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新聞折込広告業向け 出荷配送検品システム事例 新聞
LIT 今 月 の ロ ジ ス テ ィ ク ス I T 新聞折込広告業向け 出荷配送検品システム事例 ∼中日興業・中京倉庫配送センターへのHITLOMANS適用∼ 池田暁治 ㈱日立プラントテクノロジー メカトロ事業本部 ロジスティクスシステムセンタ ロジスティクス営業部主任 横井隆一 ㈱日立プラントテクノロジー 営業統括本部 中部支社 機械システム営業部主任 はじめに 商圏(地域や生活)にあったマーケ の課題を解決していこうという機運 ティングができるといったメリット が高まっている。 が見直され,インターネットと折込 広告を併用するケースも増えている。 検品システムを導入することでこれ きく形を変え,紙の印刷物と同じも 折込広告業界では,こういったイ らの課題を解決し,顧客サービス向 のが電子カタログや電子チラシの形 ンターネットによるサービス展開と 上および配送精度向上を実現するこ となってインターネットから発信さ 並行して,足回りである配送サービ とができた。 れるようになった。また,景気の低 ス強化にも力を入れている。近年, 迷も相まって,不況に強い販促メデ 配送センターを新設・改修する事例 海3県(愛知,三重,岐阜)から全 ィアと言われている折込広告も厳し が増えてきている。 国へ展開する折込広告代理店である 近年の情報化によって,広告は大 中日興業殿は,名古屋を拠点に東 折込広告では,印刷面が似ている (図表−1) 。新聞などに折り込まれ 消費者は安いもの,良いものを求 (同じ広告でも店舗が違う等) ,種類 るチラシ広告を専門に取扱い,広告 め自分の商圏から近隣の商圏へ足を が多いといったことから配送間違 の提案から配布地域のマーケットリ 伸ばしている。 い,配送漏れが起こりやすい,複数 サーチ,新聞販売店への配送まで折 これに伴い,広告は地域密着から 社が同一新聞販売店に広告を配送す 込広告に関するすべてを業務として さらに広い地域をカバーする必要が るため,広告が違う折込日分に混ざ いる。 出てきており,電子チラシのニーズ りやすいといった課題が生じてい 既設の従来の仕分けシステムに加 が高まってきている。また,新聞を た。このため,情報化によりこれら え,弊社の出荷配送検品システムを い状況に置かれている。 購読しない消費者が増えてきている のもこれに拍車を掛けている。 しかし,紙の媒体も不特定多数へ の配布ができる,目に留まりやすい, 図表−1 中日興業㈱の概要 創 業/1959年 (昭和34年1月21日) 代 表 者/加藤正和 代表取締役社長 事業内容/折込広告取次業,書籍雑 誌の卸売業 50 今回ご紹介する中日興業殿では, 2006・4 図表−2 システム運用フロー 図表−3 システム概要図 導入いただいた。 がないか,センター内を探さなけれ ばならなかった。 今回は,トラック積み込み時に出 中京倉庫配送センター 検品システムの概要 今回導入いただいた出荷配送検品 システムの概要は,次の通りである。 (1) 導入の目的 今回の配送検品システムでは,販 売店・広告主からの問合せに迅速か 荷検品を,トラックからの荷降ろし (1) 出荷検品機能 出荷検品では,積み込み時にコー ス毎に折込リストのバーコードをス キャンし,次項目のチェックを行う。 時(配送時)に配送検品を行ってい ・積込みミスチェック る。 ・折込期限での積込み漏れ チェ この際,折込リストに受注No, ック (当日必須の出荷分がない 販売店,梱包Noをバーコード化し か確認) て印字しており,梱包単位で履歴が (2) 配送検品機能 取れるようになっている。 (3) システム構成図 配送検品では,販売店への荷降ろ し時にコース別販売店毎に折込リス つ正確に回答ができることを主目的 システム構成図を図表−3に示 トのバーコードをスキャンし,以下 とし,次の4項目を中心にシステム す。今回の業務は全て配送センター のチェックを行っている (写真− 構築を行った。 で行うため,配送センターに情報を 2) 。 ①梱包単位の配送履歴の検索(受 集約している。配送の進捗・履歴は ・配送ミスチェック 注No,コース単位での配送開始 本社の営業端末でも検索できるよう ・中止品チェック(中止品は降ろ から終了まで) になっている。 さない) また,ホスト・検品サーバ間の通 ・変更品アラーム(営業,センタ ③出荷・配送ミス削減 信エラーを監視端末にアラーム表示 ーと連絡を取り,荷降ろし/回収 ④中止・変更広告の管理 をする簡易機能も追加している。 を判断) ②出荷・配送段階での情報化 (2) 運用フロー 今回のシステムでは,今まで情報 かされていなかった仕分け後の部分 に適用している。 (図表−2) 出荷配送検品 システムの主な機能 従来は折込リストを元に入荷品, 在庫から配送分の広告を計量(枚数) 今回のシステムはホストから出力 し,仕分けシステムで(コース別販 される折込リストとハンディターミ 売店別に仕分けし,出荷していた。 ナルで運用する仕組みとなっている 配送はドライバーに頼っており, 客からの問合せがあると,配送忘れ (写真−1) 。具体的な機能について ご紹介する。 写真−1 端末とハンディターミナル 2006・4 51 図表−4 配達進捗状況の問い合わせ画面 写真−2 配送検品 (3) 進捗管理,履歴検索機能 進捗管理,履歴検索では,出荷・ 配送検品の実績から次の検索・確認 ができる。 (図表−4) ・受注No毎の配送実績確認 ・販売店 ・出荷開始日と終了日の確認(年 末年始,連休前など大量に配送す ・仕分けシステムとの連動による 今後の展開 場内作業の進捗管理の実現 ・在庫管理まで機能拡大すること る場合に,梱包毎に荷物の分割配 送を管理する) (4) 中止・変更処理 折込広告業は他業種と違い,出 荷・配送中でも印刷ミスや広告主の 今回中日興業殿は,12月の年末ピ ーク対応として,情報化,顧客サー といった配送センター業務全般にわ 築を行ったにすぎない。 たるソリューション提供を行ってい 現在,本システムによるカバーエ エリアが変わる,差換えが発生する リアも名古屋市内に限定された運用 ことがよくある。 を行っているが,今後はさらなるサ 理,広告の回収などの運用整理・シ の情報開示 ビス向上の第一段階目のシステム構 都合で広告自体が中止になる,配送 変更・中止が発生した場合の処 による預り在庫の管理と荷主へ ービス向上,作業効率化を図り, 1)機能のブラッシュアップによる く予定である。 ㈱日立プラントテクノロジー メカトロ事業本部 ロジスティクスシ ステムセンタ ロジスティクス営業部 東京都中央区八重洲1-4-21 ステム化が,本システムで一番難し ①顧客サービスレベルの向上 TEL:03-3516-7911 いところであった。ただし本機能・ ②作業効率の向上 FAX:03-3516-7919 運用については,誌面の都合上,今 回は説明を割愛させていただく。 本システムは2005年12月にリリー 2)市内から市外までの運用への拡 大 〈お問合せ/URL〉 http://www.head.hitachi-hic.jp/share /inet/main/index.htm と展開していく予定となっている。 * スし,すでに本番稼動に移行してい また弊社では,他業種での実績を る。 本システムの導入効果は, ①配送履歴の確認と販売店からの 問合せ回答が容易になった 生かし,中日興業殿に対し ・入荷からの一連の作業管理への 拡大 ②配送ミスが確認しやすくなった ③中止・変更品の配達確認・回収 確認が容易になった という効果が出ている。 52 2006・4 編注:日立グループでは,日立プラント建設㈱,日立機電工業㈱,㈱日立インダ ストリイズ,ならびに㈱日立製作所の電気グループの一部を統合し,2006 年4月1日に㈱日立プラントテクノロジーを発足しました。