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2012年度 - 男女共同参画センター(横浜市男女共同参画推進協会)

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2012年度 - 男女共同参画センター(横浜市男女共同参画推進協会)
2012 年度
事業報告書
2012.4.1-2013.3.31
公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会
http://www.women.city.yokohama.jp
目
2012 年度事業報告
I
II
次
総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
事業実施の状況
1
情報事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2
調査研究・事業開発事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
3
広報啓発事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
4
相談事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
5
講座事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
6
協働連携事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
7
男女共同参画推進施設管理運営事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
施設利用状況・施設管理業務実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
2012 年度事業報告 総括
2012 年度は第 2 期の指定管理期間(2010 年度~2014 年度)の中間年にあたり、横浜市男
女共同参画センター3 館(以下、
「センター3 館」
)と本部が連携・協働して、指定管理提案
内容を着実に実施するとともに、提案後の社会状況の変化に柔軟に対応しながら事業を展開
しました。その結果、横浜市が実施した「男女共同参画指定管理業務第三者評価」において、
「男女共同参画推進の拠点施設として、第三次横浜市男女共同参画行動計画に基づいた事業
を実施し、横浜市の男女共同参画施策を推進している」と高い評価を受けることができまし
た。
1 女性の就業支援事業の充実強化
近年の働く女性・働きたい女性の抱えている状況はさまざまで、働き続けてキャリアアップを
目指す女性たち、就労中断後に再就職を目指す女性たち、母子家庭の母親や DV 被害女性など経済
的自立を迫られる女性たち、雇用・就業構造の変化による影響を強く受けて働く場の確保が困難
な若い女性たちなど、その態様はますます多様化しています。センター3 館および本部が役割分
担をして、多岐にわたるニーズとそれぞれの館の事業の特徴をふまえた女性のための就業支援事
業に力を入れました。
センター横浜は、女性起業 UP ルーム、相談センターが置かれているという特徴があります。
この特徴を活かして、
(公財)横浜企業経営支援財団と連携しながら女性の起業支援事業や、母子
家庭の母親のための就業支援事業に継続して取り組みました。これまでセンター横浜のみで実施
していた若年無業女性のための「ガールズ編しごと準備講座(以下、
「ガールズ講座」
)
」は、参加
者にとってのアクセスを改善するためにセンター横浜とセンター横浜南で実施しました。
センター横浜南では、就労体験の場「めぐカフェ」を運営して「ガールズ講座」修了者を実習
生として受け入れ、よこはま若者サポートステーション等市内若者支援機関と連携して自立へ向
けて支援しました。
センター横浜北が立地する北部地域は子育て世代が多く、女性の再就職ニーズが高いという特
徴があります。このニーズに応えるため、横浜市経済局、人材紹介事業者との 3 者協働によって
再就職・転職を目指す女性への支援事業を実施しました。このほか、横浜市市民局と共催してキ
ャリアアップを目指す女性向けに「横浜女性ネットワーク会議」を開催しました。
2 「災害・防災と男女共同参画」をキーワードとした地域への働きかけ
東日本大震災後、協会では「災害・防災と男女共同参画」をテーマとした調査やプログラムの
開発に取り組みました。2012 年度はその成果を活かして、女性が防災活動に主体的に参加してい
けるよう、地域への働きかけに力を入れました。
センター横浜南では、
「災害時におけるシニア女性の行動と意識に関する調査」
(2012 年 3 月)
1
で得られた知見に基づいて、横浜市老人クラブ連合会、南区老人クラブ連合会、南区役所等との
共催により「シニア女性の出番です!防災塾」を実施し、調査で連携した地域の関係者との協力
関係をより一層強めることができました。
センター横浜北では、改定版『YOKOHAMA わたしの防災力ノート』
(2011 年 9 月)を活用した地
域出前学習会として、
市内 11 ヵ所の町内会や地区センターの防災講習会等に職員を派遣したほか、
地域の自主防災関係者を主な対象者としたトークセッション「災害に強いまちづくりに女性の力
を」を開催しました。また、横浜市こども青少年局との協働により、市内 9 ヵ所の子育て支援拠
点で「子育て家庭の防災サロン」を開催しました。こうした取組みは市外からも注目され、他自
治体の男女共同参画センター等 11 ヵ所に職員を派遣し、
ワーキングマザーや子育て世代の防災力
向上を目的とする講座やその地域独自の防災啓発ツールづくりを目指すセミナーの講師を務めま
した。
3 デート DV 防止啓発の試み
相談センターには配偶者からの DV だけではなく、交際相手からの暴力(いわゆる「デート DV」
)
についての深刻な相談が寄せられています。しかしデート DV には DV 防止法の保護命令が使えな
いなど、支援策が限られている現状があります。
「横浜市 DV 施策に関する基本方針及び行動計画」の「基本方針Ⅴ 施策の方向Ⅴ-2」には、
若者向けのデートDV啓発講座をNPO等と協働して実施することが取組み内容の一つとして掲げら
れています。2012 年度、相談センターでは深刻な状況なる前に DV を予防するという観点から、
若い世代へ向けたデート DV 防止啓発に力を入れました。NPO との協働による市内の学校へのデー
ト DV 防止啓発出前講座を市内の中学・高校・大学等で 26 回実施し、参加者は 4,000 人近くにの
ぼりました。また新たな試みとして、教育や指導というスタイルではなく、若者自身が「お互い
を大事にしあうこと」を考えて発信することをめざしたフォトメッセージ・コンテストと、応募
作品の選考を兼ねたワークショップに取り組みました。
2
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
1 情報事業
Ⅰ 事業実施の状況
1 情 報 事 業
情報事業では、センター横浜の情報ライブラリ、センター横浜南の資料室、センター横浜北
の交流ラウンジを中心に、男女共同参画推進に資する情報を収集し提供しています。資料の
配架は、独自分類(A 女性論とその周辺、B 生きかた・しごと、C こころとからだ、D 生活と
芸術・文学、E 情報と市民活動、F 国際協力と開発)を採用し、利用者が課題解決に役立つ資
料を探し出しやすいように工夫して、書架に配置しています。また、テーマを設定しての資
料展示、関連事業で配布するテーマ別資料リストの作成、講座実施時に関連図書を会場に展
示する「出張ライブラリ」
、インターネットやメールマガジンその他発行物を通しての男女共
同参画センターの本の紹介など、情報発信と資料の利用促進に力を入れています。
◆2012年度資料貸出状況
2012 年度の情報事業においては、センター3 館の資料貸出数合計、貸出利用者数、ライブラリ
カードの新規登録者数がすべて、前年度より大幅に増加しました。資料貸出数は、65,513 点(横
浜 54,180、南 5,525、北 5,808)で、前年度 50,312 点(横浜 43,260、南 3,271、北 3,781)に比
べて 3 割増、貸出利用者数は、のべ 27,225 人(横浜 21,911 人、南 2,846 人、北 2,468 人)で、
前年度 21,297 人(横浜 18,221 人、南 1,618 人、北 1,458 人)より約 6,000 人増、また、ライブ
ラリカードの新規登録数は 1,389 件(横浜 849、南 260、北 280)で、前年度 1,196 件(横浜 852、
南 151、北 193)に比べて 16%増加しました。
◆おすすめ本フェア・展示等
発信するライブラリとして、2012 年度も継続して資料の展示等に積極的に取り組みました。一
つのトピックについて、3 人の専門家が男女共同参画の視点で選んだ推薦本を展示するブックフ
ェアは、
「おすすめ本フェア」と名称を変更して実施
しました。今年度は「経済危機のなかの女性」と「私
たちの東日本大震災」を開催、センター3 館で巡回
展示が終了したあとは、これまでに実施したブック
フェア資料とともに、公共施設・団体等にセット貸
出を行います。
「おすすめ本フェア」のほかにも、センター横浜
が月変わりで企画・展示している
「月別テーマ展示」
を 3 館で巡回したほか、館ごとに独自で、講座や相
談などの事業やその時々の社会のできごとに関連さ
3
「おすすめ本フェア『私たちの東日本大震災』 」
田口ランディさんの選書
「作家の見た東日本大震災」
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
1 情報事業
せて展示を行いました。センター横浜では 65 回、センター横浜南では 11 回、センター横浜北で
は 12 回実施しました。
◆テーマ別資料リスト、新着図書ピックアップ、メールマガジン
センター横浜では、講座や相談などの事業参加者に資料を活用してもらうため、課題別資料リ
ストや新着資料を案内する「新着図書ピックアップ」を作成しました。これらの資料リストは講
座や相談を通して 3 館で配布するほか、ホームページでも公開しています。所蔵資料の情報を発
信するメールマガジン「きらり☆ライブラリ@フォーラム」は毎月配信しています。
<利用者の声>
・ きちんと整理されているので見やすい。特に年代別の棚は自分に合ったテーマの本
が集められ、探しやすい。
(センター横浜)
・ 書評の切り抜きが展示してあって大変興味深く、本も探しやすい。
(センター横浜)
・ 子ども連れだと雰囲気的に図書館より借りやすい。
(センター横浜)
・ テーマ(同年代の作家など)の展示などもよく、充実している。
(センター横浜南)
・ 以前に比べ新刊本が定期的に購入されているのがうれしい。資料室の利用回数も増
えた。
(センター横浜南)
・ ここで知った本を購入したことが何回かある。よい出会いを与えていただいて
ありがとうございます。
(センター横浜北)
・ いろいろなジャンルの本があるのが魅力的です。また、LGBT(レズビアン・ゲイ・
バイセクシュアル・トランスジェンダー)に関する展示は、LGBT がどんなことな
のか今まで知らなかったので勉強になり、展示の内容もよく、楽しめました。
(セン
ター横浜北)
4
2012 年度事業報告書 Ⅰ事業実施の状況
2 調査研究・事業開発事業
2 調 査 研 究 ・ 事 業 開 発 事 業
男女共同参画に関する事業を企画実施するうえで、社会経済状況の変化を的確に捉え、国や
横浜市における現状や課題を把握することは、多様な背景、ニーズをもつ市民の生活実態に
即した事業を展開するためにも大変重要です。このため、調査研究を実施して、その成果を
公開し、新規事業の開発に取り組んでいます。2012 年度は、デート DV 防止啓発、若年無業
女性支援、地域における男女共同参画の視点に立った防災、性暴力を含む被害者支援をテー
マに、新規プログラムの開発やハンドブックの発行などに取り組みました。
◆デート DV(交際相手からの暴力)防止啓発に関する取組み
若い世代の視点にたったデート DV の防止啓発に向けて、
16 歳以上 25 歳以下の若者を対象に
「お
互いを大事にしあうこと」をテーマとしたフォトメッセージを専用サイトで募集し、ソーシャル
メディアを活用したキャンペーンを実施しました。キャンペーンと並行して、応募作品の選考を
兼ねた同世代の参加者によるワークショップを 3 回実施し、若者が恋愛をめぐる思いや実感を語
り合う場をつくり、最終回にはワークショップ参加者で応募作品の選考を行いました。
2 月にはホールで応募作品の表彰式を兼ね、公開発
表会を開催しました。公開発表会は 2 部構成で、第 1
部は講師の玉山貴康さん(
(株)電通コピーライター)
とワークショップの進行役を担った兵藤智佳さん(早
稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター助教)に
よる
「デート DV を若者に伝える」
ことについての対談、
第 2 部は、
「恋愛と束縛~どこからが暴力?」をテーマ
に、ワークショップ参加者らによるパネルディスカッ
ションを行いました。
公開発表会での学生による
パネルディスカッション
◆『
“ガールズ”自立支援ハンドブック』の執筆、発行
2009 年度からセンター横浜およびセンター横浜南で取り組んで
きた“ガールズ”(若年無業女性)就業支援事業の背景とプログラム
を、主として支援者を対象にして、
『
“ガールズ”自立支援ハンドブ
ック』(A5 判 52 ページ)としてまとめ、NPO 法人全国女性会館協議会
から発行しました。
「ガールズ講座の実際」
「就労体験カフェの実際」
「ガールズ支援事業の出口と地域連携」について記述したほか、巻
末の「資料編」には 2012 年度にセンター横浜南で開催した「若い女
性の自立支援のための公開講座&支援者研修」から得た有識者の知
5
『“ガールズ”
自立支援ハンドブック』
2012 年度事業報告書 Ⅰ事業実施の状況
2 調査研究・事業開発事業
見を収めました。
これらの研修やブックレットの発行を広く発信したところ、横浜市『調査季報』をはじめ複数
の団体の情報誌から原稿執筆依頼を受けました。
◆シニア女性向け防災塾のプログラム開発・実施・報告書の作成
センター横浜南で 2011 年度に実施した『災害時におけるシニ
ア女性の行動と意識に関する調査報告書』では、シニア女性が地
域の見守り役・支え手として豊かな潜在力をもっていることが明
らかになりました。シニア女性の力を平素から活かし、災害時に
も発揮してもらうために、2012 年度は、シニア女性を対象とした
防災塾の研修プログラムを開発しました。
この研修プログラムを伝えるツールとして、町内会長や地域リ
ーダー向けに事業レポート(A4 判 6 ページ)を横浜市とともに作成
し、発行しました。また、学習プログラムの事例として、文部科
学省発行の『地域づくりに参画する女性人材の育成のための学習
事業レポート
機会の充実~防災分野に関する事例集』に収載されました。
◆子育て世代と地域に向けた防災プログラムの開発と実施
横浜市は若いファミリー世代の転入人口が多く、市北部地域はその傾向が特に強いという特徴
があります。転入してきた新住民の世帯は地縁が薄く、
横浜市の地域防災情報の理解も十分ではありません。そ
こで男女共同参画センター横浜北ではこども青少年局と
協働で、子育て世代を対象とした講座型の防災プログラ
ムを開発し、
「子育て家庭の防災サロン」として実施しま
した。このプログラムは、防災学習を通して、自分の家
庭の安心・安全づくりに取り組むことだけでなく、地域
を知り、周囲とのつながりをつくることも目的にしてい
子育て支援拠点で開催した
「子育て家庭の防災サロン」
ます。
◆研修マニュアル「被害者支援サービスにおける倫理」の翻訳と公開
事業本部事業企画課では、アメリカ合衆国司法省司法プログラム局犯罪被害者対策室が活用し
ている支援者のための研修マニュアル“Ethics In Victim Services”の日本語への翻訳に取り組
みました。本マニュアルは、支援者が直面しがちな倫理的ジレンマについて取り上げ、適切な支
援ができるようになることを目的としているものです。
6
2012 年度事業報告書 Ⅰ事業実施の状況
2 調査研究・事業開発事業
2012 年 6 月、センター横浜は「StaRT かながわ」との共催で、
性暴力被害者支援をテーマとしたシンポジウムを開催し、この
シンポジウムに招聘したアメリカの専門家を通じて、横浜市市
民局男女共同参画推進課が本マニュアルを入手しました。日本
においては、性犯罪を含む被害者支援体制を充実させていくこ
とが重要な課題となっています。当協会では、この課題に応え
ていくために、被害者支援サービスに携わる支援者の参考とな
る本マニュアルの翻訳を行い、2013 年 3 月、当協会ホームペー
ジにて自由にダウンロードができる形で公開しました。
『被害者支援サービスにおける倫理』
7
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
3 広報啓発事業
3 広 報 啓 発 事 業
社会を構成するあらゆる人が、性別にとらわれない生き方や社会への参画の必要性について理
解を深めることは、男女共同参画社会を実現するために不可欠です。しかし、阻害要因の一つ
である性別役割分担意識は、長い時間をかけて形成されてきたものであるため、継続的な広
報・啓発が必要です。年間を通して、多様な媒体を駆使して、男女共同参画の啓発とセンター
3 館で実施する男女共同参画に関する事業についての広報に取り組みました。また、啓発セミ
ナーの開催、学校・行政機関・自治会等が主催する研修会への職員の講師派遣などにより、男
女共同参画の理解促進を図りました。
◆広報事業
Web 媒体による広報では、Twitter や Facebook などのソーシ
ャルメディアを活用した情報発信に力を入れました。
センター3
館の Facebook ページを公式アカウントとして整備し、Twitter
では主に事業ごとのアカウントを運用して、関連する情報を発
信しました。協会ホームページでは、ソーシャルメディアのア
カウント一覧および運用方針を公開しました。2012 年度のホー
ムページのトータルアクセス数は 1,185,456 件となり、前年度
比 107%と増加しました。
紙媒体では、広報・啓発誌『フォーラム通信』
、
『F ナビ』等
の協会独自の媒体を発行しました。このほかにも新聞、タウン
紙等の外部媒体に対しても随時、情報提供を行い、男女共同参
『フォーラム通信』 秋号
画事業を積極的に伝えるように努めました。
センター3 館や事業本部事業企画課でメールマガジンを発行し、協会全体では、年間に 52 本の
メールマガジンを配信しました。
◆啓発セミナー等
センター横浜、センター横浜北、事業本部事業企画課では、男女共同参画啓発講座を実施しま
した。
統計データを使って日本の男女共同参画の状況を読み解くセミナーを実施したのは、センター
横浜とセンター横浜北です。センター横浜では、皆川満寿美さん(大学非常勤講師)を講師に「お
となのための社会学セミナー 格差社会と女性」を開催、参加者からは「もっと勉強したい」
「参
加者同士で話し合いたい」
「なにか行動したい」と熱い思いが語られました。
センター横浜北では、
「男女格差 101 位の日本!?私たちの社会~統計を使って現状(いま)を
考えよう」を高橋由紀さん(国立女性教育会館職員)を迎えて実施、暮らしや仕事の中にある男
8
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
3 広報啓発事業
女格差の現状を数字で見直すことで、男女共同参画が身近なあらゆる場面において重要なテーマ
であることをあらためて実感する講座となりました。
事業本部事業企画課では、女性学のパイオニア上野
千鶴子さん(NPO 法人ウィメンズアクションネットワ
ーク(WAN)理事長)を招いて講演会を実施しました。
ときにユーモアを交えながら日本の女性が直面する課
題に鋭く切り込む語り口に、多くの参加者から「すっ
きりした」
「元気が出た」
「有意義だった」という感想
が寄せられました。
また、女子児童の理系進路選択支援として「理科っ
「男女格差 101 位の日本!?私たちの社会
~統計を使って現状(いま)を考えよう」
ておもしろい!女の子だけの実験教室」を、企業等の
協力により開催しました。オリジナル化粧水を作って
乳化について学ぶ、猿から人への進化を学んで段ボー
ルでヒトの手を工作するなど、ものづくりを通して科
学を学ぶ手法が女子児童の興味をひきつけました。
研修講師派遣事業では、カリタス女子短期大学の授
業に出向き、これからキャリアを築いていく若い世代
を対象に講義を実施したほか、
「災害・防災と男女共同
参画」をテーマとした研修や講演会に職員を派遣しま
男女格差 101 位の日本・私たちの社会
~統計を使って現状(いま)を考えよう
「理科っておもしろい!
女の子だけの実験教室」
した。
『YOKOHAMA わたしの防災力ノート』を活用しながら女性の視点・力を活かした防災を地域
に広げるとともに、地域での男女共同参画センターの周知にも努めました。ほかにもセクシュア
ル・ハラスメント防止、男女共同参画、DV 等について、講師依頼を数多く受けました。
<利用者の声>
・ がっこうではおしえてもらえないことをおしえてもらえた。たのしかった。
(理科っ
ておもしろい!女の子だけの実験教室)
・ 自分は 70 代で右肩上がりの時代、不安のない結婚生活でした。子や孫がどういう問
題に直面しているか理解したく参加しましたが、お話を聞いて世代間のギャップが
うめられたかと思います。
(おとなのための社会学セミナー 格差社会と女性)
・ 統計を読むという事で現状がよくわかりました。気がつかなかった格差を皆で考え
る、そして、少しでもよい社会にするヒントを考えることは、楽しくまた重要なこ
とと感じました。
(男女格差 101 位の日本!?私たちの社会~統計を使って現状(いま)
を考えよう)
・ 弱者になったのは自分のせいと思ってしまいますが、勇気をいただきました。小さ
なことからでも、歩き出していきたいと思います。
(上野千鶴子講演会)
9
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
4 相談事業
(1)心とからだと生き方の総合相談
4 相 談 事 業
(1)心とからだと生き方の総合相談
「心とからだと生き方の総合相談事業」は、固定的な性別役割や男女格差に起因する生きづ
らさを受けとめ、性別役割観にとらわれない視点を相談者に提供しつつ、相談者自らが課題
を整理し、解決していくプロセスを支援しています。相談内容は属性別や問題別にくくらず
に受けとめること、個別に語られた相談を社会化していくことも大切にしながら取り組んで
います。相談者には、センター3 館で実施する関連講座、サポートグループ、自助グループ、
情報ライブラリの関連資料など多様な資源のほか、
行政等の制度利用について紹介しました。
また、DV 被害の相談については安全を最優先した対応を行いました。
◆個別相談
電話相談は、2010 年度よりセンター横浜の「心とからだと生き方の電話相談センター」
(休館
日を除く毎日 9 時~16 時、平日月曜・金曜は 18 時~20 時の夜間対応)で集中的に対応していま
す。また職員による面接相談および弁護士・医師相
談は、相談者の希望に応じて各センターで実施して
います。
相談件数は電話相談 4,646 件、面接相談 555 件(3
館)
、弁護士・医師相談 106 件(3 館)となりました。
相談内容のうち、電話相談の 19%、面接相談の 57%
が DV に関するもので、横浜市 DV 相談支援センター
が前年度開設したこともあり、前年度に比べて DV
を主訴とした相談割合は低くなっています。一方で
相談室
メンタルに関する相談は前年度の 10.9%から
14.8%と微増しています。
「死んでしまいたい」と訴える相談ケースについては、精神科医師をス
ーパーバイザーに迎えてケース検討を行いました。また、DV だけでなく子どもへの虐待もあるケ
ースについては、ケース検討を通じ、児童相談所・区福祉保健センターなどの関係機関と緊密に
連携をとり、相談者の問題解決を支えました。
2 月から 3 月にかけての面接相談利用者 59 人に対して、満足度を問うアンケートを実施しまし
た。回収数 56 件(回収率 95%)の結果は、①「安心して相談できたか」については、
「大変安心
できた」
「安心できた」合わせて 100%、②「相談員の対応について」は「とてもよかった」
「よ
かった」合わせて 100%。③「気持ちの整理に役立ったか」④「役立つ情報、知識が得られたか」
についてはいずれも 95%が「十分役立った(得られた)
」
「役立った(得られた)
」と回答し、高
い評価を得ることができました。
10
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
4 相談事業
(1)心とからだと生き方の総合相談
◆DV 被害女性のためのグループ相談
同じような体験をした人と語り合い、思いを共有したいというニーズに応え、DV 被害を受けた
女性のグループ相談を 3 コース実施しました。グループ相談は、それぞれが抱えてきたつらい経
験や不安や怒りなどの気持ちを徐々に言葉に出すことで、自分一人ではないと気づく場、支え合
いの場となっています。特に 2012 年度は、加害者と同居している女性、別居している女性とに分
けたことで、参加者同士の課題共有が深まり、自助グループとして新たに活動を開始する動きも
見られました。
◆自助グループ支援事業
同じ悩みを抱える当事者が定期的なミーティングで体験や情報をわかちあい、互いに支えあう
活動である自助グループを公募し、ミーティングスペースの無料提供や保育などの支援を行いま
した。2012 年度に支援した自助グループ数は、センター3 館で 39 グループにのぼり、ミーティン
グ参加者は、のべ 7,927 人と過去最大規模となりました。安全な活動を支えるため、場所や日時
を非公開としているグループの場合には、相談員が参加希望者に事前ヒアリングを行い、自助グ
ループにつなげました。
<利用者の声>(すべて面接相談)
・ 安心できる空間で、本当に相談に来られてよかったと思っています。
・ このような相談場所があって本当によかったです。役所や警察は行きにくかったし、
がんばることができませんでした。ありがとうございました。
・ 話をすればするほど、自分の周りのいろいろなことが客観的に見えてきた。
・ とても安心でき、ほっとしました。前向きに冷静になったのと、笑顔を取り戻せる
ようになった。
11
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
4 相談事業
(2)横浜市 DV 相談支援センター
(2)横浜市 DV 相談支援センター
横浜市男女共同参画センターは、DV 防止法に基づく横浜市 DV 相談支援センターとしての役
割を担っています。横浜市における DV 被害者支援は、こども青少年局内に設置されている統
括・調整部署、各区福祉保健センター、男女共同参画センターの 3 組織が一体となって DV
相談支援センターとして機能している点に特徴があります。3 組織で連携してケースワーク
を行うほか、定例の連絡会や合同スーパービジョンを通じて情報共有や支援の質の向上に努
めています。男女共同参画センターでは、
「心とからだと生き方の総合相談事業」で培った専
門性を活かした継続的な面接による心理的支援に加えて、相談者の回復と自立を支援するた
めに、サポートグループや自助グループ、センター3 館で実施している就業支援事業の紹介
などを行いました。
◆DV 相談支援センター業務
男女共同参画センターが担う DV 相談支援センターの業務は、①専用回線による電話相談、予
約制の面接相談、②問題解決に役立つ情報提供や制度利用の調整、制度利用のための来所相談証
明書の申請受付・交付、③保護命令に関する相談、地方裁判所への書面提出、④自立に向けた就
業支援、自助グループ等の案内です。
相談件数は電話相談 934 件、面接相談 134 件で、合計 1,068 件にのぼり、前年度開設後 7 ヵ間
での 491 件に対し、1 ヵ月あたりの相談件数は前年度の 1.3 倍でした。総件数の 8 割が「配偶者
からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の対象となるもの(配偶者〈元配偶者を含む〉
からの暴力)です。また被害者の性別をみると、女性が 743 件、男性が 19 件で、女性の年代別件
数は、40 代 20.2%、50 代 18.4%、20 代 5.7%の順(不明 42.7%)となりました。
被害者からの相談内容は、
「DV について」32.9%、次に「離婚」19.9%、
「加害者への対処」11.2%
でした。刃物が持ち出される、首を絞められるといった身体的暴力もまれではなく、緊急性の高
い相談が多くなっています。相談に至る経路をみると、被害者本人からの相談の場合、インター
ネットから情報を得た件数が 126 件で最も多く、ついでちらし・カード 69 件となっています。
相談証明書の申請受付・交付については 6 件、保護命令申し立てのための地方裁判所への書面
提出は、対応がありませんでした。
面接相談では、必要に応じて弁護士相談、医師相談を行ったほか、法律講座、就業支援関連の
講座や相談、自助グループについて情報提供するなど、男女共同参画センターがもつ資源を活用
した支援を行いました。
一時保護や福祉制度利用のニーズがあるケースについては、こども青少年局と連携をとりつつ、
区福祉保健センターにつなぎ支援したほか、児童虐待が起こっているケースについては区福祉保
健センター、児童相談所とケースを共有し連携して支援しました。
12
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
4 相談事業
(3)性別による差別等の相談
(3)性別による差別等の相談
横浜市男女共同参画推進条例第 10 条に基づき、女性であること、男性であることを理由とし
た不利益な取扱いなど、性別による差別等により人権が侵害された場合の相談を受けていま
す。
「相談の申出」を受けた場合には、解決に向けた希望などを聞き、複数の専門相談員(※)
が対応について話し合い、調査を行います。また、必要に応じて、人権侵害の改善に向けた
要請・指導を関係者に行っています。
◆相談・問合せ状況
電話等による年間の相談・問合せ件数は 85 件で、前年度の相談・問合せ件数に比べて 4 件増
加しました。
相談・問合せの内容で多いものは、
「セクシュアル・ハラスメント」が 14 件(16.5%)
、
「その
他(近隣・友人・知人等)の人間関係」12 件(14.1%)、
「暴力」が 11 件(12.9%)、となっていま
す。
「セクシュアル・ハラスメント」14 件の相談のうち 8 件が職場におけるハラスメントの相談
でした。
相談・問合せの男女比は、女性が 73 件(85.9%)と引き続き高い傾向にあります。男性から
の相談・問い合せは 11 件(12.9%)
、セクシュアル・マイノリティからの相談も 1 件(1.2%)あ
りました。
◆今年度取扱事案
今年度新たに提出された、条例に基づく申出はありませんでした。前年度から継続の申出事案
2 件について、専門相談員により検討を行いました。
継続申出事案の内容は、医療行為や職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関するもので
した。
※専門相談員
当協会が委嘱した、男女共同参画に高い見識を有する学識経験者、人権擁護委員、弁護士の計 4 名により構成し
ています。専門相談員は申出者との面談、調査の必要性の検討、関係者への調査など、申出事案の対応処理にお
いて重要な役割を果たしています。専門相談員会議は毎月1回開催され、個々の申出事案についての処理方針等
が検討されます。
13
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
4 相談事業
(4)女性のしごと相談ステーション
(4)女性のしごと相談ステーション
女性がその能力を十分に発揮することは、経済社会の活性化のために不可欠です。現実には、
出産・育児を機に 6 割の女性は退職していること、女性は非正規雇用で働く割合が高くキャ
リア形成が困難であることなど、
働く女性をめぐる状況は依然として厳しい状況にあります。
こうした状況をふまえて、働きたい女性・働く女性を対象に、就職・転職、起業など、しご
とに関わるさまざまな相談をセンター3 館で実施しました。女性が働くうえで直面する多様
な課題を個別に整理し、相談者が望む結論を導き出すためのアドバイスを、専門家が行いま
した。
◆しごと相談
「シングルマザーのための就労相談」
(2 館)
、
「女性の“働く”悩み相談」
(2 館)
、
「キャリア・
コンサルタントによる女性のための就職・転職相談」
(2 館)を実施し、計 161 件の相談を受けま
した。最も申込みが多かったのは「キャリア・コンサルタントによる女性のための就職・転職相
談」で、ほぼ毎回キャンセル待ちとなるほど高いニーズがありました。相談内容は「求職活動の
方法を知りたい」
「自分の適職を知りたい」など基本的なものから「家庭と仕事の両立ができず精
神的にまいっている」
「会社の労働条件が悪く転職を考えたい」など、多岐にわたっています。
「シングルマザーのための就労相談」では、横浜市母子家庭等就業・自立支援センターの就労
支援員が相談にあたり、必要に応じてその後も区役所福祉保健センター等での継続相談ができる
ようサポートしました。
「精神的に落ち込んでいたがとても楽になった」と、情報提供だけにとど
まらない対応が好評を得ています。
◆起業相談
女性起業 UP ルームでは
「女性起業家のための起業準
備相談」と「女性起業家のためのホームページ診断」
を実施、専属ナビゲーターが具体的な事例をあげなが
ら、プロの視点からアドバイスを行いました。
年間の相談件数は計 195 件と昨年の 152 件を大きく
上回り、
特に
「女性起業家のためのホームページ診断」
は昨年に比べ 2 倍の件数となりました。Twitter や
Facebook が多くの人に利用されようになり、起業には
IT の有効活用が必須と感じている女性起業家が増え
ていることが伺えます。
14
「女性起業家のためのホームページ診断」
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
4 相談事業
(4)女性のしごと相談ステーション
<利用者の声>
・ もやっとした悩みをそのまま受け止めてもらえ、いっしょにあれこれ考えながら話
をしているうちにこれからどう動いていこうか、どうしたいのか、輪郭が前よりは
っきりしてきました。(女性のための“働く”悩み相談)
・ 家族とも友人とも違う、相談員にお話しすること、アドバイスを受けることは、別
の角度から自分のことを見つめるのにとても良い事だと思った。自分のような相談
内容で適切なのか不安だったがていねいにお話を聞いてくださり、感謝しています。
(キャリア・コンサルタントによる女性のための就職・転職相談)
・ 自分では調べきれていない点を教えてくださり、今後もいろいろとサポートをして
くださるようなので心強く感じました。
(シングルマザーのための就労相談)
・ 質問した内容をパソコンや例を見せてわかりやすく説明してくださいました。わか
らないことや細かい内容もすばやく対応していただきました。
(女性のための起業準
備相談)
・ 客観的にホームページを見ていただき、自分たちのホームページで足りない部分、
改善点などが整理できました。自分たちがアピールしていく部分も見つかりました。
(女性起業家のためのホームページ診断)
15
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(1)女性の就業支援事業
5 講 座 事 業
(1)女性の就業支援事業
女性一般労働者の賃金は男性一般労働者の約 7 割、女性短時間労働者の賃金は男性一般労働
者の約 5 割と、男女の経済力には今なお大きな格差があります。センター3 館では、それぞ
れの立地する地域のニーズと館の機能をふまえながら、女性の経済的・社会的な自立を支援
する目的で、女性の就労とキャリア形成をサポートする事業を実施しました。センター横浜
では、多様な働き方の一つとして、起業を目指す女性に対する支援と母子家庭の母親や DV
被害女性など、厳しい経済状況下にある女性たちへの就労支援に加えて、雇用・就業構造の
変化による影響を強く受けているにも関わらず、支援の必要性が見えづらい若年無業女性を
対象とした就労準備講座を実施しました。センター横浜南では、若年無業女性のための就労
準備講座修了者等に就労体験の場を提供して、市内の若者支援機関と連携しながら自立への
プロセスを支援しました。センター横浜北では、子育て中の女性等が自分の状況に合わせて
一歩を踏み出すための再就職支援と、働き続けるためのヒントを求める女性たちの出会いと
交流の場の提供など、新たな取組みに力を入れました。
◆起業支援事業
センター横浜の女性起業 UP ルームでは、起業に関心がある女性が段階別に受講できる「女性
のための起業準備セミナー」の「基礎編」
「助走編」
「ネット集客編」のほか、自分に必要な知識
やノウハウを学べるテーマ別「女性の起業に役立つスキルアップセミナー」
、具体的な事業プラン
をもつ人のための連続講座「女性起業家たまご塾」
(前期・後期)を開催しました。実施したセミ
ナー、講座の 9 割で定員を超える申込みを受け、
受講者は年間で 409 人となりました。
「女性起業家
たまご塾」は、2012 年度で 6 期目となります。前
期は収益が出るしくみを徹底的に検証する「事業
プラン完成コース」
、
後期は売れるサイトの戦略を
学ぶ「IT 活用販促コース」を実施しました。たま
ご塾と並行して立ち上げたメーリングリストへの
投稿数は 1,988 通にもなり、参加者の意欲と熱気
があふれる講座となりました。塾の終了後も修了
者が UP ルームに集まり、
ホームページについて意
女性のための起業準備セミナー(助走編)
「収益が出るビジネスプランをつくろう」
見交換をするなど、自主的な勉強会が続いていま
す。
ほかにも、センター横浜南の交流ラウンジでは「小箱ショップ」を運営し、女性たちの小さな
起業を支援しています。年間でのべ 53 件の出店があり、東日本大震災支援として、被災地の女性
16
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(1)女性の就業支援事業
が避難所で作成した布製小物の販売も継続しました。
◆シングルマザーの就労支援事業
センター横浜では、昨年に引き続き「シングルマザーのためのミニ就職ガイダンス」を実施し
ました。定員 8 人の少人数制で、母子家庭支援制度、求職の仕方や応募書類の書き方など、シン
グルマザーが求職するときに必要な情報提供を中心に行います。
「離婚を考えてはいるものの、な
にをどうすすめていいかわからないので、とりあえず話を聞きたかった」といった離婚成立前の
方の参加も少なくなく、
「シングルマザーのための就労相談」のような個別相談には足を運びにく
いという参加者のニーズにも応えています。
また、事業本部事業企画課では、神奈川県・横浜市等から「シングルマザーの就職・転職応援
セミナー」を受託して、センター横浜、センター横浜北を会場に 12 講座を開講、申込者は合計
280 人にのぼりました。
「先のことを考えるとあせるばかりだったが、整理できた」
「気持ちが前
向きになった」と参加者から評価されています。
◆「ガールズ」
(若年無業女性)就労支援事業
「ガールズ編 しごと準備講座」
は第 7 期をセンター横浜で、
第 8 期をセンター横浜南で実施し、
合計 44 人の参加がありました。講座修了後のフォローアップの場として「ガールズ月一の会 い
ちご」を新設し 7 回開催、38 人が参加しました。
センター横浜南では、若年女性の就労体験事業として「めぐカフェ」を運営しています。
「ガ
ールズ講座」修了者等の 19 人がステップ 1(10 回。社会に参加するための訓練で講座も含む)に、
そのうち 8 人がステップ 2(20 回。チームの一員として働くための訓練でカフェの実習)に参加し
ました。1 年間でのべ 350 回の就労体験を受け入
れ、5 人が就労を果たしています。
4 年目となった若年女性の自立支援の取組みは
NHK や朝日ニュースター等の放送、神奈川新聞の
連載等でも広く報道されました。マスコミに多く
とりあげられたことによる効果か、講座や就労体
験への参加希望者が増えています。
さらにセンター横浜南で地域の支援者に向け
て「若い女性の自立支援のための公開講座&支援
者研修」
を2日間開催し、
のべ68人が集いました。
この研修の成果を活かして作成したのが
『
“ガール
ズ”自立支援ハンドブック』です。
17
センター横浜南のラウンジ奥が「めぐカフェ」
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(1)女性の就業支援事業
◆女性の再就職・転職支援事業
センター横浜北では、横浜で働く・働きたい女性の再就職や転職を応援する目的で、
「地域で働
く女性の就業支援事業」を通年で行いました。
この事業は、横浜市経済局・
(株)アイデムとの
3 者協働で、求職中の女性たちと企業のマッチ
ングのための実践的な取組みを 3 本の柱立てで
展開しています。一つめの柱は、女性のための
求人情報サイト
「わたしのおしごと HAPPY ナビ」
の運営で、就業マッチングを進めました。
二つめの柱は「女性のための再就職・転職応
援フェア」
、出展企業 30 社の採用担当者と直接
話すことにより、企業の情報を知る機会となっ
「女性のための再就職・転職応援フェア」
ています。このイベントを通じて 7 人の就職が
決定しました。
三つめの柱は「女性のための再就職・転職応援サロン」で、働く人のための税・社会保険の基
礎知識や採用担当者の視点を知る、などのテーマでセンター2 館を会場に開催し、約 70 人の参加
者を得ました。
また、第 60 期を迎えた「再就職準備講座ルトラヴァイエ」には、自己理解を深めながら、求
職スキルを習得し、自分らしい働き方を見つけようと、市内でも特にM字型就業構造の谷間が深
いといわれる北部地域の女性たちを中心に 23 名が参加しました。
ほかにも横浜市の働く女性応援プログラムの一つとして新たに開催した「横浜女性ネットワー
ク会議」には、定員を超える 360 人の参加者が集まりました。働き続けるためのヒントやキャリ
アアップに必要な考え方、能力開発の手法をロールモデルや先進事例から学び、交流を深めよう
という参加者の意欲があふれたイベントとなりました。
18
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(1)女性の就業支援事業
<利用者の声>
・ 相談先がいろいろあると知りました。自分のからだを大切にすること、自分に目を
向ける事を忘れていたので、整体や声を出すことで、心が少し晴れました。講座に
参加することで生活にリズムもできました。働き方・生き方は人それぞれと思えて、
気持ちが少し楽になりました。同じような状況の人たちと話をすることができ、自
分を少しだけ認められるように変化しました。
(ガールズ編 しごと準備講座)
・ 人のやさしさや温かさを感じられ、働くことがこわくなくなりました。自分にどん
な仕事が合っているか考えるようになり、考えるだけじゃ始まらない、体験して気
づくことが大事だと知りました。
(
「めぐカフェ」就労体験)
・ 若者・女性の貧困や格差について、データに基づく背景を再確認しました。支援が
必要な人にどう声をかければよいか、現場の具体例からヒントをもらえました。
(若
い女性の自立支援のための公開講座&支援者研修)
・ 就職に対して、年齢を気にせずがんばろうと思えました。やはり「人柄重視」とい
う話を聞けて、非常に良かったです。
(シングルマザーのためのミニ就職ガイダンス)
・ 課題が大変でしたが、苦手とする数字やセールスポイントなどに向かいあうことができ
ました。
(第 6 期女性起業家たまご塾「事業プラン完成コース」
)
・ 具体的例題が多く、理解、イメージしやすかった。求人票の見方が理解できたほか、
心構えなどのお話もわかりやすくて良かったです。 (女性のための再就職・転職応
援サロン「安心・納得して働くために、応募前のチェックポイント」
)
・
会社の目線と自分の目線のズレについて、参考になることが多かったです。また予
想以上に採用側の本音が聞けてよいセミナーでした。 (女性のための再就職・転職
応援サロン「採用担当者に聞く!再就職をつかむ法」
)
・ この講座に期待していたことがすべて盛り込まれ、それ以上のものが得られたいへ
ん満足&感謝の気持ちでいっぱいです。たくさん笑って、学んで、考えて、共感し
たり、違いを感じたり、本当に充実した講座でした。
(再就職準備講座ルトラヴァイ
エ)
・ ロールモデルになる方とたくさんお会いできてよかったです。いろいろな気づきや
発見があって、視野が広がりました。
(横浜女性ネットワーク会議)
19
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(2)ワーク・ライフ・バランス支援事業
(2)ワーク・ライフ・バランス支援事業
男女ともに仕事と家庭生活等の調和を希望している人が多いにも関わらず、現実には、男性は
仕事、女性は家庭生活を優先している割合が高いことがわかっています。男女がともに仕事と
生活のバランスの向上をめざすために、仕事と子育ての両立支援、男性の育児や地域活動への
参画促進、男性の生活自立支援、事業所向けの啓発・情報提供等をテーマとしたワーク・ライ
フ・バランス支援事業をセンター3 館で展開しました。
◆仕事と子育ての両立支援セミナー・父親参加型ひろばの開催
センター横浜南では、
「仕事と子育て応援セミナー
保育園×はたらく」を開催しました。29 人の参加者に
は正社員で育児休業中の人と求職活動中で保育園を利
用したいという人がおり、それぞれのニーズが伺えま
した。
センター横浜北では、
「はじめての保育園 in 横浜」
を実施しました。定員を大幅に上回る申込みを得たほ
か、41 人の参加者のうち 38 人が夫婦での参加で、先
「はじめての保育園 in 横浜」
輩パパ・ママの体験談も好評でした。
また、
「ファミリーデー」
「お父さんと遊ぼう」
「父と
子の土曜ひろば」
「パパ&ママとあかちゃんのふれあい
運動遊び」
「パパといっしょのひろば」など、保育者が
親子遊びをサポートする、父親参加型の“ひろば”事
業を 3 館で開催しました。これらは父親の育児参加を
促すだけでなく、子育て中の親子が地域でつながりを
つくるきっかけにもなっています。
「パパといっしょのひろば」
◆企業向けセミナー
センター横浜南では横浜市との協働で、市内の中小
企業等の人事担当者を対象とした「ワーク・ライフ・
バランス~よこはまグッドバランス賞認定・表彰式&
セミナー」を実施しました。林文子市長による表彰式
に続き、
セミナーには 87 人の企業の担当者の参加を得
て、各事業所の具体的な男女共同参画をすすめる取組
みが紹介されました。女性にとって働きやすい職場環
境をつくるのに役立つ催しとなることを目指して実施
よこはまグッドバランス賞認定・表彰式
20
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(2)ワーク・ライフ・バランス支援事業
しています。
◆男性の地域活動・生活自立支援講座
センター横浜では「パパ工房プロジェクト~子どもとの暮らしを楽しむ」
(全 5 回)を開催し、
料理、スイーツ作り、おもちゃ作り、身体遊び等を父子で楽しみました。センター横浜北では「男
が作る日常食入門」
「簡単にできちゃう!パパが作る離
乳食~カレー&シチューだよ☆」
「パパが作るクリスマ
スのおやつ☆」等を実施しました。どの講座も男性の
家事能力の向上や子どもとのつながりを深めることを
目的とした実践的な内容で、参加した男性たちは、家
事・育児の楽しさを体験し、しごとを介さない父親同
士の交流も生まれました。
また、センター横浜とセンター横浜南で開催してい
る「おもちゃ病院」は、男性ボランティアが中心のお
「パパ工房プロジェクト」
もちゃドクターのグループとの協働事業です。2012 年
度も定期的に開催、それぞれの地域にすっかり定着し、
「物を大切にすることを教えるよい機会に
なった」
「おもちゃが動くしくみがわかった」と修理に訪れる親子に喜ばれています。
◆バリアフリー料理と子どもの生活自立支援講座
センター横浜では「バリアフリークッキング in フォーラム」
、センター横浜北では「バリアフ
リークッキング in あざみ野」をそれぞれ 2 回ずつ実施し、障がいの有無にかかわりなく男女が料
理をともにする場となっています。
また、センター横浜では、NPO 法人全国女性会館協議会の助成金を得て、子どもの生活自立を
ねらいとした「こども料理教室&ママのリラックスヨガ」を開催しました。子どもたちがごはん
をつくっているあいだ母親はヨガで日ごろの疲れをいやすというプログラムで、子どもたちがつ
くった昼食を参加者全員で楽しみ、生活工房はなごやかな雰囲気に包まれました。
21
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(2)ワーク・ライフ・バランス支援事業
<利用者の声>
・ セミナーでは各職場での具体的な取組みの工夫が紹介され、たいへん勉強になりま
した。
(ワーク・ライフ・バランス~よこはまグッドバランス賞認定・表彰式&セミ
ナー)
・ 行政と先輩パパ・ママから直接話が聞け、入園後の生活が具体的に想像できるよう
になり、安心しました。保育園選びのチェックリストが参考になりました。
(はじめ
ての保育園 in 横浜)
・ 教えていただいたことは、単に料理だけに留まらず、幸せとはなにか考えました。
家の中では狭くてなかなか身体をのびのびと伸ばして遊べませんが、講師の指導の
もと楽しくできてよかったです。参加された方々と、今後もつながっていきたいで
す。
(パパ工房プロジェクト)
・ お気に入りのおもちゃを修理してもらっている子どもの表情が真剣! 物を大事に
する心を養え、よい体験になります。
(おもちゃ病院)
・ 料理を少しでも自分でつくれるようになりたかったので参加しました。家でもつく
ってみます。
(男が作る日常食入門)
・ 母子それぞれが楽しめる企画で、ヨガに集中してリラックスしたあと、子どもがつ
くってくれた食事をすぐに食べられるという最高の組み合わせだと思う。家では子
どもに料理をさせる時間がなかなかとれないのでいい経験になった。
(子ども料理教
室&ママのリラックスヨガ)
22
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(3)心とからだのセルフケア事業
(3)心とからだのセルフケア事業
月経、妊娠、出産、更年期と、生涯を通じて女性の心とからだはさまざまな課題に直面します。
センター横浜のフィットネスルーム、センター横浜南のトレーニング室、センター横浜北の健
康スタジオでは、さまざまなライフステージで生じる女性特有の健康課題を改善し、心とから
だの健康づくりに役立つスタジオプログラムを実施しています。ほかにも、イベントやセミナ
ーなどを通じ、女性の健康を増進する情報や体験の場を提供しました。
◆健康課題別体操教室
女性は生涯を通じて、ライフステージごとに異なった健康課題を抱えます。産後のケアや女性
特有のがんリハビリプログラムなどの、それぞれの健康課題に対応した体操教室は、つらい症状
を緩和し、生活の質を向上させます。産後女性の心とからだを整える「産後のヨガ」
「産後ママの
ボディケア」
「産後のストレッチ&ケア」ほか、がん手術後に発症しやすいリンパ浮腫の予防と症
状の軽減に役立つ「女性のがん手術後のリハビリ体操」
、加齢・分娩などの経験から女性に多い腹
圧性尿失禁を改善する「骨盤底筋体操」
、更年期の不調を緩和する「更年期にやさしいストレッチ」
「更年期のリフレッシュ体操」などをセンター3 館で実施しました。
◆生涯にわたる健康づくり体操教室
センター3 館では、心とからだの健康の増進や回復を目的として、呼吸法、整体法、ヨガ、バ
レエ、ダンス、ウォーキングなど多彩なプログラムを提供しました。
センター横浜では、2012 年度女性の就業支援の一環として、女性インストラクターのフィット
ネス企画を募集し、選考委員会を経てプログラムを実施しました。選考を通った女性インストラ
クターには、起業準備相談無料利用(1 回)、起業準備セミナー無料参加(2 回まで)等の支援を行
い、実施が良好だったインストラクターは、センター横浜南、センター横浜北にも活動の場を広
げました。
3 ヵ月コース「産後のママの骨盤底筋ケア」
(センター横浜南 トレーニング室)
「Let’s ダンス!基礎から学んで楽しく踊ろう」
(センター横浜 フィットネスルーム)
23
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(3)心とからだのセルフケア事業
◆健康フェア・セミナー等
センター横浜では、女性の健康増進の情報や体験の場を提供する「女性のための健康フェア」
を「手仕事フォーラム」と同時に開催しました。
「女性起業家たまご塾」修了の起業家によるハー
ブティーやアロマテラピーの紹介、マッサージやバスソ
ルト作りなどの体験、ピンクリボンかながわによるラッ
ピングバスでの乳がん検診デモや、戸塚区役所による検
診の啓発などに 200 人が参加しました。
センター横浜北では、金曜日夜の当日参加教室「更年
期のリフレッシュ体操」との連動企画として、
「更年期を
たのしむ・のりきる 癒しの豆腐レシピ」を実施し、運
動、食事といった生活の質の向上で更年期を緩やかに乗
り切る秘訣を体験しました。また、横浜市立大学と協働
で、
「小児、女性の炎症性腸疾患(潰瘍性腸疾患・クロー
「更年期をたのしむ・のりきる
癒しの豆腐レシピ」
ン病)
」
、
「困っていませんか?子どもの看病」を開催しま
した。
<利用者の声>
・ 講座に参加することが、外出のきっかけになってうれしい。参加すると気持ちが晴
れる。
(当日参加教室「女性のがん手術後のリハビリ体操」
)
・ 新しい方も皆さん同じ病気でがんばっているせいか、すぐ親しく話をして和気あい
あいです。時々、リハビリのための運動?と忘れることができます。
(当日参加教室
「女性のがん手術後のリハビリ体操」
)
・ からだを動かすだけでなく、筋肉のことや運動の理由もお話に盛り込まれていて、
ためになるし、楽しいです。
(6 ヵ月コース「ストレッチ&骨盤底筋ケア」
)
・ ステップやからだの動かし方など、講師の指導がわかりやすく、初心者でも楽しく
踊れた。
(
「Let’s ダンス!基礎から学んで楽しく踊ろう」
)
・ からだを労わり、大切にしたい、やさしい気持ちになります。
(当日参加教室「足か
らほぐすゆったり体操」
)
・ 教室に参加するようになって、身体も心もいきいきしてきました。
(当日参加教室「更
年期のリフレッシュ体操」
)
・ 日常の姿勢や歩き方を見直し、体調を整えることができる講座に参加でき、とても
有意義でした。
(3 ヵ月コース「ウォーキングで私ぢからUP!」
)
24
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(4)女性への暴力防止と被害者支援事業
(4)女性への暴力防止と被害者支援事業
女性に対する暴力は重大な人権侵害であり、男女共同参画社会を実現していくために根絶す
べき課題です。
「心とからだと生き方の総合相談」の面接相談においては、相談件数の約 6
割が DV についての相談です。
「横浜市 DV 相談支援センター」としての相談にも、年間で 1,000
件を超える相談が寄せられています。近年、性暴力被害の実態も明らかにされつつあります。
センターでは、女性への暴力被害者支援と予防を目的として、民間団体と協働により、啓発
イベントや、デート DV 防止啓発を目的とした学校への出前講座を実施しました。また、DV
を経験した母子のためのケア・プログラム、女性が自分の力に気づくためのワークショップ、
夫婦関係に関する法律講座なども行いました。
◆かながわ版性暴力被害者支援体制をつくるために~パネルディスカッション
性暴力被害者支援体制や必要な取組みをテーマに、神奈川県および民間団体 StaRT かながわと
共催でホールイベントを実施しました。アメリカ
合衆国ワシントン DC から性暴力被害者支援看護
師プログラムを統括するデビン・トゥリンクリー
さんを招いての講演会に続き、
山田不二子さん
(子
ども虐待ネグレクト防止ネットワーク理事長)
、
白
石美奈子さん(弁護士)
、椎野こずえさん(神奈川
県犯罪被害者支援担当課長)
、
棟据徳子さん
(StaRT
かながわ事務局長)らによるパネルディスカッシ
ョンを村上明美さん(神奈川県立保健福祉大学教
パネルディスカッション
授)の進行で行いました。
◆中学、高校、専門学校、大学等へのデートDV出前講座
今年度から開始したデート DV 出前講座は、NPO 法人エンパワメントかながわスタッフが講師と
なって、市内の各学校で計 20 校、26 回の開催となりました。約 3,800 人の生徒、学生に対しデ
ート DV について考えるきっかけを提供しました。
出前講座は、15 人程度のゼミ形式から 300 人規模のイベント的なものまで、参加者数や年代に
よって教材や実施方法を臨機応変に変えました。ワークブックを受講者一人ひとりに直接手渡し
するなど効果的に伝えるための工夫をしています。参加者アンケートの結果は「とてもためにな
った」
「ためになった」が 83%と、高い評価を得ることができました。
また「デート DV にあたることを見聞きしたことがある」の回答は 45%、
「デート DV という言
葉は知っていたが意味は初めて知った」24%、
「言葉も意味も初めて知った」36%と、予防啓発の
効果も見られました。
25
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(4)女性への暴力防止と被害者支援事業
◆法律講座
女性が自らの生き方を自己決定する一助としての法律講座「夫婦関係・離婚をめぐる法律講座」
をセンター3 館で、テーマ別に年間 6 回開催しました。従来の「基本編」
「DV 編」
「調停編」
「中高
年編」
「子育て期編」のほか、日ごろの相談から見えたニーズを反映して、裁判の利用や流れにつ
いて焦点を当てた「調停・裁判編」を新たに企画したところ、定員を上回る申込みがありました。
毎回、必要な情報をもりこんだ配布資料も参加者に好評でした。
◆DV を経験した母子のためのケア・プログラム
2008 年度にスタートさせた母子向けの回復プログラム「フォーラムの『びーらぶ』
」の実践を
もとに、今年度は参加しやすい 2 日間のオリジナルプログラム「まいん」を開発し、実施しまし
た。DV が母親(女性)や子どもの心身に及ぼす影響は深刻です。このプログラムは、暴力のない
関係性を体験し、自分は大切な存在であると感じることを目的に、母と子それぞれが安心できる
仲間や大人に出会い、回復のきっかけとなる場を提供するもので、DV 家庭で育った子どもを対象
とした数少ないプログラムの一つとなっています。
◆DV・トラウマからの回復「わたしがわたしを大切にするということ」
DV、トラウマやモラルハラスメントなど、心の傷つきのケアについて考える講座を、NPO 法人
レジリエンスと協働して実施しています。毎月 1 回、
「パートナーシップ」
「自尊心」などのテー
マを設定し、午前中にセミナー、午後には少人数のサポートグループを実施しました。サポート
グループへの参加は前年度よりも増え、少人数で講師との距離も近く、安心した環境の中で気持
ちをわかちあうことができました。
◆女性のための護身術 WEN-DO
DV で配偶者や恋人といった身近な人からの暴力を防ぐ以外にも、女性がいわれのない暴力を受
けないよう自分で身を守る知恵を身につけることが大切です。そのためには、暴力的状況を回避
する力をつける、未然に暴力から身を守る考え方を知ることが役立ちます。
「WEN-DO」は、女性の
ためにつくられた自己防衛のプログラムで、センター3 館で実施し、10 代から 60 代まで幅広い層
の女性が参加しました。安心・安全への関心が強くなっている今、ますますニーズは高まると思
われます。
26
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(4)女性への暴力防止と被害者支援事業
<利用者の声>
・ 自分を責めなくていいんだと思った。この授業を受けてよかったです(デート DV
啓発講座/高3・女子)
・ 自分ではさりげなく言っていることでも言葉の暴力に該当していることに驚いた。
今後は言葉の暴力のラインを意識して行動できるように努力しようと思いました。
(デート DV 出前講座/中3・男子)
・ 最後の質疑応答が大変参考になり、力になりました。迷いのある中、来て良かった
です。
(夫婦関係・離婚をめぐる法律講座)
・ DV やトラウマについて、自分の情報だけではわからなかった事を知ることができ
て、頭を整理することができました。
(わたしがわたしを大切にするということ)
・ 以前、上の子が小 3 の時に「びーらぶ」でお世話になりました。兄と妹が自分たち
で経験したことを話していました。親子 3 人とも、よい時間を過ごすことができま
した。
(DV を経験した母子のためのプログラム「まいん」
)
・ 和やかな雰囲気で緊張することなく学べました。いろいろなシチュエーションに応
じた護身術を覚えることができました。
(女性のための護身術 WEN-DO)
27
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(5)女性の自己表現支援事業
(5)女性の自己表現支援事業
女性が、職場や家庭、地域などで、いきいきと自分を表現したり、表現を通じて自己解放する
ことを目的に、女性の自己表現支援事業を実施しています。従順であることを求められがちな
女性が、自分と相手の双方を尊重しながら、自分の気持ちや意見を適切に表現するコミュニケ
ーションのスキルを学ぶワークショップをセンター3 館で実施しました。このほか、アートや
音楽を通じて心身を解放し、豊かな表現力を身につけるワークショップ、女性の映像作品を鑑
賞する映画上映会、市民グループの手仕事作品の展示など、多彩な女性の表現活動を支援しま
した。
◆アサーティブネス関連講座
人間関係が複雑化する現代、相手のことを尊重しながら対話をしていくのは簡単なことではあ
りません。
「アサーティブネス体験講座」(センター横浜南では「こころのちから講座」)は、自分
の要求や感情を過不足なく伝えていくコミュニケーションスキルを学ぶ基礎講座で、センター3
館で開催しました。ロールプレイを通して、自分のコミュニケーションパターンに気づき、自分
も相手も大切にするコミュニケーション法とは何かをのべ 68 人の参加者が体験しました。
また、センター横浜とセンター横浜南の 2 館で、心
とからだの両面から「アサーティブネス」をゆっくり
と体感する「私を大切にするアサーティブ&ストレッ
チ」を開催しました。
アサーティブネスを体験すると「自分の素直な気持
ちを話すことを知り、
目からウロコだった」
「これまで、
いろいろと我慢してきたことに気づいた」などの声が
毎回多く聞かれます。現実に悩んでいる人間関係での
コミュニケーションをロールプレイで練習でき、参加
「わたしを大切にする
アサーティブ&ストレッチ」
者間の交流も生まれることが参加者の気づきにつなが
っています。
◆アートワークショップ
センター横浜では、ゆっくりした呼吸や声を出すトレ
ーニングを通して、自己解放するワークショップ「女性
のための心のアート『私の声力』
」が好評で、続編を望む
声が多かったのに応えて、
「私の声力~金子みすゞの詩と
童謡から入る朗読」
を実施しました。
女性詩人金子みすゞ
の詩や童謡を声に出して朗読することによって潜在して
「私の声力~
金子みすゞの詩と童謡から入る朗読」
28
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(5)女性の自己表現支援事業
いる力を引き出すワークショップは、女性たちのエンパワメントにつながっています。
センター横浜北では毎月「手編みでつながるニットカフェ in あざみ野」を開催しました。参
加者は思い思いに編み物をしながら、交流やゆったりとした時間を楽しんでいます。幅広い年代
の参加がありますが、保育も利用でき、
「ひととき子どもと離れ、編み物に没頭する時間がリフレ
ッシュになる」と、子育て中の女性にも好評です。
◆手仕事フォーラム
センター横浜では、生活工房を利用しているグループが日ごろの活動を発表する場として、
「手
仕事フォーラム」を「健康フェア」と同時開催しまし
た。13 グループが作品の発表や販売を行い、約 500 人
が来場したことからも、手作りへの関心の高さが伺え
ます。出展したグループの満足度も高く、
「お客様とワ
イワイと会話がはずみ、楽しかった」
「ほかのグループ
との交流ができた」
「オリジナルレシピを発表して販売
することができ、日常の勉強の成果が得られた」など
の感想が寄せられました。
「手仕事フォーラム」
◆ミニギャラリー
センターで活動を行っているグループや個人に作品展示の場を提供する 3 館の「ミニギャラリ
ー」では、51 グループの多彩な展示が実施されました。
手ごろなスペースと出展料、来場者との交流を楽しめる
と出展者から好評を得ており、身近で手軽な表現の発表
の場の提供ができています。
センター横浜南では南区役所との協働でのイベントに
合わせての展示と、近隣の吉野町市民プラザの写真コン
テスト入賞作品展を実施、センター横浜北でも利用が大
幅に増え、交流ラウンジ全体のにぎわいの創出にも貢献
フォーラム南太田「ミニギャラリー」
しています。
◆映画上映会
女性監督の作品や女性の生き方を描いた作品の上映会を開催し、女性の多彩な表現活動に親し
む機会を提供しています。センター横浜ではフォーラムまつりに合わせてホールで、呉美保監督
作品「オカンの嫁入り」を上映しました。母娘の 2 人暮らしに起こる娘の暴力被害や母親の再婚
宣言といった深刻な内容を、ユーモラスで親しみやすいタッチで描いた人間ドラマは多くの共感
を呼びました。
29
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(5)女性の自己表現支援事業
センター横浜南では「トイレット」
「しあわせのパン」を上映し、どの会も盛況で新規来館者
増につながりました。上映作品の選定も毎回好評を得ており、映画観賞券には「めぐカフェ」のド
リンク券をつけて、映画の余韻を楽しんでもらえるよう工夫をしています。
<利用者の声>
・ 「伝える」ということに苦手意識があるために、一方的なコミュニケーションにな
っていたと気づきました。自分の素直な気持ちを話すということを知り、ホッとし
た気がします。
(アサーティブネス体験講座)
・ 自分を大切にするのはやはり難しいです。でも、きっかけとしていい体験ができま
した。
(わたしを大切にするアサーティブ&ストレッチ)
・ 自分の声力を意識したことはありませんでしたが、はじめて知ることが多く、ポジ
ティブになれた気がしました。
(女性のための心のアート「私の声力」
)
・ 声を出していくことの気持ちよさを感じました。仕事で自分が知らず知らず心身と
もに固くなっていたので、この講座で自分の感性がまだやわらかいものがあったと
気づかせてくれました。
(私の声力~金子みすゞの詩と童謡から入る朗読)
・ 子育て中なので、ここで集中して作業する時間が自分を取り戻す大切な時間です。
(手編みでつながるニットカフェ in あざみ野)
30
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(6)くらしの安心・安全事業
(6)くらしの安心・安全事業
東日本大震災後、防災・災害対応に男女共同参画の視点を取り入れる重要性が改めて指摘さ
れています。地域の中でだれもが安心できるくらしを実現するため、
「くらしの安心・安全
事業」として、女性が防災の主体として積極的に参画していくためのワークショップやトー
クセッションを実施しました。防災をテーマに取り上げることで、町内会・自治会、民生委
員など共助の要となる地域活動の担い手に、日常の暮らしの中で男女共同参画を推進してい
く大切さを伝える機会となりました。
◆「シニア女性の出番です!防災塾」
センター横浜南では、シニア女性を対象として
2012 年度に開発した研修プログラム「シニア女性の
出番です! 防災塾」を実施しました。全 5 回の構成
で各回のテーマは、
「東日本大震災における女性支援」
「地域の防災地図と点検のポイント」
「災害・復興時
における女性と子どもへの暴力&護身術」
「相談力向
上」
「女性が安心な地域づくりと防災」です。横浜市
老人クラブ連合会、南区老人クラブ連合会、南区役
護身術には 86 歳の女性も参加
所等の共催を得てのべ 119 人が熱心に参加し、シニ
ア女性が自ら潜在する力を再確認する機会となりました。
また、この成果をもとに、男女で地域防災を考える南太田シニア防災サロン「昔と今の地図を
読んで減災」を開催し、18 人の男女の参加を得ました。
◆トークセッション「災害に強いまちづくりに女性の力を」
センター横浜北では、通年で実施している『YOKOHAMA わたしの防災力ノート』地域出前学習会
(広報啓発事業に記載)等を通じて「平時から地域防災の主体に女性が参画していくことための
ヒントを知りたい、学びたい」という地域からのニーズを受けとめ、トークセッション「災害に
強いまちづくりに女性の力を」を開催しました。東
日本大震災後の支援活動や、災害からの復興活動に
取り組む講師を招き、震災の経験を防災のまちづく
り・人づくりに活かしていくためになにができるか
について議論を深めました。町内会・自治会、民生
委員、家庭防災員など地域の自主防災に携わる 74
名が参加し、当日は、センター職員が考えた「女性・
子どもに優しい非常持ち出し品」や「通勤時の防災
31
「災害に強いまちづくりに女性の力を」
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
5 講座事業
(6)くらしの安心・安全事業
携帯グッズ」展なども行いました。
◆子育て家庭の防災サロン
センター横浜北の事業開発として取り組んだ「子育て家庭の防災サロン」(こども青少年局 協働)は、
こども青少年局が市内各区役所に呼びかけ、横浜 18 区のうち 9 区の子育て支援拠点で開催しまし
た。乳児を持つ世帯が、大震災に対して不安を抱えていることや、地域とのかかわりが薄く、地域防災
に関する情報をあまり持っていないことなどがわかり、開催場所に応じて、区役所職員や、消防署職
員からの情報提供もプログラムに盛り込み、若い母親・父親たちが身近な安心・安全を考え、地域を知
る機会となりました。講座の資料は『YOKOHAMA わたしの防災力ノート』
『防災力シートナビ~子育て
家庭編』のほか各区の災害マップ等地域情報を使用し、週末開催となった区ではカップルでの参
加もありました。
<利用者の声>
・ 高齢なので受講しても無理かと思いましたが、まだ知恵が出せるかもしれないと思
い直しました。シニア力・女子力を生かして、お役に立てるかもしれません。
(シニ
ア女性の出番です! 防災塾)
・ 昔の地図から土地のリスクを読み取るこのような訓練は町会単位で行いたいです。
講師のお話で「昼間地域にいるのはシニア世代と小・中学生で 4 割」だと知りまし
た。地域の防災力に欠かせない世代同士で力をつないでいければと思います。
(南太
田シニア防災サロン「昔と今の地図を読んで減災」
)
・ 女性の人材育成のヒントにとの目的意識で参加しました。女性自身が力をつけるの
と同時に、女性の声を地域社会に反映させる仕組みづくりが大切だと思いました。
(トークセッション「災害に強いまちづくりに女性の力を」
)
・ 横浜に引っ越して来たばかりで、地域防災拠点というのも知りませんでした。地震
はいつ来るかわからないので、子どもを守るためにも、家具の耐震化と地域に知り
合いをつくることを始めてみます。
(子育て家庭の防災サロン)
32
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(1)NPO・市民グループ等との協働事業
6 協 働 連 携 事 業
(1)NPO・市民グループ等との協働事業
専門分野で実績をもつ市民グループや NPO と男女共同参画センターが、双方の強みを活かし、
協働で事業を展開していくことは、男女共同参画の裾野を広げ、地域の力を向上させていくこ
とにつながります。センター3 館では、講座・ワークショップ、地域出前講座、啓発教材・調
査研究の 3 つの枠組みで、男女共同参画の推進につながる事業の企画を公募し、協働で実施す
る「市民・NPO がつくる男女共同参画事業」を実施しました。2012 年度は、協働グループとセ
ンター3 館の関係者とでメーリングリストをつくり、情報交換を行いました。
◆市民企画講座・ワークショップ事業
市民グループからさまざまな地域課題をとりあげた数多くの企画が寄せられ、選考の結果、セ
ンター3 館で 21 企画(センター横浜 9 企画、センター横浜南 3 企画、センター横浜北 9 企画)を
実施しました。
デート DV 防止をテーマとするシンポジウム、パートナーといっしょに参加する「出産準備教
室」
、セクシュアル・マイノリティ当事者と教育関係者の対話型グループワーク、女性アルコール
依存症者の自立をテーマとした講演会、女性のためのコミュニケーション・トレーニング講座、
女性のためのマネーコントロール術、障がいの有無を問わずだれもがあたりまえに生きていける
社会づくりをテーマとした連続講座、シニア層が地域で活き活きと生きていくためのワークショ
ップなどが開催されました。
「私の人生の描き方」
妊娠前から始める「出産準備講座」
33
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(1)NPO・市民グループ等との協働事業
◆地域出前企画助成事業
センター横浜 2 企画、センター横浜南 1 企画、センター横浜北 2 企画の合計 5 企画を選考し、
実施しました。
高校生・大学生のためのキャリア&ライフプランニング講座、社会的に活躍するろう・難聴女
性を囲んでの座談会、自ら情報を収集し Twitter などを使いこなして災害の被害を最小限にする
方法を子育て期の市民に伝える連続講座、中小企業のためのメンタルヘルス対策講座などを、学
校や公共施設、コミュニティカフェなどに出前しました。
◆啓発教材・調査研究企画助成事業
選考を経て、在宅ワーク研究会による「自宅拠点型の働き方検証」をテーマとする調査研究を
センター横浜で実施しました。在宅ワーカーの仕事と生活の現状や地域活動とのつながりについ
て、Web を通じてアンケート調査を行い、約 900 人から回答を得ました。
結果は「自宅拠点型の働き方検証~男女のよりよい働き方を展望して」と題した報告書にまと
めました。雇用の不安定化や東日本大震災後の生活不安、ICT の普及などを背景に、在宅就業を
子育てや介護、地域活動とも両立できるやさしい働き方として位置づけ、それが保障されるため
に必要な人材育成のしくみや健全なマッチング市場づくり、在宅ワーカーが「ホームタウンワー
カー」として地域に貢献できるようにするためのネットワークづくりなどに向けた提言を盛り込
みました。
<利用者の声>
・ いろいろな意見を聞けてよかったです。会社の中での情報保障等についても聞きた
かった。
(ろう・難聴女性のエンパワメント)
・ 自分の知らないうちにお金がなくなる。貯蓄がまったくないという状況なので、家
計簿をつけるようにしてみようと思いました。
(女性のためのマネーコントロール
術~災害対策編)
・ 自分ではなかなか染めもできないので、いっしょに皆でできたのは楽しかったで
す。
(夏休みふれあい企画~親子で楽しむ夏料理と T シャツ染め~)
・ 心が解放されました。いろいろな人間関係やしがらみにいっぱいだった自分がすこ
し楽になれました。
(こころとからだでつながるワークショップ)
34
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(2)横浜市民ギャラリーあざみ野との協働事業
(2)横浜市民ギャラリーあざみ野との協働事業
センター横浜北は、横浜市民ギャラリーあざみ野(以下、市民ギャラリー)との複合施設と
して「アートフォーラムあざみ野」を管理運営しています。2 つの施設の相互の理念やネッ
トワークを活かした協働企画に取り組み、
「あざみ野サロン」や「ロビーコンサート」など市
民が気軽に楽しめるイベントを実施するとともに、男女共同参画と芸術文化活動を融合させ
た事業を実施しました。日々の施設運営においても協力して行っています。
◆あざみ野サロン
アートフォーラムあざみ野を地域の幅広い層の市民に周知し、文化活動を身近に楽しんでもら
うことを目的に、レクチャールーム、アトリエを使って「あざみ野サロン」を 4 回開催しました。
神奈川県出身の若手落語家による気軽に楽しめる落語
会「馬吉・一左 二人会」や、横浜市のアートフェステ
ィバル「ダンスダンスダンス@ヨコハマ」に関連づけ
て実施した心身を解放するアートワークショップ「か
らだとこころの理解」
、
動画投稿サイトで絶大な人気を
誇る邦楽演奏者グループによる「和楽器の今」
、
「想い
をつなぐ~報道現場からの 3.11 そして明日へ」など
を実施しました。
アートフォーラムフェスティバルのメイン事業の
「想いをつなぐ~
報道現場からの 3.11 そして明日へ」
位置づけも兼ねて行った
「想いをつなぐ~報道現場か
らの 3.11 そして明日へ」は、東日本大震災被災地の現状を知り、これからにつながる心の復興
をテーマにしたイベントで、岩手で活動する音楽ユニットの横浜初ライブ「岩手発♪アンダーパ
スミニライブ」と合わせて開催しました。同時に「ふるさと岩手の収穫祭@あざみ野」と銘打ち、
岩手県山田町の物産や仮設住宅に暮らす女性たちの手作りアクセサリー販売による被災地支援
も実施、会場は大賑わいとなり、山田町の震災前と震災後の写真展示も多くの方の関心を集めま
した。
◆ロビーコンサート
毎月第 2・4 日曜日のお昼に、アートフォーラムあざ
み野のエントランスロビーで、無料の「ロビーコンサ
ート」を開催しています。吹き抜けの空間に楽器の音
や歌声が広がり、施設利用者だけでなく、近隣に住む
人にも好評のイベントとなっています。12 月には苗木
配布事業を同時開催し、幅広い年代の多数の来館者で
「ロビーコンサート」
35
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(2)横浜市民ギャラリーあざみ野との協働事業
賑わいました。気軽にコンサートを聴いた後は、市民ギャラリーを鑑賞したり、交流ラウンジで
読書をするなど、ゆったりとした時間と空間を楽しむ機会として親しまれています。
◆大学生のインターンシップ・プログラム
夏休み期間に大学生のインターンシップを迎え、インターンシップ・プログラム「発信するミ
ニギャラリーをつくろう」に協働で取り組みました。これは、センター横浜北が所蔵する図書資
料やポスターを素材に、インターンシップ参加学生が自分たちで男女共同参画への関心を深め、
それを発表する場としてミニギャラリーの展示を制作
するという内容です。
今年度は災害時の弱者に配慮した防災関連図書を利
用して「家族の命と心をつなぐ防災資料展」の展示に
チャレンジ、市民ギャラリーの学芸員から、テーマへ
のアプローチの仕方や展示の見せ方を学んだり、横浜
美術館、神奈川新聞社、横浜市市民活動支援センター
を見学したりして見聞を広げました。
「ミニギャラリー」企画に取り組んだ大学生たち
<利用者の声>
・ 年月がたつ事で大きな災害も忘れられつつある今、またこのような話を聞くことで、
忘れてはいけないのだと再認識した。
(あざみ野サロン「想いをつなぐ~報道現場か
らの 3.11 そして明日へ」
)
・ 今まで自分はコミュニケーションが苦手と思っていたが、他校の学生もいっしょに
ひとつの展示を作り上げる経験を通して、自分なりに話すこと、聞くことが大事と
気づいた。
(大学生のインターンシップ・プログラム)
・ どんな仕事についても、表現力は仕事に必要な力だと思った。今まで美術館はあま
り行ったことがなかったが、企画側の視点を知って楽しみになった。
(大学生のイン
ターンシップ・プログラム)
36
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(3)秋のフォーラムまつり
(3)秋のフォーラムまつり
毎年秋の恒例イベント「フォーラムまつり」は、参加・出展グループを公募して、センター3
館で開催しています。市内を中心に活動する NPO や市民グループが参加し、全館で活気あふ
れるさまざまなプログラムを展開する、各館最大のイベントです。2012 年度は 3 館合計で
11,590 人の来場者を迎え、盛況でした。
◆フォーラムまつり
センター横浜では「フォーラムまつり 2012」を実施しました。60 グループが参加し、ワー
クショップ、ダンスや楽器演奏、合唱、食品や物品の販売などで盛り上がり、6,500 人の来場
がありました。ハンドマッサージ等の施術や手仕事の体験、エスニック料理などが人気で、館
内も前庭もにぎやかな雰囲気に包まれました。
主催事業としては、ホールで映画「オカンの嫁
入り」上映やヨガの体験講座を行ったほか、女性
起業家 HAPPY テントで「女性起業家たまご塾」修
了者が出店し、
売り上げが女性支援につながるア
クセサリーの販売、
カードを使った自分発見のセ
ッションなどが行われました。
階段壁面を使って
第 1 期~6 期の「女性起業家たまご塾」修了者を
「フォーラムまつり 2012」
ポスターで紹介し、
ビジネスの展開を発表する機
会となりました。
◆フォーラム南太田まつり
センター横浜南では、
「フォーラム南太田まつり 2012」を 33 グループの参加により実施し、
2,690 人の来場がありました。交流ラウンジでの
手作り小物等の販売コーナー、
「お灸女子体験」
、
お茶席、俳画や友禅染作品、切り絵、絵たより等
の展覧会、手打ちそば等の軽食コーナー、朗読、
ミニコンサート、ハワイアンフラ、ストレッチ、
ダンス等のパフォーマンスなど多彩な持込み企
画が好評でした。
主催事業としては、リレー上映会「女性が撮っ
た東日本大震災」を実施したほか、
「子どもの部
屋」では「ファミリーデー」を開催、親子連れでに
「フォーラム南太田まつり 2012」
ぎわいました。参加グループからは「他のグループ
の方々とコミュニケーションがとれ、よい機会となりました」
「毎年観に来ていただき声をか
37
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(3)秋のフォーラムまつり
けてもらうのが楽しみ」などの声が寄せられました。
◆アートフォーラムフェスティバル
センター横浜北では、
「アートフォーラムフェスティバル 2012~7 周年の“なないろ想い”
」と
題して、秋のまつりを実施しました。幅広い年齢層の参加を得て、2,400 人の来場がありました。
27 グループが出店した「あざみーの縁日・あざみ
野食堂」では手作り品の販売や体験が好評でした。ま
た男女共同参画ミニワークショップでは 3 グループ
によるワークショップと 1 グループによる資料展示
を行いました。
レクチャールームでは、
市民ギャラリーあざみ野と
センター横浜北の協働で
「想いをつなぐ~報道現場か
らの 3.11 そして明日へ」と岩手で活動する音楽ユニ
ットの横浜初ライブ
「岩手発♪アンダーパスミニライ
「アートフォーラムフェスティバル 2012」
ブ」を開催しました。
<利用者の声>
・ 途中から雨になってしまいましたが、館内での販売に移ったところもあり、楽しく
見て回れました。
(フォーラムまつり)
・ 利用グループの多彩さに驚きました。今後、参加してみたいグループもありました。
(フォーラム南太田まつり)
・ のんびりした雰囲気で、地元の人たちとふれあえました。
(フォーラム南太田まつり)
・ 来客とのふれあいがあり、仲間とともに楽しく販売することができました。
(アート
フォーラムフェスティバル)
・ 地域でのコミュニケーションができました。
(アートフォーラムフェスティバル)
38
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(4)その他の協働事業
(4)その他の協働事業
あらゆる分野において効果的に男女共同参画を推進していくためには、NPO ・市民グループ
や、企業、学校、医療機関、行政機関など多様な主体との協働が不可欠です。センター3 館
では、専門性を有する主体との協働を積極的に進め、
「女性のためのパソコン講座」
「一時保
育事業」はプロポーザル方式で選定した団体と協働して実施しました。また、市民のさまざ
まなニーズに応えるため、センター3 館それぞれが多様な協働先と、双方の資源や強みをも
ちより、地域特性に即した事業に取り組みました。
◆女性のためのパソコン講座
女性が就労や社会参加をするうえで必要なパソコンスキルを習得することを支援するため、セ
ンター3 館で「女性のためのパソコン講座」を通
年で開催しました。
だれでも安心して受講できるように配慮した
ていねいな講習に努め、年間で 3 館合計 2,066 人
が受講しました。経済的に困難な状況におかれた
市民が参加できるように設けている参加費等免除
制度の利用も多く、再就職のためのパソコン講座
やエクセルの講座など、すぐに仕事に役立つ実践
「女性のためのパソコン講座」
的な講座に人気が集まりました。
◆一時保育
センター3 館では、主催事業参加者と施設利用者の 1 歳半から未就学の子どもの一時保育を実
施しています。保護者からは「安心して預けられる」
「子どもが楽しみにしている」など、高い評
価を得ています。また、一部の事業については、2
ヵ月~1 歳 5 ヵ月の乳児保育も実施しました。
センター横浜では保育室を利用して、予約なし
親子のひろば
に親子で参加できる「木曜ひろば」を開催、保育
者の声かけで参加者同士が交流、安心して親子で
くつろげる場所として好評でした。また、センタ
ー横浜北に常設されている
「親子のひろば」
では、
子育てサークル等に場を提供する
「グループの日」
の利用が増え、子育て世代のゆるやかな仲間づく
りに活用されています。
39
「親子のひろば」
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(4)その他の協働事業
◆市民運営協議会
センター横浜、センター横浜南では第 1 期、センター横浜北では第 2 期の市民運営協議会は、
3 館とも 2 年任期の最終年となり、各館でそれぞれ 3 回開催しました。市民運営協議会は市民活
動にくわしい委嘱委員、実際に地域で活動している公募委員で構成され、毎回、センターの事業・
施設管理面で活発な意見交換が行われました。市民運営協議会で提案され、すぐに対処できる案
件には、すみやかに対応しました。
◆センター横浜の協働事業
アディクション・セミナー実行委員会と共催で、
「アディクション・セミナー in YOKOHAMA~
やめられる!やりなおせる!」を開催しました。この催しは自助グループ支援の一環として実施
しているもので、
2012 年度で 24 回目を迎えました。
36 団体が参加し、ギャンブルやアルコールなどさ
まざまな依存を抱えた当事者と家族の問題をテーマ
に、センター横浜全館を使って、21 のミーティング
が行われ、当事者同士や問題に関心をもった人同士
の交流の場ともなりました。
ほかにも、孤立しがちな乳幼児の親子に交流の機
会と情報を提供する「子育てしゃベリバほっとサロ
「子育てしゃベリバほっとサロン」
ン」を、子育て支援グループゆめこびとと協働で実
施しました。同室保育のため、子育て中の参加者が安心して情報交換や悩みを共有できる場とし
て、地元の子育て世代に、口コミなどでも広がっています。
また、国際女性デーと、2013 年 6 月に横浜で開催されるアフリカ開発会議を関連づけて、UN
Women よこはまと共催で「~つながる輪 ひろがる和~アフリカ女性たちのエンパワーメント」
を実施しました。アフリカの女性たちをともに成長するパートナーとしてとらえ、アフリカ女性
が直面している問題をともに考えていく機会となりました。
◆センター横浜南の協働事業
フォーラム南太田まつりに合わせて
「映像女性学の会」
と協働で実施したリレー上映会「女性が撮った東日本大
震災」には 113 人の参加者がありました。この上映会は、
「映像女性学の会」がセレクトした女性の取材・撮影に
よる東日本大震災関連の映像をリレー形式で上映すると
いう企画で、上映後には制作者によるトークも行われま
した。
課題解決のヒントとしての
「当事者が主役になる
“大
40
トーク「回復/はたらく/生きる ぐるぐると
~とある女性ふたりの“わたしの物語”」
2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(4)その他の協働事業
人の発達障害”講演&ワークショップ」
、トーク「回復/はたらく/生きる ぐるぐると~とある女
性ふたりの“わたしの物語”
」にはさまざまな世代・立場の男女が参加し、グループでのわかちあ
いが好評でした。
「南太田地モノやさい市&手づくり市」は毎月手づくり市を加えた定期開催となり、地域に定
着しています。新規に南図書館で始めた「女性のためのシゴト探し相談」も 3 回開催、男女共同
参画センターとは異なる来館者層のしごと相談を受け、センター利用につなげました。これらさ
まざまな機関、NPO 等との共催事業を通して、センターの新しい利用者層が生まれています。
◆センター横浜北の協働事業
センター横浜北は、防災や被災者支援をテーマと
したさまざまなイベントに協働で取り組みました。
市ヶ尾小学校を会場とした親子参加の防災訓練「イ
ザ!カエルキャラバン in パレット学童保育室いる
かくらぶ」には、防災グッズ・本の展示コーナー&
親子防災クイズで出前出展し、地域の方々とつなが
りを強める機会となりました。
また、県内に避難している東日本大震災の被災者
親子を対象とした神奈川県ユニセフ協会「避難者交
市ヶ尾小学校での親子防災クイズ
流会 世界のキッチンで料理をつくろう」では、思いや情報を交換する場を提供することができ
ました。
共催事業では、横浜市市民局と講演会「性暴力被害者の支援体制は、どうあるべきか」を開催、
当事者、行政、研究者それぞれの立場からの報告のほか、今後の支援体制の在り方についても議
論を深めました。横浜市経済局と共催したトークセッション「女性社長の新しい風~女性社長た
ちに聞く、会社の育て方・伸ばし方」では、先輩女性起業家の志にふれ、参加者はたくさんの刺
激を受ける機会となりました。
ほかにも都筑区の東山田中学校コミュニティハウスとの協働事業として、相互の場を会場とし
た連続講座「5 年後の私のためのライフプラン~もう一度働きたいあなたへ」を新たに企画しま
した。小学生、中学生の子どもをもつ離職期間の長い女性を対象にして、
「プレ就業支援」となる
プログラムを試みました。
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2012 年度事業報告書
Ⅰ事業実施の状況
6 協働連携事業
(4)その他の協働事業
<利用者の声>
・ 女性の先生で質問しやすく、説明もていねいで分かりやすかった。
(女性のための
パソコン講座)
・ サブの先生もいて質問が自由にできたため、楽しく学べました(女性のためのパ
ソコン講座)
・ 第二の家のようにいつも娘を温かく包んでいただき、ありがとうございます。
預かっていただくたびに、新しいことを感じて帰ってきているようで感謝してい
ます。
(一時保育)
・ 発達障害の人だけでなく、すべての人にコミュニケーションを楽しむ、イイトコ
サガシをするよい機会でした。講演も共感できるところがたくさんありました。
(当事者が主役になる「大人の発達障害」講演&ワークショップ)
・ 成功談ではなく、母親など家族との関係やいろいろなことに悩みながら働いて生
きる1人として女性としてのお話は貴重でした。共感や気づきがたくさんあり、
前を向くきっかけとなりました。
(トーク「回復/はたらく/生きる ぐるぐると~
とある女性ふたりの“わたしの物語”
」
)
・ 長年にわたり重たい傷としてさまざまな困難な状況にあること、周りの人間や社
会がいかに傷を深めてしまうか、など理解が深まりました。一方で、
“人としての
優しさ”が救いにつながっていたお話が心にのこりました。
(性暴力被害者の支援
体制はどうあるべきか)
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2012 年度事業報告書 Ⅰ事業実施の状況
7 男女共同参画推進施設管理運営事業
7 男女共同参画推進施設管理運営事業
センター3 館は、男女共同参画推進のための市民利用施設として、施設自体がもつ複合的な機
能を活用し、男女共同参画推進に関する主催事業を実施するとともに、市民の主体的な活動を
支援する場を提供しています。指定管理者の業務の基準に定められた施設管理項目を遵守した
運営を引き続き行ない、市民にとって安心・安全な施設利用を提供できる施設管理運営に努め
ました。
43
2012 年度事業報告書
Ⅱ施設利用状況・施設管理業務実施状況
Ⅱ 施設利用状況・施設管理業務実施状況
センター3 館では、公益目的事業に関する利用以外に、有料施設を貸与する事業や利用者の
利便性に配慮した飲料自動販売機の設置も行っています。これらによって得た収益は、公益
目的事業である男女共同参画推進事業の財源としています。2012 年度前半は、前年度に東日
本大震災後の節電要請に対応してセンター横浜、センター横浜北で実施した夜間休館の影響
が残り、来館者数がやや少なめでしたが、年度後半には徐々に利用が増加し、3 館ともに総
来館者数が 2010 年度実績を上回りました。有料施設の平均稼働率についても、3 館ともに年
度後半に回復傾向が見られました。経年劣化による老朽化や施設・設備の不具合に対応して
小破修繕を行い、利用者の安心・安全を最優先した施設の管理に取り組みました。
◆男女共同参画センター横浜
・総来館者数は 317,434 人で、目標の 334,000 人に達しませんでしたが、夜間休館実施前の、
2010 年度の総来館者数を 11,365 人上回りました。
・有料施設の平均稼動率は 66.4%で、目標の 70.0%に達しませんでしたが、下半期(69.4%)
は回復しつつあります。
・有料施設利用者アンケートでは、
「大変良かった」
「良かった」との回答は 90.4%となり、前
年度と同様に高い評価を得ました。
・老朽化が進んでいたホールの引き割り幕・袖幕・一文字幕の更新や各階トイレへのベビーチ
ェア・ベビーシートの設置を実施し、快適で安全な施設環境の整備を進めました。
・前年度に引続き消費電力の削減に努め、2010 年度比 23%の削減を達成しました。また、建
物南側のガラス面に遮熱フィルムを貼り、省エネルギー化に取り組みました。
・センター横浜は、大地震や風水害等が発生し、最寄駅の鉄道等が不通となった場合の帰宅困
難者一時受入施設に横浜市から指定されています。今年度は、水・非常食等の備蓄庫の整備
を実施し、緊急時にスムーズに対応できる状態を整えました。また、戸塚駅周辺混乱防止対
策連絡協議会のメンバーとして、地域の関連諸機関との連携を深めました。
◆男女共同参画センター横浜南
・総来館者数は 176,933 人で、目標の 172,000 人を達成しました。
「めぐカフェ」の営業日の増
や、図書の貸出数の伸びからみられる資料室利用の増が、主な要因と考えられます。
・有料施設の平均稼働率は 64.3%と目標の 68%を上回ることができませんでした。横浜市婦人
会館当時から定期的に利用していたグループ・団体のいくつかが、参加者の高齢化等により
解散、活動停止となったことが大きな要因と考えられます。
・有料施設利用者アンケートでは、
「大変良かった」
「良かった」との回答が 94.7%を占め、前
年度比で約 3%上昇し、利用者の満足度は高まりました。
44
2012 年度事業報告書
Ⅱ施設利用状況・施設管理業務実施状況
・築 30 年以上経過した施設を安心・安全に運営するために、施設設備の計画的な保守点検管理
を行い、エレベーターワイヤーロープ、玄関自動ドアモーターの交換を計画のとおり行うと
ともに、交流ラウンジの雨漏り、屋上防水シート破損、ロッカー・家具の転倒防止等の修繕
対応を行いました。
・前年度に引続き消費電力の削減に努め、2010 年度比 23.7%の削減を達成しました。
・施設の保安のため、防犯カメラを館内 4 箇所に設置しました。
・大研修室に大型プロジェクター用の大型スクリーンを新たに設置しました。
◆男女共同参画センター横浜北
・総来館者数は 342,553 人で、目標とした 371,000 人には達しませんでしたが、積極的な広報
努力により、夜間休館実施前の 2010 年度の総来館者数を 1,761 人上回りました。
・有料施設の平均稼働率は目標を 70.0%以上としましたが、若干下回る 68.0%となりました。
しかし、減少していた夜間利用件数が徐々に増加傾向となっています。
・有料施設利用者アンケートでは、「大変良かった」「良かった」との回答は 91.4%となり、前年
度比で約 3%上昇し、利用者満足度が高まりました。
・複合施設の主たる管理者として、横浜市民ギャラリーあざみ野との緊密な連携のもと、利用
者の安心・安全を最優先した管理運営を行いました。特に消防設備の優良管理者として「防
火対象物特例認定」の継続申請を提出し、横浜市消防局より監査を受けました。その結果、3
月 26 日付で継続申請が認定されました。
・横浜市と、「災害時における施設等の提供協力に関する協定書」を締結(2013 年 3 月)しまし
た。
・大規模修繕として、地下駐車場湧水止水工事を実施しました。その効果としてエレベーター
ピット内や駐車路面への浸水はなくなりました。
<利用者の声>
・ 部屋が綺麗で、ワークショップに最適、スクリーンも使いやすかった。
(センター横
浜)
・ ホール音響・照明や舞台転換などを丁寧に対応していただき、よかった。
(センター
横浜)
・ 桜満開のすばらしい景色の中で楽しく利用できました。
(センター横浜南)
・ 落ち着いた雰囲気でいつものんびりできます。
(センター横浜南)
・ 明るく、静か、環境も良く、また利用したいです。
(センター横浜北)
・ スタッフも親切で、子ども連れでも安心して利用できます。
(センター横浜北)
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2012 年度
発
行
事業報告書
公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会
〒244-0816 横浜市戸塚区上倉田町435-1
電
話:045-862-5141
FAX:045-862-3101
URL: http://www.women.city.yokohama.jp
発行年月
2013 年 4 月発行
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