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P35-45 - 日本海洋学会

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P35-45 - 日本海洋学会
海の研究(Oc
e
anogr
aphyi
nJapan),22
(2),35- 4
5,201
3
― 2009年度 日本海洋学会賞受賞記念論文 ―
大気圏を通して海洋に運ばれる化学物質に関する研究*
植松 光夫†
要
旨
大気と海洋間での生物地球化学的相互作用や,その応答は,気候や環境の変化を引き起
こしたり,引き起こされたりする.私は地球規模の物質循環の観点から,海洋大気エアロ
ゾルの化学組成変動とその挙動,そして海洋への影響について研究してきた.アジア大陸
に起源を持つ鉱物粒子や人為起源エアロゾルが,北太平洋上へ春季を中心に広く輸送され,
地球規模の気候変化の放射収支に影響を与えていることを示唆した.またエアロゾルが輸
送されている間に海洋大気境界層内で生じている化学的,物理的変質過程や除去過程を明
らかにした.海洋に沈着するこれらの物質が,海洋表層での化学的,生物的過程を通して,
海洋生物活動に影響を与えていることを確かめた.一方,海洋大気エアロゾル化学組成が,
海洋生物や物理環境によって変化することを示した.海洋と大気と気候間でのリンケージ
の定量的な理解を,さらに深化させるためには,海洋科学と大気科学の連携が不可欠で
ある.
キーワード:海洋大気,エアロゾル,鉱物粒子,人為起源物質,大気海洋物質循環
る.この時期に,成層圏と対流圏を分ける圏界面は大き
1. はじめに
地球は 46億年,常に変わり続けている.今の地球上
く歪み,成層圏の物質が対流圏へ降下する.自然現象の
解明を目的とする研究が深まるほど,地球は生きている
という実感を持つ.
では,春になると陸上で草花が咲き乱れるように,北太
そんな地球が,海洋へ運び込まれる物質の質や量を人
平洋の沿岸域から中央部にかけて,植物プランクトンの
間活動によって変えられ,その結果,海洋生物の種類や
ブルーム域が北上する.それは栄養塩を含んだ下層の水
量など海洋生態系や,海洋大気組成も変りつつある.私
が湧昇し,太陽光が十分に注がれて,表層水塊が安定す
の研究は,陸圏から大気圏を通して海洋圏に運ばれ,そ
ると同時に,アジア大陸から外洋域の海洋生物に不足気
して最終的には堆積物として地圏環境に移行する物質の
味の微量元素を含んだ黄砂(鉱物粒子)が,何千キロメー
循環と,その相互作用の過程を明らかにしようと取組ん
トルも偏西風に乗って飛来し,沈着するからともいわれ
できたものである.2
00
4年には「海洋大気エアロゾル
*2013年 1月 4日受領;2013年 1月 18日受理
著作権:日本海洋学会,2013
†東京大学大気海洋研究所
〒277-8564 千葉県柏市柏の葉 5-1-5
TEL・FAX:04-7136-6361
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okyo.
ac
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j
p
の挙動と組成変動に関する地球化学的研究」で日本地球
化学会賞を受賞した(植松,200
5)
.
これらの研究成果を基に,さらに海洋への関わりを強
め,20
06
~20
10年度の間,特定領域研究「海洋表層・
大気下層の物質循環リンケージ(大気海洋物質循環)」
36
植松 光夫
Fi
g.1
. Sc
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t
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on
St
udy)に取組んだ(Fi
g.1)
.
この度の受賞は,大気と海洋の間での物質循環や海洋
生態系の変化が,地球大気の組成や気候に影響を及ぼす
洋研究所と,東京大学気候システム研究センターが統合
され,東京大学柏キャンパスに,大気海洋科学の基礎研
究を推進する大気海洋研究所が新しく設立されたのは時
の流れであろう.
ことを定量的に理解し,将来の地球環境予測の高度化の
本論文では,植松(2
00
5)と内容が一部重複する箇所
ために貢献する基礎研究領域の確立とその進展に対して,
があるが,ご了承いただきたい.2
012年末までの約 9
0
評価していただいたものだと感謝している.時をほぼ同
報の学術論文の被引用数は,Googl
es
c
hol
arによれば,
じくして,20
1
0年 4月に私の所属していた東京大学海
約 3,
2
00件,主著者であった論文は 1
8編であり,その
海洋へ運ばれる大気物質の研究
37
被引用件数は約 900件であった.また,h指数は 2
8で
さらに ADI
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oOc
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e
m)
あった.被引用数 28件以上の論文が,少なくとも 2
8編
航海では,北太平洋中央部の貧栄養海域において,降水,
あることになる.Googl
es
c
hol
arの被引用数は,We
b
大気粒子状物質,セジメントトラップや現場濾過器を用
ofSc
i
e
nc
eよりも 1-2割程度,高めに出る傾向がある
いた海洋粒子状物質を採取し,アジア大陸からの大気物
が,相関は極めて高く,アクセスも容易である.年を経
質の海洋環境への影響を観測した結果,100μm に近い
ても被引用数が増え続ける論文もあれば,まったく増え
鉱物粒子が約 7,
000km も運ばれ,短時間で観測海域の
ない論文もある.これらの数字が世界のどの程度のレベ
海水中の粒子組成を,大きく変化させたことを見出した
ルにあるのかは知る由もないが,どの論文が他の研究者
(Be
t
z
e
re
tal
.
,1
988[11
6]
).この黄砂飛来時の荒天下
に興味を持たれ,影響を与えたのか目安にはなると考え
で溶存酸素の鉛直分布は均一化され,基礎生産量は大き
る.文中の各引用文献の[
く増加していた(Younge
tal
.
,19
91[11
8]
).自然界
]内の数字は,私が著者の
一員である論文の被引用数である.
で鉄が加わり,栄養塩が消費され,ブルームの終焉を迎
えた過程を,初めて観測した例である.
2. 大気を通して海洋へ輸送される陸上の自然
起源物質
2007年 5月に発生した大規模な黄砂の場合,タクラ
マカン砂漠から上空 8-10km まで運び上げられた黄砂
が,13日間で地球を一周し,さらに東進し,北太平洋
地球上でのエアロゾルの発生量は,海塩粒子が年間
高気圧の縁辺で降下し,北太平洋上へ沈着したりする事
3
,
34
0Tg(10 g)とエアロゾル成分の中で最も大きい
例(Unoe
tal
.
,20
09
[83
])が,衛星観測やモデルによっ
が,大気中の平均滞留時間は,わずか 1日程度である.
て再現された(Fi
g.2).しかし 19
8
0年代に米国で開か
洋上の大気物質を海洋へ効率よく取込む掃除役でもある.
れた学会で,黄砂が北太平洋を横断して北米大陸に運ば
鉱物粒子発生量は,年間 2,
150Tgと自然起源,人為起
れている可能性はあるかと質問を受け,それはないだろ
源を含めて海塩粒子に次いで二番目に大きく,平均滞留
うと即答した軽薄さを思い出すと,赤面の至りである.
12
時 間 は 4日 程 度 で あ る (I
PCC(I
nt
e
r
gove
r
nme
nt
al
これら一連の黄砂の発生と輸送過程について,気象観
Pane
lonCl
i
mat
eChange
),2001
).陸起源物質,特に
測結果を含めて,気象学的な解析を行った(Me
r
r
i
l
le
t
鉱物粒子は,発生源からそれほど遠くまでは運ばれてい
al
.
,198
9[26
5]).成層圏,対流圏上部に起源を持つ天
ないと考えられていた.
然放射性核種ベリリウム-7を用いて,太平洋中央部で
Duc
eらは 19
7
9年に,北太平洋のマーシャル諸島の
その前駆体が陸起源物質である硝酸塩エアロゾルが,対
エニウエトク環礁で,大気エアロゾルの化学成分濃度を
流圏上部を経由して輸送されていることを示した
測定した.夏に比べて春に鉱物粒子濃度が 2桁も高く,
(Ue
mat
s
ue
tal
.
,19
94[12
];Ue
mat
s
u,1998[8
]
).
それが 8,
0
00km も離れたアジア大陸の黄砂に由来する
19
86年に起きたチェルノブイリ原発事故によって,人
ものだと結論した(Duc
ee
tal
.
,1980).1981年には北
工放射性物質は地球を半周し,日本上空を越え,北太平
太平洋上の島々に,大気エアロゾル採取装置と全降下物
洋上の観測網や米国研究船でも検出されたことなど
採取器を設置して,時空間変動を測定した.その結果,
(Ue
mat
s
ue
tal
.
,19
88[8
])によって,大気物質長距
春先に頻繁にアジア大陸で発生する砂嵐(黄砂)の鉱物
離輸送モデルの基礎と検証の先鞭をつけた.
粒子が,偏西風によって運ばれ,中緯度帯の北太平洋中
大気中エアロゾルは,大気中から湿性沈着か乾性沈着
央部を中心に,北はベーリング海,南は赤道付近まで広
によって海洋に除去される.自動降水連続採取装置を太
がっていることを明らかにした(Ue
mat
s
ue
tal
.
,1
983
平洋横断定期貨物船上に搭載して一年間稼働させた結果,
[4
1
8
];Ue
mat
s
ue
tal
.
,1985a
[2
4]).海洋への鉱物粒
降水中の不溶性粒子化学組成は季節的に変動し,一回の
子沈着量を見積もり,北太平洋中央部の海水中を沈降す
降水時に除去される粒子数に大きな変動がないことなど
る陸起源物質の粒子束の大部分が,大気を通して運ばれ
を見出した(Ue
mat
s
ue
tal
.
,2
000[6]
).このことか
ていることを見出した(Ue
mat
s
ue
tal
.
,1985b
[16
2]).
ら降水量ではなく,降水頻度によって鉱物粒子の沈着量
3
8
植松 光夫
Fi
g.2. As
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,2007(Unoe
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が 左 右 さ れ る こ と を 明 ら か に し た . SEEDS I
I
鉄散布実験で添加された鉄と同程度の溶存態鉄が,供給
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されていることを見積もった(I
wamot
oe
tal
.
,20
11
[6
]
)
.
St
udyI
I
)による鉄散布実験(Ts
udae
tal
.
,20
0
7[43
];
Ue
mat
s
ue
tal
.
,2009[1])では,添加された鉄を含む
水塊内で,懸濁粒子の乾重量,個数濃度,体積濃度がク
3. 大気を通して海洋へ輸送される人為起源物質
ロロフィル濃度の増加と連動したが,特に有機物粒子が
近年,東アジアでは,人為起源の窒素化合物の大気へ
顕著に増加することを,個々の粒子の化学組成分析によっ
の放出量が,増加傾向にあり,海洋,特に東シナ海や日
て明らかにした(I
wamot
oe
tal
.
,2009[4]).西部北太
本海など縁辺海を中心とした西部北太平洋域において,
平洋亜寒帯海域では,黄砂の飛来時に発生した海霧によっ
沈着量の増加が認められている(Unoe
tal
.
,2007
[1
7
]
)
.
て,一気に大気中の鉱物粒子が,海洋に除去沈着した.
また,気象庁の栄養塩データを中心に,海洋表層水中の
その結果,海水中懸濁鉱物粒子が増加したことを実測し,
窒素化合物濃度についても,1
980年以降増加の傾向を示
海洋へ運ばれる大気物質の研究
3
9
Fi
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aldus
tpar
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i
c
l
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s
(af
t
e
rNakamur
ae
tal
.
,20
06
).
し,その増加が大気からの窒素沈着によるものであるこ
andUe
mat
s
u,20
09[4]).東シナ海においては,大気か
とが示されている(Ki
me
tal
.
,2011).
ら東シナ海へのアンモニウム塩,硝酸塩の沈着量が,長
長崎での集中観測によって,硫酸塩粒子などの人為起
源物質が,寒冷前線直前の湿った空気塊に含まれ,その
江からの流入量に匹敵し,大気が海洋への栄養素の重要
な供給経路であることを示した(Nakamur
ae
tal
.
,2
0
0
5
後から黄砂粒子が,乾燥した空気塊によって運ばれるこ
[51
]).さらに水溶性有機態窒素は,陸に主な発生源を
とを,高時間分解のサンプリングと X線マイクロアナラ
持ち,大気中で鉱物粒子に特異的に吸着し,輸送されて
イザを用いた個別粒子化学分析によって明らかにした
いることが分かった(Fi
g.3).全窒素に対する水溶性有
(Ue
mat
s
ue
tal
.
,20
02[75]).また鉱物粒子表面には硫
機態窒素の割合は,平均 22%を占め,東アジアの影響を
酸ガスよりも,同じ人為起源である硝酸ガスの方が,吸
受ける海域では,水溶性有機態窒素が窒素循環に大きく
着しやすいことを確かめた(OokiandUe
mat
s
u,2005
影響を与えるものであることを示した (Nakamur
ae
t
[57
]
)
.さらに海洋エアロゾル中の無機窒素化合物の粒径
al
.
,2
00
6[28
]).大気中エアロゾル中のリンについても,
分布を実測し,大気中濃度の高いアンモニウム微小粒子
西部北太平洋で高濃度であり,人為起源の水溶性成分の
よりも,大気中濃度の低い硝酸塩大粒子の方が沈着速度
占める割合が高いことを見出した(Fur
ut
anie
tal
.
,2
0
1
0
).東シナ海でのエアロゾル中の微量金属成分につい
が速いことから,沈着量はより大きいことを明らかにし, [5]
海洋への全無機窒素沈着量を見積もった(Mat
s
umot
o
ては,鉱物の指標元素の一つであるマンガンを含め,鉛,
4
0
植松 光夫
Fi
g.4. Di
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mat
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u,unpubl
i
s
he
ddat
a).
亜鉛,セレンなどが,非海塩性硫酸塩粒子と相関が高く,
e
tal
.
,2003[4
]).また,硝酸イオンが硫酸イオンに比べ
人為起源元素として微小粒子に存在する(Ue
mat
s
ue
t
て,海霧に約 2倍の効率で除去されていることがわかっ
al
.
,2
0
10[1
1]
)ことを明らかにした(Fi
g.4).また,
た(Sas
akawae
tal
.
,2003[19
]
).生物生産の高い亜寒
単一微粒子質量分析法(ATOFMS)による個々の粒子
帯海域で多発する海霧は,陸起源の窒素化合物を海洋へ
の粒径と化学成分を解析し,東アジア縁辺海での鉄を含
供給する反面,硫酸塩微小粒子となる硫黄化合物を除去
んだ微小エアロゾルは,大陸由来の石炭燃焼起源が多く,
する存在である.大気から供給される人為起源窒素化合
外洋大気中ではバナジウムが指標となる船舶の排気起源
物による海洋基礎生産に対する寄与の割合は,現時点で
の鉄含有微小粒子の存在を明らかにした(Fur
ut
anie
t
平均すると,新基礎生産量の 1
0%以下程度であると見積
al
.
,2
0
11[9]).こうして太平洋上の海洋大気境界層に
もられている.
流入した気体やエアロゾルは,海塩粒子や鉱物粒子と共
今まで窒素が不足気味の海域では,大気中の窒素を固
に海洋表面へ沈着し,鉱物粒子や人為起源粒子から溶け
定して生息する植物プランクトン中心の海洋生態系が維
出した鉄や,海洋大気エアロゾルに吸着した硝酸やアン
持されていた.しかし,大気からの窒素供給と,地球温
モニアが,海洋生物の栄養塩として利用される.
暖化による表面水温の上昇に伴う海洋成層化の強まりと
北太平洋亜寒帯に多発する海霧の pH は, 日本海で
相まって,変化が生じ始めている可能性が考えられる.
2.
6, 北 太 平 洋 北 西 部でも平 均 4.
0という酸 性であり
Duc
eら(2
008[25
0]
)は,地球規模の物質循環モデ
0]
),人
(Sas
akawaandUe
mat
s
u,2002[14];2005[1
ルによって,全海洋への窒素化合物の沈着量と,その将
為起源物質だけではなく,海洋生物から放出される自然
来予測をまとめた.2
030年にはインド洋や西部太平洋域
起源の硫黄化合物による場合もあることを示した(Ooki
において,窒素供給量が数倍程度まで増加し,植物プラ
海洋へ運ばれる大気物質の研究
ンクトンも増加する.それによって大気中の二酸化炭素
が海洋に吸収されるが,その約 10%が,大気からの窒素
4
1
ない.
そこで無人海洋大気観測艇「かんちゃん」が開発され
化合物の沈着による施肥効果の寄与であるとみなされる.
た.無人で自動航走あるいは定点保持をして,大気エア
しかし同時に,二酸化炭素の約 300倍の地球温暖化指数
ロゾルや気体成分と海洋表層の物理・生物パラメーター
を持つ一酸化二窒素が,海水中で生成して大気中に放出
を,連続測定するプラットフォームであり,全長 8m,
され,二酸化炭素減少による温暖化抑制効果の 3分の 2
幅2
.
8m の単艇体ヨットをベースとしている(Se
ngae
t
が相殺されると見積もった.
al
.
,20
00
).「かんちゃん」による海洋大気観測によって,
三宅島の火山噴煙から二酸化硫黄とともにアンモニアガ
4. 海洋から大気へ放出される海洋生物起源物質
海洋生態系の変化は,化学物質の供給や物理的な過程
によっても引き起こされるが,海洋生物の生命活動や,
スが放出され,海洋生物への栄養塩としての供給が無視
できない可能性を見出した.そして衛星画像解析から,
夏季の西部北太平洋の生物生産が増加していることを確
かめた(Ue
mat
s
ue
tal
.
,2
004
[20]
).
死亡,腐敗によって,様々な気体が吸収され,生成され
る(Kame
yamae
tal
.
,2009
[9];201
0
[6]
)
.その結果,
二酸化炭素が大気から吸収され,硫化ジメチル(DMS)
をはじめとする揮発性有機化合物(VOC)(Has
hi
mot
o
6. 自然界の突発現象の把握
海洋上での突発的自然現象は,生物地球化学的物質循
e
tal
.
,2
00
9[7];Kur
i
har
ae
tal
.
,20
1
0[4
])が,海水
環にも大きな影響を与える.私が今まで関わったプロジェ
)
,
中で生成され,大気中に放出(Nagaoe
tal
.
,20
09
[4
]
クトや研究航海で,予期せぬ突発的な現象を経験したこ
粒子化されて,二次生成エアロゾルとして,大気エアロ
とは,他の研究者よりも多いと思う.放射能物質やテフ
ゾル組成に変化をもたらす(Ookie
tal
.
,2007[6]
).こ
ロンの発見に繋がるような s
e
r
e
ndi
pi
t
yとまではいかない
の定量的な議論は,現在,海面での二酸化炭素や DMS
が,こういった現象に遭遇したことは幸運であったとし
フラックスの実測(Gr
i
e
s
s
baum e
tal
.
,2010[1]
)や,
かいいようがない.1
986年の ADI
OS航海時の黄砂巨大
エアロゾルの鉛直フラックス測定によって取組まれている.
粒子(Be
t
z
e
re
tal
.
,19
8
8[1
16
])やチェルノブイリ事故
特に南太平洋での外洋大気においては,北半球の海洋大
mat
s
ue
tal
.
,1
9
8
8
による人工放射性物質の飛来 (Ue
気と比べ,人為起源物質の影響は極めて小さく,エアロ
[8]
)を始めとして,200
1年の三宅島噴火による窒素化
ゾル数濃度も低い(Junge
tal
.
,201
1[0]).そんな海洋
合物の供給(Ue
mat
s
ue
tal
.
,20
04[20]
),2
0
07年の黄
大気環境下で,もし海洋生物生産が低下すれば,海洋生
砂と霧の出現(I
wamot
oe
tal
.
,2
011[6
]),200
8年の
物起源エアロゾルの減少を導き,雲粒数濃度が低くなっ
アリューシャン列島の火山噴火による鉄供給,キラウエ
て,雲粒粒径が大きくなり,雲の寿命が短くなるなどか
ア火山噴煙による硫酸塩微小粒子生成(Eguc
hie
tal
.
,
ら,温暖化が一層促進されることになる.仮説としては
20
1
1[1]
),そして台風による海洋環境の擾乱など,これ
興味深いが,定量的にどうなのかを評価する必要がある
らの現象を確認したのは,現場観測だけではない.航海
であろう.
中の船上での衛星による大気や海洋の観測によって,こ
れらの現象を確認し,その規模を把握することができた
こともあった.これまでの観測データや衛星画像解析,
5. 無人海洋大気観測艇「かんちゃん」による
観測
モデルグループと連携し,洋上での突発的現象をモデル
島の存在しない北緯 30度から 5
0度にかけての北太平
きた.大気科学と海洋科学のグループが互いに理解し合
洋中緯度帯では,観測やサンプリングは船舶か係留ブイ
い,共通の課題に取組み始めたのは,大気と海洋間の物
に頼るしかない.しかし,航海中に出現する突発的な自
質循環の重要さが認識されてきたからだと考えている.
然現象に直ちに対応できる大気観測は,あまり期待でき
で再現できるかについて,定量的な議論が可能となって
42
植松 光夫
Fi
g.5
. Agr
oupphot
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ろうか.自然界のいま起こっている現象を,物質循環の
7. おわりに
観点から捉えるには,標準化された観測測定手法を,地
球規模で広く進めなければならない.同時に個々のプロ
これからの海洋化学を考えると,どの分野でもいわれ
セス基礎研究への取組みも不可欠である.わが国にも,
るように若い優秀な人材を獲得し,養成していく必要が
これらを長期的に推し進める船舶や航空機,定点観測,
ある.分析化学関係の基礎的な教育が薄まり,高度に自
観測機器開発などについて,省庁間を越えて総合施策す
動化された機器分析を駆使することが要求されている.
る, 例えば米国の NOAA(Nat
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難易度の高い分析技術を武器に,海洋科学のあらゆる分
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野に挑戦することもひとつである.かなりの高度な専門
ではないだろうか.
知識がインターネットで得られる世の中で,なにが面白
最後にこの栄誉ある日本海洋学会賞に値すると評価さ
いと感じるか,それに取組むのにどんな技術,解析手法
れた業績は,一緒に研究を進めてきた学生達,多くの共
を使うのか,物知り少年達の知的好奇心を刺激すること
同研究者達(Fi
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)や,研究船の乗組員の皆様の協力,
が必要かもしれない.私は縁があって,国際的な I
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良き指導者の先生方の教唆なしではあり得なかった.特
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感を高め,人生を楽しむかを自ら示し続けてくれている
手研究者には国際的な視野と交流が,もっと必要となっ
Robe
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eテキサス農工大学名誉教授に深く感謝
てくるはずである.I
GBPに代わって,新しく始まろうと
する.また,私の許で航海を共にし,飲み明かし,博士
している国 際 的な枠 組みである Fut
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課程を修了した笹川基樹,大木淳之,中村篤博,岩本洋
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)などにも目を向け,
子,JungJi
nyoung,そして私の研究室の研究員として
世界に貢献していく大志を抱いて欲しい.
時間を共有できた松本潔,皆川昌幸,宮田佳樹,成田祥,
昨今,大型研究プロジェクトが,トップダウンの形で
服部裕史,古谷浩志,近藤文義,これらの博士達にお礼
次々と立案され,実行されている.その目的は当初から
を述べる.これからも大気と海洋間の物質循環を中心と
明確であり,仮説を検証し,その成果はほぼ期待される
した領域の充実と深化,地球科学における大気海洋科学
ものである.しかし自然科学では,まだ我々の予想を越
の発展に尽力していきたい.
える現象や過程が,数多く見逃されているのではないだ
海洋へ運ばれる大気物質の研究
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