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ボイラ水系緊急停止後の保缶方法と再立上げ方法はこちらから
ボイラ水系が緊急停止した後の ボイラの保缶方法と再立上方法をご紹介します。 ※対象ボイラは主に2.0MPa以下の軟水給水・低圧ボイラをイメージしています。 ■緊急停止したボイラの保缶方法 ボイラ水系が緊急停止してから復旧までに一週間以上を要し、かつ圧力(温度)が低下してしまった場合、適 切な処理を施さず保缶すると、缶内が腐食する場合があります。以下に保缶仕様ごとの防食評価を示します。 <防食評価> <保缶仕様> 満水保缶 1ヶ月以上の保缶が可能 Yes Yes ◎ 薬品投入・循環(撹拌) +窒素封入 推奨保缶方法 窒素封入 が可能? No 薬品投入・循環(撹拌) ○ 気相部での腐食が懸念 乾燥保缶 1ヶ月以内の保缶が目処 薬品追加投入 +循環(撹拌) が可能? Yes Yes No ボイラ水抜き +窒素封入(乾燥保缶) ○ or △※1 気液界面の腐食が懸念 窒素封入 が可能? ボイラ内の 水抜きが可能? 気相部への窒素封入 Yes ○ or △※2 液相部の全面腐食が発生 (残存酸素消費後停止) 保缶処理なし 1週間以内の保缶が目処 <保缶する際の注意点> ●保缶薬品と保缶期間 保缶期間は薬品の保缶仕様によって異なります。 ●バルブ操作 外気の混入を防止するため、すべてのバルブを 「閉」にして下さい。(全保缶方法共通) ●緊急時の薬品投入・循環(撹拌) 開放マンホールから薬品を投入し、循環して所 定の水質にして下さい。 No No ボイラ水抜き × 残液部で局部腐食が発生 窒素封入 が可能? No 現状のまま ×× 液相部で全面腐食が発生 ●乾燥保缶 ボイラ缶内の水を完全に排出して、残存空気を窒 素で置換することが重要です。 ●凍結の可能性がある場合 満水保缶は推奨できません。 ※1 缶内の水抜き具合による(○:水抜きが完全 △:水抜きが不完全) ※2 窒素封入の実施時期による(○:短期(1週間程度)で実施 △:長期経過後実施) ボイラの再立上方法は次ページをご覧ください ■緊急停止したボイラの再立上方法 ボイラの長期保缶後にクリタが推奨する再立上方法は以下の通りです。前ページの△、×、××の保缶条件 から運転を再開する場合は、新缶処理の実施をお奨めします。また腐食によって錆が発生している可能性 が高いため、保缶水の全ブローとフラッシングにて鉄をボイラ外へ排出することが必要です。 水圧試験 満水保缶 (正常保缶) 乾燥保缶 全ブロー・フラッシング 基礎投入・昇圧 送気開始 給水バルブ「開」・蒸気バ ルブ「閉」の状態で給水ポ ンプを稼動する。 一旦全ブローを実施した後、 缶底ブローを「閉」とし、 常用水位まで給水し、再度 ブローする。 (ブロー水が透明になるま で繰り返す) 給水しながら薬品の基礎投 入を実施。常用水位になっ たら、ボイラを点火する。 エア抜きから暫く蒸気を大 気放散させた後、エア抜き を「閉」にして昇圧する。 昇圧後、蒸気バルブを徐々 に開けて、送気を開始する。 <注意>------- <注意>------- <注意>------- <注意>------- 薬注タンク内に薬剤が入ってい るか確認し、長期間タンク内に 薬剤が放置されていた場合は、 薬剤を排出し、軟水や給水で洗 浄後、新しい薬品を投入下さい。 薬注ポンプはエア抜きを実施し て下さい。 保缶水をそのまま送気すると高 濃度の保缶薬剤や鉄分により、 蒸気へ着臭する場合があります。 薬品の基礎投入量は水処理仕様 書に準じてください。 薬品添加量は、稼動開始後すぐ に給水量と薬注ポンプストロー クが設定通りであることを確認 してください。 連続ブローについては缶水水質 (pH)が基準値内に入った後、 流量が設定通りかを確認して下 さい。 乾燥剤の回収 水圧試験・新缶処理 ※蒸気の直接加湿をしている場 合は、特にフラッシングを徹底 して下さい。 ※一般的には、補給投入量に濃 縮倍数を乗じた数値 全ブロー・フラッシング ドラム内の乾燥剤を取り除 き(或いは気化性防錆剤を 水洗してから)、マンホー ルを閉じて下さい。 給水で満水にした後、水圧 試験を実施。その後、常用 水位にした後、エア抜きか ら新缶処理剤を投入する。 一旦全ブローを実施した後、 缶底ブローを「閉」とし、 常用水位まで給水し、再度 ブローする。 (ブロー水が透明になるま で繰り返す) <注意>------- <注意>------- <注意>------- ドラム内に入る場合は酸欠 チェックを必ず実施して下さい。 新缶処理剤は各種ボイラに適し た薬品が必要です。 新缶処理後の缶水でそのまま送 気すると高濃度の薬剤により、 蒸気が着臭する場合があります。 <再立上する際の注意(全保缶仕様共通)> ●給水タンク 保缶処理なし 給水タンクに水を張った状態で長期間放置していた場合は、タンク内にスライムが繁殖することがあります。これがボイラに 持ち込まれると蒸気に着臭(カビ臭)したり、缶水pHを低下させる可能性があります。その場合は、給水タンク内の水を全 ブローし、フラッシングして下さい。 ●軟水器 長期に渡って軟化器を使用していない場合、使用前に一度、逆洗・再生操作を行って内部の汚れを排出させて下さい。 ●薬剤等の在庫確認 事前に軟化器再生用の工業塩や、ボイラ用水処理薬品の在庫確認をして下さい。 ※薬品仕様・停止期間によって保缶方法が変わる場合があります。ご不明な点はお問い合わせ下さい。 ご不明な点やご質問等がございましたら KCRセンターまでお問い合わせ下さい。