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B-061 人間活動によるアジアモンスーン変化の定量的評価と予測

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B-061 人間活動によるアジアモンスーン変化の定量的評価と予測
課題名
B-061-i
人間活動によるアジアモンスーン変化の定量的評価と予測に関する研
B-061
究
課題代表者名 安成哲三(名古屋大学地球水循環研究センター)
研究期間
平 成 18- 20年 度
合計予算額
165,737千 円 ( う ち 20年 度 50,394千 円 )
※ 上 記 の 合 計 予 算 額 に は 、 間 接 経 費 37,739千 円 を 含 む
研究体制
(1)アジアモンスーン降水量変化の広域・高精度解析(首都大学東京)
( 2 )気 候 モ デ ル「 地 球 温 暖 化 」実 験 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 評 価( 東 京 大 学 気 候 シ ス テ ム 研
究センター)
( 3 )気 候 モ デ ル「 エ ア ロ ゾ ル 増 域 」実 験 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 評 価( 名 古 屋 大 学 環 境 学 研
究科)
( 4 )気 候 モ デ ル「 土 地 被 履・植 生 改 変 」実 験 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 評 価( 独 立 行 政 法 人 海
洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター)
(5)人間活動によるアジアモンスーン変化の総合的解析(名古屋大学地球水循環研究センター)
研究概要
1.序(研究背景等)
温 室 効 果 ガ ス 増 加 な ど 人 間 活 動 に よ る 気 候 変 化 の 予 測 と そ の 影 響 評 価・対 策 は 、IPCCに お け る 主 テ ー
マ で あ る が 、日 本 を 含 む ア ジ ア の 気 候 変 化 予 測 で 最 も 重 要 か つ 緊 急 の 課 題 は 、ア ジ ア モ ン ス ー ン と そ
の 降 水 量 が ど う 変 化 す る か と い う 問 題 で あ る 。IPCC 2007年 の 報 告 (FAR)は 、ア ジ ア モ ン ス ー ン 降 水 量
の 将 来 約 100年 の 予 測 見 解 と し て 、 全 体 と し て 降 水 量 は 増 加 す る と し て い る が 、 モ デ ル 間 の 差 は 非 常
に 大 き い 。ま た 、地 域 ご と の 降 水 量 予 測 も 、非 常 に 大 き な 不 確 定 性 が あ る 。こ の よ う に 、ア ジ ア モ ン
ス ー ン 降 水 量 の 予 測 に 関 し て は 、確 た る 科 学 的 根 拠 の あ る 結 果 が 得 ら れ て い る と は 、と て も い い が た
い 状 況 で あ る 。こ れ は 、ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 動 に 関 与 す る 大 気・海 洋・陸 面 間 の フ ィ ー ド バ ッ ク 過 程
に 、未 解 明 の 部 分 が 多 い こ と に 因 っ て い る 。い っ ぽ う 、過 去 の 観 測 事 実 を み る と 、す で に 温 室 効 果 ガ
ス 増 加 の 効 果 が 顕 在 化 し て い る と も 考 え ら れ る 最 近 20-30年 に 限 っ て も 、 モ ン ス ー ン ( 降 水 量 ) の 長
期 変 化 傾 向 に は 、地 域 ご と に 大 き な 違 い が あ り 、気 候 モ デ ル の 予 測 結 果 と の 整 合 性 は 、現 在 の と こ ろ 、
非 常 に 弱 い ( 安 成 、 2005な ど ) 。
世 界 の 半 数 以 上 の 人 口 が 集 中 し た 地 域 で の 気 候 と 水 に 関 わ る 重 要 な 問 題 と し て 、WCRPで も 、「 地 球 温
暖 化 」に 伴 う ア ジ ア モ ン ス ー ン 予 測 を 、今 後 進 め る べ き 最 重 要・緊 急 課 題 の ひ と つ と し て 掲 げ て い る 。
さ ら に 、モ ン ス ー ン ア ジ ア 地 域 で は 、18世 紀 以 降 、特 に 最 近 数 十 年 、農 業・工 業 活 動 が 世 界 で も 最 も
集約的・爆発的に進められており、温室効果ガス増加に加え、人為・自然起源のエアロゾル増加や、
土 地 利 用・植 生 の 改 変 に よ っ て 、過 去 も 含 め て 、ア ジ ア モ ン ス ー ン が 大 き く 影 響 を 受 け て い る こ と も 、
最近の気候モデルおよび観測研究で指摘されている。詳細な観測データと最新の気候モデルを用い
て 、人 間 活 動 に よ る モ ン ス ー ン 変 化 の 機 構 解 明 と 今 後 の 予 測 に 貢 献 す る 研 究 を 行 う こ と は 、こ の 地 域
の水資源、水災害の予測と対策にとっても非常に重要な課題である。
2.研究目的
本研究ではまず、人間活動がアジアモンスーン気候の変化に及ぼす可能性の高い3つの要素、即ち、
全 球 的 な 温 室 効 果 ガ ス 増 加 、ア ジ ア 地 域 で の エ ア ロ ゾ ル 量 変 化 、お よ び 土 地 被 覆・植 生 改 変 に 伴 う モ
ン ス ー ン 降 水 量 の 長 期 的 変 化 を 、過 去 数 十 年( 以 上 )の デ ー タ に よ る 実 態 解 明 と 高 精 度 気 候 モ デ ル に
よ る 数 値 実 験 に よ り 、大 気・海 洋 系 な ど の 自 然 的 原 因 に よ る 長 周 期 変 化 成 分 と の 分 離 も 含 め て 定 量 的
に 評 価 す る 。さ ら に 、モ デ ル の パ フ ォ ー マ ン ス を 確 認 し つ つ 、上 記 の 人 間 活 動 要 素 の 将 来 変 化 シ ナ リ
オ に も と づ き 、単 独 お よ び 複 合 的 な 効 果 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 予 測 を 、地 域 も 考 慮 し て 、可 能 な 範
囲 で 行 う 。5 つ の サ ブ テ ー マ に お け る 目 標 は 以 下 の 通 り で あ る 。サ ブ テ ー マ 5 は 、他 の 4 つ の テ ー マ
の結果を総合的に評価する、総括グループに対応する。
サブテーマ1:アジアモンスーン降水量変化の広域・高精度解析
過去数十年(以上)におけるアジア多地点降水量データなどにより、モンスーン降水量の長期
変化を、季節、地域などの違いも考慮して、詳細に明らかにする。
サブテーマ2:気候モデル「地球温暖化」実験によるアジアモンスーン変化の評価
過 去 数 十 年 ( 以 上 ) の 海 面 水 温 を 与 え た 高 精 度 GCMと 、 IPCC第 4 次 報 告 書 (FAR)へ 向 け て 進 め ら
れ て い る 高 精 度 大 気 海 洋 結 合 GCMに よ る「 温 暖 化 予 測 」結 果 を 、ア ジ ア モ ン ス ー ン の 水 循 環 変 化 に
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焦点をあてて総合的に解析し、モンスーン変化予測における問題点の解明を行う。
サブテーマ3:気候モデル「エアロゾル増減」実験によるアジアモンスーン変化の評価
過 去 数 十 年( 以 上 )の エ ア ロ ゾ ル の 排 出 デ ー タ を 与 え た GCMに よ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 に よ り 、
エアロゾルの増減によるアジアモンスーン変化を、観測データと比較して評価する。
サブテーマ4:気候モデル「土地被覆・植生改変」実験によるアジアモンスーン変化の評価
特に中国(東アジア)と東南アジアを中心とした過去の土地被覆・植生変化データを与えた、
GCMお よ び 領 域 気 候 モ デ ル に よ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 に よ り 、土 地 被 覆・植 生 改 変 に よ る モ ン ス
ーン変化を、過去数十年(以上)の観測データと比較して評価する。
サブテーマ5:気候モデルと観測データ解析による人間活動によるアジアモンスーン変化の統合
的解析
サブテーマ1から4の結果を総合して、各種の人間活動要素(温室効果ガス増加、エアロゾル変
化、土地被覆・植生変化)が、モンスーン降水量変化へ与える影響の相対的な役割を、過去の変
化と、シナリオにもとづく将来予測も含め、定性的定量的に評価する。
これら5つのサブグループを基本とした、課題全体の研究の流れを図1に示す。
図 1 :「 人 間 活 動 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 定 量 的 評 価 と 予 測 」
の5つのサブテーマを基本とした全体の研究の流れ
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3.研究の方法及び結果
(1)ア ジ ア モ ン ス ー ン 降 水 量 変 化 の 広 域 ・ 高 精 度 解 析
複 数 の 陸 上 域 で の 降 水 量 の グ リ ッ ド デ ー タ セ ッ ト を 用 い て 、過 去 の 観 測 デ ー タ に よ る ア ジ ア モ ン ス
ー ン 地 域 で の 前 世 紀 に お け る 降 水 量 の 長 期 変 動 傾 向 を 調 査 し 、長 期 の 降 水 変 化 傾 向 の デ ー タ セ ッ ト 間
で の 相 違 、地 域 や 季 節 性 に つ い て 明 ら か に し た 。独 自 に 収 集 し た デ ー タ か ら 新 た な 降 水 量 グ リ ッ ド デ
ー タ も 作 成 し 、既 存 の デ ー タ と の 比 較 も 行 っ た 。デ ー タ セ ッ ト 間 で の 違 い は 中 国 や イ ン ド で は 小 さ く 、
東 南 ア ジ ア や バ ン グ ラ デ シ ュ で 大 き く 、こ れ ら の 地 域 に お け る 長 期 変 化 の 研 究 に は 注 意 が 必 要 で あ る
こ と が わ か っ た 。降 水 量 の 長 期 変 化 傾 向 と し て は 、夏 の モ ン ス ー ン 季 に チ ベ ッ ト 高 原 南 東 部 や バ ン グ
ラ デ シ ュ・長 江 流 域 に 有 意 な 増 加 傾 向 が 認 め ら れ た 。降 水 量 の 変 化 傾 向 と し て 、イ ン ド 周 辺 で の 春 季
と 夏 季 に 顕 著 な 変 化 が み ら れ た た め 、イ ン ド に お い て 降 水 の 季 節 変 化 お よ び 長 期 変 化 傾 向 の 地 域 性 に
つ い て 詳 細 な 解 析 を 行 な っ た 。長 期 変 化 の 原 因 と な る 大 気 循 環 の 変 化 と し て 、夏 に つ い て は ア ラ ビ ア
海 で の 西 風 ジ ェ ッ ト の 弱 ま り が 、春 に つ い て は 季 節 内 変 動 の 変 化 が 主 要 な 原 因 と し て 考 え ら れ た 。フ
ィリピンでは、これまで使われていなかった前世紀前半の日降水量データを本研究の実施中に発見
し 、新 た な デ ー タ セ ッ ト を 作 成 し 、降 水 量・降 水 日 数・雨 季 入 り の 時 期・台 風 襲 来 数 な ど の 長 期 変 化
に つ い て の 詳 細 な 解 析 を 行 っ た 。夏 の 雨 季 入 り が 近 年 遅 く な る 傾 向 が あ る と 共 に 、年 に よ る 変 動 が き
わ め て 大 き く な っ て い る こ と 、台 風 の 上 陸 数 に は 20世 紀 を 通 じ て 数 十 年 ス ケ ー ル で の 長 期 変 動 が 卓 越
し 、顕 著 な 長 期 変 化 傾 向 は 認 め ら れ な い こ と が わ か っ た 。台 風 の 長 期 変 化 傾 向 に つ い て は 、地 域 に よ
る違いも大きいことがわかった。
(2)気 候 モ デ ル 「 地 球 温 暖 化 」 実 験 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 評 価
上 記 の 気 候 モ デ ル を 用 い て 2 0 世 紀 再 現 実 験 を 行 い 、そ の 結 果 を も と に 人 為 起 源 要 因 の 夏 季 ア ジ ア
モ ン ス ー ン の 長 期 変 化 に 及 ぼ す 影 響 を 見 積 も っ た 。外 部 強 制 を 全 て 考 慮 に 入 れ た 実 験 結 果 で は 、2 0
世 紀 中 100年 間 の 線 形 ト レ ン ド に お い て 、 赤 道 西 太 平 洋 域 - 東 イ ン ド 洋 に は 乾 燥 傾 向 、 亜 熱 帯 西 太 平
洋 域 で は 湿 潤 傾 向 を 持 つ 空 間 構 造 が 見 ら れ た 。強 制 を 各 要 素 別 に し た 実 験 よ り 、2 0 世 紀 中 の モ ン ス
ー ン 域 の 降 水 変 化 は 人 為 起 源 要 因 で ほ ぼ 説 明 で き る こ と が わ か っ た 。ま た 、人 為 起 源 要 因 の 中 で は エ
アロゾルの効果と温室効果気体の効果が特に大きく、この2つは反対符号を持つ。
ま た 、観 測 さ れ た 海 面 水 温 を 与 え て 同 期 間 行 っ た 実 験 結 果 の 降 水 ト レ ン ド は 、大 気 海 洋 結 合 モ デ ル
の そ れ と は 逆 の 傾 向 を 持 ち 、観 測 結 果 と 一 致 し て い た 。こ の こ と に よ り 、大 気 海 洋 結 合 モ デ ル で は エ
ア ロ ゾ ル の 効 果 を 大 き く 見 積 も っ て い た こ と が 分 か る 。温 室 効 果 気 体 の 濃 度 が 増 加 し 人 為 起 源 エ ア ロ
ゾ ル の 放 出 が 抑 制 さ れ る 今 世 紀 中 盤 の 予 測 結 果 で は 、温 室 効 果 気 体 の 効 果 が エ ア ロ ゾ ル の そ れ と 比 較
して大きくなる。
(3)気 候モ デ ル 「 エ ア ロ ゾ ル 増 減 」 実 験 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 評 価
各 種 エ ア ロ ゾ ル の ア ジ ア モ ン ス ー ン へ の 影 響 を 明 ら か に す る た め に 、化 学・エ ア ロ ゾ ル 気 候 モ デ ル
を 構 築 し て 、数 値 モ デ ル 実 験 を 行 い 、以 下 の よ う な 成 果 を 得 た 。1 )全 球 を 対 象 と し た エ ア ロ ゾ ル 気
候 モ デ ル SPRINTARS内 で 扱 わ れ て い る エ ア ロ ゾ ル・雲 生 成 過 程 に 関 す る ス キ ー ム 整 備 を 行 っ た 。ま た 、
エ ア ロ ゾ ル お よ び エ ア ロ ゾ ル 源 気 体 の 地 表 エ ミ ッ シ ョ ン デ ー タ ベ ー ス を 、既 存 の も の を 基 に 、東 ア ジ
ア 域 の 精 緻 化 を 中 心 に 、整 備 し た 。2 )今 後 は ア ジ ア 域 で 硫 酸 塩 よ り も 硝 酸 塩 の 増 加 が 見 込 ま れ る こ
と か ら 、 SPRINTARSに エ ア ロ ゾ ル 熱 力 学 平 衡 モ ジ ュ ー ル を 組 み 込 み 、 化 学 気 候 モ デ ル CHASERの 活 用 に
よ り 硝 酸 塩 ( NO 3 - ) の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 新 た に 導 入 し て 、 化 学 ・ エ ア ロ ゾ ル 気 候 モ デ ル を 構 築 し 、
診 断 計 算 を 行 っ て 、モ デ ル 中 の 硝 酸 塩 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 妥 当 性 を 確 認 し た 。そ の 結 果 、特 に イ ン ド
周 辺 に お い て 、ア ン モ ニ ウ ム 濃 度 が 高 い た め に 高 濃 度 の 硝 酸 塩 が 、放 射・雲 / 降 水 過 程 へ の 影 響 と し
て 、 硫 酸 塩 ( SO 4 2- ) に 匹 敵 す る 可 能 性 が あ る こ と を 明 ら か し た 。 3 ) 水 溶 性 の エ ア ロ ゾ ル と し て は 、
硫 酸 塩 、硝 酸 塩 の 他 に 、有 機 炭 素 エ ア ロ ゾ ル が あ る 。そ の う ち 、陸 域 植 生 か ら 放 出 さ れ た 炭 化 水 素 類
が 大 気 中 で 酸 化 さ れ て 生 じ る 二 次 有 機 エ ア ロ ゾ ル ( SOA) は 、 森 林 か ら 農 地 へ の 転 換 な ど の 土 地 利 用
変 化 に 伴 う 植 生 種 別 変 化 や 葉 バ イ オ マ ス 変 化 な ど に よ り 、大 き く 変 化 す る と 考 え ら れ る 。ア ジ ア 域 で
の こ の SOA変 化 が 、 ア ジ ア モ ン ス ー ン に ど の よ う に 影 響 す る か に つ い て 数 値 モ デ ル 実 験 を 行 う た め 、
サ ブ テ ー マ 4 と 連 携 し 、 植 生 か ら の SOA エ ミ ッ シ ョ ン デ ー タ を 作 成 し た 。 4 ) 土 地 利 用 変 化 な ど に
伴 う 硝 酸 塩 お よ び SOAの 各 エ ア ロ ゾ ル の 変 化 の 気 候 影 響 を 明 ら か に す る た め 、 過 去 ( 産 業 革 命 前 ) お
よ び 現 在 の 気 候 を 再 現 す る 数 値 モ デ ル 実 験 を 実 施 し 、そ れ ぞ れ の エ ア ロ ゾ ル の 放 射 強 制 力 を 見 積 も っ
た 。こ の 結 果 、特 に イ ン ド・バ ン グ ラ デ シ ュ を 中 心 と し た 南 ア ジ ア 域 に お い て は 、硝 酸 塩 増 加 に よ る
強 い 冷 却 効 果 ( -1 W m -2 ) と SOA減 尐 に よ る 強 い 加 熱 効 果 ( +0.5か ら +1 W m - 2 ) と が 起 こ る こ と を 明 ら
かにした。
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(4)気候モデル「土地被覆・植生改変」実験によるアジアモンスーン変化の研究
土 地 被 覆・植 生 改 変 が ア ジ ア モ ン ス ー ン に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 、歴 史 的 な 植 生 分 布 デ ー タ を 与 え た
大 気 大 循 環 モ デ ル に よ る 中 解 像 度 実 験 を 行 い 、人 為 起 源 の 気 候 変 動 要 因 が 主 に 植 生 改 変 だ っ た と 考 え
ら れ る 1700〜 1850年 の 変 化 に つ い て 調 べ た と こ ろ ( 図 2 a) 、 イ ン ド 亜 大 陸 西 岸 と 中 国 南 東 部 で は 耕
地 化 に よ っ て 粗 度 が 減 尐 す る 効 果 が 顕 著 に 現 れ て 夏 季 降 水 量 が 減 尐 す る こ と が 示 さ れ ( 図 2 b) 、 イ
ンド亜大陸西岸の降水量減尐はヒマラヤの氷河コア解析によるインドのモンスーン降水量の長期変
動 と 定 性 的・定 量 的 に 一 致 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。ま た 、季 節 変 化 へ の 影 響 に つ い て 調 べ た と こ
ろ 、1700年 頃 に 対 し て 1850年 頃 は イ ン ド 亜 大 陸 で 春 季 の 地 表 面 の 乾 燥 化 が 明 ら か に な り 、モ ン ス ー ン
の 開 始 が 遅 れ て 終 了 が 早 ま っ て い た 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。一 方 、植 生 改 変 に よ っ て 有 機 エ ア ロ ゾ ル の
発 生 量 が 変 化 す る 複 合 効 果 に つ い て 調 べ る た め に 、有 機 エ ア ロ ゾ ル 発 生 量 の 算 定 資 料 と な る 葉 バ イ オ
マス量の推移を歴史的植生分布変化に基づいて推定した。
a)
b)
図 2 a)1850年 実 験 850hPaの 6〜 8月 平 均 の 風 速 場 (ベ ク ト ル )と 1700〜 1850年 の 植 生 改 変 域 (影 )。b)1700
年 〜 1850年 の 6〜 8月 平 均 の 降 水 量 (影 、 mm day -1 )と 水 蒸 気 収 束 (ベ ク ト ル 、 m/s)変 化 。
高解像の領域気候モデルを用いて降水と局地循環の変化を含めた植生改変の影響を調べたところ、
イ ン ド シ ナ 半 島 で は 耕 地 化 に よ る 地 表 加 熱 の 増 大 は 降 水 量 の 増 大 を も た ら す こ と が 示 さ れ 、 過 去 30
年 間 の 9月 の 降 水 量 の 減 尐 傾 向 は 、 植 生 が 変 化 し な く て も 大 規 模 な 大 気 場 の 長 期 変 動 を 与 え る こ と に
よ っ て 説 明 で き る こ と が 明 ら か に な っ た 。半 乾 燥 地 域 の 黄 河 潅 漑 域 で は 、潅 漑 に よ る 地 表 面 温 度 の 低
下 に よ っ て 水 平 温 度 勾 配 に 起 因 す る 局 地 循 環 が 形 成 さ れ 、高 解 像 衛 星 デ ー タ で 示 さ れ た 特 徴 的 な 雲 分
布 を も た ら す こ と を 明 ら か に し た 。一 方 、梅 雨 降 水 帯 へ の 影 響 に つ い て 広 域 を 対 象 と し た 領 域 気 候 モ
デルによる植生改変実験を行い、水蒸気輸送域や陸上降水帯が顕著に変化することを示した。また、
再解析データによる大規模循環場の過去の変動量を上乗せした疑似温暖化実験を行って梅雨降水帯
の 過 去 の 長 期 変 動 を 再 現 で き る こ と を 示 し 、GCMに よ る 将 来 の 変 化 予 測 量 を 上 乗 せ し た 実 験 で は 、GCM
のモデルバイアスを大きく軽減することを示した。
(5)気 候 モ デ ル と 観 測 デ ー タ 解 析 に よ る 人 間 活 動 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 の 統 合 的 解 析
サ ブ グ ル ー プ 1 の 大 気 海 洋 結 合 気 候 モ デ ル ( CGCM) に よ る 20世 紀 再 現 実 験 結 果 ( T42版 ) を 、 サ ブ
グ ル ー プ 2 に よ る 過 去 100年 お よ び 50年 に お け る ア ジ ア モ ン ス ー ン 地 域 の 観 測 降 水 量 変 化 と 詳 細 に 比
較 し た 。そ の 結 果 、過 去 50年 間 (1951-2000年 )の 観 測 降 水 量 変 化 の 解 析 は 、南 ア ジ ア と 東 ア ジ ア の モ ン
ス ー ン 前 半( 6- 7月 )を 中 心 に 弱 い な が ら 増 加 傾 向 と 、対 照 的 に 西 南 ア ジ ア 、ア ラ ビ ア 、北 東 ア フ リ
カ の 乾 燥 地 域 の 顕 著 な 降 水 量 減 尐 が 見 ら れ 、対 応 す る 大 規 模 な 熱 帯 東 西 モ ン ス ー ン 循 環 の 強 化 が 示 唆
さ れ た 。こ れ ら の 観 測 降 水 量 変 化 と 温 室 効 果 ガ ス 増 加 と エ ア ロ ゾ ル 増 加 を 別 々 に 評 価 し た CGCM実 験
と 比 較 し た 結 果 、温 室 効 果 ガ ス 増 加 と エ ア ロ ゾ ル 増 加 の い ず れ も が 、す で に 2 0 世 紀 の モ ン ス ー ン 変
化 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。さ ら に 、イ ン ド 亜 大 陸 に み ら れ る 北 東 部 で の 増 加
傾 向 の ト レ ン ド は 、温 室 効 果 ガ ス の み に よ る CGCMの 結 果 と よ く 対 応 し 、南 西 部 の 減 尐 傾 向 ト レ ン ド は 、
そ れ ほ ど 顕 著 で は な い が 、エ ア ロ ゾ ル 効 果 の み を 考 慮 し た CGCMの 結 果 と 比 較 的 対 応 し て い る こ と が 明
らかになった。
温 室 効 果 ガ ス 増 加 の 影 響 が 無 視 で き る 産 業 革 命 以 前 の 1700~ 1850年 に つ い て は 、大 気 大 循 環 モ デ ル
( AGCM)に よ る 数 値 実 験 に よ り 、植 生 改 変( 森 林 破 壊 )の モ ン ス ー ン 気 候 へ の 影 響 を 、サ ブ グ ル ー プ
4 と 共 同 で 行 い 、イ ン ド と 中 国 南 部 域 で 特 に 顕 著 な 変 化 傾 向 を 見 出 し た が 、そ の 詳 細 な 熱・水 収 支 変
化から、植生改変の効果のダイナミクスを考察し、論文として出版した。
ま た 、IPCC-AR4に 参 加 し た 8 つ の 大 気 海 洋 結 合 モ デ ル の 2 1 世 紀 予 測 実 験 の 結 果 を 、イ ン ド モ ン ス
ーンの大気水収支変化に着目して解析した結果、どのモデルにおいても降水量は増加しているが、
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そ の 空 間 分 布 は 、陸 上・海 上 で 大 き く 異 な り 、増 加 に 寄 与 す る 蒸 発 量 と 水 蒸 気 収 束 量 の 割 合 も 、モ デ
ルにより大きく異なることがわかった。
4.考察
( 1 ) 過 去 50年 ( 100年 ) の 夏 季 ア ジ ア モ ン ス ー ン 降 水 量 変 化 は 、 東 ア ジ ア 、 南 ア ジ ア の 一 部 に 増 加
傾 向 と 減 尐 傾 向 が 見 ら れ る が 、モ ン ス ー ン 地 域 全 体 と し て の 長 期 傾 向 は 、必 ず し も 明 瞭 で な い こ と が
わかった。
( 2 )こ の 観 測 結 果 は 、IPCC-AR4な ど で 予 測 さ れ て い る 今 後 100年 の 全 般 的 な 増 加 傾 向 が 、す で に 現
れているとする見方を必ずしも支持しない。
( 3 )た だ し 、CGCMに よ る 温 室 効 果 ガ ス と エ ア ロ ゾ ル 増 加 の 効 果 を 、個 別 に 評 価 し た 実 験 お よ び 両
方 を 含 め た 実 験 か ら は 、温 室 効 果 ガ ス に よ る 増 加 傾 向 強 化 と 、エ ア ロ ゾ ル 増 加 に よ る 減 尐 傾 向 強 化 が 、
20世 紀 に は 、ほ ぼ 拮 抗 し て い る た め に 、観 測 値 の 変 化 傾 向 は 、全 体 と し て 顕 著 で は な い と の 解 釈 も で
き る こ と が 強 く 示 唆 さ れ る 。ア ジ ア モ ン ス ー ン 変 化 に 関 し て は 、エ ア ロ ゾ ル 変 化 の 影 響 は 、か な り 大
きいと判断できそうである。
( 4 ) 1700年 以 降 、 約 300年 間 の 土 地 被 覆 ・ 植 生 変 化 が ア ジ ア モ ン ス ー ン を 含 む 熱 帯 循 環 、 水 文 気 候
に 与 え る 影 響 を AGCMで 評 価 し た 結 果 は 、夏 季 、熱 帯 域 で の 植 生 変 化 に 対 す る 応 答 が 、そ の 他 の 季 節
と( 中 高 緯 度 )地 域 で の 変 化 に 対 す る 応 答 に 比 べ 、非 常 に 大 き い こ と が わ か り 、植 生 改 変 の 地 域 と 広
がりが重要であることが示唆された。
( 5 )特 に 、イ ン ド モ ン ス ー ン の 1700年 代( 以 前 )は 、森 林 の 存 在 に よ り 、現 在 よ り も モ ン ス ー ン は
強く、モンスーンの開始も早く、終了も遅かったことが示された。
( 6 )1900年 代 後 半 に 顕 著 で あ っ た 東 南 ア ジ ア の 局 地 的 な 植 生 改 変 の 影 響 は 、よ り 広 域 の 大 気 循 環 の
状 態 、地 形 の 存 在 と 地 表 面 の 湿 り( 乾 き )具 合 で 、大 き く 変 わ る 特 性 が あ り 、よ り 高 精 度 、高 解 像 の
モデルによる評価が必要である。
( 7 ) エ ア ロ ゾ ル 効 果 で 、 こ れ ま で 考 慮 さ れ て い な か っ た 土 地 利 用 変 化 な ど に 伴 う 硝 酸 塩 お よ び SOA
の 影 響 は 、特 に イ ン ド・バ ン グ ラ デ シ ュ を 中 心 と し た 南 ア ジ ア 域 に お い て 大 き い こ と が 分 か り 、今 後
はこれらの効果も組み込んだより高度のエアロゾル・化学気候モデルによる検証が必要である。
5.本研究により得られた成果
(1)科学的意義
本研究で問題にした人間活動要素は、アジアモンスーンの降水量および大気循環の長期変化に対
し、いずれも、異なったかたちで、大きく寄与する要素であることがわかった。特に、
1 )温 室 効 果 ガ ス 増 加 は 、海 面 水 温 変 化 を 通 し た 水 蒸 気 量 の 増 加 に よ り 、特 に 海 洋 上 と 地 形 効 果 の
大きい陸域で降水量増加に寄与する
2 )エ ア ロ ゾ ル 増 加 は 、直 接 効 果 に よ る 放 射 収 支 へ の 変 化 、間 接 効 果 に よ る 雲 量 と 雲 構 造 へ の 変 化
を通して、陸域での降水量減尐に寄与する
3 )こ れ ら の 人 為 活 動 要 素 に 対 す る ア ジ ア モ ン ス ー ン 循 環 の 変 化 に は 、こ の 地 域 の 固 有 の 変 動 パ タ
ーンの振幅や極性変化というかたちで現れやすい
4 )こ れ ら の 人 為 活 動 の モ ン ス ー ン 降 水 量 変 化 へ の 影 響 の 特 性 を 調 べ る 上 で 、地 表 面 熱・水 収 支 と 大
気の水収支水蒸気輸送・収束の変化の解析は重要であることがわかった。
(2)地球環境政策への貢献
本 研 究 で 取 り 上 げ た 3 つ の 人 間 活 動 要 因 に よ る ア ジ ア モ ン ス ー ン の 長 期 変 化 は 、大 気・海 洋 系 変 化 や
太 陽 エ ネ ル ギ ー 変 化 な ど の 自 然 要 因 に 比 べ て も 、か な り 大 き な 要 因 で あ る こ と が 、明 確 に 分 か っ て き
た 。特 に 、ま だ 不 確 定 性 は 大 き い も の の 、20世 紀 後 半 で の 変 化 に つ い て は 、温 室 効 果 ガ ス の 効 果 に 比
べ て も 、エ ア ロ ゾ ル 変 化 の 効 果 が 、海 洋 大 陸 域 を 含 め た ア ジ ア モ ン ス ー ン 降 水 量 の 変 化 に 対 し 大 き い
こ と が 強 く 示 唆 さ れ た 。特 に 温 室 効 果 ガ ス の 効 果 と エ ア ロ ゾ ル 変 化 の 効 果 は 、大 気・海 洋・陸 面 相 互
作 用 と リ ン ク し て 、こ の 地 域 の 自 然 変 動 モ ー ド の 特 性 を 変 え る と い う か た ち で 現 わ れ る こ と も 明 ら か
に な っ た 。ま た 、地 域 的・局 地 的 な 降 水 量 変 化 に は 、土 地 被 覆・植 生 変 化 の 効 果 も 重 要 で あ る こ と が
示 さ れ て い る 。こ れ ら の 人 間 活 動 要 因 は 、ア ジ ア モ ン ス ー ン 地 域 で 場 所 と 季 節 に よ り 、影 響 の 現 わ れ
方 と 大 き さ が か な り 異 な る こ と も 示 さ れ た 。い ず れ に せ よ 、今 後 の ア ジ ア に お け る 地 球 環 境 政 策 に は 、
温室効果ガスだけでなく、エアロゾル変化や土地被服・植生変化に関係する要素の長期モニターや、
変 化 へ の 規 制 措 置 な ど を 進 め る た め の 基 礎 的 な 情 報 提 供 と し て 、本 研 究 は 大 き く 貢 献 で き る も の と 考
える。
B-061-vi
6.研究者略歴
課題代表者:安成哲三
1947年 生 ま れ 、 京 都 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 博 士 課 程 修 了 、 理 学 博 士 、 現 在 、 名 古 屋 大
学地球水循環研究センター教授
主要参画研究者
(1):松本淳
1957生 ま れ 、 東 京 大 学 理 学 部 卒 業 、 現 在 、 首 都 大 学 東 京 大 学 院 都 市 環 境 科 学 研 究 科 教 授
(2):高藪縁
1959生 ま れ 、東 京 大 学 理 学 系 研 究 科 修 士 課 程 卒 業 、現 在 、東 京 大 学 気 候 シ ス テ ム 研 究 セ ン
ター教授
(3):神沢博
1953生 ま れ 、京 都 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程 修 了 、現 在 、名 古 屋 大 学 環 境 学 研 究
科教授
(4):高田久美子
1963生 ま れ 、 筑 波 大 学 自 然 学 類 /京 都 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 卒 業 、 現 在 、 (独 )海 洋 研 究 開
発機構地球環境変動領域主任研究員
(5):安成哲三(課題代表者に同じ)
7.成果発表状況(本研究課題に係る論文発表状況。)
(1)査 読 付 き 論 文
1) Yasunari, T., (2007), Role of Land Atmosphere Interaction on Asian Monsoon Climate,
Journal of Meteorological Society of Japan, 85, 55 -75
2) 遠 藤 伸 彦 ・ 松 本 淳 ・ 山 本 奈 美 ・ 福 島 あ ず さ ・ 赤 坂 郁 美 : 地 学 雑 誌 ,116,6,824-835,(2007),“ 世
界における降水量と降水特性の長期変化”
3)Arai, M., and M. Kimoto, (2007), Simulated interannual variation in summertime atmospheric
circulation associated with the East Asian monsoon. Climate Dyn., doi
10.1007/s00382-007-0317-y.
4) K. Saito, M. Kimoto, T. Tingjun, K. Takata, and S. Emori: J. Geophys. Res., 112,
F02S11,doi:10.1029/2006JF000577 (2007), "Change in hydro-thermal regimes in frozen ground
regions under global warming scenario simulated by a high -resolution climate model.
5) Kawase, H., T. Yoshikane, M. Hara, F. Kimura, T. Sato, and S. Osawa (2008), Impact
ofextensive irrigation on the formation of cumulus clouds, Geophys. Res. Lett ., 35, L01806,
doi:10.1029/2007GL032435.
6) H. Kawase,, T. Yoshikane, M. Hara, F. Kimura, T. Sato, and S. Osawa : Geophys. Res. Lett.,
35, L01806, doi:10.1029/2007GL032435 (2008) , "Impact of extensive irrigation on the
formation of cumulus clouds"
7) K. Saito: J. Geophys. Res. 113, D21106, doi:10.1029/2008JD009880 (2008) , "Arctic Land
Hydro-thermal Sensitivity under Warming: Idealized Off -Line Evaluation of Physical
Terrestrial Scheme in Global Climate Model"
8) K. Saito: Proc. 9th International Conference o n Permafrost, 1555-1560 (2008), "Refinement
of Physical Land Scheme for Cold-region Subsurface Hydro-thermal Processes and its Impact
on Global Hydro-climate"
9) H. Kawase, T. Yoshikane, M. Hara, B. Ailikun, F. Kimura, and T. Yasunari: SOLA, 4, 73 -76
(2008), "Downscaling of the Climatic Change in the Rainband in East Asia by a Pseudo Climate
Simulation Method"
10) H.G. Takahashi and T. Yasunari: J. Meteorol. Soc. Japan, 86, 429 -438,
doi:10.2151/jmsj.86.429 (2008), "Decreasing Trend in Rainfall over Indochina during the
Late Summer Monsoon: Impact of Tropical Cyclones"
11) H.G. Takahashi, T. Yoshikane, M. Hara, and T. Yasunari: Atmospheric Science Letters,
10, 14-18, doi:10.1002/asl.2032008 (2008), "High-resolution regional climate simulations
of the long-term decrease in September rainfall over Indochina, "
B-061-vii
12) Saito, S., I. Nagao, and H. Kanzawa (2009): Characteristics of ambient C2 -C11 non-methane
hydrocarbons in metropolitan Nagoya, Japan. Atmos. Environ., 43, doi:
10.1016/j.atmosenv.2009.04.031, in press, 2009.
13) K. Takata, K. Saito, T. Yasunari: Proc. National Academy of Sciences of the United States
of America (2009), "Changes in the Asian monsoon climate during 1700 -1850 induced by
pre-industrial cultivation" (in press)
14) K. Tanaka, N. Yoshifuji, N. Tanaka, K. Shiraki, C. Tantasirin, M. Suzuki: Ecological
Modelling (2009), "Water budget and the consequent duration of canopy carbon gain in a
teak plantation in a dry tropical region: Analysis using a soil –plant–air continuum
multilayer model" (in press)
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