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周南市公共施設再配置の基本方針

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周南市公共施設再配置の基本方針
参考資料2
周南市公共施設再配置の基本方針
耐震改修が完了した周南第 3 住宅第 11 棟
平成26年3月
周
南
市
目次
Ⅰ
基本方針策定の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅱ
基本方針策定の背景(周南市公共施設白書から分かる現状と課題)・・・・・・・・・・1
1
公共施設の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)建物の延床面積からみた施設の総量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2)施設の整備状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(3)人口の状況と課題(住民基本台帳人口)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(4)人口の将来推計(国立社会保障・人口問題研究所公表資料から)・・・・・・・・3
(5)施設の更新費用の増大と財政上の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(6)施設更新における財政上の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
Ⅲ
公共施設再配置の基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
1
公共施設の再配置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
2
公共施設の保有のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(1)市民ニーズの変化に対応するサービスの提供(サービスの最適化)・・・・・・・8
(2)効果的で効率的な施設の管理運営(コストの最適化)・・・・・・・・・・・・・8
(3)次の世代に継承可能な施設保有(量の最適化)・・・・・・・・・・・・・・・・8
(4)安全に、安心して使用できる施設整備(性能の最適化)・・・・・・・・・・・・9
3
公共施設の保有のあり方を実現するための方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(1)建物等を保有する施設の最適化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(2)都市基盤施設の最適化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(3)公共施設を維持更新していくために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Ⅳ
今後の取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
1
(仮称)周南市公共施設再配置計画の策定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
2
次期まちづくり総合計画やインフラ長寿命化基本計画との整合・・・・・・・・・・12
3
計画策定に向けての庁内体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
Ⅰ 基本方針策定の目的
本市では、周南市まちづくり総合計画の後期基本計画において、将来展望に立った財政運営と、持続可
能な自治体経営を行うため、「財政健全化推進プロジェクト」を位置づけ、その手法の一つとして「公共
施設統廃合・整備と集約化の推進」を進めることとしています。
平成 25 年には、第 2 次周南市行財政改革大綱実施計画に、公共施設マネジメントの推進として、「公
共施設再配置の推進」の項目を加え、その取り組みを進めているところです。
この基本方針は、これから公共施設の再配置を進めていく上で、今後策定する「(仮称)周南市公共施
設再配置計画」に取り込み、公共施設の再配置の基本となるものです。
Ⅱ 基本方針策定の背景(周南市公共施設白書から分かる現状と課題)
1 公共施設の現状と課題
(1)建物の延床面積からみた施設の総量
本市が保有する公共施設のうち、周南市公共施設白書の「施設別データ」に基づく公共施設の数は
1,135 施設、敷地面積の合計は約 547 万㎡、延床面積の合計は 80 万 6,038 ㎡です。
延床面積を施設分類別に見ると、学校関連施設が 25 万 1,859 ㎡、市営住宅が 23 万 4,637 ㎡と
広く、この 2 分類で全体の 60.4%を占めています。
延床面積(80
万 6,038 ㎡)
②延床面積(万㎡)
上下水道施
設
3.1 4%
公園
0.4 0.5%
ごみ処理施設
2.6 3%
し尿処理施設
その他
0.0 1.7 0.05%
2%
市営住宅
23.5 29%
(単位:万㎡)
事務庁舎等
4.1 5%
80.6
市民交流施設
4.1 5%
教育文化施設
4.1 5%
スポーツ施設
2.9 4%
こども関連施設
2.3 福祉施設
3%
1.9 2%
万㎡
学校関連施設
25.2 31%
教職員住宅等
0.2 0.3%
-1-
保健衛生施設
1.6 2%
産業観光施設
3.0 4%
(2) 施設の整備状況
本市の公共施設は、昭和40年代~50年代にかけて、延床面積の概ね6割を整備しています。
特に、人口増加に伴う住宅供給の必要性から、市営住宅を昭和46年~54年の間に約11万7千㎡を、
また、年少人口の増加に対応して、学校関連施設を昭和46年~58年の間に約11万㎡を整備していま
す。これらの施設の62.1%(50万383㎡)は築後30年以上を迎え、大規模改修や建替えを検討する
時期が既に来ています。
施設年次ごとの施設分類別延床面積
50,000
築30年
延床面積(㎡)
築30年以上 500,383㎡(62.1%)
築30年未満 305,655㎡(37.9%)
45,000
40,000
35,000
●平成42年は・・・
老朽化はさらに進み
現在保有する施設(延
床面積806,038
㎡)の91.3%が建築
後30年以上に
市住
●現在保有する施設
(延床面積806,
038㎡)の62.1%が
建築後30年以上を経
過しています。
学校
30,000
市住
市営住宅は昭和46~54年が、
小学校や中学校などの学校関連
施設は昭和46~58年、昭和
62~平成1年が建築のピークと
なっています。
市住
市住
市住
市住
市住
25,000
市住
20,000
学校
市住
市住
市住
市住 学校
学校
市住
市住
学校
学校
市住
学校
学校
学校
市住
学校
学校
市住
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
学校
市住
市住
市住
学校
市住
市住
学校
市住
市住
学校
市住
学校
学校
学校
市住
市住
市住
学校
市校
住
学
学校
学校
市住
市住学校
市住
市住 学校
市住学校
学校
市住
市住
学校
市住
学校
学校
市住
市住
5,000
学校
市住
市住
学校
10,000
市住
市住
市住
市住
市住
15,000
S25以前
S26
S27
S28
S29
S30
S31
S32
S33
S34
S35
S36
S37
S38
S39
S40
S41
S42
S43
S44
S45
S46
S47
S48
S49
S50
S51
S52
S53
S54
S55
S56
S57
S58
S59
S60
S61
S62
S63
H1
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
0
事務庁舎等
市民交流施設
教育文化施設
スポーツ施設
こども関連施設
福祉施設
保健衛生施設
産業観光施設
学校
教職員住宅等
市住
公園
上下水道施設
し尿処理施設
ごみ処理施設
その他
(3) 人口の状況と課題(住民基本台帳人口)
周南市誕生時の平成 15 年 4 月 21 日の人口は、64,868 世帯、158,179 人(男;76,136 人、
女;82,043 人)で、1 世帯当たり約 2.4 人でスタートし、15 年 10 月 1 日現在の人口は、64,966
世帯、158,037 人となっています。
平成 24 年 10 月 1 日現在では、世帯数が 67,811 世帯、人口が 151,409 人で、平成 15 年 10
月と比較すると、世帯数が 2,845 世帯の増、人口が 6,628 人減となり、毎年平均、736 人減って
います。
平成 15 年の人口構成は、14 歳以下の年少人口が 21,662 人で 13.7%、15 歳から 64 歳の生産
年齢人口が 102,828 人の 65.1%、65 歳以上の高齢者人口が 33,547 人で 21.2%でしたが、21
年には高齢者人口の割合が初めて 25%を超え、25.3%となりました。
平成 24 年の人口構成は、年少人口が19,713 人で 13.0%、生産年齢人口が 60%を切り、90,695
人の 59.9%、そして高齢者人口が 41,001 人で 27.1%と、少子化、超高齢化が顕著となってきてい
ます。
-2-
(人)
(世帯数)
住民基本台帳人口数及び世帯数 各年 10 月 1 日時点
住民基本台帳人口数(外国人登録者数含む)及び世帯数(各年
10 月 1 日時点)
160,000
158,000
67,496
156,000
68,500
67,811
67,000
66,564
66,195
152,000
66,500
65,782
150,000
68,000
67,500
世帯数
66,970
154,000
148,000
67,680
67,919
66,000
65,308
65,500
64,966
65,000
人口
146,000
156,608
155,661
154,757
154,190
153,829
152,949
152,257
151,409
142,000
157,277
144,000
158,037
64,500
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
140,000
64,000
63,500
63,000
(4) 人口の将来推計(国立社会保障・人口問題研究所公表資料から)
平成 22 年国勢調査結果に基づいて、平成 25 年 3 月 27 日に国立社会保障・人口問題研究所が公表
した人口の将来推計では、周南市の人口は 17 年後の平成 42 年には、22 年の人口総数 149,487 人
と比較して、22,678 人減少し、126,809 人になるとされています。
人口構成は、14 歳以下の年少人口が 13,061 人で 10.3%、15 歳から 64 歳以下の生産年齢人口が
70,272 人で 55.4%、
65 歳以上の高齢者人口が 43,476 人の 34.3%で、その内 75 歳以上が 28,435
人で、全体に対する割合が 22.4%となると予測されています。
また、その 10 年後の平成 52 年には、人口が更に減少し 112,771 人、高齢化率も 37.5%に達す
るとされ、深刻な超高齢社会に突入します。
一方、高齢者を支える生産年齢人口は 59,025 人で 52.3%となり、22 年と比較すると、30,881
人減少します。
180,000
160,000
140,000
120,000
人口の将来推計
人口推計
(人)
152,387
149,487
34,886
63.4%
39,122
60.1%
100%
90%
145,034
44,500
56.7%
139,724
133,502
46,144
45,319
55.2%
55.1%
80%
126,809
43,476
55.4%
70%
60%
100,000
50%
80,000
96,608
89,906
77,076
82,255
73,532
60,000
40,000
22.9%
13.7%
26.2%
33.0%
30.7%
33.9%
70,272
34.3%
13.2%
12.6%
11.8%
11.0%
10.3%
19,769
18,279
16,504
14,651
13,061
20,000
40%
30%
20%
10%
20,874
0
H17
H22
年少人口
(0~14歳)
年少人口比率
H27
生産年齢人口
(15~64歳)
生産年齢人口比率
-3-
H32
H37
高齢者人口
(65歳~)
高齢者人口比率
H42
年齢不詳
0%
(5)
①
施設の更新費用の増大と財政上の課題
将来の更新費用の推計
本市の公共施設は、2 ページの「施設の整備状況」で説明していますが、保有する施設の延床面積
のうち約 6 割が建築後 30 年以上を経過しています。
平成 42 年には約 9 割が建築後 30 年以上を経過し、市が保有するほぼ全ての施設で改修や建替え
への対応が必要となり、更新費用も増大することが予想されます。
市が保有する施設を一定の条件下で、更新(大規模改修や建替え)する場合のコストについて試算
してみると、試算の対象とした公共施設(建物)を全て保有し、現状の規模で改修・更新を行った場
合、今後の 40 年間で約 3,322 億円の費用を要し、単年度換算で毎年約 83 億 500 万円が必要と見
込まれます。
さらに道路についての試算では、今後の 40 年間で約 788 億円の費用を要し、単年度換算で毎年約
19 億 7 千万円が必要と見込まれ、橋りょうでは、今後の 40 年間で約 203 億円の費用を要し、単年
度換算で毎年約 5 億 800 万円の支出が見込まれます。
公共施設(建物)、道路、橋りょうの合計は、今後の 40 年間で約 4,313 億円の費用を要し、単年
度換算で毎年約 107 億 8 千万円が必要と見込まれます。
(公共施設、道路、橋りょうに関する推計)
公共施設の将来の更新費用の推計
億円
160
公共施設・道路・橋りょうに関する投資的経費
直近5年間平均額 約82億2千万円
(公共施設への投資額 58億9千万円)
(道路・橋りょうへの投資額 23億3千万円)
140
○40年間の更新費用の総額 約4,313億円
○年間の更新費用 約107.8億円
橋りょう分
道路分
120
既60年経過
建替え分
100
80
60
既30年経過
改修分
建替え
40
20
改修
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
H34
H35
H36
H37
H38
H39
H40
H41
H42
H43
H44
H45
H46
H47
H48
H49
H50
H51
H52
H53
H54
H55
H56
H57
H58
H59
H60
H61
H62
H63
H64
0
-4-
② 上下水道を含めた試算
上下水道施設の試算では、今後の 40 年間で約 1,482 億円の費用を要し、単年度換算で毎年約 37
億円が必要と見込まれます。
公共施設(建物)に、道路、橋りょう、上下水道を含めた合計では、今後の 40 年間で約 5,795 億
円の費用を要し、単年度換算で毎年約 144 億 9 千万円が必要と見込まれます。
(公共施設、道路、橋りょう、上下水道に関する推計)
公共施設の将来の更新費用の推計
億円
200
公共施設・道路・橋りょう・上下水道に関する投資的経費
直近5年間平均額 約109億6千万円
(公共施設への投資額 58億9千万円)
(道路・橋りょう・上下水道への投資額 50億7千万円)
180
○40年間の更新費用の総額 約5,795億円
○年間の更新費用 約144.9億円
下水道分
橋りょう分
上水道分
160
道路分
140
既60年経過
建替え分
120
100
80
既30年経過
改修分
60
建替え
40
20
改修
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
H34
H35
H36
H37
H38
H39
H40
H41
H42
H43
H44
H45
H46
H47
H48
H49
H50
H51
H52
H53
H54
H55
H56
H57
H58
H59
H60
H61
H62
H63
H64
0
(6)施設更新における財政上の課題
公共施設(建物、道路、橋りょう)に関する更新には、毎年 107 億 8 千万円の事業費が必要と
なります。さらに、上下水道を加えた更新費用では 144 億 9 千万円が必要となるなど、今後現有
する全ての施設を維持更新していくためには、国や県の補助金を含め、その財源の確保が最大の課
題となります。
しかし、歳入においては、合併による普通交付税の優遇措置(合併算定替え)が平成 31 年度に
は終了することにより約 26 億6千万円の減額となり、さらに、平成 42 年の人口推計(国立社会
保障・人口問題研究所推計)では、126,809 人まで減少し、それに伴い生産年齢人口も 70,272
人へと減少すると予測されており、租税負担を担っている生産年齢人口の減少が、税収減へ直接、
影響を及ぼすものと考えられます。
-5-
一方、歳出においては、高齢者人口の増加による扶助費の増加が予測されます。
さらに、公債費についても、合併特例債や臨時財政対策債等の返済が始まることから増加が予想
されます。
周南市公共施設白書では、全ての施設の更新に必要な一般財源の額を、借り入れた地方債の償還
や減少する地方交付税、さらには生産年齢人口減少による税収減の影響額などを含め、年間約 131
億円と推計していますが、公共施設の老朽化への対応だけではなく、今後のまちづくりを進めるた
めに必要な財源の確保は、成し遂げなければならない喫緊の課題です。
【合併算定替え終了による普通交付税の縮減】
≪イメージ図≫
一本算定数値使用年度の前5年間
0.9
※注
2 6 .6 億円
0.7
差
額
合
併
算
定
替
数
値
平成31年度以降の普通交付税額は、平成25年度時
点での推計では26.6億円減額になる見込み
0.5
0.3
※注:国においては、平成26年度以降5年程度の期間で、合併自治体に対する
普通交付税の算定方法を見直すこととしていますが、周南市としての一本算定
の変動額が不透明であることから、現時点での見込額である26.6億円に据え置
いています。
0.1
一
本
算
定
数
値
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32
平成26年度からの財源の減少は財政運営に大きな影響
【公共施設白書で推計した全ての施設の更新に必要な一般財源約131億円の内訳】
❏施設更新工事等に必要と考えられる一般財源(約102億5,700万円)
公共施設を大規模改修や建替えをする場合の財源は、通常、地方税や地方交付税収入などの一般財
源のほか、国・県支出金(補助金)や、市債(借金)を発行し活用します。一定の条件の下、公共施
設を更新した場合に必要な一般財源額の試算結果は以下のとおりとなります。
なお、試算のための前提条件は、4頁で説明した公共施設・道路・橋りょうの更新費用(40年間
で総額4,313億円、毎年107.8億円)に対し、国・県補助金が20%、残りの80%に対し
て75%の地方債を発行した場合で計算し、市債による借入は更新費用の60%、一般財源は20%
としています。
-6-
①
公共施設白書で、公共施設を全て更新するとして試算した、今後40年間に必要な経費約
4,313億円(年間約107.8億円)のうち、国県の支出金や市債等を除いた一般財源の額(更
新費用の20%)
◇毎年約21億6千万円
②
既に借り入れている公用施設等の整備に要した市債及び、公共施設を全て更新するとした場合に
借り入れる市債の償還に必要な一般財源の額
◇毎年約80億9,700万円
❏制度の変更等による一般財源減少への対応(約29億2,100万円)
本市は、平成15年4月21日に合併しており、合併年度及びこれに続く10年度について、合併特
例法による地方交付税の特例措置が適用されています。
本市の場合、図のとおり平成26年度から普通交付税の減少がはじまります
①
合併優遇措置の終了による普通交付税の減少への対応
◇影響額 約26億6千万円
②
人口の減少に伴う市税等の減少への対応
国立社会保障・人口問題研究所の推計による生産年齢人口の伸び率から単純に推計すると、平成
22年に比べ、平成32年には約10億4,400万円の減収と推計されますが、現在の地方交付税
制度では、税収が減となった場合、普通交付税で一定額が補てんされる仕組みとなっています。
補てんされる額は、標準税収見込額に75%を乗じた額となり、25%分が減収する計算となり
ます。
◇影響額 約2億6,100万円
-7-
Ⅲ 公共施設再配置の基本方針
1
公共施設の再配置
本市が保有する公共施設(建物)の多くは、昭和 40 年代から 50 年代にかけて建築されており、平成
25年4月1日現在で、建物全体の約 6 割が建築後 30 年を経過しています。
さらに、約 20 年後の平成 42 年には約 9 割が建築後 30 年を超えることから、それまでの間に、ほと
んどの施設で大規模改修や建替への対応が必要な状況となると考えられます。
また、道路や橋りょう、上下水道施設などの生活を維持していく上で不可欠な都市基盤施設についても、
その安全性、安定性が求められることから、計画的な改修が必要となっています。
少子化や超高齢社会の進行の影響から、市歳入の減少や施設等の利用者の減少が予測され、確実に増嵩
する扶助費への対応や、中山間地域と都市地域での人口動向の違いから派生する生活関連の行政サービス
の多様化等への対応等の需要が増加すると見込まれます。
合併支援措置が終了することによる地方交付税の減少等の影響から、今後厳しい財政状況が予測される
中、現在保有する全ての公共施設を現状のまま更新(大規模改修や建替え)をしていくことは、非常に困
難な状況にあります。
このような状況に対応していくためには、施設の現況や課題等への対応や将来を見据えた施設の必要性
等を、ライフサイクルコスト(建物の存続期間に要する全コスト)も踏まえた上で、今後目指していく「公
共施設の保有のあり方」を整理し、本市の身の丈に合った施設の保有総量の適正化、いわゆる「公共施設
の再配置」を実現していかなくてはなりません。
2
公共施設の保有のあり方
公共施設への市民ニーズの質や量の変化を捉え、必要となる施設を将来にわたり維持させるため、今後
の「公共施設の保有のあり方」を、次の 4 項目とし、財源や既存施設などの限られた資源を有効に活用す
るなど、持続可能なサービスの提供を目指します。
(1)市民ニーズの変化に対応するサービスの提供(サービスの最適化)
社会環境の変化を的確に捉え、既存の施設を有効に活用して、新たに必要とされるサービスを充
足し、市民ニーズの変化に対応したサービスの提供を目指します。
(2)効果的で効率的な施設の管理運営(コストの最適化)
現状で利用状況が低く、将来的にも需要が少ないと推測される施設等については、運営方法を見
直すなど、限られた財源を効果的に使用していくことができる方法への改善を目指します。
(3)次の世代に継承可能な施設保有(量の最適化)
人口減少が急速に進展する中、将来に大きな財政負担を残さないかたちで、施設を維持更新して
いくために、人口減少に合わせて施設保有量を縮減し、量の最適化を図ることにより、次世代に継
承可能な施設保有を目指します。
-8-
(4)安全に、安心して使用できる施設整備(性能の最適化)
施設の維持管理にあたっては、破損等が発生した後に修繕等を行う「事後保全型」から、計画的
に保全や改修等を行う「予防保全型」への転換を図り、施設の長寿命化を進め、安全で安心な施設
整備を目指します。
※性能の最適化を図るための施設の長寿命化には、大規模改修や建替え等を含めます。
(参考)施設保有の最適化のイメージ図
総量縮減
将来の余剰
廃止・
多目的化・
複合化等
現在の余剰
効率的運営
長寿命化
❏大規模改修
❏建替え
❏予防保全改修
❏耐震、バリアフリー
新たなニーズ
現在の保有施設
3
将来の保有施設
公共施設の保有のあり方を実現するための方針
市が保有する施設については、庁舎や学校、市民交流施設などの「建物等を保有する施設」のほか、
道路や橋りょう、上下水道などの生活に密着した「都市基盤施設」に分けられます。
これらについては、ともに公共施設として位置づけられ、総合的・一体的なマネジメントを行うこと
が必要ですが、施設の性格上統一的に取り扱うことが困難であることから、具体的な取り組みにおいて
はそれぞれ分けて実施することとします。
前項で整理した、公共施設保有のあり方を実現するための方針は次のとおりとします。
(1) 建物等を保有する施設の最適化
① 公共施設白書の内容や「施設別データ」に基づく現有施設の検証
ア. 利用者数や市民ニーズ等からの検証(機能の検証)
機能(提供している住民サービス)の検証では、地域性や利用状況、管理運営コスト、他施
設との重複性、サービスの重要度などの観点から検証します。
イ. 建物性能の検証
ハード面では、建物の老朽度、耐震性、バリアフリーへの対応等、今後も引き続き運用して
いく上での安全性等への対応状況について検証します。
-9-
② 地域の拠点となる施設への取り組み
地域の拠点となる総合支所や支所、公民館を中心とした地域づくりの推進と、それらで行わ
れている機能、提供されている住民サービスについては維持していくことを基本として公共施
設の再配置に取組みます。
③ 将来を見越した公共施設の最適化
ア. サービスの最適化
❏
施設の更新や建替え等を実施する場合や、新たなニーズへの対応が必要な場合には、機能の
向上を目指すことを念頭に、施設の多機能化、複合化を検討します。
また、多目的施設への転用についても検討します。
❏
指定管理者制度や包括的民間委託等、PPP手法の拡大、活用による民間ノウハウの導入に
よるサービスの最適化を図ります。
※PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)
公⺠連携という意味で、PPP には PFI 事業や指定管理者制度、包括的⺠間委託、⾃治体業務のア
ウトソーシング等も含まれます。
イ. コストの最適化
❏
毎年施設の管理運営に関する評価を実施し、効率的、効果的な管理運営に努め、必要なコス
トの最適化を図ります。
❏
施設使用料の見直しを定期的に実施し、受益者負担の適正化を図り、管理運営コストの最適
化を図ります。
❏
未利用、低利用財産の貸付や売却を積極的に行い、管理運営コストの低減を図ります。
【現有施設検証のイメージ】
建物性能(高い)
利用率などは低いが、
施設改修の必要性は
ない
利用率等が高く、施
設改修の必要性もな
い
転用
⇒複合化・転用など
の検討領域
継 続
複合化・多目的化
見直し
継続
機能移転
利用・運営の状況(高い)
利用率などが低く、施
設が老朽化している
⇒廃止(売却・貸付・
譲渡など)の検討領
域
⇒行政サービスの維
持向上領域(施設の
適正管理)
大規模改修
利用率等は高いが、
施設は老朽化してい
る
⇒建替えや大規模改
修などの長寿命化
廃止
建替え
廃止
- 10 -
改善
ウ. 量の最適化
❏
新規施設整備は、原則として抑制の方向で進めることにより、公共施設総量を抑制します。
ただし、周南市まちづくり総合計画の最重点プロジェクト等に基づく新たな施設整備にあた
っては、将来の公共施設総量の抑制を念頭に置いた整備を行うこととします。
❏
既存施設は、市の関与の必要性や施設機能の重複、住民福祉の向上に対し施設が果たす役割
などについて検証し、施設の継続や廃止等の見直しを進めます。
❏公共施設総量の抑制を図る手法の一つとして、施設の複合化や民間施設の活用等の手法を検討
します。
❏
廃止が決定し、その後の活用方法が決定されていない施設は、取り壊しを原則とします。
エ. 性能の最適化
❏
地域の拠点施設をはじめ、引き続き存続していく施設で、長寿命化(大規模改修や建替え、
予防保全等)を図るとともに、耐震化、バリアフリーへの対応等利用者に配慮した施設性能の
向上に努めます。
(2)都市基盤施設の最適化
道路や橋りょう、上・下水道、都市基幹公園(スポーツ施設等を除く。)、漁港等の都市基盤施
設については市民生活を支えるものであることから、基本的に安全かつ安定的な施設の運用が求め
られます。
そのためには定期的な点検・改修を行うことにより、施設を良好な状態に保つことが必要であり、
中長期的な視点から施設の維持管理を行う、計画的な予防保全が求められます。
① 長寿命化計画やストックマネジメント等による計画的な維持管理
本市では、橋りょうは「橋りょう長寿命化計画」、水道は浄水施設や管渠等も含めた「整備基本
計画」、下水道は「下水道長寿命化計画」を策定し、計画的な改修等の実施により、施設の長寿命
化を図ることとしています。
他の基盤施設についても、今後、施設ごとの長寿命化計画を策定し、サービスの維持を基本とし
ながらも、市民ニーズや将来の需要予測等を踏まえ、定期的な見直しを図る中で施設の維持管理を
行います。
(3)公共施設を維持更新していくために
①
公共施設を維持更新していくための財源の確保
❏ 行財政改革を推進し、財源の捻出を図ります。
❏ 未利用、低利用財産の効率的な運用を図ります。
❏ 施設使用料の定期的な見直しによる利用者負担の適正化を図ります。
②
公共施設を維持更新していくための公共施設マネジメントの実施
❏ 施設のマネジメントを一元管理する推進組織を設置し、施設の予防保全や適正管理に取り組み
ます。
❏ 公有財産管理システムの再構築に取り組みます。
また、現在総務省で検討されている自治体の会計の新基準に対応するために必要な固定資産台
帳の整備を進めます。
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Ⅳ 今後の取り組み
1(仮称)周南市公共施設再配置計画の策定
「周南市公共施設再配置の基本方針」を取り込み、公共施設の再配置に関する計画を策定します。
計画の策定にあたっては、市民の皆さまへの情報提供やニーズの把握等を行う中で取り組みを進めま
す。
2
次期まちづくり総合計画やインフラ長寿命化基本計画との整合
(仮称)周南市公共施設再配置計画の策定にあたっては、平成 27 年度からの周南市のまちづくりの
マスタープランとなる次期まちづくり総合計画や、国が策定したインフラ長寿命化基本計画との整合を
図ることを基本として策定します。
3
計画策定に向けての庁内体制
計画の策定にあたっては、市長を本部長とする行政改革推進本部を中心に、全庁的な取り組みとして、
職員が一丸となって推進します。
また、行政改革推進本部のもとに、地域の拠点施設である総合支所、支所及び公民館について協議す
る「出先機関再配置プロジェクトチーム」の設置とともに、その他の施設についても、関係所管課によ
るワーキンググループを組織し、(仮称)周南市公共施設再配置計画の策定を進めます。
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