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事業計画 (PDF:809KB) - JISF 一般社団法人日本鉄鋼連盟

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事業計画 (PDF:809KB) - JISF 一般社団法人日本鉄鋼連盟
平成28年度
事
業
計
画
平成28年3月
一般社団法人 日本鉄鋼連盟
目
次
頁
Ⅰ
平成 28 年度の重点課題 ......................................................... 1
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備 .................................. 1
2.世界的な過剰生産能力問題の改善と健全な自由貿易体制の確立に向けた取組み ...... 2
3.諸外国における鉄鋼関連情勢の的確な把握と機動的な対応力の強化に向けた取組み .. 3
4.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の推進 .......................... 4
5.安全水準向上並びに防災に向けた取組み ........................................ 5
6.地球温暖化問題への的確な対応及び国際連携を含めた積極的な展開 ................ 5
7.環境保全及び資源の有効利用に向けた活動の推進 ................................ 7
8.中長期的な経営基盤整備に向けた継続的取組み .................................. 8
9.重要な標準化の推進 .......................................................... 9
10.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応 .................................... 9
Ⅱ
平成 28 年度の主要業務 ....................................................... 10
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備 ................................ 10
2.世界的な過剰生産能力問題の改善と健全な自由貿易体制の確立に向けた取組み .... 11
3.諸外国における鉄鋼関連情勢の的確な把握と機動的な対応力の強化に向けた取組み 12
4.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の推進 ........................ 13
5.安全水準向上並びに防災に向けた取組み ...................................... 16
6.地球温暖化問題への的確な対応及び国際連携を含めた積極的な対応 .............. 17
7.環境保全及び資源の有効利用に向けた活動の推進 .............................. 19
8.中長期的な経営基盤整備に向けた継続的取組み ................................ 21
9.重要な標準化の推進 ........................................................ 27
10.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応 .................................. 28
11.その他 .................................................................... 28
Ⅰ 平成 28 年度の重点課題
政府による「アベノミクス新三本の矢」の政策提示、TPPの大筋合意やCOP21
でのパリ協定採択など、今後の日本経済に影響を及ぼす重要な動きが国内
外でみられた中、中国をはじめとする新興国経済の減速や金融市場が世界
的に不安定な動きをみせている等、日本経済は景気下振れリスクの高い状
況が続いている。
日本経済の持続的な成長を確かなものとするためには、企業の国際競争
力の維持・向上並びに経営基盤の強化につながる観点からの対応が必要で
ある。
平成 28 年度は、企業の国際競争力・経営基盤強化を図るため、エネルギ
ーコストに関する諸課題の解消並びに法人課税における企業の実質的負担
軽減の実現に向けた法人税改革の更なる推進を求めていくとともに、国際
鉄鋼市場における過剰生産能力問題の改善及び貿易秩序の確立に向けて、
政府と連携して積極的に取り組んでいく。
また、安全な職場環境の整備を強力に推進するとともに、社会インフラ
老朽化への対応を通じた国土強靭化への貢献、地球温暖化・環境保全の諸
課題について的確に対応していく。
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備
(1)電力問題への対応とエネルギー・地球温暖化対策の再構築に向けた取組み
・ 「低炭素社会実行計画」の着実な遂行に引き続き注力するとともに、政府
の地球温暖化対策計画の策定にあたり、経団連とも連携しながら、税制や
排出権取引等、CO2排出抑制策としての経済的手法をはじめ、国際公平性
やわが国の産業競争力を損ないかねない施策導入に傾くことの無いよう検
討状況の把握に努め、かかる施策の問題点について明確に指摘、発信でき
るよう準備を進めるとともに、低炭素社会実行計画が新たな政府の温対計
画の産業部門における対策の柱として位置付けられるよう政府等関係先に
働きかけを行う。
・ 電力問題については、電力多消費産業等の窮状に鑑み、昨年策定された長
期エネルギー需給見通しで示された電力コストの引き下げ幅について不断
の見直しを求め、震災前の水準まで戻すことを念頭に置き、一層の引き下
げを求めていく。
・ 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)については、太陽光発
電への偏重の抜本的な是正、電炉業等に対する現行減免率の維持に加え、
-1-
賦課金増加に繋がるような制度見直しとならぬよう政府等関係先に対し働
きかけを行い、改正法案の早期成立と、制度の速やかかつ適切な施行を求
めていく。
・ 電力コスト負担を緩和する観点から、電力多消費産業に配慮した省エネ補
助金等の各種助成制度の一層の充実に向けた働きかけを行っていく。
・ 地球温暖化対策税の廃止を含めた抜本的見直しを引き続き求めるとともに、
森林吸収源に係わる企業負担を伴う新税の創設反対等について政府等関係
先に訴えていく。
・ 石炭火力発電に対して、過度な CO2排出規制がかからないよう、政府等
関係先に訴えていく。
・ 安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会の審査に合格した原子力発電
所の早期再稼働を可能とする環境整備を強く求めていく。
(2)企業の競争力強化に資する法人課税改革への取組み
・ 平成 29 年度税制改正では、法人実効税率を将来的に OECD 平均の 25%程
度まで着実に引下げることを目指すとともに、償却資産に対する固定資産
税を縮減・廃止する等、企業の実質的な税負担軽減の適正化に向け、経団
連等関係団体と連携して推進活動を展開する。
(3)国際競争環境整備に向けた政府の取組みへの協力
・ わが国鉄鋼製品及び鉄鋼需要産業の最終製品に対する更なる貿易自由化、
国際貿易・投資ルールの整備等に向けて、環太平洋パートナーシップ(TP
P)協定の早期発効や日中韓 FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、
日 EU 経済連携協定等、交渉中の広域および二国間経済連携協定における
政府の取組みに積極的に協力する。
2.世界的な過剰生産能力問題の改善と健全な自由貿易体制の確立に向けた取組み
(1)過剰生産能力問題による急激な鉄鋼需給環境悪化への対応
・ 過剰生産能力が世界的な鉄鋼需給環境の悪化をもたらしていることから、
早期に市場の安定化を図るべく、各国の政府関係機関等による鉄鋼生産設
備に対する市場歪曲的な支援措置の是正に向けた日本政府の活動に対する
支援を行うとともに、関係各国の政府及び鉄鋼業界関係者等との間でわが
国における鉄鋼業の構造改善に向けた経験等に関する情報の共有等を図り、
関係各国における鉄鋼業の構造調整が早期に進展するようサポートしてい
-2-
く。
(2)通商問題の早期解決と健全な貿易環境の維持
・ 国際鉄鋼市場における通商摩擦動向をタイムリーに把握し、対日通商問題
に対し適切な対応を行う。
・ 鉄鋼対話等を通じ、主要貿易相手国との相互理解の促進に努め、通商摩擦
の未然防止と健全な貿易環境の維持に努める。
・ わが国への不公正な鉄鋼輸出への対応として、これまで以上にモニタリン
グ体制の強化を図り、必要に応じて政府関係機関等に対する迅速な働きか
けが可能となるよう努める。
(3)情報提供の迅速化・価値向上に向けた基盤整備
・ 各国貿易統計、通商法提訴の内容、各国関税等に関する情報を一括管理す
るデータベースの整備・運用を通して会員各社への基礎的な数値データ提
供の迅速化を図るとともに、複数情報の総合的分析など、提供する情報の
付加価値向上を目指す。
3.諸外国における鉄鋼関連情勢の的確な把握と機動的な対応力の強化に向けた取
組み
(1)海外事務所(北京事務所、東南アジア地域事務所)を通じた対応
・ 鉄連の海外事務所(北京事務所、東南アジア地域事務所)を拠点として、
中国および ASEAN 諸国の鉄鋼団体との関係強化を図り、当該国・地域にお
ける鉄鋼政策、鉄鋼需給動向、通商課題等に係る情報の収集・分析を進め
るとともに、通商問題、環境・エネルギー問題等について機動的な対応を
行う。
(2)ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との交流促進に向けた取組み
・ AISC との間で、通商、環境、標準化の各分野における連携の促進と強化を図
る。
-通 商 分 野:事務局間会合を定期的に開催し、通商摩擦の未然防止や問
題発生時に機動的かつ迅速な対応等が可能となるよう連携
強化に努める。
-環 境 分 野:省エネルギー診断や官民鉄鋼会合等を実施し、省エネ・環
境保全・リサイクル分野での協力関係を強化する。ASEAN
各国に適した技術カスタマイズドリストの見直し・充実化
-3-
を通して、技術の移転・普及を図る。
「鉄鋼 CO2排出量・原単位計算方法」(ISO14404)を用いた
エネルギーマネージメントシステムの普及啓発活動を引き
続き実施する。
-標準化分野:ASEAN6ヶ国各国と鋼材規格標準化に係る検討会を継続開催
し、標準化に係る交流・協力を促進する。
(3)米国鉄鋼協会(AISI)及びインド鉄鋼協会(ISA)との事務局間交流促進
・ AISI との定期的な事務局間交流を継続して相互理解の促進を図り、米国
における通商問題や環境・エネルギー問題等に係る動向のタイムリーな把
握に努める。
・ ISA との事務局間交流(ISA 側からは鉄鋼メーカー関係者も適宜参加)を
定期的に実施し、通商問題や環境・エネルギー問題等の各分野における意
見交換を通じて相互理解の醸成、促進を図り、通商摩擦の未然防止に努め
るとともに、環境・省エネに関わる要望等について、既存の日印鉄鋼官民
協力スキームを中心に協力を強化する。
4.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の推進
(1)鋼構造による国土強靭化に資する提案活動の積極展開
・ 「国土強靭化基本計画」や「国土強靭化地域計画」に関連して国及び地方
自治体が進める取組みに貢献すべく、鋼構造の技術・工法を提案する。
・ 災害に強い国土形成に向け、国内各地域の「防災・減災対策の強化」や
「老朽インフラ設備・公共施設の維持・更新」に寄与すべく、鉄鋼業が培
ってきた鋼構造技術を用いた技術・工法についての提案活動を実施する。
(2)安全・安心な社会基盤づくりに資する研究活動の実施
-防災・減災に関する研究
・ 津波・液状化・長周期地震対策等の技術課題について、平成 27 年度より
スタートした「第Ⅳ期鋼構造研究・教育助成事業」の活用等を通して基
準化・法制化に向けた取組みを強化する。
-社会インフラの維持・更新に関する研究
・ 社会インフラの老朽化問題の解決に向け、公共施設の長寿命化や更新に
資する技術開発を推進し、鋼構造の普及・拡大につなげる。
-4-
(3)アジア新興国における鋼構造普及に向けた活動の展開
・ 鋼構造の普及が見込まれるアジア新興国における日本の高品質・高性能
な鋼材とその利用技術の普及活動の一環として、平成 27 年度に引き続き、
カンボジアで公共事業運輸省、カンボジア工科大学等と共同で鋼構造普
及セミナーを開催し、日本鋼構造シンパ形成とカンボジアにおける鋼構
造技術の底上げを図る。
5.安全水準向上並びに防災に向けた取組み
(1)安全水準の向上に向けた諸活動の推進
・ 平成 28 年初よりの重大(死亡)災害の多発状況に鑑み、頻発している墜
落・転落事故の防止を中心に、徹底した原因の把握・分析を通じて、安全
管理体制の強化に向けた所要の対策を講じ、事態の改善を図る。
・ ロールによる挟まれ・巻き込まれ災害防止に向けて、災害発生現場視察等
を通じて抽出された外部専門家の指摘を踏まえ、新たな視点での対策の検
討・推進を図る。
・ 現在検討が進められている労働安全衛生マネジメントシステムに関する国
際規格(ISO45001)のJIS原案作成委員会に鉄鋼委員を派遣し、業界意
見の反映を図る。
(2)防災自主行動計画の推進
・ 「石油コンビナート等における災害防止に向けた行動計画」に基づき、以
下の取り組みを通して会員企業の事故防止に向けた取組みを支援する。
-事故情報の収集範囲を拡大し、分析結果を会員会社に共有する。
-事故情報の共有化については、平成 27 年度中に講じた強化策の継続的運
用と定着を図る。
6.地球温暖化問題への的確な対応及び国際連携を含めた積極的な展開
(1)「低炭素社会実行計画」への取組み
-エコプロセスにおける着実な省エネルギーの推進
・ 2020 年のそれぞれの生産量において想定されるCO2 排出量(BAU 排出
量)から、最先端技術の最大限の導入による 500 万トン- CO2削減の目
標達成に向けて、毎年度その進捗状況を的確かつ積極的にフォローアッ
プし、政府審議会、経団連第三者評価委員会へ報告を行う。
-5-
・ 平成 25 年度末に取得した「ISO50001 エネルギーマネジメントシステム」
について、鉄連が現在推進する低炭素社会実行計画が ISO 規格にも合致
したものとして、その透明性・信頼性・有効性を関係機関に広く発信し
ていく。
・ 経団連の方針(平成 25 年度~平成 27 年度の成果を踏まえ、平成 28 年
度に実行計画の大幅なレビューを実施する)に倣い、これまでの政府審
議会における指摘事項も踏まえ、目標の見直しの要否について検討を行
う。その際、容器包装リサイクル制度の制度見直しの動向を踏まえ、廃
プラ処理に伴う CO2削減量(200 万㌧)の取り扱いについても改めて検
討する。
・ 2030 年以降の「低炭素社会実行計画」のあり方について、鉄鋼業の幅広
い貢献をより適切に反映できるよう前広な検討に着手する。
-エコソリューションの積極的な推進
・ 中国・インド・ASEAN をはじめとする鉄鋼業の成長が著しい国・地域と
の協力や、worldsteel 等の多国間の活動を継続して行いつつ、日本鉄鋼
業の優れた環境・省エネ技術の技術移転・普及を促進し、世界規模での
CO2 削減に貢献する。
・ 政府が進める二国間クレジット制度の動向を注視するとともに、日本鉄
鋼業の国際貢献が真に実効性のある地球温暖化対策として適切に評価さ
れるよう、政府等関係先に適宜意見具申等を行う。
-エコプロダクトの評価制度の設計推進と構築
・ 高機能鋼材の製品使用段階での CO2削減への貢献が、より定性的、定
量的に評価されるよう、経団連や関係団体とも連携して政府等関係先に
よる適切な評価制度の構築を図っていくとともに、鉄鋼業独自の取組み
として高機能鋼材の対象品種拡大(現行は 5 品種)に向けた検討を行う。
-「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE 50)」の推進
・ 「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」のフェーズⅠステップ
2(平成 25~29 年度)の主要開発課題である高炉の CO2排出削減技術
開発では、10 ㎥規模試験高炉において、送風操作条件等を変更した各種
試験の実施による水素還元効果の検証を行い、総合プロセス評価に必要
な操業データを収集する。
高炉ガスからの CO2分離回収技術開発では、CO2分離回収コスト 2,000
-6-
円/t‐CO2の実現可能な技術を具体化するため、再生温度および分離
回収エネルギーの低減など、27 年度に得られた知見の深堀を行う。
(2)国際連携等の積極的な展開
・ 日印鉄鋼官民協力会合、日アセアン官民鉄鋼会合、日中鉄鋼業環境保全・
省エネ先進技術専門家交流会、worldsteel 関連会合等における国際連携
を積極的に展開するとともに、他の地域との連携の可能性等についても模
索していく。
・ ISO14404 に対抗する GHG 排出量計算方法の欧州提案規格である ISO19694
の検討状況を注視し、各国とも協力して日本鉄鋼業の意見反映を図る。
(3)鉄鋼業の LCA 対応業務の推進
・ 平成 27 年度に新規提案を行った鉄鋼業のリサイクル特性が正しく評価さ
れる LCA 方法論の国際規格化に向けて、ISO TC17WG24 においてドラフト作
成を着実に進める。
・ worldsteel が進める鉄鋼業の LCI データの更新作業に協力し、その結果を
踏まえ、鉄鋼材料の優位性を関係機関に発信、周知を図っていく。
7.環境保全及び資源の有効利用に向けた活動の推進
(1)水銀大気排出の抑制に向けた活動
・ 改正大気汚染防止法で法に基づく排出規制が課せられる「水銀排出施設」
に係わる排出規制が合理的なものとなるよう、政府関係先への意見具申等
を適宜実施する。
・ 同法で事業者の自主管理に委ねられる「要排出抑制施設」の自主的な水銀
排出抑制の実施に向け、自主的取組の遵守基準や実施フロー等を検討する
とともに、政府等関係先への理解活動を実施する。
(2)PM2.5 国内対策に係わる検討への協力等
・ 国内対策が有効かつ合理的なものとなるよう、政府関係先への意見具申等
を適宜実施する。
(3)微量 PCB の処理促進に関する取組み
・ 微量 PCB が付着する抜油後の容器に関し、製鋼用電気炉の活用を含む
合理的な処理の仕組みが早期に制度化されるよう、経団連を通じ、政
府関係先に働きかけを行う。
-7-
(4)鉄鋼副産物の最終処分量減量化に向けた活動
・ 第 3 次環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕で掲げた鉄鋼副産物の最終
処分量削減目標達成に向けて、再資源化に向けた取組みを推進する。
(5)鉄鋼スラグの利用拡大に向けた活動
・ 鉄鋼スラグの管理に関するガイドラインの実効性の担保を図り、製品の品
質管理・販売管理に引き続き万全を期す。
・ 海域利用など新規の需要開拓を目指した技術開発や公的認知活動に引き
続き取り組む。
・ 鉄鋼スラグ製品の輸出円滑化に向けた活動を通じ国際的な環境保全への一
層の貢献を図る。
(6)廃プラスチック等、廃棄物の製鉄プロセスでの利用拡大に向けた活動
・ 産業構造審議会と中央環境審議会の合同審議会で取りまとめられる「容器
包装リサイクル制度見直し」の内容をフォローしつつ、ケミカルリサイク
ルの利用拡大に向けて、材料リサイクル手法の優先的取り扱いの抜本的な
見直しによる市場競争の促進及び国としての集荷システム確立による更な
る集荷量向上について政府関係先への働きかけを継続する。
8.中長期的な経営基盤整備に向けた継続的取組み
(1)業界の社会的認知度向上活動の推進
・ 小学校の授業で鉄鋼業が取り上げられる機会の拡大を図るため、自治体の
教育委員会に働きかけ、社会科副教材「ハツラツ鉄学」の全校配布化を進
めるとともに、配布先における活用状況の把握に努める。
・ 小学校教諭を対象に実施している製鉄所見学会について、中学校教諭も対
象とすべく関係者と検討を行う。
・ 全国の科学ミュージアムと連携した理科実験教室「鉄の不思議教室」につ
いて内容のブラッシュアップを行うとともに、「たたら製鉄体験イベン
ト」、科学技術館の鉄鋼展示ブース「鉄の丸公園1丁目」ワークショップ
(実験・工作)といった体験型イベントを通して、将来を担う小学生にも
のづくりの楽しさと素材としての鉄の面白さを伝える活動を推進する。
(2)優秀な人材確保活動
・ 平成 27 年度に実施した 29 年卒業予定の学生に向けた活動を評価し、30
年卒業予定の学生に対する効果的な鉄鋼業の PR 活動について検討・実施
-8-
する。
(3)原料安定確保に向けた取組み
・ 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)等の公的金融機関における原
料権益確保のための各種制度について、改善余地の検討を行い、必要に応
じ改善に向けた働きかけを実施する。
・ これまで動きの有ったインドネシアやフィリピンを始めとする資源供給国
における輸出制限措置に係る動向を広く情報収集し、必要に応じ関係機関
と連携して適宜対応する。
(4)効率的・円滑な原料輸送に向けた取組み
・ 平成 23 年 5 月に選定された鉄鉱石を含む国際バルク戦略港湾(木更津、
水島・福山の2港)の港湾能力の早期増強に向け、推進主体である国際バ
ルク戦略港湾推進会議及び関係業界と連携し、要望活動を継続実施する。
9.重要な標準化の推進
(1)標準化
・ 製造者及びユーザーの要求に基づき、鉄鉱石、鋼材、試験検査、取引など
の幅広い規格化活動を迅速に実施する。主要なものは以下の通り。
-JIS 規格1件(鋼材・分析)の新規制定及び 17 件の改正。
-「ぶりき及びぶりき原板」の ISO 規格 3 件の JIS 発行を目指す。
(2) 国際標準化会議対応
・ 18 件の ISO 標準化会議に参画し、所要の対応を行う。
(3)ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との交流に向けた取組み
・ ASEAN6ヵ国の各国関係者と標準化に関する会合の継続開催に向けて所要
の対応を行う。
10.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応
○
平成 31 年度までの一般会計収支見通しの作成
・ 平成 26 年度で税務上の繰越欠損金が解消したことによる賃料収入に関わ
る法人税の納税等による支出増や会費外収入の減少も想定され、会費水準
の現状維持が極めて難しい状況となっていることから、平成 31 年度まで
の向こう4年間の収支見通しを策定し、事業を推進する上での取組課題と
効率的運営について検討を行う。
-9-
Ⅱ 平成 28 年度の主要業務
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備
日本経済の持続的な成長を確かなものとするためには、事業環境の国際イコールフッテイン
グを実現し、企業活力の向上に資する基盤整備を行うとの観点からの対応が必要である。
企業の国際競争力・経営基盤強化を図るため、エネルギーコストに関する諸課題の解消並び
に法人課税における企業の実質的負担軽減の実現に向けた法人税改革の更なる推進を求めてい
くとともに、国際貿易・投資ルールの整備に向けた政府の取り組みに積極的に協力する。
(1)電力問題への対応とエネルギー・地球温暖化対策の再構築に向けた取組み
・ COP21でのパリ協定採択を受け、国内でも地球温暖化対策計画が取りまとめられて
いく状況を踏まえ、鉄連が取り組む「低炭素社会実行計画」を着実に推進するとともに、
経団連と連携の下、税制や排出権取引等の CO2 排出抑制策としての経済的手法導入など、
国際的公平性を欠き、わが国産業競争力への甚大な影響を与えかねない政策導入に傾く
ことのないよう検討状況の動きを注視し、こうした施策等の問題点について広く社会に
発信できるよう準備を進める。併せて低炭素社会実行計画が政府の地球温暖化対策計画
における産業部門の対策の柱と位置付けられるよう努める。
・ 電力問題については、国際競争に晒されている電力多消費産業等において省エネによる
コスト削減が限界にきている現状に鑑み、昨年策定された長期エネルギー需給見通しで
示された電力コストの引き下げ幅について、不断の見直しを行い、震災前の水準にまで
戻すことを念頭に置き、一層の電力コストの引き下げを行うよう政府等関係先に訴えて
いく。
・ 再生可能エネルギー全量買取制度については、太陽光発電への偏重に早急に歯止めをか
けるための買取価格決定方式並びに遡及適用も含めた認定制度の抜本的な見直し、厳し
い国際競争に晒されつつも省エネ・省電力に真摯に取り組んでいる電炉業等に対する現
行減免率の維持に加え、産業活動の妨げとなる賦課金増加に繋がるような制度見直しと
ならぬよう、改正法案の早期成立と、制度の速やかかつ適切な施行を求めていく。
・ なお、電力コスト負担を緩和する観点から、電力多消費産業に配慮した省エネ補助金等
の各種助成制度の一層の内容充実が行われ、制度がさらに使いやすくなるよう働きかけ
を行っていく。
・ エネルギーコスト上昇に拍車をかけている地球温暖化対策税については、廃止も含めた
抜本的な見直しを求めていく。また、森林吸収源対策の予算措置として同税の使途が拡
大されること、新たな企業負担を伴う税が創設されることについて、経団連等と連携の
下、引き続き産業界の総意として反対であることを訴えていく。
・ 石炭火力発電に対して、電力コストの増大につながるような過度な CO2 排出規制がかか
らないよう、他団体とも協力のうえ、政府等関係先に対し意見具申を行っていく。
・ 安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会の審査に合格した原子力発電所の早期再稼働
が可能となるよう政府等関係先に働きかけを行っていく。
(2) 企業の競争力強化に資する法人課税改革への取組み
・ 平成 29 年度税制改正では、法人税改革において法人実効税率の引下げにあたり税収中立
とされたこと、また償却資産に対する固定資産税の軽減措置が限定的なものにとどまっ
たこと等から、企業の実質的な税負担軽減の適正化に向け、経団連等関係団体と連携し
て推進活動を展開する。
-10-
(3) 国際競争環境整備に向けた政府の取組みへの協力
・ わが国鉄鋼製品及び鉄鋼需要産業の最終製品に対する更なる貿易自由化、国際貿易・投
資ルールの整備等に向けて、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の早期発効や日中韓
FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日 EU 経済連携協定等、交渉中の広域およ
び二国間経済連携協定における政府の取組みに積極的に協力する。
・ 発効済の経済連携協定(EPA)については、締結後の一般見直しや EPA に基づき設置されて
いるビジネス環境整備小委員会を通じ、鉄鋼業界の抱える課題が改善されるよう、政府
に意見・要望等を具申する。
2.世界的な過剰生産能力問題の改善と健全な自由貿易体制の確立に向けた取組み
世界鉄鋼業界が抱える過剰生産能力問題や現下の対日通商問題について、日本政府との連携
の下、事態の改善に向けて適切な対応を行うとともに、国際鉄鋼市場における通商摩擦動向を
タイムリーに把握し、政府が主催する鉄鋼対話等を通じて主要貿易相手国との相互理解の促進
に努め、通商摩擦の未然防止と健全な鉄鋼貿易環境の維持に努める。
また、中国、韓国、台湾等からのわが国への鋼材輸出について、不当廉売等の不公正な輸出
行為が行われていないか、従来以上に頻度を上げてモニタリングを実施するとともに、その精
度向上に努め、不公正な貿易行為により日本鉄鋼業への悪影響が認められた場合には、政府関
係先とも相談の上、通商法措置の発動を求めるべく適切な対応を行う。
(1) 過剰生産能力問題による急激な鉄鋼需給環境悪化への対応
・ 鉄鋼の過剰生産能力が世界的な鉄鋼需給環境の悪化をもたらしているなか、早期に市場
の安定化を図るべく、OECD 鉄鋼委員会や日本政府主催の二国間鉄鋼対話等における鉄鋼
生産能力過剰問題の検討に向けた日本政府の取組みを積極的に支援するほか、業界独自
の活動も行っていく。
・ 具体的には、各国の政府関係機関等による鉄鋼生産設備に対する市場歪曲的な支援措置
の是正に向けた日本政府の活動への支援や、わが国における鉄鋼業の構造改善に向けた
経験等に関し、関係各国との情報の共有等を図り、関係各国における鉄鋼業の構造調整
をサポートしていく。
(2) 通商問題の早期解決と健全な貿易環境の維持
・ 世界的に鉄鋼製品を巡る保護貿易的措置が多数発生するなか、日本政府が主催する二国
間鉄鋼対話に積極的に参画し、相手国関係者との相互理解の醸成、促進を図る。
・ 日本政府や現地関係者等と連携して通商関連動向に関する情報の収集、分析を迅速に行
い、通商問題の早期解決と通商摩擦の未然防止に努める。
(3) 対米事業活動
・ 鉄連の対米広報窓口であるニューヨーク JSIC(Japan Steel Information Center)を通
じ、現地の広報エージェントおよび米国顧問弁護士を有効活用して関連情報の収集・分
析を行うとともに、米国需要業界等に対し、日本鉄鋼業への理解の向上に努める。
(4) わが国への不公正な鉄鋼輸出への対応に向けた活動
・ 中国、韓国、台湾等からのわが国への鋼材輸出について、不当廉売等の不公正な輸出行
為が行われていないか、従来以上に頻度を上げてモニタリングを実施するとともにその
精度向上に努める。モニタリングの結果、不公正な貿易行為により日本鉄鋼業への悪影
響が認められた場合には、政府関係先とも相談の上、通商法措置の発動を求めるべく適
切な対応を行う。
-11-
(5) 情報提供の迅速化・価値向上に向けた基盤整備
・ 会員からの問合せ対応の迅速化と提供する情報の価値向上を図るため、各国貿易統計、
通商法提訴の内容、各国関税等に関する情報を一括管理するデータベースを整備・運用
する IT 基盤開発を完了し、会員各社への基礎的な数値データ提供の迅速化を図るととも
に、複数情報の総合的分析など、提供する情報の付加価値向上を目指す。
3.諸外国における鉄鋼関連情勢の的確な把握と機動的な対応力の強化に向けた取組み
鉄連海外事務所(北京事務所、東南アジア地域事務所)を拠点として、中国および ASEAN 諸
国における鉄鋼関連情勢の的確な把握を行い、問題発生時には機動的かつ迅速な対応を行う。
また、ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)、米国鉄鋼協会(AISI)との事務局間交流を継続して行うほ
か、インド鉄鋼協会(ISA)との交流を新たに開始する。
(1) 海外事務所(北京事務所、東南アジア地域事務所)を通じた対応
・中国および ASEAN 諸国の鉄鋼団体との関係強化を図り、当該国・地域における鉄鋼政策、
鉄鋼需給動向、通商課題等に係る情報の収集・分析を進め、通商問題、環境・エネルギ
ー問題等への機動的な対応を行う。
<北京事務所>
・ 中国の一般経済や鉄鋼需給、中国鉄鋼業界の動向把握および通商関連情報の収集と通商
問題への対応を主体に、下記業務を推進する。
① 中国関連機関との緊密な交流・情報収集
② 鉄鋼業の構造調整・需給動向・貿易・通商問題等に関する情報収集
③ 通商、環境分野における二国間交流への支援
④ 現地報告会の定期的な開催
⑤ 日本政府出先機関等への最新情報の提供
<東南アジア地域事務所>
・東南アジア各国の鉄鋼業界の動向把握および通商関連情報の収集と通商問題への対応や、
鉄連と AISC との交流活動の支援等を主体に、下記業務を推進する。
① 東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)等各国鉄鋼団体との交流・情報収集
② 東南アジア地域における通商問題への機動的な対応
③ 現地通商連絡会の運営と参画
④ AISC との覚書に基づく通商、環境、統計分野における交流促進に向けた支援
⑤ 日本政府関連機関等への最新情報の提供
(2) ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との交流促進に向けた取組み
・ 通商、環境、標準化の 3 分野において、東南アジア鉄鋼協会との交流促進や日本鉄鋼業
のプレゼンス向上に資する諸活動を展開する。
-通商分野
・ AISC との間で事務局間会合を定期的に開催し、相互の理解促進を通じて通商摩擦の未
然防止や問題発生時の機動的かつ迅速な対応等が可能となるよう連携強化に努める。
-環境分野
・ 政府の協力を得て以下の 3 点を実施する。
①ASEAN 主要国等でラウンドテーブルやワークショップを開催し、ISO14404 の普及・啓
発活動を実施するとともに、これらの機会を通して各国のニーズを把握する。
②タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン等の ASEAN 主要国で ISO14404 の手法に
-12-
基づいた製鉄所診断を実施する。
③平成 26 年度に策定した環境・省エネ技術の ASEAN 各国版カスタマイズドリストの見
直しを適宜行っていく。
-標準化分野
・ AISC 参加各国関係者との鋼材規格の標準化に係る交流・協力を継続促進する。
(3) 米国鉄鋼協会(AISI)及びインド鉄鋼協会(ISA)との事務局間交流促進
・ AISI との定期的な事務局間交流を継続して相互理解の促進を図り、米国における通商問
題や環境・エネルギー問題に係る動向のタイムリーな把握に努める。
・ ISA との事務局間交流(ISA 側からは鉄鋼メーカー関係者も適宜参加)を定期的に実施し、
通商問題や環境・エネルギー問題等の各分野における意見交換を通じて相互理解の醸成、
促進を図り、通商摩擦の未然防止に努める。なお、環境・省エネに関わる要望等につい
ては既存の日印鉄鋼官民協力スキームを中心に協力を強化する。
4.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の推進
安心・安全が確保できる社会基盤作りに貢献することを目的として、国土強靭化への取組み
に加え、大規模化・激甚化する自然災害に備えるとの観点から、「防災・減災対策の強化」及
び「老朽インフラ設備・公共施設の維持・更新」に寄与する鋼構造の技術・工法に関する提
案・普及活動を積極的に推進するとともに、新たな技術課題について研究を進め、将来の基準
化・法制化を見据えた調査研究に取り組む。
(1) 鋼構造による国土強靭化に資する提案活動の積極展開
・ 平成 27 年度に引き続き「国土強靭化パンフレット」を活用した鋼構造の技術・工法に関
する提案活動を実施する。
・ 橋梁、基礎(道路・港湾・河川構造物)、建築の各分野において、
「防災・減災対策の強化」
や「老朽インフラ設備・公共施設の更新」に関してそれぞれ進められてきた各種研究・
活動成果をセミナーやシンポジウムで PR するほか、学・官・関連業界と連携して鋼構造
技術の提案・普及促進活動を継続実施する。
○橋梁分野
関連学協会への講師派遣等を通じて、鋼橋の普及活動を展開する。また、橋梁発注者
やコンサルタント等へ広く技術 PR するため、橋梁用高性能鋼材の技術資料や耐候性
鋼のパンフレットを刊行する。
○基礎(道路・港湾・河川構造物)分野
土木鋼構造シンポジウムにおける助成事業の成果公表や、各地区ネットワークにおけ
る鋼構造教育活性化活動支援、および各地方整備局主催の技術発表会への論文投稿・
発表などを通じた普及活動を展開する。
○建築分野
「公共建築物における鉄骨造の優位性等に関する調査・研究」についての委託調査よ
り得られた研究成果を PR リーフレット(改訂版)や技術資料に纏め、鉄構業団体と
連携した鉄骨造化活動を引き続き全国展開するとともに、「建築構造用鋼材と利用技
術セミナー」等で報告する。
(2) 安心・安全な社会基盤づくりに資する研究活動の実施
-防災・減災に関する研究
・ 津波・液状化・長周期地震動対策等に対する技術的課題について、平成 27 年度よりス
-13-
タートした「第Ⅳ期鋼構造研究・教育助成事業」の活用を中心に基準化・法制化に向け
た取組みを強化する。
○建
築:「長周期地震動を受ける鋼部材の疲労特性解明」、「各種鉄骨溶接部の
必要性能明確化・業界標準化」、「H-SA700・CFT 部材への軟質継手適
用」、「巨大地震に対する中低層鉄骨造建築物の梁耐震設計法提案」等、
鋼構造の安全性・競争力の向上を目指す研究や「鋼材高温特性調査特別
委員会」による耐火構造認定の適用鋼種拡大の推進
○土
木: 「粘り強い防波堤、海岸保全施設への鋼材利用技術」、「河川堤防の補
強」等の研究を推進
-社会インフラの維持・更新に関する研究
・ 社会インフラの老朽化進展問題に対し、その解決に資する鋼構造技術の高度化に取組
み、鋼構造化によるインフラ設備・公共施設の長寿命化・更新に資する研究開発を推進
する。
○橋梁分野
経年劣化が進む鋼橋について、安心・安全の確保の観点から、鋼橋の補修、予防保
全等による延命化や機能向上に資する研究活動を推進するとともに、高性能鋼
(SBHS)の設計・基準類への反映を目指した研究や耐候性鋼に関する調査を日本鋼
構造協会や日本橋梁建設協会等の関係団体と連携して実施する。
○道路・港湾・河川構造物基礎分野
新設構造物の長期供用化を実現するべく、大学および土木研究所、港湾空港技研等
との共同研究等により、劣化環境の厳しい港湾構造物の基礎に着目した LCC 評価技
術の開発を継続して実施する。また、本格的な更新時代の到来に向け、関係団体と
連携のもと、鋼材を用いた補強・延命、更新技術の検討を推進する。
○建築分野
中長期的な人口動態の変化への対応と防災拠点機能が必要な庁舎、学校、病院等公
共施設における鋼構造化を推進すべく、日本鋼構造協会に研究委託している鋼構造
による優位性検証(可変性、コスト・短工期、メンテナンス等)および遮音・振
動・断熱性能等の実態調査を継続実施し、最終報告書として取りまとめる。
(3) 建設用鋼材の環境優位性に関する理解度向上活動の推進
-建設用鋼材の環境 PR 活動
・ 建設分野におけるリサイクル性を考慮した鋼材の環境優位性の明確化に加え、企業の環
境経営戦略を考慮した新たな環境評価手法の研究に取り組む。また、環境に優しい建設
用鋼材の普及促進に向け、セミナーの開催、パンフレットの配付、関連学協会への参画
等、建設用鋼材の環境PR活動を積極的に展開し、公共事業の入札制度やグリーン購入
法におけるリサイクル性を考慮した LCA 手法の導入を目指す。
(4) アジア新興国における鋼構造普及に向けた活動の展開
-カンボジアにおける鋼構造普及活動の推進
・ 平成 27 年度に引き続き、カンボジアのプノンペンにて公共事業運輸省・カンボジア工
科大学などと共同で技術セミナーを開催し、日本鋼構造シンパ形成と鋼構造技術の底上
げを図る。
-海外向け鋼構造技術情報誌「Steel Construction Today & Tomorrow」による PR 活動
・ 英語版(本誌)に加え、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、クメール語の翻訳テキ
-14-
スト(画像挿入版)を発行して東南アジア諸国を中心に広く配布し、日本の鋼構造技術
への理解浸透を図る。
・ 冊子内容の更なる改善、配布先の見直しなど一層の効果的活用方法を検討、推進する。
(5) 新しい鋼材・利用技術開発活動と利用技術の整備
・ 新しい鋼材およびその利用技術の研究開発を進め、その利用技術の整備に取り組む。主
な研究内容は次の通りである。
① 鋼部材の座屈に対する設計法の合理化
② 小梁から耐火被覆を省略した床システムの耐火性能評価方法確立
③ 冷間成形角形鋼管の溶接・加工品質向上と施工合理化
④ 港湾鋼構造物の腐食・防食に関する研究
⑤ 橋梁用高性能鋼材の適用拡大に関する研究
⑥ 橋梁の維持管理や高性能鋼材の適用拡大に関する研究
(6) 共通基盤整備
・ 共通基盤整備の調査研究・開発活動を「産・官・学」の連携により実施し、建築分野に
おける建築基準法・ガイドライン・指針等への反映を行う。また、土木分野では道路橋
示方書・港湾基準等への反映を行う。実施にあたっては、鋼構造研究・教育助成事業を
活用しつつ推進する。
(7) 普及促進・教育啓蒙活動
・ 業界内外向けのセミナー・シンポジウム等の開催を通じ、鋼構造の有用性等の PR を実施
する。また、新鋼材およびその利用技術開発等の普及促進・教育啓蒙活動を、様々な手
法により内外において展開する。
-「鋼構造研究・教育助成事業」の推進
・ 鋼構造に関する研究の活性化と健全な普及促進を目的に、鋼構造及びその周辺技術に関
わる研究者への研究・教育助成を実施する。
・ 建築・土木部門共催で、平成 27 年度給付対象者(公募)による研究発表会を開催す
る。
-建築分野の普及促進活動
・ 大学・高専の建築学科学生等を対象に、フィールドスタディ(製鉄所や建設関連現場の
見学会)やセミナーの開催
・ 研究成果を鋼構造技術者に普及するため「建築構造用鋼材と利用技術セミナー」を開催
・ 意匠性に優れた鋼構造作品を写真等で紹介する「スチールデザイン」誌の編集・発行
・ 公共建築物の鋼構造化推進に向けた PR 活動の推進
・ SA440 設計・溶接施工指針改訂版の普及
・ 助成事業の成果である「ブレース付コラム-H 構造の耐震設計法」等の新技術を盛り込
んだ日本建築センター「冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル」の改訂
-土木・橋梁分野の普及促進活動
・ 土木鋼構造研究シンポジウム(土木分野の研究成果の発表)の開催
・ 国土交通省、土木学会等が主催する技術発表会への協賛(後援)及び講演による土木用
鋼材の PR
・ 土木分野を学ぶ学生を対象とした製鉄所見学会の開催
・ 全国の若手土木鋼構造研究者との交流活動の実施
・ ジャパンスチールブリッジコンペティションへの積極支援
-15-
-造船分野の普及促進活動
・ 国際的な耐食鋼の認知活動の展開
・ 造船用鋼材の技術課題の検討
-スチール缶の普及促進活動
(8) 建材薄板技術・普及委員会関係
・ 建材用亜鉛メッキ鋼板に関する技術課題の検討及び普及活動のため、下記の活動を展開
する。
① 窯業材との比較暴露試験の評価、暴露試験材のクラック発生現象の分析
② 鋼製建具補修用塗料の高耐食鋼板との性能評価
③ 不燃材の大臣認定に関する業務
④ 広報誌「ファインスチール」の発行
⑤ 金属屋根壁等の利用技術・普及の推進
⑥ 公共建築工事標準仕様書改訂への対応
⑦ 基礎技術分科会大会の開催
⑧ その他
・ 国土交通省等行政への対応
・ 関連団体(全国ファインスチール流通協議会、日本金属屋根協会、日本金属サイ
ディング工業会)との連携
・ ファインスチール Web サイト・Web マガジンの活用による PR 活動の実施
5.安全水準向上並びに防災に向けた取組み
安全関係では、平成 28 年初より頻発している墜落・転落事故の防止を中心に、安全管理体
制の強化に向けて所要の対策を講じる。防災関係では、「石油コンビナート等における災害防
止に向けた行動計画」に基づき、会員企業の事故防止に向けた取組みを引続き支援する。
(1) 安全管理体制の徹底と安全水準向上に向けた取組み
・ 平成 28 年初より重大災害が多発し、近年類を見ない極めて憂慮すべき状況にあることか
ら、頻発している墜落・転落事故の防止を中心に、徹底した原因の把握・分析を通じて、
安全管理体制の強化に向けた所要の対策を講じ、事態の改善を図る。
・ ロールによる挟まれ・巻き込まれ災害防止に向けて、外部専門家(労働安全衛生総合研
究所、大原記念労働科学研究所)により災害発生現場視察等を通じて抽出された新たな
対策・提言の視点を中心に検討を行い、引き続き専門家の協力も仰ぎつつ、対策チェッ
クリストの作成等、所要の対策を展開する。
・ 中央労働災害防止協会に設置される労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規
格(ISO45001)の JIS 原案作成委員会に鉄鋼委員を派遣し、適宜情報の共有化、意見集
約を行い、業界意見の反映を図る。
・ 業界の安全衛生水準の向上に向けて、以下の事項について、協力会社も含めた業界一丸
となった活動を組織的かつ計画的に推進する。
① 効果的な災害対策事例の収集と会員サイトを用いた事例による知見の活用促進
② 安全・衛生管理者研修会、安全衛生初期教育プログラムの実施による人材育成
③ 災害防止に向けた多面的な分析による災害情報の有効活用
④ 製鉄設備と安全衛生法関係政省令マップの作成
⑤ 衛生関連統計調査の分析
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⑥ 衛生スタッフ実務マニュアルの普及
⑦ メンタルヘルス対策の調査・検討
⑧ 労働安全衛生関係法令の改正に係る対応
⑨ 夏季安全衛生研修会、全国安全衛生大会、地域別分科会の開催による情報交流
⑩ 機械の本質安全化、他産業における先進的な安全対策事例の活用他
(2) 防災自主行動計画の推進
・ 「石油コンビナート等における災害防止に向けた行動計画」に基づき、事故情報の収集
範囲を軽微な事故まで拡大し、分析結果を会員会社に情報提供する。
・ 事故情報の共有化については、平成 27 年度中に講じた強化策(例. 事故報告フォーマッ
トの刷新、事故説明会等のルール明確化、事故事例のデータベース化)の継続的運用と
定着を図る。
・ 防災交流会の活動を一層促進し、設備事故再発防止に向けて、会員会社の取組みを引き
続き支援する。
6.地球温暖化問題への的確な対応及び国際連携を含めた積極的な対応
平成 28 年度は、上記1.(1)に掲げた「電力問題への対応とエネルギー・地球温暖化対
策の再構築に向けた取組み」について、政府等関係先に積極的な働きかけを行う。
加えて、地球温暖化対策及びエネルギー問題について、①低炭素社会実行計画の推進、②
国際連携の推進、③国内の温暖化対策の諸施策への対応、④革新的技術開発の推進の4つを
柱とし、事業を推進する。
(1) 「低炭素社会実行計画」への取組み
- エコプロセスにおける着実な省エネルギーの推進
・ 2020 年のそれぞれの生産量において想定される CO2排出量(BAU 排出量)から、最先
端技術の最大限の導入による 500 万トン- CO2削減の目標達成に向けて、毎年度その進
捗状況を的確かつ積極的にフォローアップし、政府審議会、経団連第三者評価委員会等
への報告対応を行う。
・ 平成 27 年度に着手した需要構造の変化に伴う生産構成の変化を的確に評価する参考指
標の策定に向け更に精査を行う。
・ 平成 25 年度末に取得した「ISO50001 エネルギーマネジメントシステム」について、鉄
連が現在推進する「低炭素社会実行計画」が ISO 規格に合致したものとして、同計画の
透明性・信頼性・有効性を関係機関に広く発信していく。
・ 経団連の方針(平成 25 年度~平成 27 年度の成果を踏まえ、平成 28 年度に実行計画の
大幅なレビューを実施する)に倣い、これまでの政府審議会における指摘事項も踏まえ、
目標の見直しの要否について検討を行う。その際、容器包装リサイクル制度の制度見直
しの動向を踏まえ、廃プラ処理に伴う CO2削減量(200 万㌧)の取り扱いについても改
めて検討する。
・ 2030 年以降の「低炭素社会実行計画」のあり方について、鉄鋼業の幅広い貢献をより適
切に反映できるよう前広な検討に着手する。
-エコソリューションの積極的な推進
・ 日 本 が 主 体 と な り 規 格 開 発 を 行 っ た 「 鉄 鋼 CO 2 排 出 量 ・ 原 単 位 計 算 方 法
(ISO14404)」、各国・地域にふさわしい省エネ・環境技術を掲載した「技術カスタマ
イズドリスト」、世界一のエネルギー効率を誇る日本の「エネルギーマネジメント手法」
-17-
を「エコソリューション推進の 3 本柱」と位置づけ、地球規模で実効性のある温暖化対
策を行っていく。
・ 「日印鉄鋼官民協力会合」、「日アセアン官民鉄鋼会合」、「日中鉄鋼業環境保全・省
エネ先進技術専門家交流会」等の各国・地域との交流に加え、worldsteel 等の活動を通
じて、日本の優れた環境・省エネ技術の普及・移転を積極的に推進していく。
・ 政府が進める二国間クレジット制度の動向を注視し、日本鉄鋼業の国際貢献が真に実効
性のある地球温暖化対策として適切に評価されるよう、適宜政府等関係先への意見具申
等の対応を図る。
-エコプロダクトの評価制度の設計推進と構築
・ 高機能鋼材の製品使用段階での CO2削減への貢献が、より定性的、定量的に評価され
るよう、経団連や関係団体とも連携して政府等関係先による適切な評価制度の構築を支
援すると同時に、鉄鋼業独自の取組みとして対象品種の拡大(現行は 5 品種)等を図っ
ていく。
-「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE 50)」の推進
・
高炉からの CO2排出削減技術開発においては、以下を中心に事業を推進する。
-試験高炉を用いた試験操業を行い、還元ガス吹き込み方法(送風操作)等の各種試験に
より水素還元の効果を検証し、総合プロセス評価に必要な操業データを獲得する。
-COG 改質技術開発について、試験設備を用いて触媒による COG 改質と部分酸化におけ
る改質性能を確認し、平成 29 年度に実証する「水素増幅率≧2倍、耐久性≧500hr」
に向けた試験条件を決定する。
・
高炉ガスからの CO2分離回収技術については、CO2を吸収させる吸収液に関する知見
を充実させるため、シミュレーションや各種溶媒を組み合わせるなどにより、高性能な
吸収液を開発し、運転条件等の最適化を図る。
・
全体プロセスの評価・検討については、試験高炉の操業試験結果を適宜反映し、製鉄所
全体への影響を評価する。また、その知見に基づき製鉄所からの CO2排出量 30%削減に
向け、総合的な評価、検討を行い、実用化開発に向けた全体プロセスに必要な条件を抽
出する。
(2) 国際連携等の積極的な展開
・ 日印鉄鋼官民協力会合、日アセアン官民鉄鋼会合等を通じて、ISO14404 を活用した日印
双方の製鉄所のエネルギー使用量・CO2排出量評価分析等の環境・省エネ分野での協力
を推進する。
・ インド版カスタマイズドリストについては新たに 16 の環境保全技術を盛り込んだ第 3 版
を作成する。アセアン地域については、各国に適した技術カストマイズドリストの充実
を図る。
・ 日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術専門家交流会は日中双方の協力の成果が得られる
よう継続開催に向けて準備する。
・ 省エネ・環境技術移転に向けた取組みを他国にも拡げるべく活動を行う。
・ ISO14404-3、ISO19694 の動向に関する情報収集を行い、ISO や関係機関等に対し日本鉄
鋼業の意見を発信する等、関連委員会で必要な対応を図る。
(3) 鉄鋼業の LCA 関連業務の推進
・ LCA(バリューチェーン全体での環境負荷評価法)について、社会的関心の拡大や、需要
家からの対応要求、素材間競争、誤った認識に基づく制度設計や調達行動が顕在化して
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いる状況を踏まえ、鉄鋼業界としての LCA 関連業務を積極的に推進する。
・ 具体的には、原料採掘から廃棄までの製品寿命全体のライフサイクルについて、
worldsteel が確立した最新の環境負荷算出方法(高炉法・電炉法を区別せず、スクラッ
プに対しても環境負荷を賦課する)を「素材のリサイクル特性が正しく評価される LCA
方法論」を国際標準化するため、平成 27 年度に ISO(国際規格)を策定する専門委員会
(TC)に対して新規提案を行った。今後規格化の実現に向けて、TC17WG24 において、各
国との対話を進めながら作業原案(WD)の作成を着実に実施していく。また、鉄連内に
設置した専門委員会において、WG における検討状況等を共有し、諸課題への対応等を検
討する。
・ worldsteel が進める世界規模での鉄鋼業の LCI データの更新作業に協力し、その結果を
踏まえ、鉄鋼材料の優位性を関係機関に発信、周知を図っていく。
(4) 国内の温暖化対策の諸施策への対応
・ エネルギーコストの上昇に拍車をかけている地球温暖化対策税については、廃止も含め
た抜本的な見直しを求める。また、森林吸収源対策の予算措置として同税の使途が拡大
されること、新たな企業負担を伴う税が創設されることについて、経団連等と連携の下、
産業界の総意として反対であることを訴えていく。
・ 総合エネルギー統計、石油等消費動態統計等、エネルギー関連統計に関する各種協力要
請に対して適宜対応するほか、見直しに際しては引き続き必要な意見具申を行う。
7.環境保全及び資源の有効利用に向けた活動の推進
環境保全関係では PCB 問題、水銀及び微小粒子状物質(PM2.5)の排出抑制、土壌汚染対策
等について、政府関係先の動向把握や情報収集に努め、他業界とも連携しつつ合理的な規制
内容、運用となるよう政府関係先に意見具申を行うなど的確な対応を図る。また、環境交流
会や専用サイトで環境関連情報等を共有し、会員企業の環境管理向上に向けた取組みを支援
する。
循環型社会構築に向けた活動としては、鉄鋼スラグの海域利用など新規需要開拓の取組み
を継続する。また、容器包装リサイクル制度について現行入札制度の抜本的見直しや集荷量
アップに向けた働きかけを行う。
(1) 水銀大気排出の抑制に向けた活動
・ 改正大気汚染防止法の「水銀排出施設」(法に基づく排出規制が課せられる施設)に係
わる排出規制が合理的なものとなるよう、関連規定等の改正に関し、適宜政府関係先へ
の意見具申等を行う。
・ 同法の「要排出抑制施設」(自ら遵守すべき基準を設定し、水銀の排出規制を行うとと
もに、取組状況とその評価の公表を求められる施設)の自主的取組の遵守基準や実施フ
ロー等を検討するとともに、実施に向けた準備を進める。
(2) 微小粒子状物質(PM2.5)国内対策の検討への対応
・ PM2.5 国内対策が科学的知見に基づき有効かつ合理的なものとなるよう、適宜、政府関係
先の検討への協力や意見具申等を実施する。
(3) PCB 問題への対応
・ 微量 PCB の処理促進ならびに処理費用の大幅な低減が図られるよう、微量 PCB が付着す
る抜油後の容器に関する製鋼用電気炉の活用を含む合理的な処理の仕組みを検討し、こ
れの制度化について、経団連を通じ政府関係先に働きかけを行う。
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(4) 最終処分量削減に向けた第 3 次自主行動計画の推進
・ 第 3 次環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕で掲げた鉄鋼副産物(スラグ、ダスト、
スラッジ)の最終処分量削減目標の達成に向けて、所内外リサイクルの一層の推進や新
規用途の開発等、再資源化に向けた取組みを推進する。
(5) 循環型社会の構築に向けた鉄鋼スラグ利用拡大の取組み
・ 鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドラインについて、その実効性担保のため、鐵鋼ス
ラグ協会と連携して第三者機関による会員各社の遵守状況審査を引き続き行うとともに、
ガイドラインの定期的な点検等を実施することで、鉄鋼スラグの安全確保に向けた取組
みを継続していく。
・ 鉄鋼スラグの海域での利用拡大に向けて、研究開発を進めてきたカルシア改質土(成分
管理と粒度調整をした転炉系製鋼スラグと浚渫土を混合したもの)の認知・普及を目指
し、堺浜(大阪府堺市)での実海域実証事業についてのモニタリングを実施するととも
に公的マニュアル整備のため、国土交通省と共同で大規模実海域実験を行う。
・ 鉄鋼スラグ製品の輸出について、FOB 価格がマイナスとなる場合であっても、公的規
格や需要家との契約書等による環境安全品質の確保などを条件に、廃棄物の輸出に当た
らないことの明確化を政府関係先に働きかけることで、国内鉄鋼生産の維持、さらには
国際的な環境保全への一層の貢献を図る。
(6) 資源循環・リサイクル技術の検討
・ 鉄鋼各社では、社会で発生する廃プラスチックや廃タイヤ等を受け入れて有効活用する
ことで資源循環や地球温暖化対策に積極的に貢献しており、鉄鋼業のケミカルリサイク
ルへの、LCA 的視点に鑑みた正当な評価の確立や、現行入札制度の抜本的な見直しによる
市場競争の促進、集荷量アップの為の体制構築といった制度面の課題解決に向け、引き
続き政府関係先への働きかけを行う。
(7) POPs 条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)への対応
・ 環境省「非意図的生成の POPs 排出抑制対策調査検討会」の動向を注視しつつ、焼結炉お
よび製鋼用電気炉など鉄鋼関連設備に関し的確な対応を図る。
(8) VOC(揮発性有機化合物)への対応
・ 環境省の微小粒子状物質等専門委員会の動向を注視するとともに、効果的な対策等につ
いて検討が行われるよう必要に応じて意見具申を行う。
・ 会員各社の VOC 排出状況の把握等を継続するとともに、平成 25 年度に経産省へ提出した
「今後の VOC 排出抑制のための自主的取組における取組の目指すべき方向性及び方策」
に基づく対応を引き続き行う。
(9) ダイオキシン類対策特別措置法への対応
・ 電気炉と焼結機の排出量が引き続き目標値を下回るよう的確な対応を行う。
(10) 有害大気汚染物質への対応
・ 有害大気汚染物質については、自主管理計画終了後も事業所単位での自主的な取組みが
行われていることから、自主管理計画で対象となっていたベンゼン等の 4 物質について
PRTR により排出量のフォローアップを継続する。
・ 「リスク低減指針値」が設定されている物質(特にニッケル化合物、マンガン及び無機
マンガン化合物)および今後、環境目標値の策定が行われる予定の物質(クロム及び3
価クロム化合物)について PRTR を活用し実態把握に努める。
-20-
(11) 土壌汚染対策法の見直しへの対応
・ 土壌汚染対策法見直しについて、政府関係先の動向を注視しつつ必要な検討を行い、合
理的な規制・運用内容となるよう政府関係先に意見具申等を行う。
(12) 第8次水質総量規制への対応について
・ 第 8 次水質総量規制の具体的内容の検討について、政府等関係先の動向を注視しつつ必
要な検討を行い、総量規制基準等が合理的なものとなるよう必要に応じ政府関係先に意
見具申等を行う。
(13) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法)
への対応
・ PRTR 法に基づく国への届出が適切に行われるよう、鉄鋼業 PRTR マニュアルの改訂につい
て検討を行うとともに、会員各社の届出データの精度向上や鉄鋼業界全体の排出量等の
把握を目的に、個別事業所データの分析ならびに実態把握に努める。
(14) 化学物質審査規制法への対応
・ 化学物質審査規制法の見直しについて、政府関係先の動向を注視し、必要に応じ対応策
を検討する。
・ 優先評価化学物質への鉄鋼関連物質の指定について、政府関係先の動向を注視するとと
もに、必要に応じ、鉄鋼業の化審法ガイダンス改訂等の対応を行う。
(15) 製品含有化学物質の新たな情報伝達スキームへの対応
・ 経済産業省主導のサプラーチェーンにおける製品含有化学物質の新たな情報伝達スキー
ムが、本格的に運用を開始する見込みであることから、政府等関係先の動向を注視しつ
つ、必要に応じ対応策を検討する。
(16) REACH 等への対応
・ わが国鉄鋼業に影響のある諸外国の環境関連規制の動向、運用状況等について必要な情
報収集を行う。特に、REACH については、今後、鋼材に含有される化学物質の一部が規制
対象に追加される可能性があることから、欧州の規制当局の動向を注視しつつ、必要に
応じ対応策を検討する。
(17) 特殊鋼環境委員会の活動
・ 環境問題に係る行政動向や各委員会での検討状況等について適宜、情報を共有化すると
ともに、必要に応じて特殊鋼業界としての意見・要望を集約し、政府等関係先に働きか
けを行う等、的確な対応を図る。
8.中長期的な経営基盤整備に向けた継続的取組み
(1) 広報関係
鉄鋼業の社会的認知度向上活動として推進している「ものづくり教育」、および優秀な人材
確保活動としての「採用活動支援」の活動内容を充実化させるほか、鉄鋼業界の動向や諸課題
への取組み状況・成果等を、記者会見、プレスリリース、ウェブサイト、メールマガジン、パ
ンフレットなど各種媒体を用いて PR し、わかり易く、タイムリーに情報発信を行う。
①鉄鋼業の社会的認知度アップを目的とした活動
-ものづくり教育活動
・ 将来の鉄鋼業を担う人材となる小学生ならびに小学校教諭を対象に以下の活動を展開し、
鉄鋼ならびに鉄鋼業に対する理解促進を図る。
○ 社会科副教材「ハツラツ鉄学」の配布先の拡大に向けて、各自治体の教育委員会の
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協力を得て、全小学校への「ハツラツ鉄学」の配布定着化を図るとともに、配布先
へのアンケートの回収率を高め、活用状況の把握に努める。
また、小学校社会科教員組織が開催する研修会等の機会を捉えて、「ハツラツ鉄学」
及び「Let’s!鉄学」の活用の働きかけを実施し、当該教材の利用拡大を図る。
○ 小学校教諭を対象に実施している製鉄所見学会について、中学校教諭も対象とすべ
く東京都中学校社会科教育研究会と検討を行う。
○ 東京都小学校理科教育研究会と共同で、鉄に関連した実験・工作を内容とする「教
員向け実技研修会」を、より現場のニーズに合った内容となるよう改善を図りなが
ら継続実施する。
○ 全国の科学ミュージアムと共同開催している理科実験教室「鉄の不思議教室」の内
容をブラッシュアップし、科学技術館鉄鋼展示室「鉄の丸公園1丁目」ワークショ
ップ(実験・工作)、「たたら製鉄体験イベント」等とともに効果的に実施し、多
くの子供たちに直接ものづくりの楽しさと素材としての鉄の面白さを伝える。
-採用活動支援活動
・ 新卒採用に係る採用活動開始時期変更後の学生の対応状況、前年度の活動の効果等を把
握し、30 年卒学生に向けた活動を利用媒体の特徴を活かしたより費用対効果の高いも
のとし、鉄鋼業の産業としての魅力をアピールすることにより、鉄鋼業への就職を志向
する学生の増加を図る。
-情報発信
・ 定例会長記者会見、各種プレスリリース等を通じて、マスコミ、オピニオンリーダー、
有識者等に向けて、鉄鋼業界が抱える諸課題に関する業界の意見、要望について積極的
に情報発信を行い、業界の立場や考え方についての理解促進を図る。
・ メールマガジンの配信を通して、鉄連ウェブサイトのアクセスを促し、鉄鋼業界への理
解促進を図る。
・ 日本鉄鋼業の現況に関する正しい知識と理解の促進を目的とした PR パンフレット「日
本の鉄鋼業・2016 年版」を刊行する。
② キャンペーン、シンポジウム等の実施
・ 各種キャンペーン、シンポジウム等を実施し、鉄鋼需要の拡大を図るべく、鉄鋼の市場
開発事業等の PR を積極的に展開する。
③ クリーン・コール・デーの運営協力
・ 一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)が主催するクリーン・コール・デーの記
念行事に協力し、石炭の重要性およびクリーンな利用についての理解、啓蒙活動を通じ
て、鉄鋼業のイメージアップを図る。
④ ライブラリー関係
・ 業界の鉄鋼情報センターとして、鉄鋼に関連する内外の諸資料の収集、整備に努め、会
員および一般の方々への資料情報の提供を推進する。また、鉄鋼ならびに鉄鋼需要業界
等に関するビデオ・DVD を無料で貸出する「映像ライブラリー」事業を、内容の充実を図
りながら継続する。
(2) 原料・物流関係
原料供給の寡占化が続いており、原料の安定確保に向けて、制度改善余地の検討、資源国の
輸出制限等の動向につき情報収集を図り、必要に応じ関係機関と連携して対応する。
国際海上輸送においては、国際競争力の保持・強化に向けて、原料受入から製品輸出までの
-22-
鉄鋼物流業務全般の更なる効率化・合理化、内航輸送が抱える諸課題について、政府等関係先
に対し意見発信を行う。
① 原料安定確保に向けた取組み
・ 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に代表される公的支援金融機関に対し改善
余地の検討を実施し、必要に応じ改善に向けた働きかけを実施する。
・ これまで動きの有ったインドネシアやフィリピンを始めとする資源供給国における輸出
制限措置に係る動向を広く情報収集し、必要に応じ関係機関と連携して対応する。
② 外航輸送
・ 平成 23 年 5 月に、国土交通省の国際バルク戦略港湾検討委員会より、バルク貨物を扱う
国際拠点港に選定された「木更津港」と「水島港・福山港」の 2 港について、港湾管理
者で構成する国際バルク戦略港湾推進会議を中心に関係業界とも連携して着実な整備の
推進を求める要望書の提出を継続実施するなど、原料受入港湾の能力拡大に資する活動
を行う。
③ 陸上輸送
・ 鋼材の陸上輸送における規制緩和実現に向けて、現行の通行許可条件に代わる代替措
置、安全担保措置等に関する全日本トラック協会との共同検討を継続実施し意見発信す
るとともに、とりまとめ成果物に基づく通行許可に要する期間の短縮、誘導区間の追加
認定、輸送時の積載制限の原因となっている強度不足の道路・橋梁の早期補強の実施等
を政府等関係先に機会を捉えて適宜働きかける。
④ 内航輸送
・ 国土交通省による「新たな内航海運ビジョン」の策定、「内航海運の省エネルギー化の
促進施策」の検討が予定されており、当該会議を中心に内航課題に関する情報収集を図
りつつ、必要に応じ政府関係先に対し意見発信を行う。
⑤ 鉄鋼包括保険
・ 独立行政法人日本貿易保険との間に「貿易一般保険包括保険(鋼材)の特約」を締結し、
鉄鋼包括保険制度の円滑な運用に努める。
・ 仕向先国の規制動向等に関する情報収集を図りつつ、障害が発生した場合には会員と情
報共有し、必要に応じ所要の対応を図る。
(3)知的財産に関する対応
・ 鉄鋼業のグローバル化が進む中、知的財産を巡る諸課題解決に向けた的確な対応が必要
とされ、また、海外企業による国内企業からの秘密情報の不正取得、不正使用等の事件
が生じている状況を鑑み、業界内外の情報管理体制の良好事例等を共有するなど、会員
各社の知的財産保護をレベルアップする方策について検討する。
(4)労働関係
労働関係では、会員各社の円滑な対応に資するべく、労働・社会保障政策を巡る諸動向につ
いて情報収集・提供に努め、必要に応じて政府等関係先への意見具申を行う。
① 労働関係法制への対応
・ 現在、厚生労働省を中心に、少子・高齢化対策、労働力の確保、人材力の強化等の観点
から、以下のような多岐にわたる施策が推進されていることから、これらの動向把握に
努め、会員各社への情報提供を行うとともに、必要に応じて日本経団連などと連携し、
関係機関等への意見具申などの対応を図る。
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○ ワークライフバランスの実現
-働き方・休み方の見直し
-多様な働き方(限定正社員等)の導入促進
-仕事と家庭の両立支援(育児・介護休業法改正等)
-働き過ぎ防止のための取組み(長時間労働抑制、過労死等防止)
○ 全員参加型社会の実現
-女性、若者・高齢者、障害者の活躍推進
○ 非正規雇用労働者の正社員転換・雇用管理改善の強化
・ 鉄鋼労働政策連絡会を開催し、有識者・行政等の講演会の実施や各社の関連の取組み・
施策に関する情報共有化を行い、各社の施策立案に寄与する。
② 各種調査・研究、情報・意見交換
・ 会員各社の労政施策検討に資するため、以下の調査・研究を実施し、鉄鋼労働政策連絡
会等の場を通じて、適宜、情報・意見交換を行う。
○ 各種労働統計(賃金、雇用、福利厚生)の整備
○ 処遇面等(賃金・一時金制度、年金制度、退職金制度等)
○ 労働時間管理と健康障害防止対策の徹底
○ 雇用施策(高齢者雇用、障害者雇用等)
○ 職業能力開発、技能伝承等
○ ワークライフバランス施策(労働時間の見直し、育児・介護休業制度、子育て支援
施策等)
③ 能力開発への取組み
・ 厚生労働省「卓越した技能者(現代の名工)」表彰者の推薦、黄綬褒章受賞者(業務に
精励し衆民の模範である方)の推薦のほか、産業技術短期大学、各社職業訓練校の優秀
卒業生の表彰を行い、鉄鋼各社における製造現場での技能伝承等、人材力の向上・強化
に係る活動の一助とする。
(5)IE・JK関係(プロジェクト事業)
原料輸送から製造・製品物流に至る各段階の業務を更に効率化し、鉄鋼業の国際競争力を一
層強化するため、その中核となる人材の育成に資する次の活動を、会員各社および関連会社関
係者による自主運営により推進する。
① IE(Industrial Engineering)活動
・ 各事業所における業務の効率化の一助とするべく、会員各社のIE部門およびシステム
部門の関係者を対象に、IE・システム事例研究会を年2回開催する。業務の改善・効
率化等に関する各社共通あるいは個別課題の解決事例の共有化を目的とし、事例発表や
情報交換、他業界のIE活動の状況調査等を実施する。
② JK(自主管理)活動
・ 鉄鋼業全般および傘下各社での JK 活動の維持・向上を目的に、「JK 発表大会」、「JK
研修セミナー」を開催し、各社における職場の合理化・効率化の取組み成果・知見を共
有する。
(6)国内外の鉄鋼需給動向調査関係
中国における鉄鋼業の構造調整の動向や、米国、欧州、ASEAN 諸国等の情勢等、国内及び
海外の主要鉄鋼市場の経済・鉄鋼需給動向に関する情報を迅速かつ的確に収集・調査・分析
し、会員に対し有益かつタイムリーな情報提供に努める。
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① 国内の鉄鋼需給動向調査
・ 国内外の経済情勢並びに需要産業の動向を的確に把握するとともに、国内の鉄鋼業の動
向について、以下の諸事業を中心に、生産、出荷、在庫、輸出入、実消費等の面から調
査・分析を行い、会員への迅速かつ的確な関連情報の提供を行う。
○ 鉄鋼需要構造の変化に関する調査
○ 一般経済・鉄鋼需要産業・鉄鋼需給に関する至近の動向調査と報告書(月例・四半
期報)の作成
○ 2016 年度鉄鋼需要見通し調査
○ 世界鉄鋼協会提出用の 2016、2017 年の鉄鋼需要見通し調査
○ 四半期別鉄鋼需要調査
○ 平成 27 年度普通鋼鋼材消費パターンの作成
○ 「鉄鋼需給説明会」(東京、大阪、名古屋)の開催と業界内外への情報発信
○ 一般経済および鉄鋼需要分析のための各種統計、資料の収集・整備
② 海外の鉄鋼需給動向調査
・ 主要国・地域の経済や鉄鋼需給情勢、鉄鋼貿易動向、設備増強計画、鉄鋼政策等に関す
る情報を迅速に収集・分析し、以下の諸事業を中心に会員へのタイムリーな情報提供を
行う。とりわけアジアについては、中国鉄鋼業に関し、鉄鋼需給ならびに貿易のみなら
ず、過剰生産能力問題についても同国の産業政策の動向を含め情報収集・分析を引き続
き強化するとともに、中国・韓国・台湾ミルの海外展開や ASEAN 諸国における設備増強
等、新たな需給環境の変化を注視しつつ、アジア市場全体の分析を深化させる。
○ 主要国の経済・鉄鋼需給動向に関する月例報告等の作成
○ 海外現地調査の実施と報告書の作成
○ 中国鉄鋼業の構造調整等に関する情報収集ならびに分析
○ 中国鉄鋼業の鋼材輸出の動向に関する資料作成
○ 海外主要鉄鋼ミルの収益状況に関する資料作成
○ 各国主要ミルの海外展開、能力増強、業界再編動向に関する調査
○ 世界各国の鉄鋼輸入関税率等に関する調査
(7) 統計関係
① 東アジア地区を中心とした統計情報収集の推進
・ 東アジア地域をはじめ、その他のアジア各国の統計情報についても有効活用を図るべく、
情報収集・整理を進める。
② 鉄連コンプライアンス規程への対応
・ 鉄連が提供する各種統計情報の提供時期、内容等を定めた「統計情報管理細則」の策定
を受け、当該細則に則した形での開示を行う。
③ 承認統計に係る集計受託事業の継続実施
・ 経済産業省鉄鋼課から受託している「鉄鋼需給月報」、「鉄鋼生産内訳月報」の調査票
の回収、集計、結果の取りまとめ等の業務を継続実施する。
④ 国際鉄鋼諸機関への統計協力
・ 世界鉄鋼協会、東南アジア鉄鋼協会等からの統計資料提供要請に対し、随時、協力して
いく。
⑤ 地区関連データの整備
・ 各地区別の鉄鋼関連動向、一般経済、需要産業の活動状況に関する統計情報の収集・整
-25-
備を行い、統計資料として取りまとめ地区会員等の参考に供する。
⑥ その他
・ 以下に掲げる事項について適切に対処する。
○ 所管官庁の統計品目見直し等に関する検討
○ 業界自主統計見直しに関する検討
○ 日本経団連等諸機関からの統計関連の諮問に対する検討・答申
○ 内外鉄鋼関連団体との連携ならびに情報交換
○ 生産・需給・受注・貿易統計等の統計集の作成、刊行
○ 海外主要国の鉄鋼貿易統計の収集・統計データの作成・提供
○ 統計の整備・見直し・電子化の推進
(8) 特殊鋼関係
特殊鋼の需給状況の把握を適切に行い、諸課題への取組みを進めるとともに、特殊鋼会を
開催し情報提供を行う。
① 特殊鋼需給関係
・ 特殊鋼業の諸問題や研究課題について、現状把握や対応策の検討等の取組みを行う。特
に、需要の構造的な変化などについて関連情報の収集に努める。
② 特殊鋼会関係
・ 特殊鋼会を定期(四半期毎)または必要に応じ随時開催し、内外経済および特殊鋼業の
動向に関する情報提供を行う。
(9) 法規・財務関係
企業の競争力強化に資する税制インフラの整備という観点から、実質的な税負担軽減を目
指した国際的に遜色のない水準での税制措置の対応を求めて行くとともに、企業会計制度の
見直し等の動向について情報収集を行い、必要に応じて意見具申等を行う。
① 企業の競争力強化に資する税制措置への対応
・ 平成 28 年度税制改正では、法人税改革において法人実効税率の引下げにあたり税収中立
とされたこと、また償却資産に対する固定資産税の軽減措置が限定的なものにとどまった
こと等から、平成 29 年度改正においては、企業の実質的な税負担軽減の適正化に向け、
経団連等関係団体と連携して政府等関係先への意見発信、要望活動を行う。
② 企業会計制度見直しへの対応
・ 国際財務報告基準(IFRS)の任意適用を促す動きが進むなか、会計基準の見直しも引き
続き進められている。こうした検討の動向を注視しつつ、企業活動に影響等をもたらす
ような場合は必要に応じ経団連等とも連携し、関係機関への提言、意見具申を行う。
③ 経営基盤の整備を巡る法制面の環境整備
・ 企業開示制度のあり方、改正会社法施行後の見直し等、企業法制に係る議論の動向を注
視しつつ、企業活動に影響を与えるような事象があれば、経団連等とも連携して、政府
等関係先への意見表明など、環境整備に向けた働きかけを行う。
④ その他
・ 以下の情報について取りまとめを行う。
○ 平成 27 年度の会員会社収益状況の取りまとめ
○ 平成 27 年度の会員会社の租税負担状況ならびに租税特別措置等の利用状況取り纏め
(10)電子商取引関係
鉄鋼流通情報化委員会/鉄鋼EDIセンターでは、鋼材流通に関する業務の効率化・簡素化
-26-
を目的に、鉄鋼EDI標準の開発、維持管理ならびに標準化に関する各種調査・研究を実施し
ている。平成 28 年度は、既存標準の維持管理に加え、鉄鋼EDI標準の見直し検討等、以下の
事業を推進する。
① 鉄鋼EDI標準の見直し検討
・ 現行の鉄鋼EDI標準について、一部大手需要家への様々な情報提供に関するニーズに
対応すべく、昨今の通信インフラ環境およびIT技術動向を踏まえた見直しを検討する。
② 業界外のEDI標準化の動向把握
・ 他業界や国際的なEDI標準化の動向把握に努める。
③ 「鉄鋼EDI標準」の維持・管理
・ 企業間で電子商取引を実施する際の鉄鋼業界の標準である「鉄鋼EDI標準」に関し、
業界で標準化した各種コードの維持ならびに発番・管理業務を実施する。
④ 標準企業コードの登録・管理
・ 「鉄鋼EDI標準」に基づく電子商取引の実施に際しては、「標準企業コード」の取得が
必要となっており、その発番・管理業務を通じて、引き続き鉄鋼業界の業界コードセン
ターとしての役割を果たす。
(11)情報管理関係
会員サービスの基盤となる事務局内ネットワークの更新・維持管理やセキュリティの確保に
努め、情報授受の迅速化を図るとともに、鉄連事務局業務の効率化を推進する。
① 事務局内ネットワーク基盤の更新・維持管理
・ 事務局内ネットワークについて適切に維持管理し、適宜、所要の更新を進めることによ
り、耐障害性を高め、会員サービスレベルの維持・向上を図るとともに、事務局業務の
効率化を推進する。
・ また、ネットワークセキュリティについても、サイバー攻撃の動向等引き続き最新情報
の収集に努めるとともに適切な監視を継続し、安全性の確保に努める。
② 会員サイトの適切な管理の継続
・ 会員向け情報提供ツールである会員サイトについて、アクセス状況の把握・分析を適宜
行い、安全性にも配慮しつつ、同サイトの情報漏えい防止、会員への情報提供の一層の
適時性、利便性の向上を図るべく、当該サイトの運営管理を維持するとともに、中期的
な観点から設備面の見直しの検討も開始する。
③ IT技術に係る動向調査
・ 急速に進展・変化するIT技術の動向を注視し、会員向け情報提供業務の充実化、事務
局業務の効率化に資する新技術等について、引き続き適用可能性の調査等を進める。
9.重要な標準化の推進
製造者およびユーザーの要求に基づいて、鉄鉱石、鋼材、試験検査、取引などの規格活動を
迅速に実施するとともに、国際標準化活動にも積極的に取り組む。
(1) 規格の開発および改善
-JIS の制改正
・ 平成 28 年度は、総計 66 件の JIS の見直しを実施する。44 件については確認(継続)
とし、1件は制定、20 件は改正を進める。鉄連での最終規格案審議(三者委員会)は
18 件を提案する。特に重要な案件は以下の通り。
○ 鉄及び鋼の新分析方法1件(鉄及び鋼-タングステンの分析方法)の新規格制定
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○ 日本が幹事国を引き受けて大幅な改正を実施した、ぶりきの ISO 規格に基づき JIS 規
格を発行する。
〇 軟鋼線材でボロン添加を初めて規定。特殊鋼で製造対象及び規定内容の明確化実施。
改正し、発行する。
-ISO 規格の制改正
・ 平成 28 年度は、総計 124 件の ISO 規格の見直しを実施する。特に鉄連が主導する ISO
規格開発案件について早期実現に向けた活動を行う。特に重要な案件は以下の通り。
○ ISO/TC17(鋼)委員会の WG での「鉄鋼 LCA 算出方法」の ISO 規格化に向けた支援
を行う。
(2) 受託事業-ISO 規格の適正化
・ 平成 28 年度は 11 件(原料、試験、分析、用語、など)の鉄鋼関連 ISO 規格について、対
応する JIS の優れた内容、または日本の技術を取り入れる活動を行う。
(3) ISO 幹事国業務
・ 下記6件の ISO 委員会について幹事国業務を行う。
① ISO/TC17(鋼)
② ISO/TC17/SC1(鋼材の分析方法)
③ ISO/TC17/SC9(ぶりき及びぶりき原板)
④ ISO/TC102(鉄鉱石および還元鉄)
⑤ ISO/TC102/SC1(サンプリング)
⑥ ISO/TC67/SC5(油井管)
(4) 鉄鋼分析用認証標準物質
・ 溶鋼・鋼材の成分分析の精度管理における最高位標準物質として、現在 310 種を販売・
貸し出しを行っている。平成 28 年度は、欠品改善のため、例年(20 品種)より多めの
26 品種の標準物質製作に努め、8 品種の販売を開始する。
(5) ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との交流に向けた取組み
・ 平成 28 年 3 月と7月に AISC メンバー6ヶ国関係者を訪問し、各国の標準化の課題につ
いて協議する。
10.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応
○ 平成 31 年度までの一般会計収支見通しの作成
・ 平成 27 年度収支決算を踏まえ、平成 28 年度から平成 31 年度までの収支見通しを概算
して、収支増減要因について整理を行い、効率的な事業運営に向けた対応について検討
を行う。
11.その他
(1) 鉄鋼産業懇談会
・ 経済産業省製造産業局が主催する鉄鋼産業懇談会の事務局業務を実施し、各種統計情報
の収集や調査への協力を行う。
(2) 全国小棒懇談会
・ 鉄鋼メーカーと商社で構成される全国小棒懇談会の事務局業務を実施し、各種統計情報
の収集や調査への協力を行う。
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