Comments
Description
Transcript
特 許 公 報 特許第5778876号
〔実 6 頁〕 特 許 公 報(B1) (19)日本国特許庁(JP) (12) (11)特許番号 特許第5778876号 (45)発行日 (P5778876) (24)登録日 平成27年7月17日(2015.7.17) 平成27年9月16日(2015.9.16) (51)Int.Cl. A23F FI 3/06 (2006.01) A23F 3/06 Z 請求項の数2 (全8頁) (21)出願番号 特願2015-49056(P2015-49056) (22)出願日 平成27年3月12日(2015.3.12) 清水 平成27年3月12日(2015.3.12) 静岡県静岡市駿河区大和2丁目6−38 審査請求日 (31)優先権主張番号 特願2014-241223(P2014-241223) (32)優先日 平成26年11月28日(2014.11.28) (33)優先権主張国 日本国(JP) (73)特許権者 303019444 敏子 (74)代理人 100136560 弁理士 森 俊晴 (72)発明者 清水康夫 静岡県静岡市駿河区大和二丁目6番38号 早期審査対象出願 (72)発明者 清水敏子 静岡県静岡市駿河区大和二丁目6番38号 (72)発明者 清水 徹 静岡県静岡市駿河区大和二丁目6番38号 審査官 柴原 直司 最終頁に続く (54)【発明の名称】3−アミノ−1−エチルグルタルイミドを含む茶の製造法およびその茶 1 2 (57)【特許請求の範囲】 性が重要視されている。茶に含まれるテアニンが脱水環 【請求項1】 状化し3−アミノ−1−エチルグルタルイミドが生成す 茶を、圧力容器内に入れ、加圧蒸気を吹き込み、飽和蒸 ることを亜臨界水の研究において、初めて見出された。 気圧曲線以下の液体の水を随伴しない環境下で、100 3−アミノ−1−エチルグルタルイミドはテアニンが脱 ℃∼125℃で5∼50分処理する、テアニンを3−ア 水環状化したもので、緑茶には極めて少量しか存在しな ミノ−1−エチルグルタルイミドに環状化した茶の製造 い。テアニンを含む茶を亜臨界水処理以外の方法で、3 法。 −アミノ−1−エチルグルタルイミドを作る方法を案出 【請求項2】 した。 茶に、テアニンを添加し、圧力容器内に入れ、加圧蒸気 【背景技術】 を吹き込み、飽和蒸気圧曲線以下の液体の水を随伴しな 10 【0002】 い環境下で、100℃∼125℃で5∼50分処理する 食生活の多様化により、糖尿病等の患者が年々増加して 、テアニンを3−アミノ−1−エチルグルタルイミドに いる。インシュリン製剤をはじめ数多くの治療薬が開発 環状化した茶の製造法。 されているが、これらの薬剤には副作用がある。副作用 【発明の詳細な説明】 の無い安全に利用できる糖尿病等治療に有効な食品の開 【技術分野】 発が望まれている。 【0001】 【0003】 この発明は3−アミノ−1−エチルグルタルイミドを含 テアニンを含む茶を180℃亜臨界水処理10分間する む茶の製造法及びその茶に関するものである。茶は特有 ことにより、テアニンが脱水環状化し、3−アミノ−1 の味、香気を楽しむ嗜好飲料で、中国古来よりその機能 −エチルグルタルイミドが生成することが見出された( ( 2 ) JP 5778876 B1 2015.9.16 3 4 非特許文献1)。3−アミノ−1−エチルグルタルイミ イミドは糖尿病等の患者に有効であることが示唆されて ドは糖尿病等の患者に有効であることが予測されている いる(非特許文献2)。 (非特許文献2)。 【0007】 【0004】 3−アミノ−1−エチルグルタルイミドは緑茶中に少量 亜臨界水処理法は近年研究開発された技術で、水の存在 しか含まれない、テアニンを含む茶を亜臨界水処理(1 状態の研究で示すように、372.2度、221MPa 80℃10分)行うことにより、3−アミノ−1−エチ の臨界点以上の高温高圧状態では、水が液体とも気体と ルグルタルイミドを製造することが提案されている(非 も言えない超臨界状態となる、これよりやや低温、低圧 特許文献2)。 で液体状態にある水を亜臨界水という。この状態は図1 亜臨界水処理装置は特殊な装置で、実用に適さないので に示すように通常の水とは異なる性質を持ち、有用な成 10 、亜臨界水処理装置を利用しないで、3−アミノ−1− 分の分解反応を含む抽出に用いられている。通常の液体 エチルグルタルイミドを作ることが望まれていた。 の存在下では想定されなかったテアニンの脱水環状化が 【0008】 起こった(非特許文献1)、(非特許文献3)。この脱 【化1】 水環状化の条件を確認するため、テアニンを亜臨界水処 理(180℃10分間)行うことにより、テアニンが脱 水環状化し、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドが 生成することが確認された(非特許文献2)。 【0005】 【表1】 20 【先行技術文献】 【特許文献】 【0009】 【特許文献1】特開2013−34469 【特許文献2】特許第5588061号 【0010】 【非特許文献1】亜臨界水抽出法を用いた食品加工への 応用の最近の進歩:化学と生物:VOL51、No7、2 013 【非特許文献2】高温高圧水中のテアニンの変化と機能 30 性について:第28回茶学術研究会:平成25年3月1 5日 しかし、熱水(90℃)30分、加圧(120℃)15 【非特許文献3】(S)3-Amino-1-ethylglutarimide fr 分、亜臨界水(120℃:1分)(150℃:1分)( om green tea:科学・技術研究 180℃:1分)等各種の条件で処理し、テアニン等各 14) 種のアミノ酸の変化を分析したが、テアニンは残存し、 【非特許文献4】茶の旨味成分と嗜好性:45頁:茶の 3−アミノ−1−エチルグルタルイミドが生成すること 機能:学会センター(2002年) は確認出来なかった(非特許文献2)。 【発明の概要】 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 テアニンは茶に含まれている特殊なアミノ酸で、緑茶に 【0011】 含まれるアミノ酸の約半分を占め、高級の茶の玉露より 40 この発明は、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドを 初めて発見されたので、茶の旨味の指標とされてきたが 含む茶の製造法およびその茶に関するもので、テアニン 、「茶の香味と嗜好」(非特許文献4)の研究により、 を亜臨界水処理(180℃10分)を行うことにより、 煎茶の浸出液にアミノ酸を添加して呈味度のテストの結 テアニンが3−アミノ−1−エチルグルタルイミドに脱 果、テアニンはグルタミン酸とアルギニンの当量混合物 水環状化することを見出した。3−アミノ−1−エチル の10倍以上の量を添加しないと識別できず、煎茶の旨 グルタルイミドには、機能性が期待され、臨床研究等の 味に対する影響力は少ないことが明らかとなり、テアニ ため、亜臨界水処理によらないで、経済的に3−アミノ ンの茶の呈味に及ぼす機能は少なく、テアニンは呈味の −1−エチルグルタルイミドを供給する技術開発が望ま 機能以外の神経機能の改善に関する研究が注目されてい れている。本発明は、緑茶に含まれるテアニンを亜臨界 る(非特許文献4)。 水処理以外の方法により、脱水環状化させ、3−アミノ テアニンより作られた3−アミノ−1−エチルグルタル 50 −1−エチルグルタルイミドを含む茶の製造法およびそ 第3巻1号:1(20 ( 3 ) JP 5 5778876 B1 2015.9.16 6 の茶に関するものである。 することを確認した。 【0012】 【0016】 テアニンは茶樹の根においてエチルアミンとグルタミン 3−アミノ−1−エチルグルタルイミドがテアニンより 酸が結合して作られ、茶葉に移行する。日光の照射によ 転換する経路は研究の末、テアニンの脱水環状化による り、カテキンに代謝する。茶樹に日光を制限することに もので、テアニン分子の周囲に液体の水が随伴すると脱 より、テアニンを多量に含む高級な茶を作ることが行わ 水環状化は起らないことを解明した。表1の水の状態図 れている。テアニンの植物代謝の役割については解明さ に示すように、亜臨界状態の水は通常の液体の水ではな れ、人の神経系機能について研究が行われ、安らぎ効果 い。今回、テアニンを含む茶を高温高圧の飽和蒸気の加 が認められている。 工処理により、3−アミノ−1−エチルグルタルイミド テアニンは極めて安定な化合物で、近縁化合物の合成は 10 が生成することを見出した。これはテアニンが脱水環状 詳細に行われたが、環状化した化合物は合成されていな 化反応した結果で、茶を高温高圧の飽和蒸気で処理をす い。テアニンは液体の水が随伴する条件下で加熱処理に ると、水の存在状態図において、飽和蒸気圧曲線の下部 対して安定で、加熱分解を起こさない。糖類と反応して の領域で液体の水は随伴しない、この条件下で、茶を高 茶の香ばしい香りを作り、さらに強く加熱すると、ほう 温高圧で飽和蒸気加熱処理すると、テアニンは脱水環状 じ茶の香りを作る、焙煎処理に安定で、茶を焙煎したほ 化することを明らかにした。 うじ茶にテアニンは残存する。 【0017】 【0013】 テアニンを含む緑茶を圧力容器内に入れ、容器内に飽和 テアニンは高級茶の玉露浸出液より発見されたので、茶 蒸気を吹き込み、容器内の空気を飽和加熱蒸気と置換す の旨味成分の主体とされてきたが、煎茶の浸出液にアミ る。加熱水蒸気処理により酵素の失活を計る。設定した ノ酸を添加して識別可能な量を検討した結果、テアニン 20 温度に到達後、圧力容器内の空気が飽和加熱蒸気と完全 はグルタミン酸とアルギニンの当量混合物の10倍量以 に置換し、飽和蒸気圧曲線の下の、液体の水の随伴しな 上を加えないと識別できない。テアニンは単独では緑茶 い領域で、排気弁を閉じ、所定の圧力、温度で設定時間 の旨味成分とは考えられない。3−アミノ−1−エチル を飽和蒸気で処理を行い、茶に含まれるテアニンを脱水 グルタルイミドはアミノ基特有のニンヒドリン反応を示 環状化させ、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドに すので、緑茶の水溶性窒素成分の研究において、未確認 転換させる。 スポットとして記録されている筈であるが、その記録は 【0018】 ない。亜臨界水処理の研究より、初めてテアニンが脱水 本発明は特許文献1,2の発明とは異なる。特許文献1 環状化し、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドが生 ,2は茶を圧力容器内で加圧加熱蒸気処理し茶中に含ま 成することが見出された。 れるカテキン類を重合カテキンに縮合環境である、ある 【0014】 30 いはメチルカテキンを保持し、カテキン類を重合カテキ テアニンが環状化した3−アミノ−1−エチルグルタル ンに縮合し、渋味を低減化させる製造法である。この反 イミドは、糖尿病の治療に有効であることが示唆される 応は加圧、加熱による重合反応で、液体の随伴しない環 ので、動物および人間に対する臨床試験を行なうために 境は必要条件ではない。カテキン類の加熱重合は、水の 、テアニンが環状化した3−アミノ−1−エチルグルタ 随伴する、飽和蒸気曲線上部の環境の方が、熱伝導効率 ルイミドを含む茶の安定供給が望まれていた。緑茶を亜 がよく、重合反応が達成される。このカテキン類を含む 臨界水処理以外の方法により、3−アミノ−1−エチル 茶の研究で、近赤外分析を行った結果、テアニンの減少 グルタルイミドを含む茶の製造法を案出した。 を認めなかった、水の随伴する状態の高温高圧の処理で 【課題を解決するための手段】 は、テアニンは3−アミノ−1−エチルグルタルイミド 【0015】 に脱水環状化することはない。 3−アミノ−1−エチルグルタルイミドはアミノ基特有 40 【0019】 のニンヒドリン反応を示すので、アミノ酸液体クロマト 茶葉中のテアニンは日光の照射により、カテキンに代謝 グラフ法を改良して、緑茶に含まれる主要アミノ酸5種 して、1%程度しか含まれない。 類と同時に分析する方法を案出し、公的分析機関で分析 日光を制限して栽培した茶から作られた碾茶にはテアニ した。その検索の結果、テアニンを、3−アミノ−1− ンが多く含まれる。テアニンを少量しか含まない下級の エチルグルタルイミドに転換する方法を案出した。この 緑茶にテアニンを添加し、テアニンを多く含む茶を作り 3−アミノ−1−エチルグルタルイミを含むアミノ酸の 、上記で述べた飽和蒸気で完全置換し、液体の水が随伴 同時分析法よりテアニン含むアミノ酸の消長を調べたが しない環境で加熱処理を行うことにより、3−アミノ− 、テアニンと3−アミノ−1−エチルグルタルイミの消 1−エチルグルタルイミドを含む茶を作ることができた 長が関連していることより、3−アミノ−1−エチルグ 。 ルタルイミドはテアニンの脱水による環状化により生成 50 【0020】 ( 4 ) JP 7 5778876 B1 2015.9.16 8 テアニンを含む茶を、前項の方法で処理し、テアニンを 環状化させた茶を分離することなく茶飲料の製造を行い 、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドを含む茶飲料 を作ることができる。本発明に使用する茶はテアニンを 含む茶であれば、緑茶、紅茶、烏龍茶等、茶の種類を限 定せず、加工原料茶として利用できる。 【発明の効果】 【0025】 【0021】 上記分析の結果を検討すると、試料の碾茶を圧力容器内 アミノ酸と3−アミノ−1−エチルグルタルイミドの同 に入れ、飽和蒸気を吹き込み、加圧加熱すると、水の随 時分析法で検索の結果、テアニンを環状化させ3−アミ 10 伴する状態で、カテキン類は重合カテキンに重合する。 ノ−1−エチルグルタルイミドに転換する方法を見出し 飽和蒸気により圧力容器内の空気を完全に置換し、液体 た。 の水の随伴しない条件下で処理:碾茶(B)では原料碾 テアニンが3−アミノ−1−エチルグルタルイミドに転 茶にテアニンが100g中3,300mg存在したが、 換する経路を解明した結果、テアニンの脱水による環状 2,100mgに減少し、3−アミノ−1−エチルグル 化により生成するものであり、テアニン分子の周囲に液 タルイミドは970mgに増加した。125℃:25分 体の水が随伴する時には脱水反応は起こらずカテキン類 処理した碾茶(C)では、テアニンは710mgに減少 を重合カテキンに縮合し、環状化は起きない。テアニン し、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドは1,90 を含む茶を高温高圧の飽和蒸気の加工処理により3−ア 0mgに増加した。125℃:50分処理した碾茶(D ミノ−1−エチルグルタルイミドが生成したことは、テ )ではテアニンは230mgに減少し、3−アミノ−1 アニンの脱水環状化が行われた事を示す。茶を高温高圧 20 −エチルグルタルイミドは2,200mgに増加した。 の飽和蒸気で処理をすると、水の存在状態図において、 テアニンを含む茶を亜臨界水処理以外の方法、液体の水 飽和蒸気圧曲線に従い処理される。飽和蒸気圧曲線の下 の随伴しない環境下で飽和水蒸気により高温高圧処理す 部の環境下では、液体の水は随伴しない、茶に含まれる ることにより、テアニンを脱水環状化することが出来た テアニンは、この環境下で高温高圧の飽和蒸気加熱処理 。 により、脱水し環状化が起こることを明らかにした。 【0026】 【0022】 碾茶は日光を照射制限して栽培した茶葉を摘採加工した テアニンを含む緑茶を圧力容器内に入れ、容器内に飽和 もので、テアニンは多量に含まれる。摘採した茶葉を蒸 蒸気を吹き込み、容器内の空気を飽和加熱蒸気と置換す 熱し、耐火煉瓦製の乾燥装置で通常の茶の製造より高温 る。加熱水蒸気処理により酵素の失活を計る。設定した で加工する。耐火煉瓦の加熱により作られる赤外線によ 温度に到達後、圧力容器内の空気を飽和加熱蒸気と完全 30 る高温処理により、茶葉中のテアニンが少量、3−アミ に置換し、飽和蒸気曲線の下部の液体の水の随伴しない ノ−1−エチルグルタルイミドに転換したと思われる。 領域で、排気弁を閉じ、所定の圧力、温度で設定時間を 碾茶A(原料茶)は緑色で粉砕加工したものは抹茶であ 飽和蒸気で処理を行い、茶に含まれるテアニンを脱水環 る。 状化させ、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドに転 【0027】 換させる。 碾茶Bは飽和加圧水蒸気で水の随伴しない環境下で、1 【0023】 25℃で処理したもので、緑色は減少するが、碾茶の風 テアニンを多量に含む原料碾茶(A)を、圧力容器内に 味が残存し、テアニンは一部、脱水環状化している。碾 入れ、飽和蒸気を吹き込み、容器内の空気を飽和蒸気と 茶の風味を残存させた3−アミノ−1−エチルグルタル 置換する。加熱水蒸気処理により酵素の失活を計る。設 イミドを含む茶を作ることができる。 定した温度(125℃)に到達し、完全に置換完了した 40 碾茶Cは飽和加圧水蒸気で水の随伴しない環境下で12 碾茶を碾茶(B)とする。125℃:25分処理した碾 5℃25分処理したもので、粉末にした抹茶の緑色は茶 茶を碾茶(C)とする。125℃:50分処理した碾茶 色に多少変化しているが、3−アミノ−1−エチルグル を碾茶(D)とする。 タルイミドは100g中に1.9g含まれる。碾茶Dは これ等の標品をテアニン、3−アミノ−1−エチルグル 125℃で長時間50分、処理したものはさらに緑色は タルイミド同時分析法により公的機関で分析を行った、 茶色に変化するが、3−アミノ−1−エチルグルタルイ 主要遊離アミノ酸および3−アミノ−1−エチルグルタ ミドは100g中に2.2g含まれる。 ルイミドを高速液体クロマトグラフ法により分析した結 【0028】 果を表2に示す。 加工処理したB、C、Dの茶の浸出液は3−アミノ−1 【0024】 −エチルグルタルイミドを含み、各種風味の茶を作るこ 【表2】 50 とができた。加工条件は嗜好性と経済性を考慮して決め ( 5 ) JP 9 5778876 B1 2015.9.16 10 る。 【実施例2】 【発明を実施するための形態】 【0032】 【実施例1】 煎茶1kg(テアニン10g含有)にテアニン25gを 【0029】 添加し、実施例1の茶原料とテアニンの含量をほぼ同一 テアニンを含む碾茶1Kg(テアニンを33g含有)を に調整し、この茶を圧力容器内に入れ、加熱蒸気を吹き 圧力容器内に入れ、容器内に蒸気を吹き込み、茶に含ま 込み、容器内の空気を飽和加熱蒸気と置換する。茶に含 れる好ましくない香気を排気と共に除去する。加熱水蒸 まれる好ましくない香気を排気と共に除去する。加熱水 気により酵素の失活を計り、碾茶に含まれる成分の加水 蒸気処理により酵素の失活を計り、碾茶に含まれる成分 分解を阻止する。 の加水分解を阻止する。 【0030】 10 【0033】 飽和蒸気により圧力容器内の空気を完全に置換し、液体 設定した温度125℃に到達後、圧力容器内の空気を加 の水の随伴しない環境を作り、排気弁を閉じ、温度12 圧水蒸気により完全に置換、置換完了したことを確認し 5℃、50分処理する。加工処理完了後、常圧にし、処 、液体の水の随伴しない環境下で、排気弁を閉じ、12 理品を取り出し、加熱乾燥し製品とする。 5℃、50分、所定の圧力、温度で処理する。加工処理 【0031】 完了後、常圧にし、処理品を取り出し、加熱乾燥し製品 テアニンを含んだ碾茶を飽和蒸気で、液体の水の随伴し とする。 ない環境下で125℃、50分加工した処理品を分析し 【0034】 た結果、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドは10 処理品の分析の結果、実験例1の結果と同じで、3−ア 0g中に2.2g含まれ、3−アミノ−1−エチルグル ミノ−1−エチルグルタルイミドを含む茶を下級の緑茶 タルイミドを含む茶を経済的に提供することができた。 20 より経済的に提供することができた。 【要約】 【課題】 テアニンを含む茶を加工し、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドを含む茶 の製造法及びその茶を提供するものである。 【解決手段】 アミノ酸分析法を改良してテアニンと3−アミノ−1−エチルグルタルイ ミドを同時に分析する方法を案出し、これを利用して、3−アミノ−1−エチルグルタル イミドを含む茶の製造法を案出した。テアニンを含む緑茶を圧力容器内に入れ、飽和蒸気 を吹き込み、容器内の空気を飽和加熱蒸気と置換する。圧力容器内の空気が飽和加熱蒸気 と完全に置換し、飽和蒸気曲線の下で、液体の水の随伴しない環境下で、飽和蒸気で処理 を行い、茶に含まれるテアニンを脱水環状化させ、3−アミノ−1−エチルグルタルイミ ドに転換させ、3−アミノ−1−エチルグルタルイミドを含む茶の製造法を見出した。緑 茶にテアニンを添加し、テアニン含量を高め、加工することにより3−アミノ−1−エチ ルグルタルイミド茶を作ることができた 【選択図】 なし ──────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特許第5588061(JP,B1) 特開2013−34469(JP,A) 特開2013−51894(JP,A) 特開2010−72980(JP,A) 国際公開第2009/110610(WO,A1) 特開2002−338327(JP,A) 宮下知也, "亜臨界水抽出による茶の味および香りに関する化学的研究", [online], (2013.12), 静岡大学学術リポジトリ, [2015.04.17検索], インターネット<URL:http://ir.lib.shizuoka.a c.jp/bitstream/10297/7984/1/K0810ny.pdf> 日本食品化学学会誌, (2004), 11, [2], p.99-102 ( 6 ) JP 5778876 (58)調査した分野(Int.Cl.,DB名) A23F 3/00−3/42 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) B1 2015.9.16