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アルファベットの音を覚えよう指導マニュアル(PDF)
「アルファベットの『音』を覚えよう」 指導者用マニュアル 1.はじめに この DVD 教材は,「大文字の A」と「小文字 a」の両方を見て,どちらも/ei/と「名前読 み」できるようになり,大文字と小文字をある程度弁別して書けるようになった児童に対 して,次の段階として,A,a を「音読み」をすると/æ/と発音することに気づかせるための ものです。この「音読み」のルールをフォニックス(phonics)といいますが,小学生に数 多くのルールを教え込むような指導はふさわしくありません。小学生の時に,遊びながら 目と耳で自然にその基本的なルールを獲得させ,その後,単語レベルから徐々に「意味を 理解するための読み」ができるように開発したものです。 この DVD には,3 つのパターンの練習法を含めました。1つめは, 「フォニックスソング」, 2つ目は,「フォニックスソング(カラオケ)」そして,3つめは,「アルファベットジング ル」です。「フォニックスソング」は,簡単なリズムとフレーズで,A,a から Z,z までを初 頭音(initial letter sound)に持つ単語の歌を一緒に歌うことで,「名前読み」と「音読 み」の違いに気づかせます。その後「フォニックスソング(カラオケ)」に移行し,アルフ ァベットを正しく「音読み」できるようにします。「アルファベットジングル」は,フォニ ックスソングと同じ単語を使っておりますが,歌ではなく,チャンツのリズムに乗って “A/ei/ says a/æ/, a/æ/, apple.”と言わせるものです。ジングルのほうは,声に出しな がら“apple”という「単語の綴り」を映像の中で目にすることで,「意味を理解するため の読み」や「ルールから外れたものの読み」に繋げていく目的もあります。「アルファベッ トジングル」は,全体を通して聞くことも,アルファベットを個別に選んで聞くこともで きるため,難しい「音読み」を確認するために使うこともできますし,高学年になると, 歌うことに抵抗感を示す児童も出てきますので,クラスの実態に合わせて適宜お使いくだ さい。 2.使用学年 この教材は,どの学年においても,初期の文字指導で使用が可能です。 3,4 年生で使用 する場合は, 「フォニックスソング」を歌うだけでも楽しいでしょう。帯活動として,毎回 の授業の始めに歌を流し,時間をかけて自然に視覚と聴覚を駆使して「読む」ことになじ ませていくことができます。自分が「読む」ことを意識していなくても,教材にきちんと 「文字」が添えられているため,無意識のうちに「音」を伴った「文字」を大量にインプ ットすることになります。その後,5 年生になって別編 DVD「アルファベットの大文字・小 文字を覚えよう」を使い,英語の「文字」の読み書きに集約していく方法があります。 5,6 年生から初めて文字指導を導入する場合は,先に別編 DVD「アルファベットの大文字・ 小文字を覚えよう」を学習した後に,間を置かずに始めることが最も効果的です。それが できない場合でも,この先長くつきあうことになる小文字をある程度読み書きできるよう になったことが前提にあるほうが好ましいので,付属のピクチャーカードやワークシート を活用して大文字と小文字の読み書きに触れてから,本 DVD の「フォニックスソング」を 歌いながら「英語の音」に気づかせます。さらに,「アルファベットジングル」で,簡単な 英単語の初頭音に結びつけ,「単語を読む」初めの一歩と位置付けます。そして,付属のワ ークシートで,歌やチャンツでなじんだ単語を「書く」ことをスタートさせます。 3.指導手順 5 年生及び 6 年生の初期の文字指導で利用する場合についてご説明します。別編 DVD, 「ア ルファベットの大文字・小文字を覚えよう」を活用し,Aa, Bb,の大文字と小文字がある程 度読める,書けるようになっていることを前提にするのが理想です。そして,児童の実態 に合わせて,手順3までは,毎回の授業の前半 10 分前後をあて,3 ヶ月程度をかけてゆっ くりと無理なく慣れるように指導してください。手順4は,授業のまとめとして後半 10 分 をあてることもよいでしょう。 手順1:「フォニックスソング」を授業の最初に毎回流して歌いましょう。毎回6~7個 のアルファベットに焦点を当て,ピクチャーカード(大)を使い,発音の注意点を確認し ましょう。ここは是非 ALT に活躍していただきたいところです。歌った後でワークシート ①を用いて,大文字と小文字のマッチングをしたり,歌いながらアルファベットを書かせ たり,皆で楽しみながら活動してください。 手順2: 「フォニックスソング」が歌えるようになったら,「フォニックスソング(カ ラオケ)」を授業の最初に毎回流して歌いましょう。その時,ピクチャーカード(小)や歌 いながらワークシート②を使い,「文字」「音」 「意味」が繋がるようなゲームを工夫してく ださい。毎時スモールステップで行うこともできますし,ある程度の時間に集中してする こともできます。ワークシート 1,2,3 は,徐々にレベルが上がるように作成しています。 歌いながら,または声に出しながらやらせてください。 手順3: 「アルファベットジングル」を授業の最初に毎回流して一緒に言ってみましょう。 慣れてきたら,音声をオフにして,児童だけで言わせてみましょう。ここでは絵のかわり に単語の綴りが出てくることにお気づきになると思います。その間,ワークシート③で, 文字を書くことも少しずつ始めてみます。また,「マイピクチャーディクショナリー」をコ ピーしてファイルに挟んだり,ホチキスで留めて冊子のように作り,学習した初頭音のペ ージにその単語の絵を描き,文字も書いてみたいという児童には綴りも書かせてみましょ う。しかし,全員に強要したり正確さを求めたりしないでください。 手順4:ジングルも流ちょうに言えるようになってきたら,今度は,授業の最後の 5 分 間を使い,その日学習した単語や自分で探した単語を「マイピクチャーディクショナリー」 のページに加えていきます。例えば“Aa”のページには “apple”以外にも,“ant”や “animal”等,どんどん A で始まる単語を加えさせましょう。絵のみでもいいですし,書 きたい児童には単語を書かせてもいいです。洋書の picture dictionary を複数冊準備して おき,それを用いて調べさせてもいですし,“〇〇sensei, How do you spell ant?”と ALT に尋ねさせ,ALT には “a-n-t”と答えてもらい, “Thank you.” “You’re welcome.” という一連の会話で ALT とのコミュニケーションを取らせることもできます。しかし,綴 りがはっきり書かれていなかったり,文字の形がいびつであっても,ここで正確さは求め ないでください。 4.指導の留意点 本 DVD の第 1 の目的は,アルファベットの「文字」と「音」とを結びつけることです。 「フ ォニックスソング」を歌う際,最初からできるだけ正確な発音を身に付けさせるために, ALT や JTE に正しい口の形などを丁寧に指導してもらってください。それも一度だけではな く,外国語活動内で同じ発音をもつ単語が出てきた時を見逃さず,児童に気づかせるよう に常に声掛けをしてください。 第 2 の目的は,「アルファベットジングル」によって,単語の綴りに注目させ,「なんと なく単語が読める」ようにすることです。活動時,「綴りも見ながら言ってみましょう」と か,「綴りの下に指を置いて一緒に読みましょう」と児童に「読む」という行為を意識させ ることで,音声と共に文字も無意識のうちに大量にインプットすることができます。 将来的に「読む」ということは,先生の後について復唱することではなく,「意味を理解 するために自分の力で読む」ことです。例えば“apple”という文字を見て,心の中で/æpl/ と読め,その意味が「リンゴ」であると認知できるように導くべきです。そのためには, 全体→グループ→ペア→個人,と段階を踏んだ活動形態で,内容のある教材を用い,最後 に「自分一人で読んで理解できた!」という成功体験をさせたいものです。そのためには, 「音声」と「意味」を必ず伴った「文字」指導を,段階的に楽しみながら進めるように留 意いたしましょう。 小学校段階における「書く」ことに関して,単語単独で何度も書かせる指導はふさわし くありません。例えば「自分の好きなものを書きましょう」と指示し,“I like ….”と文 の中で(絵も一緒に)書かせることで,「意味を理解させるための読み」から「自分の思い を表現するために書く」ことに少しずつ繋げていくことです。