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数値地図 25000(空
間データ基盤)の描
画カタログ XML の
選択
付加情報の描画カ
タログ XML の選択
(1)付加情報の選択
図 3.25
(2)付加情報の TUMSY
ファイル選択
データベースへの登録処理
付加情報読込み後,DOM2.0 を用いて取得した各地物(工場,病院,ビル,ホテル)に対
応する TUMSY のレイヤを生成し,ここに地物レコードを登録する,付随する属性情報も同
時に登録する。この処理により,あたかも TUMSY の既存レイヤとして,付加情報が存在し
ているような振る舞いを行い,表示などの処理は TUMSY-CUBE 側の処理に任せられる。
3.4.2.3
描画カタログのインポート
描画カタログ読込み機 能を開発し,TUMSY-CUBE へ追加実装した。この機能を用いてオン
ライン処理にて描画カタログを読み込み,TUMSY-CUBE が管理する描画情報へ変換する仕様
とした。
数値地図 2,5000
描 画 カ タ ロ グ
XML
オンラ
TUMSY-CUBE
イン読
込み
描画カタログ
読込み部
付加情報空間データ
描画カタログ XML
図 3.26
描画カタログ読込み機能
39
パーサは ApacheXML Xerces COM 版を使用し,Visual Basic 上で DOM2.0 インタフェース
を用いて,描画カタログ情報の取得を行った。描画カタログ読込み機能の概略仕様を以下
に示す。
(1)描画カタログの選択
図 3.25,図 3.26 に示すとおり,数値地図 25000(空間データ基盤)及び付加情報に対応し
た描画カタログを,TUMSY-CUBE 起動時に選択する。
(2)描画カタログの解釈
描画カタログ読込み後,描画カタログ情報を DOM2.0 で取得し,TUMSY-CUBE が管理してい
る描画情報クラスに反映する。
具体的には描画 XML における portrayalRuleタグの queryStatement属性の文字列を認識し,
表示条件を TUMSY-CUBE が管理しているクラスに設定する。また,portrayalAction タグの要
素を認識し,表示条件に対応する表示内容を TUMSY-CUBE が管理しているクラスに設定する。
上記処理により,描画カタログに応じて自動的に表示情報を設定し,画面上に表示処理を
行う。なお描画カタログ内で定義した属性に付加情報の地物属性が合致しない場合は,デフ
ォルトの色(黒)で表示し,合致する場合は属性に応じてシンボルの色及び大きさを変化さ
せて表示するべく TUMSY が管理する描画情報クラスに実装を行うものとした。
3.4.3
実験結果
各処理の本実験結果を以下に記述する。
3.4.3.1
数 値 地 図 25000 ( 空 間 デ ー タ 基 盤 ) の 表 示
数値地図 25000(空間データ基盤)を TUMSY 形式にコンバートを行い,本実験で定義した
数値地図 25000( 空間データ基盤)
用の描画カタログをインポートして表示した結果を図 3.27
に示す。図 3.27 においてピンクの太線はトンネルを示し,黄色の太線は橋を示す。トンネル,
橋は道路区間から座標を取得しており,道路区間に対して正しく関連付けが行なわれている
ことがわかる。図 3.27 において,緑の破線で囲まれた部分を拡大した様子を図 3.28 に示す。
図 3.28 の拡大図上において道路区間の属性確認の様子を図 3.29 に示す。また図 3.28 の拡
大図上でトンネルの属性確認の様子を図 3.30 に示す。図 3.29 及び図 3.30 からトンネルが道
路区間に正しく関連付けられていることがわかる。
40
図 3.27
数値地図 25000(空間データ基盤)の表示
図 3.28
拡大図
41
図 3.29
図 3.30
42
道路区間の属性確認
トンネルの属性確認
3.4.3.2
付加情報の表示
付加情報及び描画カタログをオンラインで TUMSY のレイヤにインポートし,表示した結果
を図 3.31 に示す。●,■,▲,◆などのシンボルで表示されている地物が,付加情報であり,
丸が工場,四角が病院,三角がビル,ひし形がホテルを示す。
付加情報は,その属性が付加情報用描画 カ タ ロ グ の 条 件 属 性 (portrayalRule タ グ の
queryStatement 属性)にほとんど合致しなかったため,一つの地物を除いてデフォルトの色
(黒)で表示されていることがわかる。
また付加情報の属性確認の様子を図 3.32 に示す。付加情報のデータが TUMSY のレコードと
して正常に格納されていることがわかる。
図 3.31
付加情報の表示
43
図 3.32
3.4.3.3
付加情報の属性確認
異なる描画カタログのインポートによる描画の変化
(1)付加情報の描画の変化
付加情報用の描画カタログを用いて描画した結果を図 3.33 に示す。描画カタログにて定義
する条件属性に応じて,付加情報が様々な色や大きさで表示されていることがわかる。
44
図 3.33
付加情報用描画カタログによる表示
(2)数値地図 25000(空間データ基盤)の描画の変化
図 3.33 の破線で囲まれた枠内を拡大したものを,図 3.34 に示す。図 3.34 は数値地図 25000
(空間データ基盤)用描画カタログ( <portrayalAction>タグの要素を nothing と定義してい
る)を反映しているため,鉄道区間,鉄道節点,駅を表示していない。また<portrayalAction>
タグの要素を default と定義した描画カタログを作成し,これを反映して表示した結果を,
図 3.35 に示す。鉄道区間,鉄道節点,駅が表示されており,<portrayalAction>要素によっ
て表示の on/off を制御できていることがわかる。
45
図 3.34
鉄道施設<portrayalAction>タグの要素が nothing
鉄道
駅
図 3.35
46
施設<portrayal 鉄道 Action>タグの要素が default
3.4.4
まとめ
本実験で得られた成果,問題点及び今後の課題について以下に記述する。
3.4.4.1
成果
本実験において,JSGI2.0 に準拠した XML ファイル(付加情報)をオンラインで表示でき
ることを確認した。
また応用スキーマ文書エディタで標準形式に変換した付加情報を TUMSY-CUBE にインポー
トして表示させることが確認できるとともに,異なる描画カタログを適用することによっ
て,付加情報の描画を変化できることも確認した。
3.4.4.2
問題点
本実験で見出された問題点は,以下のとおりである。
(1)描画カタログの DTD が ISO では規定されていないが,相互運用を実現するためには,必
要であり,本実験において DTD を作成した。
(2)実験当初,応用スキーマから DTD を作成するにあたり,地物の属性はタグの要素にする
のか,タグの属性にするのか,明示的でないフェーズが生じた。
3.4.4.3
今後の課題
データの相互運用を向上させるためには,以下のような点について検討することが考えら
れる。
(1)データ交換にあたっては,地図データにとどまらず描画カタログを用いることで,ユー
ザが手間なく容易に描画することが可能となる。
(2)“応用スキーマ記述文書エディタ”の機能(個別の GIS 応用スキーマから DTD を生成す
る)を具備したツールにより,容易に手持ちのデータを標準形式に変換することができ
るため,データ提供の促進に有効であると考えられる。
(3)描画カタログは,本実験においても合意形成に時間を要した部分であり,標準的な描画
のための基本的な仕様(PortrayalSpecification)を含む描画カタログを用いることで,
ユーザが個別にかつ試行錯誤的に描画カタログを定義する手間を省くことができる。
3.5
実装方式 D による実験の実施
3.5.1
システム概要
本実験を行うために必要なハードウェア環境,ソフトウェア環境及び交換データを処理するための
システム構成について説明する。
3.5.1.1
ハードウェア環境
本実験を行ったハードウェアの仕様は以下のとおりである。
(1)ハードウェア種別
パーソナルコンピュータ
(2)CPU
PentiumⅢ933MHz
(3)メモリ
256MB
(4)ディスプレイ
解像度 1024×768 以上
47
3.5.1.2
ソフトウェア環境
本実験を行うハードウェアに搭載するソフトウェアは以下のとおりである。
(1)OS マイクロソフト社製 Windows2000
(2)GIS GeoBaseVer6.0.05(以下,“GeoBase”と表記する)
(3)システム構成
本実験で使用する GIS アプリケーションは,GeoBase をコアとする,VisualBasic にて開発
した ActiveXDocument 形式のアプリケーションを用いた。また,数値地図 25000(空間デー
タ基盤),付加情報及び描画カタログそれぞれの解釈モジュールは,VisualC++にて COM オブ
ジェクトを開発し,これを GIS アプリケーションから利用する形式を採用した。システム形
態としてはサーバー・クライアントが一対多となる分散処理形態を採っている。本実験では
SERVER と CLIENT の機構を同一端末上に配置し,仮想的な分散処理形態とした。
本実験において開発したシステムの構成概要を以下の図 3.36 に示す。
IE
GISアプリケーション SetUp用
Internet Package
GISアプリケーション
(ActiveX Document)
初回アクセス時に
自動ダウンロード
数値地図25000
空間データ基盤
解釈モジュール
(COM)
付加情報データ
解釈モジュール
(COM)
GeoBase
IIS
MSXML4
Windows2000
Windows2000
CLIENT
SERVER
今回開発した部分
図 3.36
3.5.2
描画カタログ
解釈モジュール
(COM)
利用した既存システム
システム構成概要
実験方法
GeoBaseで,数値地図 25000
(空間データ基盤)及び付加情報を処理する為には,一旦 GeoBase
の独自形式データに変換する必要がある。これは静的なファイル変換ではなく,動的なメモ
リ変換でもよい。
本実験においては,数値地図 25000(空間データ基盤)より GeoBase のメモリイメージを
生成する変換機構,並びに付加情報より GeoBase のメモリイメージを生成する変換機構をそ
れぞれ開発し,GIS アプリケーションからこれらを利用する。事前に変換処理を行い GeoBase
独自形式のファイルを生成して利用する形式では無く,データコンテンツとしては数値地図
25000(空間データ基盤)
,付加情報をそのまま用い,GIS アプリケーションの操作の中で動
的に変換する形式を採用した。
3.5.2.1
数 値 地 図 25000 (空間データ基盤) の イ ン ポ ー ト
本実験では,数値地図 25000(空間データ基盤)をインポートする為に,数値地図 25000
(空間データ基盤)解釈モジュールを開発した。
48
数値地図 25000(空間データ基盤)解釈モジュールは主に,変換制御モジュール,数値地
図 25000 ドライバ,GeoBase ドライバの三つの COM を制御することでその機能を実現してい
る。数値地図 25000 ドライバは,数値地図 25000(空間データ基盤)のフォーマットを解釈
し GeoBase の中間オブジェクトである GeoObject に変換する。
GeoBase ドライバは,GeoObject
から GeoBase データへの変換を行う。変換制御モジュールは,これら二つのドライバを制御
することで変換処理を行う。
処理中,数値地図 25000(空間データ基盤)ファイルの読み込み時は勿論,オブジェクト
の復元,定義ファイルのロード時など,頻繁に XML 文書の処理を行っているが,数値地図 25000
(空間データ基盤)インポート処理の枠組みでは全て,Microsoft 社 MSXML4 の SAX2 を利用
して解釈を行っている。
数値地図 25000(空間データ基盤)解釈モジュールの構成を以下の図 3.37 に示す。
GISApplicationからCallされる
メインライブラリ―
数値地図25000空間データ基盤解釈モジュール(DLL)
数値地図25000ド
ライバ(COM)
数値地図25000を読み込み、
GeoObjectへ変換する
GeoBaseドライ
バ(COM)
GeoObjectからGeoBaseデー
タへ変換する
変換制御モジ
ュール(COM)
ドライバ同士をつなぎ合わせ
変換処理を制御する
図 3.37
数値地図 25000(空間データ基盤)解釈モジュール構成
図
49
数値地図 25000(空間データ基盤)のインポート処理に関するモジュール間シーケンスを
以下図 3.38 に示す。
GIS
Application
数値25000用変
換メイン(DLL)
import
変換制御モジュ
ール(COM)
数値25000用ド
ライバ(COM)
GeoBase用ドラ
イバ(COM)
<<create>>
<<create>>
<<create>>
数値地図25000用ドライバをセット
GeoBase用ドライバをセット
変換命令
この時、描画規則に
ついてはSLD(注1)で
記述された描画規則
を適用
Encode命令
数値25000を読み込みGeoObjectへ変換
Decode命令
GeoObjectからGeoBaseデータへ変換
地図のハンドルを取得
この処理はObject単位で実行され、
Object数回Loopします。
描画処理
図 3.38
数値地図 25000 空間データ基盤インポート処理シーケンス図
GeoObject から GeoBase データへのデコード処理時,描画カタログを読み込んでいないケ
ースでは,描画規則に関する情報が不足している為,別途 SLD(注 1)にて定義した描画規則
を適用し,色や線幅などの描画情報を補う機構を採用している。以下に使用した SLD のうち
駅についての記述を抽出したものを示す。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<!DOCTYPE StyledLayerDescriptor SYSTEM " sld_072.dtd">
<StyledLayerDescriptor>
<UserLayer>
<LayerFeatureConstraints>
<FeatureTypeConstraint>
<FeatureTypeName>Eki</FeatureTypeName>
</FeatureTypeConstraint>
</LayerFeatureConstraints>
50
<UserStyle>
<FeatureTypeStyle>
<FeatureTypeName>Eki</FeatureTypeName>
<SemanticTypeIdentifier>generic:line_string</SemanticTypeIdentifier>
<Rule>
<LineSymbolizer>
<Stroke>
<CssParameter>Opacity:1.0</CssParameter>
<CssParameter>Color:0xFF7256</CssParameter>
<CssParameter>width:5.0</CssParameter>
<CssParameter>LineJoin:ROUND</CssParameter>
</Stroke>
</LineSymbolizer>
<TextSymbolizer>
<Label>
<FetchFeatureProperty name="Namae"/>
</Label>
<Font>
<CssParameter>font-family:MS ゴシック</CssParameter>
<CssParameter>font-style:italic</CssParameter>
<CssParameter>font-weight:bolding</CssParameter>
<CssParameter>font-size:-30</CssParameter>
</Font>
<LabelPlacement>
<PointPlacement>
<AnchorPoint>
<AnchorPointX>0</AnchorPointX>
<AnchorPointY>0</AnchorPointY>
</AnchorPoint>
<Displacement>
<DisplacementX>10</DisplacementX>
<DisplacementY>-8</DisplacementY>
</Displacement>
<Rotation>0</Rotation>
</PointPlacement>
</LabelPlacement>
<Halo>
<Radius>2</Radius>
<Fill>
<CssParameter>fill:0x000000</CssParameter>
51
<CssParameter>fill-opacity:1.0</CssParameter>
</Fill>
</Halo>
<Fill>
<CssParameter>fill:0xFF7256</CssParameter>
</Fill>
</TextSymbolizer>
</Rule>
</FeatureTypeStyle>
</UserStyle>
</UserLayer>
</StyledLayerDescriptor>
注 1)“SLD”:Styled Layer Descripter
本実験にて使用した SLD は,“OGC Draft
Canditate Implementation Specification v0.7.2 Discussion Paper”
に基づいたものであり,OGC(注 2)が正式にその仕様について規定した
ものでは無い。
注 2)OGC”:Open GIS Consortium Inc.
3.5.2.2
付加情報のインポート
本実験では,付加情報をインポートする為に,付加情報解釈モジュールを開発した。ここ
では付加情報をインポートする際に,応用スキーマ記述文書を解釈し,そこに記述された地
物クラスや属性を受け入れてインポートを行う機構を実現している。
付加情報解釈モジュールは主に,変換制御モジュール,汎用 XML ドライバ,GeoBase ドラ
イバの三つの COM を制御することでその機能を実現している。
汎用 XML ドライバは,応用スキーマの情報(地物クラス・属性)を受け入れる為に,XSLT
にて応用スキーマ記述文書から独自のスキーマを生成し,この生成したスキーマを基に付加
情報を XMLGeoBase の中間オブジェクトである GeoObject に変換する。
GeoBase ドライバは,GeoObject から GeoBase データへの変換を行う。
変換制御モジュールは,汎用 XML ドライバと GeoBase ドライバを制御することで変換処理
を行う。
処理中,付加情報の読み込みは勿論,オブジェクトの復元,定義ファイルのロードなど,
頻繁に XML 文書の処理を行っており,基本的に XML 文書の解釈には Microsoft 社 MSXML4 の
SAX2 を利用し,XSLT の処理時は Microsoft 社 MSXML4 の DOM を利用して処理を行っている。
付加情報解釈モジュールの構成を以下の図 3.39 に示す。
52
GISApplicationからCallされる
メインライブラリ
付加情報解釈モジュール(DLL)
汎用XMLドラ
イバ(COM)
応用スキーマの情報に基づきXSLTにて付
加情報空間データを独自形式のXMLに変換
し、GeoObjectへの変換を行う
GeoBaseドライ
バ(COM)
GeoObjectからGeoBaseデータへの変換を
行う
変換制御モジ
ュール(COM)
ドライバ同士をつなぎ合わせ
変換処理を制御する
図 3.39 付加情報解釈モジュール構成図
汎用XMLドライバ(COM)
応用スキーマ記述文書
(XMLファイル)
独自形式XML
処理モジュール
(COM)
独自形式スキーマ
(XML文字列)
GeoObject
(中間形式オブジェクト)
独自スキーマ生成
スタイルシート
(XSLファイル)
XSLTProcessor
(MSXML4)
独自形式TagMapping定義
(XML文字列)
タグ置換定義生成
スタイルシート
(XSLファイル)
独自形式付加情報
空間データ
(XML文字列)
XSLTProcessor
(MSXML4)
標準->独自置換
スタイルシート
(XSL文字列)
標準->独自置換XSL生成
スタイルシート
(XSLファイル)
付加情報
空間データ
(XMLファイル)
図 3.40
応用スキーマ記述文書解釈の機構図
53
付加情報のインポート処理に関するモジュール間シーケンスを以下に示す。
GIS
Application
付加情報用変換メ
イン(DLL)
import
変換制御モジュ
ール(COM)
汎用XMLドライ
バ(COM)
GeoBase用ドラ
イバ(COM)
<<create>>
<<create>>
応用スキーマをセット
独自スキーマをXSLTで生成
<<create>>
汎用XMLドライバをセット
GeoBase用ドライバをセット
変換命令
Encode命令
この時、描画規則
については固定の
規定値を適用
独自スキーマに基づきGeoObjectへ変換
Decode命令
GeoObjectからGeoBaseデータに変換
地図のハンドルを取得
この処理はObject単位で実行され、
Object数回Loopします。
描画処理
図 3.41
54
付加情報インポート処理シーケンス図
3.5.2.3
描画カタログのインポート
本実験では,描画カタログをインポートし描画規則を適用する為に,描画カタログ処理モ
ジュールを開発した。
描画カタログ処理モジュールは,2.1 数値地図 25000(空間データ基盤)のインポート及び
2.2 付加情報のインポートに示した二つのドライバの処理の間で機能し,GeoBase の中間オブ
ジェクトである GeoObject に対して操作を行い,描画規則の適用を行う。
描画カタログのインポート処理時のモジュール間シーケンス図を以下に示す。
GIS
Application
数値25000用変
換メイン(DLL)
import
変換制御モジュ
ール(COM)
描画カタログ処理
モジュール(COM)
数値25000用ド
ライバ(COM)
GeoBase用ドラ
イバ(COM)
<<create>>
<<create>>
描画カタログをセット
<<create>>
<<create>>
数値地図25000用ドライバをセット
GeoBase用ドライバをセット
変換命令
変換命令
数値地図25000をGeoObjectへ変換
描画規則適用命令
描画規則適用処理
変換命令
GeoObjectからGeoBaseデータに変換
地図のハンドルを取得
この処理はObject単位で実行され、
Object数回Loopします。
描画処理
図 3.42
数値地図 25000(空間データ基盤)への描画カタログ適用時のシーケンス図
55
GIS
Application
付加情報用変換メ
イン(DLL)
import
変換制御モジュ
ール(COM)
描画カタログ処理
モジュール(COM)
汎用XMLドライ
バ(COM)
GeoBase用ドラ
イバ(COM)
<<create>>
<<create>>
応用スキーマをセット
独自スキーマをXSLTで生成
<<create>>
描画カタログをセット
<<create>>
汎用XMLドライバをセット
GeoBase用ドライバをセット
変換命令
変換命令
独自スキーマに基づきGeoObjectへ変換
描画規則適用命令
描画規則適用処理
変換命令
GeoObjectからGeoBaseデータに変換
地図のハンドルを取得
この処理はObject単位で実行され、
Object数回Loopします。
描画処理
図 3.43
56
付加情報への描画カタログ適用時のシーケンス図
3.5.3
実験結果
3.5.3.1
数 値 2 5 0 0 0 ( 空 間 デ ー タ 基 盤 )の イ ン ポ ー ト
3.5.3.1.1
使用データ
数値地図 25000(空間データ基盤)の大分のうち,大分郡湯布院町( 44364.XML)を本実験
のデータとして用いた。
データの内訳は下記のとおりである。
基準点
:47 オブジェクト
鉄道接点
:39 オブジェクト
公共施設
:18 オブジェクト
道路区間
:1686 オブジェクト
地名
:104 オブジェクト
道路接点
:1396 オブジェクト
橋
:88 オブジェクト
水域界
:227 オブジェクト
トンネル
:23 オブジェクト
河川区間
:242 オブジェクト
雪覆い
:0 オブジェクト
河川接点
:247 オブジェクト
駅
:3 オブジェクト
行政界代表点
:1 オブジェクト
鉄道区間
:38 オブジェクト
行政界
:53 オブジェクト
計)
:4212 オブジェクト
3.5.3.1.2
3,380,733 バイト
結果
数値地図 25000(空間データ基盤)をインポートした結果,良好な結果を得た。インポー
ト処理に要した時間は 31.6∼31.7 秒であった。下図 3.44 に数値地図 25000(空間データ基
盤)インポート後の湯布院町全域画面イメージ,図 3.45 に部分拡大図,図 3.46 に地名オブ
ジェクトの属性値をリスト表示した画面を示す。
図 3.44
湯布院町全域表示画面
57
図 3.45
図 3.46
58
湯布院町部分拡大画面
地名オブジェクトの属性リスト表示画面
3.5.3.2
3.5.3.2.1
付加情報のインポート
使用データ
応用スキーマによって本実験独自に定義された JSGI2.0 準拠の付加情報を,実在しない適
当なデータを手入力することにより別途作成し,これを本実験の付加情報として用いた。
データの内訳は下記のとおりである。
3.5.3.2.2
工場
:8 オブジェクト
高層ビル:6 オブジェクト
病院
:6 オブジェクト
ホテル
(計)
:27 オブジェクト
:5 オブジェクト
18,789 バイト
結果
付加情報をインポートした結果,良好な結果を得た。インポート処理に要した時間は 1.0
∼1.4 秒であった。下図 3.47 に付加情報インポート後の画面イメージと,付加情報の属性値
をリスト表示した画面を示す。
インポートされた付加情報
図 3.47
付加情報の取り込みと属性表示画面
59
3.5.3.3
描画カタログのインポート
描画カタログをインポートし,数値地図 25000(空間データ基盤),付加情報を表示した結
果,良好な結果を得た。
本実験で利用した描画カタログ指定項目を下記表 3. 2 に示す。
表 3.2
描画カタログ指定項目
地図種類
オブジェクト名 条件
数値地図 25000
空間データ基盤 鉄道区間
付加情報
描画規則
描画しない
鉄道接点
描画しない
駅
描画しない
工場
電力エネルギーが 500KW 未満 小さな赤い丸
電力エネルギーが 500KW 以上
2000KW 未満
中くらいの赤い丸
電力エネルギーが 2000KW 以上 大きな赤い丸
ホテル
電力エネルギーが 500KW 未満 小さな黄色いひし形
電力エネルギーが 500KW 以上
2000KW 未満
中くらいの黄色いひし形
電力エネルギーが 2000KW 以上 大きな黄色いひし形
病院
ビル
電力エネルギーが 500KW 未満 小さな緑の四角
電力エネルギーが 500KW 以上
2000KW 未満
中くらいの緑の四角
電力エネルギーが 2000KW 以上 大きな緑の四角
電力エネルギーが 500KW 未満 小さな水色の三角
電力エネルギーが 500KW 以上
2000KW 未満
中くらいの水色の三角
電力エネルギーが 2000KW 以上 大きな水色の三角
以下に,表 3.2 の描画カタログを適用する前の画面(図 3.48)と,適用後の画面(図 3.49)
を示す。
図 3.48
60
描画カタログ適用前の画面
図 3.49
描画カタログ適用後の画面
3.5.4
まとめ
本実験の過程で得られた成果,問題点及び今後の課題点について,以下に記述する。
3 . 5. 4 . 1
3.5.4.1.1
成果
数 値 地 図 25000 (空間データ基盤) の イ ン ポ ー ト
数値地図 25000(空間データ基盤)を,別途インポートの為の機構を用意することにより,
直接読み込んで表示を行い,良好な結果を得ることができた。インポート処理に要した時間
は 31.6∼31.7 秒であった。
3.5.4.1.2
付加情報のインポート
付加情報を,別途インポートの為の機構を用意することにより,直接読み込んで表示を行
い,良好な結果を得ることができた。インポート処理に要した時間は 1.0∼1.4 秒であった。
3.5.4.1.3
描画カタログのインポート
描画カタログをインポートし,数値地図 25000(空間データ基盤)及び付加情報の描画を
カタログどおりに制御した表示を行い,良好な結果を得ることができた。制御項目としては,
数値地図 25000(空間データ基盤)についてはオブジェクト種別の表示 ON/OFF,付加情報に
ついてはオブジェクト種別の表示 ON/OFF,パラメータによる条件指定,マークの色,種類,
サイズを制御する仕様とし,数値地図 25000(空間データ基盤)の色,種類,サイズなどに
ついては,“OpenGISConsortium(OGC)”規定の“StyledLayerDescripter(SLD)”により別途
指定した規則を適用した。
3 . 5. 4 . 2
3.5.4.2.1
問題点
エンコーディング
本実験の付加情報のインポート処理の過程において中間処理的に,XSLT を利用し独自形式
の XML に変換している。ここで応用スキーマに記述されているオブジェクトのクラス名をタ
グに置換した結果,データのエンコーディングが“ Shift-JIS”の場合では正常に処理が行わ
れるが,“UTF-8”など別のエンコーディングにした場合に,処理が正常に行われないケース
が発生した。これは中間処理段階の独自形式の XML タグ名が日本語(漢字カナ混じり)とな
っており,“Shift-JIS”以外のエンコーディングでは XML パーサが正常に処理を行うことが
できず,本事象につながっているものと考えられる。
このことより,データのエンコーディング変更にも柔軟に対処できるよう,インポート処
理の過程において中間的に XML を生成する場合においても,タグ名に日本語(漢字カナ混じ
り)を利用しないほうがよいと考察する。
3.5.4.2.2
数 値 地 図 25000 (空間データ基盤) の ス キ ー マ
本実験では,数値地図 25000(空間データ基盤)については既に刊行されているため現状
のスキーマのまま利用し,付加情報のスキーマについては数値地図 25000(空間データ基盤)
のスキーマに準じていたものを見直し,新たに JSGI2.0 に即したスキーマを用意しこれを利
用することとした。今後統一化された JSGI2.0 のスキーマを利用していけるよう検討する必
61
要があるものと考察する。
3 . 5. 4 . 3
今後の課題
3.5.4.3.1
描画カタログによる描画処理順
本実験において,数値地図 25000(空間データ基盤)及び付加情報を描画する際,その描
画処理順については指定が無く,GIS 側での調整を行わないとオブジェクト同士が重なり,
裏側に隠れてしまうケースが発生した。従って,描画処理順について,検討し実験していく
必要性があるものと考察する。
3.5.4.3.2
XML スキーマ
本実験において使用した XML 文書は,全て DTD によってそのスキーマを記述した。しかし,
特に可変性の高い“応用スキーマ記述文書”,“描画カタログ”,“付加情報”などについては,
規定外データの発生を避ける為,より検証性の高い“XML スキーマ”で記述することについ
て検討していく必要があるものと考察する。
3.6
実装方式 E による実験の実施
3.6.1
システム概要
本実験を行うために使用したハードウェア環境,ソフトウェア環境及び交換データを処理
するためのシステム構成について説明する。
3.6.1.1
ハードウェア環境
本実験を行ったハードウェアの仕様は以下のとおりである。
(1)ハードウェア種別
パーソナルコンピュータ(以下 PC と称す)
(2)CPU
PentiumⅢ 750MHz
(3)メモリ
256MB
(4)ディスプレイ
解像度 1024×768
3.6.1.2
ソフトウェア環境
本実験を行うハードウェアに搭載するソフトウェアは以下のとおりである。
(1)OS
マイクロソフト社製 Windows2000 5.00
(2)GIS
日本アイ・ビー・エム社製
IBM GAIN(Geographic Application Interface)
for Windows(以下,“GAIN”と表記する)
(3)アプリケーション構成
本実験においては開発ツールとして Microsoft VB 6.0 を使用し,数値地図 25000(空間デ
ータ基盤)や応用スキーマ,付加情報,描画カタログの XML データの解析ツール(Parser)
として Microsoft XML v3.0 を使用した。アプリケーションの構成は図 3.50 のとおりである。
62
User Program
GAIN for Windows
・eiqcom.bas
・eiqptg.bas
・eiqxcom.bas
Microsoft
Microsoft
VB SAX2
VB DOM
Callback
- Routine
Microsoft VB 6.0
数値地図
25000
GAIN for Windows
・eip4base.DLL
・eiq4exit.DLL
・eiqvbi.DLL
Microsoft XML v3.0
・MSXML.DLL
空間データ基盤
XML
・応用スキーマ
・付加情報
Microsoft Windows2000
図 3.50
・描画カタログ
アプリケーション構成
部分は本実験用に開発した処理プログラムである。
3.6.1.3
システム構成
(1)システム構成の概要
本実験で開発したシステム構成の概要は図 3.51 のとおりである。
63
①
数値地図
25000
空間データ
基盤用
要素定義
②
③
数値地図
25000
空間データ基盤
XML
応用スキーマ
XML
Microsoft
VB SAX2
Parser
Microsoft
VB DOM
Parser
④
付加情報
描画カタログ
XML
XML
Microsoft
VB DOM
Parser
Microsoft
VB DOM
Parser
SAX2用
DOM用
DOM用
DOM用
User Program
User Program
User Program
User Program
GAIN用
GAIN用
GAIN用
GAIN用
User Program
User Program
User Program
User Program
GAIN
for
Windows
GAIN
for
Windows
GAIN
for
Windows
GAIN 用
地物情報
内部空間
付加情報
用
要素定義
Map25000
付加情報
⑤
地物情報
制御用
User Program
地物情報
表示操作
用
User Program
画面表示
GAIN
for
Windows
図 3.51 システム構成の概要
システムは大きく五つのパートで構成されている。それぞれのパートは次のとおりである。
①数値地図 25000(空間データ基盤)(XML)インポート部
②応用スキーマ(XML)インポート部
③付加情報(XML)インポート部
④描画カタログ(XML)インポート部
⑤地物情報コントロール部
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