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第1章 本市の現状と新たな大都市制度・ 広域連携を必要と

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第1章 本市の現状と新たな大都市制度・ 広域連携を必要と
第1章
本市の現状と新たな大都市制度・
広域連携を必要とする背景
1 名古屋市の現況
●
名古屋のまちづくりは、1610年(慶長15年)に徳川家
康が名古屋城の築城を始めたことに伴って、清須からのまちぐ
るみの移転などにより始まり、2010年(平成22年)には、
開府400年を迎え、現在に至っています。
●
ここでは、名古屋市の成り立ちと名古屋を始めとしたこの地
域が持つ魅力や特徴を紹介します。
(1)名古屋市の成り立ち
○
名古屋のまちづくりは、1610年(慶長15年)に徳川家康が、海陸の
連絡に便利な那古野台地に築城工事を始めたことに伴って、清須からのまち
ぐるみの移転(清須越)などにより、市街地ができあがったことから始まり
ます。以来、徳川御三家筆頭の城下町として尾張藩の中心となり、江戸・大
坂・京につぐ発展をみました。
○
1871年(明治4年)に行われた廃藩置県で、新政府は名古屋県(翌 5 年
に愛知県と改称)を置き、その後、1878年(明治11年)には、名古屋区
として初めて独立行政区となり、1889年(明治22年)10月1日の
市制施行で、名古屋市は人口約15万7,000人、面積約13.34k㎡で
スタートをしました。
○
明治・大正から昭和の初頭には経済界の活況に伴い、商工業都市として順
調な発展を続けましたが、太平洋戦争により当時の市域の約4分の1を焼失
しました。
○
戦後、いち早く復興都市計画事業に着手し、100m 道路の建設、平和公
園への墓地移転などの大事業を行い、今日の基盤が確立されました。
-1-
○
名古屋市の誕生から今日に至るまでに近隣の市町村の編入などもあり、現
在では市域 326.43k㎡、人口約 226万人の規模となっています。また、
2010年(平成22年)には名古屋のまちづくりの始まり(開府)から
400年を迎えました。
(2)名古屋の魅力・特徴
ア.中部国際空港「セントレア」の開港
○
中部国際空港「セントレア」は、2005年(平成17年)の「愛・地球
博」の開催にあわせて開港し、それ以来、成田国際空港、東京国際空港(羽
田)、関西国際空港と並ぶ国際拠点空港として、日本の航空輸送の発展を担っ
ています。
○
また、海上空港の利を活かし、名古屋港と連携を図ることにより、航空輸
送と海上輸送の連携による輸送形態「シーアンドエアー」が行われるなど、
航空貨物の国際拠点として、当地域における産業経済の発展に重要な役割を
果たしています。
○
今後、日本の経済発展を支える当地域が更なる発展を遂げ、世界との交流
を深めていくためには、真の国際拠点空港としての機能を備えることが求め
られています。そのためには、中部国際空港が二本の滑走路を有し、真に
24時間運用可能な機能を備えることが不可欠です。
イ.日本一の貨物量を誇る名古屋港
○
名古屋港は、物流、生産、防災、交流、交通の機能が備わった総合港湾と
して発展し、世界約160の国・地域と結ばれ、2011年(平成23年)
の総取扱貨物量(1億8,631万トン)及び貿易額(13兆4,479億
円)は、日本一となっており、世界的なものづくり産業が集積する名古屋大
都市圏の産業基盤を支える物流拠点として、全国でも重要な役割を担ってい
ます。
-2-
○
国際競争力のある港湾の形成に向けて、名古屋港は、コンテナ機能強化の
みならず、国際バルク戦略港湾施策を推進することで、コンテナ貨物、バル
ク貨物、完成自動車を扱う総合港湾「国際産業ハブ港」の実現に向けた取り
組みが進められています。
ウ.交通基盤の整備
○
日本の中心に所在する本市は、東海道新幹線において、東京まで約100分、
大阪まで約50分で結び、他の大都市への交通アクセスが優れています。
○
また、圏域内においても、全国初となる地下鉄環状運転の実現、西名古屋
港線「あおなみ線」、東部丘陵線「リニモ」の開業などにより鉄軌道網の整備
が進み、また、名古屋第二環状自動車道、名古屋高速道路をはじめとした道
路網も整備されるなど交通基盤の整備が著しく進展し、人、モノ、情報の交
流が大きく促進されました。
■近年の主な交通基盤の整備状況
種別
空港
名称・区間等
中部国際空港「セントレア」
年 月 日
平成17年 2月17日開港
鉄軌道 ガイドウェイバス志段味線(大曽根~小幡緑地)
平成13年 3月23日開業
地下鉄名城線(名古屋大学~新瑞橋)※環状運転開始
平成16年10月 6日開業
西名古屋港船「あおなみ線」(名古屋~金城ふ頭)
平成16年10月 6日開業
東部丘陵線「リニモ」(藤が丘~八草)
平成17年 3月 6日開業
地下鉄桜通線(野並~徳重)
平成23年 3月27日開業
高速
名古屋高速道路 高速16号一宮線(清洲JCT~一宮)
平成17年 2月11日開通
道路
東海環状自動車道(豊田東JCT~美濃関JCT)
平成17年 3月19日開通
伊勢湾岸自動車道(豊田東JCT~豊田東IC)
平成17年 3月19日開通
名古屋高速道路 高速6号清須線(明道町JCT~清洲JCT)
平成19年12月 9日開通
新名神高速道路(草津JCT~亀山JCT)
平成20年 2月23日開通
東海北陸自動車道(一宮JCT~小矢部砺波JCT)
平成20年7月5日全線開通
東海環状自動車道(美濃関JCT~関広見IC)
平成21年 4月18日開通
名古屋高速道路 高速 4 号東海線(木場~東海JCT)
平成23年11月19日開通
名古屋第二環状自動車道(名古屋南JCT~高針JCT)
平成23年 3月20日開通
新東名高速道路(御殿場JCT~三ヶ日JCT)
平成24年 4月14日開通
東海環状自動車道(大垣西IC~養老JCT)
平成24年 9月15日開通
-3-
■名古屋市近郊における交通網の整備状況
東海北陸道
岐⾩県
中央道
県営名古屋空港
名神
名二環
東名阪
東海環状道
名古屋市
愛知県
伊勢湾岸道
東名
三重県
中部国際空港
セントレア
東海道新幹線
知多半島道路
エ.産業と都市の国際競争力強化の推進
○
名古屋市を中心とする圏域は、自動車や航空機部品、宇宙用ロケット、
工作機械、セラミックスなどのものづくり産業の集積地であり、名古屋市は
圏域の中核都市として、ビジネス拠点機能・国際交流機能といった重要な
役割を果たしています。
○
また、国産初のジェット旅客機である三菱リージョナルジェット(MRJ)
の初飛行が2013年に、リニア中央新幹線の開業が2027年にそれぞれ
予定されるなど、日本経済のけん引役としての名古屋大都市圏の役割がます
ます高まっています。
-4-
○
このように、名古屋大都市圏への期待が高まる中、2011年(平成23
年)には航空宇宙産業の振興のため、愛知県・岐阜県の一部が「アジアNO.1
航空宇宙産業クラスター形成特区」として「国際戦略総合特区」に指定され
るとともに、2012年(平成24年)には高次都市機能の一層の集積を図
ることを目的として、名古屋駅周辺・伏見・栄地域の一部が「特定都市再生
緊急整備地域」に指定されるなど、産業と都市の国際競争力強化に向けた総
合的な取り組みを進めています。特に名古屋駅前地区においては、近年、次
表のとおり、再開発が活発に進められています。
■近年の名古屋駅前地区における再開発の主な事例
ビル名
竣工
ミッドランドスクエア
平成18年 9月
UR アクアタウン納屋橋
平成18年11月
名古屋ルーセントタワー
平成19年 1月
モード学園スパイラルタワーズ
平成20年 2月
愛知県産業労働センター ウインクあいち
平成21年 9月
名古屋三井ビルディング新館
平成23年 6月
愛知大学名古屋キャンパス
平成24年 3月
名古屋クロスコートタワー
平成24年 6月
■今後予定されている名古屋駅周辺における再開発の主な事例
ビル名
竣工予定
名古屋駅新ビル(仮称)
平成27年
名駅一丁目計画(仮称)
平成27年
大名古屋ビルヂング
平成27年
(仮称)ロイヤルパークスささしま
平成27年
(仮称)新・第二豊田ビル
平成28年
平成28年度
中京テレビ放送株式会社 新社屋
(開業予定)
平成29年度
(仮称)グローバルゲート
(開業予定)
-5-
オ.注目を浴びる名古屋文化
○
本市では、名古屋開府400年にあたる2010年(平成22年)を節目
として、武家文化の象徴である名古屋城本丸御殿の復元、自然との共生拠点
としての東山動植物園の再生などを進め、国内外から多くの人が行き交う
「千客万来」のにぎわいを目指してきました。
○
名古屋をPRするために結成された「名古屋おもてなし武将隊」や、手羽
先、天むす、ひつまぶしなどの「名古屋めし」は全国的にも注目を集めてい
ます。
-6-
2 新たな大都市制度・広域連携を必要とする背景
●
グローバル化の進展や少子高齢化社会の到来などにより、社
会構造が急速に変化していく中で、時代の潮流に対応した行政
体制が必要とされています。
●
ここでは、本市が大都市制度・広域連携を必要と考える背景
として、日本やこの地域、地方自治体を取り巻く状況や課題に
ついてまとめています。
(1)日本全体を取り巻く状況
ア.グローバル化の進展による国際的な都市間競争の激化
○
1980年代から加速的に進行する経済のグローバル化や情報化の進展は、
国境を越えて都市が世界と直接結びつく世界的な都市ネットワークを拡大さ
せるとともに、国際的な都市間競争の激化をもたらしています。
○
近年、日本や欧州の国内総生産(名目GDP)の推移は停滞している一方
で、中国を始めとしたアジア諸国の成長は著しいものがあります。世界の国
内総生産の構成比を見てみると、アジア諸国が占める割合は2003年に
24.7%だったものが2010年には31.4%までに増加している一方
で、日本は11.4%(2003年)から8.7%(2010年)と割合を
低下させている状況にあります。(8頁参照)
○
世界の港湾取扱貨物量を見ると、1998年には、上位25港に日本の港
が7港(千葉、名古屋、横浜、神戸、東京、北九州、大阪)含まれていまし
たが、2010年には3港(名古屋、千葉、横浜)まで減少しています。そ
の主な要因としては、特に中国、韓国を始めとしたアジア諸国の台頭が挙げ
られます。
(9頁参照)また、世界の空港別貨物取扱量を見てみても、港湾と
同様に世界で占める日本の役割が低下していることがわかります。
(10頁参
照)
-7-
○
グローバル化の進展による国際的な都市間競争の流れは、アジア諸国の台
頭により、日本の立場を相対的に低下させている状況にあります。このよう
な中、今後、日本が国際的な都市間競争に打ち勝っていくためには、日本の
発展をけん引する役割を担う大都市への、さらなる機能の集積と高度化が必
要です。
■世界の国内総生産(名目GDP、推移)
(10億USドル)
各国の名目GDP推移
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
中国
韓国
※「World Economic Outlook Databases (2012 年 10 月版)」(IMF)を基に作成
■世界の国内総生産(名目GDP、構成比)
世界の国内総生産(名目GDP、構成比)
40
35
34.2
34.7
34.8
33.8
33.6
34.7
32.3
33.7
30
31.4
32.6
32.5
32
28.1
30.1
27.7
25
24.9
25.1
11.4
11
26
26.2
29.7
30.1
28.5
27.7
26.3
20
15
10
8.8
10
5
8
8.7
9.1
8.7
8.7
7.4
6.3
4.6
5
1.6
1.7
1.8
1.9
2.2
2.1
2.3
2.7
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
4.4
0
5.6
7.8
アジア
北アメリカ
ヨーロッパ
※「世界の統計」(総務省)を基に作成
-8-
日本
中国
インド
■世界の港湾取扱貨物量ランキング
総取扱貨物量
1998年
順位
港名
2010年
国名
千トン
1 シンガポール
シンガポール
313,322
1 上海(シャンハイ) 中国
534,371
2 ロッテルダム
オランダ
306,859
2 シンガポール
シンガポール
501,566
3 サウスルイジアナ アメリカ
178,515
3 ロッテルダム
オランダ
429,926
4 香港(ホンコン)
中国
167,170
4 広州(グァンチョウ)
中国
425,600
5 上海(シャンハイ) 中国
166,000
5 寧波(ニンボウ)
中国
408,150
6 千葉
日本
164,060
6 天津(ティエンジン)
中国
400,000
7 ヒューストン
アメリカ
153,482
7 青島(チンタオ)
中国
350,120
8 蔚山(ウルサン)
韓国
148,332
8 泰皇島(チンホワンタオ)
中国
276,282
9 名古屋
日本
133,863
9 香港(ホンコン)
中国
267,815
10 ニューヨーク/ニュージャージー
アメリカ
124,862
10 釜山(プサン)
韓国
262,963
11
ベルギー
119,789
11 サウスルイジアナ アメリカ
214,337
12 横浜
日本
117,820
12 ヒューストン
アメリカ
206,055
13 光陽(クァンヤン)
韓国
114,964
13 深圳(シェンチェン)
中国
204,860
14 神戸
日本
100,048
14 大連(ターリエン)
中国
200,000
15 高雄(カオシュン)
台湾
98,203
15 ポートヘッドランド
オーストラリア
198,997
16 釜山(プサン)
韓国
96,434
16 名古屋
日本
185,703
17 仁川(インチョン)
韓国
93,948
17 アントワープ
ベルギー
178,167
18 マルセイユ
フランス
93,421
18 ポートケラン
マレーシア
168,558
19 東京
日本
88,392
19 ダンピア
オーストラリア
165,025
20 北九州
日本
87,346
20 千葉
日本
155,256
21 大阪
日本
86,689
21 蔚山(ウルサン)
韓国
150,993
22 リチャーズベイ
南アフリカ
86,084
22 仁川(インチョン)
韓国
149,077
23 ニューオーリンズ
アメリカ
80,584
23 ツバラオ
ブラジル
132,031
24 コーパスクリスティ
アメリカ
78,234
24 ドバイ
アラブ首長国連邦
130,518
25 ハンブルグ
ドイツ
76,263
25 横浜
日本
129,640
アントワープ
順位
港名
国名
千トン
※「港湾関係統計データ」(国土交通省)を基に作成
注:外内貿合計貨物量でのランキング。各港の単位は、MT・FTのどちらかであり、統
一されていない。
-9-
■世界の空港別貨物取扱量ランキング
貨物取扱量
2006年
順位
空港名
2011年
国・地域
千トン
順位
空港名
国・地域
千トン
1 メンフィス
アメリカ
3,692
1 香港国際
中国
4,168
2 香港国際
中国
3,609
2 メンフィス
アメリカ
3,917
3 アンカレッジ
アメリカ
2,804
3 上海浦東国際
中国
3,228
4 仁川(ソウル)
韓国
2,337
4 仁川(ソウル)
韓国
2,685
5 成田
日本
2,280
5 アンカレッジ
アメリカ
2,578
6 上海浦東国際
中国
2,159
6 シャルルドゴール(パリ)
フランス
2,399
7 フランクフルト
ドイツ
2,128
7 フランクフルト
ドイツ
2,275
8 ルイビル
アメリカ
1,983
8 ドバイ
アラブ首長国連邦
2,270
9 チャンギ
シンガポール
1,932
9 成田
日本
2,168
10 ロサンゼルス
アメリカ
1,907
10 ルイビル
アメリカ
2,166
11 シャルルドゴール(パリ)
フランス
1,855
11 チャンギ
シンガポール
1,841
12 マイアミ
アメリカ
1,831
12 マイアミ
アメリカ
1,836
13 台湾桃園国際(台北)
台湾
1,699
13 ロサンゼルス
アメリカ
1,810
14 ジョン・F・ケネディ(ニューヨーク)
アメリカ
1,660
14 台湾桃園国際(台北)
台湾
1,767
15 オヘア(シカゴ)
アメリカ
1,618
15 ヒースロー(ロンドン)
イギリス
1,551
16 アムステルダム
オランダ
1,560
16 北京首都国際(北京)
中国
1,549
17 ドバイ
アラブ首長国連邦
1,504
17 アムステルダム
オランダ
1,538
18 ヒースロー(ロンドン)
イギリス
1,344
18 オヘア(シカゴ)
アメリカ
1,424
19 スワンナプーム(バンコク)
タイ
1,182
19 ジョン・F・ケネディ(ニューヨーク)
アメリカ
1,343
20 インディアナポリス
アメリカ
1,044
20 アウワンナプーム(バンコク)
タイ
1,310
21 北京首都国際(北京)
中国
1,029
21 白雲国際(広州)
中国
1,144
22 ニューアーク
アメリカ
970
22 インディアナポリス
アメリカ
947
23 関西国際
日本
842
23 ニューアーク
アメリカ
855
24 東京国際(羽田)
日本
833
24 深圳宝安国際
中国
809
25 白雲国際(広州)
中国
825
25 東京(羽田)
日本
805
26 ルクセンブルグ
ルクセンブルグ
752
26 関西国際
日本
759
27 ダラスフォートワース
アメリカ
748
27 ルクセンブルク
ルクセンブルク
705
28 ハーツフィールド(アトランタ)
アメリカ
747
28 クアラルンプール
マレーシア
697
29 ブリュッセル
ベルギー
691
29 ムンバイ
インド
671
30 ケルン・ボン
ドイツ
691
30 アトランタ
アメリカ
659
※「世界統計白書(2009年版)
」「世界統計白書(2012版)」を基に作成
- 10 -
イ.少子化による人口減少社会の到来や急速な高齢化の進展
○ 日本の人口は、2005年には約1億2,700万人でしたが、2010年を
ピークとして以後減少に転じ、2035年には約1億1,000万人まで
減少すると予測されています。また、人口が集中する大都市圏についても、
2015年から人口減少に転じることが予測されており、本市においては、
2010年の人口は約227万人でしたが、2025年には約216万人、
2035年には約205万人まで減少すると予測されています。(12頁参
照)
○
また、大都市圏は、全国に比べて高齢化率が急速に進むことが予測されて
おり、本市においても、高齢化率は2010年では、21.5%ですが、
2025年には27.1%、2035年には30.7%まで増加すると予測
されています。(12頁~13頁参照)
○
人口減少や高齢化の進展の伴う労働人口の減少により、市税収入の大幅な
増加が期待できない一方で、老人福祉費などの義務的経費は今後も増加が見
込まれることから、財政の硬直化が懸念されます。
○
名古屋市の人口ピラミッドを見ると、年齢別人口は、第1次及び第2次
ベビーブームに生まれた60~64歳及び35~40歳が多く、20歳未満
の若年層が少ない釣鐘型の様相を呈しています。10~15年後には、第1次
ベビーブーム世代が後期高齢者になるとともに、第2次ベビーブーム世代が
徐々に高齢化するため、超高齢化社会への対応に残された時間は少ないこと
がわかります。(13頁参照)
○
上記のとおり、少子化による人口減少社会の到来や急速な高齢化の進展に
対し、これまでのところ必ずしも有効な処方箋を見出すことができていない
状況にあります。少子高齢化社会の影響が最も強く現れる大都市には、社会
の持続可能な成長モデルを世界に先駆けて構築することが求められています。
- 11 -
■大都市及び全国における人口の推移
大都市及び全国における人口の推移(2005年=100)
110
105
100
95
90
85
全国
80
横浜市
大阪市
75
名古屋市
70
1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年
※「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12月推計)」(国立社会保障・人口問題
研究所発表)、「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」(国立社会保障・人口問
題研究所発表)、「平成22年国勢調査」(総務省)を基に作成
■大都市及び全国における高齢者数の推移
大都市及び全国における高齢者数の推移(2005年=100)
200
180
160
140
120
100
80
60
全国
40
横浜市
大阪市
20
名古屋市
0
1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年
※「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12月推計)」(国立社会保障・人口問題
研究所発表)、「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」(国立社会保障・人口問
題研究所発表)、「平成22年国勢調査」(総務省)を基に作成
- 12 -
■名古屋市における年齢別人口割合の推移
名古屋市における年齢別人口割合の推移
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
1980年
1985年
1990年
1995年
名古屋市 15歳未満
2000年
2005年
名古屋市 15~64歳
2010年
2015年
2020年
2025年
2030年
2035年
名古屋市 65歳以上
※「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12月推計)」(国立社会保障・人口問題
研究所発表)を基に作成
■名古屋市年齢別人口(人口ピラミッド)
2010年
2025年(予測値)
男性
女性
男性
女性
85歳以上
85歳~
80~84歳
80~84歳
75~79歳
75~79歳
70~74歳
70~74歳
65~69歳
65~69歳
60~64歳
60~64歳
55~59歳
55~59歳
50~54歳
50~54歳
45~49歳
45~49歳
40~44歳
40~44歳
35~39歳
35~39歳
30~34歳
30~34歳
25~29歳
25~29歳
20~24歳
20~24歳
15~19歳
15~19歳
10~14歳
10~14歳
5~9歳
万人
10
5~9歳
万人
0~4歳
8
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万人
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※「平成22年国勢調査」(総務省)、「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12
月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)を基に作成
- 13 -
8
10
(2)この地域を取り巻く状況
ア.国際競争力低下に対する懸念
○
モノづくりを基幹産業とするこの地域は、リーマンショックや円高による
長引く不況の影響を強く受けました。そのため、生産拠点の海外移転の進行
による産業の空洞化など、この地域の国際競争力の低下が懸念されています。
○
こうした懸念を払拭し、引き続き、日本の経済と産業をけん引していくた
めには、航空宇宙産業などの成長産業の振興、名古屋都心部への高次都市機
能の集積、名古屋港における国際産業ハブ港の実現や中部国際空港の二本目
滑走路の整備など、国際競争力強化に向けた取り組みを、地域として積極的
に進めることが必要です。
イ.リニア中央新幹線の開業を見据えたまちづくりの推進
○
2027年のリニア中央新幹線の開業により、東京—名古屋間が約40分
で結ばれることになります。経済波及効果等による地域活性化が期待される
一方で、東京との距離が短くなるため、人や企業が東京に吸い取られてしま
うストロー現象に対する懸念もあります。
○
リニア中央新幹線の開業を、この地域の持続的な発展につなげるためには、
この地域が一体となって、リニアインパクトを最大限に活用できるまちづく
りを進める必要があります。
ウ.住民の安心・安全を脅かすリスクへの備え
○
内閣府が示している南海トラフの巨大地震における最大クラスの震度分布
や津波高の想定は、これまでの想定を大きく上回るものとなっており、巨大
地震が発生した場合、人口や建築物、企業活動が集積する本市を始めとした
この地域には、甚大な被害が発生することが予想されます。こうした状況下
にあって、この地域が世界的な産業集積エリアとして、引き続き日本の経済
- 14 -
と産業をけん引していくためには、都市の防災機能の一層の強化を図り、大
規模災害への対策を推進していくことが必要です。
○
また、高度経済成長期に建設された道路・橋りょう等の公共土木施設や市
設建築物など老朽化する公共施設への対応が求められています。本市におい
ても、公共土木施設の多くは、昭和30年代の高度経済成長期の始まりを境
に、集中的に整備された結果、今後急激に老朽化が進むと予想されています。
重要橋りょうを例にとると、平成22年時点で一般的な耐用年数である50年を
超えるものは、1割強ですが、10年後には約3割、20年後には約6割に
達すると見込まれています。市設建築物においては、昭和40年代から60
年代を中心に建設が行われ、平成22年度末時点では、築40年以上のもの
が17%を占め、この状態が続けば10年後には築40年以上のものが
50%と全体の半数に達し、老朽化が一挙に進むことが見込まれています。
(3)地方自治体を取り巻く状況
ア.基礎自治体の役割の拡大
○
義務付け・枠付けの見直しや都道府県から基礎自治体への権限移譲などが
行われている地方分権改革により、住民に直接サービスを提供する基礎自治
体の役割は、今後も拡大していくことが予想されます。
○
こうした流れに対応して、今後、住民に最も身近な市町村が地域の実情に
応じて、より質の高い行政サービスを提供していくためには、権限移譲の受
け皿となる組織体制の強化など、各自治体の行政能力の向上が必要です。
イ.新たな広域行政課題の出現
○
近年は、南海トラフ巨大地震を始めとする大規模災害への対策や、地球温
暖化、ごみ処理といった環境問題への対応など、ひとつの自治体だけでは解
決することが困難な広域的な行政課題が増加しています。
- 15 -
○
また、平成の合併が一区切りとされる中で、各自治体では効率的な行政運
営に向けて、近隣市町村との広域的な取り組みに対するニーズは高まってい
ます。
○
今後は、通勤・通学圏など日常生活や都市活動において密接に関係のある
自治体間で、多様な連携を図ることにより、広域的な行政課題を効率的・効
果的に解決するとともに、圏域全体を活性化していく仕組みを構築すること
が必要となってきます。
■近年の新たな広域行政課題の例
項 目
内
防災
南海トラフ巨大地震対策、集中豪雨に伴う都市型水害対策
産業振興
環境
交通問題
アセットマネジメント
容
企業誘致、中小企業対策
地球温暖化対策、河川の水質浄化、緑の保全、ごみ処理、
不法投棄防止対策
自動車利用から公共交通機関利用への転換
公共交通網の整備
公共施設の相互利用・適正配置
健康
新型インフルエンザ対策
観光
広域観光
医療
高度医療・救急医療・産科医療体制の確保
消防
消防広域化
道路
広域幹線道路の整備
行政における人材育成
人事交流、職員研修
その他
火葬場の設置・更新、広域保育
- 16 -
ウ.都道府県制度や政令指定都市制度など地方自治制度の見直し
○
指定都市は、地方自治法制定時に制度上存在したものの、実際には適用さ
れなかった特別市に代わる制度として、昭和31年に創設されました。以来、
現在に至るまで、50年以上にわたり制度の基本的な枠組みは変更されてい
ません。
○
この50年で、社会経済や地域社会の状況は大きく変容しており、大都市
制度だけではなく、都道府県制度も含めた地方自治制度全般で、制度疲労が
見受けられます。
○
国民が安心して快適な暮らしを営んでいけるような国づくりを可能とする
地方自治制度の構築に向けて、国・広域自治体・基礎自治体の果たすべき役
割を再検証することが必要です。
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