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アクセス系光ネットワークへのCWDM技術の適 用課題
電中研報告 情 報 通 信 02-014 アクセス系光ネットワークへのCWDM技術の適 用課題 背 景 近年の通信需要の爆発的な増大により、高速なアクセス回線の要求が高まっており、各 種ブロードバンド回線の普及が急速に進んでいる。中でも光ファイバを使う FTTH(Fiber To The Home)は、超高速通信が可能なため、今後の急激な増加が確実視されている。こ の FTTH に 比 較 的 低 コ ス ト で 光 通 信 シ ス テ ム の 構 築 が 可 能 な CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)技術を適用できれば、高速なアクセス系ネットワーク をより低コストで構築可能と考えられる。 目 的 アクセス系ネットワークの開発動向を調査し、FTTH の構成法比較と CWDM を適用す るための課題を明らかにする。 主な成果 1. FTTH の開発動向と方式比較 (1) FTTH の方式比較 FTTH は 、 SS(Single Star) 、 PON(Passive Optical Network) お よ び ADS(Active Double Star)の 3 方式に分類され、それらの特徴は、表1 に示すとおりである。 (2) FTTH 構成法の経済性比較 構成機器や敷設費の調査に基づき、10km×10km のエリアに 2,500~40,000 加 入がある場合について、(1)の各方式単独による構成、各方式に CWDM を適用した構 成、既存の PHS 用光ファイバ網を利用した構成、の経済性比較を行った。結果は、以 下のとおりであり、図 1 に 10,000 加入の比較例を示す。 ・ 単独構成では、配線ケーブルおよび敷設費の割合が大きいため、価格差は小さ いが、き線ケーブルが削減される PON 方式は、通信機器が安価になった場合、 有利となる。 ・ CWDM を適用した構成は、単独構成より割高であるが、PON 方式と組み合わせ た場合、CWDM 波長フィルタの低価格化により、単独構成より有利になることが期 待できる。 ・ PHS 用光ファイバ網を利用した構成は、加入者密度との関連が小さいため、加入 者数が少ない場合ほど、有利となる。 ・ 単独構成に対する消費電力および収容スペースの比較では、表 2 に示すように PON 方式が有利である。 以上のことから、FTTH の実現には、PON 方式を CWDMで多重化する構成が有望と言える。 2. CWDM を FTTH に適用するための課題 PON 方式を CWDM で多重化する際の主な問題点としては、 ・ CWDM 波長フィルタ挿入による伝搬損失の増加、 ・ 線路長の異なる複数の加入者宅へ分配することによる受信レベル差の発生、 ・ 設置環境に依存した LD 光源の温度変化による波長変動と、それに伴う受信光レベ ルの低下、 ・ 波長変動による隣接チャネル間クロストークの発生、 ・ 接続点や開放端での多重反射と、反射光による干渉の発生、 などがあげられる。これらを解決するためには、 ・ CWDM 波長フィルタの挿入損失、隣接チャネルヘの漏洩光強度とその影響、接続 点や開放端での反射減衰量、などの定量的検討、 ・ CWDM における適切な波長配置と分岐数の選定、 が必要となる。 今後の展開 上記の問題点の定量分析や、許容範囲の明確化を行い、PON 方式と CWDM を組み 合わせた回線設計法を確立する。 表1 FTTH の方式比 較 表2 収容スペースおよ び消費電力 図1 FTTH のコスト比較 加入者数:10,000 加入/(10km×10km) 調査報告 キーワード:アクセス系光ネットワーク、FTTH、PON、CWDM R02019 関連研究報告書 担当者 連 絡 上平 雄二 (情報研究所) 先 (財)電力中央研究所 情報研究所 事務担当 Tel. 03-3480-2111(代) E-mail : [email protected] [非売品・不許複製] © 財団法人電力中央研究所