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中・東欧 7 カ国における原発開発計画とその現状

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中・東欧 7 カ国における原発開発計画とその現状
中・東欧 7 カ国における原発開発
原発開発計画
開発計画と
計画とその現状
平成 22 年 11 月
(株)日本政策金融公庫
国際協力銀行
フランクフルト事務所
はじめに
チェルノブイリ原子力発電所事故(1986 年 4 月)を契機に広まった欧州諸国(推進派のフ
ランス、フィンランド等を除く)の「脱原子力政策」は、事故発生から約 20 年を経て英国、
イタリア等が廃止から新設計画へ方向転換し、スペインに引き続きドイツも廃止から稼動
延長(新設には反対)へ方向転換する見通し。欧州諸国ではエネルギー安全保障(ロシア
資源外交に影響されない天然ガス代替)
、気候変動に対する目標達成、中・東欧諸国の旧ソ
連製老朽化原子炉の廃止等から原発回帰を余儀なくされている。
日本勢としては旧ソ連製原発の廃止・新設が計画され、エネルギーのロシア依存度低下を
政策とする中・東欧で実績をつくり欧州市場参入の橋頭堡としたいところ、特に入札動向
が注目される各国の状況を概観すると次のとおり。
【ポーランド】国内初となる原発 2 基(3,000MW 級)建設案件に関し、国営電力会社 PGE
は 2009 年 11 月 EDF、2010 年 3 月 GE 日立、4 月東芝 WH 、8 月 KEPCO と相次いで
F/S 調査に合意。
PGE は 4 社提案を精査した上 2013 年末までに発注企業と契約する予定。
【チェコ】Temelin 原発 3・4 号機(最大 3,400MW)建設案件に関し、国営電力会社 CEZ
は 2010 年 3 月、東芝 WH、Atomstroyexport(ASE)
、Areva の 3 グループを最終候補に
決定。2011 年春に入札を開始。2012 年半ばに発注企業を決定する予定。
【スロバキア】Bohunice V3 原発 1 基(1,000~1,600MW)建設案件に関し、同国原子力
エネルギー会社 Jess は 2010 年末までに F/S 終了、2013 年に発注企業を決定する予定。東
芝 WH、ATMEA(Areva・三菱重工 J/V)
、Areva、ASE が応札候補とされる。
【ハンガリー】Paks 原発 5・6 号機(各 1,000~1,600MW)建設案件に関し、国営電力会
社 MVM は 2011 年に入札を開始し 2012 年 4 月までに発注企業を決定する予定。
東芝 WH、
ATMEA(Areva・三菱重工 J/V)
、Areva、ASE、KEPCO が検討対象と報道。
【ブルガリア】Belene 原発 1・2 号機(各 1,000MW)建設案件は完工予定 2014 年が大幅
遅延。2010 年 11 月同国首脳は同案件推進で合意しているロシアに対し値下げを要請した
模様。また、Kozloduy 原発 7・8 号機建設案件に関し同年 4 月経済相は東芝 WH と協議。
ポーランド、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、スロバキア及びスロベニア
単 纏
多少なりとも参考となれば幸いである。
の 7 カ国の原発動向を、以下に簡 に めたので
平成 22 年 11 月 30 日
日本政策金融公庫 国際協力銀行
フランクフルト首席駐在員
熊谷 芳浩
2
1. ポーランド
(1)建設計画の概要
:
国内
:
選出
国内初の原発 2 基の建設 入札候補
能
指
発電 力は各 3,000MW。1 号機は 2020 年、2 号機は 2030 年までの完成を目 す
(註 1)。建設コストは 11.5Bio.ユーロ(註 2)。ポーランド国営電力会社最大 PGE(註
3)が 51%出資する事業会社が建設を推進する見通し。2010 年 11 月の閣議で承認
第 2 四半期に施行予定の国家原子力エネルギープログラム案では、同
年 7 月にテクノロジー関連の企業入札開始、2013 年末までの建設地決定(註 4)、
した 2011 年
。
(註 1:2010 年 8 月、ポーランド経済省は、完成時期が当初予定された 2020 年から 2022
年へと 2 年間延期される原発建設に関わる改正プログラムを提出したが、PGE による分
析の結果、同年 11 月の最終案では、完成時期は 2020 年と再び改正が加えられた。)
(註 2:ポーランド原子力調査機関 PolAtom は 2010 年 8 月、当初の見積もり 10Bio. ユー
ロを 1.5Bio.ユーロ上回ると発表。)
(註 3:PGE は現在、ポーランドで実施されているエネルギー関連企業 Energa(国内 4 位)
の 83.1%株式売却入札で、独占交渉権を得て結果待ちとなっており、Energa 取得に際し
ては、同社主導で原発建設事業を推し進める意向を示している。しかし、エネルギー市場
の独占傾向が高まることに懸念を示す独禁局の反対で流動的。2010 年 10 月には、Tusk
政権の支持を得て両社統合の可能性が高まったが、翌 11 月には Tusk 首相が一転して支持
を取り下げたとの報道もあり、他社との交渉開始の可能性も取り沙汰されている。)
(註 4:立地条件が最適とされる北部 Zarnowiec が 1 号機の最有力候補地。PGE によれば、
可能性の高い順に Zarnowiec、Klempicz、Kopan、Nowe Miasto。Zarnowiec では 1980
年後半、4 基(露 VVER-440)の原発建設が開始されたが、資金不足と地域住民の反対で
1990 年に中止された経緯があるが。その後も発電能力(最低 1,500MW)の候補地として
挙げられており、PGE が土地を買収して全ての事前調査は実施済み。Klempicz は、EU 環
境保護地域“Natura2000”に指定されたことから困難となる可能性有り。)
2016 年の建設開始、2020 年の完成が見通されている
‐今後のスケジュール‐
第 1 段階(~2011 年 6 月末):
国家原子力エネルギープログラム案承認、施行
第 2 段階(2011 年 7 月 1 日~2013 年 12 月 31 日):
入札開始、落札企業の決定・契約調印。1 号機に関わる建設地決定
第 3 段階(2014 年 1 月 1 日~2015 年 12 月 31 日):
環境調査、技術・安全保障報告、法規上の許可取得
第 4 段階(2016 年 1 月 1 日~2020 年 12 月 31 日):
3
許可取得、建設開始、完成
第 5 段階(2021 年 1 月 1 日~2030 年 12 月 31 日):
建設
2 号機の建設開始、完成
‐国家間協力‐
・フランス:
:仏・ポーランド政府間で原子力エネルギー戦略協定(20 年間)、
更に、仏原子力庁(CEA)とポーランドの国家原子力エネルギー庁(NAEA)
で原子力技術関連教育・育成プログラムを締結。協定締結後、仏訪問による
各機関との交流の実施。
・日本:
2010 年 3 月:日本と原子力エネルギー協力協定に調印。
2010 年 5 月:中国電力が PGE、Tauron(註 5)と原子力、再生可能エネルギー、
石炭分野での協力覚書に調印。
2009 年 11 月
(註 5:同社は 2010 年 8 月、原発事業への参加意向を示しており、2010 年 5 月には 3
年間の投資計画で 12Bio.ユーロを投じる見通しを発表。)
米 :
・ 国
:
分野全般での両国協力協定に調印。
2010 年 7 月 原子力エネルギー
‐入札候補の比較‐
・EDF(Areva)
:
間
加圧水型原子炉(EPR)技術導入
2009 年 11 月、PGE と EDF(Areva) で欧州
わ
印
Areva の欧州加圧水型原子炉“EPR (III+)
”導入を計画。EPR 最新型は稼動
実 績 が な い 上 、 現在 、 同 型 原 発 を 建 設 中 の フ ィ ン ラ ン ド Olkiluoto3 、 仏
Flamanvill3 は早くて 2013 年の完成と遅延傾向が続いている(註 6)。尚、原発
開発を決定した 2006 年当時のポーランド政府は、仏技術による原発開発計画を
構想。
に関 る調査協力協定に調 。
TM
(註 6:EPR III+の問題点として、フィンランド Olkiluoto で建設中の初の同タイプ導
入原発プロジェクト(Olkiluoto3)では、拡大するコストと稼動開始時期の遅延が挙げ
られる。低レベルの建設作業や低品質の部品が重大な問題を引き起こし、当初予定され
た 2009 年の稼動開始は最終的に 2013 年まで延期されていることから追加コストが膨れ
上がり、最終的には当初の 2.7Bio.ユーロから約 5.3Bio.ユーロとほぼ倍増する見通しで
あったが、フィンランド側の要請で3Bio ユーロの固定価格での建設を余儀なくされた
損失計上プロジェクトとなっている。更には、Areva の EPR の安全性に関わる懸念が
TM
4
高まり、仏、英、フィンランド原発規制当局が 3 国合同調査を実施し、複数の機器、制
御システム上の問題を協議後、修正したとの経緯あり。)
(
:
・GE Hitachi Nuclear Energy Americas GEH)
印
2010 年 3 月、
PGE は GE Hitachi Nuclear Energy Americas と協力協定に調 。
沸騰水型原子炉“ABWR(III)”、或いは“ESBWR(III+)”導入に関わる F/S
実施(註 7)。
(註 7:第 3 世代〈III〉 の ABWR は既に稼動実績がある一方、第 3 世代プラス〈III+〉
の最新型 ESBWR は、デザインの段階で受注実績はない。)
東芝 Westinghouse(東芝 WH):
・
覚書に調印。
加圧水型原子炉(PWR)“AP1000 (III+)”導入を計画。有利な点として、①
出力(1,150MW)がポーランド国内の送電網能力に適合、②建設・運転維持が
低コスト(機器・部品数等の削減)
、③運転機能の簡素化(最新 I&T システム採
用)等が挙げられている。
・韓 KEPCO:
2010 年 8 月、PGE は韓 KEPCO と協力覚書に調印。加圧水型原子炉“APR1400”
導入を計画。①短期間での建設、②高い経済性が売り物。
2010 年 4 月、PGE は東芝 Westinghouse(以下、東芝 WH)と協力
TM
:
国外
ト
(註 8)
ポーランドは、リ アニアで計画される Visaginas 原発 2 基(各 1,600MW)
共
加
投 ト
ユ
ロ(選択されるテクノロジー次第)
。
2007 年 2 月、ポーランドはバルト 3 国と原発共同建設で合意に至り、2008 年 8
月にリトアニアの Lietuvos Energija、ラトビアの Latvenergo、エストニア Eesti
Energis、ポーランドの PGE により合弁会社 Visagino Atomine Elektine(VAE)
が設立された。
過半数の出資を見込む戦略投資家の選出に関わる入札は 2010 年 11
月に締め切り、結果は年内に発表される見通しで、最終契約は 2011 年末までの締
結が見込まれる。
の 同建設計画に参 。稼動開始目標は 2018-2020 年。 資コス は 3-5Bio. ー
(註 8:2009 年末に閉鎖された旧ソ連型原発の代替)
緯
(2)経
府
多
2005 年、ポーランド政 はエネルギーの 様化と CO2
施後の 2009 年 1 月、国営電力会社 PGE が原発 2
の原発建設計画を決定し、調査実
表
削減を目的として、国内初
基の建設計画を発 していた。
5
(3)関連機関
省
局:
原子力エネルギー政策全般・原子力エネルギー計画立案
・国家原子力エネルギー庁(NAEA:National Atomic Energy Agency)
:
原子力エネルギー許認可、放射線関連調査、分析・情報・安全管理
原子力エネルギー技術に関する協力→仏、米、カナダ、韓、日と協議
教育システムの確立
原子炉検査官の育成
原子力発電スタッフ教育/育成(建設、運転)→IAEA、NEA/OECD と原発先進
国の支援・協力
・PGE(Polska Grupa Energetyczna、国営電力会社(85%国有)
、エネルギー4 社
のうち、国内最大):
原子力発電所建設事業(現在計画中)の実施主体
・経済 原子力エネルギー
2. チェコ
(1)建設計画の概要
出
: 施
2013 年の建設開始、2019‐20 年の完成を目指す。建設コストは約 500Bio.CZK
(約 18.9Bio.ユーロ)
。追加 2 基は既存施設から独立する一方、インフラは共有の
Temelin 原発 3、4 号機(最大 力は 3,400MW) 入札実 中
(註1)。
見通し
追加計画を発表。2009
年 9 月から公募手続きを開始し、2010 年 3 月に最終候補 3 社を決定した。同時点
の計画では、6-7 月の交渉期間を経て、10 月に入札書類を 3 グループに提示し、
2011 年春の入札開始、2012 年半ばの同結果発表後、2019-20 年の建設完成が見込
まれており、2010 年 5 月には、環境調査に関わる報告を環境省に提出済み(註 2)
で、翌 6 月に就任した Necas 新政権も、新規原発建設計画の推進を承認していた。
しかし、CEZ は同年 10 月、経済危機によるエネルギー市場の変化や 2020 年以降
のエネルギー需要の見通しが困難として、当該入札の開始時期を数年間先延ばし
にすると発表。これに対し、チェコ政府は同月、原発事業計画の決定権は CEZ で
はなく政府のみが有するとして、入札書類の 3 グループへの提示は 2011 年、入札
締め切りは 2012 年、入札結果の最終決定は 2013 年とする 1 年間の先延ばし計画
を発表している。
2008 年 7 月、
チェコ電力会社 CEZ は Temelin 原発 2 基の
(註1:Hnevkovice と Korensko ダムからの水供給)
(註 2:認可は最低 5 年掛かり 2015 年に下りる見通しで、完成時期は落札企業次第とされて
いる。)
6
付帯するオプションプロジェクトの概要:
①Dukovany 原発 5 号機の建設(CEZ が 2023‐2025 年の完成を目指す)、②CEZ
(49%)とスロバキア国営企業 Javys(51%)が出資する合弁会社 Jess による
同入札に
BohuniceV3 原発 1 号機(最大 1,600MW)の建設(2013 年建設開始、25 年完成
の見通し)等。
‐入札候補の比較‐
・東芝 WH(チェコ子会社との連合で参加)
:
加圧水型原子炉“AP1000 ”導入を計画。入札に有利(註 3)と見込んで、チェ
コ子会社との連合による参加。
Temelin1、2 号機建設に際しては、米 Westinghouse が既に当該事業に参加(註
4)した上、同 2 基に燃料を供給していたが、2006 年 5 月に実施された燃料供給
入札で露 TVEL が落札したことから、2010 年以降の燃料供給先は同社に変更さ
TM
(註 5)。
(註 3:チェコ政府は、多くの国内下請け企業の参加よりもチェコ企業による落札の方が
重要との見解。)
(註 4:Temelin1、2 号機は 1987 年建設開始。当時政府が 1990 年、3、4 号機の建設計
画を凍結。1、2 号機の建設は進められていた中、スロバキアとの連邦制解消後のチェコ
政府は 1、2 号機の建設継続を決定。その後、Westinghouse が機器、管理システム(I&C
システム)全ての交換を請け負った上、燃料も供給。これは、初の露原子炉への西欧 I&C
システム導入例となっている。資金は世銀融資により調達。)
(註 5:露 TVEL は、2006 年 5 月に実施された 10 年間の燃料供給入札で落札。CEZ は、
ロシア製燃料が低価格な上、原子炉の生産性も高めるとの理由で決定。既に
Westinghouse から購入済の燃料は両社製の併用は返ってコスト高との判断から破棄。)
・露 Atomstroyexport
Atomstroyexport(以下、ASE。チェコ Skoda JS(註 6)、露 OKB Gidropress(デ
れた
ザイン関連)との連合):
加圧水型原子炉 VVER-1200(AES2006)III+(1,200MW)導入を計画。
低価格で応札する意向で、最新技術と高い経済性が売り物。チェコの Klaus 大
統領は露製原子炉導入の支持を表明(註 7)。タービン製造企業のチェコ Skoda JS
による雇用創出もプラス材料とされており、供給、建設作業、サービス関連の
最大 70%のチェコ企業への発注を計画。現在、核燃料は全てロシアから輸入し
ている状況下、同連合への受注で、チェコの原発テクノロジー・ノウハウでの
ロシアへの依存度が大幅に増すとの懸念有り。
(註 6:Skoda JS は露鉄鋼 OMZ(Uralmashlzhora グループ)の子会社。今回のロシア
連合への参加は、全ノウハウを有することが条件との入札主催者側の要請に応じた結果
で、単独でも入札参加の意向であったとしている。ASE が落札しなかった場合、下請け
7
企業としてプロジェクトへの参加を希望。)
(註 7:2009 年末の訪ロに際し、ASE 参加に歓迎の意を表明し、政治上のロビー活動が重
要な役割を果たす可能性が高いことを示唆。2010 年 11 月のロシア訪問に際しても、露
Putin 首相と原発協議を行っている。)
・仏 Areva(註 8):
加圧水型原子炉 EPR III+(1,700MW)導入を計画。
Temelin 原発建設の落札を目指し、中東欧地域事務所を首都 Prague に設立。
2009 年 11 月、CEZ と既存原発 1、2 号機に関わる 15 年間の濃縮ウラン供給契
約を締結。
Areva は CEZ との協力関係の強化で、
原子炉のみならず濃縮ウラン、
燃料回収・再利用、その他の幅広いグローバルなサービス提供によるコスト削
減や仏の豊富な経験、原発投資を継続する政府方針により、全分野での部品調
達が可能な点を強調して売り込み。
仏政府の対応としては、2010 年 4 月に Idrac 仏外交貿易相がチェコ産業・貿易
省と CEZ を訪問。Areva 選出をきっかけとして、原発分野での一段の協力関係
の強化を目指している。一方、Areva 社はチェコ訪問によるロビー活動は行っ
ていないが、最高の入札企業として Areva の選出に期待と発言。
欧州
TM
(註 8:2010 年 7 月に発表された仏原子力産業の再編に際し、今後の国際入札は主として
EDF が実施との仏政府の方針で、将来的に EDF に変更される可能性あり。)
規施設]
[新
出力(MW)
タイプ
Temelin3
Temelin4
Dukovany5
未定
未定
未定
1200
1200
1200
稼動開始
?
2021?
2019
(出所:WNA、各種報道)
施 緯 現
積極的な原発導入政策を推進しているチェコでは、既存原発 6 基による電力供給
量は国内電力消費量の約 30%を占有。各施設の近代化による稼働年数の延長と発電
能力の拡大を図っている(註 9)。
(2)稼動 設の経 と 状
(註 9:Dukovany 原発 4 基は近代化により発電能力が 460MW(Gross)から 500MW に引き
上げられる見通し。1、3 号機は既に完了し、2 号機は 2011 年 1 月末、4 号機は 2 年以内の
完了で、2013 年の 4 基による総発電量は 2,000MW に達する見通し。又、稼動期間延長プロ
ジェクト(LTO)では、先ず 10 年間の延長で 30 年間となり、1 号機は 2015 年まで。最終
的に稼動期間 60 年間への延長を検討している。Temelin1、2 に関しては、981MW(Gross)
から Skoda による高圧タービンへの近代化で、1,013MW(同)まで発電能力が拡大された。
尚、将来的には 1,050MW(同)を目指す。)
8
施
[稼動 設]
出力(MW、Net)
タイプ
稼動開始
Dukovany1
VVER-440 V-213
428
1985
Dukovany2
VVER-440 V-213
428
1986
Dukovany3
VVER-440 V-213
428
1986
Dukovany4
VVER-440 V-213
428
1987
Temelin1
VVER-1000 V-320
963
2000
Temelin2
VVER-1000 V-320
963
2003
(3)関連機関
家
(出所:WNA)
局
:
:
原子力エネルギー、放射線保全に関する行政・監視
・エネルギー規制局(ERO:Energy Regulatory Office):
主な規制(2001 年以降)
・CEZ(チェコ電力会社、株式の約 70%政府保有)
:
現行稼働中の Dukovany、Temelin 原発の運営管理、Temelin 原子力発電事所拡
張事業(現在計画中)の実施主体)(財務省保有)
・国 原子力安全 (SUJB State Office for Nuclear Safety)
3. ハンガリー
(1)建設計画の概要
:
Paks 原発 5、6 号機(各 1,000-1,600MW) 建設計画
指
ト
5 号機は 2020 年、6 号機は 2025 年の稼動開始を目 す。建設コス は 2-4.8Bio.
ユーロ/基。2,000-3,000 ユーロ/kW で試算。
能 拡
大の必要性から、Paks 新規原発 2 基(各 1,000MW)の追加建設計画(註 1) を承
認した。今後の計画としては、2011 年に入札を開始し、2012 年 4 月までに落札企
業が決定の見通し。建設期間は 2013-2017 年。導入する原子炉の検討対象として、
仏 Areva(EPR )、Areva/三菱重工(ATMEA 1)、露 ASE(VVER1200)、東芝
WH(AP1000 )
、韓国 KEPCO(APR-1400)が挙げられている。
このような状況下、2010 年 4 月の総選挙で 8 年振りに返り咲いた Orban 政権
は、財政赤字の削減を目指した大型投資プロジェクトの見直しが急務とされる中、
2010 年 11 月末の露 Putin 首相との協議では、Paks 原発プロジェクトも議題の中
心となる見通し。
ハンガリー議会は 2009 年 3 月、2030 年までに 5,000~7,000MW の発電 力
TM
TM
(註 1:1989 年、Paks 原発 5、6 号機(モデル:露 VVER1000)の建設計画は、準備がほ
ぼ完了した段階で、電力需要の低下を理由に一旦凍結された上、1996 年に提案された最
大 700MW の 1-2 基追加建設案では、東芝 WH の AP600、加 AECL の Candu6、露 ASE/
9
独 Siemens の VVER640 が検討されるも、政府方針に沿わず流れた経緯あり。)
規施設]
[新
出力(MW)
タイプ
未定
未定
Paks 5
Paks 6
働
稼 開始予定
1,000-1,600
2020
1,000-1,600
2025
(出所:WNA、各種報道)
施 緯 現
現在、Paks 原発 4 基が稼動中で、国内電力の約 40%を供給。露 Atomenergoexport
(現 Atomstroyexport)が建設。1、2 号機は 1974 年、3、4 号機は 1979 年に建設開
(2)稼動 設の経 と 状
始。
既存の原発燃料は全て露 TVEL が供給。
‐発電能力の拡大‐
既存 4 基の発電能力は、当初の 440MW(Net)から段階を追って拡大された結果、
現在は 470MW(Net)。
‐稼働期間延長計画‐
2005 年 11 月、議会は Paks 原発 4 基(VVER440:稼働期間 30 年)の 20 年間の稼
動期間延長を決定し、原子力エネルギー庁(HAEA)が稼動延長プログラムを承認。
2011 年末までに1号機に関わる稼働延長ライセンス申請が HAEA に提出される見
通し。
施
[稼動 設]
タイプ
出力(MW)
働
稼 開始
閉鎖予定
Paks1
VVER-440V-213
470
1982
2012
Paks2
VVER-440V-213
470
1984
2014
Paks3
VVER-440V-213
470
1986
2016
Paks4
VVER-440V-213
470
1987
2017
(出所:WNA)
(3)関連機関
庁
:
:
原発関連の主管機関。ライセンス、安全政策、規制、放射能規制廃棄物
・ハンガリー国営電力会社 MVM(Magyar Villamos Müvek)
:
Paks Nuclear Power Plant の親会社。産業・貿易省の管轄下。
・Paks Nuclear Power Plant(MVM の子会社)
:
Paks 原発の運営(保有、運転、管理)
。
・その他の各省:
HAEA の監督下で各省が役割分担:経済・交通省(核燃料輸送)
、厚生省(放射能
・ハンガリー原子エネルギー (HAEA Hungarian Atomic Energy Authority)
10
護
保 )等
4. ブルガリア
(1)建設計画の概要
①Belene 原発 1、2 号機:建設計画
発電能力 2,000MW(2x 1,000MW)
。露 ASE の VVER1000 導入。
1987 年に開始された Belene プロジェクトは 2008 年 9 月に再開(註 1)されて、
露 Rosatom 傘下の ASE 主導の下、Areva NP(I&C システム)、露 OMZ Izhorskiye
Zavody(原子炉 Pressure vessel)等が決定したが、施設インフラ事業の段階に留
まったまま、既に完成時期が 1 年間延期されていた。その後、2009 年 7 月の総選
挙後に就任した Borisov 新政権は、エネルギー政策全般の見直しを発表。同年 10
月の独 RWE(49%出資)のプロジェクト撤退をきっかけとして、コスト高となっ
ている原発プロジェクト中止の可能性も一時は示唆していたが、推進を望むロシ
アとの協議を経て、プロジェクト継続を決定した。2010 年 2 月には、露ブルガリ
ア間で合弁会社の設立で合意に至った一方、ブルガリア政府は 2005 年当時の政府
による計画見直しを必要として金融コンサルタント入札を開始して、11 月には、
英 HSBC を選出した。これと平行して、新規の出資候補国として、セルビア、ク
ロアチア、マケドニア政府に検討を要請した(註 2)。11 月に行われた露 Putin 首
相との関連協議に際しては、コスト見直しとして 6.3Bio.ユーロ(註 3)が提示され
た模様であるが、「コストの上限は 5Bio.ユーロ」との見解を示したブルガリア政
府との交渉は決裂し、今後の話し合いによる調整が必要とされる中、ロシア側は、
実際のコストは 6.7Bio.ユーロとして、6.4Bio.ユーロを下回った場合、Belene プ
ロジェクトから手を引くと牽制していると報じられている。尚、ロシア側は、早
期の事業再開を目指し、直接出資、融資、設備危機のリース等による資金調達手
段の可能性も提案している。
(註 1:1991 年、4~6 基の大型施設を建設する計画で 40%近くまで建設が進んでいた事業
は、資金不足を理由に中止されていた。)
(註 2:セルビアは関心を示し、マケドニアとは協議中であるのに対し、クロアチアは独自
のエネルギー戦略を開発するとの理由で参加しない方針を示している。又、ブルガリア政
府は、既に独投資家とも話し合いを進めている上、ロシアとブルガリア政府は同日の協議
で、既存候補との結果を見極めた上で、独伊投資家と新たに交渉を開始することで合意に
至っている。)
(註 3:ロシア側は金額を公表する意向であったが、Borisov 首相が即拒否したことから未
公表となった。しかし、ブルガリアの Traykov 経済エネルギー相はその後の TV インタビ
ューで、当初の 4Bio.ユーロからインフレ、価格調整を加えた修正額 6.3Bio.ユーロは受け
入れ難いと発言。)
11
規施設]
[新
モデル 出力(MW)
タイプ
Belene 1
VVER1000(AES-92)
V-466
1,060
Belene 2
VVER1000(AES-92)
V-466
1,060
建設開始
未定
未定
完成見通し
未定
未定
(出所:WNA、その他報道)
②Kozloduy 原発 7、8 号機:計画
2010 年 2 月、
政府は、
既存の Kozloduy 原発の稼働期間延長と並行して、Kozloduy7、
8 号機の追加建設を検討しているとして、Belene 原発とは別途開発する計画を発表
した。2010 年 4 月、Traykov 経済エネルギー相は東芝 WH(註 4)と協議後、入札参
加の意向を発表。その他に、中国、欧州企業の参加の可能性も示唆されている。
(註 4:同社は既に、2006 年の同原発 2 基の近代化事業にも参加した経験有り。)
施
緯 現
1950 年代から積極的な原発政策を推進。現在、稼動中の Kozloduy5、6 号機によ
り国内電力需要の約 35%を供給している。Traykov 経済エネルギー相は 2010 年 9
月、Kozloduy5、6 号機の稼動期間延長(註 5)は、エネルギー政策上の最優先事項と
し、ロシアによる完全支援・協力を見込み、ブルガリアエネルギーホールディング
(BEH)による手続き開始を発表している。尚、EU 基準に未達の Kozloduy1-4 号
機は、E U 加盟条件として既に閉鎖済み。
(2)稼動 設の経 と 状
(註 5:稼動ライセンス期限は、5 号機が 2017 年 10 月 30 日、6 号機が 2019 年 10 月 2 日で、
延長に必要な書類は既に準備済み。必要に応じて 20 年の稼動延長を見込む。)
[稼働施設]
タイプ
モデル
Kozloduy5
VVER-1000
V-320
953
1987
Kozloduy6
VVER-1000
V-320
953
1991
[閉鎖施設]
タイプ
出力(MW)
モデル 出力(MW)
働
稼 開始
働
稼 開始
(出所:WNA)
閉鎖
Kozloduy1
VVER440
V-230
405
1974
2002
Kozloduy2
VVER440
V-230
405
1975
2002
Kozloduy3
VVER440
V-230
405
1980
2006
Kozloduy4
VVER440
V-230
405
1982
2006
12
(出所:WNA)
管轄機関
(3)
光省(Ministry of Economy, Energy and Tourism):
原子力エネルギー政策全般。原子力発電所建設計画の推進
・原子力規制庁(Nuclear Regulatory Agency:NRA):
規制・原子力エネルギー、放射線、核廃棄物処理の保全に関する行政・監視
・NEK(Natsionalna Elektricheska Kompania:国営電力会社)
:
BEH(Bulgarian Energy Holding)の傘下。Belene、Kozloduy 原発保有、運
営、管理。
・経済エネルギー観
5. ルーマニア
規
(1)新 計画の概要
:
Cernavoda 原発 2 基(3、4 号機) 建設計画
能
期間(見通し)は 30 年。建設コストは
発電 力は各 720MW。2017 年完成計画。稼動
ユ
約 4Bio. ーロ。
弁
当 出 比率(註 1)
は、ルーマニア国営 SNN(51%)
、伊 Enel、チェコ CEZ、白 Electrabel(仏 GDF Suez
傘下)、独 RWE Power(各 9.15%)、西 Iberdrola(6.2%)、ArcelorMittal Galati(6.2%)。
2009 年 4 月、合 会社 Energo Nuclear を設立。同社に対する 初の 資
2010 年 2 月、Energo Nuclear は、Atomic Energy of Canada(以下、AECL)と
締結。2010 年 9 月 16 日には、2017 年までの完成を目指した 3、4 号機
の追加建設入札の開始、12 月 15 日の入札締め切りを発表し、同 11 月には、Royal
Bank of Scotland を金融コンサルタントとして選出した。このような動きに対し、
合弁会社に対する出資問題が表面化しており、2010 年 6 月に金融危機による歳出削
減を迫られたルーマニア政府が、全エネルギー関連プロジェクトの見直しの中で、
SNN による合弁会社への出資比率を 51%から 25%へと引き下げる意向を示したの
に続き、9 月には、チェコ CEZ が、投資の効率化を掲げた戦略変更を理由(註 2)に、
同プロジェクトからの撤退を発表。10 月には伊 Enel が、同社による出資比率の見
直しは、ルーマニアにおけるエネルギー市場規制の改革状況次第として、最終決定
は遅れるとの見通しを示した。このような状況下、ルーマニア政府は、原発を含む
エネルギー関連企業のホールディング会社 2 社への統合計画の年末までの決定に際
し、当該出資比率の見直しも行うと見通されている(註 3)。
F/S 契約を
(註 1:各社は出資比率に応じて、所有権・電力取得権を保有。)
(註 2:国内重視による複数の国外投資の撤退を発表しており、原発に関しても、国内プロジ
ェクトを優先したことが背景とされる。)
(註 3:既存の出資企業間における出資比率の再交渉か新規の出資企業を募るかは未定。)
13
規施設]
[新
原子炉
出力(MW)
タイプ
完成見通し
Cernavoda3
Candu6
720
2016
Cernavoda4
Candu6
720
2017
(出所:WNA)
施 緯 現
現在稼働中の Cernavoda 原発 1、2 号機は、加 Candu 6 で各 655MW。国内電力
消費量の 20%を供給。1970 年代後半の入札で競合した露 VVER-440 は落札もれ。
1 号機は 1980 年、2-5 号機は 1982 年に建設が開始されたが、資金難を理由に 1 号
機の完成(註 4)に専念し、残り 4 基の建設は 1991 年に中止した。その後、2000 年
の 2 号機建設の再開(註 5)に際しては、
382.5Mio.ユーロの追加コストのうち、
218Mio.
ユーロは加政府が支援し、2004 年には、EU 委員会が 223.5Mio.ユーロの Euratom
融資を供与して、最終的に 2007 年の稼働に漕ぎ着けた。
(2)稼動 設の経 と 状
(註 4:建設企業:加 AECL と伊 Ansaldo)
(註 5:加伊 AECL-Ansaldo とルーマニア国営 SNN が建設を請け負った。)
施
[稼動 設]
原子炉
出力(MW)
タイプ
働
稼 開始
Cernavoda1
Candu6
655
1996
Cernavoda2
Candu6
655
2007
(出所:WNA)
(3)関連機関
商省(Ministry of Economy and Commerce):
原子力エネルギー政策全般
・ルーマニア原子力活動局(RAAN:Romanian Nuclear Activities Authority):
安全 R&D、原子力燃料、放射線保護、原子炉システム、廃棄物の処理・管理
・SNN(Societatea Nationale Nuclearelectrica)
:
1998 年設立。Cernavoda 運転・管理。経済・産業省の管轄下。
・経済通
6. スロバキア
1
( )
規
新 計画の概要
①Mochovce 原発 2 基(3、4 号機):建設中
発電能力は各 440MW。2012、13 年に稼働開始の見通し。建設コストは 2.775Bio.
ユーロ。
1986 年に開始された同 3、4 号機の建設は、1992 年に一旦中断されたが、2008
14
承認(註 1)を受け、2008 年 11 月に建設が再開された。プロジェ
クト関連企業は、Skoda JS、露 ASE、複数のスロバキア供給企業(Vyskumny Ustav
Jadrovej Energetiky:VUJE、Enseco 等)
、独 Siemens(I&C システム)
、伊 Enel
(エンジニアリング・プロジェクトマネージメント)等。
尚、同プロジェクトは、1986 年当時に取得した建設認可に基づいて再開され
ていたことから、環境保護の認可待ちとなっていたが、2010 年 5 月に環境省か
ら承認が下りて、原子力規制庁の最終認可が可能となった。
年に EU からの
(註 1:原子炉の EU 基準遵守)
②BohuniceV3 原発1基(1 号機):今後の新規計画:
発電能力 1,000-1,600MW。2025 年に稼働開始の見通し。投資額は約 3.32Bio.ユ
ーロ(1,200MW での見積もり)
。
2010 年末までに合弁会社 Jess(註 2)による 18 カ月間の F/S を終了後、2 年以
内の入札実施により、2013 年の落札企業の決定、建設開始、2025 年の完成を目指
す。2011 年中に資金調達完了の見通し(註 3)。応札候補としては、仏 Areva、東芝
WH、露 ASE、ATMEA(Areva-三菱重工の合弁会社)が挙げられている。
(註 2:Jadrova energeticka spolocnoct Slovenska、スロバキア原子力エネルギー会社:
2009 年 5 月、チェコ CEZ49%とスロバキア国営 Javys Holding51%出資により設立)
(註 3:2010 年 7 月に誕生した Radicova 新政権は、財政難を理由として、民間による資金
調達を条件として建設プロジェクトの支援を公約。)
③Kecerovce 原発 1 号機:エネルギー安全保障戦略上の選択肢
2025 年に閉鎖予定の BohuniceV2 の稼動期間を延長するか、或いは Kecerovce
原発1号機の新規建設のいずれかを選択する見通し。
規施設]
[新
モデル 出力(MW)
タイプ・
関連企業
VVER-440V213
405(440)
2009
2012
SE
Mochovce4
VVER-440V213
405(440)
2009
2013
SE
1,200
2013
2025
Jess
Kecerovce
2
働
稼 予定
Mochovce3
BohuniceV3
( )
建設開始
施
未定
未定
1,200
緯 現
稼動 設の経 と 状
未定
降 未定
2025 以
(出所:WNA、各種報道)
降
うち、老朽化した 2 基(BohuniceV1)は、EU 加盟条
件として閉鎖済み。スロバキア政府は、
「エネルギー戦略計画 2008」で原発による発電
比率 50%の維持を目標に掲げ、現在は既存 4 基の近代化を推進している。2010 年 11
月には、500Mio.ユーロを投じた BohuniceV2 原発 2 基の発電能力の拡大と安全性・効
率の向上を目的とした近代化作業が完了した。
1978 年以 で建設した 6 基の
15
<建設企業>
1
:露 Atomenergoexport と Skoda。既に閉鎖(註 4)。
・BohuniceV2(1、2 号機)
:Skoda。V1 と同様の AEE 技術導入。稼働期間を 2025
年(40 年間)まで延長。Areva が I&C システムの段階を追った近代化(2010 年
・BohuniceV1( 、2 号機)
完了)
。
1
:
露 VVER-440 V-213 を導入。西欧企業の I&C シス
テムによる近代化(2010 年完了)。
・Mochovce 、2 号機 Skoda。
(註 4:BohuniceV1 は安全性の問題から、EU 加盟に際して 2006、2008 年の閉鎖が条件づ
けられた。)
閉鎖施設]
[稼動・
モデル
原子炉
3
( )
タイプ・
出力(MW)
働
稼 開始
閉鎖予定(済)
BohuniceV1-1
VVER-440 V-230
1978
2006
BohuniceV1-2
VVER-440 V-230
1978
2008
BohuniceV2-1
VVER-440 V-213
505
1984
2025
BohuniceV2-2
VVER-440 V-213
505
1985
2025
Mochovce1
VVER-440 V-213
436
1998
Mochovce2
VVER-440 V-213
436
1999
(出所:WNA、各種報道)
関連機関
省:
原発政策一般
・スロバキア原子力規制庁(UJDSR:Nuclear Regulatory Authority of Slovak Republic):
許認可、安全、廃棄物処理、放射線保全の管理
・スロバキア電力会社 SE(Slovenske Elektrarne、伊 Enel66%(註 5)、経済省国有資産
基金 34%)
:
Bohunice 原子力発電所(現在稼動中)の保有・運営・管理。Mochovce 新規原発建
・スロバキア経済
設事業の推進。
(註 5:民営化の一環で、2006 年に SE に出資した伊 Enel が出力拡大投資(1.88Bio.ユーロ)と
3、4 号機完成(1.6Bio.ユーロ)の条件付きで SE に 66%出資(840Mio.ユーロ)。)
7. スロベニア
規
(1)新 計画の概要
:
・Krsko 原発 2 号機 計画
出力は 1000MW、又は 1600MW。稼動期間 60 年。建設コストは 3-5Bio.ユーロ。
16
よ 単独事業(註 1)。2020-25 年の完成を目指す。
スロベニアに る
省
2010 年 1 月、国営 GEN Energija(スロベニア国営 ELES 子会社)は経済 に関
出 み 家
戦略の一環として取り上げられて、2011 年
初めまでに議会で承認されることが期待される中、GEN Energija の Tovsak 社長
は 2010 年 10 月、政府の財政難を理由に、当該プロジェクトに関心を示す国外投
資家(註 2)と資金調達で協議中として、政府による迅速な実施決定が必要との見
解を示している。
連計画を提 済 で、国 エネルギー
(註 1:旧ユーゴ時代の合弁事業相手であるクロアチアは独自でセルビア国境の Slavonia で
1,000MW の新規施設建設を検討。)
(註 2:欧州 12 社が関心を示している。)
施
緯 現
1983 年、旧ユーゴ時代(クロアチア)の合弁事業計画による東欧初の西欧型原子
炉 Krsko 原発 1 号機(696MW、註 3)が稼働を開始した。米 Westinghouse が建設
した同原発は NEK(管轄機関(3)で後述)が運営し、生産電力はクロアチアと折
半。2023 年に稼動期限を迎えるが、NEK は稼働期間 40 年と定められた原子炉の 20
年間の延長申請を提出済み。
(2)稼動 設の経 ・ 状
(註 3:その後の近代化で発電能力を拡大した。)
管轄機関
(3)
省:
原発政策一般。原発計画案の提出先。
・スロベニア原子力安全局(SNSA)
:
Krsko 原発の安全保障全般の監督
・スロベニア経済
・Krsko 原発 NEK(Nuklearna Elektrarna Krško、スロベニア国営 ELES の子会社
ク
Krsko 原発を所有・運営。
弁
:
GEN Energija と ロアチア国営 HEP の合 会社)
考 料
1.各原子炉の比較
【参 資 】
原子炉タイプ
加圧水型)
EPRTM(
仏 EDF/Areva)
世代 出力(MW)
III+
建設中
稼動実績
4
0
1,700
(
17
備考
・PWR 改良モデル
・芬蘭、仏で各 1、中国 2 基
を建設中(遅延が問題)
・2013 年初稼働の見通し
・CEE での拡大戦略展開
沸騰水型)
ESBWR(
€
III+
1,550
0
0
III
1.350
3
4
1,150
8
0
1,200
2
0
(GE 日立)
沸騰水型)
ABWR(
(GE 日立)
加圧水型) III+
AP1000
AP1000TM(
(東芝 WH)
VVER1200/491
加圧水
・発電コスト 3.93 ㌣ /kWh
・建設実績なし
・ABWR 改良モデル
(機体・運転・保修コスト削
減による経済性の向上)
・米原子力規制委員会
( NRC)のデザイン認可
申請
・BWR 改良モデル
・米国 NRC のデザイン認可
取得・稼働実績を持つ唯一
の高度デザイン
・建設工期約 37-43 ヶ月(実
績)
・PWR 改良モデル
・2013 年に中国で初稼働の
見通し
・安全・経済水準はトップ
(機体の簡素化、運転・保修
コストの削減による経済
性の向上)
・中国、米国における積極的
な建設計画
・建設工期 36 カ月
・米原子力規制委員会
( NRC)がデザイン認可
した唯一の III+
・欧州仕様型デザイン
・2014 年にロシアで初稼働
の見通し
・VVER1000 の改良モデル
・経済性が高い。
・燃料補給間隔が 24 ヶ月と
長い。
・建設期間 54 カ月
・稼働期間 50 年
III+
(AES2006)
(
型)
(露 Rosenergoatom)
18
・中国、インド、ハンガリー、
ウクライナ、トルコへの輸
出計画
ATMEA1 ( 加圧水 III+
1,100
0
0 ・高い熱・稼働効率と安全性
・仏安全原子力機関(ASN)
型)
の審査結果待ち(2011 年
(三菱重工・Areva 合
秋の見通し)
弁 ATMEA)
・高い経済・安全性
・稼働期間 60 年
・先ず北欧での受注を目指
す。
APR1400(加圧水型) III
1,400
4
0 ・2013 年に韓国で初稼働の
見通し
(韓 KEPCO)
・米 Westinghouse がデザイ
ン権を保有していること
から、主要国での建設は制
限
・ヨルダン、ルーマニア、ポ
ーランド、ウクライナでの
建設に関心
・建設期間 48 カ月
・稼働期間 60 年
・高い経済性(発電コストは
3.03 ㌣ /kWh)
・2012 年に NRC 認可申請
の見通し
(WNA、各社発表、各種報道を基に作成)
・最新型である第 3 世代プラスで建設実績があるのは、仏 EPR と米 AP1000 のみで、他の III+はデザ
インの段階に留まっている。
・世界市場シェアの約 7 割は加圧水型原子炉(PWR)で、沸騰水型原子炉(BWR)は少数。
TM
€
2
.世界主要国の原発普及状況と今後の計画
2010 年 11 月現在、世界の稼動原発炉数は 441 基で、稼働能力は 376,313MW。2009
年の電力シェアは約 14%(2,558TWh )
。
19
主
欧州
け
(
[ 要国にお る稼動状況と計画/案件] 2010
出力
基
年 11 月現在)
建設中
建設計画
建設案件
(MW)
ベルギー
7
5,943
0
0(0)
0
ブルガリア
2
1,906
0
2(1,900)
0
チェコ
6
3,686
0
2(2,400)
1(1,200)
フィンランド
4
2,721
1(1,700)
0
2(3,000)
フランス
58
63,236
1(1,720)
1(1,720)
1(1,720)
ドイツ
17
20,339
0
0
0
ハンガリー
4
1,880
0
0
2(2,000)
イタリア
0
0
0
0
10(17,000)
リ アニア
0
0
0
0
1(1,700)
1
485
0
0
1(1,000)
ポーランド
0
0
0
0
6(6,000)
ルーマニア
2
1,310
0
2(1,310)
1(655)
スロバキア
4
1,760
2(880)
0
1(1,200)
スロベニア
1
696
0
0
1(1,000)
スペイン
8
7,448
0
0
0
10
9,399
0
0
0
5
3,252
0
0
3(4,000)
19
10,962
0
4(6,600)
9(12,000)
104
101,229
1(1,218)
9(11,622)
22(32,000)
日本
55
47,348
2(2,756)
12(16,538)
1(1,300)
中国
13
10,234
23(25,900)
39(44,270)
120(120,000)
インド
19
4,183
4(2,720)
20(17,100)
40(49,000)
ロシア
32
23,084
10(8,960)
14(16,000)
30(28,000)
15
13,168
0
2(1,900)
20(27,000)
441
376,313
ト
オランダ
ウ デ
ス ェー ン
スイス
英国
その他主要国
その他主要国
米国
ウクライナ
世界全体(計)
58(60,604) 148(163,713) 331(376,425)
(出所:WNA)
以上
20
稿 け 解 個人のものであって国際協力銀行のものではありません。
本稿は情報提供を目的に作成しており、何らかの勧誘を目的としたものではありません。
信頼できると判断した各種情報・データに基づき本稿を作成しておりますが、その正確
性、確実性を保証するものではありません。
本稿に記載した内容は予告なしに変更されることがあります。
本 にお る見 は、
21
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