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日本語版 / 4972 KB - ドイツ銀行グループ
ドイツ銀行は、 2010年に幾つかの点で大きな前進を遂げました。私たちは、 金融危機以前と比べて強固な地位をさらに確固たるものとしたと同時に、 収益と成長の両面でも自ら掲げた目標に向かって前進しています。 私たちは、これからも、投資を実行し、目標の実現に向け情熱を持って 取り組んでまいります。 不透明な状況のなかで結果を出す アイデンティティー 2010年 アニュアル・レビュー 今日のような不透明な時代にあっては、これまで以上に変化に対して敏感 かつ慎重に対応する一方で、チャンスを常に活かしていく姿勢が重要です。 顧客や株主、従業員、そして社会全般の利益のために、私たちは、まず 自らが成功を収めることが大切だと考えています。そうすることで、長 き に わたり、あらゆるステークホルダーにとって 価 値 のあるパートナー となり得るものと確信しています。それが、現在の不透明な時代だけでなく、 将来における私たちの指針にもつながっています。 Deutsche Bank ドイツ銀行 2010 年 アニュアル・レビュー 私たちの使命 ドイツ銀行グループは、 グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、 お客さま、 株主、 従業員、 そしてビジネスを展開するすべての地域 において、 持続的な価値を提供します。 不透明な状況のなかで結果を出す 私たちの約束 エクセレンス アイデアや提案、 業務の遂行 、 商品、 サービスなど、 あら ゆる面において、 ワンバンクとして持てる資源と能力を結集します。 最適な解決策の提供 お客さまの多様なニーズを理解し、 付加価値を提供する ことで、 信頼関係を構築します。 責任 将来を見据えた上で、 今 、 果たすべき責務を遂行します。透明性 を維持し、 リーダーシップを発揮します。 不透明な状況のなかで結果を出す 2010年は、経済と金融市場がグローバル規模で密接に結びついている ことを改めて認識した年となりました。また、世界経済の秩序の安定 化にとって深刻な脅威となり得る市場の混乱に直面したとき、その 対応力は個々に異なることも明らかになりました。 ドイツ銀行にとって、独立性の維持と厳格な規制は、表裏一体の関係 にあります。特に、大きな変化が起こっている時代にあっては、安定 は安全をもたらし、行動の余地を広げます。しかしながら、高い社会 的コストが、理想的なマクロ経済環境を損なうこともまた事実です。 昨年、私たちは、大きな変革が大きなチャンスを確実にもたらすこと を身をもって示すことができました。 ドイツ銀行グループは、自らを危機の勝者であるとは考えていません。 しかし、市場における存在感、迅速で責任ある行動、意欲ある多様な 経歴を持つ従業員のおかげで、以前にも増してその地位を大幅に強化する ことができました。私たちは、このことを誇りに思っています。 私たちのブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、 これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、 多様な 価値の創造につながるのです。 本年のテーマである「不透明な状況のなかで結果を出す」 について、私たちのステークホルダーと議論しました。 株主―パトリック・ラマン、ポートフォリオマネジャー、 ロベコ・インスティチューショナル・アセット・マネジ メント B.V.、ロッテルダム(20 / 21 頁) 。 顧客―エマ・クイン、ディーリング責任者(オースト ラリア / ニュージーランド) 、アライアンス・バーンス タイン、シドニー(34 / 35 頁) 。 従業員―モーリス・ロビンソン、レジストラ−・サービ シズ GmbH、フランクフルト(58 / 59 頁) 。 その他―チェヌパティ・ヴィジャ、ヴァサヴャ・マヒラ・ マンダリ(VMM) 、ヴィジャヤワーダ(64 / 65 頁) 。 (敬称略) ドイツ銀行 ドイツ銀行は、 2010年に幾つかの点で大きな前進を遂げました。私たちは、 金融危機以前と比べて強固な地位をさらに確固たるものとしたと同時に、 収益と成長の両面でも自ら掲げた目標に向かって前進しています。 私たちは、これからも、投資を実行し、目標の実現に向け情熱を持って 取り組んでまいります。 不透明な状況のなかで結果を出す アイデンティティー 2010年 アニュアル・レビュー 今日のような不透明な時代にあっては、これまで以上に変化に対して敏感 かつ慎重に対応する一方で、チャンスを常に活かしていく姿勢が重要です。 顧客や株主、従業員、そして社会全般の利益のために、私たちは、まず 自らが成功を収めることが大切だと考えています。そうすることで、長 き に わたり、あらゆるステークホルダーにとって 価 値 のあるパートナー となり得るものと確信しています。それが、現在の不透明な時代だけでなく、 将来における私たちの指針にもつながっています。 Deutsche Bank ドイツ銀行 2010 年 アニュアル・レビュー 私たちの使命 ドイツ銀行グループは、 グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、 お客さま、 株主、 従業員、 そしてビジネスを展開するすべての地域 において、 持続的な価値を提供します。 不透明な状況のなかで結果を出す 私たちの約束 エクセレンス アイデアや提案、 業務の遂行 、 商品、 サービスなど、 あら ゆる面において、 ワンバンクとして持てる資源と能力を結集します。 最適な解決策の提供 お客さまの多様なニーズを理解し、 付加価値を提供する ことで、 信頼関係を構築します。 責任 将来を見据えた上で、 今 、 果たすべき責務を遂行します。透明性 を維持し、 リーダーシップを発揮します。 不透明な状況のなかで結果を出す 2010年は、経済と金融市場がグローバル規模で密接に結びついている ことを改めて認識した年となりました。また、世界経済の秩序の安定 化にとって深刻な脅威となり得る市場の混乱に直面したとき、その 対応力は個々に異なることも明らかになりました。 ドイツ銀行にとって、独立性の維持と厳格な規制は、表裏一体の関係 にあります。特に、大きな変化が起こっている時代にあっては、安定 は安全をもたらし、行動の余地を広げます。しかしながら、高い社会 的コストが、理想的なマクロ経済環境を損なうこともまた事実です。 昨年、私たちは、大きな変革が大きなチャンスを確実にもたらすこと を身をもって示すことができました。 ドイツ銀行グループは、自らを危機の勝者であるとは考えていません。 しかし、市場における存在感、迅速で責任ある行動、意欲ある多様な 経歴を持つ従業員のおかげで、以前にも増してその地位を大幅に強化する ことができました。私たちは、このことを誇りに思っています。 私たちのブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、 これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、 多様な 価値の創造につながるのです。 本年のテーマである「不透明な状況のなかで結果を出す」 について、私たちのステークホルダーと議論しました。 株主―パトリック・ラマン、ポートフォリオマネジャー、 ロベコ・インスティチューショナル・アセット・マネジ メント B.V.、ロッテルダム(20 / 21 頁) 。 顧客―エマ・クイン、ディーリング責任者(オースト ラリア / ニュージーランド) 、アライアンス・バーンス タイン、シドニー(34 / 35 頁) 。 従業員―モーリス・ロビンソン、レジストラ−・サービ シズ GmbH、フランクフルト(58 / 59 頁) 。 その他―チェヌパティ・ヴィジャ、ヴァサヴャ・マヒラ・ マンダリ(VMM) 、ヴィジャヤワーダ(64 / 65 頁) 。 (敬称略) ドイツ銀行 基本情報 ドイツ銀行グループ 主要データ 基本的1株当たり利益 1 希薄化後1株当たり利益 1 1 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 1 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) ドイツ銀行株式 2010年度 2009年度 €3.07 €2.92 753 791 5.5% 9.5% 9.6% €52.38 81.6% 44.4% 37.3% €7.21 €6.94 689 717 14.6% 15.3% 15.1% €52.65 72.0% 40.5% 31.5% 2010年度 2009年度 28,567 1,274 23,318 3,975 2,330 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 2010年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 3 株価 安値 3 1株当たり配当金(2010年度については予定) (11.72)% 6.80% 800万株 €55.11 €35.93 €0.75 2010年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 4 DAX株価指数に占める比率 STOXX50株価指数に占める比率 フランクフルト・アム・マイン 929,499,640 919,062,360 €2,379,519,078.40 €363.4億 €39.10 5.99% 1.38 % ロンドン 有価証券識別コード 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 コアTier 1自己資本比率 6 Tier 1自己資本比率 7 支店数 内、ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内、ドイツ国内 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 1,906 48.8 8.7% 12.3% 1,501 36.6 8.7% 12.6% 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 3,083 2,087 102,062 49,265 1,964 961 77,053 27,321 ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514000 DE0005140008 DBKGn.DE ニューヨーク証券取引所 種類 通貨 記号 CINS ブルームバーグ グローバル・レジスタード・シェア U.S. $ DB D 18190898 DBK GR ニューヨーク 東京 1 Xetra の株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 比較のため、株価は 2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連した新株予約権発行の影響を反映したものである。 4 Xetra の終値。 2 ドバイ 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 Aa3 A+ AA– Aa1 A+ AA– 1 平均基本的 / 希薄化後流通株式数は、2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連して割り当てられた予約権の無償交付の要素の 影響を反映したものである。 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた 額に占める比率。 6 自己資本比率は、対象となる自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。ドイツ銀行 法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 7 Tier 1 自己資本比率は、Tier 1 自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。Tier 1 自己資本 比率は、ドイツ銀行法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 シンガポール 2 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 基本情報 ドイツ銀行グループ 主要データ 基本的1株当たり利益 1 希薄化後1株当たり利益 1 1 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 1 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) ドイツ銀行株式 2010年度 2009年度 €3.07 €2.92 753 791 5.5% 9.5% 9.6% €52.38 81.6% 44.4% 37.3% €7.21 €6.94 689 717 14.6% 15.3% 15.1% €52.65 72.0% 40.5% 31.5% 2010年度 2009年度 28,567 1,274 23,318 3,975 2,330 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 2010年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 3 株価 安値 3 1株当たり配当金(2010年度については予定) (11.72)% 6.80% 800万株 €55.11 €35.93 €0.75 2010年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 4 DAX株価指数に占める比率 STOXX50株価指数に占める比率 フランクフルト・アム・マイン 929,499,640 919,062,360 €2,379,519,078.40 €363.4億 €39.10 5.99% 1.38 % ロンドン 有価証券識別コード 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 コアTier 1自己資本比率 6 Tier 1自己資本比率 7 支店数 内、ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内、ドイツ国内 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 1,906 48.8 8.7% 12.3% 1,501 36.6 8.7% 12.6% 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 3,083 2,087 102,062 49,265 1,964 961 77,053 27,321 ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514000 DE0005140008 DBKGn.DE ニューヨーク証券取引所 種類 通貨 記号 CINS ブルームバーグ グローバル・レジスタード・シェア U.S. $ DB D 18190898 DBK GR ニューヨーク 東京 1 Xetra の株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 比較のため、株価は 2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連した新株予約権発行の影響を反映したものである。 4 Xetra の終値。 2 ドバイ 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 Aa3 A+ AA– Aa1 A+ AA– 1 平均基本的 / 希薄化後流通株式数は、2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連して割り当てられた予約権の無償交付の要素の 影響を反映したものである。 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた 額に占める比率。 6 自己資本比率は、対象となる自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。ドイツ銀行 法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 7 Tier 1 自己資本比率は、Tier 1 自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。Tier 1 自己資本 比率は、ドイツ銀行法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 シンガポール 2 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 目 次 取締役会会長からのメッセージ – 02 ドイツ銀行グループ経営執行委員会 – 08 監査役会報告書 – 10 監査役会 – 18 01 – ドイツ銀行グループ 会社概要 – 23 将来への投資 コーポレート・ガバナンス – 27 長期的な成功の基盤 パートナーのために – 29 株主、顧客、従業員、社会のための強さ 02 – ステークホルダー 株主 – 37 過去最大規模の増資に強い支持 顧客 – 法人・機関投資家向けビジネス – 41 競争力の強化 顧客 – 個人・資産運用ビジネス – 46 上昇基調が続く 顧客 – コーポレート・インベストメンツ – 51 独ポストバンク AG の持分は 個人顧客および中堅企業に移管 顧客 – セントラル ・ インフラストラクチャー – 52 取締役会の執行部門 従業員 – 53 買収によって増加 社会 – 56 社会資本の創出 03 – 連結財務諸表 / 抜粋 損益計算書 – 61 貸借対照表 – 62 グループ 5 年間の記録 – 63 04 – 追加情報 用語解説 – 67 連絡先 / 刊行物 – 71 財務カレンダー – 72 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 取締役会会長からのメッセージ 02 会長からのメッセージ 株主の皆さまへ ヨゼフ・アッカーマン ドイツ銀行取締役会会長兼 グループ経営執行委員会会長 ドイツ銀行にとって 2010 年は非常に重要な年となりました。数々 の投資を断行し、変化に対応しただけでなく、競争上の優位性を 確立した年となりました。現在では、金融危機以前と比べ業務基盤 を強化し、新たな成長に向かって万全の体制を整えています。 昨年、グローバル経済は徐々に回復の兆しを示しました。最悪期 は既に過ぎ去ったとはいえ、危機が完全に払拭されたわけでは ありません。また、アジアやラテンアメリカなどの新興国市場に おいて成長のモメンタムが強まる一方、大半の先進国では、その 回復のスピードは緩やかなものに留まっています。米国経済は、 未だ不動産市場の調整と高い負債水準という重しを背負う一方、 ユーロ圏においては、欧州「周縁」諸国と私たちが本拠を置く ドイツの間に大きな相違が存在します。欧州周縁諸国の一部で、 経済・社会構造上の問題が顕著になる一方、ドイツでは 3.6 % という 力強い成長を達成しました。 こうした状況下、ドイツ銀行は、2010 年に過去最高水準に近い 286 億ユーロの純収益を達成しました。税引前利益は 40 億ユーロ ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 取締役会会長からのメッセージ 03 を計上しましたが、これは特定事項による影響を受けています。 独ポストバンク、ABN アムロの一部、サル・オッペンハイム / BHF バンクの 3 つの買収に関連した一時的な費用を除いたベースでは、 2009 年の 52 億ユーロに対し、2010 年には 65 億ユーロの税引前 利益を計上しました。その他特定の投資や、評価減などの一時的 項目調整後の 2010 年の税引前利益は、70 億ユーロを超えました。 法人・機関投資家向けビジネス(CIB)と個人・資産運用ビジネス (PCAM)を合わせた税引前利益(買収による影響調整後)は、 約 72 億ユーロとなりました。これは、私たちが 2011 年の目標と して掲げている、CIB と PCAM の双方で 100 億ユーロの税引前利益 を達成することが十分射程圏内にあることを示しています。 CIB は、過去 2 番目の高水準となる 60 億ユーロの税引前利益を計上 しました。 CIB の一部であるコーポレート・バンキング・アンド・セキュリ ティーズ(CB&S)は、昨年、51 億ユーロの税引前利益を計上し ました。顧客重視のスタンスを徹底し、部門統合が確実に進展し たことが好業績につながりました。金融市場ではソブリン・リスク が懸念材料として重くのしかかり、企業の資金調達や M&A(企業 買収・合併)に対する動きが限定的であったなかで、リスクを大幅 に縮小しつつ、こうした良好な業績を達成できたことを嬉しく 思います。 金利とマネー・マーケッツ・トレーディングからの収益は予想通り 正常化に向かいました。債券トレーディングにおいては、欧州に おいて第 1 位、グローバルでは第 2 位を占め、上位 3 社のなかで 市場シェアを拡大した唯一の金融機関となりました。外国為替 トレーディングにおいても、 昨年と同水準の力強い業績を達成し、 6年 連続して世界第 1 位の市場シェアを占めました。クレジット・トレー ディングおよびコモディティーズにおいては、昨年を上回る収益 を達成した一方、株式トレーディングは、株式デリバティブ業務 を抜本的にテコ入れしたことが奏功し、勢いを維持しました。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 取締役会会長からのメッセージ 04 オリジネーションおよびアドバイザリー・ビジネスでは、2010 年 に幾つかの成功を収めました。当行は、当該ビジネスにおいてリーグ テーブルで世界上位 5 位以内に入るという長期的目標を初めて 達成しました。おかげさまで当行は、2010 年に当該ビジネスで最も 多く市場シェアを拡大した金融機関となりました。 M&A ビジネスでは、市場シェアをほぼ倍に増やし、グローバル・ ランキング(手数料ベース)で第 5 位を占めました。 グローバル・トランザクション・バンキングの業績は、低金利環境 が続いたことによるマイナスの影響を受けました。特定事項に よる影響も受け、税引前利益は 9 億 500 万ユーロとなりました。 キャッシュ・マネジメントでは、ユーロ建て決済で主導的な地位を 強固なものとし、米ドル建て決済においても安定した実績を上げ ました。 2010 年、PCAM は、2009 年からの強いモメンタムを維持し、10 億 ユーロの税引前利益を計上しました。 資産運用およびウェルス・マネージメントの税引前利益は、サル・ オッペンハイム / BHF バンクに関連した正味費用 3 億 6,800 万 ユーロの計上後で、1 億ユーロとなりました。当該ビジネスでは、 運用報酬や取扱高ベースの手数料の増加、さらに良好な市場環境 が好業績を支える要因となりました。市場環境が不透明な状況に あって、信頼できる競争力の高いサービスを提供したことに対し、 お客さまから高い評価を頂きました。今後、市場環境が回復基調 を続ければ、当該ビジネスの業績は大きく上向くものと期待してい ます。 個人顧客および中堅企業(PBC)は、2010 年に税引前利益を前年比 でほぼ倍増し、8 億 9,000 万ユーロを計上しました。当該ビジネス では、2009 年に開始した効率性向上のための諸施策がプラスの影響 をもたらしました。特に、 クレジット環境の改善を追い風とするマー ジンの拡大やブローカー手数料収入の増加、さらに独ポストバンク を初めて連結対象にしたことが好業績につながりました。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 取締役会会長からのメッセージ 05 私たちが 2010 年に成功を収めたもう一つの要因としては、リス ク / 資本管理が挙げられます。サル・オッペンハイム、ABN アムロ、 独ポストバンクを統合したにもかかわらず、当行の BIS 規制 Tier 1 自己資本比率とコア Tier 1 自己資本比率は、2010 年末に各々、 12.3 % と 8.7 % となりました。当行は過去最大規模の増資を行い、 独ポストバンクの買収に関連した資金を確保しただけでなく、バー ゼルⅢの導入に備え資本基盤の強化を図りました。また、2019 年 までに順次導入されるバーゼルⅢによるソルベンシー比率を、早 ければ 2013 年には達成する見込みです。こうした動きを踏まえ、 当行では引き続き厳格な資本管理を続け、適切な配当金の支払い と成長に向けた施策を実行していく方針です。 配当に対する提案もこうした目的に沿ったものです。当行取締役会 は、監査役会の承認を経た上で、2010 年度に 1 株当たり 0.75 ユーロ の配当を提案する予定です。この 1 株当たり配当金は、昨年度と 同額ですが、資本基盤は 50 % 増加しています。 当行が過去最大規模の増資を順調に実行できたことは、当行の 今後の業績に対する投資家の皆さまの信頼の表れであると考えて います。皆さまからのご支援に対して、この場をお借りして改めて 感謝の意を表したいと思います。今後も株主の皆さまのご期待に 沿えるよう、全力で取り組んでいく所存です。 当行は、今日、グローバル市場においてかつてないほどの高い評価 を頂いています。こうした評判や強いブランド力は、将来を切り開く 源泉になると確信しています。また、当行は、社会貢献活動にも力を 注いでいます。2010 年には、教育、持続性、地域開発、芸術の 各分野のプロジェクトに、グローバル規模で約 1 億ユーロを拠出 しました。私たちは、社会に対するこうした投資が私たち自身の 将来に対する投資に他ならないと考えています。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 取締役会会長からのメッセージ 06 先にも述べましたが、 2010 年は、 幅広い事業基盤を持つ当行のビジ ネスモデルがその強さを発揮した年となりました。多くの商品 分野でトップクラスの実績を上げたことが認められ、多数の賞を 受賞しました。最近では、有力な金融専門誌であるインターナショ ナル・ファイナンシング・レビュー(IFR)誌から、2010 年の実績 に対し最高の評価である「バンク・オブ・ザ・イヤー(最優秀銀行) 」 に選ばれました。これは、当行にとって、2003 年および 2005 年 に続き 3 度目の受賞となります。 私たちは、将来の発展を見据え、第 4 段階の経営戦略を打ち出し、 市場における強固な事業基盤を構築してきました。2011 年はこれ らを存分に活用し、 さらなる発展に向け取り組んでいく年となります。 もちろん、経済や金融市場には依然として不透明感が残っている ことから、事業環境への影響も看過できません。しかしながら、私 たちの優先課題は明確です。 第一に、当行の投資銀行ビジネスは、一貫して卓越した業績を上げ ることができ、しかも、より保守的なリスク管理のもとでもそれが 可能であることを証明しました。 第二に、ドイツおよび欧州での買収を成功裡に完了したことで、 当行のリテールおよび資産運用ビジネスが強化されました。これ により、収益構成のバランスが向上し、収益の変動幅が小さくなった ほか、流動性が改善し、リファイナンスの機会がさらに拡大しま した。また、有力なプライベート・バンクであるサル・オッペンハ イムを買収したことで、ドイツのウェルス・マネージメント市場に おいて主導的な地位をさらに拡大しました。 さらに、 「安定ビジネス」を一貫して強化していくという戦略を推進 する上で、独ポストバンクの買収は大きな一歩となりました。これ により、リテール・バンキングを投資銀行に次ぐ第 2 の中核ビジ ネスに発展させることが現実味を帯びてきました。当行と独ポス トバンクは、異なる顧客層を有しており、理想的なパートナーと 言えます。 現在では、 独ポストバンクはドイツ銀行グループの傘下 にありますが、特定の顧客層の間で既に確立されているブランド は今後も維持していく考えです。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 取締役会会長からのメッセージ 07 第三に、アジアにおいては、2011 年に収益と利益を 2008 年比で 倍増するという目標に向かって順調に前進しています。第四に、 今後、投資銀行部門の業務統合や独ポストバンクの連結・統合が 浸透していくなかで、大きな相乗効果が生まれることを期待して います。また、実績重視の企業文化を改めて推進することで、効率 性の大幅な向上を見込んでいます。 ドイツ銀行は、 将来に向けて万全の体制を整えています。もちろん、 2011 年も、取り組むべき課題は多く、不透明な状況が続くことは 認識しています。しかしながら、予測できない事態を除いては、 昨年来の懸命な取組みとそれによる強いモメンタムを活かす ことで、目標を達成できるものと確信しています。今後も、株主の 皆さまやお客さま、従業員、事業を展開するすべての地域社会の ために、全力で取り組んでまいります。 引き続きご支援ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。 ヨゼフ・アッカーマン ドイツ銀行取締役会会長兼 グループ経営執行委員会会長 2011年3月 フランクフルト・アム・マイン ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 08 ドイツ銀行グループ経営執行委員会 ドイツ銀行グループ経営執行委員会 1 ステファン・クラウス Stefan Krause 1962 年生まれ。 2008 年取締役就任。 チーフ・ファイナンシャル・オフィサー。ファイ ナンス、税務、コーポレート・インシュアランス、 インベスター・リレーションズ、グループ戦略 &プランニング統括責任者。 2 4 ヘルマン - ヨゼフ・ランベルティ Hermann-Josef Lamberti 1956 年生まれ。 1999 年取締役就任。 チーフ・オペレーティング・オフィサー。人事、 情報技術(IT) 、オペレーションおよびプロセス 管理、購買、建物・設備等不動産管理統括責任者。 5 ケビン・パーカー Kevin Parker 1959 年生まれ。 資産運用統括責任者。 6 セス・ウォー Seth Waugh 1958 年生まれ。 米州統括責任者。 7 9 ヒューゴ・バンチガー Hugo Bänziger 1956 年生まれ。 2006 年取締役就任。 チーフ・リスク・オフィサー。リスク管理、法務、 コンプライアンス、コーポレート・セキュリティ、 財務、コーポレート・ガバナンス統括責任者。 1 – 2 – 3 – 4 – 7 – 9 – 12 ドイツ銀行 AG 取締役会メンバー アンシュー・ジェイン Anshuman Jain 1963 年生まれ。 2009 年取締役就任。 法人・機関投資家向けビジネス(CIB)統括責任者。 10 ロバート・ランキン Robert Rankin 1963 年生まれ。 アジア太平洋地域(除く日本)統括責任者。 ヨゼフ・アッカーマン Josef Ackermann 1948 年生まれ。 1996 年取締役就任。 取締役会会長兼グループ経営執行委員会会長。 資産運用およびウェルス・マネージメント、コーポ レート・インベストメンツ、広報 & CSR、経済 / DB リサーチ、監査統括責任者。 ヴェルナー・スタインミューラー Werner Steinmüller 1954 年生まれ。 グローバル・トランザクション・バンキング統括 責任者。 レイナー・ネスケ Rainer Neske 1964 年生まれ。 2009 年取締役就任。 個人顧客および中堅企業統括責任者。 3 8 11 ピエール・ド・ウェック Pierre de Weck 1950 年生まれ。 プライベート・ウェルス・マネージメント統括 責任者。 12 ユルゲン・フィッチェン Jürgen Fitschen 1948 年生まれ。 2009 年取締役就任。 リージョナル・マネジメント統括責任者。 ドイツ国内マネジメント・コミッティー(ドイツ 国内運営委員会)会長。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 09 ドイツ銀行グループ経営執行委員会 1 2 4 5 7 10 3 6 9 8 11 12 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 10 監査役会報告書 クレメンス・ベルジッヒ 監査役会会長 2010 年の経済環境は、当初の予想を越え安定した傾向が続きました。特に、ドイツ銀行 が拠点を置くドイツは、この恩恵を享受しました。ラテンアメリカやアジアの主要新興国 市場では成長が続いた一方、ユーロ圏内では緊縮財政と経済の再是正(リバランス)の 影響で、一部の国で成長が阻害されました。金融システムの安定性については、依然と して不透明感が漂っており、特に巨額な政府債務への関心が高まった結果、資本市場は 大きく変動しました。さらに、金融危機を経て、新たな規制の動きが具体化しつつあり ます。 「バーゼルⅢ」による規則が、20 カ国・地域首脳会合(G20)によって承認され、 導入に向けた動きが開始しました。 ドイツ銀行にとって、2010 年は投資の年となりました。自ら変化することで競争力を強化 し、現在では、金融危機以前と比べ多くの点でより強固な基盤を確立し、新たな成長に 向けて万全の体制を整えています。ABN アムロのオランダにおける一部事業やドイツのサル・ オッペンハイム、ポストバンクの買収を通じて、当行の市場での地位は大幅に拡大しました。 特にリテールビジネスや商業銀行ビジネスにおける収益力は大きく改善し、これらは、 グローバルに成功を収めている投資銀行ビジネスに次ぐ収益源となりつつあります。 さらに、ドイツ銀行は資本基盤も強化しました。2010 年 9 月に増資を実施し、総額 102 億 ユーロを市場から調達したことで、独ポストバンクの買収が可能となりました。取締役会 ならびに監査役会は、今後も資本基盤の強化に重点を置いていく方針であり、本年も昨年 同様に、この点を考慮に入れて配当の提案を行いました。当行は、独ポストバンクの統合や 新たな規制の動きなど、重要な課題に引き続き取り組んでいくことになります。当行取締役会 ならびに従業員の多大なる献身に謝意を表します。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 11 当行は 2010 年も多数の法規制上の変化に対応しました。当行の経済・財務状況や事業 環境、リスク管理システム、事業計画と内部管理システム、さらには取締役会の報酬体系 について包括的な議論を行いました。事業戦略や第 4 段階の経営戦略に関わる諸施策の 継続的な実行について、取締役会と詳細な議論を行いました。事業方針や運営戦略、財務、 収益状況、リスク / 流動性 / 資本政策に関する基本的事項に加え、当行に重要な取引や事案 について、取締役会から遅滞なく定期的に報告を受けました。また、取締役会に助言し、 経営状況を監視しました。重要な議題や今後の決定について、監査役会会長と取締役会 会長の間で定期的な議論が行われました。監査役会は定例会議のない期間も、取締役会 より重要事項について文書で報告を受けました。必要に応じて文書の回覧による決議も 行われました。 監査役会会議 監査役会は、2010 年度中に 9 回の会議を開催しました。 2010 年 2 月 3 日に開催された第 1 回会議において、2009 年の事業活動および年次財務 書類の主要決算数値、 2009 年の予算と実績について議論しました。2009 年の配当の提案、 2010 年から 2012 年までの事業計画を承認しました。さらに、コーポレート・セキュリ ティ(緊急時事業継承)における業務組織の適切性に関するプライスウォーターハウス クーパースによる監査報告書やコーポレート・ガバナンス・リポート、コーポレート・ ガバナンス・ステートメントについて議論しました。ドイツおよび米国の法律に従って、 年次報告書においてベルジッヒおよびアイックを財務専門家とすることに合意したほか、 監査委員会メンバーの独立性を確認しました。最後に、基本定款の修正事項について承認 したほか、会長統括委員会の提言に基づく取締役会の報酬制度の再構築について包括的 な議論を行い、承認しました。 2010 年 2 月 10 日と 2 月 18 日の 2 回の会議においては、独立した外部の法律アドバイ ザーや報酬コンサルタントも加わり、取締役報酬の妥当性に関する法律(VorstAG)に よる規制や 2009 年度取締役会の業績連動型報酬の計算に関わる前提について議論し、 会長統括委員会の提言も考慮した上で、取締役会の報酬を承認しました。 2010 年 3 月 12 日の財務書類に関する会議では、監査委員会の提言と監査人との議論を 経て、2009 年度連結財務書類と年次財務書類を承認しました。さらに、コンプライアン スおよび反マネーロンダリング報告書が提出され、中国の華夏銀行への出資比率増加の 可能性について議論しました。ランベルティは、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)の新た な要請に沿った報酬制度や慣行(報酬リポート)について報告しました。さらに、主要 なリスクポジションとグループ全体のリスク管理に関する包括的な情報を入手しました。 リージョナル・アドバイザリー・ボードとドイツ国内アドバイザリー・カウンシルの構成 変更についても報告を受け、2010 年年次株主総会の決議案に関し承認を行いました。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 12 年次株主総会の前日に開催された会議では、年次株主総会の進行と公表されている反対 提案、2004 年から 2009 年の株主総会に関連した訴訟の状況について議論し、必要に応 じて決議が行われました。さらに、アッカーマンが、ギリシャにおけるドイツ銀行のエクス ポージャーに関する概要や今後の方針について報告しました。 2010 年 6 月 15 日に開催された特別会議では、2010 年 9 月 30 日付けで取締役退任の意向 を示していたコアーズに対し、特定の規定に基づき、退任に合意しました。さらに、会長 統括委員会の提案に基づいた取締役会による事業配分計画への変更を概ね承認しました。 アッカーマンは、金融機関に対して実施が計画されているストレステストについて報告 しました。 2010 年 7 月 27 日の会議では、2010 年上半期の業務状況について報告が行われました。 2010 年 5 月に政府委員会が承認したドイツ・コーポレート・ガバナンス法の補遺に基づき、 監査役会、会長統括委員会、指名委員会の参照事項の修正について決議され、同法の 新しい勧告のすべてを実施する旨が確認されました。さらに、 2010 年に取締役会メンバー に発行された、制限付賞与と株式報酬に対する条件の修正について承認しました。 ランベルティは、情報技術(IT)基盤やグローバル・テクノロジー・アンド・オペレーション (GTO) のガバナンス、 銀行セクターが直面している課題について報告しました。クラウスは、 効率化推進包括プログラムの戦略上・財務上の目的を示したほか、サル・オッペン ハイムや ABN アムロから引き継いだオランダにおける商業銀行事業の統合に関する状況 を報告しました。さらに、増資枠内で中国の華夏銀行に対する出資を 19.99 % にまで増加 するという取締役会の決議や、コアーズの退任に関する会長統括委員会による提案を承認 しました。 2010 年 9 月 12 日に開催された特別会議では、独ポストバンク AG に対する株式公開買付 けや増資に関して、同日に取締役会が行った決議に同意しました。 2010 年 10 月 27 日に開催された同年最後の会議では、2010 年第 3 四半期の業務状況や 独ポストバンク AG の株主に行った株式買付けの状況について報告を受けました。取締役 会と共に、今後推進すべき戦略やそれに対応した目標、取るべき施策について議論しま した。ランベルティは、人事報告書を提出しました。さらに、事業配分計画を含む取締役 会参照事項の変更やコンプライアンス機能の最低限の要求事項に基づいた監査委員会 参照事項の変更について議論し、承認しました。最後に、監査役会の構成に関わる目的 を決定しました。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 13 監査役会委員会 会長統括委員会は 2010 年度中に、10 回の会議と 2 回の電話会議を行いました。同委員会 の委員長は、定例会議のない期間も委員会メンバーと重要事項について定期的に議論しま した。会長統括委員会は、特に、取締役の報酬体系に対する新規の法規制上の要求事項 やその実行、2009 年度の変動報酬の決定への準備、継承計画、コアーズの取締役退任に ついて検討しました。さらに、取締役会、監査役会、監査役会委員会の参照事項において 要求されている修正事項や取締役会の事業配分計画への変更事項を議論しました。また、 会長統括委員会は、監査役会の決議に向けた準備を行ったほか、取締役会メンバーの 付随的活動や他社の取締役就任に承認を与えました。その他、監査役会の承認を前提として、 増資の最終計画を承認しました。最後に、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法の新たな 勧告や提案についても対処しました。 リスク委員会は、6 回の会議で、ドイツ法および基本定款のもとで承認を必要とする当行 のエクスポージャーについて議論し、必要に応じて承認しました。リスク委員会は、信用 リスク、流動性リスク、カントリーリスクおよび市場リスク、オペレーショナルリスク とは別に、法的リスクならびに風評リスクについても必要に応じて議論しました。また、 欧州の政府債務危機の進行状況や当行への影響についても広く議論しました。レバレッ ジド・ファイナンスや商業用不動産融資、モノライン保険におけるリスクの状況に加えて、 新たな法規制が当行ならびに当行のリスクポジションに与える影響についても詳細に議論 しました。さらに、リスク委員会は、リスク吸収能力、つまり、ICAAP(自己資本充実度 評価プロセス)に従って報告される保有資本と所要自己資本の比率について議論しました。 その中には、経済リスクと潜在リスクカバレッジの比較やその結果のリスク管理への一貫 した導入、当行のリファイナンスや流動性ポジションの状況についての議論も含まれて いました。さらに、 特定の計画に従ってグローバル規模の産業ポートフォリオが提示され、 詳細に議論されました。 監査委員会は 2010 年度中に 6 回の会議を開催し、当行監査人代表も定期的に出席しま した。議題は、2009 年財務諸表をはじめ連結財務諸表、四半期財務諸表、米国 SEC 様式 20-F ならびに 6-K、四半期報告書の監査に関するものでした。また、2010 年度監査人選任 の提案を行い、監査人依頼書の発行や監査対象の重点領域の特定、監査人報酬の決議、 ドイツ・コーポレート・ガバナンス法ならびに米国公開企業会計監視委員会(PCAOB) 規則に従った監査人の独立性の証明も行いました。監査委員会は、前年度までと同様に、 監査人との間に利害関係がないことを確信しています。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 14 さらに、当行の内部管理システムがサーベンス・オクスレー法の規定をいかに満たして いるかについて詳細にわたり確認しました。監査委員会は、内部管理システム、リスク 管理、内部監査の有効性を確証し、財務報告や会計プロセスについて監視しました。 必要に応じて、監査役会の承認を得るための決議が提案・承認されました。監査委員会は、 監査人を含む会計事務所による非監査業務や監査人による内部監査業務に関する報告書 に加え、コンプライアンスに関する諸問題、法的リスクおよび風評リスク、特別調査、 規制当局による重要な所見に関する報告書を定期的に受け取りました。当年の内部監査 計画は承認されました。監査委員会は、会計や内部会計システム、監査事項について、 何らの苦情も受け取りませんでした。2010 年最後の会議では、取締役会と当行監査人 から 2010 年度財務書類に関し戦略上重要な事項についての情報を入手しました。その なかには、独ポストバンク AG、サル・オッペンハイム、ABN アムロのオランダにおける 商業銀行事業を初めて連結対象とすることや、年次財務諸表の監査への準備事項、ドイツ 銀行法(KWG)第 30 条に従った重点監査分野が含まれていました。さらに、IAS(国際 会計基準)第 39 号の更新や金融商品に関する IFRS(国際財務報告基準)第 9 号の導入、 効率化推進包括プログラムの現状や今後の計画に関する報告書を入手しました。 指名委員会は、監査委員会の継承問題に関連して、2 回の非公式な会議を開催しました。 ドイツ共同決定法(MitbestG)の規則に基づき設置された仲裁委員会は、その必要がなかった ため、2010 年には開催されませんでした。 各委員会の委員長は、各委員会の業務について定期的に監査役会に報告しました。 2010 年、すべての監査役会メンバーは、監査役会会議ならびに各委員会に一部例外を除 いて出席しました(平均出席率:95 %) 。 コーポレート・ガバナンス 監査役会と会長統括委員会は、2010 年 7 月にドイツ・コーポレート・ガバナンス法の新 たな勧告の実行に関して議論しました。監査役会は新たな勧告の実行を決議し、監査役 会や会長統括委員会、指名委員会、取締役会の参照事項を順次修正しました。 さらに、会長統括委員会と監査役会は、数回の会議において、取締役報酬に関する新た な規制について議論しました。監査役会は、取締役報酬の体系や 2010 年の業績連動型 報酬の妥当性についての確認のために、独立した法律アドバイザーや報酬コンサルタン トとの契約を決議しました。 さらに、2010 年 10 月の会議で、会長統括委員会の提案とドイツ・コーポレート・ガバ ナンス法の第 5.4.1 条に従って、監査委員会の構成に関わる目的を決定しました。(2010 年 財務報告書のコーポレート・ガバナンス・リポート、375 頁以降参照) ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 15 2009 年 10 月の決議を受け、当行独自の質問表に基づいた効率性の見直しが、監査役会 全般、会長統括委員会、監査委員会、リスク委員会に対して 2010 年春に実施され、その 後開催された会議において、その結果を詳細に議論しました。監査役会では、その業務が 効率的かつ高い水準で推進されていると考えています。監査役会の効率性に関するこれ までの提案や諸施策が効率的に実行された結果、監査役会と各委員会の業務の効率性は 一層向上しました。さらに、効率性の見直しに関わる当初の提案は、2010 年に実行され ました。 監査役会は、経営陣から独立した監査役会メンバーの数が適切であると判断しました。 また、2002 年サーベンス・オクスレー法第 407 条に基づき米国証券取引委員会(SEC)が 制定している規則に定義されている通り、監査委員会メンバー全員が経営陣から独立した 立場にあると判断しました。ベルジッヒとアイックは、米国証券取引委員会(SEC)ならびに ドイツ株式会社法(AktG)第 107 条 4 項と第 100 条 5 項が規定する監査委員会における 財務専門家であると認められました。 2009 年 10 月に発行された監査役会と取締役会によるドイツ株式会社法(AktG)第 161 条への適合宣言は、2010 年 1 月に更新され、2010 年 10 月 27 日の監査役会会議で再発行 されました。ドイツ銀行 AG は、2010 年 5 月 26 日付けの規定にあるすべての勧告を例外 なく遵守しています。 2010 年 10 月 27 日に発行された適合宣言を含んだ当行コーポレート・ガバナンスの包括 的な記述は、2010 年ファイナンシャル・リポートの 375 頁以降に掲載されており、また、 当 行 ホ ー ム ペ ー ジ(www.deutsche-bank.com / ir / en / content / corporate_governance. htm)でも入手可能です。監査役会、監査役会委員会、取締役会の参照事項も各々、最新 版が入手可能です。 研修とさらなる教育の施策 監査役会メンバーは、職務上必要とされる基本研修に加え、追加的教育施策をすべて終了 しました。ドイツ銀行は、研修などにおいて適切な支援を行っていると言えます。2010 年 に新たに監査役に加わったメンバーに対し、各人の知識に応じたオリエンテーションを 個別に実施したり、各種資料や内部・外部研修の機会を提供しました。監査役会のすべて のメンバーは、外部弁護士が行ったワークショップに参加し、監査役会の職務に関する 法律上の背景について知識を習得しました。さらに、別の機会において、外部弁護士 から、監査役会の責任と職務について説明を受けました。2010 年、リスク委員会メンバー に対して、信用リスクや市場リスク、オペレーショナルリスク、経済資本モデル(ICAAP) を議題とする 2 つの行内ワークショップを開催しました。監査委員会メンバーは、ファイナンス 部門スタッフや監査人と会計・財務報告に関わる新たな規制について議論しました。 さらに、監査役会メンバーは、コーポレート・ガバナンスの新たな動向について報告を 受けました。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 16 利害関係および対処 リスク委員会は、ドイツ銀行法(KWG)第 15 条の規定に従い、融資の承認について検討 しました。当該決議については、借り手企業の監査役やその他の理由で利害関係を有する 可能性がある当行監査役会メンバーは、議論ならびに投票に参加しませんでした。 2010 年 9 月、独ポストバンク AG の監査役会メンバーであるカーゲルマン教授は、利害 相反の可能性があるため、独ポストバンク AG の株主に対する株式公開買付けの提案に 関する議論ならびに投票に参加しませんでした。 個々の監査役会メンバーにおいては、潜在的な利害相反の可能性が存在しました。従業員 代表のフェルスターとルックは、2010 年にドイツ銀行プリヴァート・ウント・ゲシェフ ツクンデン AG 監査役会メンバーを務めていたため、ドイツ共同決定法(MitbestG)第 32 条に関わる決議をはじめ、関連する議論や投票に参加しませんでした。潜在的な利害 相反については、これ以外、特別な措置は必要ありませんでした。 訴訟 前年までと同様に、監査役会は、重要な訴訟に関して定期的に情報提供を受け、その対応 について議論しました。この中には、2004 年から 2010 年までの各年次株主総会に関わ る取消訴訟や情報請求訴訟、ドイツ銀行およびブロイヤーに対するキルヒ氏と KGL Pool GmbH の訴訟が含まれていました。2008 年 5 月 29 日の年次株主総会における株主代表 の選出手続きには、数名の株主から異議が申し立てられましたが、フランクフルト高等 裁判所による申立て棄却の判断に対する上告認定について、ドイツ最高裁判所の判断は 未だ出ていません。 さらに、重要な訴訟については、監査役会に定期的に報告され、監査委員会とリスク委員会 には詳細な報告が行われました。 年次財務諸表 昨年の株主総会で選任された年次財務諸表の監査人である KPMG アクツィエンゲゼル シャフト会計監査会社は、会計および 2010 年財務諸表およびマネジメント・リポート、 2010 年連結財務諸表(注記を含む)およびマネジメント・リポートの監査を行い、各々 について適正意見を表明しました。監査委員会は、年次財務諸表や連結財務諸表(監査 報告書を含む)を検討し、監査人と包括的な議論を行いました。監査委員会委員長は、 本日開催された監査役会において本件を報告しました。監査役会は、監査人による報告 書を監査し、包括的な議論を経て監査委員会による勧告に合意し、また独自の監査も行っ た上で、異論がないことを確認しました。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 監査役会報告書 17 本日、監査役会は取締役会が作成した年次財務諸表および連結財務諸表を承認し、これ により年次財務諸表が確定しました。また監査役会は、利益配分に関わる取締役会の提案 に同意しました。 人事 2010 年 9 月 30 日付けで、 コアーズは取締役を退任しました。コアーズの業務上の職責は、 ジェインが従来の職責に加えて引き継ぎました。 監査役会の構成に変化がありました。ウンダーリッヒは、2010 年 6 月 30 日付けで監査 役会メンバーを退任し、残りの任期はカズミエルチャクに引き継がれました。フェルス ターも、2010 年 7 月 31 日付けで監査役会メンバーを退任し、残りの任期はフェルテル が引き継ぎました。 監査役を昨年退任した各メンバーの献身的な取組みとドイツ銀行ならびに取締役会に対 する建設的な支援に対し、謝意を表します。 監査役会 クレメンス・ベルジッヒ 会長 2011年3月11日 フランクフルト・アム・マイン ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 18 監査役会 監査役会 Dr. Clemens Börsig Chairman, Frankfurt am Main Karin Ruck* Deputy Chairperson, Deutsche Bank AG, Bad Soden am Taunus Wolfgang Böhr* Deutsche Bank AG, Dusseldorf Dr. Karl-Gerhard Eick Management consultant, KGE Asset Management Consulting Ltd., London Heidrun Förster* until July 31, 2010, Deutsche Bank Privat- und Geschäftskunden AG, Berlin Alfred Herling* Deutsche Bank AG, Wuppertal Gerd Herzberg* Deputy Chairman of ver.di Vereinte Dienstleistungsgewerkschaft, Hamburg Sir Peter Job London Prof. Dr. Henning Kagermann President of acatech – German Academy of Science and Engineering, Königs Wusterhausen Peter Kazmierczak* from July 1, 2010, Deutsche Bank AG, Herne Martina Klee* Deutsche Bank AG, Frankfurt am Main * ドイツの従業員による選任 Suzanne Labarge Toronto Maurice Lévy Chairman and Chief Executive Officer of Publicis Groupe S.A., Paris Henriette Mark* Deutsche Bank AG, Munich Gabriele Platscher* Deutsche Bank Privat- und Geschäftskunden AG, Braunschweig Dr. Theo Siegert Managing Partner of de Haen Carstanjen & Söhne, Dusseldorf Dr. Johannes Teyssen Chairman of the Management Board of E.ON AG from May 1, 2010, Oberding Marlehn Thieme* Deutsche Bank AG, Bad Soden am Taunus Tilman Todenhöfer Managing Partner of Robert Bosch Industrietreuhand KG, Madrid Stefan Viertel* from August 1, 2010, Deutsche Bank AG, Bad Soden am Taunus Werner Wenning Chairman of the Management Board of Bayer AG until September 30, 2010, Leverkusen Leo Wunderlich* until June 30, 2010, Deutsche Bank AG, Mannheim ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 19 監査役会 委員会 会長統括委員会 Dr. Clemens Börsig Chairman Heidrun Förster* until July 31, 2010 Alfred Herling* from August 1, 2010 Karin Ruck* Tilman Todenhöfer リスク委員会 Dr. Clemens Börsig Chairman Sir Peter Job Prof. Dr. Henning Kagermann Suzanne Labarge Substitute Member Dr. Theo Siegert Substitute Member 仲裁委員会 Dr. Clemens Börsig Chairman Wolfgang Böhr* Karin Ruck* Tilman Todenhöfer 指名委員会 Dr. Clemens Börsig Chairman Tilman Todenhöfer Werner Wenning 監査委員会 Dr. Karl-Gerhard Eick Chairman Dr. Clemens Börsig Sir Peter Job Henriette Mark* Karin Ruck* Marlehn Thieme* * ドイツの従業員による選任 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー パトリック・ラマン ロッテルダム ドイツ銀行は、株主、従業員、顧客、そして 社会などあらゆるステークホルダーにとって 良い結果を残しています。その一方で私たち は、ドイツ銀行に対し建設的な意味で厳しい 見方もしており、コスト効率をさらに改善し、 安定した収益を着実に上げることを目指す べきだと考えています。 パトリック・ラマン ポートフォリオマネジャー ロベコ・インスティチューショナル・アセット・マネジメント B.V. ロッテルダム 20 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 21 01 ドイツ銀行グループ 会社概要 – 23 将来への投資 コーポレート・ガバナンス – 27 長期的な成功の基盤 パートナーのために – 29 株主、顧客、従業員、社会のための強さ ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 23 01 − ドイツ銀行グループ 会社概要 会社概要 将来への投資 ドイツ銀行は、グローバル市場で主導的な地位を占める投資銀行であり、個人顧客ビジ ネスにおいても強固な基盤を持っている。当行のビジネスは相互に補完し合っている。 そのビジネスモデルは多様な事業基盤を持つことにあり、それを活用することで、当行は、 多くの競合他社より上手く金融危機を乗り越えることができた。さらに、こうした 強固な地位を活かして、2010 年に幾つかの戦略的な買収を行った。将来に対するこう した投資が評価され、有力金融専門誌であるインターナショナル・ファイナンシング・ レビュー誌から「バンク・オブ・ザ・イヤー(最優秀銀行) 」に選出された。 経営機構 ドイツ銀行 AG 取締役会は、ドイツ銀行グループの経営戦略や資源配分、財務 / 経理、 リスク管理、コーポレート・コントロールを主な職務とする。取締役会の指導力や管理 態勢は、セントラル・インフラストラクチャー・ユニット(本部管理)やその他管理部門、 取締役会メンバーが議長を務める各管理組織によって支援されている。 2010 年 7 月 1 日、取締役会メンバーのアンシュー・ジェインは、マイケル・コアーズが 担っていたグローバル・バンキングの職責を引き継ぎ、法人・機関投資家向けビジネス・ グループ部門の単独責任者となった。マイケル・コアーズは、2010 年 9 月 30 日付けで 取締役を退任した。 グループ経営執行委員会(GEC)は、取締役会メンバー、取締役会メンバー以外の中核 ビジネス統括責任者、米州統括責任者で構成されている。2011 年 1 月 1 日付けで、アジア 太平洋地域(日本を除く)統括責任者が GEC メンバーに任命された。この任命は、 アジア太平洋地域が、当行の成長をけん引する主要地域の一つとして戦略上重要である ことを意味している。定例会議では、各ビジネス部門の進捗状況の検討やグループ戦略 に係る課題を討議し、取締役会が決定する事案の提起・提案を行う。ヨゼフ・アッカーマン が取締役会と GEC の会長を兼務する。 経営機構 管理部門別委員会 グループ経営執行委員会 取締役会 グローバル・ビジネス統括責任者 / 地域統括責任者 法人・機関投資家向け ビジネス コーポレート・ インベストメンツ 個人・資産運用 ビジネス リージョナル・コミッティー(地域運営委員会) ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 01 − ドイツ銀行グループ 会社概要 24 グループ部門 ドイツ銀行のグループ部門は、法人・機関投資家向けビジネス(CIB) 、個人・資産運用 ビジネス(PCAM) 、コーポレート・インベストメンツ(CI)で構成される。 法人・機関投資家向けビジネス(CIB) CIB は、オリジネーションや債券、株式、その他証券を含む各種資本市場商品のセール ス / トレーディング、アドバイザリー、貸出し、トランザクション・バンキングなどの 資本市場業務を担っている。対象となる顧客は、公的機関および民間の中堅企業から大 規模な多国籍企業まで多岐にわたる。CIB はさらに、コーポレート・バンキング・アンド・ セキュリティーズ(CB&S)とグローバル・トランザクション・バンキング(GTB)の 2 つのコーポレート部門に分かれる。コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティー ズは、マーケッツとコーポレート・ファイナンスの 2 つのビジネス部門で構成され、 オリジネーション、証券のセールス / トレーディング、アドバイザリー、M&A (企業買収・ 合併) 、その他のコーポレート・ファイナンス業務を担っている。グローバル・トランザ クション・バンキングは、金融機関や法人顧客に対するキャッシュ・マネジメント、 貿易金融、法人信託サービスを提供している。 個人・資産運用ビジネス(PCAM) PCAM は、資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM)と個人顧客および中堅企 業(PBC)の 2 つのコーポレート部門で構成される。資産運用およびウェルス・マネー ジメントは、資産運用(AM)とプライベート・ウェルス・マネージメント(PWM)の 2 つのビジネス部門で構成される。資産運用は、DWS インベストメンツの事業基盤を 活用して、世界中の個人投資家を対象に投資信託を提供している。また、年金基金や保険 会社などの機関投資家向けには、伝統的運用商品からオルタナティブ投資商品まで幅 広いサービスを提供している。一方、プライベート・ウェルス・マネージメントでは、 世界中の個人富裕層やその家族を対象に、相続プラン、社会貢献活動に関するアドバイス などを含む包括的な資産運用サービスを提供している。 個人顧客および中堅企業は、主に個人や自営業者、中堅企業の顧客を対象に、当座預金 から普通預金、融資、資産運用、年金商品に至る一連の伝統的な商業銀行サービスを提供 している。ドイツ以外では、イタリア、スペイン、ベルギー、ポルトガルで長年にわたり 実績を積んでいるほか、ポーランドでも既に数年間、サービスを提供している。また、 成長著しい中国やインド市場においては、注力分野に絞って投資を行っている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 01 − ドイツ銀行グループ 会社概要 25 コーポレート・インベストメンツ(CI) CI は、当行のグローバルな自己投資事業を統括している。その投資対象には、特定の クレジット・エクスポージャーやプライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、 事業用不動産、事業会社の株式、その他非戦略的投資が含まれている。 経営戦略:第 4 段階 2010 年も、2009 年 12 月に公表した第 4 段階の経営戦略を引き続き推進した。経営戦略 の目的は以下の通りである。 − CIB においては、リスク / バランスシート管理規律の見直しを伴った、収益力の向上と 収益の質の改善を図る。マーケッツ、コーポレート・ファイナンス、グローバル・ トランザクション・バンキングの連携をさらに推進することで、収益とコストの面で 相乗効果を図る。さらに、ABN アムロから買収したオランダにおける商業銀行事業の 統合を推進し、中堅企業向けビジネスの事業基盤を拡大する。 − PCAM においては、中核ビジネスならびにホームマーケットにおける主導的地位の拡大 に注力する。AWM では、 効率化を促進しコスト削減に向けた諸施策を実行することで、 より高い収益とさらなる成長を目指すと同時に、ドイツ国内における強みをさらに 活用する。PWM では、サル・オッペンハイムの完全な統合に向けて前進しており、 これにより、ドイツ国内の富裕層顧客に対するサービスの提供で、市場での地位をさら に拡大した。PBC では、2010 年に独ポストバンクの株式の過半数を取得し、連結 対象としたことを背景に、独ポストバンクの統合に力を注いでいる。PCAM のコーポ レート部門の再編を進めることで、ドイツ国内リテールビジネスにおける主導的地位 を強化すると同時に、よりバランスのとれた収益構成を目指している。 −世界の成長をけん引するアジアに注力する。アジアでの基盤をさらに強化し、高い潜在 性を秘めた同地域において競合他社の平均を上回る成長を遂げることを目指している。 各事業分野で上位 3 位から 5 位以内を占めることを目標に設定している。そのために 必要な投資を行い、経営資源を提供している。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 26 01 − ドイツ銀行グループ 会社概要 −実績重視の企業文化を再び活性化させる。あらゆる事業分野において効率性をさらに 向上するために、引き続きコスト管理を徹底し、管理プロセスの最適化と組織の簡素化 を図っている。こうした効率性改善への包括的な取組みにより、10 億ユーロのコスト 削減を見込んでおり、2012 年の業績にその効果が表れると考えている。 これらの戦略を実行することで、変化が激しく、規制強化の動きが進む市場においても、 当行は引き続き成功を収めることができると確信している。 グローバルなネットワーク ロンドン ドバイ フランクフルト・ アム・マイン 東京 ニューヨーク シンガポール 主要拠点 ビジネスを展開する国の首都 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 01 − ドイツ銀行グループ コーポレート・ガバナンス 27 コーポレート・ガバナンス 長期的な成功の基盤 当行では、国際的に高い基準に従った効果的なコーポレート・ガバナンス(企業統治) を実践している。当行コーポレート・ガバナンスの主な枠組みは、主としてドイツ 株式会社法とドイツ・コーポレート・ガバナンス法を踏襲している。当行は、ニューヨーク 証券取引所に上場していることから、米国の資本市場に関連する諸法規や証券取引委員 会(SEC)の規制、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の規則にも従っている。 当行のコーポレート・ガバナンスは、持続的な価値の創出を重視する当行の責任ある経営 と内部管理の基盤となっている。それは、株主との良好な関係、取締役会と監査役会の効果的 な協力関係、持続性と長期的視点を重視した業績に基づく報酬制度、透明性の高い適時 報告の 4 つの重要な要素により構成されている。 株主 株主は、法律に従い、基本定款の変更や利益配分の決定、新規株式の発行、重要な組織 変更など、当行にとって最も重要な意思決定に関わっている。当行株式は 1 種類であり、 1 株につき 1 議決権が付与されている。当行は、 株主による議決権行使を容易にするため、 株主総会に欠席する場合でも議決権の行使を可能にしたり、株主総会での電子媒体の 活用を推進している。例えば、株主はインターネットを通じて議決権行使の指示書を送付 することができる。 取締役会 取締役会は経営に責任を負っており、グループ企業全体を管理する。また、グループ企業 があらゆる法規制や社内規則を遵守しているかを確認する。経営幹部の選任に際しては、 取締役会は多様性を考慮に入れる。取締役会メンバーと中核ビジネスの統括責任者(取締 役会メンバー以外) 、米州統括責任者、アジア太平洋地域(日本を除く)統括責任者は、 グループ経営執行委員会(GEC)を構成する。グループ経営執行委員会は、各ビジネス 部門の進捗状況の分析やグループ戦略に係る課題を討議し、取締役会による最終決定の ための事案の提起・提案を行う。 監査役会 監査役会は経営について取締役会を監視し、 助言する。当行に影響を与える重要案件には、 監査役会の承認が必要である。監査役会は、取締役会の情報・報告義務を規定し、取締 役会メンバーを任命し、その継承について取締役会と協力して長期的構想を検討する。 監査役会は、年に一度、自らの職務の効率性を評価する。監査役会では、法律によって 求められている仲裁委員会に加えて、会長統括委員会、監査委員会、リスク委員会、指名 委員会を設置している。 監査役会は、職務を遂行するため、陣容のバランスに配慮し、各メンバーが必要な知識 や能力、専門性を持っていることを確認する。さらに、監査役会は、当行における多様 性を重視し、とりわけ取締役会メンバーの任命や監査役会メンバーの選任にあたって、 これを考慮している。当行はグローバルにビジネスを展開していることから、監査役会 メンバーには、適切な数の長期海外経験者を置いている。また十分な数の社外メンバー も置いている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 01 − ドイツ銀行グループ コーポレート・ガバナンス 28 報酬 取締役会メンバーの報酬は、主として、当行の持続的・長期的な成功に則して決定される。 変動報酬は、個人の実績や当行の過去 2 年間の平均株主持分利益率(予定および実績) 、 複数の競合他社と比較した過去 3 年間の当行株価の動向によって決定される。変動報酬 の相当部分は一定期間繰り延べられる形で与えられ、後に回収の可能性があり、多くが 株式ベースとなっている。こうして繰り延べられた変動報酬は、合理的な範囲において、 プラスであれマイナスであれ当行のその後の持続的な業績に服することになる。 監査役会メンバーの報酬は、固定報酬と変動報酬で構成されている。変動報酬は、意欲 的な目標の達成や配当、過去 3 年間の平均 1 株当たり利益に連動している。監査役会 会長および副会長、監査役会の各委員会会長および委員には、追加的な報酬が支給される。 取締役会および監査役会の各メンバーの報酬ならびに当行の報酬体系の構造については、 報酬リポート(2010 年ファイナンシャル・リポート、128 頁以降)で公表されている。 財務報告 当行は、株主ならびに一般の人々に対して、連結財務報告書を含む年次報告書や四半期 報告書を通じて、定期的に最新の情報を提供している。当行の報告は、国際財務報告 基準(IFRS)に従っている。よって、報告内容は透明性が高く、また、国際的にビジネス を展開する競合他社との比較も容易となっている。 適合宣言 取締役会および監査役会は、2010 年 10 月 27 日、ドイツ株式会社法第 161 条に基づく 適合宣言を改訂した。当行は、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法の 2010 年 5 月 26 日 付けの勧告に例外なくすべて従っている。 当行のコーポレート・ガバナンス・リポートの詳細および 2010 年適合宣言は、取締役会、 監査役会および監査役会各委員会の参照事項など、コーポレート・ガバナンス関連の その他書類と合わせて、インターネット(www.deutsche-bank.com / corporate-governance)から入手 できる。 当行は、新規発生事項や法律上の要請、国内および国際基準の進展に照らして、コーポレート・ ガバナンスのシステムを継続的に見直し、それらに従って適切な修正を行っている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 01 − ドイツ銀行グループ パートナーのために 29 パートナーのために 株主、顧客、従業員、社会のための強さ 図表 01 – 1 当行のパートナー 株主 顧客 従業員 社会 当行は 2010 年、戦略上の重要な投資を実行し、収益性の向上と力強い成長が可能である ことを示した。これは、市場における強固な地位、的確な事業方針、多様な従業員の能力 を背景として組織が安定していることに起因している。こうしたことは、当行の株主や 顧客、従業員、社会全般にも恩恵を与えている。(図表 01-1 参照) 株主 リスク・ウェイテッド・アセットのさらなる削減と資本基盤の強化は、当行株主の最大の 関心事である。また、戦略的買収は、収益性の安定および収益力の分散につながる。 当行は、競合他社の多くと比べ金融危機を上手く乗り切ったことで、経済の好転による 恩恵を直に享受することができ、それは株主の利益にもつながっている。一方で、効率 的な法規制上の枠組みの構築も重視しており、これが結果的には競争による歪みや不要 な社会的コストの発生を避け、より弾力性のある金融システムの構築につながる。 顧客 当行は、 個別ニーズに適した幅広い金融サービスを提供する、 顧客から信頼されるパートナー であることを目指している。法人・機関投資家向けビジネスの効率化と統合を加速する ことで、サービスの質のさらなる向上や商品群の拡充を図った。グローバルに競争力を 有するビジネスモデルが、顧客の成功を支援することを可能にしている。さらに、リテール ビジネスの基盤を拡大した結果、ドイツ国内のあらゆる顧客層に対して適切な商品や サービスを提供する態勢が整った。 従業員 当行の成功は、高い専門性を持つ熱意ある従業員に支えられている。幅広いバックグラ ウンドを持つ従業員の多様性は、社内の連携だけでなく、顧客との関係強化においても プラスに作用している。当行は、従業員の専門性に加え、個人的な能力にも積極的に投資 している。当行の業績連動型の報酬制度は、長期的な成功に連動しており、最近の金融 危機による教訓を考慮したものでもある。 社会 当行は、金融危機が始まって以来、多くの金融機関が自信を喪失したことを真剣に受け 止めている。当行は、2010 年の 「 責任ある業務行動規範 」 を主唱し、自ら率先して署名 することで、事業方針やその遂行をはじめ、すべての意思決定において社会的責任を 考慮していく考えである。当行は社会への責任を強く認識しており、これが地域社会を 支える基盤になると考えている。当行は、自らが一員を成す社会によって受け入れられ なければ、長期的なビジネスの成功はあり得ないと考えている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 30 01 − ドイツ銀行グループ パートナーのために 株主 過去最大規模の増資 株主構成 株主数 株主別内訳 株式資本に占める比率 1(%) 地域別内訳 株式資本に占める比率 1(%) 機関投資家(銀行を含む) 個人投資家 ドイツ EU(ドイツを除く) スイス 米国 その他 2010年 2009年 2008年 640,623 75 586,295 74 26 46 31 6 16 1 581,938 71 29 55 25 7 11 2 25 47 31 6 13 3 主要数値 ドイツ銀行株式の投資収益の変化 2 1 日当たりの平均出来高 3(単位:百万株) 1 株当たり配当(単位:ユーロ) 2010年 2009年 2008年 (11.7) % 79.4 % 8.4 0.75 (66.8) % 10.0 0.50 8.0 0.754 特別プロジェクト 授権資本による増資 主に独ポストバンク AG 買収のため、過去最大規模(総額 102 億ユーロ)の増資を実施。割り当て比率 2:1、1 株当たり 33 ユーロで、3 億 860 万の新株を発行した。 投資家 / アナリスト・サーベイ 当行株式の投資対象としての魅力を調べるため、機関投資家を対象とした認識調査を実施。投資家とアナリストを対象 に IR 活動に関するオンライン・サーベイを実施。 1 数値は四捨五入。 Xetra の株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 4 2011 年 5 月 26 日開催の年次株主総会で提案。 2 3 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 31 01 − ドイツ銀行グループ パートナーのために 顧客 これまで以上に重要性を増す、顧客との強固な関係 部門別顧客数 顧客数(概数) 法人・機関投資家向けビジネス 1 個人・資産運用ビジネス 個人顧客および中堅企業 内、独ポストバンク AG 資産運用およびウェルス・マネージメント 個人投資家向け資産運用 2(ドイツ / ルクセンブルク) 内、提携機関先 機関投資家向け資産運用 プライベート・ウェルス・マネージメント 3 2010年 2009年 2008年 54,400 28,787,000 14,150,000 41,600 14,600,000 – 42,600 14,600,000 – 2,225,000 464,000 2,300 79,400 2,119,000 389,000 2,300 78,000 1 1,937,000 230,000 2,300 92,000 主要数値 法人・機関投資家向けビジネス 個人・資産運用ビジネス ユーロマネー誌での「債券資本市場ポール」の順位 ユーロマネー誌での「外国為替ポール」の順位 ユーロマネー誌での「アワード・フォー・エクセレンス」 の受賞数 リスク誌での受賞数 IFR 誌での受賞数 DWS インベストメンツ 欧州における運用パフォーマンスの受賞数 ドイチェ・インシュアランス・アセット・マネジメント ベスト・グローバル・インシュアランス・アセット・マネジャー 4 2010年 2009年 2008年 3 1 3 1 1 1 16 5 8 15 2 7 21 3 1 76 53 109 1 1 1 特別プロジェクト 法人・機関投資家向けビジネス 合理化や部門間の連携、成長の加速によって、統合をさらに促進。 ABN アムロのオランダにおける商業銀行事業の一部買収を完了。 個人・資産運用ビジネス サル・オッペンハイム・グループの買収完了。 2010 年 4 月、ニューヨークで行われたクリスティーズ・オークション・ハウスの「グリーン・オークション」で冠スポ ンサーを務め、4 つの非営利団体に 150 万米ドルを調達。 独ポストバンク AG の過半数の株式を取得し、連結対象とする。 ベルリン銀行を、個人顧客および中堅企業の IT プラットフォームに移行。 1 換算方法を変更。 提携先によって管理されている顧客数を含む。 米国プライベート・クライアント・サービシズを除いた数字。2010 年はサル・オッペンハイムを含む。 4 リアクションズ誌。 2 3 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 32 01 − ドイツ銀行グループ パートナーのために 従業員 魅力的な雇用主 項目別データ 1 従業員(常勤相当) 部門別 地域別 最終学歴別 3、4 年齢別 3、4 個人・資産運用ビジネス 法人・機関投資家向けビジネス 2 インフラストラクチャー / リージョナル・マネジメント ドイツ国内 欧州(ドイツを除く)/ 中東 / アフリカ 米州(北 / 中南米) アジア太平洋地域 大学卒 高等学校卒 その他 24 歳以下 25–34 歳 35–44 歳 45–54 歳 55 歳以上 2010年 2009年 2008年 102,062 51.5 % 15.7 % 32.8 % 48.3 % 23.3 % 11.0 % 17.4 % 63.9 % 15.5 % 20.6 % 7.6 % 34.1 % 32.7 % 19.9 % 5.8 % 77,053 39.7 % 18.5 % 41.8 % 35.5 % 28.6 % 14.5 % 21.4 % 63.5 % 19.1 % 17.4 % 8.4 % 35.0 % 32.2 % 19.0 % 5.4 % 80,456 40.5 % 18.5 % 41.0 % 34.7 % 28.7 % 15.3 % 21.3 % 64.0 % 17.3 % 18.7 % 9.9 % 35.5 % 31.7 % 17.9 % 5.0 % 2010年 2009年 2008年 74 6.6 % 95 41 77 4.8 % 86 41 74 7.3 % 114 41 主要数値 4 従業員コミットメント指数 転職により当行を離職する従業員の割合 研修費用(単位:百万ユーロ) 職業訓練費用(単位:百万ユーロ) 特別プロジェクト dbAGILE Check-up 40+ 1 60 人のシニア・マネジャーの中期的な能力開発を目指して、グループ経営執行委員会が支援する施策。 ドイツ国内の 40 歳以上の全従業員を対象とした無料の総合健康診断プログラムに、これまでに 8,700 人が参加。その 他の国においても類似プログラムが存在する。 従業員数(常勤相当)は、パート従業員を比例調整した人員数。研修生、インターンを除く。 コーポレート・インベストメンツを含む。 従業員数(人員数)を基に算出。 4 独ポストバンクを除く。 2 3 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 33 01 − ドイツ銀行グループ パートナーのために 社会 社会資本の創出 構造上のデータ 2010年 2009年 2008年 74 72 72 2010年 2009年 2008年 91.7 74.8 75.9 6.8 5.1 3.0 6.4 4.5 1.9 98.1 9.5 4.7 3.7 6.3 4.9 1.4 81.1 8.8 4.3 3.7 6.4 5.0 1.4 82.3 ドイツ銀行がビジネスを展開している国の数(オフショアを含む) 主要数値 単位:百万ユーロ ドイツ銀行による社会的責任活動への支出 内訳: ドイツ銀行アメリカ基金 企業市民英国 ドイツ銀行アジア基金 ドイツ銀行の基金による支出 ドイツ銀行基金 その他基金 合計 特別プロジェクト 持続可能性の確保 才能の伸長 機会の創出 創造性の支援 従業員のコミットメント フランクフルト本社高層ビルの改築において、 世界で最初の LEED プラチナ (エネルギーと環境デザインにおけるリーダー シップ)の認証を取得。 社会的に困難を抱える家庭で育った若者に、才能を発揮する機会を提供する「FairTalent」プログラムを開始。 ハイチやチリ、パキスタンで発生した自然災害に対する支援。 「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」の初の受賞者にワンゲチ・ムトゥを選出。 世界中の 3,000 件を超えるボランティア活動に 1 万 7,000 人の従業員が参加。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー エマ・クイン シドニー 34 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー アライアンス・バーンスタイン社とドイツ 銀 行 に は 多 く の 共 通 点 が 存 在 し ま す。 その一つが、グローバルに展開している 事業が強さを発揮する一方で、ローカルに おいても強固な事業基盤を有しており、 それを誇りに思っていることです。こう した共通点は、不透明な状況にあっても 事 業 を 支 え る 力 と な っ た だ け で な く、 私たち両社が真のパートナーとして関係 強化を図る上で大きな役割を果たしました。 エマ・クイン ディーリング責任者(オーストラリア / ニュージーランド) アライアンス・バーンスタイン シドニー 35 02 ステークホルダー 株主 – 37 過去最大規模の増資に強い支持 顧客 – 法人・機関投資家向けビジネス – 41 競争力の強化 顧客 – 個人・資産運用ビジネス – 46 上昇基調が続く 顧客 – コーポレート・インベストメンツ – 51 独ポストバンク AG の持分は 個人顧客および中堅企業に移管 顧客 – セントラル ・ インフラストラクチャー – 52 取締役会の執行部門 従業員 – 53 買収によって増加 社会 – 56 社会資本の創出 ドイツ銀行の競合他社との比較や市場シェア、ランキングに関わる記述は、主に金融専門誌 (ユーロマネーなど)や専門情報会社(トムソン ・ ロイター、 ディーロジックなど)の外部情報に基づく。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 株主 37 株主 過去最大規模の増資に強い支持 図表 02 – 1 株主資本 (単位:十億ユーロ、四半期末時点) 50 48.8 41.5 39.1 38.5 36.6 2010 年 9 月 12 日、ドイツ銀行は、独ポストバンク AG の買収資金を調達するため、当行 として過去最大規模となる増資を発表した。当行はそのため、授権資本の中から現金 払込みによる合計 3 億 860 万株の記名式無額面株式(普通株式)をドイツおよび米国で 新たに発行することを取締役会で決議し、 当行の株主に新株予約権を割り当てた。 その結果、 当行株主は所有する 2 株に対して新株 1 株を購入することが可能となった (割当比率 2:1) 。 その詳細が記載された法定目論見書が 2010 年 9 月 21 日に発行され、その後 9 月 22 日 から 10 月 5 日まで、株主は新株予約権を行使することができた。 過去最大規模の株式発行 この株式募集に対する株主の反応は好意的であった。新株予約権の所有者に対して、3 億 651 万 の新株が 1 株当たり 33 ユーロで発行され、新株予約権が行使されなかった残りの 213 万株 は証券取引所において売却された。その結果、当行のすべての新株は成功裡に売却され、 当初の予想を上回る 102 億ユーロの資金を調達した。 25 0 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 09 10 10 10 10 ドイツ銀行 AG の株主資本は、 2010 年に 7 億 9,010 万ユーロ増加し、 年末時点で 23 億 7,950 万ユーロとなった。普通株式数は、2010 年末時点で 929,499,640 株に増加した(2009 年末:620,859,015 株) 。金融業界にとって特に厳しい市場環境となったなかで、100 億ユーロ を超える増資に対して強い支持を得られたことは、当行の将来の成長に対する株主の 信頼の表れと考えている。(図表 02-1) 時価総額の増加 増資によって、当行株式の時価総額は、2010 年末までに 363 億ユーロに増加した(2009 年末:307 億ユーロ) 。また、当行株式の DAX 指数に占める比率は、2010 年末に 6.0 % まで増加した(2009 年末:5.8 %) 。2010 年、Xetra における当行株式の売買高は、DAX 指数構成銘柄のなかで第 2 位となる 1,600 億ユーロとなった。一方、ニューヨーク証券 取引所における当行株式の平均売買高は、2010 年に 12 % 減少した。 変動幅の大きい市場 2010 年も世界の市場は引き続き回復へと向かったが、その速度は大きく減速し、国によって 明らかな差異も存在した。2010 年の最初の数カ月間は、グローバル経済がさらに安定し、 十分な流動性の供給が続いたことから、金融市場は落ち着きを見せた。しかしながら、ユーロ 圏における債務問題の拡大が、2010 年の春と秋に資本市場参加者の心理と取引高に影響を 与えた。ドイツ国内経済は平均を上回る成長を遂げたものの、その他多くの先進諸国に おける経済は勢いを欠いた。一方、アジアやラテンアメリカでは、力強い展開となった。ユーロ 圏のリスク問題に関する議論が再燃したことで、金融市場の変動幅は増大した。 38 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 株主 図表 02 – 2 金融機関にとって厳しい年 株主数は大幅に増加 こうした環境のなかで、当行株価も大きく変動した。2010 年年初に 45.50 ユーロで取引 を開始した当行株式は、4 月に 55.11 ユーロまで上昇した後、年末には 39.10 ユーロで 取引を終えた。従って、当行株価は 2010 年を通じて 13 % 下落したことになる。これら の株価はすべて、株主割当増資の影響を反映し、調整されたものである。金融業界に おいて予定されている規制の動向や、一部の国や金融業界に特有の費用計上に関連した 不透明感から、大半の競合他社の株価も下落した。これにより、STOXX 欧州銀行株指数は 2010 年中に 12 % 下落した。 (単位:千人、年末時点) 641 600 582 586 348 361 300 ドイツ主要株価指数である DAX 指数は、2010 年末に 6,914 ポイントで取引を終えた。 2010 年に同指数は 16 % 上昇し、ドイツ株式市場は先進諸国のなかで最も堅調に推移した 市場の一つとなった。ニューヨーク株式市場は、S&P500 指数で 12.8 % 上昇し、ロンドン の FTSE100 指数は 9 % 上昇した。これに対し、EURO STOXX50 指数は 5.8 % 下落した。 配当は昨年と同じ 0 06 07 08 09 10 当行は 2010 年に底固い営業収益を達成した。従って、2011 年年次株主総会において、 前年より株式数が約 50 % 増加したにもかかわらず、1 株当たり配当を 0.75 ユーロとする 提案を行う予定である。これは、金融機関の株主資本に対する規制強化の動きと、当行 の将来に向けた成長への施策をともに考慮したものである。 長期リターン 2010 年に株価が下落したことで、当行株式の長期にわたる投資収益は低下した。当行株式 を 1980 年年初に 1 万ユーロ相当購入し、現金配当をすべて株式購入に充て、無償増資 に応じたと想定した場合、2010 年末には 7 万 9,314 ユーロ相当の株式を保有していると 想定される。これは、年間平均で 7 % の投資収益に相当する。これに対し、同期間の DAX 指数の年間平均収益率は 9 % であった。 長期的な価値 2,000 1,500 1,000 500 0 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 1980 年を 100 とした投資収益の指数(四半期) 。 ドイツ銀行 DAX 株価指数 出典:データストリーム 39 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 株主 図表 02 – 3 欧州株主は持株数を増加 株主構成はわずかに変化 当行株主数は、2010 年を通じて約 5 万 4,000 人増加し、過去最高となる 64 万 623 人を 記録した(2009 年:58 万 6,295 人) 。(図表 02-2 参照)この増加のほとんどは 2010 年 9 月 12 日 の増資公表後に発生したものであり、その大半がドイツ国内の個人投資家であった。 これは、ドイツ国内の一般的な動向とは逆であり、ドイツ国内全体では株式保有者数は 前年に引き続き 2010 年も減少した。当行株主資本に占める個人投資家の保有比率は、全体 としては前年と比べ若干低下し 25 % となった(2009 年:26 %) 。これを受け、株主資本 に対する機関投資家(銀行を含む)の保有比率は 75 % に増加した(2009 年:74 %) 。(図表 02-3 参照) 当行株式の保有比率は、特にドイツを含む欧州投資家において増加した。一方、 米国投資家の保有比率は 13 % に減少した(2009 年:16 %) 。増資の実施にもかかわらず、 当行の地域別株主構成は全体としてほとんど変化がみられず、ドイツ国内投資家の保有 比率は 47 %(2009 年:46 %)に対し、 外国人投資家の保有比率は 53 % であった(2009 年: 54 %) 。(図表 02-4 参照) 株主資本に占める比率 (単位:%、年末時点) 100 86 86 71 74 75 50 29 14 26 25 14 0 06 07 08 機関投資家(銀行を含む) 個人投資家 09 当行株式は、 引き続きほぼ 100 % 浮動株式である。保有株式数 3 % 以上の報告義務に従って、 当行が認識している大株主は、2010 年 12 月 31 日時点でクレディ・スイス・グループ (チューリヒ) (3.86 %)およびブラックロック・インク(ニューヨーク) (5.14 %)である。 10 年次株主総会における活発な議論 2010 年 5 月 27 日にフランクフルト・アム・マインで開催した年次株主総会は、気候変動 中立の考え方に沿って初めて実施され、 参加株主数は過去最高を記録した昨年(6,700 人) と比べて約 4 分の 1 減少し、5,000 人が出席した。取締役会会長が前年の業績と今後の 見通しを報告した後、株主と経営陣の間で活発な議論が行われた。取締役会メンバーの 報酬体系について、初めて株主投票が行われた。年次株主総会では、すべての議題が賛成 多数によって可決された。DAX 指数構成銘柄に採用されている企業の平均と同様に、当行 の議決権株式における議決権行使の割合は減少し、前年の 41.9%から 35.1%になった。 新たな自社株買戻し 当行は、株主資本の最大 10%に相当する自社株を 2014 年 11 月 30 日までに買い戻すこと に関し、年次株主総会において株主から承認を得た。当行は、1,880 万株の自社株を 2010 年 末までに買い戻し、その約半数が従業員に対する株式ベースの報酬支払いに充てられた。 2010 年中は株式消却を実施せず、2010 年 12 月 31 日時点で 1,000 万株の自社株を保有 していた。当行は、2002 年半ばの自社株買戻しプログラムの開始時点から 2010 年 12 月 末までの期間に、合計 2 億 6,400 万株、額にして 167 億ユーロを買い戻し、そのうち 1,600 万株、額にして 5 億ユーロを再度市場で売却する一方、1 億 1,800 万株、額にして約 72 億 ユーロを消却した。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 株主 図表 02 – 4 投資家の高い関心 株主資本の地域分布 (単位:%、2010 年末時点) 3% その他 6% スイス 13 % 米国 47 % ドイツ 31 % 40 2010 年における当行株式に対する投資家やアナリストの関心は非常に高かった。特に、 当行の経営戦略上のアプローチや買収、法規制の強化の動きに備えた資本の拡大に関心 が集まった。当行インベスター・リレーションズ・チームは、これらに関して定期的に 投資家に報告し、質問にも対応した。アナリスト向け説明会や電話会議を通じて、当行の 業績の進展や、特に独ポストバンクに対する株式公開買付けに関する情報を提供した。 国際証券コンファレンスや当行インベスター・リレーションズが開催したイベントを 通じて、株式および債券投資家に対し 398 回(2009 年:386 回)の個別ミーティングや グループ・ディスカッションを実施し、当行取締役会メンバーも出席した。増資実施の 公表後 2 週間の間に、複数の取締役会メンバーがロードショーを実施し、ドイツ、英国、スイス、 フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スカンジナビア、米国で大口株式 投資家を訪問した。このなかで、当行は主として独ポストバンクに対する株式公開買付け の戦略的理由について説明した。 欧州(ドイツを除く) 総合的なインターネット・サービス 当行の個人株主は、当行との情報手段として主に無料の投資家ホットラインやインター ネットを活用している。当行のインベスター・リレーションズのホームページでは、すべて の最新の公表情報や財務報告のほか、例えば当行株価の比較が可能な双方向の分析ツールも 提供している。当行では、すべてのインベスター・リレーションズ関連のイベントを、例外 や制限を設けずにインターネットを通じてリアルタイムで配信している。さらに、株主 は年次株主総会への参加登録をインターネット上で行えるほか、株主総会の開催前にも オンラインで議決権を行使できる。年次株主総会の招集通知を電子メールで送付した数は 4 万 1,700 通に達し、コストの削減や環境の保護につながっている。 格付けの見直し 国際的な格付機関は、 2010 年に世界中の金融機関の信用格付けを見直した。スタンダード・ アンド・プアーズおよびフィッチは、当行に対し、各々、A+ および AA- の長期格付け を維持したが、ムーディーズは 2010 年 3 月に当行の長期格付けを Aa3 に引き下げた。 一方、2010 年 11 月末に当行が独ポストバンクの株式を過半数取得することが確定した 後、スタンダード・アンド・プアーズは独ポストバンクの長期格付けを一段階引き上げ A とした。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 41 02 − ステークホルダー 顧客−法人・機関投資家向けビジネス 顧客−法人・機関投資家向けビジネス 競争力の強化 図表 02 – 5 コーポレート・ファイナンス: 米国の株式資本市場ビジネスに おける大幅な改善 市場シェア(単位:%) 8 6.7 5.1 4 法人・機関投資家向けビジネス(CIB) ・グループ部門にとって、2010 年の事業環境は容易 なものではなかった。それにもかかわらず、収益は過去最高を記録し、税引前利益は過去 2 番目に良い結果となった。市場全体における取引の低迷や、一部の国の債務問題に端を 発した市場の動揺、低金利の継続にもかかわらず、CIB はすべてのビジネス分野で競争 上の優位性を拡大した。これは、2009 年の組織再編を受け、2010 年に CIB の統合が さらに進展した成果の表れである。2010 年には、インターナショナル・ファイナンシング・ レビュー誌より「バンク・オブ・ザ・イヤー」を受賞したほか、ユーロマネー誌より「最 優秀投資銀行」 、リスク誌より「最優秀デリバティブ・ハウス」に選ばれるなど、市場に おいても高い評価を得た。 CIB は、コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズとグローバル・トラン ザクション・バンキングの 2 つのコーポレート部門で構成されている。このうち、コーポ レート・バンキング・アンド・セキュリティーズは、マーケッツとコーポレート・ファイ ナンスのビジネス部門で構成されている。 4.7 4.2 3.2 部門別決算報告からの抜粋(法人・機関投資家向けビジネス1) 0 06 07 08 09 10 * 10 9 * 業界内における順位 出典:ディーロジック 10 6 5 CIB は 2010 年に 60 億ユーロの税引前利益を計上した。コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズの税引前 利益は、2009 年に 35 億ユーロであったのに対し、2010 年は 51 億ユーロとなった。2010 年の純収益は、全体として前年 を上回る結果となった。その主な要因としては、評価損やトレーディングによる損失が減少したことと、クレジット・トレー ディングおよび株式デリバティブにおいて、フローや仕組み商品の顧客取引が増加したことが挙げられる。さらに、IAS (国際会計基準)第 39 号に基づき区分変更された資産に関連した信用リスク引当金も大幅に減少した。一方、グローバル・ トランザクション・バンキングの 2010 年の税引前利益は、9 億ユーロ(2009 年:8 億ユーロ)となった。これには、 ABN アムロから買収したオランダの商業銀行事業を初めて連結対象としたことによるプラスの影響が反映されているが、 これを除いても、グローバル・トランザクション・バンキングは過去最高の収益を達成した。好収益の主な要因としては、 法人信託サービスや貿易金融、キャッシュ・マネジメントにおける手数料収入の伸びが、長引く低金利環境による影響を 上回ったことが挙げられる。 単位:百万ユーロ 純収益 信用リスク引当金繰入額合計 利息以外の費用 税引前利益 株主資本利益率(税引前、%) リスク・ウェイテッド・アセット 資産 1 2010年 2009年 20,929 18,807 488 1,816 14,422 12,679 5,999 32 4,314 23 211,115 203,962 1,519,983 1,343,824 部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細は、2010 年ファイナンシャル・リポート(マネジメント・リポート)に記載されている。 42 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−法人・機関投資家向けビジネス 図表 02 – 6 コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズ マーケッツ: 米国の債券ビジネス市場をリード マーケッツは、債券、株式および株式関連商品、上場デリバティブおよび店頭デリバティブ、 外国為替、マネー・マーケッツ、証券化商品、コモディティを含む幅広い金融商品のセー ルス、トレーディング、ストラクチャリング業務で構成される。法人・機関投資家向け 顧客カバレッジは、法人顧客グループが担当している。リサーチは、市場、商品および トレーディング戦略に関する分析を提供している。 市場シェア(単位:%) 14 12.8 2010 年初めの市場環境は、2009 年後半の流れをほぼ引き継ぐものであった。市場の変動 幅は小さく、クレジット・スプレッドも縮小していた。また、市場の流動性は改善し、 各資産クラス間の相関は安定していた。しかしながら、証券化市場の取引は依然として 閑散としていた。その後、一部の国の債務問題に対する懸念が強まるにつれて、市場変動 幅とクレジット・スプレッドは拡大した。特に 2010 年の夏には、投資家の警戒感が強 まり、発行市場が低迷するなか、取引量も著しく減少した。 10.7 9.9 9.5 8.3 7 こうした環境にもかかわらず、マーケッツは顧客取引による市場シェアを拡大する一方、 厳格な資本 / リスク管理規律を継続した。 0 06 07 08 09 10 * 5 3 3 4 * 業界内における順位 出典:グリニッチ・アソシエイツ 1 2010 年は、すべてのフロービジネスで極めて良好な結果を達成した。米国における債券 ビジネスで大きな市場シェアを獲得した結果、グリニッチ・アソシエイツによる調査で、 この分野で初めて第 1 位を占めた。(図表 02-6) 株式およびコモディティーズ・ビジネスは、 強い需要が継続したことによる恩恵を受けた。さまざまな資産クラスに対する革新的な 商品組成力を活かすことで、各々の顧客ニーズに適した商品の提供が可能となっている。 一方で、特定の株式自己勘定トレーディング・ビジネスからは撤退した。 当行の債券ビジネスは、2010 年に過去最高の業績を達成した。外国為替セールス / トレーディングでは、ユーロマネー誌による調査で 6 年連続して第 1 位となり、世界のトップ としての地位を固めた。マネー・マーケッツおよび金利ビジネスも、リスク誌より複数の 賞を受賞し、収益の面でも大きく貢献した。また、ドイツの自動車製造会社に対し、年金 債務が平均寿命の伸びに伴って増大するリスク(長寿リスク)をヘッジするための商品 を開発するなど、顧客と緊密に連携して革新的なサービスの提供に努めた。(図表 02-7) ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 図表 02 – 7 マーケッツ: 外国為替で引き続き世界の市場を リード 業界内における順位 1 1 1 1 1 43 02 − ステークホルダー 顧客−法人・機関投資家向けビジネス 1 3 06 07 08 09 10 出典:ユーロマネー誌外国為替ポール クレジット商品については、フローおよび仕組み商品とも 2010 年に著しい回復を見せた 一方で、過去のポジションのさらなる削減にも取り組んだ。エマージング・マーケッツの 債券は、新興国経済に資本の流入が続いたことや当行のグローバルな基盤による恩恵を 受け、良好に推移した。コモディティーズは、2010 年の厳しい市場環境にもかかわらず、 非常に好調な業績を上げた。 株式ビジネスは、2009 年からの回復基調を維持し、グローバル・カストディアン誌の最 優秀グローバル・プライム・ブローカーに 3 年連続で選出された(ヘッジファンドを 対象とした調査による) 。現物株ビジネスへの投資を継続し、特に米国とアジアにおける電子 取引に投資を行った。株式デリバティブ・トレーディングは、機関投資家のニーズに応え、 引き続き大口取引に注力した。 マーケッツを取り巻く今後の見通しには未だ不透明感が残るが、当行では、幅広い事業 基盤を持つ当行のビジネスモデルを活用することで、市場環境や法規制の変化に対し十分 な体制を整えていると考えている。(2010 年の受賞) 2010 年の受賞 インターナショナル・ファイナンシング・ レビュー(IFR) : 「最優秀デリバティブ・ハウス」 (6 年間で 5 回目) ユーロマネー: 「最優秀投資銀行」 「最優秀外国為替銀行」 (6 年連続) リスク: 「最優秀デリバティブ・ハウス」 (2003 年以降 3 回目) 「最優秀バンク・リスク・マネジャー」 グローバル・カストディアン: 「最優秀グローバル・プライム・ブローカー」 (3 年連続) グリニッチ・アソシエイツ: 「米国における債券ビジネス 第 1 位」 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−法人・機関投資家向けビジネス 図表 02 – 8 コーポレート・ファイナンス: 世界のトップ 5 へ 業界における順位 5 5 7 7 8 8 10 06 07 08 09 10 出典:ディーロジック、手数料ベース 44 コーポレート・ファイナンスは、アドバイザリーを含む M&A(企業買収・合併) 、債券 および株式の発行、大企業や中堅企業を対象とした資本市場の各業務を担っている。各地 域で産業別に編成しているチームが、幅広い金融商品やサービスを顧客に提供している。 コーポレート・ファイナンスの市場での地位は 2010 年に大きく改善し、困難な市場環境 にもかかわらず、 グローバルで上位 5 位以内に入るという目標を達成した(ディーロジック: 推定手数料ベース) 。当行はこの分野で市場シェアを大幅に伸ばし、世界の他の主要投資 銀行の追随を許さなかった。これらは、主要な地域(米国など)やセクター(金融機関や 事業会社など)における専門性を強化するため、過去数年間にわたり、景気循環に左右 されないよう戦略的投資を行ってきた成果と言える。(図表 02-8) M&A は 2010 年に著しい躍進を遂げ、グローバル・ランキングで前年の第 9 位から第 5 位 に上昇した。欧州においては第 1 位を占め、米国では市場シェアを倍増した。当行が主導 的な地位を占めるクロスボーダーの M&A 案件が、当該シェアの拡大に大きく貢献した。 また、先進国市場だけでなく、エネルギー、医薬品、消費財の各セクターにおいて、新興国 市場でもアドバイザリー・サービスを提供した。 オリジネーションは、一部の国の債務問題に対する懸念から 2010 年を通じて市場が混乱 したにもかかわらず、取引高の増大を受け堅調に推移した。 株式資本市場では、市場の大きな変動にもかかわらず、市場シェアを拡大した。当行は、 2010 年にこの分野で市場シェアを拡大した唯一の主要投資銀行であり、株式発行市場に おける大規模な株式発行上位 3 案件すべてに関与した投資銀行も当行以外にはなかった。 当行は、当該ビジネスにおけるランキングを、グローバルおよび米国で第 5 位まで上げた ほか、EMEA(欧州 / 中東 / アフリカ)では再び第 1 位を占めた。(図表 02-5) 債券オリジネーションは、2010 年に投資適格債とハイ・イールド債券の引受け部門で 大きく成長した。グローバルには共に第 4 位を占めたほか、 EMEA(欧州 / 中東 / アフリカ) では、各々、第 1 位と第 2 位を占めた。レバレッジド・ファイナンスでは、当行はリスク とリターンの水準が妥当な融資案件を選別してこれを承認した。(2010 年の受賞) 2010 年の受賞 インターナショナル・ファイナンシング・レビュー (IFR) : 「最優秀 EMEA(欧州 / 中東 / アフリカ)ハイ・イー ルド・ボンド・ハウス」 ファイナンス・アジア: 「最優秀ハイ・イールド・ボンド・ハウス」 ファイナンシャル・ニュース: 「最優秀 DCM(債券資本市場)ハウス」 45 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−法人・機関投資家向けビジネス 図表 02 – 9 グローバル・トランザクション・バンキング グローバル・トランザクション・ バンキング:ユーロ建て決済でトップ グローバル・トランザクション・バンキング(GTB)は、法人顧客および金融機関を対象 として、国内およびクロスボーダー決済、専門的なリスク管理、海外貿易に関わる資金 調達ならびに信託、取次ぎ、預託、カストディ(証券保管)およびこれらの関連サービス を含む包括的な商業銀行商品およびサービスを提供している。GTB は、事業法人および 金融機関を対象としたキャッシュ・マネジメント、貿易金融、法人信託サービスの各 業務で構成されている。 市場シェア(単位:%) 21.1 21.1 20 18.7 17.4 16.6 GTB は 2010 年に過去最高の収益を達成した。GTB を構成する主要なビジネス部門で市場 シェアを拡大したほか、新しい商品やテクノロジーへの投資を継続し、ビジネス拠点の ネットワークを拡充した。CIB との統合がさらに進展したことで、顧客との取引機会の 最大化に向けた取組みを開始した。2010 年 4 月 1 日に ABN アムロのオランダにおける 商業銀行事業の買収を完了した結果、3 万 3,000 件の新規顧客を獲得し、統合に向けた プロセスを開始した。 10 0 06 07 08 09 10 * 1 1 * 業界内における順位 出典:ドイツ連邦銀行 「Target 2 Germany」 1 1 1 キャッシュ・マネジメントでは、ユーロ建て決済における主導的地位を維持したほか、 米ドル建て決済においても引き続き上位を占めた。新たな産業やセグメントに業務を拡大 したことで、顧客数と案件獲得数は増加した。金融機関との取引における主導的な地位 の構築にも成功した。(図表 02-9) 貿易金融は、世界的な貿易高の増大を背景として堅調な業績を達成した。リスクを軽減 するための商品やサービスに対しては、顧客から引き続き強いニーズがみられた。また、 輸出信用機関や民間保険会社と協力し、国際的な輸出入に対する資金調達や仕組み貿易 金融におけるフロービジネスを大きく拡大した。 2010 年、法人信託サービスは、2009 年に買収したドレスナー銀行の第三者証券貸出 ビジネスの統合を完了した。カストディでは、サウジアラビア王国で新たなサービスを開始 するなど、業務を拡大した一方、第三者オルタナティブ・ファンド管理サービスの預かり 資産を倍増させた。さらに、米国の資産担保証券(ABS)の受託業務で第 1 位を占める など、伝統的なデット・ファイナンスやストラクチャード・ファイナンス・サービス では上位 3 位以内を維持した。(2010 年の受賞) 2010 年の受賞 バンカー: 「最優秀キャッシュ・マネジメント・ハウス」 ユーロマネー: 「最優秀キャッシュ・マネジメント・ハウス(欧州)」 トレード・ファイナンス: 「最優秀トレード・バンク(欧州)」 「最優秀トレード・ファイナンス・バンク(短期資金)」 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 46 02 − ステークホルダー 顧客−個人・資産運用ビジネス 顧客−個人・資産運用ビジネス 上昇基調が続く 個人・資産運用ビジネス(PCAM) ・グループ部門は、個人および法人顧客を対象とする 資産運用ビジネスと、個人顧客および中堅企業を対象とする伝統的な銀行業務で構成 されている。 図表 02 – 10 資産運用: 地域別運用資産残高 総額 5,499 億ユーロ (単位:十億ユーロ、2010 年末時点) 223 米州 244 PCAM にとって 2010 年は、将来的な成長に向けて、戦略上重要な買収を 2 件実行した 年となった。サル・オッペンハイム・グループを買収し、独ポストバンク AG の株式を 過半数取得することによって、ホームマーケットであるドイツ国内における主導的地位 を再び拡大した。これらの買収に伴う費用計上にもかかわらず、外部環境の改善を追い 風として増益を達成した。運用資産総額は、2010 年に前年比 2,990 億ユーロ増加して 1 兆 1,790 億ユーロとなった。このうち、サル・オッペンハイム(BHF バンクを含む)と 独ポストバンクに関連したものが、各々、1,150 億ユーロと 1,050 億ユーロとなっている。 ドイツ PCAM は、資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM)と個人顧客および中堅企業 (PBC)の 2 つのコーポレート部門により構成されている。 25 アジア太平洋地域 25 英国 数字は四捨五入。 34 欧州 (ドイツ、英国を除く) 資産運用およびウェルス・マネージメント 資産運用およびウェルス・マネージメントは、資産運用とプライベート・ウェルス・マネー ジメントの 2 つのビジネス部門で構成されている。資産運用では、個人および機関投資家 に対して、幅広い投資信託やオルタナティブ投資商品を提供する一方、個別ニーズに 合わせた投資商品の提供も行っている。プライベート・ウェルス・マネージメント(PWM)は、 世界中の個人富裕層やその家族を対象に金融サービスを提供している。 2010 年には、 グループ全体の利益に占める資産運用(AM)の貢献度が高まった。これは、 事業再編を成功裡に完了することで業務環境が改善したことや、市場のさらなる回復を 受けたものである。AM の事業戦略は、当行が数年前に特定した、資産運用ビジネスの 潮流を変化させている 7 つの大きな「メガトレンド」 (マクロ・トレンド)に対応したもの である。 部門別決算報告からの抜粋(個人・資産運用ビジネス1) 2010 年の PCAM の税引前利益は、2009 年の 7 億ユーロに対し、10 億ユーロとなった。資産運用およびウェルス・マネー ジメントの 2010 年の税引前利益は、サル・オッペンハイム / BHF 関連の損失を含んだベースで 1 億ユーロとなった(2009 年は 2 億ユーロ) 。個人顧客および中堅企業(PBC)の 2010 年の税引前利益は、2009 年の 5 億ユーロから増加し、9 億ユーロ となった。この増益は、独ポストバンクを初めて連結対象としたことや預金・支払いサービスが寄与している。一方、PBC の利息以外の費用は、主に独ポストバンクの連結によって前年より増加した。独ポストバンク関連の影響を除くと、利息 以外の費用は、退職費用の減少を受け減少した。 単位:百万ユーロ 純収益 信用リスク引当金繰入額合計 利息以外の費用 税引前利益 株主資本利益率(税引前、%) 2010年 2009年 10,043 8,261 789 806 8,258 6,803 989 658 9 8 リスク・ウェイテッド・アセット 127,827 49,073 資産 412,477 174,739 1 部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細は、2010 年ファイナンシャル・リポート(マネジメント・リポート)に記載されている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−個人・資産運用ビジネス 資産運用は、以下の 4 つの主要業務によって構成されている。これらの主要業務は、 DWS イ ン ベ ス ト メ ン ツ に よ る 退 職 金 口 座 の 提 供 や 個 人 の ニ ー ズ に 対 応 す る 個 人 投資家向けビジネス、DB アドバイザーズによる年金基金や事業法人、政府系ファンド、 各国政府などの資産を運用する機関投資家向けビジネス、ドイチェ・インシュアランス・ アセット・マネジメントによる保険会社の投資運用や投資助言ニーズに応える保険ビジ ネス、世界有数の不動産運用会社である RREEF によるオルタナティブ運用ビジネスで ある。さらに、DB クライメート・チェンジ・アドバイザーズ、DB プライベート・エクイティ、 RREEF インフラストラクチャーを通じて、その他のオルタナティブ分野でも積極的に ビジネスを展開している。AM の 2010 年末時点の運用資産残高は、総額 5,500 億ユーロ となった(2009 年末は 4,960 億ユーロ) 。(図表 02-11) 図表 02 – 11 資産運用: 商品別運用資産残高 総額 5,499 億ユーロ (単位:十億ユーロ、2010 年末時点) 46 オルタナティブ 運用 (不動産を含む) 151 保険資産 175 機関投資家向け金融商品 数字は四捨五入。 47 178 個人向け 投資信託 個人投資家向け資産運用 DWS インベストメンツ(DWS)は、個人投資家向けの投資信託やファンド・ベースの 年金商品の提供ではドイツ国内で主導的な地位を占めており、市場シェアでは、ドイツ でトップの投資信託会社であり、欧州でも上位 10 位以内を占めている。グローバルには、 AM の個人投資家向け運用資産残高は前年から 130 億ユーロ増加し、2010 年末時点で 1,780 億ユーロとなった。DWS は、2010 年も運用成績や顧客サービスにおいて高く評価 され、多数の賞を受賞した。また、グローバルな基盤の拡大に伴って、米国では短期債 や地方債、コモディティのファンドの純資産残高が増加した。一方、日本では 3 つの新規 ファンドを立ち上げ、各々で 10 億ユーロを超える資産を集めるなど成功を収めた。 機関投資家向け資産運用 DB アドバイザーズの運用資産残高は、2010 年末までに 1,750 億ユーロ(2009 年末は 1,730 億 ユーロ)となり、債券運用の分野で世界の上位 5 社の一角を占めた。また、気候変動 関連の債券ファンドや純資産変動型マネー・ファンドをはじめとする革新的な投資商品 の提供を続けた。さらに 2010 年には、ヘンダーソン・グローバル・インベスターズの ポンド建てマネー・マーケット・ファンドを取得した。 保険会社向け資産運用 ドイチェ・インシュアランス・アセット・マネジメント(ドイチェ・インシュアランス)は、 2010 年も強い成長を続けた。2010 年末時点のドイチェ・インシュアランスの市場シェアは 17 %、運用資産残高は前年から 360 億ユーロ増加し 1,510 億ユーロとなり、保険資産 運用会社として世界第 2 位を占めている。リアクションズ誌からは、3 年連続して「最 優秀保険資産運用会社」に選ばれたほか、2 年連続でロンドンにおける「最優秀保険資産 運用会社」に選出された。また、約 100 億ユーロの資産を有するオッペンハイム VAM カピタルアンラーゲゲゼルシャフト mbH の保険ビジネスを統合し、欧州の保険会社向 けビジネスにさらに注力した。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−個人・資産運用ビジネス 図表 02 – 12 不動産およびその他オルタナティブ資産運用 プライベート・ウェルス・ マネージメント:運用資産残高の増加 (単位:十億ユーロ、年末時点) 48 不動産投資における高い専門性で評価を得ている RREEF の 2010 年末時点の運用資産残高は、 370 億ユーロとなった。不動産市場が回復基調にあることを受け、RREEF のファンド の半数超は運用成績がプラスとなり、ドイツの 2 つのオープンエンド不動産ファンド 「grundbesitz europa」と「gundbesitz global」は、 運用成績ランキングでトップを占めた。 300 275* 189194 190 2010 年は、RREEF だけでなく、AM のその他のオルタナティブ資産運用も好調に推移した。 機関投資家が、気候変動リサーチや持続性にコミットする投資戦略に関心を示し始 めたことから、DB クライメート・チェンジ・アドバイザーズは、気候変動に関連した投資 において引き続き地歩を固めた。 164 150 0 06 07 08 09 10 * このうち、サル・オッペンハイムの運用資産 残高は 670 億ユーロ。 DB プライベート・エクイティは、機関投資家や個人富裕層向けの新規ファンドの設定・ 運用や既存ファンドへの投資に注力し、プライベート・ウェルス・マネージメントのプ ライベート・エクイティ・グループ、RREEF のセカンダリー・マーケット・チーム、サル・ オッペンハイムが展開していたプライベート・エクイティ・パートナーズの 3 つの既存 ビジネスを成功裡に統合した。DB プライベート・エクイティは、2010 年末時点におい てグローバルで総額 24 億ユーロの運用資産残高を有し、ファンド・オブ・ファンズの分野 では欧州で第 5 位、ドイツで第 1 位を占めている。 RREEF インフラストラクチャーのビジネスは引き続き拡大した。運用資産残高は、約 61 億 ユーロにのぼり、インフラストラクチャーに投資するグローバルな運用会社として第 4 位 を占めている。2010 年には、スペインの 3 つの風力発電事業の持分を取得し、初めての再生 可能エネルギーへの投資を完了した。 プライベート・ウェルス・マネージメント(PWM)は、富裕層顧客、信託や基金、一部 機関投資家向けにテーラーメイドの金融サービスを提供し、富裕層向けビジネスにおいて 世界で主導的な地位を占めている。2010 年 3 月にサル・オッペンハイムの買収を完了 したことで、欧州で基盤を強化した一方、ドイツ国内においては市場を大きくリードし ている。世界 30 カ国の 109 拠点に約 4,600 人の従業員を擁し、顧客からの多様なニーズ に応えている。サル・オッペンハイムを含む(但し、BHF バンクは除く)PWM の 2010 年 末時点の運用資産残高は、総額 2,750 億ユーロであった(2009 年末の PWM は 1,900 億 ユーロ) 。PWM の業績は、 金融危機の影響を受けて 2008 年および 2009 年に低迷したが、 2010 年には金融危機以前の水準近くまで回復した。(図表 02-12) 金融市場の良好な推移と顧客の株式投資への回帰、貸出しの増加を背景に、PWM の業績 は回復した。ドイツ銀行グループ内の各ビジネス部門と連携することで、超富裕層や 富裕層向けビジネスを引き続き強化した。これは、超富裕層顧客への注力とその成功を さらに後押しすることにつながった。 PWM は 2010 年、特にホームマーケットであるドイツ国内において堅調であった。50 億 ユーロの新規純資金を獲得し、増収となった。ユーロマネー誌のプライベート・バンキ ングおよびウェルス・マネージメント調査では 20 部門でトップを占め、この分野における 競争力の高さを示した。 49 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−個人・資産運用ビジネス 図表 02 – 13 また、PWM は、2010 年にサル・オッペンハイムを統合・再編したことで著しい発展を 遂げた。資産運用とウェルス・マネージメントにビジネスを集中し、経営陣の再編、リスク・ ウェイテッド・アセットおよび費用の削減、管理体制の強化に取り組んだ。 個人顧客および中堅企業: 独ポストバンク買収を受け 顧客預金が大幅に増加 普通預金 / 定期預金 / 当座預金 (単位:十億ユーロ、年末時点) 英国においては、安定した資金流入を背景として、2010 年に前年比 20 % 超の増収を達成 した。米国ではビジネスが好転したことで、前年比 16 % の増収を達成し、PWM 全体の 収益に貢献した。 250 234* PWM は、先進国および新興国におけるビジネスチャンスを最大限に活用するため、 2010 年を通じてリージョナル・マネジメント(地域運営)の再編を進めた。また、ラテン アメリカや中東、ロシア、アジアなど、主要な成長市場におけるビジネスを拡大した。 125 118 116 96 PWM は、当行グループ全体の戦略上の重点地域であるアジア太平洋地域におけるビジ ネスを引き続き拡大した結果、前年比 25 % の増収を達成した。アジアマネー誌からは、 4 年連続して「インドにおける最優秀プライベート・バンク」に選出された。 72 PWM は、世界各地の顧客のニーズに応えるため、世界でもトップクラスのウェルス・ マネージメント・サービスを提供することで、持続的な価値の創造に引き続き取り組ん でいる。 0 06 07 08 09 10 * このうち、独ポストバンク AG の預金残高は 1,180 億ユーロ。 個人顧客および中堅企業 個人顧客および中堅企業(PBC)は、世界各地で個人や自営業者、中堅企業の顧客に対し、 支店を通じた銀行サービスや金融サービスを提供している。ホームマーケットである ドイツ国内においては主導的地位を維持している。PBC の商品には、支払いや当座預金、 資産運用や退職年金プラン、投資信託、証券、融資などが含まれている。 PBC は、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、ポルトガル、ポーランド、インド、 中国に合計 2,860 の支店を展開しているが、そのうち 1,108 が独ポストバンクの支店 となっている。また、PBC は、独立したファイナンシャル・アドバイザーを通じてサー ビスを提供している。さらに、ドイツ最大の自動車連盟である「ADAC」やスペインの郵便 事業「コレオス」の金融サービス部門など、広く知られた外部パートナーとの協力関係 によって営業力を強化している。また、ドイツやポーランドなど一部の国では、複数の ブランドを展開している。 PBC は 2010 年に、証券取次手数料収入の増加や預金・支払い業務における過去最高の 業績を主な要因として、前年と比べ大きく業績を伸ばした。また、2009 年に導入した効率 化向上の施策や、リスク費用の大幅な削減による恩恵も享受した。 当行は 2010 年に、ホームマーケットであるドイツ国内において、個人顧客向けビジネス の地位のさらなる強化に向けて歴史的な一歩を踏み出した。すなわち、独ポストバンク AG の株式の過半数を取得し、2010 年 12 月に連結対象とした。これにより、現在では、 独ポストバンクは当行グループのリテール部門の一部となっている。当行グループと 独ポストバンクの顧客層は相互に補完しあっている。当行は 2009 年以降、独ポストバンク と販売や営業、購買、IT(情報技術)の分野で協力しており、既に予想を上回る成果を 挙げている。こうした事実は、今後の統合を進める上で役立つものと考えている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−個人・資産運用ビジネス 図表 02 – 14 個人顧客および中堅企業: ドイツ国内の支店数が飛躍的に増加 2010 年末時点で合計 2,052 支店 50 PBC は、ドイツ国内に 2,000 を超える支店と 3 万 5,000 人を上回る従業員を擁し、2,400 万人の顧客に銀行サービスを提供している。独ポストバンクの買収によって、複数ブランド による事業体制が大きく前進した。ドイツ全体を網羅する 2 つの独立した強固なブランド を展開することで、現在では、ドイツのすべての顧客グループに対して、各々の銀行ニーズ に適した商品やサービスを提供することが可能となっている。欧州においても、収益と 顧客預金の両面において、主導的な金融機関の一つとなっている。(図表 02-14) 61 ベルリン銀行 ベルリンにおける当行のブランドであるベルリン銀行は、2010 年に IT(情報技術)シス テムを当行プラットフォームに移行し、大幅な効率化を実現した。ノーリスバンクにお いても、アカウント・サービスの提供で複数の賞を受賞するなど、順調な展開を見せた。 94 ノーリスバンク 1,108 ポストバンク 789 ドイツ銀行 2010 年は、ドイツ銀行の支店を通じた銀行ビジネスで大幅な増益を達成した。また、アド バイザリー・サービスの継続的発展のためのプログラムを立ち上げたほか、顧客満足 度に重点を置くことで、競争の激しい市場において鍵となる顧客サービスの向上に取り 組んでいる。さらに、業務管理方法を変更した結果、現在では顧客への付加価値の提供 と当行の収益性(すなわち株主への付加価値の提供)の双方の達成の度合いを同様に評価 することとしている。約 1,400 人の独立したファイナンシャル・アドバイザーから成る 営業体制は、質のさらなる向上を目指して再編された。 PBC は、 その他の欧州諸国でも強い成長を遂げた。すべての商品分野で増収となった一方、 貸出しにおいてはリスク費用が大幅に減少した。ポーランドでは、ビジネスモデルを再編 したことで、業績は回復し黒字に転じた。 2010 年は、アジアにおける基盤を引き続き拡大した。例えば、当局の承認を前提として、 中国の華夏銀行の株式持分を 17.1 % から 19.99 % に増加したほか、インドにおけるビジ ネスも順調に推移し、15 支店で 41 万 5,000 人を超える顧客に銀行サービスを提供して いる。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 51 02 − ステークホルダー 顧客−コーポレート・インベストメンツ 顧客−コーポレート・インベストメンツ 独ポストバンク AG の持分は 個人顧客および中堅企業に移管 図表 02 – 15 コーポレート・インベストメンツ: 投資資産の簿価の推移 (単位:十億ユーロ、年末時点) 30 24.6 17.3 14.9 15 10.4 9.9 0 06 07 08 09 10 コーポレート・インベストメンツ(CI) ・グループ部門は、当行のグローバルな自己投資 事業を統括している。これには、特定のクレジット・エクスポージャー、プライベート・ エクイティおよびベンチャー・キャピタル投資、事業用不動産投資、事業会社株式の保有、 その他の非戦略的投資が含まれる。(図表 02-15) 2010 年末時点で、CI は、株式投資に関連して 30 億ユーロの資産を運用しており、この なかには港湾会社マヘル・ターミナルズやラスベガスのザ・コスモポリタンの持分が含 まれている。マヘルとコスモポリタンは共に当行の中核事業ではなく、投資目的で一時 的にその持分を保有している。 独ポストバンク AG への投資については、同株式の過半数を取得した後、2010 年 12 月 に個人顧客および中堅企業に移管した。 2010 年末時点のその他投資は 119 億ユーロとなった。2009 年 12 月に供与したドイツ・ ファンドブリーフバンク AG(前ヒポ・リアル・エステート・バンク AG)に対する総額 92 億ユーロの流動性ファシリティは、2010 年中に全額返済された。最終の返済は 2010 年 12 月に行われ、当行は、その時点で総額 64 億ユーロの欧州中央銀行(ECB)適格債 を引き受けることで、ヒポ・リアル・エステート・グループの清算機関である FMS Wertmanagement Anstalt des öffentlichen Rechts に、新たな流動性ファシリティを提供 した。 部門別決算報告からの抜粋(コーポレート・インベストメンツ 1) CI は、2010 年に 26 億ユーロの税引前損失を計上した(2009 年:5 億ユーロの税引前利益) 。この主な要因としては、 2010 年第 3 四半期に独ポストバンク関連費用として 23 億ユーロを計上したことが挙げられる。 単位:百万ユーロ 2010年 2009年 純収益(損失) (2,020) 1,044 信用リスク引当金繰入額合計 利息以外の費用 (4) 8 637 581 税引前利益(損失) (2,649) 456 リスク・ウェイテッド・アセット 4,580 16,935 17,766 28,456 資産 1 部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細は、2010 年ファイナンシャル・リポート(マネジメント・リポート)に記載されている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 顧客−セントラル・インフラストラクチャー 52 顧客−セントラル・インフラストラクチャー 取締役会の執行部門 図表 02 – 16 Tier 1 自己資本比率は 高水準で安定的に推移 (単位:%、年末時点) セントラル・インフラストラクチャー(本部管理)部門は、取締役会が経営責任を果た す上で必要な戦略、リスク管理、経営管理機能を提供し、取締役会を支援している。その 大部分の機能は、事業を展開している各地域のビジネス部門とグローバルに連携して いるが、独立の報告ラインを持っている。こうした業務モデルは、当行のリーダーシップ と組織文化の主要要素となっており、2010 年もその有効性が示された。 14 12.6 12.3 10.1 8.5 8.6 7 06¹ 07² 08³ 09³ 10³ 2 3 現在の課題 2010 年には、世界的な金融・経済危機の影響や規制の強化、戦略的買収の準備とその遂行 により、多大な業務が発生したが、関連するすべての部門が緊密に連携をとり、多岐に わたる課題に対応した。 0 1 セントラル・インフラストラクチャーは、ファイナンス、監査、税務、法務、リスク / 資本 管理、インベスター・リレーションズ、広報&CSR、人事、グループ戦略&プランニング、 コーポレート・インシュアランス、DB リサーチにより構成されている。 IFRS に基づく。 IFRS(バーゼルⅠ)に基づく。 IFRS(バーゼルⅡ)に基づく。 法務、リスク / 資本管理に属する財務(トレジャリー)チームは、2010 年を通じて、潤沢 な流動性と債券資本市場およびリテール市場での広範な資金調達源の確保に努めた。 主に独ポストバンクの買収資金に充てるため、ドイツの金融史上最大規模となる 102 億 ユーロにのぼるライツ・イシューを実施し、株式資本を増強した。 幅広いサポート ファイナンス・チームは、株主リターンの向上を優先した価値重視の経営コンセプトを 引き続き推進していくことに注力した。こうした手法をとることにより、経営陣が株主 価値の向上につながる諸要素を把握しやすくなるようにしている。 2010 年、グループ戦略&プランニングは、第 4 段階の経営戦略の遂行において取締役会 を支援し、戦略的買収の実施にも深く関与した。DB リサーチは、エネルギーや革新性、 持続性などの経済関連リサーチを実施し、新たなビジネス分野を見出すことを通じて、 取締役会や各ビジネス部門、顧客に対して重要な情報を提供した。 人事は、当行が引き続き「選ばれる雇用主」としての地位を維持することに力を注いだ。 当行は、優秀な人材の採用と確保を目指している。2010 年は、従業員の能力管理や報酬 体系の調整、上級管理職における女性比率の向上に特に注力した。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 従業員 53 従業員 買収によって増加 ドイツ銀行グループの総従業員数(常勤相当)は、2010 年に実施した 2 件の事業買収を主な 要因として 2 万 5,009 人増加し、10 万 2,062 人となった。これらの統合や幾つかの事業 の売却の影響を調整したネット・ベースでは、222 人の増加にとどまった。(図表 02-17) 図表 02 – 17 従業員数の推移 (単位:千人、年末時点) * 102.1* 100 78.3 80.5 77.1 68.8 法人・機関投資家向けビジネス(CIB)の従業員は、2010 年に 1,752 人(前年比 12 %) 増加した。これは、主に ABN アムロのオランダにおける商業銀行事業の一部を買収した ことに起因している。個人・資産運用ビジネス(PCAM)の従業員数は、2009 年の 3 万 611 人から 72 % 増加し、5 万 2,584 人となった。この主な要因としては、2 万 361 人の 従業員を擁する独ポストバンクを初めて連結対象としたことが挙げられる。また、サル・ オッペンハイム・グループの買収によって、さらに 3,675 人増加した。 50 特に、インド、フィリピン、英国、米国で設置しているサービスセンターを拡充したこ とで、約 1,200 人の増員となった。その他のインフラストラクチャー部門の従業員数は、 前年とほぼ同水準であった。 人員構成の変化 0 06 07 08 09 10 * 常勤相当 * このうち、独ポストバンクの従業員は 2 万 400 人。 当行の地域別人員構成は、買収の影響で大きく変化した。グループ全体に占める 2010 年 のドイツ国内の従業員数の割合は、前年の 35.5 % から上昇して 48.3 % になった。 次世代を担う人材の確保は、引き続き当行の優先課題の一つである。2010 年には 634 人 の研修生を受け入れ、年末時点の研修生の総数は 1,437 人となった(独ポストバンクを 除く) 。また同年中に、721 人の大卒社員を採用した(独ポストバンクを除く) 。当行は、 長年にわたり、高い潜在能力を持つ学生をインターンとして受け入れ、講義やワーク ショップを通じて主要ビジネス分野における実務的な知識の習得を目的とした短期能力 開発プログラムを提供している。2010 年には、世界中から 600 人を超える学生がこの夏季 インターンシップ・プログラムに参加した。 選ばれる雇用主として 優秀な人材を発掘、雇用、維持していくことは、当行の重点項目の一つである。2010 年 には、潜在的な候補者を直接の対象とする「枠組みに捉われない発想力(Agile minds) 」 と題したキャンペーンを展開した。当行は、定期的に調査や比較分析を実施して、優秀 な人材が当行に対してどの程度関心を持っているかを把握するよう努めている。 当行では、従業員ができるだけ長く意欲的な職業人生を送れるよう支援をすることが、 当行の利益にもつながると考え、健康診断やフレックスタイム制を導入している。これ らの取組みは好評を得ており、ドイツ国内では、これまでに 40 歳以上の全従業員を対象 とした健康診断プログラムに 8,700 人余りが参加した。さらに、2010 年より、ドイツ国内 のすべての職場を禁煙としている。2010 年、当行は、家庭に配慮した人事方針が評価され、 ドイツの慈善団体「ヘルティー財団」より、 2 回目となる「キャリア・アンド・ファミリー」 の認定を受けた。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 従業員 2010 年から、当行のオーストラリア、中国、日本、シンガポール、スリランカの従業員は、 さまざまな勤務形態を選択できるようになった。今後、同様の制度をアジア太平洋地域 全体に広げていく予定である。このことは、成長性が高く優秀な人材の獲得が難しい市場 において、当行の競争力の向上につながるものと考えている。 図表 02 – 18 従業員コミットメント指数 * 指数の最高値は 100 アジアでは、女性従業員の出産・育児休暇の取得と職場への復帰を促す、マタニティー・ コーチングの新しい取組みを導入した。 80 77 74 54 74 71 68 60 06 07 08 09 101 * 年次。当行従業員に対する独立機関による 匿名調査。 1 独ポストバンクを除く。 2010 年の従業員コミットメント指数は 74 ポイントと高水準を保った。この指数は、過去 10 年以上にわたり、グループ全体の従業員に対して独立機関により実施されてきた匿名 調査に基づくもので、従業員の当行への帰属意識を示している。今回の結果は、調査開始 以来 2 番目に高い数字であり、従業員が引き続き当行と一体感を持ち、業績に貢献しよ うとする意欲を持っていることを示している。当該指数は、2009 年に記録した過去最高 の 77 ポイントをわずかに下回ったが、これは主に金融危機時の緊張感から解放され、平常 時に戻ったことを示している。(図表 02-18) 新たな規制に適応した報酬体系 当行は 2010 年、特に欧州において、報酬慣行や規制上の要請に関する継続議論に常に 参加した。世界各国の規制当局や政府によって実施された諸施策により、金融業界の報酬 体系には新たな枠組み、あるいは既存の枠組みをより強化した方策が導入された。 当行は、 金融安定理事会(FSB)による「健全な報酬慣行に関する原則」に自主的に従い、 またドイツ連邦金融サービス監督庁(BaFin)が 2009 年 12 月後半に発行した通達を受け、 2010 年 3 月に、報酬に関する個別報告書を公表した。グローバルな金融機関のなかでもこう した報告書を公表しているところは数少ない。当行の報酬を見直す考え方が記載された 当該報告書には、以前は公表されていなかった情報も含まれており、2010 年 6 月に欧州 銀行監督者委員会(CEBS)から模範例として評価された。 2010 年 10 月 13 日、ドイツでは金融機関の報酬に関する規制が施行された。これは、欧州にお ける新資本要求指令の第二次改正(CRD3)を採り入れたものである。2010 年 12 月には、 欧州銀行監督者委員会(CEBS)がこれらの規制に関するガイドラインを公表した。2011 年 3 月、 当行は、2010 年の年次報告書と共に、2 回目の報酬に関する報告書を公表した(www.deutschebank.de / ir / en) 。当該報告書には、当行の現在の報酬体系が、2011 年の年初から適用の諸基準 を十分に満たしていることが記載されており、報告書の作成は当行の報酬の透明性の向上に も役立っている。欧州金融機関の報酬に関する規制は厳しさを増す一方、欧州以外ではこの 問題の進展がほとんどみられない国も存在する。報酬に関するグローバルな規制の実施は、 緊急性を増してきていると言える。 従業員向けグローバル・シェア・パーチェス・プラン 2010 年 4 月 1 日、当行は新たなグローバル・シェア・パーチェス・プラン(自社株購入プラン) を導入した。これにより、一定の要件を満たす従業員は、毎月 25 ユーロから 125 ユーロ までの範囲の一定金額の支払いと引換えに、当行株式を 1 年間にわたって購入することが可能 となった。さらに、その後 1 年間退職しないことを条件として、購入した株式数に応じて 最大 10 株まで、当行から無償で株式が交付される。2010 年末時点で、当該プランを導入 している国は 27 カ国となっている。 55 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 従業員 図表 02 – 19 能力の発掘と開発 育児休暇からの職場復帰 当行は、従業員の能力を発掘し開発するために、すべてのビジネスや部門で「タレント・ レビュー」調査を実施している。特に 2010 年は、マネジャーを対象に、優秀な人材の 発掘、支援および育成に向けての研修に注力した。 (単位:%、ドイツ国内のドイツ銀行グループ) 81 80 74 77 79 79 多様性を重視する企業文化 40 0 06 07 08 09 101 1 当行は、2010 年も引き続き研修カリキュラムを拡充した。そのなかには、リーダーシッ プとマネジメント、ビジネスとファイナンス、チームおよび対人関係におけるスキルと いったテーマの研修も含まれていた。特に有望な従業員については、当行は個別のコー チングと研修の機会を提供している。 多様性は、当行の企業文化の根幹であると同時に、グローバルな金融機関として成功を収め る上でも重要な役割を果たしている。当行の従業員が、国籍や宗教上の信念、人種、個人的 指向、性別、年齢、民族に関わりなく、持てる潜在能力を存分に発揮できてはじめて、当行 は自ら掲げた約束を遂行することができる。また、 多様な文化的背景を持つ顧客層に対して、 各々のニーズに適した革新的なサービスを提供する上で、社会的・文化的背景の異なる 従業員の存在は強みとなっている。当行は、包容力のある開放された環境のなかで、異な る視点や背景を持つ従業員を擁することは、 業務の質の向上につながるものと確信している。 独ポストバンクを除く。 当行は 2010 年、多様性をテーマに、誰もが無意識のうちに持ち得る偏見を認識するため のマネジャー研修を実施した。2009 年に世界各地域の CEO の指揮のもとで設置された 多様性委員会は、その効果を発揮し、拡充された。 当行の福利厚生や、仕事と家庭の両立を支援する柔軟な勤務形態は高く評価され、さま ざまな賞を受賞した。米国では、 働く母親のための企業上位 100 社に選ばれ、 デイヴ・トー マス・アダプション財団から賞を授与された。英国においては、女性の産休前・産休中や 職場復帰時の支援体制が特に評価され、ワーキング・ファミリーズより、金融サービス セクターで最も優れた雇用主に選ばれた。また、インターナショナル・ゲイ・アンド・ レズビアン・チェンバー・オブ・コマース(IGLCC)による LBGT(同性愛者、両性愛者、 性同一性障害者など)に配慮した企業上位 25 社の一つにも選ばれた。さらに、ザ・ヒューマン・ ライツ・キャンペーンが設定する企業平等指標(Corporate Equality Index)では、満点 (100 %)を獲得した。 2010 年、当行は性別の多様性を推進するために、ドイツ銀行全体で女性従業員の専門能力 の開発と上級管理職への登用を推進することを目標の一つに掲げた。これは、ヨゼフ・ アッカーマン取締役会会長の提唱のもとで 2009 年に創設された ATLAS(Accomplished Top Leaders Advancement Strategy)プログラムが目指すところでもある。2010 年に は初めて、ATLAS に参加したメンバーの 30 % がその後新たな職責または重責を担う地位 についたとする当該プログラムの成果を報告した。 当行は 2010 年に、 「女性グローバル・リーダー」プログラムの一環として、パリ近郊の INSEAD ビジネススクールにおいて、女性ディレクターの中から選抜した 34 名を対象に 1 週間のセミナーを初めて実施し、大きな成功を収めた。さらに、上級管理職への女性 の登用を目指し、英国と米国に続き、ドイツにおいても女性管理職から構成されるアド バイザリー・ボードを設置し、さまざまな活動を展開している。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 社会 56 社会 社会資本の創出 図表 02 – 20 グローバルな社会的責任への取組み: 活動分野別の投資比率 2010 年の総拠出額 9,810 万ユーロ 4% 企業ボランティア 22 % 芸術・音楽 38 % 社会投資 2010 年 11 月、ドイツ企業 21 社により「責任ある企業としての行動規範」が発表され たが、当行はこの主要な提唱メンバーであり、最初の署名者となっている。当行は、この 行動規範に則り、社会的責任をこれまで以上に業務プロセスに組み入れていくと同時に、 すべての意思決定においてこの行動規範を考慮に入れていく所存である。 当行は、企業の社会的責任(CSR)とは、単に資金を提供することにとどまらないもの と考えている。すなわち、当行は社会資本を創出していくことを目指しており、それに より当行自身も恩恵を受けることにつながる。当行とその従業員は 2010 年に、ドイツ および海外において、さまざまな社会的プロジェクトに参加した。当行は同年、従業員 によるボランティア活動に加え、教育・社会・芸術・音楽分野のプロジェクトに過去最 高となる 1 億ユーロ近くを拠出した。(図表 02-20) 持続性:実現に向けて 36 % 教育 当行は、かねてより持続的発展という一般原則の実現に取り組んでおり、既に広く受容 されている環境、社会、企業統治における持続性を考慮に入れて行動している。2013 年 以降の当行業務における二酸化炭素排出量中立化の目標に向けて、当行は 2010 年の年間 排出量削減目標を達成した。 3 年にわたる改築を終えたフランクフルトの当行本社ビルは、 世界で最も環境に配慮した高層ビルの一つとなった。当行は、取引の意思決定プロセス において二酸化炭素排出の影響を考慮するため、リスク管理に関する社内ガイドライン に「グリーン・フィルター」 (環境影響チェック)の項目を追加した。当行の持続性に関 する取組みは、国連グローバル・コンパクトに長年加盟していることや、国際連合に よる責任投資原則(PRI)に署名していることなどでも示されている。 ドイツ銀行のアルフレート・ヘールハウゼン・ソサエティーが主催者の一つとなった 2010 年グローバル・メトロ・サミットでは、大都市における安定的、持続的な経済の あり方に焦点が当てられた。当該サミットは、 2005 年に設立された「都市の時代(Urban Age) 」のネットワークを拡大し、各国の専門家が世界の大都市の直面する課題について 議論する場を提供している。 教育:才能の伸長 現在でも、個人の教育水準は、多くの場合本人の才能ではなく、その社会的背景によって 決定されている。当行は、誰もがその才能を伸ばすために平等で公正な機会が与えられる よう、世界各地で積極的な取組みを行っている。2010 年には、社会的に恵まれない環境 にある才能豊かな子どもたちに個別の支援を行う「フェアー・タレント(FairTalent) 」 の取組みを開始した。当行の従業員も、子どもたちのメンター(助言者)役として参加 している。 また当行は、産学交流を促進するため、ミラノのボッコーニ大学とルクセンブルク・スクー ル・オブ・ファイナンスに金融学講座を開設した。さらに、フランクフルトのゲーテ大学 ハウス・オブ・ファイナンスに新たな教授職を設けたほか、ベルリンのヨーロピアン・ スクール・オブ・マネジメント・アンド・テクノロジーに対する資金支援を大幅に拡大 した。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 02 − ステークホルダー 社会 図表 02 – 21 社会投資:機会の創出 57 当行は 2010 年、革新的な投資ファンドである「アイ・ファンド(Eye Fund) 」の設定を成功 裡に完了した。当該ファンドの資産総額は 1,450 万米ドルにのぼり、世界の貧困地域の眼科 治療施設を拡充するための初期融資に充てられる。また、米国では、経済的に恵まれない 地域の社会的インフラ整備を支援するための投融資を実施した。この取組みによって、 米連邦準備制度理事会から 19 回連続となる「アウトスタンディング(優秀) 」の評価を得た。 SAM 持続性評価: 世界平均をさらに上回る (単位:ベーシス・ポイント) 35 30 2010 年は、ハイチやチリにおける大地震、パキスタンにおける大洪水など、多くの自然災害 に見舞われた年となった。当行、ドイツ銀行基金、当行の顧客および従業員は、こうした被災 者に対して、総額 500 万ユーロを超える貢献を行った。当行従業員は、可能な限り各地域に おける救援活動に参加し、当行のモットーであるお金を超える価値の提供を実践した。 26 25 芸術・音楽:創造性の支援 21 21 19 15 改築を終えたフランクフルトの本社ビル内にあるドイツ銀行コレクション(Deutsche Bank Collection)は、展示が一新され、より国際色が豊かになった。世界 40 カ国を超 える 100 人のアーティストによる作品は 1,500 点にものぼり、見る者をグローバルな現代 アートの世界に誘う。世界 900 カ所を超えるオフィスにアートを展示する「職場に アートを」の活動が評価され、当行は 2010 年アート&ワーク賞を受賞した。 06 07 08 09 101 1 2010 年のドイツ銀行:100 ポイント中 80 ポイント 。 2010 年の世界平均:100 ポイント中 50 ポイント 。 出典:SAM リサーチ・インク 当行は「アーティスト・オブ・ザ・イヤー(Artist of the Year) 」を設置し、その初代受賞 者にはケニア出身でニューヨークを拠点に活動するアーティストであるワンゲチ・ムトゥ (Wangechi Mutu)が選出された。2010 年にはムトゥの作品を単独で展示する展覧会が、 ベルリンのドイチェ・グッゲンハイム美術館で開催された。当行は、この賞を通じて、世 界中の有望な若手アーティストを支援していく考えである。 当行は、長年にわたり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との専属パートナーシップ 契約を通じて、同管弦楽団との強い絆を築いてきた。2010 年にベルリン・フィルは初 のオーストラリア・ツアーを実施し、そこでも「Zukunft@BPhil(未来@ベルリン・フィル) 」 のプロジェクトを実施した。 「Zukunft@BPhil」のプログラムは、子どもや若者に創造 性に富んだ新たな経験の機会を提供し、ワークショップやダンス・プロジェクトを 通じてクラシック音楽に触れる機会を提供することを目指している。2002 年以来、世界中 で 1 万 8,000 人を超える子どもや若者がこのプログラムに参加した。 企業ボランティア:コミットメント 2010 年には、世界中で 1 万 7,000 人を超える当行従業員が、各地域で実施された 3,000 を 上回るプロジェクトに協力した。当行は、このような従業員の取組みに対し、有給休暇 の付与や慈善団体への寄付などを通じて、支援を行っている。 当行のシニア・マネジャーが、学校管理者が抱えるマネジメント上の課題について助言 する「リーダーシップのパートナー(Partners in Leadership) 」プログラムは、 「欧州 従業員ボランティア・アワード(ドイツ) (European Employee Volunteering Award – Germany)」を受賞した。英国では、当行は、 「2010 年チャリティー・オブ・ザ・イヤー (Charity of the Year 2010) 」の一環として、 「アフリキッズ(AfriKids) 」プログラムに対 して、100 万ポンドの募金を集めた。(当行の社会的責任活動の詳細は、2010 年社会的責任報告書 (インターネット版は www.db.com/csr)に記載されている。 ) ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー モーリス・ロビンソン フランクフルト ドイツ銀行はネットワークを重視する企業 文化を有しており、グローバルで複雑な 組織においても、従業員が緊密に連携して 業務を遂行することを可能にしています。 顧客に、迅速で、効率的な解決策を提供 するためには、部門を超えたアイデアの 共有が何よりも重要です。 モーリス・ロビンソン レジストラー・サービシズ GmbH フランクフルト グローバル・トランザクション・バンキング 58 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 59 03 連結財務諸表 / 抜粋 損益計算書 – 61 貸借対照表 – 62 グループ 5 年間の記録 – 63 注記その他詳細は、2010 年ファイナンシャル・リポートに記載されている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 61 03 − 連結財務諸表 / 抜粋 損益計算書 損益計算書 損益計算書 単位:百万ユーロ 2010年度 2009年度 2008年度 利息および類似収益 28,779 26,953 54,549 利息費用 13,196 14,494 42,096 純利息収益 15,583 12,459 12,453 信用リスク引当金繰入額 1,274 2,630 1,076 信用リスク引当金繰入額控除後の純利息収益 14,309 9,829 11,377 手数料およびフィー収益 10,669 8,911 9,741 3,354 7,109 (9,992) 666 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 / 負債に係る純利益(損失) 売却可能金融資産に係る純利益(損失) 201 (403) (2,004) 59 46 764 (183) 699 利息以外の収益合計 12,984 15,493 1,160 給与手当 12,671 11,310 9,606 一般管理費 10,133 8,402 8,339 485 542 (252) 29 (134) 585 – – – 利息以外の費用合計 23,318 20,120 18,278 (5,741) 持分法適用投資に係る純利益(損失) その他の収益(損失) 保険業務に係る費用 無形資産の減損 再構築費用 税引前利益(損失) 3,975 5,202 法人所得税費用(ベネフィット) 1,645 244 (1,845) 当期純利益(損失) 2,330 4,958 (3,896) 非支配株主に帰属する純利益(損失) ドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失) 20 (15) (61) 2,310 4,973 (3,835) 普通株式1株当たり利益 1 単位:ユーロ 2010年度 2009年度 基本的 3.07 7.21 2008年度 (6.87) 希薄化後 2 2.92 6.94 (6.87) 株式数 単位:百万株 1 基本的1株当たり利益計算上の分母−加重平均流通株式数 753.3 689.4 558.5 希薄化後1株当たり利益計算上の分母−転換想定後の修正加重平均株式数 790.8 716.7 558.6 1 2 基本的および希薄化後の平均流通株式数は、増資に関係して割り当てられた予約権の無償交付の要素の影響を反映するために、2010 年 10 月 6 日より前の期間について修正されている。 想定される転換による分子への影響が含まれている。詳細は注記 11「普通株式1株当たり利益」を参照のこと。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 62 03 − 連結財務諸表 / 抜粋 貸借対照表 貸借対照表 資産 単位:百万ユーロ 現金および銀行預け金 利付銀行預け金 中央銀行ファンド貸出金および売戻条件付買入有価証券(逆レポ) 借入有価証券 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 トレーディング資産 デリバティブ金融商品のプラスの時価 純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定された金融資産 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産合計 このうち、2010 年および 2009 年 12 月 31 日現在でそれぞれ 910 億ユーロおよび 790 億ユーロは、 債権者に担保として差入れたもので、売却または再担保差入れが可能 売却可能金融資産 このうち、2010 年および 2009 年 12 月 31 日現在でそれぞれ 39 億ユーロおよび 5 億ユーロは、 債権者に担保として差入れたもので、売却または再担保差入れが可能 持分法適用投資 貸出金 土地建物および設備 のれんおよびその他の無形資産 その他の資産 当期税金資産 繰延税金資産 資産合計 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 17,157 92,377 20,365 28,916 9,346 47,233 6,820 43,509 271,291 657,780 171,926 234,910 596,410 134,000 1,100,997 965,320 54,266 2,608 407,729 5,802 15,594 149,229 2,249 8,341 1,905,630 18,819 7,788 258,105 2,777 10,169 121,538 2,090 7,150 1,500,664 負債および資本 単位:百万ユーロ 預金 中央銀行ファンド借入金および買戻条件付売却有価証券(レポ) 貸付有価証券 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債 トレーディング負債 デリバティブ金融商品のマイナスの時価 純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定された金融負債 投資契約負債 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債合計 その他の短期借入金 その他の負債 引当金 当期税金負債 繰延税金負債 長期債務 信託優先証券 自己普通株式購入義務 負債合計 株主持分 普通株式、無額面、名目価値 2.56 ユーロ 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 533,984 27,922 3,276 344,220 45,495 5,564 68,859 64,501 647,171 130,154 7,898 854,082 64,990 181,827 2,204 2,736 2,307 169,660 12,250 – 1,855,238 576,973 73,522 7,278 722,274 42,897 154,281 1,307 2,141 2,157 131,782 10,577 – 1,462,695 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 2,380 1,589 資本剰余金 23,515 14,830 利益剰余金 25,999 24,056 (450) (48) 自己普通株式、取得原価 自己普通株式購入義務振替額 – – その他の包括利益累計額、税引後 (2,601) (3,780) 株主持分合計 48,843 36,647 非支配株主持分 資本合計 負債および資本合計 1,549 1,322 50,392 37,969 1,905,630 1,500,664 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 63 03 − 連結財務諸表 / 抜粋 グループ5年間の記録 グループ 5 年間の記録 貸借対照表 単位:百万ユーロ 資産合計 貸出金 負債合計 株主持分合計 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 2008年12月31日現在 2007年12月31日現在 2006年12月31日現在 1,905,630 1,500,664 2,202,423 1,925,003 407,729 258,105 269,281 198,892 1,520,580 178,524 1,855,238 1,462,695 2,170,509 1,885,688 1,486,694 33,169 48,843 36,647 30,703 37,893 非支配株主持分 1,549 1,322 1,211 1,422 717 Tier 1 自己資本 42,565 34,406 31,094 28,320 23,539 資本合計 48,688 37,929 37,396 38,049 34,309 2010年度 2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 15,583 12,459 12,453 8,849 7,008 信用リスク引当金繰入額 1,274 2,630 1,076 612 298 手数料およびフィー収益 10,669 8,911 9,741 12,282 11,192 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 / 負債に係る純利益(損失) 3,354 7,109 (9,992) 7,175 8,892 その他の利息以外の収益(損失) (1,039) (527) 1,411 2,523 1,476 利息以外の収益合計 12,984 15,493 1,160 21,980 21,560 給与手当 12,671 11,310 9,606 13,122 12,498 一般管理費 10,133 8,402 8,339 8,038 7,143 485 542 (252) 193 67 29 (134) 585 128 31 損益計算書 単位:百万ユーロ 純利息収益 保険業務に係る費用 無形資産の減損 再構築費用 – – – (13) 192 利息以外の費用合計 23,318 20,120 18,278 21,468 19,931 8,339 税引前利益(損失) 3,975 5,202 (5,741) 8,749 法人所得税費用(ベネフィット) 1,645 244 (1,845) 2,239 2,260 当期純利益(損失) 2,330 4,958 (3,896) 6,510 6,079 非支配株主に帰属する純利益(損失) ドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失) 主要数値 20 (15) (61) 36 9 2,310 4,973 (3,835) 6,474 6,070 2010年度 2009年度 2007年度 2006年度 1 基本的 1 株当たり利益(損失) € 3.07 € 7.21 (€ 6.87) € 12.29 € 11.66 1 希薄化後 1 株当たり利益(損失) € 2.92 € 6.94 (€ 6.87) € 11.80 € 10.44 期中 1 株当たり支払配当金 € 0.75 € 0.50 € 4.50 € 4.00 € 2.50 平均株主持分合計利益率(税引後) 5.5 % 14.6 % (11.1) % 17.9 % 20.3 % 9.5 % 15.3 % (16.5) % 24.1 % 27.9 % 81.6 % 72.0 % 134.3 % 69.6 % 69.8 % 税引前平均株主持分合計利益率 費用 / 収益比率 コア Tier 1 自己資本比率 2 Tier 1 自己資本比率 2 総自己資本比率 2 従業員数(常勤相当) 1 2 2008年度 8.7 % 8.7 % 7.0 % 6.9 % 6.9 % 12.3 % 12.6 % 10.1 % 8.6 % 8.5 % 14.1 % 13.9 % 12.2 % 11.6 % 12.5 % 102,062 77,053 80,456 78,291 68,849 平均基本的普通株式数および希薄化後流通普通株式数は、2010 年 10 月 6 日より前の期間について調整されている。これは、増資に関連して割り当てられた予約権の無償交付の要素の影響を 反映したものである。 2008 年および 2009 年の比率は、ドイツ銀行法とソルベンシー規制( “Solvabilitätsverordnung” )に従っており、これは 2004 年にバーゼル銀行監督委員会が策定したバーゼルⅡによる新 しい自己資本のフレームワークをドイツ法に適用したものである。一方、2006 年および 2007 年の比率は、バーゼルⅠのフレームワークに基づいており、比較対象外となっている。自己 資本比率は、対象となる自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。Tier 1 自己資本は、ドイツ銀行法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー チェヌパティ・ヴィジャ ヴィジャヤワーダ 64 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 私は、 女性や幼い少女たちに平等な機会が 与えられる環境を築くために、これまで 絶えまない努力を続けてきました。ドイツ 銀行は、不安定な生活を強いられている 子どもたちを守る VMM の活動を 6 年間 にわたり支援してくれました。その責任 ある行動のおかげで、今や、多くの子ども たちの生活環境が目に見えて改善して います。 チェヌパティ・ヴィジャ ヴァサヴャ・マヒラ・マンダリ(VMM) ヴィジャヤワーダ 65 04 追加情報 用語解説 – 67 連絡先 / 刊行物 – 71 財務カレンダー – 72 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 04 – 追加情報 用語解説 67 用語解説 アルファ(Alpha) ベンチマークを上回る投資収益。 オルタナティブ資産 / 投資 プライベート・エクイティ (別記参照) 、ベン チャー・キャピタル、メザニン・キャピタル への直接投資、不動産キャピタル投資、レバ レッジド・バイアウト・ファンド、ベンチャー・ キャピタル・ファンド、ヘッジファンドへの 投資(別記参照) 。 米国預託証券(ADRs) 米国銀行が発行し、米国銀行に預託した非 米国株式を表す譲渡可能預かり証書。手続 きの簡略化やコスト削減、米国証券市場に おける売買の増加につながっている。 資産担保証券(ABS) 特定タイプの支払債権を取引可能な形態に した証券。特定の金融資産のリパッケージ により証券化(別記参照)される。 アセット・ファイナンス & リーシング 高い価値のある、耐久資産を裏付けとした 革新的なファイナンスの組成を担う。 平均アクティブ資本 競合他社との比較を容易にするために、当行 ではさまざまな比率にアクティブ資本を用いて いる。但し、アクティブ資本は国際財務報告 基準(別記参照)による実績尺度ではない ため、算定方法の違いを考慮せずに他社と の比較を行うべきではない。平均株主持分に 調整を加える項目としては、売却可能資産に 係る平均未実現純利益、キャッシュ・フロー・ ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される 税効果考慮後)のほか、四半期ごとに発生 し、年次株主総会の承認により 1 年に一度 支払われる平均配当がある。 バーゼルⅡ バーゼル銀行監督委員会が従来のバーゼルⅠ に代わり導入した新たな自己資本の枠組み で、特に規制リスクポジションの計算を 修正した。 キャッシュ・マネジメント 事業法人や金融機関が、財務活動の最適化 を図るために行う、ドル、ユーロ、その他 通貨建ての流動資産管理。 国際決済銀行(本拠はバーゼル) 。 決済 支払指図を遂行する送金、照合および一部 確認のプロセス。 ブローカー / ブローカレッジ ブローカーは、銀行や個人投資家から証券 売買の注文を受け、顧客に代わって注文を 執行することで、通常、手数料を受け取る。 債務担保証券(CDOs) 債券、ローン、デリバティブ(別記参照) などの資産ポートフォリオを裏付けとした 投資商品。 バイアウト 企業の全体もしくは一部の買収、あるいは 特定事業の買収。 商業用モーゲージ担保証券(CMBS) 商業用不動産ローンを担保とするモーゲージ 担保証券(MBS) (別記参照) 。 バーゼルⅡ自己資本 2004 年 の 新 し い バ ー ゼ ル 自 己 資 本 比 率 規制(金融機関を対象)に従った自己資本。 バーゼルⅡに従った資本構成は以下の通り。 – Tier 1 資本:主に株式資本、剰余金、信託 型優先証券(別記参照)の一部。 – Tier 2 資本:主に参加資本、累積優先株式、 長期劣後債、上場証券の未実現利益。 – Tier 3 資本:主に短期劣後債、Tier 2 資本 超過額。 Tier 2 資本は Tier 1 資本の 100%に限定され、 Tier 2 資 本 の 長 期 劣 後 債 は Tier 1 資 本 の 50%に限定される。 コンプライアンス 関連する法律 / 規制 / 社内規定を遵守し、 法規制上の違反や経済的損失、風評被害を 防ぐことを目的として採られる諸施策の総体。 BIS コーポレート・ファイナンス 法人顧客向け資本市場関連ビジネス、特に 個々の顧客ニーズに応じて革新的なアドバ イザリー・サービスを提供する金融ビジネス の一般的総称。 コリレーション 少なくとも 2 変数(例:資産)間の相互関係。 正は同方向への変化、負は反対方向への 変化を表す。しかし、コリレーションは原因 と結果の関係を表すものではない。資産 配分や、リスク分散もしくはリスクヘッジ の重要なツールとして利用される。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 04 – 追加情報 用語解説 費用 / 収益比率 一般的には、営業収益に対する営業費用の 割合を示し、企業のコスト効率を表す。 クレジット・デフォルト・スワップ 当事者の一方が一定期間、特定の金利を支払う 一方で、デフォルト(債務不履行)などの 信用リスクに係る事象が発生しない限り、 相手方は支払いを行わない当事者間の合意。 デフォルト発生時には、支払いが行われ、 スワップ(交換)は終了する。 クレジット・トレーディング ローン(貸付)やクレジット関連商品のトレー ディング。 カストディ 証券の保管・事務管理、 その他証券サービス。 デット・プロダクツ 単一もしくは複数の民間企業や公的機関に よる債務・債権などの売買可能商品。外国 為替やコモディティ契約を含む売買可能な 商品を広範に意味する。 デリバティブ 株式、債券、外国為替、指数など原取引の 価格、価格変動、価格予想によって価値が 変動する商品。スワップ、オプション、先物 (すべて別記参照)などを含む。 ダウ・ジョーンズ持続性指数(DJSI) 環境および社会的貢献を追求する企業によっ て構成されている指数。当行株式は指数 導入当初より、DJSI World および DJSI STOXX の構成銘柄となっている。 www.sustainability-index.com 1 株当たり利益(EPS) 国際財務報告基準(別記参照)に従った主 要数値で、平均普通株流通株式数に対する 純利益を表す。流通株ストック・オプション や未確定の繰り延べされた株式賞与、転換 社債、先渡契約の転換・行使によって株式 数の増加が見込まれる場合は、基本的 EPS に加えて、希薄化後 1 株当たり利益も報告 しなければならない。 株式資本市場(ECM) 主に、企業の IPO(株式新規公開)や新規 株式募集に関連した業務。公的機関の民営 化も含まれる。 ユーロ・コマーシャル・ペーパー・プログラム 発行体が柔軟に無担保短期債券を発行する ための資金調達プログラム。一定期間に 複数回の発行が可能である。 フェアー・バリュー(公正価値) 十分な判断能力を備えた、独立した両者間 で交換される資産や債務の価格。市場価格 と一致することが多い。 68 ファミリー・オフィス 複雑で多額の資産を持つ富裕層(一族)に 対して提供する金融サービス。完全に独立 した立場から、個々の資産の最適な管理と 包括的な調整を行い、顧客の利益を守る。 ファイナンシャル・サプライチェーン・ マネジメント サプライチェーン・マネジメントにおける 支払いの最適化。 先物(フューチャーズ) 数量、 質、 引渡期日が標準化された先物契約。 マネー・マーケットや資本市場、貴金属・ 為替市場において、将来の一定期日に、あら かじめ合意された価格で取引が行われる。 契約の履行に関しては、株価指数先物の ケースにみられるように、 (証券の引渡しで はなく)現金による決済が規定されている 場合が多い。 のれん 企業の買い手が、対象企業の将来にわたる 利益を考慮に入れ、資産・負債価値のフェ アー・バリュー(別記参照)を超過して 支払う金額。 ヘッジファンド 空売りやレバレッジ、デリバティブ(別記 参照)など、ミューチュアル・ファンドが 規制上投資できない投資戦略を駆使した ファンドで、一般的に機関投資家や個人 富裕層を顧客とする。ヘッジファンドの 投資リターンは伝統的投資によるリターンと 相関しないケースが多い。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 04 – 追加情報 用語解説 国際財務報告基準(IFRS) グローバルに比較可能で透明性の高い会計 報告やディスクロージャーの確立を目指して、 国際会計基準審議会(IASB)が設定した 財務諸表に関する報告基準。主に投資家が 経済的な意思決定を行う際に役立つ情報 提供を主目的とする。 マネジメント・バイアウト 経営陣による企業の発行済み株式全体の買収 を意味し、買収により上場が廃止される。 インベストメント・バンキング (投資銀行業務) 一般に資本市場関連ビジネスを指す。主に、 証券の発行・売買、デリバティブ(別記 参照) 、金利・為替管理、コーポレート・ ファイナンス(別記参照) 、M&A アドバイ ザリー、ストラクチャード・ファイナンス、 プライベート・エクイティ(別記参照)など のビジネスを行う。 モーゲージ担保証券(MBS) モーゲージ・ローン(不動産融資)を担保 とする証券。このサブ・カテゴリーとして、 住宅ローン担保証券(RMBS)や商業用モー ゲージ担保証券(CMBS) (いずれも別記参照) がある。 インベスター・リレーションズ 企業と現在および将来の(潜在的)資本提供 者を結ぶ、体系的・継続的な双方向の財務 コミュニケーション。主な企業活動や業績、 事業戦略、経営に関する情報を提供する。 活動の目的の一つは、株式が市場で適正 な水準に評価されることにある。 レバレッジド・バイアウト 企業の全部もしくは一部、または特定事業 をデット・ファイナンス(借入金)によって 買収すること。買収した企業の将来収益を、 債務に係る金利および元本の返済に充てる。 メザニン 株式ならびに債券の混合による柔軟な資金 調達形態。 オプション 証券や外国為替などの特定資産を将来の 特定期日(あるいは期日前)に、あらかじめ 決められた価格で、相手方(オプション 売り手)から買う権利(コール・オプション) 、 あるいは相手方(オプション買い手)に売る 権利(プット・オプション) 。 OTC デリバティブ 証券取引所ではなく市場参加者間(店頭) において直接相対で取引される金融派生 商品(デリバティブ、別記参照) 。 ポートフォリオ 資産(証券、ローン、株式投資、不動産など) の一部あるいは全体を意味し、リスク分散 を主な目的に組成される。 69 ポートフォリオ管理 顧客向けの証券ポートフォリオ (別記参照) の 運用ならびに管理。ポートフォリオの継続 的な見直しや顧客の合意のもとで売買を 実行することもある。 税引前平均アクティブ資本利益率 当行株主への税引前利益(年率) 。少数持分 を除いた税引前利益の平均アクティブ資本 (別記参照)に対する比率。 プライム・サービス / ブローカレッジ 機関投資家の保有資産に係る決済(別記 参照) 、清算、カストディ(別記参照) 、報告、 資金調達を含む一連のサービス。 プライベート・エクイティ 未公開株式への投資。ベンチャー・キャピ タルやバイアウト・ファンドなどが主な例。 クオンツ投資 株式、債券、ヘッジファンド(別記参照) のポートフォリオ(別記参照) 。ポートフォ リオの運用は、基本的な投資原則のもと、 体系的・規則的に行われ、投資決定は、 定量的(クオンツ)手法を駆使して大量の データを処理し決定する。 格付け 社 外 格 付: 発 行 体 の 信 用 状 態 と 債 券 の 標準化された評価を意味する。専門の格付 け会社が実施。 社 内 格 付: 債 務 者 に 関 連 し た あ ら ゆ る エクスポージャーの詳細なリスク査定を意味 する。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 04 – 追加情報 用語解説 記名株式 特定の者の氏名により登録された株式。株式 会社法の規定により、登録者の個人情報や 所有株式数は株式名簿に記録される。株式 名簿に記載された者だけが当該企業の株主 とみなされ、例えば株主総会における権利 など、あらゆる権利を行使できる。 レポ(買戻条件付取引) 売却した証券の買戻しの合意(資産の所有 権は売り手に留保される買戻契約) 。買い手 の立場からはリバース・レポとなる。 住宅ローン担保証券(RMBS) 住宅ローンを担保とするモーゲージ担保証券 (別記参照) 。 セールス・リースバック 不動産などの資産を売却すると同時に、期間 を限定してリースバック(貸借契約を結ぶ) する取引。 サーべンス・オクスレー法(SOX) 企業・会計不祥事の発生を受け、コーポレート・ ガバナンス(企業統治)の強化や投資家から の信頼回復を目的として、2002 年に成立した 米国における資本市場法。取締役会の責任の 拡大から米国株式市場の上場企業を対象とした 刑罰に至るまで、幅広い規制の新設・強化を 行った。 証券化 株式や債券などの証券に具現される権利。 ローンやさまざまな債権を、債券やコマー シャル・ペーパーなどの証券を発行すること により転化することを意味することが多い。 株主価値 経営・事業戦略上の意思決定を下す際に、 企業価値の着実な増大に重きを置く経営 概念。資本コストを上回るリターンだけが 株主に付加価値を創出する、という原則に 立っている。 シャリア適格 イスラム法を遵守していること。 SPAC(特別目的買収会社) 既存企業の買収の実行を目的として、資金 調達を行う公開バイアウト企業。 サブプライム 米国における高リスクの不動産ローン。 持続性(サステイナビリティ) 将来に備えつつ、生活・社会基盤を持続的 に発展させることを目指した、経済、生態 環境および社会的責任の相互作用を意味 する。 スワップ ある支払いフローを他の支払いフローと交換 することを意味する。金利スワップでは、同一 通貨の金利支払いを異なる条件(固定、変動 金利など)に交換すること。為替スワップ では、異なる通貨間で金利支払いおよび元本 を交換することを指す。 70 信託型優先証券 ハイブリッド資本の一種で、利益に関連した 利払いを特徴とする。金融監督規制のもと では、損失時に利払いが累積されない(非累積 信託型優先証券) 場合や満期の記載がない時、 投資家のオプションにより償還されない時 に Tier 1 資本に組み入れられ、その他の場合 (例:累積信託型優先証券)には Tier 2 資本 に組み入れられる。 法人信託サービス 証券に関する幅広い管理サービス。例えば、 証券の保管(カストディ)や管理(トラス ティ) 、発行、元利支払い事務、米国預託証券 (ADRs、別記参照) の預託業務などがある。 U.S.GAAP (米国で一般に認められている会計原則) 財務会計基準審議会(FASB)および米国公認 会計士協会(AICPA)によって作成された米国 会計原則。このほかにも、米国証券取引委員 会(SEC)の提供する解釈や説明は、特に証券 取引所に上場している企業にとって意味を 持っている。国際財務報告基準と同じく、特に 投資家の意思決定において有益な情報を提供 することを主な目的としている。 ドイツ銀行 2010年アニュアル・レビュー 71 04 – 追加情報 連絡先 / 刊行物 連絡先 / 刊行物 ドイツ銀行 AG Taunusanlage 12 60262 Frankfurt am Main Germany 電話:+49 69 91 00 0 電子メール:[email protected] インベスター・リレーションズ 電話:+49 69 91 03 80 80 電子メール:[email protected] 撮影 Martin Joppen(フランクフルト) 02 頁 Andreas Pohlmann(ミュンヘン) 09 頁 Matthias Ziegler(ミュンヘン) 09、10、20/21、34/35、58/59、64/65 頁、 表紙 財務諸表に関する刊行物 ドイツ銀行グループ 2010 年年次報告書は、 2010 年アニュアル・レビューおよび 2010 年ファイナンシャル・リポートの 2 部によ り構成されています。 2010 年アニュアル・レビュー (ドイツ語、英語、日本語) 2010 年ファイナンシャル・リポート (ドイツ語、英語) 2010 年年次報告書および様式 20-F (英語) ドイツ銀行 AG 2010 年財務諸表および マネジメント・リポート (ドイツ語、英語) 諮問評議会委員リスト (ドイツ語) 2010 年社会的責任報告書 (2011 年 5 月以降、ドイツ語、英語) これらの刊行物をご要望の方は、 以下までご連絡ください。 電子メール – インターネット [email protected] www.deutsche-bank.com/10 ファックス +49 18 05 07 08 08 電話 +49 18 05 80 22 00 郵便 arvato logistics services Bestellservice Deutsche Bank Gottlieb-Daimler-Strasse 1 33428 Harsewinkel Germany オンライン 当行の財務諸表に関する刊行物はすべて www.deutsche-bank.com/10 からもご覧いただけます。 2010 年アニュアル・レビュー(日本語)は、 www.db.com/japan からダウンロードすることができます。 将来の事象に関する記述についての注意 本年次報告書には、将来の事象に関する記述が含まれて います。将来の事象に関する記述とは、歴史的事実 ではない記述であり、当行の考えや予想、その基礎 となる前提が含まれます。本報告書中の、当行の 意図、考え、予想または予測(およびその基礎となる 前提)の記述はいずれも、将来の事象に関する記述 です。これらの記述は、当行経営陣が現在入手可能な 予定、推定および計画に基づいています。従って、 将来の事象に関する記述は、あくまで当該記述が なされた日現在のものであって、当行はこれらの記述 に関して、新しい情報や将来生起した事象があって も、これを更新して公表する責任は負いません。 将来の事象に関する記述は、その性質上リスクおよび 不確実性を含みます。従って、幾つかの重要な要因が 作用して、現実の結果を、将来の事象に関する記述 に含まれる結果とは大きく異なるものにする可能性 があります。これらの要因には、ドイツ、欧州、米国 および当行がトレーディング収益の重要な部分を得て いるその他地域における金融市場の動向、借り手 または取引相手による将来の債務不履行、経営戦略の 実施、 リスク管理の方針、 手続きおよび方法への信頼性、 ならびに米国証券取引委員会(SEC)への情報開示 に関連するリスクなどが含まれます。このような要因 に つ い て は、SEC に 提 出 し た 当 行 の 2011 年 3 月 15 日付け年次報告書(様式 20-F)に、 「リスク・ファク ター」の表題のもとに詳しく記載されています。当該 報告書の写しは、請求により入手可能であり、また、 www.deutsche-bank.com/ir からダウンロードする ことができます。 気候中立化 本報告書は気候変動中立化に配慮して作成されてい ます。本報告書の制作・配布によって発生した温室 効果ガス排出量(二酸化炭素換算で 73t)は、質の高い 気候変動防止プロジェクトへの投資によって相殺 されています。 財務カレンダー 財務カレンダー 2011 年 2011 年 4 月 28 日 2011 年 3 月 31 日時点中間報告 2011 年 5 月 26 日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2011 年 5 月 27 日 配当金支払 2011 年 7 月 26 日 2011 年 6 月 30 日時点中間報告 2011 年 10 月 25 日 2011 年 9 月 30 日時点中間報告 2012 年 2012 年 2 月 2 日 2011 年決算発表(暫定) 2012 年 3 月 20 日 2011 年年次報告書および様式 20-F 2012 年 4 月 26 日 2012 年 3 月 31 日時点中間報告 2012 年 5 月 31 日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2012 年 6 月 1 日 配当金支払 2012 年 7 月 31 日 2012 年 6 月 30 日時点中間報告 2012 年 10 月 30 日 2012 年 9 月 30 日時点中間報告 基本情報 ドイツ銀行グループ 主要データ 基本的1株当たり利益 1 希薄化後1株当たり利益 1 1 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 1 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) ドイツ銀行株式 2010年度 2009年度 €3.07 €2.92 753 791 5.5% 9.5% 9.6% €52.38 81.6% 44.4% 37.3% €7.21 €6.94 689 717 14.6% 15.3% 15.1% €52.65 72.0% 40.5% 31.5% 2010年度 2009年度 28,567 1,274 23,318 3,975 2,330 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 2010年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 3 株価 安値 3 1株当たり配当金(2010年度については予定) (11.72)% 6.80% 800万株 €55.11 €35.93 €0.75 2010年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 4 DAX株価指数に占める比率 STOXX50株価指数に占める比率 フランクフルト・アム・マイン 929,499,640 919,062,360 €2,379,519,078.40 €363.4億 €39.10 5.99% 1.38 % ロンドン 有価証券識別コード 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 コアTier 1自己資本比率 6 Tier 1自己資本比率 7 支店数 内、ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内、ドイツ国内 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 1,906 48.8 8.7% 12.3% 1,501 36.6 8.7% 12.6% 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 3,083 2,087 102,062 49,265 1,964 961 77,053 27,321 ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514000 DE0005140008 DBKGn.DE ニューヨーク証券取引所 種類 通貨 記号 CINS ブルームバーグ グローバル・レジスタード・シェア U.S. $ DB D 18190898 DBK GR ニューヨーク 東京 1 Xetra の株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 比較のため、株価は 2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連した新株予約権発行の影響を反映したものである。 4 Xetra の終値。 2 ドバイ 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 Aa3 A+ AA– Aa1 A+ AA– 1 平均基本的 / 希薄化後流通株式数は、2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連して割り当てられた予約権の無償交付の要素の 影響を反映したものである。 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた 額に占める比率。 6 自己資本比率は、対象となる自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。ドイツ銀行 法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 7 Tier 1 自己資本比率は、Tier 1 自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。Tier 1 自己資本 比率は、ドイツ銀行法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 シンガポール 2 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 基本情報 ドイツ銀行グループ 主要データ 基本的1株当たり利益 1 希薄化後1株当たり利益 1 1 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 1 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) ドイツ銀行株式 2010年度 2009年度 €3.07 €2.92 753 791 5.5% 9.5% 9.6% €52.38 81.6% 44.4% 37.3% €7.21 €6.94 689 717 14.6% 15.3% 15.1% €52.65 72.0% 40.5% 31.5% 2010年度 2009年度 28,567 1,274 23,318 3,975 2,330 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 2010年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 3 株価 安値 3 1株当たり配当金(2010年度については予定) (11.72)% 6.80% 800万株 €55.11 €35.93 €0.75 2010年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 4 DAX株価指数に占める比率 STOXX50株価指数に占める比率 フランクフルト・アム・マイン 929,499,640 919,062,360 €2,379,519,078.40 €363.4億 €39.10 5.99% 1.38 % ロンドン 有価証券識別コード 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 コアTier 1自己資本比率 6 Tier 1自己資本比率 7 支店数 内、ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内、ドイツ国内 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 1,906 48.8 8.7% 12.3% 1,501 36.6 8.7% 12.6% 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 3,083 2,087 102,062 49,265 1,964 961 77,053 27,321 ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514000 DE0005140008 DBKGn.DE ニューヨーク証券取引所 種類 通貨 記号 CINS ブルームバーグ グローバル・レジスタード・シェア U.S. $ DB D 18190898 DBK GR ニューヨーク 東京 1 Xetra の株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 比較のため、株価は 2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連した新株予約権発行の影響を反映したものである。 4 Xetra の終値。 2 ドバイ 2010年12月31日現在 2009年12月31日現在 Aa3 A+ AA– Aa1 A+ AA– 1 平均基本的 / 希薄化後流通株式数は、2010 年 10 月 6 日より前の期間にわたって調整されている。これは、増資に関連して割り当てられた予約権の無償交付の要素の 影響を反映したものである。 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた 額に占める比率。 6 自己資本比率は、対象となる自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。ドイツ銀行 法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 7 Tier 1 自己資本比率は、Tier 1 自己資本を、クレジット / 市場 / オペレーショナルリスクに対するリスク・ウェイテッド・アセットに関連付けている。Tier 1 自己資本 比率は、ドイツ銀行法セクション 64h(3) における経過措置項目を除く。 シンガポール 2 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 ドイツ銀行は、 2010年に幾つかの点で大きな前進を遂げました。私たちは、 金融危機以前と比べて強固な地位をさらに確固たるものとしたと同時に、 収益と成長の両面でも自ら掲げた目標に向かって前進しています。 私たちは、これからも、投資を実行し、目標の実現に向け情熱を持って 取り組んでまいります。 不透明な状況のなかで結果を出す アイデンティティー 2010年 アニュアル・レビュー 今日のような不透明な時代にあっては、これまで以上に変化に対して敏感 かつ慎重に対応する一方で、チャンスを常に活かしていく姿勢が重要です。 顧客や株主、従業員、そして社会全般の利益のために、私たちは、まず 自らが成功を収めることが大切だと考えています。そうすることで、長 き に わたり、あらゆるステークホルダーにとって 価 値 のあるパートナー となり得るものと確信しています。それが、現在の不透明な時代だけでなく、 将来における私たちの指針にもつながっています。 Deutsche Bank ドイツ銀行 2010 年 アニュアル・レビュー 私たちの使命 ドイツ銀行グループは、 グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、 お客さま、 株主、 従業員、 そしてビジネスを展開するすべての地域 において、 持続的な価値を提供します。 不透明な状況のなかで結果を出す 私たちの約束 エクセレンス アイデアや提案、 業務の遂行 、 商品、 サービスなど、 あら ゆる面において、 ワンバンクとして持てる資源と能力を結集します。 最適な解決策の提供 お客さまの多様なニーズを理解し、 付加価値を提供する ことで、 信頼関係を構築します。 責任 将来を見据えた上で、 今 、 果たすべき責務を遂行します。透明性 を維持し、 リーダーシップを発揮します。 不透明な状況のなかで結果を出す 2010年は、経済と金融市場がグローバル規模で密接に結びついている ことを改めて認識した年となりました。また、世界経済の秩序の安定 化にとって深刻な脅威となり得る市場の混乱に直面したとき、その 対応力は個々に異なることも明らかになりました。 ドイツ銀行にとって、独立性の維持と厳格な規制は、表裏一体の関係 にあります。特に、大きな変化が起こっている時代にあっては、安定 は安全をもたらし、行動の余地を広げます。しかしながら、高い社会 的コストが、理想的なマクロ経済環境を損なうこともまた事実です。 昨年、私たちは、大きな変革が大きなチャンスを確実にもたらすこと を身をもって示すことができました。 ドイツ銀行グループは、自らを危機の勝者であるとは考えていません。 しかし、市場における存在感、迅速で責任ある行動、意欲ある多様な 経歴を持つ従業員のおかげで、以前にも増してその地位を大幅に強化する ことができました。私たちは、このことを誇りに思っています。 私たちのブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、 これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、 多様な 価値の創造につながるのです。 本年のテーマである「不透明な状況のなかで結果を出す」 について、私たちのステークホルダーと議論しました。 株主―パトリック・ラマン、ポートフォリオマネジャー、 ロベコ・インスティチューショナル・アセット・マネジ メント B.V.、ロッテルダム(20 / 21 頁) 。 顧客―エマ・クイン、ディーリング責任者(オースト ラリア / ニュージーランド) 、アライアンス・バーンス タイン、シドニー(34 / 35 頁) 。 従業員―モーリス・ロビンソン、レジストラ−・サービ シズ GmbH、フランクフルト(58 / 59 頁) 。 その他―チェヌパティ・ヴィジャ、ヴァサヴャ・マヒラ・ マンダリ(VMM) 、ヴィジャヤワーダ(64 / 65 頁) 。 (敬称略) ドイツ銀行 ドイツ銀行は、 2010年に幾つかの点で大きな前進を遂げました。私たちは、 金融危機以前と比べて強固な地位をさらに確固たるものとしたと同時に、 収益と成長の両面でも自ら掲げた目標に向かって前進しています。 私たちは、これからも、投資を実行し、目標の実現に向け情熱を持って 取り組んでまいります。 不透明な状況のなかで結果を出す アイデンティティー 2010年 アニュアル・レビュー 今日のような不透明な時代にあっては、これまで以上に変化に対して敏感 かつ慎重に対応する一方で、チャンスを常に活かしていく姿勢が重要です。 顧客や株主、従業員、そして社会全般の利益のために、私たちは、まず 自らが成功を収めることが大切だと考えています。そうすることで、長 き に わたり、あらゆるステークホルダーにとって 価 値 のあるパートナー となり得るものと確信しています。それが、現在の不透明な時代だけでなく、 将来における私たちの指針にもつながっています。 Deutsche Bank ドイツ銀行 2010 年 アニュアル・レビュー 私たちの使命 ドイツ銀行グループは、 グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、 お客さま、 株主、 従業員、 そしてビジネスを展開するすべての地域 において、 持続的な価値を提供します。 不透明な状況のなかで結果を出す 私たちの約束 エクセレンス アイデアや提案、 業務の遂行 、 商品、 サービスなど、 あら ゆる面において、 ワンバンクとして持てる資源と能力を結集します。 最適な解決策の提供 お客さまの多様なニーズを理解し、 付加価値を提供する ことで、 信頼関係を構築します。 責任 将来を見据えた上で、 今 、 果たすべき責務を遂行します。透明性 を維持し、 リーダーシップを発揮します。 不透明な状況のなかで結果を出す 2010年は、経済と金融市場がグローバル規模で密接に結びついている ことを改めて認識した年となりました。また、世界経済の秩序の安定 化にとって深刻な脅威となり得る市場の混乱に直面したとき、その 対応力は個々に異なることも明らかになりました。 ドイツ銀行にとって、独立性の維持と厳格な規制は、表裏一体の関係 にあります。特に、大きな変化が起こっている時代にあっては、安定 は安全をもたらし、行動の余地を広げます。しかしながら、高い社会 的コストが、理想的なマクロ経済環境を損なうこともまた事実です。 昨年、私たちは、大きな変革が大きなチャンスを確実にもたらすこと を身をもって示すことができました。 ドイツ銀行グループは、自らを危機の勝者であるとは考えていません。 しかし、市場における存在感、迅速で責任ある行動、意欲ある多様な 経歴を持つ従業員のおかげで、以前にも増してその地位を大幅に強化する ことができました。私たちは、このことを誇りに思っています。 私たちのブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、 これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、 多様な 価値の創造につながるのです。 本年のテーマである「不透明な状況のなかで結果を出す」 について、私たちのステークホルダーと議論しました。 株主―パトリック・ラマン、ポートフォリオマネジャー、 ロベコ・インスティチューショナル・アセット・マネジ メント B.V.、ロッテルダム(20 / 21 頁) 。 顧客―エマ・クイン、ディーリング責任者(オースト ラリア / ニュージーランド) 、アライアンス・バーンス タイン、シドニー(34 / 35 頁) 。 従業員―モーリス・ロビンソン、レジストラ−・サービ シズ GmbH、フランクフルト(58 / 59 頁) 。 その他―チェヌパティ・ヴィジャ、ヴァサヴャ・マヒラ・ マンダリ(VMM) 、ヴィジャヤワーダ(64 / 65 頁) 。 (敬称略) ドイツ銀行