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ダウンロード - LORC
龍谷大学地域公共人材・
政策開発リサーチセンター(LORC)
LORCジャーナル
地域協働
2015. 3
vol.
6
LORC第4フェーズ
開始に当たって
―限界都市化に抗する持続可能な
地方都市の「かたち」と地域政策
実装化に関する研究―
ユニット紹介
第1研究班
「限界都市論」
研究班
「空間計画・機能」研究ユニット
「地方政府・ガバニング」研究ユニット
第2研究班
「政策実装化」
研究班
「コミュニケーションデザイン」研究ユニット
「ソーシャルスキル育成」研究ユニット
「地域還元型再エネ政策」研究ユニット
報 告
OECD協働国際ワークショップ報告
東北地方調査報告
研究活動報告
第1研究班/第2研究班ユニット1/第2研究班ユニット2/第2研究班ユニット3
本
『緑のエネルギー原論』
『気候変動リスクとどう向き合うか―企業・行政・市民の賢い適応―』
『震災復興と地域産業5―小さな まち の未来を映す「南三陸モデル」―』
『持続可能な地域実現と大学の役割』
『持続可能な都市再生のかたち―トリノ、バルセロナの事例から―』
『「多文化共生」を問い直す―グローバル化時代の可能性と限界―』
『どこに向かう地方分権改革―地方分権改革の総括と地方自治の課題―』
地域協働
LORC ジャーナル CONTENTS
LORC 第 4フェーズ開始に当たって
―限界都市化に抗する持続可能な地方都市の「かたち」と地域
政策実装化に関する研究―
1
白石 克孝(LORCセンター長・龍谷大学政策学部 教授)
第 1 研究班「限界都市論」研究班「空間計画・機能」研究ユニット、
3
「地方政府・ガバニング」研究ユニット紹介
第 2 研究班「政策実装化」研究班「コミュニケーションデザイン」研究ユニット紹介
6
第 2 研究班「政策実装化」研究班「ソーシャルスキル育成」研究ユニット紹介
8
第 2 研究班「政策実装化」研究班「地域還元型再エネ政策」研究ユニット紹介
10
報告
OECD 協働国際ワークショップ報告
12
東北地方調査報告
16
研究活動報告
21
図書紹介
25
表紙の写真:東日本大震災の被災地にて。左部のポールは津波の高さ(6.9 メートル)を示す。
LORC ロゴについて
LORCの「O」の部分に、理論・実践・人材開発の3つの輪が
集合する状態を表現しています
2014 ∼ 2018 年度 文部科学省私立大学
戦略的研究基盤形成支援事業
LORC第4フェーズ開始に当たって
﹁かたち﹂と地域政策実装化に関する研究 ︱
︱ 限界都市化に抗する持続可能な地方都市の
︵龍谷大学政策学部
教授︶
な 状 況 を、 限 界 集 落 と い う 言 葉 か ら 連 想 し て、
白石
克孝
た。その後、2011年から名称を現在の地域
限界都市化として示そうとしたものである。
LORCセンター長
公共人材・政策開発リサーチセンターに改めて、
こ の た び 、 龍 谷 大 学 地 域 公 共 人 材・ 政 策 開 発
リサーチセンター︵以下、略称のLORCと表
ち、﹁限界都市化﹂と﹁地域政策実装化﹂である。
︱
フェーズでは﹁地
﹂、 2 0 0 8 年 度
持続するために必要な都市機能を質的/量的に
や地域の経済・社会が健康で文化的な暮らしを
維持することが難しくなっていく事が予想され
策形成から認証制度まで
か ら 20 10 年 度 ま で の 第
域における公共政策と地域公共人材の開発シス
る。こうした成り行きシナリオからでてくる様
本 プ ロ ジ ェ ク ト の 研 究 組 織 と し て、 研 究 統 括 班
このような考え方に基づいて、LORCでは
フラとしての大学というものである。
組織的な役割を果たすことが地域社会変革イン
大学がパートナーの一員としてしっかりとした
い。プラットフォームの形成と地域政策実装に
と呼んできた︶のプラットフォームが欠かせな
ダー型︵LORCではマルチパートナーシップ
は、セクターの壁を越えたマルチステークホル
限界都市化に抗する地域の政策プロセスに
の実装化と考えている。
人材育成活動をセットにして考えて、地域政策
クを政策プロセスに包含していく、そのための
く、それを担う地域公共人材や社会ネットワー
セプトが背景にある。地域政策の開発だけでな
革インフラとしての大学というLORCのコン
地 域 政 策 実 装 化 と い う 用 語 に は、 地 域 社 会 変
2011年度から2013年度までの第
フェーズでは﹁人口減少時代における持続可能
記︶では、文部科学省私立大学戦略的研究基盤
形成支援事業に採択され、2018年度までの
な地域づくりのための制度的インフラと地域公
フ ェ ー ズ が 始 ま っ た。 第
フェーズでは
研究﹂をテーマとする。これに関して説明しな
方都市の﹃かたち﹄と地域政策実装化に関する
前述の通り﹁限界都市化に抗する持続可能な地
これを受けて今年度からの第
共人材育成の実践的研究﹂を進めた。
フ ェ ー ズ で は、
第
﹁限界都市化に抗する持続可能な地方都市の﹃か
年間の研究成果の積み重ねや
たち﹄と地域政策実装化に関する研究﹂をテー
マとして、過去
く。
開 発 シ ス テ ム オ ー プ ン・ リ サ ー チ・ セ ン タ ー と
限界都市化という用語は新たに造語したもの
つある。すなわ
して発足し、2003年度から2007 年度ま
で あ る。 人 口 減 少 と 高 齢 化 の 進 行、 地 域 資 源 の
ければならないキーワードが
フェーズでは﹁地域における公共政策
での第
︱
管理・活用能力の低下を直視するならば、行政
3
参加型政
LORCは2003年に地域人材・公共政策
4
4
多様なネットワークを活かして研究を進めてい
11
と人的資源の開発システムの研究
1
テムに関する研究﹂をテーマとして研究を進め
2
1
LORCジャーナル
2
4
の研究を進める。龍谷大学にアドバンテージの
た。ここに改めて今までのご協力に対して謝意
などの非学術的な組織の、ご支援に恵まれてき
つ の 研 究 班 を お く。 研 究 統 括 班 は 全 体 の 研
ある政策分野である再生可能エネルギーで政策
と
究マネジメントに加えて、OECD︵経済協力
を示すとともに、引き続き関係各位にご協力を
指 さ れ る が、﹁ 限 界 都 市 化 ﹂ に 抗 す る た め の 政
策実装化の研究においては、具体的なテーマは
中長期的な展望を拓くガバニングの基盤形成に
資するような先進的な政策の実現手法やプログ
は、 政 策 実 現 の た め の 協 働 / 連 携 プ ラ ッ ト
フォーム形成メソッドとしてのコミュニケー
装化にあたって重要となるソーシャルスキルの
頁ま
研究班﹁政策実装化﹂研究班の各ユニッ
の結合による政策の実現︶において鍵を握る
るための地域政策実装︵政策開発と人材育成と
組織はもとより地方自治体、経済団体、NPO
より国外の、他大学や研究者のような学術的な
L O R C は 幸 い な こ と に 今 ま で、 国 内 は も と
お願いする次第である。
実装化を検証する。
つのキーワードと
政策実装化それ自身の概念化が研究として目
開発機構︶やSCiRN︵縮小都市研究国際ネッ
つの研究班は、前述の
研究班と呼ばれる。
ラ ム で な く て は な ら な い。 ま た 同 時 に 本 プ ロ
ジェクト研究では、地域発のニーズに依拠する
つの研
究ユニットから構成される。﹁空間計画・機能﹂
だけでなく、我々龍谷大学にアドバンテージの
研究班﹁限界都市論﹂研究班は
研究ユニットは比較空間計画の側面から縮小都
ある政策分野に焦点を当てることが重要と考え
第
市論の研究を進め、地方都市圏/都市の機能と
る。そこで政策実装化の研究は、具体的には次
つの研究課題に取り組むものである。第
﹁かたち﹂を考察する。﹁地方政府・ガバニング﹂
割と﹁かたち﹂を考察する。
は、政策実
かにすることというのは、持続可能性を個々の
育 成 と 普 及 の シ ス テ ム の 研 究 で あ る。 第
ションデザインの研究である。第
地方都市単体として考えるのではなく、その帰
再生可能エネルギーを地域再生政策と結びつけ
1
は、
属する地方都市圏内にある都市間並びに都市農
頁までの第
での第
頁から
るようなソーシャルスキルを持った人材の育成
頁から
つの研
用モデルの研究である︵詳細は
村間の協働/連携の枠組みのなかで考えること
で あ る︵ 詳 細 は
研究班﹁政策実装化﹂研究班は
﹁限界都市論﹂研究班の紹介を参照︶。
第
3
11
5
ソーシャルスキルを析出し、人材育成の体系化
トの紹介を参照︶。
2
1
3
3
究ユニットから構成される。限界都市化に抗す
6
による地域還元型の再生可能エネルギーの利活
持続可能な地方都市行政の﹁かたち﹂を明ら
3
研究班
2
点から協働/連携を基礎に置いた地方政府の役
の
2
対応し、﹁限界都市論﹂研究班と﹁政策実装化﹂
2
実務組織との事業連携開発に責任を負う。
トワーク︶との共同研究の遂行、内外の研究・
2
2
研究ユニットは現代日本における地方自治の視
1
2
2
第
研究班﹁限界都市論﹂研究班
﹁空間計画・機能﹂研究ユニット
﹁地方政府・ガバニング﹂研究ユニット紹介
﹁空間計画・機能﹂研究ユニット
ユニット長
︵龍谷大学政策学部
阿部
大輔 ︵龍谷大学政策学部
的場
信敬 ︶﹁空間計画・機能﹂研究ユニット
﹁地方政府・ガバニング﹂研究ユニット
ユニット長
︵
准教授︶
准教授︶
①空間計画からみる都市機能の集約の比較理論研究、
わが国では現在、世界に類を見ない早さで少子高齢化が進み、大都市部
への人口流出も相まって、農村地域や地方都市圏の持続可能性が危ぶまれ
②内外事例研究を踏まえた協働/連携に基づく機能適合的な地方政府の役
③①と②をクロスして考察し、理念型の持続可能な地方都市の﹁かたち﹂と
割とあり方の研究、
状況の中、社会インフラは新規投資にとどまらず、その維持・更新も難し
しての都市圏構造モデルを構築して﹁京都シナリオ﹂として国際発信する。
生産の仕組みを引き継ぐことが困難になってきている。
︶﹁地方政府・ガバニング﹂研究ユニット
らしを持続するために必要な都市機能を質的/量的に維持することが難し
⑤いくつかの政策領域における協働/連携ビーコン都市の研究を取りまとめ、
④京都府北部都市圏と滋賀県湖南都市圏の比較研究を進め、
本研究プロジェクトでは、このような困難に直面し、﹁健康で文化的な暮
くなっている都市﹂を﹁限界都市﹂と捉え、この﹁限界都市化﹂に抗する
⑥空間計画による都市機能の集約と機能適合的なガバメントとガバナンス
のあり方について研究し、
持続可能な地方都市行政の﹁かたち﹂を明らかにすることを研究目的とし
︱
ガバニング
本研究プロジェクトの特徴のひとつとして、持続可能な地方都市行政の
⑦現代日本における地方政府の役割について発信する。
︱
の新しい形
︵
くなり、地域社会の営みに埋め込まれていた自然資源や文化資源などの再
ン に よ る 市 場 競 争 の 激 化 を 受 け て 厳 し い 状 況 に お か れ て い る。 こ の よ う な
ている。地域の農林業や地場産業は、産業構造の変化やグローバリゼーショ
1
2
ている。
第 研究班﹁限界都市論﹂研究班は、この限界都市の概念とその﹁抗し方﹂
について理論的にアプローチする研究班であり、 つの研究ユニットからなる。
2
3
LORCジャーナル
1
1
第 1 研究班「限界都市論」研究班「空間計画・機能」研究ユニット研究員
阿部 大輔
龍谷大学政策学部・准教授
ユニット長
「地域還元型再エネ政策」研究ユニット兼務
石田 徹
龍谷大学政策学部・教授
「ソーシャルスキル育成」研究ユニット兼務
井上 芳恵
龍谷大学政策学部・准教授
龍谷大学政策学部・教授
中森 孝文
龍谷大学政策学部・教授
矢作 弘
龍谷大学政策学部・教授
高橋 進
龍谷大学法学部・教授
渡辺 博明
龍谷大学法学部・教授
「ソーシャルスキル育成」研究ユニット兼務
「コミュニケーションデザイン」研究ユニット兼務
大石 尚子
龍谷大学地域協働総合センター・博士研究員
植田 和弘
京都大学大学院経済学研究科・教授
松永 桂子
大阪市立大学大学院創造都市研究科・准教授
平阪 美穂
京都聖母女学院短期大学生活科学科・講師
Thorsten
Wiechmann
ドルトムント工科大学・教授
Sylvie Fol
パリ大学Ⅰ・教授
Natacha Aveline
フランス国立科学研究センター・教授
Roman Szul
ワルシャワ大学・教授
Robert A.
Beauregard
コロンビア大学・教授
Terry Schwartz
ケント州立大学クリーブランド・アーバン・デザ
イン・コラボラティブ・所長
Ivonn Audirac
テキサス大学・准教授
﹁かたち﹂を、個別の自治体ではなく、その帰属する地方都市圏内にある都
市間の協働/連携の枠組みとして捉えることが挙げられる。人口減少と共
に 地 域 経 済 や 財 政 が 縮 小 し そ の 存 続 そ の も の が 危 ぶ ま れ る﹁ 限 界 都 市 ﹂ に
おいては、既存の個別自治体圏内であらゆる公共サービスを提供する﹁フ
ルセット型﹂の自治体はもはや現実的ではなくなりつつある。自治体間で
人口や企業、公共サービスやインフラなどを奪い合う﹁競争型﹂から、対
話と相互協力により地方都市圏が連携する﹁調整型﹂の都市圏運営のあり
方を検討する必要がある。
本研究が対応する人口減少社会への取り組みは、まさに日本社会の喫緊
の 課 題 で あ り、 理 論 と 実 践 を 架 橋 し た 研 究 成 果 を 速 や か に 送 り 出 す こ と が
求 め ら れ て い る。 そ の た め に、 ま ず、 ❶ 国 内 外 の 先 進 事 例 の 情 報 を 蓄 積・
2
分析し、望ましい地方都市圏のあり方のイメージを創出し、次にあるいは
並行して、❷そのイメージの検討および実践する場を設定した上で、第
研究班の各ユニットとの連携による社会実践研究を展開し、理論と実践に
裏打ちされた協働/連携ビーコン都市圏の創出を目指す。
❶については、定期的な研究会、国内外の先進事例調査、海外研究員お
よび海外研究機関との連携プロジェクトの実施、により対応する。
すでに実施した石巻市および周辺都市の調査では、震災から 年半が経過
た分野での石巻市との役割分担を視野に入れた政策を実践するところも出は
た。事実、比較的復興が進む女川町のように、医療や教育︵高校︶
、住宅といっ
新たな連携による地域運営のあり方の検討の必要性を確認することが出来
地域の現状を目の当たりにした一方で、改めてコミュニティ間や都市間など
する現在も、個人の生活復興に精一杯で他者や他地域にまで意識が回らない
3
じめている︵詳細は 頁から 頁までの東北地方調査報告を参照︶
。
20
Building and Planning Global Exchange:
﹂を開催し、情報交流を進めている。特に国立台湾大学とは、
Kyoto and Taipei
人口減少社会における都市デザインの手法や農村部における地域経済再生
国 立 台 湾 大 学 と の 研 究 交 流 会﹁
海 外 の 研 究 に つ い て も、 ア メ リ カ、 フ ラ ン ス の 海 外 研 究 員 と の 研 究 会、
16
「地方政府・ガバニング」研究ユニット兼務
中村 剛治郎
4
第 1 研究班「限界都市論」研究班「地方政府・ガバニング」研究ユニット研究員
の 取 り 組 み に つ い て、 継 続 的 な 研 究 協 力 を 行 う こ と を 確 認 す る こ と が 出 来
た。また、LORC は20 12 年からOECD︵経済協力開発機構︶と連
携しているが、今年度はOECD 公共ガバナンス・地域開発局とOECD
頁から
頁までの国
﹂ を 開 催 し た。 こ こ で は 都 市
本 部 で﹁ Building Resilient Cities and Regions
や地域のレジリエンスに対する人材育成の重要性、そして、人材育成にお
ける大学の役割を再確認することが出来た︵詳細は
際ワークショップ報告を参照︶。
15
圏﹂を取り上げる。
つの都市圏に適合する方向で、如何に都市機能を集
部都市圏﹂、多極分散型の集約型都市圏構造の事例として﹁滋賀県湖南都市
❷については、一極中心型の集約型都市圏構造の事例として﹁京都府北
12
ユニットの﹁地
ユニットの﹁地域資源としての再生可能エ
域間連携におけるコミュニケーション﹂、第
1
ユニットの﹁地域公共人材育
においては、第 研究班の各ユニットの要素、すなわち、第
望ましいか、を具体的に検討して提示することを目指す。特に京都府北部
約するか、その際の協働/連携の自治体の﹁かたち﹂はどのようなものが
2
3
に組み入れて分析し、最終的には、これらも含めたいくつかの政策領域に
ネルギーの活用﹂を、❶で検討する地域イメージに適用させる形で実験的
成とそのフレームワーク﹂、第
2
2
おける協働/連携ビーコン都市圏のあり方を提案する。
5
LORCジャーナル
「ソーシャルスキル育成」研究ユニット兼務
的場 信敬
龍谷大学政策学部・准教授
副センター長
第 1 研究班班長
ユニット長
「ソーシャルスキル育成」研究ユニット兼務
白石 克孝
龍谷大学政策学部・教授
センター長
「地域還元型再エネ政策」研究ユニット兼務
只友 景士
龍谷大学政策学部・教授
谷垣 岳人
龍谷大学政策学部・講師
土山 希美枝
龍谷大学政策学部・准教授
「コミュニケーションデザイン」研究ユニット兼務
矢作 弘
龍谷大学政策学部・教授
「空間計画・機能」研究ユニット兼務
斎藤 文彦
龍谷大学国際文化学部・教授
本多 滝夫
龍谷大学大学院法務研究科・教授
脇田 健一
龍谷大学社会学部・教授
青山 公三
京都府立大学公共政策学部・教授、京都政策研究
センター長
高村 学人
立命館大学政策科学部・教授
新川 達郎
同志社大学政策学部・教授
尹 誠國
同志社大学・嘱託講師
第
研究班﹁政策実装化﹂研究班
2
「コミュニケーションデザイン」研究ユニット研究員
ユニット長
京都聖母女学院短期大学生活科学 「空間計画・機能」研究ユニッ
ト兼務
科・講師
平阪 美穂
龍谷大学政策学部・教授
村田 和代
特定非営利活動法人
きょうと NPO センター・事務局長
野池 雅人
「ソーシャルスキル育成」研究
ユニット兼務
「地域還元型再エネ政策」研究
「地方政府・ガバニング」研究
ユニット兼務
「地域還元型再エネ政策」研究
ユニット兼務
ユニット兼務
増田 将伸
甲子園大学総合教育研究機構・講師
森 篤嗣
帝塚山大学現代生活学部・准教授
清水 万由子 龍谷大学政策学部・准教授
土山 希美枝 龍谷大学政策学部・准教授
深尾 昌峰
龍谷大学政策学部・准教授
井関 崇博
兵庫県立大学環境人間学部・准教授
岡本 雅史
立命館大学文学部・准教授
︵龍谷大学政策学部
村田
和代 ユニット長 教授︶
つの側面からコミュニケー
研究班﹁政策実装化﹂研究班﹁コミュニケーションデザイン﹂研究
ユニットは、ミクロ・メゾの両レベルで、次の
研究班全体のテーマである政策実装化に
2
に取り組んでいる。
インにつなげる予定である。加えて、コミュニケーション能力にフォーカ
もとに、条件の異なる話し合いを実験的に行い、効果的な話し合いのデザ
学的に比較、分析し、そこから見えてきた変数︵例えば参加者の人数︶を
について分析を進めている。熟練・非熟練ファシリテーターの談話を言語
実際のまちづくりの話し合いの談話の言語データ︵録画・録音・文字転記︶
ロジェクト
①まちづくりの話し合いに関する談話の言語データを分析する言語研究プ
︱
どをテーマとしたラウンドテーブルの開催、③話し合いのデザインと実施
言語研究プロジェクトをはじめ、②﹁雑談﹂や﹁市民参加の話し合い﹂な
現在は、①まちづくりの話し合いに関する談話の言語データを分析する
ある。
ム 形 成 メ ソ ッ ド と し て の﹁ 話 し 合 い 学 ﹂ 構 築 に 向 け た 研 究 を 進 め る こ と で
て研究を進めている。もう一つの目標としては、協働/連携プラットフォー
公共人材に必要なコミュニカティブコンピテンスの抽出や可視化を目指し
求められるソーシャルスキルとしてのコミュニケーションを考察し、地域
ションの研究を進めている。第
2
第
2
﹁コミュニケーションデザイン﹂研究ユニット紹介
第 2 研究班「政策実装化」研究班
6
ス し て、 様 々 な 話 し 合 い 談 話、 現 場 の フ ィ ー ル ド ワ ー ク や イ ン タ ビ ュ ー 、
し合いの場のデザインと提供︶を担当した。ここでは、教職員が所属や立
校1 校・小学校2 校︶において、研修のコミュニケーションデザイン︵話
ることを通して、一人ひとりが課題や連携のあり方について考えを深める
場を超えて話し合い、それぞれの想いや課題、経験、アイディアを共有す
アンケートなど多角的な分析も行えるような研究デザインを構築中である。
②ラウンドテーブルの開催
月の研修では、ワールドカフェ
形式を取り入れたグループワークを実施し、参加者が日常の困難と、今後
ことを目指した。具体的には、2014年
催した。近年、﹁雑談力﹂ということばが定着するほど雑談が注目され、ま
に向けたビジョンを話し合った。これは、LORC が蓄積してきた話し合
月には、﹁﹃雑談の美学を考える﹄ラウンドテーブル﹂を開
ちづくりをめぐる話し合いにおいても、アイスブレイクや雑談が話し合い
い の 場 づ く り を 応 用 し た も の で あ る。 ま た、 2 0 1 4 年
20 1 4 年
の場づくりに重要であることは、LORC のこれまでの研究においても指
20 13 年
月 の 研 修 で は、
摘されている。さらに、ソーシャルスキルとしての﹁雑談力﹂は、多様な
8
月に実施した二重円卓会議の手法を用いて、地域課題の可視
11
化 を 促 す 契 機 と す る と と も に、 多 様 な 人 び と と の 共 生 や 持 続 可 能 な 社 会 形
況と、その特徴に注目することで、国内における今後の雑談の研究の活性
究が、まだほとんど行われていない。この状況を踏まえ、様々な雑談の状
ら、雑談について言語・コミュニケーション分野からの体系的・実証的研
セクターのひとびとをつなぐ力となることは言うまでもない。しかしなが
析を進めている。
けたウォーミングアップとして位置付けられた。現在、これらの研修の分
員経験者、支援の当事者、NPO 代表などであり、今後の活動、実践に向
域の連携がテーマとなった。論点提供者は、教員、保護者代表、PT A 役
化、共有化に取り組んだ。とりわけ、小学校、中学校 との連携、学校と地
研究班としてフィールド地を共有した研究も展開する
来年度より、第
である。
成に寄与する実践的研究について議論を深めることを目的に開催したもの
9
ニケーションの研究等︶、メゾ︵話し合いによる課題解決・まちづくりの研
ブル﹂を開催した。これは、ミクロ︵話し合いの場で行われる言語・コミュ
手に求められるコミュニカティブコンピテンスについても考察を進めてい
インユニットとして話し合いのデザインを行う。また、まちづくりの担い
校︵中学
職員の状況や考え、想いを踏まえなければ﹁形だけ﹂のものに終わる可能
連携、学校と地域の連携が重要と言われているなか、その連携は現場の教
今年度は、小中学校の教職員合同研修のデザインを行った。小中学校の
③話し合いのデザインと実施
意見交換することを目標として開催したものである。
研究等︶の視点から、﹁市民参加の話し合い﹂について、研究者と実務家が
きたい。
に関わるひとびとのインタラクションを対象に、コミュニケーションデザ
予 定 で あ る。 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー を ま ち づ く り に つ な げ る 地 域 や 取 り 組 み
2
究等︶、マクロ︵話し合いが埋め込まれる社会システムや法制度や人材育成
また、
2015年 月には、﹁﹃市民参加の話し合い﹄を考えるラウンドテー
1
性がある。こうした点を踏まえ、京都市山科区の勧修ブロック
3
7
LORCジャーナル
7
研究班﹁政策実装化﹂研究班
龍谷大学政策学部・准教授
滋野 浩毅
成美大学経営情報学部・准教授
杉岡 秀紀
京都府立大学公共政策学部・講師
第
︵龍谷大学政策学部
大田
直史 ユニット長 教授︶
研究班﹁政策実装化﹂研究班﹁ソーシャルスキル育成﹂研究ユニッ
トは、現代地域社会変革に必要なソーシャルスキルの育成と普及における
システムを研究する。本ユニットでは、ソーシャルスキルの定義と具体的
な析出から、それらを職業的︵あるいは社会的︶な教育とアカデミックな
教 育 に 架 橋 す る 職 能 枠 組 み に お け る 日 本 へ の 応 用 研 究 に 至 る ま で、 一 連 の
システム構築の研究を展開する。
期︵2003 年度から2007
LORCでは、その設置以来、地域に貢献できる人材の育成は主要なテー
マの一つであり続けた。このことは、第
年度まで︶に﹁地方分権時代の地域人材・公共政策開発システム﹂研究班、﹁地
期︵ 2 0 0 8
方公務員とNPO職員養成のための民官学共同養成・研修・研究システム﹂
研究班、﹁教育・研修システムの評価及び認証﹂研究班、第
年度から20 10 年度まで︶に﹁地域公共人材開発システム﹂研究班、第
期︵2011年度から2013年度まで︶に﹁社会的認証資格フレーム﹂
C が社会的認証による地域資格認定制度の創設を提起したことは、一般財
団法人地域公共人材開発機構の設立、および、﹁地域公共政策士﹂という資
期までの成果を踏まえて、
﹁ソーシャルスキル﹂をキー
格制度の発足という形で結実した。
今年度からは、第
ルスキルを析出し、協働/連携プラットフォームの担い手のあり方の研究
ワードにして研究を発展させる。具体的には、政策実装化に必要なソーシャ
3
ン」研究ユニット兼務
龍谷大学政策学部・教授
2
ユ ニ ッ ト を 設 置 し た こ と に も 表 れ て い る。 こ れ ら の 研 究 に 基 づ い て L O R
3
「地方政府・ガバニング」研究
ユニット兼務
同志社大学・嘱託講師
尹 誠國
一般社団法人京都府北部地域・大学
連携機構・事務局長
牧野 和人
一般財団法人地域公共人材開発機
構・事務局次長
久保 友美
ト兼務
士研究員
龍谷大学地域協働総合センター・博 「空間計画・機能」研究ユニッ
大石 尚子
「コミュニケーションデザイ
村田 和代
2
第
副センター長
的場 信敬
「地方政府・ガバニング」研究
龍谷大学政策学部・教授
ト兼務
石田 徹
「空間計画・機能」研究ユニッ
龍谷大学政策学部・教授
ユニット長
大田 直史
1
2
「ソーシャルスキル育成」研究ユニット研究員
ユニット兼務
﹁ソーシャルスキル育成﹂研究ユニット紹介
第 2 研究班「政策実装化」研究班
8
して、人材育成スキームを構築・展開する。
を進め、既存の京都における大学連携共同教育プログラム開発事業を活用
を業界検定として業界団体が主体となり開発していることが明らかになっ
人材育成、労働市場のマッチングといった視点から、労働者評価の仕組み
た。
の事例に関する訪問調査と研究会の実施である。日本や欧米では、職業訓練、
軸に研究内容を共有化し、第
研究方法は、職業教育・訓練、職業能力評価、職業資格 に関する国内外
職業能力評価、能力の見える化の動向が異なる。特にEU では、高等教育
る。本ユニットでは、国内外の取り組み事例や研究動向を捉えると同時に、
研究班の議論を架橋する方法を議論してい
研究班各ユニットが政策実装化に必要なソーシャルスキルを
の職業教育訓練による実践的職業スキル習得と合わせ、コンピテンスやジェ
具体的な事例に沿ってソーシャルスキルの研究を進める。
European
1
また、第
ネリックスキルといった汎用的スキルの育成を評価する動きがあり、これ
は日本におけるキャリア教育の社会人基礎力の議論と相似性があるともい
える。しかし、日本では、キャリア教育と職業教育の乖離または対立、キャ
リア教育と大学における専門教育や教養教育と乖離がある。欧州の大学に
おける職業教育・訓練、職業資格とソーシャルスキルのそれと日本の大学
における職業教育・訓練、職業資格とソーシャルスキルのありかたを踏ま
えつつ、大学において涵養を目指すべき職業的スキルとソーシャルスキル
の内容を明らかにしていくとともに、職業資格制度と地域公共政策士制度、
アカデミックな大学教育とキャリア教育、シティズンシップ教育との関係、
地域公共政策士制度と職業的スキルとソーシャルスキルなどを検討する。
今年度の訪問調査では、キャリア段位制度や各省庁の研究動向について、
意見交換及びヒアリング調査を実施した。一般社団法人シルバーサービス
振興会では、成長分野における職業能力評価の仕組みと資格制度として総
務省が構築したキャリア段位制度を、介護分野において﹁介護プロフェッ
ショナルキャリア段位制度﹂として運用し、レベル認定者と、レベル認定
者を評価するアセッサー、外部評価委員を輩出している。文部科学省国立
教育政策研究所では、﹁実践的専門性の形成にかかる評価・認証の制度化に
︶の必要性、
EQ F︵
Japanese Qualification Framework
関する調査研究会﹂の議論について、中核的専門人材や日本版資格枠組で
あるJQ F︵
︶との連動可能性を伺った。厚生労働省職業能力開
Qualification Framework
発局では、﹁職業能力評価基準﹂について、対人サービスなどの労働集約型
産業への労働市場の変化に対応し、多様な働き方の実現、企業の生産性向上、
9
LORCジャーナル
2
第
研究班﹁政策実装化﹂研究班
金 紅実
龍谷大学政策学部・准教授
株式会社 E-konzal・代表取締役
榎原 友樹
「地方政府・ガバニング」研究
第 2 研究班班長
龍谷大学政策学部・教授
白石 克孝
ト兼務
龍谷大学政策学部・准教授
「空間計画・機能」研究ユニッ
阿部 大輔
「コミュニケーションデザイ
龍谷大学政策学部・准教授
深尾 昌峰
「コミュニケーションデザイ
ン」研究ユニット兼務
清水 万由子 龍谷大学政策学部・准教授
︵龍谷大学政策学部
深尾
昌峰 ユニット長 准教授︶
研究班﹁政策実装化﹂研究班﹁地域還元型再エネ政策﹂研究ユニッ
性︵ sustainability
︶が重要な観点の一つであること、これに関してエネルギー
政策が喫緊の課題の一つであることがわかった。そこで、第 期︵2011
LORC の今までの研究から、地域社会の在り方を考える際に持続可能
再生可能エネルギー条例の研究、社会的投資の研究などを行う。
つながる事業モデルの構築をめざし、地域還元型事業モデルの研究、地域
トは、再生可能エネルギー事業による利益が地域に還元され地域再生へと
第
2
がら、地方都市において地域エネルギー政策や地域還元型再エネ事業を計
イン﹂研究ユニットや﹁ソーシャルスキル育成﹂研究ユニットと連携しな
地域社会での政策実装化の実践的研究を進める。﹁コミュニケーションデザ
シャルスキルの育成プログラムを実施し、低炭素社会の実現を組み入れた
ネルギーの利活用の事業モデルを構築し、そのモデルを実現するためのソー
た活動を継承する。地域還元型で地域再生につながるような、再生可能エ
で﹁地域エネルギー政策・温室効果ガス削減﹂ユニットとして行われてい
今 年 度 か ら は﹁ 地 域 還 元 型 再 エ ネ 政 策 ﹂ 研 究 ユ ニ ッ ト と し て 、 昨 年 度 ま
ソーラー﹁龍谷ソーラーパーク﹂の設置に至った。
進め、シンポジウムなどの開催や、社会的投資を活用した地域貢献型メガ
生可能エネルギー基本条例に関する研究やエネルギー事業に関する研究を
域エネルギー政策・温室効果ガス削減﹂ユニットを設置した。そして、再
年度から2013年度まで︶では、エネルギー政策を特別に取り上げて﹁地
3
2
「地域還元型再エネ政策」研究ユニット研究員
ユニット長
ン」研究ユニット兼務
センター長
ユニット兼務
﹁地域還元型再エネ政策﹂研究ユニット紹介
第 2 研究班「政策実装化」研究班
10
域課題が解決される仕組みづくり、具体的な再生可能エネルギー事業施設
画・実施できる人材の育成、再生可能エネルギー事業を実施することで地
洲本市千草竹原での小水力発電機の設置ワークショップや資金調達のシ
大 学 生 な ど が 受 講 し、 今 回 は、 小 水 力 発 電 と バ イ オ マ ス 活 用 を 軸 と し て、
てみたい地元の方、再生可能エネルギー事業に関わってみたい都市部の方、
今後は、エネルギーを地域経済循環の重要な柱としての認識のもと、ポ
ミュレーションなど具体的な演習も盛り込んだ。
の提案と実装化に取り組む。
今年度は、再生可能エネルギー事業を地域主導で計画し、市民から出資
を募って利益を地域に還元する方法を実際に取り組んでいる先進事例とし
風力発電、小水力発電、バイオマスなどの再生可能エネルギー事業を地域
させるためのコーディネート組織として活動している。現在、太陽光発電、
エネルギーは20 12 年に設立され、徳島市で再生可能エネルギーを普及
を訪ね、豊岡和美理事からお話を伺いながら現地視察を行った。徳島地域
おいても、理念条例は一定モデルや広がりはできたが、更なる展開を創り
点から行っていきたいと考えている。また再生可能エネルギー基本条例に
開発を地域金融機関や各種専門家との対話と議論を通じ、社会的投資の観
加えて、それらの社会技術を実装化するためのファイナンス・スキームの
軸 に 地 域 還 元 型 再 エ ネ モ デ ル の 構 築 と プ ロ ト タ イ プ の 構 築 を 行 っ て い く。
ストFIT︵固定価格買取制度︶、電力自由化時代の地域エネルギー政策を
で始める支援を行っている。例えば、みつばちソーラー発電所は、農業な
だすためにどのような条例や制度が求められるのかを自治体間協議等を通
月 に 徳 島 県 に あ る﹁ 一 般 社 団 法 人 徳 島 地 域 エ ネ ル ギ ー﹂
どの地域産業を応援する﹁寄付金併用型地域応援ソーラー事業﹂として徳
じて見通していきたい。
て、 2 0 15 年
島県名東郡佐那河内村に建設され、20 14 年から株式会社佐那河内みつ
ばちソーラー発電所が発電事業を担っている。県内外から寄付を集め、寄
付者には地域の農産物や水産物などの特産品を送る仕組みで、発電利益は
地域の農林水産業支援に使われている。そのほか、佐那河内村の村風車も
計画している。
また、LORC ではこれまで、京都市と愛知県新城市にて、再生可能エ
ネルギー事業の実践的な知識やスキルを学ぶ機会として再生可能エネル
ギ ー 塾 を 開 催 し て き た。 地 域 で 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー 事 業 を 計 画 し て 実 施 す
るには、賦存量計算、設備計画、資金調達、合意形成、組織 マネジメント
などさまざまな能力が必要となる。昨年度まで大学生、大学教員、行政職員、
会社経営者、環境NPO 職員など100 名を超える方が受講し、受講生の
なかには、講座終了後に再生可能エネルギー事業を始めた人もいる。今年
度は、︵独︶科学技術振興機構︵J ST︶社会技術研究開発センター︵RI
STEX ︶統合実装プロジェクト﹁創発的地域づくりによる脱温暖化﹂の
月に兵庫県洲本市で﹁洲本・再生可能エネ
2
日間開催した。これから再生可能エネルギー事業を始め
受託事業として、20 15 年
ルギー塾﹂を計
LORCジャーナル 11
1
4
年月日
2014 年 11 月 28 日(金)
会 場
OECD 本部
主 催
OECD、京都アライアンス(京都府、大学間連携共同教育推進事業(龍
谷大学代表校)、京都産業大学、龍谷大学地域公共人材・政策開発リサー
チセンター(LORC))
2.プログラム
時 刻
14:00∼14:15
プログラム
OECD 協働国際ワークショップ報告
1. 概要
レジリエントな都市と地域づくり
L O R C を 含 む﹁ 京 都 ア ラ イ ア ン
ス﹂は、
OECD︵経済協力開発機構︶
Directorate for Public Governance
公 共 ガ バ ナ ン ス・ 地 域 開 発 局
︵
and Ter ritorial Development, the
11
Organisation for Economic Co-
︵OECD
operation and Development
GOV ︶︶と協働で、20 14 年 月
日 に 国 際 ワ ー ク シ ョ ッ プ﹁ レ ジ リ
エントな都市と地域づくり﹂を開催
日に開催さ
し た。 こ れ は O E C D G O V の 新 プ
月
26
ロ ジ ェ ク ト の 一 環 と し て 行 わ れ た。
こ れ に 先 立 っ て、
れ たO E C D 地 域 開 発 政 策 委 員 会 で
山 内 修 一・ 京 都 府 副 知 事 が 報 告 を 行
なった。
11
28
開会
佐谷説子(OECD 公共ガバナンス・地域開発局課長)
白石克孝(龍谷大学教授)
14:15∼16:00
セッション 1 ―地域と都市にとってレジリエンスとは何なのか?―
司会:佐谷説子(OECD 公共ガバナンス・地域開発局課長)
基調講演:Richard Ashley(Emeritus Professor, The University of Sheffield, United
Kingdom)
報告:Laura Kavanaugh(Project Manager, ICLEI, Germany)
白石克孝(龍谷大学教授)、芦田直也(福知山市役所企画課課長補佐)
討論:Roman Szul(Professor, University of Warsaw, Poland)
Thorsten Wiechmann(Professor, TU Dortmund University, Germany)
Katharina Schaaff(Advisor, Deutsche Gesellschaft für Internationale Zusammenarbeit,
Germany)
Cristina Martinez-Fernandez(Advisor, Knowledge Sharing Alliance, OECD)
16:15∼17:45
セッション 2 ―人材におけるレジリエンス―
司会:中谷真憲(京都産業大学教授)
報告:中谷真憲(京都産業大学教授)
Kitty Triest(Senior Advisor, RegioRegisseur, Netherlands)
Laura Fioni(Assistant Professor, École Polytechnique, France)
討論:Roman Szul(Professor, University of Warsaw, Poland)
青山公三(京都府立大学教授)
井崎重光(京都信用金庫壬生支店長)
17:45∼18:00
閉会
佐谷説子(OECD 公共ガバナンス・地域開発局課長)
12
OECD 協働国際ワークショップ報告
OECD地域開発政策委員会
国際ワークショップに先立って、2014年
月 日に開催されたOECD地域開発政策委員会
で山内修一・京都府副知事が報告を行なった。
初めに、佐谷説子氏︵OECD 公共ガバナン
ス・地域開発局課長︶がOECDのプロジェク
トの提案を行なった。佐谷氏は、2014年
示 し た﹁ 京 都 ビ ジ ョ ン 2 0 4 0 ﹂ を 取 り ま と め
れたこと、京都が世界交流首都となることを提
月に京都が政府によって国家戦略特区に指定さ
要である。また、都市や地域の対応は重要であ
ンティティーを維持しながら回復することが重
化 を 管 理 す る こ と で も あ る 。 そ の 際 に、 ア イ デ
は、必ずしも同一を維持することではなく、変
日の
してとらえることもできる。
氏︵
次に、 Laura Kavanaugh
︶は、ICLEIが考えるレジ
ICLEI, Germany
リエントな都市と地域について報告した。IC
Project Manager,
る。リスクは、脅威としてだけでなく、好機と
事後の対応より、事前の予防が重視すべきであ
る が、 境 界 に と ら わ れ て 孤 立 し て は な ら な い。
たことなどを挙げた。
開会
月
初めに、佐谷氏がOECDを代表して同日の
会合の経緯を説明した。佐谷氏は、
日の
LEI は世界中の地方自治体によって構成され
た組織であり、持続可能な地方自治を目指して
つの主題の中の一つがレ
ライアンスを代表してあいさつを述べた。白石氏
ジリエントな都市である。これによれば、レジ
いる。ICLEIの
は、レジリエンスには様々な定義があるが、人材
の任務ととらえ、大学、地方
自治体、経済団体、非営利団体︵NPO ︶など
に次ぐ大学の第
た。これによれば、地域への貢献を教育と研究
白石氏は、京都アライアンスの試みを紹介し
である。
源の活用、資金の調達、ガバナンスなどが重要
携、統一された地域データの収集、効率的な資
多様な利害関係者の連絡、研究者と実務家の連
能な開発と考えられる。これらを念頭に置いて、
リエンスの中軸は自然災害、気候変動、持続可
か?
セッション
めに基調講演と報告が行われた。
基調講演をした
氏︵
Richard Ashley
れた。そして、京都府南部には多数の大学があ
によって構成される京都アライアンスが組織さ
︶は、レジリエンスについて多様な定
Kingdom
義や議論が行われている現状を踏まえて、それ
るが、北部には一つしかないので、この状況を
Professor, The University of Sheffield, United
Emeritus
では、佐谷氏の司会の下で、初
地域と都市にとってレジリエンスとは何なの
セッション
育成の観点からレジリエンスを再考したいとした。
次に、白石克孝氏︵龍谷大学教授︶が、京都ア
委員会の議論を説明した。
プロジェクトの初回会合となると述べ、
地域開発政策委員会を受けてこの会合は新しい
26
26
月のOECD閣僚理事会でレジリエンスの概念
が取り上げられたことを受けて、2016年ま
でレジリエントな都市と地域についてのプロ
ジ ェ ク ト を 行 う こ と を 提 案 し た。 そ し て、 レ ジ
リエントの概念を経済、社会、環境、制度の
要素に分けて考察する枠組みを提案した。
次に、山内氏が、京都において大学と連携し
ながら地域社会を再活性化させる取り組みにつ
いて報告を行なった。これによれば、京都には、
多数の大学や、伝統産業から先端産業まで幅広
い産業がある。他方で、京都は、高齢化と人口
減少、若年層の雇用の確保、地域間格差という
課題に直面している。そこで、京都府および京
11
らを紹介した。これによれば、レジリエンスと
LORCジャーナル 13
1
8
3
都アライアンスは、レジリエントな地域づくり
に向けて、大学を人材育成のための重要な政策
イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー と 位 置 づ け て い る。 山
内氏は、 その具体例 として、京都府北部地域・
大学連携機構︵CU ANKA︶やグローカル人
材開発センターなどの取り組み、2014年
5
1
11
5
4
26
件の報告が行
わ れ た。 最 初 の 報 告 者 で あ る 中 谷 氏 は、 レ ジ リ
学教授︶の司会の下で、初めに
及 し な が ら 、 定 義 の 視 角 の 一 つ と し て、 レ ジ リ
エンスと大学の役割りについて述べた。レジリ
環境学、心理学、経営学、都市計画の分野に言
エンスの概念はアクターが衝撃︵ショック︶を
エンスは市民社会の概念と関わっており、自律
改善するため、
京都府北部地域・大学連携機構︵C
白石氏の報告を受けて、京都府北部の福知山
受けることと関連すると述べ、対策として予想
UANKA︶などの取り組みが行われている。
市から出席した芦田直也氏︵福知山市役所企画
性、生活の向上、人材の管理と育成などの要素
を受けた地域において、持続可能な経済のため
︶ は、 O E
Knowledge Sharing Alliance, OECD
CDが作成中の報告によれば、経済危機の影響
OLPU︶、京都府北部地域・大学連携機構︵C
谷氏は具体例として、地域公共人材開発機構︵C
ことによる縦割り主義の克服が挙げられる。中
割りとして、垂直的には世代間の理解と技能の
には、人口動態との関連など、労働市場の位置
U A N K A ︶、 グ ロ ー カ ル 人 材 開 発 セ ン タ ー の
次に、
K i t t y T r i e s氏
t︵
S e n i o r A d v i s o r,
伝達、水平的には多様なセクターを結びつける
づけを見直す必要があることがわかったことを
取り組みなどを紹介した。
Advisor, Deutsche
ルを超えた、政府や地方自治体の間の協力が必
た、あるいは、
レベ
︶ は、 一 都 市 が 持 つ 資 源 の み で は レ ジ
Germany
リエンスには不充分であるとして、部局を超え
教育を行う機関である。 RegioRegisseur
はハー
グ応用科学大学の関連組織であり、大学と営利
た。ハーグ応用科学大学は、文理両面の専門職
界に知識や技術を提供していることを紹介し
︶ は、 オ ラ ン ダ の
RegioRegisseur, Netherlands
ハーグにあるハーグ応用科学大学が地元の経済
要であると訴えた。また、都市計画やインフラ
団 体 お よ び 非 営 利 団 体 の 橋 渡 し と な っ て い る。
国、県、市などの
︱
ストラクチャーなども、結局、人間が行うので、
これには、①大学と経済界の意向が一致しない、
︱
人的︵ヒューマン︶なプロジェクトであると指
要である。
最後の報告者である
Assistant
︶ は、 フ
Professor, École Polytechnique, France
ランスのエコール・ポリテクニークが行なって
氏︵
Laura Fioni
成功には相互の信頼と積極的な関係の醸成が重
などの問題があり、
②財政的、事務的な障害
セッション
では、中谷真憲氏︵京都産業大
︱
摘した。
Gesellschaft für Internationale Zusammenarbeit,
Katharina Schaaf氏
f ︵
紹介した。
Advisor,
できないことを予想できるように教育すること
課課長補佐︶は、2013年、2014年と
年続けて同市で起こった洪水の被害に市役所の
職員として対応した経験について述べた。レジ
リエンスについての重要な論点の一つとして自
然 災 害 へ の 対 策 も 挙 が っ て い る が、 芦 田 氏 は、
平時から住民間の関係が深い地域は復旧が早
かったという所見を述べた。そして、市民の意
見交換の試みとして、福知山市でCU ANKA
や 大 学 の 協 力 に よ っ て 10 0 人 ミ ー テ ィ ン グ を
開催したことを紹介した。報告の最後に、白石
氏 は、 自 然 災 害 を 始 め と す る レ ジ リ エ ン ス は、
インフラストラクチャーにとどまらず、エンパ
ワーメントや人材育成によって達成されると結
論づけた。
セッションでは続いて討論が行われた。 Roman
氏︵ Professor, University of Warsaw, Poland
︶
Szul
は、レジリエンスの概念は自然災害や金融危機
などの多様な状況で用いられているが、これら
Professor, TU
の状況を合わせた同一の定義が求められている
と指摘した。
Thorsten W iechmann氏 ︵
セッション
人材におけるレジリエンス
2
2
︶ は、 レ ジ リ エ
Dortmund University, Germany
ンスの概念は、あいまいであるがゆえに、皆が
合 意 し て い る 側 面 が あ る と 指 摘 し た。 そ し て、
Cristina Mar tinez-Fernandez氏 ︵
が 重 要 で あ る。 そ し て、 地 域 に お け る 大 学 の 役
3
を挙げた。
2
14
OECD 協働国際ワークショップ報告
ト層を対象とした科学技術教育を行う機関であ
紹介した。エコール・ポリテクニークは、エリー
いるアクティブ・ラーニングなどの取り組みを
できる人材を挙げた。
材、問題解決能力が高い人材、話を聞くことが
人材として、コミュニケーション能力が高い人
の最後に自由な議論が行われ
クを減らすことができると答えた。
野で最先端の研究や教育が行われている。これ
ンターンシップなどが行われており、多様な分
ンシップ、研究インターンシップ、自己啓発イ
氏 か ら 質 問 が 出 た。 こ れ に 対 し て Wiechmann
氏は、教科書に載っている問題だけでなく現実
育する﹂という発言に対して、
た。初めに、セッション における Wiechmann
氏の﹁予想できないことを予想できるように教
学などのアクターが重要である
らえられる、③そして、政府、地方自治体、大
閉会
は卒業生の民間企業や政府への就職、大学院へ
の問題を考えることが重要であると答えた。
会合を終了させた。
セッション
の進学などのキャリア形成に役立っている。
また、 Martinez-Fernandez
氏から日本の労働
市場についての質問が出た。これに対して、中
る。アクティブ・ラーニングに関しては科学研
践的な教育が地域社会のレジリエンスを高める
谷 氏 は、 グ ロ ー カ ル 人 材 開 発 セ ン タ ー が 短 期 大
学と協力して女性の就業を支援していると答え
答えた。最後に、中谷氏は、若い世代に出身地
し て、 都 市 部 の 大 学 で 得 ら れ た 知 識 が 出 身 地 に
井 崎 重 光 氏︵ 京 都 信 用 金 庫 壬 生 支 店 長 ︶ は、
価についての質問が出た。これに対して井崎氏
さ ら に、 佐 谷 氏 か ら 金 融 に お け る リ ス ク の 評
︱
とまとめて
らえられるだけでなく、チャンス︵好機︶とと
ジリエンスは変化と関わっており、悲観的にと
会 合 か ら 手 掛 か り が 得 ら れ た、 ② す な わ ち、 レ
佐谷氏が、①結論を出すには早いが、同日の
のに有効であることを指摘した。
た。また、白石氏は、若年層の間で地域に密着
究チーム・プロジェクト、ビジネス・インター
次 に セ ッ シ ョ ン は 討 論 に 移 っ た。 Szul
氏 は、
今日の大学は、教育という伝統的な貢献が求め
した職業への関心が高まっていると答えた。そ
氏と青山
Triest
られるだけでなく、政府、民間企業、ほかの団
の上で、芦田氏は、大学が地域に介在すること
青山公三氏︵京都府立大学教授︶は、佐谷氏
し て、 同 地 域 に お け る 現 在 の 課 題 と 将 来 の 在 り
持ち帰られて地域の活性化に生かされるように
方 を 検 討 し た。 そ し て、 こ れ ら の
人材育成のために産・学・公の連携が重要であ
は、 短 期 的 な 利 益 よ り 長 期 的 な 利 益 を 考 え る こ
育成が重要であることを指摘した。
り、この観点から同社の榊田隆之・専務理事が
すべきであるとまとめた。
要素に人材
が提案した
に帰りたがる人が増えているので、これを利用
報告の共通点として、大学の実
体に助言やインスピレーションを与えることが
によって地域における話し合いが活性化すると
1
要素の枠組みを京都府北部に適用
中 谷 氏 は、
求められていると指摘した。
2
グローカル人材開発センターの代表理事を務め
4
とが重要であると答えた。また、 Kavanaugh
氏
は、資金の調達を複線化することによってリス
OECD 本部にて
3
ていることを紹介した。そして、企業が求める
LORCジャーナル 15
4
㞝຾
ዪᕝ
௝ྎ
石巻市視察(水産加工団地)
ヒアリング:須田義明氏(女川町長)
月︶
東松島市野蒜地区、宮戸地区視察
ヒアリング:千葉拓氏(伊里前まちづくり協議会)
並木
洲太朗
県と比
防災研修等の交流人口の増加に向けた取り組み
者の増加を目指しており、NPO団体は視察や
園の整備、生鮮マーケットの開設を通じて来街
今 後 の 課 題 と し て、 中 心 市 街 地 で は 水 辺 や 公
福祉へシフトしてきている。
現 在 で は ま ち づ く り、 子 育 て 支 援、 学 習 支 援、
所の運営、仮設住宅のサポートを行っていたが、
支援団体の多くは、震災直後は炊き出し、避難
差 の 問 題 が、 震 災 を 機 に 顕 在 化 し て き て い る。
若年層の流出、高齢化、医療費の増大、教育格
石巻では震災前から地域の課題となっていた
れているものの、人口の流出は続いている。
部の被害が深刻であった。現在も復興が進めら
べても石巻市の被害はかなり大きく、特に半島
不明者が37 10人にのぼった。被災
石 巻 市 で は 東 日 本 大 震 災 に お け る 死 者・ 行 方
石巻におけるNPOの活動
2. 四 倉 禎 一 朗 氏︵ 特 定 非 営 利 活 動 法
人 い し の ま き N P O セ ン タ ー、
、復興大学石巻センター︶
巻 .com
へのヒアリング ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
LORCリサーチアシスタント
石巻市雄勝地区視察(店こ屋街商店街、高台移転造成地)
︵2014年
10 月 31 日(金) ヒアリング:四倉禎一朗氏(特定非営利活動法人いしのまきNPOセンター)
、伊里前まちづくり協議会、
Ishinomaki 2.0
ヒアリング:徳水博志氏(持続可能な雄勝をつくる住民の会)
東北地 方 調 査 報 告
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
調査日程
11
特定非営利活動法人いしのまきNPOセンター、一般社団法人
持続可能な雄勝をつくる住民の会、女川町
1.はじめに
地方都市では人口の減少や産業構造の変化に
よって地域コミュニティが存続の危機に立たさ
れている。特に2011年の東日本大震災の被
で は、 宮 城 県 太 平 洋 沿 岸 部 を
研究班ユニッ
害が大きかった地域ではこれらの課題が震災を
、ユニット
機に顕在化している。そこで、第
ト
対象とし、震災復興を通じて明らかになった自
治体内︵地域間︶の合意形成やガバナンスに関
する課題と、新たな自治体間関係を模索するな
༡୕㝣
3
1
かで試案的に議論されている広域ガバナンスの
女川町視察(きぼうのかね商店街)
11 月 3 日(月)
南三陸町伊里前地区視察(防潮堤建設予定地、高台移転造成地)
11 月 2 日(日)
2
可能性について関係者にヒアリングを行った。
▼ᕳ
ᮾᯇᓥ
ヒアリング:渡邊享子氏(一般社団法人 Ishinomaki 2.0 理事)
11 月 1 日(土)
1
南三陸町志津川地区視察(南三陸さんさん商店街)
16
東北地方調査報告
ティ形成や高齢者の見守り、子育て支援である。
団移転先で課題となるのは、移転後のコミュニ
体間の連携強化が重要になってくる。大規模集
ら、医療・福祉の拠点地域として社協や支援団
や地域包括ケアセンターが建設されることか
で関与していくと考えられる。また、市立病院
滑に進められ、高台移転に関する話し合いも早
る。震災後、避難所の運営が協議会を中心に円
ティビジネスの奨励が行われていることであ
づくり事業の予算執行権限の委譲やコミュニ
ター︵公民館︶管理が協議会へ委託され、地域
い て き た。 東 松 島 市 で 特 徴 的 な の は、 市 民 セ ン
3. 渡 邊 享 子 氏︵ 一 般 社 団 法 人
理 事、 2.0
不動
Ishinomaki 2.0
産 代 表、 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研
究員︶へのヒアリング ⋮⋮⋮⋮⋮⋮
は、 2 0 1 1 年 の 月 に 団 体
Ishinomaki2.0
を立ち上げ、同年 月に一般社団法人化を行っ
やコミュニティ支援を通じた住民主体のまちづ
位 で 活 動 し、 生 業 再 生︵ 漁 業 の 六 次 産 業 化 等 ︶
の高台移転が計画されており、支援団体も浜単
移転先のまちづくりに関する協議が終わった現
が色濃く残る同地域ならではの課題や、移転前・
女性の参加が少ないといった伝統的な家父長制
ら れ て い る。 一 方で、 話し 合 い の場 へ の 若 者・
異なり、スピード感をもって小さな事業を積み
参 加 し て い る。 Ishinomaki2.0
の 事 業 展 開 は、
時間のかかる行政主導の大規模な復興事業とは
ンバーにはアーティストや広告代理店の社員も
た。地元出身の若手約
くから始まったことで、比較的早く復興が進め
くりのサポートが行われている。
在では協議会を開く機会が減ってしまってお
重ねていることが特徴である。また、他の団体
離半島部ではそれぞれの集落単位で後背地へ
いしのまきNPOセンターは2000年に石
り、震災復興以降のまちづくりを考える上での
が生活の基盤部分の支援を対象とするのに対し
材 を 育 て る こ と に 重 点 を 置 い て い る。
て、社会的に先端を行く事業を行うことで意欲
今後のNPOセンターの役割は、石巻市が市
として地元のNPO団体のサポートを行ってお
民との協働によるまちづくり推進を表明したこ
とを受けて、これまでのNPO団体等のサポー
トに加え、自治会・町内会への支援を行う機会
が 増 え て き て い る。 な か で も、 行 政 と 住 民 間 の
として開設された。2011年の設立以降、住
し、地元住民が復興のために自由に使える施設
ト。当初は、ボランティアが資材や道具を提供
早 く な る の で は? と い う コ ン セ プ ト で ス タ ー
街の人のDIYスキルを上げることで復興が
石巻工房
がある。
が支援した代表的事業として、﹁石
Ishinomaki2.0
巻工房﹂
﹁イトナブ﹂
﹁2.
0不動産﹂
﹁ COMICHI
﹂
的な若手を惹きつけ、次の世代の石巻を担う人
30
り、現在の登録団体数は144団体である。
野蒜地域交流センターにて
人を中心に設立し、メ
巻青年会議所のOBと地元大学の教授が中心と
課題が残されている。
5
なって設立された。設立当初より中間支援組織
10
民のDIY活動の支援や、店舗の修復、地元工
LORCジャーナル 17
コーディネートによって、市民協働のまちづく
りに関わるよう求められている。
東松島における市民協働への取り組み
東松島市では、2008 年の﹁地域まちづく
地区に設置され、定期的な会合を開
り計画﹂の策定にともなって、まちづくり協議
会が市内
8
業高校の生徒と仮設住宅や映画上映会で使用す
×
4
る ベ ン チ や 縁 台 を 作 る 事 業 な ど を 行 っ て き た。
現在では、店舗やインターネット上で、
材を使用した家具を販売している。
イトナブ
石巻出身のwe b ディレクターが、若者を対
象にソフトウェア開発やウェブデザインの授業
を行うなど、ITを通じて若者の雇用創出や職
業訓練が行える機会と拠点の提供を行ってい
る。高校生や中学生によるアプリ開発や、IT
技術者を招いた講習会などを行っている。
2.
0不動産
移住代理店として、住まいと仕事をパッケー
ジ化し、若者が持続的に石巻に住めるよう物件
所有者と借り手、雇用者と借り手をつなぐ事業
を 行 っ て い る。 そ の 背 景 に は、 石 巻 に お い て 若
者の活躍が求められている一方で若者は地元の
魅力に気付いていないというミスマッチや、当
初はボランティア目的で石巻を訪れた若者が起
業して街に残ろうとしても物件がないため難し
いという状況がある。地域に人材を根付かせる
つである松川横丁において、飲食店と住まいを
石巻の中心部は横丁や路地が多い。そのひと
会﹂を立ち上げ、千葉氏はその一員として活動
と後背地の利用を議論する﹁将来まちづくり部
として、伊里前まちづくり協議会は新たに堤防
今後の伊里前地区のあるべき姿を議論する場
融合した職住近接型空間の建設を計画してい
している。依然として若者の参加は限定的だが、
COMICHI
月 に 市 の パ ブ リ ッ ク・ コ メ ン
る。2011年
代 の カ キ 漁 師 や 行 政 職 員、 ネ ッ ト 通 販 サ イ ト
ミュニティづくりから始めた。PR・イベント
限 が か か っ て い た た め、 イ ベ ン ト を 通 じ た コ
達の防災教育を重視する視点を組み込んだ提案
して、自然環境や将来同地区を担ってゆく子供
の経営者が参加し、防潮堤ありきの議論を見直
ト募集に応じて提出したが、その当時は建築制
や商工会議所との関係づくりは新たに設立した
外 部 か ら の 支 援 と し て は、 震 災 前 か ら 活 動 し
を行えるよう、議論している。
のテナント開発の手法に加えてコンセプト策定
ていた﹁すばらしい歌津をつくる協議会﹂の復
合同会社LCC.MYラボが行っており、従来
にwe bデザイナーや地元高校生が関わるなど
興寺子屋に宮城大学のファシリテーターが中立
的な立場で入って高台移転や防潮堤建設に関し
月 現 在、
の 試 み が な さ れ て い る。 2 0 1 4 年
出店者・入居者を募集している。
て議論がなされた。将来まちづくり部会にもコ
ンサルタントが入って議論の整理をしていた
が、県の復興プランを強調する傾向が強く、住
民の合意を導けなかった。
宮城県の防潮堤計画に対し、まちづくり協議
の再考を求める千葉氏ら一部の住民、ほとんど
設して商店街を再建したい商店主と防潮堤建設
南三陸町の伊里前地区では早期に防潮堤を建
防潮堤と国道の間の内陸部の嵩上げは予算の関
あり、復興計画には反映されなかった。一方で、
めると店舗の再開が遅れてしまうという事情も
を作成し議会に提出したが、商店街はそれを認
会 で は 20 1 2 年 に 専 門 家 の 協 力 の も と 対 抗 案
議論に参加していない大部分の住民の間で合意
係で難しくなっており、防潮堤のセットバック
代で若者の参加は限
形成ができておらず、復興が遅れている。協議
代から
案を検討する余地が生まれている。
4.千葉拓氏︵株式会社マルタ拓洋水産、
伊里前まちづくり協議会︶への
ヒアリング ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
11
会 や 住 民 説 明 会 を 開 い て も、 参 加 者 が 少 な く、
参加者の多くは
られている。
70
ため、空き家や空店舗を改修し、所有者と起業
者・居住者のマッチングを行い、両者の関係性
を構築するサービスを提供している。
20
6
60
2
18
東北地方調査報告
月の
の 原 則 に 反 す る と し て 拒 否 し、9.7m の 防 潮
だったため県の﹁職住分離・高台移転・多重防御﹂
な雄勝をつくる住民の会﹂を発足し、学習会を
ていった。徳水氏は、2014年に﹁持続可能
興プランを推進するための組織へと性格を変え
では県の計画の半分のエリアで防潮堤を建設し
雄 勝 未 来 会 議︵ 復 興 ま ち づ く り 協 議 会 の 後 身 ︶
行っている。
上げ・更地の活用法に関する見直し案の作成を
通じた住民同士の議論の場づくり、防潮堤・嵩
堤建設を譲らない立場を堅持した。同年
雄 勝 町 は 東 日 本 大 震 災 後、 被 災 地 の な か で 最
高台移転を行う案が住民らに提示されたが、後
5. 徳 水 博 志 氏︵ 一 般 社 団 法 人 雄 勝 花
物 語、 持 続 可 能 な 雄 勝 を つ く る
住民の会︶へのヒアリング ⋮⋮⋮
も 早 く 復 興 ま ち づ く り 協 議 会 を 立 ち 上 げ、
にこの案も宮城県により拒否されることにな
20 1 1 年
この間、復興まちづくり協議会自体は当初の
る。
宮城県のトップダウン型の復興計画のもとで住
住民の意見集約のための場から、高台移転・防
るなど意欲的な取り組みを行ってきた。一方で、
民の参画や合意形成がないがしろにされ、住民・
潮堤建設反対派を排除した、支所・県による復
現在は約7000人である。町の財政的には人
近年、女川は急速な人口減少に直面しており、
くことを強く意識している。
えを改め、石巻にないものを女川で提供してい
る。震災以降はこれまでのフルセット主義の考
通じて女川に入ってくる、いわば共生関係にあ
都市として存在し、ヒト・モノ・カネは石巻を
て い る。 周 辺 自 治 体 と の 関 係 は、 石 巻 市 が 中 心
なりつつある。従業員の多くは町外から通勤し
止以降は減少しており一般的な財政規模の町に
付金によって安定していたが、震災後の原発停
女川町の財政は、原子力発電所に付随する交
6. 須 田 善 明 氏︵ 女 川 町 長 ︶ へ の ヒ ア
リング ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
月には石巻市長に要望書を提出す
8
雄 勝 支 所 間 の 信 頼 関 係 が 失 わ れ た こ と に よ り、
復興に遅れが出ている。
今 回 ヒ ア リ ン グ を 行 っ た 雄 勝 町 中 心 部 で は、
震災後住民の多くが雄勝町以外の避難所に分散
して居住しており、地区ごとの話し合いが難し
い 状 況 で あ っ た。 そ う し た 状 況 の 中 で、
20 1 1 年 に 復 興 ま ち づ く り 協 議 会 と 支 所 か ら
唐 突 に 発 表 さ れ た 高 台 移 転 案 に 住 民 は 戸 惑 い、
一 部 の 住 民 が﹁ 雄 勝 地 区 を 考 え る 会 ﹂ を 結 成、
支 所 に 対 案 を 提 出 し た。 し か し、﹁ 考 え る 会 ﹂
の 強 硬 な 姿 勢 は 支 所 の 態 度 を 硬 化 さ せ た。
20 1 2 年 に な っ て か ら 開 か れ た 地 区 ご と の 話
万人の観光客を迎えることを想定した場
口は多いほうがいいが、今後も震災前と同水準
の
合、町民5000∼6000人でも維持してい
けるのではないかと考えている。
女川の特徴は、市場と商業機能、住宅地が一
か所に集まっており、各種サービスをワンパッ
LORCジャーナル 19
し 合 い に お い て は、﹁ 考 え る 会 ﹂ が 作 成 し た 対
案は住民らに示されず、支所と復興まちづくり
協議会が作成した高台移転案が賛成多数で可決
された。
ところが宮城県は、雄勝支所の復興案は震災
前の防潮堤の高さを維持し平地を活用する案
80
7
店こ屋街商店街雄勝硯生産販売協同組合にて
配置することを試みている。また、来街者にとっ
流れを町のへそに集約し、各種機能を連動的に
発 が 進 め ら れ て い る 。 復 興 プ ラ ン で は、 ヒ ト の
に集まり、結果としてコンパクトシティ的な開
ための用地がないため、必然的に建物は中心部
地域よりも強い。女川ではセットバックを行う
町として機能しており、町内の結びつきは他の
ケージで提供できる点である。震災後も一つの
込める。
ケティングの視点を持つことで市場の拡大を見
どう立ち向かうかという課題については、マー
な工夫ができると考えている。水産業の衰退に
あるがゆえに、自動化や高付加価値化など様々
るが、人手不足に苦しんでいる。女川は後発で
なった。水産加工場の復興は石巻が先行してい
活していないまでも水揚げ量はほぼ元通りに
基 幹 産 業 で あ る 漁 業 に つ い て は、 漁 獲 量 は 復
ていきたい。
市ガバナンスを検討する中で、引き続き注目し
が で き た。 今 後、 限 界 都 市 化 に 対 抗 す る 地 方 都
が行われており、多くの貴重な示唆を得ること
間での役割分担について調整し、都市計画機能
りも広域連合が望ましいと考えている。自治体
石巻・東松島との今後の関係は、広域合併よ
ても、買い物・観光ができるエリアと子供が遊
べる公園を近くに設置し、ワンストップで利用
できる町を目指している。
他にも水道料金と子育て費用の安さが特徴的
町︶の両
自治体とは、医療・福祉分野での連携の実績が
市
るためには、小中学校の学力向上が重要になっ
あり、従前より職員同士が交流する環境がある。
は集約したらよい。石巻管内︵
てくる。最近では女川への定住者には住宅建設
もし合併を考えるのであれば、都市構造や産業
である。今後、子育てをする家族層を惹きつけ
資金300万円を支援する公告を出した。石巻
等の地域特性を生かした形で集約すべきではな
今 回 の 訪 問 先 で は、 合 併 に よ る 行 政 範 囲 の 広
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮
では毎週700組が結婚しており、女川は住居
インキュベーション施設や起業支援の仕組みを
整 備 し、 女 川 町 を 石 巻 の 人 々 に 使 っ て も ら え る
ような施策を進めている。
介護施設と一体化して女川町地域医療センター
域化、担い手の減少、歴史的に形成されてきた
旧女川町立病院は、病床を縮小するとともに、
に再編した。経営は公益社団法人地域医療振興
地区ごとの行動様式の違いを背景とした合意形
現した。総合医の育成、訪問医療の拡充にも力
成の困難が復興プロセスの中で課題となる一方
ちをとっている。
を入れ、残りの部分は石巻の病院に任せるかた
協会に指定管理で委託し、
% の予算圧縮を実
7.結びにかえて
いか。
1
や 子 育 て の 受 け 皿 と し て 考 え て い る。 他 に も、
2
で、 Ishinomaki2.0
のような先端的なまちづく
り事業や、新たな広域ガバナンスモデルの模索
50
20
研究活動報告
2014年度の各班・ユニットの研究活動について報告したい。
研究活動報告
︱
研究班
月
日から
日まで京
︶
Trust of Oregon
・ポ ー ト ラ ン ド 州 立 大 学︵ Portland State
︶
University
最後に、2015 年
月
日に金森亮氏︵名古屋大学
都府北部地域で調査をすることを予定してい
る。
②研究会
20 1 4 年
特任准教授︶を招いて、地域交通としての次世
月
日に
Robert A.
代型ディマンド交通の可能性について聞いた。
ま た、 2 0 1 5 年
日には台湾の台湾大学で同
氏︵アメリカ、コロンビア大学教授︶
Beauregard
を招いて、アメリカの都市の大都市化と人口減
月
少について聞いた。
2015 年
校と研究交流会を開催した。同日の報告者は次
Hiroshi Yahagi, "Shrinking Cities in Japan:
の通りである。
・
Challenges of the Depopulation Society"
・
・
・
・
Local Sustainability: Lessons from Germany"
Nobutaka Matoba, "Renewable Energy Use for
Regional Planning Strategy"
Daisuke Abe, "Cultural Landscape as a
Reconstruction: Lessons from Tohoku, Japan"
Fumihiko Saito, "3.11 and Possibility of Green
Kyoto Alliance"
University's Third Mission: A Case Study of
Katsutaka Shiraishi, "Delivering the
Beauregard 氏の研究会
第
研究班﹁限界都市論﹂研究班は﹁空間計画・
頁までの東北
日までアメ
17
第
通りである。
16
機能﹂研究ユニットと﹁地方政府・ガバニング﹂
研究ユニットによって構成されているが、今年
月
をした。
日から
頁から
日から
日まで宮城県
度は両ユニットが一体となって活動し、①国内・
︱
国外調査、②研究会
月
①国内・国外調査
20 1 4 年
で 調 査 を し た︵ 詳 細 は
月
地方調査報告を参照︶。
また、2015 年
20 3
・ヒルズボロ市役所︵
︶
City
of
Hillsboro
・ビーバートン市役所︵
︶
City
of
Beaverton
・ポートランド市役所︵ City of Portland
︶
ポートランドを中心と
︱
︱
・メ ト ロ︵ Metro
︶
する広域行政
Energy
6
11
リカのオレゴン州で調査をした。訪問先は次の
8
31
3
1
16
10
・エナジー・トラスト・オブ・オレゴン︵
LORCジャーナル 21
1
18
10
2
12
1
1
1
今年度最後の活動として2015 年
月
日
24
いる。
第
研究班﹁政策実装化﹂研究班﹁コミュニ
研究班・ユニット
氏︵アメリカ、テキサス大学
に Ivonne Audirac
准教授︶を招いて、報告を聞くことを予定して
3
日、
に大
をテーマとしたラウンドテーブルの開催、②小
別される。
月
①ラウンドテーブル
20 14 年
日 に﹁﹃ 雑 談 の 美 学
中学校の教職員の合同研修会への協力
︱
活 動 は、 ①﹁ 雑 談 ﹂ や﹁ 市 民 参 加 の 話 し 合 い ﹂
ケーションデザイン﹂研究ユニットの今年度の
第
1
・村 田 和 代︵ 龍 谷 大 学 ︶﹁ ま ち づ く り の 話 し 合
コミュニケーションデザ
・東 照 二︵ ユ タ 大 学 ︶
﹁﹃ 雑 談 的 ﹄ス ピ ー チ と﹃ 非
・堀田秀吾︵明治大学︶
﹁法コンテクストの雑談﹂
インへの応用﹂
いを支える雑談
︱
日の報告者は次の通りである。
を 考 え る ﹄ ラ ウ ン ド テ ー ブ ル ﹂ を 開 催 し た。 両
20
小泉純一郎と尾崎行
・平 本 毅︵ 京 都 大 学 ︶﹁ 鮨 屋 の サ ー ビ ス 文 化 と
雑談﹂
手を使って
・坊 農 真 弓︵ 国 立 情 報 学 研 究 所 ︶﹁ 手 話 雑 談 に
︱
おけるマルチアクティビティ
食べることと話すことの共起関係﹂
LINE 会話の
・岡 本 能 里 子︵ 東 京 国 際 大 学 ︶﹁ 雑 談 の ビ ジ ュ
︱
アルコミュニケーション
分析を通して﹂
・井 出 里 咲 子︵ 筑 波 大 学 ︶﹁ 雑 談 が 生 じ る 場 と
その詩的機能﹂
言語文化比較の観点から﹂
・村 田 和 代︵ 龍 谷 大 学 ︶﹁ ビ ジ ネ ス ミ ー テ ィ ン
︱
グの雑談
・山 口 征 孝︵ ク イ ー ン ズ ラ ン ド 大 学 ︶﹁ 異 文 化
︱
︵情報伝達的︶
report
間インタビュー談話の多機能的分析
︵対人構築的︶︱
Rapport
機能連続性仮説の検証﹂
・菅 原 和 孝︵ 京 都 大 学 大 学 院 ︶﹁ 南 部 ア フ リ カ
狩猟採集民グイのよもやま話﹂
月
日、
日 に﹁﹃ 市 民
房︶として2015年に出版予定である。
ま た、 2 0 1 5 年
参加の話し合い﹄を考えるラウンドテーブル﹂
・白井宏美︵慶應義塾大学︶
﹁雑談における﹃わ
かり合えないもどかしさ﹄に関する日独比較
・大 津 友 美︵ 東 京 外 国 語 大 学 ︶﹁ 日 本 語 第 二 言
語話者が参加する雑談の特徴﹂
・片 岡 邦 好︵ 愛 知 大 学 ︶﹁ 雑 談 の ジ ャ ン ル 性、
非ジャンル性、間ジャンル性﹂
言 語 研 究 か ら の 再 発 見 ﹄︵ ひ つ じ 書
なお、本ラウンドテーブルについては﹃雑談
︱
の美学
社会言語学的観点か
・福元和人︵メドラボ代表・カタルタ考案者︶
﹁対
するための話し合い﹂
・井 関 崇 博︵ 兵 庫 県 立 大 学 ︶﹁ 地 域 を﹃ 解 凍 ﹄
ら﹂
いにみられる特徴
︱
・村 田 和 代︵ 龍 谷 大 学 ︶﹁ ま ち づ く り の 話 し 合
を開催した。両日の報告者は次の通りである。
2014 年 7 月のラウンドテーブル
分析﹂
25
19
︱
24
7
雑談的﹄スピーチ
雄﹂
1
2
2
22
研究活動報告
話を活性化するツールとルールのデザイン﹂
・三 上 直 之︵ 北 海 道 大 学 ︶﹁ ミ ニ・ パ ブ リ ッ ク
スにおける熟議と政策形成﹂
・高 梨 克 也︵ 京 都 大 学 ︶﹁ サ イ エ ン ス カ フ ェ に
おけるコミュニケーションの双方向性﹂
月
日、
月
日の
②小中学校の教職員の合同研修会
2014年
回にわ
2
校 で つ な が ろ う・ ひ き
勧 修 ブ ロ ッ ク の 子 ど も た ち の た め に、
次の通りである。
︱
16
︱
ラウンド
楽しいこと、しんどいこと、
これ助けてほしいねん
・第
今、私たちでできることは何だろうか?
問い
名のファシリテーターとと
だそう﹂というテーマの下で、約100名の参
月 の 研 修 で は、﹁
た小中学校の教職員の合同研修会に協力した。
たって京都市山科区の勧修ブロックで開催され
27
加者を対象として
・森 本 郁 代︵ 関 西 学 院 大 学 ︶﹁ 市 民 参 加 の 観 点
11
から見た裁判員裁判
模擬評議に見る専門
3
もにグループワークを実施した。同日の進行は
︱
20
家と市民の話し合いの様相﹂
・只 友 景 士︵ 龍 谷 大 学 ︶﹁ 政 策 形 成 の た め の 話
し合いの実践例﹂
・田 口 美 紀︵ ま ち と し ご と 総 合 研 究 所 ︶﹁ 市 民
主体のまちづくりの話し合いの現場から﹂
・清水万由子︵龍谷大学︶
﹁話し合いと社会構造﹂
・馬 場 健 司︵ 法 政 大 学 ︶﹁ 環 境・ エ ネ ル ギ ー 政
策上の課題解決に向けた話し合いの諸相﹂
自律型対話プロ
・水上悦雄︵︵独︶情報通信研究機構︶﹁話し合
︱
いのプロセスを評価する
ジェクトの活動から﹂
・森 篤 嗣︵ 帝 塚 山 大 学 ︶﹁ 小 学 生 の ク ラ ス 全 体
での話し合い活動に対する小学校教員志望者
の評価表現﹂
小学校社会科を事例として﹂
・唐 木 清 志︵ 筑 波 大 学 ︶﹁ 話 し 合 い に 関 す る 授
︱
・第
︱
ラウンド
ラウンド
︱
こ れ ま で の プ ラ ク テ ィ ス、
各グループの成果を共有
みんなでこんなことできた
これからのアイディア
・第
らいいな
︱
・全体セッション
しよう
月の研修では、﹁
﹃子どもの健全育成のために﹄
地域と学校をつなぐ方策・連携について﹂という
テーマの下で、円卓会議とワークショップを実施
した。同日の円卓登壇者は次の通りである。
︵京都市職員・保護ケース
KUDOMI NAOKO
・上原裕介︵山科青少年活動センター︶
・
ワーカー︶
・窪田昭惠︵元PTA会長︶
・藤原繁樹︵保護者︶
・真嵜直子︵勧修中学校︶
・村井琢哉︵山科醍醐こどものひろば︶
・山下紗喜子︵小野小学校︶
・山本祥平︵勧修小学校︶
研究班﹁政策実装化﹂研究班﹁ソーシャ
研究班・ユニット
・野池雅人︵きょうとNPOセンター︶
第
第
2
8
2
ルスキル育成﹂研究ユニットは今年度、国内・
LORCジャーナル 23
11
8
3
2
2
業研究
な お、 本 ラ ウ ン ド テ ー ブ ル に つ い て は
2016年に書籍として出版予定である。
2014 年 8 月の合同研修会
1
国外調査をした。
ま ず、 2 0 1 4 年
月
日に東京でヒアリン
グ調査をした。訪問先は次の通りである。
大別される。
①研究会および国内調査
月
日
豊 岡 和 美 氏︵ 一 般 社 団 法 人
・﹁ 地 域 で エ ネ ル ギ ー を つ く り、 地 域 を 元 気 に
する方法﹂講師
徳島地域エネルギー︶
法 律 事 務 所 弁 護 士、 一 般 社 団 法 人 え ね べ ん︵ 地
日に島昭宏氏︵アーライツ
・一般社団法人シルバーサービス振興会
域のエネルギー転換に参画する弁護士の会︶代
・﹁宮崎県五ヶ瀬町の小水力発電と地域づくり﹂
・﹁京都府宮津市の竹利用とバイオマス﹂講師
・文部科学省国立教育政策研究所
表 理 事 ︶、 寺 田 伸 子 氏︵ ア ー ラ イ ツ 法 律 事 務 所
日
田野博司氏︵宮津市︶
・厚生労働省職業能力開発局
日までドイ
講師 山下輝和氏︵株式会社リバー・ヴィレッ
日から
日まで徳島
弁 護 士 ︶、 吉 田 理 人 氏︵ ア ー ラ イ ツ 法 律 事 務 所
月
日から
ジ︶
ま た、 2 0 1 5 年
いた。
また、2015 年
察した。
日から
②再生可能エネルギー塾
月
日間﹁洲本・再生可能
榎 原 友 樹 氏︵ 株
・ワークショップ﹁事業を一緒にできる人をさ
がそう﹂ファシリテーター
式会社イーコンザル︶
堀口健治氏︵早稲田大学︶
・
﹁ 農 業・ 農 村・ 地 域 が 生 み 出 す 再 生 可 能 エ ネ
ルギー﹂講師
・洲本市千草竹原地区にて、小水力発電機設置
吉岡
演習。講師 山下輝和氏︵株式会社リバー・ヴィ
日
レッジ︶
月
日
・洲本市のグリーン&グリーン・ツアー
月
・﹁ 資 金 調 達 の 計 算 を し て み よ う ﹂ 講 師
剛 氏︵ 特 定 非 営 利 活 動 法 人 環 境 エ ネ ル ギ ー 政
日間の日程は次の通り
4
白石克孝氏︵龍谷
大学︶、深尾昌峰氏︵龍谷大学︶
に還元するには?﹂講師
・ワークショップ﹁再生可能エネルギーを地域
業をはじめたい方へ﹂を開催した。これは︵独︶
である。
ト﹁創発的地域づくりによる脱温暖化﹂の受託
に
型再エネ政策﹂研究ユニットの今年度の活動は、
﹁再生可能エネルギー塾﹂の人材育成活動
︱
事業として行われた。
センター︵RISTEX︶統合実装プロジェク
策研究所︶
地域で再生可能エネルギー事
日までの計
2 0 15 年
日から
︱
日 ま で、 お よ び、
河内みつばちソーラー発電所などの発電所を視
域エネルギー理事︶から話を聞きながら、佐那
県を訪問し、豊岡和美氏︵一般社団法人徳島地
月
弁 護 士 ︶、 谷 口 信 雄 氏︵ 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー・
月
14
月
2015 年
2
アドバイザー︶を招いて、えねべんの取り組み、
Federal Institute
28
ツのボンとベルギーのリエージュでヒアリング
︶。英名
BIBB
・ドイツ、連邦職能教育機関︵ Bundesinstitut für
︵
Berufsbildung
︶
for Vocational Education and Training
・ベルギー、リエージュ大学 HEC
経営学研究科
27
15
21
22
15
2
2
2
14
科学技術振興機構︵J ST︶社会技術研究開発
エネルギー塾
4
2
社 会 経 済センター︵ Centre d'Economie Sociale
︵ CES
︶ , HEC-Ecole de Gestion, Université de
。 英 名 Center for Social Economy, HECLiège
研究班・ユニット
︶
Management School, University of Liège
第
22
22
研 究 班﹁ 政 策 実 装 化 ﹂ 研 究 班﹁ 地 域 還 元
21
25
3
1
再生可能エネルギー事業や条例などについて聞
6
3
調査をした。訪問先は次の通りである。
1
10
2
① 研 究 会 お よ び 国 内 調 査 と い っ た 研 究 活 動、 ②
第
2
2
24
図書紹介
図 書 紹 介
LORCではさまざまな分野の研究員が活動に参加しています。ここではその一端をご紹介します。
緑のエネルギー原論
植田和弘著
岩波書店
二〇一三年
2011年3月の福島原発事故が及ぼした衝撃をいかに受け止め
るか、日本社会が考えていかねばならない課題である。あらゆる領
域 が 検 討 の 対 象 に な る が、 と り わ け エ ネ ル ギ ー 政 策 の 再 検 討 は 不 可
欠であろう。本書によれば、原発の安全性や経済性は制度的につく
り出されたもので、神話化された虚構という。問題はエネルギー政
策転換の方向性であるが、本書の回答は、分権・参加・自治による
西岡秀三・植田和弘・森杉壽芳監修
損害保険ジャパン・損保ジャパン環境財団
・損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント編著
金融財政事情研究会
二〇一四年
︱ 企業・行政・市民の賢い適応 ︱
気候変動リスクとどう向き合うか
気候変動リスクへの適応問題を本格的に扱ったわが国最初の著作で
ある。地球温暖化防止に対する人類の取り組みが始まったのはそれほ
ど昔のことではない。気候変動枠組み条約が結ばれたのは、1992
会議で京都議定書に合意したけれども、その後の取り組みは必ずし
年、リオ・サミットのことである。1997年の地球温暖化防止京都
ネ ル ギ ー の 経 営 者 に な る と い う こ と で あ る。 従 来 エ ネ ル ギ ー 政 策 は
も順調とは言えない。温室効果ガスの排出量を削減するだけでなく、
地域エネルギー経営である。もっと直截に言えば、市民が地域でエ
国 策 と し て の み 考 え ら れ て き た が、 地 域 資 源 と し て の 再 生 可 能 エ ネ
気候変動に伴うリスクに適応していかなければならなくなった。本書
行 政、 市 民 に よ る 具
討課題が扱われる。それに対して実践面からのアプローチでは、企業、
の構築に、向けた政府関与のあり方など適応の背後にある理論的検
をいつ実施するべきかを最適停止問題からの示唆、望ましい水害保険
チでは、成長論を適用した災害費用の新しい定義とその計測、対策
象に、理論面と実践面から検討を加えている。理論面からのアプロー
では、気候変動リスクに対する企業、行政、市民の適応のあり方を対
ルギーへの投資は地域資源開発であり、地域経済・政策問題として
も 考 え な け れ ば な ら な い。 現 在 課 題 に な っ て い る 地 方 創 生 に も な く
て は な ら な い し、 廃 棄 制 約 の 時 代 に 地 球 温 暖 化 防 止 へ の 確 か な 展 望
を創りだすことにもなる。市民の経営力をいかに高めるか、再生可
能エネルギー開発だけでなく、福祉、教育、医療などにも通じる課
題であり、持続可能な地域づくりの源泉でもある。
植田和弘︵LORC
な ど でのN G O の 取
介 さ れ、 フ ィ リ ピ ン
研究員
京都大学
大学院経済学研究
り組みも参考になる。
体的な取り組みが紹
科教授︶
植田和弘︵LORC研
究員
京都大学大学
院経済学研究科教授︶
LORCジャーナル 25
関満博・松永桂子著
新評論
二〇一四年
︱ 小さな〝まち〟の未来を映す﹁南三陸モデル﹂︱
震災復興と地域産業 5
市研究科准教授︶
大阪市立大学大学院創造都
松 永 桂 子︵ L O R C 研 究 員
減少・超高齢化が進む地方の小規模自治体に示唆を与えることにもなろう。
どのような地域社会経済を形成していくのか。被災地の取り組みは、人口
業を担う人びとが、まちの復興を担ってきた。復旧・復興の過程をつうじて、
描いている。水産業、食品加工業、農林業、商店街、中小製造業など、産
宮城県南三陸町は人口1万7000人の小さな町である。本書は、南三
陸町の産業や地域づくりに携わる人びとへの取材を通して、復興の様子を
が求められている。
に報いながら、現場の意見を掬い上げ、地域の課題に向き合うまちづくり
り、心身の不安や孤独の状態に置かれている人もいる。そうした住民たち
こ の 先 も 暮 ら し 続 け る こ と を 希 望 し て い る。 な か に は 家 族 と バ ラ バ ラ に な
減少と超高齢化は一層加速している。住民たちは長く住み慣れた土地に、
東日本大震災から3年以上が経過した現在でも、約 万の人びとが仮設
住宅や借上住宅に避難している。とくに被災した小規模自治体では、人口
28
白石克孝・石田徹編
日本評論社
二〇一四年
持続可能な地域実現と大学の役割
本書は、LORC第3期第2研究班﹁地域公共人材﹂研究班が実施して
きた研究ならびに実践的研究の成果報告の一部である。大学の地域貢献、
社会貢献という言葉は一般化してきているが、本書ではさらにそれを越え
て大学自体が地域社会変革の制度的インフラとしての役割を果たすべきだ
と い う 立 場 を 打 ち 出 し て い る。 持 続 可 能 な 地 域 社 会 の 実 現 の た め に 必 要 な
政 策 統 合︵ 特 に そ の 環 境 的 側 面、 社 会 的 側 面 に 焦 点 が 当 て ら れ る ︶、 ロ ー
カル・ガバナンス、人材育成の仕組みとプログラム、資格制度、地域を変
えるエネルギー政策などについて、大学の新しい使命論の具体的な展開と
して論じている。本書は総論・理論編と各論・実践編とにわかれているが、
いずれの実践事例も主体的な関わりから来る臨場感があるが、それが単な
る グ ッ ド プ ラ ク テ ィ ス の 紹 介 に と ど ま っ て い な い。 日 本 で の ブ レ ー ク ス
ル ー を 生 み 出 そ う と す る も の ば か り で あ る。 世 界 的 な 動 向 を 分 析 す る 理 論
研究で完結させず、その成果を社会へ﹁実装化﹂させることを重視してき
たLORCの研究姿勢が反映されている。
白 石 克 孝︵ L O R C 研 究 員
龍谷大学政策学部教授︶
26
図書紹介
矢作弘・阿部大輔編
日本評論社
二〇一四年
︱ トリノ、バルセロナの事例から ︱
持続可能な都市再生のかたち
本書は、LORC第3期第1研究班﹁地域公共政策﹂研究班が実施して
き た 研 究 調 査 の 成 果 報 告 で あ る。 分 配 で き る パ イ が 自 然 に 拡 大 し た 高 度 経
済成長期とは異なり、人口減少や少子高齢化が急進展する時代を迎え、経
済的・社会的・人的な資源の制約下、地域社会で稀少化する資源をいかに
相互にシェアし、地域空間の再構築を図るかが、地域の公共政策の喫緊の
課題になっている。本書は、フィアットの本拠地であり﹁イタリアのデト
ロイト﹂と呼ばれたトリノ、スペインを代表する工業都市であるバルセロ
ナを事例に、継続的な人口減少、産業構造の転換、未熟練労働者のための
雇用機会の喪失、ブラウンフィールドの増大、都市インフラの劣化と絶対
世紀の都
的不足の顕在化、地域コミュニティや公共空間の荒廃等、欧州都市が経験
した﹁都市縮小﹂の様態とそれに対する政策の﹁かたち﹂を、
市政策の群像として描き出そうとした。環境・経済・社会の三相から地域
の持続可能性を捉え直し、市場主義に対しては批判的なスタンスを維持し
ながら、政策的な介入を躊躇しない両都市の思想から、大いに学びたい。
阿 部 大 輔︵ L O R C 研 究 員
龍谷大学政策学部准教授︶
権五定・斎藤文彦編著
日本経済評論社
二〇一四年
︱ グローバル化時代の可能性と限界 ︱
﹁多文化共生﹂を問い直す
本書は2010年から2年度にわたって、龍谷大学の研究助成を得て実
施 さ れ た 研 究 会 の 成 果 で あ る。 2 0 0 9 年 に 開 催 さ れ た 日 本 国 際 文 化 学 会
の第8回全国大会、並びに翌年の第9回全国大会においても共通論題の場
を設定し、活発な議論が展開された。今日、われわれが接するニュースは
暗いものが実に多い。ウクライナ問題やイスラム過激派とテロなど。この
ような状況に直面し、﹁多文化共生﹂はグローバル社会での望ましい状況
を示す言葉としてしばしば使われる。本書は、現代世界が抱えるさまざま
な問題の原因と解決方法を探るなかで﹁共生﹂とは何かを問い直す。本書
の基本的メッセージは、﹁共生﹂という一見理想的にみえるスローガンの
裏にこそ隠されている巧妙な仕掛けを見抜き、多数派の思惑だけがまかり
通 る の で は な く、 さ ま ざ ま な 意 味 で 社 会 的 に 弱 い 立 場 に あ る 人 々 の 主 体 性
が尊重される仕組みを考えていく必要性である。安易に﹁共生﹂を用いる
ことの危険性を見抜き、そこからこぼれ落ちる人々によりそうわれわれ自
身の生き方が模索されねばならない。
斎 藤 文 彦︵ L O R C 研 究 員
龍谷大学大学院国際文化学
研究科長︶
LORCジャーナル 27
21
本多滝夫・榊原秀訓編著
自治体研究社
二〇一四年
︱ 地方分権改革の総括と地方自治の課題 ︱
どこに向かう地方分権改革
衆議院・参議院両院が﹁地方分権の推進に関する決議﹂を挙げてから
年余りが経過した。この決議は、東京への一極集中を排除し、国民がゆと
り と 豊 か さ を 実 感 で き る 社 会 を 作 る た め に、 地 方 分 権 を 推 進 す る こ と の 必
教授︶
龍谷大学大学院法務研究科
本 多 滝 夫︵ L O R C 研 究 員
ている。
分析と解決の方向性を示し
る地方自治に関する問題の
行政分野において生じてい
健 衛 生 行 政 分 野、 職 業 安 定
に、保育行政分野、教育行政分野、学童保育分野、社会福祉行政分野、保
本書は、前記有識者会議の﹁地方分権改革の総括と展望﹂を紐解きながら、
安倍政権の下で進行しつつある地方制度改革の狙いを解き明かすととも
たのかが、あらためて問われなければならない。
地域社会を実現できなかった。そうだとすると、地方分権改革とは何であっ
権 改 革 は 東 京 へ の 一 極 集 中 を 是 正 し て い な か っ た。 地 方 分 権 は 潤 い の あ る
人 口 集 中 ﹂ が 問 題 と さ れ、﹁ 地 方 創 生 ﹂ の 必 要 性 が 説 か れ て い る。 地 方 分
ている。ところが、人口減少の時代を迎えた今、再び﹁東京圏への過度な
の拡大が進展した〟と地方分権改革は全体としてはうまくいったと総括し
念が構築された〟
〝相応の成果を生み出した〟
〝地方公共団体の自主自立性
20 13 年に設置された地方分権改革有識者会議は、〝地方分権改革の理
要 性 を 説 い た。 そ れ か ら、 2 次 に わ た っ て 地 方 分 権 改 革 が 行 わ れ た。
20
28
ブックレット「地域ガバナンスシステム・シリーズ」 最新刊
東アジア中山間地域の内発的発展―日本・韓国・台湾の現場から
(地域ガバナンスシステム・シリーズ No.17)
・著 清水万由子、尹誠國、谷垣岳人、大矢野修
・出版 公人の友社、2014 年
・定価 本体 1,200 円+税
・目次
はしがき
第 1 章 東アジア中山間地域の内発的発展
第 2 章 韓国における内発的発展の現状と課題
第 3 章 台湾における生物多様性を活かした内発的発展
第 4 章 南信州・小規模自治体の自立構想と内発的発展
第 5 章 東アジア中山間地域の内発的発展―展望―
地域協働 第6号
LORCジャーナル 発行日
2015 年 3 月 15 日
編集・発行
龍谷大学地域公共人材・政策開発リサーチセンター(LORC)
〒 612-8577 京都市伏見区深草塚本町 67
発行人/白石 克孝
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