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No.123 - 国際演劇協会 日本センター
I.T.I. NEWS 2013 1 公益社団への移行に向けて 法人自治と自己責任経営を旨として 府 に 申 請 書 類 を 提 出 致 し ま し た。 この議決を受けて、必要な書類 を整え、1月になって早々に内閣 に感謝申し上げます。 きました。皆様のご理解とご協力 いハードルを無事超えることがで 要でしたが、おかげさまでこの高 構成員の4分の3以上の賛成が必 現 定 款 の 定 め に よ り( 第 条) 、 は、現法人の解散を伴いますので、 とです。新法人へ移行するために 臨時総会において討議可決したこ ために必要な手続きを昨年 月の 公益社団法人への移行申請を行う 昨 年 の 重 要 な で き ご と と し て、 ま ず 挙 げ な け れ ば な ら な い の は、 ても、中国、韓国、タイなど、ア 近年は、当センターの活動におい で』 『 』 『第三世代』は、 Destination 三作とも満員の盛況でした。 また、 す。昨年 月に上演した『ほとり も次第に軌道に乗りつつありま マ・ リ ー デ ィ ン グ 事 業 が 幸 い に 研究事業として行っているドラ て い る の に 加 え、 同 年 鑑 の 調 査 際演劇年鑑」を毎年編集発行し 当協会のここ最近の活動として は、 文 化 庁 委 託 事 業 と し て「 国 ます。 へと成長していくことが求められ に貢献し社会から支えられる団体 治と自己責任経営を旨として社会 今後は、主務官庁の指導監督を 受ける立場から一転して、法人自 います。 皆様のご支援ご協力を心からお 願い申し上げます。 と存じます。 きるように一層努めてまいりたい 団としての力量を高めて、大方の 新加入団体の勧誘に努め、公益社 とが可能になります。これを機に、 団体会員にも参加していただくこ もし、予定通り公益認定を受け られた場合には、新定款によって いと思われます。 Iの活動は世界のあらゆる地域と アジア地域に限らず、今や、IT を 離 せ な い 状 況 が 続 く で し ょ う。 ど、変貌著しいアジア演劇から目 会、理事会の報告が紹介されるな います。今号でも、菱沼理事によ 11 42 ご期待に応えられる活動を展開で つながりを深めていると言ってよ る「アジア演劇人連盟」執行委員 申請後およそ4カ月を目途に認定 ジア地域との交流の機会が増えて 本年もよろしくお願い申し上げ ます。 永井 多恵子 ITI 国際演劇協会 日本センター会長 の可否が通知される予定と聞いて 12 (社)国際演劇協会 (ITI/ ユネスコ)日本センター Japanese Centre of International Theatre Institute / UNESCO I.T.I. I.T.I.NEWS NEWS 2012.1.15. 2013.1.31.No.122 No.123 社団法人国際演劇協会(ITI/ ユネ スコ)日本センターは、ユネスコ 傘下の国際組織である国際演劇協会 ITI(International Theatre Institute) 加盟の公認団体です。ITI は世界平 和と相互理解の促進を希求するユネ スコ憲章の精神に基づいて、演劇に よる国際交流の増進を目的に 1948 年創設され、本部はパリのユネスコ 本部の中に置かれて、現在 100 カ 国近くが加盟しています。 ITI日本センターは、昨年度通常総会での公益社団への移行準備決議を受けて、 今年度は、6月の通常総会に加えて、 月に臨時総会を開催しました。主な議事及び 24 費未納となっている会員に対して、今年度 に入り2度にわたって督促状を送付すると ともに、5月末までに納付がない場合に除 名となることを伝え、それでもなお、会費 の支払いがなされなかったことについて報 告がありました。 ら 入が一度もない会員について、定款第 条 第 6 号 議 案 に つ い て は、 2 0 0 9 〜 2011年度の3年間にわたって会費の納 とが全員の賛成により了承されました。 第5号議案は、公益社団への移行準備の ため、現役員(理事・監事)を再任するこ ました。 第3号議案及び第4号議案は、事業計画 について一部細かい修正を加えて承認され 議論の経過と結果 第1号議案及び第2号議案は、提案通り 承認されました。 会員の除名について(編集部注=公益社 団への移行準備のため) 役員(理事・監事)の再任について 第6号議案 水 谷 雄 司、 三 宅 文 子、 横 山 正、 吉 岡 友 治、 亜 寿 賀、 藤 間 祐 助、 舟 川 絢 子、 松 岡 和 子、 祐子、服部基、埴生志郎、針山祐美、藤間 倉正太郎、中野渡司、中村茂昭、西村英方、 塩瀬宏、品川能正、立石涼子、谷正雄、寺 アラタ、栗原千絵子、鴻上尚史、小林志郎、 風間研、観世元信、北大路欣也、キタムラ 市山七百蔵、井上幸太郎、井上真次、岩浅 であったので、本議案は可決されました。 は、出席者 また、通知の際に、希望者には再入会の 勧誘を行うことも了解されました。本件に 会場 松竹株式会社 大会議室(東劇ビル 階) 三に基づき、除名の手続きをとることとし 会員現 在 数 2 8 2 名 ( 定 足 数 1 4 2 名 ) 出 席 者 1 5 3 名( 総 会 は 成 立 )。 委 任 状 提出者 1 3 2 名 出席会 員 ( 名 ) 安孫子正、伊藤(舟本) 巴子、伊藤 洋、大笹吉雄、大島信久、小 田切ようこ(洋子)、尾上墨雪、小林弘文、 斎明寺 関 (根 以 ) 玖子、真藤美一、曽田修司、 高橋幸夫、永井多恵子、林 英樹、菱沼彬 晁、星 埜 恵 子 、 堀 川 登 志 子 、 松 下 芳 江 、 松 田和彦 、 宗 重 博 之 、 吉 岩 正 晴 。 年度事業計画および予算案の承認 19 対象会員名(定款第 条三による) 名 青山祐二、荒谷大輔、安藤隆之、飯田道朗、 者に対する委任状を含め、賛成票は114 21 47 明寺)以玖子、真藤美一、曽田修司、高萩 議論の経過と結果 山由佳、林英樹、菱沼彬晁、星埜恵子、堀 ました。 みん この「新公益法人制度」導入の目的 は「民間による非営利の活動を活発に し、民による公益を増進する」ことに 新理事 名、監事3名を選任 第3号議案では、候補ごとに個別に採決 を行い、次の理事監事が選任されました。 、安孫子正、 * 理事( 名) 安宅りさ子( ) 伊藤洋、大笹吉雄、小田切ようこ(洋子) 、 法人解散となり、法人存続のためには なっています。申請を行わない場合は ちらかを選び、移行申請を行うことに と な り( 収 益 事 業 は 課 税 ) 、公益法人 法人税において公益目的事業が非課税 い 公 益 性 が 厳 し く 求 め ら れ る 一 方 で、 国の公益認定等委員会などで認めら れた「公益社団・財団法人」には、高 永江巌、中山夏織、林英樹、菱沼彬晁、松 斎明寺(関根)以玖子、坂手洋二( )、 * 真 藤 美 一、 曽 田 修 司、 高 萩 宏、 永 井 多 恵 子、 ( )* 印 の 候 補 以 外 は 満 票 採 決 結 果 (194票) 、 ( )*の候補は反対1票。 監事 (3名) 伊藤 (舟本)巴子、小林弘文、 吉井澄雄 田和彦、吉岩正晴、和崎信哉 避けて通れない関門です。当協会とし への寄附者に対する寄附税制の優遇措 23 法人への準備を進めることが承認され 置などが設けられています。 ては、平成 年度通常総会で公益社団 あります(内閣府ホームページより) 。 会長に一任することが了解されました。 宏、高橋幸夫、永井多恵子、中山夏織、庭 選任の件 第2号議案 定款変更案の承認の件 第 3 号 議 案 新 法 人 役 員( 理 事 及 び 監 事 ) 議案 第1号議案 移行認定申請に関する件 出者:165名 吉井澄雄、吉岩正晴、和崎信哉 委任状提 川登志子、松下芳江、松田和彦、八幡泰彦、 若柳吉三次、渡辺守章 西村洋一、丹羽文夫、野中マリ子、長谷川 駒井義之、近藤正臣、佐藤恵美子、佐野睦、 豊 明、 岡 田 順 子、 尾 花 輝 代 允、 織 田 紘 二、 11 第1号、第2号議案は、原案どおり可決。 また、定款の案等について、軽微な修正は 笹吉雄、大島信久、小田切ようこ 洋 ( 子 、) 尾上墨雪、絹川由梨、小林弘文、関根(斎 出席会員( 名) 安宅りさ子、安孫子正、 壱岐照美、伊藤(舟本)巴子、伊藤洋、大 条及び同第 条に係る議決も有効) 月)報告 採決に先立って、3年以上にわたって会 年度臨時総会( すでに平成 年 月から「新公益法人 月までに「一 11 名が賛成し、当該出席 議案 第1号 議 案 及 び 第 2 号 議 案 ました。 平成 ITI日本センター平成 平成 年度臨時総会議事録から抜粋 日時 平成 年 月 日(日)午後1時か ら 会場 松竹株式会社 大会議室(東劇ビル 階) 会員現在数 235名(第1号・第2号議 案に必 要 な 出 席 者 数 1 7 7 名 ) 出席者 194名(総会は成立。定款第 41 制度」が施行されています。これまで の社団法人は平成 年 11 般社団法人」か「公益社団法人」のど 25 11 21 24 新公益法人制度とは 平成 年に公 益 法 人 改 革 の た め の 法 律 が 制 定 さ れ、 18 24 23 24 24 名中 平成 年度事業報告及び決算報告の承認 第3号 議 案 及 び 第 4 号 議 案 第5号議案 年度通常総会(6月)報告 11 24 討議 内 容 は 次 の 通 り で す 。 ITI日本センター平成 24 平成 年 度 通 常 総 会 議 事 録 か ら 抜 粋 日時 平成 年6月 日(土)午後1時か 16 25 12 18 18 11 20 29 42 10 10 2 I.T.I. NEWS 2013 I.T.I. NEWS 2013 3 I.T.I. NEWS 2013 ●アジア演劇人連盟 5 雲南省昆明でアジア芸術祭 アジア演劇人連盟(理事長・ 周志強中国国家話劇院院長) は昨年9月 日に執行委員会 を北京に招集、続いて 月 日 に 理 事 会 を 開 催 し ま し た。 連盟発展の道筋について意見 日から 日ま を交わす中、具体的な活動と して今年 月 での 日間、雲南省昆明市で 11 開催される第 回アジア芸術 祭に連盟として参加すること が提議され、了承されました。 今年の芸術祭は中国文化部と 雲南省人民政府が共催するも のですが、アジア演劇人連盟 と中国国家話劇院はこの運営 に積極的に関与して、加盟国 の優れた作品を推薦すること を申し合わせました。 の文化と伝統、現代的状況に根 (報告・菱沼彬晁) 110 周 年 の 前 年 に 当 た り 、 イ 開幕公演は中韓合作の 『ロミオとジュリエット』 すでに中国国家話劇院と韓国 国立劇場(孫 策代表=連盟常 任理事) が 『ロミオとジュリエッ ト』の共同制作を進めていると ころから、各国がこれを共通の テーマとして独自のバージョン で参加できないものかという提 案がなされました。 ベトナムから参加したリイ・ ヒュン Le Hung (ベトナム話劇 院院長・ベトナム青少年話劇院 院長=連盟常任理事)が賛意を 一 方、 今 年 は イ プ セ ン 生 誕 1 8 5 周 年、 チ ェ ー ホ フ 没 後 表したほか、 中韓共同制作の『ロ ミオとジュリエット』を芸術祭 の開幕公演として推薦すること が了承されました。 昨年9月 日、中国国家話劇院 会議室で開かれたアジア演劇人 連盟の執行委員会 を中心とするアジア演劇人連盟 常任理事、執行委員らが作品の 絞り込みに取り組んでいます。 ました。日本では現在、ITI 翌月 月 日に開催された理 事会は執行部会の報告を了承 し、帰国後に作品の選定と制作 に取りかかることを申し合わせ 昨秋、執行部会と理事会を開催 プセンやチェーホフにちなむ作 ざした作品、あるいはその国を 品 を と の 提 案 も あ り ま し た が、 代表するにふさわしい作品を期 テーマには制約を設けず、各国 待することになりました。 アジア演劇発展のため 中日両国が協力を密に 接な共同事業を継続し、実際的な活動 を通して豊富多彩なアジアの演劇文化 を継承することの意義は、いくら強調 してもしすぎることはありません。 アジア演劇の発展に道筋をつけると 共にアジア演劇の交流と共同事業を展 開し、国と国、国と地域の間に演劇交 流の互助組織を形成し、育成していく ことを熱望してやみません。 2013年 月、中国文化部が主催 する「アジア芸術祭」は中国雲南省昆 明の地で挙行されることになりまし た。今年 回目の実績を持つ「アジア 芸術祭」の大舞台を存分に活用し、ア ジ ア 演 劇 人 連 盟 の 発 展 を 期 す る た め、 加盟各国選りすぐりの演目が数多く参 加されることを期待しています。 私たちの共同事業とアジア演劇の活 況 が 世 界 の 演 劇 界 の 耳 を そ ば だ た せ、 世界各国、各地域との芸術交流と対話 を促進できるよう、共に手を携えて歩 もうではありませんか。 11 10 27 た。 「 交 流・ 合 作・互助・互恵」 を 理 念 と し て、 アジアの演劇人 は互いに交流の チャンネルを広げ、多くの共同プログ ラムが実施の段階に入って喜ぶべき成 果を収めようとしています。 中日両国は一衣帯水の隣国です。両 国の演劇交流は数代にわたる演劇人の たゆまぬ努力が実って、今日の揺るが ぬ基盤を固めました。 アジア演劇人連盟は発足と同時にI TIに加盟し、ITI日本センターと は 一 心 同 体 の 仲 間 と 理 解 し て い ま す。 また、連盟の日本側窓口となっている 話劇人社は中国演劇界の古い友人であ るだけでなく、アジア各国、各地域と の緊密な共同事業を促して上演活動の 基盤を作り出し、その成果を共に享受 する働きで大きな貢献をしています。 今後、日本の演劇界の友人たちと密 13 ITI会長・マジュンダ氏が参加して アジア演劇人連盟が参加呼びかけ 今年 11 月 10 周志強 中国国家話劇院院長 アジア演劇人連盟理事長 28 17 17 28 18 13 アジア芸術祭に奮ってご参加を 10 アジア演劇人連盟理事会の会期中に中国国家話劇院主催による国際演劇祭「華彩欧州」がスター トし、アジアとヨーロッパ演劇人による演劇フォーラムも併催された=北京ヒルトンホテルで ITIと日本演劇界の友人の皆さ ま。 ア ジ ア 演 劇 人 連 盟 理 事 長 と し て 心 から の ご 挨 拶 を 申 し 上 げ ま す 。 2011年 月、アジア演劇人連盟 は中国の重慶市で成立を宣言しまし 10 アジア各国の新作台本を 場に対する理解も不十分なまま 事務局の作業軽減にもつながり 交流のかけ声だけが先行してい ます。年鑑発行の経費について るのが現状です。 は周志強理事長が中国文化部の 加盟国相互の情報不足を少し 支 持 と 助 成 が 望 ま れ る と 発 言 でも解消しようと「アジア演劇 し、理事会はこれに大きな期待 年鑑」の出版が提案されました。 を表明しました。 注目されている作品、すぐれた 発掘し、多国語に翻訳を さら に 連 盟 の 活 動 強 化 に つ い て意見 を 交 わ す 中 、 上 演 台 本 の 不足を 嘆 く 声 が 上 が り 、 連 盟 に 次の取 り 組 み を 求 め ま し た 。 年鑑の発行には中国国家話劇 院の事務局に課せられる作業量 と経費だけでなく、この目的と 意義を体得してグランド・デザ インを描き、強いリーダーシッ た。まず着手しなければならな いのは、アジア諸国に呼びかけ て加盟国の増加を図ることで す。これによって共同事業の充 実と強化、さらなる拡大が期待 理事会はさらに今後の活動強 化について意見を交わしまし 連盟の体質強化 ITIとの連携を進め ①連 盟 は 加 盟 国 の す ぐ れ た 作 品の発 掘 に 努 め 、 多 国 語 に 翻 訳 して上演に供し、制作上の便宜、 関係機 関 の 協 力 を 提 供 す る 。 ②連 盟 が す ぐ れ た 台 本 の 上 演 に向け て 制 作 の 中 心 と な り 、 加 盟 国 に 共 同 制 作 を 呼 び か け る。 作品は 2 年 に 一 度 の ア ジ ア 芸 術 祭で上 演 し 、 一 つ の 舞 台 に 各 国 のスタ ッ フ ・ キ ャ ス ト が 参 加 し プを発揮する人材が必要です。 才能を発揮しているプロデュー サーや演出家、俳優や舞台美術 家たち、そして劇場の設備や利 用状況などの情報を互いに共有 することが急務とされました。 て交流 と 文 化 の 融 合 を 図 る 。 せんけいとう 富永程波常任理事 日本中国文化芸術 センター代表 密接な連携を図り、交流を進め ることが確認されました。 プロデューサーの台頭 めざましい中国演劇界 中国では近年、中国国家話劇 院、北京人民芸術劇院をはじめ、 上海話劇芸術センター、広東省 話劇院有限公司(ついに会社組 織になりました)など中国を代 表する劇団で若手のプロデュー サーたちが実力を発揮し、これ までの作家、演出家主導に対し て力関係の新しい拮抗が生まれ つつあります。 プロデューサーとして中国国 か だいりき 家話劇院を支える戈大力、李東 両氏から、日本を含めた国際的 な制作者会議の開催を求める声 も出されました。 回「アジア芸術祭」参加作品の選定について できます。 このために、連盟はITI国 際 演 劇 協 会 の メ ン バ ー と し て、 国際演劇協会や各国センターと 菱沼彬晁執行委員 話劇人社事務局長 ITI 日本センター 理事 伊藤巴子常任理事 日中演劇交流話劇 人 社 理 事 長、ITI 日本センター監事 詹 恵 登常任理事・ 事務局長 台湾周 凱劇場基金会理事 長 13 12 第 李東執行委員 中 国国家話劇院上演 センター制作総括・ プロデューサー か だいりき 劇 交 流・ 話 劇 人 社 理 事 長 ) 、富 永程波(日本中国文化芸術セン ター社長)と菱沼彬晁(日中演 劇交流・話劇人社事務局長)の 4氏の間で進められています。 10 ③連盟は各国のすぐれた台本 詹恵登常任理事・事務局長(台 の選集出版に合わせて、DVD 湾周凱劇場基金会理事長)はラ 等視覚資料の作成を通して各国 メンデュ・マジュンダ常任理事 の演劇 交 流 を 増 進 す る 。 (ITI国際演劇協会会長)と 戈大力執行委員 中国国家話劇院副 院長・プロデュー サー せん けいとう リ イ・ ヒ ュ ン Le Hung 常任理事 ベトナム話劇院院 長・ベトナム青少 年話劇院院長 ITI会長を中心に 劉鉄鋼執行委員 中国国家話劇院上 演センター企画総 括・プロデューサー お問い合わせは話劇人社=0 42・387・8389へ アジア芸術祭は新中国が 成立し、国として初めて手 がけた国際芸術祭です。中 国 文 化 部( 文 化 省 ) が 主 催 し、 1 9 9 8 年 に 北 京 で 実 施 し て 以 来、 今 年 月 に 回目を迎え、雲南省の景勝 地、昆明市で開催されます。 ア ジ ア 芸 術 祭 の 目 的 は、 くびき 過去の軛を脱したアジアの 新面目と奥深いアジア文化 のあらゆるシーンを世界に展示 することと、文化部アジア処の 王晨処長は語ります。アジア各 国がそれぞれに伝承している多 様な文化と芸術形式が一堂に会 して交流する機会ともなります。 この芸術祭にやってくる芸術 家たちは劇場にとどまらず、公 園などの公共施設でデモンスト レーションを行い、演劇の影響 力を広め、演劇に対する親和感 を高めます。 2011年に行われた第 回 アジア芸術祭で、アジア演劇人 のサミット・フォーラムが初め て開かれ、これが機縁となって アジア演劇人連盟が発足するこ とになり、アジアの演劇人に交 流の新舞台を提供することにな りました。 アジア芸術祭について 数人の理事を中心にプロジェク 第 回「アジア芸術祭」に日 トチームを立ち上げる提案を行 本 か ら 参 加 す る 作 品 の 選 定 は、 いました。加盟国はそれぞれオ ITI日本センターを中心にア ジア演劇人連盟の常任理事とし ンラインサイトを設立すること て連盟日本センターを構成する によって継続的に各国の情報を 宮 田 慶 子 ( 新国立劇場演劇部門 シ ェ ア す る こ と が 可 能 に な り、 芸 術 監 督 ) 、 伊 藤 巴 子( 日 中 演 符楊理事 重慶国 泰芸術センター 毛俊輝常任理事 香港「アジア演劇 研究」代表 ク リ ス・ ミ ラ ド Chris Millado 理事 フィリピン文化セ ンター副代表・芸 術監督 13 厳鳳琦常任理事 中国国家話劇院副 院長 柏崇新理事 広東 省話劇院有限公司 代表 具滋興常任理事 韓国明洞芸術劇場 代表 孫 策常任理事 韓国国立劇場代 表、韓国美醜劇団 代表・芸術監督 ラ メ ン デ ュ・ マ ジュンダ常任理事 国際演劇協会会長 =バングラデシュ 周志強理事長 中 国国家話劇院院長 参加者 王晨 中国文化部 アジア処処長 理事会 総 監 劉 穎 副主任 許 涛 秘 書 張 薔 アジア演劇年鑑の発行 執行委員会 13 中国国家話劇院 外事弁公室 アジ ア 各 国 の 演 劇 界 は 欧 米 と 違って 情 報 と 交 流 の チ ャ ン ネ ル 演劇人連盟 が限ら れ て お り 、 相 互 の 演 劇 市 アジア 6 ●アジア演劇人連盟 I.T.I. NEWS 2013 I.T.I. NEWS 2013 ●アジア演劇人連盟 7 実際的で長続きする交流を むことでしょう。 演劇人連盟は足かな道どりで進 ちゃんとやれることへ、アジア この貴重な文化資源を活用して 者であることを誇りに思います。 私たちはアジア人であること、 また豊富多彩な演劇伝統の継承 こそ、現代の演劇的実践に豊か の組織の成否と効率は、その大 して私たちの祖先の哲学と創造 私たちの智慧と文化的資産、そ な 内 実 を 与 え て く れ る の で す。 部分が一人一人のメンバーの情 流の上に実践を積み重 しかし、私たちは肝に銘じて ねることにありました。 おかなければなりません。一つ アジアを一つの地理 的概念でくくることは 熱 と や る 気 に か か っ て い ま す。 の成果を世界の人たちに知らし この貴重な遺産の多く であるにもかかわらず、 最も豊かな文化的宝庫 は巨額で、頻繁に顔を合わせて 交流は私たちの組織の命です が、一度の国際会議を開く経費 いたいものです。 アジアの歴史を知ろう 費 用 で 実 効 の あ る 方 法 で す が、 ITI日本センター監事 ラメンデュ・マジュンダ しようとしています。ここに来 各国はこのために人手と時間を 日中演劇交流話劇人社理事長 れば、あの顔、この顔、見知っ 割かなければなりません。この 外に世界の演劇界のニュースに めましょう。 できません。世界で最 は未だ世界の目に触れ いられません。どうすればいい も 多 様 で、 最 も 古 く、 この初心をいつまでも忘れずに ることなく、私たちア 国際演 劇 協 会 会 長 ジア人でさえ、隣国の か? オンラインサイトを設立 すればいいのです。ひと月に2 アジア 演 劇 人 連 盟 常 任 理 事 豊富な文化や伝統を知 触れることができます。最少の 回の通信で、私たちは加盟国以 らずに過ごしているのです。 この 度 、 ア ジ ア 演 劇 界 の 畏 友 と再び相まみえ、この席に臨む アジア演劇人連盟はここにす ことをうれしく光栄に存じます。 ぐれたプラットフォームを提供 一 年 前、 ア ジ ア 各国の演劇指導者 た演劇人と定期的に会うことが て、私 た ち は お 互 い 知 る こ と が は実効ある演劇交 た と き、 そ の 目 標 盟」の旗揚げをし 要があります。何を目指し、ど 的価値観、ルールを共有する必 こ と へ、 で き そ う な こ と か ら きます。小さなことから大きな 将来の計画を話し合うことがで として演劇人として深い交流を ちは何をなすべきなのか。人間 にもつながることでしょう。 り、 「アジア演劇年鑑」の発行 いは半年に一度の印刷媒体とな を強欲が支配し、弱肉強食の競 の歪みをもたらしました。市場 ジアの多くの国の演劇につい ならないものです。しかし、ア 文化は人間の社会が創り出す と共に守り抜いていかなければ アジア演劇人連盟常任理事 が重慶に集まって できな い ま ま 今 日 に 至 っ て い ま 済危機が人間性を抑圧しています。 らず、公演を行う諸条件も十分 人の多くは経済的に恵まれてお きました。また、アジアの演劇 少なく、時に無関心で過ごして アジア各国の演劇はこれまで お互い知るところがあまりにも がかもし出される中、アジア演 一方、東アジアの国際情勢が 危険因子をはらみ、不穏な形勢 念されています。 り、過激な民族主義の台頭も懸 の心も定めなく移ろいつつあ 緊密な連携が求められます。 作り出していくことを望みます。 争至上主義、そして忍び寄る経 で演劇 を 創 る こ と が で き な い 現 状があ り 、 日 本 の 演 劇 の 歴 史 も 日本では3・ 以後、政治・ 経済・社会情勢が揺れ動き、 人々 とはいえないのが現状です。 な交流を構築しようとしている 先輩た ち の 血 の 出 る よ う な 困 難 話劇人社事務局長 演劇は時代の風を受けて帆を 張り、多難の海に困苦の航跡を のか。私たちにどのような役割 として 成 立 す る た め に は 、 基 本 ます。 こ の 連 盟 が 一 つ の 共 同 体 送って い ま す 。 ア ジ ア 演 劇 人 連 日本の演劇人は不安な日々を の歴史 を ど う つ な い で い く か ? 3・ 以 後 、 演 劇 は 何 を 目 指 し、何 を 創 造 し て い く か 、 演 劇 な時代 を 経 て 今 日 が あ り ま す 。 盟はアジアの国々の歴史を知 ITI日本センター理事 描 き ま す。 こ れ ま で 世 界 は グ 11 中国国家話劇院は中国文化部 ( 文 化 省 ) に 直 属 し、 劇 団 と 劇 場 の双方を擁する国立劇場です。欧 陽予倩、呉雪、舒強、金山、孫維 世ら、それぞれの世代を代表する 先駆者が同劇院の発展に強固な基 礎を築いてきました。 国内の最も優れた劇作家、 現在、 演出家をはじめ俳優、 舞台美術家、 プロデューサー、劇場管理者たち アジアの演劇交流は今後一層 が 所 属 し て 才 能 を 発 揮 し て い ま す。 演劇の総合大学・中央戯劇学院と同 根の中央実験話劇院に青年芸術劇院 が合流して生まれただけに、世界的 視野を持ち、旧来のリアリズムにと どまらない意欲的な作品群を発表し 続けてきました。 中国国家話劇院の管理下にある劇 場は「国話劇場」「国話小劇場」「国 話先鋒劇場」の3劇場で、それぞれ ローバリズムの波を受け、各国 が与えられるのか。率直な議論 運営されています。豊富多彩な舞台 を押し広め、地に足のついた明晰な ドラマツルギーを追求し、現代的な 経営理念に則りながらも、劇団創設 者、先駆者の精神を受け継ぎ、各界 の力を結集しつつ、中国演劇界の旗 艦として航海を続けています。 現在の院長は周志強、党委書記兼 副 院 長 は 厳 鳳 琦、 副 院 長 は 王 曉 鷹、 査明哲、史麗体。 が望まれます。 中国国家話劇院は開放的な気風で にスタイルと規模の異なった作品を 上演しています。 このほか、北京を中心とする「国 話ネットワーク」傘下の劇場群が姿 を現しつつあり、中国国家話劇院は 新しいアートマネジメント方式を用 いて重点演目の全国公演態勢を強力 に推し進め、各地に拠点を確保しよ うとしています。 の政治・経済・社会情勢に多く 劇連盟は何を目指し、どのよう り、演 劇 を 知 り 、 相 互 の 理 解 を アジア演劇人連盟執行委員 11 深める と い う 大 き な 課 題 が あ り 不穏な国際情勢の中で のような交流を作るのか、私た でき、意見の交換、経験の交流、 データの積み重ねが季刊、ある 伊藤巴子 す。ア ジ ア の ど の 国 も よ い 条 件 「アジア演劇人連 理事会 発言録 中国国家話劇院について 菱沼彬晁 8 ●アジア演劇人連盟 I.T.I. NEWS 2013 I.T.I. NEWS 2013 ●アジア演劇人連盟 9 「小劇場演劇」中心から「中劇場演劇」へ 韓国演劇界 文化政策背景に新たな流れ 昨年末、第 代大統領選挙が終わり、今年新政権が発足する韓国。 年間、現政 権が推進してきた文化芸術政策が、韓国演劇界に残したものを振り返ってみる時期 18 「 韓 国 演 劇 」 と い え ば、 る大学路を思い起こす人が多い 150以上もの小劇場が点在す と思います。私にとっても、韓 場、レストラン、カラオケ、ブ ティックなどの商業施設ができ 始め、地価が上昇しました。こ れを背景に、劇団が所有してい た小劇場よりも演劇制作事務所 やタレント事務所、ミュージカ ル制作社などが運営する小劇場 おいても 年代以降から今日ま 群でした。また、韓国演劇界に の濃密な空間で演じられる作品 国演劇は大学路であり、小劇場 シ ョ ー、 成 人 演 劇 と 呼 ば れ る ロ マ ン ス、 お 笑 い タ レ ン ト の チの作品、韓流ドラマのような わりさせました。コメディタッ この状況は、大学路で公演さ れる作品の傾向をも大きく様変 が増えています。 で現代演劇の大きな流れを生み ア ダ ル ト 作 品、 そ し て 小 劇 場 場発信の「現代劇」が生れづら りながらも、以前のように小劇 ぬ活気を感じさせる大学路であ 出し、インキュベーター的な役 韓国演劇界は 年代後半から急 年、現政権は発足時、国家 ビジョ ン と し て 「 大 韓 民 国 の 先 「効率の原理」による運営 してい ま す 。 地方の役割を明確にし、それぞ 民間と公共、公共もまた中央と の特性を生かしたコンテンツの が 明 確 に さ れ な け れ ば な ら ず、 体にそれぞれ特性を持たせ、そ が使用される限り、責任と義務 制作、そして教育プログラムな 拠 を 置 く べ き と い う も の で す。 創造と生産、いわば作品の自主 助成対象もまた公的必要性に根 どをはじめとする各種公共サー その大きな改革のひとつとし て、国立芸術機関とその専属団 り始めるとともに、カフェや酒 また、大学路に若者たちが集ま 資金を助成金に頼っていた小劇 されました。これにより、公演 評価を通じての事後助成で構成 成、プログラムや公演後の作品 供する助成など多様な間接助 の助成や稽古場やスタッフを提 ナーシップを基盤とする事業へ てきました。この流れには、韓 演の増加という新しい流れが出 推進システムを構築することを 動力を模索するとともに、経済、 ように制度を整備し、体系的な 文化、 福 祉 が 調 和 す る 統 合 さ れ 目指しました。 としま し た 。 文 化 芸 術 政 策 に も 性を担 保 さ れ な け れ ば な ら な い 率性の 原 理 」 を 基 本 と し て 実 効 が最大限の力を発揮できるよう 生み出すことです。これら資源 果的に運用し、最大限の成果を 優れた公共サービスを提供する こ の 国 家 ビ ジ ョ ン を 反 映 さ せ、 に効率的に運用し、質量ともに 全国民 が 生 活 を 通 じ て 文 化 的 な ことを目指しました。このふた 「効率の原理」による運営を政 「生活の中の芸術活動助成」と 化芸術の各面で改革が行われま いう四つの方案が提示され、文 した。 した。 策策定 の 基 本 的 な 考 え 方 と し ま 「 公 共 性 の 原 則 」 と は、 文 化 の名作と創作戯曲公募作を中 りました。 心 に 公 演 す る「 明 洞 芸 術 劇 場 」 このように大学路の小劇場で の 公 演 が 中 心 だ っ た 時 代 か ら、 ( 年) 、韓国公演芸術センター 年)などの中 てソウル市が運営する「南山芸 団法人国立劇団」 ( 年) 、そし ら単独機関として独立した「財 るのが、韓国演劇界の今です。 タイルや表現まで変わりつつあ 向も規模も、ひいては演劇のス 術 セ ン タ ー」 ( 演を行う機関です。 規模劇場を保有し、自主企画公 10 対する直接助成が主だったもの れまでは創造団体の作品制作に 同時に、文化芸術助成の面で も大きく様変わりしました。そ たいところです。 現代劇が生れてくるのか期待し しょうし、ここからどんな韓国 政策としても引き継がれるで 権が行った改革は新政権の文化 かると思います。しかし、現政 らわれるまでにはまだ時間がか 上記の中劇場公演の活性化の 流れが、演劇的な成果としてあ 09 「事後助 境を整備することを第一目的と つ の 考 え 方 を 基 本 に、 公演への直接助成が減少 「間接助成」 し、「公共の原則」に従う助成、 成 」「 選 択 と 集 中 」 暮らし と 豊 か さ を 享 受 で き る 環 09 これは 「 公 共 性 の 原 則 」 と 「 効 が 込 め ら れ て い ま す。 そ し て、 「 効 率 の 原 則 」 と は、 予 算、 が 運 営 す る「 大 学 路 芸 術 劇 場 」 国公立の劇場での中劇場での公 、国立劇場の専属団体か 演へと、演劇界の流れは作品傾 人材、空間などの国家資源を効 ( 年) た国づ く り を 目 指 す と い う 意 味 が、 劇 場 と 創 造 団 体 の パ ー ト 進化」 を 掲 げ ま し た 。 こ の 「 先 れ の 役 割 が 重 複 す る こ と な く、 ビスの提供を促しました。この 国の文 化 芸 術 政 策 が 大 き く 影 響 進化」 に は 社 会 に お け る 対 立 を 場での作品の数は減少傾向にな し、 劇 団 制 が 崩 れ 始 め ま し た。 公立劇場を中心とした中劇場公 変わりするなか、数年前から国 しかし、この大学路が近年大 い状況になっています。 き な 様 変 わ り を 見 せ て い ま す。 これまで演劇のメッカといわ れてきた大学路と演劇状況が様 プロデュース公演が増加 す。 ミュージカルが増加し、変わら (舞台芸術コーディネーター) 割を果たしてきたのが大学路で 木村典子 速にプロデュース公演が増加 90 改革から生まれたのが、国内外 芸術領域であっても国民の税金 80 その機関に合った活動が行える 財団法人国立劇団(写真提供・財団法人国立劇団) 克服し 、 新 た な 発 展 の た め の 原 明洞芸術劇場(写真提供・明洞芸術劇場) となりました。そのもっとも大きなものは、劇場街・大学路 テ ( ハンノ を ) 中心と した《「小劇場演劇」から「中劇場演劇」へ》という演劇パラダイムの転換と考えます。 5 09 08 10 ●韓国演劇界レポート I.T.I. NEWS 2013 I.T.I. NEWS 2013 ●韓国演劇界レポート 11 地球環境を考えるための日韓演劇交流 ドラマリーディングと国際シンポジウム ITI日本センターは、日本を代表する劇作家井上ひさし(2010年4 月没)の自然環境との共生を主題にした朗読劇『水の手紙』と韓国コ・ヨノ 優れた戯曲です。 の恵みを題材として考えさせる を 得 て、 同 大 学 の 学 生 劇 団 に 演出家チェ・ヨンファ氏の協力 『 水 の 手 紙 』 は、 2 0 0 3 年 に山形で開催された「国民文化 よ っ て 上 演 さ れ ま し た。 ま た、 離れた麗水市鎮南文芸会館での 業は博覧会場から車で 分ほど 押し掛ける盛況でしたが、本事 自然の叡智や、人間と自然環境 えずこホール所長) 、韓国から 戸雅彦(仙南芸術文化センター ら 大 笹 吉 雄( 演 劇 評 論 家 )、 水 上演(イ・ホンイ訳)に加えて、 校 生 向 け に 書 か れ た 短 編 で す。 今 回 は、『 水 の 手 紙 』 の 韓 国 語 祭やまがた」の際に、日本の高 協会光州広域市支会会長である 劇学科の教授であり、韓国演劇 今回の『水の手紙』は、光州 市の総合大学である湖南大学演 続いて韓国が3番目となります。 の手紙』の上演は日本、中国に グ 公 演 を 行 っ て き ま し た。 『水 というシリーズ名でリーディン 東 京・ 桐 朋 学 園 芸 術 短 期 大 学 ) 6月、中国・杭州市及び上海市、 「地球環境と演劇」 (2010年 月、東京・早稲田大学大隈講堂)、 「 感 劇・ 環 境 」( 2 0 0 9 年 扱った海外の秀作を組み合わせ、 当 セ ン タ ー で は、 こ れ ま で に『 水 の 手 紙 』 と 環 境 問 題 を 日本、中国公演に続いて との関係性を「水」という自然 ク氏の書き下ろし『私の名は河』を、日韓のプロの演劇人と若い世代の共同 作業による日韓演劇交流事業として、5月に光州(カンジュ)市で、8月に 麗水(ヨス)市で実施。日本の現代演劇の海外での翻訳上演の着実な広がり を感じさせるできごととなりました。 (報告・曽田修司) 井上ひさし『水の手紙』 コ・ヨノク『私の名は河』 ました。 11 作品として光州市ピッコウル市 いる「光州平和演劇祭」の参加 両作品は、まず、毎年5月に 開催され、全国的にも知られて での上演に続き、韓国で韓国語 と、 『 水 の 手 紙 』 を 日 本、 中 国 の演劇文化交流の観点から見る 労がありました。しかし、日韓 た。 境と演劇の関わりを討議しまし 演 劇 協 会( ITI/UNESCO )日本 センター会長が参加し、地球環 ンファの各氏と永井多恵子国際 然環境と人間のつながりを描く 催される年に当たっており、自 とする「麗水国際博覧会」が開 性と持続可能な活動」をテーマ きている海と沿岸〜資源の多様 また、2012年は、韓国・ 麗 水( ヨ ス ) 市 に お い て、 「生 次のステップへの展開に寄与す 回の事業は、日韓の演劇交流の 新作戯曲の委嘱製作も行った今 デュースを行なうことは珍しく、 進委員会委員長キム・ジュンオ はじめ、麗水市文化芸術催事推 ターから助成をいただいたのを 麗水での事業に対しては、国 際交流基金ソウル日本文化セン また、現在でも、日韓の文化 「 愛・ 地 球 博 成 果 継 承 発 展 助 成 機関が共同して演劇公演のプロ 事業」として実施されました。 劇の海外での翻訳上演の着実な この事業は、一般財団法人地 広がりを感じさせる出来事です。 球産業文化研究所の助成による を基に 人 間 と 自 然 と の つ な が り 河 」( ウ ォ ン チ ョ ン ガ ン ) 伝 説 演出) は 、 韓 国 で 有 名 な 「 源 泉 ( コ・ ヨ ノ ク 作 、 キ ム ・ カ ン ボ す。 麗水での上演が実現したもので 館認定行催事」のひとつとして と か ら、「 麗 水 国 際 博 覧 会 日 本 テーマに相応しいものであるこ 起する地球環境への感性と国際 際 シ ン ポ ジ ウ ム「 『演劇』が喚 8月8日には、2012麗水 国際博覧会のテーマに即した国 変お世話になりました。記して に、事業の実施全般について大 青年座代表取締役の森正敏さん また、ソウル在住の演劇プロ デューサー木村典子さん、劇団 (ジョンウ)の俳優たちの好演 タッフの方々の協力を得ました。 ク氏、麗水国際博覧会日本館 ス が神話 的 な 世 界 観 を 通 し て 描 か 交流」を行いました。 感謝の意を表します。 になると、連日大勢の来場者が 12 によっ て 見 事 な 作 品 に 仕 上 が り 12 麗水で演劇シンポジウム れ、 ソ ウ ル の プ ロ 劇 団 「 青 羽 」 同博覧会は、会期(5月 日 〜8月 日)終盤にあたる8月 このシンポジウムには日本か 韓国の 気 鋭 の 劇 作 家 ・ 演 出 家 に 新作戯 曲 ( 朗 読 劇 ) の 創 作 を 委 『 水 の 手 紙 』 、 『私の名は河』の るものと考えられます。 11 開催であっため、集客面では苦 『 水 の 手 紙 』 の 演 出 家 チ ェ・ ヨ 民文化会館にて上演され(5月 上演したことは、日本の現代演 光州平和演劇祭に参加 光州市の総合大学・湖南大学の学生劇団によって演 じられた『水の手紙』=写真上=とソウルのプロ劇 団「青羽」によって演じられた『私の名は河』 日)、好評を博しました。 10 光州、麗水の2都市で 韓国語公演 海といのち 水といのち 嘱しました。新作『私の名は河』 両作品は、ともにこの博覧会の 麗水国際博覧会で開かれたシンポジウムに参 加した大笹吉雄ITI理事と永井多恵子会長 12 ●日韓演劇交流 I.T.I. NEWS 2013 I.T.I. NEWS 2013 ●日韓演劇交流 13 形 式 で 日 本 に 紹 介 し て き ま し 進性と選択眼の確かさを裏付け た。 年 の「 バ ル カ ン 半 島 」 、 る出来事だったのではないかと 年の「中東」に続き、 年に は「動乱と演劇」のテーマで中 国、カメルーン、オーストラリ アの戯曲を紹介しました(いず れ も 日 本 初 訳・ 初 上 演 ) 。この ルリンのシャウビューネの共同 制作によるイスラエル・パレス か。私は、歌に重きを置くとい う手法を選ぶことによって、翻 訳できない部分を、観客に届け たいと思った。劇中のタイの歌 を、タイ語の歌詞で日本人の俳 優に歌ってもらい、タイの人々 の感情をダイレクトに感じても らいたい、そう考えたのだ。 同 様 に 衣 装 に も こ だ わ っ た。 コ ム キ ャ オ の 登 場 シ ー ン に は、 チナ・ドイツの若い世代の俳優 たちによるワーク・イン・プロ グ レ ス 作 品『 第 三 世 代 』 (ヤエ ル・ロネン構成・台本/イスラ エル)の3作を取り上げ、前2 作は東京芸術劇場アトリエイー ストで( 月 ・ 日)、 後者は、 上野ストアハウス( 月 ・ 日)でそれぞれ2回のリーディ ング上演を行いました。 全回チケット完売の盛況と なったほか、観客批評家の皆様 から、今回の意欲的な企画内容 に対して大変好意的な評価を得 ることができました。 この事業は、文化庁の「次代 の文化を創造する新進芸術家育 成 事 業 」 で あ る「 国 際 演 劇 年 鑑」編集発行の一環と位置づけ 稿をお願いしました。 ずれも見事な手腕を発揮された 演出家3人のうちのお2人に寄 には新たなチャレンジによる成 果の創出をお願いしているとこ ろです。編集部では、今回、い られており、毎回、翻訳者・演 出家・出演者・スタッフの方々 22 23 ユネ ス コ 傘 下 の 国 際 組 織 で あ る国際 演 劇 協 会 加 盟 の 当 日 本 セ ンター は 、 1 9 7 2 年 以 来 、 年 間 に わ た り 継 続 的 に「 国 際 ) 演 劇 年 鑑 」( TheatreYearbook を編集 ・ 発 行 し 、 国 内 外 の 演 劇 舞踊に 関 す る 情 報 交 流 を 図 っ て と き の 作 品 群 の 中 に、 年 の の現代民衆史叙述の試みである 』 (プラディット・ ノーベル文学賞受賞作家である 『 Destination 莫言(中国)の希少な戯曲が含 プラサートーン作/タイ)③イ まれていたことは、本企画の先 スラエルの国立ハビマ劇場とベ 自負しています。 年度は、①イラク戦争中の 報道写真に材をとった『ほとり で』 ( ク ロ デ ィ ー ヌ・ ガ レ ア 作 /フランス)②演劇によるタイ います 。 年からは「紛争地域から生 まれた 演 劇 」 と 題 し 、 世 界 各 地 の優れ た 戯 曲 を リ ー デ ィ ン グ の 文化庁「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」 シリーズ4年目 意欲の3作品、全回チケット完売 け な い。「 デ モ 」 と い う 行 為 の 重みもきちんと量り比べる必要 があった。同時に、作者のトゥ ア氏が仕掛けた言葉遊びの部分 も探る。例えば、コムキャオと いう登場人物の名前は、その言 葉だけだと鎌という意味で、少 し風変わりな名前だという印象 いと願うものではないだろう 逆説的だが、翻訳できないも のこそ、日本人の観客がその戯 曲を通して、知りたい・感じた 生 し、「 お 互 い 支 え を持つ。けれども、名字のギャ 「 リ ケ エ の 衣 装 を 着 た 」 と い う リケエの衣装は、 合 う 」「 理 解 し 合 う 」 オコーンがハンマーという意味 ト書きがある。 等を経て、「翻訳する」に変わっ の言葉で、二つを合わせるとソ ど派手な社交ダンスの衣装みた のイメー い な 代 物 で、 照 明 を 当 て る と、 ていた。つまり「翻訳する」と 連の旗(共産党の赤旗) は「 重 さ を 量 る 」 こ と な の だ。 ジに早変わりする。軽い言葉が ミラーボールのようにキラキラ 今回の『 Destination 』の演出で、 急に重くなったり、そういった と反射する。それが、鎌とハン 私がまずやったのは、翻訳者の 一 つ 一 つ の 発 見 は と て も 楽 し マーの名前を背負った女が着て 千徳さんにアドバイスをいただ かった。しかし、それを観客に いるのだ。その奇妙さは、本物 「 民 のリケエの衣装でこそ、感じて きながら『 Destination 』とい う ど う 届 け る の か は 難 し い。 主化」や「デモ」の重みも、言 もらえるものだ。 戯曲の重さを量ることだった。 葉遊びも、翻訳できないからだ。 トゥア氏から一回断られたの だが、再度交渉して、リケエの 日本 と タ イ で は 、 様 々 な 言 葉 の重さが違う。例えば、「民主化」 という言葉がタイではどれぐ ら い の 重 さ を 持 つ 言 葉 な の か、 しっか り と 受 け 止 め な け れ ば い 衣装をタイからなんとか持って きてもらった。 悔 い が 残 る と し た ら、 リ ー ディングではなく普通の芝居と してこの作品を観客に手渡して みたかったことです。 30 09 翻訳できないものこそ、観客が知りたい・ 感じたいと願うものではないだろうか 12 12 『Destination』 作=プラディット・プラサー トーン(愛称トゥア)、訳=千徳美穂、演出 =鈴木アツト、出演=松浦佐知子ほか 29 11 12 10 』を演出して Destination いう意味の言葉だっ た ら し い。「 重 さ を 」の語源 「 translate は「 重 さ を 量 る 」 と 鈴木ア ツ ト 『 『ほとりで』 作=クロディーヌ・ガレア、 訳=佐藤康、演出=深寅芥、出演=宮地成子 12 40 量 る 」 が、「 支 え る」という意味に派 『第三世代』 構成・台本=ヤエル・ロネン、 訳=新野守広、演出=中津留章仁、出演=赤 澤セリほか 撮影 : 奥秋 圭(3作とも) 09 紛争地域から 生まれた演劇 14 ●紛争地域から生まれた演劇 I.T.I. NEWS 2013 15 I.T.I. NEWS 2013 ●紛争地域から生まれた演劇 16 ドイツ・イスラエル・パレスチナの 〝新相関図〟 の日本人に果たして どの程度受け容れら れるのだろうかと心 配でした。 なかなか手強い内 容でした。この戯曲 は 専 門 用 語 も 多 く、 中東情勢に詳しい方 ならともかく、普通 中津 留 章 仁 パレスチナ人には理解出来ずド イツ人しか理解出来ない(戯曲 の共通言語は英語)といった ニュアンスが伝わりづらいのが 欠点です。 行う際、例えば劇中で、ドイツ 語で話すときはイスラエル人や う」と対象を具体化し、ユダヤ 人が理解出来ない言葉をユダヤ 人を咎めている言葉(内容が理 解出来る言葉)として置き換え て表現しました。すべて日本語 で行ったことは、個人的には無 理 が あ る よ う に 思 え ま し た が、 日本人の観客には解り易く伝 わったようなので、結果として は良かったと思います。 リーディング上演に 台本なしの演技 声は、ユダヤ人がパレスチナ人 に対し、ホロコーストでナチス が行ったことと同じことをして いるのではないかという問いか けになるという劇構造上の大き を見せることができると考えた すべて日本語で まず私の演出の方針として は、用 語 説 明 を し っ か り 行 う と いうこ と 、 数 カ 国 語 が 飛 び 交 う のです が 、 す べ て 日 本 語 で 行 う こと、 そ し て デ ィ ス カ ッ シ ョ ン が主体 の 内 容 を 人 間 ド ラ マ に 集 な仕掛けになっているのです。 まずは、それをどう処理する かを考えました。最終的に「連 中はみんなそう言う」という言 葉を「ユダヤ人はみんなそう言 があり、ドイツの背景に詳しい もう一つは人間ドラマへの集 約です。この戯曲全体は非常に ユ ー モ ア あ ふ れ る も の で す が、 紛 争 を し て い る 地 域 の 戯 曲 を、 日本人は笑うことは出来ないだ ろうと予想していました。シリ 約する こ と 、 と い う 3 点 に 絞 り ました 。 用語 説 明 は ス タ ッ フ サ イ ド で 何とか す る と し て 、 問 題 は 残 り の2つ で し た 。 す べ て 日 本 語 で の意向をほとんど受け容れてい リーディングは戯曲を伝える ことが大きな要素ですが、台詞 が入った状態ならば、より人間 アスに受け取られることを想定 し、紛争の実態やそこで生きる 人々の現実など、人間ドラマの 要素を丁寧に描くことに重点を 置きました。 からで す 。 そ の た め 、 リ ー デ ィ ます。 方なら問題なく入り込めるので すが、わからない方には多少の 新野さんのお話では、ドイツ はメディアなどにおいてユダヤ 人に対する表現などでユダヤ人 協会から指摘があり問題になっ 日本が行った戦争では意味合い が全く異なるからです。それは 勿論承知の上でしたが、台詞を 足したことで日本人の皆様に とって作品の輪郭が鮮明に浮か そこで日本の戦後の中国や韓 国との関係とリンクするような 台詞を足し、日本の観客にもド イツの抱える問題をより身近に ストレスが感じられる部分があ ると稽古中に判断しました。 た場合、以後の活動はできなく なるほど影響力があるそうで す。 そういったお国柄故、ドイツ 人の言葉に出来ない言葉を、イ スラエル人であるヤエルさん は、劇中で右派思想ドイツ人の カルステンに、我々は第三世代 だからそろそろ援助をやめても び上がったことは事実です。 以上が私の演出レポートで す。紛争が続けば人の命も失わ れていきます。そのような地域 に対して、今我々日本人に一体 リンクさせる試み だいた よ う に 思 い ま す 。 最後 に 、 一 部 戯 曲 を 改 訂 し た ことを 記 し て お き ま す 。 ま ず 前 提とし て 、 こ れ は ド イ ツ で の 公 演のた め に 書 か れ た も の で 、 基 いいと思う、我々は我々の国に 誇 り を 持 た な け れ ば な ら な い、 と言わせています。 最後のシーンでユダヤ人であ るアイェレットが結局カルステ えた日々でした。 感 じ て も ら う 脚 色 を し ま し た。 しかしながら、これは賛否両論 あると思います。なぜなら劇中 にもある通り、ホロコーストと 本的に は ド イ ツ 人 に と っ て 観 易 い工夫 が 施 さ れ て い ま す 。 そ こ で日本 の 観 客 に 向 か っ て 話 す と いう構 成 に し 、 台 詞 を 足 す こ と にしま し た 。 ド イ ツ は 戦 後 、 金 インがヒーローだというくだり が、た っ た 5 日 間 の 稽 古 で 俳 優 達は大 変 良 く や っ て く れ た と 思 います 。 観 客 の 反 応 も こ の 点 が 幸いし 、 思 っ た よ り 評 価 を い た 銭面を 援 助 す る な ど イ ス ラ エ ル 何が出来るのでしょうか? そ して、演劇という表現が紛争と 一体どのように係わっていける のでしょうか?そんなことを考 結果 、 本 番 で は 俳 優 は 台 本 は 持って い る だ け で 殆 ど 見 ず に 演 技しま し た 。 リ ー デ ィ ン グ 公 演 という名目でこの手法が正し かった か ど う か は わ か り ま せ ん 日本と中・韓との関係を 演劇という表現が紛争と一体 に入る よ う 指 示 し ま し た 。 どのように係わっていけるのか? ングで は あ り ま す が 俳 優 に は 台 詞をあ る 程 度 憶 え た 状 態 で 稽 古 ドイツ語になり、それがユダヤ 人のイシャイには理解出来ない のですが、実はそのドイツ語の 一番の問題は、後半でイシャ イがパレスチナ人に銃を突きつ け、イシャイの祖母(ドイツ人 が演じる)が現れるという場面 で、祖母の言葉は英語から時折 『第三世代』を演出して リーディングとシンポジウム 数カ国語飛び交う 原 作 を 紛争地域から生まれた演劇 I.T.I. NEWS 2013 ●紛争地域から生まれた演劇 ●紛争地域から生まれた演劇 I.T.I. NEWS 2013 17 19 ●世界同時代演劇レクチャー I.T.I. NEWS 2013 I.T.I. NEWS 2013 ●海外ニュース ITI 新・準センター Maison d’Europe et d’Orient(パリ) 、CRT St Blaise(サン・ブレーズ演劇研究所 / パリ) 、 Global Arts and Development Centre(ガーナ) フェスティバル「演劇のヨーロッパ」2013 バルカン半島におけるビザンチン文化理解 増進を目的として、8 月 15 日〜 24 日、マ ケドニア・オーリドで。ユーロ・バルカン大 学主催。バルカンの文化に関心を持つ大学院 生対象。参加費 300 ユーロ。 26 19 19 21 21 19 7 3 12 19 21 3 26 19 21 20 世田谷パブリック シアターと共催で 19 7 25 19 21 19 7 ~ 時 ▽勉強会 西アラブ世界の演劇 ―アルジェリア、カテブ・ヤシ ン を 中 心 に 月 日( 木 ) 時~ 時 ▽講師 鵜戸聡(日本学術振興 会特別研究員) ▽ 内 容 概 説 ア ラ ブ 演 劇 に は、 政治性の高さ、女性が舞台に立 つことを嫌う傾向、アラビア語 の言文不一致(話し言葉と書き 言葉の乖離)など、アラブ世界 に特有の社会的・言語的要素が 影響を及ぼしています。東京国 際芸術祭の「中東シリーズ」に 関わった中東文学・演劇の専門 家鵜戸聰氏が、アラブ諸国の演 劇史とともに、ラビア・ムルエ (レバノン)カテブ・ヤシン(ア ルジェリア) 、を中心に現代の アラブ演劇の状況を紹介。 3月 15 日〜 21 日、バングラデシュ・ダッ 第 16 回 オーリド国際サマースクール 20 6 学教授) ▽内容概説 ロベール・ルパー ジ ュ( 演 劇 ) 、 ワ ジ デ ィ・ ム ワ ワド(演劇) 、エドワール・ロッ ク( ダ ン ス ) 、 シ ル ク・ デ ュ・ ソレイユ(サーカス)など、1 980年代以降、世界的に知ら れることになったケベックの舞 台芸術 (演劇、 ダンス、 サーカス) を、藤井慎太郎氏が豊富な映像 資料とともに紹介。 また、 ケベッ クの舞台芸術の発展とケベック のナショナリズム運動の高まり との関係についても解説。 ③中東 ▽レクチャー 中東演劇の現在 ―アラブ演劇とその背景 月 日(木) 時~ 時 ▽勉強会 東アラブ世界の演劇 ―レバノン、ラビア・ムルエを 中心に 月 日( 水 ) 時 ダッカ国際演劇祭 4月の3日間 、ギリシャ・アテネで。現 代劇の戯曲募集(短編、20 〜 30 分) 。英語 または仏語で。アテネのフランス研究所で リーディングを実施後、各作者とのフォーラ ム開催。 Informat ion : www.hellastheatre.g r contact: [email protected] 6 21 4 今年3月は「仏語圏アフリカと『演劇』」 3月 23 〜 27 日、モンゴル・ウランバー トルで。ITI モンゴルセンターは毎年ワール ドシアターデイを記念してミューズ(芸術 の神)を頌える国際演劇祭を行う。30 〜 50 分の参加作品を募集。 Contact & application form : sanya_sb@ yahoo.com +976-1199125576 現代ドラマ・フォーラム 8 「オーストラリア演劇─先住民文化と現代演劇の出会い」 サン・ミューズ演劇祭 7 月2日〜7日、イギリス・バーミンガ ムで。 「国境を越えること」をフェスティバ ルのミッションとし、国籍を問わず人々を勇 気づけ駆り立て誘い込む活気のある作品の発 表の場であることが特徴。参加作品は 30 分 以内の小品。ジャンルは演劇とダンス。秀作 5作品に授賞あり。 Information : www.befestival.org 21 14 「仏語圏アフリカと『演劇』 」 講師・佐藤 康(学習院大学講 師) ② 月 日( 火 ) 時 ~ 時 10 月 25 日〜 11 月 3 日、キューバ・ハ バナで。K・S・スタニスラフスキーの生誕 150 年記念事業として。 Contact:Consejo Nacional aaartes Escenicas [email protected] BE フェスティバル 13 19 今年3月には「世界の同時 代演劇」のテーマで次の2回 の レ ク チ ャ ー の 開 催 を 予 定。 詳細は次をご覧ください。 第 15 回ハバナ芸術祭 3 月 22 日 〜 31 日、 ト ル コ・ ア ン カ ラ で。KUSAGEM (Culture, Art and Migration Activity Centre) 主 催。 テ ー マ は「Art for a better world」 Contact: Tel/Fax 00 90 312 425 7183 [email protected] 9 24 16 h t t p : / / s e t a g a y a - p t . j p /「 オ ー ス ト ラ リ ア 演 劇 ─ 先 住 民 w o r k s h o p / 2 0 1 3 / 0 3 / 文化と現代演劇の出会い」 講師・佐和田 敬司(早稲田大 post_281.html ① 月 日(火) 時~ 時 学教授) 5月 17 日〜6月 14 日、パリ欧州東洋研 究 所(Maison d’Europe et d’Orient) 主 催、 Eurodram 共催 。戯曲翻訳をプロモートする と同時に、ヨーロッパに優れた翻訳戯曲を紹 介するためのフェスティバル。リーディング で翻訳作品を紹介する。 Contact : Antiny Smal, Maison d'Europe et d’[email protected] 第7回アンカラ国際演劇祭 “ETHOS” 7 6 世界の同時代演劇を知る アルジェリア、マケドニア、ナイジェリア。 6 12 年度報告 ITIがレクチャーシリーズ開始 ITI 新メンバー国 16 21 ITI日本センターは昨年から世田谷パブリックシア ターとの共催で『世界の同時代演劇を知る!』レクチャー シリーズを始めました。「演劇と社会」「世界の同時代演劇」 「 演 劇 の 海 外 交 流 」 を 三 本 柱 に、 同 時 代 の 演 劇 を 複 眼 で ウ オッチするレクチャーを継続的に行っていきます。 前回、中国・厦門で開催された ITI 世界大 会で、次回開催地は 2013 年ハバナ(キュー バ)に決定されたが、キューバでの開催が不 可能となり、大会開催は 2014 年に延期され た。都市は未定。 月 日(水) 時~ 時 《演 劇 と 社 会 》 ▽「演劇教育 (演劇評論家) の 現 在 ― ア ク タ ー ズ ス タ ジ オ ▽講師 七字英輔 ( ニ ュ ー ヨ ー ク ) の 場 合 」 = 小 ▽内容概説 日本ではこの 年 川 絵 梨 子 氏( 演 出 家 )、 聞 き 手 間、シルヴィウ・プルカレーテ =七字英輔氏 ▽「アーツカウ やアレクサンドル・ダリエなど、 ン シ ル 構 想 の 現 在 と こ れ か ら 」 ルーマニアの演出家による舞台 =吉本光宏氏(ニッセイ基礎研 がたびたび招聘上演され、また 同国のシビウ国際演劇祭は国際 究所主任研究員) ▽「 演 劇 を 支える社会的仕組み」=平田オ 的にも評価の高い評価を得てお リザ氏(劇作家・演出家・大阪 り、今では日本からも多くの劇 団が参加しています。東欧の演 大学教授)。 劇大国であるルーマニアと日本 開催 日 は 5 月 日 = 小 川 、 月 日=吉本、 月 日=平田。 との演劇交流を推進してきた七 字英輔氏がルーマニア演劇とモ 《世 界 の 同 時 代 演 劇 》 ルドヴァ演劇を詳しく紹介。 ①ル ー マ ニ ア ▽レクチャー ルーマニア語圏 ②ケベック(カナダ) 演劇の現在―民主革命とソ連解 ▽レクチャー ケベック舞台芸 体後のルーマニアとモルドヴァ 術の現在―演劇・ダンス・サー カ ス 月 日( 火 ) から 月 日(木) 時 ~ 時 時~ 時 ▽勉強会 ケベック舞台芸術― ナショナリズムと文化政策 月 日(水) 時~ 時 ▽講師 藤井慎太郎(早稲田大 ITI世界大会 2014 年に延期 カで。ITI バングラデシュセンター主催。国 立劇場の3つのホールが会場となり、外国か ら 6 〜 7 グループ、バングラデシュ国内約 15 グループが参加見込み。小編成の作品で 参加希望の団体は問い合わせ下さい。会期中 4日間の食費・滞在費・交通費はバングラデ シュセンターが負担。 Contact: [email protected] ▽勉強 会 ル ー マ ニ ア の 『 演 出 家の時 代 』 月 日(土) 時~ 時 ▽勉強 会 ロ シ ア 演 劇 と ル ー マ ニア演 劇 の 折 衷 ― モ ル ド ヴ ァ 海外ニュース 18 19 21 21 8 2 ●会員消息 I.T.I. NEWS 2013 20 会 員 消 息 (2012 年1月〜 12 月)順不同・敬称略 入 会 鈴木拓(制作・舞台監督) 所 属 ARC>T ア ー ト リ バイバルコネクション東北 塚口麻里子(制作) 特定非営利活動法人国際 舞台芸術交流センター 新井知行(制作) 特定非営利活動法人国際 舞台芸術交流センター 大原典子(制作) 特定非営利活動法人国際 舞台芸術交流センター 壱岐照美(俳優) TANT 阿部陽子(俳優) 劇団よろずや 磯健一(音楽) 磯健一事務所 田中麻衣子(演出家) 渡辺克己(演出家・俳優) 飯田道朗(再入会・俳優) 退 会 高橋佐代子 喜多道枝 友沢晃一 三田村晴夫 三田村槙子 松浦真人 丸茂美恵子 一ノ瀬和夫 高辻ひろみ 長瀬幸子 中井多津夫 中本信幸 坂本義和 宮下展夫 伊藤正道 川口敦子 渡守 希 村井志摩子 磯 健一 小林 功 小林紀子 中根公夫 名取敏行 久米ナナ子 関根 勝 市川 猿翁 第 123 号 2013 年 1 月 31 日発行 発行 (社団法人)国際演劇協会 ( ITI ユネスコ ) 日本センター 発行人 永井多恵子 編集人 曽田修司 〒 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷 4-18-1 国立能楽堂内 Tel03-3478-2189 Fax03-3478-7218 Email:[email protected] http//www.green.dti.ne.jp/~iti/ ▲公益法人への移行作業は 3年越しの長丁場です。膨 大な書類作成業務よりも重 要なのは、赤字を出さない 経営と社会から評価される しくみづくりです。多くの 方々のご協力が得られてこその公 益社団です。今後ともご指導ご助 言をお願い申し上げます。(曽田) ▲中国でも韓国でも若手プロ デューサーのめざましい台頭ぶり が報告される一方、文化行政に導 入される効果主義、効率主義に危 惧の声も上がっています。劇団は どうなる? そして日本は? 中 国国家話劇院を幹部プロデュー か だいりき サーとして支える劉鉄鋼、戈大力、 李東氏らは国際的な制作者会議の 開催を呼びかけています。(菱沼) (© 国際演劇協会日本センター 2013) 関きよし (退会後ご逝去) ご逝去 秋元 実 藤本義一 森 光子 小沢昭一 顧問 山田五十鈴 顧問 石田種生 受賞・叙勲 松本幸四郎 文化功労賞 森下洋子 高松宮殿下記 念世界文化賞 野村萬斎 文化庁芸術祭 賞演劇部門優秀賞 岩淵達治 瑞宝中綬章 宮城まり子 瑞宝小綬章 坂東玉三郎 重要無形文 化財各個認定(人間国宝) 編集後記