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No.2「予算のルール」[520KB pdfファイル]
Local finance division / 財政課 2014.8月発行 皆さんこんにちは!松原市役所の財政課です。 暑い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしですか? さて、前回の第1号の発行より、はや2カ月が経ちました。この間、ホーム ページのアクセス数は 500 回を超え、また各方面からいろいろアドバイスを いただいたところです。 そうした中、今号では、新しい取組みとして、市が実施している事業の予算 を取り上げ解説する「実例、市の予算から!」というコーナーを、ページの 最後に追加しています。はじめてとなる今回は、先の 6 月議会で追加補正 しました「乳幼児(子ども)医療費助成事業」について、事業の内容や経費の 内訳、財源の裏付けなど、財政的な視点も踏まえ書いておりますので、ご一読 いただけたらと思います。 なお、このコーナーについては、不定期での掲載を予定しておりますが、 取り上げて欲しい事業やもっとよく知りたい事業などございましたら、随時 受け付けておりますので、ご意見やアドバイスとともに、財政課までご連絡 ください。 どうぞよろしくお願いします。 1 それでは、予算に適用される主なルールを見ていきましょう! 会計上の整理をするために区切られている期間が会計年度で、予算は会計 年度を単位として作られます。民間企業の場合、会計年度は 1 年や半年、開始 時期も 1 月や 4 月など、それぞれですが、市は国と同様 4 月 1 日から翌年の 3 月 31 日までの1年間を会計年度としています。 その会計年度の支出は、同じ会計年度の収入で賄わなければならないという 原則で、収入と支出は1会計年度の中で完結しようというものです。翌年度に 入ってくるであろう収入をあてに支出をしたり、当年度の歳出を翌年度に持ち 越して支出することは、原則できません。(この原則には例外もあります。) 1会計年度に生じる収入見込み額の全額を歳入予算に計上するとともに、 支出予定額の全額を歳出予算に計上しなければならないという原則です。これ により、市の活動を把握することが可能となります。 市の仕事は、市民が納めた税金などを使い、市民に行政サービスを提供する ことですが、その根拠となる収入と支出の全部を予算に計上することで、 明らかにしています。 予算はその会計年度が始まるまでに、議会によって議決されていなければ なりません。当初予算と言われる、1 会計年度の収入と支出を盛り込んだ予算 (案)は、通常、前年度の 3 月ごろに開催される定例議会に提出され、新年度 が始まるまでに議決されます。 前回でも書きましたが、予算の審議を通じて市民の意向を反映させること、 どんな政策を優先的に取り上げるのか議論することなどを踏まえ、予算を使う 権限(予算執行権)を、市民の代表である議会がコントロールすることが可能 となります。 2 市の会計の基本は現金主義です。会計は収入と支出を整理することから 始まりますが、現金の出入りの時点で整理する方法が現金主義で、皆さんにも なじみ深い、家計簿やお小遣い帳と同じ整理の仕方です。 これに対し、損益の発生の時点で整理する仕方を発生主義といい、民間企業 などでは、この発生主義に基づく会計処理を行っています。 現金主義による会計処理は、誰にでも分かりやすいという長所がありますが、 その一方、減価償却費や退職手当引当金といった、将来にわたる債務の把握が しづらいことなどが欠点となっています。 それら現金主義による会計処理の欠点をカバーするため、繰越明許費や債務 負担行為、地方債に関する調書といった補足資料が、予算書と一緒に作られる こととなりますが、それらの内容については次回といたしましょう。 財務書類の導入・・・迫る! 現金主義会計による予算・決算制度を補完するものとして、総務省の 要請により、現在多くの自治体で民間企業のような貸借対照表(バランス シート)をはじめとする財務書類を作成しています。 本市でも平成 20 年度決算より作成し、ホームページで公表していますが、 既存の決算統計データを活用した簡便な作成方式(総務省方式改訂モデル) を採用しているため、本格的な複式簿記は導入できていません。また、固定 資産台帳も未整備であることから、公共施設等に係る更新費用などのマネジ メントが課題となっています。 そうした中、今後、平成 29 年度までにおいて、複式簿記の導入と固定 資産台帳の整備を前提とした財務書類を作成するよう、更なる要請がなされ たところです。 3 第 1 回目となる今回は、先の6月議会で追加補正しました、乳幼児(子ども) 医療費助成事業を取り上げます。 ★乳幼児(子ども)医療費助成事業とは? 子育て家庭に対して、必要とする医療が容易に受けられるよう医療費の自己 負担額の一部を助成する制度です。府の制度に加え、市が独自で助成内容を 上乗せし、下記の子どもを対象にサービスを提供しています。 (1)通院医療費・・・就学前(6歳)まで〔2歳まで〕 (2)入院医療費・・・小6(12 歳)まで〔就学前(6歳)まで〕 注)〔 〕内は府の対象です。なお府制度には所得制限が設けられています。 ★今回の補正の内容は? 市が独自で助成する、通院医療費の対象を、現行の「就学前(6歳)まで」 から「小 6(12 歳)まで」に拡充する経費として約 29 百万円追加しました。 (下記の表を参照) 注)今回追加の約 29 百万円については、4 ヵ月分(12 月から実施予定)の見込です。 通年では約 83 百万円の見込となります。 (単位:百万円) 事業費 うち府負担分 うち市負担分 当初予算額 198 59 139 今回補正額 29 0 29 227 59 168 補正後 計 備考 通院を 12 歳まで拡充(4 カ月分) ★その経費の負担は? 今回の補正は、市が独自で助成する部分を拡充するため、市の全額負担 (市民の税金)で賄われます。現行の制度では約 1 億 39 百万円【グラフ中 ①当初予算】であったものが、今回の制度の拡充により約 2 億 22 百万円 【②補正後】と 83 百万円(約 60%)増加することになります。 4 また、仮に通院助成をさらに引き上げ、中 3(15 歳)までとした場合には、 負担額は約 2 億 59 百万円【③試算】となり、現行の制度に比べ 1 億 20 百万円(約 86%)の経費がかかることになります。(下記のグラフ参照) 乳幼児(子ども)医療費助成事業の経費内訳 ①当初予算 通院 6歳まで 59 ②補 正 後 通院12歳まで 59 ③試 算 通院15歳まで 59 0 139 222 259 50 100 150 府負担分 200 250 市負担分 300 350(百万円) ※各項目の数字は、単位未満を四捨五入しています。 ※「②補正後」については、今回の補正による制度拡充後の通年ベースで算出しています。 ◆財源の裏付けは? 前回の財メルでも書いたように、支払いに必要なお金の裏付けがあることが 予算の大前提となってきます。今回の制度拡充については、先に示したように、 通年ベースで約 83 百万円の財源が必要となりますが、これらについては、 給料の独自カットによる人件費の抑制や民営化・指定管理者制度といった民間 活力の導入、公有財産の有効活用による自主財源の確保など、これまで市が 取り組んできた財政健全化の効果額をもって財源としています。 今回のような市民サービスの拡充は誰もが望むことではありますが、限られ た歳入の中では、あれもこれもと総花的に実施するわけにはいきません。 多くの市民ニーズの中から、何を実施し、何を取りやめるのか、優先順位を つけながら決定していくわけですが、その過程において実施の根拠となる 「財源」の議論は欠落しがちです。 事業に係る経費がいくらで、その財源として何を充てるのか、場合によって は市民の皆さんへ新たな負担を求めなくてはならない、そういうことも議論 していく必要があります。 次回は、「予算の中身」についてです。どうぞお楽しみに!! 5