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タンパク研究の 発展を支えるHPCクラスタ

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タンパク研究の 発展を支えるHPCクラスタ
ソリューション
・PCクラスタ
タンパク研究の
発展を支えるHPCクラスタ
Dell PowerEdge サーバは、国立遺伝学研究所に1 億件までのデータ増に
対応する拡張性を有した HPCC( High Performance Computing Cluster )
システムを提供した。
カスタマー・プロファイル
組織名 : 国立遺伝学研究所
(NIG)生命情報・DDBJ
研究センター データベース運用開発研究室
業種 : ライフサイエンス
設立 : 1949 年
従業員数 : 500 名
Webサイト : http://www.nig.ac.jp/
課題
国立遺伝学研究所は、国家的な研究プログラム
であるタンパク構造の分析/研究を遂行するた
め、HPCソリューションを求めていた。
ソリューション
研究プログラムの実現に向け、Dell™ PowerEdge™
サーバによって強化されたHPCシステム
導入効果
Get IT Faster—迅速なITの導入—
・迅速な導入と管理のシンプル化を実現する
ために最適化された、OpenManageディプ
ロイメント・ツールキットやBMC(Baseboard
Management Controller)
、DRAC(Dell Remote
Access Controller)
を含めたデルのHPCソ
リューションの導入
Run IT Better—IT 運用・保守の簡素化
・Dell PowerEdgeサーバにより、研究プログラム
国立遺伝学研究所(National Institute of Genetics:NIG)
は、
遺伝学を切り口として生命科学における先端研究とその基盤整備を担う中核機関として、
1949 年に設立された。1984 年には、各大学の研究者との共同研究の促進を目指し、
大学間をまたがる研究組織として再編成。そして 1988 年以降、より先進的な研究を
行うため、総合研究 大学院大学生命科学研究科の遺伝学専攻を担い、
大学院学生の教育にも携わっている。
さらに NIG では、様々な 生 物 遺 伝 資 源(マウス、ゼブラフィッシュ、イネ、
バクテリア、ショウジョウバエ等)とそ の 情 報 の 中 枢 機 関 の 役 割も 担っており、
また、研 究 基 盤 組 織として、DNA Data Bank of Japan( DDBJ )、
DNA シーケシングセンターを有している。
NIG は日本の 静岡県三島市に拠点を構えており、
500 名のスタッフを擁している。
における計算集約型タスクを可能とする拡張性
の高いHPCソリューションを導入
Grow IT Smarter—スマートなITの発展—
・他のソリューションと比較してIT 予算の抑制を
実現した、PCクラスタ・システムの実現
・低消費電力性と信頼性の高いパフォーマンス
を提供するデル・サーバの活用
国 立 遺 伝 学 研 究 所(以 下、N I G)の 生 命 情 報・
原秀明名誉教授は説明する。
DDBJ 研究センター データベース運用開発研究室
そうしたことからNIG は、ターゲットタンパクに関
では、生命情報科学の分野におけるシステムの研
する多面的データベースの研究に用いられるHPC
究/開発活動を推進している。同研究室の主たる
(High Performance Computing)
ソリューションの
ミッションは、研究で生み出されるデータを獲得し、
調達も任されていた。このデータベースは、タンパ
そこから情報や知識を抽出し、そして提供するため
クを構成する、何百万ものアミノ酸の複合構築物
の情報システム開発にある。インターネット上で配
に関する情報の分析や蓄積を担うものだ。
信されるヘテロジニアスな生物学的情報資源の統
システムを導入するにあたり、NIG は、PCクラス
合に関しても、同研究センターは日本におけるバイ
タによる HPCシステムが、単一のスーパー・コン
オ情報ウェブ・サービス開発のパイオニアとして知
ピュータよりも同研究プログラムのニーズに適合す
られる。
ると踏んでいた。それは、HPCクラスタがスーパー・
データベース運用開発研究室は、文部科学省が
コンピュータよりも高いパフォーマンスと可用性を
推進する 5カ年計画の 国家プロジェクト「ターゲッ
有していること、そして、5 年間の研究プログラムを
トタンパク研究プログラム」にも深く携わっている。
推進していくにあたり、毎年、データベースに蓄積
「ターゲットタンパクの 研 究 に 関 する技 術 開 発を
される情報が増加することから予想される、システ
行っていくにあたり、ターゲット・タンパク研究プロ
ム負荷への対処にも、ノード等の追加/拡張により
グラムには 50 億円規模の予算が割り当てられてい
適応が可能と判断したからだ。
ます」と、研究室を主導する国立遺伝学研究所の菅
とはいえ、NIG は、いわゆる “ブラック・ボックス
「デルは最初に問い合わせを行った時にも迅速に応じてくれるなど、
当初から惜しみない援助をしてくれました。
また、システムに関しても他のベンダーのハードウェア・ソリューション
と比較評価して、その性能や品質について十分に優れているという
印象を持ちました」
国立遺伝学研究所 菅原秀明名誉教授
型 ” の HPCソリューションを求めていなかった。むし
「デルは最初に問い合わせを行った時にも迅速
ろ、コンピュータ・クラスタを構築するプロセスに
に応じてくれるなど、当初から惜しみない援助をし
関与し、HPCクラスタに関する知識やノウハウを有
てくれました。また、システムに関しても他のベン
することを望んでいたのだ。
ダーのハードウェア・ソリューションと比較評価して、
他の研究プロジェクトで使用されているHPCシス
その性能や品質について十分に優れているという
テムには、当該研究に並行して利用できるものが
印象を持ちました」と菅原教授は評する。
なかったことから、菅原教授と研究所のスタッフは
デルとSCS による共同提案は、パフォーマンスや
導入システム/ソリューション
ハードウェア
・Dell™ PowerEdge™ 2970サーバ
(AMD Opeteron™プロセッサ搭載)
・Dell™ PowerEdge™ 1950IIIサーバ
(Intel® Xeon®プロセッサー搭載)
新システム導入のための入札を実施することを決
品質、そしてコスト等、様々な要件を十分に満たし
定、入札に参加したベンダー各社のソリューション
ており、最終的に今回の入札案件を獲得すること
・Dell™ PowerEdge™ SC1435サーバ
(AMD Opeteron™プロセッサ搭載)
を評価した。
「当初のデータベースのエントリ数は
ができた。
・Dell™ PowerConnect 6248ネットワーク・スイッチ
1,000 万件ほどでしたが、データは日々蓄積されて
なお、両社の役割分担であるが、デルは今回の
いきます。したがって、将来的には概算で1億件ま
プロジェクトに用いられるHPCクラスタのハードウェ
・Dell™ PowerConnect 2748ネットワーク・スイッチ
で増加することが見込まれており、ソリューションの
ア提供を担い、一方、SCS は導入サービスや運用サ
拡張性に対する懸念がありました。そうしたことか
ポートを担当している。そして、今回、研究プロジェ
らシステムの選定にあたっては、将来的な拡張を
クトに用いられるシステムとして、計算ノードとして
見越し、コアの能力、オペレーションの速度、予算、
合計 120 のノードから構成される 4 つのクラスタ・
・Dell™ PowerConnect 2716ネットワーク・スイッチ
・Dell™ PowerEdge™ R905サーバ
(AMD Opeteron™プロセッサ搭載)
・Dell™ PowerVault™ MD3000iストレージ
(大容量メモリ・サーバ用ストレージ)
そして必要とされるノード数について十分に考慮
システムが導入された。具体的には、計算ノードと
する必要がありました」と説明する。
してDell™ PowerEdge™ SC1435 及び PowerEdge
対して、入札に名乗りを挙げるとともに NIG に評
1950が導入され、大容量メモリ・サーバとしてAMD
・NPACI Rocks Cluster Toolkit
価用のハードウェア・システムの提供を行ったのが、
Opteron™プロセッサ搭載の PowerEdge R905 が含
・CentOS
デ ル、および 住 商 情 報システム株 式 会 社(以下、
まれたHPCシステムが導入された。
SCS)によるパートナーシップだった。今年で創立 40
周年を迎える住商情報システム株式会社は、多岐
導入のシンプル化も実現
にわたるITソリューションを提供するシステム・イ
ンテグレーターである。HPCソリューションの提供に
菅原教授は、HPCクラスタ・ソリューションのイン
ついても多くの実績を有しており、また、デルとの
テグレーション、および導入作業はスムーズに行わ
パートナーシップにより数々の HPCシステムの構築
れたと語る。これは、導入前の綿密なエージング・
を手掛けてきた。
テストの実施など、パートナーであるSCSとの密接
ソフトウェア
サービス
・デル・サポート
「デルとは、HPC の導入をストレスなく
行うことができました。
また、HPC の最新情報を提示するよう
な 定期的な ミーティングを開催してく
れたり、私たちがシステム・サポートを
要するときでも、迅速な サポートを提
供してくれます」
国立遺伝学研究所 菅原秀明名誉教授
な協力を伴う、デルのHPCソリューション・エンジニ
の導入は 4フェーズに分けて行われたが、段階的な
ア・チームによって事前に十分な検証がなされた
導入が行われた各 HPCシステムを、1 つの HPCシス
した。
PowerEdgeサーバ・シリーズは、最新の AMDプ
ソリューションの結果だった。これらのサポートによ
テムとして統合しなくてならないという課題があっ
ロセッサ搭載モデルとIntelプロセッサー搭載モデ
り、HPCクラスタの容易な導入が実現されたわけで
た。その再編作業を行うにあたり、Rocks Cluster
ルが選択可能で、両モデル共に優れたパフォーマ
ある。
ToolKit を活用することで、大幅に作業時間の短縮
ンスを実現している。また、ホットプラグによる冗
先進のシステム管理ツールも、研究プログラム
化を図ることができた。
長電源とホットプラグ・ハードディスクを含む有効
の HPCクラスタの導入を容易なものにした。デル
住 商 情 報システム IT エンジニアリング 事 業 部
な機能は、信頼性と長時間にわたるシステム利用
OpenManage Deployment Toolkit(DTK)のような
エンジニアリング技術部 HPCソリューションチー
を提供する。
ツールは、スクリプトの記述や、マルチシステム・
ムの飯坂剛一氏は、
「Rocks Cluster ToolKit につ
さらに、リモートアクセス、モニタリング、トラ
プレオペレーティングシステム・コンフィギュレー
いては、当 社で 数 多くの 導 入 実 績 を 積 んで いる
ブルシューティング、メンテナンスとアップグレー
ション、そしてリモートからのサーバ配備に対する
ことから、技術者にもノウハウが 蓄積されていま
ドのために用意された Baseboard Management
ユーティリティを提供する。そうした様々な設定の
す。そうしたことに 加え、デ ル からも様々な 情 報
Controller(BMC)
とDell Remote Access Controller
自動化機能を有する DTK は、スクリプト化された
提供を受けられたこともあり、短期間でのシステ
(DRAC)といった 管理機能は、運用管理のシンプ
インストレーションやコンフィグレーションを複数
ム導入を実現できました」と語る。
の サーバに対して設定可能だ。そして、それらは
基本的なハードウェアからオペレーティングシステ
拡張性の高いソリューションを提供
ム、アプリケーションのセット・アップまでもカバー
ル化を支援。これらは、研究プログラムの HPCクラ
スタの運用効率を最大化するための機能、および
ツールの強力なセットとして提供されている。
菅原教授は、
「膨大なタンパク配列(アミノ酸配列)
している。
高い パフォーマンス——すなわち、Dell Power
の比較、クラスタリング、多数のデータベースとの照
この ほ か、システム構 築 にあたっては、SCS の
Edge で 実現されたスーパーコンピューティング・
合を日々行います。デルの HPCクラスタにより、容
提案により、HPCクラスタ・ツール「NPACI Rocks
ソリューションは、要 求されてい た 高 い 拡 張 性と
易にそれらの分析作業を行うことが可能となりまし
Cluster ToolKit」が活用された。今回、HPCシステム
コンピューティング・パワー、そして信頼性を提供
た」と評価する。
【システム構成図】
管理ノード:
PowerEdge 2970
CPU:AMD Opteron
2222SE
(DualCore)
×2
管理ノード:
PowerEdge 1950
CPU:Intel Xeon 5405
(DualCore)
×2
ログイン・ノード:
PowerEdge 1950
CPU:Intel Xeon 5450
(QuadCore)
×2
大容量メモリ・サーバ:
PowerEdge R905
CPU:AMD Opteron
(DualCore)
×4
ディスク装置:
PowerVault MD3000i
PowerConnect 6248
PowerConnect 6248
ログイン・ノード:
PowerEdge 1950
CPU:Intel Xeon 5450
(QuadCore)
×2
PowerConnect 2748
PowerConnect 2716
PowerConnect 2716
計算ノード:PowerEdge 1950
CPU:Intel Xeon 5450
(QuadCore)
×2
計算ノード:PowerEdge 1950Ⅲ
CPU:Intel Xeon 5450
(QuadCore)
×2
計算ノード:PowerEdge SC1435
CPU:AMD Opteron 2350
(QuadCore)
×2
:Public Network
:Job
:Inter Connect
:iSCSI
エネルギー効率も強化
Dell PowerEdgeサーバは、熱や消費電力量を減
らしつつも、パフォーマンスを増やすように設計さ
■From Solution Partner
段階的に導入された HPCシステムを
ツールを活用し迅速に統合
れている。低流ファン・テクノロジーやエネルギー
効率の良い電源、低電圧で高効率のプロセッサと
出荷前に施された BIOS 設定、そして、より効果的
な空気の対流を実現するよう設計されたユニーク
住商情報システム株式会社
http://www.scs.co.jp/
HPCクラスタのために省電力化を実現している。
業種ごとの専門知識をベースに顧客の個別ニーズに対応したシステム・アプリケーションを
提供する業務系ソリューション事業、自社開発パッケージソフトを中心とした ERPソリューショ
ン事業、ITインフラを構築するプラットフォームソリューション事業等の戦略的事業領域に強
みを持つ。
複雑さを排したHPCクラスタへの
アプローチ
本 社:東京都中央区晴海 1 丁目8 番 12 号
晴海アイランド トリトンスクエア オフィスタワーZ
設 立:1969 年 10月25日
資本金:21 億 5,200 万円
なコンポーネントなど、PowerEdgeサーバは NIG の
現在、HPCクラスタは、ターゲットタンパク研究の
ために活用されている。そして、システムに対する
負荷増にも、デルのハードウェアで稼働するHPCク
ラスタは難なく対処している。
「我々の研究活動は
スムーズに進んでいます。我々はデル HPCクラス
タ・ソリューションのパフォーマンスに非常に満足し
ています」と菅原教授は評価している。
研究プログラムがさらに次の段階へ移行してい
くのに伴い、菅原教授のチームは新技術を用いた
ソリューションを探求するにあたり、デルとの共同
作業を楽しみにしているようだ。
「今回、デルとは、
HPC の導入をストレスなく行うことができました。
例えば、HPC の最新情報を提示するような定期的
なミーティングを開催してくれたり、私たちがシス
テム・サポートを要するときでも、迅速なサポート
を提供してくれました。これからもデルのサポート
には大いに期待しています」と菅原教授は語る。
本ケーススタディは情報提供のみを目的としています。デルは明示
的または暗示的を問わず、本ケーススタディにいかなる保証も与えるも
のではありません。2009年1月
今回、遺伝学研究所の HPCシステムの構築にあたり、設計、導入を担当し
たのが住商情報システムである。HPCシステムの構築にあたっては数多くの
実績を積み重ねてきた同社だが、今回のシステム構築での大きな課題は、4
フェーズに分けられて導入された各 HPCシステムを1 つのシステムに統合す
るというものだった。すなわち、各導入フェーズごとに、次段階で追加される
システムについても考慮した設計を行わなければならなかったのである。対
して、住商情報システム ITエンジニアリング事業部 エンジニアリング技術部
HPCソリューションチームの飯坂剛一氏は、
「設計および構築にあたっては、
どのようなシステムが追加されても対処できるようスケーラビリティを確保
できるように留意しました」と説明する。
また、段階的に導入された各 HPCシステムについて、上述したように 1 つ
の HPCシステムに統合するための再編作業が発生する。そこで、住商情報シ
ステムから提案されたツールが、NPACI Rocks Cluter ToolKit だった。Rocks
Cluter ToolKit は、米国で事実上の標準となっているクラスタ・ツールであり、
HPCシステムの構築や運用管理、システム追加や障害時の復旧等にまつわ
る作業負荷を大幅に軽減するものだ。
飯坂氏は、
「Rocks Cluter ToolKit は HPCシステムを構成するノード追加に
際しても、非常に強力な機能を有しています。今回、HPCシステムの再編に
あたっては、同ツールを活用したことにより、大幅に作業時間を抑制すること
ができました」と語る。
「また、短期間での導入ができたのは、弊社がこれまで培ってきたノウハウ
に加え、デルからの様々な技術サポートや情報提供を受けられたことも大き
な理由でした」
(飯坂氏)
このほか、営業活動にあたっても、デルから様々なサポートを受けられた
という。ITエンジニアリング事業部 HPCソリューション部 HPCソリューション
チームの長山由佳氏は、
「評価機の提供をはじめ、入札にあたっての提案書
作成についても技術情報を提供してもらうなど、営業面でもデルから数多く
のサポートを受け、提案活動をスムーズに行うことができました」と語る。
住商情報システム
ITエンジニアリング事業部
エンジニアリング技術部
HPCソリューションチーム
飯坂剛一氏
住商情報システム
ITエンジニアリング事業部
HPCソリューション部
HPCソリューションチーム
長山由佳氏
SIMPLIFY YOUR TOTAL SOLUTION AT DELL.COM/Simplify
©2009 Dell inc.
● PowerEdge、PowerVault、OpenManage、DELLロゴは、米国 Dell Inc. の商標または登録商標です。
● Microsoft、Windows、Windows Server、Windows NT、SQL Server は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
●その他の社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。 ● 2008 年 12月 取材
デル株式会社 〒212-8589 川崎市幸区堀川町 580 番地ソリッドスクエア東館 20F Tel. 044-542-4047 www.dell.com/jp
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