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平成20年度 留学生能力開発支援事業 (外国人留学生インターンシップ
平成20年度 留学生能力開発支援事業 (外国人留学生インターンシップ事業) 事業報告書 愛知県地域振興部国際課 目 次 はじめに 第1章 参加留学生について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 第2章 参加企業について ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 第3章 インターンシップ マッチング ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9 第4章 事前セミナー ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11 第5章 インターンシップの実施 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 第6章 事後アンケート ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥18 第7章 特別講義 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥27 はじめに 外国人留学生は海外の高度人材として、また、母国と日本両国の言葉や文化を理解 する橋渡し人材として、その活躍が大いに期待されています。 愛知県では、平成20年度新たに愛知労働局と共催で、卒業後日本で就職を希望す る外国人留学生のために、就職に先立ち日本企業の理解を深めるため、職場体験の機 会としてインターンシップ事業を実施しました。 平成20年度の事業実施結果を報告書にとりまとめましたので、今後の参考にしていた だければ幸いです。 <インターンシップ事業実施日程> ○ 5月∼ : 受入企業の募集 (必要事項を記入したエントリーシートを提出していただきました。) ○ 6月∼ : 県内大学を通じて参加留学生の募集 受入企業のエントリーシート等を確認し、インターンシップ先企業の希 望を提出していただきました。 ○ 7月 : 留学生と企業のマッチングの実施 ○ 8月4日∼ 8日: 事前セミナーの開催 (参加留学生には、必ず事前セミナーを受講していただきました。) ○ 8月18日∼9月12日: 各受入企業でのインターンシップ実施 (実際の期間は各企業概ね10日間程度でした。) ○ 9月20日、10月6日: 事後報告会の開催 第 1 章 参加留学生について 【参加留学生の概要】 8大学から計34名の留学生のエントリーがあり、その主な特徴は次のとおりでした。 ■ 中国人学生が26人(全体の 76%)と最も多く、これは、県内の留学生のうち64.7%を中国人学 生が占める(平成20年5月1日現在)という現状を反映したものと言える。 ■ 文科系学生が29人(82%)と多く、学部は経営、経済がすこし目立つ程度で、顕著な偏りはな かった。 ■ 大学院生(74%)が多く、このうち半数の17名が大学院博士課程前期1年生でした。 ■ 男女比・・・4:6 ■ 最年少・・・22歳、最年長・・・35歳、平均年齢・・・25.4歳 ① 所属大学 (合計 8 大学) 名古屋大学 9 名城大学 8 名古屋工業大学 7 愛知大学 5 名古屋外国語大学 2 愛知県立大学 1 金城学院大学 1 信州大学 1 0 1 2 3 4 ② 性別 5 6 7 8 9 10 ③ 文系・理系の別 理系 5名 (15%) 女 20名 (59%) 男 14名 (41%) 文系 29名 (85%) 合計34名 合計34名 1 ④ 所属学科 人数 理系 工学 5 (機能工学) (2) (未来材料創成工学) (1) (エネルギー変換分野創成シミュレーション工学) (1) (環境材料工学) (1) 文系 経営学 6 経済学 4 環境学 4 都市情報学 3 国際言語文化 2 国際コミュニケーション 2 社会工学(※) 2 国際開発 1 国際文化 1 人文社会学 1 人文学 1 (交換留学) 2 (※) 名古屋工業大学の社会工学 は、文系に分類した。 ⑤ 学年 大学院博士後期課程 2 大学院博士前期課程2年 4 大学院博士前期課程1年 17 学部3年 8 学部2年 1 交換留学生 2 0 2 4 6 8 2 10 12 14 16 18 ⑥ 国籍 台湾3% カンボジア 3% 人数 中国 26 インド 3 韓国 2 カンボジア 1 台湾 1 ブラジル 1 合 計 ブラジル 3% 韓国 6% インド 9% 中国 76% 34 【語学力等】 参加留学生の日本語能力、英語力、パソコン能力は次のとおりでした。 ■ 参加留学生の日本語レベルは概ね揃っており、特にレベルが低い学生はいなかった。 ■ 他方、仕事上での日本語のコミュニケーションについては、多少不十分な学生もいた。 ■ 非漢字圏出身の学生には、英語を母国語なみに使える学生が多くいた。 ■ ほとんどの学生がパソコンを使えると回答した。 ⑦ 日本語能力 エントリーシートによる自己申告、事前セミナーでの日本語教師の意見等を基にした参加留 学生の日本語レベルは概ね次のとおりでした。 人数 超上級レベル(日本語能力試験1級 350 点以上) 上級(日本語能力試験1級合格(280 点∼350 程度)) 中級(日本語能力試験2級前後) 3 26 5 ⑧ 英語能力・スキル(自己判断) 人数 母国語なみ 4 上級者 4 日常会話程度 9 少し話せる 話せない 話せな い 6% 少し 話せる 44% 15 2 母国語 なみ 12% 上級者 12% 日常会話 程度 26% 合計 34名 3 ⑨ PC 能力 34 使える Word PC 能力 使える 使えない Word 34 0 Excel 29 5 Power Point 28 6 0 Excel 29 使える 5 使えな い PowerPoint 使える 28 使えな い 6 0 5 10 15 20 25 30 35 40 【参加目的、希望業種等】 留学生の参加目的、希望する業種等は次のとおりでした。 ■ 参加目的として「日本の企業文化を知りたい」と回答した学生が21人と最も多かった。 ■ 希望業種は製造業が最も多く、中でも地域性を反映して自動車関連とした学生が多かった。 ■ 希望する職種についてはあまり偏りがなかった。 ■ ほとんど(85%)の学生が日本での就職を希望していた。 ⑩ 参加目的(複数項目選択回答) 人数 日本の企業文化を知りたい 21 実務を経験したい 17 日本での就職につなげたい 13 卒業(修了)後の進路決定の参考にしたい 13 専門以外での職場体験がしたい 4 ⑪ 希望するプログラム(複数項目選択回答) ⑫ 希望する業種(複数項目選択回答) 人数 人数 実務がわかるプログラム 13 製造業・メーカー 幅広いプログラム 10 (内、自動車・自動車関連9) 16 専門を活かせるプログラム 7 貿易・商社 6 母国語を活かせるプログラム 7 物流・流通・卸売業 5 特にこだわらない 5 金融 3 情報・IT 関連 3 サービス業(内容不明) 2 特にこだわらない 7 4 ⑬ 希望する職種(複数項目選択回答) 人数 事務職、貿易事務、通訳、総合職 6 営業、営業開発、海外営業 6 エンジニア・生産製造技術・開発・専門職 4 生産管理・品質管理 4 商品企画開発 3 販売・購買 3 特にこだわらない 8 ・その他、「物流システム」「マネジメント」「マーケティング」「PR」「サービス」「ホテル」「エンター テイメント」「応用研究」「経理」各1 ⑭ 希望する就業地域(複数項目選択回答) 人数 名古屋市内 24 東三河地域 1 尾張地域 1 特に希望はない 9 ⑮日本での就職希望 合計 34人 未定 5人 (15%) 人数 希望している 29 希望していない 0 未定 5 希望して いる 29人 (85%) 5 第2章 参加企業について 【参加企業の概要】 計24社のエントリーがあり、その主な特徴は次のとおりでした。 ■ 業種としては、サービス業が39%で一番多く、次いで製造業が29%となっているが、幅広い業 種からの参加があった。 ■ 名古屋市内の企業が全体の2/3であった。 ■ 事業規模(資本金、従業員数)に大きな偏りは見られなかった。 ① 業種 産 業 分 類 企業数(社) サービス業 9 製造業 7 情報通信業 2 卸売・小売業 2 飲食店,宿泊業 2 電気・ガス・熱供 1 電気・ガス・熱供給・水道業 運輸業 4% 4% 飲食店,宿泊業 8% サービス業 39% 卸売・小売業 8% 情報通信業 8% 製造業 29% 給・水道業 運輸業 1 ② 所在地 企業数(社) 名古屋市 企業数(社) 16 北名古屋市 1 刈谷市 2 一宮市 1 豊橋市 1 春日井市 1 豊田市 1 西春日井郡 1 ③ 資本金 1千万円∼5千万円未満 7 5千万円∼1億円未満 4 1億円∼10億円未満 5 10億円∼100億円未満 3 100億円∼1千億円未満 3 1千億円以上 2 0 1 2 3 6 4 5 6 7 8 (社数) ④ 従業員数 20人未満 50人∼100人未満 500人∼1千人未満 5千人∼1万人未満 10万人以上 0 1 2 4 5 職場・実務両方 4% ⑤ インターンシップの実施形態 インターンシップ型 3 企業数(社) 職場体験型 14 実務実践型 9 職場・実務 両方 1 実務実践型 38% 職場体験型 58% 【希望学生の内容】 ■ 受入学生の希望については、学部、国籍、学年とも不問とするところが多かった。 ■ 希望学部については、理系限定とする企業が、製造業を中心に全体の1/3社あった。 ⑥ 希望する学生の学部学科専攻 理系限定の企業8社の中には、「機械・工学」など専攻を指定する企業が6社あった。 企業数(社) 理系希望 理系希望 33% 8 所属学部学科を問 16 わない 所属学部学科を 問わない 67% ⑦ 希望する学生の国籍(複数項目選択回答) タイ 4% 企業数(社) 不問 18 中国 4 2 タイ 1 他 3 11% 韓国 7% 中国 韓国 その他 14% 7 不問 64% (社数) ⑧ 希望する学生の学年 不明 8% 企業数(社) 学部3年・ 不問 16 学部3年・博士前期1年 6 不明 2 不問 修士1年 67% 25% ⑨ 海外現地法人の有無 企業数(社) 有 12 無 12 無 50% 有 50% ⑩ 現地法人進出国 B社 米国、中国、タイ、カナダ、台湾、インド、インドネシア等 E社 米国、カナダ、タイ、シンガポール、インド、ドイツ H社 グループ会社として 40 数カ国 O社 タイ P社 英国 Q社 タイ R社 中国 U社 米国、ベルギー、中国、シンガポール、タイ V社 アメリカ、カナダ、オーストラリア、オランダ他 W社 アメリカ、ヨーロッパ、アジア等約30カ国 X社 北米、ヨーロッパ、アジア ⑪ 海外取引の有無 企業数(社) 有 14 無 10 無 42% 有 58% ⑫ 留学生採用実績の有無 企業数(社) 有 14 無 10 無 42% 8 有 58% 第3章 インターンシップ マッチング 1.マッチング手法 留学生エントリーシート、企業エントリーシートがほぼ出揃った時点でマッチング作業を開始した。 マッチングは、まず学生のエントリーシートに記されたインターンシップ希望企業(第1希望から第3 希望まで)を最優先に行った。 しかし、文系学生が理系学生指定企業を第一希望にしている場合など、あきらかに学生の誤認識 が考えられる場合、事務局で調整し、第二希望、第三希望または、希望外であるが、学部学科や希 望する職種などを勘案して、該当する企業にマッチングした。 学生が、自分の専攻や研究分野にこだわる場合も見られたが、インターンシップは「就業体験」の 場であること、むしろ専攻以外の分野の就業体験をすることでその先の就職活動にも幅がでるというこ とを説明し、柔軟に対応するよう理解を求めた。 一方、受入れ企業側で学生の学部や国籍などに希望条件がある場合、その条件にあう学生を優 先してマッチングした。 マッチングに当たっては、電話、メールを使用して留学生及び企業との連絡に当たった。学生の所 属する大学に関する連絡も同様に行った。 企業側で面接を希望する場合などは、企業側のスケジュール等に合わせて行った。 2.マッチング実施期間 平成20年7月4日から8月18日までの間でマッチングを実施した。 当初は7月中にマッチングを終え、8月4日から8日のセミナー期間中、マッチングの成立した留学 生と企業との懇親・面談を計画していたが、マッチングがずれ込み、最終は8月後半となった。 3.マッチングの実績 マッチングの結果は次のとおりである。 参加留学生全員がインターンシップを体験できるようマッチングに配慮したが、留学生側、企業側 双方の思惑があり、なかなか思いどおりには進まなかった。 特に理系学生と理系学生を希望する企業の間では、専攻分野と実習内容をより厳密に合わせたい との意向が強く、マッチング率は文系学生に比べて低くなった。 エントリー数 マッチング成立数 マッチング率 34人 18人 52.9% うち理系学生 5人 1人 20% うち文系学生 29人 17人 58.6% 24社 12社 50.0% 留学生 企業 9 また、マッチング成立、不成立の全体概要は以下のとおりである。 (1)マッチング成立 ① 第一希望から第三希望の企業でマッチングが成立した学生 11名 ② 事前に希望した企業で不成立、その他企業で成立 4名 ③ 事前の希望企業なしで成立 3名 合計 18名 (2)マッチング不成立 ① マッチング条件に合わず 2名 ・エントリーしたが、事業期間中ずっと帰国 (1) ・遠隔地に居住しておりマッチング不可能 (1) ② 企業の受入れ条件や選考、学生の希望や事情で不成立 11名 ③ マッチング成立にもかかわらず、インターンシップ辞退 3名 ・短期留学の日程を間違えており、当事業の日程と会わない (1) ・第一志望で成立したが、さらに自分で他企業を探して辞退 (1) ・理由不明 (1) 合計 10 16名 第4章 事前セミナー インターンシップに先立ち、就業体験がスムーズに進み、受入企業での接遇等で支障が生じない よう、留学生対象にビジネスマナー、社会人基礎力、ビジネス日本語等の事前セミナーを実施した。 なお、34名のエントリー留学生のうち、事前セミナーに出席したのは25名でした。 ■ 実施期間 8月4日(月)∼8月8日(金) ■ 場 大名古屋ビル 12 階会議室、同ビル3階 I.C.NAGOYA 教室 所 10:00∼12:00、13:00∼15:00 計18時間 またインターンシップ受入企業担当者を対象に、外国人の採用に関するセミナーを開催した。 ■ 日 時 8月7日(木) 13:00∼15:00 ■ 場 所 名駅モリシタビル 7 階会議室 受入れ担当者向けセミナーの後、参加企業とインターンシップ学生との面談の場を設けた。 事前セミナー(キャリアガイダンス) 事前セミナー(ビジネスマナー実践) 企業・学生面談会 企業側留学生受入れ担当者セミナー 11 1.留学生向け事前セミナー 実施内容 日 時 8 月 4 日(月) 10:00∼12:00 テーマ <日本で働くということⅠ> 内 容 就職キャリアガイダンス インターンシップの意義・就活 13:00∼15:00 8 月 5 日(火) 10:00∼12:00 <日本で働くということⅡ> 企業人からみた社会人基 日本企業の考え方 礎力 <日本で働くということⅢ-1> 訪問のマナー ビジネス日本語、ビジネススキル、 日本企業の考え方 13:00∼15:00 <日本で働くということⅢ-1> 敬語の基本 ビジネス日本語、ビジネススキル、 日本企業の考え方 8 月6日(水) 10:00∼12:00 <日本で働くということⅢ-1> 敬語の使い方 ビジネス日本語、ビジネススキル、 日本企業の考え方 13:00∼15:00 <日本で働くということⅢ-1> 電話を受ける ビジネス日本語、ビジネススキル、 日本企業の考え方 8 月7日(木) 10:00∼12:00 <日本で働くということⅢ-2> ビジネスマナー1 実践編 ビジネススキル、ビジネスマナー実 挨拶のしかた、名刺交換 13:00∼15:00 践編 のしかた、返事のしかた等 <日本で働くということ Ⅲ-2> ビジネスマナー2 実践編 ビジネススキル、ビジネスマナー実 自己紹介のしかた 践編 8 月8日(金) 10:00∼12:00 <日本で働くということ Ⅲ-2> 4日間の研修のまとめ インターンシップへ向けて 2.留学生の感想 ( 4日間の講義を受講して ) ・ 自分が身につけた日本語と他の参加者の日本語を比べると、自分の日本語には不十分なとこ ろが多く、頑張らないといけない気がする。また、敬語の使い方や第一印象をもっと良くさせるた めの自分のアピールの重要性が分かるようになった。 ・ 日本の企業で働くマナーだけではなく、色々な事を理解できた。1番目は日本の会社では職階 による区別が本当に必要だということ。それは敬語に反映されていて、仕事や人間関係がスムー ズにいくためだと思う。2番目は会社に入ったら、責任を持っていつも会社の代表として社外と接 すること。3番目は日本で働くために、時間を守ること。大学でビジネスマナーなどを勉強するチ ャンスがないので、大変勉強になり、将来の社会人としての生活に役立つと思う。 ・ 自己紹介は非常に苦手だった私でも落ち着いて、緊張しないで自己紹介ができるようになって よかった。大勢の前で発言することが苦手だったが、自信を持って大きな声で堂々と発言する事 ができるようになった。 12 ・ この短い4日間にいろいろ勉強になったと思う。例えば名刺交換のマナーは、自分が名刺を持 っていないため、知らなかった。また、どんな場合にどんな言葉を使ったら、相手の気分を害さな いのか、私にはまだまだ不十分な点がいっぱいあるはずだと思うので、これから誰でもいいので、 敬語を使って自分の日本語レベルを一層向上させるように目指すべきだと考えている。 ・ 敬語はただの言葉ではなく、その裏には相手に対する尊重が含まれているということを知った。 相手の立場に立って「和」という場を保つためなのだ。日本語を5年間も勉強してきたが、その点 については今週で初めてわかった。また、日本の文化では社員はただの働き手ではなく、会社 の欠かせない一員として責任感を持って仕事をする。会社側も社員を尊重し、できるだけ人員削 減をしないように心がけている。会社と社員がお互いに信頼し尊重するところは感心した。 ・ 基本的なビジネスマナーなど敬語の正しい使い方まで分かるようになった。とくに最後の日、実 際に自分の良くない姿勢とかを先生に直してもらった。これから正しい言葉づかいと正しいビジ ネスマナーで実際の就職活動、あるいは社会に出てもずっとそうしたいと思っている。 ・ 企業人から見た社会人基礎力、訪問のマナー、敬語の使い方、電話を受けるなどのビジネスマ ナーを学んだ。ビジネスマナーは外国人だけではなく、日本人にとっても大事なことと思っている。 会社でうまく働くことができ、人間関係をスムーズにするための重要なポイントである。日本の会 社にとって時間を守ることが第一、あいさつすることと約束を守ること、この二つを守るべきである ということに気づいた。 ・ 母国と違うのは、チームワーク、あるいは協調性を注意すべきであるということ。「出る杭は打たれ る」ということわざを常に心の中に銘記した方が良いと思う。次にビジネス日本語とビジネスマナ ーを含む日本のビジネスルールを学んだ。ビジネスマナーをきちんと守ると、自分自身に対して も、会社に対しても高い評価をもらえる。最後に自分の態度、あるいは考え方を直さなければな らない。学校から出て社会人になり、仕事や将来に対する姿勢をちゃんと整理し、完璧な社会人 になるように頑張りたい。 13 3.企業担当者向けセミナー実施内容 日 時 8 月 7 日(木) 13:00∼15:00 内 容 外国人社員採用の注意点・出 名古屋国際綜合事務所長 入国管理行政の現状 15:15∼17:00 講 師 田澤 満 氏 受入企業担当者と留学生との面談会 留学生を社員として雇用する場合、日本人学生とは違い、かならず、在留資格に関する問題が 存在する。採用したい留学生に内定を出したとしても、その後で、入国管理局によって在留資格変 更を拒否された場合、採用計画が狂うこととなる。現在、外国人の日本企業への雇用の実態はどう なっているか、入国管理局の基本的な考え方との判断基準、どのような時に在留資格変更のトラブ ル(不許可)が起こるかの具体的事例、など採用担当者が知っておかなければならない事柄を、行 政書士の経験と観点から講義していただいた。 (講義項目) 1.外国人留学生(留学ビザを持つ人たち)の区別について 2.在日外国人留学生の就職事情 3.在日外国人正社員・従業員の活用例(国際業務) 4.在留資格(全27種類)、就労の観点からのグループ分け 5.在日外国人留学生、外国人社員に関わる入管申請業務 6.法務省入国管理局という役所について---入管法の発想 7.「留学」から「就労」ビザへの変更が、不許可とされやすいケース 8.外国人雇用に関すること、成功のためのポイント 4.留学生企業担当者面談会 すでにマッチングが成立している学生と企業担当者の間で、面談会を持った。 インターンシップ中に心がけなければいけない注意点などを、面談と同時に企業担当者から学 生に伝えてもらった。 また、この時点でまだマッチングが成立していなかった学生のうち1名は、この場でインターンシ ップ受入れを成立させることができた。 14 第5章 インターンシップの実施 1.インターンシップ実施状況 インターンシップは、それぞれの企業で、4日∼10日間の期間で実施された。 インターンシップ期間中、留学生には傷害保険を事務局負担にて付保した。 【インターンシップ実施状況一覧】 留学生情報 企業受入(業種) 学部・専攻 学 年 インターン 国 籍 シップ期間 C社(IT開発) 都市情報学 博士前期課程1年 中国 8/18∼29 D社(人材派遣) 経営学 博士前期課程1年 中国 9/8∼12 学部2年 中国 8/25∼9/5 カンボジア 8/25∼9/7 韓国 8/25∼9/7 博士前期課程1年 中国 9/1∼12 博士後期課程3年 インド 9/1∼12 博士前期課程1年 インド 9/8∼11 経済学部 学部3年 中国 8/18∼31 環境創造学 博士前期課程1年 中国 8/18∼31 M社(ホテル) 都市環境学専攻 博士前期課程1年 中国 8/25∼9/7 N社(建築内装) 経営学 学部3年 中国 8/25∼9/5 R社(IT開発) 留学生センター 韓国 9/1∼11 G社(エネルギー 心理学 関連) I社(ホテル) 国際開発専攻 博士前期課程2年 留学生センター J社(自動車学校) 都市環境学専攻 国際言語文化専攻 K社(医療機器製 機能工学専攻 − 造) L社(小売業) U社(運輸) V社(旅行業) − 社会環境学専攻 博士前期課程1年 中国 9/1∼11 国際言語文化専攻 博士前期課程1年 台湾 9/1∼11 経済学部 学部3年 中国 8/18∼29 環境創造学 博士後期課程2年 中国 8/18∼29 社会工学専攻 博士前期課程1年 中国 8/18∼31 15 【インターンシップ実施中の様子】 (運輸業) (IT開発) (自動車学校) (ホテル) 2.インターンシップ報告会概要 インターンシップのまとめとして、インターンシップ終了後の9月20日と10月6日の両日に報告会を 実施した。留学生のほか、受入企業の担当者、大学の関係者に出席いただいた。 報告会では参加学生が各自の体験を発表し、インターンシップに参加できなかった学生も含めて、 それぞれの体験を参加者全員で共有した。 また、受入企業担当者からは、留学生の実習態度等に 対して好意的な感想が寄せられた。 16 【第1回目】 日時・場所 平成20年9月20日(土) 出 席 者 参加留学生 5名、 受入企業 2社、 参加大学 2校 愛知県 3名、 愛知労働局 1名、 講師 1名 <インターンシップ報告会> 5名の参加留学生の報告および、受入企業、大学担当者との意見交換 ◇留学生 ・ 社会人になる心の準備ができていなかった。 ・ セミナーによってインターンシップへの準備ができた。 ・ 日本の職場は固いイメージがあったが、会社の人が優しく安心した。 ・ 最も良かったのはコミュニケーション能力と敬語を実地で学んだこと。 ・ 大企業だけでなく、中小企業のことも学んだ。中小企業の職人のような仕事ぶり を学んだ。自分の国、中国に対する知識が足りないことを学んだ。 ◇受入企業 ・外国人の雇用を考えている中での受入れ。良い面だけではなく、本来のま ま現況を伝えた。その代わり、4日間の世話役をつけ時間割でみっちり指導 し、すべてを経験させた。「ご安全に」と言うあいさつも自然に身につき、 一生懸命学ぶ姿に、今後の受入れも検討したい。 報告会内容 10:00∼15:00 名駅モリシタビル7F 会議室 【第2回目】 日時・場所 出 席 者 報告会内容 平成20年10月6日(月) 18:00∼20:00 ロイヤルパークイン名古屋 2F会議室 参加留学生14名、 受入企業 4社、参加大学 1校、 愛知県 3名 参加留学生のインターンシップ報告および、受入企業、大学担当者との意見交換 ◇大学 Q:アルバイトとインターンシップの違いを学生がどう考えているのか知りたい。 A:インターンシップは自分の時間で、勉強。(アルバイトはお金)インターンシップは 就職のため。アルバイトとは責任の違いがあると思う。 Q:インターンシップで何が身に付いたか。 A:会社員の考え方、マナー、敬語、責任感、同僚との接し方、プレゼンテーションの 方法、挨拶。責任感は社会人の基本、人間関係を円滑にする方法。 ◇企業 ・ 日本人と比べて夢があり将来に対するビジョンがはっきりしている印象がある ・ 敬語とは相手に対して敬意を表すものであり、気持ちが大切で、それを学んで将 来日本とアジアの掛け橋になってほしい。 ◇留学生 ・ 電話応対、訪問時のビジネス用の応対を学んだ。 ・ インターンシップ先で学んだのは、敬語だけでは不十分であり、お客様の気持ち を考え、お客様が何を求めているのかを考えるのが大切だということ。 ・ 愛知企業の歴史、現在の状況を学べた。 ・ 日本と中国企業の状況の違いを知り、中国で生かしたい。 ・ 日本でのハードワークを知った。 ・ 明るい挨拶は大事で、最初の一歩である。 17 第6章 事後アンケート インターンシップ実施後、留学生及び企業に対して、今回のインターンシップに関する事後アンケ ートを実施した。 1.留学生アンケート アンケート対象者数 25人(セミナー参加者) アンケート回収数 23人 回収率 92 % 留学生のアンケート結果の主な特徴は次のとおり。 ■ 大学掲示板のチラシや先生からの推薦など、大学を通じて当該事業を知った留学生は87%い た。 ■ セミナー、インターンシップともに、満足度も理解度もかなり高かった。 ■ 実施時期については、今回と同様夏季休暇中が良いという回答が圧倒的に多かった。 ■ インターンシップでは、特に問題はなかったが、専門的な日本語にはやや苦戦したようである。 ■ インターンシップを通じて受入企業への理解、関心は高まったようである。 (1) インターンシップへの参加経験 これまでにインターンシップに参加したことがありますか。 人数 はい いいえ 1 22 (2) 参加の経緯 今回のインターンシップ事業を何で(どこで)知りましたか。 人数 % 12 52% 8 35% 県担当者からの直接の推薦 1 4% 愛知県のHPを見て 0 − その他 2 9% 大学で掲示(配布)されたチラシ を見て 大学の先生(就職・留学生担当 者)の推薦 その他:友達の紹介、インターネットの就職支援サイト(各1) 注:表中の「%」は小数点以下第1位を四捨五入したため、合計が100にならない場合がある。 18 (3) 事業の感想 ① セミナーについて (ア) 全体の満足度について 人数 % 9 39% 13 57% 不満であった 0 − 無回答 1 4% 非常に満足した 満足した (イ) セミナー内容の理解度について 人数 % 14 61% 理解できた(50%∼80%) 8 35% あまり理解できなかった(20∼50%) 0 − 理解できなかった(20%以下) 0 − 無回答 1 4% 良く理解できた(80%以上) (他に取り上げてほしいテーマ) ・ 今までインターンシップに参加したことがある人が、インターンシップの間にぶつかった問題を ケースとして皆さんと討論しながら勉強ができたら良いと思う。 ・ インターンシップの緊張感を抑えるように、一日企業見学をすればどうか。 ・ 留学生就職状況に関する情報をもっと詳しく紹介したほうがいいと思う。 (ウ) セミナー期間の長さについて 人数 % 5 日間がちょうど良い 15 65% 5 日間では短すぎる 4 17% 5 日間では長すぎる 2 9% 無回答 2 9% 「ちょうど良い」以外の場合には何日間ぐらいがいいと思いますか。 具体的に日数を記入してください。 10日 3 19 (エ) セミナーの時期について 今回、大学のテスト期間が終わった 8 月上旬(4 日∼8 日)にセミナーを開催しましたが、セミナ ーの開催時期はいつが良いと思いますか。 人数 % 22 96% 6 月、又はそれ以前が良い 1 4% 7 月上旬(大学の試験前)が 0 − 0 − 0 − 8 月上旬でよい 良い インターンシップ終了後(9 月 下旬)が良い その他 (オ) セミナーの中で一番良かった(参考になった)授業科目はどれでしたか。 人数 % ビジネスマナー 7 30% 決り文句や敬語の使い方 4 17% ビジネス日本語 4 17% 訪問マナー 1 4% 全部 1 4% 無回答 6 26% ② インターンシップについて (ア) 全体の満足度について インターンシップでの研修(実習)に満足しましたか。 人数 % 非常に満足した 8 35% 満足した 8 35% 不満であった 0 − 無回答 7 30% 20 (イ) インターンシップでの研修内容について インターンシップでの研修(実習)内容は理解できましたか。 人数 良く理解できた(80%以上) 理解できた(50%∼80%) % 6 26% 10 43% あまり理解できなかった(20∼50%) 0 − 理解できなかった(20%以下) 0 − 無回答 7 30% (ウ) インターンシップ実施期間の長さについて 人数 % 2週間がちょうど良い 11 48% 2週間では長すぎる 4 17% 2週間では短すぎる 1 4% 無回答 7 30% (エ) インターンシップ実施時期について 夏季休暇中にインターンシップを行うことについてはどう思いますか。 人数 % 17 74% 適していない 0 − 無回答 6 26% 適している (オ) 受入れ企業での問題点について インターンシップを受入れていただいた企業(企業担当者)で何か問題はありましたか。 人数 % 特に問題はなかった 9 39% 日常会話は問題なかったが、専門的な日本語が理解できなかった 5 22% 担当者との間で日本語での意思疎通に困った 2 9% 会社の習慣(朝礼等)に戸惑った 1 4% 無回答 6 26% 21 (カ) 今回、インターンシップに参加して勉強になったことを記入してください。 ・ 日本人と働くこと。敬語を以前よりもっと使えるようになった。 ・ 会社についてよくわかった。仕事は大事だということ、わからないときには聞いてからやったほ うがよいということ、ていねいな言葉を使った方が良いということ。 ・ プレゼンテーションの仕方、社会人としての姿勢、会社のマナー ・ 日本人の仕事に対する姿勢、考え方が勉強になった。他に、あいさつの事も勉強になった。 ・ 日本の企業の業務内容が分かるようになった。 ・ ビジネスマナーと企業の社内環境が分かるようになった。特に企業の組織を全体として教えて もらった。また、輸出と輸入との関係など学校で勉強できないことを学んだ。 ・ 敬語の使い方がよくなった。インターンシップ参加前に、敬語の使い方の勉強は必要だと思う。 あとは礼儀、何回練習してもうまくできなかった。 ・ 日本における職場の雰囲気を理解し、職場のビジネスマナーを勉強した。敬語も身に つくようになった。 ・ IT 業界の企業の職場の雰囲気を知った。日本の企業文化を知った。 (キ) インターンシップに参加したことによる興味の変化について インターンシップを実施してみて、受入企業に対する興味は変化しましたか。 人数 企業への興味(関心)が高まった % 9 39% 6 26% 4 17% 0 − 変化はない 0 − 無回答 4 17% 企業の業務内容は良くわかった が興味はわかなかった 就職先として非常に興味を持った 対応が良くなかったので、マイナ スのイメージが強くなった ③ プログラム全体について (ア) 全体の感想 ・ 就活に助かるいいプログラム。 ・ 職場の雰囲気と文化を知ることができてよかった。最初はちょっと恥ずかしかったが、2、3日 経ってから、ちゃんと大きな声で挨拶することができてよかったと思う。 ・ ビジネス日本語(丁寧語や尊敬語、謙譲語)とビジネスマナー、会社での挨拶、会社での電話 応対など、4日間でいろいろについて勉強できてよかった。 ・ 留学生向けのインターンシップというプログラムは大変良かったと思う。我々留学生にとって、 22 非常に良い勉強のチャンス。ただし、参加者全員がインターンシップに参加することができず 少し残念な気持ち。私は今回のインターンシップに参加できず、良い勉強のチャンスを逃した 気がするが、春休みのインターンシップには参加できるように頑張りたい。 ・ 今回のインターンシップに参加できて、非常によかったと思う。セミナーでは非常に使えること を教えてもらい勉強になった。実際の職場体験では企業側で非常に親切に対応していただき、 詳しく説明してもらった。またいろいろな方と話ができて、とても勉強になった。8日間であった が、自分にとって貴重な経験ができたと思う。この経験を今後にも活かしていきたいと思ってい る。こんな貴重な機会をくださった担当者の方と、お世話になった企業の方に感謝する。 ・ 普段では絶対に入ることができない現場に同行させてもらい、なるべく貴重な体験をさせても らえるよう心がけた。インターンシップに参加する前に、その内容について自分なりに想像した が、実際に参加してイメージが変わった。5日間のセミナーにも、2週間のインターンシップにも 参加できて、非常に貴重な体験だと思った。 ・ 非常に良かったと思う。ビジネス日本語において、これまであまり気づいていなかったところ、 つまり、細かく注意しなければならないところは一度反省して、勉強することができた。 ・ 今回のセミナーとインターンシップは本当に良かったと思っている。最初のビジネスマナーと ビジネス日本語を始め、我々にとってメリットがあり、就職活動の準備にもなる。企業における 研修も大変勉強になった。 ・ 私はセミナーにしか参加しなかったが、セミナーについてよかったと思う。学校で勉強できな いことをこの一週間で習って、みんなと仲良くできて、すごく楽しかった。 ・ 一週間のセミナーを受けて良かったと思う。一週間のインターンシップは短かったが、敬語に ついて勉強になった。 ・ 留学生のためにこのような活動を行っていただき、非常に感動した。 (イ) 問題点・課題 ・ 今回のインターンシップではほとんど一つの部署しか体験できず、他の部署(人事や営業な ど)のことを知ることができなかった。ほとんどパソコンに向かっての作業だったので、他の社員 とのコミュニケーションも少なかった。 ・ 期間的に非常に短かったこと。 ・ 一週間のセミナーは大変役に立ったが、毎朝早く起き、名古屋まで講義を受けに行くのは大 変だった。昼食の時間が短すぎて、駅に近い店ではお客さんが多くて、値段も高くて、とても 不便だった。 ・ インターンシップを受入れる企業を、一回事前に見学できると良い。 ・ 実際、留学生として日本で就職することは難しいと感じた。今回のインターンシップを通じて自 分に足りない部分が分かってきて、もっと努力しなければいけないと思った。 ・ 会社の各部署を見学することができなかった。社員とのコミュニケーションの機会が少なかっ た。 (ウ) 改善点 ・ プログラムがちょっと短いと思う。このプログラムは就活にはまだ早すぎて、就活の中から出る 問題にあわせて、アドバイスをもらうことができると良い。 ・ インターンシップの開始前に、具体的な実習プログラムの内容を前もって学生に知らせてお けば、ミスマッチの可能性が少なくなると思う。 23 ・ できれば各地方に講義を受ける所を作ってほしい。 ・ インターンシップを経験したことがある人と一緒に、お互いに意見交換ができる機会を作って いただければありがたい。 ・ 午後の授業は少し眠くなるので、礼儀の授業などを午後に移したほうがいい。 ・ 会社の各部署を見学することや休憩室で社員の方と会話ができると良い。 2.参加企業アンケート アンケート対象企業数 24社 アンケート回収数 20社 回収率 83% 企業のアンケート結果の主な特徴は次のとおり。 ■ 過去のインターンシップ受入状況では、日本人学生を受入れたことがあると答えた企業は75% あったが、外国人留学生については40%にとどまった。 ■ インターンシップ参加の目的・理由としては、「将来の留学生採用に向けた参考とするため」と答 えた企業が7社、「社会貢献・地域貢献の一環として」と答えた企業が6社あり、その他、「留学生 に自社を知ってもらうため」、「主催者からの依頼」がそれぞれ4社となっている。 ■ 専門用語は別として、日常会話レベルでは、留学生の日本語能力に問題は見られなかった。 ■ 次年度以降のインターンシップ事業への参加については、方針を決定していない企業以外は 全て引き続き参加する予定である。(その後、個別に企業を訪問してヒアリングを行った結果、 ほとんどの企業が条件の合う留学生がいれば受入れたいとのことであった。) (1) 貴社は今までに外国人留学生をインターンシップで受入れたことがありますか。 (本事業での受入れは除きます。) 企業数 % ある 8 40% ない 12 60% あると回答した企業のうち過去5年間に受入れた人数 人数 企業数 % 7人 1 12.5% 5人 2 25% 3人 2 25% 1人 3 37.5% 24 (2) 日本人学生をインターンシップで受入れたことはありますか。 企業数 % ある 15 75% ない 5 25% あると回答した企業のうち過去5年間に受入れた人数 人数 企業数 % 100人以上 3 20% 50∼99人 3 20% 10∼49人 2 13% 10人未満 7 47% (3) 今回、インターンシップに参加された目的や理由は何ですか。(複数回答あり) 企業数 将来の留学生採用に向けた参考とするため 7 社会貢献・地域貢献の一環として 6 留学生に自社を知ってもらうため 4 主催者から依頼されたから 4 留学生との交流による社員の意識の向上を期待して 2 将来的な外国人雇用への社内環境整備の準備として 2 日本人学生も含めたインターンシップ受入れのための試行的な意味で 2 その他:採用活動の一環 事業展開のための問題点等把握 日中友好に少しでも寄与したい (各1) (4) 今回のインターンシップに関し、問題点や改善点があれば記入してください。 ① エントリーシートなどの事務手続きについて ・ 受け入れのための事務手続きなど煩雑にせずできるだけ簡略化してほしい。 ・ 中小企業にとっては企業のイメージが伝えにくいと感じる。 ・ 初年度であっため、作成するために社内の目的、日程、指導内容などの調整に時間と手間が かかった。 ・ 今回はたまたま、一大学で覚書・契約などが比較的スムーズであったが、複数になる場合手 間がかかる。 事務局で一括できないか。 ② マッチング方法について ・ 具体的にどのような形でマッチングしていくものなのかよく見えない。 25 ・ 受け入れ希望は理系(建築)であったが、文系の学生にした。経営的な感覚で研修を受けて いた。なかなか良かったと思う。 ・ エントリーシートだけではなく、会社PRの場があると、よりマッチッグしやすいのではないか。ま た、学生への事前接触をどの程度行うと良いのかが解りにくかったので、ガイドラインのような ものがあるとわかりやすい。ただし、今回については、特にミスマッチを感じることはなかった。 ・ 学生の就職希望業種でのマッチング方式では、なかなか難しいのではないか。業種ではなく、 範囲を大きくして、例えば「サービス業」など幅広い表現で希望を取ったらどうか。 ・ 受入企業側が事前に学生に対して説明会を行い、それに基づいて学生がエントリーを希望 する方がお互いに温度差がなくなると思う。 ③ 留学生について(日本語能力等) ・ 日本語能力だけでなく、インターンシップに参加したい、ここで何かを得たいという本人の意 欲を最も重視している。今回その辺が少し不足しているように感じる学生もいた。 ・ 今後も文系の学生を受入れていきたい。日本語能力も問題は見受けられなかった。 ・ 事前のビジネスマナーや敬語などの教育はぜひやっておくべき。 ・ 今回の日本語レベルなら困ったことはなかったが、一定のレベルは必要。 ・ 研修過程においては特に問題はなかったが、弊社の仕事柄、専門用語(業界用語)が多く、 一部理解・説明が困難な場面があった。 ・ 今回はインターンシップを途中で止められたことが残念であった。 (5) 次年度以降も留学生インターンシップ事業に参加していただけますか。 企業数 参加する 7 参加しない 0 未定 13 (6) その他、ご意見があればお書きください。 ・ 日本の中小企業の魅力をどう理解してもらうのか、また母国に帰って起業するには中小企業 の環境がおおいに役に立つ、ことなどを伝えられる良い機会だと思う。 ・ 個人的な意見だが、特に外国人留学生の場合は、仕事の内容を覚える目的ではなく、「果た して日本の企業に適応できるか」「自分のプランを受入れてくれるか」「女性の総合職について の実態」を自分の体で確かめる一番良い機会だと思う(アルバイトと同じ感覚では、受入企業 としては不満)。この点が、国内学生のインターンシップと大きな違いと考える。 26 第7章 特別講義 当事業の特別講義として、世界的に著名な県内企業関係者による公開講義を、事前セミナー期間 中に開催した。インターンシップ参加留学生のほか、一般留学生、日本人学生、大学関係者等が参 加した。 ■ 実施日 8月8日(金) 13:30∼15:00 ■ 場 所 名古屋ルーセントタワー 16F会議室 ■ 講 師 トヨタ自動車株式会社 取締役会長 張 富士夫 氏 ■ テーマ 世界の若者たちへ ∼私からのメッセージ∼ ■ 参加者 159名 (内訳) インターンシップ参加留学生 一般学生・留学生 20名 119名 関係者 20名 【講義の様子】 【講義の内容】 トヨタ自動車は1937年、国家の経済発展に尽くすという理念のもと設立された。当初の50年間は 主に国内で生産し輸出するというドメスティックな時代であり、この間に企業文化が出来上がった。そ の後1984年に米国でGMとの合弁会社を設立し、その後の20年間がトヨタにとってグローバルな時 代となった。現在は、世界27カ国、53の生産拠点で製造し、170カ国で車を販売している。 トヨタには80年程前に豊田佐吉が作った「豊田綱領」というものがあり、経営理念として現在も会社 の憲法のようなものとして残っている。また、ジャストインタイム等に象徴されるトヨタの生産方式は、戦 後の窮乏期に、当時10倍もの開きがあった米国の生産性に追いつくために、現場で無駄を省き続け ながら作り上げていった仕組みである。 今後は、好き嫌いに関わらず、グローバル化の波に洗われることになるが、その中で、守るべきもの と変えるべきものを峻別することが大事になる。 9年間の米国での経験でわかったことであるが、国を問わず共有できる「人としての共通の部分」が あり、その上に、きちんと理解して尊重すべき「その国の文化・歴史や人の価値観」がある。さらにその 上には「ビジネスのやり方」があるが、これは話し合いで変えて行くことができる。また、日米両文化の 特徴を一言で言うと、育てる文化と選ぶ文化ということができるが、それぞれ一長一短があるので、ど ちらを選ぶかは、事業の選択になる。 27 ① 参加者の国・地域別内訳 国・地域 人 数 国・地域 人 数 中国 59 インド 3 日本 47 ブラジル 1 韓国 13 イラン 1 ミャンマー 5 ネパール 1 ベトナム 4 マレーシア 1 台湾 3 カンボジア 1 ② 参加者の大学別内訳 大 学 名 人 数 大 学 名 人 数 名古屋大学 39 星城大学 4 名古屋工業大学 20 愛知学院大学 3 愛知大学 17 愛知工業大学 1 中京大学 14 金城学院大学 1 名城大学 13 大同工業大学 1 日本福祉大学 5 愛知淑徳大学 1 愛知県立大学 5 愛知東邦大学 1 名古屋市立大学 4 朝日大学 1 南山大学 4 関西学院大学専門職大学 1 中部大学 4 ③ 参加学生の感想 ・ 張会長の講義は非常に役立つ話でした。トヨタの成長を例として、問題に対する考え方、理解 の仕方が非常に勉強になった。会社は作るより、守るのが非常に難しいと言われている。その 話の中で改善ということについて時間をかけて説明していただいた。もちろん企業だけではな く自分自身の身の回りでもすごく使える考えだと思う。そのほかにも目先の利益だけにこだわら ず、確実に一歩ずつ進んでいくことが重要だいう話は、正に、私たち若い人が一番注意すべ き問題だと思う。 ・ 張会長の話を聞いて、留学生の自分でも日本の企業で活躍できるのだというメッセージをもら った。日本のやり方や企業環境に馴じめるのか、長い間心配していたが、張会長の米国にお ける試みの成功談には、大変自信をつけさせていただいた。 ・ 私たちが困難にぶつかった時でも、トヨタの現場のように、まずは原因を探し、その原因を解 決して、同じ間違いをしないようにする。そうすれば自分も成長していけると思う。今日、張会 長のお話で、一番興味深く感じたのは「人として共通」という話で、お互いの文化を理解し、尊 重しなければならないということである。今日の講義は留学生である私にとって大変貴重な経 験だと思う。 28