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PDFダウンロード - 日本体育学会第65回大会
哲
史
社
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
13:20
方 27 − 001
フィンスイミング競技におけるアプニア泳動作のトレーニングによる影響
モノフィン着用歴のない男子高校競泳選手を対象として
○谷川 哲朗(京都工芸繊維大学大学院)
来田 宣幸(京都工芸繊維大学)
神谷 将志(京都工芸繊維大学大学院)
野村 照夫(京都工芸繊維大学)
本研究の目的は、モノフィン着用歴のない競泳選手を対象に、アプニア泳(モノフィンを着用してバタフライキックで
泳ぐ)動作のトレーニングによるアプニア泳動作の変容を明らかにすることとした。モノフィン着用歴のない男子高校競
泳選手 28 名を対象に、25m アプニア泳の最大努力泳を 8 回実施させた。全 8 回終了後、「速く泳ぐために、どのような
心
生
バ
経
発
工夫を行ったか」について自由記述させた。アプニア泳動作は、実験参加者の側方から水中カメラ 1 台を用いて撮影され、
1 回目と 8 回目を対象に動作分析ソフトを用いて分析された。その結果、速く泳ぐために行った工夫は、
「ピッチを速く
する」が 13 名、
「姿勢を保つ」が 6 名、
「振幅を大きくする」が 7 名、
「特になし」が 2 名の 4 群に分類された。このうち、
「ピッチを速くする」を行った実験参加者の泳速度は、1 回目(1.70 ± 0.47m/s)と比較して、8 回目(1.97 ± 0.37m/s)
が有意に速かった(F=8.142、p<.05)
。ところが、「姿勢を保つ」、「振幅を大きくする」を行った群の泳速度は 1 回目と
8 回目で有意な差が認められなかった。このことから、ピッチを速くすることによって、泳速度向上に影響がある可能性
が示された。
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
13:35
方 27 − 002
シンクロナイズドスイミング選手の浮力と基本姿勢時の水上荷重負荷
○本間 三和子(筑波大学)
シンクロナイズドスイミングにおいて演技中の身体の「高さ」は審判の採点基準の一つで、ウォーターレベルにある身
測
体部分がどこかによって評価される。水上に身体の一部を出すには浮力の減少分を補う上方への支持力を発揮させなけれ
ばならないため、浮力が大きいほど必要とされる支持力は小さくなると考えられる。本研究は、シンクロナイズドスイミ
ング選手 8 名を対象に全身体積と基本姿勢(直立位・倒立位・水平位)時の水上荷重負荷を測定し、余剰浮力と水上荷
方
保
重負荷との関係をみることを目的とした。 余剰浮力は体積から求めた浮力と体重との差を算出した。その結果、直立位
での両腕挙上姿勢(水位が肩)、倒立位での両脚挙上姿勢(水位が膝蓋部中央および大腿の 1/2)
、水平位での片脚挙上姿
勢(水位が股)と両脚挙上姿勢(水位が大腿の 1/2)において、水上荷重負荷と余剰浮力との間に有意な負の関係が認め
られた。水上に出ている部分が小さい姿勢においては、余剰浮力が大きい方が水上荷重負荷が小さくなることが示唆され、
浮力の小さい選手に比べ浮力が大きい選手の方が、効率のよい推進技術で身体の一部を水上に保持することができると考
えられた。
教
人
ア
介
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
13:50
方 27 − 003
重心 - 浮心間距離がけのび姿勢のパフォーマンスおよび受動抵抗に与える影響
○奈良 梨央(新潟医療福祉大学)
馬場 康博(新潟医療福祉大学)
佐藤 大輔(新潟医療福祉大学)
下山 好充(新潟医療福祉大学)
市川 浩(新潟医療福祉大学)
人が水中において静止状態で水平姿勢をとった際、通常、浮心は重心よりも頭側に位置し、重心 - 浮心間距離が生じる
ため、姿勢の維持が妨げられる。また、水泳中のスタートやターン後、基本姿勢である「けのび姿勢」で水中を推進する
ため、けのび姿勢は最も重要な技術である。そこで、本研究では、水中での静止状態における重心 - 浮心間距離が、水泳
で重要な技術であるけのび姿勢のパフォーマンスおよび受動抵抗に影響を及ぼしているのかを検討することを目的とし
230
09 体育方法
た。大学競泳選手 13 名を対象とし、先行研究に基づき、水面上でのけのび姿勢における静止状態の重心 - 浮心間距離を
測定し、けのびパフォーマンスとして、けのび到達距離を測定した。さらに、1.0、1.3、1.6、1.9m、2.2m/s の 5 段階
の速度を設定し、牽引装置を用いて受動抵抗を測定した。結果、重心 - 浮心間距離とけのび到達距離には有意な相関関係
が認められたが、重心 - 浮心間距離と受動抵抗には有意な相関関係が認められなかった。これより、重心 - 浮心間距離の
小さい選手は、けのびパフォーマンスに優れていることが示されたが、けのび姿勢における受動抵抗には重心 - 浮心間距
離は影響を及ぼさない可能性が示唆された。
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
14:05
雪中キャンプ体験がストレス反応に及ぼす影響
生理学的・心理学的視点から
トレスと教育的効果の関係性についての研究は行われており、不安と自己概念との関係や(飯田 1986)
、ストレスと自
己効力感の関係についてなど(島崎 2006)
、その関係性に着目された研究も見られる。しかしながら、それらの研究は
心理学的な視点からアプローチしているものが多く、生理学的な視点からストレス反応を検討した研究は少ない。そこで
本研究は、A 体育大学で実施されている、雪中キャンプに参加した学生のストレス反応を、生理学的な視点と心理学的な
視点から明らかにすることを目的とした。本研究では、生理学的なストレス反応を見る指標として、起床時コルチゾール
反応を用い、心理学的な指標として POMS、気分調査表を用いた。またキャンプの教育的効果との関係性も検討するため
に、「社会人基礎力」についても質問紙調査を行った。結果の詳細については大会当日に報告する。
方 27 − 005
大学女子バレーボールチームのコーチとしてのトレーニング実践過程とその成果に関する
フィールドワーク研究
○片岡 悠妃(筑波大学大学院)
藤林 献明(立命館大学)
中西 康己(筑波大学)
図子 浩二(筑波大学)
本研究では大学女子バレーボールチームの学生コーチとして、1 から 3 月の冬期トレーニング期に行った実践経過と成
果(事実として生じた事例)を詳細に記録し、その記述データおよび数値データを手がかりにしてコーチングに役立つ知
見を得ることを試みた。対象選手は、全日本インカレベスト 16 のチーム員 14 名であった。研究主体は当該チームのコー
チである筆者であった。トレーニング期の主な目的は、基礎体力レベルの向上とバレーボールの基礎技能に直結した専門
的体力の向上とした。3 ヶ月を週単位に区分し、ウエイト系、スプリント系、ジャンプ系、フットワーク系、スタミナ系、
メディシンボール系の各手段を計画的に組み合わせて実施させた。また、選手個々の実情や特徴に配慮した個別コーチン
グも実践した。対象期間に行ったトレーニング経過、アセスメントするためのテスト、試合戦績、質的な記述データなど
を手がかりにして、
トレーニング実践経過を省察および論考した。その結果、コーチとして真に実践に身を置いた者が行っ
たフィールドワーク研究では、現場に生きる者にしか残せない知見や見えない事実、理解の仕方を浮き彫りにすることが
できることが示唆された。
心
門岡 晋(大阪体育大学大学院)
野外教育では、不便な生活や厳しい自然環境、集団生活など様々なストレス場面に遭遇する。それらの野外活動時のス
23
[工]
8 月 27 日
13:20
史
社
方 27 − 004
○徳田 真彦(大阪体育大学大学院)
福田 芳則(大阪体育大学)
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発
測
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8 月 27 日
13:35
方 27 − 006
ベースボール型スポーツの初心者を含んだ、遊撃手、二塁手および一塁手によるダブルプレーの技能向上
スポーツ学科在籍の大学生を対象として
○島田 一志(金沢星稜大学)
櫻井 貴志(金沢星稜大学)
田島 良輝(金沢星稜大学)
神野 賢治(富山大学)
本研究ではスポーツ学科に在籍する大学生を被験者としてソフトボールにおける遊撃手(SS)、二塁手(2B)および一
塁手(1B)によるダブルプレー(いわゆる “6 - 4 - 3 の併殺 ”)の技能の向上について検討した。ベースボール型スポー
ツの部活動経験者を SS、女子の非経験者を 2B、男子の非経験者を 1B にそれぞれ 10 名ずつ配置し、90 分程度の練習を
心
生
バ
経
発
測
週 1 回の頻度で 3 回行ったうえで、練習前後でのプレーに要する時間の変化について検討した。ノッカーのインパクト
から一塁手の捕球までに要した時間は、練習実施後は実施前にくらべ有意に減少したことから、ベースボール型スポーツ
の初心者が含まれる場合でも授業によりダブルプレーの技能は向上することが示唆された。また、2B が捕球からリリー
スまでに要した時間は球技系部活動の経験者では減少、非経験者は微増をそれぞれ示し、非経験者は送球が 1B に到達す
るまでの時間が大きく減少する傾向にあった。2000 年以降、体育・スポーツ系学部学科が多く設置された。発表者らは
体育・スポーツ実技を専門に学ぶ学生にとって必要な教材づくりや内容の体系化を検討する研究の一環として本研究を位
置付けている。
23
[工]
8 月 27 日
13:50
方 27 − 007
ハンドボール競技における戦術的能力のトレーナビリティについて
攻撃局面に着目して
○栗山 雅倫(東海大学)
藤本 元(筑波大学)
田村 修治(東海大学)
横山 克人(東海大学)
ハンドボール競技において、戦術的能力のパフォーマンスに及ぼす影響は大きい。戦術的能力の規定因子は多岐にわた
り考えられるが、それらのトレーナビリティについて個別に検討し、有効なトレーニング方法に言及した知見は多く見な
い。本研究では、ハンドボール競技における戦術的能力の規定因子の一つとして、先行研究により示唆される “ ポストプ
方
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レーヤーの介在する状況 ” における解決能力に着目し、トレーナビリティを検討することを目的とした。研究方法は、ポ
ストプレーヤーを含む状況を設定し、状況を認知し、その状況の解決方法を提案し、状況解決の行動に関するトレーニン
グを実施させ、トレーニング前後のパフォーマンスについて比較検討を行った。また、ポストプレーヤーとの連携に関す
るトレーニングを実施するトレーニング群と、実施しない被トレーニング群を設け、トレーニング効果に関する比較検討
にも実施した。その結果、戦術的な能力のトレーニングにおける変化が見られ、戦術的能力の規定因子に着目したトレー
ニングの実施により、有効なトレーニング効果が得られる可能性が示唆された。(本研究は JSPS 科研費 23500754 の助
成を受けたものです。
)
23
[工]
8 月 27 日
14:05
方 27 − 008
サッカーのゴールキーパー普及を目的としたゴールキーパートレーニングプログラムの実践
地域クラブにおける U-12 年代サッカー選手を対象として
○丸山 啓史(呉工業高等専門学校人文社会系分野)
東川 安雄(広島大学大学院教育学研究科)
岡崎 祐介(至誠館大学)
佐賀野 健(呉工業高等専門学校人文社会系分野)
本研究は、U-12 年代サッカー選手を対象に、統制群 16 名に日常的なパスゲームを主体とした既存のトレーニングプ
ログラムを実施した。また、実験群 16 名にゴールキーパー(以下、GK)普及を目的とした GK トレーニングプログラム
(以下、GK トレーニングプログラム)を実施した。そして、両群のトレーニング効果を比較することで、GK トレーニン
グプログラムがフィールドプレーヤーと GK の上達の両立を図ることができる可能性を検証することとした。
232
09 体育方法
検証の結果、フィールドプレーについて、パス技能、集団的技能、戦術行動認識度が両群ともに向上し、GK トレーニ
ングプログラムもフィールドプレーヤーとしての能力向上に一定の成果が得られることが期待できた。また、GK プレー
について、実験群は統制群と比較して、GK の攻撃参加成功率、守備時における GK プレー、GK 好意度が向上した。以上
のことから、GK トレーニングプログラムは、フィールドプレーヤーと GK としての上達の両立と、GK 好意度の向上を期
待できることが示唆された。
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
14:20
砲丸投の投距離に及ぼす各種筋力・パワーの影響
上田 毅(広島大学大学院)
砲丸投の投距離には、筋力、技術など様々な要因があると考えられる。その中でも筋力は砲丸投の投距離に強く影響し
ていると考えられる。本研究では、砲丸投において、投距離と各種筋力・パワーの関連について検討することと、熟練者
と未熟練者の投距離に及ぼす各種筋力・パワーの特徴について明らかにすることを目的とした。被験者は、砲丸投を専
門種目とする A 大学陸上競技部学生 4 名(関東学連 1 部所属)
、B 大学陸上競技部学生 4 名(中四国学連所属)
、および、
これまで授業以外で砲丸投の経験のない B 大学体育専攻学生 23 名(うち男子 10 名、女子 13 名)の 31 名とした。また、
陸上競技部学生を熟練者とし、体育専攻学生を未熟練者とした。測定項目は、砲丸投の投距離、ベンチプレス、スクワッ
ト、デットリフトの 1RM の重量(Repetition Maximal : RM)、8RM の重量でのパワー値をフィットロダイン・プレミア
ム(エーアンドシー株式会社・京都)を用いそれぞれ測定した。これらの値について筋力・パワーの観点から、及び競技
力の観点から、比較検討することで砲丸投における投距離に及ぼす各種筋力・パワーの影響について明らかにする。
方 27 − 010
投球速度とメディシンボール投げとの関係における投手と野手の相違
○岡田 宏祐(筑波大学大学院)
木塚 朝博(筑波大学体育系)
大田 穂(筑波大学大学院)
本研究では、野球において投球速度(球速)を高めるための要因が、投手と野手で異なるかを検討した。大学野球部員
26 名を対象とし、投手群(10 名)
、野手群(16 名)に群分けした。ステップなし投球の球速をワインドアップ速度、ス
テップあり投球の球速をステップ速度として測定した。またワインドアップ速度からステップ速度への球速変化を球速上
昇率として算出した。さらにメディシンボールを用い、全身を活用するメディシン正面投げ、および下肢と体幹動作を制
限したメディシン制限投げの 2 種類の投擲距離を測定した。ワインドアップ速度とメディシン正面投げの関係では、投
手群にのみ有意な正の相関関係が認められ、ワインドアップ速度とメディシン制限投げとの関係では、野手群にのみ有意
な正の相関関係が認められた。さらに、球速上昇率においては野手群が投手群より有意に高い結果を示した。これらのこ
とから、投手は体幹屈曲により全身を活用し球速を高めているのに対し、野手は主に上肢に依存し、ステップを巧みに用
いることで球速を高めていると推察され、投手と野手では球速を高めるために必要な筋力および動作が異なる可能性が示
された。
史
社
方 27 − 009
○古市 裕磨(広島大学大学院)
福田 倫大(広島大学大学院)
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
14:35
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介
233
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銀河ホール
[工]
8 月 27 日
14:50
方 27 − 011
Stiffness 特性から見たバウンディングとリバウンドジャンプの階層構造関係に関するト
レーニング学的研究
○苅山 靖(筑波大学)
図子 浩二(筑波大学)
我々はこれまでに、代表的なプライオメトリクス手段であるバウンディング(BD)において、stiffness が高いこと(硬
社
いばね)は、踏切時間を短くし高い水平速度に対応するために重要であること、また、BD の stiffness を高めるためには
リバウンドジャンプ(RJ)の stiffness を事前に高めておくことが有効であると報告してきた。本研究では、BD における
stiffness を制限する踏切脚各関節の力発揮特性を、RJ との比較から検討し、両ジャンプを用いたプライオメトリクスを
心
生
階層構造的に実施するための留意点を得ることを目的とした。男性陸上競技者 17 名を対象に、BD と RJ を行なわせ、
両ジャ
ンプにおける stiffness、踏切脚における踏切前半の関節トルクや踏切接地時の足部角度などを算出した。その結果、両ジャ
ンプにおいて stiffness の制限要因は足関節であることが示された。また、他の結果と共にトレーニング手段の配列に関
する原則(漸進性、特異性の原則)から論考すると、RJ において足関節底屈筋群が大きなパワーを発揮できることにより、
BD において足関節底屈筋群を動員しやすい踏切動作が遂行でき、高い stiffness を達成できる、という階層的構造性の存
在が示唆された。
バ
経
発
銀河ホール
[工]
8 月 27 日
15:05
方 27 − 012
ストレングス & コンディショニングコーチにおける Questioning スキル向上に向けた試み
○藤野 健太(日本体育大学)
伊藤 雅充(日本体育大学)
山内 亮(日本体育大学)
Questioning とは学習者に対して発問を行うことで、学習者の思考を促し、誘導発見と問題解決を通して、より効果的
測
な学習効果を生み出す教授スキルである。しかしながら、誘導発見と問題解決が効果的に学習者に与えられるかどうかは、
指導者の Questioning スキルに依存するということが明らかになっている(高橋、1998)
。そのため、効果的な学習環境
を構築するためには Questioning スキルの向上が必須であると考えられる。Kidman と Carlson(1998)は、コーチのス
方
保
教
人
ア
キルを向上させる手段としてアクションリサーチ(以下 AR)の有効性を述べている。本研究では、Kidman(2000)と
Whitmore(2009)の Questioning モデルを参考にストレングス & コンディショニングコーチにおける Questioning モデ
ルを作成し、
そのモデルをもとに AR を通して筆者自身の Questioning スキルを向上させる事を目的とした。AR を通して、
1)Questioning の回答や反応を待つ、2)アスリートの応答を推奨する、3)上位と下位の質問を使い分ける、4)誘導
質問を避ける、といった Questioning スキルの向上が達成されたと推察される。
23
[工]
8 月 27 日
14:20
方 27 − 013
バスケットボールの状況判断能力とゲーム出場レベル、ポジション、所属チームとの関連
○八板 昭仁(九州共立大学)
青柳 領(福岡大学)
バスケットボールのゲームにおける状況判断は、選手の競技水準と同様、ゲーム出場等による経験、ポジション、チー
ムの指導者の価値観やチーム戦術等の多様な要因が関与していると考えられる。そこで本研究は、バスケットボールの包
括的な状況判断能力テストを実施し、
状況判断に寄与する要因について検討することとした。標本は、大学バスケットボー
介
ル部に所属する選手 158 名(男子 87 名、女子 71 名)である。テストは、第 63 回全日本大学バスケットボール選手権
大会の 6 試合の中から選択した 97 場面の 308 項目によって構成した。テストの採点結果を目的変数、ゲーム出場レベ
ル、ポジション、所属チームを説明変数として数量化Ⅰ類を用いて分析した。重相関係数 0.43 であり、各アイテムの偏
相関係数は、ゲーム出場レベル 0.330、ポジション 0.251、所属チーム 0.285 であった。レンジは、所属チーム 19.39、
234
09 体育方法
ゲーム出場レベル 14.25、ポジション 13.20 であった。状況判断能力における要因別では所属チーム、ゲーム出場レベル、
ポジションの順に影響が大きかった。バスケットボールのゲームにおける状況判断は、所属チームの影響が、選手の経験
よりも大きな要因になることが示唆された。
23
[工]
8 月 27 日
14:35
哲
史
方 27 − 014
サッカーにおける国内トップレベルの中学生と大学生のゲーム分析
シュート過程に着目して
○佐藤 亮平(北海道大学大学院)
サッカーのゲーム分析に関する先行研究では、トップレベルの大会を対象とした研究が行われている(Saito et al.
社
心
2013、Sekine et al.2009)
。しかし、異なる年代のゲーム分析によりサッカーにおける技術・戦術の発展過程を明確に
している研究は少ない。そこで、本研究では国内トップレベルの中学生と大学生の試合におけるシュート過程に着目し、
年代間における共通点と相違点について検討することを目的とする。対象試合は、中学生は第 24 回全日本ユースサッカー
選手権大会、大学生は第 61 回全日本大学選手権とし、それぞれ、準決勝 2 試合、決勝 1 試合とした。分析項目は、相手ボー
ルを奪った地点(アタックエリア、ミドルエリア及びディフェンシブエリア)、シュートを打つまでの時間、攻撃に関わっ
た人数、シュートまでのパス数、シュートまでに用いたドリブル数について算出した。これらの分析結果をマンホイット
ニー検定にかけ、年代間の比較を行った。検定の結果、アタックエリアにおいてボールを奪いシュートまでいく際は、時
間、人数に有意差は無かったが、パス数、ドリブル数は中学生の方が大学生よりも有意に高い値であった。
23
[工]
8 月 27 日
14:50
方 27 − 015
男子ハンドボール競技における 5 対 6 の数的不利な状況での攻撃について
学生レベルと世界レベルとを比較して
○藤本 元(筑波大学)
Nemes Roland(筑波大学)
生
バ
経
発
測
本研究では、男子ハンドボール競技における 5 対 6 の数的不利な状況での攻撃方法を学生レベルと世界レベルとで比
較し、数的不利な状況での有効な攻撃方法について検討するための知見を得ることを目的とした。
そのために、
5 対 6 の数的不利な状況での攻撃を学生レベル 17 試合から 120 シーン、世界レベル 10 試合から 133 シー
方
ン抽出し、防御側の隊形、攻撃側のきっかけ、シュートにいたる最終プレー、シュートエリアおよびプレー結果を分析した。
その結果、学生レベルは世界レベルに比べて、クロスプレーでシュートにいたる割合およびロングシュートで攻撃を終
える割合が有意に高かった。また、世界レベルは学生レベルに比べて、1 対 1 をきっかけに用いる割合、ミドルシュート
でシュートを終える割合が有意に高かった。なお、
世界レベルでは学生レベルに比べて速攻を行う割合が有意に高かった。
23
[工]
8 月 27 日
15:05
保
教
方 27 − 016
バレーボールにおける試合の勝敗に影響を与える要因についての研究
大学女子リーグを対象として
○小沼 直子(日本大学大学院文学研究科)
櫛 英彦(日本大学大学院)
深田 喜八郎(日本大学大学院文学研究科)
天野 喜一朗(日本大学大学院文学研究科)
高階 曜衣(日本大学大学院文学研究科)
吉田 明(日本大学文理学部人文科学研究所)
[緒言]大学女子バレーボールの試合において、
勝敗に影響を与える技術を明らかにすることを目的とした。[対象と方法]
関東大学女子 2 部リーグに所属している 8 チームを対象とし、6 試合 25 セットを撮影した。Data Volley を用い、アタック・
人
ア
介
ディグアタック・ブロック・レセプションのデータを収集した。データ収集後、勝チームと敗チーム、上位チームと下位チー
ムに分け比較した。[結果]アタック・ブロックにおいて、敗チームより勝チームが高値を示した。レセプション成功率
235
哲
史
社
心
生
バ
経
発
測
方
保
教
人
ア
介
236
において、上位チームは、勝チームより敗チームが高値を示し、下位チームでは、勝チームが高値を示した。アタック打数・
ディグアタック打数が、下位チームより上位チームが高値を示した。[考察]上位チームでは、勝チームのレセプション
成功率が低いにも関わらず、
勝利していた。
その原因は、上位チームのディグアタック打数が多く、勝チームのディグアタッ
ク決定率が高いことから、相手の攻撃をレシーブし、自チームの攻撃を得点とする試合展開が多かったためと考えられた。
このことから、関東大学女子 2 部の試合において、ディグアタックの打数・決定率が最も勝敗に関わることが明らかとなっ
た。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
9:30
方 28 − 017
学生スイマーと水泳不得意学生を対象とした肺気量変化に伴う浮力および浮心重心間距離
の比較
○若吉 浩二(びわこ成蹊スポーツ大学)
白木 孝尚(びわこ成蹊スポーツ大学)
渡邉 泰典(びわこ成蹊スポーツ大学)
水平姿勢で行う水泳は、浮力と重力の影響を受け、浮心重心間距離が広がると水中トルクが大きくなり、パフォーマン
スが低下する。高技能の選手は、浮心重心位置が近く、抵抗の少ない泳ぎで、不得意者はその距離が長く、足が沈み、抵
抗が大きく上手く泳げない。本研究では肺気量の変化に伴う浮力・浮心重心間距離を即時測定するシステムを用いて、男
子学生の水泳得意者群と不得意者群を対象に、浮力・浮心重心間距離を測定し、それらの比較から、水泳不得意学生の問
題点を明らかにすることを目的とする。
被験者は、大学水泳部所属男子学生を得意者群と水泳授業の再履修者を不得意者とした。身体重心位置測定は、伏臥位
上肢拳上姿勢にて求めた。浮力と浮心位置の測定は、全身浸水でのけのび姿勢にて行った。残肺気量と手・足部の鉛直方
向の力との関係を求め、浮力と浮心位置を求めた。ここでは、計測後、肺活量計にて残肺気量の測定を行う方法と、測定
中に被検者にシュノーケルを装着し、換気量の変化を求める二つの方法を行った。
両群間では、肺気量と浮力の関係、さらには浮心重心間距離に顕著な差がみられた。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
9:45
方 28 − 018
学校で教えるべき運動の基本型に関する研究
○民内 利昭(木更津東高校)
廣橋 義敬(上総教育研究所)
坂田 洋満(木更津工業高専)
演者らは新たな(地面を蹴らない)疾走指導法を提示し、実践現場と研究室でその良さについて検証を続けている。演
者らの疾走指導法の特徴は、歩行から疾走に移行させることと、運動技術の心理的側面と物理的側面の違いを上手く利用
して指導することである。運動を学習する際には物理的な運動技術を身体感覚として習得しなければならない。学校体育
で指導する際に教師は何らかの運動のコツを指導しようとする。その際の大きな障壁となるのが、運動技術の心理的側面
と物理的側面は異なっているため、物理的な運動データを基に指導しても理想とする運動技術を多くの者に習得させるこ
とは難しいという事実である。演者は教師となって以来、陸上競技の指導法を研究課題として全国の優秀な指導者の実践
を見て歩いた。その時、優秀な指導者のうちの何人かは運動技術の心理的側面と物理的側面は異なるということを上手く
利用して指導していた。本研究では、実践現場ですぐ活用できる基礎的データを得ようとして被験者にトレッドミル上を
三通りの方法で歩行してもらった。得られたデータから、演者らの歩行指導法の特徴である地面を蹴る感覚無しで歩行で
きる理由について提案する。
09 体育方法
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
10:00
方 28 − 019
200m 平泳ぎイーブンペースにおける全力泳中の Arm Leg Coordination
○馬場 康博(新潟医療福祉大学)
市川 浩(新潟医療福祉大学)
下山 好充(新潟医療福祉大学)
佐藤 大輔(新潟医療福祉大学)
奈良 梨央(新潟医療福祉大学)
競泳種目において平泳ぎは抵抗が大きい種目として知られている。そこで本研究は、大学競泳選手 28 名を対象に
哲
史
社
200m 平泳ぎ全力泳における Arm Leg Coordination(ALC)の経時的変化を評価した。ALC は上肢(Arm)および下肢(Leg)
に大別し、それぞれを 4 局面(Insweep、Outsweep、Glide、Recovery)に区切った。ビデオカメラは水中窓を通して泳
者側方 12.5m に設置した。試技は前半と後半を同じタイムで泳ぐイーブンペースを維持できる最大努力で泳ぐよう予め
要求した。その結果、50m から 200m にかけて Arm Insweep 局面が増加し、Arm Glide 局面が減少した。さらに Arm
Glide 局面とストロークパラメーター(ストローク頻度、ストローク長)との間に相関関係がみられた。つまり、一定の
泳速度であったとしても経時的なストロークパラメーターの変化に伴い ALC が変化し、ストロークパラメーターの変化
に Arm Glide が関与していることが明らかとなった。今後、ALC の経時的な評価は、より詳細のレース戦略やレース評価
のために有用であることが示唆された。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
10:15
方 28 − 020
子どもの歌遊びから身体運動表現
「どんぐりころころ」の歌を手がかりに
○山口 亮子(聖徳大学短期大学部)
心
生
バ
経
発
身体運動表現(ダンス)は好きだが、テーマを考え、モチーフ(身体運動)を作る創作ダンスは不得意な学生が多い。
自分たちでテーマを決め曲も動きも考えなければならず、活動に消極的になり、苦痛なものとなる。このような学生は、
曲も動きもダンスが得意な学生に任せ、それを覚え踊るだけで、創作ダンスが好きになれないのである。そこで、楽しく
測
創作ダンス活動に取り組める第 1 歩として、子どもの頃歌い慣れ親しんだ「どんぐりころころ」の歌を手がかりに研究
を進めた。「どんぐりころころ」の歌は、青木存義作詞・梁田貞作曲であり、誰でもが口ずさめる歌である。この歌詞を
作舞法の 1 要素、コントラスの視点からみると、歌詞のどんぐり(前者)と、どじょう(後者)では、前者は木になり、
堅く丸く、転がる。後者は水中にいて、柔らかく細長く泳ぐ等、歌詞から情景が浮かび、具体的なモチーフが作りやすい。
学生は、歌を口づさみリラックスし、楽しそうに創作ダンス活動を行った。容易に創造性豊かな作品に仕上がり、自信を
持って発表に臨み、満足した表情であった。創作ダンスの苦手意識が克服でき、研究の成果を得ることができた。
22
[工]
8 月 28 日
9:30
方 28 − 021
バスケットボールにおけるプリンストン・オフェンスの理論と戦術としての有効性に関す
る研究
○鶴見 祐大(金沢大学大学院)
本研究の目的は、バスケットボールにおけるプリンストン・オフェンスの理論と戦術としての有効性を明らかにするこ
とである。本研究では、次の 2 つの研究課題に取り組んだ。第一に、理論についてはプリンストン・オフェンスの考案
方
保
教
人
ア
者であるピート・キャリルの哲学を検討し、第二に戦術としての有効性についてはプリンストン・オフェンスを K 大学
バスケットボール部に導入し、戦術にどのような変化をもたらしたのかを検証・考察した。
分析の結果、次のことが明らかとなった。プリンストン・オフェンスはキャリルのコーチング哲学である「the smart
介
take from the strong(賢者は強者に優る)
」を原点とし、組織的に賢く動くことで、高確率のシュートを打とうとするオフェ
ンスである。身体接触が少ないバックドアカットを駆使することで、ゴール付近への侵入、攻撃を容易にするという特徴
237
哲
があるとわかった。戦術としての有効性については、プリンストン・オフェンスを K 大学に導入したことでチームで協
力してディフェンスを崩すという意識がかなり高まった。身体面で劣る K 大学のようなチームでも、組織的な攻撃を徹
底することで、強者相手でも互角以上の戦いができるといえる。
史
社
心
22
[工]
8 月 28 日
9:45
方 28 − 022
バレーボールにおけるブロックジャンプのタイミングの検討
○梅﨑 さゆり(天理大学・京都工芸繊維大学大学院)
来田 宣幸(京都工芸繊維大学)
野村 照夫(京都工芸繊維大学)
バレーボールのブロックでは、スパイカーの踏切位置まで素早く移動するとともに、スパイカーの動きに合わせて踏切
生
バ
経
発
測
方
ることが求められる。しかし、ブロッカーの移動完了タイミングおよび踏切タイミングは不明な点が多く、スパイカーへ
の反応との観点からの定量化もなされていない。本研究では、バレーボールのブロックにおける移動完了タイミングおよ
び踏切タイミングを明らかにすることを目的とした。大学男子バレーボール選手(競技選手)、バレーボール以外の体育
会選手(非競技選手)を対象に、3 方向からの攻撃に対するブロック課題を実施した。スパイカーのジャンプの離地時刻
を基準とし、レフト攻撃に対するブロッカーの移動完了時刻および踏切完了時刻を求めた。競技選手の踏切完了時刻は非
競技選手に比べ有意に早く、移動完了時刻および踏切完了時刻のばらつきは非競技選手に比べ小さかった。従って、競技
選手は非競技選手に比べ早いタイミングで安定した踏切を行っている可能性が示唆された。
22
[工]
8 月 28 日
10:00
方 28 − 023
ハンドボール競技における個人戦術能力に関する考察
攻撃者の再ポジショニングに着目して
○横山 克人(東海大学)
嘉数 陽介(東海大学大学院)
栗山 雅倫(東海大学)
田口 貴仁(東海大学大学院)
ハンドボール競技において、個々のプレーヤーがボールを保持する時間は、ゲーム時間の 60 分間に対して、1 分程度
と極めて短い時間であることが報告されている。これは、スピーディーなゲーム展開や選手交代が自由に行われるゲーム
特性、あるいは一度にボールを保持できる時間が 3 秒であること、ボールを保持しながらのステップは 3 歩であること
保
教
人
ア
介
などのゲーム規則に影響を受けることが考えられる。そのため、ボールを保持する前の動きやボールリリース後のポジショ
ニングによる運動の先取りが重要であり、それらの動きが個人戦術能力に大きな影響を及ぼしていることは明確である。
本研究は、ボールリリース後のポジショニング(再ポジショニング)に着目し、再ポジショニング後の動きのパターンを
検討することを目的とした。研究方法は、関東学生ハンドボール連盟 1 部リーグの試合をビデオカメラで撮影し、撮影
された映像を観察することにより印象分析を行った。なお、印象分析を行う際、T 大学ハンドボール部のコーチングスタッ
フ 3 名で行い、再ポジショニング後の動きを検討した。印象分析の結果より、再ポジショニング後の動きをいくつかの
パターンに分類することができた。
22
[工]
8 月 28 日
10:15
方 28 − 024
チームスポーツにおける選手の戦術理解および連係プレー改善の試み
デジタルペン(エコー・スマートペン)を活用した実践研究
○北村 勝朗(東北大学)
鈴木 大輝(東北大学大学院)
チームスポーツにおけるパフォーマンスを高める上で、個々の選手が組織的プレーとしての戦術をいかに理解し、その
理解内容をメンバーとの相互連係の中でどのように個々の動きとして表現していくかが重要な課題となっている。本研究
238
09 体育方法
の目的は、チームとしての連係プレーが求められるスポーツ競技において、音声と手書きメモが保存可能で転送による共
有可能なデジタルペン(エコー・スマートペン)の活用が、選手の戦術理解にどのような影響を及ぼすのか、またそうし
た戦術理解がチームの連係プレーやチームパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか、解明することにある。30 名
の高等学校運動部選手を対象とし、デジタルペンによって作成された戦術ノートの活用実践を行った。練習前・中・後に
使用した結果について、インタビューによる発話分析、ノートの記載内容の分析、および指導者によるパフォーマンス評
価により分析を行った。分析の結果、
指導者および選手同士による戦術ノートの音声付きメモを繰り返し復習することで、
哲
史
状況を把握する視点としてのメタ認知活動が促進され、戦術理解が深まり、理解内容の共有を通した連係プレーの改善が
社
なされる点が明らかとなった。
23
[工]
8 月 28 日
9:30
方 28 − 025
心
幼児における投動作の形態発生
回し投げ(Drehwurf)
○豊田 泰代(貞静学園短期大学)
久保 景子(鶴見大学短期大学部)
太田 昌秀(上越教育大学連合大学院名誉教授)
幼児や初心者にとって投動作の習得は難しいものの一つである。ボールを持っていきなり投動作を試みた場合、手首や
肘などが固まりムチ動作が出現せず、遠くまで飛ばすことができない場合が多い。また幼児や初心者の投動作は身体の長
体軸の回転を利用する動きもあまり見られない。このように完成形の腕振り投げ(Kernwurf)をそのまま練習していっ
た場合、なかなか習熟が進まないケースがみられる。そこで本研究は西幅・太田らが行った先行研究を元に、押し投げ
(Druckwurf)
、回し投げ(Drehwurf)
、腕振り投げ(Kernwurf)という投動作の習熟過程に着目し、幼児でも取り組みや
すい回し投げ(Drehwurf)の遊びに焦点を当て観察を行った。長体軸のひねりの要素、手の体勢に着目した結果、回し
投げの遊びは、順手外ひねり、順手内ひねり、逆手外ひねり、逆手内ひねりの順に現れることが示唆された。また観察の
結果、自然発生のうごきを伴う回し投げの遊びは、投動作に必要なひねり動作やムチ動作を誘発する有効な遊びであるこ
生
バ
経
発
とが明らかとなった。
測
23
[工]
8 月 28 日
9:45
方 28 − 026
跳馬における「後ろとびひねり技群」の価値点に関する発生運動学的研究
○森井 大樹(福岡大学)
跳馬における「後ろとびひねり技群(グループⅣ)
」は他の技群に対して技術開発の遅れが顕著である。現行の 2013
年版男子採点規則において「後踏切り」から 1/2 ひねりを加えた前転とびは、前踏切りから行われる同等の前転とびよ
りも 0.2 点高い価値点が与えられている。つまり、踏切りから着手に至るまでの「1/2 ひねり」に対して価値点が与えら
れているのである。それに対して、グループⅡ(第一局面で 1/4 または 1/2 ひねりとび系(ツカハラとびまたはカサマ
ツとび系)
)における 1/2 ひねりには、グループⅣと同じ 1/2 ひねりが行われるにも拘わらず価値点は与えられていない。
本研究ではこの技群だけに与えられている第一局面における 1/2 ひねりの価値点に対して、発生運動学における始原
論的構造分析を施した。その発達史を遡ることによって前踏切りには存在しないこの技独自の価値構造を明らかにし、発
展の立ち遅れを示すこの技群の技術開発の指針を示すことができた。
方
保
教
人
ア
介
239
哲
史
23
[工]
8 月 28 日
10:00
方 28 − 027
バスケットボールにおける状況の場面を読み解く身体知に関する発生運動学的考察
○中瀬 雄三(筑波大学大学院)
佐野 淳(筑波大学)
バスケットボールにおいて、ゲーム状況を読み解きながら自らの動きを決定していく戦術力は、技術力や体力的要素と
社
並び重要な能力である。このゲーム状況を構成している要素には、選手同士の位置関係、それぞれの選手の身体的特性、
能力や技術(動感)
、ゲーム時における意図などがあるが、さらに、ゲームの時間、ファール数、得点差といった時間の
経過に関わる要素もある。これらの状況を構成している要素を、本研究ではそれぞれ、空間や選手の特徴にかかわる “ 構
心
生
造的要素 ”、時間にかかわる “ 場面的要素 ” とした。ゲーム状況を読み解く上で、これらの二つの要素は欠かすことはで
きないが、従来の状況判断研究では、構造的要素(選手の空間的配置)に着目した調査研究が多いと思われる。しかし、
優れた選手の戦術行為は空間的配置のみを判断要因としていることはなく、ゲームの形勢といった数量化できない場面的
要素を常に把握しながら行っている。このことは、選手にはゲーム状況は動感的状況として、すなわち状況の場面的意味
として現れていることを意味している。本研究は、ゲーム状況のこの場面を読み解く身体知について発生運動学的視点か
ら論究していくものである。
バ
経
発
23
[工]
8 月 28 日
10:15
方 28 − 028
投球動作における自己認識と実際の動作との関係
○福田 倫大(広島大学大学院)
黒川 隆志(広島大学大学院)
上田 毅(広島大学大学院)
古市 裕磨(広島大学大学院)
本研究では、投動作について、動作と認識の関係、および指導上、映像を見ることが認識に与える影響を検討すること
測
で、動作の習得において有効な手段を明らかにすることを目的とした。被験者は健康な大学生 18 名とした。被験者は非
利き手で 2 回遠投をし、同時にフォームに関するアンケートを行った。1 回目と 2 回目の遠投の間には、投球に関する
指導を実施した。その指導は言語でポイントを指摘するもの(コントロール群)と、これに本人の動画を用いて 3D で見
方
保
教
人
ア
ることができるスティックピクチャーを見せるもの(映像群)であった。その結果、1 投目から 2 投目にかけて認識が改
善したグループは、動作も有意に改善した。また映像群は全てのポイントについて正しく認識できるようになった人数が
増え、それに対しコントロール群は、その人数が増えるポイントもあれば、減るポイントもあった。これらから、認識を
改善することは動作を改善させ、また、映像を見ることは認識を改善する可能性があることが示唆された。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
10:35
方 28 − 029
野球競技の打撃動作における再現性と競技レベルの関係性について
○長田 拓朗(東海大学大学院)
栗山 雅倫(東海大学)
横山 克人(東海大学)
野球競技において最も重要な動作である打撃動作は、運動イメージを形象化させる「再現性」が求められる。また、打
撃動作の再現性の確保の為に、運動イメージと形象化された動きの「ずれ」が小さいことが重要とされている。更に、運
動イメージを描き、打撃動作を行うときに重要視しているキネステーゼを明らかにすることが重要であると考えられる。
介
そこで本研究は、再現性と競技レベルの関係性に着目した。競技レベルにおける打撃動作の比較及びキネステーゼの調査
行うことで、打撃動作における知見を得ることを目的とした。研究方法として、T 大学準硬式野球部レギュラー・非レギュ
ラーを 2 名ずつ及び未経験者 2 名の 6 名を対象とした。試技者は、外角及び内角にトスされたボールをそれぞれ 5 球ず
つ打ち、試技をビデオカメラで撮影し、三次元 DLT 法を用いて動作解析を行った。試技の抽出においては、試技者が再
240
09 体育方法
現性の最も高いと感じた試技及び最も低いと感じた試技をそれぞれ 1 球ずつ選択した。動作解析後、試技者に試技映像
を見せ、インタビューを行い、内省報告を得た。今回の結果から、試技者間の再現性における競技レベルやキネステーゼ
にいくつかの特徴が現れた。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
10:50
史
方 28 − 030
テコンドーの連続した前回し蹴り動作に関するバイオメカニクス的研究
○木下 まどか(筑波大学大学院)
哲
藤井 範久(筑波大学体育系)
World Taekwondo Federation によるテコンドー競技(以下、テコンドー)は多様な蹴り技が特徴である。近年のルー
社
心
ル改正により、ポイント獲得のための連続した蹴り動作の重要性が高まっている。右脚、左脚交互の連続した前回し蹴り
動作は、前回し蹴りを連続で行うこととされているが、実際に選手がどのように蹴り動作を行っているかは明らかにされ
ていない。そこで本研究では、テコンドーの連続した前回し蹴り動作に着目し、その力学的なメカニズムを解明すること
とした。様々な競技レベルの男子テコンドー競技者 10 名(年齢:21.4 ± 3.2 year、身長:172.0 ± 4.3 cm、身体質量:
66.7 ± 12.7 kg、経験年数:6.5 ± 5.9year)に最大努力で中段(体幹部)への連続した前回し蹴りを行うよう指示をし
た。三次元動作分析装置(250 Hz)を用い、上胴および下胴の左右回旋角度および角速度等を算出した。結果として、2
回目の蹴り動作の動作開始時(TOF2)の姿勢によって上胴および下胴の左右回旋角速度の変化に差がみられた。したがっ
て、TOF2 の姿勢に適した、左右回旋角速度の変化パターンが存在し、1 回目に比べて 2 回目のキック平均スピードを大
きくすることができると示唆された。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
11:05
バ
経
発
方 28 − 031
競泳スタート台のバックプレート幅の違いがスタート動作に及ぼす影響
○小椋 優作(岐阜大学大学院)
宇野 嘉朗(岐阜大学大学院)
生
春日 晃章(岐阜大学)
本研究は、競泳スタート台のバックプレート幅の違いがスタート動作にどのような影響を及ぼすかについて、キネマ
測
方
ティクス的に検討することを目的とした。対象者は、キックスタートを普段から採用している大学水泳部に所属する男子
競泳選手 12 名とし、通常試技のバックプレート幅(Normal:No)、No より 1 段階狭くしたバックプレート幅(Narrow:
Na)、No より 1 段階広くしたバックプレート幅(Wide:W)の 3 種類のスタート試技を行わせた。スタート動作の撮影
には 3 台のビデオカメラを使用し、分析には Frame-DIASIV を用いて毎秒 150 コマでデジタイズした。分析の結果、用
意局面における重心の水平距離において Na-No 間および Na-W 間に有意な差が認められ、Na、No、W の順に重心が前方
に位置している。また、離台前 0.3 秒間の平均水平加速度における No-W 間、平均飛翔水平速度における Na- No 間にお
いて No が有意に高い値を示した。加速局面、離台局面、空中局面の水平方向への加速度および速度においても No は他
の 2 試技より大きい傾向にあった。これらのことから、普段自分で選択しているバックプレートの幅が変わると、競泳
スタート動作における水平方向への加速が小さくなると示唆された。
保
教
人
ア
介
241
哲
史
社
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
11:20
方 28 − 032
競泳におけるオープンターンの回転スキルの検討
○野村 照夫(京都工芸繊維大学)
神谷 将志(京都工芸繊維大学大学院)
来田 宣幸(京都工芸繊維大学)
谷川 哲朗(京都工芸繊維大学大学院)
梅﨑 さゆり(天理大学・京都工芸繊維大学大学院)
オープンターンの回転期に着目し、スキルの時空特性を検討することを目的とした。地域強化指定レベルの水泳選手 9
名を対象とし、初期条件として通常行っているオープンターンを含む 15m 往復泳を実施した。その後、介入条件として
心
生
バ
経
発
測
頭を低くして回転する練習を 15 分間実施し、
同様の試技を行った。これらの試技を側方より水中・陸上ビデオで撮影した。
2 次元 DLT 法により身体各部の座標を求めた。初期条件では、手の着壁から手の離壁までの時間(0.531 ± 0.065 sec)
と回転中の頭部の最高到達点(0.131 ± 0.071 m)の間に有意な正の相関が認められた。介入条件での回転中の頭部の最
高到達点は(0.073 ± 0.040 m)と初期条件に比べ有意に(p < 0.01)低値を示した。また、手の離壁時の腰の深度(-0.321
± 0.062 m)が初期条件(-0.362 ± 0.079 m)に比べ有意(p < 0.05)に浅くなり、手の着壁から手の離壁までの時間(0.506
± 0.061 sec)と有意な負の相関が認められた。従って、オープンターンは、頭を低く、腰を浅くすることにより、素早
い回転を可能にする可能性が示唆された。
22
[工]
8 月 28 日
10:35
方 28 − 033
ハンガリーにおけるハンドボールの一貫指導プログラム
13 歳から 16 歳までのフィジカル、コーディネーション、人格形成指導プログラムに着目して
○永野 翔大(筑波大学大学院)
藤本 元(筑波大学)
Nemes Roland(筑波大学)
會田 宏(筑波大学)
本研究では、ハンドボールにおいて世界トップレベルの競技力を持つハンガリーにおける、13 ~ 16 歳までの一貫指
導プログラムの内容を紹介する。出典は「Kézilabda」
(Horváth J.et al. 、2004)である。フィジカルプログラムにおいては、
13 ~ 14 歳では、男子は瞬発力、無酸素系パワー、体幹トレーニングを、女子は有酸素系トレーニングを主に行ってい
方
保
教
人
ア
介
た。15 ~ 16 歳では、男子は下半身の瞬発力のトレーニングを、女子はファンクショナルトレーニングとウエイトトレー
ニングを行っていた。コーディネーションプログラムにおいては男女とも、13 ~ 14 歳ではハンドボールの基本的な動
きの習得を、15 ~ 16 歳ではポジションに専門的な方向転換能力、ジャンプ能力、シュート能力などを組み合わせた複
雑な動きの習得を目指していた。人格形成プログラムにおいては男女とも、13 ~ 14 歳では個人に役割を与え責任感を
身に付けさせ、15 ~ 16 歳では優れたスポーツマンとしての他人の見本となるロールモデルの育成を目指していた。こ
れらの結果から、ハンガリーの一貫指導においては、特にフィジカルプログラムに関して、男女のトレーニング内容を明
確に分けていることが明らかになった。
22
[工]
8 月 28 日
10:50
方 28 − 034
女子ラグビーの現状と今後の課題
○寺田 泰人(名古屋経済大学短期大学部)
高田 正義(愛知学院大学)
岡本 昌也(愛知工業大学)
廣瀬 かほる(防衛医科大学校)
寺田 恭子(名古屋短期大学)
2016 年リオデジャネイロ五輪で男女 7 人制ラグビーが正式種目となったことで、日本における女子ラグビーの競技人
口は年々増加している。本研究では、女子ラグビーの現状を調査し、競技人口のさらなる増加に向けての方策と競技力向
上のための課題を明らかにすることを目的とした。調査方法は Japan Women’s Sevens 2014 に出場した 10 チームのメ
242
09 体育方法
ンバーを対象として、アンケートを実施した。調査結果からは、以下のことが明らかとなった。女子ラグビーにおいて
も 15 人制では男子と同様、競技人口の確保が大きな課題であり、特にスクール出身の中学生以上の受け入れ先が少ない
という問題を抱えている。一方、7 人制ラグビーでは 2020 年東京五輪開催が決定したことで、他競技からラグビーに種
目を転向する選手も出てきている。しかし選手たちからは、女子ラグビーのメディア露出度が少ないこと、活動環境の整
備が不十分という声が多い。また 7 人制を中心とした強化に偏ることで、15 人制の弱体化が進むことも危惧されている。
今後、女子ラグビーがさらに発展していくためには、代表チームの広報により認知度を高めつつ、同時に活動環境を改善
哲
史
していくことが急務である。
社
22
[工]
8 月 28 日
11:05
方 28 − 035
スピードスケート競技オリンピックメダリストの国際競技力推移に関する研究
○紅楳 英信(相澤病院 スポーツ障害予防治療センター) 湯田 淳(日本女子体育大学)
本研究では、オリンピックでメダルを獲得するようなトップレベルのスピードスケート選手が国際大会で活躍し始める
時期と、1 年の中での国際競技力推移(競技会成績推移)を知ることを目的とした。分析対象は、2010 年 2 月に開催さ
れたバンクーバーオリンピックと、2014 年 2 月に開催されたソチオリンピック のスピードスケート競技において個人
種目でメダルを獲得した選手とした。分析の結果、緩やかに年々国際競技力が向上する選手は少なく、ある年に飛躍的に
国際競技力が向上する選手が多いこと、またメダル獲得以前に出場した過去のオリンピックにて、上位の成績を収めてい
る選手が多いことが明らかとなった。1 年の中でオリンピック開催時期の競技会において好成績を収める選手が多い傾向
も見られた。これらのことから、オリンピック出場を経験目的で出場した選手が、次回以降のオリンピックでメダルを獲
得することが難しいことや、オリンピック開催時期に毎年結果を残す選手はオリンピック本番でもメダルを獲得する可能
性が高いことが示唆された。
23
[工]
8 月 28 日
10:35
心
生
バ
経
発
測
方 28 − 036
主観的努力度の変化が平泳ぎの泳動作に及ぼす影響とその再現性について
○大庭 昌昭(新潟大学)
長堀 一輝(新潟大大学院)
佐藤 大輔(新潟医療福祉大学)
下山 好充(新潟医療福祉大学)
【緒言】主観的な運動感覚と実際の動きとの対応にはグレーディング能力が深く関係しており、競泳のような記録系競技
では、直接パフォーマンスに影響を与える重要な能力である。本研究の目的は、中・高強度領域における主観的努力度の
変化が、平泳ぎの泳動作に及ぼす影響とその再現性について明らかにすることである。
【方法】日頃より十分にトレーニングしている大学競泳選手 5 名(男子 3 名、女子 2 名、平泳ぎもしくは個人メドレー専
門)を対象とし、測定日には 25m × 4 試技(主観的努力度 70%から 100%まで 10%毎の等間隔で 4 段階)× 2 セット
を 4 分サイクルで行い、セット間には 5 分の休憩を挟んで実施した。側方水中及び陸上よりデジタルカメラで泳動作を
撮影するとともに、各試技の泳タイムを測定し、ストロークパラメーターを算出した。
【結果及び考察】70%から 100%まで泳速度の段階付けが可能であること、ストローク頻度の変化で対応している可能性
など、これまでの研究結果と同様の結果を確認することができた。さらに、中・高強度領域においてある程度精度の高い
再現性が可能であること、そのことがストローク頻度と強く関係していることが示唆された。
方
保
教
人
ア
介
243
哲
史
23
[工]
8 月 28 日
10:50
方 28 − 037
呼吸動作の有無がバタフライ泳動作に及ぼす影響
中・高強度領域の主観的努力度の違いを活用して
○長堀 一輝(新潟大学大学院)
大庭 昌昭(新潟大学)
【目的】バタフライ泳における呼吸動作は毎回呼吸や 2 回に 1 回呼吸など選手によって様々である。しかし、バタフライ
社
泳における呼吸動作の有無が泳動作に与える影響は、他の種目に比べ大きいと考えられる。そこで、本研究では中・高強
度領域での主観的努力度の変化に着目し、呼吸動作の有無がバタフライ泳動作に与える影響について比較検討すること
を目的とした。
【方法】被験者は大学水泳部に所属し、バタフライを専門とする男子 4 名、女子 3 名とした。被験者には
心
生
25m バタフライを 4 試技(主観的努力度 70%から 100%まで 10%毎の 4 段階)× 2 セット行わせた。各セットの 4 試
技目を 100%とし、ほかの 3 段階はランダムに実施した。また、呼吸あり(以下 EB)と呼吸なし(以下 NB)を 1 セッ
トずつ行った。
【結果・考察】EB においても NB においても 70%から 100%まで泳速度の段階付けが可能であり、ストロー
ク頻度の上昇により調整している傾向が確認された。しかし、同じ主観的努力度の場合、NB の方が EB に比べ、ストロー
ク頻度と泳速度は高くなる傾向を示した。このことは、呼吸動作の有無によってバタフライ泳動作に何らかの変化がうま
れ、泳速度調整に影響したものと推察される。
バ
経
発
23
[工]
8 月 28 日
11:05
方 28 − 038
フルマラソン大会に参加する男性市民ランナーの特徴
フルマラソンの出場回数に着目した調査
○森 寿仁(鹿屋体育大学大学院・日本学術振興会特別研究員) 鍋倉 賢治(筑波大学)
山本 正嘉(鹿屋体育大学)
本研究は、フルマラソン大会に参加する男性市民ランナーの身体特性、日頃の練習状況、レース中のきつさを、フルマ
測
ラソンの出場回数別に明らかにすることを目的とした。対象者はいぶすき菜の花マラソン、つくばマラソン、泉州国際市
民マラソンに参加した男性市民ランナー 406 名とし、フルマラソンの出場回数をもとに 4 群(1 回目、2-3 回目、4-5 回
目、6-10 回目)に振り分けた。調査方法は質問紙を用いた面接法とした。
方
保
教
人
ア
フルマラソンの出場回数が増加するにつれて、ゴールタイムは短縮、練習量は増加を示した。しかし、フルマラソンの
出場回数が 4 回目以上になるとその変化は小さくなり、4-5 回目群と 6-10 回目群の間には、いずれの項目にも有意な差
は見られなかった。
以上のことから、男性市民ランナーはフルマラソンへの参加が 3 回目となるまでは、マラソン出場にともなう練習の
取り組み方が変化し、タイムの向上が見込めることが示唆された。
23
[工]
8 月 28 日
11:20
方 28 − 039
ベースボール型競技選手における打撃向き転向に関する調査研究
○名古屋 光彦(獨協医科大学)
近年ベースボール型の競技では、左打者優位説が指摘されている。こうしたことから、本来右打者であった選手が左打
者に転向することが増え、
「右投げ左打ち」の選手を目にすることが多くなっている。しかしながら、指導現場では打撃
向きの転向について客観的な指標が明らかにされていない中で指導が繰り返されている。そこで本研究では野球競技を対
介
象として打撃向きの転向について「きっかけ」や「理由」「転向の時期」などについて調査し、指導現場でのコーチング
の基礎的知見を得ることを目的とした。調査は東日本大学軟式野球選手権大会に登録された選手 495 名(野球経験年数
10.9 年± 2.6)
を対象に無記名アンケートを行った。調査期間は、2013 年 11 月中旬に開催された大会期間 6 日間である。
調査の結果「左打者の割合」32.9%、
「打撃向きを転向した割合」27.5%(全左打者の 83.4%)であった。さらに、転向
244
09 体育方法
時期の多くは「小中学期(ジュニア期)
」72.4% であり、きっかけの多くは「他人からのアドバイスによるもの」39.8%
であった。また、そのアドバイス対象者は「指導者」(67.6%)であることが知見された。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
11:40
史
方 28 − 040
柔道選手の競技成績の変化と自己イメージや心理的競技能力との関連
○山口 香(筑波大学)
小林 好信(筑波大学大学院)
橋本 佐由理(筑波大学)
哲
松田 基子(大阪体育大学)
高野 修(筑波大学)
社
心
本研究は、大学柔道選手の競技成績の変化と自己イメージや行動特性および心理的競技能力との関連を明らかにす
ることを目的として、自記式質問紙調査による前向き調査を行った(対象は国内 16 大学の男女柔道部員、有効回収数
n=350)。1 回目調査から 2 回目調査の 1 年間に競技成績が向上した群と変化がなかった群について、各調査時点での要
因を比較した。1 回目調査時点では、競技成績が向上した群では、問題に対して積極的効果的に立ち向かう行動特性であ
る ‘ 問題解決型行動特性 ’ やストレスからの回復力を示すレジリエンスの下位尺度である ‘ 感情調整 ’ が有意に高かった。
また、スポーツ競技特性不安の下位尺度である ‘ 動作の乱れ ’ が有意に低かった。2 回目調査時点では、競技成績が向上
した群が ‘ 自己価値感 ’ が有意に高く、ストレス反応の下位尺度の ‘ 抑うつ・不安 ’ が低い傾向が見られ、心理的競技能力
の下位尺度の ‘ 忍耐力 ’‘ 闘争心 ’‘ 自己実現意欲 ’‘ 集中力 ’‘ 決断力 ’ が高い傾向が見られた。したがって、競技成績の向上は、
自己イメージの良さやレジリエンスの高さ、スポーツ競技特性不安の低さと関連していることが考えられる。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
11:55
バ
経
発
方 28 − 041
大学ラグビー選手における競技力と心理的競技能力との関連
○藤林 真美(摂南大学)
河瀬 泰治(摂南大学)
生
内部 昭彦(摂南大学)
ラグビーは、15 名の選手が争奪・攻撃・防御といった要素を巧みに駆使する競技であり、体力や技術のみならず心理
測
方
面のコントロールが重要課題である。本研究は大学ラグビー選手における心理的要素について検討した。選手を①レギュ
ラーと準レギュラー、非レギュラーの 3 群および②ポジションを 6 群に区分し、心理面との関連についてそれぞれ検討
した。78 名の選手を対象とし、心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)を用いて評価した。①、②それぞれの群における
差を一元配置分散分析で確認し、
有意だった場合に個々の群間差を Tukey 検定により比較した。①レギュラー群は非レギュ
ラー群と比較して、以下に示した下位尺度において有意な高値を認めた。忍耐力(p=0.04)
、闘争心(p<0.01)
、自己実
現意欲(p=0.04)
、
勝利意欲(p=0.04)
、
自信(p<0.01)。また準レギュラー群は非レギュラー群と比して、闘争心(p=0.05)
が有意に高かった。②ポジションによる相違は一切見られなかった。ラグビーには強固な闘争心が必要であると思われる。
本研究結果より、選手個々の闘争心向上がチーム成績に貢献できる可能性があると結論した。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
12:10
方 28 − 042
パフォーマンス・プロファイリングを用いた関係性向上のためのミーティングの効果
女子中高生のテニス部の活動を対象として
○関根 慧(日本体育大学大学院)
根本 研(日本体育大学)
伊藤 雅充(日本体育大学)
保
教
人
ア
介
本研究では、私立女子中高一貫校の硬式テニス部員(47 名)を対象とし、パフォーマンスプロファイリング(以下
245
哲
史
PP)を用いたミーティングが、
生徒たちの心理的欲求の充足とどのような関係があるかを明らかにすることを目的とした。
PP とはコーチとアスリートがパフォーマンス向上に対する共通意識を持つために有効な方法論であるとされている(Dale
& Wrisberg、1996)
。この PP を用いて、チームと個人の目標設定を行うミーティングを実施した。さらに、ミーティン
グの直前と約 1 ヶ月後に Ryan と Deci の「The Basic Need Satisfaction in Life Scale」を翻訳して作成した尺度(大久保
ら、2003)を用いて、生徒の心理的欲求の充足を測定した。その結果、基本的心理欲求のうちの自律性の因子とコンピ
テンスの因子には統計的に有意な変化は認められなかったが、関係性の因子には有意な増加(p < 0.01)が認められた。
このことから、チームの関係性を向上させるために PP を用いたミーティングを行うことは、良好なチームを築いていく
社
心
生
バ
経
発
ために効果的な手法の一つであると言えるであろう。
銀河ホール
[工]
8 月 28 日
12:25
方 28 − 043
バスケットボール版“Collective Efficacy”尺度と凝集性および楽観性尺度との関係
○池田 英治(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
吉田 健司(筑波大学 体育系)
内山 治樹(筑波大学 体育系)
岩井 浩一(茨城県立医療大学 人間科学センター)
“Collective Efficacy”(CE)は、Bandura(1986、1997)によって提唱された集団や組織の機能を理解するための極め
て重要な変数の一つである。近年、わが国においても、幾つかの理論的及び横断的な検討が報告されているものの、コー
チング現場に援用するには客観的妥当性を有した尺度の開発や縦断的データの検討に課題が残るところである。
そこで本研究では、Collective Efficacy Scale for Basketball for Offense(池田ほか、2013)を用いて、関東大学バスケッ
トボールリーグに所属する 3 チーム(男性 19 名、女性 19 名)を対象に、CE の縦断的な変化を調査した。対象者には、
2013 年関東大学バスケットボールリーグ戦の開始前から終了後の約 3 カ月間の期間内において、4 から 8 回にわたって
アンケート調査を行った。また、
多くの先行研究において CE との関係性が検証されてきた重要な集団変数である凝集性と、
「ポジティブな結果を期待する傾向」
(Scheier& Carver、1985)と定義される楽観性との関係を、Group Environment
Questionnaire の邦訳版(磯貝ほか、1988)および The revised Life Orientation Test の邦訳版(坂本・田中、2002)を
測
方
保
用いて検証した。
22
[工]
8 月 28 日
11:40
方 28 − 044
競泳長距離選手のトレーニング中における血糖値の変動の比較
○菊地 ゆめみ(日本女子体育大学大学院)
川本 恵子(日本女子体育大学大学院)
古泉 佳代(日本女子体育大学)
教
人
ア
本研究の目的は、競泳長距離選手を対象として水中トレーニング(ST)におけるエネルギー供給能力の個人の特徴を明
らかにすることである。対象者は、日本学生選手権出場経験を持つ A(年齢:20 歳、身長:166.0cm、体重:55.40kg)
と出場経験がない B(年齢:21 歳、身長:161.4m、体重:55.95kg)の女子競泳長距離選手 2 名であった。ST 前後の
体重測定と、ST における心拍数、血糖値および乳酸値を測定項目とした。身体的特性として最大酸素摂取量および最大
出力パワーの測定を行った。ST は 125 分間であり、ウォーミングアップ、キック、プル、スイム、メインスイム、ダウ
ンの 6 つに区切り、血糖値と乳酸値の測定ポイント(MP)とした。2 時間前までに食事を済ませ、ST は水のみの自由摂
取とした。平均心拍数は A=127.4 ± 27.0bpm、B=135.0 ± 23.9bpm であった。A の血糖値は、メインスイム後の測定
値を除き、安静値に対してほぼ一定であった。B の血糖値は、ST 全ての MP において安静値よりも低値を示し、開始約
40 分後のキックの MP において血糖値と乳酸値ともに最大値を示した。競泳長距離選手のトレーニングメニューは、選
介
246
手個人のエネルギー供給能力を考慮して作成する重要性が考えられた。
09 体育方法
22
[工]
8 月 28 日
11:55
方 28 − 045
コントロールテストにおける質的動作の検討
○清水 樂(横浜国立大学大学院)
伊藤 信之(横浜国立大学)
哲
史
現在コントロールテスト(以下 CT)の目的はトレーニング効果の表出を把握することであり、量的なデータに対する
評価がなされている。しかしトレーニング効果は体力面のみでなく、技術・戦術面、精神面での各諸要素が相互関連的に
複雑に絡み合って成り立つものであり、量的な結果に加えて質的な動作の評価を行うことで競技パフォーマンスに結びつ
社
く知見を得ることができると考えた。そこで本研究では、CT 種目間における質的動作の関連性、また量的結果に与える
影響について検討することを目的とする。被験者は大学陸上競技選手 15 名とし、CT 種目 14 種目の質的評価を 5 件法で
行い、さらに下位の動作要因を 2 から 7 項目設定し、2 件法を用いて評価した。対象種目の量的結果に影響を与えてい
る質的評価項目を抜粋し検討を行った。相関分析の結果、量的結果のみの評価では見ることのできない、種目間における
質的動作の関連性が明らかとなった。リバウンドロングジャンプのようなより運動構造の複雑な種目は、その量的結果に
対して様々な技術要因が影響を与えていることが示唆された。
22
[工]
8 月 28 日
12:10
生
バ
方 28 − 046
野球選手を対象とした体幹パワーの評価
重量の異なるメディシンボールのサイドスローを用いて
○神谷 将志(京都工芸繊維大学大学院)
来田 宣幸(京都工芸繊維大学)
心
谷川 哲朗(京都工芸繊維大学)
野村 照夫(京都工芸繊維大学)
野球の打撃動作において体幹パワーは重要な要素の 1 つであり、体幹のトレーニングとしてメディシンボール(MB)
経
発
スローなどが用いられている。しかし、使用する MB の重量の違いが投擲距離の左右差や反動の有無など投げ方の違いに
与える影響は不明であり、競技パフォーマンスとの関係から MB スローの特性を明らかにする必要がある。そこで本研究
では、重量が MB スローの空間的、時間的パラメータの左右、反動の有無に与える影響を明らかにすることを目的とした。
測
野球経験のある大学生に、MB を用いたサイドスローを反動投げ(RT)と無反動投げ(CT)の 2 条件で行わせた。MB
は 1kg、3kg、5kg の 3 条件とし、左右両方向に投げさせた。体幹パワーの指標として、投擲距離と投擲方向への動作
時間を測定した。投擲距離に関して、打撃側では CT と比較して RT の投擲距離がいずれの重量においても大きくなった
(CT:1kg 855 ± 89cm、3kg 513 ± 54cm、5kg 337 ± 32cm RT:1kg 942 ± 84cm、3kg 570 ± 36cm、5kg 401 ±
39cm)。また 3kg では、投擲方向によって違いがみられ、打撃側が非打撃側と比較し有意に大きな値であった。動作時
間では、MB の重量が軽くなるにつれて、動作時間が短くなる傾向がみられた。
22
[工]
8 月 28 日
12:25
保
教
方 28 − 047
コントロールテストにおける技術的要因の評価
基本姿勢の動作群の評価を通して
○伊藤 信之(横浜国立大学)
方
清水 樂(横浜国立大学大学院)
コントロールテスト(以下 CT)の評価値には、遂行時の動作が影響を与えていると考えられる。CT の各種動作の要素
を抽出したうえで選手の評価を行うことにより、技術的な要因と体力的な要因の双方をより的確に評価することが可能に
人
ア
なると考えた。そこで、抽出された諸動作の評価を行い、競技力や CT の測定値に与える影響について検討することにし
た。被験者は大学男子陸上競技選手 15 名であった。CT として行われている種目から、股関節中心に大きなパワー発揮
を行うもの(基本姿勢 1 の動作群(7 種目)
)
、片脚立位の姿勢から股関節の動作を行うもの(基本姿勢 2 の動作群(5 種
介
目))、前後開脚の姿勢からの動作(基本姿勢 3 の動作群(3 種目)
)を抽出し、9 件法の尺度を用いて評価した。実施さ
れた CT は 60m 疾走、立五段跳、リバウンド ・ ジャンプなどのジャンプ運動、スクワットなどのリフティング運動であっ
247
哲
た。基本姿勢の動作群の評価の合計値は、選手のシーズンベスト記録との間にも有意な相関関係が認められた(r=0.630、
p<0.05)。また、CT 各種目との間に有意な相関関係が認められるとともに、CT の種目によって、対応する基本姿勢の動
作が異なることが示唆された。
史
社
心
22
[工]
8 月 28 日
12:40
方 28 − 048
バドミントン競技選手におけるオン・コートでの専門的フィジカルテストの検討
○中谷 敏昭(天理大学体育学部)
バドミントン競技は、サービス開始からラリーが終了するまでの作業期と次のサービスが開始されるまでの休息期が繰
り返される間欠的運動である。
選手には素早いコート内移動や優れた有酸素性作業能が求められる。本研究では、オン・コー
生
バ
経
発
測
方
トでこれらの能力を評価するフィジカルテストを考案し、その信頼性と妥当性を検証した。対象者は大学バドミントン選
手 30 名(男子 21 名、女子 9 名)である。フィジカルテストは、6 方向フットワーク(移動能力)とコート内往復走(全
身持久力)とした。これらのテストと敏捷性や瞬発力、あるいは有酸素性作業能を評価するテストを行わせて関連性を検
討した。級内相関係数は 6 方向フットワークが 0.725、コート内往復走が 0.750 であった。6 方向フットワークと敏捷
性や瞬発力は |r|= 0.50 ~ 0.76、コート内往復走と有酸素性作業能は |r|= 0.68 ~ 0.83 の有意な相関関係を示した。これ
らのことから、本研究のフィジカルテストは、バドミントン選手の専門的能力を評価する有用なテストであると考えられ
る。
23
[工]
8 月 28 日
11:40
方 28 − 049
海外指導者派遣事業の現状と課題
JFA アジア貢献事業の派遣指導者に着目して
○松山 博明(大阪成蹊大学)
関口 潔(日本サッカー協会)
中村 泰介(園田学園女子大学短期大学部)
土屋 裕睦(大阪体育大学)
須田 芳正(慶応義塾大学)
松山ほか(2014)は、ブータン王国サッカーでの実践活動を中心に海外スポーツ指導者派遣事業の現状と課題につい
て検討を行った。そこで、本研究はアジア貢献事業の派遣指導者での基礎的研究を行うために、アンケート調査を依頼
保
教
人
ア
介
し、44 名の指導者からアンケート用紙の返却のあった 22 名の指導者を対象に調査を行った(回答率 50%)。調査内容は、
志望動機、指導方針、トレーニング環境、施設など加え、現地の選手レベルを問うものであった。実施時期は、2013 年
12 月から 2014 年 5 月であった。得られた回答の平均値を求めた。
その結果、現地の選手は、技術的・戦術的レベルが低いが、指導者に対して、素直な気持ちや向上心をもって意欲的に
取り組む姿勢があるのが特徴であった。
アジア貢献事業の海外派遣指導者は、海外に興味があり、自分の成長やサッカーの発展や社会に貢献したいという考え、
現地スタッフとミーティングを繰り返し、競技力向上を目指す指導者の比率が高いことが示唆された。
23
[工]
8 月 28 日
11:55
方 28 − 050
ハンドボール指導者の指導観の変化に関する事例研究
指導の転機を迎えた監督の指導を受けた選手の語りを手がかりに
○田代 智紀(筑波大学大学院)
會田 宏(筑波大学体育系)
本研究では、指導者自身が「転機」と自覚した時期に指導を受けた選手 1 名の語りを手がかりに、ハンドボール指導
者の指導観の変化について事例的に明らかにすることを目的とした。高校で 7 年ハンドボールを指導し、指導の転機を
248
09 体育方法
迎えた監督(A 氏)の指導を受けた S 氏に、高校時代の練習内容とゲーム構想に関して半構造的インタビューを行った。
その結果、当初は「ディフェンスに関しては気持ちや気迫を持ってプレーをする」「足を動かして相手がびっくりするく
らいの気迫で守る」という練習であったが、
「ずれた位置から 1 対 1 を始めたりすることでオフェンスに狙いや目的を持
たせていた」
「個人で攻めるというより、2 対 2 とか 3 対 3 などの部分的な戦術が増えた」などに変化していく語りが得
られた。これらの語りの内容を質的に分析した結果、A 氏の転機前後の指導観は、ゲーム観、ゲーム構想および基本戦術
がはっきりしていなかった段階から、まずチームのゲーム構想が確立されゲーム観が表出するようになり、さらに対戦相
哲
史
手とかけひきしたうえで、プレーを実行できる個人戦術力を選手に身につけさせるように変化していったと解釈すること
社
ができた。
23
[工]
8 月 28 日
12:10
方 28 − 051
ダンス・ワークショップにおける創造的身体表現に関する一考察
―進行者に着目して―
○河合 史菜(長崎大学)
ダンス・ワークショップは、参加者の主体性や相互の学び合いを特徴とした「参加体験型グループ学習」と捉えられ近
年、学校や福祉・地域のコミュニティなど様々な場で展開され、人々がダンスに触れる新しい形態として注目を集めてい
る。中でもダンス・ワークショップの進行者は場を生み出していく重要な役割を担っており、一方的な動きの伝授や練習
ではなく、参加者が自ら身体や動きを探求するあるいは生み出す創造的身体表現の視点が重要であると考えられる。本研
究では、ダンス・ワークショップの進行者に着目し、現在顕著な実績をあげ社会的評価の高い事例を対象に、ワークショッ
プへの参加・観察調査及びインタビュー調査を通して、プログラム内容と指導観の観点からダンス・ワークショップにお
ける創造的身体表現について考察し、今後のダンス・ワークショップの一視座を得ることを目的とした。その結果ダンス・
ワークショップの進行者は、動きや感覚を意識させるなど参加者の創造的身体表現を重視していること、段階を作り創造
的身体表現を引き出し助けていること、創造的身体表現を通して今ある身体への見方の変化と発見を促していることが示
心
生
バ
経
発
唆された。
測
23
[工]
8 月 28 日
12:25
方 28 − 052
泳金メダリストコーチ平井伯昌氏のコーチ行動における研究
○大崎 瑛人(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
藤野 健太(日本体育大学)
日本の競泳競技は世界と戦える数ある種目の一つである。その要因の一つとして、コーチ自身の質の高いコーチングが
挙げられる。Côté ら(2010)は効果的なコーチングによって、アスリートの有能さ、自信、関係性、そして人格に重要
な影響をもたらすと述べている。
また多くの研究者によると、コーチ行動がアスリートのパフォーマンス、幸福感、モチベー
ションの低下へ繋がるとも示唆されている。このことからもコーチがアスリートへ与える影響力は計り知れないものがあ
ると言える。そこで、本研究は結果を出し続けている競泳オリンピック金メダリストコーチの平井伯昌氏のコーチ行動に
着目し、どのようにアスリートに対して振る舞いを行っているかを明らかにした。練習中にビデオ撮影、マイクを付けて
頂き、会話を録音した。それを基に、コーチ経験三年未満の Beginner コーチ数名との振る舞いにどのような違いがある
のかを比較した。これらの結果から、Beginner コーチが Expert コーチに近づくためにはどのようなアプローチをするべ
きかを考察する。コーチ経験年数を問わず全てのコーチがコーチング能力を向上させるための一助となれば幸いである。
方
保
教
人
ア
介
249
哲
史
23
[工]
8 月 28 日
12:40
方 28 − 053
ラグビー指導者の体罰・パワーハラスメントの現状について
埼玉県ラグビー指導者の体罰・パワハラの意識調査より
○益子 俊志(防衛医科大学校)
廣瀬 かほる(防衛医科大学校)
体罰・パワハラの問題が世間を騒がせている昨今、昨年度は大きな社会問題として取り上げられた。その中でもスポー
社
ツ現場での体罰・パワハラについて各競技団体が体罰の対応に追われた。日本ラグビーフットボール協会も通達を出すな
ど動きを見せた。そこで、ラグビー指導現場での意識がどのくらい変化したのか、埼玉県ラグビーフットボール協会に協
力を仰ぎ、体罰・パワハラの意識調査を行った。指導者の年代別、指導する年齢層別など調査した。こちらで設問しそれ
心
生
バ
経
発
が体罰・パワハラに当たるのかそうでないのかの回答を受けた。ほとんどが体罰・パワハラは許されないと答えているが、
少数は指導者と選手の信頼関係があれば許される、保護者の同意があれば許されるなどの回答があった。練習中のいわゆ
るしごき、罰則練習がどこまでパワハラに当たるのかなどの回答も得た。また協会通達を知っているかという設問にも 3
分の 1 は知らないと言う回答であった。今後現場指導者の意識をどのような形、仕組みで改善するか大いに議論が必要
とされる。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 101
ウィンドサーフィン競技におけるボードスピードの多角的な評価方法の構築
○萩原 正大(国立スポーツ科学センター)
石井 泰光(国立スポーツ科学センター)
ウィンドサーフィン競技におけるパフォーマンスの決定要因の一つとして、用具を操作する技術や体力により決定する
「ボードスピード」が挙げられる。ボードスピードは、帆走中の風速だけでなく、ボードの挙動の影響を受けると考えら
れるが、
これらのことを定量して包括的に評価した研究はみられない。本研究では、ウィンドサーフィン競技におけるボー
測
ドスピードとボードの挙動との関連を風速別に検討して、ボードスピードの多角的な評価方法を構築することを目的とし
た。
国内一流のウィンドサーフィン競技選手を対象に、GPS 機能を有したモーションセンサーを用いて、帆走中のボードス
方
保
ピードとボードの挙動に関するデータを測定した。そして、各風速別におけるボードスピードとボードの挙動との関連に
ついて検討した。さらに、ビデオ撮影による帆走動作の局面分けを行い、各局面の特徴や選手間の違いについても比較検
討した。
その結果、風速によってボードスピードが異なり、同じ風速であっても、各選手間のボードスピードやボードの挙動が
異なる様相を示した。このようなボードの挙動を含めた多角的な評価方法の構築は、選手のパフォーマンス向上の一助に
なると考えられる。
教
人
ア
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 102
体育実技における硬式テニスの指導法について
サービスのスピードに着目して
○真田 民樹(明治国際医療大学)
体育実技において、硬式テニスの指導については、テニスの特殊性から技術的要素が大部分をしめる。総合的技術のな
かで、ゲーム開始のサービスは重要な技術である。しかしながら、初心者のサービスはスピードが先行し確立が低くゲー
介
ムが成立しにくく、テニスの楽しさが半減してしまう傾向が多々ある。そこで、サービスの確立を向上させるには、技術
指導とサービスのスピードが重要であると考える。今回スピードガンを用いて、サービスのスピードを測定し、安定した
サービスのスピードを検証した。国体クラスの選手は 130km のサービスを打つが、初心者においては、80km でも早いサー
ビスと言える。そこで、スキルテストとして 10 本中の確立とスピードを測定し、安定したサーブスピードを認識させる
250
09 体育方法
ことでサービス精度を上げる動機付けとなった。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
哲
方 28 − 103
世界ランキング上位国における 7 人制ラグビーと 15 人制ラグビーのタックル様相の比較
史
社
○木内 誠(順天堂大学)
7 人制ラグビーは 2016 年リオデジャネイロオリンピックより正式種目となった。7 人制ラグビーの強化を進めるに当
たっては、客観的証拠に基づいた指導を行うことが重要になるが、7 人制ラグビーの研究は 15 人制ラグビーの研究と比
べて少ない傾向にある。7 人制ラグビーのグランドの広さは 15 人制ラグビーと同様であるが、ゲームに参加している人
心
数は少ないため、7 人制ラグビーは 15 人制ラグビーと比べてディフェンスのスペースが広く、タックルの様相も異なる
と考えられる。そこで本研究では、7 人制ラグビーと 15 人制ラグビーのタックルについて比較することで、7 人制ラグ
ビーのタックル様相を明らかにし、今後の強化につなげる知見を得ることを目的とした。7 人制ラグビーは HSBC Sevens
World Series Tokyo Sevens 2014 のうちの 10 試合、15 人制ラグビーは Six Nations 2014 のうちの 5 試合を対象とした。
分析項目は①タックルの高さ②タックル方向③タックル人数④タックル後のプレー⑤その後のプレー結果、以上の 5 つ
を分析項目として定め、ゲームパフォーマンスを分析した。結果については、当日の発表内容を参照されたい。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
バ
経
方 28 − 104
ハンドボール競技の 1 対 1 局面における防御者の予測的判断
○田口 貴仁(東海大学大学院)
横山 克人(東海大学)
生
栗山 雅倫(東海大学)
ハンドボール競技においてパフォーマンス能力を決する要因として、戦術的能力は極めて重要であり、戦術的能力の構
発
測
成要因は多岐にわたると考えられている。構成要因の一つとして予測的能力が挙げられる。予測的能力には、観察、認知、
判断の過程があり、予測を伴う判断がプレーの善し悪しを左右する一要因と考えられる。そこで本研究では、ハンドボー
ル競技の防御活動における 1 対 1 局面の防御者から見た視点に着目し、防御者の予測的能力を検討することを目的とした。
方
研究方法は、ビデオカメラを用いて 1 対 1 局面における防御者の視線と考えられる位置から攻撃活動を撮影した。撮影
した映像より、攻撃者がボールをキャッチしてから 1 歩目以降、2 歩目以降、3 歩目以降を遮蔽するように編集し、映像
を作成した。作成した映像を競技歴の異なる競技者に見せ、進行方向を回答させ、得られたデータから比較を行った。以
上のことから、競技歴の違いによる予測的能力の優劣について検討した。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
教
方 28 − 105
バドミントンフットワークにおける時空調節について
○杉坂 直輝(愛知教育大学大学院)
保
合屋 十四秋(愛知教育大学名誉教授)
現在、バドミントンにおけるフットワークについての研究はあまり多くない。スイングについての研究はみられるのだ
人
ア
が、実際の試合中におけるスイングは必ずフットワークを伴って行われる。そこで本研究では、相手の打ち出したロビン
グの球に対してどのように落下地点に入り、
どのタイミングでステップを重ねているのか明らかにすることを目的とした。
大学生バドミントン選手 4 名、未経験者 3 名を被験者としフォア奥へのフットワークを行わせ、その様子を高速度ビデ
介
オカメラで撮影した。撮影した映像を Frame-DIAS Ⅳを用いて 3 次元 DLT 法により動作分析を行った。その結果、落下
地点まで 3 歩、4 歩、5 歩、6 歩の 4 パターンが見られた。その中でも出現率の多かった 5 歩のパターンを中心に考察する。
251
哲
熟練者の前後方向の重心移動最高速度は 3 歩目における 2.60m/s だったのに対し、未熟練者は 1.58m/s であった。また、
熟練者においては 4,5 歩目の重心速度が大幅に減少しているため 3 歩目までで落下地点への移動を目的とするフットワー
クを完了していると考えられる。残りの 2 歩でスイングの準備に充てているということが示唆された。
史
社
心
生
バ
経
発
測
方
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 106
中学サッカー部員におけるヘディング能力の実態
○鎌田 安久(岩手大学)
澤村 省逸(岩手大学)
上濱 龍也(岩手大学)
栗林 徹(岩手大学)
清水 茂幸(岩手大学)
浅見 裕(岩手大学)
清水 将(岩手大学)
鈴木 大地(岩手大学)
本研究は、I 県の中学校サッカー部に所属するサッカー部員を対象に、ゲーム分析やスキルテスト、質問紙調査を実施し、
ヘディング能力の実態を調査し、その実態を明らかにすることを目的とした。ゲーム分析、スキルテストの結果から、I
県の中学サッカー部員は、パーフェクトスキルが求められる年代でありながら、ヘディング能力が低いということが示唆
された。また、質問紙調査の結果から、1 年生サッカー部員は、2 年生サッカー部員と比較し、ヘディング嫌いの割合が
有意に多く認められ、その嫌いである理由は「こわい」「痛い」であった。これらのことから、I 県の中学サッカー部員は、
パーフェクトスキルが求められる年代でありながら、ヘディング能力が低く、1 年生は、恐怖心のためにヘディング嫌い
が 2 年生と比較して多く存在するという実態が明らかとなった。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 107
400m 走の前半と後半における疾走動態の比較
○平野 達也(愛知教育大学大学院)
筒井 清次郎(愛知教育大学)
本研究の目的は、
400m 走の前半(150m 地点)と後半(350m 地点)における疾走動態をバイオメカニクス的に分析し、
比較、検討することである。参加者は 400m 走を専門とする男子大学生 5 名であり、主観努力度 100%にて 400m を 2
本、
別日に行った。400m 走のスタートから 150m 地点とスタートから 350m 地点の地面反力を、フォースプラットフォー
保
教
ム(1000Hz)を用いて計測した。それぞれの試技において、側方よりハイスピードカメラ(300Hz)にて疾走動作を撮
影し、2 次元 DLT 法を用いて動作分析を行った。
その結果、400m 走前半に比べて後半の疾走速度およびストライドが有意に低下していた。地面反力においても接地時
間、減速時間においては後半に有意に増加、平均鉛直力においても有意に減少していた。以上のことから、400m 走の前
半から後半にかけて、平均鉛直力が低下し、滞空距離が短くなることでストライドが低下すると考えられ、疾走速度の低
下を抑える一要因である可能性が示唆された。
人
ア
介
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 108
ハンドボールのサイドシュート技術における習熟度の違いについて
○嘉数 陽介(東海大学大学院)
横山 克人(東海大学)
栗山 雅倫(東海大学)
ハンドボール競技におけるサイドシュートは、ゲームの流れを左右する重要な一要因であることが報告されている。サ
イドシュートの局面は、ゴールキーパー(以下、GK とする)と 1 対 1 の状況であるため、GK を欺瞞する能力が必要と
252
09 体育方法
される。サイドシュート決定要因については、様々な先行研究がなされているが、ゴールラインに近い位置からの、角度
が狭いサイドシュートに関する研究は少ない。実践において、防御者が介在するため、常に広い角度からサイドシュート
を打つ状況は困難であり、狭い角度からのシュート局面における技術・戦術的能力は極めて重要である。そこで本研究で
は、シュート踏切角度の狭い位置におけるサイドシュート動作の比較により、習熟度の違いを検討することを目的とした。
研究方法は、シュート踏切位置(角度)を指定し、異なるパフォーマンスレベルの被験者によるサイドシュートを 2 方
向から撮影し、得られた映像により動作解析を行った。本研究の結果より、シュート確率と動作習熟性の間に、関係性が
哲
史
見られた。
社
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 109
小学校における着衣泳授業の指導内容の違い
東京都と北海道の比較
○目黒 拓也(日本大学大学院)
野口 智博(日本大学)
鈴木 淳也(玉川大学)
水資源に恵まれたわが国においては、海浜や河川における着衣状態での水難事故が絶えず、毎年多くの人命が失われて
いる。しかし、小学校学習指導要領解説体育編(平成 20 年 3 月)の中で着衣泳は、
「各学校の実態に応じて取り扱うこと」
となっており、着衣泳の実施は各学校に任されている。筆者ら(2013)は東京都 S 区の公立小学校 10 校の教員を対象
に着衣泳授業の実施調査を行ったところ、道具を使った浮き身 93.2%、水中歩行 87.7% の実施率であった。これらの着
衣泳の技術の習得には、基礎的な泳技能が必要である。しかしながら、屋外プールが多いわが国の学校教育の現場では、
気候によって各地域でプールが使える時期が異なるため、そのことが着衣泳の技術の習得に影響を及ぼすのではないかと
考えた。そこで、本研究では小学校における着衣泳授業の地域差の有無を調べることで、今後の着衣泳の指導内容を検討
するための一資料を得ることを目的とした。調査方法は東京都S区と北海道S市の公立小学校 20 校に対し、2013 年 11
月 27 日から 12 月 10 日の期間で郵送法による質問紙調査を実施した。なお、結果の詳細については学会当日に報告する。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
Mach Drills と疾走動作に関するキネマティクス的研究
英国におけるエリートレベルの短距離選手の事例
井上 伸一(佐賀大学)
1960 〜 1970 年代にかけて疾走動作を習得するための手段として欧米を中心に広く普及した 2 つのドリル練習がある。
これは Gerald Mach 氏のトレーニング理論による A Drill と B Drill で Mach Drills と称されている。本研究では Mach
Drills を日常的にトレーニングのなかで実践している英国のエリートレベルの短距離選手を対象として、疾走動作及び A
Drill、B Drill におけるスウィング脚に着目して 2 次元分析を行った。その結果、腿上げ動作については鉛直線と大腿の
なす最大角度 67.04deg、腿上げ速度 711.39deg/s、引きつけ動作については膝関節の最小角度 29.27deg、最大屈曲速
度 786.05deg/s、振り出し動作については鉛直線と大転子から踵を結んだ線の最大角度 34.84deg、膝関節の最大伸展速
度 1122.37deg/s、そして振り戻し動作については大転子と踝を結んだ線のなす最大角速度 423.54 deg/s であった。そ
して、これらの分析結果と A Drill、B Dril との関係について検討し競技力向上のための示唆を得るとともに指導への摘要
を考えていく。
生
バ
経
発
測
方 28 − 110
○八嶋 文雄(北九州工業高等専門学校)
心
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保
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介
253
哲
史
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 111
主観的努力度にともなう疾走速度の変化
○篠原 康男(神戸大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
前田 正登(神戸大学)
走能力の向上を目的として、主観的努力度を用いた走トレーニングはよく用いられている。これまでも主観的努力度と
社
疾走の関連性について検討がなされてきたが、疾走の一部始終を対象とした検討はあまり見当たらない。本研究では、主
観的努力度が疾走中の速度様態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。被験者は、陸上競技経験のある男子大学
生 7 名(以下、陸上競技群)と、陸上競技経験のない男子大学生 6 名(以下、非陸上競技群)とした。被験者には、努
心
生
力度で 100% を全力疾走とした時の 50%、70%、90%、および 100% の 4 つの努力度による疾走を行わせた。試技は、
スタンディングスタートからの 50m 走とし、努力度は疾走の一部始終に反映させるように指示した。各試技において、
被験者が疾走を開始してから終了するまでの被験者の疾走速度をレーザー式速度測定器(LDM301S; JENOPTIK 社製)に
より測定した。得られた疾走速度曲線を用いて、疾走中の局面分けを行ったところ、陸上競技群は加速局面の長さに努力
度を反映させているものと考えられた。一方、非陸上競技群では、疾走中の各局面の割合を様々に変えることで努力度を
反映させているものと考えられた。
バ
経
発
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 112
サッカー競技における「パスの質」に関する一考察
○中村 泰介(園田学園女子大学短期大学部)
中村 公美子(平安女学院大学)
松山 博明(大阪成蹊大学)
日本サッカー界において「パスの質」の向上は、世界トップレベルで戦うために克服しなければならい喫緊の課題であ
測
る。個のレベル向上はもちろんのこと、
2010 年 FIFA W-Cup 或いは、ロンドンオリンピックのテクニカルレポートでは
「組
織として戦えたチームが勝ち残っている」という分析の報告がある。つまり、攻守にわたる集団のスキルのさらなるレベ
ルアップ、とりわけ攻撃のビルドアップやアタッキングエリアにおける「パスの質」の向上は、育成年代の時期から取り
方
保
組まれなければならない喫緊の課題なのではないだろうか。ここでいう「パスの質」とは、単に「出し手」から送りださ
れるボールの軌道の質だけではなく、
「受け手」のプレー(ファーストタッチ・サポート)も強く影響するものである。
以上のような問題意識のもと、本報告は、報告者(中村)らの調査研究を参照しつつ「出し手」と「受け手」の関係性
を、指導者のコーチングメソッドやプレーイメージの分析(公式ゲーム・トレーニングゲーム・トレーニング・聞き取り
等)及び選手のプレーイメージの分析を通じ(詳細は当日報告する)、「パスの質」向上の手がかりの一つを見出すことを
目的とする。
教
人
ア
介
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 113
日本女子トップレベルのバスケットボール選手における試合中の移動距離及び移動速度
○山田 洋(東海大学体育学部)
小山 孟志(東海大学スポーツ医科学研究所)
小河原 慶太(東海大学体育学部)
陸川 章(東海大学体育学部)
長尾 秀行(東海大学大学院総合理工学研究科)
本研究では日本女子トップレベルのバスケットボール選手を対象として試合中の移動距離及び移動速度を算出し、体力
的特徴の検討・トレーニングへの示唆・戦術構築の一助となる知見を得ることを目的とした。第 77 回皇后杯全日本総合
バスケットボール選手権大会準決勝 J チーム対 D チームを分析の対象とし、2 台の定点カメラでセンターラインを境にコー
トを二分して撮影を行った。分析には、映像解析ソフト(Frame DIAS Ⅴ、DKH 社製)を用いて、DLT 法を用いた二次元
254
09 体育方法
映像解析を行った。各ポジションの平均移動距離は、G(ガード)が 1339.5m ± 66.5m、F(フォワード)が 1329.1m
± 49.4m、C(センター)が 1231.1 ± 6.3m であり、各ポジションで有意な差は見られなかった。各ポジションの移動
速度の分類では、どのポジションにおいても 0m/sec は約 10%、0 ~ 1.5m/sec は約 40%、1.5 ~ 2.0m/sec は約 10%、
2.0 ~ 3.0m/sec は約 15%、3.0 ~ 4.0m/sec は約 10%、4.0 ~ 5.0m/sec は約 7%、5.0m/sec ~は約 8%であり、ポジショ
ン間で有意な差は見られなかった。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
史
社
方 28 − 114
アウトリガーカヌーのパドリング動作に関するキネマティクス的研究
○藤原 昌太(東海大学)
小河原 慶太(東海大学)
川邊 保孝(東海大学)
長尾 秀行(東海大学大学院総合理工学研究科)
山田 洋(東海大学)
小林 俊(東海大学)
アウトリガーカヌーは、船体の外側にアウトリガーと呼ばれる転覆防止用の舷外浮材が張り出した形状をしており、シ
ングルブレードパドルを用いて漕ぐカヌーである。ポリネシア文化圏で盛んなスポーツであるが、日本では知名度も低く、
その研究はほとんどない。
本研究では、カヌーを推進させるための技術的要因の一つであるパドリング動作に着目し、技術向上のための一助とな
るような知見を得ることを目的とした。経験者 5 名、未経験者 7 名、計 12 名を分析の対象とした。動作の記録にはモー
ションキャプチャシステム(Motion Analysis 社製)を用いた。ボート練習用のローングエルゴメーター(コンセプト型式)
にアウトリガーカヌーのパドルを取り付け、パドリング動作を行い、50rep/min 時におけるパドルの軌跡についての分
析を行った。その結果、経験者と未経験者のパドリング動作において、パドルのフィニッシュ位置、最大高さ位置、大転
子横通過位置の左右方向の座標値に有意な差が見られた。つまり経験者は未経験者に比べ、船体により近い位置でパドリ
ングを行っていることが示唆された。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
哲
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経
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測
方 28 − 115
テニスにおけるフォアハンドジャンピングショットに関する研究
○長尾 秀行(東海大学大学院総合理工学研究科)
小河原 慶太(東海大学体育学部)
心
山田 洋(東海大学体育学部)
テニス競技におけるファオアハンドストロークについては、世界で活躍している選手の代名詞となった「エア K」
(ジャ
ンピングショット)が近年注目されている。通常のフォアハンドストロークの研究は多く見受けられるが、このジャンピ
ングショットは新しく生まれた技術であり、多くの研究はなされていない。そこで本研究は、通常のファオアハンドスト
ローク(Normal)とフォアハンドジャンピングショット(AirK)の動作を比較し、その違いを明らかにすることを目的
とした。大学男子硬式テニス部 10 名を対象に Normal と AirK 動作をハイスピードカメラを用いて記録し、スピードガン
を用いて球速を測定した。球出しは専用の機械を用いて行い被験者毎に相対的に同じ位置にボールが跳ぶようにした。試
技はハードコートで行わせ、記録した動作から 3 次元 DLT 法によって身体各部の位置座標を算出した。分析の結果、球
速は AirK の方が Normal よりも有意に大きな値を示したが、腕のスウィングスピードは打法間で有意差は認められなかっ
た。また、ショットのインパクトは、AirK の方が Noema よりも有意に重心位置が高く、時期も早かった。
方
保
教
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ア
介
255
哲
史
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 116
血中乳酸濃度を指標としたウォーミングアップの強度の違いが 30 秒間全力ペダリング運
動の成績に及ぼす影響
○三本木 温(八戸学院大学人間健康学部)
本研究では、陸上競技の 400m 走などの高強度運動のための至適なウォーミングアップについて明らかにするために、
社
ウォーミングアップ後の血中乳酸濃度(La)を手掛かりとして、ウォーミングアップの運動強度の違いが自転車エルゴメー
タによる 30 秒間全力ペダリング運動の成績に及ぼす影響について検討することを目的とした。大学陸上競技選手 8 名を
対象にして、多段階負荷方式により 20 秒間の自転車ペダリングを行わせて、個人ごとに La と運動強度との関係を求めた。
心
生
バ
経
発
その後、La が 3mmol、6mmol、および 12mmol に相当する運動強度による 20 秒間・3 セットのペダリング運動からな
るウォーミングアップを行わせた後に、体重の 7.5%に相当する負荷での 30 秒間全力ペダリング運動を行わせた。その
結果 30 秒間全力ペダリングにおける平均パワー、ピークパワーおよびピーク回転数は、La が 6mmol に相当する運動強
度でのウォーミングアップ後に行った試技において最も高い値を示した。これらの結果から、短時間・高強度運動のため
のウォーミングアップは運動強度をやや高めにして行うのが望ましいことが示唆された。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 117
インラインホッケーのコーチングに関する研究
アイスホッケーとの比較から
○髙川 泰至(日本体育大学)
青柳 徹(日本体育大学)
コーチのよいとされるコーチングには、コーチングを行う競技の専門的知識が不可欠である。
(Cote&Gilbert,2009)ま
た、プレーヤーに与える影響はコーチの哲学観によって大きく影響すると言われている。(Lyle,2002)
筆者自身大学のインラインホッケークラブのコーチとして活動しているが、インラインホッケー競技におけるスキル指
測
導などの研究はなされておらず、スキル指導の場面では、アイスホッケーのスキル指導法を応用し行っているのが現状で
ある。しかし、ルールや試合での出場人数、防具なども異なりインラインホッケーの専門的な知識がもとでの指導とはい
いがたい。よって本研究では、インラインホッケーとアイスホッケーとを比較し、インラインホッケーの専門的知識・技
方
保
教
人
術を調査するものである。インラインホッケー選手に両競技歴などの質問紙調査を行い、その結果からインタビュー者を
選定しインタビューを行い、質的分析によってインラインホッケーとアイスホッケーとの類似点と相違点を考察する。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 118
指導者の運動能力と他者評価の関連性
開脚跳びを事例として
○菅浪 萌(横浜国立大学大学院教育学研究科)
海老原 修(横浜国立大学大学院教育学研究科)
体育やスポーツ指導の現場では、バイオメカニクスや生理学的手法による評価は極めて困難であり、指導者の独断的判
断に委ねられている部分が非常に大きい。したがって、指導者は運動動作のそれぞれについて良し悪しの判断ができなけ
ればならない。ある動作対象についてそれを詳細に判断するには、指導者自身がその動作を巧みに実演できる場合に限ら
ア
れるという考え方がある。五輪の選手のコーチに選手時代の功績を求めるのがそれである。しかし、指導者が実際の動作
を実演できれば、必然的に他者の動作の微妙な差異まで検知できるという理論は成立し得るのだろうか。
本研究の目的は、運動動作における指導者自身の実演動作の可否と他者の運動動作の評価の関連性を考察することにあ
介
る。優劣や巧拙への評価のずれが一同をして大差が生じない対象動作として開脚跳びを取り上げた。撮影した複数の開脚
跳び動作から無作為に抽出した映像について、全体の動作に対する評価と、予め作成した局面別動作分析観点のそれぞれ
について被験者が判定した。
256
09 体育方法
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 119
コーチのリーダーシップの取り方とアスリートの接近動機・回避動機の関係
○古木 里香(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
関根 慧(日本体育大学大学院)
本研究は、コーチのリーダーシップの取り方とアスリートの接近動機・回避動機の関係を明らかにすることを目的と
した。研究方法は、Survey Monkey と呼ばれるオンラインアンケートを採用し、日本語版 Leadership Scale(Yashiro、
哲
史
社
2008)
(以下 LSS)と、BAS/BIS 尺度(高橋ら、2007)を用いて調査を実施した。Horn(2008)は、コーチの振る舞い
がアスリートのパフォーマンスならびにアスリートの心理的もしくは感情的な幸福に重要な影響を及ぼすと述べている。
Côté と Gilbert(2009)は、コーチの知識と振る舞いにはアスリートの精神的な側面に重要な影響があることを、LSS を
用いた調査が示したと述べている。また BAS/BIS 尺度は、アスリートの行動抑制系と行動賦活系を示すためアスリート
の接近動機と回避動機の傾向を示すと考えられる。
この二種類の尺度の結果を分析し、アスリートが認識するコーチのリー
ダーシップの取り方とアスリートの接近動機・回避動の関係を考察した。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
心
生
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方 28 − 120
110m ハードルのセルフコーチングに関する研究
○粟野 祐弥(日本体育大学)
陸上競技において大学生から社会人選手のアスリートでは指導者(コーチ)に専門的な指導を受けたり、マンツーマン
で一貫した指導を受ける事が可能な環境を持つアスリートは少ない。そのため、多くのアスリートがパフォーマンス(記
経
発
録)向上の為に自ら考え、
実践しながらトレーニングをおこなっているのが現状である。その中で自己記録を更新したり、
成績を向上させているアスリートが多くいるが、思うように成績を残すことができていないアスリートも少なくない。そ
して、自分自身もまた現役のアスリートとしてトレーニングをおこなっている中で、指導者(コーチ)の指導なしで自ら
測
のパフォーマンス(記録)を向上させていくには自分に対して効果的なセルフコーチングをおこなうことのできるコーチ
ング能力と理論が必要であると考えられる。
本研究では、パフォーマンス(記録)向上のために効果的なセルフコーチングをおこなうことができるようにし、自ら
のコーチング能力を高めていくことで今後に役立てていくことを目的とする。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
保
方 28 − 121
7 人制ラグビーのゲーム分析
攻撃パターンと守備のポジショニングに着目して
○岡西 康法(大阪体育大学大学院)
方
梅林 薫(大阪体育大学)
石川 昌紀(大阪体育大学)
教
人
2016 年のリオデジャネイロオリンピックから男女共に 7 人制ラグビーが、正式競技として採用されることが決定した。
出場枠は 12 か国となり、日本が出場枠を獲得するためには更なる強化が必要となる。
本研究では、7 人制ラグビーのゲーム分析を行い、強豪国の攻撃に対する守備のポジショニングの特徴を明らかにする
ア
ことを目的とした。2012 年にニュージーランドで行われた男子エリートチームの 14 試合のゲーム分析から、攻撃パター
ンの分類、守備のゲインラインに対するポジショニングの分類とその守備に要した時間、その守備の成否について、勝敗
別にチームごとの守備時間を算出した。その結果、15 人制ラグビーとは異なり、7 人制ラグビーではパスを回す展開型
介
で攻撃する特徴がみられ、その攻撃に対する守備ラインがゲインラインから自陣側で守備を行うポジショニングが勝利
チームの特徴として確認された。
257
哲
史
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 122
三段跳における身体重心速度の減少を抑制する動作要因
ホップ局面に着目して
○鈴木 雄貴(中京大学大学院)
桜井 伸二(中京大学)
三段跳における先行研究では、踏切による身体重心速度の減少を抑制することが跳躍距離を増大させるための課題であ
社
ると報告されている。特に最大速度で踏み切りが行われるホップ局面においてこの課題を克服することが総跳躍距離の増
大に寄与すると考えられる。本研究の目的は、ホップ局面に着目し進行方向の身体重心速度の減少を抑制する動作要因に
ついて検討し、指導現場に活かせる知見を獲得することである。被験者は公認陸上競技大会に参加した男子三段跳選手
心
生
バ
経
発
26 名(13m50-15m34)とし、2 台のデジタルビデオカメラ(60Hz)を用いて撮影した。3 次元 DLT 法によって得られ
た身体各部の座標データから身体重心速度、水平速度の減少値、接地距離、膝関節、大腿部、下腿部の角変位および角速
度を算出した。接地距離は接地した瞬間の踵と重心の水平距離である。大腿部、下腿部の角変位は矢状面における矢状軸
と大腿部、下腿部のなす角の接地から離地までの変位である。以上により、踏切における身体重心速度の減少値と動作的
変数の関係について検討した。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 123
高校ラグビーにおける練習内容の理解を深めるツールの活用実践
デジタルペン(エコー・スマートペン)による実践研究
○鈴木 大輝(東北大学大学院)
北村 勝朗(東北大学)
練習時間や場所が限られているなどの、環境的弱者のチームは、練習の質をいかにして高め、効率よく選手の能力を伸
ばしていくかが、大切なポイントとなる。いかに科学的に有効性が確認されている練習を実施しても、正しく理解し、正
しい姿勢で実施しなければ、その練習の質を最大限まで高めることはできない。
測
本研究では、
公立高等学校運動部において、
音声と手書きメモが保存可能で転送による共有可能なデジタルペン(エコー・
スマートペン)の活用が、練習の質やチームパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのかを解明し、練習の質を最大限
に高めることを目的とする。
方
保
教
人
ア
調査は高校ラグビー部を対象とし、
デジタルペンによって作成された練習用ノートを選手たちに配布し、活用実践を行っ
た。また、実践の前後に、練習内容の理解に関するインタビューを行った。分析の結果、指導者および選手同士が練習用
ノートの音声付きメモを、練習メニューの事前理解や、繰り返し復習に活用することで、練習の目的を共有し、正しく理
解することが可能となり、練習の質やチームパフォーマンスを向上させるためのツールとして、有用であることが明らか
となった。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 124
サッカーにおけるタレント発掘
○松尾 元太(大阪体育大学)
本研究の目的は、
「よりテクニカルに、スピーディーに、タフに、そしてコレクティブ」に進化するサッカーにおいて、
トップレベルの選手になるために必要とされる体力要素を明確にする。
また、ジュニア期からプロ選手になるまでの発達発育段階について明らかにし、タレント発掘の手法を考察する。
介
被験者は、J 下部組織に所属する選手を対象とした。過去 5 年のフィジカルテストのデータ、① 10m,20m,30m 走②
10mx5 走③立ち 5 段跳び④ yo-yotest の項目を横断的かつ縦断的に観る中で、トップレベルになるためには体力的な側
面から観ると、スピードとパワー、持久力だけではなくコーディネーションがキーワードになることが示唆された。
258
09 体育方法
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 125
ボクシングに関する心理的側面の研究
○小林 玄樹(東海大学大学院)
高妻 容一(東海大学)
哲
史
本研究の目的は、先行研究が少ないボクシングという競技を取り上げ、ボクサーの心理的側面の基礎データを収集する
と同時に、ボクサーに対してメンタル面強化を実施すれば、ポジティブな影響が認められるだろうという仮説を検証する
ことであった。そこで本研究は、第 1 段階で東日本ボクシング協会に所属する 3 つのボクシングジムの 94 名の選手を対
社
象にして心理的競技能力診断検査(DIPCA.3)及びアンケート調査を実施し、ボクサーの心理的側面を分析した。第 2 段
階では、メンタル面強化実施群と非実施群に継続した調査を実施し、6 か月後に 2 回目の調査、12 か月後に 3 回目の調
査を実施した。対象者は、メンタルトレーニング・心理的サポートを実施したメンタル面強化実施群 42 名(15 − 33 歳)
と、メンタル面強化を全く実施しなかった非実施群 40 名(13 − 43 歳)とした。3 回のデータ収集ができた選手のデー
タを比較分析した結果、メンタル面強化実施群にポジティブな影響を与えたことが検証できた。また内省報告から、実施
群はほとんどがメンタル面強化にポジティブな回答をし、戦績という面からも大きな向上が観察できた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
生
バ
方 28 − 126
方向転換動作のパフォーマンス改善のためのトレーニング法とチェック法に関する研究
大学アメリカンフットボール選手におけるリバウンドジャンプ能力と方向転換能力の関係
○有賀 誠司(東海大学スポーツ医科学研究所)
藤井 壮浩(東海大学体育学部)
心
小山 孟志(東海大学スポーツ医科学研究所)
本研究は、アメリカンフットボール選手の方向転換動作を改善するためのトレーニング法とチェック法について検討す
経
発
ることを目的とした。大学男子アメリカンフットボール選手 40 名を対象として、マットスイッチ上にて両足及び左右の
片足で連続 5 回のリバウンドジャンプ動作を行わせ、伸張-短縮サイクルの機能の指標となるリバウンドジャンプ指数
(以
下 RJ-index)を算出し、直線走(10 ヤード及び 40 ヤードダッシュ)
、方向転換走(プロアジリティテスト、スリーコー
測
ンテスト)、スクワット及びパワークリーン 1RM、垂直跳び及び立ち幅跳びとの関連について検討を行い、次のような
結果を得た。1)スキルポジション群の RJ-index は、ライン群よりも有意に高い値を示した。2)RJ-index と身長、体重、
体脂肪率、除脂肪体重との間にはいずれも負の有意な相関が認められた。3)RJ-index と直線走(10 ヤード走と 40 ヤー
ド走)及び方向転換走(プロアジリティテストとスリーコーンテスト)との間には有意な負の相関が認められた。4)RJindex とパワークリーン 1RM 体重比との間には有意な正の相関が認められた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 127
映像の遅延呈示を実現する各種手法の比較と検討
○和田 智仁(鹿屋体育大学)
高橋 仁大(鹿屋体育大学)
方
保
教
人
運動スキルの学習場面において、学習の促進を目的に運動時のビデオ映像を即時的に学習者にフィードバックすること
が行われている。特に、撮影する映像を一定の時間だけ送らせて常に再生する遅延呈示では、撮影と再生の手続きを大幅
に簡素化できるため、体育・スポーツの現場で多く用いられるようになっている。
ア
遅延呈示を実現する方法としては、遅延専用の装置を使用するもの、PC のソフトウェアによるものなど比較的古くか
ら用いられている手法をはじめ、近年ではタブレットやスマートフォンのアプリケーションによるものなども登場して
いる。カメラの高解像度化やデジタル化、機器の端子群の変化など従来の手法が使いづらい状況も生まれている一方で、
介
DVD レコーダのような DVR(Digital video recorder)と呼ばれる機器が普及するようにもなった。セキュリティ用途に
開発されている DVR の中には、高精細映像の遅延再生をはじめ、ネットワークを経由した映像閲覧が可能なものも販売
259
哲
史
社
心
されている。これらをタブレットでの再生と組み合わせて使用すれば可搬性の高い遅延呈示が可能となり、活用の幅が広
がると考えられた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 128
バスケットボールのテーブルオフィシャルズ技能向上への実践事例
ルールの理解度向上の取り組みによる効果
○三浦 健(鹿屋体育大学)
木葉 一総(鹿屋体育大学)
大学バスケットボールインカレ予選 4 試合においてテーブルオフィシャルズ(TO)を担当した者 14 名を対象に、1 回
目の TO 実施直後にルールの理解度の調査を実施した後、誤答について直接解説し、ルールを十分に理解させた上で翌日
の TO を前日と同じ役割で実施してもらい、1 回目と 2 回目の TO のミスの回数、原因の変化を検証した。同時に TO に
生
バ
経
発
測
方
関するルールの指導の効果についてのアンケート調査を行い、指導前後の意識の変化を比較した。TO 担当者のルールの
理解度の正答率は 75.2 ± 15.6% であった。インカレ出場を決める重要な大会において、正答率 100% で TO に臨むべき
であるが、この結果は不十分な数値だった。1 試合当たりの平均ミス回数は、指導前 3.0 ± 2.3 回から、指導後 1.0 ± 0.8
回へと減少した。ミスの要因について、指導前はルールの理解不足によるものが 0.8 ± 1.0 回、集中の欠如によるものが
2.3 ± 1.5 回であったが、
指導後はルールの理解不足が 0 回、集中の欠如が 1.0 ± 0.8 回とどちらの要因も減少した。また、
指導前後に実施したアンケート調査でも、大部分の項目で指導後において好意的な数値を表し、今回の取り組みが TO 担
当者に対して効果的なものであったと考えられた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 129
バスケットボールハーフコート・ディフェンスのポジショニング評価の経験年数・競技水
準による違い
○川面 剛(九州共立大学スポーツ学部)
青柳 領(福岡大学スポーツ学部)
八板 昭仁(九州共立大学スポーツ学部)
【緒言】バスケットボールのハーフコートでのポジショニングは誰もが認める望ましいポジショニングがある反面、コー
チや監督の価値観、
選手個人の身体的特徴・運動能力などの影響を受けると考えられる。本研究ではハーフコート・ディフェ
ンスのポジショニングに対する評価の経験年数・競技水準による違いについて検討する。【研究方法】対象者は九州学生
保
教
人
ア
介
バスケットボール連盟 1 部と 2 部に加盟している男子 110 名、女子 82 名の計 192 名である。ポジショニングの評価を
行う項目は、カットインプレイ 3 項目、オンボールスクリーン 5 項目、オフボールスクリーン 7 項目、ドリブルスクリー
ン 3 項目、アウトサイドスクリーン 4 項目の計 22 項目で、当該プレイの開始前とプレイ後のオフェンスとディフェンス
のポジショニングの様子を図示した用紙にそのディフェンスの評価をディフェンス側から見て 5 段階で評価してもらっ
た。評価得点を経験年数、社会学校区分、レギュラーかそうでないか、出場大会別に集計し、平均値の差を分散分析した。
【結果】結果、競技水準が低く、経験年数が短いほど、評価がディフェンスのポジショニングの評価が高い、つまり、
「甘
い」傾向が見られた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 130
バスケットボールゲームにおける勝敗に対するディフェンスプレイの貢献度
―第 44 回全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会男子を対象にして―
○案浦 知仁(福岡大学スポーツ健康科学研究科)
青柳 領(福岡大学スポーツ科学部)
バスケットボールにおけるプレイにはその成否が大きく勝敗に貢献するものがある反面そうでないプレイも存在する。
多くの研究はオフェンスの各プレイの貢献度を評価している。しかし、バックコートからフロントコートへボールが運ば
260
09 体育方法
れ、最終的にシュートに到るまでの過程での全てのプレイの貢献度を評価するために今回はディフェンスに注目し、ディ
フェンスプレイの勝敗への貢献度を統計学的に検討するのが目的である。対象は第 44 回全国高等学校バスケットボール
選抜優勝大会の男子ベスト 8 以上のチームの計 8 ゲームである。これらを対象にボールマンへのプレッシャーの成否、
レシバーへのプレッシャーの成否、ディフェンスリバウンドの獲得回数など 42 項目を記録し、試合ごとに勝利チームの
プレイの頻度から負けチームのプレイ頻度の差を求め、さらに平均と標準偏差を求め、それをもとに T スコアを求めた。
結果、勝利チームの中で T スコアが最も大きかったのはディフェンスリバウンド(T スコア =61.7)で、以下、3 点シュー
哲
史
トの成功数(59.4)
、アシストの有無(59.4)
、プレッシャーがある状況下での 2 点シュート成功数(58.5)などが試合
社
において勝敗に大きく影響していた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 131
ジュニア競泳選手へのトレーニング指導法の検証
―選手参加型研修受講者の DIPCA の変化―
○野口 智博(日本大学)
目黒 拓也(日本大学大学院)
鈴木 淳也(玉川大学)
武田 篤(日本大学大学院)
競泳の競技力向上のためのトレーニング・プログラムは、多くの場合コーチが作成し、それを選手に提示して、そのま
ま実施される。そのため、選手のコーチに対する依存は高まる反面、コーチの指示に従えるかどうかは、コーチと選手の
信頼関係にも様々な影響をおよぼす。中澤ほか(2003)は、地域強化事業に参加したジュニア競泳選手を対象に、コー
チ需要と心理的競技能力の関連性を調べた結果、コーチの資質が選手の心理的競技能力に影響をおよぼしていることを明
らかにした。さらに心理的競技能力の高さも、
トレーニングの継続に影響をおよぼしていることを明らかにした。そういっ
たことから、選手強化の一助として行われる様々なイベント(研修会やスイムクリニックなど)は、日々の練習への参加
継続を促したりコーチ需要を高める必要がある。
筆者ら
(2013)
は、
2013 年度に選手参加型講習が心理的競技能力診断テスト(DIPCA)の総合得点等を有意に増加させた。
心
生
バ
経
発
本試行ではその経験をもとに、強化トレーニングについても選手が自ら参加するよう意図した研修会を開催し、その前後
に DIPCA を用いて心理的競技能力の変化を調べた結果、興味深い知見を得たので報告する。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 132
測
方
走幅跳における助走速度増大の教示が助走および跳躍距離に与える影響
○熊野 陽人(鹿屋体育大学大学院)
大沼 勇人(鹿屋体育大学大学院)
居石 真理絵(鹿屋体育大学大学院)
松林 武生(国立スポーツ科学センター)
松尾 彰文(鹿屋体育大学)
平野 裕一(国立スポーツ科学センター)
一般的に行われている走幅跳のトレーニング・研究ともに、踏切準備及び踏切技術などを対象にしたものがほぼ全てを
占める。一方、跳躍距離と助走速度との間には高い相関関係があり、跳躍距離向上には技術的要素だけでなく助走速度の
向上が必要不可欠であると考えられる。そこで本研究では、選手が通常行っている助走よりも助走速度を増大するように
教示することで、助走速度が向上し且つ跳躍距離が向上するとの仮説を立て、それらを検証することを目的とした。被験
者は、男子学生走幅跳選手 11 名(測定時のシーズン最高記録:7.02 ± 0.23m)であった。被験者には、①通常行って
いる全助走跳躍、②通常よりも助走速度を増大するように教示した全助走跳躍、の 2 種類を行わせた。これらの試技に
おける跳躍距離、助走速度、ステップ長、ピッチを比較した。その結果、跳躍距離、最高助走速度、踏切線地点速度にお
保
教
人
ア
いて、教示後の試技の方が通常跳躍よりも有意に高くなっていた。このことより、走幅跳選手が通常行っている助走には
速度向上の余地があり、より速度を増大させる意識を持つことが跳躍距離向上に繋がる可能性が示唆された。
介
261
哲
史
社
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 133
コーチの振る舞いに関する系統的観察
○吉岡 麻里子(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
米地 徹(日本体育大学)
コーチの振る舞いに関する評価方法は現在まで Smith, Smoll, & Hunt(1977)の The Coaching Behavior Assessment
System(CBAS)や Chelladurai & Saleh(1978,1980)の Leadership Scale for sports(LSS)などいくつも紹介され、
調査・
研究されてきている。コーチの振る舞いに関しての研究は行われていても、その振る舞いがアスリートにどのような影響
心
生
を及ぼしているのかを示すものは管見することができない。この研究は、コーチとアスリートの関係評価をコーチの振る
舞いに焦点を当てて調査するものである。
コーチがアスリートに行うアプローチをビデオ撮影するとともに会話を録音し、
その中から 1 対 1 の場面を抜き出し観察を行った。コーチとアスリートが比較的近い距離で会話をしている間に見られ
るコーチの頭や手の動き、傾聴姿勢などにポイントを絞り、これらのコーチの振る舞いがアスリートにどのような影響を
及ぼしているか、コーチ、アスリートの双方にインタビューを行い、それぞれの考えを比較した。これらの結果から、コー
チはどのような振る舞いをすればアスリートとよりよい関係を築くことができるかを考察する。
バ
経
発
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 134
ハンマー投におけるレジステッドトレーニングの有効性の検討
○廣瀬 健一(筑波大学大学院)
尾縣 貢(筑波大学)
大山卞 圭悟(筑波大学)
体重や空気抵抗などの外的負荷を増大して運動を遂行する方法は、一般にレジステッドトレーニング(resisted
測
training)と呼ばれ、過負荷を与えることでその運動に特異的な筋力要素の改善を目指すものであるとされている。ハン
マー投においても同様に、ハンマーの重量を変化させたトレーニングは指導書等で推奨されているが、重量変化がもたら
す具体的な影響に関しては詳細に検討されていない。本研究では高重量ハンマーによる投トレーニングの有効性を検討す
方
保
るために、高重量ハンマーによる試技の特性を明らかにすることを目的とした。ハンマー投を専門とする男子投てき競技
者 16 名(年齢 22.25 ± 2.82 歳、競技歴 6.94 ± 2.82 年、身長 178.99 ± 5.18cm、体重 103.08 ± 13.38kg、自己ベス
ト記録 60.24m ± 5.04)
を対象とし、
3 台のカメラを用いて三次元動作解析した。高重量ハンマーの重量を 8.0kg に設定し、
全ての被験者は正規重量ハンマー、高重量ハンマーの順で試技を行った。その結果、競技パフォーマンス(正規重量試技
53.80 ± 3.69m、高重量試技 49.56 ± 4.01m)間に有意差が認められた。キネマティクスデータ等、詳細な分析結果は
当日ポスターにて報告する。
教
人
ア
介
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 135
日本と内モンゴルの児童の学校生活における活動水準の比較
○包 明蓮(広島大学大学院教育学研究科)
黒川 隆志(広島大学大学院教育学研究科)
西山 健太(広島大学大学院教育学研究科)
明石 啓太(広島大学大学院教育学研究科)
大塚 道太(広島大学大学院教育学研究科)
森木 吾郎(広島大学大学院教育学研究科)
足立 達也(広島大学大学院教育学研究科)
本研究では日本と内モンゴルの児童の学校生活中の活動内容と活動水準を比較することにより、日本と内モンゴルの児
童の学校生活や体育授業において身体の発育発達に有効な運動刺激が確保されているか否かを明らかすることを目的とし
た。被験者は日本と内モンゴルの 5 年生の各 30 名であった。活動水準の指標として心拍数(HR)モニターを用い、登
262
09 体育方法
校時から下校時まで 7 時間 27 分継続して 5 秒間隔で HR を測定した。学校生活中には日本で 45 分、中国で 40 分の体
育授業が含まれ、全力法で 800m を走った。日本と内モンゴルの児童の学校生活中の HR は、61-80bpm において 8.3%
と 1.5%(p<.01)
、81-100bpm において 33.8% と 27%、101-120bpm において 34.5% と 34%、121-140bpm において
13.5% と 24.2%(p<.01)
、141-160bpm において 4.4% と 9.1%(p<.01)、161-180 bpm において 2.5% と 2.7%、181200bpm において 2.4% と 1.1%(p<.01)
、201-220bpm において 0.6% と 0.4% であった。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
史
社
方 28 − 136
棒高跳の助走におけるポール操作と疾走動作の関係
○多久 優麗花(日本大学大学院)
青山 清英(日本大学)
澤野 大地(富士通)
棒高跳の助走速度と跳躍高との間には高い相関関係があり、棒高跳の跳躍の成功は助走によって決まるとされている。
『良い助走』をするためには、助走速度、姿勢、リズム(ストライド・ピッチ)、ポール保持の技術が重要である。これま
で、棒高跳の助走に関しては、ポール操作と助走速度、ピッチ、ストライドの関係について研究が行われており、ポール
降ろしによってピッチと助走速度の増加が得られると報告されている。このためポール操作に伴って、身体がどのような
動作変容をしながら助走速度やピッチを増加させていくのかを明らかにすることは、実際の指導において基礎的な知見と
して大変重要と考えられる。
そこで本研究では、棒高跳において助走全体をポールの傾きを基点として考え、前半・中間・後半の 3 つの局面に分け、
ポール操作に伴った助走の構成を速度、ストライド、ピッチ、疾走動作の観点から検討することを目的とした。被験者は、
陸上競技棒高跳を専門とする男子 10 名を対象として、トラックでのポール助走(全助走)の試技を用いた。結果につい
ては学会当日、ポスターにて報告する。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
哲
方 28 − 137
運動部活動において体罰経験のある学生は「体罰容認傾向」と「スポーツ指導者志向」が強い
全国大学体育連合「運動部活動等における体罰・暴力に関する調査」報告(1)
○北 徹朗(武蔵野美術大学 身体運動文化)
中山 正剛(別府大学 短期大学部)
高橋 宗良(杏林大学 保健学部)
小林 勝法(文教大学 国際学部)
運動部活動での人権侵害を根絶させるためにも、将来学校において運動部活動の指導者となる可能性のある大学生の意
識や実態を把握することが必要であると考え調査を試みた。調査は大体連が会員校の協力を得て実施し、体育・スポーツ
を専攻しない学科に在籍する 2883 名(部活経験者 2623、未経験 260)を対象に、2013 年 9 月 1 日から 10 月 31 日
に実施した。体罰経験群(342 名)は未経験群に比べ「将来運動部活動等のスポーツ指導者になりたい」
(強くそう思う、
そう思う)と回答する割合が有意に高かった(p<0.000)。「体罰容認の傾向」も体罰経験群に多く認められた(p<0.000)
。
また、部活動未経験者も 26.9%が「場合によって体罰は必要」と回答した。体罰が認められる具体的な場面として「危
険な行為をした場合」
、
「礼節が守れない場合」
、
「チームの規律を乱した場合」、
「日常生活で不適切行為があった場合」
、
「無
気力なプレーをした場合」という内容への回答率が、群間を問わず高かった。こうした結果から、体罰根絶に向けては運
動部活動やその指導に直接関わらない、生徒や教員、保護者への啓発活動も必要であることが示唆された。
心
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発
測
方
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介
263
哲
史
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 138
日本の新体操競技が世界トップレベルに進出するための一考察
トップアスリートとその育成に携わっている指導者に着目して
○穴久保 璃子(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
新体操個人競技は、1984 年オリンピックロサンゼルス大会での 8 位入賞を最後に海外主要大会での入賞を逃している。
社
さらに、2008 年北京大会より 2 大会連続オリンピック出場を逃している。このことから日本の新体操競技レベルは、海
外トップレベルに遅れをとっていると捉えることができるだろう。日本体操協会新体操強化本部では、海外留学制度を設
け、2013 年 3 月より特別強化指定選手 2 名をロシアへ派遣した。留学制度によって 2 名の選手のレベルアップを図る
心
生
バ
経
ことはできたが、国内でトレーニングを積む選手との競技レベルに少しずつ差が開きはじめた。そこで本研究では、日本
の新体操競技界が世界トップレベルで戦える選手を国内で継続的に育成するためには何をすべきかを明らかにすることを
目的とし、国内トップレベルの指導者や(元)選手 20 名を対象としてインターネットを介したアンケート調査を行った。
得られた結果から国内での競技力向上方策について検討した。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 139
バドミントン競技における予測反応と視覚探索方略
○竹内 雅明(日本大学)
バドミントン競技は、道具の進化などによって 2013 年には実験的に、スマッシュの初速度 493km/h を記録しており、
発
厳しい時間的制限下でストロークの打ち合いが行われている。このような状況下では、相手の動作などから予測手がか
りを素早く捉え、早い時期に正確にコースを予測することが重要であると考えられる。しかし、バドミントン教本基本編
(2001)では、予測できるようになるまでには、できる限り数多くの選手のスマッシュを受ける必要があると指示される
測
にとどまっている。本研究では、男性バドミントン選手を対象に光刺激とスマッシュ映像に対する選択反応時間の測定、
注視点の測定を行なった。注視点の移動速度による視線移動パターンから視覚探索方略を検討し、選択反応時間との関連
を検討した。被験者は熟練者 8 名と非熟練者 5 名であった。熟練者群と非熟練者群の選択反応時間を分析した結果、光
方
刺激による選択反応時間に差は認められなかった。スマッシュ映像に対する選択反応時間は、熟練者群の方が非熟練者群
よりも速かった。視線移動パターンを分析した結果、熟練者群は非熟練者群よりも早い時点で注視点の移動を生起させる
視線移動パターンを多く利用していた。
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人
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 140
クロスカントリースキー女子選手のダブルポーリングスキルを国際レベルに高める方略
○義本 大友(日本大学大学院)
鈴木 典(日本大学)
本研究は、クロスカントリースキーのダブルポーリングによる滑走動作を男女選手で比較することと、オリンピックで
入賞した女子選手と他の女子選手の比較をすることにより、日本の女子選手を国際レベルに引き上げるためのスキル向上
ア
に対する課題を明らかにすることを目的とした。被験者は男子選手 14 名、女子選手 8 名、滑走課題は直線 8m・のぼり
(斜度 5%)コースにおける全力滑走であった。1 サイクルのうち、ポール接地から離地までをポーリング局面(P 局面)、
離地から次の接地までをグライド局面(G 局面)とした。そして、滑走動作映像をもとに 3 次元動作分析を行い、1 サイ
介
クルと各局面の身体重心速度、ストライド、ピッチおよび肘関節、股関節の角度と角速度を算出した。結果、① P 局面
において、肘関節の速い伸展により、滑走速度を高めてピッチを上げることで短時間でのストライドを伸ばすこと、② G
局面において、股関節を中心とした下肢の深い屈曲からの速い伸展により、滑走速度の減速時間を短くし、ピッチを高め
ながらストライドを伸ばすこと、これらにより、1 サイクルにおけるピッチとストライドのトレードオフの関係を克服す
264
09 体育方法
ることが重要であると示唆された。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
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方 28 − 141
成年女子アルペンスキー選手の無酸素性パワー発揮特性からみた競技力の関係
○三浦 哲(新潟県健康づくり・スポーツ医科学センター)
史
社
成年女子アルペンスキー選手の無酸素性パワーと競技力の関係を明らかにし、トレーニング計画立案に役立てることを
目的とした。成年女子アルペンスキー選手 16 名について、身長、体重、体脂肪率及び最大無酸素パワー(MP)および
40 秒パワーを測定した。40 秒パワー測定から総非乳酸性(30 秒平均)パワー(P30)、乳酸性(30-40 秒平均)パワー
心
(P30-40)および総無酸素性(40 秒平均)パワー(P40)を算出し、各パワー体重比を求めた。競技力の指標は、全日
本スキー連盟の回転(SL)および大回転(GS)ポイントを用いた。ピアソン積率相関により、各パワーと競技力の関係
を算出し、相関係数の有意性の検定を行った。身長、体重、体脂肪率と SL・GS の相関が認められない。MP・MP 体重
比と SL・GS の関係は、それぞれ強いから中程度の負の相関が有意であった。P30・P40 と SL・GS の相関がなかったが、
P30 体重比・P40 体重比と SL・GS の関係には中程度の負の相関が有意または有意傾向であった。P30-40・P30-40 体重
比と SL の関係には相関がなかったが、GS との関係には負の相関が有意または有意傾向であった。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
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方 28 − 142
アーチェリーにおける韓国トップコーチのコーチング観
○坂野 太一(自衛隊体育学校)
山本 博(日本体育大学)
生
伊藤 雅充(日本体育大学)
長谷川 康秀(日本体育大学大学院)
現在、アーチェリー競技においてオリンピックの結果などを見ると、韓国の競技力は世界トップレベルであるといえる。
発
測
スポーツの競技力に影響を与える要因として、先行研究によって様々な要因が挙げられており、その中にコーチの存在が
競技力に影響していると述べられている文献も多く見られる。そこで本研究では、世界トップレベルの競技力を有する韓
国でアーチェリーを指導しているトップコーチたちのコーチング観を明らかにすることにより、コーチのどのような考え
方
が高い競技力に結びついているかを明らかにすることを目的とした。本研究の対象として、韓国の実業団、大学で指導を
行い、「オリンピック選手輩出」や「国際大会監督経験」の実績があるアーチェリートップコーチ 6 人に対し半構造化イ
ンタビューを行い、SCAT(大谷,2008)とグラウンデッドセオリーアプローチ(Glaser & Strauss, 1967)を用いて分
析を行った。その結果、今回対象とした韓国トップコーチのコーチング観として「選手、指導者としての経験から学び、
構築した構造的知識を用いて、ハイパフォーマンス発揮を目指す調和的なコーチング観」を持っている事が明らかとなっ
た。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
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方 28 − 143
異なる介入プログラムが女子学生における遠投能力向上に及ぼす影響
○大田 穂(筑波大学大学院)
岡田 宏祐(筑波大学大学院)
保
岩間 圭祐(筑波大学大学院)
木塚 朝博(筑波大学体育系)
本研究は、特別な投球練習経験のない成人女性を対象に 2 つの遠投能力向上プログラムの効果を検証した。1 つはボー
ア
介
ルを用いて投球動作を繰り返し行うことで遠投能力を向上させようとするプログラム(以下、ボールプログラム)
、もう
1 つはボールを用いずまた投球動作を直接は行わず遊び感覚で遠投能力を向上させようとするプログラム(以下、遊びプ
265
哲
史
ログラム)であった。両プログラムの狙いとした内容はともに上肢の動作改善であり、約 30 分で実施可能な短時間のプ
ログラムであった。被験者 25 名を無作為に 2 群に分け、いずれかのプログラムを実施した。遠投テストをプログラム介
入前後さらに介入 1 週間後に行い、遠投距離と投球動作を評価した。その結果、両プログラムで介入直後の遠投距離を
向上させる効果が認められたが、遊びプログラムのみで 1 週間後にもその効果が持続した。また、投球動作の改善にお
いて、ボールプログラムは「肩を後方に大きく引くこと」、遊びプログラムは「上方へ投げること」により効果が認めら
れた。2 つのプログラムは共通した上肢の動作改善を狙いとしたにもかかわらず、プログラムによって投球動作の改善効
果が異なる結果となった。
社
心
生
バ
経
発
測
方
保
教
人
ア
介
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8 月 28 日
14:00
方 28 − 144
ジュニアサッカー選手のスプリントの動き出しにおける疾走速度を高めるための要因
○村越 雄太(日本大学経済学部非常勤講師)
青山 清英(日本大学)
宮内 育大(日本大学大学院)
本研究では、ジュニアサッカー選手のスプリントの動き出しにおける疾走速度を高める要因を明らかにすることを目的
とした。
被験者には、サッカーのトレーニングを定期的に行っている 8 〜 12 歳の男子選手 15 名を用いた。実験試技は 20m
スプリントとし、その試技をデジタルビデオカメラを用いて毎秒 60 コマでパンニング撮影した。なお、足が接地してか
ら再び同じ足が接地するまでを 1 サイクルとし、スタート後の 1 サイクル目、2 サイクル目、3 サイクル目を分析対象と
した。撮影により得られた画像から、動作解析システムを用いて身体測定点 23 点と基準点 4 点の位置座標を読み取り、
基準点を元に実長に換算した。測定項目として、疾走速度、ストライド、ピッチなどのパフォーマンスに関する項目およ
び下肢関節角度を算出し、1 サイクルごとに疾走速度と測定項目の相関係数を求めた。結果およびスプリントの動き出し
における疾走速度を高めるための要因については、大会当日にポスター発表で報告する。
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8 月 28 日
14:00
方 28 − 145
ピッチおよびストライドの個人内変動と疾走動作との関係
○豊嶋 陵司(中京大学大学院)
桜井 伸二(中京大学)
短距離走の疾走速度を高めるには、ピッチとストライドの少なくとも一方を向上させる必要がある。Salo et al.(2011)
は、疾走速度の変動がピッチとストライドのどちらの変動に依存しやすいかは、個人によって異なることを報告している。
しかし、
そのピッチおよびストライドの個人内変動と疾走動作との関係は、あまり明らかにされていない。本研究では、
ピッ
チとストライドの個人内変動に影響をおよぼす動作要因を検討し、選手の課題に応じた、高い疾走速度を発揮するための
知見を得ることを目的とした。被験者は、陸上競技の経験がある男子学生 2 名であった。実験試技は、50m 全力疾走とし、
40m 付近における疾走動作を撮影した
(300fps)
。1 回の実験において 3-5 試技を行い、複数回の実験を行った。2 名ともに、
被験者内の疾走速度とストライドとの間に正の相関がみられた。ピッチとストライドのうち、ストライドの大きさのみと
相関関係がみられたのは、支持脚伸展角速度や、支持期における遊脚重心の加速度等であった。これらの変数はピッチと
の関係はみられず、ストライドの拡大によって高いパフォーマンスを発揮するための要因であると考えられる。
09 体育方法
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 146
坂上り走がスプリント走能力と生理的機能に及ぼす影響
距離の違いに着目して
○足立 達也(広島大学大学院教育学研究科)
黒川 隆志(広島大学)
西山 健太(広島大学大学院)
田渕 恵美子(広島大学大学院)
明石 啓太(広島大学)
森木 吾郎(広島大学大学院)
本研究の目的は、坂道を利用した異なる距離の坂上り走が、生理的反応と走パフォーマンスに及ぼす影響を検討し、ト
哲
史
社
レーニング手法としての坂上り走の特質を明らかにすることである。
大学短距離選手 10 名(男子 5 名、女子 5 名)は 30、50、80m の 3 種類の距離の坂を各 5 本× 2 セット行った。生
理的反応を評価するため、全疾走時に HR、各セット終了時に RPE と La を測定した。走パフォーマンスを評価するため、
走行時の疾走速度、ピッチ、ストライドを測定した。
HR の平均値は坂上り走 30、50、80m の順に 149.3 ± 12.8 拍 / 分、157.9 ± 9.2 拍 / 分、162.6 ± 5.5 拍 / 分であっ
た。La の平均値は 30、50、80m の順に 7.0 ± 2.3mmol/L、11.5 ± 1.5mmol/L、12.9 ± 1.8mmol/L であった。距離が
伸びる毎に、エネルギー供給機構が ATP-CP 系主体だったものが、乳酸系や有酸素系の機構も動員する割合が増えてくる
ものと考えられる。
スピードの平均値は、坂上り走 50m が 6.04 ± 0.56m/ 秒と最も高かった。ピッチの平均値は、坂上り走 30m が 3.93
歩 / 秒と最も高かった。ストライドの平均値は、
坂上り走 50m で 1.56 ± 0.13m と最も高かった。坂上り走の距離はスピー
ドやそれらを構成するピッチとストライドに影響することが示唆された。
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8 月 28 日
14:00
方 28 − 147
ライフセービングにおける全力ボードパドリングの二次元動作分析
エリートとサブエリートのニーリングパドルの比較
○深山 元良(城西国際大学)
浦田 達也(大阪体育大学)
荒井 宏和(流通経済大学)
荒木 雅信(大阪体育大学)
植松 梓(早稲田大学)
遠藤 大哉(日本体育大学)
中塚 健太郎(徳島大学)
ボードパドリングはサーフレスキューの有効な技術であるが、ボード速度を高める要因は明らかになっていない。そこ
で本研究の目的は、エリートおよびサブエリートパドラーに全力でのボードパドリング動作を行わせ、ボード速度を高
めるための技術要因を明らかにすることとした。被験者(エリート 10 名、サブエリート 8 名)に、室内 50m プールで
40m 間の全力ニーリングパドルをレーシングボードで行わせた。その際、デジタルビデオカメラで矢状面右側から撮影
した。得られた映像を基に 25 - 30m 区間内の 1 ストロークをデジタイズし、膝関節点の移動速度(ボード速度)、膝関
節点の水平移動量(1 ストローク長)
、各関節の角度および角速度を算出した。その結果、エリート群はサブエリート群
よりもキャッチ・プル期からプッシュ期のボード速度が有意に速く、1 ストローク長も有意に大きかった。また、エリー
ト群の大腿および膝の角度・角速度の変位はサブエリート群と有意に異なり、エリート群の股関節屈曲速度が有意に速かっ
た。両群の肩関節角度・角速度には有意差がなかった。このことにより、ボード速度を高めるための体幹および下肢の動
作の重要性が示唆された。
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方 28 − 148
コミュニティダンスの評価基準の検討
コミュニティダンス事業が参加者に与える影響を手掛かりとして
○白井 麻子(大阪体育大学)
山口 晏奈(大阪体育大学大学院)
コミュニティダンスは、誰もがアーティストや地域と関わりをもって、ダンスを創り、踊るという体験ができる活動
である。コミュニティダンスの事業も、ワークショップ体験のような 1 日のみのものから、舞台発表を味わう事業など、
そのスタイルも多様であり、事業の目的も多岐にわたる。そこで、本研究では、ワークショップに参加し、舞台で発表経
心
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発
験するコミュニティダンスの事業を実験的に実施し、ダンス体験が実験参加者に与える影響を手掛かりに、コミュニティ
ダンスの事業評価について検討することを目的とした。調査は、コミュニティダンスの参加者を集い、参加動機、参加前
後の気分、内省報告などの参加体験に関する質問紙調査と、制作協力者、ファシリテーターへの聞き取り調査を実施し、
分析及び考察を行った。その結果、コミュニティダンスの事業が参加者へ与える影響と事業実践における課題が明らかに
なった。
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8 月 28 日
14:00
方 28 − 149
体罰が比較的多い都道府県と運動種目
全国大学体育連合「運動部活動等における体罰・暴力に関する調査」報告(2)
○小林 勝法(文教大学)
高橋 宗良(杏林大学)
北 徹朗(武蔵野美術大学)
中山 正剛(別府大学)
体罰が起こる背景を探るために地域や種目に着目した。文部科学省が行った調査「体罰の実態把握について(第 2 次
報告)」(2013 年 8 月)で示された都道府県別体罰発生件数と同省の「学校基本調査報告」の生徒数を用いて、生徒一人
測
当たりの体罰発生率を算出すると、特定の県で体罰が多く発生していることがわかった。発生率が最も多い県は、中学校
で全国平均の 9.1 倍、高校で 4.3 にも達している。全国大学体育連合が全国 15 の会員校の協力を得て 2013 年秋に行っ
た「運動部活動等における体罰・暴力に関する調査」では、標本数が少なく地域の偏りもあったため、地域性を確認する
方
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ことはできなかった。
全国大学体育連合調査で、運動種目別の体罰経験率を見ると、武道や体操、チームスポーツが多く、陸上競技やラケッ
トスポーツは比較的少なかった。この傾向は学校期や男女の別は見られなかった。多い種目は経験率が 20%を超えており、
その種目をしていた 5 人に 1 人以上は体罰を経験していることになる。以上のことから、体罰根絶の取り組みには地域
や種目を考慮して行う必要があることが示唆された。
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8 月 28 日
14:00
方 28 − 150
バレーボールゲームにおけるトータルディフェンスに関する研究(2)
サーブコースとトス配球の関係
○吉田 清司(専修大学)
佐藤 浩明(郡山女子大学)
渡辺 啓太(専修大学)
上原 伸之介(JT マーヴェラス)
現代の世界トップレベルのバレーボールゲームにおいて、オフェンス側の条件が整った状況ではディフェンス側がサー
ブ、ブロック、ディグなどの個人スキルだけで防御することは困難となっている。こうしたオフェンス有利の状況を打開
介
するために、本研究はサーブとブロックを連係させるトータルディフェンス戦術に着目し、理論構築を試みた。
男子国際試合 136 ゲームを対象とし、イタリア Data Project 社製「データバレー・データビデオ 2007」を用いて編集
した映像から 4634 本のラリーを抽出し、サーブを 9 コース、トス配球を 4 ゾーンに分類し、サーブコースによるトス
配球データを 6 ローテーションごとにクロス集計した。サンプルデータに標本間の比率の差を検討する「χ2 検定」
と、
ディ
268
09 体育方法
フェンス側のサーブコース、ローテーションのどの変量がトス配球データに有意に寄与しているかを明らかにする「調整
済み標準化残差分析」を実行した。その結果、サーブコースとトス配球の関係にはローテーションによって有意な差が存
在しており、世界トップレベルのバレーボールゲームにおけるサーブとブロックを連係させたトータルディフェンス戦術
に関する新たな知見を得ることができた。
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8 月 28 日
14:00
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方 28 − 151
アクションリサーチによるコーチング能力の向上
アーチェリー競技において
○長谷川 康秀(日本体育大学大学院)
藤野 健太(日本体育大学)
伊藤 雅充(日本体育大学)
中西 貴則(日本体育大学大学院)
山本 博(日本体育大学)
筆者は、高校アーチェリー部のコーチとして活動している。コーチとして、選手が自律し、自主的に練習に取り組むこ
とでパフォーマンスの向上を達成できるコーチングを行いたいということから、本研究では、アクションリサーチを用い
て筆者自身のコーチング能力の向上を目的とした。アクションリサーチはプレアクションステージとアクションステージ
の 2 つのステージに分けて実施した。プレアクションステージで向上が必要とされる能力を、アカデミックスーパーバ
イザー(AS)、クリティカルフレンド(CF)からアドバイスを述べてもらい選定する。また、マスターコーチ(MC)か
らアーチェリーの専門家として、指導方法に対するアドバイスを述べてもらう。データは自身のコーチング行動や発話を
定期的にビデオカメラで撮影する。撮影したデータは、AS、CF、MC とのディスカッションに使用する。また、インタビュー、
アンケート、パフォーマンスプロファイリング(PP)、得点記録を通してデータを収集した。結果として、筆者自身のコー
チング行動の改善がされた。また、選手の得点が向上したことからも、能力の向上が伺える。
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8 月 28 日
14:00
方 28 − 152
脳機能イメージングを用いたトランポリン競技者の内因的技術特性の評価
○山崎 博和(武蔵野音楽大学)
伊藤 直樹(日本体育大学)
哲
山崎 享子(東洋大学)
競技者の能力を早期に見出すことは、選手層を充実させ、競技全体のレベルを向上させるためにも重要な要素となる。
一方で、競技歴が浅い時期にその違いを見出すことは困難なことから、競技生活の中で能力を見出されずに競技を終える
競技者も少なくない。そこで本研究では、競技者の能力を早期に発見するための方法を模索する手段のひとつとして、脳
機能イメージングを用いたアプローチを提案することを目的に実験を行った。 被験者はトランポリンの競技経験を有す
る競技者のうち、事前に実験に関する趣旨と利害について十分に説明を行った後、同意を得られた者を対象とした。脳機
能イメージングとして光トポグラフィ装置を用いて、トランポリンの演技中に行われる種目を想起している際の、前頭部
および頭頂部の局所脳血液量変動を計測した。種目は、難易度の異なる 3 種類を採用した。 酸素化ヘモグロビン量の変
動を比較したところ、それぞれの種目想起時で変動パターンが異なることが明らかになった。また、変動の局在性や競技
歴および競技レベルとの関係についても検討を行ったところ、興味深い結果が得られたので報告する。
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安全な転び方習得を目指した「リズムペア体操」の試案
○武井 嘉恵(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
田村 元延(常葉大学短期大学部)
長谷川 聖修(筑波大学体育系)
鈴木 王香(國學院大学)
檜皮 貴子(新潟大学)
医療機関で収集された 0 〜 19 歳の事故データのうち、半数以上が転倒・転落によるもので、そのうちの 65% が頭部
外傷を負っているという報告がなされている。高齢者の転倒予防に関する研究は、数多く行われているが、若年者を対象
心
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測
とした転倒の意識調査や安全な転び方の習得に関する研究は少ないのが現状である。
そこで本研究は、転んだ際の身のこなし方として、柔道の「八方転び」という受け身動作に着目し、この動作を引き出
す観点から、軽快なリズムに合わせたペア体操を試案し、一般大学生 39 名を対象に指導を行い、安全な転び方を段階的
に習得するための指導方法について明らかにすることを目的とした。具体的には、2 人組での様々な姿勢変化を課題とし
て、多方向に押す、引くなどの基本動作から安全な転び方を習得するための一連の「リズムペア体操」を試案した。本体
操の指導前後において、基本的な動作比較、運動プログラムに関する内省調査、転倒及び転び方に関する意識調査を実施
し、試案した指導内容の検討を行った。その結果及び考察、実施した運動プログラムについての詳細は、当日報告する。
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8 月 28 日
14:00
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バレーボールにおける戦術に関する研究
サーブ効果率の検討
○古瀬 由佳(静岡産業大学)
中原 貴典(中京大学)
塚本 博之(静岡産業大学)
近年バレーボールにおいてサーブの種類は様々であり、サーブの効果率はゲームに大きく影響すると考えられる。日本
ではこのサーブ評価方法として公益財団法人日本バレーボール協会の JVIS(Japan Volleyball Information System)が利
用されている。その中のサーブ効果率が各個人やチームによってまとめられる。これは打数に対してサーブの内容がレセ
方
保
プションにどう影響したのか 3 段階で評価される。しかし、サーブの種類やコースなどについて具体的に出しているも
のではない。そこで本研究は大学バレーボールおいて各個人のサーブ種類別効果率を調査した。また、その内容がレセプ
ションにどのように影響したのかを分析し、新たな評価基準を提案した。更に、JVIS の評価基準との比較検証を行うこ
とでサーブ効果率の有効な評価方法について検討する。研究方法は平成 26 年度春季東海大学男女 1 部バレーボールリー
グ戦を対象とした。データについては試合のビデオ、Data Volley 及び JVIS を基に分析を行った。さらに項目については、
研究内容から、サーブ効果率とサーブレシーブ効果率の項目を参考標本とした。結果詳細は当日発表する。
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8 月 28 日
14:00
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男子円盤投における日本学生記録保持者と学生競技者の動作の比較
○前田 奎(筑波大学大学院)
上田 美鈴(筑波大学大学院)
衛藤 昂(筑波大学大学院)
Hoang TheNguyen(筑波大学大学院)
廣瀬 健一(筑波大学大学院)
関 慶太郎(筑波大学大学院)
山元 康平(筑波大学大学院)
大山卞 圭悟(筑波大学)
男子円盤投の日本記録は 60.22m であり、この記録は 30 年以上更新されていない。近年の男子円盤投の国内記録につ
いて見てみると、徐々に記録は向上しているものの日本記録とは大きな差がある状態が続いていたが、2013 年日本学生
陸上競技対校選手権大会において、日本記録に迫る日本学生記録・日本歴代 3 位の記録(59.21m)が樹立された。従来
270
09 体育方法
の国内上位競技者が国際な競技会で活躍していくためには、まず日本記録を更新することが必要であると考えられる。そ
のため本研究では学生記録の試技と 8 位以内の学生競技者(50.45 ± 0.98m)の試技の比較を行い、国内男子円盤投の
競技力向上のための示唆を得ることを目的とした。円盤投射時の初期条件(初速度、投射高、投射角)および小野(2013)
の提案した円盤投動作技能の評価基準をもとに、
バイオメカニクス的な手法によって算出したパラメータを用いることで、
学生記録の試技と 8 位以内の学生競技者の試技の動作を比較し、記録の差を生み出す要因について検討した。初期条件
に関して、学生記録の試技は初速度:23.78m/s、投射高:1.67m、投射角度:32.53°であった。
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8 月 28 日
14:00
全身振動刺激が片脚スクワットの筋出力に与える影響
宮内 育大(日本大学大学院)
青山 清英(日本大学)
片脚スクワットは両脚で行う通常のスクワットに比べて運動形態が実際の運動に近いためより実践的な筋力トレーニン
グとして用いられている。片脚スクワット時に発揮される支持脚下肢筋群の機能を向上させることができれば、競技のパ
フォーマンス向上が期待できると考えられる。そこで本研究では、筋出力の活性に即時的効果があるとされているパワー
プレートを使用した全身振動刺激が、片脚スクワットにおける下肢筋群の筋出力に及ぼす影響について検討することを目
的とした。
被験者には女子学生 15 名を用い、全身振動実施前後に支持脚の膝関節角度を 90 度 ・140 度、開脚幅を下肢長の
100%、自由脚の高さを下腿長の 100% に設定し自体重での片脚スクワットをフォースプレート上で行わせた。また、そ
れらの試技を右側方 15m 地点から毎秒 100 コマで撮影し、各種力学量を算出した。結果については学会当日、ポスター
にて発表する。
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8 月 28 日
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○竹田 大介(日本大学大学院)
本道 慎吾(日本大学)
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5 ステップ練習法によるけ上がりの実践指導
○井手口 学(横浜国立大学非常勤講師)
鉄棒運動におけるけ上がりは、特にスキルの三要素(時間、空間、力量)の調整が重要な技である。そのため、初心者
が段階的な練習を経てけ上がりを習得する過程は、運動を学習するうえで非常に貴重な経験になると思われる。本研究で
は、け上がりを未習得の男子大学生 8 名に対し、5 つのステップから成る練習法を実践し、その経過、および結果を詳細
に報告するとともに、練習法の有効性について検証することを目的とした。5 つのステップの概要を以下に示す(①脱力
と振幅の確保②足首とバーの接近③引き動作の発生、膝までの引き④引き動作の強化、大腿までの引き⑤引き動作の完成、
支持へ)
。使用した鉄棒は、高さが 1.8m のワイヤー式高鉄棒で、被験者が鉄棒を握ってぶら下がっても楽に足が着く高
さであった。また、練習の補助具として、鉄棒を覆い隠すウレタン製のパイプを用いた。これはステップ②以降、足が鉄
棒と接触しても痛めないための配慮と、
パイプを前頚部で転がすように動かすイメージ作りに役立てるためのものである。
さらに、引き動作を実感するため、床に合板を敷き、補助者の持つパイプを引く動作をさせた。なお、結果の詳細につい
ては本大会にて報告する。
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8 月 28 日
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ソフトボールにおける走者の離塁タイミング
投手のリリース時から走者の離塁までの時間
○西畑 賢治(神戸国際大学)
天野 勝弘(関東学園大学)
ソフトボール競技では、走者は、投手がボールをリリースした後に離塁できるルールとなっている。できるだけ早い離
社
塁は、盗塁という要素以上に、ソフトボールがスピードをかなり要求される競技であることを考えると重要である。そこ
で本研究では、投手のボールリリース後から走者の離塁までの時間を調べてみた。2 台の高速度カメラ(カシオ EX-F1)
により、投手のリリースと走者の離塁時を、毎秒 300 コマで撮影し、その時刻を計測した。2 台のカメラは LED ライト
心
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測
により同期した。被検者は、投手が 5 名(1 名のみ左利き)
、走者 15 名であった。投手はそれぞれの走者に対して 2 球
の投球を行ったので、走者は全部で 10 回の走塁を実施し、投手は 30 球の投球をしたことになる。1 名の投手に対する
2 回の走塁の結果は、1 回目 0.126 ± 0.049 秒、2 回目 0.110 ± 0.042 秒であり、2 回目の方が 0.016 秒成績は向上し
ていた(フライング 3 例を除く)
。これは 11cm の距離に相当する(先行研究による疾走速度から計算)。この結果を選
手に還元することにより、さらに記録が伸ばせれば、パフォーマンスアップに貢献できると考えている。
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8 月 28 日
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女子 100m ハードル走におけるアプローチ区間の動作の特徴
○上田 美鈴(筑波大学大学院)
衛藤 昂(筑波大学大学院)
前田 奎(筑波大学大学院)
木越 清信(筑波大学体育系)
山元 康平(筑波大学大学院)
関 慶太郎(筑波大学大学院)
Hoang TheNguyen(筑波大学大学院)
【目的】
女子 100m ハードル走のアプローチ区間において、
高い速度を獲得するための疾走の特徴を明らかにすること。
【対
象者】女子学生競技者 10 名(SB14.01 ± 0.57s)
。
【実験試技】スターティングブロックからの① 60m のスプリント走、
②競技会と同様の規格(スタートラインから 1 台目まで 13m、ハードル間 8.5m、ハードル高 0.84m)でハードルを 6
方
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台設置したハードル走。
【実験設定】スタートから 5m の地点および各ハードルの側方に高速度カメラ(300fps)を設置し、
パンニングで撮影。映像をもとにアプローチ区間における一歩ごとのピッチ、ストライド、疾走速度、体幹角度等を算出。
【結果および考察】ハードル走はスプリント走と比較すると、ピッチが 2 から 7 歩目で有意に低く、ストライドが 1 から
6 歩目で有意に大きくなっていた。また 8 歩目(踏切脚)の接地位置は、ハードル走でスプリント走よりも 0.89 ± 0.33m
遠くなっていた。これらのことから、ハードル走においてはハードリングのための適切な踏切位置に接地するため、スプ
リント走よりもストライドを大きくしていたと考えられる。その他の結果は当日報告する。
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8 月 28 日
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方 28 − 160
サッカーのゲーム分析における攻撃戦術の検討
少年サッカークラブを対象として
○中村 政幸(兵庫教育大学大学院)
市谷 浩一郎(大阪電気通信大学)
山本 忠志(兵庫教育大学)
村上 佳司(國學院大學)
本研究では、U-11 の 2013 後期 K 府リーグのゲームを対象にゲーム分析を行い、ゲーム中において高確率で発揮され
介
たプレー事象を必要でかつ有効な基本的攻撃戦術として、それを明らかにすることを目的とした。方法として、7 ゲーム
の試合映像を対象に分析ソフト SportsCode GameBreaker(フィットネスアポロ社製)を用いてゲーム分析を行った。分
析内容として、ボールの動きを中心とした全プレー事象から、攻撃成功率、攻撃完了率、シュート成功率、ならびに全シュー
トに至るまでのプレー事象を客観的に数量化した。その結果、攻撃成功率 1.92%、攻撃完了率 7.44%、シュート成功率
272
09 体育方法
17.94%であった。全シュートを分類するとドリブルからのシュートが最も多く、次にパスからのシュートが出現した。
さらに全シュートにおけるボールの展開を分析した結果、相手コート中央でパスを受けてドリブルを活用し、ペナルティー
エリアまでボールを運び、シュートしているプレーが最も多くみられた。このことから、パスを受けてドリブルを活用し
シュートをする戦術が必要でかつ有効な基本的攻撃戦術として考えられる。
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8 月 28 日
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方 28 − 161
女子走幅跳選手における記録停滞・低下を引き起こす体重増加に関するコーチング学的研究
○中野 瞳(筑波大学)
図子 浩二(筑波大学)
苅山 靖(筑波大学)
女子走幅跳選手の自己記録が、高校卒業以降に停滞および低下することは非常に多く、解決すべき重大な問題点となっ
ている。この原因の全容は非常に複雑であると考えられるが、その一つは体重の変化であると推察できる。また、この体
重が変化する背景としては、さまざまな要因が相互に影響し合っていることが推察できるが、このような総合的・包括的
な視点から体重変化を捉えた研究は存在しない。そこで本研究では、大学女子走幅跳選手を対象にして、競技記録と体重
の変遷およびそれらに影響したと考えられる諸要因について、中学 1 年から大学 4 年までの時系列をたどりながら回顧
的に自由記述させるアンケートを実施し、競技記録と体重との相関関係や、その背景としての諸要因について検討した。
その結果、記録の停滞または低下が生じている選手の多くには、体重の増大が生じていることが確認された。また、その
背景には競技への動機、悩み、ストレスなどの心理的要因、食行動や生活行動の要因、トレーニング要因、コーチング要
因、障害の要因などの要因が複雑に影響し合っていること、これらの要因における時系列的な階層構造性には個別性が高
いことが示された。
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方 28 − 162
相撲におけるコーチの行動に関する研究
○南雲 学人(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
測
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先行研究によると、コーチの行動はアスリートのパフォーマンスや心理社会的な成長や発達に影響を与えることができ
ると述べられている(Horn,2008)
。しかし、相撲界では稽古中、親方が指導を行っている過程において暴行致死事件が
起こってしまったことからもわかるように、適切なコーチング行動が行われていたかどうかには大きな疑問が残る。そこ
で本研究では、練習場面におけるコーチの行動に焦点を当てた観察、分析を行い、コーチング行動の特徴を明らかにする
ことを目的とした。対象者は、高等学校相撲部のコーチ 4 名とした。方法は、組織的観察法を採用した。対象者のコー
チング状況を中心にビデオカメラで撮影をし、得られたデータを Smith, Smoll, & Hunt(1977)らによって報告されてい
る The Coaching Behavior Assessment System(CBAS)を使って分析を行った。これらの結果から相撲におけるコーチン
グ行動の特徴を考察する。
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専門的準備期から試合期への疾走能力と走動作の縦断的変化
○内藤 景(筑波大大学院)
保
苅山 靖(筑波大)
谷川 聡(筑波大)
ア
介
疾走能力の縦断的研究は、試合期を対象として、最大速度時の疾走が多く分析されてきたが、準備期から試合期への変
273
哲
史
化や、加速局面を含めた検証が必要である。そこで本研究は、短距離走を専門とする 9 名の被検者(年齢:21.8 ± 1.5 歳、
100m 走の自己最高記録:10.94 ± 0.37 秒)における専門的準備期(SPP)と試合期(CP)の疾走能力と走動作の縦断
的変化を検討した。3 月の測定を SPP、7 月および 11 月の測定を CP における被検者の競技達成能力の測定とした。ス
タートブロックを用いた 60m 全力疾走を疾走能力の測定として行い、10m 区間毎の走速度、ピッチ、ストライド、走動
作(5、15、25、45m 地点)を分析した。SPP に対する CP の 60m 走タイムの増減率を基にして、被検者を疾走能力向
上群、低下群、維持群に分類した結果、向上群は加速局面以降のピッチが上昇していた。走能力に変化がなかった維持群
は、ストライドが上昇したものの、ピッチが低下していた。これらの結果は、試合期における走能力の向上には加速局面
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経
発
以降のピッチの上昇が重要であることを示唆している。学会では走動作の変化との関係性についても報告する。
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幼児を対象とした G ボールを使用した運動指導における安全管理と指導方法に関する一考察
保育者への質問紙・インタビュー調査の結果をもとに
○古屋 朝映子(筑波大学体育系)
長谷川 聖修(筑波大学体育系)
本谷 聡(筑波大学体育系)
子どもを取り巻く社会環境の変化による体力低下の問題を受け、2012 年 3 月に策定された幼児期運動指針(文部科学
省、2012)では、「友達と一緒に遊ぶ中で多様な動きを経験できるよう、幼児が自発的に体を動かしたくなる環境の構成
を工夫すること」の必要性が述べられている。本研究では、子どもの自発的な運動を引き出す用具として、G ボールに着
目した。G ボールは、小学校学習指導要領解説・体育編(文部科学省、2008)で取り上げられ、近年学校教育現場にお
いて普及しつつあり、今後、保育所や幼稚園といった幼児教育現場においても活用が期待されている用具である。しかし、
実際に G ボールが導入されている例は少ないのが現状である。 G ボールを導入するためには、適切な安全管理を含めた、
子どもの発育発達状況に即した指導方法を確立させる必要があると考える。そこで、本研究では、初めて G ボールを使っ
た運動を体験した保育者を対象に、質問紙調査およびインタビュー調査を行い、それらのデータを質的に検討することに
より、G ボールを導入するために必要な、安全管理と指導方法に関する知見を得ることを研究の目的とした。
測
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バスケットボールの 1 対 1 対応におけるオフェンスのフェイント動作の分析
○橋爪 純(筑波大学大学院)
清水 悠(筑波大学大学院)
阿江 通良(筑波大学)
阿江 数通(筑波大学大学院)
バスケットボールでは、オフェンスはディフェンスを抜くことでより成功率が高いシュートを打つ機会が得られる。オ
フェンスはディフェンスを抜く際、スピードの緩急や様々なフェイントを用いる。またドリブルに関しては、その場で
のドリブルや直線的なドリブル、方向転換を伴ったドリブルなどが研究されているが、対応動作中のドリブルをみたもの
はない。そこで本研究では、オフェンスとディフェンスの 1 対 1 状況下におけるオフェンスのフェイント動作を分析し、
その成功試技と失敗試技を比較した。大学男子バスケットボール部のAチームとBチームのガードポジションの選手を被
験者とした。オフェンスには、1m 離れた地点からドリブルをしながらフェイントによりディフェンスを抜くように指示
し、三次元分析装置(VICON-MX、250 Hz)を用いて計測した。ディフェンスを抜いた試技では、ディフェンスに対す
る左右方向の重心速度の差が大きかったことに加え、ディフェンスとの距離が保たれた状態で方向変換を行っていた。
09 体育方法
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方 28 − 166
鉄棒運動における前方前転回転の成立に関する基礎的検討
○小河原 慶太(東海大学)
小西 康仁(東海大学)
長尾 秀行(東海大学大学院総合理工学研究科)
山田 洋(東海大学)
器械運動において鉄棒運動の前方支持回転は支持系グループの中では比較的難易度度が高い基本技といえる。本研究で
は鉄棒に対する身体重心の位置変化、上半身と下半身の各重心の相対的位置を手がかりに、前方支持回転が成立するため
哲
史
社
の諸要因について検討し、指導上の基礎的知見を得ることを目的とした。被験者は男子大学生で、前方支持回転ができた
者 10 名(成立群)
、できなかった者 10 名(不成立群)とした。動作の測定には光学式 3 次元モーションキャプチャシ
ステム(Mac3D,Motion Analysis 社製)を用いた。計測した身体各部 32 点の位置座標から身体合成重心、上半身部分重
心及び下半身部分重心を算出し、鉄棒まわりの各重心の角速度(回転速度)、鉄棒から各重心点までの距離(回転半径)
、
上半身及び下半身部分重心と鉄棒の成す角(腰角度)を求めた。分析の結果、成立群は上半身部分重心の最大回転速度が
速く、運動後半で下半身部分重心の回転速度が急激に減少すること、成立群の上半身回転半径は長いが下半身回転半径は
短く、その最小値は身体合成重心位置がほぼ真下の時期に出現すること、成立群の腰関節屈曲速度は速いことが明らかに
なった。
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ユース期におけるポジティブ経験とネガティブ経験
○森 祐貴(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
根本 研(日本体育大学)
本研究は、ユース期の子どものポジティブな経験とネガティブな経験を明らかにすることを目的としている。ここでい
うユースとは、6 歳〜 12 歳の年代の子ども達を示し、ユースが最初にスポーツ経験した環境は、将来のパフォーマンス、
経
発
測
スポーツ参加、スポーツを通した人間的な成長に著しく影響するといわれている(Côtê ら、2006)。コーチは、子ども
にスポーツ領域で心理社会的な経験をさせる上で重要な役割を担っているといわれており、ポジティブ経験とネガティブ
経験を明らかにすることによってユース期に望まれるコーチ像が明確にあらわれ、より良いコーチングを行う為の一助に
なると言えるであろう。
今回の調査は 22 〜 46 歳のスポーツ経験者(男性 16 名 • 女性 5 名)を対象におこなった。ユース期に自身が行って
きたスポーツのポジティブ経験とネガティブ経験というアンケートを自由回答方式で答えてもらった。データ分析は質的
データ分析手法(Côtê ら、1993)を採用し、テキストセグメントを符号化し種類ごとのカテゴリーを作成して分析を行
い考察した。
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コーチの意思決定に関する研究
○中西 貴則(日本体育大学大学院)
米地 徹(日本体育大学)
森 心(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
効果的なコーチングとは、あるコーチングコンテキストにおいて、一貫してコーチの専門的知識、個人間の知識、個人
内の知識を駆使し、アスリートの有能さ、自信、関係性、人格を向上させることとされている(Côtê & Gilbert, 2009)。
ア
介
効果的なコーチングを行うプロセスにおいて、優れたコーチは複数の選択肢の中からその状況に最適なものを選ぶことに
よって、アスリートやチームに望まれる結果を導いていると考えられる。そこで本研究では、優れたコーチが行なってい
275
哲
史
社
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る意思決定のプロセスを明らかにすることを目的とし、エスノグラフィーを用いて優れたラグビーコーチおよびサッカー
コーチそれぞれ 1 名を対象として研究を行なった。
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方 28 − 169
力学的仕事からみた疾走動作の効率
算出方法の相違に着目して
○関 慶太郎(筑波大学大学院)
木越 清信(筑波大学)
山元 康平(筑波大学大学院)
陸上競技長距離走のパフォーマンスには Running Economy が大きく関与していることが報告されており、これには疾
走動作も影響することが明らかになっている。これまでに長距離走の疾走動作の効率を評価する試みはいくつかなされて
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発
測
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きたが、測定の際の疾走速度や力学的仕事の算出方法などの課題が見受けられる。そこで本研究では、6 段階の疾走速度
を用いて力学的仕事による動作の効率の評価方法を検討することを目的とした。男子長距離走者 1 名を被験者とし、3.3
から 6.0m/s までの 6 段階の速度でランニングを行わせたときの動作と地面反力を自動動作分析装置(VICON-MX)と
フォースプラットフォーム(Kistler 社製)を用いて測定した。なお、疾走速度は光電管を用いて規定した。これらのデー
タから①力学的エネルギーによる算出方法と②トルクパワーによる算出方法で 1 サイクル中の全身の力学的仕事を算出
した。その結果、
①の方法では 3.3m/s で 488J、
6.0m/s で 743J であったのに対し、②の方法では 3.3m/s では 494J、
6.0m/
s では 1229J であった。このことから、疾走速度が高くなるにつれて、2 つの算出方法間で力学的仕事の差が大きくなる
ことが明らかになった。
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児童期におけるジャンプトレーニングが運動能力に与える影響について
○斉藤 大輔(専修大学北上高校)
上濱 龍也(岩手大学大学院教育学研究科)
鎌田 安久(岩手大学大学院教育学研究科)
栗林 徹(岩手大学大学院教育学研究科)
現代の子どもの運動能力の低下が社会問題として取り上げられている。これまでリバウンドジャンプ(以下 RJ)、ケン
ケン等が疾走能力の向上に関する報告が見られたが、その他の運動能力に関する報告は見当たらない。本研究では小学校
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276
高学年の児童(男子 31 名、女子 5 名)を対象にジャンプトレーニングを実施し、その効果を明らかにすることを目的と
した。期間は 4 週間、頻度は週 2 回、準備運動後に 10 分程度 RJ、片足 RJ、ツイスト RJ 実施した。その際に「背筋を
伸ばす」「接地時間を短く」という言語教示を与えた。測定項目は 30m 走、立幅跳、垂直跳、反復横跳、背筋力、長座
体前屈を実施した。また跳躍能力の指標として RDJ index を動作解析より算出した。結果として 30m 走、立幅跳、
垂直跳、
反復横跳が有意に増加し、動作分析の結果においては膝関節屈曲角度、跳躍高、RDJ index が有意に増加し、接地時間は
有意に減少した。膝関節の屈曲角が大きくなることにより弾性エネルギー増加したことが考えられる。以上の結果から児
童に対し、ジャンプトレーニングを行うことで、運動時の姿勢に改善が見られ、疾走能力、跳躍力、敏捷性の向上に有効
であることが示唆された。
09 体育方法
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方 28 − 171
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日本語版 CART-Q の開発
○益本 悟(日本体育大学大学院)
伊藤 雅充(日本体育大学)
史
スポーツ現場において、コーチとアスリートの関係性の質がアスリートの幸福感、人格および競技パフォーマンスに大
きく影響する可能性があると、多くの研究者達により報告されている。しかし、日本において客観的にコーチとアスリー
トの関係性の質を測る手段が少なく、両者の関係性の質を評価することは難しいと思われる。そこで本研究では、世界で
社
コーチ・アスリート関係の質を測る手段として活用されている CART-Q(Jowett、2003)を、日本でコーチ・アスリー
ト関係の質を測る手段として実用化させるため、日本語版 CART-Q を開発することを目的とした。方法は海外で CART-Q
を翻訳する際に参照として用いられているガイドライン(Hambleton、1994、2001)に沿って、CART-Q を日本での実
用化にむけて望ましい解釈となるような言葉に翻訳し、さらに翻訳した CART-Q の妥当性を検証するために某体育系大学
の学生を対象に調査を行った。
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中学生バスケットボールチームにおけるメンタル面強化に関する一考察
○宍戸 渉(東海大学)
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高妻 容一(東海大学)
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経
近年、中学生年代におけるメンタル面強化についての研究が多く見られるようになった。そこで今回は、バスケット
ボール競技におけるある県の中学生選抜チームでのメンタル面強化の効果について検証をした。本研究では、中学生県選
抜バスケットボール選手 12 名を対象とし、心理的競技能力診断検査及びアンケート調査を使用して心理的側面を分析し
発
た。データの収集は、選抜候補選手が召集された 20XX 年 9 月、メンタル面強化開始前の 12 月、2 ヶ月間のメンタル面
強化を実施し、1 つの目標としていた全国大会直前である 20XX+1 年 3 月の計 3 回実施した。メンタル面強化は、スポー
ツメンタルトレーニング指導士の資格を持つ 2 名の専門家が 11 回の練習会、練習試合、全国大会に全て帯同し、メンタ
測
ルトレーニング指導・心理的サポートを実施した。収集したデータを統計処理した結果、メンタルトレーニング指導や心
理的サポートを実施しない期間は、有意な向上が認められなかったが、実施した期間には 12 項目中 8 項目において有意
な向上が見られた。また選手や指導者からの内省報告からは、ポジティブなものが多く見られた。加えて、試合における
成績は、全国大会優勝という結果を得られた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
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中学サッカー部員におけるヘディングトレーニングの効果
○鈴木 大地(岩手大学)
栗林 徹(岩手大学)
清水 茂幸(岩手大学)
清水 将(岩手大学)
方
鎌田 安久(岩手大学)
澤村 省逸(岩手大学)
上濱 龍也(岩手大学)
浅見 裕(岩手大学)
本研究は、I 県の中学校サッカー部に所属するサッカー部員 1・2 年生 37 名(1 年生 19 名、2 年生 18 名)を対象に、
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ヘディングのリフティングを組み込んだトレーニングや軽量球を用いたトレーニングを行い、トレーニングによるヘディ
ング能力への効果について明らかにすることを目的とした。
被験者を、ヘディングのリフティングを組み込んだトレーニングを行う群、ヘディングのリフティングを組み込んだト
介
レーニングを軽量球で行う群、一般的に行われている対面でのヘディングのトレーニングのみを行う群の 3 群に分けた。
そして、ヘディングによるリフティング、ヘディングの正確性、強さ(飛距離)のスキルテストの 3 項目を測定し、比較・
277
哲
検討を行った。その結果、トレーニングでリフティングを行った 2 群に、リフティングと正確性のスキルテストの 2 項
目においてプレテストとポストテストの結果の間に有意な向上が認められ、軽量球でトレーニングを行った群にのみ、強
さのスキルテストにおいても有意な向上が認められた。
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8 月 28 日
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陸上競技 200m 走におけるレースパターン分析
曲走路出口地点前後のスピード変化に着目して
○広野 泰子(筑波大学大学院)
藤井 範久(筑波大学)
清水 悠(筑波大学大学院)
陸上競技 200m 走では、国内外の一流選手のレース分析によって、最高スピード到達後の曲走路出口地点後にスピー
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発
測
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ドが増加する選手がいると報告されている。本研究は、様々な競技レベルの 200m 走におけるレースパターンを分析し、
曲走路出口地点後にスピードは増加するのかを再検証するとともに、曲走路出口地点前後の走技術および加速メカニズム
に関する基礎的知見を得ること目的とした。9 台のハイスピードカメラ(300fps)を用いて 20m 毎の通過タイムを計測し、
20m 区間の平均スピードを算出した。曲走路出口地点前後の 100-120 区間および 120-140 区間のスピード変化に着目
すると、① 100-120 区間に大きくスピードが減少した後に 120-140 区間で大きく増加する群、② 100-120 区間のスピー
ド変化量は小さく、120-140 区間でスピードが大きく減少する群、③曲走路出口地点前後のスピード変化量が小さい群
の 3 群に分類された。様々な競技レベルの選手で曲走路出口地点後のスピードの増加が確認されたが、曲走路出口地点
前のスピード減少量とパフォーマンスとの間に正の相関関係がみられた。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 175
世界チームカップ・ラート競技選手権 2014 における有力選手の演技構成に関する研究
○本谷 聡(筑波大学)
高橋 靖彦(カイエンタープライズ)
古屋 朝映子(筑波大学)
武井 嘉恵(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
ラート競技は、ラート運動の特性を生かした運動の出来映えを競い合う採点競技である。そのため、演技の価値を示す
「難度点(Difficulty Score)
」等と演技のできばえを示す「実施点(Execution Score)」を国際審判団が採点することによって、
保
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最終得点が決定される。近年、競技規則は大会毎に見直しが行われており、選手は競技規則が改訂される毎に演技構成を
適応させることが求められる。そこで、本研究では「世界チームカップ 2014」に招待された世界の上位 4 カ国の有力選
手に関する演技構成について調査することによって、今後の日本代表選手が世界で勝つための要因を検討することを目的
とした。大会の団体結果は、日本が 1 位、ドイツ・スイス・オランダが 2 位であった。種目別では、直転部門が日本 T
選手で 11.500(難度 3.600)点、
斜転部門がドイツ S 選手で 10.900(難度 6.000)点、跳躍が日本 T 選手で 10.5000(難
度 5.800)点が最高得点であった。採点競技において、世界の有力選手における演技構成について調査し分析することは
非常に重要であり、これらの動向を正確に把握しながら対応していくことが必要である。
第1体育館
8 月 28 日
14:00
方 28 − 176
バスケットボール競技におけるシュート成功確率と身長の関係
○中嶽 誠(順天堂大学)
木藤 友規(順天堂大学)
バスケットボールでは、
3.05m に位置するリングに近い高身長の選手の方が得点しやすいと考えられている。瀬戸らは、
激しい運動が要求されるバスケットボールの競技特性から、代謝量を決定する体格と得点能力の関係に着目し、単位時間
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09 体育方法
当たりの得点率が、体表面積(身長と体重から算出)に対しては負、体重に対しては正の関係式で推測できることを示し
た(2010 年)。この報告は、身長が高いだけでは得点能力に結びつかないことを暗示している。そこで本研究では、関
東大学リーグ(2013 年)のデータをもとに、フリースロー(FT)、3 ポイントシュート(3FG)、2 ポイントシュート(FG)
の成功確率
(成功本数/試行数)
と身長との相関関係を調べた。その結果、相手に邪魔されない状況下での FT と高いシュー
ト技術が要求される 3FG の成功確率では、身長との相関関係は認められなかった。一方、FG では、身長が高い選手ほど
成功確率が高かった(身長が 1cm 高くなると約 0.4% 上昇、r=0.38、p<0.05)。これらの結果は、ゲーム中に相手との攻
哲
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防の中で放つシュートにおいて高身長の優位性が表れることを意味する。
社
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Fly UP