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Page 1 Page 2 ドイツ統合と有力企業の経営会計事情 I 問題の所在

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Page 1 Page 2 ドイツ統合と有力企業の経営会計事情 I 問題の所在
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Title
Author(s)
Citation
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情
柳田, 仁; Yanagita, Hitoshi
国際経営論集, 3: 1-36
Date
1992-03-25
Type
Departmental Bulletin Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
ドイ ツ統合 と有 力 企 業 の経 営 会 計 事 情
柳
i
目
田
仁
次
問題 の所在
π
殿
「
壁 」崩壊 か ら両 ドイ ツ統合 までの経緯
㎜川 m鯉
有力企業 の経営政策
企 業環境 の変化 と経営管理会計
付
記
注
1問
題 の所 在
東 ドイ ツ社 会 主義 統 一 党 政権 の終 焉 が 近 づ い た1989年 夏 以 降
に関 す るニ ー
スが 新 聞 ・ 雑 誌 ,テ
た・ 明 治 時 代 か らその 政 治 繍
レ ビ,ラ ジオ 等 で毎 日の よ う に報 じ られ
文 化 を手 本 と し
,第2次
発 展 と同 じ よ うな道 を歩 ん で き峨
従 来 か ら ドイ ツ人 が我 が 国 を議
,東 西 ドイ ツ
が国で は
大戦敗戦
,ド イ ツ に特 別 襯
す る以 上 に
高度経済
しみ を感 じ,
,ド イ ツ に注 目 し,よ
り多 くの
情 報 を取 り入 れ て きた。
しか し,ベ ル リン の壁 崩 壊 と同時 に ,そ れ以 前 の 何 倍,何
押 し よせ て い る。 湾 岸 戦 争 以 前,ヨ
十 倍 もの情 報 が
ー ロ ッパ 発 の政 治 経 済 情 報 は
イ ド ・イ ン ・ジ ャー マニ ー だ と言 わ れ る ほ どで あ っ た
,す べ て メ
。
本 稿 で は・ 歴 史的 変 革 期 に あ る ドイ ツ 々
こお い て有 力 企 業 が そ の よ うな環 境
1
変 化 に た い して どの よ う に対 応 して し・るか を主 に経 営 ・会 計 上 の側 面 か ら検
討 す る。
皿
「壁 」 崩 壊 か ら両 ドイ ツ統 合 まで の経 緯
〔1〕
両 ドイ ツ 統 合 ま で の 軌 跡
1989年 夏 か ら秋 に か け て 東 ドイ ツ 国 民 が ハ ン ガ リー
ポ ー ラ ン ド等 を経 由 して 大 量 に 脱 出 し,東
次 ぎ,10月18日
に は,ホ
ドイ ツ 国 内 で は大 規 模 な デ モ が 相
ー ネ ッカ ー が 国 家 及 び 共 産 党 の 要 職 を 解 任 され,18
年 間 に わ た る独 裁 政 治 も終 り を告 げ た 。11月4日
ツ史 撮
大 の ・・0万 槻
チ ェ コス 「
ロバ キ アy
に は,東
ベ ル リ ン で 東 ドイ
模 の 体 制 批 判 デ モ が 行 わ れ ・続 い て11月9日
に は・休
火 山 が 爆 発 す る よ う に して 東 西 ベ ル リ ン を隔 て て い た 壁 が 若 者 達 の 手 に よ っ
て 壊 さ れ,東
西 ドイ ツ は往 来 自 由 と な っ た 。 そ れ 以 後,ド
イ ツ統 合 へ の歩 み
は急 で あ っ た。
1989年11月9日
以 降,東
西 ドイ ツ に 関 連 し た 主 要 な 事 象 を 歴 史 的 に 辿 っ て
み る と以 下 の 通 りで あ る 。
〈1989年>
11月9日
東 ドイ ツ政 府 が ベ ル リ ン の 壁 を 開 放
11月28日
コー ル 西 ドイ ツ首 相,国
家 連 合 を統 合 の 前 提 と し,段
イ ツ との 協 力 関 係 を 強 化 す る10項
11月29日
12月2日
12月7日
目提 案 を発 表
べ 一 カ ー 米 国 務 長 官 が 西 ドイ ツ とNATO,ECと
とす る4項
∼3日
階 的 に東 ド
の連 携 を 条 件
目 の 原 則 を発 表
マ ル タ で の 米 国 ・ソ避
β首 脳 会 談 で ドイ ツ統 合 問 題 を糠
ゴ ル バ チ ョ フ ソ連 邦 議 長 と ミ ッ テ ラ ン フ ラ ン ス 大 統 領 が 会 談,現
時 点 で の ドイ ツ 統 合 は現 実 的 で は な い との 認 識 で0致
12月19日
コ ー ル 西 独 首 相 とモ ドロ ウ 東 ドイ ツ 首 相 が 会 談,両
体 を つ く る こ とで 合 意
2国
際経営論 集No・.3互992
国で条約共同
〈1990年
〉
1月6日
東 ドイ ツ社 会 主 義 統 一 党(民
主社 会 党)の
ギ ジ党 首 が 東 西 両 ドイ
ツ に駐 留 す る外 国軍 隊 を1999年 まで に撤退 させ る構 想 を発 表
1月30日
ゴル バ チ ョ フ議 長 が 訪 ソ中 の モ ドロ ウ首 相 に 「ドイ ツ統 合 はだれ
も疑 問 を もって い な い」 との 見 解 を表 明
2月2日
ゲ ン シ ャー 外相 が べ 一 カ ー米 国務 長 官 との会 談 で
NATOに
,統 合 ドイ ツ は
加 盟 す るが ・現 在 の 東 ドイ ツ地 域 に はNATO軍
を配 備 し
な い との構 想 を説 明
2月13日
両 ドイツ首脳 が ボ ンで会談,経 済通貨 同盟結成 専門委員会 の発足
で合意
同
同
仏 ・伊 が 統 合 ドイ ツ中立 化 案 に反 対
東 西 両 ドイ ツ と米 ソ英 仏 の外 相 が オ タ ワ で
ケ国会 談,ド
,い わ ゆ る2プ
イ ツ統 合 で協 議 を開 始
2月15日
東 ドイ ツ政 府 酒
2月20日
通 貨 統 合 の た め両 ドイ ツ専 門 委 員 会 が東 ベ ル リンで初 会 合
ドイ ツの制 度 に対 応 した新 銀 行 薯
去案 を閣 謙
東 ドイツ総選挙開票結果
得票率(%)
ドイ ツ連 合
キ リス ト教 民 主 同 盟(CDU)
ドイ ツ社 会 同盟(DSU)
民 主 主 義 の出 発(DA)
i
45.15
193
40.91
164
fi.32
自由民 主連 合(LDP,FDP)
革
系
社 会 民 主 党(SPD)
2.84
旧共 産 党
(旧社会主
義統 一党)
民 主社 会 党(PDS)
16.33
民主化運動
グル ー プ
連 合90(新
そ
の
計
他
」
フ ォ ー ラ ム 等)
25
0.92
中道 左 派
新
ラス4
5.28
2.90
5.50
100%
22
400人
ド イツ統 合 と有 力 企 業 の経 営 会計 事 情3
定
東 ドイ ツ で初 の 舳
3月18日
選 挙 で保 守 系 の 「ドイ ツ連 創
が圧 勝 ・ 早 期
「
統合 」へ弾 み
東 ドイ ツ デ メ ジ ェー ル大 連 立{(ド
4月12日
イ ツ連 合 拍
由民 主 党)+社
会
民主党}
4月23日
両 ドイ ツ政 府 ・与 党,両
ドイ ツ通 貨 交換 比 靴
年齢 別 の交 換 醸
設 定で合意
5月3日NATO臨
時外 相 会 議 で 統 合 ドイ ツ の残 留 確認
5月6日
ワ シ ン トン7ケ 国 蔵 相 会 議 で両 ドイ ツ通 貨 統 合 を支 持
5月13日
両 ドイ ツ州議 会選 挙 で 社 民 党 勝 利,与
5月 、8日
。 ンベ ル 煉
ドイ ツ,ヴ
野党逆転
ァイ ゲ ノ
レ西 ドイ ツ磁
相樋
貨.経
済
社 会 保 障 同 盟 条 約 に調 印
6月21日
東 ドイ ツ人 民 議 会,西
ドイ ツ麟
議 会(下
院)樋
貨'経 済
社会
保 障 同 盟 条 約 を批 准
東 ドイ ツ人 民議 会,オ
ー デ ル ・ナ イセ 線 を統 合 ドイ ツ とポー ラ ン
ドの国 境 と して承 認 決 議
7月1日
通 貨 ・経 済 ・社 会保 障 同 盟 条 約 が 発 効,通 貨 統 合 実 施
7月16日
ゴ ルバ チ ョフ大 統 領,コ
ー ル首 相 に統 合 ドイ ツのNATO加
盟を
容認
7月 、7日
両 ドイ ツプ ラ ス4ケ 国外 相 会 議 で 統 合 ドイ ツ とポ ー ラ ン ドが 東部
国境 を オー デル ・ナ イ セ の2つ
の河 に沿 っ た線 で決 め,国 境 条 約 を
結 ぶ こ とに合 意
8月9日
両 ドイ ツ首 相,統
進 し たがsそ
一継
の 実施 に必 要 な西 ドイ ツ基本 法 の 改 正 に野 党 が 反対 し
て断 念 。 この結 果,当
8月16日
挙 を1・月14Elに 繰 り上 げ る こ とを強 く推
初 の予 定 通 り12月2日
が総 選 挙 実 施 日 とな る。
東 ドイ ツFDPが
連 立 内 閣 か ら離 脱
東 ドイ ツSPDも
連 立 内閣 か ら離 脱 ・ その舳
は・ 今 の ま まの 国
家 条 約 に反 対 で あ る こ と,蔵 相 を辞 任 させ た こ と等 で あ る。
4国
際 経 営 論 集No3199?
連邦議会総選挙結果
得票率(%)
議席数(人)
CDU/CSU
43.8
319
BPD
33.5
239
FDP
11.0
79
3.9
0
1.2
S
2.i
17
Grune(緑
の 党)
B/90/Grime(連
合'90/緑
の 党)
PDS
(注)旧
東西 ドイ ツ別比例代 表制
どち らかで得票率5%を
配 分 され る。B/90/Grune,PDSは
超 えれ ば議席が
旧 東 ドイ ツ で 得 票 率5%を
ドイ ツ 地 域 で 議 席 を 獲 得 。Gr伽eは
両 地 域 と も5%ラ
超 え
,旧 東
イ ン を超 え ず議 席
配 分 な し。
「川 の 流 れ を渡 っ て い る途 中 で,馬
う諺 どお り}ド
8月31日
を乗 り換 え る も の は な い 」と い
イ ツ国 民 は コー ル政 権 の継 続 を望 ん だ
。
両 ドイ ツ 「統 合 条 約 」 調 印
東 ドイ ツ 人 民 議 会s西
ドイ ツSPD,FDPは
これ を 評 価 し た が
緑 の 党 は反 対
9月12日
モ ス ク ワ の 両 ドイ ツ プ ラ ス4ケ
国外 相 会 議 で
,ド
イ ツ問 題 最 終 規
定 条 約 に調 印
9月13日
独 ソ善 隣 ・友 好 ・協 力 条 約 に仮 調 印
10月3日
ドイ ツ統 合 が 実 現 。 「お や す み な さ い 西 ドイ ツ ・東 ドイ ツ
,お
はよ
う ドイ ツ」
両 ドイ ツ 国 民 の 歓 喜 と期 待 の う ち に 実 現,し
か し ,あ
ま りに 早 す
ぎ た 「統 合 」 に不 安 と動 揺
10月14日
州 議 会 選 挙 も,保
12月2日
ドイ ツ統 合 後 初 の連 邦 議 会 選 挙 で も連 立 与 党 が 勝 利
54.8%,SPD33
守系勝利
.5%で
低 迷,PDS2
.4%で
,コ
満 足,Grune3
ール与党
.9%で
い
ち ばん の シ ョ ッ ク
以 上 の 主 要 な 事 象 の う ち,次
節 で は特 に ,最
も企 業 経 営 に 影 響 を 及 ぼ す 通
ドイツ統合 と有力企業の経営会計事情5
,
貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同盟 条約 に関 して検 討 し よ う。
〔2〕 通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟条 約
東 ドイ ツ初 の 自 由選挙 で,キ
リス ト教 民 主 同盟 ・キ リス ト教 社 会 同盟 お よ
び民 主 主 義 の 出発 で構 成 す る ドイ ツ連 合 が大 勝 利 し,「 両 ドイ ツ通 貨 ・経 済 ・
社 会 保 障 同盟 の創 設 に関 す る条 約 」 が,は
じめ の予 想 よ り早 く7月1日
に発
効 した。
この条 約 の骨 子 は,西
ドイ ツ連 邦 銀行 が 東 ドイ ツ の発 券 銀 行 も兼 ね る こ と,
東 ドイ ツ は西 ドイ ツ の税 制 や 社 会 保 障 制 度 を段 階 的 に導入 す る こ と,東
ツ財 政 の赤 字 は西 ドイ ツが補 填 す る こ と等,西
ドイ
ドイ ツ の経 済 に関 す る法律 等
が東 ドイ ツ地 域 に も適 用 され る とい う こ とで あ る。
〔3〕
両 ドイ ツ通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同盟 条 約 の 要 旨 と若 干 の 論 評
本 条 約 は,前 文,6章38条
の本 文,9項
目の付 則 お よび 共 同議 定 書(指 針)
か ら構 成 され て い る。 その うち特 に本 稿 に とっ て重 要 と思 わ れ る もの に つ い
て解 説 す る。
「前 文 」 で は,1989年11月
に東 ドイ ツで 平 和 的 民 主 的 革 命 が 行 われ た とい
う事 実 を前 提 と し,通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同盟 を創 設 す る こ とに よ って,西
ドイ ツ基 本 法23条 に基 づ き欧州 統 合 達 成 へ 向 け た最初 の重 要 な一 歩 を踏 み出
そ う とす る両 ドイ ツ の願 いが 込 め られ て い る と同時 に,EC加
盟 諸 国 に も配
慮 して い る。
第1章
第1条
「基 本 原 則 」 で は,条 約 の対 象 と して① 双 方 は通 貨 ・経 済 ・
社 会 保 障 同盟 を設 立 す る。 ② 双 方 は1990年7月1日
通 通 貨 とす る通 貨 同 盟 を形 成 し,西
か ら西 ドイ ツマ ル ク を共
ドイ ツ連 邦 銀行 が,両
ドイ ツ の発 券 銀行
とな る。③ 経 済 同 盟 の基 礎 は,双 方 に共 通 な経 済 秩 序 として の社 会 市 場 経 済
で あ る。 これ は特 に私 有 財 産制,競
資本,財
6国
貨,サ
争 原 理,自
由 な価格 決 定,さ
らに労働,
ー ビス の完 全 自由化 に よ って規 定 され る。④ 社 会 保 障 同盟 は
際 経 営 論 集No31992
通 貨 ・経 済 同 盟 と一一体 を成 す とす る。
第2条
で は,双 方 は西 ドイ ツ基 本 法 の民 主 的,連
承 認 す る。 したが っ て,こ
れ に対 立 す る東 ドイ ツ の社 会 主 義 的 社 会 ・国 家秩
序 に関 す る従 来 の規 定 は,も
第3条
邦 的,社 会 的基 本 秩 序 を
はや適 用 され な い こ とを原 則 と して い る。
「法 的基 礎 」 で は,通 貨 同盟 の設 立 お よび通 貨 交 換 に つ い て は,双
方 が合 意 し,付 則1に
掲 げ た規 定 が適 用 され る とす る。す な わ ち,付 則1「 通
貨 同 盟 と通貨 交換 に関 す る規 則 」 で は,1990年7月1日
東 ドイ ツへ の導 入 と通 貨 の切 り替 え,交 換 比 率s債
の西 ドイ ツマ ル クの
務 お よび債 権 の取 り扱 い
等通 貨 統 合 の実施 に関 す る細 目が 規 定 され て い る。 通 貨 同盟 の設 立 まで の期
間 は,付 則Hに
掲 げ た西 独 法 規,す
業 務 関連 諸 法 規,原
子 力 法,商
な わ ち西 ドイ ツ の連 邦 銀 行 法,金
法,会
社 関連 法 規y共
同決 定 法,経
融保 険
営体 規 則
法 等 が 東 ドイ ツ に も適 用 され る と した 。
第2章
「通 貨 同盟 」 で は,以 下 の事 項 を前提 条 件 及 び原 則(第10条)と
し
て い る。① 通 貨 同盟 設 立 に伴 い西 ドイ ツマ ル クの唯 一 の発 券 銀 行 で あ る西 ド
イ ツ連 銀 の金 融 政 策 上 の責 任 は,全 通貨 地 域 に拡 大 され る。 ② 通 貨 安 定 の た
め に双 方 は,イ
ン フ レ を防 ぎ,東
ドイ ツ企 業 の競 争 を強 化 す る通 貨 交換 方 式
を選 択 す る。③ 西 ドイ ツ連 銀 は,通 貨 安 定 の た め両 ドイ ツ政 府 か ら独 立 した
通貨 供 給,信
用 供 与 政 策 を行 使 す る。④ 通貨 政 策 の前 提 とな るの は,東
ドイ
ツが 市場 経 済 的 金 融 制 度 を樹 立 す る こ とで あ る。 私 的経 済 原 則 を志 向 した銀
行 シ ス テ ム,自
由 な金 融 ・資本 市 場 で の 自 由 な金 利 形 成 が それ に属 す る。 ⑤
上 記 の 目標 を達 成 す る ため,双
(A)西 ドイ ツ マ ル クが1990年7月1日
れ る。(B)賃金,給
与,奨
方 は通 貨 同盟 に関 す る次 の原則 で 一 致 した。
か ら東 ドイ ツに お け る通 貨 と して導 入 さ
学 金,家 賃,地
代 は1東
ドイ ツマ ル ク対1西
マ ル クの比 率 で交 換 され る。(C)そ の他 の債 権 債 務 に関 して は2東
ク対1西
ドイ ツ
ドイ ツ マ ル
ドイ ツマ ル クで 交換 され る。 ⑪ 東 ドイ ツマ ル クか らの交 換 は,東
イ ツ居 住 者,東
ド
ドイ ツの 金 融 機 関 の 口座 を通 じて の み な され る。(E)個人 の金
融 機 関 に お け る預 金 はi一 定 限 度 額 まで を1東
ドイ ツマ ル ク対1西
ドイ ツマ
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情7
ル クで 交 換 し,限 度 額 は年 齢 別 に異 にす る。 す な わ ち,(a)1976年7月1日
降 生 れ の者 は,2,000マ
ル ク まで,(b)1931年7月2日
に生 れ た者 は,4,000マ
ル ク まで,(c)1931年7月2日
マ ル ク まで 。 申請 は1回 限 り,1ケ
上 記 の金 額 を超 え る場 合,な
金 は,2東
ドイ ツマ ル クの率 で 交換 され る。(e)1989年12
ドイ ツ外 に住 所,所
在 地 が あ る個 人 ま た は法人,事
に挙 げ た もの の うち,1989年12月31日
務 所 の預
ドイ ツマ ル クの率 で 交換 され る。(f)先
以 降成 立 した個 人 あ る い は事 業 所 の預
ドイ ツ マル クに対 して1西
イ ツ は国 有財 産 の状 況,収
以 前 生 れ の者 は,6,000
所 の金 融 機 関 で行 え る。(d)個人 の預 金 が,
ドイ ツ マル クに対 して1西
金 は,3東
まで
らび に法 人 あ るい は その 他 の事 業所 の預 金 は,
2東 ドイ ツマ ル クに対 して1西
月31日 現 在,東
以 降1976年7月1日
以
ドイ ツマ ル クの率 で 交換 す る。⑥ 東 ド
益 率 を調 査 した う えで,さ
らに経 済構 造 の 変 革 お
よび 国家 財 政 の立 て直 しに 国有 財 産 を優 先 的 に活 用 した後 で,預 金 者 に対 し
て2東
ドイ ツマ ル ク対1西
ドイ ツマ ル クの交 換 率 で の相 当額 分 の 国有 財 産 へ
の文 書 に よ る按分 所 有 権 の可 能 性 を検 討 す る。 ⑦ 西 ドイ ツ連 銀 は,こ の条 約
お よび連 銀 法 に規 定 され た権 限 を通 貨 同盟 の全 地 域 で行 使 す るた め,東
ドイ
ツ 国 内 に15ま で の支 店 を設 け る と して い る。
この両 ドイ ツマ ル クの 交換 比 率 は,経 済 ・経 営 的 な面 か らい ろい ろ と問題
が あ る。 しか し,コ ー ル首 相 が90年3月
の東 ドイ ツ選 挙 中 に東 ドイ ツ住 民 に
対 して1対1の
ドイ ツ連 銀 との折 衝 の結 果 よ うや く
交 換 を約束 した た め,西
決 ま った もの で あ る。
実 質 的 交 換 比 率 よ り高 い比 率 を設定 す る こ とに よっ て そ の差 額 負 担,物
価,
企 業 競 争 力 等 の 問題 が 生 ず る。
第3章
は,そ
「経 済 同盟 」 で は,第11条(経
済 政 策 の基 礎)と
の経 済 ・財 政 政 策 措 置 が社 会 的市 場 経 済 と調 和 す る こ とを保 証 す る。
それ らの措 置 は,市 場 経 済 的秩 序 の枠 内 にお い て,た
遂 げつ つ,価
格 水 準 の安 定,高
際 経 営 論 集No.31992
えず 適切 な経 済 成 長 を
い 雇用 状 態,対 外 経 済 の均衡 に寄与 す る もの
とす る。② 東 ドイ ツ は,構 造 変 化,現
8国
して,① 東 ドイ ツ
代 的 な職 場 の 創 出,幅
広 い基盤 を なす
中小 企業,さ
らに職 業 の 自由 と環 境 保 護 を促 進 す るた め に,市 場 自体 の力 と
民 間 の活 動 を展 開 させ る枠 組 み を作 る。 企 業運 営 は,第1条
の社 会 的市 場 経
済 原 則 に基 づ い て行 わ れ る。 企 業 は,生 産 物 ・生 産 量 ・生 産 様 式 ・投 資 ・労
使 関 係 ・物 価 ・利 益 活 動 に関 し,自 由 な決 定 を下 しう る等 と して い る。 更 に,
第14条 で は,東
ドイ ツ企 業 の構 造 的 適 合 を促 す た め に,両
ドイ ツ政 府 は協 調
して措 置 を講 じ る とす る。 その 目標 は,社 会 的 市 場 経 済 の基 礎 に立 っ て よ り
大 きな成 長 と将 来性 の あ る職 場 をつ くり出 す た め,で
き るだ け多 くの 中小 企
業 を も含 む 幅広 い現 代 的 な経 済 構 造 を達 成 す る こ とで あ る。 そ の他,農
食 糧 経 済,環
第4章
境 保 護 に関 して も規 定 して い る。
の社 会 保 障 同盟 で はi団 結権,労
定 権 等 に関 す る原 則,社
病 保 険,保
第5章
業 ・
険衛 生,労
会 保 障 の 原則,失
災 保 険,生
働 争 議 権,労
業保 険,雇
活 保 護,財
れ る とす る。 また,起 債 と負 債}西
用 促 進,年
営共同決
金保 険,疾
政補 填 に つ い て も規 定 して い る。
の国家 予 算 と財 政 で は,国 家 予 算 に関 し,東
として公 的 予 算 は市 場 経 済 に適 応 し,西
働 協 約,経
ドイ ツ財 政 政 策 の原 則
ドイ ツの 予 算構 造 に あわ せ て編 成 さ
ドイ ツ か らの財 政 補 墳,公 務 に お け る過
渡 的規 定 に つ い て も定 め て い る。 更 に,財 政 に関 し,関 税 と特 別 消 費税,収
得税 と流通 税,情
報 交 換,協
議 方法,財
務 行 政 機 関 の設 立 につ い て も規 定 し
て い る。
最 後 の第6章
結 び で は,こ
の条 約 が,西
ドイ ツ な い し東 ドイ ツが第 三 国 と
結 ん だ条 約 に抵 触 しない と明 記 す る と と もに,条 約 の 見 通 し,ベ ル リン条 約,
発 効 に関 して も規 定 して い る。
更 に,共
〔4〕
同議 定 書(指
針),付
則(9項
目)も 同 時 に調 印 され た。
通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟 条 約 発 効 ・通 貨 統 合 実 施 後 の 東 ドイ ッ
両 ドイ ツ統 合 の 第1段
1日 に 発 効 し,通
一 の通 貨 とな っ た
階 で あ る通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟 が,1990年7月
貨 統 合 が 実 現 す る こ とで 東 ドイ ツ で も西 ド イ ツ マ ル ク が 唯
。 早 朝 か ら銀 行 に よ っ て は混 乱 し た と こ ろ も あ っ た が,東
ドイツ統合 と有力企業の経営会計事情g
ドイ ツマ ル ク(M)か
ら西 ドイ ツ マ ル ク(DM)へ
の交 換 は,比 較 的 順 調 に
実施 され た。
東 ドイ ツ銀行 の窓 口 で は,ド イ ツ マ ル ク払 い戻 し のた め の長 い行 列 が 出 来
たが,日
曜 日で店 舗 が 休 業 とい う こ と もあ り,引 出額 は事 前 の予 想 を下 回 り,
政 策 担 当者 はマ ル ク安 定 の好 材 料 と歓迎 して い た。 西 ドイ ツ連 銀 の予 測 に よ
れ ば,1人
当 り引 出額 は350DM程
度 とい う。先 き行 き不 安 もあ っ て東 ドイ ツ
市 民 の貯 蓄 志 向 も強 まっ て い るた め,通 貨 統 合 に よ る衝 動 買 い や狂 乱 消 費 も
避 け られ た。 さ らに,東
の声 が,直
ドイ ツ市 民 も利 殖 に 目 ざめ た と し,通 貨 統 合 成 功 と
後 に あが っ て い る。
通 貨 統 合 後,西
それ に対 し,東
ドイ ツ は相 変 わ らず 雇 用,物 価 が 安 定 し景 気 も好 調 で あ る。
ドイ ツ に とって 通貨 統 合 は,実 質 的 に数 倍 の通 貨 切 り上 げ に
な るた め経 済 が苦 境 に陥 る こ とは無 理 の な い こ とで あ る。
通 貨 統 合 後,東
ドイ ツ に生 じた事項 の い くつ か を列 挙 す る と以 下 の もの が
あ る。
(イ)東 ドイ ツ の銀 行 が 中小 企 業 に融 資 を したが らな くな っ た。
(ロ)東 ドイ ツ 内 で有 力 とみ な され て い た企 業 で も,販 売 不 振,賃
上 げ等 で
倒 産 が 避 け られ な くな って い る。
の
東 ドイ ツの 農産 物 が,ECの
基 準 を充 た して い な い とい う こ とで農 民
を苦 境 に追 い 込 んで い る。 過 剰 人 員 の上 に農 具 はな く,農 産 物 の 品質 も
悪 い た め買 い手 も少 な く農 民 デ モ が頻 発 して い る。 しか し,西
ドイ ツで
の産 直 は好 評 を博 して い る。
ω
東 ドイ ツ財 政 補 助 を続 けて い る西 ドイ ツか ら東 ドイ ツ政府 に節 約 の要
請 が あ っ た。
㈲
統 合 ドイ ツ国 防軍60万 人 を3,4年
以 内 に37万 人 へ 削 減 しs周 辺 諸 国
の脅 威 を和 らげ る と と もに国 家 財 政 を ス リム化 し,そ の節 約 コス トを統
合 コ ス トに振 り向 け る。
的
10国
東 ドイ ツ28億 マ ル クの軍 縮,不
際 経 営 論 集No3]992
用 に な った軍 用車 等 を企 業 等 に売却 し
た。
(ト)東
ドイ ツ 補 助 予 算 と して,経
済 を立 て な お す た め に 更 に数 十 億 マ ル ク
を必 要 とす る 。 成 長 率 は90年 度4.5%か
予 測 し て い る。(OECD経
ら91年 度3.5%に
済 見 通 し;91年
度2.75%,92年
下 落 す る こ とを
度2.25%で
見
通 し良 好)
㈱
売 上 付 加 価 値 税 を16州 で どの よ う に 分 配 す る か が 問 題 と な っ た 。
(リ)東
ドイ ツ 失 業 者 が 更 に増 え,政 府 発 表 で は1990年7月
ら8月
末36万LOOO人(4.1%)に
調 べ で は8月
末 現 在150万
,000人 か
増 加 し て い る 。 東 ドイ ツ失 業 者 同 盟 の
人 が 失 業 中 で あ り,政 府 発 表 は失 業 保 険 申 請 者
の 数 で あ る と反 発 し て い る 。 これ に 対 し,8月
は2万7,000人)と
末27万2
の 求 人 数 は2万
人(7月
少 な い 。 操 業 短 縮 も進 ま な い 。 な お,1991年7月
府 発 表 で は84万2,000人(9.5%)の
失 業 者 数,200万
あ る。 ドイ ツ経 済 研 究 所 の 発 表 で は,92年
の政
人 の 時 短 労働 者 数 で
に は150万 人 か ら200万 人 に 達
す る見 込 で あ る。
(ヌ)西
ドイ ツ 企 業 と東 ドイ ツ企 業 との 合 併 に 負 債 の 棒 引 提 案 を ラ フ ォ ン テ
ー ヌ(SPD)元
ρの
首 相 候 補 が した が
,反
対 意 見 が 多 く否 決 さ れ た 。
東 ドイ ツ 民 間 企 業 組 合 員 や 公 務 員 の 相 次 ぐ賃 上 げ が 続 い て い る。
以 上 が,通
貨 統 合 直 後 に 生 じ た 主 要 な 事 項 で あ る が,当
初 の予 測 に比 して
そ の影 響 は多 方面 にわ た って い る。
通 貨 統 合 後9ケ
月 を経 過 した91年3月19日
に は,ペ ー ル連 銀 総 裁 は 「我 々
は,東 西 ドイ ツ間 の経 済 格 差 を調 整 す る準 備 もほ とん どな い ま ま,1日
東 ドイ ツ に)ド
で(旧
イ ツ マル ク を導 入 して しま っ た。 さ らに付 け加 え るな らば交
換 比 率 も適 正 で な い。 破 滅 的 な結 果 が 出 る こ とは あ らか じめ予 想 で きた 」 と
通 貨 統 合 は失敗 に終 っ た との見 解 を示 した。 コー ル 首相 に押 し切 られ た形 で
通 貨 統 合 を一 気 に施 行 され て し まっ た連 銀 総 裁 ペ ー ル に して みれ ば,最 近 の
マ ル ク安,経
済 の停 滞 か らそ の感 を もた ざ る を得 な か っ た の だ ろ う。 ペ ー ル
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情11
の この 発 言 で マ ル ク は更 に値 を 下 げ,彼
の辞 任(1991年7月
末)へ
とつ な が
っ た。
しか し,コ
発 足1周
ー ル 首 相 は91年7月1日,両
ドイ ツ通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟
年 に 際 し て ボ ン で 記 者 会 見 し,「両 ドイ ツ通 貨 経 済 社 会 保 障 同 盟 を 昨
年7月1日
とい う時 点 で 導 入 した こ と は,人
り示 す う え で,正
々 に統 合 へ の 道 し る べ を は っ き
しか っ たJと 判 断 す る と と も に,「 旧 東 ドイ ツ 経 済 が 上 向 い
て い る兆 しが 出 て い る 」 こ と を 強 調 し た 。 ま た,ド
イ ツ マ ル クが 通 貨 統 合 後
も安 定 は損 な わ れ な か っ た と述 べ た 。
しか し な が ら,8月15日
歩 合 を1%上
ドイ ツ 連 銀 は シ ュ レ ジ ン ガ ー 新 総 裁 の も とで 公 定
げ て 年7.5%と
し た 。 利 上 げ の 理 由 に つ い て 「ドイ ツ 内 外 で の マ
ル ク価 値 の 安 定 を 図 る」 こ と を強 調 し て い る 。
皿
有 力企 業 の経 営 政 策
例 年 夏,ド イ ツで は新 聞 や 雑 誌 に前 年 度 売 上 高 ラ ン キ ン グ上 位100社 が 発 表
され る。 売上 高 が 多 い こ とが,必
ず し も有 力 企 業 にラ ン ク され るた め の必 要
に して充 分 な条件 とは い え な いが,し
る た め の最 も重 要 な条 件 の1つ
か し有 力 企 業 として リス トア ップ され
で あ る。
90年 度 は,東 西 ドイ ツ統 合 後,初
の売 上 高 ラ ン キ ン グ発 表 で あ るが,新
ド
イ ツ経 済 圏 の誕 生 で 旧西 ドイ ツ系企 業 は更 に拡 大 路 線 に あ るが,旧 東 ドイ ツ
系 企 業 で ラ ン ク入 りす る もの はな か っ た。
「統 合 」 で最 も恩 恵 を受 け た の は,旧 東 ドイ ツ市 民 の購 買 力 増 加,特
共 工 事 を中心 とした建 設 ブー ム,そ
れ 等 に伴 う資 金 需 要 で,小
売 業 ・土 木 建
設 業 ・銀 行 で あ る。 しか し,全 般 に企 業 の収 益 は悪 化 して お り,4分
企 業 で収 益 減,欠
損増 を示 して い る。 そ の原 因 と して,マ
次 産 品 ・原材 料 の輸 入 価 格 の高 騰,そ
れ に高 賃 金,増
に公
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ル ク安 に よ る第1
税 等 に よ る製 品価 格 上
昇 が挙 げ られ る。 製 品 価 格 の上 昇 は,ド イ ツ企 業 の 国 際競 争 力 を弱 め て い る。
12国
際経営論集No.31992
91年 上 半 期 成 長 率 は,実 質7%,名
され た増税,旧
目9%強
と見 られ るが,7月
東 ドイ ツ地 域 で の 失業 率 増 で 成 長 率 は5%以
か ら実 施
下 に落 ち込 む も
の と予 測 され る。
〔1〕
ドイ ツ企 業 売 上 高 ラ ン キ ン グ上 位goo社
90年 度 の ラ ン キ ン グ 上 位 か ら見 て い く と,1∼3位
な い。 ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ 社 は90年 度 か らMBBの
社 の 売 上 高 の 差 は170億
は89年 度 の4分
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の1強
割 さ れ る こ とで,テ
レ コ ム が 新 た に9位,ブ
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信,郵
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ン デ ス ・ポ ス トは20位 に ラ ン キ
売 業 の テ ン ゲ ル マ ンが13%の
伸 び を 示 し2つ
に ラ ン キ ン グ さ れ て い る バ イ エ ル 社 は,化
気 後 退 傾 向 に も か か わ ら ず,利
10位 と11位 は,共
イ ム ラ ー社 の利 益
と激 減 し て い る。
ン デ ス ・ポ ス トがy通
を上 げ た 。8位
業 績 を加 算 す る こ とで 両
マ ル ク と更 に拡 大 し た 。 しか し,ダ
で は,ブ
ン グ さ れ た 。7位
ま で は89年 度 と変 わ ら
学 業 界 の世 界 的景
益 で は19億 マ ル ク と トッ プ を奪 っ た。
に 売 上 を伸 ば した が,RWEが
テ ィ セ ン を逆 転 した 。14
位 に ス ー パ ー ・チ ェ ー ン ス トア の メ トロ ・ ドイ チ ェ ラ ン ドが,カ
買 収 す る こ とで 前 年 比31%増
21位 以 下 で は,コ
で,18位
他 企 業 買 収 に よ り売 上 高86%増
前 半 の44位 か ら25位 に 躍 進 し た の が 目 に つ く。 しか し,ク
ト(89年
度39位)か
(89年 度75位)が,そ
ウ フホ フ を
か ら上 が っ た 。
ン ツ ェ ル ン のViagが
部 門 の 失 敗 に よ り,Viag社
順位
で
レ クナ ー社 が石 油
とバ イ エ ル ン ヴ ェ ル ク社 に 経 営 権 を譲 渡 し て リス
ら消 え た 。 同 様 に,MBB(89年
れ ぞ れ ダ イ ム ラ ー 社,ジ
度56位),ニ
ク ス ドル フ
ー メ ンス社 に吸 収 合 併 され ラ
ン キ ン グ か ら姿 を 消 し た の が 淋 し い 。
〔2〕
川
壁 崩 壊 後 の有 力企 業 の 経 営 戦 略
ドイ ツ 銀 行
ドイ ツ銀 行(DeutscheF3ankAG)は,1870年,ベ
ル リン の 古 くて お 粗 末 な 長
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情13
売上高 ランキング上位100社
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Agiv(Fcankfurt)':y
47
6
百貨店
廊
C.&A.fDusseldorf)'1
ー
タイヤ
㎜ ㎜ 陥 ㎜ ㎜ ㎜ ㈱ ㎜ 騨 ㎜
Continental(Hanmver)
秘
電機
1003
861
4{β
㎜
1
PhilipsGmbH{Hamburg}")
6
181
脚 麟
商社
0
5
7
4
AlfredC.Taepfer(Hamburg}(30.11.)
胴
2
5
6
4
石油
26
6
4
5
4
食品
DeutscheBP(Hamburg}
441
.:
20
1
3
4
4
建設
DeutscheUnilever(Hamburg)
404
200
㎜
化学 ・紙 ・金属
Phili叩Holzmann{Frank`urt)
429
91
㎜
FeidmuhieNobei(Diisseldorf)
蜘
スー バー・チェー ンス トア
躍
Asko(Saar6rticken)tO)
9
4
3
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スーパー・チェー ンス トア
71
瓢
5
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4
石油
Gedelfi(Koln)
3
化 学
Esso(Hamburg}
㎜
-
㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ 欄 蜥 ㎜ ㎜ 隅
8
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1
4
Henkel(Dusseldorf)
150f10
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Helm(Hamburg)
商社
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Coca・Cola(Essen}")
1
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Heraeus(Hanaul
金属
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ITT・beteiligungen(Frankfurt)
持株 会社
4915
4551
観光
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4240
4815
4377
69
5
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i
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TUIIHannover)
76
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AlikanflMonchengiadbachf
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Bati爆Hamburg)
DellingerHu#teSaarstahl(Volklingen)
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複 合 コ ンツ ェ ル ン
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Adidas(Herzogenaurach)藍51
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チェーixト ア
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iス ポ ー ツ 用 品
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欄
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旨
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ドイ ツ統 合 と有 力 企 業 の経 営 会計 事 情
18500
剛
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15
i
82
83
84
85
石油販売
Marimpex(Hamburg)
81
$fi Boehringer[ngelheimfingelheiml
薬品
9?
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ii響
GrundiglFurth)
102 Sudzucker(Mannheiml
87
Zeiss-Stiftung(Heidenheim)f30.9.1
PanaviaAircraft(Munchen}
4&42
4632
4550
・娯 楽 機 器
72
2700
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3795
食品
4539
359呂
グ ラ ス ・光 学
4372
4423
一1
航空機
4328
4899
一12
化学繊維
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一7
86
79
87
8'L EnkaAkaol{14'uppertall16}
88
93
Freudenberg{Weinheim:}
プ ラ スチ ッ ク加 】二 4'173
89
41
Coop{Frankfurt]"f
スー パー チ ェーン ストア
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90
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建設
4208
3441
91
92
Sol4・a}・Deutschland(Solingenl
化学
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92
10(} Pr⑪cter&GamblelSch ̄ralbachli30.6,)
洗剤
4094
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93
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紙
4062
3769
94
i
961Hewlett・f'ackard(Boblingenl(31、10.)
コ ンピ ュ ー タ
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4
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125
143
48
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147
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23300
338
29
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31800
41
79
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53
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機 械 ・プ ラ ン ト
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ベ ア リング
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複 合 コ ン ツ エル ン
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商社
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石油販売
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」
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食品
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i
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・
・1目
19
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2000
1
(注)1)MBB社
売rげ
を 含 む 。利 益 に 関 し て は 収 益 計1ゴ ∫法 の 違 い に よ り89年 と の 比 較 は 困 難 。2)ド イ ツ ・
ブ ン デ ス ポ ス トの 通 信,郵 便 事 業 の 分 割 に よ る 。3)割
引 後 推 定 売1二げ 。4)グ
ル ー プ 全 体 の 売tげ 。
5)Kauh。fを
Bよ
含 む 。6)東
り9月30日
12)Barmag社
14)ド
部 新5州
を 含 む 。7)暫
ま で を 計 」=。IG)C{,opAGを
の 株 式 過 半 数 を 初 め て 算 入013)収
イ ツ で の 卸 売 り の 売Lげ
。15)ラ
定 値 。8)企
業 買 収 後 の 売 上 げ 増 加 。9)1♪
含 ま な い 。11)1989年
」1
の 数値 は 再編 後 の 部 門 に適 応 。
益 は ラ ジ オ ・テ レ ビ 受 信 料,広H:rt収 入 及 び 助 成 金 。
イセ ン ス 供'チ を 含 む 。16)株
式 会 社 の 収 益 。17)Ask・
社 によ
り 買 収 さ れ るr,
(出 所)Handelblatt1991.7.6,DeutscheMarkt199L9
屋 の よ うな建 物 で そ の産 声 を上 げ た 。 ドイ ツ銀行 が設 立 され た年 に起 こっ た
多 くの銀 行 の 買収,解
散 ・清 算 の嵐 を 目 の あ た りに して,創
フ ォ ン ・ジー メ ンス とヘ ル マ ン ・ヴ ァル リ ッ ヒは,ド
な金 融 業 務 を手掛 け な けれ ば,こ
店 網 の拡 張,産
立者ゲオ ル ク ・
イ ツ銀 行 で は多 種 多様
の時代 成 長 で きな い だ ろ う と確 信 した。 支
業 向 け の長 期 貸 出 の前 提 とな る預 金 の獲 得,そ
して な に よ り
1)
も'証券 ブ ロ ー カ ー 業 務 の 拡 充 で あ っ た 。
今EIで
行 の1つ
は,ド
イ ツ銀 行 は,ド
で あ る が,そ
の 規 模,収
て い る。
16国
際経営論集No.31992
レ ス ナ ー 銀 行,コ
益 性,成
メ ル ツ銀 行 と と も に3大
長 性 に お い て 他 の2行
銀
を 引 き離 し
ドイツ3大 銀 行の財務 指標 等比較
(百 万lDM)
ドイ ツ銀 行
1990
総
売
貸
純
資
上
出
産
高
高
益
残
利
コメ ル ツ銀 行
ドレス ナ ー 銀行
1989
X990
1989
1990
1989
400,200
344,000
283,265
249,579
215,954
191,554
404,700
348,800
286,951
253,412
217,946
193,841
27:x,300
233,800
213,703
156,786
X22,357
105,547
1,067
1,340
921
s50
557
564
資本 金 ・準備金等
15,566
14,367
10,086
9,176
7,556
s,45s
顧
支
7.6fim.
6.98m.
5.27m.
4.68m.
3.36m.
3.11m.
客
店
数
数
1,856
1,640
1,530
1,397
956
897
※ グ ル ー プ別
(注)1)90年
度 はCommerzbankは,売
百 万 マ ル ク に 次 い で4位
2)グ
上 高 で はWestdeutcheLandesbankの250
,899
で あ る。
ル ー プ 別 財 務 指 標 等 で あ る。
(出 所)AnnualReport}or1990
DeutscheBankAG
DresdnerBank
Commerzbank
す な わ ち3大
銀 行(90年
度)の
財 務 指 標 を み る と,ド
総 資 産 額 で は ド レ ス ナ ー 銀 行71(89年
純 利 益 で は,ド
レス ナ ー86(同49),コ
そ の 他 の 財 務 指 標 の 格 差 も高 くs経
ドイ ツ に お い て は,我
度73),コ
長),文
メ ル ツ銀 行54(同56),当
期
メ ル ツ52(同42),90年
村 証 券+α
,
度 を除 け ば ,
営 効 率 も両 行 に比 し相 対 的 に 高 い 。
,
金 ・貸 付 業 務 等 の 他 株 式 ・債 権 な ど の
売 買 ・引 受 業 務 も行 っ て い る 。 ドイ ツ 銀 行 は,我
本 興 業 銀 行+野
対 し
が 国 の よ う に 銀 行 業 務 と証 券 業 務 との 垣 根 が な い
い わ ゆ る ユ ニ バ ー サ ル 銀 行 と して,預
行+日
イ ツ銀 行100に
が 国 で い え ば,「 第 一 勧 業 銀
」の 総 合 金 融 機 関 で あ り(広 瀬 ドイ ツ興 銀 社
字 どお り ドイ ツ産 業 界 に 君 臨 して い る 。
ドイ ツ 銀 行 と第 一 勧 業 銀 行 と を89年 度 に お い て 比 較 す る と以 下 の よ う で あ
る。
総 資 産(個
別)で
は第 一 勧 銀 が ドイ ツ 銀 行 の3.5倍
近 く,貸
出 残 で は第 一 勧
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情17
(単位:億
第一勧 業 銀行
ド イ ツ 銀 行
66兆5,908
総 資 産傷 堕
19兆3,230(2,147億
30ジ ヒ
三9,960(3,440〃)
68兆7,651
貸 出 残 高
12ツ 巳1,680(1,352〃)
32兆6,257
純 利 益傷 跨
舗
1,500
1,205(13.39≫)
2,335%
4,689
377店
1,640店
数 げループ)
(注)1マ
x,555
906(10.07〃)
総資本純利益率(本 体)
店
マ ル ク)
円)
ル ク=90円
(出 所)Annual,Reportfar1959,DeutscheBankAG/DaHchiKangyoBank'90
銀 が ドイ ツ銀 行 の2.7倍 近 く,し か し,ド イ ツ銀 行 の総 資 本 利 益 率 は第 一 勧 銀
の約2倍
とい う効 率 の良 さで あ る。
ドイ ツ銀行 の強 さ の根 源 は,ま ず,有 力 企 業 の株 式 を大 量 に保 有 して 資本
参 加 す る と と もに,社 長 の任 罷 免 権 を有 す る西 ドイ ツ固有 の 監 査 役 を多 数,
大 企 業 に派遣 して い る こ とにあ る。
次 の表(次
ペ ー ジ参 照)は,ド
イ ツ銀 行 の主 た る企 業 の保 有 株 式 率 と監 査
役 派 遣 人 数 で あ る。
ドイ ツ銀 行 は,こ の よ うに大 企 業 を支 配 す る こ とに よ って,そ
の 系列 企 業
ドイツ銀行の主 た る企業の株 式保有率
アルゲマ イネ
ヘ ェアバ ル テ ゥ ン グ スゲ ゼ ル シ ャ フ ト
ヘ ユア
55.35%
イ ン ズ ス ト リ ー べ タ イ リ グ ン グmbH
28.37
ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ ㈱
エ ネ ル ギ ー ・ヘ ェ ア バ ル テ ゥ ン グ ス
フ ィ リブ
ゲゼル シャフ ト
mbH
25
30
ホ ル ツ マ ン㈱
ホ ル テ ン㈱
25.40
カ ー ル シ ュ タ ッ ト㈱
?5.26
ク レ ッ クナ ー
フ ン ボル ト
(出 所)AnnualReportfor1990
18国
際 経 営 論 集No,31992
ドォ ツ ッ㈱
41ユ4
大企 業 への監 査役派遣
ダ イム ラー ・ベ ン ツ(自
動 車 業 界 世 界 第4位)
2〃
VEBA(エ
2〃
ネ ル ギ ー)
ジ ー メ ンス(電
VW(自
機 業 界 世 界 第3位)
1〃
動 車 業 界 世 界 第7位)
BASF(化
(注)1990年
1〃
学 業 界 世 界 第2位)
1〃
第4位)
1〃
バ イ エ ル(〃
度 は未 記載
(出所)AnytualR砂oκ
ル71989
の 多 数 を 傘 下 に 置 い て い る。 ま た,ド
ザ ヤ を 決 定 す る 力 を持 っ て お り,た
と,我
2人
テ ィ ッセ ン(鉄 鋼 業 世 界 第3位)
が 国 都 銀 の 多 くが0.5%以
イ ツ 銀 行 は,企
と え ば,預
業 へ の 融 資 方 式 か ら利
貸 金 利 ザ ヤ は2 .52%(89年)
下 で あ る の と比 し採 算 性 が 高 い 。
ドイ ツ銀 行 の 東 ドイ ツ へ の 進 出 と し て,東
イ ツ 信 用 銀 行 と合 弁 会 社 を設 立,店
ドイ ツ初 の 民 間 銀 行 で あ る東 ド
舗 数 約110店
を 譲 り受 け,6
,000人 の 従 業
員 を 引 き取 っ た こ とが 特 に注 目 さ れ る 。 行 名 は 「ドイ ツ 銀 行 ・信 用 銀 行 」 で
1990年7月2日
に 営 業 を 開 始 した 。 ドイ ツ 銀 行 は,ド
レ ス ナ ー 銀 行 と同 様 に
合 弁 戦 略 に よ っ て 東 ドイ ツ進 出 を果 た して い る が,コ
メ ル ツ 銀 行 は独 立 店 舗
戦 略 を と っ て お り,91年
た,旧
度 末 まで に 約1・・の 支 店 を 開 設 し よ う と し て い2).ま
東 ドイ ツ は混 乱 期 で あ り所 有 権 も は っ き り しな い よ う な状 況 に あ り,
結 局 は1つ
の 国 に な る の だ か ら,あ
わ て る 必 要 は な い と,ド
イ ツ 銀 行 に は横
綱 相撲 的 な とこ ろ もあ っ た 。
ドイ ツ 銀 行 で は 旧 東 ドイ ツ再 建 コ ス トを 年 間500億
マ ル ク を超 え る)と
予 測 し,そ
マ ル ク(実
際 は1 ,200億
の 中 心 的 役 割 を 果 た す 西 ドイ ツ 民 間 企 業 投 資
需 要 の 資 金 供 給 の 主 役 と な ろ う と し て い る。
し か し,他
方 で は,東
あ る。 例 え ば,東
ドイ ツ 統 合 は そ れ ほ ど の メ リ ッ トは な い と の 見 解 も
ド イ ツ 預 金 残 高 は,西
ドイ ツ 預 金 の1年
分 の 増 加 額 程 度,
ま た貸 付 の 中 心 とな る 資 金 不 足 の 中 小 企 業 の 審 査 基 準 に な る 財 務 資 料 等 が 不
完 全 で あ る 等 々 で あ る。
ドイツ統合 と有力企業の経営会計事情1g
そ の他,ド
イ ツ銀 行 は① 東 欧 ・ソ連 向 け融 資 額 第1位,カ
オ ー ス トラ リ ア 等 の イ ン タ ナ リゼ ー シ ョ ン の 展 開,②
フ ェ ル 商 業 銀 行 の 買 収,③
ナ ダ,イ
タ リ ア,
英 国 モ ル ガ ン ・グ レ ン
ベ ン ツ と三 菱 グ ル ー プ と の提 携 の 推 進,④
住宅貯
蓄 銀 行 ・生 命 保 険 会 社 の設 立 とい う よ う な 新 事 業 の 開 拓 等 に も力 を入 れ て い
る。 更 に,政
治 との つ な が り も強 く,政
策 提 言,資
所 の 設 立 等 も行 っ て い る 。 こ の よ う な 国 家,産
金 付 シ ン ク タ ン ク ・研 究
業 と と も に歩 む 積 極 的 姿 勢 は,
ドイ ツ 統 合 後 も ます ま す そ の 傾 向 を強 め て い る。
㈲
ダ イム ラ ー ・ベ ンツ社
1926年
ラ イ ン の 自動 車 ・エ ン ジ ン メ ー カ ー で あ る ベ ン ツ と シ ュ ツ ッ ツ ガ ル
トの ダ イ ム ラ ー ・モ トー レ ン とが 合 併 して ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ が 誕 生 し た 。
ダ イ ム ラ ー 社 の 創 立 者G.ダ
イ ム ラ ー は1885年
車 に取 り付 け て 最 初 に 走 っ た 人 で あ り,他
今 日 の 自 動 車 の 原 型 で あ る4輪
今 日,ダ
に 小 型 単 気 筒 エ ン ジ ン を2輪
方 ベ ン ツ 社 の 創 立 者K.ベ
ンツは
車 を走 らせ た 世 界 で 最 初 の 人 で あ る。
イ ム ラ ー ・ベ ン ツ 社(Daimler-BenzAG)は,石
油 ・鉱 業 を 除 く と
ドイ ツ で は無 論 ヨ ー ロ ッパ で も最 大 の 製 造 企 業 で あ る 。グ ル ー プ 総 売 上 高855
億 マ ル ク('90年
298,199人)と
度),純
利 益1,795百
万 マ ル ク,従
の8割3分
群 を 抜 く規 模 で あ る 。 売 上 高 は,1マ
業 員 数368,226人(国
強,従
業 員 数 は,逆
に6倍
ル ク80円
内
とす る と トヨ タ
強 で あ る。 各 種 積 立 金 ・準 備 金 の 充 実,
総 資 産 額 の伸 び も著 し い 。
ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ 代 表 取 締 役 エ ッ ツ ア ル ト ・ロ イ タ ー は,ド
イ ツ銀行 前
頭 取 ア ル フ レ ッ ド ・ヘ ル ハ ウ ゼ ン氏 の 協 力 を得 て以 下 の よ う な 有 力 企 業 を 翼
下 に お さめ た。
そ の 他,イ
ス ツ ン グ,ド
ン ズ ス ト リー ハ ンゼ ル ・ハ ン ゼ ル ス&イ
イ チ ェ 自 動 車,HWT等,多
ン ズ ス ト リー ア ウ ス ル
数 の 有 力 企 業 が 傘 下 に あ り,ダ
イ
ム ラ ー ・ベ ン ツ は 今 や コ ン グ ロマ リ ッ トで あ る。
更 に,1990年3月,三
菱 グ ル ー プ との 提 携 が 基 本 合 意 に達 し,欧
州 ばか り
で な く我 が 国 に も影 響 を 及 ぼ す よ う に な っ た 。 これ は 国 際 競 争 に打 ち 勝 つ た
20国
際経営論集No.31992
売
メ
ル
セ
デ
ス
・
ベ
ン
ツ
AEG
上
59,815百
高
万DM
13,149
業
種
乗 用 車,ト
ラ ック
オ ー ト メ ー シ ョ ン,
オ フ ィ ス,通
テ ム,家
信 シス
電,マ
イク
ロ ・エ レ ク ト ロ ニ ッ
ク ス,輸
ド イ チ ェ ・ア エ ロ ス ペ ー ス(DASA)
送 シス テ ム
航空宇宙 ・軍需
ダ イ ム ラー ベ ン ツイ ン ターサ ー ビス
金 融 サ ー ビ ス,コ
ン
ピ ュ ー タ ・ソ フ ト
メ ッ サ ー シ ュ ミ ッ ト ・ベ ル コ ウ ・ プ ロ
ム(MBB)(1990年1月
買 収)
航 空 機sミ
ル,兵
サイ
器 シス テ
ム
め に はい ろい ろの企 業 との協 力 が必 要 で あ る とい うE.ロ
イ ター氏 の考 え を
実践 した もの で あ る。
ベ ンツ ・グ ル ー プ と三 菱 グ ル ー プ との提 携 に際 して ,ベ
ン ツ側 は,次 の7
項 目で協 力 を要 請 して い る。
〔メ ル セ デ ス ・ベ ン ツ〕
ω
ソ連 で の乗 用 車 工 場建 設 へ の協 力 → 三 菱 商 事
(ロ)東
の
ドイ ツで の トラ ッ ク生 産 の合 弁 → 三 菱 自工
新 型 商 用車 の 日本 で の組 立 ・販 売 → 三 菱 自工
←)部
品 の海 外 調 達 面 で の協 力 → 三 菱 商 事
(AEG)
㈱
交 通 シス テ ム,半
導体,工
場 自動 化 の3分 野 で の技 術 交 流,部
面 で の協 力 → 三 菱 電 機
品供 給
(DASA)
←9基
礎 技 術 分 野 で の研 究 開発 の協 力 → 三 菱 重 工
〔イ ンタ ー ・サ ー ビス 〕
(ト)物 流 ネ ッ トワー ク,航 空 機 リー ス事 業 の支 援 → 三 菱 商 事
ドイ ツ統 合 と有力 企 業 の経 営 会計 事情21
また,1990年
に は,東 証 に も上場 し てい る。
ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ は,自 動 車,鉄
道,航
空機 とそれ らの シ ス テ ム を開 発
して製 造 ・販 売 す る交 通手 段 の総 合供 給 企 業 で あ る。 個 別輸 送 手 段 と一 般 シ
ス テ ム交 通 機 関 の両 方 を主 力 製 品 とす る世 界 で も珍 しい企 業 で あ る。 この戦
略 と して相 反 す る性 格 の商 品 を組 み合 わす 妙 が,東
西 ドイ ツ の統 合 や東 欧 ・
3)
ソ連 の 民 主 化 で よ り有 効 に 生 か され そ うで あ る。
1990年3月,ベ
ン ツ は欧 州 エ ア バ ス ・イ ン ズ ス ト リー 社 の 次 期 主 力 機 の 組
立 工 場 を ハ ン ブ ル ク に 誘 致 す る こ とに 成 功 し た 。 そ の 部 品 製 造 を92年 か ら 旧
東 ドイ ツ の プ ロ ジ ェ ク ト ・ゲ ゼ ル シ ャ フ ト ・ド レ ス デ ン に委 託 す る。 ベ ン ツ
は航 空 機 で も 旧 東 ドイ ツ企 業 を抱 き込 む こ と に な る。 ま た1991年7月
欧 州 最 大 の コ ン ピ ュ ー タ ・サ ー ビ ス 会 社 ソ ゲ ッチ 社(仏)に34%の
に は,
資 本 参加
を果 た した。
さ ら に,ベ
ン ツ は,当
時 の 西 ベ ル リ ン市 か ら 「壁 」 跡 の 広 大 な 敷 地 を 早 々
と取 得 し,「 首 都 ベ ル リ ン」 の 発 展 を先 取 り し て い る。
要 す る に,ベ
ン ツ は両 ドイ ツ統 合 を 契 機 に 旧 東 ドイ ツ を 東 欧 ・ソ連 さ ら に
は世 界 へ 躍 進 す る 足 場 と して 活 用 して い る と い え る 。
㈹
フ ォル クス ヴ ァー ゲ ン社
フ ォ ル ク ス ヴ ァー ゲ ン社(VolkswagenAG,前
ヒ トラ ー の 国 民 車 構 想,す
大 人2人,子
供3人
身KdF社)は,1933年
な わ ち(1)最 高 時 速100km/h,(2>燃
の
費100km/7me,(3)
乗 り,(4)エ ン ジ ン は空 冷 式,(5)価 格 は1,000マ
ル ク以 下 で
4)
あ る こ と を 基 に ヴ ォ ル フ ス ブ ル ク で1938年5月26日
ド イ ツ で 最 も 大 き な 自 動 車 メ ー カ ー で,1990年
(グ ル ー プ3,057,598台),販
は48,533百
の 生 産 台 数 は1,598,346台
売 台 数 は2,131,787台(同3,030,179台),売
万 マ ル ク(同68,061百
1,086百
万 マ ル ク),年
3,702百
万 マ ル ク(同5,372百
万 マ ル ク),当
期 純 利 益 は670百
上 高
万 マ ル ク(同
間 平 均 従 業 員 数 は127,062人(同261,038人)投
ツ 国 内 ば か り で な く ヨ0ロ
22国
に誕 生 した。
際 経 営 論 集iNo.,31992
万 マ ル ク)で
あ る 。 同 社 のVWゴ
資額 は
ル フ は,ド
ッ パ に お け る ベ ス トセ ラ ー ・ カ ー で あ る 。
イ
フ ォ ル ク ス ヴ ァー ゲ ン ・グ ル ー プ は,3つ
て い る。 す な わ ちy西
ィ,そ
の 自動 車 メ ー カ ー か ら成 り立 っ
ドイ ツ に本 拠 地 を お くフ ォ ル ク ス ヴ ァ ー ゲ ン,ア
ウデ
し て ス ペ イ ン の セ ア トで あ る。
旧 東 ドイ ツ 出 身 の カ ー ル ・ハ ー ン社 長 は,ベ
ル リンの壁 崩壊 直 後 か ら旧東
ドイ ツ 地 域 進 出 に積 極 的 で あ る。 旧 東 ドイ ツ 地 域 に は 技 能 工 等 の 豊 富 な 人 材
が あ り,技
術 移 転 な ど に よ っ て 生 産 能 力 の 引 き上 げ が 可 能 で あ る。 西 側 の 経
済 界 と し て は彼 ら の 求 め る 全 て を与 え な け れ ば な らな い 。 西 ドイ ツ も第2次
大 戦 後 の マ ー シ ャ ル プ ラ ン に よ る援 助 に よ っ て 破 壊 さ れ た工 場 を再 建 す る こ
とが で き た し,1948年
の 通 貨 改 革 に よ っ て わ ず か5ケ
月 間 でGNPが50%も
増 え た 経 験 が あ る。 フ ォ ル ク ス ヴ ァー ゲ ン 社 と し て も,1984年
か ら話 し合 い
を進 め て い た 旧 東 ドイ ツ 地 域 に お け る エ ン ジ ン組 立 生 産 が 実 際 に始 ま り,89
年12月
に は1日東 ドイ ツ 国 営 自動 車 工 場IFA社
と の 間 で,ザ
ク セ ン州 ケ ム ニ
ッ ツ で 合 弁 事 業 を行 う契 約 を し て,毎 日850台 の 自 動 車 エ ン ジ ン が ケ ム ニ ッ ツ
か ら ヴ ォ ル フ ス ブ ル ク に 来 る よ う に な っ た。
ま た,近
くの モ ー ゼ ル で は,現
ン生 産 を 開 始 して い る 。1992年
他,販
在 日産50台 程 度 の 乗 用 車 ポ ロ の ノ ッ ク ダ ウ
上 半 期 に は,日
産400台
売 網 の 整 備 も順 調 で あ る。 通 貨 統 合 後,短
生 ず る が,中
増 え,旧
を計 画 して い る 。 そ の
期 的 に は失 業 者 の 問 題 等 も
長 期 的 に は労 働 力 の 再 編 成 や 投 資 の 進 行 な ど に よ っ てGNPも
東 ドイ ツ地 域 に 恩 恵 を も た ら す(日
い る。 以 上 の よ う に,フ
本 経 済 新 聞)と
ォ ル ク ス ヴ ァ ー ゲ ン社 は,ド
同 社 長 は考 え て
イ ツ 自動 車 メ ー カ ー の
な か で 最 も積 極 的 に 旧 東 ドイ ツ 市 場 に 取 り組 ん で い る 。
Div)ジ ー メ ンス社
ジ ー メ ン ス の 前 身 は,ド
イ ツ 銀 行 創 立 者 ゲ オ ル ク ・フ ォ ン ・ジ ー メ ン ス の
従 兄 弟 で あ る ウ ェ ル ナ ー に よ っ て 創 設 され,1897年
に株 式 会 社 組 織 に変 更 さ
れ た。
ア ニ ュ ア ル ・リポ ー ト'90に よ れ ば,ド
争,そ
イ ツ統 合,東
の 他 世 界 中 の 重 要 地 域 に お け る 経 済 の 後 退,競
欧 市 場 の 開 放,湾
岸戦
合 他 社 の戦 略 的 提 携 等,
ドイツ統合 と有力企業の経営会計事情23
激 動 の 年 で あ る に もか か わ ら ず,「 満 足 の い く結 果 を生 ず る」こ とが で き た と
し て い る。 す な わ ち,ジ
ー メ ン ス 単 独 で 受 注 高 は 前 年 比8%増
マ ル ク,売 上 高 は同3%増
百 万 マ ル ク,投
の61,128百
資 額 は7,066百
ジ ー メ ン ス は,同
万 マ ル ク,税
の62,869百
引 後 利 益 は6%増
万
の1,668
万 マ ル ク に達 し た。
社 の コ ー ポ レー ト ・ ミ ッ シ ョ ン で 「常 に 世 界 で 最 も競 争
力 の あ る総 合 メ ー カ ー の1社
で あ る こ と を 目指 し,技
ー で あ りた い と考 え て い る 。 ま た,製
術 発 展 のペ ー ス メ ー カ
品 と サ ー ビ ス を通 じ て,世
界 中 の顧 客
に 最 大 の 利 益 を提 供 す る よ う に 努 力 し て い る」 と経 営 理 念 を述 べ て い る。
EC域
内 市 場,ア
メ リカ 市 場 等 海 外 受 注 の 順 調 な 伸 び で,同
た な 国 際 化 と い う政 策 上,大
を継 続 して い る が,な
き な 進 展 が あ っ た 。 ま た,同
か ん ず く,将
に 推 進 して い る 。 本 年 度 は6,875百
社 は積 極 的 な投 資
来 の 発 展 に 向 け て,常
万 マ ル ク を 投 資 し,世
社 の事 業 の新
に研 究 開 発 を 強 力
界 全 体 で4万3,000
人 が この 分 野 に従 事 し て い る。
同 社 は,積
極 的 な 投 資 と研 究 開 発 の 推 進 で,各
化 し て い る 。1990年4月
に は,欧
州 で 第2位
る ニ ッ ク ス ドル フ 社 を傘 下 に 収 め,同
部 門 と の 合 弁 会 社,ジ
ス テ ム(SNI)を
事 業 部 の競 争 力 を さ ら に 強
の コ ン ピ ュ ー タ ・メ ー カ ー で あ
年10月1日
に 業 績 良 好な 同 社 情 報 処 理
ー メ ン ス ・ニ ッ ク ス ドル フ ・イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ・シ
発 足 さ せ た 。SNIは,パ
ソ コ ンか ら大 型 コ ン ピ ュ ー タ
まで の 広 範 な 製 品 レ ン ジ を 扱 う将 来 有 望 な 欧 州 最 大 の デ ー タ シ ス テ ム 会 社 と
し て,新
た な 一 歩 を踏 み 出 し た。 ま た,汎
な 関 係 を結 ん で い る。 今 後,同
用 コ ン ピ ュ ー タ で は富 士 通 と親 密
社 に は 日米 両 国 か ら の 激 し い マ ー ケ ッ ト攻 勢
か ら欧 州 市 場 を守 る と い う期 待 が 強 ま る だ ろ う。
ま た,同
社 は鉄 道 車 両 メ ー カ ー の デ ュ ヴ ァ ー グ 社 の 過 半 数 の 株 式 を取 得 す
る と同 時 に,ク
ラ ウ ス ・マ フ ァ イ 社 の 株 主 に も な り,都
市 高 速 新 交 通 シス テ
ム か ら高 速 鉄 道 に 至 る鉄 道 事 業 で も顧 客 の ニ ー ズ に 応 え ら れ る よ う に な っ た 。
さ ら に,マ
はIM-DRAMを89年
24国
イ ク ロ ・エ レ ク トロ ニ ク ス の 分 野 で も技 術 力 を発 揮 し,90年
度 の2倍
際経當論集No.31992
の400万 個 生 産 し,ま
た,4Mの
度
生 産 開 始 と16
Mの
サ ン プ ル 出 荷 を 発 表 し た 。 し か し,チ
ップ価 格 の下 落 で 当部 門 の収 益 は
満 足 す べ き もの で は な か っ た 。 こ の た め,将
世 代 の チ ッ プ 開 発 をIBMと
ジ ー メ ン ス は,旧
来 の リス ク分 散 を考 慮 して,次
協 力 して い くこ と と した。
西 ドイ ツ 市 場 と 同 規 模 の 安 定 し た 市 場 地 位 を確 保 す る た
め,新
た な ドイ ツ市 場 に対 し て も多 額 の 投 資 を積 極 的 に 行 っ て い る。 す な わ
ち,こ
の 市 場 に対 し10億 マ ル ク の 投 資 と約3万
し か しな が ら,こ
人 の 雇 用 創 出 を 計 画 し て い る。
れ は 欧 州 以 外 の 活 動 を制 約 す る もの で は な く,引
続 き世 界
市 場 で 積 極 的 な 営 業 活 動 を 展 開 し て い る 。 ドイ ツ政 府 と ジ ー メ ン ス 社 等 主 要
大 企 業 の 間 で 新 幹 線 の 建 設 計 画 が 煮 詰 め られ つ つ あ り,路
ー バ ー とベ ル リ ン間 で
,将
来 は,ベ
ぐ構 想 と い う(朝 日 新 聞'91/6/21)。
ル リ ン,ワ
線 は,ま
ル シ ャ ワ,モ
最 近 で は,ア
ず,ハ
ノ
ス ク ワ間 を つ な
ラ ブ首 長 国 連 邦 の 火 力 発 電 ・
淡 水 化 プ ラ ン ト商 談 で 三 菱 重 工 を お し の け て 受 注 内 示 書 を得 た の も,そ
の1
事 例 で あ る。
(v)化
学 大 手3社BASF,ヘ
BASF,ヘ
キ ス ト,バ イ エル
キ ス ト,バ
ぶ こ とが あ る 。こ の3社
イ エ ル のIG(lnteressen-一
と も世 界 の 化 学 工 業 の 黎 明 期 の130年
の 製 造 か ら ス タ ー トし た 。3社
り,今
世 紀 初 頭 に は,そ
しか し,第1次
は,多
と呼
位 前 に合 成 染 料
くの 同 業 他 社 と の 激 し い 競 争 に勝 ち残
れ ぞ れ 世 界 中 の 化 学 品 市 場 に 確 固 た る地 位 を築 い た 。
大 戦 で ドイ ツ が 敗 れ る と,そ
位 は崩 さ れ た 。 そ こで3社
し め た 。 そ の 他,火
薬 の 原 料,硝
直 結 し た 製 品 も多 か っ た た め,戦
3帝 国 下 で の ナ チ とIGフ
働 を強 い た 模 様 を描 い た
れ まで の 化 学 業 界 の 支 配 的 な 地
を 中 心 と して 数 社 が 合 併 し,IGフ
立 し た の で あ る。 こ の 合 併 に よ っ て,IGフ
40%を
一
一Gemeinschaft)3社
ァルベ ン を設
ァル ベ ン は 世 界 の 染 料,医
酸,合
成 ゴ ム,合
薬 の
成 石 油 等 の軍 需 に
争 協 力 企 業 と して 連 合 軍 に 管 理 さ れ た 。 第
ァ ル ベ ン との お ぞ ま し い提 携,ユ
ダ ヤ人 に奴 隷 労
「父 と息 子 」 とい う テ レ ビ ドラ マ が1986年
暮 れ に反
5)
響 を呼 ん だ 。 そ の 後,1951年
日 の3社
か ら1952年
に か け て 連 合 軍 の 管 理 が 解 か れy今
に分 割 され た の で あ る。
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情25
IGフ
ァルベ ン時代 に は,そ の 合 併以 前 に数社 が 生 産 して い た もの を1つ
の工 場 に集 中 させ る な ど,か な りの統 合 ・合 理 化 が 行 わ れ た。 そ の た め,そ
の ま まの状 態 で分 割 され たIG3社
の製 品 群 は,分 割 時 点 で,そ
れぞれかな
前 の競 争 に よ る淘 汰,IG時
代 の合 理
りの特 色 を もつ もの で あ っ た。IG以
化,戦
後 の協 調 的 発 展 の時代 を通 じて,現 在 の3社
の 「棲 み分 け」 が形 成 さ
れ て きた の で あ る。
3社 の うち独 占 または最大の製 品
エ ネ ル ギ ー 資 源(石
BASF→
レ ン,ポ
ヘ キ ス ト→
リ ス チ レ ンy肥
ポ リ エ ス テ ル 繊 維,高
ア セ タ ー ル,リ
バ イ エ ル ー
→
油 ・ガ ス ・石 炭),カ
密 度 ポ リエ チ
気 テープ
密 度 ポ リ エ チ レ ン,ポ
ン 化 合 物,酢
ポ リ カ ポ ネ ー ト,ポ
ク エ ン 酸,酸
料,磁
リ鉱 石,低
リ プ ロ ピ レ ン,ポ
リ
酸 ビニ ル
リ ウ レ タ ン 原 料,合
成 ゴ ム,ア
ク リ ル 繊 維,
化鉄顔料
3社 は,そ れ ぞれ に世 界 市 場 で大 きな 占有 率 を誇 る製 品 を い くっか 持 ち,
安 定 した収 益 を確 保 しなが ら,医 薬,農
3社 に とっ て,ヨ
薬 で は開 発競 争 を続 け て い る。
ー ロ ッパ に次 ぐ重 要 な市 場 は,ア
る。 各 社 と も世 界 売 上 の20%程
度 を,主
メ リカ そ して 日本 で あ
と して 現 地生 産 に よ りまか な っ て い
る。 こ こに至 る道 の りは各 社 各 様 で あ るが,主
に合 弁 会 社 とM&Aの
組 み合
f)
せ が 多 い。
毎 年 の 売 上 高 シ ェ ア ー ・ラ ン キ ン グ は,各
のM&Aの
社 の 得 意 とす る製 品 市 況 や 前 年
規 模 に よ っ て これ ま で 入 れ 替 わ っ て き た が,最
ヘ キ ス ト,バ
イ エ ル の 順 で あ る。 い ず れ に し ろ,こ
上 位5社
に ラ ン ク さ れ 続 け て お り,89年
F,3位
ヘ キ ス ト,4位
度 は,デ
の3社
近 で は,BASF,
は,常
に,世
界 の
ュ ポ ン社 の 後,2位BAS
バ イエ ル が 占 め て い る。
両 ドイ ツ統 合 後,BASFは,西
欧 に 加 え て 旧 東 ドイ ツ や 東 欧 に も拠 点 を
築 き,大
欧 州 市 場 に勢 力 を拡 大 す る 基 本 戦 略 を 具 体 化 しつ つ あ る 。 す な わ ち,
そ の1つ
は 旧 東 ドイ ツ の 化 学 会 社 シ ュ ワ ル ツ ハ イ デ の 買 収 で あ る 。「旧 東 ドイ
ツ 国 営 企 業 の 再 建 を 占 う試 金 石 」 と見 られ る事 業 で あ る。 シ ュ ワ ル ツハ イ デ
26国
際 経 営 論 集No.31992
買 収 の 最 大 の 狙 い は,ポ
の 分 野 で 年20億
リ ウ レ タ ン樹 脂 の 生 産 増 強 に あ る。BASFは
マ ル ク強 の 売 り上 げ が あ り,欧
sこ
州 で はバ イ エ ル に 次 ぐ2番
手
で あ る。 これ に シ ュ ワル ツ ハ イ デ の 生 産 分 を加 え て 欧 州 で トッ プ の 座 を狙 う
し か し,旧
。
東 ドイ ツ を 中 心 とす る新 市 場 へ の 大 型 投 資 が す ぐ に利 益 を 生 む か
ど う か 疑 問 視 す る 向 き もあ る。 旧 東 ドイ ツ で 傘 下 に 収 め た シ ュ ワ ル ツ ハ イ デ
にsBASFは
今 後5年
朽 化 し,西
間 に5億
マ ル ク を投 資 す る が,「 ほ とん どの 施 設 が 老
側 の 基 準 で は 使 い 物 に な ら な い もの ば か りで あ り,利
益 を出 す よ
う に な る に は10年 近 くか か る」 とみ る化 学 メ ー カ ー も あ る 。
も う1つ
の 大 型 プ ロ ジ ェ ク トは,ソ
連 産 天 然 ガ ス の 旧 東 ドイ ツ と西 欧 へ の
供 給 事 業 で あ る。 世 界 最 大 の 天 然 ガ ス供 給 業 者 で あ る ガ ス プ ロ ム 社 と提 携 し,
1991年 初 め か ら年 間80億 立 方 メ ー トル の 供 給 を 始 め た 。 さ ら に 旧 西 ドイ ツ 内
を 南 北,東 西 に走 る総 延 長580キ
設 し,天
ロ メ ー トル の パ イ プ ラ イ ン を1993年
ま で に建
然 ガ スの 供 給 網 を張 り巡 ら す 。 そ の 投 資 額 は12億 マ ル ク で あ り,天
然 ガ ス 事 業 で も ト ッ プ ・グ ル ー プ に 躍 り出 る作 戦 で あ る 。
し か し,シ
ュ トウ ル ー べ 社 長 の 「リス ク の な い と こ ろ か ら利 益 は 生 まれ な
い 」 と い う積 極 策 が ど う 出 る か(日
本 経 済 新 聞'91/4/25)は
,し
ば ら く注 視 す
る 必 要 が あ ろ う。
これ に対 して,ヘ
キ ス トは 旧 東 ドイ ツ で 化 学 繊 維 メ ー カ ー との 合 弁 を設 立
し,ユ ニ業 用 ガ ス の供 給 網 整 備 に 着 手 した 。 ま た,フ
プ ロ ピ レ ン工 場 建 設,ヴ
ラ ン ス に12万
トン の ポ リ
ィ ス バ ー デ ン に 世 界 最 大 の 生 産 規 模 を誇 る 印 刷 版 製
造 ラ イ ン設 置 な どy総
額 で34億 マ ル ク の 設 備 投 資 を行 っ た 。 そ の 他 ヘ キ ス ト
グ ル ー プ と し て も,合
弁 会 社 の 設 立,M&A,非
ま た,ヘ
キ ス ト祉 は,環
境 保 護 投 資 を 引 き続 き増 加 させ,ケ
産 施 設 に排 水 処 理 シ ス テ ムaバ
業 廃 棄 物 の 削 減,原
採 算 部 門 の 閉鎖 を して い る。
ル ハ イム の 生
イ オ ホ ッ ホ リア ク タ ー を 新 た に 設 置 し た 。 産
料 の 循 環 法 の 探 求 な ど様 々 な 方 面 か ら環 境 保 護 の 問 題 に
7)
取 り組 ん で い る。
更 に バ イ エ ル 社 は有 機 化 学,染
料 な ど の 分 野 で 旧 東 ドイ ツ へ の進 出 を狙 っ
ドイツ統合 と有力企業の経営会計 事情27
て い る。 ま た,カ
ナ ダ の ノ バ 社 か らポ リサ ー ・ゴ ム 事 業 部 門 を取 得 し た 。 こ
れ に 要 し た 費 用 は17億 マ ル ク で あ る 。 こ の 取 得 に よ り,バ
イ エ ル 社 は,世
界
に お い て 高 級 特 殊 製 品 を 主 力 と す る合 成 ゴ ム の 主 要 メ ー カ ー とな っ た 。
(vi}カ ー ル ・ッ ァイ ス社
カ ー ル ・ツ ァ イ ス 社(CarlZeissAG)は,1889年
大 学 都 市 イ エ ナ に学 者 の
知 恵 と職 人 の 技 術 と を結 集 して 創 設 さ れ た 光 学 機 器 メ ー カ ー で あ る 。 凸 レ ン
ズ と凹 レ ン ズ と を使 用 し た 顕 微 鏡 で そ の 名 を あ げ,第2次
器 メ ー カ ー と して,そ
1945年4月,ア
大 戦 前 まで 光 学 機
の 名 は世 界 中 に 知 ら れ て い た 。
メ リ カ 軍 が 占 領 し,工
場 の3分
の1は
破 壊 さ れ た が,後
に
ヤ ル タ協 定 で ソ連 軍 の 占 領 下 に入 る。 ア メ リ カ軍 占領 下 の1945年6月19日,
ア メ リカ 軍 は ツ ァ イ ス の84人 の 技 術 者 ・経 営 者 と と も に 設 計 図,技
去 り,1947年
術 を持 ち
西 ドイ ツ の 小 さ な 田 舎 町 オ ー バ ー コ ッヘ ン に 西 ドイ ツ カ ー ル ・
ツ ァ イ ス 社 を建 設 し た 。
1969年 ア メ リ カ の ア ポ ロ 月 面 着 陸 に 使 わ れ た カ メ ラ は,こ
の会 社 の製 品 で
あ る 。70年 代 初 め に 日本 の カ メ ラ ・メ ー カ ー に敗 れ る と,付
加 価 値 の 高 い製
品 へ 重 点 を 移 し,光
学 機 器 か ら マ イ ク ロ ・エ レ ク トロ ニ ク ス の 分 野 へ 進 出 す
る こ と に な る。 現 在 の 売 上 高 は約44億
一方
,東
マ ル ク で あ る。
の カ ー ル ・ツ ァ イ ス イ エ ナ も一 部 戦 争 賠 償 で ソ連 に企 業 財 産 が 持
ち 出 さ れ,や
は り苦 難 の 道 を歩 む が,1976年
同 社 の もの で あ る。88年
す る が,不
に は1メ
良 品 が 多 く,コ
府 が ツ ァ イ ス の 売 上 の3倍
ソ連 ソ ユ ー ズ の 衛 星 カ メ ラ は,
ガ ビ ッ ト半 導 体 を社 会 主 義 国 で 初 め て 開 発
ス トも西 の3倍
以 上 とい う こ とで,旧
も資 金 援 助 し た に も か か わ らず,試
東 ドイ ツ 政
作 品 ど ま りで
あ っ た。
90年7月1日
の 通 貨 統 合 の 日 か らVEB(人
くな り会 社 組 織 とな っ た 。 現 在,カ
ツ ァ イ ス ・イ エ ナ 財 団(チ
80%を
28国
い う文 字 が な
ー ル ・ツ ァ イ ス ・イ エ ナ の 株 式 は カ ー ル ・
ュ ー リン ゲ ン 州 管 轄)が20%,ド
そ れ ぞ れ所 有 して い る。
際 経 営 論 集No.31992
民 所 有 企 業)と
イ ツ信託 公 社 が
通 貨 統 合 に よ って西 ドイ ツマ ル ク を手 に した人 々 は,東 の 商 品 に は全 く関
心 を示 さず,東
の企 業 は経 営 難 に陥 る こ とに な る。 通 貨 統 合 後,政
業 へ の貸 付 で 当 面 の運 転 資 金 は確 保 し た もの の,輸
(3分 の2は 輸 出)で
府 の各 企
出 産 業 の花 形 ツ ァイ ス社
さえ も赤 字 を出 し危 機 に瀕 して い る こ とは変 わ りな い。
カール 。ツァイス ・イエナ社
宇 宙 技 術
レ ン ズ
カ
メ
ラ
半
導
体
測量機器等
ガ
ラ
ス
3万
一5
人
の
他
切 り離 し別 会 社
(6万 人 →)3万
,000人
ツ ァイ ス社 は,旧 東 ドイ ツ時代 に は,コ
本 業 関 連 会 社 の他,学
そ
校,病
人
ン ビナ ー トとい う企 業 形 態 を と り,
院 まで の25の 企 業 か ら成 り,従 業 員 は6万 人 で
あ っ た。 そ の合 理 化 計 画 で は,建 設 ブー ム に狙 い を しぼ り,測 量 機 器 類,そ
れ に フ ァク ス,コ
ピー,そ
の他 事 務 機 器,留
守 番 電 話 を主 力 製 品 と し,従 業
員 を半 分 の3万 人 か ら更 に5,000人 減 を 目標 と して い た。5,000人 の希 望 退 職
者 ・一 時 帰 休 者 の 内訳 は,2,000人
職 業 訓 練 後,再
の 高齢 者 の定 年 退 職 者 前 倒 し,3 ,000人 は
就 職 させ る こ とで あ る。 これ に対 して組 合 側 は猛 反 発 した。
経 営 者 側 は,経 営 に責 任 を もつ企 業 と して は利 益 を上 げ る こ とが重 要 で あ る
と一度 はね つ け たが 撤 回 を余 儀 な くされ た。 そ の こ とが また ツ ァ イ スの 自力
再 建 を困難 な もの に して い る。
通 貨 統 合 の 結 果,会
計 制 度 も導 入 され る こ とに な り,在 庫 が 異 常 に多 い こ
とが わ か り,税 金対 策 上,そ
の10%の
廃 棄 処 分 をせ ざ る を得 なか っ た。 社 会
主 義 経 済 で は,部 品 の納 期 が 不安 定 の た め在 庫 を多 く所 持 しな けれ ば な らな
か っ た の で あ る。
通貨 統 合 前 は,利 益 が 出 れ ば国 庫 へ,損 失 が 出 れ ば 国家 か ら補 助 を受 け る こ
とが で きたがs独 立 採 算制 の現 在 で は,売 れ行 が よ く利 益 の 出 る製 品 を製 造 す
る こ と,そ の た め製 品価 格 の 決 定 方 法 が い まや企 業 の大 問題 とな っ て い る。
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情29
〔事
例〕
東:工
場 出 荷 価 格6,200DM
西:最
終 小 売 価 格4,000DM
(標勉
嘉瓢
ト.販 売 コス トも含む
i
30%
東 で 利 益 を生 み 出 す 価 格 は,少 な く と も西 と同 じ く4,000マ
げ な け れ ば な ら な い 。 そ の た め に は,コ
ル ク で あ る。 部 品 は,統
ス トは4,000-4,000×0.3=・2,800マ
合 前 と異 な り,ど
こ か ら も仕 入 可 能 で あ る。 品 質 の
良 い 部 品 を ど の く らい 安 く仕 入 れ る か が1つ
これ ま で 製 品 の9割
の カ ギ とな る。
を販 売 し て き た ソ連 ・東 欧 市 場 に依 存 し て い て は生 き
残 れ な い と判 断 して,技
術 者 の 精 鋭 を集 め て 西 側 市 場 向 け光 学 機 器 生 産 会 社
を 設 立 す る一 方,従 業 員 数 を 現 在 の2万7,000人
減 す る と と も に,他
ル ク まで 引 き下
か ら半 分 か3分
の1程
度 に削
部 門 や 資 産 を 分 割 処 分 す る 別 会 社 も作 る計 画 を ま と め て
い る。
1990年5月29日,4年
以 内 に2つ
の カ ー ル ・ツ ァ イ ス が 再 統 合 を 目指 す と
い う文 書 を調 印 し た 。 そ れ ま で は お 互 い に 独 立 性 を保 ち つ つ 有 効 関 係 の 拡 大
を と し な が ら も西 の 東 へ の 資 本 参 加 を認 め,西
が 東 を飲 み 込 む 構 図 が 窺 え る。
合 意 に 基 づ い て ど ん な 協 力 関 係 が で き る か 製 品 ご と に検 討 す る こ と と し,当
面 は技 術 面 の 協 力 を す る と して い る。 統 合 し て も売 上 が 伸 び る わ け で は な い
の で,1つ
に合 併 す る ま で は 仕 事 を融 通 し合 わ な い 。 現 状 で は,光
学機 械 と
メ ガ ネ ぐ らい しか 東 西 ツ ァイ ス が 一 緒 に で き る仕 事 は な い 。 西 の ツ ァ イ ス は,
資 金 力 が 強 く,売
保 は 厚 く,東
ち な み に,来
の 際,提
上 順 調 で 設 備 投 資 ・研 究 開 発 に 資 金 を 振 り向 け て も 内 部 留
と の格 差 は歴 然 と し て い る。
日 中 の ロ ー タ ー ・シ ュペ ー ト社 長 は,1991年8月5日
携 交 渉 を 進 め て い る キ ヤ ノ ン等 の 日本 企 業 約10社
を 得 た こ と を明 ら か に す る と と も に,現 在 の2万4,000人
で に1万4,000人
30国
へ 削 減 す る と の 方 針 を示 し た 。
際経営論集No.31992
の講 演
か ら前 向 きの 回 答
の 従 業 員 を91年 末 ま
⑯
信
託
公
社
最 後 に,旧 東 ドイ ツ地 域 にお け る いわ ば最 大 の 「企 業 」 と もい うべ き 「信
託 公 社(Treuhandanstalt)」
1990年3月
に関 して言 及 しよ う。
にモ ドロ ウ政 権 下 の 旧東 ドイ ツで 政 府 直 属 の公 的機 関 と して 旧
東 ベ ル リン に設 立 され た組 織 で,旧 東 ドイ ツ時 代 の 約8 ,000社 のVEB(人
所 有 企 業)が
民
この信 託 公 社 の所 有 下 に置 かれ た。
そ の傘 下 の企 業 に勤 務 す る従 業 員 総 数 は約600万 人 で ,い わ ば世 界 最 大 の持
株 会 社 で もあ る。 そ の業 務 は,旧 人 民 所 有 企 業 を分 割 ・民 営 化 し,自 由競 争
の市 場 経 済 に耐 え られ る体 質 に強 化 す る こ とに あ る 。 民 営 化 に際 し,ま ず こ
れ らの企 業 や そ の一 部 門 を株 式 会 社 や 有 限 会 社 に変 換 してか らそ の株 式 や持
分 を資 本 市場 を通 して 売 りに出 す 。 そ の た め に は各 企 業 の資 産 ・負債 を正 確
に算 定 す る必 要 が あ る が,社 会 主 義 経 営企 業 の資産 の把 握 は容 易 で は な い
。
企 業 の経 営 内容 を調 査 す る と,過 去 の お粗 末 な経 営状 態 が 明 らか にな り
,ま
ず 不 採 算 部 門 を切 り捨 て,企 業 の再建 を しな い と民 営化 で きな い企 業 が 多 い
こ と も判 明 した。
信 託 公 社 は,信 託 法 に よ り法 人 と して の 地位 を得 て,株 式 会 社 に近 い組 織
に変 革 され た。 最低5人
の理 事(取
締 役)が
理 事 会 を構 成 し,信 託 法 施 行 後
初 代 総 裁(取 締 役 会 会 長)に は,旧 西 ドイ ツ国鉄 の再 建 に貢 献 した ライ ナ ー ・
マ リア ・ゴ ール ケ氏 が就 任 した。 そ の任 務 は,で
きるだ け多 くの旧 東 ドイ ツ
企 業 を売 却 し,そ の利 益 で業 績 の悪 い 企 業 を整 理 ・再 建 す る こ とで あ る 。
信 託 公 社 は,分 権 的組 織 とな って お り,信 託 公 社 が 所 有 す る5つ の信 託 株
式 会 社 が実 際 の企 業 の所 有 を行 う。 この信 託 株 式会 社 は 中間 持 株 会 社 と して ,
① 重 工 業,②
含 む),④
投 資 財 製 造 業,③
サ ー ビス業(銀
行,保
消 費 財 産 業(流
険,出
版,情
通,運
輸,飲
報 等),⑤
食 店,旅
行業 を
農 林 業 の5部 門 を担
当 す る。 信 託 公 社保 有 企 業 が銀 行 か ら融 資 を受 け る際 に は信 託 公 社 が 銀 行 に
対 して保 証 す る。
1990年7月1日
に通 貨 同 盟 が 発 効 す る と,西 側 企 業 との 競 争 に直 接 さ らさ
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情31
れ た東独 企 業 は急 速 に経 営 状 況 を悪 化 した。そ の1ケ
が 解 散 に追 い込 まれ,8月20日
月後 に は,早 く も120社
に は ゴー ル ケ総 裁 を辞 任 へ 導 い た。
ゴー一レケ氏 が就 任 前 に洩 ら した よ うに,信 託 公 社 は,① 収 益 が 生 じな い の
に,傘 下 の企 業 に フ ァイ ナ ンス しな けれ ば な らな い,② 企 業 の競 争 力 の有 無
が 明 らか で ない の に,そ
の企 業 を整 理 ・再 建 し な けれ ばな らない,③
投資家
が 関 心 を持 た な い の に,民 営 化 しな けれ ば な らない,④ 職 場 と して も生 活 の
場 として もまだ魅 力 の ない 旧 東 ドイ ツ に,西 側 の企 業 経 営 者 を リクル0ト
な けれ ばな らない,⑤
し
更 に,公 益 法 人 と して剰 余 金 を国家 に納 め な けれ ば な
らな い(ManagerMagazine)と
い う難 しい使 命 を担 って い る。
後 任 と して は,旧 東 ドイ ツ出身 でi鉄 鋼 メー カー ・ヘ ッシ ュ社 再 建 で 手腕
を発 揮 したヘ ッ シ ュ社 取 締 役 社 長 デ トレ フ ・ロー ヴ ェ ッダー 氏 が 総 裁 に就 任
した。
10月3日
の ドイ ツ統 合 に よ り信 託 公 社 は,連 邦 政 府(旧
西 ドイ ツ)直 属 の
機 関 とな り,連 邦蔵 相 の管 轄 下 に置 か れ た。 蔵 相 は,連 邦 経 済 大 臣 の 了解 を
得 て監 査 を行 う。 また新 た に西 か ら!5人 の企 業 経 営 者 を信 託 公社 の15地 方 支
部 の新 しい責 任 者 に任 命 した 。
この よ う に旧東 ドイ ツ企 業再 建 の努 力 が 信 託 公 社 を 中心 に行 わ れ て い るが,
あ ま り実効 は あが っ て い な い。 そ の原 因 として,当 該 企 業 の経 営 実態 や資 産
状 況 の不 透 明 さ,道 路,電
の遅 れ,土
話,フ
ァ ッ クス も通 じ に くい とい うイ ンフ ラ整 備
地 台 帳 が な く所 有 権 問題 が解 決 され て ない こ と等 が挙 げ られ る。
この た め,西 側 企 業 の 旧東 ドイ ツで の事 業 は,旧 東 ドイ ツ企 業 との契 約締 結
や合 併 会 社 設 立 が 中 心 で 信託 公 社 が 期待 す る企 業 買 収 が 進 ん で い な い のが 実
情 で あ る。
信 託 公 社 の政 策 が あ ま りう ま くい っ て な い こ と,旧 東 ドイ ツ地 域 の再 建 が
軌 道 に乗 っ て な い こ と,ロ ー ヴ ェ ッダ ー氏 の 暗殺 事 件(1991年4月1日)に
8)
よ っ て も暗 示 さ れ て い る。
そ の 後 を次 い だ プ ロ イ エ ル 総 裁 は,前
32国
際経営論集No.31992
任 者 の 積 極 路 線 を引 き継 ぎ,例
え ば,
日本 企 業 向 け に27社 の 売却 リス トの発 表 も行 っ て い る。 す なわ ち そ の業 種 別
内訳 は,鉄 鋼8社,精
属2社,溶
IV企
密 機 械5社,機i械
鉱 炉 製 造2社
・プ ラ ン ト5社 ,非 鉄2社,非
鉄金
等 で あ る。
業 環 境 の 変 化 と経 営 管理 会 計
1989年11月9日
まで壁 で 仕 切 られ て い た 旧東 ドイ ツ は無 論 の こ と
,社 会 主
義 経 済 下 の東 欧 ・ソ連 に も西 の 自 由 な資 本 主 義 の波 が押 し寄 せ て い る。
ドイ ツ統 合,東
欧 諸 国 ・ソ連 の市 場 経 済 導 入 に よ り旧西 ドイ ツの 有 力 企 業
は,こ れ まで よ り大 きな市 場 を国 の 内外 に開拓 す る機 会 が 得 られ る こ とに な
っ た。 有 力 企 業 に とっ て,GNPが
旧西 ドイ ツの9%未
満 で は旧東 ドイ ツ地
域 へ の進 出 は,一 般 に いわ れ る ほ どメ リッ トはな く,む しろ その 背 後 に あ る
東 欧 ・ソ連 の市 場 を手 に入 れ る足場 を築 くこ とに あ る。 また,最 近 で は ソ連
国 内 の政 治経 済 的 動 揺 に よっ て不 安 定 要 因 が増 し,予 期 した ほ どの成 果 は上
が っ て い ない。
旧東 ドイ ツ地 域 へ の新 工 場 の建 設,企
多 いが,①
業 合 併 ・提 携 等 の戦 略 を とる企 業 も
現 地 生 産 ・市 場 参 入 ・開拓 が 迅速,②
理 能 力 や技 術 力 を もっ た人 材 等,経
生 産 設 備 だ けで な く経 営 管
営 資源 の確 保 ,③ 既 存 企 業 を買収 す る た
め現 地 化 が早 く,摩 擦 の 回避 ・軽 減,④
経 営 権 ・支配 権 の取 得 等 とい った メ
リッ ト面 を重 視 して 買収 戦 略 を とる企 業 もあ る。 この よ うな買収 ・合 併 等 は
,
企 業 の国 際 競 争 力 を強 化 し,大 企 業 の 巨 大 化 に拍 車 をか けて い る 。 また,古
い設 備 装 置 ・公 害 垂 れ 流 し企 業 を買収 して膨 大 な資 金 を投 下 し
,リ
担 す る よ り も,旧 西 ドイ ツ地 域 の平 均3分
労 働 力 を生 か す と と もに,国
の1か
ス ク を負
ら2と い う安 くて質 の 高 い
の優 遇 政 策 も享 受 で きる合 弁 事 業 に乗 り出 す企
業 もあ る。 しか し,90年 以 降賃 金 も生 産 性 を上 回 る速 度 で上 昇 して お り,当
初 の よ うな メ リッ トは小 さ くな って い る。
西側 の企 業 が 投 資 して も,旧 東 ドイ ツ産 業 の崩壊 が 予 想 外 に速 く,ま だ期
ドイツ統合と有力企業の経営会計事情33
待 され た ほ どの成 果 は出 て い な い。 信 託 公 社 が,1991年7月
Bの う ち3,000社 を売 却 し,な お,5,000社
末 まで に旧VE
の売 却 を予 定 して お り,日 本 に も
引 合 いが あ っ た こ とは前 述 の とお りで あ る。
合 弁,M&A,公
害,所
有 権 問題 等 が 企 業 経 営 の重 要 な課 題 で あ る現 在,
特 に,経 営戦 略 な い し戦 略 志 向 マ ネ ジ メ ン トをサ ポ ー トす る会 計 情 報 が必 要
とな る。 企 業 を取 り巻 く環 境 の変 化 に対 応 して,戦
略 的 に他 企 業 よ り も優 位
に立 っ た め に,企 業 戦 略 の武 器 と して情 報 シ ス テム を一 層 整 備 して,有 効 な
情 報 を収 集 ・活 用 す る こ とが各 企 業 に要 請 され る。 この場 合,当
あ るが,カ
然 の こ とで
ー ル ・ツ ァイ ス ・イエ ナ社 の例 に見 られ る よ う に,会 計 経 営 思 考
が 欠如 して い る東 の企 業 経 営 に,西
の会 計 技 法 ・制 度 を移 転 す る こ と も前提
9)
と な っ て い る。
〈付
記〉
まだ変 革 期 に あ る新 ドイ ツの経 済 ・経 営 に関 して は未 知 数 部 分 も多 く,論 述 困難
な部 分 もか な りあ るが,現 在 まで に各 方 面 か ら得 られ た情 報 を も とに本 稿 を あ らわ
した 。
注
1)長
尾 秀 樹 訳
『 ド イ ツ 銀 行 の 素 顔 』(Eglau,OttoHans:WieGottin.Frankfurt
:.TieDeutscheBankuyaddiedeutscheIndustrie)p.5.
2)現
地 報 告
「産 業 の 総 支 配 人 ・ ド イ ツ 銀 行 が
ジ ネ ス19907-2)15∼16頁
3)田
中重 弘
4)古
川澄 明稿
第7章)159頁
野 孟 訳
6)武
川 康 男 稿 「バ イ エ ルBASFヘ
34国
η∼4α
♂z6コリ07'1990:Hoechst.
際 経 営 論 集No.31992
。
川 恭 一編 著
『欧 米 の 企 業
。
『新 し い ド イ ツ 』(Marsh,David,ThenewG67剛
。
経 ビ
。
「フ ォ ル ク ス ワ ー ゲ ン 社 の 企 業 行 動 」(前
5)高
7)Aη
ー を 仕 掛 け る 」(日
『ダ イ ム ラ ー ・ ベ ン ツ 日 本 へ の 挑 戦 』207∼208頁
経 営 』 第3部
4,52∼53頁
『欧 州 制
雌 のp.29.
キ ス ト」(「 マ ネ ジ メ ン ト21」VoLlNo.
8)拙
稿 「ド イ ツ に お け る 有 力 企 業 〔
続 〕」(「 原 価 管 理 士 だ よ り 」第241号)3∼4
頁。
9)日
本 会 計 研 究 学 会 第50回
記 念 大 会 で 来 日 中 のWaltherBussevonColbe
(Ruhr-UnivesitatBochum)に
対 す る 「ド イ ツ 統 合 後 に お け る 経 営 管 理 会 計 上 の
新 し い 問 題 は 何 か 」 と い う 私 の 質 問 に,Colbeは
「新 し い 問 題 は ほ と ん ど な い
む し ろ 西 の 会 計 技 法 ・制 度 の 移 転 が 問 題 だ 」 と答 え ら れ た
〈そ の 他,参
照 文 献等 〉
(1)文
献
o(Hg)ElmarMayer&JurgenWeber:HandbuchControlling
o高
。
木 研 … 訳
,1990.
『ド イ ツ 統 一 問 題 に つ い て 』GunterGrass:Deutsch
erLastenausg-
leich
O和
井 内 清
・中 谷 洋 一 編
○相 沢 幸 悦
o大
『大
橋 昭hYIf『
ドイ ツ 経 済 圏 の 台 頭 』
現 代 の ドイ ツ経 営 学 』
○ ドイ ツ 問 題 研 究 会
○辻 通 男
②
『経 営 管 理 会 計 の 実 務 』(『 現 代 の 経 理 総 覧2』)
『新 ド イ ツ ・新ECで
日本 経 済 は ど う な るか 』
『二 つ の ド イ ツ 』
雑 誌
・新 聞
o」derSpiegel
O翫%46な
伽
彪FrankfurterAllgemeine
,Dze2忽4Newsweek
O「
企 業 会 計 」'90--4
0「
週 刊 エ コ ノ ミ ス ト」,「 週 刊 東 洋 経 済 」
,「Wi11」
O「
日 本 経 済 新 聞 」,「 朝 日 新 聞 」,「 読 売 新 聞 」,「 毎 日 新 聞 」,「 産 経 新 聞 」
,「
,'91-7
金 融 新 聞 」,「 日 刊 工 業 新 聞 」
○
「日 本 原 価 管 理 士 会 会 報 」 第68号
oDeutsclaerル
勉 漉'
(3)Annual1∼eport
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加dankAGM・'90
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ドイ ツ統 合 と有 力 企 業 の経 営 会 計 事 情35
日経
。
oVolkswagenAG'89-一'90
0Siemens'89‐'90
0AEG'90
0BASF'88-一'90
0Hoechst89‐'90
0Bayer'89‐'90
(4)テ
ZDFニ
レ ビ ニ ュ ー ス ・番 組
ュ ー ス,NHKス
等
36国
際 経 営 論 集No.31992
ペ シ ャ ル,民
放 ドイ ツ統 一 特 別 番 組
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