるこ とを、大森監督は十分に理解してくれて いた。宇和島の人たちも笑顔でもてなし ボランティアによる炊き出し 8 2016.4 特集/映画・映像を活用した地域づくり た。そ こ に は 飾 ら な い 普 段 の ままのあたたかな雰囲気があ っ た。多 く の 俳 優 陣 や ス タ ッ フ た ち が、宇 和 島 を 好 き に な り、心に残るロケとなったと、 たいへん喜ばれた。 主 題 歌 は、 「トイレの神様」 で有名な植村花菜さんが書き 下 ろ し た 新 曲「 た だ い ま。 」で あ る。ま さ に、あ た た か く 受 け入れる故郷を想う心境と重 な る。映 画 と 共 に 主 題 歌 も と ても楽しみである。 わらないもの、変えてはいけないものが あ る と 思 う。い わ ゆ る ハ コ や モ ノ は、そ の時代に応じた技術的進歩と利便性・効 率 性 を 追 求 し、造 ら れ、壊 さ れ て い く。 一 方 で、豊 か な 自 然、美 し い 風 景、良 き 暮らし文化は残していくべきものである と 思 う。製 作 現 場 で も 大 切 に し た「 温 厚 な人間性」も私たちの宝のひとつだ。 本映画は、地元にとっての当たり前が、 実は魅力であるということに気づかされ る 機 会 に も な っ た。魅 力 を 大 切 に し、新 しい価値を加えながら発信していくこと が、これからの子供たちの未来へとつな ぐ第一歩となるのではないだろうか。 ども旅行会 社ととも に企画を進 め、映 画 を 通じた観光 活性化も期 待されてい る。映 画 の 公開ととも に地域の物 産、文 化 な ど、国 内 だ けでなく世 界へと発信 できる、またとない大きなチャンスを控 えているのだ。 宇和島伊達400年祭は、映画製作を は じ め、行 政 と 民 間 の 距 離 が 近 づ き、垣 根を越えて宇和島を活気づけることがで きた。この経験や機運を発展的に活かし ていくことが、今後大きな力につながっ て い く と 信 じ て い る。宇 和 島 も 過 疎 化・ 少子高齢化が進んでいる現状を受け入 れながらも、どこを目指しどうあるべき か、何 を し て い く べ き か、し っ か り と 望 む現実と向き合い、未来を見据えていか なくてはならない。 400年という節目を経験できるの は、今、ここに生きている私たちだけだ。 こ こ に 生 か さ れ て い る 使 命 を 自 覚 し て、 地域の魅力を発展的に未来へとつなげて いく契機にしていきたい。 内藤剛志さんと武田梨奈さん 遊子水荷浦の段畑にて 写真提供:©2016「海すずめ」製作委員会 今を生きる私たちが、 未来の子供たちへつないでいく 「 海 す ず め 」は 初 夏 の 全 国 劇 場 公 開 の ほ か、国 際 映 画 祭 等 へ の 出 品 も 予 定 し、 これからプ ロモーショ ンを大々的 に展開して い く。一 方、 地元では「え ひめいやし の 南 予 博 2016」が 開 催 さ れ る。 映画のロケ 地ツアーな 主演 武田梨奈さん 宇和島城にて 足元にある地元の魅力に 気づく機会に 映画では、宇和島の街並みや自然風景、 食文化、祭りなどの地域行事も盛り込ま れている。宇和島城や天赦園などの観光 名所をはじめ、私たちが普段から生活し ている商店街、住まいなども撮影現場と な っ た。地 元 人 に と っ て は、い つ も そ こ にある当たり前の風景が多く登場する。 また宇和島の九島も映画の中で舞台と なり登場する。九島に暮らすおばあちゃ ん 役 は、名 女 優 の 吉 行 和 子 さ ん だ。九 島 は、今 年 4 月 に 九 島 架 橋 が 開 通 し、船 で はなく車で行き来できるようになる。こ れまでとは違った生活や人の交流が始ま り、観光化や経済効果も期待されている。 時代とともに変わっていくものと、変 2016.4 9 岡田奈々さんとエキストラの皆さん