...

企業 必要 嘱託精神科医

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

企業 必要 嘱託精神科医
うつ病とリワーク(復職)。そのソリューションを考える
21世紀医療フォーラム「うつ病リワーク推進協議会」
(日経BP社)主催 7月17日
(日)ザ・リッツ・カールトン大阪
﹁うつ病とリワークの現状と問題点﹂
復職者と離職者、
双方への支援策の充実を急げ
氏
国立精神・神経医療研究センター
理事長・総長
樋口輝彦
社会復帰に際しては、次の2点
を考える必要があります。
います。業務に高度な技術水準
ど、雇用環境は厳しさを増して
方で、終身雇用制度が崩れるな
完全失業率が4%を超える一
す。
会復帰支援策を整備することで
長期休職者や離職者のための社
ことが1点、さらにもう1点は、
のためのサポート体制を整える
まず、職場復帰する人たちへ
が求められる中で業績評価制度
ストレスを感じています。過酷
割以上の労働者が仕事に関して
き改訂版2009年﹂を出し、
た労働者の職場復帰支援の手引
が﹁ 心 の 健 康 問 題 に よ り 休 業 し
が導入されたことも加わり、6 復職に関しては、厚生労働省
な状況に追い込まれてうつ病を
休業開始から職場復帰後のフォ
の手順がまとまってきました。
患う労働者が増えており、自殺
これまでうつ病は、統合失調
今のところ大企業に限られます
ローまでを5つのステップに分
症と比べて寛解率が高く、予後
が、復職支援プログラムができ
者に占める被雇用者の割合は約
の良い病気と考えられてきまし
てきており、地域においてもリ
けた支援策が示されるなど、そ
た。しかし、スイス・チューリッ
ワークや社会復帰のプログラム
4割に上っています。
ヒでの研究によれば、うつ病の
予 後 は 決 し て 良 く あ り ま せ ん 。 が立ち上がり始めました。長期
地域障害者職業センターの復職
%あり、 休職者や離職者への対応策も、
その約3分の1は慢性化してい
支援事業や、総合病院での職場
再発するケースが約
ます。うつ病も統合失調症と同
復帰支援プログラムなどが整備
﹁うつ病の治療。昔のうつ病、今のうつ病﹂
複雑化するうつ病、
求められる新しい対応策
関西医科大学医学部
精神神経科学講座教授
氏
業訓練のいずれもまともに受け
ましたが、今や教育、労働、職
フリーターの出現が問題視され
木下利彦
日本では1998年以降、急
激に自殺者が増え、その数は毎
神的に非常に未熟な若者たち
ていない若者﹁NEET︵ Not in
、 Education or
Employment
︶﹂が出てきました。精
Training
た自殺者のほとんどが男性であ
は、精神科医を訪ねてきては、
年3万人を超えています。増え
り、その要因は労働環境の変化
るようになりました。これは集
を個人の能力に基づいて評価す
化の進行により、企業は労働者
後半のバブル崩壊とグローバル
上に主張する者もいます。彼ら
で、うつ病であることを必要以
などと不満をあげつらうばかり
のある仕事を与えてくれない﹂
な い ﹂ と か 、﹁ 上 司 が や り が い
年代 ﹁ 適 性 に あ っ た 仕 事 に 巡 り 会 え
団で成果を出すことに慣れ親し
のうつ病は従来のものとは明ら
にあると考えられます。
んできた日本人にとって、非常
こうした状況に追い打ちをか
新しい概念が考えられていま
スチミア親和型うつ病﹂という
か に 一 線 を 画 し て お り 、﹁ デ ィ
けたのが、終身雇用の崩壊と非
す。
に厳しい制度転換です。
正規雇用の増大、そして正規雇
で安らぎを得ることも難しい状
婚しない人が増えており、家庭
救いはあるものの、そもそも結
す。家庭が安定していればまだ
などの特徴が見られます。
を保持したまま回避行動を取る
倦怠が強く、漠然とした万能感
のうつ病ではなく、抑制よりも
に苛まれながら疲弊する従来型
用 者 に 求 め ら れ る 過 剰 労 働 で 中高年に多く見られた罪業感
況です。その結果、日本は人口
会場からの質問に答える形で
阪本社人事部の丸山氏を加え、
4名の講演者に毎日新聞社大
パネルディスカッションは、
す。
ターに相談することもできま
てきている地域の産業保健セン
方法として、精神科医も出張し
を取ることが一つ。もう一つの
主治医と直接会って連携
渡辺
続ける人は誰ともコミュニケー
た。例えば、一生涯、刀を作り
うな人は数多く存在していまし
つては職人の世界の中にこのよ
くしかありません。しかし、か
く、組織でその人を見守ってい
②企業に求められる安全義務の範
刀を作るために日々努力する。
ションは取らないが、日本一の
進行した。
囲はどこまででしょうか。うつ病
①多くの企業では、主治医の診断
に頼りがちで、リワークがうまく
には家庭的な事情が原因であるこ
そういうことで成り立っていま
はどうあるべきでしょうか。
なると、障害が目立つこともあ
した。このような人は管理職に
はある意味無力です。
とも多く、このような場合、企業
いきません。企業と主治医の関係
︵社会保険労務業 社労士
女性︶
企業の方が主治医へ足を
稲田
主が従業員の健康を守る義務が
安全配慮義務とは、事業
渡辺
社は〝コミュニケー
私は入社前の面接を担当
丸山
らくなっています。
り、現代社会では非常に生きづ
とが必要です。診断書だけのや
あるということです。こ
ションが取れない人
︵鉄道会社 人事部部長
男性︶
りとりをしている企業が多く、
れはメンタルに限らず、
運び、しっかりと面談をするこ
主治医がどう考えているのかを
原因が何であっても、病
そして、従業員と企業の両者が
納得して復職プランを立てた上
で、その遂行においては、基準
とクリアの有無を明確にさせ、
両者をサ
ポートし
て い く 。
精神科医が企業の中で、嘱託精
す。
でできるか考えることも大事で
特性と仕事をいかにマッチング
ではあるでしょうが、その人の
るだけ排除するとの発想も一方
かすか。就職時の面接で、でき
それぞれの特性をどう活
樋口
いいと思います。
ングを図るシステムができれば
でもらう。特性を活かすマッチ
なところを活かせる仕事を選ん
く、この人の特性と考え、得意
すから、障害と捉えるのではな
家ですよ﹂と言うそうです。で
どもさんは将来、科学者か政治
と わ か る と 、 医 師 が 母 親 に﹁ 子
もがアスペルガーだ
の逸話ですが、子ど
いうことです。米国
人がいてもいい〟と
の は 、〝 い ろ い ろ な
の就労支援で大事な
こうした人へ
渡辺
題です。
て、これは難しい問
後悔することがあっ
けず、採用してから
実際、面接では見抜
法を考えています。
もあり、そうした方
しない〟という方針
材をできるだけ採用
していますが、新聞
確認することが、リワーク成功
必要です。
的に発達障害の人への治療はな
群のようなケースですが、基本
これはアスペルガー症候
木下
︵公共職業紹介所 勤務
男性︶
教えてください。
て、リワーク支援を行う留意点を
ン能力に困難を抱える社員に対し
③発達障害などコミュニケーショ
すると私は考えています。
れば、極端な話、うつ病が半減
実です。家庭がうまくいってい
な事情が関与していることは事
スに関わっていますが、家庭的
私も企業のメンタルヘル
木下
が大切です。
ずは会社を休ませてあげること
と聞いていますので、ま
族の方に安全配慮は移る
が、一旦休職に入れば家
安全配慮義務の範囲です
会社に来る場合は
稲田
慮義務だと考えます。
そこまでが企業の安全配
その人を医者に行かせる。
ば、病気の可能性があり、
もし続いているのであれ
二週間も続いていないか。
ういった状態が一週間も
なことが楽しめない、そ
きちんと眠れない、好き
をさせてはいけません。
気の可能性があれば仕事
への第一歩です。
善も、忘れてはならないポイン
神科医あるいは産業医として、
の職場への復職だけでなく、本
人の適性に応じ、別の職場での
リワーク・プログラムの成果」
ま す 。 こ の よ う に﹃ 誠 意 を ベ ー
認しながら次のステップに進め
復帰ですが、最も重要なことは
援 は 、① 情 報 や サ ー ビ ス を 提 供
に、企業にとって必要な外部支
す る 専 門 家﹁ コ ン テ ン ト・ プ ロ
フェッショナル﹂②診断し処方
の第一歩と考えます。
題を解決できる組織作りのため
かつ自律的にメンタルヘルス問
成される。これが、企業が健全
な﹁ 職 場 相 互 支 援 ﹂ の 風 土 が 醸
の立場となり、そこから全社的
から、社内において〝支援者〟
担当者が、その後の経験と学習
あった企業の
される側〟で
門家に〝支援
はこれまで専
考えられます。また、企業側で
成果が出ていない理由の一つと
EAPが少ないことが、現状で
かしこれらの機能を果たせる
シリテーター﹂の存在です。し
問題整理を行う﹁プロセス・ファ
築をサポートし、支援に必要な
ク タ ー ﹂③ 専 門 家 と の 関 係 性 構
復 職 、 障 害 者 雇 用 で の 再 雇 用 、 箋 を 出 す 医 師﹁ メ デ ィ カ ル・ ド
他社への転職など、本人と企業
両者にとって最適な解決に向け
て複数の選択肢を検討した方が
良い結果につながります。
等の場において復職プランを確
当が連携して、復職判定委員会
神科医、人事部、法務など各担
メ ン タ ル ヘ ル ス 対 策 に お い 具体的には、産業医、嘱託精
て 、 E A P︵ E m p l o y e e
Assistance Program従 業 員 支
います。そこで、企業が外部資
スとした法令遵守﹄こそが、企
EAP導入で社内外の専門家が連携し
企業内に相互支援の風土を醸成
援プログラム︶によるサポート
が日本では
うまく機能
していない
源をうまく活用し、社内のリ
といわれて
ワークソリューションを構築し
業に求められる安全配慮義務と
いえます。
ていくためのポイントをお話し
﹁再発させないこと﹂です。元
埼玉医科大学国際医療センター腫瘍精神科教授
じくリハビリテーションが重要
〝従業員を活かす〟という発想
トです。職場のストレスの多く
このような視点で従業員と企業
高齢者うつを考える」
人 こうした新しいうつ病の出現
です。復職部署を決める際には
が人間関係にあることを考える
との間をコーディネートし、関
宇治おうばく病院院長 三木秀樹 氏
基調講演 1
「メンタルヘルスとリワーク」
2011年12月11日
(日) ベルサール飯田橋ファースト
21世紀医療フォーラム「うつ病リワーク推進協議会」
(日経BP社)主催 共催:一般社団法人 うつ病の予防・治療日本委員会(JCPTD)
後援:厚生労働省(予定)
特別協賛:塩野義製薬株式会社
会 場:
リワークの目的は確実な職場 このようなシステム構築の際
ます。
テーマ:
「リワーク・ソリューションを考える」
「がん患者のうつ病と
万人あたりの自殺者が
や、躁とうつが共存する双極性
元の部署に戻すのか、異動させ
と、上司や同僚とうまくコミュ
係者を支援する役割を担うこと
パネルディスカッション
基調講演 2
(2)
「外来で治す
「うつ病とリワーク
外来と入院の連携について」
されつつあります。
と 、G 8 諸 国 で は ロ シ ア に 次 ぐ
が増えていることなど、うつ病
は全般的に難治化しており、新
自殺大国となりました。
さらに、時代の成熟と共に未
しい対応策が求められていま
す。
熟な若者が増え、新たな問題を
年前には
を
認し,復職先を変えることも検
門的に捉え、仕事とのマッチン
は、従業員の適性を多角的、専
討します。適性や能力を把握す リワークを成功させるために
る た め に は 、﹁ ク レ ッ ペ リ ン 作
業 能 力 検 査 ﹂﹁ 厚 労 省 編 一 般 職
能力のギャップが大きい若者が
るのか。これは重要なポイント
ニケーションを図れるよう人間
ができれば、企業と従業員それ
ぞれが満足できる復職が可能に
樋口輝彦 氏
(1)
「入院で治す
メンタルヘルス入院 Re-Design」
国立精神・神経医療研究センター理事長・総長
であり、ソーシャルサポートが
場に残るうつ病患者と、職場を
必要なのです。うつ病などのた こうした動きを加速させ、職
めに1カ月以上の休職者を抱え
サポートシステムの整備が急務
生み出しています。
患者情報 の共有
られる
込められているのは、まだ復職
業 適 性 検 査 ﹂﹁ 知 的 機 能 検 査 ﹂ グを図り、場合によっては積極
に、企業からもこの考え方への
な ど も 大 い に 活 用 す べ き で す 。 的な異動・転職も勧める。さら
例えば、数学的な才能がある反
のにあるのではなく、復職後に
増えていますが、こういった能
面、情緒面では遅れているなど、 理 解 を 得 る こ と も 不 可 欠 で す 。
従 業 員 が﹁ 満 足 ﹂ で き る 職 業 生
力の見分けにも有効です。
復職の目標とは、復職そのも
活を送れると同時に、企業にも
です。仕事の内容にうまく適応
関係の改善を図ると共に、受け
〝その人を活かす〟という発想で、
企業にも従業員にもメリットのある復職を
メリットがあるものにすること 次に、復帰する職場環境の改
です。その
ためのキー
できなかったため,メンタルヘ
入れる上司の不安や疑問にもき
ワードが、
ルス不調に陥ったと思われる場
なると考えています。
リワーク・ソリューション 入院治療と外来治療
ご挨拶
りんかい築地クリニック院長 吉田健一 氏
氏
中村 純
産業医科大学精神医学教室教授
る 企 業 は 、 年 々 増 え て い ま す 。 離れるうつ病患者双方に対する
休職者への支援は今や社会的な
となっています。
得
から
は 難 し い が 、〝 本 人 が 出 社 し た
絶対的なものではありません。
ミュニケーションを取り合った
パネルディスカッション
ちんと応えるシステムの構築が
「うつ病リワーク
(復職)のソリューション 入院と外来」
12/11東京シンポジウム
WEBサイトで申込み受付中
2011 東京」シンポジウム
催
次回 東京開 「メンタルヘルスとリワーク
http://www.nikkeibp.co.jp/mentalhealth
21世紀医療フォーラム うつ病リワーク推進協議会
大西秀樹 氏
日経BP社
中西史子氏 丸山秀樹氏(毎日新聞社大阪本社人事・総務部副部長)
患者、医療者、職場のネットワークづくりを目指す
サイトです。それぞれがどのようにすればリワーク
を可能にできるのか。その智恵と工夫を取材・検証
し提案することが、このサイトの役割です。
入 場 無 料 ※講師および講演タイトルは変更になる場合があります。
プログラム 13:30 ∼ 17:00
課題となっています。休職者の
診断書
な く 、﹁ 自 律 神 経 失 調 症 ﹂ と 書
い と こ ろ で す 。﹁ 出 社 可 能 ﹂ に
く場合があります。休業加療を
いので挨拶に行かせる〟ぐらい
と﹁ 出 社 ﹂ の 意 味 を 汲 ん で ほ し
﹁要す﹂では診断書を出しづら
の 意 味 で す 。 で す か ら 、﹁ 業 務
る最初のメッセージです。患者
い 場 合 は﹁ 望 ま し い ﹂ と 表 し ま
遂行能力を保証するものではな
の 希 望 に よ り﹁ う つ 状 態 ﹂ で は
す。うつ状態を短期間で解消す
る の は 難 し い に も か か わ ら ず 、 い﹂と付記することもあります。
職場復帰を成功させるために
﹁ 1週間の休業加療を要す﹂と もとより主治医の診断書は、
書くこともあります。いきなり
ら、企業のメンタルヘルス担当
診断書を書く主治医の立場か
休業2カ月などと書けば、本人
は、産業医、
人事労務担当
者、主治医と
が会社に診断書を出さない場合
上で、復職に向けた制度をルー
本人が密にコ
もありますし、メンタル不全に
ル化し、復職判定委員会などで
は視点が違うこと。そして診断
ワーク問題解決の一つになると
(社)大阪精神科診療所協会
会長、渡辺クリニック院長
合は,本人の職業適性などを確
日本 CHR コンサルティング
代表
24
座長:樋口輝彦氏
パネラー ( 右から)
:木下利彦氏 稲田泰之氏 渡辺洋一郎氏
90
者に理解してもらいたいポイン
﹁うつ状態=うつ
病﹂ではないこ
診断書に込められたメッセージ
と。うつ状態を
理解のない職場では仕事を失い
決めることが必要です。日頃か
多々あり、それぞれ治療方針が
呈する病態は
かねないからです。
ら精神科医に相談できるシステ
異なること。主治医と産業医で
書の読み方の重要性です。主治
や﹁ 出 社 可 能 ﹂ と 記 し た 診 断 書
件 が 満 た さ れ れ ば﹁ 就 労 可 能 ﹂ ム づ く り を し て お く の も 、 リ
医 が 早 め の 休 業 を 勧 め る の は 、 一通り治療を行い、一定の条
患者と職場双方の利益を考える
からです。
を 出 し ま す が 、 こ れ も﹁ 就 労 ﹂ 思います。
中西史子氏
渡辺洋一郎氏
10
に 要 嘱
な 託精神科医
企業 必
共催:一般社団法人 うつ病の予防・治療日本委員会(JCPTD)
後援:厚生労働省
特別協賛:塩野義製薬株式会社
基調講演 2
トがいくつかあります。まず、
理事、稲田クリニック院長
座 長:東洋英和女学院大学教授 横浜クリニック院長
山田和夫氏 パネラー:樋口輝彦氏 中村 純氏 大西秀樹氏
三木秀樹氏 吉田健一氏
広 告
(社)大阪精神科診療所協会
診断書は主治医から職場へ送
「企業の嘱託精神科医の立場から」
稲田泰之氏
17
シンポジウム開催
基調講演 1
「精神科主治医の立場から」
企業の求める
リワーク・ソリューション
「メンタルヘルス・コンサルティングの立場から」
10
50
7月 日、ザ・リッ
ツ・カールトン大阪に
おいて、シンポジウム
﹁ メ ン タ ルヘル ス と リ
ワーク 2011 大
阪 ﹂が開催された。
今回のテーマは、
﹁うつ病とリワーク
︵復職︶
。そのソリュー
ションを考える﹂
。
医療現場や職場で
うつ病の治療やリ
ワーク支援にあたる
5 名の専門家を招き、
それぞれの立場から
リワーク成功のため
の方策を探った。
「メンタルヘルスとリワーク 2011 大阪」
Fly UP