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ジャカルタ事務所地熱月報2016年7月

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ジャカルタ事務所地熱月報2016年7月
2016 年 7 月 地熱月報
(インドネシア) – 7 件
①インドネシアの地熱開発、最大の貢献者はプルタミナ-ユヌス地熱局長インタビュー
2016 年 7 月 15 日
新再生可能エネルギーの中でも地熱発電は潜在的に 29.4GW にも達すると言われ、インドネシア最大のポ
テンシャルエネルギーの一つとなっている。一方で、地熱開発の進捗は多くの問題と制約に直面しているのが現
状である。以下は、インドネシアの地熱開発進捗状況とそのスピードアップ維持のため、政府の努力とコミットメン
トをエネルギー鉱物資源省・新再生可能エネルギー・省エネルギー総局(EBTKE)のユヌス・サイフルハク地熱局
長にインタビューした一部である。EBTKE がホームページに掲載した。
Q1.現在、インドネシア最大の地熱オペレータは誰か?
A1.子会社プルタミナ・ジオサーマル・エネルギー(PGE)を介して、国営石油会社プルタミナが現在最大
のオペレーターである。プルタミナは 13 地熱鉱区を保有し、その中には自己運営している鉱区、シェブロ
ン・ジオサーマル・インドネシア(CGI)社やスター・エナジー社とジョイントオペレーション(JOC/
Kontrak Operasi Bersama(KOB))をしている鉱区とがある。現在開発中の鉱区で、
1,438.5MW の発電容量を持つサルーラ(Sarulla)地熱発電が発電容量の大きい鉱区として挙げ
られる。
Q2.現時点で、小さな発電容量の地熱開発では今後 2〜3 年どのような計画があるのか?
A2.地熱開発では電力を商業運転にするまで入札から約 7 年かかる。2019 年までは PGE がメインの供
給先だと予想している。PGE の地熱発電開発は以下を予定している。
a. カラハ(Karaha)地熱発電所、発電量 30MW、商業運転 2016 年
b. ウルブル地熱発電所第 3 号機(Ulubelu Unit 3)、発電量 55MW、商業運転 2016 年
c. ルムット・バライ地熱発電所第 1 号機(Lumut Balai Unit 1)、発電量 55MW、商業運転
2016 年
d. フルライス(Hululais)地熱発電所、発電量 55MW、商業運転 2018 年
e. スンガイ・プヌッ(Sungai Penuh)地熱発電所、発電量 55MW、商業運転 2019 年
また、PGE とサルーラ・コンソーシアムのジョイントオペレーションであるサルーラ(Sarulla)地熱発電所
から 110MW の追加発電量もある。当該プロジェクトは、2016 年の終わりに商業運転段階に入ること
が目標とされている。 13 地熱鉱区から 2019 年までに 2,00MW の発電容量に達すると予想してい
る。
Q3.政府はプルタミナを地熱開発の開発事業者に指名しているが、どのくらいの可能性で開発できるのか?
A3.政府が 2014 年第 21 号地熱法に沿ってプルタミナへ地熱開発を任命した事は、地熱開発をスピー
ドアップするための打開策である。国家エネルギー政策(KEN)にでは 2025 年までに 7,200MW の
地熱発電量が目標設定されている。プルタミナはさらに探鉱・開発に力を注ぐ必要がある。
Q4.プルタミナを地熱開発事業者に指名した以外に、政府はどのようなステップで目標値 7,200MW を達
成しようとしているのか?
A4.投資家へ地熱鉱区入札のオファーが主。また、現在我々は地熱鉱区の評価を行っており、どの鉱区を
国営会社であるプルタミナ、PLN、またはジオディパ・エネルギーに任命するか作業中である。
Q5.国営企業が地熱開発の最大の貢献者であることはどのようなプラス影響があるか?
A5.プルタミナは 1983 年のカモジャン(Kamojang)地熱発電で成功を収めたインドネシア最初の地熱
発電会社である。
Q6.地熱開発事業は政府によってどのようなサポートを受けられるか?
A6.地熱開発事業を最大限に遂行するため、いくつかのポリシーがある。
a. 上流、下流事業に確実性を与える規制。
b. 事前調査や探査等地熱開発の初期段階から民間企業が参画できる機会の付与。
c. プロジェクトの経済性を保てる電力価格の提供。
d. 投資調整庁におけるワンドア・統合ライセンスサービス。
e. 地熱開発の制約解決を容易にするプロアクティブ。
f. タックス・インセンティブ
(1) 輸入品の輸入関税の撤廃
(2) 投資コストから 6 年間所得税(PPh30%)のタックスアロ―ワンス、減価償却 10 年間など
(3) 探鉱段階の減税(財務大臣の署名待ち)
(出典:新再生可能エネルギー・省エネルギー総局 (EBTKE) )
②地熱発電 550MW 容量の鉱区入札
2016 年 7 月 15 日
政府は、2016 年後期に総容量 550MW となる 5 地熱鉱区の入札を開催する。それ以外にも国営企業
を開発事業者として任命する地熱鉱区を発表する。7 月 15 日付インベスター・デイリー紙(9 面)が伝え
た。
エネルギー鉱物資源省・新再生可能エネルギー・省エネルギー総局(EBTKE)のユヌス・サイフルハク地熱局長
は、今年度中に 8 地熱鉱区の入札が計画されており、3 鉱区は上半期に既に入札にかけられ、残り 5 鉱区
は下半期に行うことを明かにした。
年内に入札が行われる鉱区は、①西ジャワ州グヌン・チレマイ(Gunung Ciremai)、②アチェ州グヌン・グ
ルドン(Gunung Geureudong)、③北スマトラ州シンボロン・サモシール(Simbolon Samosir)、④ジ
ャンビ州グラホ・ニャブ(Graho Nyabu)、⑤東ジャワ州グヌン・ウィリス(Gunung Wilis)。 地熱発電の容
量は推定で各 110MW。
その他にも 3 地熱鉱区が右記の鉱区より選定される予定だが、入札時期は明らかになっていない。①グヌン・
ガルングン(Gunung Galunggung)110MW、②テラガ・ラヌ(Telaga Ranu)1×5MW、③グヌン・フミ
ディン(Gunung Humiding)2×10MW、④タンジュン・サクティ(Tanjung Sakti)1×55MW。
今年行われる入札 8 鉱区は、政府がターゲットとする 2016 年から 2017 年にかけて合計 21 鉱区の入札
の一部で、1,065MW の容量増と、4.2 億米ドルの投資が予想されている。目標を達成すべく、政府は今後
3 方式の入札スキームを予定している。①通常入札、②国営企業への任命、③民間企業の事前調査と探鉱
(PSPE(Penugasan Survei Pendahuluan dan Eksplorasi))。③の民間企業の事前調査と探鉱
PSPE 方式に関しては新しい政令の策定中であるが、地熱が発見できればそのまま開発へ移行できるの等優
遇策があるので、民間セクターの地熱開発に期待できるとした。
(出典:インベスター・デイリー紙 9 面)
③インドネシア・ニュージーランド政府、再生可能エネルギーの覚書(MoU)に署名
2016 年 7 月 18 日
(写真 EBTKE ホームページより抜粋-右端:スディルマン・エネルギー鉱物資源相、右端 2 番目:ジョコ・
ウィドド大統領)
インドネシア政府とニュージーランド政府は、再生可能エネルギーや省エネルギーの開発に係る、両国民間セク
ターの協力を促進するための覚書に署名した。エネルギー鉱物資源省・新再生可能エネルギー・省エネルギー
総局 (EBTKE)がホームページで発表した。
覚書は、ジョコ・ウィドド大統領の立ち合いの下、2016 年 7 月 18 日、スディルマン・サイッド・エネルギー鉱物
資源相とニュージーランドのトッド・マックレー貿易相が調印した。
インドネシアは、約 801.2 GW の再生可能エネルギーのポテンシャルを持っているものの、全体の 1 パーセン
トにすぎない 8.66GW が開発されているのみである。当該協力は、再生可能エネルギー開発の加速、特に地
熱開発の促進に貢献すると同省は声明で述べている。スディルマン・エネルギー鉱物資源相は、「エネルギー効
率を基本とし、地熱、水力、風力から供給発電用の燃料 80 パーセントを賄っているニュージーランドは、インド
ネシアにおける再生可能エネルギー開発、特に地熱開発を加速する上での戦略的パートナーになるだろう。」と
述べた。
覚書に含まれたポイントは以下の通り。
1.再生可能エネルギー、エネルギー効率の開発に係るレギュレーションの実施に関し、情報交換や教訓の共
有。
2.再生可能エネルギーの生産増加、特に地熱電力を促進するための技術・能力向上の支援提供(商業
ベースでの支援を提供することも含む)。
3.ニュージーランド、ASEAN へ、奨学金制度及び短期研修プログラムなどを通じて、再生可能エネルギー・
省エネルギーに関連する大学院での修学や短期職業訓練の提供。
4.シンポジウム、会議、ワークショップ、セミナー、ジョイントトレーニングを通し、技術的及び科学的情報交
換、研究開発活動を含む共同訓練の開催。
5.インドネシア、ニュージーランドの民間セクターの関与を促し、両国における再生可能エネルギー開発や省エ
ネルギーの加速を支援。
以前、インドネシアとニュージーランドは既にエネルギー、特に地熱開発での協力を行っている、ニュージーランド
は一度プルタミナ・ジオサーマル・エネルギー(PGE)社のために能力向上の技術支援を提供した。ガジャ・マダ
大学もかつてニュージーランドと共同地熱コースの 10 研修モジュールを開設した事がある。また、ニュージーラン
ドはインドネシアの地熱協会(IGA)と能力強化と専門家の交換を行った事がある。
(出典:新再生可能エネルギー・省エネルギー総局 (EBTKE) )
④省令-エネルギー鉱物資源省許可手続きに 3 時間
2016 年 7 月 22 日
エネルギー鉱物資源省スディルマン大臣は、エネルギー資源分野でのインフラ投資のため、迅速な許可手続き
の省令 2016 年第 15 号を発行した。当該省令は「ファスト・サービス 123H」と名付けられ、下記に従事する
事業の投資ライセンス許可を 3 時間以内に発行すると定められた。新再生可能エネルギー・省エネルギー総局
(EBTKE)が発表した。
1.地熱事業分野
2.電力事業分野
3.送電事業分野
4.石油下流事業(一時的な営業許可)
同許可は、企業が全ての要件を満たしている事を条件に、ワンドア・統合ライセンスサービスである投資調整
庁(BKPM)から承認される。
(出典:新再生可能エネルギー・省エネルギー総局 (EBTKE) )
⑤プルタミナ、地熱開発に約 160 億米ドルの投資計画
2016 年 7 月 22 日
国営石油会社プルタミナは、2030 年までに 2,743WM の地熱発電増量を目指し、約 160 億米ドルを地
熱開発に投資すると発表した。7 月 22 日付インベスター・デイリー紙(9 面)が伝えた。
プルタミナのウィアンダ・プスポネゴロ広報部長は、地熱分野でこれだけの大規模な投資を実施する国営企業
はプルタミナだけだと説明。 同社はこの投資で 25 ヶ所の地熱鉱区開発を計画しており、現段階ではこのうち
11 鉱区に開発を集中する。11 鉱区は、①コタモバグ(Kotamobagu)、②グヌン・ラウ(Gunung
Lawu)、③スラワ・アガム(Seulawah Agam)、④スンガイ・プヌッ(Sungai Penuh)、⑤フルライス
(Hululais)、⑥ルムット・バライ(Lumut Balai)&マルガ・バユル(Marga Bayur)、⑦カラハ・チャクラ
ブアナ(Karaha Cakrabuana)、⑧グヌン・シバヤク(Gunung Sibayak)&グヌン・シナブン(Gunung
Sinabung)、⑨ウルブル(Ulubelu)、⑩ラヘンドン(Lahendong)、⑪カモジャン‐ダラジャト
(Kamojang‐Darajat)。 それぞれの鉱区で生産可能な場所をマッピングしており、2030 年までに 12%
生産量アップの 2,743MW を確保したいと語った。また、今年の終りまでに 542MW の増量生産を目標とてお
り、カハラ地熱発電 30MW、ラヘンドン地熱発電第 5 号機 30MW、ウルブル地熱発電第 3 号機 55MW が
含まれているとした。加えて、2019 年には当初 907MW の目標であったが、992MW の地熱発電量になると
予想しているとした。
地熱開発事業者任命制度
同部長によると、プルタミナは①ソンガ・ワヤウア(Songa Wayaua)鉱区、②コタモバグ
(Kotamobagu)鉱区、③イヤン・アロゴプロ(Iyang Argopuro)鉱区、3 鉱区で政府より地熱開発事
業者任命を受けている。②コタモバグ(Kotamobagu)鉱区と③イヤン・アロゴプロ(Iyang Argopuro)
鉱区は国立公園内にあるが地熱法 2014 年第 21 号第 5 章により開発許可となった。同部長は、プルタミナ
は任命を受けた鉱区開発の準備も進めており 2030 年には全ての鉱区で商業運転をしているだろうと述べた。
また、目標値 2,742MW には既存鉱区からの増量のみではなく、新規鉱区より 850MW 追加される計画だ
と明らかにした。
エネルギー鉱物資源省・新再生可能エネルギー・省エネルギー総局(EBTKE)のユヌス地熱局長によると、国
営企業への地熱開発事業任命は、地熱法 2014 年第 21 号第 28 章に定められており、新再生可能エネ
ルギー開発を加速すると共に、2025 年までに新再生可能エネルギーが占める電源構成比 23%の目標値を
達成するためだとした。国家エネルギー政策(KEN)に従い、2025 年までに 7,200MW の地熱発電量を確
保する必要があると加えた。
(出典:インベスター・デイリー紙 9 面)
⑥国営 3 社を 7 ヶ所の地熱発電開発事業者に任命
2016 年 7 月 26 日
エネルギー鉱物資源省・新再生可能エネルギー・省エネルギー総局(EBTKE)のユヌス地熱局長は、8 月の
終わりに 7 地熱鉱区を開発するため国営 3 社を指名する命令文書を発行すると発表した。7 月 26 日付ビ
ジネス・インドネシア紙(23 面)が伝えた。
命令文書発行後、国営 3 社は 2017 年より探鉱を開始、2020 年に操業運転を開始できるよう期待され
ている。3 社は、国営石油会社プルタミナの子会社プルタミナ・ジオサーマル・エネルギー(PGE)、国営電力
会社 PLN、PLN 傘下のジオディパ・エネルギー。各社の任命鉱区は下記の通り。
PGE→
①北スラウェシ州コタモバグ(Kotamobagu)、②東ジャワ州イヤン・アルゴプロ(Iyang
Argopuro)、③北マルク州ソンガ・ワヤウア(Songa Wayaua)
PLN→
①マルク州トゥレフ(Telehu)2×55MW、②西ヌサ・トゥンガラ州スンバルン(Sembalun)
60MW
Giodipa→ ①東ジャワ州アルジュノ・ウェリラン(Arjuno Welirang)、②中部ジャワ州ウンブル・トゥレモヨ
(Umbul Telemoyo)
PLN は加えて既存地熱発電所 2 ヵ所の容量拡大を任命されている。東ヌサ・トゥンガラ州に位置する①
PLTP マタロコ(Mataloko)発電量 3×10 MW および②PLTP ウルンブ( Ulumbu)発電量 2×5
MW。
(出典:ビジネス・インドネシア紙 23 面)
⑦地方政府、地熱プロジェクトから生産ボーナス取得-政府規制(PP)発行
2016 年 7 月 29 日
政府は、地方政府がそれぞれの行政区域に位置する新たな地熱開発プロジェクト、または既存する地熱プロ
ジェクトから 0.5%〜1%の生産ボーナスを取得できる政府規制(PP)を発行したと発表した。新再生可能エ
ネルギー・省エネルギー総局 (EBTKE)がホームページに掲載した。
エネルギー鉱物資源省・新再生可能エネルギー・省エネルギー総局(EBTKE)のユヌス地熱局長によると、同
規制はジョコ・ウィドド大統領の署名済みとのこと。1%の生産ボーナスはオペレータが既に蒸気売買契約を締結
しているが電力売買契約は未締結の場合で、この生産ボーナスは政府が保有する 34%のシェアから支払われ
るので、オペレーターが保有する 66%のシェアには影響しないと説明をした。同局長は、新しい規制は地方政
府が地熱プロジェクトから利益を得る事でプロジェクトの所有権を感じるためだと述べた。
(出典:新再生可能エネルギー・省エネルギー総局 (EBTKE) )
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