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わが国の空港アクセス交通の現状と課題
わが国の空港アクセス交通の現状と課題 (財)運輸政策研究機構 伊東 誠 内容 1 旅行の動向 2 空港アクセスの現状 3 アクセス交通サービスの空港別評価 4 アクセス鉄道 5 問題点と課題 6 整備のあり方と方策 1 旅行の動向 1-1 輸送量 (1) 総輸送量の推移 140000 旅客(億人キロ) 貨 物 (億トンキロ) 120000 100000 80000 60000 40000 20000 資料:交通経済統計要覧 1995 1985 1975 1965 1955 0 (2) 交通機関別旅客輸送量の推移 8000.0 鉄道 自動車 航空 旅客船 7000.0 ︵ 輸 送 6000.0 量 5000.0 ︶ 億 4000.0 人 3000.0 キ ロ 2000.0 1000.0 2000 1985 1970 1955 0.0 資料:交通経済統計要覧 (3) 旅客交通機関分担率 旅客船 100% 6.6 16.6 分担率︵%︶ 航空 80% 自動車 60.9 60% 40% 82.2 20% 0% 1955 鉄道 1960 1965 1970 1975 年度 32.1 1980 1985 1990 1995 資料:交通経済統計要覧 2000 (4) 距離帯別交通 機関分担率 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 0-100 100-300 300-500 500-750 750-1000 1000以上 距離帯 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 0-100 100-300 300-500 500-750 750-1000 1000以上 距離帯 自動車 民鉄 1980年 1995年 旅客船 航空 国鉄 資料:旅客地域流動調査 1-2 幹線旅客流動 (1) 全国の流動量の推移 百 万 人 / 年 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 1.02 1.15 旅客船 航空 鉄道 バス 自動車 1990 1995 年 2000 数値は5年間の増加率 資料:幹線旅客純流動調査 (2) 交通機関分担率 分 担 率 100% 9.3 80% 29.4 60% 2.4 40% 58.2 20% 0% 1990 1995 旅客船 航空 鉄道 バス 自動車 2000 年 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) (3) ブロック別発生量 ブロック別発生量(秋季1日) 千人/日 1200 1000 800 600 400 200 九 州 ・沖 縄 バス 四国 幹線フェリー・旅客船 山 陰 ・山 陽 近 畿 ・阪 神 東海 北 陸 ・甲 信 鉄道 関東 東北 航空 北海道 0 自動車 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) (4) ブロック別分担率(発生ベース) ブ ロ ッ ク 別 分 担 率 (秋 季 1 日 ) 100% 80% 60% 40% 20% 九 州 ・沖 縄 バス 四国 幹 線 フ ェ リー・旅 客 船 山 陰 ・山 陽 近 畿 ・阪 神 東海 北 陸 ・甲 信 関東 鉄道 東北 航空 北海道 0% 自動車 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) 1-3 中京圏の流動 (1) 中京圏居住者の旅行目的地 日本(都道府県別) 9,500 4,750 950 列B 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) 単位:千人 /年 (2) 中京圏居住者の旅行(航空と鉄道) 日本(都道府県別) 6,000 3,000 600 鉄道 航空 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) (3)中京圏居住者の交通機関分担率 (年間/5万人以上の都道府県) 自動車 80∼100 (4) 60∼79 (1) 40∼69 (1) 20∼39 (2) 0∼19 (25) 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) 中京圏居住者の交通機関分担率(年間/5万人以上の都道府県) 鉄道 80∼100 60∼79 40∼59 20∼39 0∼19 (3) (8) (8) (7) (7) 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) 中京圏居住者の交通機関分担率(年間/5万人以上の都道府県) 航空 80∼100 (4) 69∼79 (3) 40∼59 (1) 20∼39 (1) 0∼19 (24) 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) (4) 中京圏居住者の旅行先県別交通機関分担率 需要の多い東 ∼東北・東海道・山陽沿線県∼ 海道山陽で鉄 宮 城 道と自動車の 福 島 分担率が高い 栃 木 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 自 バ 鉄 航 旅 静 岡 滋 賀 京 都 大 阪 動 車 ス 道 空 客 船 兵 庫 岡 山 広 島 福 岡 合 計 0% 20% 40% 60% 80% 100% 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) (5) 首都圏居住者の旅行先県別交通機関分担率 交通機関分担率 静岡 愛知 岐阜 三重 滋賀 京都 自動車 バス 鉄道 航空 大阪 兵庫 岡山 広島 山口 福岡 0% 20% 40% 60% 80% 100% 分担率 資料:幹線旅客純流動調査(2000年) 1-4 日本人の海外旅行 (1) 出国日本人の推移 2000 70.0 1800 60.0 1600 50.0 1400 % 40.0 1200 30.0 1000 20.0 800 10.0 600 0.0 200 -10.0 0 -20.0 19 64 19 67 19 70 19 73 19 76 19 79 19 82 19 85 19 88 19 91 19 94 19 97 20 00 400 日本の国際観光統計:国際観光振興会編 (2) 居住地別出国空港の構成 資料 国際航空旅客動態調査(2001) 国土交通省 100% 80% 空 港 選 択 率 60% 40% 20% 0% 首都圏 成田 羽田 中京圏 関西 名古屋 近畿圏 その他 2000 1998 1996 1994 100 1992 1990 1988 1986 1984 1982 1980 1978 1976 1974 1972 1970 1968 1966 1964 実数(万人) 600 500 400 伸び率 20 300 10 200 0 実数 -10 -20 0 -30 日本の国際観光統計:国際観光振興会編 伸び率(%) 1-5 外国人の国内旅行 (1)訪日外客数の推移 50 40 30 (3) 国別の訪問者数 2001年 国別の訪問者数 北米 アフリカ16% 南米豪州 2% 4% 韓国 26% 0% 欧州 12% その他アジ ア 11% 中国 8% 香港 5% 台湾 16% 資料;訪日外国人旅行者調査 国際観光振興会 (2)国籍別訪日旅客数(観光客)の推移 アジア諸国の訪日旅客数の推移(1990=100) 350 300 250 200 150 100 50 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 0 1990 指 数 台湾 韓国 中国 香港 総数 年度 資料;訪日外国人旅行者調査 国際観光振興会 アジアをターゲッ トとしたマーケ ティングが課題 (4)空港別国籍別利用者数 空 新 名 鹿 そ 千 歳 函 館 青 森 仙 台 新 潟 富 山 小 松 成 田 羽 田 古 屋 関 西 岡 山 広 島 高 松 松 山 福 岡 長 崎 熊 本 大 分 児 島 那 覇 の 他 港 別 国 籍 別 用 者 数 (2 0 0 0 年 ) ア ジ ア ヨ ー ロ ッ パ ア フ リ カ 北 ア メ リ カ 南 ア メ リ カ オ セ ア ニ ア 無 国 籍 そ の 0 1 0 0 2 0 0 万 人 / 3 0 0 年 日本の国際観光統計:国際観光振興会編 他 (5) ブロック別の訪問率 ブロック別訪問率(2000年度) 0 10 訪問率(%):複数回答 20 30 40 50 北海道 東北 関東 中部・北陸 近畿 中国 四国 述べ訪問率 203.5% 九州・沖縄 資料;訪日外国人旅行者調査 国際観光振興会 60 70 (6) 県別の訪問率 0 神 北 東 京 大 阪 奈 川 京 都 千 葉 愛 知 福 岡 兵 庫 山 梨 奈 良 静 岡 沖 縄 長 崎 栃 木 大 分 広 島 海 道 長 野 熊 本 埼 玉 岐 阜 茨 城 宮 城 群 馬 三 重 1 0 2 0 3 0 資料;訪日外国人旅行者調査 国際観光振興会 4 0 5 0 6 0 ここまでのまとめ ・新幹線、高速道路、航空を利用する国内の幹線旅客は今後も 増加 傾向を続ける。新幹線、航空、自動車の競争は激化し て いる ・中京圏関連の国内旅行は新幹線と高速道路利用が有利な旅 行が多い。従って、航空利用の利便性向上が重要 ・日本人の海外旅行、外国人の訪日旅行も大幅な増加が予想 される。中京圏は東京圏、京阪神圏に比べ外客の訪問が少な いので、訪日外客を中京圏に迎え入れる工夫が重要 ・国際旅行は成田、羽田、大阪、関西空港との競争。 この2つの競争には「アクセス交通」が重要な役割 2 空港アクセス交通の現状 2-1 空港の立地条件 時間(分) 都心からの距離と時間 80 福島 70 広島 成田 60 50 関西 仙台 新千歳 大阪 40 羽田 30 名古屋 中部空港 運輸政策審 20 宮崎 議会の目標 福岡 10 那覇 0 0 20 40 60 距離(km) 80 2-2 アクセス交通の役割 (1)旅行時間の構成 乗換時間: 移動時間。 待ち時間 ターミナル内 移動時間 、 待ち時間 アクセス時間: 自宅からターミ ナルまでの時間 幹線交通 利用時間 これらの時間の短縮が必要 イグレス時間:ター ミナルから目的 地までの時間 旅行時間の構成 新幹線駅 40 31 114 出発地∼空港・ 駅 新幹線では3分の1が、 待ち時間 129 空港 60 62 航空では2分の1がアク セスイグレス時間 0 100 200 300 乗車時間+降車 ∼目的地 時間(分) 新幹線・空港へのアクセス交通の実態とサービス改善に関する調査 運輸経済研究センター (3) 交通機関選択モデル Pij = UijA A e UijR e U U +e + e A ij C ij UijA = a0 +a1×cijA+a2×TijA+a3×ATijA+・・・ Air i Rail Car j 幹線交通機関選択モデルのパラメータ サービス変数 幹線時間(分) 端末時間(分) 総費用(円) 乗換回数 定数項 航空 鉄道 乗用車 バス 0-300km 300-600km 600-1000km -0.01558 -0.01692 -0.01427 -0.01625 -0.01794 -0.01327 -0.00021 -0.00025 -0.00026 -0.4752 -0.4959 -0.3582 0 0 0 6.051 3.711 -0.6147 4.602 1.106 3.143 1.502 1.098 0.143 (注)乗用車利用の幹線時間は高速道路利用時間 幹線時間とアクセスイグレス時間は、利用者にとって同等な価値 2-3 アクセス交通の整備状況 (1) アクセス交通手段の種類 自家用車 小規模空港 ハイヤータクシー レンタカー 貸切バス 空港連絡バス 鉄軌道 船舶 大規模空港 (2) アクセス交通機関の整備状況 東京国際 際 福岡 関西国際 新千歳 大阪国際 那覇 名古屋 鹿児島 広島 宮崎 仙台 長崎 熊本 松山 小松 函館 大分 乗降客 (千人 /年) 鉄道 58693 ● 25307 ● 19455 ● 19365 ● 18405 ● 16877 ● 11027 ● 10581 6064 3343 3343 ● 3244 2847 2769 2665 2592 2394 1995 モノ 路線バ 貸切バ レール ス ス ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 年間利用客概ね200万人以上の空港 タク シー ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 自家用 車・公 用車 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● レンタ カー ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 船舶 ● ● ● アクセスとイグレスの計 2-4 アクセス交通需要の現状 資料:2001年航空旅客動態調査 (1) アクセス交通機関分担率 羽田 関西 福岡 新千歳 大阪 鉄道 モノレール 路線バス 貸切バス タクシー 自家用車 公用車 レンタカー 船舶 その他 宮崎 長崎 名古屋 広島 小松 鹿児島 仙台 大分 松山 熊本 函館 那覇 0% 20% 40% 60% 分担率 80% 100% (2) 平均アクセス時間 小松 那覇 鹿児島 宮崎 大分 熊本 長崎 福岡 松山 広島 名古屋 仙台 函館 新千歳 関西 大阪 羽田 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 資料:2001年航空旅客動態調査 (3) 主要空港のアクセス時間の分布 120∼ 16% 90∼120 16% ∼30 8% 東京国際 30∼60 34% 90∼120 14% 60∼90 26% 30∼60 34% 関西国際 60∼90 22% 120∼ 10% 90∼120 9% ∼30 19% 大阪国際 60∼90 24% ∼30 10% 120∼ 20% 90∼120 11% 30∼60 38% 資料:2001年航空旅客動態調査 ∼30 16% 120∼ 23% 名古屋 60∼90 20% 30∼60 30% (4) 名古屋空港の勢力圏(国内航空旅客) 全目的 8% 1% 2% 5% 13% 4% 64% 2000年幹線旅客純流動調査(秋季1日) 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 富山 石川 福井 滋賀 その他 (5) 国際航空旅客に関する空港別勢力圏 国際旅客の居住地別出国空港の構成 成田 80∼99 (8) 60∼79 (2) 40∼59 (6) 20∼39 (6) 0∼19 (25) 資料:2001年国際航空旅客動態調査 関西 80∼100 (8) 60∼80 (3) 40∼60 (4) 20∼40 (6) 0∼20 (26) 資料:2001年国際航空旅客動態調査 名古屋 80∼100 (2) 60∼79 (1) 40∼59 (2) 20∼39 (2) 0∼19 (40) 資料:2001年国際航空旅客動態調査 空港の勢力圏を定める要素 航空路線(どこと繋がっているか) 路線のサービス(運行頻度) ツアーを作る旅行会社の行動 アクセス交通のサービス水準 3 空港アクセス交通サービスの空港別評価 ー国内線利用客を対象としてー 3-1 評価の指標と評価対象 (1) 評価指標 速達性 平均アクセス時間 低廉性 平均アクセス費用 シームレス度 多重性 公共交通利便性 平均乗換回数 アクセス交通機関の種類 公共交通機関分担率 5 (2)評価対象 函館 国内航空旅客が概ね 200万人/年の空港 福岡 長崎 熊本 5 5 55 5 5 5 5 5 新千歳 55 55 小松 5 大阪 5 5 5 5 名古屋 5 55 広島 5 55 5 55 5 5 5 5 5 5 55 5 555 5 5 5 関西 55 大分 55 鹿児島 宮崎 那覇 松山 仙台 羽田 3-2 個別サービス指標と評価 (1) 速達性 アクセス 空港 時間 ∼55分 函館、 55∼60分 熊本、宮崎、松山、那覇 点数 5 4 65∼75分 大阪、福岡、小松、長崎、鹿児島、羽田 3 75∼80分 新千歳、関西、広島、大分、名古屋 80分∼ 仙台 アクセス時間は空港利用者の時間の平均値 航空旅客動態調査(2001年)から算出 2 1 (2) 低廉性 アクセス費用 空港 ランク ∼1600 羽田、宮崎 5 1700∼1800 4 2200∼2400 大阪、那覇、函館、福岡、熊 本 松山、長崎、小松、新千歳、 関西 鹿児島、広島、名古屋、 2 2400∼ 大分、仙台 1 1800∼2200 アクセス費用は空港利用者の費用の平均値 航空旅客動態調査(2001年)から算出 3 (3) シームレス度 平均乗 換回数 0∼0.2 空港 熊本 5 0.2∼0.3 函館、宮崎、那覇、鹿児島、 4 0.3∼0.5 3 0.5∼0.7 松山、長崎、仙台、新千歳、大分、 広島、名古屋、関西 福岡、大阪 0.7∼ 羽田、小松 1 平均乗換回数は空港利用者が出発地から空港に至るまで の乗換回数の平均値 航空旅客動態調査(2001年)から算出 点数 2 (4) 多重性 交通機関の種類 空港 ランク 鉄道、モノレール2路 線以上 鉄道、モノレール1路 線 船 バスのみ(分担率20% 以上) バスのみ(分担率20% 未満) 羽田、関西 5 福岡、新千歳、大阪、 宮崎 長崎、大分 名古屋、鹿児島、広 島、仙台、小松 那覇、熊本、松山、 函館、 4 3 2 1 (5) 面的サービスの充実 系統数 空港 20∼ 羽田、関西 10∼19 大阪、名古屋、福岡、鹿児島 ランク 5 4 2 新千歳、仙台、広島、長崎、大分、宮崎、 3 小松 熊本、那覇 2 1 函館、松山 3∼9 系統数は鉄道、モノレール、バス、船の運航系統数 1 (6) 公共交通機関の利便性 公共交通機 関分担率 60∼ 空港 ランク 羽田、関西 5 50∼60 福岡、新千歳、大阪 4 20∼50 3 10∼20 宮崎、長崎、名古屋、広島、小 松、鹿児島、仙台、大分 松山、熊本、函館 2 0∼10 那覇 1 公共交通機関分担率は鉄道、モノレール、船、路線バスの分担率。 資料:航空旅客動態調査(2001年) 3-3 総合評価 30 25 20 面的サービス 15 多重性 公共交通利便性 シームレス度 10 低廉性 速達性 5 大分 函館 小松 松山 熊本 長崎 仙台 宮崎 広島 鹿児島 名古屋 那覇 大阪 新千歳 関西 福岡 羽田 0 面的サービス 公共交通利便性 多重性 シームレス度 低廉性 速達性 ︵参 考 ︶中 部 大分 函館 小松 松山 熊本 長崎 仙台 宮崎 広島 鹿児島 名古屋 那覇 大阪 新千歳 関西 福岡 羽田 30 25 20 15 10 5 0 中部は名古屋をベースに、多重性のランクを4、公共交通利 便性を福岡、新千歳並(公共交通分担率50%程度)とした 4 空港アクセス鉄道 航空と高速鉄道のインターモーダル輸送 :パリ シャルル ド ゴール空港 4-1 わが国と諸外国のアクセス鉄道 (1)空港の立地条件の比較 所要時間(分) 60 50 40 羽田 オヘア 名古屋 大阪 30 スキポール 20 中部 ヒースロー 10 0 成田 関西 フランクフルト 0 50 都心からの距離(km) 100 (2) 欧州と日本の空港アクセス鉄道整備の経緯 日本 羽田空港 年 欧州 1955 ブ リ ュ ッ セ ル 国 際 空 港 1958 ロ ン ド ン ガ トウ ィッ ク 空 港 1962 ベ ル リ ン シ ュ ネ ー フ ェ ル ト空 港 1964 1972 フ ラ ン ク フ ル ト空 港 1975 デ ュ ッ セ ル ド ル フ 空 港 1 9 7 6 シ ャ ル ル ド ゴ ー ル 空 港 (ロ ワ ー シ ー 鉄 道 ) 1977 ヒ ー ス ロ ー 空 港 (ロ ン ド ン 地 下 鉄 ) 1980 チ ュ ー リ ッ ヒ 空 港 1981 1986 1987 ジ ュ ネ ー ブ コ ア ン トラ ン 空 港 成 新 福 関 田 千 岡 西 空 歳 空 空 港 1991 空 港 1992 港 1993 港 1994 1995 宮崎空港 1996 大阪空港 1997 羽田空港 1998 ス ニ マ シ タンステッド空 港 ュー カッス ル 空 港 、ミュンヘ ン空 港 ン チ ェス ター 空 港 、シ ュットガ ル ト空 港 、ス キ ポ ー ル 空 港 ャ ル ル ド ゴ ー ル 空 港 ( T G V ,R E R ) ヒ ー ス ロ ー 空 港 (ヒ ー ス ロ ー エ キ ス プ レ ス ) 東京モノレール 1964年開業 京浜急行羽田駅 成田空港 関西空港 成田空港 新千歳空港 (3) わが国でアクセス鉄道が整備されている空港 都心 から 所要 空港 の距 時間 運行主体 保有主体 離(k (分) m) JR北海道 新千歳 41 35 JR東日本 成田 53 60 京成電鉄 成田高速鉄道 東京モノレール 羽田 14 30 京浜急行 大阪高速鉄道 大阪 14 35 JR西日本 関西 36 45 南海電鉄 関西空港 福岡市交通局 福岡 4 12 JR九州 宮崎 5 12 5 5 5 5 5 ● 5 55 5 5 5 5 5 5 ● 5 5 5 55 5 ● ● 5 5 5 5 5 5 5 5 55 5 5 5 5 5 5 ● 工事中:仙台、中部 検討中:広島、北九州、高知、 ETC ● ● 5 5 5 5 5 ● 5 ● 5 ● 5 5 5 5 鉄道とバスのサービス水準比較 所要時間 (分) 38 新千歳 札幌 31 羽田 東京 39 新宿 37 伊丹 大阪 39 なんば 64 関西 新大阪 45 なんば 7 福岡 博多 12 宮崎 宮崎 空港 都市 鉄道 運賃 運行間隔 所要時間 (分) (円) (分) 1040 15∼30 90 560 3∼15 45 590 3∼15 50 640 8∼12 30 420 8∼12 30 2980 約30 60 2500 約20 45 250 3∼8 340 15∼40 24 バス 運賃 運行間隔 (円) (分) 820 約40 900 30∼55 1200 10∼30 620 10∼20 620 10∼40 1300 20∼30 880 30∼45 400 4∼30 伊丹 フォートロンダーディール シカゴ・ミッドウェイ デュッセルドルフ サザンプトン ベルリン・テンペルホフ フリードリヒスハーフェン ルガノ・アグノ 北九州 フランクフルト・アムマイン パリ・シャルル・ド・ゴール アムステルダム・スキポール サンフランシスコ マドリッド・バハラス 香港・チェク・ラプ・コク マイアミ ロンドン・ガドウィック オスロ・ガーテル゙モン ロンドン・スタンステッド ブリスベン ワシントン・ナショナル ポートランド クリーブランド・ホプキンス ウィーン・シュヴェヒャート 那覇 名古屋 マラガ ベルリン・テーゲル ニース・コート・ダジュール バーミンガム シュツットガルト ジュネーブ・コラントン グラスゴー国際 ロンドン・ルートン リヨン・サンテクジュペリ ハノーバー・ランゲンハーゲン ベルファストシティ ニューキャッスル 広島 宮崎 仙台 ニュンベルク トロンヘイム イズミル ベルリン・シェーネフェルト ブレーメン ドレスデン ロンドンシティ ピサ・ガリレオ・ガリレイ 新潟 コペンハーゲン・カストラップ ストックホルム・アーランダ 新千歳 ミラノ・マルペンサ 関西 福岡 マンチェスター ブリュッセル・ナショナル ワシントン・ボルチモア メキシコシティ バルセロナ・プラット チューリッヒ・クローテン ソウル・金浦 パリ・オルリー ミュンヘン フィラデルフィア国際 ボストン・ローガン シドニー・キングスフォード・スミス 成田 ローマ・フィウミチーノ セントルイス・ランバート シンガポール・チャンギ ニューヨーク・JFK ニューヨーク・ニューアーク 羽田 バンコク・ドンムアン ロンドン・ヒースロー 0 クアラルンプール・セパン 20,000 シカゴ・オヘア 40,000 イスタンブール・アタチュルク 80,000 アトランタ・ハーツフィールド 60,000 年間旅客数(千人) 60,000 40,000 20,000 年間旅客数(千人) (4) 諸外国における空港アクセス鉄道の整備状況 出典:都市鉄道整備等基礎調査 80,000 0 (5) 分担率の比較 ※1 アトランタ 鉄道 8% その他 92% ※2 サンフランシスコ バス 9% その他 91 % 鉄道 25% ヒースロー シャルル・ド・ゴール バス 16.5 % 鉄道 20% フランクフルト バス 11 % 鉄道 27 % 香港 その他 58.5% その他 69% バス 3 % その他 70% 鉄道 24% バス 36% 羽田 その他 40% 鉄道 63.3% 成田 鉄道 27.5% 0% 10% 20% バス 2 4.6% バス 49.3% 30% 40% 50% 60% アクセス 交通機関分担比率(%) その他 12.1% その他 23.2% 70% 出典:都市鉄道整備等基礎調査 80% 90% 100% 出典:都市鉄道整備等基礎調査 (6) 整備形態 b .迂 回 型 a . 路線隣接 型 .路 既 既設 設路 路線 線に に 新駅 設 置 空 港 駅 設 置 新駅設置 迂 備 と 迂回 回線 線整 整備 備と と 空 港 駅 設 置 新 駅 設 置 新駅設置 分岐終点 型 c . .分 延伸終点 型 e . .延 既空 設港 路の 線整備 を備 延に 伸 空 港 の 整 に し 空 港 駅 設 置 併 併せ せ延 延伸 伸整備 整備 既 ら の 既 設 路線 か ら の 既設 設路 路線線か か らの 分分 岐 と 空 港 駅 設 置 駅設 分岐 岐と新 と新駅 設置 置 4-2 事例分析 4-2-1 ヒースロー空港 (1) 位置 ロンドンの西 13 マイル (2) 空港利用客 国際 56900千人/年 国内 7400千人/年 Luton Stansted ロンドン 計 64300千人/年 London City Heathrow Gatwick (3) アクセス交通機関 アクセス手段 ヒースローエクスプレス 市内までの時間・運行間隔 地下鉄ピカデリーライン ナイツブリッジまで53分 ピカデリーサーカスまで58分 キングスクロスまで68分。 運転間隔:3∼7分。 料金 £5.00 タクシー セントラルまで45分くらい 料金:£35-£45。 バス ルート1(終着点ビクトリア駅) ルート2(終着点ラッセルスクエア経由ユーストン 駅) 料金:片道£6、 往復£10 パディントン駅まで。 ターミナル1,2,3からは15分。 ターミナル4からは23分。 運転間隔:15分おき 料金:片道£15.00、往復£23.00 (4) ヒースローエクスプレスの事業概要 事業主体:建設、運営主体ともヒースロー空港会社(BAA傘下) 整備内容:既設線から空港までの新線建設。既設線改良 ・事業費4.4億ポンド ・ヒースロー空港会社・・新線と空港ターミナル駅の建設 ・レールトラック・・・既設線改良 とパディントン駅改築) ヒースロー 空港 パディ ントン 駅 ヒースロ−エクスプレスの車内 スーツケースを置く場所が用意されている。 パディントン駅の構内、カートの使用ができる。 4-2-2 フランクフルト空港 (1)位置 ヘッセン州の首都 フランクフルトの西 9km (2)利用客 国際 40300千人/年 Koln WESTFALEN 国内 8700千人/年 計 49000千人/年 HESSEN フランクフルト空港 BAYERN Stuttgart (3)アクセス鉄道 ・既存路線から分岐し空港ターミナルまで路線を新設(1973年) ・事業主体はドイツ鉄道 ・2種類のサービスを提供 高速鉄道 ICE、IC、ECで遠方の主要都市(約30都市、スイ ス等の都市を含め)と接続 Sバーン (地下鉄) フランクフルト中央駅、都心、ヴィースバーデン、そ の他 フランクフルト中央駅まで12分。 10分間隔。2.1ユーロ フランクフルト国際空港ターミナル(右)、空港駅舎(左) フランクフルト空港駅 フランクフルト空港駅のホーム、カート置場がある。 4-4 欧州の空港アクセスの特徴(まとめ) ・主要空港のみならず、ローカル空港においても軌道系のアクセス 交通が整備されている事例が多い。 ・主要空港から都心まで、距離を問わず50分以内で、大部分は30分 以内となっている ・主要空港と都心が鉄道で直結している事例が多い ・都市間鉄道が空港に直接乗入れ、空港と遠方の都市を直結してい る事例が多い ・駅でチェックイン・サービスが行われている等、ソフト面についても 配慮されている 5 わが国の空港アクセスの問題点と課題 空港が都心から 離れて立地 ・時間がかかる(大都市、地方都 市とも) ・費用が高い ・空港の利用時間帯が制約される 軌道系交通の整備が遅れ 道路交通への依存度が高い ・定時性? ・確実性? ・運行系統、頻度が少ない ・乗り換えを必要とすることが多 公共交通のサービスが低い いが、補助手段が未整備 ・大都市ではラッシュ時の混雑 区間を通過 ・乗換の上下、水平移動が長い 案内がわかりにくい ・目的地までの乗り継ぎ情報が 不足 ・外国人への対応が不十分 空間の質が低い ・駅舎、停留所のデザイン ・駅、沿道の広告の氾濫 6 整備のあり方と方策 6-1 基本理念 ・旅行者が負担が少なく快適に移動できる ・旅行者の多様なニーズに対応 ・リダンダンシーの確保 ・空港の利用形態に適したアクセスを構築 ・既存ストックの有効活用 ・質の高い交通空間の形成 ・地域の魅力を向上させ、国際競争力向上に貢献 6-2 サービス改善のあり方 (1) 所要時間と費用の短縮 (2) 定時性の確保 (3) 乗り継ぎの解消、円滑化 (4) 軌道系交通機関の整備 (5) マルチモーダル(豊富な選択肢) (5) わかりやすさ 6-3 アクセス交通改善の方法 交通機関別の施策 ・鉄道 ・道路 ・バス ・船 交通機関共通及び連携する施策 ・インターモーダル輸送(シームレス) ・情報提供 (1) 鉄道 ・既設線の空港への延伸 路線の整備 列車運行の改善 駅の改良 車両 ・短絡線の整備 ・快速列車の運行 ・既存の幹線鉄道ネットワークとの連携 ・多方面への直行列車の運行 ・フリーゲージトレイン ・ホーム ツー ホームでの乗換 ・連絡通路の設置 ・ES、EVの設置 ・荷物スペースの設置 ・着席可能性の拡大 千歳空港への鉄道の多様な運行系統 小樽 旭川 札幌 千歳空港 帯広 函館 室蘭 苫小牧 釧路 (2)道路 アクセス道路 の整備 ・幹線道路や最寄り鉄道駅 からの アクセスの改善 ・地域の玄関口にふさわしい景観 高速道路の 整備 駐車場の整備 ・空港と直結できる高速道路の整備 ・利用しやすい料金 ・利用しやすい料金体系 ・適正な配置 (3) バス 運行系統 の拡充 停留所、ターミ ナルの整備 ・主要都市、観光地への直行バスの運行 ・需要の波動にあわせた弾力的な運行 ・都心ターミナルの整備 ・空港ターミナルにおける乗降場の適正配置 伊万里 福岡空港 小倉 ハウス テンボス 佐賀 黒崎・戸畑 久留米 湯布院・九重 大牟田 熊本 日田、杖立 都城・宮崎 (4) インターモーダル、シームレス化 ・乗り継ぎターミナルの整備 ・鉄道、バスの運行頻度の確保とダイヤの調整 ・利用しやすい運賃(乗り継ぎ切符等) ・ターミナル内移動の補助手段の設置 (5) 情報提供 ・案内情報(種類、提供場所 、設置位置、表記文字) ・インターネットの活用 ・都市、観光地内での交通案内情報の提供 (6) その他 ・質の高い交通空間の創出 空港のホームページにおける外国語表記 空港 新千歳 仙台 羽田 成田 大阪 関空 広島 福岡 英語 〇 〇 〇 〇 × 〇 〇 × 韓国語 〇 × × 〇 × 〇 〇 × 中国語 〇 × × × × 〇 〇 × まとめ ・航空利用者にとり空港アクセスのサービスは、大変重要である 国内旅行では、特に新幹線との競争 海外との旅行では空港間の競争 中部空港に質の高い ・アクセス交通機関利用者のニーズは多様である。ニーズに合わ アクセス交通サービ せた選択と事故や災害を考慮し多様な選択肢を用意すること スが実現することを が必要 期待します ・特に、鉄軌道系システムは速達性、定時性に優れているので、ア クセス交通サービスの向上には欠かせない ・優れたアクセス交通サービスの提供により、空港が有効に活用 でき、その結果、地域の魅力が向上する ご清聴ありがとうございました