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2011. 9. 1. No.58
Japan Swine Farm Business Cooperation
2011. 9. 1.
No.58
〒105-0003 東 京 都 港 区 西 新 橋 1-22-12 J C ビ ル 4F
TEL.03-3597-8385 FAX.03-3539-3120
青年部・技術研修会開催
7月8日ホテル名古屋ガーデンパレスに於いて「母
の評価に加え肉質の評価を加えてきた。我々が求め
豚管理と種豚育成」をテーマにした「青年部・技術
たのは、肉も美味しくなり、生産コストが下がるた
研修会」を開催し、北海道から沖縄まで75名が参加
め消費者にとってもプラスとなる、枝重を3kgアッ
した。開会の挨拶で阿部秀顕・青年部長は「日本の
プして欲しいということであった。肉質評価を客観
養豚がしっかり地域に根付いて、しっかりした歩を
的に機器等で行うことができない現状で格付員の主
歩んでいけるように、1つでも多くの農家がしっか
観の裁量を増やすことは認められない、規格変更に
り生き残っていく、そしてしっかりした活動をして
伴うソフトの変更や評価時間の増加によるコストア
いく必要がある。地域に認められる、そして国民か
ップが懸念される、格付評価が小売の末端まで表示
らしっかり支持される養豚業でなければ、養豚業が
されることが確約されない以上は分離評価は現実的
本当に必要なのかという議論にまで及びかねない。
ではない等の問題点がある。いかに立派な格付規格
しっかりと自分の経営の中で生産を高めて、このよ
ができようとも、それが公正・公平に運用されずに
うな研修会で一人一人がしっかり勉強をして、技術
不利益を被ることを生産者は懸念しているのであり、
向上に努めていただきたい」と述べた。
JPPAが「時期尚早」としてこれを拒絶した背景を日
格協はもっと真摯に受け止めるべきだと説明した。
まず初めに稲吉理事長による講演「日格協が“豚
枝肉取引規格”の改正を目指す動きについて」が行
続いて㈲ロッセ農場の河瀬裕幸氏が「種豚育成」
われた。JPPAの理事会で今回の改正案について検
について講演した。現在、ロッセ農場の種豚の9
討を重ねた結果、生産者のためにならない分離方式
割がケンボロー、1割がTOPIGSで、今後はすべて
は反対だということを正式に志澤会長名で文書で提
TOPIGSに変換する予定である。TOPIGSは他の種豚
出したが、それにも拘らず2段階方式で行くことを
と比べ体力に余力があり、授乳中に初産に関しては
日格協は決定した。当初は16段階の改正案を出して
P2が5∼6mm減少したとき、経産に関しては痩せ
いたが、JPPAが反対したため9段階に変更し、従来
れば痩せるほど次回の産子数が伸びるという傾向が
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ホームページ ▼▼▼ [email protected]
E-mail あった。おそらく初産に関しては体を作らなければ
るということがある。成績を安定させるためには、
いけないためタンパクに余力がなかったのではない
P2測定は非常に良い方法である。一度太った豚を痩
かと思われるので、初産に関しては過度な損耗は危
せさせること、痩せた豚を太らせることは非常に難
険と思われる。別のハイブリッドでも同じような調
しい。体型をコントロールするためにエサを調整す
査をしたところ、さすがに5mmまでいくと母豚と
る場合、少なくとも頭に入れておかなければいけな
してダメージが大きかったが、全く痩せなかった母
いのは、お腹の中にいる子豚にどのような影響があ
豚よりもいくらか痩せた母豚の方が次回の産子数は
るかということである。妊娠期間の最後の3∼4週
増加した。痩せさせるということは飼料をやらない
間で子豚の体が倍の大きさになるため、その間の調
ということではなくて、しっかり飼料を食べさせて、
整は避けること。
しっかり乳を出させる、つまりしっかり仕事をさせ
オスの精液を自家採取している場合には、PRRSが
てやるということである。ロッセ農場では1回のお
陽性だと精液から伝染することに留意すること。オ
産に対して5回P2を定期的に全頭測定している。種
スが抗体は陽性、PCR陰性であることを確認して、
付け時にP2が痩せてスタートした豚は妊娠中に太ら
精液を採取すること。そして定期的に精液の検査を
せても分娩後にガクンと痩せるが、太めで種付けを
して使用すること。教科書に書かれているような目
した豚はなかなか痩せない。候補豚のときにその品
で見てすぐ分かるような病気は少なくなってきてい
種にあった適正なコンディションにもっていくとい
て、環境の中で複雑になった病気が今後も出てくる
うのがとても重要であると述べた。
と思われる。種豚を導入する、もしくは管理する上
においては分かりやすくメリハリの利いた馴致をし
最後に獣医師・山本一郎先生が「種豚管理」につ
て育成をしっかりする、その後に分娩させるという
いて講演した。種豚管理においてはボディコンディ
パターンを正確に作って欲しいと述べた。
ションが成績のベースになる。体脂肪の問題、種豚
の育成の問題などが種豚の管理の原点であり、種豚
講演後にはグループディスカッションおよび質疑
の育成を間違えれば立て直しは難しいし、成績を出
応答が行われた。質疑応答の詳しい内容は次頁以降
すのも難しい。P2脂肪厚を測り母豚の状態を知るこ
に掲載する。
とによって、農場の受胎率が上がる、産子数が増え
ॠ‫ڠ‬
΋Ȝ΢Ȝ
≪後産≫ 今は化粧品に使うコラーゲンをとる材料(昔は
ヒトの胎盤)として集荷していく業者があります。
子豚が入っていた胎盤です。
『あとざん』と
か『のちざん』と言います。
カラスや猫の好物で、カラスや猫が胎盤を食
べる癖がつくと子豚を食べるようになってしま
います。カラスも猫も豚舎には入れないことで
す。特に1歳未満の子猫はトキソプラズマの中
間宿主となり子豚に被害を与えます。
『胎盤を干して母豚に食わせると下痢が少な
くなり仔豚が元気に育つ』と、昔お婆ちゃんに
教わったことがあります。
写真:三共ライフテック㈱ホルモンの基礎より
2
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青年部・技術研修会 グループディスカッション
簡単にできます。低コストで、餌代もそれなりに抑え
られて成績も安定してくるので、経産でもやる価値は
あると思います。
A(山本):経産で P2を測定する価値というのは、脂
肪と筋肉が安定して付いている体型に戻して長持ちさ
せるためです。ガリガリのものに餌を与えすぎた状態
で種付けをした、または太ったまま種付けすると、脂
が付きすぎて次のお産のときにおっぱいが出なくなっ
たというようなトラブルがあります。トラブルをなく
すために、一般的には P2はどの産歴でも、分娩舎に
入る前には18∼20mm くらいにしましょう。それから
離乳する頃には3∼4 mm 痩せておっぱいをたくさん
出してくれるような体型にしたい。お産の前に18mm
前後になるようにするためには、河瀬さんのデータで
あったように分娩後、30、60、110日くらい、それと
離乳後に測定すれば、修正がききます。例えば「妊娠
後30日に測ったら13mm だったので、通常なら餌を2
kg やっているのを、その豚には4 kg やりました」と
いう場合に、それを戻さないでずっとやっていたら、
先程も話したように分娩のときに40mm になることも
あります。これではおっぱいが出ないというような問
題が出てきます。それを目視で判別できるという人も
いますが、それが出来ない人はそのまま放っておくと
40mm になってしまいますので、それを確認するため
に60日で測ってみれば、餌を3 kg まで減らそうとい
うアイデアが出てくると思います。どの産歴であろう
と、やっぱり脂の付きすぎも痩せすぎもダメですから、
ボディコンに関しては目で見るのか機械で診るのか統
一して、揃った豚にすると農場の繁殖成績は極めて安
定します。
Q:初産豚に白子や難産が多い理由は何ですか?
A
(山本)
:豚の品種によっても、餌の給与の仕方によっ
ても違いがあります。みなさんが飼っている豚の死産
頭数は大体1頭前後が多いと思います。10∼12頭くら
い生存があって10頭前後離乳するパターンでは、その
中に死産が1頭くらいであれば平均的な農場だと思い
ます。TOPIGS の場合の死産はその半分の0.5頭くら
いです。種豚の体型・骨格から安産型であるというこ
とが死産が少ない理由だと思います。産道が真っ直ぐ
であって、寛骨などが狭くないということです。それ
から育成の段階で筋肉がたくさん付いてしまう豚は難
産になりやすい。LW であっても、肉量がたくさんお
尻に付いてくるような豚ではなく、逆に肉付きが悪い
ような豚の方が安産型になります。そういうのは系統
として必ず出てきます。餌のやり方によって、初産の
豚はどうしても脂肪が付きすぎ、太りすぎというケー
スが間違いなく出てくると思いますので、ゆっくり時
間をかけて体造りをして欲しいと思います。
Q:精液の自家採取専用の雄の飼養方法で、本交はさ
せず採取だけがいいのか、たまには本交させた方がい
いのかを教えてください。
A(河瀬)
:精液は全て購入していますのでわかりま
せん。
A(山本)
:私は人工授精所を何箇所か管理していま
すが、
品種によっては非常にデリケートな雄がいます。
例えば、精液を採る人が変わったら精液量もガラッと
変わるということがあります。しっかりルールを守っ
てやるとすれば、自家採取するときは出来るだけ雄の
性格を認識した人が採って、本交はさせない。自家採
取の場合に例えば精液が必要ないという場合でも、週
一回は採って欲しい。雄を本交させて、その感触を雄
が覚えたら、次に採取しようとしても雄は精液を出さ
なくなるかもしれない。それくらいデリケートな雄も
います。1回の精液の採取量を安定させるためには、
同じパターンを繰り返して、本交する場合にはダミー
の雄を使ってもらった方がいいと思います。
Q:育成のときに群飼で飼っていて、発情がきたら種
付けをしてストールに入れるという流れで育成してい
ますが、種付けする前にストールに一旦入れておいて、
ある程度時間が経って発情がきて種付けをした方がス
トレスがなくて良いのではないかという意見が出たの
ですが、どうなのでしょうか。
A(河瀬):種付けの21日前の発情のときからストー
ルに移動しています。今までストレスについて考えた
ことはなかったのですが、群飼だと飽食になり食べ過
ぎてしまうので、ストールに入れて、維持飼料に餌を
一旦落として、その後種付けの10日前にフラッシング
で餌を1日3 kg 強増やしています。発情誘起豚舎で
種付けの42日前くらいから発情を起こさせますが、そ
のときに発情を見つけても移動しないで群飼で飼育し
ます。次の発情が来たとき、本来の種付け目標の21日
前くらいからストールへ移動して、一旦制限給餌をか
けた後にフラッシングをかけています。
Q:2産目、3産目、またそれ以降に P2点を測る利
点とか効果を教えてください。
A(河瀬)
:今までの品種は1回痩せた母豚はなかな
か太りにくいということがありました。太りにくい場
合は妊娠後60∼70日くらいまで一生懸命餌をやり続け
なければいけないということで細かく測っていたので
すが、比較的脂肪の付きやすい品種であれば、あまり
細かく測る必要はないと思います。2産、3産でも測っ
てよかったなと思うのは、過肥を抑えられるので、餌
代を抑えることが出来るということです。P2を測る
のは面倒なように思われているかもしれませんが、結
構簡単です。片っ端からそこにいる全部の豚に印と油
をつけていって、油がなじんだ頃に一斉に測っていく
というやり方をしています。そんなに手間がかかる作
業ではありませんので、リーンメーターが1つあれば
Q:何日前というのをもっと具体的にお聞きしたいの
ですが。
A(山本):それは種付けの1サイクル前。というこ
とは2回目で交配するのか、3回目で交配するのかと
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E-mail な推奨値があれば教えてください。
いうことになりますが、3回目で交配するとすれば、
2回目の発情が群飼の中で来たものから順につけると
いうことになるので、そのときに P2脂肪を測ってス
トールへ入れています。入れて体型を調整する。育成
の種付け前の P2脂肪を測って餌の量を調整する。調
整をすると、入れた大体1サイクル(20日)後には種
付けに至るという順序でストールを使っているという
ことです。ですからストールにいる期間というのは、
そこに入った後も次の発情が来るまでいますが、その
前にいつ入れるのかというと種付けの1サイクル前。
確認が済んだものを入れる。発情を確認できないもの
はストールに入れないということです。ロッセ農場で
は群飼中に発情が来ている豚は、ほぼ100%きれいな
発情がきています。みなさんのところで購入された豚
とか、自家産でも発情が来ない豚がいっぱいいるとす
ると、ずっと群飼で待っていなければいけないことに
なります。群飼でケンカさせたり、雄に会わせたりし
ていると発情が来やすいというケースもあるし、傷み
やすいということもあります。
A(河瀬):選抜の時期については、私も細かくは決
めていません。生まれた時点で乳頭の数が少ないのと、
体重があまりにも標準以下(例えば1 kg 以下)で生
まれたというような豚は、その時点で外します。最終
的に使うかどうかは「160日齢」くらいで決めています。
肉豚出荷に間に合う時期ですね。そこで外した豚は肉
豚出荷することになります。TDN の推奨値は品種に
よって目標とする P2も多分違うと思います。脂の付
きやすいタイプとか付きにくいタイプというのはある
と思いますので、TOPIGS は先程の講演データの数字
で今のところいけそうです。
A(山本):選抜時期に関しては、外部導入も自家育
成も基準になるのは先程話したように PRRS がある農
場とない農場では違うと思います。要は馴致期間が問
題になるということです。馴致期間としては少なくと
も5ヶ月例くらいからは始めたい。8ヶ月でつけると
すると3ヶ月くらい前になる。病気の側面からいけば、
そのくらいの時期が必要だと思います。選抜も何段階
かでやればいいので、例えば、離乳舎から肥育舎へ移
動するときにダメな豚は肥育豚に混ぜる。そして種豚
候補で馴致舎へ移動するときが2回目の選抜というよ
うな感じです。少なくともその区切りが一番分かりや
すい時期だと思います。餌に関しては、河瀬さんから
もお話があったように品種による差が最近かなり大き
くなっています。TOPIGS の育成豚に関しては、他の
ハイブリッドとは全く別の餌になります。カロリーは
低くたんぱくはソコソコある飼料となります。ですか
ら日本のカロリーで言えば、常識的に考えられるのは
TDN70以下という育成用になります。カロリーは70
以下であるけれども、その中には骨格を作るビタミン・
ミネラルがしっかり入った餌にして欲しいということ
です。馴致舎に入った頃からそういう餌を食べさせて
欲しい。
Q:種雄を自家育成されている農場があるのですが、
種雄の移動するタイミングとか細かい管理や餌につい
てなど、種雄を自家育成するにあたっての管理につい
て教えてください。
A(山本)
:種雄や自家育成のダミー雄を育成するの
でも基本的には雌豚の馴致に準じて、同じようなパ
ターンで衛生面を含めてやること。月齢からすれば早
目に馴致舎に入れて、管理に関しては雌豚の育成と同
じパターンだと思います。特に注意しなければいけな
いのは、雄豚も自家育成で「2、3頭兄弟がいたから
一緒に入れました」というような場合に、ケンカが始
まったり乗り合いしたりするようになりますので、そ
の辺のタイミングは、見て分けてもらわないと片方が
傷んでしまいます。AI をやっている方がダミーの雄
が必要な場合でも、今の育成雌と同じでストール飼育
も可能です。脚がしっかりしてバネのある雄は、AI
センターでは今ほとんどストールで飼っています。自
家産であってもケンカをしてどうにもならないという
ことであれば、3頭いて1頭がよく乗ったりいじめた
りする雄がいれば、ストールに先に入れてもいいかも
しれません。雄の場合にはケンカがついてきますので、
ストールも使い道があります。効率よく雄を使うとい
うことになれば AI センターを別のところに作った方
がいい。面積がない等で難しいということがあれば、
(今欧米は殆どそうですが)雄はストールに入れます。
欧米は雌豚を飼っているのと同じように雄をストー
ルで飼う方が多くなっています。それで耐える雄を使
うということになります。餌は育成と同じです。早目
から育成用という餌をしっかりやればいいし、雄は特
に生殖が仕事ですからビタミンEやセレンがしっかり
入っているミネラルを補強して戴きたい。
Q:母豚が分娩後に熱を出して、点滴を打っても熱が
下がらないときはどうしたらいいのでしょうか。
A(河瀬)
:
“解熱剤を打つ”か、
“とにかく水を飲ませる”
という方法で管理していますが、獣医ではないのであ
まり詳しく分かりません。
A(山本):それは非常に難しい質問です。産後に熱
を出すというのは一番問題です。これもやはりストレ
スに強いか弱いかによって品種に差がありますし、先
程のボディコンの違いによる場合もあります。それか
ら分娩前後の餌の給与量、給与の仕方にもよります。
また、死産が多いということにも関係したりするこ
とがあります。母豚をお産の前日、または二日前に分
娩室に入れると、“部屋を変わって、妊娠期の餌から
分娩期用の餌に切り替わる”というようなストレスに
よって食べなくなることがあります。ストレスの要因
からきている場合には、治療はきわめて難しい。どん
な治療をすれば良くなるというのはなかなかありませ
ん。給餌の方法によって、お産のときにすぐ熱を出し
たり、死産が多かったり、お産の前日に分娩室に入れ
たという場合には、予防的に餌を少なくやったり、落
ち着いて水を飲ませたりする。そうすれば、お腹を空
かして騒いで立つというようなコンディションを作る
Q:自家育成用の若雌を選抜する時期と基準について
質問します。種付けを始めるのは240日くらい、早け
れば210日くらいで始める方もいらっしゃると思うの
ですが、育成豚を早く選抜した方がいいのか、ある程
度の育成期間は確保した方がいいのか教えてくださ
い。また、育成の餌の給与量とか TDN などの具体的
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ます。餌をやる前に測定すると一番やり易いと思いま
す。餌をやってしまうと、豚が立っていても餌箱に顔
を突っ込んでしまうので後ろから探そうと思っても遠
くに行ってしまいますが、餌をやる15∼20分前くらい
のみんなが立ち上がってソワソワし始めた頃に入って
いって、自分は指を当てて最後肋骨を探していくので
すが、慣れてくれば一発で当たるようになります。従
業員全員自分の指のシワを目安にして6.5センチがど
こかというのを覚えていて、それを使って100頭くら
いに一気にマジックで印を付けていきます。その後、
油を30頭くらいずつ一遍に霧吹きで(100円ショップ
などで売っているスプレータイプのボトルにサラダ油
を入れて)ある程度遠くから吹きかけていきます。30
頭くらいかけて元の場所に戻ると油が大分なじんで
いるので、それから測ると大体一回で数値が出ると
思います。慣れてくれば、時間は思ったよりもかか
りません。まとめ方ですが、ウチは元々母豚カードに
種付けとか、妊娠後30日とか60日とかの枠を印刷して
おいて、そこにとりあえず全部書き込んでいって、時
間があるときに他の従業員と数値を見ながら検討しま
す。ケンボローはコンディションの回復が遅い、一度
痩せるとなかなか戻らないということがあったので、
脂肪厚が16∼18mm の豚には標準量である1日2.2kg
の餌を食べさせています。13∼15mm の豚が3.2kg で、
12mm 以下の豚は1日5 kg。これは少しやり過ぎか
もしれないのですが、それ以上の19∼21mm の豚は1
日1.8kg で、22mm 以上の豚は1日1.6kg というやり方
をしています。これも多分脂肪の付きやすいタイプで
あれば、かなり落としていかないといけないと思いま
す。今お話した餌の量は他の品種では合わないと思い
ます。
A(山本):品種による差についてですが、TOPIGS
については先程河瀬さんからもお話がありましたが、
やはり育成にしてもカロリーが高い餌は脂が付きやす
い品種には向きません。だから TOPIGS はカロリーが
低くて安い餌で間に合う豚だということです。品種に
よる差というのは、脂が薄い系統の特にハイブリッド
の系統は、やはりきちっと高めに維持するためにカロ
リーもタンパクも高い餌をやる必要があります。それ
がどれくらいかということになると、リジンレベルで
0.9∼1%近いところまで種豚用はあげているのです。
それで当然 TDN もあげているということで、食べた
ら脂肪が早く付くような工夫をしています。従来の
LW はどちらかというと TOPIGS と同じく一般的に脂
が付きやすい品種です。県でやっている系統豚は脂の
薄いのが出来てはきていますが、まだソコソコ脂が付
く方だと思います。外国の P2のデータと比較すると、
日本はまだ脂肪が付く方だと思います。
ことができます。この注射を打ったら、すぐ食べるよ
うになるというケースはなかなかないと思います。熱
を出したとか、難産で手を入れて介護したとかいう状
況であれば、治療方法としては解熱剤を打つ。それに
感染症が起きる可能性があるから抗生物質、一般的に
はペニシリン・アンピシリン系統を使いますが、そう
いう予防をするというのが一般的で、最終的には飼養
管理の面からそれが出にくい管理をするということを
目指す。河瀬さんはハッキリおっしゃらなかったけれ
ども、基本的にはあまり治療はしていません。みなさ
んが思っているような治療を多頭飼育のところではし
ません。それは、そういうシステムと注意点を厳守し
て、それでもダメな豚は治りにくく原因的にも難しい
から、注射をバンバン打つということはあまりしない
ということが多いのです。そういうシステムがうちは
出来ないという人はやはり注射を何回か打ったり、食
欲を増すような消化酵素的なものも販売されています
ので、それを与えることもできます。みなさんも二日
酔いのときに飲むキャベジンなどのような成分の入っ
た、
食べすぎ飲みすぎに効く豚用の消化剤もあります。
そういうものを使うのも1つの方法だと思います。
Q:母豚の陰部が夏に暑くなってくると腫れること
があるのですが、それはなぜでしょうか。ストールに
入っているときは腫れないのですが、ストールから分
娩舎に移動した次の日くらいから人間で言う水脹れみ
たいな感じで腫れることが6月の半ばくらいからチョ
コチョコあります。
A(山本):考えられるのは、分娩柵の尻止めなどが
狭くて後ろの金具にぶつかって、圧迫されるケースが
一番多いと思います。ひどいのは腫れて膿んだあとパ
ンクしちゃったりするケースが出てくると思います。
それは冬よりも夏の暑いときに多くなります。九州
の農場で西日がすごく当たる豚舎があって、そこのス
トールに寝ている豚の陰部が日焼けして水ぶくれが出
来て、3倍くらいに腫れたということがありました。
ストールに西日が当たる豚舎などでは、外気が30度以
上になると、豚舎内の豚が寝ているところなどは40度
弱になっています。そうなると、陰部に直射日光が当
たることによって水ぶくれが出来て腫れるというケー
スがあります。もうひとつは餌のカビの問題。特に人
工乳後期用の餌がカビている場合、離乳子豚では陰部
が大きく腫れます。親豚でも妊娠期の餌がカビていた
り、餌箱の隅にカビがいっぱいあったりすると、陰部
が腫れてくることがあります。いろんなケースが考え
られると思うのですが、分娩舎に入れて数日後という
のは柵が原因だと思います。
Q:P2測定の1頭当たりにかかる時間と、その P2測
定データに基づいて飼料給与を決めるにはどの程度
データが必要なのか。TOPIGS と一般豚(LW)では
違うのかということを教えてください。
Q:先程給餌の前に P2を測るとおっしゃっていまし
たが、給餌の時間は何時頃ですか。
A(河瀬):朝8時半と午後3時に給餌をしているの
で、その20分前くらいから道具を持っていって、まず
マジックで印だけその場でつけます。実際測っている
のは夕方とか作業が落ち着いてからです。印をつける
だけであれば、100頭で10分くらいで出来ます。
A(河瀬):P2の測定時間ですが、現在うちの農場
では100頭を1時間くらいかけて測っています。意外
と寛骨を触っていたときより P2測定をした方が早い
です。P2測定が面倒くさいと初めは思ったのですが、
管理の仕事の中に入れてしまえば、短時間で終わり
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E-mail Q:育成豚が60日齢ぐらいになると餌を制限すると
いう話をされていましたが、それは量についてなのか、
カロリーなのか、またどういう形で管理しているのか
教えてください。
Q:発情が来ない初産豚や第一回目の種付けで発情が
なかなか来ない豚というのがいた場合、どこで見切り
をつけて諦めるのか、ホルモンを使うなり何なりして
発情を来させるのか、どういうことをしているのか教
えてください。
A(河瀬):今は飽食なので、餌の栄養レベルでコン
トロールしています。生後1ヶ月くらいからレベルを
落としながら給餌しています。TOPIGS のマニュアル
では生後100日までは飽食で、餌のレベルを落として
行って、100日を越えたら制限給餌。餌のレベルを落
としながら制限給餌をしなさいという指導を受けてい
ます。
A(河瀬):勿体無いので、280日、290日くらいまで
は見切りをつけることはありません。年に若雌を900
頭くらい繰り上げているのですが、無発情で出荷する
のは年に2∼3頭くらいです。とにかく発情が来るの
を待ちます。ホルモンは、270日、280日越えて発情の
来なかった豚に実施するくらいです。ほとんどは発情
が来るのを待っています。あまりホルモンは注射しま
せん。
A(山本)
:それはやはり経済的な観点を考慮しなけ
ればいけませんが、そのような母豚が多い場合はやは
りどこかで見切った方が良いかと思います。というの
は、自家育成をしている場合でも、病気にかかってい
るケースの場合は、なかなか整理ができないグループ
があったりしますので、どこかで淘汰する時期は決め
なければいけません。種付けできる母豚がいなくなっ
てしまうと困るので、そういう週なり、そういう時期
は、やはり自分のところの母豚の更新率と母豚の産歴
を考慮してホルモン剤を打ってもいいと私は思ってい
ます。その上で来ないものは諦める。何回打つのかと
いう問題になると思いますが、少なくとも2回はチャ
レンジする。その中でホルモンだけに頼るのかどうす
るのか。
先程話したように、発情の来ない母豚はストー
ルに入れっぱなしだと来にくいので、出して2∼3頭
一緒にして、一度ケンカさせて、群飼にして、制限給
餌して、またフラッシングをかける。そうしながらホ
ルモンを打つという方法もあります。やはり脂が付い
ていたりする場合には、何かの刺激を与えるというよ
うな作業をするケースは多い。それでも全部の母豚に
発情が来るとは限りません。いろんな病気の条件もあ
るし、太りすぎもあります。そういうところを加味す
ると、農場の状況によってはどこかで判断して、ケリ
はつけたい。それは限度が8ヶ月でつけるのか、10ヶ
月なのか、1年なのか、その辺はみなさんの育成を
置ける場所にもよります。河瀬さんの所でも10ヶ月、
11ヶ月というのはそれ程いないと思います。その辺が
整理の基準だと思います。
Q:うちのグループではケンボローAを使っている方
が多いのですが、TOPIGS との違いがすごく気になっ
ているみたいなので、“TOPIGS の推奨する離乳日齢”
と、“母豚の立ち上がりの違い”を分かる範囲で教え
てください。ケンボローAは17∼18日齢で6 kg くら
いの離乳だそうです。
A(河瀬):推奨日齢については、うちはかなり早期
離乳(18∼19日)をしています。現地ではウイーク
リー養豚がほぼ全てです。ウイークリーだと7の倍
数になりますから、向こうは今平均24日くらいだと思
います。21か28が大体半々くらいだと思います。離乳
体重は生後16日で測っています。TOPIGS は16日で今
5.4kg くらいです。ケンボローは200gくらい勝ってい
て、5.6kg くらいです。今のところ TOPIGS の産子数
は15頭くらいで、そんなめちゃくちゃな数を産んでい
ないので、意外とケンボローに追いついている感じで、
今のところそんなに心配はしていません。
A( 山 本 ): 今 の は 離 乳 体 重 だ け を 見 る と そ う な
の で す が、 例 え ば ケ ン ボ ロ ー は10頭 で5.6kg で す。
TOPIGS は5.4kg で 12頭 で す。 そ う す る と12頭 の
5.4kg の方が離乳とすれば1腹体重は大きいというこ
とになります。ですから、その辺はいろんな見方や
角度で、みなさんに検討してもらったらいいかなと
思います。
Q:TOPIGS の繁殖成績が良いのは理解できたのです
が、肥育の方の成績はあまり聞かないので、もしデー
タがあれば、肥育の方の出荷日齢の違いだとか、上物
率、日齢とか、FC(飼料要求率)の違いがあれば教
えてください。
Q:フラッシングというのはどういう作業か詳しく教
えてください。
A(河瀬):TOPIGS 本社が言っているのは、まず多
産が目的で作っている豚ではないということです。バ
ランスブリーディングといって、数もまぁまぁ産んで、
死産も少なくて、乳も出して、離乳後の事故も少ない
という方向性で作っているということです。事故率は
うちでは TOPIGS の方が低いです。この前ケンボロー
と TOPIGS の子豚400頭くらいを対象に離乳後の事故
率を調べてみたのですが、ケンボローが5%くらいで、
TOPIGS は1%くらいでした。出荷日齢は TOPIGS は
2.5日ケンボローに負けました。ケンボローは169日、
TOPIGS は171日くらいで出荷しています。枝重は確
か74kg くらいだったと思うのですが、お互いの枝重
が全く同じではなかったので、その出入りから計算す
ると2.5日ケンボローに劣りました。
A(河瀬):排卵数を増やすための管理方法です。う
ちでは発情予定の候補豚であれば、種付け予定の10日
ぐらい前から、経産豚は離乳直後からフラッシングを
します。離乳直後は(うちでは餌を切っていないので
すが)
、離乳して帰ってきた瞬間から食べるだけ食べ
させています。血糖値を上げてやると排卵数が増える
そうです。インシュリンが発情ホルモンみたいな動き
をして排卵数を増やしてくれるということを聞いたこ
とがあります。先程候補豚を種付ける21日前にストー
ルに入れるという話をしましたが、ずっと食べ続ける
と刺激にならないので、一旦維持飼料に落として種付
けの10日前から食べるだけ食べさせています。
6
ࠁ߼ㅢା0QKPFF
理由と、餌の評価等を分かる範囲で御説明いただけた
らと思います。
A(山本):肥育に関しての補足をします。TOPIGS
にデュロックをかけた肉豚と、ケンボローにデュロッ
クをかけた肉豚を400頭比較しました。それで今言わ
れた他に違いが出たのは、屠場に出した時に、生体か
らの枝肉歩留まりが約1% TOPIGS の方が有利でし
た。枝肉からさらにカット、正肉までの数値では、こ
れも TOPIGS の方が2∼3%くらい優位性があると
いう結果でした。これは400頭くらいの比較データで
す。交配した雄は全く同じ雄をかけました。肥育に関
してのデータはまだ全体的には不足していますので、
今回も違った雄をかけたり、屠場に出したものの数値
をとってもらったりしながら、みなさんに協力してい
ただいてデータは集まると思います。
A(河瀬):導入の理由はこの研修会に出席している
社長に話してもらった方がいいかと思いますが、一
番の経緯は肉色です。以前は肩ロースが全くダメでし
た。とりあえず、中部地区では売れるかもしれないけ
れども、将来ひょっとしたら消費者に敬遠されるので
はないかということから違う品種を探していました。
閉鎖群育種を採用しようと思ったときに、ハイブリッ
ドのようにあまり複雑に掛け合わせたものは閉鎖群
育種ができないということで、ハイブリッドではない
TOPIGS を選びました。肉色が良く閉鎖群育種が出来
る品種を探していました。そこで社長がヨーロッパの
品種についていろいろと勉強をして、見つけた豚が実
はすごい能力を持っていたということです。
A(山本):もう1つは、ダンブレッドと TOPIGS の
違いはどういうものがあるかということですね。他の
品種でも、頭数に関しては改良が一気に進んできてい
ます。どうして豚事協やロッセ農場が TOPIGS を選ん
だかという点ですが、データ的にハッキリしているの
は、非常に温順だということ。ダンブレッドは産子数
は出るのですが、母豚や子豚の死亡率が TOPIGS と比
べると数倍高くなっています。母豚の死亡率は圧倒的
に多いです。ダンブレッドはそれだけ産後やいろんな
ところでのストレスに非常に弱いというところがある
と思います。それともう1点は、今話がありましたよ
うに肉色です。従来の豚ですと関東を中心に色が濃い
目というか、肉色の濃いのはどうしても嫌われて、ピ
ンク色が好まれる。ダンブレッドと比較してもやはり
TOPIGS の肉色が断然良いです。今後そのような改良
が進むかどうかということですが、ダンブレッドは世
界戦略はまだありません。TOPIGS は世界戦略をして
いるので、大ヨークの雌も約14∼5万頭のデータを取
る純粋豚の繁殖基盤で改良をしています。肉質に関し
ても、我々が思っている以上に彼らも非常に勉強をし
ています。それともう1つ言えることは、日本が豚肉
を輸入している敵国であるメキシコやチリに彼らはピ
ンク色の TOPIGS を売りに行っています。他の品種よ
りも日本には肉が売りやすい品種ですよということで
売りに行っているということ。ですから、そういう意
味ではトータル的には選択は今のところ間違っていな
い。TOPIGS でいいのかなということは、5年10年後
を考えてみなさんがまた情報を得ながら、チャレンジ
して欲しいという風に思います。
Q:離乳した当日は朝一回だけ給餌をして、その翌日
は1日食べさせないというやり方は効果があるのかと
いうことと、痩せ気味の母豚に関しては絶食ではなく
て逆にマックスで餌をあげた方が良い発情が来るのか
どうか教えてください。
A(河瀬)
:前は離乳当日は餌を切って、そこから徐々
に増やしていくというやり方をしていたのですが、10
年位前にアメリカの先生がうちに来たときに離乳直後
からいきなり飽食にするように言われまして、それを
やってみたら、発情再帰が揃ってきたのです。今平均
5日前後でケンボローも TOPIGS も発情が来ていま
す。今年も発情遅れがポツポツといたのですが、離乳
直後からいきなり1日5 kg 食べさせています。食べ
ない豚は餌を落としていきます。原則5 kg 食べさせ
るという形です。離乳して種付けしてストールに帰っ
てきたら、餌箱に餌が落ちていてピークで食べさせて
いる状態です。そのようにした方がうちは良くなった
という経緯があります。
A(山本)
:昔は離乳後に餌を減らしている、やらな
いというやり方がほとんどでした。離乳した日は絶食
させて、次の日から少しずつやって増やしていきまし
た。私どもの年代以上の人は、乳房炎になるから餌を
切った方がよいと考えていました。ですから、今の“発
情がどうのこうの”ではなくて、
“乳房炎がたくさん
出るから切るんですよ”という説明をして指導をして
いた。餌を切らないと乳房炎が増えるというケースは
今現在ほとんどないですね。だけれども、1つの目的
としてヨーロッパの一部の先生方は「発情とホルモン
のメリハリをつけるために、離乳翌日は少なくやりま
しょう。2日目、3日目からたくさんやりましょう」
という指導をされている方々もいます。品種とボディ
コンにより異なると思います。昔の乳房炎になる豚は
やはり脂の厚い豚だったからでしょう。過肥の状態で、
離乳をしても太っているような豚に関しては、餌を少
なくした方が安定していました。今の豚は離乳の時
点の P2測定値をみるとドンと痩せています。よく仕
事をして、よく痩せていますので、継続して餌をやっ
た方が安定性が出るという形になっているかと思いま
す。
Q:P2の測定の時にマジックで印をつけるというこ
とでしたが、毛は剃らないのでしょうか。
A(河瀬)
:毛は初めのうちは剃っていたのですが、
飼料会社の技術者に「剃らなくても出来る」と聞い
て、剃らないでやってみたら別に問題なく測定できま
した。今は担当者によって剃ったり剃らなかったりし
ているようです。
注:山本一郎先生は㈲ロッセ農場のコンサルタントを
されています。
Q:どういう母豚を導入するかということが経営に
直結してくることになると思うので、1つの例として
ダンブレッドと TOPIGS の相違点を教えてください。
また河瀬さんは何故 TOPIGS を導入したのか、その
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E-mail 骨付き生ハムとその製造法⑵
P2脂肪を測りましょう
帯広畜産大学名誉教授・㈱十勝生ハム製造研究所
妊娠期の母豚のボディコンディション(BC:Body
Condition)維持が大切なことは、既にご存知のこと
代表取締役 三上 正幸
と思います。7月8日に開催された青年部会の技術
[email protected]
研修会でも、母豚のボディコンディション維持の大
切さに認識を新たにされていたようです。参加者の
多くは『手間がかかるし、面倒だ』と思っていたよ
うですが、ロッセ農場の河瀬さん(講師)が『慣れ
れば、寛骨突起を押さえるよりスピードが速く楽だ』
と説明されて、測ってみようと思った方も多いので
はないかと思います。
写真①
一般的には寛骨突起を押さえてBCS(Body Condition
Score = ボディコンディションスコア)を推定し、
スコア3前後に揃えるようにしています。しかしこ
の方法は感覚と勘に頼る方法で、人によって見方が
(指数が)変わってきますので、機械で測定して数値
を求める方が正確に捉えることができます。
写真②は最後肋骨の位置を確認しているところで
す。この写真のヒト(ロッセ農場・矢澤氏)は腰骨か
ら前に指を滑らせて肋骨の位置を確認していました。
一般的なボディコンディションスコア
スコア
母豚の状態
背脂肪 P2点
1
著しく痩せすぎ
10∼12mm
2
痩せすぎ
12∼14mm
2.5
細め
15∼16mm
3
正常
17∼18mm
3.5
やや太め
18∼20mm
4
太め
21∼23mm
5
太りすぎ
25mm 以上
写真②
写真③は最後肋骨の位置を確認したあと背骨の中
心に印をつけた後に、自分の指の長さ(6.5cm)で
P点を決めているところです。この農場ではそれぞ
れの指の位置でP点がわかるようにしています。
出展元:チクサン出版社「新母豚全書」
写真①は離乳直後の母豚です。見た目では、左の
母豚の方が脂肪が付いたまま(太ったまま)分娩舎
から出てきたように見えましたが、実際にP2脂肪を
測定してみると、左の母豚が分娩舎入舎時17.0・出
舎時12.0、右の母豚は入舎時18.0・出舎時14.0で、
右のPICの方が脂肪をのせて(太って)いました。見
た目の判断ではなく数値で確認することが大切であ
ることがわかると思います。
㧼ὐ
写真③
8
ࠁ߼ㅢା0QKPFF
P点を決めたら次に毛刈り(写真④)をします。
毛刈りをしなくても出来るようですが、それほど時
間はかからないので、この担当者は測りやすくする
ために毛刈りをしているとのことでした。
ࡊࡠ࡯ࡉ
写真⑥:P1の数値
写真⑦では赤いランプが3個点灯していますので、
第3層まで測った値(P3)を示していることになり
ます。
写真④:毛刈り
写真⑤は毛刈りしたあとのP点に潤滑油(ここで
はてんぷら油の廃油を使っています)を吹き付けて
いるところです。
写真⑦
枝肉で見ると背脂肪が一番薄い、この位置になり
ます。(写真⑧)
写真⑤:潤滑油塗布
写真⑥はプローブを押し付けて脂肪の厚みを計測
しているところです。脂肪層は表皮から数えて第1
層、第2層、第3層と3層になっています。プローブ
をP点にあて、左手で電源ボタンを押し、赤いランプ
が1つ点灯してP1の数値が示されたところです。こ
のまま電源ボタンを押し続けていると、2つめのラ
ンプが点灯してP2値が表示され、その後、3つめの
ランプが点灯してP3値が表示されることになります。
下の図は測定器の表示部分ですが、P2脂肪が12ミ
リであることを示しています。
᷹ቯ࡜ࡦࡊ
╙㧝⢽⢌ጀ
╙ ⢽⢌ጀ
写真⑧
ల㔚࡜ࡦࡊ
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E-mail シリーズ 豚に翔ける夢
農場訪問ルポ
徹底した防疫管理の優良種豚場
栃木県那須郡 ㈲星種豚場
㈲星種豚場(栃木県那須郡那珂川町)は町内に繁殖
用意されたツナギ・靴下・帽子に着替えて、星種豚場
農場、AI センター、販売豚舎、肥育農場、そして福
の車で農場まで移動し、農場ごとに用意された使い捨
島県に預託契約農場、群馬県に GGP 契約農場を有し、
てのツナギ・マスク・シャワーキャップ・手袋をつけ
星正美社長および長男で専務取締役の正晃氏を中心に
て、農場に入るという体制を徹底しています。
12名の従業員と共に種豚(デュロック種)と精液の販
全農場においてオーエスキー病(AD)および豚繁
売をメインとした農場運営をしています。
殖・呼吸障害症候群(PRRS)ともにフリーの状態を
保っているだけではなく、AD に関しては保健所と協
力して周辺のイノシシの AD 抗体検査を月に1回実施
しており、その地域周辺の AD フリーを保っています。
病気による淘汰はないため、離乳から出荷までの事故
率(ひねブタ、発育不良など)は2%未満です。
左:正晃専務 右:正美社長
餌の管理や豚舎の清掃等の基本的な管理は農場ごと
に従業員が担当していますが、正晃専務および別の従
業員2名はローテーションを組んでそれぞれ町内全て
の農場を回り衛生チェックをして、チェックした内
容について毎日ミーティングをしています。また毎週
1回は管理獣医師によるコンサルタントを受けていま
母豚群はデュロック種120頭、ランドレース種10頭、
す。契約農場に関しては、毎月1∼2回正美社長が訪
大ヨークシャー種20頭を飼養し、BLUP(ブラップ)
れ、種豚選抜を行い、繁殖農場のうちの1つの農場に
法を利用して“強健性”と“繁殖性”を重視した飼養
運んできた豚を一旦入れて衛生検査をした上で、販売
管理を、AI センターにはデュロック種70頭、大ヨー
豚舎に入れています。
クシャー種5頭、ランドレース種5頭の雄豚を飼養し、
“産肉性”
(発育スピード)と“肉質”を重視した飼
防疫対策の観点から、農場へ入る車の出し入れはも
養管理を行っています。また、AI センターの雄豚は
ちろんのこと、農場への荷物も全て本社事務所で積み
毎月1回エライザと PCR 検査で PRRS 陰性を確認し、
替えて、農場へ運んでいます。また訪問者はまず本社
顧客のニーズに応えるため、そして種豚改良の指針に
事務所を訪れ、玄関で靴を履き替えて事務所に入り、
するためにロースの断面積や背脂肪の測定を行い、骨
10
ࠁ߼ㅢା0QKPFF
格がしっかりした強健性のある足腰の強いバランスが
また、現在正美社長は JPPA の登記登録部会の担当
取れた種豚作りを目指しています。販売豚舎の豚に関
副会長として、“簡素化し料金を下げて、明確そして
しては、お客様のニーズに応えて随時検査を行ってい
正確で信用性のある登記制度が出来れば、トレーサビ
ます。
リティの観点からも必要である”という考えから、新
たな育種改良の方向を打ち出すべく、新しい登記登録
制度の確立を目指しています。データベース化して、
いろんな実績を積み重ねて、それを育種価(親豚から
子豚に伝える能力(遺伝的能力)を数値で示したもの)
していく予定です。日本の全養豚場がこの制度を利用
し、生産者一人一人が責任を持って安心・安全な美味
しいお肉を作っているということを消費者に対ししっ
かりアピールできるようになることが理想であると、
正美社長は考えています。
精液に関しては採取後すぐに検査室へ持込み、目視
で全体的なチェックをした後、顕微鏡を用いて加温し
た精液の精子活力や数、そして奇形を確認して、それ
らの検査に合格したものだけを販売しています。
雄豚や精液を販売している農場からデータをフィー
ドバックしてもらってはいるものの、自らの目で確実
にスキャナーの整合性と系統ごとの肉質検査を確認す
ることを一番の目的として、4月にレストラン・ハム
工房・直売所を併設した「田舎レストラン巴夢」を那
㈲星種豚場では豚事協で取扱いを開始した中国製
珂川町にオープンしました。自分たちの作った豚肉が
「ストール」および「分娩柵」の展示を行っています。
消費者に受け入れられるかどうかを確認するためでも
御興味のある方は是非一度足をお運び下さい。なお、
あります。毎週と場から買い戻した肉を使用して、ロー
設計や価格に関しては、豚事協・事務局にお問い合わ
スハムやボンレスハム、スモークハムなどに加工して、
せ下さい。
レストランで提供・販売しています。
有限会社星種豚場
栃木県那須郡那珂川町馬頭2444 TEL:0287-92-2220
(事務局:東野育美)
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E-mail TOPIGS研修報告 その2
日本養豚事業協同組合 技術部長 矢嶋 隆次
も親指が陰部に入ることがあり、子宮頚管炎の元に
4月28日:交配を観察させてもらう。交配は全て人
工授精で、離乳後4∼5日で発情再起するようにし
なってしまうため今の方式に変更したそうです。
下の写真は、交配ストールの中央で発情確認をし
ている風景だが、このようにして雄一頭に雌二頭の
たいが、前週まではバラつきが大きく苦労したとのこ
とでした。原因は離乳母豚の過肥にあり、分娩舎で
の飼料給与量を減らし分娩舎からの出舎体重(実際
にはP2脂肪を減らす)を減らし痩せた豚にしたとこ
ろ、少しずつ再起日数が揃うようになってきていまし
た。分娩舎の管理者と交配担当者間の連携が大切で、
全員で検討してボディコンディションスコアをおとす
ことにしたとのことでした。この後はほぼ100%の豚
が4日で発情再起するようになったとのことでした。
TOPIGSはかなり痩せた状態で分娩舎から出てきた
割合で入れ、人間が雌の腹部をさすったり背に乗っ
たりして発情を確認します。発情が来ていることが
確認できたら発情豚同士を並べるようにしてストー
ルに戻します。発情のきていない豚は、やはり同じ
ように発情のきていないもの同士でストールに並べ
ますが、雌豚にストレスを与えて発情しやすくする
ため、確認前と確認後では隣同士のストールに違う
豚が並ぶように配置していきます。
方が発情再起が確実で発情の行動もはっきりしてい
て、PICと比較しても発情はとても分かりやすいとの
こと。特に雄を近くに置いたとき、TOPIGSの雌は発
情がきていれば確実に『耳を立てる、
おとなしくなる、
尾を震わせる』などの兆候が顕著で、発情がきてい
ないときは『逃げようとする、
騒ぎ立てる』などして、
発情の有無が明確に分かる豚であるとのことです。
ㅢᏱߩⰯశἮ
㓶⽋
交配する雌を入れるストールは上の写真のように
中央に雄豚を配置出来るようになっており、ここで
雄と接触させながら精液を注入します。注入時には
雌の臀部や陰部は特に洗浄せず、陰部の先端に近い
部分のアルコール消毒をわずかに行うのみで、AIカ
ⰯశἮ
ップを使用していました。外陰部を洗浄した場合と
データを比較した結果この方が分娩率・産子数とも
良好だったため、この方式にしたとのことです。母
豚の臀部・陰部の洗浄は、どんなに気をつけていて
分娩舎からきた未発情豚は交配が終了するまで上
の写真のように頭上『目に近い位置』に蛍光灯を設
置し、24時間点灯しています。位置が高くても、首
12
ࠁ߼ㅢା0QKPFF
から後ろの方に光が当たっても効果は無いとのこと
です。これにより産子数も増加(0.5頭/腹)したと
しっかりくるのがTOPIGS
の特徴だそうです。この後
のことで、光線管理でこれほど数値が上がるとは思
いもよりませんでした。交配回数は2回(未経産は
3回)です。交配間隔は『20時間間隔が最も産子数
は40日間でBCSをスコア3
まで戻し、あとは定量給与
で分娩までいき、分娩の前
が多かった』ため、現在はその間隔で実施しています。
1回目は夕方交配したら、2回目は翌日午後に交配
することとなり変則にはなりますが成績はあがって
にフラッシングするとのこ
とです。
河 瀬 氏 よ りGP(GGP)
います。発情確認に関し、PICは雄と雌をメイティン
グさせてから5分以上置かないと確認できないこと
がままありますが、TOPIGSはそれがはっきりして
の交配について説明を受け
ました。雄は㈲メンデルジ
ャパンに用意されている5頭の雄の精液から選択す
いて分かりやすいとのこと。また、過去に雄とのメ
イティングなしに、雌の背圧(背中を押さえること)
のみで確認しようとしたが、上手くいかなかったの
で雄と接触して確認していると話していました。
ることとなっています。
次の表はその選択方法です。
PICは分娩舎で絶対痩せさせないようにとの指導だ
がTOPIGSは『分娩舎退出時には板のように痩せて
A:雄と雌の間で交配してはならないものの表
雄番号
雌番号
Z-1234
Z-2345
Z-3456
Z-4567
いる』ときの方が確実に発情する。PICも太ったまま
出てくると発情再起日数がバラつくとのこと。この
ことからPICといえども子豚を育て終えた時点で一定
程度P2脂肪が少なくなっていないと発情に悪影響を
①
②
③
④
⑤
●
●
●
●
●
Z-1234に発情がきたため交配可能雄を先ずA表か
ら探す。A表の中で②の雄は『近親交配となり、奇
形など指定された事故があったとき、その家系は全
てGGPのラインから破棄される』とのルールがある
ため先ず②の雄は除外され、①③④⑤の中から選ぶ
こととなります。
与えると農場では推察しています。
TOPIGSは我々の常識からはかなりかけ離れた豚
であることが想像できます。TOPIGSを導入した農
場では種豚用飼料(特に妊娠期)の内容はTOPIGS
にあわせ、給与量で在来豚とTOPIGSとを区別しな
いとTOPIGSの能力が十分引き出せないのではない
かと思われます。
B:雄の使用頻度の表
雄番号
交配頻度
5
4
3
2
1
4月29日:原因不明で死亡していた一腹の子豚を前
日治療した結果を確認。死亡は止まっていて、残り
4頭は助かる(3頭になった)模様で、他に感染しな
①
②
③
④
⑤
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
次に『雄の交配頻度は公平にしなければならない』
とのルールがあり、過去に質の良い子豚を排出して
いた①か④を使いたいと思っても、今回は⑤を選択
いことを確認後、翌日離乳する子豚17腹の体重を測
定。17 ∼ 18日齢で離乳するため週3回の変則離乳と
なっている。
18日齢の離乳で子豚の体重が平均5kgオーバーは
することとなります。
新たにZ-2345に発情がきたときは③は除外され、
①②④⑤から選択することとなりますが、この場合
も公平に使用するルールのため②か⑤のどちらかを
選択することとなります。
また、この交配成績はすべてオランダに報告され
流石にPICもTOPIGSもたいしたものだと思うが、こ
れをそのまま22 ∼ 23日齢まで授乳させれば7kgは
堅いかと思うと勿体ないように思いました。特に
TOPIGSは疾病に強い育種も目的としていると聞い
ているので、その哺育能力の高さを削ぐような管理
手法は、疾病への感染防止が目的としても勿体ない
ており、改良の為の基礎データになるとのことです
が、オランダで処理するデータは膨大なものになっ
と思いました。
右上の写真は交配終了後のTOPIGS Zラインの母
豚だが、離乳時の体型としては太すぎて発情確認ま
てしまうことが推察されます。この膨大なデータを
基に育種しているのでTOPIGSの改良はスピードが
速いとのことでした。
(次号につづく)
で日数がかかり、分りにくいとのことです。十分に
子育てをして、板のように痩せた母豚の方が発情は
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E-mail 豚事協共同購入事業資材のご紹介
快適ファン
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FE-253
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25cm
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50 / 60 Hz
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25 W
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騒 音:41.5 / 44.5 dB
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・44.5dBの低騒音
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・国内生産品
豚 事 協 の 年 間 行 事
● ● ●
理 事 会
第
第
第
第
1
2
3
4
回
回
回
回
平成23年2月18日(金)(東京)
平成23年4月21日(木)(名古屋)
平成23年7月15日(金)(高山)
平成23年9月30日(金)(東京)
支 部 会
中
北
東
関
中
九
沖
部 支
海 道 支
北 支
東 支
四 国 支
州 支
縄 支
部
部
部
部
部
部
部
平成23年6月3日(金)(名古屋)
平成23年6月24日(金)(札幌)
平成23年7月22日(金)(盛岡)
平成23年8月26日(金)(東京)
平成23年9月22日(木)(松山)
平成23年10月28日(金)(熊本)
平成22年11月25日(金)(名護)予定
青 年 部
第1回幹部会
技 術 研 修 会
第2回幹部会
農水省との意見交換会
全 国 研 修 会
海外視察研修
平成23年3月4日(金)(東京)
平成23年7月8日(金)(名古屋)
平成23年9月16日(金)(東京)
平成23年9月16日(金)(東京)
平成23年10月21日(金)∼22日(土)(宮崎)
中止
女 性 部
発
足
会
平成23年11月22日(火)∼23日(水)(東京)
※青字は平成23年9月1日以降の行事となります。
編 集 後 記
* * *
●「がんばろう東日本」の旗頭
の元、女子サッカーチーム「な
でしこジャパン」のワールドカッ
プ優勝が大きな引き金となり、
東北地方で開催される夏の風物
詩のお祭り(鎮魂の思いが込め
られた)や、夏の全国高校野球
大会に於ける被災地区よりの代
表校の熱いプレーが、震災復興
への心の応援となっています。
●福島原発の放射能の影響は農
業全体に大きな影響が出ており、
我畜産業界の中でも肉牛生産農
家への打撃は想像も出来ない程
甚大になって来ています。養豚
業界では非難勧告地域以外は、
現状それ程大きな問題にはなっ
ていませんが、対岸の火事と安
心は出来ない毎日です。
●豚枝肉取引規格の(社)日本
食肉格付協会が取りまとめた『改
正案』についてはJPPAが主体と
なって改正案反対の意向を発信し、
「生産者からの反対が根強く、
このままでは平行線をたどるだけ」
と農水省は改正案を一時保留す
るとの考えを示しました。一時
保留の時期・期間が明確でない
ことを鑑みれば「事実上の白紙
撤回」と受け止められます。豚
事協としても、各支部セミナー
において、JPPAの運動に即応し
て、生産者の本件に係る位置付
を充分理解してもらうための説
明を行い、今後の揺るがぬ発信
材料にしたいと思います。
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