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国内旅客船事業の活性化に関する調査研究会 中間

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国内旅客船事業の活性化に関する調査研究会 中間
国内旅客船事業 の活性化に関する 調査研究会
中間報告
-国内旅客船事業者の負担軽減策を中心に-
平 成 25 年 5 月
公益財団法人
日本海事センター
はじめに
四 面 を 海 に 囲 ま れ 、島 嶼 部 や 半 島 の 多 い 我 が 国 に お い て 、旅 客 船 と そ の 運 航 シ
ス テ ム を 維 持 す る こ と は 、重 要 、か つ 危 機 管 理 上 か ら 必 要 不 可 欠 で あ る 。し か し
な が ら 、国 内 旅 客 船 事 業 は 、利 用 者 数 の 減 少 、高 速 道 路 の 値 下 げ 等 に よ り 、厳 し
い 経 営 状 況 が 続 い て い る 。こ う し た 中 、当 セ ン タ ー で は 、国 内 旅 客 船 事 業 の 活 性
化 に 関 す る 調 査 研 究 会 を 起 ち 上 げ 、国 内 旅 客 船 事 業 の 現 状 及 び 課 題 を 明 ら か に し
つ つ 、同 事 業 の 活 性 化・新 た な 事 業 展 開 の 可 能 性 等 に つ い て 調 査 研 究 を 行 う こ と
とした。
2012 年 度 は 、7 月 11 日 に 第 1 回 調 査 研 究 会 を 開 催 し て 、調 査 研 究 会 に 参 加 し
て い る 事 業 者 の 方 々 か ら 国 内 旅 客 船 事 業 の 現 状 や 課 題 を 聴 取 し た 。 続 い て 、 11
月 2 日 に 第 2 回 調 査 研 究 会 を 開 催 し 、国 内 旅 客 船 事 業 の 現 状 に つ い て 認 識 の 共 有
を 図 っ た 上 で 、同 事 業 の 抱 え る 課 題 に 関 連 す る 論 点 を 整 理 し た 。論 点 は 、① 総 合
的 な 交 通 政 策 に お け る 位 置 づ け に 関 す る も の 、② 需 要 の 拡 大 に つ な が る も の 、③
事 業 者 の 負 担 の 軽 減 に つ な が る も の の 3 つ の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し た が 、特 に ③ に
つ い て は 、法 令 上 の 規 制 の 現 状 等 を 整 理 し 、議 論 を 行 っ た 。こ れ ら の 論 点 整 理 及
び 議 論 を 受 け て 、2012 年 度 は 、中 間 報 告 を と り ま と め る こ と と し 、2 月 25 日 に
第 3 回調査研究会を開催して、中間報告の内容や提言事項等について議論した。
本報告書は、これら 3 回の調査研究会の成果である。
事 業 者 の 負 担 軽 減 は 国 内 旅 客 船 事 業 の 活 性 化 に 直 結 す る も の で は な く 、負 担 軽
減によって事業者が得た利益が旅客船サービスの向上や旅客船の改良に結びつ
く 原 資 と な っ て 初 め て 事 業 の 活 性 化 が 実 現 す る こ と に な る 。こ の よ う な 認 識 か ら 、
2013 年 度 は 、 こ の 負 担 軽 減 策 を 活 か す べ く 、 新 た な 市 場 の 創 出 、 需 要 喚 起 の た
めの方策を中心に検討することを予定している。
な お 、本 報 告 書 の メ ン バ ー は 事 業 者 が 主 体 と な っ て お り 、客 観 的 な 議 論 を 心 が
けたつもりではあるが、事業者以外の視点が抜けている可能性も否定できない。
本 報 告 書 は 、今 後 の あ る べ き 国 内 旅 客 船 事 業 の 活 性 化 を 目 指 す た め の 1 つ の 指 針
を 提 供 す る も の で あ る か ら 、将 来 に お い て 実 際 の 処 方 箋 を 提 供 す る 段 階 に 至 っ て
は、関係各方面との十分な協議を必要とすることは言うまでもない。
i
ii
国内旅客船事業の活性化に関する調査研究会
(敬称略・順不同)
座
長: 竹内 健蔵
メンバー: 池田 良穂
森
隆行
東京女子大学現代教養学部教授
大阪府立大学工学部教授
流通科学大学商学部教授
味水 佑毅
高崎経済大学地域政策学部准教授
石川 龍治
東海汽船(株)業務部長
佐々木正美
新日本海フェリー(株)取締役営業企画部長
仁田 一郎
瀬戸内海汽船(株)代表取締役社長
山本 哲也
(株)名門大洋フェリー常務執行役員営業統括部長
渡辺 真二
早駒運輸(株)社長
渡邊
佐渡汽船(株)取締役営業部長
均
オブザーバー:大石英一郎
国土交通省海事局内航課長
iii
iv
中間報告のポイント
-国内旅客船事業者の負担軽減策を中心に-
四面環海の島国である我が国において、旅客船及びその運航システムは、(1)失われれば
国民生活及び国の存立が脅かされかねないこと、(2)定住による実効支配を通じた領土・領
海等の圏域の確保(離島)のために振興が必要であること、(3)交通弱者にとって最も利便
性の高い交通手段として維持する必要があること、(4)環境・省エネ等のためのモーダルシ
フトの受け皿として確保する必要があること、(5)緊急時・災害時の輸送手段として確保す
る(リダンダンシーの確保)必要があることを確認し、事業者負担の軽減の観点から、事
故発生等安全上の点についても検討を加え、地域の人々にとっての航路維持の重要性と低
廉さを求める旅行者等の消費者の視点にも配慮し、今後検討するべき方策について以下の
とおりとりまとめた。
1.内燃機関の解放検査については、2012 年 3 月に導入された負担軽減策の効果を見極
めつつも、機関計画保全検査の適用条件を弾力化すること
2.旅客船の「小型船舶」の範囲を拡大すること
3.船員法上の「港」について弾力的な対応を行うこと
4.(1)旅客船に乗り組み労働する者について船員法の適用を弾力化すること
(2)船員の最低賃金のあり方について、現状の月当りに加え、日当り、時間当りを
導入すること等
5.航海当直の配乗に係る総トン数 700 トン区分について緩和すること
6.カボタージュ規制について、“外国籍のクルーズ客船が国内の港間の旅客輸送を行っ
ても最終下船港までのクルーズ期間中に外国の港に寄港すれば、カボタージュ規制を
受けない運用”とされているようだが、外国籍船との競争条件の平等化など、日本籍
クルーズ客船の運航事業への影響を踏まえた適切かつ迅速な対応を行うこと
7.船舶検査、航行規制に関する指導の統一性を高めるため、本省及び本庁に相談窓口を
設けるなどの措置を講じること
v
vi
目
次
1.旅客船事業の現状 ....................................................................................................................... 1
2.内航旅客船の内燃機関の解放検査について ................................................................................. 4
(1)内燃機関の解放検査の現状 .................................................................................................. 4
(2)国内における旅客船の事故の現状 ........................................................................................ 6
(3)エンジンメーカーが推奨するタイミングで整備を行った場合のコスト削減効果 ................ 11
(4)検討 ................................................................................................................................... 11
3.小型船舶の範囲について ........................................................................................................... 12
(1)小型船舶の区分の現状 ....................................................................................................... 12
(2)国内における小型船舶の旅客船の事故の現状 .................................................................... 14
(3)小型船舶の範囲を旅客船について拡充した場合のコスト差(船員関係) .......................... 16
(4)検討 ................................................................................................................................... 16
4.港の区域の変更について ........................................................................................................... 17
(1)法令上の規制の現状 ........................................................................................................... 17
(2)検討 ................................................................................................................................... 19
5.船内サービス向上のための船員雇用について ........................................................................... 20
(1)法令上の規制の現状 ........................................................................................................... 20
(2)船員の賃金と陸上サービススタッフの賃金 ........................................................................ 22
(3)検討 ................................................................................................................................... 23
6.航海当直の配乗に係るトン数区分について ............................................................................... 24
(1)法令上の規制の現状 ........................................................................................................... 24
(2)最少定員 ............................................................................................................................ 24
(3)最近の新技術の導入 ........................................................................................................... 25
(4)総トン数 700 トン未満の船舶と総トン数 700 トン以上の船舶のコスト差 ......................... 26
(5)検討 ................................................................................................................................... 26
7.その他 ....................................................................................................................................... 27
(1)舶用品の型式承認制度について ......................................................................................... 27
(2)カボタージュ規制について ................................................................................................ 27
(3)船舶検査、航行規制に関する指導の統一性について .......................................................... 27
vii
viii
1.旅客船事業の現状
我 が 国 の フ ェ リ ー・旅 客 船 航 路 は 景 気 低 迷 や 燃 油 価 格 の 高 止 ま り 、さ ら に は 景
気 や 高 速 道 路 料 金 の 値 下 げ 等 も あ っ て 厳 し い 経 営 状 況 が 続 い て い る( 事 業 者 の 海
運 業 費 用 の 内 訳 に つ い て 、 参 考 ① を 参 照 )。
四 面 環 海 の 島 国 で あ る 我 が 国 に お い て 、 旅 客 船 及 び そ の 運 航 シ ス テ ム は 、 (1)
失 わ れ れ ば 国 民 生 活 及 び 国 の 存 立 が 脅 か さ れ か ね な い も の で あ り 、 (2)定 住 に よ
る 実 効 支 配 を 通 じ た 領 土・領 海 等 の 圏 域 の 確 保( 離 島 )の た め に 必 要 な も の で あ
り 、 (3)交 通 弱 者 の 利 便 性 と い う 観 点 か ら 今 後 も 維 持 し て い く 必 要 の あ る も の で
あ り 、 (4)環 境・省 エ ネ 等 の た め の モ ー ダ ル シ フ ト の 受 け 皿 と な る も の で あ っ て 、
(5)緊 急 時 ・ 災 害 時 の 輸 送 手 段 と し て 確 保 す る ( リ ダ ン ダ ン シ ー の 確 保 ) 必 要 が
あるものである。
国 内 旅 客 船 事 業 に つ い て は 、2000 年 10 月 、一 般 旅 客 定 期 航 路 事 業 に 係 る 需 給
調 整 が 廃 止 さ れ 、事 業 参 入 に つ い て は 免 許 制 か ら 許 可 制 へ 、事 業 の 休 廃 止 に つ い
ても許可制から届出制へ緩和され、事業への参入・退出が自由化された。また、
運 賃 及 び ダ イ ヤ の 変 更 に つ い て も 、事 業 者 の 創 意 工 夫 を 活 か す た め に 許 可 制 か ら
届出制へ緩和され、より迅速な対応が可能となった。
こ の 参 入 規 制 の 緩 和 後 の 全 国 の 事 業 者 数 と 輸 送 量 等 の 動 向 は 図 1-A( 事 業 者 数
の 推 移 )及 び 図 1-B( 輸 送 実 績 の 推 移 )の と お り で あ り 、フ ェ リ ー 以 外 の 旅 客 船
事 業 者 数 の 増 加 は 見 ら れ る も の の 、フ ェ リ ー の 事 業 者 数 及 び 輸 送 量 と も 減 少 の 傾
向 に あ る 。参 入 規 制 の 緩 和 の 目 的 は 、一 般 論 と し て 、新 規 参 入 企 業 に よ る 需 要 開
拓 、既 存 企 業 を 含 め た 市 場 に お け る 競 争 の 活 発 化 に よ っ て 、サ ー ビ ス の 向 上 や 価
格 の 低 下 が 生 じ 、そ れ ら を 通 じ て 需 要 の 拡 大 を 図 る こ と に あ る こ と か ら 、参 入 規
制 緩 和 の 所 期 の 目 的 を 実 現 す る た め に も 、旅 客 船 事 業 及 び マ ー ケ ッ ト 活 性 化 が 不
可欠である。
1
( 図 1-A)
事業者数の推移
国土交通省海事局『海事レポート』をもとに作成
( 図 1-B)
輸送実績の推移
(単位:百万人)
(単位:百万台)
国土交通省海事局『海事レポート』をもとに作成
2
(参考①)国内旅客船事業者 A 社の損益計算書における海運業費用
<海運業費用全体に占める各費用とその割合>
全 体 で は 、 運 航 費 の 中 の 燃 料 費 の 占 め る 割 合 が 20.5% で 最 も 大 き く 、 次 い で 船 費 の 中
の 船 員 費 が 16.1% 、 同 じ く 船 費 の 中 の 船 舶 修 繕 費 が 11.6% を 占 め る 。
運航費
1,423,710
船費
2,537,249
事業所費
その他海運業費用
449,485
2,064,297
燃料費
港費
その他運航費
船員費
退職給付費用
船舶消耗品費
船舶保険料
船舶修繕費
特別修繕引当金繰入額
船舶減価償却費
その他船費
事業所費
その他海運業費用
(単位:千円)
1,325,884
68,047
29,778
1,039,691
158,873
107,517
172,640
751,645
100,070
161,885
44,924
449,485
2,064,297
※上の表の船員費には、
法定福利費、厚生費などが含まれる。
※円グラフの外側が大分類、内側が小分類になっている。
<有価証券報告書記載の A 社の状況>
平成23年12月31日現在
従業員数(名)
平均年齢(歳)
平均勤続年数(年)
平均年間給与(円)
172 (32)
42.3
17.6
7,238,788
セグメントの名称
従業員数(名)
海運関連事業
147 (26)
商事料飲事業
4 ( 4)
全社(共通)
21 ( 2)
合計
172 (32)
(注 )
1
2
従業員は就業人員であり、臨時従業員数は ( ) 内に年間の平均人員を記載。
平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含む。
※上の表の海運関連事業の従業員数には船員数に加え、陸上従業員数も含まれる。
3
2.内航旅客船の内燃機関の解放検査について
事業者から、内燃機関の検査については検査のたびに機関の解放が必要で、
コ ス ト や 所 要 時 間 等 の 面 で 負 担 が 大 き い こ と に つ い て 指 摘 が あ り 、こ の 負 担 を
軽減できないか検討を行った。
(1)内燃機関の解放検査の現状
(イ)
解放検査の必要性
船 舶 の 内 燃 機 関 は 、① 大 き な 負 荷 で 長 時 間 使 用 さ れ る こ と 、② 負 荷 変 動 が
大 き い こ と 、③ 燃 料 の 質 が よ く な い こ と な ど か ら 、自 動 車 の エ ン ジ ン と 異 な
り解放検査が必要とされている。
(ロ)
(a)
法令上の規制の現状
基本
解放検査は、定期検査と第 1 種中間検査(1 中)の際に行われる。定期
検 査 は 、0 年 目 、 5 年 目 、 10 年 目 と 5 年 に 1 回 行 わ れ 、そ の 間 毎 年 1 中 の
検 査 が 行 わ れ る ( 図 2-A 参 照 )。
( 図 2-A)
0
1
2
3
4
5年
定期
1中
1中
1中
1中
定期
定期検査の場合には全解放が必要であり、1 中の場合には、シリンダー
カ バ ー の 取 り 外 し 、 ク ラ ン ク ピ ン の 受 金 の 1/3 の 解 放 、 排 気 タ ー ビ ン 過 給
機の解放が必要となる。
な お 、 20 総 ト ン 未 満 で 航 行 区 域 が 平 水 又 は 限 定 沿 海 1 の 船 舶 は 内 燃 機 関
の解放は不要で、定期検査時は海上運転試験を行うことになっている。
(b)
代替措置
「 (a)
基 本 」に 対 し て 、航 行 区 域 が 平 水 及 び 限 定 沿 海 の 船 舶 に つ い て は
2 つの代替措置が講じられている。
(ⅰ )
代替措置①
2 回目または 3 回目の 1 中を特 1 中として 1 中相当の解放検査を行い、
1
限定沿海とは、平水区域から最強速力で 2 時間以内に往復できる区域をいう。
4
それ以外の 1 中は保守整備の記録から判断して、解放検査に代えて海上
運 転 に よ る 性 能 確 認( 以 下 、単 に「 海 上 運 転 」と い う 。)と す る こ と が で
き る ( 図 2-B 参 照 )。
( 図 2-B)
0
定期
又は
定期
(ⅱ )
1
2
3
4
5年
海上運転
特1中
海上運転
海上運転
定期
海上運転
海上運転
特1中
海上運転
定期
代 替 措 置 ② ( 2012 年 3 月 か ら 実 施 )
製 造 後 11 年 未 満 の 内 燃 機 関 に つ い て は 、(ⅰ )の「 特 1 中 」に つ い て も 、
海 上 運 転 と す る こ と が で き る ( 図 2-C 参 照 )。
( 図 2-C)
0
1
2
3
4
5年
定期
海上運転
海上運転
海上運転
海上運転
定期
(c)
解放検査の省略又は軽減を認める検査方式
「 (b)
代 替 措 置 」と は 別 に 、解 放 検 査 の 省 略 又 は 軽 減 を 認 め る 検 査 方 式
がある。
(ⅰ )
機関計画保全検査
機関計画保全検査とは、内燃機関に関する検査において、次の 2 つの
要件が満たされる場合に、定期検査時に行う記録の確認やインタビュー
により機関の状態が良好であることが確認できた場合にあっては、解放
検査を省略することができる検査方式をいい、旅客船については、これ
ま で 主 機 関 2 機 、推 進 軸 2 軸 以 上 の 船 舶 に 適 用 さ れ て き た が 、2012 年 3
月からはすべての旅客船について適用されることになった。

事 業 者 が 優 良・適 切 な 保 守 管 理 体 制 を 有 し 、承 認 さ れ た 機 関 保 全 計 画
に 基 づ い て 保 守 管 理 を 行 っ て い る こ と 。( 基 本 的 に 、 船 舶 及 び そ の 船
舶 管 理 会 社 が ISM 証 書 又 は 任 意 ISM 証 書 の 交 付 を 受 け て い る こ と 。)

機 関 計 画 保 全 検 査 を 初 め て 適 用 す る 時 点 に お い て 、原 則 と し て 製 造 後
15 年 未 満 又 は 累 積 運 転 時 間 が 75,000 時 間 以 内 の 内 燃 機 関 。
5
(ⅱ )
継続検査
次の 2 つの要件を満たす船舶については、主機等の各部分ごとの定期
検査をそれぞれ 5 年を超えない間隔で、かつ、主機等の全部が 5 年以内
に結了するよう定期的に順次継続して検査を行い、異常を発見しない場
合には、当該事項に係る定期検査又は中間検査を省略することができる
( 図 2-D 参 照 )。

同型の内燃機関によって駆動される推進軸系を 2 以上有する船舶又
は 2 以上の同型の内燃機関によって推進軸系を駆動する船舶。

船舶の機関の現状及び保守が良好なもの。
( 図 2-D)
1
2
3
4
5年
6
7年
(例1) 定期
1/5解放
1/5解放
1/5解放
1/5解放
1/5解放
1/5解放
1/5解放
(例2) 定期
1/6解放
2/6解放
1/6解放
1/6解放
1/6解放
1/6解放
2/6解放
1中
1中
1中
1中
定期
1中
0
( 定期
1中 )
(2)国内における旅客船の事故の現状
事業者の負担軽減の観点から解放検査の軽減について考えてきたが、以下、
解放検査の負担軽減が旅客船の事故の現状に照らして安全性に大きなインパ
クトを与えることがないかについて若干検討を試みた。
(イ)
旅客船による事故
過 去 5 年 間 の 船 舶 事 故 の 隻 数 に つ い て み る と 、 旅 客 船 に よ る 事 故 は 2.2%
と 他 の 種 類 の 船 舶 に 比 べ て 少 な い ( 図 2-E① 参 照 )。 そ の う ち 、 負 傷 者 を と
も な う 事 故 に つ い て み る と 隻 数 ベ ー ス で 4.0%( 図 2-E② 参 照 )。こ れ ら そ れ
ぞ れ を 船 舶 事 故 全 体 の 隻 数 で み る と 0.3% 、0.008% で あ る 。ま た 、死 者・行
方 不 明 者 を と も な う 事 故 に つ い て み る と 1 隻 で 、 隻 数 ベ ー ス で 0.4% で あ る
( 図 2-E③ 参 照 )。
6
( 図 2-E)
隻数ベース
( 図 2-E① )
船舶種類別の船舶事故割合
船舶種類別の船舶事故隻数 (過去5年間合計)
プレジャーボート
漁船
貨物船
タンカー
4,776
3,709
1,652
463
遊漁船
旅客船
その他
382
265
876
合計
12,123
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
( 図 2-E② )
( 図 2-E③ )
死者・行方不明者をともなう事故の
船舶種類別の割合
負傷者をともなう事故の船舶種類別の割合
負傷者をともなう事故の船舶種類別の隻数(過去5年間合計)
プレジャーボート
368
遊漁船
54
漁船
325
旅客船
34
貨物船
19
その他
36
死者・行方不明者をともなう事故の船舶種類別の隻数(過去5年間合計)
タンカー
8
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
合計
844
プレジャーボート
77
遊漁船
7
漁船
170
旅客船
1
貨物船
13
その他
8
タンカー
2
合計
278
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
7
次 に 、死 者 ・ 行 方 不 明 者 の 人 数 で 見 る と 、過 去 5 年 間 で 死 者 ・ 行 方 不 明 者
数 が 最 も 多 い の は 漁 船 で 、次 い で 貨 物 船 、プ レ ジ ャ ー ボ ー ト の 順 と な っ て お
り 、旅 客 船 の 事 故 に よ る 死 者・行 方 不 明 者 は 1 名 と 極 め て 少 な い( 図 2-F② )。
負 傷 者 数 の 人 数 で は 、プ レ ジ ャ ー ボ ー ト が 最 も 多 く 、次 い で 漁 船 、 旅 客 船 の
順 と な っ て お り 、 旅 客 船 事 故 で の 負 傷 者 数 は 219 名 で 全 体 の 14.4% と な っ
て い る ( 図 2-F① 参 照 )。
( 図 2-F)
人身事故被害者数ベース
( 図 2-F① )
( 図 2-F② )
船舶の事故による死者・行方不明者数の
船舶種類別の割合
船舶の事故による負傷者数の
船舶種類別の割合
船舶の事故による負傷者数(船舶種類別)(過去5年間合計)
プレジャーボート
漁船
貨物船
タンカー
620
431
33
15
遊漁船
旅客船
その他
141
219
59
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
(ロ)
船舶の事故による死者・行方不明者数(船舶種類別)(過去5年間合計)
合計
1,518
プレジャーボート
93
遊漁船
11
漁船
335
旅客船
1
貨物船
102
その他
16
タンカー
3
合計
561
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
旅客船による事故の種類及び原因
過 去 5 年 間 の 旅 客 船 の 事 故 に つ い て み る と 、事 故 種 類 別 の 統 計 で は 機 関 故
障 に よ る も の が 10.6% と や や 大 き な 割 合 を 占 め て い る ( 図 2-G① 参 照 ) が 、
事 故 原 因 別 の 統 計 で は 船 体 機 器 整 備 不 良 が 3.8% の 割 合 と な っ て い る( 図 2-G
② 参 照 )。 こ れ は 、 事 故 種 類 別 の 統 計 の 「 機 関 故 障 」 の 中 に 事 故 原 因 別 の 統
計 の 「 船 体 機 器 整 備 不 良 」 の ほ か 、「 機 関 取 扱 不 良 」 の も の が 含 ま れ て い る
ためと考えられる。
8
( 図 2-G① )
( 図 2-G② )
旅客船事故の事故種類別の割合
旅客船事故の事故種類別の隻数
衝突
乗揚
転覆
123
42
1
舵障害
機関故障
火災
3
28
20
運航阻害
安全阻害
その他
11
5
10
旅客船事故の原因別の割合
(過去5年間合計)
浸水
進水器障害
9
13
爆発
行方不明
0
0
合計
265
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
旅客船事故の原因別の隻数(過去5年間合計)
操船不適切
見張り不十分
船位不確認
気象海象不注意
88
36
18
10
船体機器整備不良
10
水路調査不十分
居眠り運航
その他の運航の過誤
機関取扱不良
積載不良
5
5
6
21
0
火気可燃物取扱不良
材質構造不良
不可抗力
その他
6
14
41
5
合計
265
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)」
過 去 10 年 間 の 旅 客 船 の 事 故 隻 数 の 推 移 を 事 故 種 類 別 で み る と ( 図 2-H 参
照 )、 機 関 故 障 に よ る 事 故 は 平 成 18 年 ( 2006 年 ) の 11 隻 を 除 き 、 10 隻 未
満で推移している。
( 図 2-H) 過 去 10 年 間 の 旅 客 船 の 事 故 隻 数 の 推 移 ( 事 故 種 類 別 )
H14
衝突
乗揚
転覆
浸水
推進器障害
舵障害
機関故障
火災
爆発
行方不明
運航阻害
安全阻害
その他
機関故障の
割合
H15
33
10
0
3
2
0
3
3
0
0
1
1
8
4.7%
H16
21
9
0
3
3
3
7
5
0
0
4
2
2
11.9%
H17
33
7
1
1
5
0
8
2
0
0
4
1
0
12.9%
H18
27
11
1
5
3
3
6
4
0
0
1
2
0
9.5%
H19
40
6
2
0
2
0
11
2
0
0
2
0
1
16.7%
H20
37
14
0
5
4
0
7
5
0
0
6
1
4
8.4%
H21
31
7
1
2
0
2
4
4
0
0
1
1
2
7.3%
H22
21
6
0
0
4
1
3
7
0
0
2
1
1
6.5%
H23
21
10
0
2
1
0
9
3
0
0
1
2
1
18.0%
13
5
0
0
4
0
5
1
0
0
1
0
2
16.1%
海上保安庁提供資料より作成
9
(ハ)機関故障などによる人身事故
旅 客 船 に 限 っ た 統 計 で は な い が 、機 関 故 障 や 、船 体 機 器 整 備 不 良 と 人 身 事
故 被 害 者 数 と の 関 係 を 見 る と 、機 関 故 障 に よ る 死 者・行 方 不 明 者 数 は 全 体 の
0.7% と 少 な く ( 図 2-I① 参 照 )、 船 体 機 器 整 備 不 良 を 原 因 と す る 死 者 ・ 行 方
不 明 者 数 に つ い て も 全 体 の 0.9% で 少 な い ( 図 2-I② 参 照 )。 負 傷 者 を と も な
う 事 故 に つ い て は 、原 因 別 の 統 計 は な い が 、事 故 種 類 別 の 統 計 で 見 る と 機 関
故 障 に よ る 負 傷 者 数 は 1.2% で あ る ( 図 2-I③ 参 照 )。 総 じ て み る と 、 機 関 故
障や船体機器整備不良が重大な人身事故につながるケースはほとんどない
と言ってよいと思われる。
( 図 2-I① )
( 図 2-I② )
船舶の事故による死者・行方不明者数の
事故種類別の割合
船舶の事故による死者・行方不明者数の
事故原因別の割合
船舶事故による死者・行方不明者数(事故種類別)(過去5年間合計)
衝突
128
舵障害
0
運航阻害
0
乗揚
19
機関故障
4
安全阻害
2
転覆
223
火災
20
その他
4
浸水
78
爆発
2
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
推進器障害
21
行方不明
60
合計
561
船舶の事故による死者・行方不明者数(事故原因別)(過去5年間合計)
操船不適切
見張り不十分
船位不確認
気象海象不注意
100
84
7
91
船体機器整備不良
5
水路調査不十分
居眠り運航
その他の運航の過誤
機関取扱不良
積載不良
18
1
1
46
2
火気可燃物取扱不良
材質構造不良
不可抗力
その他
合計
185
561
3
5
13
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
( 図 2-I③ )
船舶の事故による負傷者数の
事故種類別の割合
船舶の事故による負傷者数(事故種類別)(過去5年間合計)
衝突
1,065
舵障害
1
運航阻害
6
乗揚
146
機関故障
18
安全阻害
5
転覆
116
火災
27
その他
57
浸水
34
爆発
28
出典:海上保安庁『海難の現状と対策について(平成23年版)』
推進器障害
15
行方不明
0
合計
1,518
10
( 3 )エ ン ジ ン メ ー カ ー が 推 奨 す る タ イ ミ ン グ で 整 備 を 行 っ た 場 合 の コ ス ト 削
減効果
【B 社の実例に基づく試算】
< 高 速 エ ン ジ ン( 2,700PS 程 度 )を 2 基 搭 載 す る 旅 客 船 が 年 間 平 均 4,000 時
間運航する場合>
機 関 計 画 保 全 検 査 の 適 用 を 受 け ず に 内 燃 機 関 の 解 放 整 備 を 行 う と 20 年 間
で 約 5 億 6,600 万 円 か か る が 、機 関 計 画 保 全 検 査 の 適 用 を 受 け て エ ン ジ ン メ
ーカーの推奨するエンジン解放のタイミングで整備を行うと仮定した場合、
20 年 間 で 約 4 億 6,000 万 円 で 済 み 、整 備 の 内 容 に も よ る が 20 年 間 で 約 1 億
円 ( 年 間 約 500 万 円 ) の コ ス ト が 削 減 さ れ る 可 能 性 が あ る 。
(4)検討
解 放 検 査 に つ い て は 、「( 1 )( ロ ) (b)(ⅱ )及 び (c)(ⅰ )」 の と お り 、 負 担 軽 減
策 が 着 実 に 講 じ ら れ て き て お り 、基 本 的 に そ の 効 果 を 見 極 め た い 。た だ し 、船
舶 の 内 燃 機 関 に つ い て は 、い ず れ に し て も 事 業 者 サ イ ド で 部 品 の 点 検・交 換 の
た め の 解 放 が 必 要 で あ る こ と を 考 え る と 、さ ら に 負 担 を 軽 減 す る た め に は 、検
査 の た め の 解 放 と 部 品 の 点 検・交 換 の た め の 解 放 を 同 じ タ イ ミ ン グ で 行 え る よ
う に す る こ と が 考 え ら れ る 。そ の た め に は 、引 き 続 き 、機 関 計 画 保 全 検 査 の 適
用 条 件 を 緩 和 す る こ と に よ り 、同 検 査 を よ り 多 く の 事 業 者 が 容 易 に 活 用 で き る
検査方式とすることが考えられる。
こ の よ う に 、安 全 性 の 観 点 を 踏 ま え て も 解 放 検 査 の あ り 方 に つ い て は 、さ ら
に 広 く 関 係 者 の 意 見 を 踏 ま え て 検 証 し て い く 必 要 が あ る も の の 、基 本 的 に 新 た
に 導 入 さ れ た 負 担 軽 減 策 の 効 果 を 見 極 め つ つ 、機 関 計 画 保 全 検 査 の 適 用 条 件 を
弾力化することが考えられる。
な お 、検 討 の 過 程 に お い て 、内 燃 機 関 の 検 査 を 含 め た 船 舶 の 検 査 に つ い て の
負 担 は 、検 査 の 実 施 に と も な う も の だ け で な く 、ド ッ ク で の 点 検 や 交 換 部 品 に
係 る コ ス ト に 関 す る も の も あ る と の 指 摘 が あ り 、こ の 問 題 に つ い て は 、引 き 続
き残された課題として検討していくことになった。
11
3.小型船舶の範囲について
事 業 者 よ り 、 総 ト ン 数 20 ト ン 未 満 を 小 型 船 舶 と す る 現 行 の 区 分 を 変 更 し 、 よ
り 大 き な 船 舶 を 小 型 船 舶 と す れ ば 、船 舶 の ハ ー ド 面 及 び 船 員 資 格 の 面 か ら 負 担 の
軽減につながるとの指摘があり、検討を行った。
(1)小型船舶の区分の現状
(イ)
(a)
ハード面での区分について
法令上の規制の現状
ハ ー ド 面 に つ い て は 、 船 舶 安 全 法 に よ り 、 総 ト ン 数 20 ト ン 未 満 の 船 舶
を 「 小 型 船 舶 」 と し ( 船 舶 安 全 法 第 6 条 ノ 5 参 照 )、 構 造 及 び 設 備 等 の 技
術 基 準 に つ い て 小 型 船 舶 安 全 規 則 が 適 用 さ れ 、船 舶 検 査 は 小 型 船 舶 検 査 機
構 ( JCI) が 実 施 し て い る 。
な お 、 プ レ ジ ャ ー ボ ー ト ( 注 ) に つ い て は 、 総 ト ン 数 20 ト ン 以 上 で あ っ
て も 船 体 の 長 さ が 24 メ ー ト ル 未 満 の も の は 、 国 が 検 査 を 実 施 す る も の の
技 術 基 準 は 小 型 船 舶 安 全 規 則 が 適 用 さ れ て い る( 小 型 船 舶 安 全 規 則 第 2 条
第 2 項 参 照 )。 小 型 船 舶 安 全 規 則 が 適 用 さ れ る 船 舶 は 、 大 型 船 と 比 較 し て
構造や設置するべき設備及びその基準等について軽減されている。
(注)スポーツ又はレクリエーションの用のみに供するもの
(b)
経緯
1973 年 ( 昭 和 48 年 ) 以 降 、 長 さ 12 メ ー ト ル 未 満 の 船 舶 に つ い て は 一
般的にその構造及 び設備が簡易かつ 定型的であるとし て「 小型船舶」とし
て 比 較 的 平 易 な 安 全 基 準 が 適 用 さ れ て き た が 、大 型 化 し た プ レ ジ ャ ー ボ ー
ト に 対 応 す る た め 、 平 成 5 年 に 「 小 型 船 舶 」 の 範 囲 を 総 ト ン 数 20 ト ン 未
満 ま で 拡 大 す る 法 律 改 正 が 行 わ れ た 。 ま た 、 平 成 15 年 に は プ レ ジ ャ ー ボ
ー ト に つ い て の 国 際 的 な 技 術 基 準 ( 長 さ 24 メ ー ト ル 未 満 を 基 準 適 用 の 指
標)が整備されつ つあるなか、特に 輸入艇を対象とし て我が国基準と国際
標 準 と の 整 合 化 が 求 め ら れ て い た こ と か ら 、 総 ト ン 数 20 ト ン 以 上 で あ っ
て も 長 さ 24 メ ー ト ル 未 満 の プ レ ジ ャ ー ボ ー ト に 対 し 小 型 船 舶 安 全 規 則 を
適用することとされた。
12
(ロ)
(a)
船員の資格に関連する区分
法令上の規制の現状
船 員 の 資 格 の 面 か ら は 、船 舶 職 員 及 び 小 型 船 舶 操 縦 者 法 第 2 条 第 4 項 に
よ り 、 ハ ー ド 面 と 同 様 、 基 本 的 に 総 ト ン 数 20 ト ン 未 満 の 船 舶 が 小 型 船 舶
で あ る と さ れ て い る 。な お 、一 人 で 操 縦 を 行 う 構 造 の プ レ ジ ャ ー ボ ー ト( 注 )
に つ い て は 、総 ト ン 数 20 ト ン 以 上 で あ っ て も 船 体 の 長 さ が 24 メ ー ト ル 未
満 の も の は 小 型 船 舶 で あ る と さ れ る ( 同 項 及 び 同 法 施 行 規 則 第 2 条 ノ 7)。
(注)スポーツ又はレクリエーションの用のみに供するもの
小 型 船 舶 の 操 縦 に は 通 常 の 海 技 資 格 の 取 得 は 必 要 と さ れ ず 、小 型 船 舶 操
縦士の免許を取得 すればよい。小型 船舶操縦者は、小 型船舶操縦士の免許
を 受 け な け れ ば な ら な い が( 船 舶 職 員 及 び 小 型 船 舶 操 縦 者 法 第 23 条 ノ 2)、
小型船舶操縦士の 免許は、小型船舶 操縦士国家試験に 合格するか、登録小
型船舶教習所で講習を受講すれば取得できる。
(b)
経緯
船 員 の 訓 練 、 資 格 な ど に 関 し て 国 際 的 に 規 律 す る 「 1978 年 の 船 員 の 訓
練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約」
( 1978 年 STCW 条 約 )
を 批 准 す る 際 、こ れ を 小 さ な 船 舶 に ま で 適 用 す る こ と は 過 剰 規 制 に な る で
あ ろ う と の 判 断 か ら 、 基 本 的 に 総 ト ン 数 20 ト ン 未 満 の 船 舶 が 条 約 の 適 用
外 と さ れ た ( 1982 年 )。
な お 、 24 メ ー ト ル 未 満 の プ レ ジ ャ ー ボ ー ト は 、 総 ト ン 数 20 ト ン 未 満 の
船 舶 と 同 様 の 特 性 を 持 つ 構 造 で あ る と い う 理 由 で 、小 型 船 舶 と さ れ て い る 。
13
(2)国内における小型船舶の旅客船の事故の現状
過 去 5 年 間 の 船 舶 の 事 故 に つ い て み る と 、 小 型 船 舶 の 事 故 は 74.4% を 占 め
る( 図 3-A① 参 照 )が 、小 型 船 舶 の 事 故 の う ち 旅 客 船 の 事 故 は 1.3% で あ る( 図
3-A② 参 照 )。
( 図 3-A② )
( 図 3-A① )
小型船舶の船舶種類別の事故隻数の割合
船舶の事故に占める
小型船舶の事故の割合
H19
貨物船
タンカー
旅客船
漁船
遊漁船
プレジャーボート
その他
計
H20
1
1
36
736
80
949
69
1872
H21
3
25
674
79
894
82
1757
H22
2
2
21
755
62
1011
77
1930
1
1
23
646
94
956
53
1774
H23
1
0
13
608
66
945
57
1690
5年間合計
5
7
118
3419
381
4755
338
9023
海上保安庁提供資料より作成
(参考②)過去 5 年間の負傷者をともなう小型船舶の事故のうち機関故障によるもの
は 1.9% ( 図 3-B① 参 照 )、 死 者 ・ 行 方 不 明 者 を と も な う 小 型 船 舶 の 事 故 の う ち 機 関 故
障 に よ る も の は 1.7% で あ る ( 図 3-B② 参 照 )。
( 図 3-B① )
( 図 3-B② )
死者・行方不明者をともなう
小型船舶の事故種類別の割合
負傷者をともなう小型船舶の事故種類別の割合
負傷者をともなう小型船舶の事故種類別の事故隻数(過去5年間合計)
衝突
547
火災
13
乗揚
75
爆発
9
転覆
75
行方不明
0
浸水
17
運航阻害
2
推進器障害
14
安全阻害
2
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
舵障害
1
その他
14
死者・行方不明者をともなう小型船舶の事故種類別の事故隻数
機関故障
15
合計
784
衝突
57
火災
6
乗揚
14
爆発
0
転覆
109
行方不明
7
(過去5年間合計)
浸水
推進器障害
19
20
運航阻害 安全阻害
0
2
舵障害
0
その他
3
機関故障
4
合計
241
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
14
過去 5 年間の小型船舶の旅客船の事故による負傷者数の割合は全体の
2.9%で あ り ( 図 3-C① 参 照 )、 死 者 ・ 行 方 不 明 者 は 出 て い な い ( 図 3-C② 参
照 )。
( 図 3-C① )
( 図 3-C② )
負傷者をともなう小型船舶の事故の
船舶種類別の割合
死者・行方不明者をともなう小型船舶の
事故の船舶種類別の割合
負傷者をともなう小型船舶の船舶種類別の事故隻数(過去5年間合計)
プレジャーボート
367
遊漁船
53
漁船
315
旅客船
23
貨物船
0
その他
26
死者・行方不明者をともなう小型船舶の船舶種類別の事故隻数(過去5年間合計)
タンカー
0
合計
784
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
プレジャーボート
76
遊漁船
7
漁船
153
旅客船
0
貨物船
1
その他
4
タンカー
0
合計
241
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
小 型 船 舶 の 旅 客 船 の 事 故 種 類 別 の 事 故 隻 数 で 見 る と 、推 進 機 器 障 害 、舵 障
害、機関故障のうち隻数の最も多い機関故障を原因とする事故隻数は過去 5
年 間 で 17 件 と 少 な く( 図 3-D① 参 照 )、負 傷 者 を と も な う 小 型 船 舶 の 旅 客 船
の事故のうち機関故障を原因とするものは過去 5 年間で 2 件と極めて少ない
( 図 3-D② 参 照 )。
( 図 3-D① )
( 図 3-D② )
小型船舶旅客船の事故の
事故種類別の割合
H19
衝突
乗揚
転覆
浸水
推進器障害
舵障害
機関故障
火災
運航阻害
安全阻害
その他
計
H20
12
9
0
1
2
0
4
1
5
1
1
36
H21
9
3
1
2
0
2
4
1
1
1
1
25
H22
9
2
0
0
3
0
2
3
2
0
0
21
負傷者をともなう小型船舶旅客船の
事故の事故種類別の割合
H23
4
8
0
2
0
0
5
2
1
1
0
23
5
2
0
0
3
0
2
0
1
0
0
13
5年間合計
39
24
1
5
8
2
17
7
10
3
2
118
小型船舶の旅客船の事故による負傷者数(事故種類別)(過去5年間合計)
衝突
13
火災
1
乗揚
6
爆発
0
転覆
1
行方不明
0
浸水
0
運航阻害
0
推進器障害
0
安全阻害
0
舵障害
0
その他
0
機関故障
2
合計
23
出典:海上保安庁『海難の現況と対策について(平成23年版)』
海上保安庁提供資料より作成
15
(3)小型船舶の範囲を旅客船について拡充した場合のコスト差(船員関係)
【C 社の実例に基づく試算】
旅 客 定 員 数 70 名 程 度 で 総 ト ン 数 20 ト ン 以 上 の 旅 客 船 の 場 合 、 船 長 1 名 、
機 関 長 1 名 が 乗 り 組 む こ と に な る が 、 旅 客 定 員 数 70 名 程 度 で 総 ト ン 数 20
ト ン 未 満 の 旅 客 船 の 場 合 に は 、船 長 1 名 、機 関 部 員 1 名 の 乗 り 組 み と な る こ
と か ら 、年 間 約 300 万 円 程 度 の コ ス ト 差 が 生 じ る こ と に な る 。な お 、運 航 時
間 が 8 時 間 を 超 え る 場 合 は 、2 組 必 要 と な る こ と か ら 、年 間 約 600 万 円 程 度
のコスト差が生じると考えられる。
(4)検討
小 型 船 舶 に つ い て は 、ハ ー ド 面 で は 、大 型 船 と 比 較 し て 構 造 や 設 置 す る べ き
設 備 及 び そ の 基 準 等 に つ い て 軽 減 さ れ て お り 、船 舶 検 査 に つ い て は 小 型 船 舶 検
査 機 構 ( JCI) が 行 っ て い る 。 ま た 、 船 員 資 格 の 面 で は 、 小 型 船 舶 の 操 縦 に は
小 型 船 舶 操 縦 士 の 免 許 を 取 得 す れ ば よ い 。こ の よ う に 小 型 船 舶 に つ い て は 、ハ
ード面、船員資格の面で相対的に事業者の負担が小さい。
た だ し 、小 型 船 舶 の 総 ト ン 数 の 区 分 を す べ て の 船 種 に つ い て 変 更 す る こ と は 、
小 型 船 舶 に よ る 事 故 が 船 舶 の 事 故 の 全 体 の 約 75% を 占 め る 現 状 等 か ら 見 て 困
難と考えられる。
一 方 、小 型 船 舶 の 事 故 の 大 半 は 、プ レ ジ ャ ー ボ ー ト で あ り 、旅 客 を 乗 せ て 営
業 を 行 っ て い る 小 型 の 旅 客 船 の 事 故 は 小 型 船 舶 事 故 全 体 の 1.3% に す ぎ な い 。
ま た 、小 型 の 旅 客 船 が 過 去 5 年 間 で 死 者・行 方 不 明 者 を と も な う 事 故 を 起 こ し
た 例 は な い 。こ の よ う に 、小 型 の 旅 客 船 に つ い て は 、負 傷 者 、死 者 ・ 行 方 不 明
者 を と も な う 事 故 が 少 な い と い う 事 実 な ど を 考 慮 す る と 、ハ ー ド 面 か ら も 、船
員 資 格 の 面 か ら も 、事 業 者 負 担 を 軽 減 す る 観 点 か ら 小 型 船 舶 に 該 当 す る 旅 客 船
の 範 囲 を 拡 大 す る( 例 え ば 、バ リ ア フ リ ー 設 備 の 設 置 の 拡 充 が 求 め ら れ る 状 況
に あ る が 、バ リ ア フ リ ー 設 備 に 係 る ト ン 数 を 除 外 し て 考 え る な ど の 方 法 も 一 案
か)ことについては、今後十分に検討する価値があるものと思われる。 なお、
拡大に当たっては安全面等での追加的な検証が必要である。
16
4.港の区域の変更について
航 路 が 港 の 区 域 内 に と ど ま る 場 合 は 、そ の 航 路 を 運 航 す る 旅 客 船 で 働 く 乗 組 員
は 船 員 と し て 処 遇 す る 必 要 が な く 、航 路 が 港 の 区 域 を 越 え る 場 合 に は 、そ の 航 路
を運航する旅客船で働く乗組員は船員として処遇する必要がある。事業者より、
航 路 に つ い て 、距 離 に 大 き な 相 違 が な く 、海 象 、海 上 交 通 の 状 況 な ど が 近 似 し て
い る 場 合 に 当 該 区 域 を 港 と し て 扱 い 、船 員 と し て の 処 遇 の 観 点 か ら 特 例 的 な 措 置
が 認 め ら れ れ ば 、旅 客 船 事 業 者 の 負 担 を 軽 減 で き る と の 指 摘 が あ り 、こ の 点 に つ
いて検討を行った。
(1)法令上の規制の現状
(イ)船員法上の港の区域
港 の 区 域 を 航 行 す る 船 舶 で 働 く 船 員 は 船 員 法 の 適 用 を 受 け な い( 船 員 法 第
1 条 第 1 項 及 び 第 2 項 )。 船 員 法 上 の 港 の 区 域 は 海 象 、 海 上 交 通 の 状 況 な ど
を考慮し、原則として港則法の定める区域としているが、国土交通大臣は、
政 令 で 、港 則 法 上 の 港 の 区 域 と 異 な る 区 域 を 船 員 法 上 の 港 の 区 域 と し て 定 め
ることができる(船員法第 1 条第 3 項)とされており、一部の例外を除き、
港則法上の港の区域内に船員法上の港の区域が定められている。
なお、船員法の適用がない港内船が例外的に港外で業務を行う場合には、
船 舶 航 行 の 実 態 を 踏 ま え 、原 則 と し て 船 員 法 を 適 用 し な い 取 扱 が 行 わ れ て い
る。
(ロ)港則法上の港の区域
港 則 法 上 の 港 の 区 域 は 、船 舶 の 利 用 状 況 、地 勢 等 の 自 然 条 件 、港 湾 施 設 の
規 模 、近 い 将 来 の 施 設 の 建 設 計 画 等 を 勘 案 し て 、港 内 に お け る 船 舶 交 通 の 安
全と港内の整とんを確保するために港則法を適用することが必要と判断さ
れ る 範 囲 に お い て 港 則 法 施 行 令 に よ り 定 め ら れ て い る が 、基 本 的 に 港 湾 法 に
よって定められる港湾区域の設定に合致している。なお、港湾運送事業法、
港 湾 労 働 法 、水 先 法 、関 税 法 、検 疫 法 、 船 員 法 、船 舶 安 全 法 が 港 則 法 上 の 港
の区域を援用している。
17
(参考③)
港 則 法 上 の 港 の 区 域 は 、沖 合 に 大 き な 構 造 物 が 作 ら れ た 場 合 に 、変 更 さ れ る こ と
がある。
2011 年 ( 平 成 23 年 ) 真 鶴 港
海上保安庁
2007 年 ( 平 成 19 年 ) 浦 河 港
広 報 資 料 ( 平 成 23 年 )
海上保安庁
広 報 資 料 ( 平 成 19 年 )
(参考④)船員の給与と、他の輸送モードで働く労働者の給与
国内の旅客船で働く船員と他の輸送モードで働く労働者の給与/月は下表のと
おり。
(単位:円)
「きまって支給する給与」
国内旅客船で働く船員
375,625
(航海日当などの手当は除く)
(船員労働統計調査
( 平 成 24 年 分 ) よ り 作 成 )
(単位:円)
「きまって支給する現金給与額」
電車運転士
404,700
電車車掌
338,400
タクシー運転者
234,400
「きまって支給する現金給与額」
営業用バス運転者
307,800
航空機操縦士
897,200
航空機客室乗務員
353,900
( 平 成 24 年 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査 よ り 作 成 )
(単位:円)
国内旅客船で働く船員の
「きまって支給する給与」
(船長及び職員・部員別)
船長
一等航海士
二等航海士
三等航海士
機関長
一等機関長
二等機関長
三等機関長
事務長
事務員
船長・職員計
422,371
387,256
368,121
380,558
406,251
406,337
385,246
424,080
500,811
449,417
396,854
部員計
328,208
(船員労働統計調査
( 平 成 24 年 分 ) よ り 作 成 )
18
(参考⑤)
【乗組員の社会保障費-D 社の実例】
D 社の船舶を 2 名 2 組で、港の区域のみ航行させた場合と港の区域外を航行させ
た 場 合 の 事 業 者 負 担 分 の 社 会 保 障 費 を 比 較 す る と 、月 当 た り 約 111,500 円( 約 28,000
円 / 人 )、 年 間 で 約 1,338,000 円 ( 約 334,500 円 / 人 ) の 差 が 出 る 。
(2)検討
距 離 に 大 き な 相 違 が な く 、海 象 、海 上 交 通 の 状 況 な ど が 近 似 す る 2 つ の 航 路
が あ り 、労 働 環 境 が 似 通 っ て い る 場 合 に は 、同 一 の 労 働 基 準 が 適 用 さ れ る こ と
が 合 理 的 で あ る と 考 え ら れ る が 、仮 に 既 述 の よ う な 2 つ の 航 路 の う ち の 一 方 が
港 則 法 上 の 港 の 区 域 内 に あ り 、他 方 が 区 域 内 に な い と き に は 、労 働 基 準 法 と 船
員 法 の 異 な る 労 働 基 準 が 適 用 さ れ る の が 通 常 で あ る 。同 一 の 労 働 基 準 の 適 用 を
確 保 す る た め 、港 則 法 上 の 港 の 区 域 を 変 更 す る こ と に つ い て は 、当 該 区 域 に 準
拠 す る 他 の 多 く の 法 律 の 適 用 範 囲 が 変 わ り 、副 次 的 影 響 が 大 き す ぎ る と 考 え ら
れ る 。一 方 、船 員 法 上 は 、国 土 交 通 大 臣 が 政 令 で 港 則 法 上 の 港 の 区 域 と は 異 な
る 船 員 法 上 の 港 の 区 域 を 設 定 す る こ と が で き る こ と に な っ て お り 、同 区 域 が 港
則 法 上 の 港 の 区 域 の 外 に 広 が る よ う な 例 は こ れ ま で に 少 な い も の の 、同 一 の 労
働 基 準 の 適 用 を 確 保 す る た め に 、船 員 法 上 の「 港 」の 区 域 に つ い て よ り 弾 力 的
な 対 応 を 検 討 す る こ と は 可 能 と 考 え ら れ る 。た だ し 、弾 力 的 な 対 応 を 検 討 す る
に 当 た っ て は 、さ ら に 広 く 関 係 者 の 意 見 を 踏 ま え つ つ 、個 別 の 港 の 海 象 、海 上
交通の状況などを検証する必要がある。
19
5.船内サービス向上のための船員雇用について
旅 客 船 の 魅 力 を 高 め る た め に は 、船 内 に お け る 快 適 性 、サ ー ビ ス の 向 上 が 重 要
と な る が 、そ の た め に は よ り 多 く の ス タ ッ フ を 雇 用 す る 必 要 が あ る こ と か ら 、陸
上 職 員 と 変 わ ら な い 労 働 を 行 っ て い る 物 品 の 販 売 員 や 、ウ ェ イ タ ー・ウ ェ イ ト レ
スなどについて陸上の労働者と同等の処遇とする可能性を探れないかとの指摘
があった。この点について検討を行った。
(1)法令上の規制の現状
(イ)船員の法令上の定義
第 1 条第 1 項
船 員 と は 、日 本 船 舶 又 は 日 本 船 舶 以 外 の 国 土 交 通 省 令 の 定 め る 船 舶 に 乗 り
組む船長及び海員並びに予備船員をいう。
第 2 条第 1 項
海 員 と は 、船 内 で 使 用 さ れ る 船 長 以 外 の 乗 組 員 で 労 働 の 対 償 と し て 給 料 そ
の他の報酬を支払われる者をいう。
以 上 の と お り 、船 員 法 上 は「 船 員 」に つ い て 、そ の 職 務 内 容 に 関 す る 明 文
規 定 は な い が 、同 法 の 運 用 に お い て 、「 船 舶 に 乗 り 組 む 」と は 、「 多 少 と も 継
続 性 を も っ て 船 内 作 業 組 織 に 組 み 入 れ ら れ る こ と を 意 味 す る 」と さ れ 、例 え
ば 、水 先 人 や 修 理 作 業 者 等 は 船 員 で な い も の と し て 取 り 扱 わ れ て い る 。
(注:
船 員 法 が 適 用 さ れ な い 労 働 者 に つ い て は 、当 然 の こ と な が ら 、労 働 基 準 法 が
適 用 さ れ る 。)
な お 、国 際 的 に は「 ILO 海 上 労 働 条 約 」で 、船 員 に つ い て「 そ の 能 力 い か
ん を 問 わ ず 、条 約 が 適 用 さ れ る 船 舶 に お い て 雇 用 さ れ 若 し く は 従 事 し 、又 は
労 働 す る 者 」 と 定 義 さ れ る と と も に 、「 条 約 の 適 用 上 船 員 か 否 か 疑 義 が あ る
場 合 に は 、権 限 あ る 機 関 が 労 使 と 協 議 し た 後 決 定 す る 」と さ れ 、水 先 人 、修
繕 技 師 等 特 一 部 の 類 型 の 労 働 者 に 適 用 除 外 の 可 能 性 を 認 め て い る 。ま た 、
「条
約 が 適 用 さ れ る 船 舶 」に つ い て は 、同 条 約 に お い て 、内 陸 水 域 又 は 外 洋 の 影
響から保護されている水域若しくは港湾規則の適用水域に近接する水域の
み を 航 行 す る 船 舶 以 外 の も の を い う 」と 規 定 さ れ 、船 員 法 に お い て も「 4 .」
で述べたとおり、港内船については船員法が適用されていない。
20
(ロ)船員の最低賃金について
(a)
法令
船 員 の 最 低 賃 金 は 、 最 低 賃 金 法 第 35 条 の 「 船 員 に 関 す る 特 例 」 に よ り
特 定 最 低 賃 金 が 適 用 さ れ る 。同 条 第 2 項 の 読 替 に お い て 、船 員 の 最 低 賃 金
は時給、日給、週給又は月給で定めることが可能とされているが、現在、
船員の最低賃金は月給で定められている。
(b)
船員の最低賃金とその決定手続等
(ⅰ )
船員の最低賃金
国土交通大臣の決定する、旅客船に乗り組む船員の最低賃金は以下の
とおり。
職 員 : 23 万 8,300 円 / 月
事 務 部 職 員 : 18 万 4,200 円 / 月
部 員 : 17 万 7,500 円 / 月
こ れ ら 月 給 で 定 め ら れ て い る 賃 金 を 、仮 に 1 か 月 の 労 働 時 間 を 174 時
間 と し て 時 給 に 換 算 す る と 、 職 員 は 約 1,370 円 / 時 、 事 務 部 職 員 は 約
1,059 円 / 時 、 部 員 は 約 1,021 円 / 時 と な る 。
(ⅱ )
最低賃金の決定手続
沿 海 区 域 を 航 行 す る 総 ト ン 数 100 ト ン 以 上 ( 限 定 沿 海 を 除 く 。) の 船
舶及び遠洋区域、近海区域を航行する船舶の最低賃金は、交通政策審議
会海事分科会船員部会において調査審議し、国土交通大臣が決定する。
これ以外の船舶で働く船員の最低賃金は地方交通審議会船員部会で調査
審議して地方運輸局長が決定する。
(ⅲ )
船員の最低賃金についての特例
船 員 の 最 低 賃 金 の 減 額 特 例 ( 最 低 賃 金 法 第 35 条 第 2 項 ) に は 「 所 定
労働時間の特に短い者」として、同一又は類似の業務を行っている者で
労働時間の短い者に比べ特に労働時間が短い者(3 分の 2 以下)につい
て、地方運輸局長への申請を行い、許可を受けることで、最低賃金額の
減額が認められる。例えば、同一又は類似の業務をしている者で労働時
間 の 短 い 者 が 月 22 日 と し た 場 合 、月 14 日 以 内 の 船 員 に つ い て は 特 例 を
申請することができる。なお、同一又は類似の業務をしている者が居な
い 場 合 に は 、 1 か 月 の 労 働 時 間 を 174 時 間 と し て 最 低 賃 金 額 を 基 礎 と し
て算定ができる。
21
(c)
国際的な規制の現状
「 開 発 途 上 に あ る 国 を 特 に 考 慮 し た 最 低 賃 金 の 決 定 に 関 す る 条 約( 第 131
号 )」 に お い て 、 不 利 益 な 立 場 に あ る 賃 金 労 働 者 の 集 団 の 保 護 、 不 当 に 低
い 賃 金 に 対 し 賃 金 労 働 者 を 保 護 す る た め 、雇 用 条 件 に 照 ら し て 対 象 と す る
ことが適当である賃金労働者に適用される最低賃金制度を設置すること、
また、関係労使団体と合意し、団体と十分に協議したうえ、最低賃金制度
の 対 象 と さ れ る 賃 金 労 働 者 の 集 団 を 決 定 す る こ と が 規 定 さ れ て い る 。( 最
低賃金法)
(2)船員の賃金と陸上サービススタッフの賃金
旅 客 に 対 し て サ ー ビ ス 業 務 を 行 う 部 員 の「 き ま っ て 支 給 す る 給 与 」/ 月 と 、
陸 上 の 給 仕 従 事 者 、百 貨 店 店 員 及 び 販 売 店 店 員 の「 き ま っ て 支 給 す る 現 金 給
与額」/月は下表のとおりとなっている。
(単位:円)
旅客に対してサービス
業務を行う部員
355,743
(単位:円)
給仕従事者
百貨店店員
212,700
229,900
販売店員
(百貨店を除く)
238,300
( 平 成 24 年 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査 よ り 作 成 )
(船員労働統計調査
( 平 成 24 年 分 ) よ り 作 成 )
【E 社の実例に基づく試算】
仮 に 船 上 の サ ー ビ ス 要 員 を 陸 上 の 労 働 者 と 同 等 の 処 遇 と し た 場 合 、船 員 人
件 費 + 法 定 福 利 費 が 約 3 割 削 減 と な る と 試 算 さ れ る た め 、船 上 の サ ー ビ ス 要
員 を 約 1.3 倍 に 増 員 で き る 。
【F 社の実例に基づく試算】
現 在 の 船 上 の ウ ェ イ ト レ ス の 正 社 員 の 月 給 平 均 ( ボ ー ナ ス 込 ) は 360,000
円 。ホ テ ル ウ ェ イ ト レ ス 正 社 員 月 給 平 均( ボ ー ナ ス 込 ) に 航 海 日 当 を 加 え る
と 162,000 円 。 1 隻 に つ き 10 名 の ウ ェ イ ト レ ス に 働 い て も ら う と 、 両 者 の
差 額 は 、 年 間 で 23,760,000 円 と な る ( 注 )。 こ の 試 算 に 基 づ く と 、 現 在 、 1
隻 に つ き 10 名 乗 船 し て い る ウ ェ イ ト レ ス を 22 名 ま で 増 や す こ と が で き る 。
(注)現状正社員
360,000×10 名 ×12 月 = 43,200,000 円
ホテル社員
162,000×10 名 ×12 月 = 19,440,000 円
22
(3)検討
(イ)船員法の適用対象(船員法上の船員)について
現 行 法 制 上 は 、直 接 運 航 に 従 事 せ ず 、労 働 の 内 容 や 形 態 が 陸 上 労 働 者 と 差
異 が な い 者( 物 品 販 売 員 、ウ ェ イ タ ー ・ ウ ェ イ ト レ ス 等 )で 、通 常 自 宅 か ら
通 勤 で き 、陸 地 に 近 接 す る 海 域 を 航 行 す る 船 舶 で の み 労 働 す る 者 に 関 し て も
船 員 法 が 適 用 さ れ て い る 。こ の よ う な 船 員 法 の 運 用 に つ い て は 長 い 歴 史 が あ
る 一 方 、現 行 制 度 が 実 態 と 乖 離 し て い る の で は な い か と い う 疑 義 も 唱 え ら れ
てきている。
国 際 条 約 上 は 、港 湾 規 則 の 適 用 水 域 だ け で な く 、そ れ に 近 接 す る 水 域 や「 内
陸 水 域 又 は 外 洋 の 影 響 か ら 保 護 さ れ て い る 水 域 」を 航 行 す る 船 舶 で 働 く 者 に
つ い て は 条 約 上 の 船 員 の 範 疇 に 含 ま れ て い な い こ と か ら 、船 員 法 の 適 用 範 囲
を再検討する余地があるのではないかとの意見もある。
旅 客 船 に お け る サ ー ビ ス を 向 上 す る た め に は 、雇 用 形 態 の 多 様 化 や 雇 用 の
拡 大 が 必 要 で あ り 、こ の よ う な 観 点 か ら 、船 員 法 の 適 用 範 囲 に つ い て 議 論 を
深 め て い く 環 境 を 整 え る 必 要 が あ る 。そ の た め に も 、今 後 十 分 に 関 係 各 機 関
と協議していくことが望まれる。
(ロ)船員の最低賃金のあり方について
船 員 の 最 低 賃 金 に つ い て は 、法 令 上 は 月 給 以 外 の 単 位 で 定 め る こ と が 可 能
で あ る こ と か ら 、陸 上 労 働 者 と 同 じ よ う に 最 低 賃 金 を 月 給 以 外 の 単 位 で 定 め
ることは合理的である。また、旅客船におけるサービス向上のために雇用の
拡 大 を 図 る と い う 観 点 か ら 、現 行 制 度 に お い て も 認 め ら れ て い る 既 存 の 減 額
特例の活用事例を増やすべく、減額特例の手続の迅速化、簡易化を要望する
こ と や 、現 状 は 業 務 の い か ん を 問 わ ず 一 律 に 定 め ら れ て い る 最 低 賃 金 に つ い
て、様々な業務の類型に応じてそのあり方を検討することも考えられる。た
だ、この点は海上 労働に 従事する人 々の 生活に直結す るものであるから 、関
係各方面との緊密な意思疎通を図りながら合意形成を図っていく必要があ
る。
23
6.航海当直の配乗に係るトン数区分について
事 業 者 よ り 、 原 則 と し て 総 ト ン 数 700 ト ン 以 上 の 船 舶 に つ い て は 航 海 当 直 要
員 を 1 名 増 や す 必 要 が あ る こ と か ら 、 (1)多 く の 内 航 旅 客 船 が 総 ト ン 数 699 ト ン
で 建 造 さ れ て い る 、 (2)総 ト ン 数 700 ト ン と い う 区 分 が あ る た め 、 船 舶 の 快 適 性
や 安 全 性 が 犠 牲 に さ れ て い る 側 面 が あ り 、航 海 当 直 要 員 の ト ン 数 区 分 を も う 少 し
大きくできないかとの指摘がでて、検討を行った。
(1)法令上の規制の現状
(イ)原則
総 ト ン 数 700 ト ン 以 上 の 船 舶 に つ い て は 航 海 当 直 2 名 の 乗 船 が 必 要 と な る
( 船 員 法 第 70 条 、通 達「 船 員 法 の 定 員 規 制 に つ い て 」( 平 成 5 年 施 行 ))。な
お 、船 員 の 1 日 当 た り の 労 働 時 間 は 、陸 上 同 様 、8 時 間 以 内 で あ り 、24 時 間
航 行 す る 際 に は 3 交 代 制 に な る こ と か ら 、 24 時 間 航 行 す る 総 ト ン 数 700 ト
ン 以 上 の 船 舶 で あ っ て 自 動 操 舵 が あ る 場 合 、航 海 当 直 の 要 員 が 6 名 必 要 と な
る。
(ロ)内航貨物船に関する規制緩和の現状
699 型 の 内 航 貨 物 船 で あ っ て 、船 員 不 足 対 策 と し て 船 員 の 居 住 区 を 拡 大 し
た 結 果 総 ト ン 数 750 ト ン 未 満 と な る も の で 一 定 の 要 件 を 満 た し た も の に つ
い て は 、上 記 定 員 通 達 に お い て 、特 例 措 置 と し て 、各 航 海 当 直 に お い て 航 海
当 直 1 名 の 乗 船 で よ い 総 ト ン 数 700 ト ン 未 満 の 船 舶 と し て の 取 扱 が 行 わ れ て
いる。
(2)最少定員
内 航 旅 客 船 及 び 貨 物 船 の 最 少 定 員 は 下 図 の と お り ( 図 6-A 参 照 )。 内 航 貨 物
船 に つ い て は 、居 住 区 の 拡 充 が 行 わ れ た も の に つ い て は 総 ト ン 数 750 ト ン で 区
分される。
24
( 図 6-A)
安全最少定員
:はい
:いいえ
700トン未満
旅
客
船
・
貨
物
船
(
700トン以上
自動操舵装置
有無
変形労働
時間制の採否
航行時間
定員
自動操舵装置
有無
変形労働
時間制の採否
航行時間
定員
有る
採用していない
16時間超
(3直)
3人
有る
採用していない
16時間超
(3直)
6人
8時間超
(2直)
2人
8時間超
(2直)
4人
1人
12時間超
(2直)
2人
12時間超
(2直)
2人
1人
採用していない
16時間超
(3直)
6人
8時間超
(2直)
4人
4人
2人
採用していない
16時間超
(3直)
9人
8時間超
(2直)
6人
注
2人
3人
)
12時間超
(2直)
4人
2人
12時間超
(2直)
6人
3人
(注) 総トン数700トン未満の貨物船であって居住区を拡充し、総トン数750トン未満となるものについては総トン数700トン未満として扱っている。
(3)最近の新技術の導入
限 定 沿 海 及 び 平 水 区 域 を 航 行 す る も の を 除 き 、 総 ト ン 数 20 ト ン 以 上 の 内 航
旅 客 船 に つ い て は 、 2011 年 7 月 1 日 以 降 に 建 造 さ れ た 新 造 船 は 同 日 か ら 、 そ
れ 以 前 に 建 造 さ れ た 船 舶 は 2012 年 7 月 1 日 以 降 の 最 初 の 検 査 時 か ら 、居 眠 り
防 止 装 置 ( Bridge Navigational Watch Alarm System ) の 搭 載 が 義 務 付 け ら
れ た 。ま た 、内 航 貨 物 船 に 関 し て も 、限 定 沿 海 及 び 平 水 区 域 を 航 行 す る も の を
除 き 、 総 ト ン 数 150 ト ン 以 上 の 船 舶 つ い て は 、 2011 年 7 月 1 日 以 降 に 建 造 さ
れ た 新 造 船 は 同 日 か ら 、 そ れ 以 前 に 建 造 さ れ た 船 舶 は 500 ト ン 未 満 の 場 合 は
2014 年 7 月 1 日 以 降 の 、500 ト ン 以 上 3000 ト ン 未 満 の 船 舶 の 場 合 は 2013 年
7 月 1 日 以 降 の 、3000 ト ン 以 上 の 船 舶 の 場 合 は 2012 年 7 月 1 日 以 降 の 最 初 の
検 査 時 か ら 同 装 置 の 搭 載 が 義 務 付 け ら れ た 。( 図 6-B 参 照 )
25
( 図 6-B)
0トン
20トン
150トン
500トン
3000トン
旅客船
2011年7月1日以降に建造された新造船
新造時
旅客船以外
旅客船
2012年7月1日以降の最初の検査時
2011年7月1日前に建造された船舶
旅客船以外
2014年7月1日以降の
最初の検査時
2013年7月1日以降の最初
の検査時
( 4 ) 総 ト ン 数 700 ト ン 未 満 の 船 舶 と 総 ト ン 数 700 ト ン 以 上 の 船 舶 の コ ス ト
差
【G 社の実例に基づく試算】
総 ト ン 数 699 ト ン を 2 隻 運 航 し て い る 場 合 、 6 人 乗 り 組 み で 、 3 チ ー ム の
18 人 が 必 要 と な る 。 こ れ ら 2 隻 が 総 ト ン 数 700 ト ン 以 上 と な る 場 合 、 7 人
乗 り 組 み で 、 3 チ ー ム の 21 人 が 必 要 と な り 、 3 人 分 の 船 員 費 ( 約 720 万 円
/ 年 ×3= 2,160 万 円 / 年 ) が 増 え る こ と に な る 。
(5)検討
「 2 .( 2 )( イ )旅 客 船 に よ る 事 故 」で す で に 指 摘 し て い る よ う に 、船 舶 の
事 故 全 体 の 中 で 旅 客 船 の 事 故 は 少 な く 、死 者・行 方 不 明 者 を と も な う 事 故 は 過
去 5 年 間 で 1 件 の み で あ る 。ま た 、居 眠 り 防 止 装 置 の 搭 載 が す す め ら れ て い る
こ と を 踏 ま え る と 、旅 客 輸 送 手 段 と し て 旅 客 の 人 命 を 運 ぶ と い う 要 素 は あ る も
の の 、 内 航 貨 物 船 に つ い て は 本 章 「( 1 )( ロ )」 の よ う に す で に 一 定 の 規 制 緩
和 が 行 わ れ て い る こ と か ら 、旅 客 船 に 係 る 航 海 当 直 の 配 乗 に 係 る 総 ト ン 数 700
ト ン 区 分 に つ い て も 、内 航 貨 物 船 同 様 の 緩 和 措 置 を 講 じ る こ と に つ い て 否 定 的
な 根 拠 は な い よ う に 思 わ れ る 。た だ し 、安 全 性 に 関 わ る 案 件 で あ る こ と に 鑑 み 、
安 全 面 等 に つ い て の 検 証 を 行 っ た 上 で 、そ の 実 現 に 向 け て 関 係 諸 機 関 と 合 意 形
成を図っていく必要がある。
26
7.その他
(1)舶用品の型式承認制度について
「 2 .」 に 関 す る 検 討 の 中 で 、 事 業 者 よ り 、 舶 用 品 や 船 舶 に 搭 載 す る 設 備 、
物 品 に つ い て は 舶 用 品 検 定 協 会 の 検 定 を 受 け た も の で あ る こ と か ら 、高 額 で あ
るとの指摘があった。
舶用品などについて、船舶搭載時の検査を合理化(簡素化)する目的から、
通 常 、製 造 者 は 国 土 交 通 省 の 型 式 承 認 を 取 得 し 、そ の 後 量 産 さ れ た 物 件 が 型 式
承 認 を 取 得 し た 物 件( プ ロ ト タ イ プ )と 同 一 で あ る こ と を 確 認 す る た め の 検 査
(舶用品検定協会等による検定)を受けている。
こ の 型 式 承 認 取 得 に 係 る 負 担 軽 減 に つ い て は 、外 航 海 運 業 界 か ら の 要 望 も あ
り 、海 外 試 験 機 関 等 に お け る 試 験 デ ー タ の 活 用 を 促 進 す る な ど 、海 外 メ ー カ ー
も含め型式承認品の拡大に向けた試みが行われている。
こ の 型 式 承 認 制 度 に つ い て は 、「 2 .( 4 )」 に も 記 載 す る と お り 、 船 舶 の 点
検、交換部品に係るコストに関する負担を残された課題として検討する中で、
引き続き議論していくことになった。
(2)カボタージュ規制について
事 業 者 よ り 、外 国 の ク ル ー ズ 客 船 事 業 者 が 発 表 し た 日 本 市 場 を タ ー ゲ ッ ト と
し た ク ル ー ズ 実 施 計 画 に 関 し 、カ ボ タ ー ジ ュ 規 制 に 抵 触 す る と 考 え ら れ る も の
が あ る の で は な い か と の 指 摘 が あ っ た 。こ の よ う な ク ル ー ズ 実 施 計 画 に つ い て
は 、規 制 当 局 は 、ク ル ー ズ 船 に お い て は 国 内 港 間 の 輸 送 が あ っ て も 、最 終 下 船
港 ま で の ク ル ー ズ 期 間 中 に 外 国 の 港 に 寄 港 す れ ば 、カ ボ タ ー ジ ュ 規 制 に 抵 触 し
ないと解しているようである。
外国のクルーズ船事業者の外国籍船による市場参入には我が国の港や観光
の 振 興 、ク ル ー ズ 事 業 全 体 の 活 性 化 に つ な が る メ リ ッ ト も あ る が 、そ の メ リ ッ
ト を 活 か す た め に は 、日 本 籍 船 を 用 い て い る 我 が 国 の ク ル ー ズ 客 船 事 業 者 に 対
す る 負 担 軽 減 策 な ど を 通 じ て 、外 国 籍 船 を 用 い る ク ル ー ズ 客 船 事 業 者 と 我 が 国
事 業 者 の 間 に 平 等 の 競 争 条 件 が 与 え ら れ て い る 必 要 が あ る 。こ の 観 点 に 基 づ き 、
競争条件の平等化など国内事業者への影響を踏まえた適切かつ迅速な対応が
望まれる。
(3)船舶検査、航行規制に関する指導の統一性について
事 業 者 よ り 、船 舶 検 査 、航 行 規 制 の 指 導 に 関 し 、行 政 側 の 裁 量 の 幅 が あ る 場
合に担当者の変更等により、事業者にとってより厳しい対応が求められたり、
慣行的に事実上許容されていた活動や行為が突然規制されたりする事例もあ
27
る と の 指 摘 が あ っ た 。こ れ ら に つ い て は 、行 政 側 に 事 案 を 全 国 的 に 統 一 し て 相
談できる窓口を設置してもらうなどの措置が有効と考えられる。
な お 、備 讃 瀬 戸 東 航 路 及 び 備 讃 瀬 戸 北・南 航 路 の 海 上 交 通 安 全 法 及 び 同 法 施
行 規 則 上 の 速 力 の 制 限 ( 対 水 12 ノ ッ ト ) に つ い て は 、 海 上 保 安 庁 が 主 催 す る
第 2 回「 海 上 交 通 安 全 法 航 路 に お け る 制 限 速 力 に か か る 検 討 会 」に お い て 、同
検討会委員からの質問に対し、海上保安庁交通部から以下の発言があった。
「 海 上 交 通 安 全 法 第 5 条 は 速 力 の 制 限 に つ い て 規 定 し て い る が 、た だ し 書 と
し て 、『 海 難 を 避 け る た め 又 は 人 命 若 し く は 他 の 船 舶 を 救 助 す る た め や む を 得
な い 事 由 が あ る と き は 、 こ の 限 り で は な い 。』 と 規 定 し て い る 。 常 時 で あ れ ば
法 律 違 反 に な る が 、海 難 を 避 け る 場 合 で 、周 辺 の 操 業 漁 船 に 対 す る 航 走 波 影 響
も 含 め て 安 全 が 確 保 で き る 状 況 で 追 い 越 し た い と い う こ と で あ れ ば 、そ の よ う
に し て い た だ き た い と 考 え て い る 。」
28
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