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第二章診療・看護・コメディカル部門の活動実績(PDF:458KB)

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第二章診療・看護・コメディカル部門の活動実績(PDF:458KB)
第1節
心臓血管部
部長(事務取扱)
河野
幸裕(本・病院長)
1.循環器科
【スタッフ】
主任部長
部長
副部長
医長
医長
医長
シニアレジデント
シニアレジデント
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
池
小
羽
岡
天
竹
張
西
本
上
増
高
口
菅
田
田
谷
内
田
尾
原
畠
田
橋
滋
邦 彦
龍 彦
正 治
直 貴
雄 三(H20.6∼)
健 志
壮 示
征一郎
拓
大 輔
正 行
【診療科の特徴】
滋賀県内の循環器診療における中心的病院として、狭心
症・急性心筋梗塞など虚血性心疾患に対するカテーテル治
療と心房細動をはじめとする不整脈疾患のアブレーショ
ン治療を中心に、急性期から慢性期に至る総合的診療を行
っています。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の治療に関しては、
バルーンやステントによる冠動脈形成術により心疾患の
根治をめざした診療に力を入れています。
循環器当直を24時間体制で実施すると同時に、急性心筋
梗塞には多職種からなる緊急カテーテル治療チームを結
成し、緊急治療を実施しています。
一方アブレーションによる不整脈治療に関しては、自覚
症状の強い発作性心房細動に対する肺静脈隔離から、心不
全の治療意義が注目される慢性心房細動アブレーション
まで積極的に実施し、連続性電位を指標とする新たな心房
細動アブレーション法を開拓しています。アブレーション
の適応とならない心室細動などには、植え込み型除細動器
を、左脚ブロックなどを伴う心不全には両室ペースメーカ
ーを植え込んでいます。虚血・心不全・不整脈に対する薬
剤治療・インターベンション・デバイス治療・外科治療を
組み合わせて総合的治療を行っていることが当科の特徴
です。
一方退院後の慢性期においては心不全などを予防する
目的で心臓リハビリを積極的に展開し、県内唯一の心臓リ
ハビリテーション施設としての認定を取得しています。
【診療体制と治療実績】
1)外来診療体制と実績
平成 20 年度の外来患者数はのべ 27456 人、紹介率
は 50.6%でした。毎日 3−4 診をたて、うち 2 診を新
患外来にあてています。木曜午後には、不整脈専門外
来および、ペースメーカー・ICD 外来を実施しました。
2)入院診療体制と実績
54 病床を使用し、平成 20 年度の新入院患者数は
1,384 人、のべ患者数は 18,248 人、
平均在院日数は 11.3
日でした。平成 20 年の心臓カテーテル検査・治療総数
は 1235 件で、うち冠動脈インターベンション治療
(PCI)580 件、うち急性心筋梗塞での治療 61 件、下
肢動脈インターベンション 53 件、不整脈アブレーショ
ン 115 件、うち心房細動アブレーション 68 件、ペース
メーカー手術 77 件、ICD12 件、CRT/D13 件でした。
【診療内容の特徴と実績】
1)冠動脈治療
冠動脈狭窄の診断には 128 スライス CT を使用し、
外来検査を施行しています。狭窄を有する方には、心
臓カテーテル検査を実施時に血管内エコー検査も施
行、その所見を役立てた PCI を実施しています。薬剤
溶出性ステントも積極的に応用し、再狭窄率は1桁台
となっています。左冠動脈主幹部や慢性完全閉塞病変
の PCI も外科治療と比較した上で実施しています。
2)不整脈治療
発作性上室頻拍症や心房粗動、特発性心室頻拍など
従来の適応疾患でのアブレーション成功率は 95%以
上です。発作性心房細動に対する肺静脈隔離術のみで
なく、慢性心房細動に対しては肺静脈隔離に電位指標
(CFAE:連続性分裂心房電位)アブレーションを追加
して各々90%、80%の慢性期成功率を得ています。
特にカルトシステムやノンコンタクトマッピング
(ESI)など 3 次元マッピング装置を導入して立体的
評価に基づくアブレーションを実施しました。平成
21 年 4 月からはイリゲーションカテーテルによるア
ブレーションが国内で認可され、当院ではただちに導
入し血流低下部位でも充分な焼灼が可能となりまし
た。
イリゲーションタイプのアブレーションカテーテル
基礎心疾患を伴う心室頻拍に対しては、アブレーシ
ョンに加えて植え込み型除細動器移植術を実施し、医
師と臨床工学士合同で退院後のフォローを行ってい
ます。また ICD 機能付き両室ペースメーカーも心不全
症例で積極的に植え込み、心機能低下と不整脈の同時
治療を行っています。
カテーテル治療
冠動脈CT画像
C R T D
3)心臓リハビリテーション
狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する心臓
リハビリや、心不全例へのリハビリテーションを選任
の医師が担当して実施しています。
【業績】
(学会発表)
1)The4th Annual Congress of the European Cardiac
Arrhythmia Society 2008
Prevention and management of catheter ablation
related complications (Ikeguchi S)
2)The4th Annual Congress of the European Cardiac
Arrhythmia Society 2008
The relationship between fractionated atrial
electrogram at sinus rhythm and atrial fibrillation
(Takeda S et al)
3)Annual Meeting of Japanese Circulation Society 2008
Cycle Length Mapping to Facillitate the
Localization of Continuous
Fractionated Atrial Electrograms during Atrial
Fibrillation Using Carto System (Ikeguchi S et al)
4)The 5th Annual Congress of the European Cardiac
Arrhythmia Society 2009
Pulmonary vein isolation does not affect most of the
continuous fractionated atrial electrogram (CFAE)
in left atrium during atrial fibrillation (Ikeguchi
S et al)
5)The 2nd Japan Heart Rhythm Society / European
Cardiac Arrhythmia Society (ECAS) Joint Symposium
in the 5th Annual Congress of the ECAS 2009
Reverse remodeling in atrial fibrillation /
Continuous Fractionated Atrial Electrogram (CFAE)
Ablation in Chronic Atrial Fibrillation . (Ikeguchi
S et al)
6)張田健志、池口滋、小菅邦彦、羽田龍彦、春名徹也、
岡田正治、和田嗣業、武田晋作、天谷直貴、石井充. 左
肺静脈が共通幹を呈した発作性心房細動に対してアブ
レーションを施行した1例. 第105回日本循環器学会
近畿地方会. 2008年6月. 大阪市
7)山本絵里香、張田健志、石井充、天谷直貴、武田晋作、
和田嗣業、岡田正治、春名徹也、羽田龍彦、小菅邦彦、
池口滋、福原怜、三浦左千夫. 心機能低下の原因精査
にてchagas病が判明した一例. 第105回日本循環器学
会近畿地方会. 2008年6月. 大阪市
8)石井充、岡田正治、張田健志、天谷直貴、武田晋作、
和田嗣業、春名徹也、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋、
山田知行、勝山和彦. 異型狭心症を契機に発見された
部分肺静脈環流異常症の1例. 第105回日本循環器学
会近畿地方会. 2008年6月. 大阪市
9)武田晋作、天谷直貴、竹内雄三、西尾壮示、張田健志、
石井充、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. EnSite
CFE map機能を用いた発作性心房細動に対するカテー
テルアブレーション治療の1例. 第106回日本循環器
学会近畿地方会. 2008年11月. 神戸市
10)西尾壮示、張田健志、石井充、天谷直貴、武田晋作、
竹内雄三、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. 下
肢閉塞性動脈硬化症に対するPTA後4日目に出血性ショ
ックを認めた症例. 第106回日本循環器学会近畿地方
会. 2008年11月. 神戸市
11)池口滋、武田晋作、天谷直貴、春名徹也、張田健志、
石井充、岡田正治、和田嗣業、羽田龍彦、小菅邦彦. 肺
静脈隔離が左房内連続性分裂電位に及ぼす影響に関す
る検討. 第23回日本不整脈学会学術大会. 2008年5月.
横浜市
12)武田晋作、池口滋、張田健志、石井充、天谷直貴、和
田嗣業、岡田正治、春名徹也、羽田龍彦、小菅邦彦. 右
室電極に横隔膜電位によるノイズ混入およびオーバー
センシングが認められた1例. 第23回日本不整脈学会
学術大会. 2008年5月. 横浜市
13)池口滋、武田晋作、天谷直貴、竹内雄三、西尾壮示、
張田健志、石井充、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦. 連
続性分裂電位への洞調律下通電にて、心房頻拍出現か
ら心房細動移行と心房細動停止までが観察された持続
性心房細動の1例. 第25回日本心電図学会学術集会.
2008年11月. 新潟市
14)武田晋作、天谷直貴、竹内雄三、西尾壮示、張田健志、
石井充、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. EnSite
CFE map機能を用いた発作性心房細動に対するカテー
テル・アブレーション治療の1例. 日本不整脈学会 第
20回カテーテル・アブレーション委員会公開研究会.
2008年10月. 仙台市
15) The 17th Annual Meeting of the Japanese Society of
Interventional Cardiology
The safety and efficacy of the Paclitaxel-eluting
stent for angulated lesion (Ishii M et al)
16) The 17th Annual Meeting of the Japanese Society of
Interventional Cardiology
BMS implanration in unprotected left main artery
in the DES era (Kosuga K et al)
17) The 17th Annual Meeting of the Japanese Society of
Interventional Cardiology
Predictor of restenosis of CTO treated by Cypher
stent (Harita T et al)
18) 武田晋作、西尾壮示、張田健志、石井充、天谷直貴、
岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. 2 種類の非
通常型心房細動および通常型心房細動に対して、
CartoXP を用いてアブレーションを施行した僧房弁
置換術後の 1 症例. 第 65 回滋賀県循環器疾患研究会.
2008 年 6 月. 草津市
19) 武田晋作、天谷直貴、竹内雄三、西尾壮示、張田健志、
石井充、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋.
EnSite CFEmap 機能を用いた発作性心房細動アブレー
ションの 1 例. 第 38 回京滋奈良 Interventional
Cardiology 研究会. 2008 年 9 月. 京都市
20) 西尾壮示、岡田正治、武田晋作、天谷直貴、石井充、
竹内雄三、張田健志、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋.
Conquest pro と Pilot Series guide wire の併用に
て再疎通に成功した CTO の 2 症例. 第 38 回京滋奈良
Interventional Cardiology 研究会. 2008 年 9 月. 京
都市
21) 石井充、小菅邦彦、西尾壮示、張田健志、天谷直貴、
武田晋作、竹内雄三、岡田正治、羽田龍彦、池口滋. 縊
頸に伴う意識障害に対し、低体温療法が有効であった
2 症例. 第 34 回滋賀救急医療研究会. 2008 年 10 月.
大津市
22) 西尾壮示、張田健志、石井充、天谷直貴、武田晋作、
竹内雄三、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. 糖
尿病•高血圧からネフローゼ•全身浮腫をきたし、テル
ミサルタンが有効であった 1 症例. 第 66 回滋賀県循
環器疾患研究会. 2008 年 12 月. 草津市
23) 張田健志、西尾壮示、石井充、天谷直貴、武田晋作、
竹内雄三、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. 心
房細動様興奮伝播(Fibrillatory Conduction)により
心房細動心電図を呈した肺静脈内頻拍の 1 例. 第 7
回京都心血管フォーラム. 2009 年 1 月. 京都市
24) 石井充、岡田正治、小菅邦彦、西尾壮示、張田健志、
天谷直貴、武田晋作、竹内雄三、羽田龍彦、池口滋. 急
性心筋梗塞に対する Cypher Stent 留置の 23 ヶ月後に
very late thrombosis を来した一症例. 第 14 回日本
心血管インターベンション学会. 2009 年 2 月. 豊中
市
25) 天谷直貴、西尾壮示、張田健志、石井充、武田晋作、
竹内雄三、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. 心
房細動アブレーションを施行した高度肥満の一例.
第 39 回京滋奈良 Interventional Cardiology 研究会.
2009 年 2 月. 京都市
26) 西尾壮示、岡田正治、武田晋作、竹内雄三、天谷直貴、
石井充、張田健志、羽田龍彦、小菅邦彦、池口滋. ク
ローザーのフットが破損断裂し、大腿動脈内に残存し
た 一 症 例 . 第 39 回 京 滋 奈 良 Interventional
Cardiology 研究会. 2009 年 2 月. 京都市
27) The 73nd Annual Scientific Meeting of the Japanese
Circulation Society.
Long-term Clinical Outcomes after the Treatment of
Coronary Chronic
Total Occulusion with Sirolimus-eluting Stent.
(Nishio et al.)
(論文)
1) A case of left ventricular myxoma arising from
chorda tendon (Yamamoto E et al.) J Cardiol Jpn Ed
2008; 2 : 232-235.
2) 池口滋、武田晋作、竹内雄三、天谷直貴、石井均、張
田健志、西尾壮示、岡田正治、羽田龍彦、小菅邦彦. 慢
性心房細動に対する肺静脈隔離・電位指標基質アブレ
ーションにて洞調律維持に成功し高度心不全の著明な
改善を得た拘束型心筋症の1症例. 滋賀医学. 31巻.
2009年3月
3) 小菅邦彦. LMT病変. Coronary Intervention. 第5巻第
1号. 2009年1月
(教育活動)
1) 石井充. 下肢閉塞性動脈硬化症の診断と治療. 第14回
湖南臨床カンファレンス. 2008年5月. 草津市
2) 岡田正治. 虚血性心疾患の診断と治療. 第14回湖南臨
床カンファレンス. 2008年5月. 草津市
3) 池口滋. 連続性分裂電位(CFAE)アブレーションによる
慢 性 心 房 細 動 の リ バ ー ス リ モ デ リ ン グ . Complex
Cardiovascular Therapeutics 2009. 2009年1月. 神戸
市
4) 小菅邦彦. 異型狭心症. 「心血管保護を考えた高血圧
治療」学術講演会. 2008 年 10 月. 草津市
2.心臓血管外科
<平成20年度
【スタッフ】
部長
山 田
知 行
副部長
勝 山
和 彦
非常勤
(京都大学から派遣)
手術
件数
心臓弁膜症(人工弁置
換・形成術)
【患者数】
<外来患者数>
年度
外来患者数
対前年度比
1月平均
1日平均
H18
2,309
85.8%
192.4
18.7
H19
1,760
76.2%
146.7
18.4
H20
1,764
96.6%
147.0
17.8
(医事課調べ)
<入院患者数>
年度
入院患者数
対前年度比
1月平均
1日平均
H18
3,171
94.8%
264.3
8.7
心臓大血管手術件数と成績>
H19
2,760
87.0%
230.0
7.5
H20
2,500
90.6%
208.3
6.8
(医事課調べ)
【実績等】
手術に際しての基本方針は、危険性が少なく、長期効果
が得られる治療法を選択することです。新しい実験的治療
は回避し、成績が安定した術式を短時間で行うことで、手
術の安全性を確立しています。
平成20年度の年間症例数は心臓大血管手術83例。疾患別
では大血管手術49例、胸部大動脈手術14例(解離2例、破
裂1例)、腹部大動脈手術35例(破裂4例)。心臓弁膜症手術
27例、大動脈弁12例、僧帽弁15例(内、2弁置換1例、三
尖弁手術9例)。僧帽弁逆流に対しては形成術を施行。虚血
性心疾患についてはカテーテル治療を主に行っており、冠
動脈バイパス手術は7例。オフポンプで4例、他疾患と同時
に3例。先天性ほか3例です。
手術死亡は83例中1例(1.2%)、76才の腹部大動脈瘤破
裂、ショックに対する緊急手術例のみで、救命困難でした。
80才以上の症例が83例中12例ありましたが、体にやさし
い手術を選び、全例軽快退院されました。最高齢は91才の
腹部大動脈瘤切迫破裂で、高齢者でも日常生活が普通にで
きるような例では充分手術が可能です。
術後経過は、ほとんどの人が、翌日から食事、2日目に
は立位、歩行が可能で、約2週間で退院できます。1か月
程度の自宅療養の後、元通りの社会復帰が可能であり、手
術の意義は大きいと言えます。
他にペースメーカー植込術104例、末梢血管手術15例を
行い、死亡例はありません。
手術
死亡数
死亡率
27
0
0.0%
冠動脈バイパス術
4
0
0.0%
先天性ほか心臓手術
3
0
0.0%
胸部大動脈瘤手術
14
0
0.0%
腹部大動脈瘤手術
35
1
2.9%
合計
83
1
1.2%
第2節
脳神経部
部長(事務取扱)
河野
幸裕(本・病院長)
1.老年神経内科
【スタッフ】
主任部長
医長
言語聴覚士
臨床心理士
松 田
長 濱
1名
1名
康
実
弘
【診療科の特徴】
当科ではもの忘れ外来を主体として、認知症疾患全般に
対する専門的診療を行っています。社会全体の少子化・高
齢化に伴い、認知症疾患の症例数は増加の一途をたどって
おり、当科の初診者数も年々増加し続けています(表1)。
認知症の原因疾患は多岐に渡るため、専門的に対応するに
は神経内科、脳神経外科、精神科、および内科疾患に対す
る幅広い知識と診療能力が要求されます。当科では医師2
名、臨床心理士1名、言語聴覚士1名によるチームで診療
を行い、各種検査(認知機能検査、CT、MRI、脳血流SPECT、
脳波など)所見および臨床所見に基づいた精度の高い鑑別
診断と治療を心がけています。
表1.初診患者数の推移
年度
01
02
03
04
05
06
07
08
初診患者数(人)
206
277
439
535
629
703
764
826
当科では認知症患者さんの診断、薬物治療を行うと同
時に、ご家族に対する丁寧な病状説明や患者さんへの対応
についての指導、介護保険サービスや成年後見制度などの
紹介・導入など、介護者のサポートも重視して対応してい
ます。認知症疾患では診断、治療に加えてケアも欠かせな
い要素ですので、地域のケアマネージャー、ケアスタッフ
との連携も行うことで、在宅患者さんとご家族のQOLを高
め、介護負担を軽減することを目指しています。さらに介
護施設に入所されている患者さんについての受診や相談
にも対応しています。また、できる限り多くの患者さんに
対応するために、地域のかかりつけ医の先生方との連携
(紹介・逆紹介)を重視しています。
当科は日本認知症学会(http://dementia.prit.go.jp/)
専門医制度認定施設であり、日本認知症学会認定専門医が
在籍しています。また医師2名は日本神経学会専門医でも
あります。
【診療実績等】
当科は4床の入院ベッドがありますが,精神科入院病棟
がないため基本的に外来診療が主体となっています。平成
20年度の外来患者数はのべ8,710人(月平均725.8人),新
規受診者は826人でした。主要な疾患の内訳は表2のとお
りで,一次性認知症と軽度認知障害が全体の76.8%を占め
ています。一次性認知症の内訳は表3のとおりです。
表2.平成20年度外来初診患者の疾患内訳
一次性認知症
軽度認知障害
正常
せん妄
その他精神疾患
パーキンソン症候群
一過性全健忘
正常圧水頭症
慢性硬膜下血腫
その他の脳器質性疾患
507人
127人
61人
20人
22人
9人
2人
9人
10人
33人
表3.一次性認知症の疾患内訳
Alzheimer病
混合型認知症
脳血管性認知症
Lewy小体型認知症
Lewy小体型認知症の疑い
前頭側頭葉変性症
Prion病
その他
350人(69.0%)
77人(15.2%)
32人( 6.3%)
20人( 3.9%)
10人( 2.0%)
3人( 0.6%)
2人( 0.4%)
13人( 2.6%)
【業績】
<論文等>
1) Nagahama Y, Okina T, Suzuki N, Matsuda M. Cerebral
substrates related to impaired performance in the
Clock-Drawing Test in dementia with Lewy bodies.
Dement Geriatr Cogn Disord 25, 524-530, 2008
2) 長濱康弘,翁 朋子,鈴木則夫,松田 実,深尾憲二
朗,村井俊哉. レビー小体型認知症にみられる精神症
状の分類. 精神科治療学 23, 1032-33, 2008
3) 松田実. 逆紹介/返送の実際:認知症の長期管理. 日
本医事新報 4399, 43-46, 2008
4) 松田実. 全失語. 神経内科 68, 190-196, 2008
5) 松田実. 超皮質性失語. 神経内科 68, 215-219, 2008
6) 松 田 実 . 今 日 に お け る 失 語 の 古 典 分 類 . Medical
Rehabilitation 99, 7-12, 2008
7) 松田実,翁朋子,長濱康弘. 人との関係性からみた認
知症症候学. 老年精神医学雑誌 20, 104-112, 2009
8) 平川圭子,松田 実,鈴木則夫,長濱康弘,翁 朋子.
extra-stroke を特徴とした書字障害の1例. 神経心
理学 25, 64-71, 2009
<その他の印刷物>
1) 翁朋子:認知症診療の現場から 29,認知機能検査に
ついて思うこと.認知症の人と家族の会滋賀県支部会
報「やすらぎ」175 号 2008/5/25.
2) 松田実:認知症診療の現場から 30,日々雑感.認知
症の人と家族の会滋賀県支部会報「やすらぎ」177 号
2008/7/25
3) 長濱康弘:認知症診療の現場から 31,腹を据える.
認知症の人と家族の会滋賀県支部会報「やすらぎ」179
号 2008/9/25.
4) 翁朋子:認知症診療の現場から 32,そして優しさを
学ぶ.認知症の人と家族の会滋賀県支部会報「やすら
ぎ」181 号 2008/11/25.
5) 松田実:認知症診療の現場から 33,介護スタッフの
創意工夫:
「相談役」.認知症の人と家族の会滋賀県支
部会報「やすらぎ」183 号 2009/1/25.
6) 長濱康弘:認知症診療の現場から 34,
「人は薬」とい
うけれど.認知症の人と家族の会滋賀県支部会報「や
すらぎ」185 号 2009/3/25.
<学会発表,講演等>
1) 松田実. 人との関係性から見た認知症症候学. アル
ツハイマー病研究会第 9 回学術シンポジウム. 東京,
2008/4/5
2) 長濱康弘. レビー小体型認知症の認知障害と精神症
状. 認知症シンポジウム 2008. 東京, 2008/5/24
3) 松田 実. 認知症の症状と対応 -物忘れ外来の現場
か ら -. 天 理 市 医 師 会 定 例 会 講 演 会 . 天 理 市 ,
2008/6/28
4) 翁 朋子. 心理学的援助方法の基礎知識. ポリテク
センター滋賀, 大津市, 2008/7/22
5) 長濱康弘. ひとりひとりがその人らしく-認知症疾患
の理解と対応-. 認知症サポーター養成研修(基礎編).
東近江市, 2008/8/29
6) 松田実. 話せば分かる失語症,話して見逃す認知症.
第 6 回滋賀脳卒中研究会. 草津市, 2008/10/11
7) 松田実. 高齢者における薬物療法 -認知症を中心に-.
滋賀県病院薬剤師会第137回湖南西支部研修会.
守山市, 2008/10/15
8) 長濱康弘. 認知症診療 UP TO DATE. 近江八幡認知症
を考える会. 近江八幡市, 2008/10/23
9) 長濱康弘. ひとりひとりがその人らしく‐認知症の
人を支えるために‐. 第4回湖東地区人権のまちづ
くり研修講座. 東近江市, 2008/11/4
10) 松田 実. 認知症の症候論. 第32回日本高次脳機
能障害学会. 松山市, 2008/11/20
11) 松田 実,鈴木 則夫,長濱 康弘,翁 朋子,平川
圭子. 再帰性発話は命題的発話である:発症17年を
経過した全失語の1例. 第32回日本高次脳機能障
害学会. 松山市, 2008/11/20
12) 長濱 康弘,翁 朋子,鈴木 則夫,松田 実. レビ
ー小体型認知症における Clock Drawing Test の障害
13)
14)
15)
16)
17)
18)
19)
20)
21)
に寄与する神経基盤の検討. 第32回日本高次脳機
能障害学会. 松山市, 2008/11/20
翁 朋子,長濱 康弘,鈴木 則夫,平川 圭子,松
田 実. 軽度認知障害における記憶障害の評価:言語
性対連合を用いて. 第32回日本高次脳機能障害学
会. 松山市, 2008/11/20
松田実:認知症の症状と対応.甲賀市医師会講演会,
甲賀市,2008/11/22
長濱 康弘. ひとりひとりがその人らしく-認知症の
人を支えるために-. 平成20年度介護力アップセミ
ナー. 野洲市, 2008/12/6
松田 実. ひとりひとりがその人らしく-認知症のよ
りよい理解のために-. 平成20年度滋賀県臨床心理
士会第2回研修会. 大津市, 2008/12/7
翁 朋子. 認知症の人のとなりで-もの忘れ外来にお
ける臨床心理士の役割-. 平成20年度滋賀県臨床心
理士会第2回研修会. 大津市, 2008/12/7
松田実:ひとりひとりがその人らしくー認知症のより
よき理解のためにー.彦愛犬介護支援専専門員認知症
研修会,彦根市,2009/1/10
翁 朋子. 心理学的援助方法の基礎知識. 介護サー
ビス科(ホームヘルパー1級課程)講義. ポリテクセ
ンター滋賀, 大津市, 2009/1/13
翁 朋子. ひとりひとりがその人らしく−みんなで
学ぼう認知症−. 湖南市認知症啓発講座. 湖南市,
2009/1/31
翁 朋子. 知っておきたい認知症の知識−コミュニ
ケーション方法を中心に−. 平成20年度お話し相
手ボランティア研修会. 守山市, 2009/3/20
2.神経内科
【スタッフ】
主任部長(兼)
非常勤
松 田
実(本・老年神経内科主任部長)
水曜日のみ京大から交代制
【患者数】
<外来患者数>
年度
外来患者数
対前年度比
1月平均
1日平均
H18
11,795
93.3%
982.9
52.4
H19
330
2.8%
27.5
8.2
H20
801
207.2%
66.8
16.9
(医事課調べ)
【実績等】
平成20年度は常勤医がいない状況で、週1日(水曜日)
のみ非常勤医師による外来診療を行いました。
年間の外来患者数は801名、1日平均外来患者数は16.9
名でした。
3.脳神経外科
【スタッフ】
部長
医長
医長
シニアレジデント
非常勤
齊
佐
山
八
小
木
藤
田
木
西
雅
岳
茂
美
常
章
史
樹
雪
起
脳梗塞
・発症3時間以内の脳梗塞に対して、組織プラスミノ
ーゲンアクチベーター(t-PA)静注療法を行っていま
す。SPECTやPETにより脳血流を把握し、頚動脈内膜
剥離術やバイパス術、京都大学脳神経外科の協力の
もと血管内手術(ステント留置術)を行っています。
2)
【診療科の特徴】
滋賀県における生活習慣病診療の拠点として、脳卒中、
脳腫瘍、脊椎・脊髄疾患、機能的疾患(てんかん、顔面痙
攣、三叉神経痛、難治性疼痛)など、脳神経外科領域全般
にわたり、広く診療を行っています。CT、MRI、SPECT、PET、
DSA等の診断機器を活用した、迅速かつ正確な診断を行い、
顕微鏡下手術、血管内手術、神経内視鏡などを駆使した、
質の高い専門医療を実践しています。特に脳卒中診療にお
いては、早期診断と早期治療が重要であり、24時間体制の
脳卒中診療を目指し、時間外も当直医もしくは待機医を置
き、急患の対応を行っています。
【治療実績】
1) 脳卒中
・脳卒中治療ガイドラインに基づく治療を行っています。
平成19年12月にDSA装置の更新がなされ(SIEMENS社製
AXIOM Artis dBA Twin)、新機器が大視野のバイプレー
ンフラットディテクタを備えることにより、正面・側
面2方向の撮影を同時に行えるようになり、検査時間を
短縮し、造影剤使用量を減らすことが可能となりまし
た。3D血管撮影や簡易的なCT画像も得られるようにな
り、脳動脈瘤や脳動静脈奇形などの複雑な血管病変を
より詳細に描出することが可能であり、脳卒中診療に
おいて大きな力を発揮しています。
・脳卒中後の痙縮や意識障害に対し、経皮的電気刺激
(TENS)を行っています。
・守山野洲地域において脳卒中地域連携パスを作成中で
あり、円滑な診療連携を目指しています。
クモ膜下出血(破裂脳動脈瘤)
・顕微鏡下手術による開頭クリッピング術を第一選択
として行っていますが、全身状態不良例や後方循環
の動脈瘤などでは血管内治療(コイル塞栓術)を行
っています。
未破裂動脈瘤
・直径5-10mm以上で全身状態に問題がない前方循環の
ものは、顕微鏡下開頭クリッピング術を行っていま
すが、全身状態不良例、後方循環の動脈瘤などは血
管内治療(コイル塞栓術)を、5mm未満のものはMRA
等で経過観察し、増大すれば治療を考慮しています。
脳内出血
・血腫量が多いもの場合は定位脳手術等による血腫吸
引術や、意識障害や重篤な神経症状を呈するものに
は、顕微鏡下開頭血腫除去術を行っています。
脳腫瘍
神経膠腫
・当センター研究所で独自に開発された11C-MeAIB(人
工アミノ酸)PETやFDG PETを用いて腫瘍の悪性度等
の質的診断を行い、開頭術により顕微鏡下に可及的
に腫瘍を摘出し、病理診断を確定した後、放射線・
化学療法(テモゾロミド等)を行っています。
・当センター研究所の谷垣健二専門研究員との共同研
究として、腫瘍の遺伝子解析と個別化治療法の検討
を行っています。
中枢神経原発悪性リンパ腫
・開頭術や定位脳手術により病理診断を確定し、放射
線・化学療法(HD-MTX療法)を行っています。
転移性脳腫瘍
・腫瘍径が3cm以下であればガンマナイフをすすめてお
り、病変が非常に多い場合には全脳照射を行ってい
ますが、原発巣のコントロールが良好で、全身状態
が安定しており、腫瘍径が3cm以上の単発腫瘍では顕
微鏡下開頭腫瘍摘出術を行っています。
髄膜腫
・症候性のものや、腫瘍が大きく脳への圧迫所見の強
いもの、経時的に増大していくものは、顕微鏡下開
頭腫瘍摘出を行っています。
下垂体腺腫
・視交差への圧迫により視力・視野障害を生じている
ものや、ホルモン産生腫瘍、経時的に増大していく
ものなどには経蝶形骨洞手術を行っています。
3)
4)
頭部外傷
・頭蓋内出血などで脳への圧迫が強く、意識障害等を
呈するものには、開頭血腫除去、外減圧術などを行
っています。
・慢性硬膜下血腫で、血腫量が多く脳への圧迫が強い
ものは、穿頭血腫洗浄ドレナージを行っています。
水頭症
特発性正常圧水頭症
・髄液排除試験で歩行障害や記銘力障害、尿失禁など
の症状が改善する場合には、圧可変式バルブを用い
た脳室腹腔シャント術、もしくは腰椎腹腔シャント
術を行っています。
閉塞性水頭症
・神経内視鏡を用いた開窓術を行っています。
5)
脊椎・脊髄疾患
・安静、消炎鎮痛剤やビタミン剤等の内服、理学療法
等で軽快しない症例に対し、脊髄造影による動態撮
影での脊椎の不安定性や神経根への圧迫の評価を行
ったうえで、顕微鏡下手術による確実かつ侵襲の少
ない神経の減圧と、必要に応じ内固定具なども使用
した脊椎支持組織の温存・再構築を行っています。
頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症
・1、2椎間の病変や、頚椎の不安定性が強い場合は、
チタンケージを用いた前方固定術を行っています。3
椎間以上の病変や、脊柱管狭窄合併例に対しては、
後方より椎弓形成術を行っています。
腰椎椎間板ヘルニア
・下肢運動麻痺が出現する場合や、痛みが強く保存的
治療が無効な場合などにはLove法による手術を行っ
ています。
腰部脊柱管狭窄症
・オパルモン内服などで症状が軽快しない場合には、後
方減圧術を行っています。
腰椎分離症・すべり症
・減圧術に腰椎固定術を追加して行っています。
脊髄腫瘍
・後方到達法(椎弓切除・形成術)にて、顕微鏡下に腫
瘍を摘出しています。
転移性脊椎腫瘍
・無症状のものには放射線療法を、運動麻痺や膀胱・
直腸障害などが出現した場合には、後方減圧、腫瘍
の可及的摘出、内固定術を行っています。
外傷性頚髄損傷
・受傷8時間以内であれば、メチルプレドニゾロン静注
療法を、骨傷による頚髄の圧迫があれば、早期に減
圧術を、不安定性があれば固定術(前方、後方)を
行い、外固定(Halo vest)も続けます。
6) 機能的疾患
・顔面痙攣、三叉神経痛などに対し、顕微鏡下手術によ
る微小血管減圧術を行っています。
脊髄刺激療法
・難治性疼痛などの治療として、脊髄刺激電極植え込み
術を行っています。
【患者数実績】(2008年)
外来患者総数
外来初診患者総数
入院患者総数
脳腫瘍非手術例数
脊椎・脊髄非手術例数
機能系非手術例数
救急入院患者数
脳卒中急性期入院患者数
頭部外傷急性期入院患者数
入院リハビリテーションを実施した患者数
【手術件数実績】(2008年)
脳神経外科的手術の総数
1.脳腫瘍
(1)摘出術
(2)生検術
①定位手術
(3)経蝶形骨洞手術
(4)広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術
2.脳血管障害
(1)破裂動脈瘤
(2)未破裂動脈瘤
(3)脳動静脈奇形
(4)頚動脈内膜剥離術
(5)バイパス手術
(6)高血圧性脳内出血
①開頭血腫除去術
②定位手術
3.外傷
①急性硬膜下血腫
②減圧開頭術
③慢性硬膜下血腫
4.奇形
①脊髄・脊椎
5.水頭症
①脳室シャント術
6.脊髄・脊椎
(1)腫瘍
(2)動静脈奇形
(3)変性疾患
①変形性脊椎症
②椎間板ヘルニア
③後縦靭帯骨化症
7.機能的手術
(1) 不随意運動、頑痛症
①刺激術
(2)脳神経減圧術
8.血管内手術
(1)総数
(2)動脈瘤塞栓術
①破裂動脈瘤
②未破裂動脈瘤
(3)動静脈奇形
①脳
(4)閉塞性脳血管障害
(内ステント使用例)
9.その他
4
3
14
9
1
3
4
2
1
1
4
36
2
5
4
1
12
4
1
1
1
16
2
1
1
8
5
50
【業績】
9,179
758
475
35
15
33
212
90
16
184
188
7
2
(論文)
1)山田 茂樹: 脳動静脈奇形の自然歴に関する知見. 脳
神経外科速報 18: 726-734, 2008
(学会発表)
1)齊木 雅章、対麻痺にて発症し悪性腫瘍との鑑別が困難
であった胸椎血管腫の1例、第23回日本脊髄外科学会、
平成20年、6月12日、松島
2)齊木 雅章、脊椎手術・処置後に発症した脊髄硬膜動静
脈瘻の2例、第67回日本脳神経外科学会学術総会、平成
20年10月2日、盛岡
3)齊木 雅章、ハーディ術後前頭側頭開頭にて摘出した再
発頭蓋咽頭腫の1例、第24回大阪脳外科手術懇話会、平
成20年11月7日、大阪
4)齊木 雅章、当院における後頭蓋窩髄膜腫の治療成績、
京都大学脳神経外科同門会、平成20年12月14日
5)Takeshi Satow, Intraarterial t-PA for acute ischemic
stroke, Congress of Neurological Surgeons, Sep. 22,
2008, Orland, USA
6)山田 茂樹、SIEMENS社AXIOM Artis dBA脳血管撮影装置
を用いた脳血管外科手術の術前シミュレーション、第67
回日本脳神経外科学会学術総会、平成20年10月3日、盛
岡
7)八木 美雪、蝶形骨洞からトルコ鞍上部に進展した扁平
上皮癌の1例、第55回日本脳神経外科学会近畿支部学術
集会、平成20年4月5日、大阪
8)八木 美雪、Angiographically occult AVM、第43回滋
賀脳神経外科症例検討会、平成20年7月5日、大津
9)八木 美雪、当院で経験した脳静脈洞血栓症の6例、
Stroke 2009 日本脳卒中学会、平成21年3月21日、松江
(講演会)
1)山田 茂樹、脳動脈瘤の光と影、守山脳疾患研究会、平
成20年12月13日、大津
第3節
がん診療部
部長(事務取扱)
河
野
幸
裕(本・病院長)
1.血液・腫瘍科
【スタッフ】
部長(兼)
副部長
非常勤
鈴 木
内 海
松 井
孝 世(本・副院長)
貴 彦
道 志
【血液・腫瘍科について】
当科は県立病院として、二次医療圏である湖南地域の
みならず、広く滋賀県全域の造血器疾患の診断と治療に
当たっています。当県においても、高齢化社会と地球環
境の悪化を反映して、悪性リンパ腫をはじめとする造血
器悪性疾患の罹患率が増加しています。私たちは滋賀県
がん診療連携拠点病院の一診療科として、造血器腫瘍の
治癒を目指した治療に力を尽くしています。
診療方針:県立病院の強みを生かして、がん関連の
診療部門のみならず、一般の診療部門と密接に連携し
て 総合基盤に立った造血器腫瘍の診療 を行ってい
ます。下記二点が診療の二大基本方針です。
①外来受診から地域社会への復帰まで、患者さんの視
点に立った医療の提供
②高度先進医療の提供
【血液・腫瘍科で診療する疾患】
私たちは以下の疾患について診療を行っています。
1)血液の疾患
・急性・慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、
骨髄異型性症候群、骨髄増殖性疾患、骨髄線維症
などに代表される、造血器悪性腫瘍を診療してい
ます。
・また、鉄欠乏性貧血やビタミン欠乏性貧血、溶血
性貧血、血小板減少症、白血球減少症、DIC など
の非腫瘍性疾患の診療も行っています。
2)免疫や炎症性の疾患
・関節リウマチ・SLE・シェーグレン症候群、血管
炎症候群、成人スティル病などの自己免疫疾患や
発熱を伴う疾患の診療を行っています。これらの
疾患の治療に関しては、免疫内科や循環器内科、
整形外科、眼科等と密接に連携しています。
3)重症の感染症
・敗血症などの重症感染症や後天性免疫不全症候
群を診療しています。
4)原発が不明ながん
・転移したがんは認めるものの、原発部位が分か
らないがんの診療を行っています。
5)造血器腫瘍(血液のがん)の説明は当ホームペー
ジ「がんに関する情報『血液のがん』」をご覧くだ
さい。
【診療の方針】
1)患者さん・家族の視点に立った診療の提供
・速やかに診断を確定させます(迅速診断)。
・全ての診断情報をお話しします(告知)。
・患者さんの意思を尊重し、納得していただいた上
で治療方法を決定します(説明と同意)。
・最新の知見に基づき、最も有効と考えられる治療
方法を選択します。
・患者さんの病状に応じ、生活の質を重視した診療
を心がけます。
・全ての診療期間を通じ、患者さん・家族の立場に
立った医療行為を行います。
2)チーム医療の推進
・正確な診断や治療方針、看護方針の決定において
は、医師をリーダーとする医療チームの討議を尊
重します。医療チームには、医師をはじめとして,
看護師・薬剤師・心理療法士・臨床検査技師・リ
ハビリテーション担当(理学・作業療法士)など
の多職種が参加します。また患者さんが自分の意
志でチームに参加される場合もあります。
・医療チームはで定期的にカンファレンスを開き、
より良い医療の提供を心がけ、統一した方針を決
定しています。
3)キャンサーボードの活用
・当院の悪性腫瘍の診療にあたっては、がん医療専
門職がそれぞれの専門的立場で意見を述べる「キ
ャンサーボード」で十分に討議し、診断・治療方
針を決定し、その効果を検証します。
・血液・腫瘍内科のキャンサーボードは、手術・化
学療法・放射線治療をそれぞれ担当する医師、看
護師、薬剤師、臨床心理士、臨床検査技師、歯科
衛生士などから構成されます。
4)医学的エビデンスに基づく治療法の提供
・医師個人のさじ加減で治療方法を決定するのでは
なく、多くの症例から得られた医学的エビデンス
を有する治療法ならびに標準的治療法を提供し
ます。
5)最新の医療の提供
・血液・腫瘍内科は、厚生労働省がん研究助成金指
定研究班を中心として活動する、日本臨床腫瘍研
究グループ(JCOG)に所属し、「我が国における」
造血器悪性腫瘍に対する標準治療法の確立を目
的として臨床研究を行っています。この臨床研究
で得られた成果を当科での治療に活用していま
す。
・先進的治療の提供をめざし、有望とされる新規薬
剤の治験にも積極的に取り組んでいます。
・現在実施中の JCOG の臨床研究と治験は当院ホー
ムページにその概要が記載されています。
6)セコンドオピニオンへの資料提供
・当科の診断内容や治療方針について、他の医療機
関専門医の意見を聞く「セコンドオピニオン制
度」を積極的に活用して頂けるように配慮します。
・意見を聞くためには多くの資料を求められますが、
当科では迅速に書類を作成します。
7)かかりつけ医・地域基幹病院との密接な連携
・紹介元のかかりつけ医や地域基幹病院と緊密に連
携を取り合い、退院後の患者さんの生活が順調に
いくように努力しています。
【特色ある検査・治療法・医療設備】
1)PET による迅速画像診断
・悪性リンパ腫の診断と治療効果の判定には PET
検査が欠かせません。当科では画像診断部門と連
携し、迅速に PET 検査を実施しています。
2)質の高い遺伝子学的診断と臨床研究
・研究所と連携し、臨床遺伝子学的手法で、より質
の高い診断を得ています。その他、研究所と共同
で血液腫瘍に関する臨床研究を企画立案し、当院
倫理委員会の審議を経て、実施しています。
3)質の高い病理診断
・常勤病理医 2 名で病理診断を行っています。リン
パ系腫瘍においては解釈の難しい症例があり、国
立がんセンターがん対策情報センターと連携し
て質の高い病理診断を得る努力を行っています
(遠隔画像診断支援事業)。
4)分子標的療法
・造血器腫瘍は抗がん剤に感受性がありますので、
主として化学療法で治療します。新規薬剤を用い
た分子標的療法を積極的に取り入れ、治療効果の
上昇を計っています。
5)総合的基盤に立った医療の提供
・患者さんの病態に応じ、放射線治療・外科治療な
ど他のがん治療関連科との連携はもとより、循環
器内科、耳鼻いんこう科、眼科等の総合的医療基
盤に立った医療を提供します。
6)末梢血幹細胞移植(PBSCT)を併用する大量化学療法
の提供
・難治性造血器腫瘍に対し、PBSCT を併用した大量
化学療法を施行しています。
7)無菌室治療
・無菌室を 4 室設置し、無菌室治療を行っています。
【診療の実績】
腫瘍性疾患は入院で、非腫瘍性疾患は主として外
来で治療しています。化学療法については、初回は
入院で、2回目以降は外来化学療法室で施行してい
ます。
また当科は、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)リ
ンパ腫グループにおいて施行された「悪性リンパ腫
に対する臨床研究」へ積極的に症例を登録し、我が
国における標準的治療法の確立に寄与しています。
1)主要疾患の新規患者数
年度(平成)
18
急性白血病
6
慢性白血病
3
悪性リンパ腫
27
多発性骨髄腫
8
19
4
4
23
7
20
5
3
24
6
2)外来診療の統計
年度(平成)
新規患者数
のべ患者数
紹介率(%)
逆紹介率(%)
3)入院診療の統計
年度(平成)
のべ入院患者数
平均在院日数
4)骨髄検査実施件数
年度(平成)
延べ件数
18
283
7,646
55.5
52.7
19
247
7,108
56.3
61.9
20
213
7,260
56.3
65.7
18
8,190
53.4
19
6,930
55.3
20
7,039
50.0
18
164
19
194
20
201
5)がん化学療法実施件数
年度(平成)
18
19
20
入院化学療法 (入院化学療法の中央データ管理は平成 19 年度より)
実患者数
―
50
49
のべ実施件数
―
385
353
外来化学療法
実患者数
22
29
27
のべ実施件数
110
137
194
6)輸血実施件数
年度(平成)
のべ患者数
赤血球製剤
濃厚血小板血漿
新鮮凍結血漿
使用量(単位)
赤血球製剤
濃厚血小板血漿
新鮮凍結血漿
18
19
788
961
474
667
760
97
673
748
54
1,854
11,140
1,932
1,567
8,680
332
1,515
7,775
129
7)細菌培養件数(起因菌陽性率%)
年度(平成) 18
19
血液
584(31.3) 492(14.4)
喀痰
65(30.8)
41(58.5)
尿
44(56.8)
9(44.4)
便
21(52.4)
10(40.0)
体腔液
65(44.6)
21(47.6)
合計
779
573
20
20
653(13.3)
56(64.3)
37(56.8)
2(50.0)
19(36.8)
767
【業績】
1)Rituximab 併用化学療法が奏効した 93 歳女性外陰部悪
性リンパ腫の 1 例. 玉里直子 鈴木孝世 内海貴彦.
第 8 回びわこ臨床研修ネットワーク学術講演会. 平成
20 年 7 月 12 日 大津市
2)Rituximab 併用化学療法が奏効した 93 歳女性外陰部悪
性リンパ腫の 1 例. 玉里直子 鈴木孝世 内海貴彦.
日本内科学会第 186 回近畿地方会. 平成 20 年 9 月 6 日
京都市
3)T 細胞性リンパ腫症例における末梢性 T 細胞の PD-1 発
現の意義. 山本 玲 錦織桃子 鈴木孝世 他.
日本血液学会第 70 回総会.平成 20 年 10 月 10 日京都市
4)多施設共同臨床試験併合解析による末梢 T/NK 細胞リン
パ腫の新たな予後予測モデル(JCOG0108A). 塚崎邦弘
渡辺 隆 鈴木孝世 他. 日本血液学会第 70 回総会.
平成 20 年 10 月 10 日 京都市
5)特発性血小板減少性紫斑病の基礎知識と日常生活の注
意点. 鈴木孝世. 特発性血小板減少性紫斑病医療講
演会. 平成 20 年 10 月 25 日 草津市
6)悪性リンパ腫に対する免疫化学療法の最適化による新
たな標準的治療法の確立:臨床試験の実施. 鈴木孝世.
厚生労働科学研究費補助金・がん臨床研究事業. 悪性
リンパ腫に対する免疫化学療法の最適化による新たな
標準的治療法の確立(堀田班).平成 20 年度 総括・分
担研究報告書 p25. 平成 21 年 3 月刊行
7)HBV-DNA モニタリングによる多施設共同前方視的臨床
研究における症例登録. 鈴木孝世. 厚生労働科学研究
費補助金・肝炎等克服緊急対策研究事業. リツキシマブ
+ステロイド併用悪性リンパ腫治療中の B 型肝炎ウイ
ルス再活性化への対策②関する研究(楠本班). 平成
20 年度 総括・分担研究報告書 p40 平成 21 年 3 月刊
行
8)Ikuko Torii, Satoshi Oka, Muneki Hotomi, William
H.Benjamin,Jr., Toshiyuki Takai, John F.Kearney,
David E.Briles, and Hiromi Kubagawa.
PIR-B-Deficient Mice Are Susceptible to Salmonella
Infection. The Journal of Immunology, 2008,
181:4229-4239
2.呼吸器科
【スタッフ】
部長(兼)
部長
医長
副医長
シニアレジデント
シニアレジデント
シニアレジデント
非常勤
川
中
佐
渡
泰
岡
中
島
上
谷
藤
邉
間
村
奥
田
賢
光
壽
美
美
敬
一
三(本・呼吸器外科主任部長)
一(H20.8∼)
晋(∼H20.9)
規
紀
里(H20.6∼)
史(H20.7∼)
恵
【診療科の特徴】
呼吸は生命徴候のもっとも大切な「息吹(いき)
」を現
しており、これなくして生命は存在できません。その呼吸
を扱う呼吸器科では、肺癌、COPD、気管支喘息、間質
性肺炎、呼吸器感染症、睡眠時無呼吸症候群、呼吸不全な
ど多岐に及んでいます。治療は患者一人ひとりの個別性を
尊重しながら各種ガイドラインに基づいて行っています。
特に、がん診療連携拠点病院として肺癌、悪性胸膜中皮
腫などの呼吸器悪性疾患に対しての診断、治療を中心に診
療しています。呼吸器科単独ではなく呼吸器外科、放射線
治療科と連携し、集学的治療を実践しています。適切なイ
ンフォームドコンセントの下で化学療法を中心とする治
療も行っています。WJOG,JMTO,KCOG,KTO
RGなどの臨床研究グループに参加し、臨床治療にも取り
組んでいます。また、積極的に外来化学療法にも取り組ん
でいます。
【特色ある検査・治療法・医療設備】
・呼吸器内視鏡(気管支鏡)検査;
気道の観察や肺組織の採取。約150件/年。
(検査日)月曜日午後、木曜日午後
・胸部CT検査;
平成20年に64列マルチディテクターCTを導入。
・呼吸機能検査
・ポリソムノグラフィー(PSG);
睡眠時無呼吸症候群の診断や経過観察。
・CPAP;
睡眠時無呼吸症候群の治療に使用。
・在宅酸素療法
呼吸不全患者に使用。現在50∼60人管理。
・NPPV;
呼吸不全患者に気管内挿管を使用せずに人工呼吸を
行う。
【外来診療体制と実績】
平成20年度の外来患者数は延べ8,417人(34.8人/日)で
した。月火水金は2診、木は1診で診療しています。月は
午前のみですが、火水木金は午前、午後とも診療していま
す。
肺癌患者の診断、Stagingは主に外来で行います。また、
治療時の化学療法も外来に移行してきています。
【入院診療体制と実績】
平成20年度の入院患者数は延べ8,853人(24.3人/日)で
した。
入院患者はRCU(3床)
、感染症隔離室(2床)を備
えた新館7階病棟を中心に呼吸器外科、呼吸器科one
floorで診療しています。症状が強く入院が必要な人のみ
ではなく、初回化学療法、Riskの高い患者への治療、睡眠
時無呼吸症候群検査入院は入院の上、診療にあたっていま
す。
(入院患者(実数))
H18年度
肺癌
103
胸膜中皮腫
2
肺炎など
50
COPD、気管支
10
喘息など
間質性肺炎
8
胸膜炎・膿胸
6
気胸
9
呼吸不全
11
睡眠時無呼吸
44
症候群
その他
43
合計
286
H19年度
85
2
46
17
H20年度
122
2
47
5
20
7
4
8
37
22
2
3
13
40
44
270
81
337
【業績】
(学会発表)
1)自然気胸の群発性に関する検討∼「気胸は流行る」か?
∼. 佐藤晋、渡邉壽規、石川将史、木曾末厘乃、泰間美
紀、兵晃、島田一恵、川上賢三. 第48回日本呼吸器学会
2)未治療NSCLCに対するGEM+CBDCA療法におけるデキサメ
タゾン投与の有無による無作為化第Ⅱ相試験. 中谷光
一、三尾直士、平林正孝、藤田史郎、真砂勝泰、加持雄
介、北島寛元、谷澤公伸、岡田秀明、伏屋芳紀、野村真
希子、佐々木義行、田口善夫、望月吉郎、長谷光雄、三
嶋理晃. 第49回日本肺癌学会総会
3)lymphomaが疑われたmediastinal seminomaの一例. 木
曾末厘乃、川上賢三、石川将史、佐藤晋、渡邉壽規. 第
49回日本肺癌学会総会
(講演会)
1)成人病センターでの肺癌化学療法. 中谷光一. 守山野
洲医師会. 平成20年11月度 定例会
2)気管支喘息、慢性期のコントロールと急性期の処置. 中
谷光一. 守山野洲アフタヌーンセミナー
3.消化器科
【スタッフ】
主任部長
部長
部長
副部長
医長
医長
医長
副医長
水
河
藤
浅
石
稲
戸
貴
田
合
本
越
原
井
田
田
和
敏
昌
健
真
眞
泰
雅
彦
秀
澄
助
紀
紀
信
也
【診療科の特徴】
「患者さんから信頼される医療を提供する」をモット
ーに取り組んでいます。そのために、
「医療の質の向上
を目指す」のは当然として、
「迅速な対応、わかりやす
い丁寧な説明、地域との密接な連携」を達成できるよう
努めています。
消化器症状(体重減少、食欲不振、全身倦怠、腹痛な
ど)は外来受診理由として最も多い愁訴です。消化管出
血、腸閉塞などの救急疾患から、胃腸炎、肝障害、機
能的胃腸疾患を含め、必然的に多くの患者さんの「入
り口」となります。問診・診察と適切な検査により正
確な診断を下し、ただちに適切な処置を行うことが日
常の役割です。腹部超音波検査、内視鏡検査など多種
の検査を駆使し、内視鏡的止血術や、胆道系のドレナ
ージ術、消化管の拡張術など多くの処置に携わります。
例えば腹痛患者さんの診療では、外来ベッドサイドに
腹部超音波装置を備えており、診察とともに診断。必
要時すぐにCT検査を実施しかつ放射線診断医による読
影を受け、適切な治療へと進みます。このような一般
的な疾患の診療はもちろんですが、
「がん」にかかわる
機会の多いことが特徴です。
「がん」患者さんの5割以
上が消化器関連疾患です。がんの予防啓蒙から、診断、
説明、治療、緩和と一連の経過に関連各科と共に携わ
ることになります。早期発見のための検診を含めた検
査から、消化管がんの内視鏡的な切除術、肝細胞がん
のラジオ波による焼灼術、化学療法、そして緩和ケア
に至ります。各個人、各時期においてそれぞれの対応
が必要です。がん診療に関しては、定期的に関係各科
と検討会(キャンサーボード)を実施し、集学的な診
療に努めています。結果をわかりやすく説明し、正確
な病状を患者さんにご理解いただき、最良の選択を患
者さんにしていただけるようチームとして努めていま
す。
消化器科の中での専門領域については特に区別して
おりません。疾患に応じて科内で相談の上対応してい
ます。
【治療実績】 (数字は延数)
○入院患者数 909人
○平均在院日数 12.1日
○上部内視鏡検査 3257例
○下部内視鏡検査 1723例
○疾患別入院延数
食道癌 30人
ERCP
142例
胃癌 進行 30人 早期(内視鏡治療) 18人
大腸 進行 10人 早期(内視鏡治療) 11人
膵臓癌 40人
胆道癌 22人
肝臓癌 80人
以上 入院患者に占める癌患者26%
大腸ポリープ切除術 273人
腸閉塞 20人
総胆管結石 33人
閉塞性黄疸 17人
膵炎 12人
潰瘍性大腸炎 3人
クローン病 6人
慢性肝炎 20人
出血性胃潰瘍 24人 出血性十二指腸潰瘍 10人
大腸憩室出血 13人 虚血性大腸炎 7人
【業績】
1)「C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療の最前
線」藤本昌澄. 2008年4月19日. 守山野洲医師会学術講
演会. 守山
2)「乳頭型総胆管癌の1例」.戸田泰信、稲井眞紀、石原
真紀、浅越健助、藤本昌澄、河合敏秀、水田和彦、松
尾隆志、財間雅純、武内英二、寺島剛. 2008年6月14
日. 第24回京大消化器症例検討会. 岸和田
3)「話題のおなかの病気とその治療」
「肝臓の病気と治療」
司会 水田和彦. 2008年6月28日. 第39回市民公開講
座(日本消化器病学会近畿支部). 高島市
4)「胆道系酵素上昇をきたした後に腹腔動脈瘤破裂をき
たした1症例」. 稲井眞紀、貴田雅也、戸田泰信、石
原真紀、浅越健助、藤本昌澄、河合敏秀、水田和彦. 座
長 水田和彦. 2008年7月12日. 第61回滋賀消化器研
究会.大津
5)「胃腫瘍の1例」. 石原真紀. 2008年7月31日. 第9回
湖南消化器勉強会. 草津
6)「胃GISTの1例」. 貴田雅也. 2008年9月11日. 湖南東
近江消化器勉強会. 草津
7)「胃潰瘍診療の現状」. 水田和彦. 2008年9月27日. 薬
剤師会守山支部学術講演会. 守山
8)「鎖骨上窩リンパ節腫大が初発症状の胆嚢神経内分泌
細胞癌の1例」. 藤本昌澄. 2008年10月3日. DDW2008.
東京
9)「胃粘膜下腫瘍の1例」. 水田和彦. 2008年10月16
日.
第57回琵琶湖消化器カンファランス. 草津
10)「胃粘膜下腫瘍(Desmoplastic fibrosarcoma)の1例」
水田和彦、貴田雅也、戸田泰信、稲井眞紀、石原真紀、
浅越健助、藤本昌澄、河合敏秀、武内英二、寺島剛、
竹本研史、財間正純. 2008年12月13日. 第25回京大
消化器症例検討会. 岸和田市民病院
11)「胃粘膜下腫瘍として経過観察されていたGISTの1例」.
貴田雅也、戸田泰信、稲井眞紀、石原真紀、浅越健助、
藤本昌澄、河合敏秀、水田和彦、武内英二、寺島剛、
井口公太、財間正純. 2009年2月21日. 第62回滋賀消
化器研究会. 大津
4.外科
【スタッフ】
主任部長
部長
医長
医長
医長
医員
医員
シニアレジデント
シニアレジデント
財
四
豊
原
松
平
竹
岩
井
間
元
田
田
尾
井
本
本
口
正 純
文 明
英 治
英 樹
隆 志
健次郎
研 史
哲 好
公 太
【特色】
当センターは全国がん(成人病)センター協議会加
盟施設で、平成14年8月に滋賀県内で最初に地域がん診
療拠点病院に指定され、平成21年2月に都道府県がん診
療連携拠点病院の指定を受けました。外科は日本外科
学会認定の外科専門医制度修練施設で、かつ日本消化
器外科学会認定の専門医修練施設で、また日本乳癌学
会専門医制度の関連施設で、京都大学外科学教室の関
連施設でもあります。
外科の診療内容は食道癌、胃癌、大腸癌、直腸癌、
肝臓癌、膵臓癌、胆道癌など消化器癌を中心とした消
化器外科一般および乳癌を中心とした乳腺外科を専門
としております。治療においては診療ガイドラインに
そった標準的治療を安全確実に行うとともに、最先端
の技術を駆使した先進的な治療も積極的に行っていま
す。また当院は癌のみの専門病院ではなく成人病全般
に対応した総合病院ですので、従来外科治療が困難と
考えられてきたいろいろな合併症を持った高リスクの
患者さんにも、院内各科と協力して安全に手術を行う
ことが可能となっています。滋賀県唯一の都道府県が
ん診療連携拠点病院として、国際的視野に立ち現在施
行可能な最高レベルのがん診療を提供できるよう努力
しております。
【認定施設】
日本外科学会専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医修練施設
日本乳癌学会専門医制度関連施設
【特色ある治療法】
当院での癌の年間手術数は、胃癌100−120例、大腸
直腸癌100−120例、食道癌10−15例、肝臓癌40−50例、
膵胆道癌20−30例、乳癌70−80例です。主な疾患の治
療方針は以下のとおりです。
「胃癌」基本的には胃癌学会より提案された治療ガ
イドラインに従って治療を行っています。手術術式は
2群リンパ節郭清を伴う標準的根治手術を基本として
おり、病期1および病期2の一部の症例には腹腔鏡下手
術を行っています。現在は胃切除手術の約1/3が腹腔鏡
手術で行われています。
「大腸直腸癌」3群リンパ節郭清を伴う標準的根治手術
を基本としており、大腸直腸癌では開腹手術既往例や他臓
器浸潤例以外は原則として腹腔鏡下手術を行っています。
現在は大腸直腸切除手術の約2/3が腹腔鏡手術により行わ
れています。腹腔鏡手術は手術の傷が小さいことが強調さ
れていますが、実は拡大視効果により細かい手術が可能に
なったことが最大の特徴です。特に従来開腹手術では見え
にくかった下部直腸癌の手術に最も威力を発揮し、肛門に
近い下部直腸癌でも根治性を損なわずに括約筋を温存す
る正確な手術が可能となっています。また進行した大腸直
腸癌では時に肝臓や肺に転移することがあります。従来こ
れらの転移は根治不能と考えられていましたが、最近では
大腸直腸癌の肝、肺転移は外科的に切除することによりか
なり良好な予後が期待できることがわかってきました。当
科では特に大腸直腸癌の肝転移の治療に力をいれており、
外科的切除と化学療法の組み合わせで長期生存や完治も
可能となっております。また呼吸器外科と協力して肺転移
に対しても切除を行っており良好な成績をえています。
「肝臓癌」原発性肝癌(肝細胞癌、胆管細胞癌)、転移
性肝癌いずれにたいしても積極的な切除を行っています。
正確な術前肝機能評価、術前門脈塞栓術の施行、先進的な
手術手技の導入により合併症のない安全な肝切除術をめ
ざしています。2006年4月以降の3年間で肝細胞癌48例、胆
管細胞癌7例、転移性肝癌47例、胆道癌10例、その他14例、
計126例の肝切除を行い肝膵同時切除の1例を含む手術死
亡例は1例(0.8%)でした。
「膵胆道癌」血管外科手技の導入など最新の手術手技を
駆使して進行症例にたいしても積極的に切除を行ってい
ますが、一方不要な拡大切除は避け安全で回復の早い手術
をめざしています。2006年4月以降の3年間で膵頭十二指腸
切 除 術 60 例 施 行 し 手 術 死 亡 例 は 肝 膵 同 時 切 除 の 1 例
(1.7%)のみでした。また同時期の膵頭部領域癌の切除に
おいて門脈切除再建17例、動脈切除再建7例を行いました
が血行再建に伴う合併症はありませんでした。
「食道癌」2領域(上部食道では3領域)リンパ節郭清を
伴う標準的根治手術を基本としており、比較的早期の症例
では胸腔鏡補助下に胸部操作を行っています。また2008
年度より臨床病期2、3症例には術前化学療法を行った後に
手術を行っています。
「乳癌」乳腺疾患は乳癌学会指導医1名、認定医1名、マ
ンモグラフィ読影資格者(B判定以上)3名、乳腺超音波講
習会終了者2名がおり、微小乳癌の診断においてはマンモ
トーム生検装置も備え非触知乳癌の診断も可能となって
おります。乳癌に対しては乳房温存手術、乳房切除術や術
前術後の化学療法、ホルモン療法、分子標的治療とともに、
放射線治療科と協力して術後の放射線治療を行っていま
す。またもし希望があれば同時乳房再建術も可能です。症
例により術前薬物療法やセンチネルリンパ節生検も行っ
ています。
「化学療法」当科では消化器癌や乳癌の化学療法も行っ
ています。外来での化学療法については、外来治療室にあ
る化学療法専用の部屋で、がん化学療法認定看護師、がん
化学療法認定薬剤師を配置して行っております。
【業績】
<原書>
1)Hideki Harada, Hiroshi Nakagawa, Munenori Takaoka,
James Lee, Meenhard Herlyn, J.Alan Diehl and
Anli.K.Rustigi. Cleavage of MCM2 licensing
protein fosters senescence in human keratinocytes.
Cell Cycle. 7:22, 3534-3538; 15 November 2008.
2)Nakamura K, Mitsuyoshi A, Shinkura N, Zaima M.
Successful treatment of postoperative acute
hepatic artery obstruction with mesenteric
arterioportal shunt. Hepatogastroenterology.
55:1073-1076. 2008.
3)Toyoda E, Doi R, Kami K, Mori T et al. Midkine
promoter-based conditionally replicative
adenovirus therapy for midkine-expressing human
pancreatic cancer. J Exp Clin Cancer Res. 27:30.
2008
4)Toyoda E, Doi R, Kami K, Mori T et al. Adenovirus
vectors with chiemric type 5 and 35 fiber proteins
exhibit enhanced transfection of human pancreatic
cancer cells. Int J Oncol. 33:1141-1147. 2008.
5)小森淳二、新蔵信彦、光吉明、京極方久、財間正純. 術
式選択に苦慮したIPMTの1例. 膵臓.
23:519-524.2008.
6)平井健次郎、細川慎一、財間正純、寺島剛、小野一雄、
武内英二. 切除標本にて severe dysplasia と診断され
たが 20 ヶ月後に port site recurrence をきたした胆
嚢上皮内癌の1例. 日本臨床外科学会雑誌.
69:147-152.2008
<学会発表>
1)松尾隆志、井口公太、岩本哲好、竹本研史、平井健次
郎、豊田英治、原田英樹、四元文明、財間正純、河野
幸裕. 胃全摘術後の食道空腸吻合部局所再発に対する
再切除術の経験. 第 94 回滋賀県外科医会. 2008 年 12
月
2)竹本研史、井口公太、岩本哲好、松尾隆志、平井健次
郎、豊田英治、原田英樹、四元文明、財間正純、河野
幸裕. 左腎静脈を用いた門脈一上腸間膜静脈再建の経
験. 第 93 回滋賀県外科医会. 2008 年 6 月. 大津市
3)豊田英治、井口公太、岩本哲好、平井健次郎、細川慎
一、松尾隆志、原田英樹、四本文明、財間正純. 進行
再発結腸直腸癌に対する Bevacizumab 使用経験の報告.
第 18 回滋賀癌化学療法研究会. 2008 年 2 月. 近江八
幡市
4)松尾隆志. 局所麻酔下小開腹胃瘻造設の試み. 日本医
療マネージメント学会第 5 回京滋地方会. 2008 年 2 月.
京都市
5)松尾隆志. Stoma 管理も含めて術後 9 日間で退院可能
であった腹腔鏡下直腸切断術の経験. 第 25 回日本ス
トーマ排泄リハビリテーション学会総会. 2008 年 2 月.
札幌市
6)豊田英治、土井隆一郎、上和広、財間正純. ヒト膵癌
細胞株におけるcoxsackie and adenovirus
receptor(CAR)および integrin の発現とアデノウイル
ス導入効率について. 第 108 回日本外科学会定期学術
集会. 2008 年 5 月. 長崎市
7)松尾隆志、岩本哲好、井口公太、平井健次郎、豊田英
治、原田英樹、四元文明、財間正純. 腫瘍塞栓を伴う
胃癌のため腫瘍塞栓合併切除胃全摘後に転移性肝腫瘍
出現し、肝右葉切除を施行し長期生存に寄与している
と思われる2例. 第 20 回肝胆膵外科学会. 2008 年 5
月. 山形市
8)財間正純、井口公太、岩本哲好、平井健次郎、松尾隆
志、豊田英治、原田英樹、四元文明、河野幸裕. 安全
な liver hanging 法を応用した前方到達法による肝右
葉切除術. 第 20 回肝胆膵外科学会. 2008 年 5 月. 山
形市
9)井口公太、岩本哲好、平井健次郎、細川慎一、松尾隆
志、豊田英治、原田英樹、四元文明、財間正純、河野
幸裕. 閉塞性黄疸を伴う進行胆嚢癌と鑑別困難であっ
た黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例. 第 183 回近畿外科学会.
2008 年 5 月. 大阪市
10)竹本研史、横尾直樹、和形隆志、堀智英、重田孝信. 胃
癌と同時に認められた異所性膵に発生した腺癌の一例.
第 63 回日本消化器外科学会総会. 2008 年 7 月. 札幌
市
11)豊田英治、井口公太、岩本哲好、平井健次郎、松尾隆
志、原田英樹、四元文明、財間正純. 孤立性上腸間膜
動脈解離、閉塞による急性腹症に対しステント留置を
行い軽快した1例. 第 63 回日本消化器外科学会総会.
2008 年 7 月. 札幌市
12)平井健次郎、財間正純、堀泰祐. がん治療における緩
和ケアチームの役割と課題. 第 63 回日本消化器外科
学会総会. 2008 年 7 月. 札幌市
13)松尾隆志、井口公太、岩本哲好、平井健次郎、豊田英
治、原田英樹、四元文明、財間正純. 腸型ペーチェッ
ト病による穿孔性腹膜炎と回盲部から鼠径部への瘻孔
を来たし手術となった2症例. 第 63 回日本消化器外
科学会総会. 2008 年 7 月. 札幌市
14)平井健次郎、井口公太、岩本哲好、竹本研史、松尾隆
志、豊田英治、原田英樹、四元文明、財間正純. A new
method for lifting the lateral segment of the liver
in laparoscope assisted gastrectomv(当院におけ
る腹腔鏡補助下胃切除術の肝外側区域挙上法). 第 21
回日本内視鏡外科学会. 2008 年 9 月. 横浜市
15)松尾隆志、井口公太、岩本哲好、平井健次郎、竹本研
史、豊田英治、原田英樹、四元文明、財間正純. A case
report of laparoscopic ileocecal resection for
intestinal ulcer in Behchet's disease with
cutaneous fistula to the inguinal region(回盲部か
ら鼠径部へ瘻孔を来した). 第 21 回日本内視鏡外科学
会. 2008 年 9 月. 横浜市
16)松尾隆志、四元文明、財間正純、河野幸裕. PpPD 術後
再建空腸に発生した Mesenteric fibromatosis の1例.
第 70 回日本臨床外科学会総会. 2008 年 11 月. 東京都
17)松尾隆志、岩本哲好、井口公太、平井健次郎、竹本研
史、豊田英治、原田英樹、四元文明、財間正純、河野
幸裕. 腸壁放線菌症の切除例. 第 70 回日本臨床外科
学会総会. 2008 年 11 月. 東京都
胸壁腫瘍
1例
5.呼吸器外科
【スタッフ】
主任部長
副医長
シニアレジデント
川
石
木
上
川
曾
(肺切除件数)
全肺切除術 105例
賢 三
将 史
末厘乃
【診療科の方針】
胸部発生(肺、縦隔、胸壁)の悪性腫瘍及び良性腫瘍の
診断・外科的治療とその後の経過観察を行っています。特
に都道府県がん診療連携拠点病院としての役割を果たす
ために、これらの中で特に悪性腫瘍(肺癌、縦隔癌、胸壁
悪性腫瘍)の診断、治療、治療後の経過観察までを総合的
に行うことを第一の使命としています。
また呼吸器外科領域では自然気胸等の良性疾患の外科
療法も重要な位置を占めます。かかる病態では社会的適応
も含め、柔軟な対応で、可及的早期の社会復帰を目指しま
す。
手術療法については、確実で安全という観点に加え、胸
腔鏡下手術を積極的に導入しており、より低侵襲の手術で、
術後のQOLの向上を目指します。
肺癌については、肺癌学会等のガイドラインに基づいた
標準的治療を基本とし、それに各症例での社会的背景や
患者の意志も尊重した上で、その患者に最も適切と考えら
れる選択し行うことで、予後を改善し、患者の満足の得られ
る医療を行うことを目指します。術後病期IA期等、経過観察
のみの症例に対しては、逆紹介を積極的に行い、紹介医等
地域の診療所、病院での経過観察を依頼していくなど地域
連携パスを設定していきます。内科的治療を担当する呼吸
器科とは診断から治療全般にいたるまで、常に呼吸器疾
患に対する医療チームとして一体的に機能しており、特
に集学的治療の必要な肺癌診療においては、週1回呼吸
器カンファレンスとして呼吸器外科、呼吸器科、放射線
診断科、放射線治療科の医師に加え、薬剤師、看護師、
栄養士等の参加による多職種カンファレンスを行い、検
査、診断、治療方針等についてディスカッションし、全
人的ケアとなるよう共同で診療にあたる。また終末期症
例に関しては緩和ケア科とも密に連携し、QOLを考慮した
看取りを行っています。
【平成20年の診療実績】
・全身麻酔下呼吸器手術症例 129例
(主な疾患別肺手術件数)
疾患
手術内容
原発性肺癌 51例 肺全摘術
1例
肺葉切除術 45例
区域切除術 4例
部分切除術 1例
転移性肺癌 16例
自然気胸
縦隔腫瘍
29例
5例
肺全摘術
肺葉切除術
区域切除術
部分切除術
部分切除術
摘除術
1例
3例
3例
9例
29例
5例
胸腔鏡下
0例
44例
4例
1例
0例
2例
3例
9例
29例
5例
(胸腔鏡下手術件数)
総数112例
肺全摘術
肺葉切除術
区域切除術
部分切除術
2例
48例
8例
47例
肺切除101例
(肺切除術中96%)
縦隔腫瘍等11例
【主な疾患の診療指針】
○原発性肺癌
1. 診断:気管支ファイバースコピー検査、CT ガイド下針生
検等により可及的に術前の確定診断を行います。未確
定例に関しては開胸時に針生検、楔状切除等により迅
速病理検査を行い、確定診断を得ます。
2. 臨床病期診断:T 因子、N 因子に関しては胸部 CT、
FDG-PET 等により推定。胸壁浸潤が疑われる場合は超
音波検査、骨シンチ等も考慮します。M 因子に関しては、
頭部に対して主に頭部 MRI にて評価、腹部に関しては
腹部 CT を基本とし、FDG-PET,超音波検査も考慮しま
す。骨シンチに関しては疼痛等骨転移を疑わせる症例
以外は必須としません。脊椎等に骨転移が疑われる場
合はCT,MRIも併用し診断します。
3. 手術適応:
① 非小細胞肺癌
臨床病期Ⅰ、Ⅱ期に関しては基本的に手術適応とし、
胸腔鏡下肺切除+リンパ節郭清術とするが症例により
通常の後側方開胸、前腋窩開胸を選択します。ⅠA期と
診断され、主病巣が径2cm未満の症例に関しては、葉、
区域気管支リンパ節の術中迅速病理診断にて転移陰性
と診断された場合は、肺機能、年齢等を考慮し、拡大区
域切除+リンパ節郭清術行います。Ⅲ期に関しては、特
にbulky N2のⅢA期症例に対しては化学療法、放射線
療法を先行し、病期の down staging が得られた場合は
手術療法を考慮します。肺門部、縦隔リンパ節転移のみ
られない隣接臓器浸潤によるⅢ期の場合は心臓血管外
科、整形外科等他科の協力のもと合併切除を伴った根
治術が可能な場合は術前化学療法、放射線療法を含
めた手術療法を考慮します。Ⅳ期については手術適応
ではありませんが、転移巣が化学療法、放射線療法等
で完全にCRとなっており、原発巣のみが切除可能な状
態で残存する場合、呼吸器科との協議にて切除術の対
象とすることもあります。
② 小細胞肺癌
小細胞肺癌と確定診断が得られている症例は基本的
に化学療法+放射線療法の適応としますが、上記治療
により原発巣のみが切除可能な状態で残存する場合、
呼吸器科との協議にて切除術の対象とすることもありま
す。術前検査にて小細胞肺癌との診断が得られず、術
中迅速病理診断にて小細胞肺癌との診断がついた場
4.
合は、術中所見もあわせて臨床病期がⅠ、Ⅱ、ⅢA
(N2)期であれば、区域切除または肺葉切除+リンパ節
郭清を行い、術後化学療法を行うこととします。それ以
上の病期であると考えられた場合は、原発巣の切除、リ
ンパ節郭清は行わず、侵襲を最低限に抑えた上で、術
後化学療法を行うこととします。
補助療法:術後病理病期ⅠA の場合は経過観察のみと
します。IB、Ⅱ期の場合は①CBDCA+PAC(weekly)を4
コースもしくは、②UFT 内服を2年間の何れかを術後補
助療法として行います。Ⅲ期以上であった場合は①
CDDP+DOC または、②CBDCA+PAC の補助化学療法
を最低4コース行います。
○転移性肺癌
1. 診断:可能であれば気管支ファイバースコピー検査等に
より術前の確定診断を行います。未確定例に関しては
開胸時に針生検、楔状切除等により迅速病理検査を行
い、確定診断を得ます。
2. 手術的適応:原発巣が既に治療され、肺以外に転移、
再発を疑わせる所見の無い場合で、切除による肺機能
低下が予後の悪化を来さないと判断される場合に転移
巣を含めた肺切除を行います。結腸癌、腎癌の肺転移
に関しては複数個、また再々発であっても切除により予
後が改善されるとの報告があり、積極的に切除術を考慮
します。
3. 手術術式:転移巣の径 2cm 以下、末梢肺領域にあり、肺
門、縦隔のリンパ節転移が疑われないものに対しては、
胸腔鏡下の楔状切除を基本とします。肺門に近い、また
腫瘍径が 2cm を超える転移巣に対しては原発性肺癌に
準じて肺葉切除、区域切除+リンパ節郭清を行います。
原発性肺癌と異なり、再々発の可能性があることから、
肺機能の温存を十分に考えた切除術式を考慮します。
○縦隔悪性腫瘍
1. 診断:CT ガイド下経皮針生検等で可及的に術前病理
確定診断を得ることが望ましいですが、播種、出血等の
リスクも考慮し、腫瘍マーカー等の検査結果も参考にし
て診断を行います。
2. 手術適応と術式:基本的に心臓血管外科等の協力の下
に周囲臓器への浸潤に対しても合併切除+再建術が
可能で完全切除が期待できる症例には積極的に胸骨
縦切開(+前腋窩開胸追加等)により切除術を行います。
化学療法の効果が期待でき、手術侵襲を低減できる可
能性のある腫瘍の場合は化学療法を先行し、十分な腫
瘍縮小効果が得られた時点で根治手術を考慮します。
3. 術後補助療法:術中所見、病理検査結果等により化学
療法、放射線療法を考慮します。
○自然気胸
1. 手術適応:2回以上の再発症例に関して胸腔鏡下のブ
ラ切除術を行うことを基本としますが、いわゆる若年の気
胸体型症例で、胸部 X-p、CT にて明らかなブラを認め
る症例の場合は、患者本人の意志、社会的適応等も考
慮し、初回発症例でも手術を行います。また持続胸腔ド
レナージを行っても1週間以上、空気漏れが止まらない
場合も手術対象とします。心機能低下、低肺機能等の
理由により手術療法の適応とならない場合は各種胸膜
癒着術を行います。
○縦隔良性腫瘍
1. 診断と手術適応:縦隔の良性腫瘍の場合、術前に病理
診断を得ることが困難な場合が多いですが、胸部 CT、
MRI 等の検査により、良性腫瘍の可能性が高い場合は、
胸腔鏡下に腫瘍を摘出し、迅速病理検査にて確定診断
をつけ、完全切除を同様に確認します。腫瘍径が大きく、
胸腔鏡下の小開胸では摘出が困難な症例等は胸骨縦
切開、通常開胸術等を考慮します。重症筋無力症に対
する拡大胸腺摘出術は胸腺腫合併の有無にかかわらず、
胸骨縦切開かまたは両側の胸腔鏡下操作にて摘出術を
行います。
【特色のある検査・治療法・医療設備】
・胸腔鏡下手術:県下でもっとも胸腔鏡下手術件数の多
い呼吸器外科のひとつです。
胸腔鏡下の肺がん手術では、低侵襲で回復も順調であ
ることから、術後5日ほどで退院される方の割合がも
っとも多く、早期の社会復帰が可能です。
・気道狭窄、閉塞病変に対する気管支鏡下レーザー治
療:気管など中枢気道に発生したがんなどの病変は、
進行により急速に呼吸困難症状が悪化します。症状の
改善のために、全身麻酔下に気管支鏡を用いて病変部
のレーザー焼灼術を行っています。
・気管、気管支狭窄に対するステント留置術:がんなど
の気道内病変はもちろん、気道外病変(縦隔腫瘍やリ
ンパ節転移など)からの圧迫によっても気道狭窄をき
たし、呼吸困難となります。症状の改善のために、気
管支鏡、X 線透視下に狭窄部を開大するステントを挿
入しています。
・気管支出血に対する気管支動脈塞栓術:気管支病変か
らの大量出血(喀血)は迅速に対処しないと窒息、喀
血死の可能性があります。大腿動脈よりカテーテルを
挿入し、出血の原因となっている気管支動脈枝の血流
を止める塞栓物質を注入し、止血を図ります。
・中枢型肺がんに対する気管支動脈抗がん剤注入療法:
肺癌に対する抗がん剤を使った化学療法は全身投与
が基本ですが、中枢気道を閉塞するような肺癌の場合
などではより集中して原発部位に抗がん剤投与する
ことで、迅速な治療効果が期待できる事があります。
大腿動脈よりカテーテルを挿入し、腫瘍の栄養動脈と
なっている気管支動脈の分枝から抗がん剤を30分
ほどで注入します。全身投与に比し抗がん剤による副
作用は軽減されます。
【業績】
(学会発表等)
1)木曾末厘乃、川上賢三、石川将史、泰間美紀、渡辺寿
規、佐藤晋:当初lymphoma が疑われたMediastinal
seminoma の 1 例 、 第 49 回 日 本 肺 癌 学 会 総 会 .
2008.11.13-14 北九州市
2)木曾末厘乃、園部誠、佐藤澄、陳豊史、藤永卓司、庄
司剛、阪井宏彰、宮原亮、板東徹、大久保憲一、平田
敏樹、伊達洋至:当院における肺大細胞神経内分泌癌
( LCNEC ) 16 例 の 検 討 、 第 25 回 呼 吸 器 外 科 学
会.2008.5.29-30 宇都宮
6.泌尿器科
【スタッフ】
部長
医長
非常勤
大 西
裕 之
恵
謙
月曜日のみ京大泌尿器科より交代制
【人事異動】
平成20年3月末日で、宇都宮紀明医師が転勤となり、平
成20年度から常勤医師が大西裕之部長、恵謙医長の2名に
なりました。日々の業務量、増加する医療のリスク管理に
は対応が困難なため、平成20年4月より月曜日の外来に限
り、京都大学から非常勤医師の応援を受けるようになりま
した。平成21年3月末日で恵謙医長が転勤となり、石戸谷
哲医長が平成21年4月1日付で着任しました。したがって平
成21年度も常勤2名の体制のままです。
【業務体制】
今年度は当科にとって、非常に大きな業務の変更が生じ
ました。
平成20年度より常勤医師が3名から2名と減少したこと
により、外来・入院業務の見直しを行いました。外来診療
は、4月より月曜日を非常勤医師の診察で原則初診のみと
し、6月から水曜日は休診、平成21年1月からは金曜日も第
2、4週は休診としました。このため手術日が従来、月曜日
と水曜日のみであったのが金曜日の第2、4週にも拡充され
ました。これらは急増する手術症例に対し安全性を確保し
たスケジュールが組めないためのやむを得ない変更でし
たが、外来日を減らさざるを得ないことから、検査枠の減
少などが生じてしまい、思わぬ不便が生じることとなりま
した。
入院患者病棟は原則として新館8階で、眼科、婦人科、
皮膚科との4科混合病棟でした。泌尿器科の定床は15床。
しかし新8階の各科ともに在院日数が短く、入退院が非常
に多い特徴があり満床の際は、泌尿器科入院患者が西4階、
3階、新6、7、9階を使用することもありました。
【業務実績】
外来患者数(院内対診を除く)は、平成20年度が月平均
828.6人(1日平均51.2人)でした。平成19年度が911.8人
(1日平均44.6人)、平成18年度が904.5人(1日平均44.3
人)に比較して総数では病診連携による近医への紹介をす
すめた結果、やや減少がみられましたが、外来日数の減少
があるため、外来日は夕方5時過ぎまで担当医一人あたり
で50人前後の診療・検査を行うことが常態化するようにな
りました。
平成20年度の新規入院患者数は487人(のべ5,195人、1
日平均14.2人)でした。常勤医3人の時期の平成18年427
人、平成19年348人と比較して、常勤医が2名に減少したに
もかかわらず大幅に増加し、手術や診療業務が非常に多忙
となりました。
手術室での手術は週に2日(月曜日、水曜日)でしたが、
例年に比べて手術件数が4割ほど増加したため手術枠が不
足し、手術終了時間が夜の8時を越えることもしばしばと
なったため、平成21年1月から(月曜日、水曜日、第2、4
金曜日)と変更しました。
月曜日と水曜日はTUR系の内視鏡手術、腹腔鏡手術や開
放手術を行っています。金曜日は主に内視鏡手術とし、な
るべく勤務時間内に収めるように配慮しました。
平成20年度の手術室での手術件数は285件でした。
主な内訳は、腎、尿管に対する体腔鏡(腹腔鏡、後腹膜
鏡)下手術が12件、同開放手術が5件、副腎に対する体腔
鏡下手術が3件、膀胱全摘除術が6件(回腸導管4件、尿管
皮膚瘻2件)
、前立腺全摘除術(前立腺癌)が25件、前立腺
被膜下摘除術(BPH)が12件、後腹膜リンパ節郭清術(精
巣癌)が1件、PNLが13件でした。他2件を加え79件が全身
麻酔による手術で、これ以外は主に腰椎麻酔で、TUL 43
件、TUR-Bt 52件、TUR-P 51件でした。
手術室以外の手術では、ESWLが48件でした。これはESWL
の残石率が高いことと、マンパワーの問題と関連して極力
1回の治療で結石フリーをめざす当科の方針から徐々に減
少傾向となっています。
【研修その他】
泌尿器科では毎火曜日、第2、第4木曜日、毎金曜日に、
手術症例も含めて全ての患者の臨床カンファレンスを行
っています。またその後総回診を行って情報を共有し、休
日の急変に主治医でなくても対応できる体制を取ってい
ます。さらに泌尿器科関連学会はもとより、滋賀県内で、
1年間に10回程度行われるほとんど全ての泌尿器科系研究
会に参加しており、最新の知識を吸収し、また近隣の医療
機関との交流も図るべく努力しています。
【平成20年度
件数】
泌尿器科外来での外来手術、処置、検査の
ウロダイナミクス
超音波断層検査 (腹部)
超音波断層検査 (前立腺)
排泄性尿路造影検査 (DIP)
尿道膀胱造影 (UCG)
内視鏡検査
前立腺生検
尿管ステント留置術
【平成19、20年度
手術室
腎摘除術
175件
1,213件
298件
549件
18件
394件
131件
55件
泌尿器科手術】
(体腔鏡下)
(開放)
副腎摘除術 (体腔鏡下)
膀胱全摘除術 回腸導管
回腸新膀胱
尿管皮膚瘻
前立腺全摘除術
前立腺被膜下摘除術
腹腔鏡下サンゴ状結石摘出術
尿道全摘除術
19年度
10
2
2
2
0
2
17
7
0
0
20年度
12
5
3
4
0
2
25
12
1
1
後腹膜リンパ節郭清術
0
PNL (経皮的腎砕石術)
18
TUL
16
TUR−Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術) 64
TUR-P(経尿道的前立腺切除術)
32
膀胱結石砕石術
2
前立腺部ステント留置、尿道狭窄手術 1
精巣・陰嚢関連手術
6
その他
13
合計
194
ESWL室(平成20年度)
ESWL
入院患者数動向
2005年度
2006年度
2007年度
2008年度
48件
(2005年度∼2008年度)
332人
427人
348人
487人
1
13
43
52
51
2
10
9
39
285
7.婦人科
【スタッフ】
部長(兼)
部長
部長
医長
非常勤
髙 倉
橘
樋 口
上 田
刈 谷
賢
敏
壽
博
方
二(本・副院長)
之
宏
久(∼H21.3)
俊(H21.1∼)
【診療科の特徴】
滋賀県地域の癌拠点病院として子宮癌、卵巣癌などの
婦人科悪性腫瘍に対する検診、治療、治療後のフォロ
ーアップまでを総合的に行っています。また、卵巣の
う腫、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮脱、更年期障害な
どの婦人科領域の良性疾患など婦人科疾患全般に対す
る診断・治療も取り扱っています。
治療に際しては十分なインフォームド・コンセント
を行い、症状やクオリテイオブライフの改善など患者
さんの満足を得られる医療を行うことを目指していま
す。良性疾患の手術療法については内視鏡下手術をは
じめとする低侵襲手術を積極的に導入し、入院期間の
短縮とクオリテイオブライフの向上に努めています。
さらに悪性腫瘍の手術に際しても疾患の根治性を保ち
ながら出来るだけ機能を温存することを念頭に置いて
います。
当科は日本産科婦人科学会専門医制度認定施設であ
り、勤務する4名の医師も日本産科婦人科学会認定医
です。また婦人科腫瘍専門医(髙倉、樋口、刈谷)及
び日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(髙倉)が在
籍しており、婦人科癌の治療及び腹腔鏡手術などの低
侵襲手術において高度な治療の提供に努めています。
【代表的診療対象疾患】
子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、良性卵巣腫瘍、子宮筋腫、
子宮腺筋症、子宮内膜症、外陰癌、子宮脱
【診療体制と実績】
1)外来診療体制と実績
平成20年度の外来患者数はのべ7,425人、紹介率は
37.8%でした。手術日である火・木曜日以外は初診外
来を別個設置し、原則として診療科長及び部長が初回
診察を行い診断・治療方針を決定しています。
2)入院診療体制と実績
20病床を使用し、平成20年度の入院患者数は594人、
平均在院日数は9.7日でした(表1)
。平成20年度の手
術件数は387件で、うち66件が婦人科悪性腫瘍に対す
る手術でした(表2)。
表1 平成20年度入院統計( )内は再発例
子宮頸部異形上皮および上皮内癌
40
子宮頸癌(Ⅰ期以上)
35 (15)
子宮内膜増殖症
10
子宮内膜ポリープ
15
子宮体癌・子宮肉腫など
80 (35)
卵巣癌・卵管癌
89 (40)
外陰癌・膣癌
7 (0)
子宮筋腫(卵巣腫瘍合併含む)
90
子宮腺筋症
良性卵巣腫瘍
骨盤臓器脱
子宮内膜症
検査入院
その他
合計
18
60
50
10
40
50
594
表2 主な手術(平成20年度)
子宮頸部円錐切除術
28
腹式単純子宮全摘除術
111
膣式単純子宮全摘除術
38
子宮全摘除術およびリンパ節郭清術
11
広汎子宮全摘術
7
卵巣癌手術
13
外陰癌手術
1
骨盤内除臓術
1
子宮筋腫核出術(卵巣手術合併含む) 24
良性卵巣腫瘍手術
49
骨盤臓器脱手術
48
子宮鏡下手術
45
その他
11
合計
387
【診療内容の特徴と治療実績】
1)婦人科悪性腫瘍
①子宮頸癌
<子宮頸部異形上皮>
妊孕能温存症例に対しては子宮頸部円錐切除術
を施行します。その際コルポスコピー下に病変を
事前に評価し、切除範囲を最小限に留める術式を
採用することにより、術後合併症の予防に努めて
います。一方根治的手術として子宮摘出を行う場
合、膣式摘出も積極的に施行しています。
<浸潤癌>
Ia1期病変では挙児希望症例に対しては円錐切
除術による子宮温存を考慮しています。Ⅰb期∼
IIIa期症例に対しては広汎子宮全摘術に必要に応
じて化学療法或いは放射線療法を組み合わせた集
学的治療を行っています。広汎子宮全摘術に際し
ては、症例によっては神経温存術式を積極的に適
用することにより術後排尿・排便障害の予防に努
めており、良好な成績を収めています。IIIb期以
後の症例に対しては化学療法併用放射線療法を当
センター放射線治療部と連携して施行しています。
表3 子宮頸癌累積生存率(平成15年以降)
臨床進行期(症例数) 2年
5年
Ⅰa期(16)
100
100
Ⅰb期(36)
93.3
93.3
Ⅱ期(26)
82.6
76.1
Ⅲ期(6)
37.5
Ⅳ期(6)
29.6
-
②子宮体癌
子宮頸癌と異なり子宮体癌は細胞診の精度が低
いため、不正子宮出血を認める症例では、子宮鏡
下での子宮内膜組織診を積極的に行い早期発見を
目指しています。
<子宮内膜増殖症>
子宮体癌への移行のリスクが高い異型増殖症症
例には標準治療としては根治治療として子宮摘出
術を施行しています。しかしながら妊孕能温存症
例に対しては、黄体ホルモン療法も積極的に行っ
ています。
<浸潤子宮体癌>
子宮体がん治療ガイドラインにのっとり、単純
子宮全摘術・両側附属器切除術・骨盤∼傍大動脈
リンパ節郭清術を標準術式としています。リンパ
節郭清に関しては術式の工夫により術後のリンパ
浮腫・リンパ嚢腫の軽減を図っています。また術
中所見により、症例によっては低侵襲な治療も適
用しています。
表4 子宮体癌累積生存率(平成15年以降)
進行期(症例数)
2年
5年
ⅠA期(14)
100
100
ⅠB期(37)
100
100
ⅠC期(14)
92.3
65.6
Ⅱ期(4)
100
100
Ⅲ期(18)
90.9
90.9
Ⅳ期(2)
100
③卵巣癌
卵巣癌の治療においては積極的な腫瘍摘出と術後
の化学療法施行が不可欠とされています。当センタ
ーでは本邦における卵巣がん治療ガイドラインに則
り、単純子宮全摘術・両側付属器切除術・大網切除
術・骨盤∼傍大動脈リンパ節郭清術を標準術式とし、
術後化学療法としてタキソール・カルボプラチン併
用療法を施行しています。また外科・泌尿器科・麻
酔科と密接な連携を取ることにより、腹腔内に広が
った進行期卵巣癌症例や再発卵巣癌症例に対しても
他臓器合併切除を併用した腫瘍摘出を積極的に適用
し良好な成績を得ています。
表5 卵巣癌累積生存率(平成15年以降)
進行期(症例数)
2年
5年
Ⅰ期(21)
86.7
86.7
Ⅱ期(9)
88.9
76.2
Ⅲ期(18)
52.6
52.6
Ⅳ期(4)
75.0
2)婦人科良性疾患の低侵襲・機能温存治療
①子宮筋腫
若年者及び妊孕能温存症例に対しては原則的に子
宮筋腫核出術を行っています。一方根治的手術として
子宮摘出を施行する際は、筋腫のサイズによっては経
膣的子宮全摘術や腹壁小切開を用いる低侵襲手術の
適用も考慮しています。また粘膜下子宮筋腫に対して
は、経膣的筋腫捻除や子宮鏡下手術による治療も施行
しています。
②骨盤臓器脱
膣式子宮全摘術・膣壁会陰形成術・肛門挙筋縫合術
を組み合わせた子宮脱根治術を標準手術として、年齢
等の因子を考慮して個々の症例に応じた治療を行っ
ています。更に治療困難である子宮摘出後・子宮脱根
治術後の膣脱症例に対する手術も積極的に施行して
います。尿失禁合併症例に対しては尿道吊り上げ術を
泌尿器科と協力して行っています。
③卵巣腫瘍
原則として全例MRIによる評価を行い、悪性所見が
否定的な症例では腹腔鏡下手術や腹壁小切開で腫瘍
を摘出する低侵襲手術を施行しています。
④子宮内膜症
若年者に対しては近年保険適用された低用量ピル
製剤などの薬物療法、挙児希望症例に対しては腹腔
鏡手術をはじめとする低侵襲手術、閉経前後の症例
に対しては悪性化を念頭に入れた根治手術など、症
例に応じて適切な治療選択肢の提供を心がけていま
す。
【業績】
1)Stress affects uterine receptivity through an
ovarian-independent pathway. Kondoh E, Okamoto T,
Higuchi T, Tatsumi K, Baba T, Murphy SK, Takakura
K, Konishi I, Fujii S.Hum Reprod. 2008 Dec 20.
2)Lactoferrin is associated with a decrease in oocyte
depletion in mice receiving cyclophosphamide.
Horiuchi Y, Higuchi T, Tatsumi K, Takakura K, Fujii
S, Konishi I. Fertil Steril. 2008 Oct 29.
3)Malignant transformation of mature cystic teratoma
of the ovary including three cases occurring during
follow-up period. Yamaguchi K, Mandai M, Fukuhara
K, Higuchi T, Hamanishi J, Takakura K, Fujii S.
Oncol Rep. 2008 Mar;19(3):705-11.
4)Intractable recurrent cervical cancer with pelvic
bone involvement successfully treated with
external hemipelvectomy. Hamanishi J, Higuchi T,
Mandai M, Fukuhara K, An M, Nakayama T, Takakura K,
Fujii S. J Obstet Gynaecol Res. 2008
Feb;34(1):112-6.
5)Immunostimulatory effect of Fms-like tyrosine
kinase 3 ligand on peripheral monocyte-derived
dendritic cells and natural killer cells:
utilization for ovarian cancer treatment.
Matsumura N, Mandai M, Hamanishi J, Yamaguchi K,
Fukuhara K, Yagi H, Higuchi T, Takakura K, Fujii S.
Oncol Rep. 2008 Feb;19(2):505-15.
6)Contents of endometriotic cysts, especially the
high concentration of free iron, are a possible
cause of carcinogenesis in the cysts through the
iron-induced persistent oxidative stress.
Yamaguchi K, Mandai M, Toyokuni S, Hamanishi J,
Higuchi T, Takakura K, Fujii S. Clin Cancer Res.
2008 Jan 1;14(1):32-40.
7)卵巣癌における妊孕性温存療法の限界は?―上皮性卵
巣癌に対する妊孕性温存手術.樋口壽宏、堀内由佳、
岡本尊子.臨産婦2008:62巻;612-617.
8)腹式単純子宮全摘術. 高倉賢二、小西郁生. 手術
2008:62巻;1067-1074.
9)早発卵巣不全患者における遺伝子解析の試み. 木村
文則、藤原睦子、望月昭彦、樽本祥子、中川哲也、四
方寛子、竹林浩一、喜多伸幸、高倉賢二、高橋健太郎、
野田洋一. 産婦人科の進歩 2008:60巻;30-33.
10)当院における婦人科外来化学療法の現況.
藤田浩平、
吉岡信也、鈴木彩子、八木治彦、万代昌紀、樋口壽宏、
高倉賢二、小西郁生、石黒 洋、藤井信吾. 産婦人科
の進歩 2008:60巻;90-92.
11)当科における過去10年間の一絨毛膜二羊膜性(MD)双
胎症例の検討.
伴 建二、由良茂夫、福原 健、巽
啓司、松村謙臣、樋口壽宏、高倉賢二、小西郁生、藤
井信吾. 産婦人科の進歩 2008:60巻; 286-288.
12)外陰部に生じたpilonidal sinusの1例.
浮田真沙世、
吉岡信也、由良茂夫、鈴木彩子、八木治彦、万代昌紀、
樋口壽宏、高倉賢二、小西郁生. 産婦人科の進歩
2008:60巻;327-331.
8.耳鼻いんこう科
【スタッフ】
部長(兼)
部長
シニアレジデント
非常勤
非常勤
林
池
山
吉
中
田
本
田
井
正 彦(本・副院長)
晴 人(H20.7∼)
季 来
充 裕(∼H20.6)
麻佐子
【診療科の特徴】
滋賀県地域のがん診療連携拠点病院として、喉頭癌、甲
状腺癌などの頭頚部悪性腫瘍に対する治療、治療後のフォ
ローアップを行っています。また、頭頚部良性腫瘍、中耳
炎、副鼻腔炎、扁桃炎、喉頭ポリープ、頭頚部嚢胞性疾患、
睡眠時無呼吸症候群、眩暈、突発性難聴、顔面神経麻痺な
ど耳鼻咽喉科疾患全般に対する診断・治療も取り扱ってい
ます。
治療に際しては十分なインフォームド・コンセントを行
い、症状やクオリテイオブライフの改善など患者さんの満
足を得られる医療を行うことを目指しています。
当科は日本耳鼻咽喉科学会専門医制度認定施設であり、
勤務するレジデント以外の4名の医師は日本耳鼻咽喉科
学会専門医です。また日本気管食道科学会専門医制度認定
施設でもあります。
【診療体制と実績】
1)外来診療体制と実績
・平成20年度の外来患者数はのべ8,896人、初診患者
数は1,301人で紹介率は34.4%でした。
・手術日である月、木曜日は休診で火、水、金曜日に
外来診療を行っています。
2)入院診療体制と実績
・9病床を使用し、平成20年度の入院患者例数は259
例で、延べ入院患者数は3,368人で平均入院日数は
13日でした。
①腫瘍性疾患(癌、良性腫瘍等)
悪性79例、延べ1742人、良性26例、延べ264人
②炎症性疾患(中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎、喉頭
ポリープ等):92例、延べ789人
③機能障害等(睡眠時無呼吸症候群、音声機能障
害、嚥下障害等):8例、延べ59人
④神経疾患(眩暈、難聴、耳鳴、顔面神経麻痺等):
54例、延べ514人
・平成20年度の手術室での手術件数は200件でした。
主な手術(平成20年度)
鼓膜・鼓室形成術
副鼻腔内視鏡手術
鼻中隔・下甲介手術
鼻副鼻腔悪性腫瘍手術
口蓋扁桃摘出術
口腔咽頭悪性腫瘍手術
10
33
8
2
18
7
唾液腺悪性腫瘍手術
唾液腺良性腫瘍手術
喉頭悪性腫瘍手術
喉頭ポリープ手術
甲状腺悪性腫瘍手術
甲状腺良性腫瘍手術
バセドウ甲状腺手術
気管切開術
その他
合計
3
9
5
15
25
6
1
8
50
200
9.放射線診断科
【スタッフ】
部長
副部長
医長
医長
シニアレジデント
シニアレジデント
非常勤
非常勤
南
津
森
松
山
平
河
池
田
川
下
田
井
井
内
俊 介
圭 紹
賢 二(∼H20.5)
亮 二
浩 史
真喜子(H20.10∼)
可奈江
高 志
【診療科の特徴】
・ 放 射 線 診 断 科 の 業 務 は ① 画 像 診 断 と ② IVR
(interventional radiology)の二つの部門に分けら
れます。
・画像診断部門では
(1)臨床各科から依頼を受けたCT・MRI等の画像検査
をすみやかに安全におこないかつ高品質の画像を
提供すること。
(2)正確で簡潔な読影レポートをすみやかに作成し臨
床各科のドクターに提供すること。
を旨としています。
・特にCTは最新のマルチスライスCT(128列1台、16列1
台)を完備しており冠動脈CTAや各種疾患の3D画像作
成等に威力を発揮しています。
・IVR部門は血管系IVRと非血管系IVRに分けられます。
血管系IVRでは肝癌に対する経カテーテル動脈塞栓術
(TAE)
・動注リザーバー留置術・開腹下における門脈
塞栓術・消化管出血に対する緊急TAE等を行っていま
す。非血管系IVRでは主として超音波ガイド下におけ
る肝胆膵悪性腫瘍に対する減黄術(PTCD)
・膿瘍ドレ
ナージ等やX線透視下における胆管ステント留置術等
を行っています。
・当科は日本医学放射線学会専門医修練機関であり、平
成20年度は上記の業務内容を3名のスタッフと2名の
シニアレジデントと2名の嘱託医で行いました。
【診療実績等】
・画像診断部門における放射線診断医が読影した件数
は以下のとおりです。単純X線写真読影 10271件(約
41件/日)
・CT 14915件(約60件/日)
・MRI 6587件(約
26件/日)・消化管造影 963件・RI 441件です。
・IVR部門における施行件数は136件(血管系IVR 90件・
非血管系IVR46件)です。内訳は肝動脈塞栓術77件・
PTCD42件・肝膿瘍ドレナージ3件・開腹下の門脈塞栓術3
件等です。
10.放射線治療科
【スタッフ】
部長
非常勤
非常勤
崔
平
中
岡
村
秉
真
光
哲
寛(H21.2∼)
宏(H21.2∼)
【診療科の特徴】
放射線治療は、外科療法、化学療法とならぶ癌に対する
治療の3本柱のひとつです。癌の種類や進行状況、患者さ
んの状態に応じて根治療法から姑息・緩和療法まで幅広く
応用されています。放射線治療の利点としては、①臓器の
機能や形態を保つ、②副作用の少ない治療で高齢者や合併
症のある患者さんにも適応可能、③手術や化学療法の併用
でよりよい治療効果を得ることができる、などがあります。
近年では放射線治療技術の進歩が著しく、高精度な治療
が行えるようになりました。これによって、周囲の正常臓
器への放射線量を低減しつつ、病変にはより高線量を投与
することが可能となっています。
当院における放射線治療は、最新の放射線治療装置
(Varian社製、CLINAC 21EX)を使用し、X線・電子線によ
る放射線治療を行っています。OBI(On-Board Imaging:
患者の位置を照合し、正確に患部に照射するためのシステ
ム)を搭載しており、毎回の照射で患者の位置のずれを補
正しています。 ピン・ポイント放射線治療”とも称される
定位放射線治療についても対応可能で、本年度中の開始に
向けて準備中です。また、本院研究所との協力により平成
21年6月からは、多発性有痛性骨転移に対するストロンチ
ウム-89による治療も行っています。
【診療体制】
現在は医師1名の体制で治療を行っています。安全な放
射線治療には医師以外のスタッフも不可欠です。当院では
放射線治療専任の技師4名を配しており、また、放射線治
療の品質管理に重要な役割を果たしている医学物理士に
ついても非常勤で勤務しています。
放射線治療は手術や化学療法との組み合わせによって
治療効果を高めることができるため、カンファレンス等を
通じて各科との連携を密にしながら治療を行っています。
特に根治的治療においては化学放射線療法も積極的に行
っています。
【診療内容】
代表的治療疾患:肺癌・頭頸部癌・乳癌・食道癌
・前立腺癌・子宮頸癌・転移性骨腫瘍・転移性脳腫瘍
【治療実績】
2008年度新患数:270例
原発部位別新患数
肺癌
乳癌
前立腺癌
食道癌
頭頸部癌
子宮頸癌
その他
86例
73例
27例
14例
5例
5例
60例
11.緩和ケア科
【スタッフ】
主任部長
医長
非常勤
臨床心理士
堀
塩
柴
天
泰 祐
智 裕
守 和(H20.9∼)
可奈子
谷
崎
野
平成20年度は入院総数、死亡退院数とも194名でした。
平均在院日数は26.3日に短かったためと、医師1名が長期
の病休をとったことから入院人数を制限していた時期が
あったために、病床稼働率は低下しました。
患者紹介率は15年度:48.9%、16年度:72.9%、17年度:
94.5%、18年度89.7%、19年度90.5%、20年度94.6%と高率で
した。
【患者数】
<外来患者数>
年度
H18
H19
H20
外来患者数
1,252
1,049
1,071
対前年度比
145.9%
83.8%
93.4%
1月平均
104.3
87.4
89.3
1日平均
9.1
6.5
6.0
(医事課調べ)
<入院患者数>
年度
H18
H19
H20
入院患者数
5,525
5,653
5,050
対前年度比
92.8%
102.3%
89.3%
1月平均
460.4
471.1
420.8
1日平均
15.1
15.4
13.8
(医事課調べ)
【実績等】
1)緩和ケア科の理念
緩和ケアの理念として、「命を尊び、心と体の苦しみを
和らげる医療をめざす」ことをあげています。また、緩和
ケアの目的は、がんの治癒や延命をめざす治療を行うこと
ではなく、がんの進行に伴う心と体のさまざまな苦痛の緩
和を行い、患者様が日常生活を快適に過ごすための援助を
行うことです。このような目的を達成するために、多職種
のスタッフが何回もカンファレンスを重ね、チームで質の
高い医療・ケアを提供する努力をしております。
さらに、患者本人の心と体のケアのみならず、患者の家
族のケアも重要な課題です。家族とのコミュニケーション
を密にし、患者・家族を一つの単位としてケアすることに
も重点的に取り組んでいます。
2)患者動向
緩和ケア科の患者動向は下表のとおりです。
緩和ケア科の患者動向
年 度
入院総数
退院数
死亡退院数
平均在院日数
(日)
病床稼働率
(%)
H15/1/1∼3/31
41
25
20
H15年度
149
157
133
37.9
74.5
H16年度
169
162
138
31.3
71.0
H17年度
154
153
139
38.8
81.5
H18年度
216
218
213
25.5
75.5
H19年度
184
184
166
30.3
76.8
H20年度
194
194
178
26.3
69.0
3)緩和ケアチーム
がん診療の初期の段階あるいはがん治療中から緩和ケ
アを提供するために、緩和ケアチームが一般病棟のがん患
者に関わることが大切です。平成15年度から緩和ケアチー
ムが一般病棟のがん患者に関わっています。実績は下表の
とおりです。
緩和ケアチーム介入実績
年度
平均介入日数
H15
16.0
人数
5
H16
16.0
22
H17
16.4
68
H18
11.0
148
H19
12.2
156
H20
13.6
147
18年度から、精神科医が抜けたため緩和ケア診療加算は
得られなくなりましたが、一般病棟における緩和ケアチー
ムの働きは重要であり、実際に介入数も平成18年度まで増
加し、現在では年間150名前後、平均介入日数は15日前後
となっています。
緩和ケアチームへの依頼内容ですが、疼痛コントロール
が最も多く、次いで全身倦怠感、呼吸困難が続いています。
症状コントロールができている患者については、転棟依頼
が最も多くなっています。うつ、不安、せん妄などの精神
症状は5%程度でした。
緩和ケア病棟における多職種の関わりは非常に重要で
す。20年度、薬剤師の薬剤指導については20名(10.3%)
の患者に行っています。また、理学・作業療法士について
は、24名(12.4%)の患者に対し、延べ988日にわたって理
学・作業療法を施行しています。管理栄養士による食事指
導は年間おおよそ30名(延約60名)です。
4)補完代替療法
補完代替療法のスケジュールは次のとおりです。
補完代替療法
音楽療法
アロマセラピー
リフレクソロジー
カラーセラピー
アニマルセラピー
日 程
毎週火曜日午後2時-4時
第1、3木曜日
第2、4水曜日
第1、3土曜日
第2、4木曜日
第1-3金曜日(現在休止中)
対 象
患者・家族
患者・家族
患者・家族
(土曜は家族のみ)
患者・家族・見舞
患者・家族
スタッフ
3-5名
2-5名
1-2名
1-2名
1名
患者・家族のケアの一環として、音楽療法、カラーセラ
ピー、アロマセラピー、リフレクソロジー、アニマルセラ
ピーなども取り入れています。リンパ球療法を含む免疫療
法、漢方、ホメオパシーなどは当科から提供することはな
く、患者・家族の選択に任せています。
音楽療法については、年平均で、グループセッションが
合計約45セッション(患者:約250人、家族・友人など:約
300人、スタッフの参加:約100人)
、個人セッションが合
計約30セッション(患者:約30人、家族:約40人、スタッ
フの参加:約15人)行われました。
カラーセラピーについては、年平均でワークショップ約
100名(患者:約50名、家族:約30名)、個人セッションは
数名程度でした。
アロマセラピーについては、年平均で合計約400名(患
者:約250名、家族:約150名)に行われました。リフレク
ソロジーについては、合計約100名(患者:約50名、家族:
約50名)に行われました。アニマルセラピーは訓練された
ラブラドール・レトリバー犬によって行われています。正
確な記録は残っていませんが、患者、家族を含め約80名に
行われました。
(アニマルセラピーについては現在休止中
です)
5)季節の行事、病棟コンサート
患者さんご家族に楽しみと癒しのひと時を提供し、共に
良い時間を過ごしていただくために、毎年、4月の花見会
から始まり、3月のひな祭りまでほぼ毎月、何らかの行事
を行っています。また、平成20年度も病棟コンサートを10
回開催しました。
6)ボランティア活動
緩和ケア科ではボランティアの活動が大きな役割を果
たしています。緩和ケア病棟の登録ボランティアは18名で
すが、コンサート、絵画展示など臨時に参加されるボラン
ティアも多くおられます。
ほぼ毎日、午後2時から4時までの間、病棟内に喫茶コー
ナー「喫茶なごみ」を開き、喫茶をしながらボランティア
と会話や音楽を楽しみ、患者・家族に憩いのひと時を提供
して頂いています。グリーンルームの管理、季節の行事、
病棟コンサート等についてもボランティアの多大な協力
を頂いています。また、ボランティアによる折り紙教室、
ビーズ教室を適宜開催しています。
7)遺族ケア
死亡退院された患者様のご遺族に対するケアの一環と
して、遺族会(なごみ会)を行っています。始めは病棟ス
タッフ、ボランティアが中心となり行っていましたが、平
成18年度からは、ご遺族の一部にもボランティアとしての
参加を呼びかけて行っています。多くのご遺族に、
「来て
良かった、慰めになった、今後も開いて欲しい」などの好
意的な感想を頂いております。平成20年度の遺族会には27
家族、40名の参加がありました。今年度からは、ご遺族が
中心となる「あわみ会」が発足し、自助グループとしての
活動を始める準備を行っています。
また、平成18年度から、厚生労働省の班研究「がん患者
や家族が必要とする社会的サポートやグループカウンセ
リングの有用性に関する研究」(保坂班)の中で、分担研
究:「遺族を対象とした健康度調査およびグループ療法の
有用性に関する研究」を行い、遺族ケアの研究にも取り組
んでいます。
8)研修・研究・教育活動
緩和ケアのさらなる質の向上をめざして、新しい医療技
術・知識の習得のためのスタッフ研修に努めています。そ
のため、病棟内外の勉強会、研修会を積極的に実施してき
ました。院内向けの緩和ケア講演会を4回開催しました。
20年度は院内からの研修医を2名(各1ヶ月)、京都大学
医学部付属病院からの研修医を6名(各2週間)緩和ケア研
修に受け入れました。滋賀県質の高いがん看護師育成講座
の研修のため6名の看護師の研修も受け入れました。
緩和ケア科スタッフによる学会・研究会での研究発表・
講演についても、積極的に行うように奨励しています。
(年度別の発表件数は下記のとおりですが、平成20年度に
ついては、実際の業績をあげていますので参照してくださ
い)
緩和ケア科スタッフの研究発表・講演等
年度
研究発表・講演
論文・書籍
H15
8
3
H16
16
2
H17
25
6
H18
17
4
H19
18
7
H20
22
4
さらに、新しい治療法開発のための治験への取り組みを
行いました。今後も、多くの患者・家族により良い医療・
ケアが提供できるように努力を重ねていく所存です。
【業績】
(論文)
1)堀泰祐. 痛みの深み−がんという意識と無意識.臨床
心理学 2008; 8(6):811-816
2)堀泰祐. 鎮痛薬の鎮痛効果を高める鎮痛補助薬②抗う
つ薬.緩和医療学 2008; 10(2):131-137
3)堀泰祐. 緩和医療における集団精神療法.緩和医療学
2008 ;10(1): 49-55
4)櫻井卓郎、朴文華、川上寿一、堀泰祐、水谷奈那美、山
中敏正. 終末期におけるリハビリテーションの全体像
把握を目的とした作業療法士・理学療法士が記載するカ
ルテの用語分析−テキストマイニングソフトを用いた
分析−. 感性工学Vol.8 No.2. 2008;8(2):347-354
(学会発表)
1)天野可奈子、堀 泰祐:遺族を対象とした健康度調査
およびグループ療法の有用性に関する研究(第 1 報)
第 21 回サイコオンコロジー学会、東京、平成 20 年 10
月 10 日
2)堀泰祐:緩和ケア地域連携パスの素案について 第 4
回滋賀在宅ホスピス緩和ケア研究会、守山市、平成 21
年 3 月 29 日
(講演:堀泰祐)
1)平成20年4月23日、公立甲賀病院にて、医療者対象に講
演「緩和ケアの心と実践」
2)平成20年4月26日、草津栗東医師会講演会において、医
師対象に講演「在宅における麻薬の処方について」
3)平成20年4月27日、滋賀県がん患者団体連絡協議会にお
いて、一般市民対象に講演「緩和ケアについて」
4)平成20年5月9日、大和高田市民病院において、医療者
対象に講演「がん患者の心のケアとコミュニケーショ
ン」
5)平成20年6月18日、滋賀県南部振興局主催の第2回在宅
ホスピスケア実践講習会において、訪問看護師対象に
講義「在宅における麻薬と疼痛管理について」
6)平成20年6月28日、野洲病院登録医師意見交換会におい
て、医師対象に講演「在宅緩和ケアと病院緩和ケアの
現状及び今後の展望」
7)平成20年7月25日、京都緩和医療セミナーにおいて、医
療者対象に講演「緩和医療におけるサンドスタチン使用の実
際」
8)平成20年7月27日、滋賀県薬剤師会在宅ホスピス研修会
において、薬剤師対象に講演「がん患者に対する心の
ケア」
9)平成20年7月29日、京都桂病院「院内緩和医療講演会」
において、医療者対象に講演「がん性疼痛治療の実際」
10)平成20年8月2日、第48回徳島乳腺研究会において、医
療者対象に講演「乳がん診療における緩和ケア」
11)平成20年8月30日、第44回阪南乳腺疾患研究会(堺市)
において、医療者対象に講演「乳がんにおける緩和ケ
ア・癒しの看護について」
12)平成20年10月11日、世界ホスピスデー記念講演会(近
江八幡市)において、一般県民を対象に基調講演「広
げようホスピス・緩和ケアの心と実践―チームで支え
る医療―」
13)平成20年11月1日∼2日、2009年2月28日∼3月1日、平成
20年度「滋賀県がん診療に携わる医師に対する緩和ケ
ア研修会」、滋賀県・滋賀県立成人病センター共催、研
修計画立案及び講師
14)平成20年11月28日、京都大学がんプロフェッショナル
養成プランの緩和医療フォーラムにおいて、医療者対
象に講演「がん性疼痛治療の進歩」
15)平成20年12月20日、桂病院第1回地域がん診療連携拠点
病院、市民講演会にて一般市民を対象に講演「がんに
なったとき、どのように生きればよいか」
16)平成21年3月7日、第3回中国地区GHP研究会において、
医療者対象に講演「がん医療におけるコミュニケーシ
ョンスキル」
(講演:天野可奈子)
1)平成20年9月5日、第27回日本心理臨床学会(つくば)
「最期まで人生を生き抜かれたAさんとそれを支える
心理士の歩み‐イニシャルケースにおけるThの夢につ
いて‐」
2)平成20年9月15日、NPO在宅ケアを支える診療所・市民
全国ネットワーク第14回全国の集いin京都2008講演会
(京都)「在宅緩和における心のケア」
3)平成20年10月11日、世界ホスピスデー記念県民公開講
座講演会(滋賀県近江八幡市)
「広げようホスピス・緩
和ケアの心と実践‐チームで支える医療‐」
4)平成20年12月6日、第28回京滋緩和ケア研究会講演(京
都)「緩和ケアにおけるコメディカルの関わり」
5)平成21年1月18日、滋賀県薬剤師会在宅ホスピスフォロ
ーアップ研修会講演(滋賀県草津市)
「がん患者さんと
ご家族の心のケア・コミュニケーション」
第4節
一般診療部
部長(兼)
林
正
彦(本・副院長)
1.総合内科
【スタッフ】
部長
川
嶋
信
吾
【患者数】
<外来患者数>
年度
H18
H19
H20
外来患者数
−
−
1,265
対前年度比
−
−
−
1月平均
−
−
105.4
1日平均
−
−
14.6
(医事課調べ)
<入院患者数>
年度
H18
H19
H20
入院患者数
−
−
164
対前年度比
−
−
−
1月平均
−
−
18.2
1日平均
−
−
0.5
(医事課調べ)
【診療内容】
総合内科は平成 20 年度から常勤医 1 人で開設され、4
月より診療を開始しました。外来は月曜日と金曜日の週 2
回で、どの診療科に受診してよいのかわからない患者さん
を対象としています。主訴として多いものに、頭痛、めま
い、しびれ、発熱、体重減少、全身倦怠、各種検査値異常
がありました。当科で診察後、必要に応じて他の診療科や
他の医療機関へ紹介しています。
年間外来患者数は延べ 1,265 人、紹介患者数は 41 人で
した。再診の患者さんが少ないため、4 月と 5 月の 1 日平
均患者数はそれぞれ 6 人と 9 人でしたが、6 月以降は 1 日
平均 16 人と増加しました。年間入院患者数は延べ 164 人
で、すべて院内からの紹介患者さんでした。
琵琶湖マザーホスピタル事業で、4 月から 9 月までは週
2 回、10 月以降は週 1 回県内の公立医療機関での外来診療
も行いました。その間は、他の診療科の医師に入院患者さ
んの診療をお願いすることになります。今後は、常勤医の
増員により入院診療を充実させたいと考えています。
2.糖尿病内分泌科
【スタッフ】
部長
副医長
非常勤医師
水
小
山
野
川
田
展
栄
寿
一
豪
【患者数】
<外来患者数>
H18
H19
H20
外来患者数
年度
14,038
10,536
10,217
対前年度比
92.1%
75.1%
108.4%
1月平均
1,169.8
878.0
851.4
1日平均
57.3
50.5
54.8
(医事課調べ)
<入院患者数>
年度
H18
H19
H20
入院患者数
4,431
2,209
3,624
対前年度比
68.5%
49.9%
164.1%
1月平均
369.3
184.1
302.0
1日平均
12.1
6.0
10.0
(医事課調べ)
【診療内容】
糖尿病内分泌科は常勤としては医師3名をその科員とし、
代謝・内分泌疾患が専門担当分野です。受診患者の過半数
を重症糖尿病など代謝疾患が占める一方で、甲状腺、副甲
状腺、下垂体、副腎疾患等の内分泌異常や電解質異常など
地域医療で対応出来ないに患者の受け入れ先として、県下
で数少ない専門医療機関の一つでした。しかしながら、平
成18年12月31日に副医長医師が退職され、更に平成19年8
月には部長も年度途中で退職され、常勤医が3名から1名
に減り、平成20年3月には非常勤医も辞められるといった
異常事態となりました。一時は糖尿病内分泌内科を閉鎖す
る予定もありましたが、外来と入院患者の診療体制を大幅
に変更し、患者数を含め診療体制を大幅に縮小することで、
診療を継続してまいりました。幸い平成20年4月から京都
大学より辛うじて常勤医1名が派遣され、更に非常勤も確
保でき異常事態が緩和されつつあります。
平成20年度は、以前の入院体制の縮小によって生じた患
者治療用の入院教育プログラム(毎日の病院食を用いての
ベッドサイド指導)体制を立て直し、安心した医療を入院
患者に提供するための体制立作りに励んでいる最中であ
ります。体制作りの一環として、看護士・栄養士・薬剤師
たちが、糖尿病診療の専門性を高める目的で制定された糖
尿病療養指導士の資格を取得出来る様に積極的に応援、指
導を行っております。幸い本院でも意欲的な3名の認定試
験合格者がおり、現在院内で活躍されています。また、今
後資格修得を目指し、新たに薬剤師1名、看護師1名、栄養
士1名の合計3名が手弁当で受験される予定です。
3.臨床免疫科
【スタッフ】
部長(兼)
非常勤
非常勤
【特色ある検査・治療法・医療設備】
鈴 木
井 村
佐 藤
孝 世(本・副院長)
嘉 孝
毅
【患者数】
<外来患者数>
年度
H18
H19
H20
外来患者数
2,229
2,523
2,822
対前年度比
100.7%
113.2%
121.5%
1月平均
185.8
210.3
235.2
1日平均
29.5
25.9
31.5
(医事課調べ)
【臨床免疫科について】
臨床免疫科は平成15年4月、京都大学医学部附属病院免
疫・膠原病内科の支援の下、一名の非常勤医師で週1回の
外来診療を開始しました。当時の診療科名は「第4内科」
でした。(平成21年度からは「免疫内科」となりました。)
滋賀県における患者数の増加に応じるため、京都大学附
属病院免疫・膠原病内科より二名の非常勤医師を派遣して
いただき、現在週2回の外来を開催しています。外来日は
毎週火曜日と木曜日です。
常勤医師がいないため、入院ベッドは有しませんが、必
要に応じて血液・腫瘍内科のベッドを利用して入院加療を
行っています。
【対象疾患と診療の方針】
臨床免疫科における診療対象疾患は、関節リウマチ、全
身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎、
血管炎症候群、シェーグレン症候群、ベーチェット病、成
人スティル病、抗リン脂質抗体症候群などのリウマチ・膠
原病全般です。
これらの疾患は免疫異常を発症の基盤としています。皮
膚、神経、関節、肺、腎、消化管など多くの臓器が傷害さ
れる可能性のある全身性疾患です。当科では各々の専門科
と連携しながら患者さん一人一人のもつ免疫異常や障害
臓器を的確に捉え迅速に診断し、適切な治療を行えるよう
に心がけています。
【患者数の動向】
臨床免疫科の開設当初より、患者の多くは滋賀県内地域
基幹病院やかかりつけ医からの紹介です。平成20年度はの
べ2,822名の外来患者を診療し、一日外来平均患者数は
31.5名でした。のべ患者数、一日外来平均患者数ともに、
外来開設当初より年々着実に増加し、県民の期待が強く感
じられます。
1) 当科では京都大学医学部附属病院免疫・膠原病内科
と連携し、患者さんの同意を得て、研究室レベルで
血清中の疾患特異的自己抗体の検出を行っており、
診断および病態把握に役立てています。特に多発性
筋炎・皮膚筋炎では間質性肺炎の合併や治療抵抗性
に関して自己抗体で病型分類し、治療方針の参考と
しています。
2) 近年の治療薬開発の進歩により関節リウマチにお
いては様々な生物学製剤が臨床応用されておりま
す。当科では抗TNFa阻害療法としてレミケード(イ
ンフリキシマブ;抗TNFaモノクローナル抗体)およ
びエンブレル(エタネルセプト;可溶性TNF受容体
-Fc融合蛋白)をはじめとした治療薬を使用し良好
な成績をおさめています。
4.整形外科
【スタッフ】
主任部長
副部長
医長
医員
非常勤
清
桂
笠
齋
仮
水
義
仁
富
幹
原
藤
元
彰
明
菜
彦(∼H20.9)
雄
【患者数】
<外来患者数>
H18
H19
外来患者数
年度
16,048
11,619
H20
9,489
対前年度比
96.3%
72.4%
97.8%
1月平均
1,337.3
968.3
790.8
1日平均
65.6
61.1
59.8
(医事課調べ)
<入院患者数>
年度
H18
H19
H20
入院患者数
9,489
7,952
6,692
対前年度比
86.8%
83.8%
84.2%
1月平均
790.8
662.7
557.7
1日平均
26.0
21.7
18.4
(医事課調べ)
【診療の方針】
全ての整形外科疾患に対して、世界水準の治療を行う
ことを心がけてきました。その結果、需要に応じる形で
扱う疾患が決まってきました。現在、関節疾患と脊椎疾
患が主な治療対象になっています。これらの疾患の外科
的治療を中心として診療を行っています。
【特色ある検査・治療法・医療設備】
関節の手術治療として、人工関節置換術が盛んに行わ
れるようになり、当科で行う手術全体の中でも主流にな
っています。これを行うために必要なバイオ・クリー
ン・ルーム(無菌手術室)も完備しています。週2例の
見当で年間80例の手術を行っています。入院期間は1ヶ
月程度です。他の手術を行う必要があるのでこの程度に
数を制限していますが、年間120例以上の需要がありま
す。
5.皮膚科
【スタッフ】
部長
非常勤医師
【業績】
服 部
ゆかり
金曜日のみ京大皮膚科より交代制
【診療科の特徴】
常勤医師一人体制ではありますが、滋賀県内で皮膚科入
院治療が行える数少ない基幹病院の一つです。皮膚科専門
医により皮膚疾患全般に対する診断、治療を行っています
が、紫外線治療(ナローバンドUVB照射)に特に力をいれ
ており、尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症などの疾患
で実績を上げています。
尋常性乾癬では、紫外線治療のみでも皮疹の寛解が認め
られ、外用ステロイド量の減少、寛解期間の延長につなが
っています。また元来色素再生の難しかった尋常性白斑に
もかなりの効果が認められています。外来手術においては
一般皮膚外科のみならず、下肢静脈瘤結紮・硬化療法など
も外科・心臓血管外科医師らとともにとりくんでおり巻き
爪・陥入爪の爪母を温存する処置に力をいれています。
【外来診療体制】
月曜日から金曜日まで毎日午前の診療枠があります。午
後は検査処置枠となっており金曜日は外来手術日として
います。
【実績等】
外来患者数
H18
H19
H20
外来患者数
年度
11,172
10,124
10,806
対前年比
96.3%
92.1%
108.6%
1月平均
931.0
843.7
900.5
1日平均
45.8
42.0
45.6
(看護部調べ)
入院患者数
年度
入院患者数
H18
H19
H20
115
79
142
対前年比
147.4%
68.7%
179.7%
1月平均
9.6
6.6
11.8
1日平均
0.3
0.2
0.4
(医事課調べ)
平成20年度、病院全体の外来患者数の減少にもかかわら
ず、外来入院ともに皮膚科患者総数は増加しています。従
来より力をいれている紫外線治療(ナローバンドUVB照射)
も予約わくがほぼ埋まっている状況でした。外来手術件数
も総数138例と増加しています。従来より陥入爪の切ら
ない処置に重点をおいていますが、人工爪法もとりいれ、
テーピング、ガター法、ワイヤー法を症状にあわせて行っ
ています。皮膚アレルギーのテストである皮内反応、プリ
ックテスト、パッチテストも薬剤部の協力のもとさらに症
例をふやすことができました。
<原著>
1)服部ゆかり、荒木絵里、武内英二. 黒色真菌症−皮膚
筋炎患者にみられた例−. 皮膚科診療:30(9);999∼
1002,2008
2)真弓愛、松村由美、宮地良樹、服部ゆかり. 肉芽腫性
眼瞼炎の一例. 臨床皮膚科. (0021-4973)63 巻3号
Page191-193(2009.3)
<教育活動>
1)服部ゆかり. 皮膚の健康、おしゃれ障害. 2008年12
月. 守山市立明富中学校
6.眼科
【スタッフ】
部長
副医長
副医長
医員
非常勤
視能訓練士
【診療内容の特徴と治療実績】
山 名
池 田
井 上
隅 田
尾 島
3名
隆 幸
華 子
志 帆
亜 希
優美子
【診療科の特徴】
滋賀県の基幹病院として、眼科疾患全般に対して最新の
検査・手術設備を揃え、高度な医療技術により安全で低侵
襲な診療を行うことを基本方針としています。特に手術に
関しては得意とする分野であり、眼科医師全員とも熟練し
ており、再手術に至る症例は極めて少ないのが特徴です。
そのため他施設で対処が困難な症例や難易度の高い手術
症例などの紹介が多く、特に網膜硝子体疾患、白内障、緑
内障などの手術は合併症を生じることもほとんどなく、良
好な治療成績をあげています。
日本眼科学会専門医制度認定施設であり、学会発表など
の学術活動も積極的に行い、高い診療レベルを維持しなが
ら、医師の教育にも力をいれています。
【代表的診療対象疾患】
網膜硝子体疾患、白内障、緑内障など
【診療体制と実績】
1)外来診療体制と実績
月・火・木・金曜日に2∼3診で外来診察を行っており、
手術日の水曜日は休診としています。平成20年度の外来
患者数はのべ17,234人(1日平均89.3人)、紹介率は
37.3%、逆紹介率は28.3%で、紹介患者さんは紹介元の
医療機関に戻っていただくことを原則としています。特
殊外来としては、レーザー治療は446件、蛍光眼底造影
検査は208件でした。
2)入院診療体制と実績
病床数は17床で、平成20年度の入院患者数はのべ
5,391人(1日平均14.8人)、平均在院日数は9.0日でした。
平成20年度の手術件数は892件でした(表1)。
表1 主な手術(平成20年度)
白内障手術
硝子体手術
経強膜的網膜剥離手術
緑内障手術
涙道手術
斜視手術
眼瞼手術
角結膜手術
その他
合計
(同時手術を1件とした場合の合計
723
106
15
26
8
3
14
20
51
966
892)
1)白内障
白内障手術はほとんどの症例で超音波乳化吸引術+眼
内レンズ挿入術を施行しており、安全な手術が確立されて
います。折畳み式のアクリルレンズの使用により、光学径
6mmの眼内レンズを約2.75mmの小切開創から移植し、術後
炎症や乱視変化を最小限にして早期よりの社会復帰を可
能にしています。硝子体手術や緑内障手術症例でも白内障
併発例には白内障同時手術を施行し患者さんの負担を軽
減しています。最近10年間では、破嚢や硝子体脱出などの
合併症発生率は1%以下で、視力が術前よりも大幅に低下
するような合併症を生じた症例はありません。平成20年度
も合併症発生率は0.8%でした。
2)網膜硝子体疾患
網膜硝子体疾患では、網膜剥離をはじめとして、増殖糖
尿病網膜症・増殖硝子体網膜症・ぶどう膜炎・眼内異物・
眼内炎などの難治性疾患の手術や、網膜の中でも最も重要
な部位である黄斑部の疾患(黄斑円孔・黄斑上膜・黄斑浮
腫・黄斑変性など)に対する手術も得意としています。硝
子体手術についてはほぼ全例で23ゲージ・25ゲージの小切
開硝子体手術を行なっており、術後早期からの視機能回復
に努めています。
①網膜剥離
病状に応じて経強膜的網膜復位術か硝子体手術を
選択しております。最近10年間では、初回復位率は
97%、再手術を希望されない患者さんを除けば最終
復位率は100%です。平成20年度も初回復位率は96%、
最終復位率は100%でした。
②糖尿病網膜症
糖尿病管理が大切であるため、内科との連携によ
り治療を行っています。眼科的には蛍光眼底造影検
査を適宜実施し、病状によりレーザー光凝固を施行
し、牽引性網膜剥離、硝子体出血、黄斑浮腫などを
伴う症例には硝子体手術を行い良好な結果を得てい
ます。
③黄斑円孔
網膜の最も重要な部位(黄斑部)に孔が形成され
る疾患で、円孔を閉鎖させるには硝子体手術を必要
とします。病状に応じて内境界膜剥離を併用してい
ます。最近10年間では、初回閉鎖率97%、再手術を
希望されない患者さんを除けば最終閉鎖率100%で
す。平成20年度も初回閉鎖率は100%でした。
④黄斑上膜
網膜の最も重要な部位(黄斑部)に線維膜が形成
される疾患で、進行すれば視力低下や変視症(歪ん
で見える)などの症状が生じ、硝子体手術を必要と
します。病状に応じて、線維膜の除去と同時に内境
界膜剥離を行うことにより、線維膜の再増殖を抑制
しています。
⑤黄斑浮腫
糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症・ぶどう膜炎など
に併発する病変で、病状に応じて炭酸脱水酵素阻害
剤の内服、ステロイド縣濁液の局所注射、抗血管新
生薬の硝子体注射、硝子体手術、レーザー光凝固な
どを行うことにより浮腫の軽減を得ています。
⑥黄斑変性
フルオレセインおよびインドシアニングリーン蛍
光眼底造影検査、光干渉断層検査などの所見に応じ
て、抗血管新生薬の硝子体注射、レーザー光凝固、
硝子体手術、ステロイド縣濁液の局所注射を選択し、
新生血管の退縮、視機能保持に努めています。
⑦ぶどう膜炎
種々の原因で生じるため全身的に検索をし、原因
疾患や重症度に応じてステロイドなどの薬物治療や
硝子体手術を行っています。硝子体手術の際に採取
された検体について細胞学的・微生物学的検査をす
ることによって、より正確な診断を得るようにして
います。
3)緑内障
緑内障には種々の病型が存在し、進行度によっても目標
眼圧が異なるため、各症例に応じた治療をしています。開
放隅角緑内障に対しては、まず点眼治療による眼圧コント
ロールを試み、不十分であれば目標眼圧に応じて線維柱帯
切除術、線維柱帯切開術などの観血手術を選択しています。
閉塞隅角緑内障に対しては種々の検査で病状を把握して、
レーザー虹彩切開術、隅角癒着解離術、水晶体切除術(白
内障手術)などを行っています。
【業績】
<原著>
1)Osakada F, Ikeda H, Mandai M, Wataya T, Watanabe
K, Yoshimura N, Akaike A, Sasai Y, Takahashi M.
Toward the generation of rod and cone
photoreceptors from mouse, monkey and human
embryonic stem cells. Nature Biotechnology. 26:
215-224. 2008.
2)Murakami T, Akimoto M, Ooto S, Suzuki T, Ikeda H,
Kawagoe N, Takahashi M, Yoshimura N. Association
between abnormal autofluorescence and
photoreceptor disorganization in retinitis
pigmentosa. Am J Ophthalmol. 145: 687-694. 2008.
3)Wataya T, Ando S, Muguruma K, Ikeda H, Watanabe K,
Eiraku M, Kawada M, Takahashi J, Hashimoto N, Sasai
Y. Minimization of exogenous signals in ES cell
culture induces rostral hypothalamic
differentiation. Proc Natl Acad Sci U S A. 105:
11796-11801. 2008.
4)Jin ZB, Mandai M, Yokota T, Higuchi K, Ohmori K,
Ohtsuki F, Takakura S, Itabashi T, Wada Y, Akimoto
M, Ooto S, Suzuki T, Hirami Y, Ikeda H, Kawagoe N,
Oishi A, Ichiyama S, Takahashi M, Yoshimura N,
Kosugi S. Identifying pathogenic genetic
background of simplex or multiplex retinitis
pigmentosa patients: a large scale mutation
screening study. J Med Genet. 45: 465-472. 2008.
5)Morishita(Inoue) S, Tanabe T, Yu S, Hangai M, Ojima
T, Aikawa H, Yoshimura N. Retinal nerve fibre layer
assessment in myopic glaucomatous eyes: comparison
of GDx variable corneal compensation with GDx
enhanced corneal compensation. Br J Ophthalmol. 92:
1377-1381. 2008.
6)Inoue R, Hangai M, Kotera Y, Nakanishi H, Mori S,
Morishita(Inoue) S, Yoshimura N. Three-dimensional
high-speed optical coherence tomography imaging of
lamina cribrosa in glaucoma. Ophthalmology. 116:
214-222. 2009.
7)Tsujikawa A, Nakanishi H, Ojima Y, Iwama D, Tamura
H, Otani A, Yoshimura N. Macular polypoidal
choroidal vasculopathy with a remote lesion. Clin
Experiment Ophthalmol. 36: 817-823. 2008.
8)倉重由美子、大石明生、宮本和明、田村寛、森下(井上)
志帆、吉村長久.見過ごされていた内頸動脈海綿静脈
洞瘻の 1 例.臨床眼科.62: 923-927. 2008.
<学会発表>
1)Ikeda H, Osakada F, Mandai M, Wataya T, Yoshimura
N, Sasai Y, Takahashi M. Stepwise Induction of coneand rod-photoreceptor differentiation from mouse
ES cell-derived retinal progenitors. The
Association for Research in Vision and
Ophthalmology (ARVO) 2008 Annual Meeting. Apr 2008.
Fort Lauderdale, FL, USA.
2)Mandai M, Ikeda H, Iseki K, Ishigami C, Jin ZB,
Takahashi M. Efficient Generation of
Photoreceptors from mouse ES cells by negative
selection using lectins to enrich retinal
progenitor cells. ARVO 2008 Annual Meeting. Apr
2008. Fort Lauderdale, FL, USA.
3)Osakada F, Ikeda H, Watanabe K, Akaike A, Sasai Y,
Takahashi M. Differentiation of rod and cone
photoreceptors from human embryonic stem cells
under defined culture conditions. ARVO 2008 Annual
Meeting. Apr 2008. Fort Lauderdale, FL, USA.
4)Nakano N, Hangai M, Nakanishi H, Mori S, Kotera Y,
Inoue R, Morishita(Inoue) S, Hirose F, Ojima T,
Yoshimura N. Dynamic early changes in
trabeculectomy blebs assessed using ultrasound
biomicroscopy, 3-dimensional- optical coherence
tomography (OCT) and anterior segment-OCT. ARVO
2008 Annual Meeting. Apr 2008. Fort Lauderdale, FL,
USA.
5)Mori S, Hangai M, Nakanishi H, Kotera Y, Inoue R,
Morishita(Inoue) S, Aikawa Y, Hirose F, Ojima T,
Yoshimura N. Macular inner and total retinal volume
measurement by spectral domain optical coherence
tomography for glaucoma diagnosis. ARVO 2008 Annual
Meeting. Apr 2008. Fort Lauderdale, FL, USA.
6)Hangai M, Sakamoto A, Mori S, Nakanishi H, Kotera
Y, Inoue R, Morishita(Inoue) S, Hirose F, Ojima T,
Yoshimura N. Macular retinal nerve fiber layer
segmentation by 3-dimensional spectral domain
optical coherence tomography in glaucoma diagnosis.
ARVO 2008 Annual Meeting. Apr 2008. Fort Lauderdale,
FL, USA.
7)Sakamoto A, Hangai M, Mori S, Kotera Y, Nakanishi
H, Inoue R, Morishita(Inoue) S, Hirose F, Ojima T,
Yoshimura N. Wide retinal thickness mapping using
mosaic three-dimensional spectral-domain optical
coherence tomography for the detection of retinal
nerve fiber layer damage in glaucoma. ARVO 2008
Annual Meeting. Apr 2008. Fort Lauderdale, FL, USA.
8)Ojima Y, Hangai M, Sakamoto A, Iwama D, Otani A,
Tsujikawa A, Yoshimura N. Errors in
three-dimensional imaging of retinal pigment
epithelium surface by using spectral-domain
optical coherence tomography. ARVO 2008 Annual
Meeting. Apr 2008. Fort Lauderdale, FL, USA.
9)池田華子. Flow cytometry と FACS その原理と活用
法、ES 細胞研究における応用例. 第 112 回日本眼科学
会総会. 2008 年 4 月. 横浜市.
10)金子兵、万代道子、平見恭彦、池田華子、秋元正行、
鈴木拓也、川越直顕、和田裕子、高橋政代、吉村長久、
小杉眞司. 遺伝形式不明な網膜色素変性症における遺
伝子解析. 第 112 回日本眼科学会総会. 2008 年 4 月.
横浜市.
11)大音壮太郎、辻川明孝、森哲、中川聡子、林寿子、尾
島優美子、中西秀雄、岩間大輔、後藤謙元、田村寛、
大谷篤史、吉村長久.SD-OCT におけるポリープ状脈絡
膜血管症と中心性漿液性網脈絡膜症の網膜構造.第 47
回日本網膜硝子体学会総会・第 25 回日本眼循環学会
合同学会.2008 年 11 月.京都市.
12)山名隆幸.硝子体手術中に 25G カッターが折れた 1 例.
第 2 回滋賀県眼科手術手技研究会.2009 年 3 月.大津
市
<教育活動>
1)池田華子.基本編.眼科勉強会.2008 年 10 月.守山
市.
2)池田華子.手術編.眼科勉強会.2008 年 11 月.守山
市.
3)池田華子.手術実践編.眼科勉強会.2008 年 12 月.
守山市.
4)池田華子.失明しないために.糖尿病教室.2009 年 1
月.守山市.
7.麻酔科
【スタッフ】
部長
副部長
副医長
医員
医員
シニアレジデント
シニアレジデント
非常勤
非常勤
非常勤
【業績】
鬼
笠
疋
大
奥
金
中
笹
大
吉
頭
井
田
植
村
西
井
澤
田
幸
馨
訓
光
芳
朋
三
正
好
一
美
子
学
代(∼H20.12)
成
子
郎
巳
紀
【実績等】
<手術、麻酔実績>
平成20年度は手術総件数3,766件、麻酔科管理手術件
数は2,094件でした。また、総全身麻酔件数は1,494件、
うち時間外緊急手術が86件でした。
<ペインクリニック外来>
平成19年4月15日より、毎週金曜日の午後にペインク
リニック外来を予約診察で開始いたしました。主に鬼頭
および笠井医師が担当しております。ブロックは外来治
療室、透視室で行っております。
(学会発表)
1) ブロック針を用いたシングルショット硬膜外注入によ
る局所麻酔薬中毒. 笠井馨美、大植学、疋田訓子、鬼
頭幸一. 第41回日本ペインクリニック学会学術総会.
2007.7.7. 横浜市
2) 弁膜症手術における希釈式自己血輸血法を使用した周
術期輸血削減. 疋田訓子、笠井馨美、大東豊彦、大植
学、服部桂、鬼頭幸一. 日本麻酔科学界第54回学術
集会. 2007.5.31. 札幌市
3) 弁膜症手術における希釈式自己血輸血法を使用した周
術期輸血削減. 疋田訓子、笠井馨美、大東豊彦、大植
学、服部桂、鬼頭幸一. 術後管理研究会. 2007.1.27.
京都市
4) 心筋保護カニュラ挿入部位より大動脈解離をきたした
1症例. 服部桂、疋田訓子、鬼頭幸一. 第7回麻酔科学
ウィンターセミナー. 2007.2.17. ニセコ町
5) 発熱によって顕在化したBrugada症候群の1例. 奥村光
代、瀬川一、宇賀久敏、高淵聡史、古谷秀勝、正田丈
裕、辻川洋、谷本圭司、福田和彦. 第34回日本集中治
療学会. 2007.3.3. 神戸市
(論文)
1) K.Kasai,M.Osawa. Pneumocephalus during continuous
epidural block. J Anesthesia. 21 59-61. 2007
2) 松浦心、大東豊彦、笹井三郎、鬼頭幸一、笠井馨美、
南俊孝、丹羽均. 術前Allen テストから判明した筋強
直性ジストロフィーの麻酔経験. 麻酔. 56(1) 84-86.
2007
(著書)
1)緩和ケア領域でのオフラベル使用. 笠井馨美. デクス
メデトミジンの使い方-基礎と応用- 210-216. 武田純
三監修、小坂橋俊哉編. 真興交易(株).東京. 2007
8.歯科口腔外科
【スタッフ】
主任部長
医員
非常勤
歯科衛生士
津 田
町 田
澤 多
2名
善
好
宏
造
聡
章
【診療科の特徴】
総合病院における歯科口腔外科の特徴は,一次医療機関
では治療困難な口腔外科的疾患の診断・治療,全身疾患を
合併した有病者の歯科治療,障害者・精神疾患患者の歯科
治療など一般診療所で対処不可能な症例を,設備の整った
施設で,他科の専門医と協力しつつ加療することです.当
科も口腔外科的疾患(埋伏歯・腫瘍・外傷・炎症・奇形な
ど)を主に取り扱っています.このため地域の医療機関か
らの紹介が多く約6割が院外医療機関からの紹介です.高
齢化社会の中で歯科の領域でも有病者の年々比率は高く
なっています.当科を受診される患者さんの一例を挙げま
すと,①虚血性心疾患・脳血管障害を有し抗凝固剤・抗血
小板剤を内服されている患者さんの抜歯などの外科処置.
②弁置換術・人工血管手術・人工骨手術・ステント治療な
どの人工物を挿入された患者さんの歯科治療,③ステロイ
ドホルモン内服患者さんの歯科治療,④血液疾患を有する
患者さんの歯科治療,⑤透析患者さんの歯科治療などです.
病院内歯科の役割もあり院内において入院患者さんの一
般歯科治療は勿論のこと①口腔ケア②嚥下リハビリ③NST
などにも積極的に参画しています.
【患者数】
外来患者数
年度
H18
H19
H20
外来患者数
8,986
8,967
10,066
対前年度比
106.7%
99.8%
113.4%
1月平均
748.8
747.3
838.8
1日平均
36.6
36.5
41.4
(医事課調べ)
入院患者数
年度
H18
H19
H20
入院患者数
3,039
2,959
2,780
対前年度比
95.4%
97.4%
94.0%
1月平均
253.3
246.6
231.7
1日平均
8.3
8.1
7.6
(医事課調べ)
【実績】
平成20年度は常勤医2名,臨床研修医2名,非常勤医1名
(歯科矯正医)
,歯科衛生士3名(内1名パート)で診療を
行いました.外来患者総数は10,066人(1日平均41.4人)
で前年比113.4%でした.再来新患を含まない新患総数は
2,084人(前年度比100.0%)で,約6割が院外医療機関か
ら,約1割が院内他科からの紹介でした.紹介患者の比率
が高いのは例年通りです.
平成20年度の入院診療は新9階に8床確保し診療にあた
りました.入院患者総数は427人(前年度比94.0%)で疾
患別比率は埋伏歯64.6%,嚢胞性疾患13.6%,腫瘍性疾患
7.0%(約4割が悪性腫瘍),炎症性疾患4.4%,有病者歯科
治療4.4%,外傷性疾患3.0%,その他6.0%でした.
全体的な特徴として①外来患者が増加し入院患者が減
少傾向にあります.②患者の年齢が高齢化しており心疾
患・高血圧症・糖尿病などの合併症を有すう患者が増加し
ています.③インプラント(人工歯根)の症例が年々増加
しています.
中央手術室での手術件数は394例(全身麻酔症例63例)
で前年度比96.6%でした.外来手術件数は1,888例で前年
度比91.5%でした.
今後とも湖南地域における歯科口腔外科の拠点病院と
しての役割を担っていきたいと考えています.
【業績】
(学会発表)
1)「再生不良性貧血患者に抜歯を行った1例」
滋賀県立成人病センター歯科口腔外科
町田好聡、津田善造、澤多宏章、山本 大二郎
第25回滋賀歯学会 2009.3.8 滋賀県大津市
2)「無症状に経過した顎骨嚢胞の1例」
滋賀県立成人病センター歯科口腔外科
山本大二郎、津田善造、町田好聡、澤多宏章
第25回滋賀歯学会 2009.3.8 滋賀県大津市
第5節
リハビリテーションセンター医療部
部長(非常勤)
藤
原
誠
リハビリテーション科
【スタッフ】
専門部長
副部長
医長
医長
医員
技師長
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
臨床心理士
<外来患者数>
川 上
中 馬
新 里
吉 田
相 良
小 西
11名
9名
3名
1名
寿 一
孝 容
修 一
英 史(∼H20.4)
亜木子
京 子(作業療法士)
【診療科の特徴】
リハビリテーション科では、様々な疾患や外傷などによ
り生じた障害に対して、身体機能や能力の向上を図り、用
具・サービスなどの活用を行い、その人の状態に応じた生
活を送れるようにすることを目指し、日常生活・社会生活
に関することに取り組んでいます。
リハビリテーション科は、滋賀県立リハビリテーション
センターの医療部門の機能を担っており、急性期から総合
的に患者さんの障害の評価を行い、障害の予後予測に基づ
いたリハビリテーション治療を各診療科との協力体制の
もとで行っています。障害に対しては、機能や能力に対し
て医療としての治療的関与と社会・心理的な対応を含めた
総合的な関わりを行います。地域機関や相談機関、サービ
ス提供事業所などとの連携は重要であり、継続的に体制を
充実していきます。
当院は、日本リハビリテーション医学会の専門医制度研
修施設であり、滋賀県におけるリハビリテーション医療の
研修機関としての役割も果たしています。常勤医師は全員
が日本リハビリテーション医学会または日本整形外科学
会の専門医であり、また学会の教育研修施設に指定されて
います。
【診療対象】
脳卒中、脳神経系統の傷病、骨関節運動器疾患、廃用症候
群、腫瘍性疾患、その他
身体障害(四肢・体幹の機能障害、音声・言語機能障害、
摂食・嚥下機能障害)、高次脳機能障害など
【診療体制と実績】
当院は疾患別リハビリテーション料の施設基準につい
ては、脳血管疾患、運動器、心血管疾患について取得し、
また集団コミュニケーション療法の施設基準を取得して
います。当科においては脳血管疾患および運動器リハビリ
テーション料に相当する診療を行っています。
年度
H18
H19
H20
外来患者数
1,749
2,534
3,498
対前年度比
101.7%
144.9%
139.6%
1月平均
145.8
211.2
291.5
1日平均
7.1
10.4
14.5
(医事課調べ)
<入院患者数>
年度
H18
H19
H20
入院患者数
4,428
6,685
10,852
対前年度比
−
151.0%
162.3%
1月平均
369.0
557.1
904.3
1日平均
12.1
18.3
29.7
(医事課調べ)
1)外来診療体制
外来診療は、月曜から金曜の週5日間、9時00分から11
時00分を受付時間として行っています。診療では、病状お
よび経過、身体所見、身体機能、各種検査所見などから、
障害状況、環境要素などを検討し、診療の計画と目標によ
るリハビリテーション処方に基づく診療を行っています。
初診は医療機関をはじめ、相談支援機関からの紹介により
受診され、診療に基づき必要な際はカンファレンスの実施
などにより連携を進めています。
2)入院診療体制
入院病床は、40床に増床し、回復期リハビリテーション
病床1および重症患者回復病棟加算の施設基準を取得し
ています。入院患者の原因疾患は、脳卒中を中心としてい
ますが、その他回復期リハビリテーションを必要とする状
態として定められている疾患および状態です。入院診療に
は多職種が関わり、その人に応じた社会参加のために診療
を進めます。入院患者のADLは入院時点で全介助が必要な
状態からADLとしては自立している状態まで幅広くみられ
ます。
【診療内容の特徴と実績】
滋賀県における総合的なリハビリテーションの推進に
おける中心的な存在である県立リハビリテーションセン
ターの医療機能を担っており、3次医療圏におけるリハビ
リテーション医療機関としても、当院リハビリテーション
科としての診療機能としても充実した診療を進めていく
必要があります。また、当科における診療の概要について
は、滋賀県総合リハビリテーション推進会議にも報告し、
有識者等からの意見を仰いでいます。
当科での入院診療は、回復期リハビリテーションを必要
とする状態であることを適応の基本として、入院審査会の
合議にて適応を検討しています。入院審査会は原則週2回
実施し、会議参加者の構成は、リハビリテーション科医師
全員、病棟看護師長、病棟看護師、リハビリテーション科
技師長、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理
士、相談員となっています。会議においては、症例につい
ての診療概要、面談概要を提示し、それに基づいて当院で
の診療適応について検討を行っています。亜急性期から回
復期におけるリハビリテーション治療効果を勘案して適
応のある患者を対象とし、維持的な目的での入院リハビリ
テーションは行っていません。また、保険医療機関である
ことから、現行の疾患別リハビリテーション料などによる
保険診療が不可能なリハビリテーションは行っていませ
ん。平成20年4月から21年3月の間に、入院審査会は81回開
催し、審査件数は217件、うち適応とされた件数は212件で
した。この期間の新規入院患者数は179人、うち他院から
の紹介患者数は80人、当院他科よりの転科患者数は99人で
した。自宅退院準備に関わる退院前訪問指導の実施は57
人 、地域連携カンファレンスは78回行っています。退院
患者数は167人であり、自宅退院は142人、転院や施設入所
等は25人でした。平均在院日数は51日でした。当院入院と
なった患者のADLはFIM(日常生活の自立度の評価)
による検討では、全介助が必要である状態から、みのまわ
りの日常生活においては自立している状態まで、ほぼまん
べんなく様々な状態にあることがみられています。
また、様々な疾病に対する急性期からのリハビリテーシ
ョンは各診療科の治療と並行しておこなっています。当科
における疾患別リハビリテーションの実施単位数の全体
からみると、診療活動は回復期病棟とそれ以外に対してほ
ぼ平衡しており、急性期からのリハビリテーションに対し
て積極的に取り組んでいます。集中治療室を含めたベッド
サイドから開始し、治療経過に応じて、離床、関節機能の
維持、呼吸状態の改善、ADLの改善などを治療経過に応じ
て進めています。また、脳卒中や頭部外傷では脳機能の評
価により、高次脳機能に対する診療を行います。
本年度より、県内保健所における神経難病患者のための
事業への協力を、中馬が継続的に行っています。
対象となる疾患や障害が広範にわたる中で、さらに専門
的な診療を進めていくために、脊髄損傷、高次脳機能、摂
食嚥下、がん、神経難病、総合予防の6領域について、チ
ームを編成して充実した活動を行う取り組みを平成21年
度から実施します。
【業績】
(総説、原著、症例報告等)
1)中馬孝容:パーキンソン病の非運動性徴候 在宅指導に
いかす取り組み、オーバービュー、臨床リハ、17、2008
2)豊倉穣、椿原彰夫、出江紳一、中馬孝容:日本リハビ
リテーション医学会研修病院における初期臨床研修の
実態:教育委員会によるアンケート調査から、Jpn J
Rehabil Med、46、79-85、2009
3)中馬孝容:脊髄小脳変性症に対する靴型装具の応用、
MB Med Reha、93、9-12、 2008
4)中馬孝容:痙縮に対する治療介入、神経ブロック、Jpn
J Rehabil Med、46、160-165、2009
5)中馬孝容:ヒトはなぜ転ぶのか?−高齢者の歩行の特
徴と転倒の要因−、保健の科学51、161-165、2009
6)中馬孝容:在宅のリハビリテーション、大津医師会誌、
32、112−116、2009
7)野洲達史、大冶みのり、弘部重信、川上寿一:当院回
復期病棟における取り組みと課題―今後に課題を残し
た例を通して―、滋賀県理学療法士会会誌、28、44-50、
2008.
(書籍)
1)麻生智洋、中馬孝容:末梢神経麻痺、運動器リハビリ
テーション実践マニュアル(日本整形外科学会、日本
運動器リハビリテーション学会監修)、全日本病院出版
会、199-204、2008
2)中馬孝容:不随意運動、最新整形外科学大系、4リハ
ビリテーション(越智隆弘 総編集)中山書店、97−
101、2008
3)中馬孝容:パーキンソン病、リハビリテーション診療
Decision Making(米本恭三、石神重信、石田暉監修)、
臨床リハ別冊、医歯薬出版、183-196、2008
4)中馬孝容、眞野行生:パーキンソン病と変性疾患、最
新リハビリテーション医学第2版、医歯薬出版、253-261、
2009
5)川上寿一:発熱、胸痛、静脈血栓塞栓症(分担訳)
、ER・
救急シークレット(箕輪良行、田中拓 監訳)、MEDSI、
45-49、50-56、157-162、2008
6)川上寿一、福岡達之:多発性硬化症の時間的空間的多
発性による特徴のある嚥下障害の症例、ケーススタデ
ィ摂食・嚥下リハビリテーション 50 症例から学ぶ実践
的アプローチ(里宇明元、藤原俊之 監修)、医歯薬出
版、111-116、2008
(学会、研究会、講演)
1)中馬孝容:痙縮に対する治療介入、第45回日本リハビ
リテーション医学会学術集会、2008.6、横浜
2)豊倉穣、椿原彰夫、出江紳一、中馬孝容:日本リハビ
リテーション医学会研修病院における初期臨床研修の
実態:教育委員会によるアンケート調査から、第45回
日本リハビリテーション医学会学術集会、2008.6、横
浜
3)中馬孝容、生駒一憲、松本昭久:パーキンソン病患者
への自主訓練指導、第45回日本リハビリテーション医
学会学術集会、2008.6、横浜
4)中馬孝容、生駒一憲、松本昭久:パーキンソン病にお
ける歩行時股関節角度が歩行に与える影響について、
第45回日本リハビリテーション医学会学術集会、
2008.6、横浜
5)中馬孝容、生駒一憲、松本昭久:パーキンソン病患者
への1年間にわたる自主訓練指導の効果、第49回日本神
経学会総会、2008、横浜
6)中馬孝容、生駒一憲、松本昭久:パーキンソン病の股
関節角度に関する歩行解析、第38回日本臨床神経生理
学会、2008、神戸
7)相良亜木子、松本憲二、川上寿一、道免和久:重度嚥
下障害を有する脳卒中患者のエネルギー摂取と栄養状
態,ADL・転帰についての検討、第45回日本リハビリテ
ーション医学会学術集会、2008.6.5、横浜
8)武田慶子、川上寿一、種村留美:頭部外傷による易怒
性を主問題とした症例に対してのアプローチの検討、
第42回日本作業療法学会、2008.6.20、長崎
9)川上寿一、相良亜木子、藤原誠:滋賀県立リハビリテ
ーションセンターの高次脳機能障害プロジェクトチー
ムの試み、第45回日本リハビリテーション医学会学術
集会、2008.6.6、横浜
10)佐敷俊成、川上寿一、堀泰祐:緩和ケアにおける言語
聴覚士の役割、2008.9.13、第14回日本摂食嚥下リハビ
リテーション学会学術大会、幕張
11)中馬孝容:分科系セミナー「Evidenceの構築に向けて」、
第43回日本理学療法士協会全国学術研修大会in北海道、
2008.10、札幌
12)渡辺幸子、厚見さやか、佐敷俊成、川上寿一、笹田郁
子、山田均、藤原誠、藤村真樹、河尻朋和:就労支援
を通しての連携−医療リハビリテーションから−、第
3回滋賀県連携リハビリテーション学会研究大会、
2008.11.30、近江八幡
13)乙川亮、中江基満、櫻井卓郎:トランスファーにおけ
る右回転と左回転について、第3回滋賀県連携リハビ
リテーション学会研究大会、2008.11.30、近江八幡
14)本城誠、小林享子、弘部重信、南部康彦、大治みのり、
野洲達史、竹村壮司、中江基満、加茂英知、赤田直軌、
朴文華、川上寿一、藤原誠:人工膝関節患者における
視覚フィードバックを用いた歩行訓練の効果、第3回
滋賀県連携リハビリテーション学会研究大会、
2008.11.30、近江八幡
15)宮本昌寛、佐敷俊成、渡辺幸子、武田慶子、大治みの
り、川上寿一、梅居奈央、宮下潤子、林真理、松本美
穂子、弘部重信、山田均:高次脳機能障害の方がより
良い支援に繋がり続けるために−地域資源調査−、第
3回滋賀県連携リハビリテーション学会研究大会、
2008.11.30、近江八幡
16)松本美穂子、宮本昌寛、梅居奈央、林真理、弘部重信、
宮下潤子、生駒智昭、田村常久、山田孝:地域生活を
送っている成人脳性まひ者の現状と二次障害予防への
関わりに関する研究、第3回滋賀県連携リハビリテー
ション学会研究大会、2008.11.30、近江八幡
17)乙川亮、川上寿一、堀泰祐:終末期患者に対する作業
療 法 士 の か かわ り 、 第 28 回京 滋 緩 和 ケ ア研 究会、
2008.12.6、京都
18)中馬孝容:教育講演 ボツリヌス毒素注射による痙縮
およびジストニアのコントロール、第26回日本リハビ
リテーション医学会近畿地方会学術集会、2009.2奈良
19)中馬孝容:リハビリテーションの視点から パーキン
ソン病におけるリハビリテーションの現状、
「パーキン
ソン病 基礎と臨床の最前線∼パーキンソン病治療の
現状と将来展望∼」、2009.3、京都
20)二村直伸、松村隆介、中馬孝容、高柳哲也:運動失調
症(脊髄小脳変性症・多系統委縮症)患者の実態調査
∼近畿SCD友の会会員へのアンケートを通じて∼、平成
20年度厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研
究事業、運動失調症に関する調査研究班、2009.1、東
京
21)菊地誠志、中馬孝容、松尾雄一郎、北川まゆみ、佐々
木秀直:薬剤性(遅発性)ジストニアに対するボツリ
ヌス毒素治療の実態―北海道―、厚生労働省精神・神
経疾患研究委託費 18指−2「ジストニアの疫学、病
態、治療に関する研究」班、平成20年度班会議・研究
報告会、2009.1、東京
22)川上寿一:高次脳機能障害と医療機関、高次脳機能障
害従事者研修会、2008.1.20、守山
23)川上寿一:地域リハビリテーション・滋賀県における
現状を踏まえて、高島地域リハビリテーション研究会、
2008.2.25、高島
24)中馬孝容:パーキンソン病のリハビリテーション、第
69回藤田保健衛生大学リハビリテーション部門研修会、
2008.6、豊明
25)渡辺幸子、佐敷俊成:復職にむけての検討、高次脳機
能障害診療支援研究会、2008.6.20、守山
26)中馬孝容:脊髄小脳変性症のリハビリテーション、第8
回千葉脊髄小脳変性症研究会、2008.7、千葉
27)中馬孝容:パーキンソン病のリハビリテーション、滋
賀PDアドバンスセミナー、2008.7、大津
28)川上寿一、佐敷俊成、渡辺幸子:評価法、高次脳機能
障害診療支援研究会、2008.9.18、守山
29)中馬孝容:パーキンソン病のリハビリテーション、第
52回七栗リハビリテーションセミナー、2008.9、津
30)中馬孝容:パーキンソン病に対する生活指導、平成20
年度難病専門研修会、愛媛県難病医療連絡協議会、
2008.9、西条
31)中馬孝容:パーキンソン病のリハビリテーション―そ
の基本と最近の知見―、第7回西大和リハビリテーショ
ン病院研修会、2008.10、西大和
32)川上寿一:リハビリテーションサマリー、高次脳機能
障害診療支援研究会、2008.10.17、守山
33)小西京子:福祉用具プランナー研修会、滋賀県社会福
祉協議会、2008.11.5、大津
34)乙川亮:作業療法士新人教育プログラム、滋賀県作業
療法士会、2008.11.9、近江八幡
35)川上寿一:医療におけるリハビリテーション・疾病・
障害・社会、高島市医師会学術講演会、2008.12.26、
高島
36)川本潔:作業療法士新人教育プログラム、滋賀県作業
療法士会、2009.1.18、近江八幡
37)中馬孝容:在宅のリハビリテーション、大津医師会リ
ハビリテーション研修会、2009.2、大津
第6節
局長(兼)
中央診療局
鈴
木
孝
世(本・副院長)
1.救急部
【スタッフ】
部長(兼) 小 菅
医長
武 田
医長
和 田
医員
石 井
邦 彦(本・循環器科部長)
晋 作
嗣 業(∼H20.4)
充
【実績等】
救急部は医師3名(循環器科3名)および救急特殊病棟看
護師29名を中心に当該各科と協力し循環器系、脳神経系の
救急疾患および重症患者の救急に対応し、かつ院内の集中
治療を要する術後患者及び急変患者に対応しました。平成
20年度は16床(ICU4床、CCU5床、PCU7床)で救急患者に対応
しました。
救急特殊病棟の入院患者は救急入院と術後の予約入院
に分けられます。以下、平成20年度の救急特殊病棟の実績
を示します。
1)入室患者総数は2,690名でした。内訳は循環器科74%、
脳神経外科6%、心臓血管外科5%、外科5%、その他10%
でした。
2)救急特殊病棟入室は1,256名(院外より486名、院内よ
り770名)であり、内訳(院内)は、循環器科89%、脳
神経外科2%、心臓血管外科1%、外科7%、その他1%、内
訳(院外)は、循環器科69%、脳神経外科17%、心臓血
管外科2%、外科6%、その他6%でした。
3)院外よりの入室患者搬送経路は、救急車にて救急搬送
390名、救急車より直接搬送15名、救急車の搬送で心
肺停止患者は28名、時間外外来より375名、時間内外
来より96名でした。
4)救急特殊病棟管理の手術後患者は83名で外科66%、脳
神経外科18%、心臓血管外科6%、循環器科1%、その他
9%でした。
5)特殊治療法の内訳
PTCA・PTA
緊急PTCA
CAG
緊急CAG
確認造影
アブレーション
脳アンギオ
挿管
レスピレーター
SWG-C
CHDF
559
80
18
13
2
106
16
57
800
160
218
IABP
DC(棟内)
DC(他)
HD(棟内)
HD(他)
血漿交換・吸着
心嚢穿刺
一時ペーシング
気管支ファイバー
PPI
気管切開
PCPS
65
33
2
46
267
12
16
24
11
12
23
7
救急告示病院として9年目となります。成人病センター
の性格上、外傷救急はありませんが、循環器系、脳神経系
の救急患者は積極的に受け入れています。それ以外の診療
科の救急搬送患者数は満足のいくものではなく、今後さら
に救急受け入れに対する努力が必要と思われます。24時間
集中治療及び看護に当たる医療スタッフの役割は大きく、
今後もチームワークを強化し、可能な限り県内広域での救
急医療の一翼を担っていきたいと思います。
2.臨床工学部
【スタッフ】
部長(兼)
臨床工学技士
鬼 頭
6名
幸
一(本・麻酔科部長)
【実績等】
(臨床工学部の概要)
当施設の臨床工学技士はこれまで手術部に属してい
ましたが、その専門性や実務状況を鑑み、平成20年度よ
り独立した部門として「臨床工学部」が新設され、6名
の臨床工学技士にて実務を行いました。
臨床工学部の業務には大きく分けて2つあり、臨床治
療・支援業務と医療機器管理業務があります。
臨床治療業務としては、人工心肺業務や各種血液浄化
業務などがあり、臨床支援業務としては、心臓カテーテ
ル検査・治療時の医療機器の操作、手術室等で使用され
る自己血回収装置、レーザー照射装置、ラジオ波焼灼装
置などの操作、ペースメーカー等の植込み時立会いおよ
びフォローアップ業務などがあります。
また、医療機器管理業務としては、医療機器の適正使
用、安全使用を目的とした、保守管理および運用管理、
使用者に対する研修、医療機器に関わる安全情報の提供
などがあります。
(当年度の実績)
特に当年度は、医療機器事業者等の「立会い」に関す
る規制が実施されたことから、これに対応できる体制づ
くりが一つの大きな目標となりました。また、一昨年度
より施行された改正医療法に基づく「医療機器安全管
理」の体制を十分なものにすることも大きなテーマでし
た。
まず、「立会い」規制に関しては、当施設としての対
応策について立案を行い、関係者と協力してこれをまと
めました。また、医療機器事業者等に代り臨床工学技士
が業務を担えるよう、研修等を繰り返し行い、これまで
立会いを受けていた人工心肺業務、ペースメーカー等関
連業務、心臓カテーテル業務、ラジオ波焼灼業務、白血
球除去(血液浄化)業務において、事業者等の立会い無
しにこれらの業務を行えるようにしました。
平成20年度の主な臨床業務の件数は、人工心肺43件、
自己血回収86件、心臓カテーテル1,217件、血液浄化694
件、ペースメーカー等植込み時立会い92件、ペースメー
カー等フォロー1,241件となっています。
一方、医療機器管理業務に関しては、まず、臨床工
学部において管理すべき医療機器を定め、これらについ
て施設全体の対象機器を隈なく調査しデータベースを
作成しました。これを基に、定期点検を行うべき機器を
絞り込み年間の点検計画を立て実行しました。また、こ
のデータベースを利用することで、施設内のどの部署に
どんな機器が何台あるかということが瞬時に分かるよ
うになり、機器毎の修理・点検履歴やそのコストの把握
も可能となりました。さらに、このデータベースを、安
全管理上重要な機器である人工呼吸器の運用管理(稼働
状況の把握など)にも役立てています。
医療機器の適正・安全使用に関しては、研修の実施
記録や安全に関わる情報周知の方法についてのルール
を定めました。今年度の医療機器に関わる研修等に関し
ては、看護師を中心とした対象者に対し、臨床工学部主
催の講習または研修会を16回開催しました。また、メー
カー等から提供される医療機器の安全情報に関しては、
周知すべき対象として5件の報告があり、関係者にその
内容と対応について周知しました。
【業績】
(医療関係者向け講演)
1)高垣勝. 「立会い規制」への対応. 京滋IVR研究会. 2008
年4月. 京都市
2)高垣勝. DDDペースメーカーの心電図. 近畿心血管ジョ
イントライブ2008. 2008年4月. 京都市
3)高垣勝. ICDの機能と特徴. 安達太良ライブデモンスト
レーション2008. 2008年6月. 郡山市
4)高垣勝. ICD/CRT-D. 第8回日本心血管カテーテル治療
学会. 2008年11月. 京都市
5)高垣勝. ペースメーカー合併症. Complex Catheter
Therapeutics(CCT)2009. 2009年1月. 神戸市
(研究発表)
1)高垣勝. リード損傷原因のまとめ. 第8回ペースメーカ
ーフォローアップ研究会. 2008年6月. 京都市
3.内視鏡部
【スタッフ】
部長(兼)
河 合
敏 秀(本・消化器科部長)
※内視鏡部長以外の兼務職員は省略
【実績等】
内視鏡部は消化器内視鏡検査全般と、その内視鏡治療・
手術を行っています。年間の検査件数は、上部消化管内視
鏡検査3,327例、胆道・膵管内視鏡検査(ERCP)157例、大
腸内視鏡検査2,092例を行いました。検査の対象となった
主な疾患は、食道癌、逆流性食道炎、食道・胃静脈瘤、消
化管内異物、胃癌、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、急性胃
粘膜病変、胆管炎、胆石症、胆のう癌、胆管癌、膵臓癌、
大腸癌、大腸ポリープ、炎症性腸疾患、虚血性腸炎など消
化器疾患全般にわたります。
内視鏡治療・手術は、早期癌やポリープに対する内視鏡
的切除術を375例行いました。十二指腸乳頭切開術(EST)
を12例に行い、それに続いて切石術やステント留置術を行
いました。そのほかには消化管出血に対して各種の止血術、
消化管狭窄に対して拡張術やステント留置術、内視鏡的胃
ろう増設術(PEG)などを行っています。
特色ある取り組みとしては、大腸内視鏡検査のためにコ
ロナビシステムを導入して、安全で患者さんの苦痛の少な
い検査を行っています。消化管早期癌に対しては、適応を
評価して内視鏡的粘膜下剥離法(ESD)を行っています。
4.検診指導部
【スタッフ】
部長(兼)
藤 本
昌 澄(本・消化器科部長)
非常勤
鈴 木
淳 子
※検診指導部長以外の兼務職員は省略
【実績等】
検診指導部は、検診業務を専ら担当する部門であり、検
診業務を通じて成人病等の早期発見に努め、県民の健康増
進に貢献することを使命、役割とし、院内各部門(各診療
科・内視鏡部・放射線部・臨床検査部・医事経営課など)
の協力の上に、以下の診療を行っています。
○政管検診(政府管掌健康保険生活習慣病予防検診)
<一般検診>
身体検査、内科医師による診察、尿・便検査
血液検査(一般血液・生化学検査)、胸部X線撮影
胃透視、安静心電図、視力・聴力測定
乳がん・子宮がん検査(女性のみ)
<乳がん・子宮がん検診>
専門医師による診察、検査
○原爆検診(原子爆弾被爆者健康診断)
<一般検診>
身体検査、内科医師による診察、尿検査
血液検査(一般血液・生化学検査)
<がん検診>
身体検査、内科医師による診察、尿検査
血液検査(一般血液・生化学検査)、胸部X線撮影
胃透視、乳がん・子宮がん検査(女性のみ)
○その他の検診
事業所検診
日帰り検診(地方職員共済組合)
政管検診は一年を通じて、原爆検診およびその他の検診
については時期を定めて行っています。当センターでは、
現在のところ、人間ドック等は標榜せず、外来診療の一環
として上記の検診業務を行っています。スタッフは兼任で、
検査や診療は通常の病院業務と一緒に行っています。
平成20年度の診療実績
政管検診(政府管掌健康保険生活習慣病予防検診)
一般検診
771人
乳がん・子宮がん検診
41人
原爆検診
一般検診
9人
がん検診
12人
その他の検診
事業所検診(歯科医師)
28人
日帰り検診(地方職員共済組合)
41人
総計
902人
5.臨床検査・病理部
【スタッフ】
部長
医長
非常勤
非常勤
総括技師長
ほか臨床検査技師
武 内
寺 島
松 本
伊 藤
橋 本
23名
英
正
道
二
剛
朗
敬
夫
術標本からミクロ標本をどのように切り出すのかが最
も重要です。そのために、ほとんどすべての外科的切除
検体は、術後の標本処理(ホルマリン固定)から、写真
撮影(固定前、固定後)、切り出し、切り出し図の作成、
組織診断まで一貫して病理医が行っています。
ほぼ全ての手術標本を未固定で詳細に観察できる体
制は、教育・研修において非常に重要です。病理専攻医
師だけでなく、全診療科研修医師にとっても教育上の意
義が高いと考えています。
○病理部門
【業務の内容】
病理診断部の業務は、主に組織診断、細胞診および病理
解剖からなっています。
組織診断および細胞診は患者さんの病変部から採取し
た検体を顕微鏡下に観察することにより下す診断であり、
そのうち生検と細胞診は病変の推定ないし確定を行い、治
療法の選択決定、治療効果の判定などに寄与します。手術
症例における組織診断は病変の性状、組織型の確定、病変
の程度、病変の広がり、進行状況などを詳細に検索するこ
とによってなされる総合的な診断です。これにより病変の
全体像がわかり、治療(手術)効果の判定、予後評価に役
立ちます。病理診断は、病変部を肉眼的に、さらにその組
織・細胞の形態的変化を直接観察して行う診断ですので、
多くの場合"最終診断"となります。
病理解剖は屍体を解剖し、各臓器を肉眼的、顕微鏡的に
観察することにより、死因を解明し、病気が全身臓器にお
よぼした影響などを把握することにより、生前治療の適
否・効果の判定などの医療評価、卒後医師教育などに大き
な役割を果たしています。
このように病理診断部は、高度医療の遂行になくてはなら
ない重要な業務を担っています。
また、当病理診断部には、厚生労働省がん診療連携拠点
病院遠隔画像診断支援事業の対象施設として、バーチャル
スライドシステム(遠隔画像病理診断支援ネットワークの
ためのデジタルスライドシステム)が整備されています。
現在、他施設とも連携して、より質の高い診断を提供でき
るように地域医療連携も視野に入れた準備を進めていま
す。
<診断実績> (平成20年度)
細胞診断
5,302件
組織診断
4,461件
術中迅速組織診断
280件
病理解剖
7件
【特色ある取り組み】
<肉眼所見の重視>
当センター病理診断部の最も大きな特色は肉眼所見
を重視することです。個々のミクロ標本の組織
診断が正しくとも、特に手術症例の場合、病変のどの部
分をみているかで結果は大きく異なります。したがって、
手術症例において病変の全体像をミクロのレベルで把
握し、病変の正しい評価・診断に到達するためには、 手
【業績】
(論文等)
1)武内英二. 病理組織検査依頼書の書き方と胃生検・大
腸生検のGroup分類の読み方. 京都消化器医会会報第
24号. 平成20年8月
2)平井健次郎、寺島剛、細川慎一、小野一雄、武内英二、
財間正純. 切除標本にてsevere dysplasiaと診断され
port site recurrenceをきたした胆嚢上皮内癌の1例.
日本臨床外科学会雑誌第69巻2号. 平成20年2月
3)武内英二、寺島剛. 第2章「胃」、第12章「卵巣」.病理
アトラス、下正宗編、羊土社. 平成20年
(学会発表、講演等)
1)武内英二. 症例検討3例. 第11回京滋乳腺画像・病理カ
ンファレンス. 平成20年3月. 京都市
2)山田浩史、南俊介、笠原仁菜、清水彰、寺島剛、武内
英二. 腰椎神経根腫瘤の1例. 第61回比叡山画像カン
ファレンス. 平成20年2月. 京都市
3)武内英二. 画像と病理診断. 第2回滋賀GIST勉強会.
平成20年2月. 大津市
4)武内英二. 肺の切除標本の処理の仕方(固定法、切り
出し方等). 第34回Shiga Chest Disease Conference.
平成20年6月. 大津市
5)泰間美紀、渡邉壽規、佐藤晋、木曾末厘乃、石川将史、
川上賢三、武内英二. びまん性粒状影を呈した急性呼
吸不全に陥った一例. 第34回Shiga Chest Disease
Conference. 平成20年6月. 大津市
6)岡村美里、泰間美紀、中奥敬史、渡邉壽規、中谷光一、
石川将史、川上賢三、寺島剛、武内英二. PET陽性小結
節影の一例. 第35回Shiga Chest Disease Conference.
平成20年12月. 大津市
7)水田和彦、貴田雅也、戸田泰信、稲井眞紀、石原真紀、
浅越健助、藤本昌澄、河合敏秀、武内英二、寺島剛、
竹 本 研 史 、 財 間 正 純 . 胃 粘 膜 下 腫 瘍 (Desmoplastic
fibroblastoma)の1例. 第25回京大消化器症例検討会.
平成20年12月. 神戸市
○臨床検査部門
【実績等】
臨床検査に求められる役割に「正確で、迅速」な検査
データ報告がありますが、
「NST」
「ICT」等のチーム医療
に参画することで医療の質的側面を支え、また採血や診
療科サイドでの検査実施など、セクションを越えた業務
の取り組みで臨床支援を図っています。
平成20年度の臨床検査総件数は対前年比1.4%の増加
が見られ、一般検査、生理検査部門を除き、生化学・血
清、血液、微生物部門で増加しています。これは診療部
門での外来・入院を合わせた患者数の若干の増加に伴っ
ています。 各部門では検査精度向上等、質の充実に取
り組み、生理検査にあっては、ホルター心電図の院内解
析を開始したことにより、迅速で精度の高い解析結果が
提供できるとともに、緊急を要する患者さん等にも十分
に対応可能な体制を確立しました。また画像関連検査を
全て生理検査部門に集約することで将来への体制基盤
を整えました。微生物検査では、感染制御認定臨床微生
物検査技師が菌検出状況の定期的な報告により、院内感
染防止対策に大きく貢献しています。血液管理室におい
ては貯血業務に参入することで医師、看護師の業務軽減
と、職能(感染対策、採血業務、医療安全対策、製剤管
理、輸血検査)を生かした安全で適正な貯血業務を図る
ことにより、自己血貯血を推進しました。また適切な血
液管理により平成18年度8%台であった血液廃棄率も、
今年度には2%台まで減少させることができました。業
務改善では、生化学セット項目の見直しを実施し、病態
に合わせたセット項目を再構築し、業務の迅速化とコス
ト削減につなげました。備品整備は、緊急検査室の生化
学分析装置を更新、9月から本格的に運用開始し、臨床
側より要望のあったD-ダイマー、CRPなど新たな項目を追加
することより、緊急検査の充実化を進めました。微生物
検査では同定・薬剤感受性自動測定装置が更新されまし
た。同時に導入されたICT webは院内感染対策に利用す
る計画です。
外部精度管理も例年通り参加しました。日本医師会の
精度管理調査は全国的に参加施設数が多く権威ある精
度管理として実施されています。病院機能評価では、90
点以上取得が目安とされ、当センター臨床検査部も90
点以上取得しています。日常検査業務が外部の評価制度
によって評価されることは、その検査精度を保障するも
のであり、診断や治療の質向上に果たす役割は大きいと
考えます。
平成20年度も教育研修として、京都保健衛生専門学校
から1組2名の学生実習を受け入れ、教育実習を行いまし
た。他にはJICA(国際協力機構)に技師を派遣し、仏語
圏アフリカ臨床検査技術コースの講師を務め、海外の教
育活動にも貢献しています。また学会・講演・投稿発表
が10題、研修会の参加でスキルアップを図りました。
新たな取り組みとして、患者様に対するサービスの一
環から、臨床検査についてのご理解とご協力をいただく
ため「臨床検査ってなあに?」と題する検査のしおりを
発行しました。
当センターが目指すべき方向にフレキシブルに対応
でき、臨床に即応する質の高い、臨床検査体制の構築を
目指します。
【業績等】
(1)研究発表等
1)梅村茂人、岡田ちせ子、黒川龍美、北村則子、赤井美
文、宇田川圭介、滋賀県臨床検査技師会精度管理事業
血液部会. 滋賀県血液検査サーベイデータを用いた臨
床検査データ標準化事業に関する検証. 第47回全国自
治体病院学会臨床検査・臨床工学分科会(ポスター).
平成20年10月. 福井市
2)西尾久明. 多剤耐性緑膿菌の併用効果∼特にブレイク
ポイントチェッカーボード法を用いた治験について∼.
近畿耐性菌研究会第7回SBRKセミナー. 平成20年5
月. 大阪市
3)西尾久明、木下承晧. 近畿地区におけるメタロ-β-ラ
クタマーゼ産生菌の分離調査-第8期調査-. 第20回日
本臨床微生物学会総会. 平成21年1-2月. 仙台市
4)西尾久明、小松方、末吉範行、木田兼以、木下承晧. ブ
レイクポイント・チェッカボード法を用いた薬剤耐性
緑膿菌の併用効果に関する検討. 第56回日本化学療法
学会総会. 平成20年6月. 岡山市
(2)教育活動等
1)梅村茂人. 血液シンポジウム『WHO分類の改定と診
断法の変遷』座長. 第48回近畿医学検査学会. 平成20
年10月. 神戸市
2)梅村茂人. 「症例検討会」司会. 第19回近畿臨床検査
技師会形態検査部門(血液検査部門)研修会. 平成21
年2月. 吹田市
3)梅村茂人. 「CBCと凝固項目」. (社)滋賀県臨床検
査技師会臨床化学・血液検査分野合同研修会. 平成20
年11月. 近江八幡市
4)梅村茂人. すべて見せます!止血検査のウラオモテ基
礎編. (社)大阪府臨床検査技師会北支部自由集会. 平
成20年12月. 高槻市
5)梅村茂人. 症例に関する知見と検査のコツ. (社)滋賀
県臨床検査技師会血液検査分野研修会. 平成21年3月.
草津市
6)西尾久明. 感染管理認定看護師スキルアップ研修.
(社)滋賀県病院協会. 平成20年12月. 草津市
7)西尾久明. 2008年度JICA仏語圏アフリカ臨床検査技術
コース基礎実習「薬剤感受性検査」. 国際医療技術交
流財団. 平成20年9月. 大阪市
6.放射線部
南
高 柳
17名
俊
介(本・放射線診断科部長)
章
図2
○MR検査・CT検査・一般撮影検査部門
【MR検査】
MR検査においては、地域医療サービス室を通じ診療支
援のより良いサービスをはかり、MR検査の特異性を活か
した磁化率強調画像(SWI)を使用し、静脈性疾患、出血
性病変の鑑別に優れ高度医療機器の有効利用をしていま
す。高磁場装置(1.5テスラ)2台を稼動させ、全身部位を対
象とし各科検査に対応しています。平成20年度には地域医
療機関からの検査依頼も1406件で全体の22%になり、高度
医療機器の有効利用幹病院の役割を担っています。
患者様には事前に検査内容、造影剤使用に対しての同意
書頂き、安心、安全な検査に努めています。
CT検査件数の推移
2000
総検査件数
20000
CTA検査件数
1500
15000
件数
【実績等】
放射線部は、多数の高度医療機器を有し、技師数18名で
診療に臨んでいます。
部の担当をMR検査・CT検査・一般撮影部門、放射線治療
部門、RI検査・血管検査部門の3部門に分け、各科の多種
多様なオーダー、治療、検査に対応しています。
HIS(病院情報システム)、RIS(放射線情報システム)
により患者情報から画像情報を一元的に管理し、参照画像
が自由に閲覧できる体制をとっています。
フィルムレス化を踏まえて新病棟スタートからのデジ
タル化は、6年目を向かえ過渡期にあたっています。しか
し、電子カルテ化は、平成23年を目標とし病院全体がより
デジタル化に向かっています。各部門の平成20年度の動向
は次の通りです。
Definition AS+(128スライスCT)が稼働しています。スタ
ッフは、放射線医師1名、診療放射線技師2名、看護師1名、
助手1名の計5名で業務にあたっています。検査は予約を原
則としていますが、緊急を要するものについては、入院・
外来を問わず即日施行しています。装置更新により導入さ
れた128スライスCTでは、従来装置に比べさらなる高速撮影が
可能であるため、循環器領域における冠状動脈CTAの検査
枠を新たに週6件設け実施しています。
平成20年度の検査件数はおよそ15100件でした。平成19
年度に減少をみた検査件数ですが、再び、増加傾向にあり
ます。その中でも、CTA検査の増加は著しく、画像処理を
加えることで、より診断精度の高い画像情報の提供に、ス
タッフ一同取り組んでいます。
15917
10000
1000
15550
15314
15062
14501
645
5000
187
175
0
CTA件数
【スタッフ】
部長(兼)
主任技師長
ほか診療放射線技師
H16
272
500
348
0
H17
H18
H19
H20
年度
【一般撮影検査】
西日本初の最新鋭のシーメンス社製マンモグラフィー
システムを導入し、被爆線量低減および検査効率の改善を
行いました。また、乳房撮影認定技師も増やし更なる充実
を図っています。医療機器に係る安全点検は日々行い職員
一同が取り組んでいるところです。
○放射線治療部門
図1
MR検査件数
【CT検査】
CT室では、平成15年1月から東芝社製Aquilion16(16
スライスCT)が、平成20年10月よりSIEMENS社製SOMATOM
手術療法や化学療法とならび、がんの3大治療法の一つ
である放射線治療については、近年、その治療技術の進歩
はめざましく、副作用の少ない、効果的な放射線治療法が
どんどん開発されてきています。その結果、従来は手術が
標準的な治療法であったがんについても、放射線治療が有
力な治療法になるなどにより、放射線治療を受けるがん患
者さんは増えてきています。
そうした中、20年度成人病センターにおいては、より精
度の高いがん治療が可能となる放射線治療装置(図3)
、
放射線治療用CT装置(コンピューター断層装置)
(図4)、
各種固定具および各種測定器を新しく導入しました。
放射線治療装置は、位置決め用X線撮影装置(OBI:
On-Board Imaging)を装備しています。新装置では、患者
さんが治療台に寝た状態でX線撮影を行うことにより、治
療前にCTで撮影した画像と位置の照合を行い、ポジショニ
ングのずれを修正することで精度の高い照射が可能にな
りました。
図3
放射線治療装置(Varian)
図4
CT装置については、撮影時に患者さんが入るガントリ
ー部分が従来装置より10cm広い大口径装置であり、治療用
固定具を付けたままの治療時と同じ体位での撮影が可能
となり、治療計画の精度が向上します。
こうした新装置によって、より正確な照射が可能となり、
精度の高い放射線治療が行えることとなり、厚生労働省指
定の地域がん診療連携拠点病院として、さらにその機能強
化を図っています。
また新装置は、定位放射線照射、強度変調放射線治療な
ど最新の機能も有しており、この高度な放射線治療法につ
いては、今後十分な準備を整えた上で行っていく予定です。
図5
8000
治療業務件数
(件)
7500
多目的アンギオ装置で行われていた、放射線科の腹部血
管造影検査はCT・MR検査に替わり、アンギオ室では治
療(塞栓術や抗癌剤の動注)のみが行われています。脳神
経外科では、頭頚部血管の治療(脳動脈瘤のコイル塞栓術
やステント留置術)が少しずつ増えています。心臓血管外
科が行っていた、胸腹部・下肢血管造影検査はCTによる
CTアンギオで行われるようになりました。
アンギオ室では、検査目的の造影検査は減少もしくは他
の装置(CT・MR等)に移行し、カテーテル治療の割合
が増加しています。特に不整脈の治療(アブレーション)
や頭頚部血管の治療(脳動脈瘤のコイル塞栓術やステント
留置術)など時間(3∼8時間)を要するカテーテル治療
が増えているのが現状です。
図6
治療計画
X線CT装置(40列)
循環器科件数変化
電子線治療
X線治療
1800
7000
63
107
1600
68
112
1400
6500
597
1200
6000
31
99
521
1000
56
116
51
106
478
552
443
RFCA
件数
5500
800
PCI
600
5000
2004
2005
2006
2007
2008
1012
検査のみ
884
400
(年度)
PTA
705
558
506
200
0
平成16年
平成17年
平成18年
○RI検査・血管検査部門
【血管検査(アンギオ)】
南館2階にあるアンギオ室では、血管に細い管(カテー
テル)を挿入し、血管を映し出す薬(造影剤)を注入して
目的とする血管の造影する検査やカテーテルを用いた治
療を行っています。
アンギオ用X線装置4台あり。心筋梗塞・狭心症の検
査・治療を行う循環器用フラットパネル装置2台。不整脈
の検査・治療を行う循環器用バイプレーン装置1台。脳神
経外科が頭頚部の検査・治療、放射線科が腹部血管の検
査・治療を行う大口径倍バイプレーン多目的装置1台があ
ります。
過去5年件数実績は全体的に減少傾向です。循環器科の
心筋梗塞・狭心症の検査・治療では、新しい治療法(薬を
塗ったステント)により、再狭窄が少なくなり、また、フ
ォローカテの期間が長くなった事も考えられます。
平成19年
平成20年
年度
図7
多目的アンギオ装置の件数変化
400
1
3
8
350
300
1
9
6
172
250
件数
1
6
1
116
30
0
3
1
0
140
200
115
137
150
100
呼吸器外科
心臓血管外科
放射線科
175
脳外科
178
133
114
109
50
0
その他
平成16年
平成17年
平成18年
年度
平成19年
平成20年
○RI検査
【全身用ガンマカメラ装置、SPECT装置】
体内に投与した放射性同位元素(RI)のガンマ線を利用
して、診断画像を得ます。主な検査として、心筋の診断や
脳血流の診断、そして骨組織の診断などがありますが、
様々な臓器に対して様々な検査を行っています。
【PET(positron emission tomography)装置】
サイクロトロンで作られる陽電子放出核種を体内に投
与して、診断画像を得ます。中枢神経系の代謝レベルの観
察や、体内の糖代謝レベルの状態を観察することで、ガン
の診断を行っています。その他にも、様々な目的で利用さ
れています。
【放射性医薬品の特徴】
・特定臓器の正常組織に集積し、病巣には集積しない
・腫瘍や炎症など病巣に得意的に集積する
・特定の臓器から排泄される
・血中に長く停滞する
・無担体か高比放射能で極めて微量なため、薬理作用が無
視でき、副作用も極めて少ない(0.0003%前後)
【20年度の検査実績】
SPECT装置 827件(19年度比89.0%)
ガンマカメラ装置 455件(19年度比92.3%)
PET装置 873件(19年度比120.0%)
7.薬剤部
【スタッフ】
部長心得
ほか薬剤師
(がん化学療法調製)
勝 山
12名
好
男
【実績等】
薬剤部の主な業務内容は、調剤(外来、入院)、薬剤管
理指導、入院時薬剤問診、入院および外来がん化学療法レ
ジメン登録管理、抗がん剤および高カロリー輸液の無菌調
製、麻薬管理、製剤、DI(医薬品情報管理)
、治験審査
委員会事務、薬事委員会事務、院外処方せんに係る疑義照
会の受付業務等です。
調剤業務については、内服・外用薬の外来が32,675件、
入院が102,904件で、注射薬では、外来が23,482件、入院
が185,800件の調剤を行いました。抗がん剤については、
外来3,002件、入院1,389件の調製を行いました。
平成20年11月に化学療法部が創設され、その事務局を薬
剤部が担うことになりました。レジメン審査など化学療法
に関する事務を行っています。
(医薬品情報管理)
(調剤業務)
(薬剤管理指導業務)
(製剤業務)
【業績等】
(研究発表)
1)胡井俊祐、大辻貴司、花房小百合、藤田光子、勝山好
男. がん化学療法における現状と課題. 第29回滋賀
県病院薬剤師会学術大会. 平成20年7月. 大津市
2)花房小百合、岡 清美、國友志帆、胡井俊祐、大辻貴
司、勝山好男. 医薬品情報(DI)室への質問のデ
ータベース化とその活用. 第18回日本医療薬学会年
会. 平成20年9月. 札幌市
3)國友志帆、藤田光子、岡 清美、胡井俊祐、花房小百
合、大辻貴司、勝山好男、小川栄一、水野展寿. 当
院における糖尿病患者への薬剤管理指導介入の有用
性. 第20回滋賀糖尿病療養指導研究会. 平成20年9月.
草津市
(教育活動)
1)大辻貴司. 在宅総論⑦「緩和医療における薬物治療の
実際」. 在宅ホスピス研修会season1-②. 平成20年6
月. 草津市
2)大辻貴司. 疼痛管理・実践編⑤「化学療法について∼
疼痛管理実践編∼」. 在宅ホスピス研修会season1③. 平成20年6月. 草津市
3)大辻貴司. よく使われる薬の知識. 平成20年度看護
力再開発講習会. 平成20年9月. 草津市
4)大辻貴司. 薬剤部における医薬品の安全管理対策に
ついて. 平成20年度医療安全対策研修会. 平成20年
11月. 大津市
5)大辻貴司. レジメン登録・管理の現状と課題. がん専
門薬剤師インテンシブコース∼抗がん剤関連業務の
基盤整備と均てん化に向けて∼. 平成20年12月.
京都市
6)大辻貴司. 在宅における麻薬と疼痛管理について.平
成20年度第5回在宅ホスピスケア実践講習会. 平成21
年2月. 栗東市
8.栄養指導部
【スタッフ】
部長(兼)
主任栄養士長
管理栄養士
12月31日大晦日の食指(普通食)
河 合
大 西
3名
敏 秀(本・消化器科部長)
久 子
【実績】
栄養指導部は、管理栄養士 4 名とパート職員2名で、入
院患者の病態別食事の提供と栄養管理、および栄養低下な
どリスク患者を中心とした栄養管理、入院・外来患者の栄
養食事指導を実施してきました。
入院患者の食事は、調理・配膳・下膳・洗浄業務、食材
料の調達を給食専門業者に委託して実施しています。
病院給食の献立は、6 週間のサイクルメニューで、週3
日昼食と夕食の選択メニュー、季節の暦による行事メニュ
ーで対応しています。
栄養指導の状況は、個別指導が延べ 809 件と昨年より
38 件増加しました。内訳では、入院栄養指導が 69 件増加、
外来栄養指導が 31 件減少しました。集団指導では、糖尿
病教室・昼食会・心臓リハビリ教室患者への指導を実施し
ました。参加合計人数は延べ 525 人と昨年より 142 人減少
しました。
患者給食の状況は、給食数延べ 292,151 食と前年度と
比べると 14,488 食減少しました。 そのうち特別食加算は
66,643 食で、加算食割合は 22.8%と前年度より 5.0 ポイ
ント増加しました。
献立種類は、1 食平均 72.1 種類(前年度 66.0 種類)で、
依然として幅広い食種が要求されています。
教育関係では、滋賀県立大学学生3名と同志社女子大
学学生4名の実習生を受け入れ、栄養業務の紹介と給食・
衛生管理の基本、栄養管理の方法について実習指導を行い
ました。 平成 18年度より診療報酬の改定により取り入
れられた栄養管理の実施については、栄養調査票や食事の
摂取状況、検査値などからスクリーニングし、リスク別に
個々に応じた栄養管理に努めてきました。栄養管理計画作
成者数は 3,852 人で昨年の1.7倍でした。
内NSTによるチームの関与は 150 人で、栄養管理計
画作成者の 3.9%、全入院患者の 2%でした。
年間給食提供状況:前年比較 (食)
(食)
160,000
130,929 140,612
140,000
120,000
100,000
96,602 98,932
80,000
60,000
48,539 50,592
40,000
20,000
1,593 2,015
0
常食
軟食
平成19年度
流動食
平成20年度
*特別食とは特別食加算とは別です。
特別食
(昼食)
(夕食)
【業績】
(研究発表)
1)大西久子. 成人病センターにおけるNSTの取り組み.
第3回滋賀県NSTネットワーク. 平成20年7月. 草津
市
第7節
看護部
看護部
【スタッフ】
看護部長
副部長
副部長
副部長
副参事(がん看護専門看護師)
常勤看護師
378名
パート看護師
40名
介護福祉士
6名
ナースエイド
26名
伊
松
篠
高
吉
藤
波
塚
田
田
美千代
典 代
ひとみ
恵美子
智 美
平成20年度は、看護部長が交代し、副部長3名、副参事1
名、転入者5名、新規採用者45名を迎え、新体制でスター
トしました。4月に7対1入院基本料が取得でき、それに伴
い看護サービスの新たな評価基準である看護必要度の適
正な算定に向け、職員が一丸となって取り組みました。
在院日数の短縮や医療技術の進歩、患者の高齢化・重症
化に伴い、益々、看護の質が問われる中で、がん看護専門
(1)平成20年度
看護師の採用、さらに、緩和ケア、摂食・嚥下障害看護、
集中ケアの分野における認定看護師3名を加え看護体制の
整備を図りました。新たに皮膚・排泄ケア認定看護師研修
に1名、認定看護管理者研修セカンドレベルに1名派遣しま
した。院内教育では、院内認定教育として静脈注射・救命
救急コースと、摂食・嚥下障害看護コースの実施により4
5名認定しました。また、がん看護公開講座、看護倫理講
演会、伝達講習会、看護研究会を実施しキャリア開発に努
めました。この他、各部署の協力のもとに、入職後2か月
を新規採用者研修期間とし育成しました。また、毎月集合
で新人メンタル支援研修を実施し、精神面のサポートを行
いました。
看護師確保対策としては、ワーク・ライフ・バランスの
実現を目指し、職場環境を整え、短時間正職員制度の推進、
子育て支援、介護休暇の取得促進により、離職防止を図り
ました。また、潜在看護師を対象に再チャレンジ研修等を
実施したり、県内外の看護系学校訪問、学生臨床実習の受
け入れ強化を行いました。
委員会活動報告
○業務改善委員会
メンバー
島口佳代子(委員長)・山本淳子・八木美栄子・横井正子・藤原清美・曽村利子・沖道子・木田悟美
アドバイザー
高田恵美子
目
看護業務が経済的・効果的に行えるように、業務を分析し、必要に応じた改善の取組みを行う
的
会議開催数
15回
内
1.職員満足度調査の実施と集計分析
2.救急カート点検方法の決定とマニュアル改定
3.救急カートテーピングに伴う常備薬品変更調整
容
○教育委員会
メンバー
音瀬真理子(委員長)・井上たつ子・吉田博子・小島 縁・大塚弘子・大塚喜久江・海老瀬博子・
柴野昌子・白井明子・丹野和美・寺澤律子・谷 都志恵・村木実希子
アドバイザー
吉田智美・松波典代
目
平成20年度看護部教育計画に基づき研修会を開催し、看護師のキャリア開発に努める。
的
会議開催数
12回
内
1.クリニカルラダー、レベルⅠ∼Ⅳ研修開催
2.静脈注射院内認定研修開催および認定試験実施
3.がん看護公開講座開催・看護倫理講演会開催・看護研究会の開催
4.クリニカルラダーの浸透
5.院内教育計画の見直しと修正、21年度院内教育計画の立案
容
○技術向上委員会・救命救急
メンバー
高野厚子(委員長)・長谷川友江・三條場裕代・岡本恵子・松本修一・竹田好美
アドバイザー
松波典代
目
救命救急に関する職員の知識技術の習得及び向上をはかる。
的
会議開催数
11回
内
容
1.ICLS受講の推進およびサポート
2.各部署の前期BLS・後期ALS学習会開催協力サポート
3.救命救急院内認定プログラムの完成・実施
4.救命救急時のマニュアル作成
者
10名
認
定
○技術向上委員会・摂食嚥下障害看護
メンバー
高野厚子(委員長)・本郷美都里・楠 美佐江・川端喜久美・横田八千代
アドバイザー
松波典代
目
摂食嚥下障害を持つ患者の看護に関する知識技術の習得及び向上をはかる。
的
会議開催数
12回
内
1.スタッフに興味を持ってもらうための実践を取り入れた研修プログラムの作成と開催
2.患者・家族向けの学習会開催に向けての検討
3.口腔ケア・食事介助看護マニュアルの作成
容
研修修了者
19名
○看護記録推進検討委員会
メンバー
下村美津子(委員長)・八木美栄子・野村典子・山添浩美・横田聡美・堀江真由美・杉田美智子一浦
嘉代子・村川朋子・川端佐知子・大久保順子・森山孝子・奥田美幸
アドバイザー
高田恵美子
目
1.患者参画型看護計画の内容統一と浸透に努める。2.看護記録内容の検討を行う。
的
会議開催数
11回
内
1.患者参画型看護計画立案の目的・目標の明示
2.患者参画型看護計画について考える学習会の開催
3.患者参画看護計画用紙の変更作成
4.学習開催時アンケート結果の分析
5.看護記録・看護計画現状の振り返り分析
6.看護記録監査の実施とまとめ
容
○マニュアル管理委員会
メンバー
吉田千春(委員長)・田代昌子・林千代美・山田真砂子・濱田滋子・掛谷理恵・山本和江・西田浩美
アドバイザー
篠塚ひとみ
目
的
1.マニュアルの作成と改訂
2.器械器具使用手順の改訂準備
会議開催数
13回
内
1.スターオフィス内のマニュアル改訂
2.看護部事故防止マニュアルと業務マニュアルの一体化
3.新規採用者が見やすいようにファイルを作成
4.器械器具使用手順作成に当たり臨床工学技士と取り決め実施
5.救急物品点検マニュアル見直し
6.スターオフィスのマニュアル閲覧指導
容
○IT推進委員会
メンバー
下村美津子(委員長)・三輪真澄・小島縁・山田真砂子・野村典子・徳永英美・脇千代・山添浩美
山内美恵子・大塚喜久江
アドバイザー
篠塚ひとみ
目
電子カルテ導入にむけてマニュアルの整備
的
会議開催数
10回
内
1.略語集の改訂と看護職員への配布
2.疾患別看護基準の見直し形式統一
3.看護部概要を項目別に分類
容
○サービス向上委員会
メンバー
藤原清美・八木美栄子・竹本広美・中川登紀子・青木寿栄・東藤佳与子・山下文江・宮島彩
西湖磨美・内海貴子・谷口沙弥佳・松田季子・後藤奈津子・山本かおる・堀江純子・杉田寛代
今井知子・大嵜明美・小林エリ・小島富美子・和田美鈴・山下めぐみ・西村奈津子・大谷京子
松本 愛・石田智子・高城良枝・近藤栄美
アドバイザー
高田恵美子
目
患者サービスの向上
的
会議開催数
10回
内
1.病棟内に園児の絵画を展示と効果に関するアンケート調査の実施評価(患者・職員アンケート)
2.入院のしおり見直し改訂版作成配布
容
○看護必要度ワーキンググループ(7:1入院基本料)
メンバー
井上たつ子(委員会)・永浜美奈子・山本淳子・横井正子・大塚弘子・山内美恵子・斎藤典子・
中川みゆき・藤本泉子
アドバイザー
高田恵美子
目
7:1入院基本料の取得。看護必要度入力と記録の一致を検証する。看護職員への継続研修と認定
的
会議開催数
5回
内
1.新人対象研修の実施
2.看護職員への継続研修と教育の実施
3.各部署の看護必要度入力と看護記録の一致を検証することでデータの信頼性と妥当性を分析。
容
○認定看護師会
メンバー
上野ひとみ、本郷美都里、辻森弘容、松本修一、萬野邦子(第2回より)
アドバイザー
吉田智美
目
本センターにおける認定看護師の活動を有機的に行うために、認定看護師個々の活動目標、活動
成果についてメンバー間で共有し、院内外に広く認定看護師の活動を広報する。
的
会議開催数
3回(7月、10月、2月)
内
1.平成20年度の活動予定について
2.活動広報について
3.相談システムについて
4.今年度の活動成果について
容
(2)主な院外研修参加状況
・ 皮膚・排泄ケア認定看護師育成研修・・・・・・・・・・・1名
・ 滋賀県実習指導者講習会・・・・・・・・・・・・・・・・6名
・ 臨床看護研究サポートのスキルアップ・・・・・・・・・・2名
・ がん専門分野における質の高い看護師の育成研修・・・・・1名
・ 認定看護管理者研修:セカンドレベル・・・・・・・・・・1名
・ 認定看護管理者研修:ファーストレベル・・・・・・・・・4名
・ 国立がんセンターがん看護専門分野指導者研修・・・・・・2名
(3)実習生受け入れ状況
・ 滋賀県立総合保健専門学校:1年生 76名(733日)2年生 74名(1222日)3年生 134名(1891日)
・ 滋賀県立大学人間看護学部:59名(463日)
(4)その他の研修受け入れ状況
・湖南地域振興局訪問看護ステーション緩和ケア研修
・がん専門分野における質の高い看護師の育成研修
・神戸研修センター:認定看護師教育課程 緩和ケア研修
・白鳳女子短期大学:認定看護師教育課程 緩和ケア実習
12名(12日)
8名(66日)
2名(34日)
24名(76日)
(5)高校生体験学習・見学受け入れ状況
・高校生1日看護体験:滋賀県看護協会
・高校生病院見学:滋賀県立八幡高等学校(選択看護)
22名
17名
(6)平成20年度 院内看護研究会発表演題
・日 時
平成21年1月17日(土)
・会 場
研究所講堂
・講 評
滋賀県立大学人間看護学部看護学科
№
教授
豊田久美子先生
発表演題
1
入院患者の転倒の実際
2
∼アセスメントシートをふまえて∼
発表者
西4
小山
理恵
生命の危機状態にある患者家族とのコミュニュケーションについて
∼現在困惑を感じていない看護師の背景からわかること∼
西2
青木
和美
3
食道がん患者の初回放射線・抗癌剤治療に伴う副作用に対する看護介入時期の検討
∼食道がん患者の治療の看護にチェックリストを使用して∼
新6
深田
亜美
4
ストーマ造設術を受けた患者のセルフケア確立への援助
∼セルフケアチェックリストの導入を試みて∼
新5
深尾かおり
5
開心術術後患者の看護の充実を目指して
∼ICUパンフレット改善後の術後聞き取り検査結果より∼
ICU
谷村
6
糖尿病教育入院の食事指導の現状
新6
連籐
7
日常生活自立度の高い患者の褥瘡発生要因の検討
新7
林
8
緩和ケア病棟に入院する家族の悲嘆に影響する要因
∼遺族会欠席者の入院中の状況から∼
新10
河原林厚子
9
白内障患者用クリティカルパス改訂版を試みて
∼患者・患者家族の心配事を軽減するパスとは∼
新8
西村奈津子
10
急性心筋梗塞患者に対するパンフレットを用いた退院指導の効果について
西3
福地
11
リハビリテーション科病棟における脳血管疾患患者の自宅退院を阻害する因子
西7
堀江真由美
12
自然災害に対する看護師の防災意識に基づいた意識付けの効果
新9
請川
13
間接介助者の眼周囲への血液飛散調査
∼出血量測定時とそれ以外の間接業務時の血液飛散状況を比較して∼
14
内視鏡機器点検と履歴管理がもたらす安全性の向上
外来
中川
15
鑷子使用時の意思決定に関する意識調査
中滅
山田眞砂子
16
看護師の職業ストレス分析
∼看護師への調査から指導の問題を考える∼
∼部署別分析検討∼
手術室
純子
直美
美岐
美咲
千晃
廣瀬亜希子
佑介
病院改革推進ワー
キンググループ1班
柴野昌子
・ 実習指導者講習会受講者伝達講習会
西3:古武君子・西4:東出千鶴・新5:児玉有希・新7:佐野寛恵・新8:大谷磨奈美、新10:横田八千代
(7)平成20年度 院内教育集合研修実績
ラダーレベルⅠ
(0∼1年目)
4
月
新規採用者研修
受講者44名
5
月
新規採用者研修
受講者34名
6
月
7
月
新人メンタル支援研修
新人メンタル支援研修
9
月
新人メンタル支援研修
新人メンタル支援研修
12
月
新人メンタル支援研修
1
月
2
月
3
月
3年目研修
3年目に期待すること
講義・GW
受講者18名
リーダーシップ研修
・7年目に求めること
・リーダーシップとは
講義・GW・受講者10名
新規主任看護師研修①
導入講義3日間
②2回目研究講義研修
③研究計画指導
各受講者11名
プリセプター育成研修
・プリセプターとしての
目的・役割・新人の心理
がわかる
講義・GW
受講者16名
新規主任看護師研修
④研究指導
受講者11名
新人12か月研修
・2年目に向けて
・2年目看護師の体験
講義・講和・GW
受講者33名
その他の研修
プリセプターフォロー研修
GW:受講者23名
2年目静脈注射研修
講義・実技
受講者4名
静脈注射認定研修
・ステップⅠ−1
受講者14名
2年目研修
自己の課題取り組み
成果発表とまとめ
受講者4名
プリセプター育成研修
新人とどうかかわるか
講義・ロールプレイ
受講者15名
静脈注射認定研修
・ステップⅠ−2
受講者14名
リーダーシップ研修
先輩の講和
GWとまとめ
受講者10名
静脈注射認定研修
・ステップⅠ−3
受講者14名
☆がん看護公開講座
3年目研修
チームメンバーとして
課題成果発表・まとめ
受講者18名
静脈注射認定研修
・ステップⅡ−1・2
受講者14名
新規主任看護師研修
研究会で発表:11名
新人メンタル支援研修
新人看護必要度研修
およびメンタル支援研修
ラダーレベルⅣ
(8年目∼主任看護師)
2年目研修
2年目に求めること
講義・GW:受講者4名
新人6か月研修
・麻薬・輸血:講義
・救急・急変時看護
講義・演習
受講者33名
11
月
ラダーレベルⅢ
(4∼7年目)
プリセプターフォロー研修
2日受講者
新人3か月研修
・接遇講義
・GW:勤務で嬉し
かったこと辛かっ
たこと困ったこと
受講者33名
8
月
10
月
ラダーレベルⅡ
(2∼3年目)
静脈注射認定研修
・ステップⅢ
実技試験
受講者16名(全員合格)
※看護研究会
プリセプターフォロー研修
GW:受講者22名
プリセプター育成研修
分散研修:レポート
プリセプターとしての準備
受講者16名
☆看護倫理研修会
新規主任看護師研修
研究の成果とまとめ
参加者10名
各研修における院内講師:伊藤看護部長・吉田副参事・松波看護副部長・上野副主幹・八木師長・曽村副師長
徳永、金田主任・寺澤、村木、青木主任看護師・寺田看護師・小菅部長・大植医師
勝山薬剤部長・花房薬剤師 その他教育委員(新規採用者研修は除く)
☆がん看護公開講座:平成20年11月28日17:45∼18:45 研究所講堂 参加者76名(内1名は放射線技師)
1.緩和ケアの視点からがん看護を考える:辻森認定看護師
2.がんとの共存を支える看護:児玉主任看護師
3.がん専門分野における質の高い看護師育成研修での学び:斎藤主査
☆看護倫理研修会 :平成21年2月9日13:30∼15:40 講演とグループ演習 参加者53名
講演 具体的ジレンマから見た看護倫理の基本 坪倉繁美氏(守山市健康福祉部理事・技監)
2008年度 院外研究発表
診療科
発表者
演題
学会名
開催日
開催場所
看護部
小早川香樹
カテ室の現状と課題
∼急変時の対応∼
ADATARA Live
DEMONSTRATION 2008
2008年6月4∼6日
郡山市
看護部
辻森弘容
平成19年度
滋賀県立成人病センターでの
がん関係研修の報告
日本がん看護学会
がん看護実践に強い看護師
育成プログラム実践報告
2008年7月10・11日
東京
看護部
○吉村仁美
村木実希子
山内美恵子
音瀬眞理子
外陰癌に併発した放射性皮膚
炎に伴う疼痛を緩和した処置
方法の一考察
第34回
日本看護研究学会学術集会
2008年8月20・21日
神戸市
看護部
○藤本樹実
石倉有由美
小島縁
横井正子
急性骨髄性白血病の疾患の
受容から看護を考える
第34回
日本看護研究学会学術集会
2008年8月20・21日
神戸市
看護部
○中川祐介
今井民子
柴田美喜
貴田雅也
戸田泰信
水田和彦
内視鏡機器の点検及び履歴
管理がもたらす内視鏡の質の向上
第61回
日本消化器内視鏡技師学会
2008年10月4日
高松市
看護部
○白井明子
富永千鶴
藤原清美
堀 泰祐
緩和ケア病棟における
グリーフケアを考える
∼5年間の遺族会を振り返って∼
第32回
日本死の臨床研究会年次大会
2008年10月4・5日
札幌市
看護部
○佐藤由紀
大塚弘子
山上智子
佐野寛恵
杉田美智子
田中拡子
西藤ひとみ
慢性呼吸不全患者の
栄養補給への看護介入を考える
2008年
近畿地区看護研究学会
2008年12月16・17日
京都市
看護部
○堀江真由美
内田ゆか
リハビリテーション科病棟における
脳血管疾患患者の自宅退院を阻害する因子
FA(Functinal Assessment)
大会
2009年2月1日
兵庫県
看護部
○中川祐介
今井民子
柴田美喜
貴田雅也
戸田泰信
水田和彦
内視鏡機器の点検及び履歴
管理がもたらす安全性と質の向上
日本医療マネジメント学会
第6回 京滋地方会
2009年2月7日
京都市
看護部
○山内洋子
吉田智美
田中京子
がん医療における倫理的問題への対処を
行う際に看護師が経験する困難
日本がん看護学会学術集会
2009年2月7・8日
沖縄県
発行・刊行日
発行者
雑誌・書籍執筆
執筆者
題名
雑誌・書籍
看護部
論文
北脇愛野
代替療法による浮腫ならびに
合併症状の改善効果の検討
∼健康成人の生理的浮腫に対する効果∼
人間看護学研究 第7号 53-62
(人間看護学専攻修士課程)
2009年3月31日
滋賀県立
大学人間
看護学部
看護部
翻訳
吉田智美
カルペニート 看護診断マニュアル
第1部 看護過程における看護診断
第5章 看護診断とケア計画
カルペニート 看護診断マニュアル
編者 リンダ J.カレペニート=モイエ
監訳者 新道幸恵
翻訳 31-50
2008年7月1日発行
第4版第1刷
医学書院
看護部
吉田智美
系統看護学講座 別巻 緩和ケア
第5章 ギア・チェンジ
系統看護学講座 別巻 緩和ケア
編者 恒藤 暁・内布敦子
執筆 104-112
2009年2月1日発行
第1版第4刷
医学書院
看護部
吉田智美
がん対策基本法によるがん医療,看護
現場への影響と小児がん看護への期待
−がん看護専門看護師の立場から−
小児看護 2008年10月
第31巻第11号 通巻第393号
1487-1490
2008年10月1日
へるす出版
看護部
松本修一
呼吸器ケア
呼吸器ケア2008年第6巻6号
今年こそ呼吸療法認定士になる 認定士試験 (通巻69) 29(551)-30(552)
2008年6月1日
メディカ出版
看護部
松本修一
呼吸器ケアの基本知識 総チェック
各論 5.検査:血液ガス
2008年10月1日
メディカ出版
呼吸器ケア2008年第6巻10号
(通巻74) 57(987)-61(991)
講演
発表者
シンポジスト
パネリスト
パネリスト
テーマ
学会名・研修名
開催日
開催場所
静岡県コンベンショ
ンアーツセンター
静岡市
吉田智美
緩和医療における専門看護師、
認定看護師の役割と課題
第13回 日本緩和医療学会総会
シンポジウム3
2008年7月4∼5日
吉田智美
がん診療における看護師の役割と機能
がん診療委員会主催 講演会
2008年7月25日
成人病センター
山内美恵子
学生が自ら育つ臨地実習のトライアングル
−教師の期待・指導者の思い、学生の望み−
滋賀県立大学平成20年度
人間看護学専門講座
2008年8月27日
滋賀県立大学
彦根市
吉田智美
コンサルテーションの理論と実際
滋賀医科大学医学部付属病院
専門・認定看護研修会
2009年2月16日
滋賀医科大学病院
大津市
吉田智美
広げようホスピス、緩和ケアの心と実践
∼チームを支える医療−看護の立場から∼
世界ホスピスデー記念公開講座
2008年10月11日
近江八幡市
吉田智美
「がん看護専門看護師の活動と資格」
水準の高い看護ケアを提供するための患者、家
族へのふれあい
学校祭講演会
2008年10月17日
滋賀県立看護
専門学校
長浜市
吉田智美
臨床研究における倫理的配慮
∼看護者の立場から∼
東神戸病院 学習会
2008年10月28日
東神戸病院
神戸市
岸本陽子
「ゆめ・ゆうき・ゆとり」
新人看護職員懇談会
2008年11月25日
大津市県庁
松本修一
仕事内容や仕事の苦労話・やりがいなど
仕事を当して考えたこと、感じたこと
石山高校 職業体験談を聞く会
看護・薬学への進路希望者
2009年1月28日
大津市
県立石山高校
効果的な実習指導に向けて
平成20年度
臨地実習指導者研修会
2009年3月13日
滋賀県立総合
保健専門学校
内海貴子
パネリスト 藤本泉子
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