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第 64 回 遺そう我々の郷土 を!伝えよう100年後の子ども達へ! 「幸手
地域づくり情報局メールマガジン Vol.64 Vol. 64| 2014.2.21 第 64 回 ふるさと 遺そう我々の郷土を!伝えよう100年後の子ども達へ! さ っ て ごんげんどうさくらづつみ 「幸手権現堂 桜 堤 」を市民の憩いの場とする取組み 地域づくり活動の苦労話や成功談などを地域のリーダーに直接お伺いし、お届けす る「地域づくりキーパーソンに聞く」コーナー。 埼玉県幸手市にある幸手権現堂桜堤は、春になると堤の両側1キロに渡って咲き誇 る桜によって、ピンク色のトンネルを作るとともに、堤の上から目を下に向けると、 一面に菜の花の黄色が広がる、市民の憩いの場です。このピンクと黄色の織り成す風 景が多くの皆様に支持され、毎年、全国各地から多くの観光客が訪れます。 今では、桜以外にも、紫陽花、曼珠沙華、水仙の四季折々の花が咲き、年間200 万人にものぼる観光客に愛される、埼玉県下でも有数な名勝地となりました。 さ っ て ごんげんどうさくらづつみ ほ ぞ ん か い 幸手権現堂 桜 堤 保存会は、その名のとおり、桜の保存を活動の中心とした団体で す。しかし、それだけにとどまらず、紫陽花、曼珠沙華、水仙を1本、1本、心を込 めて手で植え、今日の隆盛に導きました。 今回は、ここ幸手権現堂桜堤を、本当の手づくりで再生させた団体、幸手権現堂桜 堤保存会をご紹介いたします。会の代表である理事長の並木克己さんにお話を伺いま した。 【平成25年度「手づくり郷土賞」(一般部門)受賞】 埼玉県幸手市 幸手権現堂 (前列左から3番目:渡辺幸手市長) (前列右から3番目:並木理事長) 1 地域づくり情報局メールマガジン Vol.64 【活動を始めたきっかけ】 私が子どもの頃、桜堤は自然の宝庫、まさに自然の遊び場でした。当時から桜は有 名で、桜祭りは盛大に開催されていたと記憶しています。しかし、桜が終わると草が 生え、荒涼としてしまう堤でした。 大人になり、その様子を見て、「子どもの頃、川で魚を捕まえ、カブトムシなどの 昆虫やホタルを捕まえるため桜堤を駆け回った、あの美しい桜堤に戻せないか。」と 言う話が立ち上がり、子どもの頃、ここを遊び場としていた人達が中心となり、平成 8年12月に幸手権現堂桜堤保存会を立ち上げました。 【荒地を憩いの場へ!幸手権現堂桜堤保存会が何をしたのか?】 まず手がけたのが、荒れた堤の草刈、清掃です。桜堤は広いため、綺麗にするのは 大変でした。しかし、会員達は誰に言われるわけでもなく、草刈・清掃に汗をかき、 元の美しい桜堤に戻していきました。 次に手がけたのが、堤の整備です。桜の木の保全とここを訪れる方々の安全を確保 するため、落ちた枝の除去を行いました。枝の除去は、特に台風や大風の吹いた翌日 に1番必要とされます。会では、朝早く集合し、枝を除去して来園に備えます。 その後、堤が崩れて危険な箇所の補修として法面の土留め、また歩行者が利用しや すいように、階段の設置、杭うち作業などを行いました。 桜の木の保全作業 階段の設置作業 【市民の憩いの場!花の公園へ】 「桜の時期以外にも市民に足を運んでもらおう。ここを幸手市のシンボルとして大 勢の人に訪れてもらえるような場所にしよう。」と、桜以外の植栽も始めました。具 体的には、紫陽花(平成8年に150株。現在は150種類、16,000株。平成 13年に第1回紫陽花まつり開催。)、曼珠沙華(平成12年に500本。現在は10 0万本。平成18年に第1回曼珠沙華まつりを開催。)、水仙(平成13年に2,00 0本。現在は50万本。平成22年に第 1 回水仙まつりを開催。)を植え、四季を通 じて楽しめるような場所としました。 2 地域づくり情報局メールマガジン Vol.64 幸手権現堂桜堤保存会は、平成8年に設立しましたが、それ以前から地域との連携 を常に意識して活動をしてきました。会員の多くは地元、つまり権現堂堤の近くに住 み、小さいときから権現堂堤に愛着を持つ人たちです。必要なときには何時でも集ま ってくれて、地域の連帯感は抜群だと思います。また、人は人を呼びます。我々の活 動が人伝いに人を呼び、次々に協力者が現れました。現在、会員は84名ですが、そ れ以外にボランティアとしてクリーン活動(月1回のゴミ拾い)に参加してくれる人 たち、貴重な植物(フジバカマ)が育つ環境を整えてくれる人たちがいます。近くの 企業も、社員総出でゴミ拾いをしてくれています。 植樹している花(紫陽花、曼珠沙華、水仙)は、多くの方から提供していただいた ものです。従いまして、花(紫陽花、曼珠沙華、水仙)を購入する経費は、ほぼゼロ です。 紫 陽 花 曼 水 珠 沙 華 仙 【新たな取り組み】 小学生の総合学習として、権現堂の歴史を子ども達に伝える活動を行っています。 また、子ども達に自然に親しんでもらう活動として、園内の菜の花畑を利用して、か ぼちゃの栽培を行い、収穫したかぼちゃを、学校や福祉施設に配布し、食材として利 用していただいております。 また、ヤギを活用しての除草の取り組みとして、ヤギ eco 事業を昨年3月から実施 しております。この事業は子ども達に人気となり、休日ともなると、子どもたちが大 勢集まり、権現堂公園の新たな名物になっています。 3 地域づくり情報局メールマガジン Vol.64 そして、現在取り組んでいるのが里山の再現です。昔の桜堤に戻すために、園内の 一部を利用して、里山を再現する取り組みです。多くの日本人がふるさとを感じられ るような場所、小川が流れ、虫が飛び、夏にはホタルが跳ぶ、そんな風景があったら 良いですね。実現までには時間がかかりそうですが、必ず実現させます。 小学生の総合学習 かぼちゃの収穫 ヤギ eco 事業 【100年後の子ども達へ!】 私たちは今までに色々な取り組みを実践してきましたが、特別の事をやってきたと は思っていません。毎日、毎日、自分たちにできることを一つずつやってきた結果、 今があります。 「ここの桜は綺麗だね。」、 「こんなに多くの紫陽花が綺麗に咲く場所が あったんだね。」、 「曼珠沙花のレッドカーペットは圧巻だね。」など、多くのお褒めの 言葉をいただくようになりました。これが私たちの一番の喜びで、これからも続けて 行きたいと思います。 ふるさと 私たちの活動テーマは、「遺そう我々の郷土 を!伝えよう100年後の子ども達 へ!」です。わたし達は、この遺伝子(DNA)を絶やすことなく後世に引き継ぐ義 務があると思い、このテーマにしました。 近年、小学生の総合学習やヤギ eco 事業などにより、子どもの数が多くなったよう 4 地域づくり情報局メールマガジン Vol.64 に感じられます。これはまさに、私たちが望んできたことです。そして100年後も この風景があることを私たちは願っています。 幸手権現堂桜堤の桜と菜の花 私たちの活動拠点、幸手権現堂桜堤です。堤の上を約1キロに渡り約1,000本 の桜が咲き、堤の下には5ヘクタールの菜の花が咲きます。 5