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洞爺観光ホテル(洞爺湖町)(PDF形式/943KB)

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洞爺観光ホテル(洞爺湖町)(PDF形式/943KB)
ケース
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洞爺観光ホテル
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K A N K O
H O T E L
達市などホテル周辺の市町村に広がっている。
生産者にお願いしているのは、収穫時期が終わりそう
になったら、事前にホテル側に連絡して欲しいということ。
その作物の収穫時期が終わる前に、まとまった量を仕入
れて、町内の農家が持っているアイスシェルターを借りて
保存している。そうすることで、キャベツや大根は2月頃
まで地元産で賄うことができる。
取引している農家で必要な農作物がなくなると、町内
の道の駅にある直売所で購入している。道の駅にも農作
物がなくなった時は、地元産がなくなった時なので、室
ホテル外観
T O Y A
Case
蘭市場の青果業者からの仕入れに切り替える。
農作物の注文は、厨房の仕込みのタイミングに合わせ
収穫期の異なる農家をリレーして仕入れ、
洞爺湖周辺の新鮮野菜をロングラン提供
株式会社洞爺湖温泉観光ホテル 洞爺観光ホテル
所在地/虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉33
電 話/0142-75-2111
客室数/全131室
http://www.toyakanko.com/
洞爺湖「食」本物プロジェクトへの参加
メニューがあるので、そうしたメニューの材料は前々日に
洞爺湖観光協会と洞爺湖温泉街のホテル・飲食店で
注文する。当初はこうした事が分からずに、仕入れ担当
は、洞爺湖温泉誕生100年にあたる平成22年に「洞爺
者は苦労したという。
湖「食」本物プロジェクト」に取り組んだ。この取組では、
今では、雨が降ると大根の収穫が大変になるので、雨
噴火湾であがるマツカワ(全長35cmを超えるカレイ科
の予報の前に大根を多めに注文するなど、生産者に配慮
の魚)やホタテ、洞爺湖町のあか毛和牛、ワカサギ、
した注文の仕方も行っている。
長いも、アスパラガスなどを使ったメニュー開発に各施設
肉類や海産物も地元産を積極的に提供
が取り組み、試食会を実施。地域の連携の深まりや、地
元食材に関する意識の向上などの成果があった。
肉類では、牛肉は洞爺湖町のあか毛和牛を、豚肉で
洞爺観光ホテルでは、ホタテ、あか毛和牛、長いもな
は伊達市の黄金豚など地元の肉類を使用している。褐色
どを使ったメニューをホテルで継続的に提供している。
和牛であるあか毛和牛は、脂肪が少なく赤身の柔らかい
食感が特徴。現在は、サーロインを特別料理のステーキ
生産者のペースに合わせた付き合いを
地域の農家をリレーして地元野菜を仕入れ
る農家が増えていった。
として提供している。今後は、それ以外の部位(バラ肉、
農家から直接農作物を仕入れる際は、生産者の栽培
洞爺湖畔に建つ洞爺観光ホテルは、全客室が湖側に
当初は、規格外品を安く仕入れたいと考えていたが、
スネ肉など)についても、ホテルで使うことが出来ないか
ペースに合わせて、
「生産者から分けてもらうという考え
面し、洞爺湖・中島・羊蹄山の眺望を楽しむことが出来
実際には規格外品の割合は少なく、結果として安くて良
厨房でメニューを研究している。黄金豚については、しゃ
で付き合っていく事」がポイント。農家1軒当たりから購
る。
い農作物を仕入れることが出来ている。こうした状況を、
ぶしゃぶやすき焼きで提供している。
入できる量は少ないので、たくさんの農家から仕入れな
「ホテルとしては申し訳なく思っているが、生産者の側に
海産物は、室蘭市場から卸売業者経由で仕入れた太
いと間に合わない。そこで洞爺観光ホテルでは、複数の
野菜を提供している。野菜や果物を仕入れている農家は
は 自分たちの作った農作物を観光客に提供してくれて
平洋や噴火湾の海産物と、洞爺湖で水揚げされたヒメマ
農家からの仕入れやリレー方式で対応している。
約20軒。作物の種類では、野菜が20種類、果物が5
いる という思いがあるのでは」と仕入れ担当者は語っ
スを提供している。ヒメマスは、その日の水揚げ量に応じ
必要な時と不要な時の仕入れ量の差が大きい大型ホ
種類となる。
ている。朝食バイキングの会場では、生産者を写真入り
て仕入れを行い、特別料理として提供している。
テルでは、農家としても取引に対応しづらい。洞爺観光
それぞれの生産者における農作物の収穫時期は短い。
パネルで紹介している。
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洞爺観光ホテルでは、周辺の農家から直接仕入れた
そこで、収穫時期の異なる農家をリレーして仕入れを行う
ホテルの規模(131室)は、農家の協力を得られやす
い適切な規模だとも言える。
ことで、長期間にわたって地元農産物を提供している。
ホテル従業員が軽トラックで野菜を回収
例えば、セロリは4軒の農家をリレーして仕入れている。
農家からの仕入れの流れは、まず仕入れ担当者が献
れていないこともある。そうした時は、ホテル従業員が生
立と予約数から必要な野菜の量を把握し、在庫状況を確
産者と一緒になって収穫することで、両者の関係が近く
認した上で、各農家にFAXで注文票を送信する(夜に
なっていくという。
安全安心で出所のしっかりした野菜を提供
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夕食で提供しているメニューの一例
て行う。夕食メニューでも、午前中に仕込みを済ませる
地元農家からの仕入れは、当初、野菜を安価に仕入
送ることが多い)。
れることを目的に開始した。6年前、従業員の親戚の農
その翌朝、注文を受けた農家では、必要量を収穫しカ
家に「規格外品で良いので安く仕入れることが出来ない
ゴなどに入れて準備し、納屋やガレージに伝票と一緒に
か」と相談し取引が始まった。しかし、1軒の農家では
置いておく。ホテル従業員が、10時過ぎに軽トラックで
収穫できる作物も時期も限られている。農家では、収穫
ホテルを出発し、各農家の農作物と伝票を回収している。
が終わりそうになると「あそこの農家に行くとまだ収穫して
こうして1日に数件の農家を回り、12時過ぎにホテルに
いるよ」と教えてくれる。そういう紹介から徐々に取引す
戻るという。回収する範囲は、洞爺湖町、壮瞥町、伊
時には、回収に行った時に、注文した農作物が収穫さ
朝食バイキングにおける産地の表示
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