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島根大学医学部内科学講座第四医局報 ~平成28 年秋号~

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島根大学医学部内科学講座第四医局報 ~平成28 年秋号~
島根大学医学部内科学講座第四医局報
道
~平成28 年秋号~
2016 年 8 月、コロッセオ(ローマ)
内科学第四医局員・学内同門名簿(2016 年 11 月現在)
内科学第四
腎臓内科
田邊一明(教授・循環器内科診療科長)
伊藤孝史(講師・診療教授)
江川雅弘(医員)
循環器内科
吉金かおり(医員)
遠藤昭博(講師・副診療科長)
加藤志帆(医員)
渡邊伸英(助教・医局長)
高瀬健太郎(医員)
大内 武(助教)
芦村龍一(医員)
岡田大司(助教・病棟医長)
藤井俊吾(医員)
伊藤新平(助教・外来医長)
(学外)
中村 琢(医員)
松井浩輔(平成記念病院)
香川雄三(医員)
岡 朋大(島根県立中央病院)
大嶋丈史(医員)
花田 健(松江赤十字病院)
朴 美仙(医員)
松田絋治(医員)
山口直人(医員)
花田真希(松江赤十字病院)
花田昌也(浜田医療センター)
福永昇平(東京慈恵会医科大学)
坂本考弘(医員)
中西宣太(島根県立中央病院)
(学外)
岩下 裕(和歌山県立医大)
佐藤寛大(済生会江津総合病院) 岩下裕子(和歌山県立医大)
和氣正樹(東京大学)
佐藤陽隆(松江生協病院)
竹田昌希(松江市立病院)
川原 洋(豊橋ハートセンター) 内科学第四資料室
足立優也(松江市立病院)
影山久美子
岡崎浩一(島根県立中央病院)
柳楽由美
黒田紘章(益田赤十字病院)
森山瑞希
森田祐介(浜田医療センター)
今岡彩乃
三浦重禎(松江市立病院)
伊藤 恵
安田 優(済生会江津総合病院)
総合医療学講座
留学生
石橋 豊(教授)
Maidar Tumenbayar(モンゴル)
高橋伸幸(教授、大田総合医育成センター)
Ting Gao(中国)
救命救急センター
検査部
小谷暢啓(講師)
吉冨裕之(助教)
内科学講座第四 教授 田邊一明
カトリックの総本山、サンピエトロ大聖堂にて
冬が始まろうとしています。街路樹の紅葉も終わり、各地からライトアップのニュース
が映し出されます。今年も震災がありました。縁あって過ごした神戸のルミナリエは毎年
訪れることにしています。震災で光を失った神戸の復興のシンボルとして始まりました。
そこを通り抜ける人々に様々な思いがあることも知っています。明石海岸の歩道橋事故を
受けて順路が決められ、わずかな距離を通り抜けるために寒い中を相当な距離歩かないと
いけません。週末や最終日は1時間以上歩きます。くじけそうな思いの先にある高揚感を知
ればこの行軍も我慢できます。神戸の復興は奇跡ではなく、そこに住む人々にとって必然
であったと聞きます。
さて、医局員も日々の奮闘の中、それぞれの高揚感を求めて戦ってくれているように思
います。医局はこの春にも人員の入れ替わりがあり、また新たな医局員を迎えました。私
が赴任しました2008年以降に入局してきた医師が医局の主力となり、若い医局になりまし
た。しかし、大学としてできることはむしろ広がっていることを実感する日々です。当た
り前のことが当たり前にできる喜びがあります。そしてそれは必然のことと感じています。
地域への人材派遣、そして人材の育成にとどまることは許されません。引き続き大学、地
域が一体となって成長していく医局でありたいと考えています。
2015年の神戸ルミナリエ
新年に向けて「今年はこうして心エコー技術を学ぶ」というタイトルで原稿依頼があり
ました。新しい年に向けての思いを込めて、原稿の内容をここに記載させていただきます。
Point-of-care Ultrasonography
医師が患者の症状や所見を確認するためにリアルタイムに直接エコーを記録し、画像を
評価することをpoint-of-care ultrasonographyと呼びます。検査室に依頼して、検査技師の
記録したレポートから判断することと異なる概念としています。エコー装置のポータブル
化から様々な領域に広がり、心エコー図においても胸痛を訴える患者の壁運動をその場で
チェックすることなどは、このpoint-of-care ultrasonographyに当たります。検査室でトレ
ーニングを受けてきた循環器内科医にとって、検査室での心エコーとベッドサイドや救急
外来、心カテ室での“チョイ当て”心エコーとを明確に区別をするものではないと思いま
す。経験豊富な循環器内科医であれば、一つの断面から様々な病態を瞬時に判断できるで
しょう。一方で、救急や集中治療の現場で初期研修医など若い医師は心臓、腹部、産婦人
科のエコーによる基本診断ができるようになる必要があり、またエコーガイドのカテーテ
ル挿入が通常の手技となってきています。エコー教育の現状は、point-of-care
ultrasonographyにおける教育と言えます。
エコーによる診断は身体診察のみによる診断を凌駕するということは明らかです。身体
診察、聴診の延長として心エコーを付加的に診断の場面で用いることも日常的に行うよう
になってきています。専門医の身体診察では49%しか診断できなかった心疾患を、医学生
にポータブルエコーの使い方を教えて診断させたところ75%の診断率であったというよう
なデータもあります。 “Stop listening and look”という医学教育への提言も出てきました。
Listen and look
確かに聴診や触診に時間をかけるより、心エコーを行う方がはるかに効率はよいかもし
れません。しかし、心不全患者の左室径や左室駆出率の計測だけをしていたのでは大動脈
弁狭窄症を見逃がすかもしれません。人工弁置換術後の人工弁機能不全の診断は聴診では
じめて気が付きます。僧帽弁位の生体弁置換後の患者にmusical murmurが聴取されて生体
弁が経年変化で亀裂が入るcuspal tearを疑うきっかけになります.連続性雑音が聴取され
れば動脈管開存、バルサルバ洞動脈瘤破裂、冠動脈廔を念頭におく必要があります。聴診
をせずに心エコー図検査だけでは診断できない可能性があるのです。心エコーのトレーニ
ングは時間の許す限り、聴診を主とした身体診察や病状把握とセットで行うべきです。“心
エコー図は心臓病診療そのものである”。吉川純一先生のお言葉であり、心エコーのレベ
ルが上がれば循環器診療の総合力が上がっていきます。
臨床医としての技術を向上させるために
講習会や学会にも積極的に参加し、スタンダードな考え方を自分の経験に加味してほし
いと思います。講師が何を考えているのか頭の中を覗くことができる機会になります。心
エコー画像、指標から何を考えているのかを自分の経験にしていくことができます。いい
師、ロールモデルとの出会いの機会にもなるかもしれません。講習会,学会に出席しなく
ても議論された内容や論文発表された情報は様々な媒体で目にすることができる時代です。
出席して直接触れることのできる情報はむしろ限られます。我々は情報という風があらゆ
る方向から吹きつける世界にいます。講習会や学会に出席することは、その時の正しい風
向きを知る機会になるはずです。
若い医師にとっては症例発表が学会デビューということが一般的です。「症例報告」は
情報としての価値とともに、自らの知識、技術を向上させる上でとても大事な手法になり
ます。そして、発表だけにとどまらずにぜひとも論文にしてほしいと思います。発表の準
備のために文献を集め、精読したのです。発表の機会には座長やフロアから質問や評価も
あったはずです。スライドの原稿をそのままつなげていけば論文の骨格ができます.学会
発表してから時間をおいてしまうとタイミングを逸してしまいます。自分の中に機運が盛
り上がったときに一気に書いてしまいましょう。
医局報〜秋号〜に寄せて
腎臓内科 講師 伊藤孝史
気がつけばもう 12 月。あっという間に一年は過ぎました。年々月日の過ぎるのが早く
なっていると感じるのは私だけでしょうか。それはさておき、平成 28 年下半期の報告をさ
せていただきます。
平成 27 年度は腎臓内科への新入局がありませんでしたが、今年度は 1 名の入局者があり
ましたが、1 名産休、1 名出向があり、大学内は昨年度より 1 名減の 6 名で業務を開始しま
した。しかし、新たな医局員を迎えたということで、厳しい状況でも、みんなが協力して
日常臨床のみならず、学生・研修医の指導もしっかりできたと思います。新たに浜田医療
センターに出向していただいた花田昌也先生も、西部地区の拠点として早速精力的に活動
してもらっています。さらに、10 月からは高瀬健太郎先生に救急部に出向していただいて
おりますが、その間縁あって高山赤十字病院から山内明日香先生が 3 ヶ月間の研修に来て
くださっています。糖尿病をご専門としておられますが、今後の飛騨高山での腎臓病医療
も考えて当科での研修を決断され、日々研鑽を積んでおられます。
学会活動では、5 月 6 日に岡山で開催された内科学会地方会では研修医 2 年目の宮﨑佳子
先生が発表をしました。さすが 2 年目の発表で完璧でした。ありがとうございました。6 月
10-12 日に大阪で開催された日本透析医学会総会では 5 演題(一般演題 4 題とワークショッ
プ 1 題)、6 月 10-11 日に松江で開催された日本循環器学会中国・四国合同地方会の市民公
開、9 月 24-25 日に札幌で開催された日本腹膜透析医学会では 2 題(一般演題 1 題とワーク
ショップ 1 題)、10 月 14-15 日に宮崎で開催された日本腎臓学会西部学術大会では 1 演題
(一般演題 1 題)、10 月 15 日に広島で開催された中国腎不全研究会では 2 演題、11 月 25-27
日に横浜で開催された日本アフェレシス学会では、ワークショップ 1 題、11 月 26 日に岡
山で開催された内科学会中国地方会では 2 年目の川西未波留先生が発表しました。川西先
生はデビュー戦でしたが、とても新人とは思えない堂々とした発表でした。川西先生は平
成 29 年度から新たに腎臓内科に入局を決めてくださっており、大いに期待をしています。
中でも島根大学内科第四として大きなイベントであったのは、7 月 3 日に松江市のくにび
きメッセで田邊教授が大会長で開催された第 6 回血液浄化心不全治療研究会です。
「心・腎
連関を再考する」というテーマで循環器内科と腎臓内科が協力して開催することができ、
本当に内容の濃い研究会でした。関係していただいた皆様にこの場をお借りして厚く御礼
申し上げます。
腎臓内科としては、以前からの念願であった日本腎臓学会主催の「臨床研修医のための
腎臓セミナー」を 7 月 30-31 日に松江市のくにびきメッセで開催させていただきました。
研修医先生方が 100 名程度参加していただき、豪華な講師陣でとても勉強になる、そして
楽しいセミナーが開催できました。島根大学の卒業生たちも大勢参加してくださっていま
したし、11 期の八田告先生にもご講演をいただけたのがとても嬉しかったです。セミナー
の運営にあたってくれた医局員の皆さん、ご講演、座長をしていただいた諸先生方、日本
腎臓学会の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
また、来年平成 29 年 4 月 7-9 日松江市くにびきメッセで「日本医工学治療学会第 33 回
学術大会」を主催させていただきます。大会テーマを「縁の糸で結ぶ医・工学」と題し、
医工学技術をどのようにして治療に応用するかということを共通の命題として熱い議論を
していただきたいと思っております。
CKD 啓発活動の一貫として、9 月 4 日出雲市民会館において第 6 回目の市民公開講座を
『慢性腎臓病(CKD)対策~みんなで知ろう・考えよう CKD~』と題し、栄養治療室の端本
洋子先生、地域医療連携センター医療ソーシャルワーカーの春日みゆき先生、そして伊藤
の 3 名で講演をさせていただきました。CKD 管理、CKD を取り巻く福祉・医療セービス
について、CKD の食事療法について、資料も配布し実りある市民公開講座を行うことがで
きました。ご講演いただいたお二人の先生と運営にあたってくれた医局員のみなさんに御
礼申し上げます。世界腎臓デーにあわせた活動と市民公開講座を二本柱として、今後も CKD
の啓発活動を継続していく予定にしております。
学生・研修医の勧誘を目的に例年 7 月に行っている医局説明会には、今年もたくさんの
学生・研修医の先生の参加がありました。腎臓内科に興味を持ってくれている学生・研修
医がいることがわかりました。一緒に頑張ってくれる仲間が増えることを願っています。
いつも活動をサポートしていただいております内科学講座第四同門会の諸先生方に、この
場をお借りして厚く御礼申し上げます。
今後も山陰両県での腎臓病医療を支え、そして全国、世界に発信できる仕事ができるよ
うに頑張っていく所存ですので、ご指導ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
業績
論文・著書・総説(2016 年春号以降)
1. Liang S, Yamaguchi K, Yoshitomi H, Ito Saki, Nakashima R, Sugamori T, Endo A, Takahashi
N, Tanabe K. Factors influencing the prognosis of octogenarians with aortic stenosis in
advanced aging societies. Intern Med 2016;55:2351-2358
2. Adachi Y, Endo A, Kinoshita Y, Tanabe K. A case of renal artery stenosis that underwent renal
artery stenting using CO2 gas angiography. Intern Med 2016;55:2419-2422
3. Okada T, Endo A, Ito Shimpei, Nakamura T, Sugamori T, Takahashi N, Yoshitomi H. Tanabe K.
Acute coronary syndrome in a puerperal patient with coronary artery ectasia due to a coronary
artery fistula. Intern Med 2016;55:2635-2638
4. Ito S, Hagiya H, Kimura K, Nishi I, Yoshida H, Kioka H, Ohtani T, Yamaguchi O, Tanabe K,
Tomono K, Sakata Y. Capnocytophaga ochracea bacteremia in a hypertrophic cardiomyopathy
patient without neutropenia. Intern Med 2016;55:2731-2735
5. Nakashima R, Yamaguchi K, Yoshitomi H, Okada T, Endo K, Tanabe K. A case of myocardial
infarction and left ventricular pseudo-false aneurysm perforating the right ventricle. J
Echocardiogr 2016 Sep 8. [Epub ahead of print]
6. 田邊一明.心エコーで考える心不全の診断と治療.Osaka Heart Club 2016;40(2):12-14.
学会・研究会発表(2016 年春号以降)
1.
Tumenbayar M, Yamaguchi K, Yoshitomi H, Oshima T, Pak M, Nakamura T, Okada T,
Watanabe N, Takahashi N, Endo A, Tanabe K. Left atrial remodeling predicts recurrence of
congestive heart failure in patients with atrial fibrillation. 27th annual scientific sessions of the
American Society of Echocardiography. 2016.6.10-14, Seattle, USA
2.
岡田裕枝、渡邊伸英、坂本考弘、三浦重禎、安田優、朴美仙、中村琢、岡田大司、中
島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.診断に苦慮した右房内
腫瘤の一例.第 108 回日本循環器学会中国・四国合同地方会.2016.6.10-11、松江
3.
渡邊伸英、福永寛、間淵圭、矢川真弓子、谷崎剛平、梅村純、田邊一明、友池仁暢.
伝導遅延を伴う右室後壁副伝導路による incessant 型 Long RP’上室性頻拍(PJRT)の一
例.第 108 回日本循環器学会中国・四国合同地方会.2016.6.10-11、松江
4.
坂本考弘、三浦重禎、安田優、朴美仙、大嶋丈史、中村琢、岡田大司、渡邊伸英、中
島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.Calcified amorphous tumor
との鑑別を要した感染性心内膜炎の 1 例.第 108 回日本循環器学会中国・四国合同地
方会.2016.6.10-11、松江
5.
安田優、坂本考弘、三浦重禎、大嶋丈史、朴美仙、岡田大司、中村琢、渡邊伸英、中
島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.発症から 6 年後に施行
したバルーン肺動脈形成術が有効であった慢性血栓塞栓性肺高血圧症の 1 例.第 108
回日本循環器学会中国・四国合同地方会.2016.6.10-11、松江
6.
三浦重禎、岡田大司、坂本考弘、安田優、大嶋丈史、朴美仙、中村琢、渡邊伸英、中
島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.心室中部閉塞性肥大型
心筋症へのペーシング療法の効果を心エコー図検査にて確認した 1 例.第 108 回日本
循環器学会中国・四国合同地方会.2016.6.10-11、松江
7.
岡田大司、吉冨裕之、山口一人、中村琢、遠藤昭博、高橋伸幸、田邊一明.両心機能
低下を呈した不整脈原生右室心筋症の一例.第 108 回日本循環器学会中国・四国合同
地方会.2016.6.10-11、松江
8.
大嶋丈史、安田優、三浦重禎、坂本考弘、朴美仙、中村琢、岡田大司、渡邊伸英、中
島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.フルオロウラシルのプ
ロドラッグによる薬剤性心筋症が疑われる一例.第 108 回日本循環器学会中国・四国
合同地方会.2016.6.10-11、松江
9.
中村琢、朴美仙、岡田大司、渡邊伸英、中島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉
冨裕之、田邊一明.心膜液排液後に肺うっ血を呈した心筋梗塞後の一例.第 108 回日
本循環器学会中国・四国合同地方会.2016.6.10-11、松江
10. 朴美仙、安田優、坂本考弘、三浦重禎、大嶋丈史、中村琢、岡田大司、渡邊伸英、中
島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.胸膜腫瘍精査中に発見
された右房内腫瘤の一例.第 108 回日本循環器学会中国・四国合同地方会.2016.6.10-11、
松江
11. 伊藤孝史.笑いの処方箋はいかがですか? 市民公開講座.第 108 回日本循環器学会中
国・四国合同地方会.2016.6.10.11、松江
12. 岡朋大、中西宣太、金聲根.微小変化型ネフローゼ症候群の加療中に HIT を発症した 1
例.第 61 回日本透析医学会総会.2016.6.10-12、大阪
13. 芦村龍一、高瀬健太郎、加藤志帆、吉金かおり、花田昌也、江川雅博、伊藤孝史、椎
名浩昭、岡田祐介、池尻文良.原発性マクログロブリン血症(WM)の初回治療に血漿交
換療法を施行した 2 症例.第 61 回日本透析医学会総会.2016.6.10-12、大阪
14. 吉金かおり、高瀬健太郎、芦村龍一、加藤志帆、花田昌也、江川雅博、伊藤孝史、濱
田智津子、椎名浩昭.rt-PA 治療後の腎機能障害と繰り返す意識消失発作に対し、LDL
アフェレシスが有効であった一例.第 61 回日本透析医学会総会.2016.6.10-12、大阪
15. 花田昌也、高瀬健太郎、芦村龍一、加藤志帆、吉金かおり、江川雅博、伊藤孝史、杉
原靖子、森田栄伸、椎名浩昭.第 61 回日本透析医学会総会.2016.6.10-12、大阪
16. 伊藤孝史.アフェレシス療法の今後の展望~承前啓後~
17. 三浦重禎、遠藤昭博、岡田大司、中島龍馬、菅森峰、高橋伸幸、織田禎二、田邊一明.
両側頸動脈閉塞を伴う大動脈炎症候群患者の繰り返すステント再狭窄に対して胃大網
動脈を用いた冠動脈バイパス術に成功した一例.第 25 回日本心血管インターベンショ
ン治療学会.2016.7.7-9、東京
18. 岡田大司、遠藤昭博、中村琢、中島龍馬、菅森峰、高橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.
冠動脈‐静脈洞廔に合併した冠動脈拡張症患者の産褥期に生じた急性冠症候群の一例.
第 25 回日本心血管インターベンション治療学会.2016.7.7-9、東京
19. 遠藤昭博、岡田大司、中島龍馬、三浦重禎、渡邊伸英、菅森峰、高橋伸幸、吉田泰之、
田邊一明.冠動脈ステント留置既往患者に対するスタチンによる急性冠症候群として
の再発予防効果.第 25 回日本心血管インターベンション治療学会.2016.7.7-9、東京
20. 坂本考弘、吉冨裕之、大嶋丈史、朴美仙、中村琢、岡田大司、渡邊伸英、遠藤昭博、
高橋伸幸、田邊一明.Calcified amorphous tumor との鑑別を要した感染性心内膜炎の 1
例.日本超音波医学会第 52 回中国地方会学術集会.2016.9.3、出雲
21. 新田江里、吉冨裕之、山口一人、福間麻子、三島清司、大嶋丈史、岡田大司、高橋伸
幸、長井篤、田邊一明.経過観察中に急性心筋梗塞を発症した右冠動脈‐冠静脈洞廔
の一例.日本超音波医学会第 52 回中国地方会学術集会.2016.9.3、出雲
22. 松田紘治、渡邊伸英、中村成伸、木谷昭彦、伊藤恵、末廣章一、吉冨裕之、椎名浩昭、
田邊一明.経胸壁心エコー図検査が診断の契機となった右房内進展を伴う右腎細胞癌
の一例.日本超音波医学会第 52 回中国地方会学術集会.2016.9.3、出雲
23. 朴美仙、坂本考弘、中村琢、岡田大司、渡邊伸英、中島龍馬、菅森峰、遠藤昭博、高
橋伸幸、吉冨裕之、田邊一明.NOAC 時代の日常臨床における、心房細動患者に対す
るワルファリンコントロール状況に関する検討.第 64 回日本心臓病学会学術集会.
2016.9.23-25、東京
24. 岡田大司、伊藤新平、中村琢、渡邊伸英、遠藤昭博、吉冨裕之、田邊一明.高齢地域
における急性非代償性心不全患者の入院長期化の要因.第 64 回日本心臓病学会学術集
会.2016.9.23-25、東京
25. 遠藤昭博、岡田大司、朴美仙、伊藤新平、中村琢、渡邊伸英、中島龍馬、菅森峰、高
橋伸幸、田邊一明.高齢者の虚血性心疾患再発予防に対するスタチン投与の有用性.
第 64 回日本心臓病学会学術集会.2016.9.23-25、東京
26. 山口一人、吉冨裕之、岡田大司、中村琢、朴美仙、坂本考弘、山口直人、松田紘治、
大嶋丈史、伊藤新平、香川雄三、渡邊伸英、大内武、遠藤昭博、高橋伸幸、田邊一明.
心房細動を伴う心不全患者における左房容積の変化と心不全再発予測についての検討.
第 64 回日本心臓病学会学術集会.2016.9.23-25、東京
27. 伊藤孝史、吉金かおり、椎名浩昭.低心機能、残腎機能低下など種々の合併症を乗り
越え PD 導入を成しえた糖尿病性腎症の一例.第 22 回日本腹膜透析医学会.2016.9.24-25、
札幌
28. 江川雅博,藤井俊吾,芦村龍一,高瀬健太郎,加藤志帆,吉金かおり,伊藤孝史,椎
名浩昭.皮下トンネル感染症を超音波検査で診断した PD 関連腹膜炎の一例.第 22 回
日本腹膜透析医学会.2016.9.24-25、札幌
29. Yamaguchi K, Tumenbayar M, Yoshitomi H, Okada T, Nakamura T, Ito S, Ouchi T, Watanabe
N, Endo A, Tanabe K. Left atrial remodeling and recurrence of congestive heart failure in
patients with atrial fibrillation. 第 20 回日本心不全学会学術集会.2016.10.7-9、札幌
30. Ito S, Kodani N, Okada T, Watanabe N, Endo A, Tanabe K. Clinical utility of 201TlCl and
99mTc-PYP SPECT imaging in patients with suspected amyloidosis. 第 20 回日本心不全学会
学術集会.2016.10.7-9、札幌
31. Okada T, Ito S, Watanabe N, Endo A, Tanabe K. B-type natriutretic peptide activation in
elderly patients with severe aortic valve stenosis. 第 20 回日本心不全学会学術集会.
2016.10.7-9、札幌
32. Sakamoto T, Endo A, Ito S, Okada T, Watanabe N, Tanabe K. Capecitabine induced takotsubo
cardiomyopathy. 第 20 回日本心不全学会学術集会.2016.10.7-9、札幌
33. Uchimura M, Sakamoto T, Ito S, Okada T, Ouchi T, Watanabe N, Endo A, Tanabe K.
Mid-ventricular obstructive hypertrophic cardiomyopathy associated with an apical aneurysm
in Costello syndrome: a case report. 第 20 回日本心不全学会学術集会.2016.10.7-9、札幌
34. 藤井俊吾、川西未波留、高瀬健太郎、芦村龍一、吉金かおり、江川雅博、伊藤孝史.
顕微鏡的多発血管炎で治療中に二次性血栓性微小血管症を発症し、血漿交換が著効し
た一例.第 49 回日本腎臓学会西部学術大会.2016.10.14-15、宮崎
35. 高瀬健太郎、藤井俊吾、芦村龍一、吉金かおり、江川雅博、伊藤孝史、椎名浩昭.低
Na 血症をきたし体液管理に難渋した CKD 急性増悪の一例.第 25 回中国腎不全研究会
学術集会.2016.10.15、広島
36. 伊藤孝史、宗村千潮、森石みさき、杉山斉、内山浩一、松井浩輔、濱崎加代子、福井
毅顕、矢田貝千尋、森岡万里、川合徹、渡部恵理子、丸山啓輔、藤本壮八、笠原由美
子、磯山直仁、新田靖之.PD 部会アンケート調査報告.第 25 回中国腎不全研究会学
術集会.2016.10.15、広島
37. 坂本考弘、吉冨裕之、山口直人、松田紘治、大嶋丈史、朴美仙、伊藤新平、岡田大司、
香川雄三、中村琢、大内武、渡邊伸英、遠藤昭博、田邊一明.Calcified amorphous tumor
との鑑別を要した感染性心内膜炎の 1 例.第 18 回島根心・腎・血管研究会.2016.10.22、
出雲
38. 高瀬健太郎、藤井俊吾、芦村龍一、吉金かおり、江川雅博、伊藤孝史、椎名浩昭.低
Na 血症をきたした体液管理に難渋した CKD 急性増悪の 1 例.第 18 回島根心・腎・血
管研究会.2016.10.22、出雲
39. 山口直人、坂本考弘、松田紘治、大嶋丈史、朴美仙、香川雄三、中村琢、伊藤新平、
岡田大司、大内武、渡邊伸英、遠藤昭博、吉冨裕之、田邊一明.感染性心内膜炎に合
併した左冠動脈主幹部閉塞による STEMI の 1 例.第 18 回島根心・腎・血管研究会.
2016.10.22、出雲
40. 朴美仙.弁狭窄(MS・AS)の評価.Echo Heart Izumo 2016. 2016.10.29、出雲
41. 大嶋丈史.外傷性三尖弁閉鎖不全症の一例.Echo Heart Izumo 2016. 2016.10.29、出雲
42. Endo A, Okada T, Ito S, Watanabe N, Ouchi T, Takahashi N. Yoshitomi H, Tanabe K. The
target value of low density lipoprotein cholesterol and preventive effect of statins were different
between elderly patients and younger patients. American Heart Association Scientific Sessions
2016. 2016.11.12-16, New Orleans, USA
43. 伊藤孝史.腎機能を考慮した浮腫治療.第54回日本人工臓器学会.2016.11.23-25、米子
44. 伊藤孝史.Overview〜今、アフェレシス実施時のリスクマネジメントを考える〜.第37
回日本アフェレシス学会学術大会.2016.11.25-27、横浜
45. 山口直人、伊藤新平、岡田大司、渡邊伸英,大内 武、遠藤昭博、田邊一明、園山浩紀、
木下芳一.拡張型心筋症による重症心不全加療中に門脈ガス血症を呈した 1 例.第 115
回日本内科学会中国地方会.2016.11.26、岡山
46. 川西未波留、芦村龍一、藤井俊吾、高瀬健太郎、吉金かおり、江川雅博、伊藤孝史.巣
状分節性糸球体硬化症の治療中に Ca 拮抗薬による薬剤性浮腫が疑われた 1 例.第 115
回日本内科学会中国地方会.2016.11.26、岡山
47. 朴美仙、香川雄三、坂本考弘、山口直人、大嶋丈史、伊藤新平、岡田大司、中村琢、
渡邊伸英、大内武、遠藤昭博、吉冨裕之、今井健介、田邊一明.ペースメーカ植込み 9
ケ月後に仮性動脈瘤を形成した一例.第 109 回日本循環器学会中国地方会.2016.12.3、
倉敷
48. 山口直人、香川雄三、坂本考弘、大嶋丈史、朴美仙、中村琢、伊藤新平、岡田大司、
大内武、渡邊伸英、遠藤昭博、田邊一明.左冠動脈主幹部閉塞の ST 上昇型心筋梗塞の
一例.第 109 回日本循環器学会中国地方会.2016.12.3、倉敷
49. 山口一人、吉冨裕之、岡田大司、中村琢、朴美仙、坂本考弘、山口直人、松田絋治、
大嶋丈史、香川雄三、伊藤新平、大内武、渡邊伸英、遠藤昭博、田邊一明.心房細動
を伴う心不全患者の心不全再発予測;心エコー図検査による検討.第109回日本循環器学
会中国地方会.2016.12.3、倉敷
50. 坂本考弘、山口直人、松田絋治、朴美仙、伊藤新平、岡田大司、香川雄三、中村琢、
大内武、渡邊伸英、遠藤昭博、吉冨裕之、田邊一明.心室中部閉塞性肥大型心筋症に
心室瘤を合併したCostello症候群の1例.第109回日本循環器学会中国地方会.2016.12.3、
倉敷
ESC2016 報告 田邊一明
2016 年 8 月 27 日~31 日ローマで ESC2016 が開催されました。イタリア中部で地震が
あり、テレビ画面に映し出されるのは石造りの家屋が倒壊し、町に壊滅的な被害が出てい
るという状況でした。地図上ではローマに近く一抹の不安を感じながらの出発でしたが、
ローマ市内には全く影響はないようでした。
さて、3 万 2 千人が集まるといたる所で聴こえてきましたが、世界最大の学会はローマ市
内から 1 時間を要する Fiera di Roma で開催されました。ローマ市内を走る 2 つの地下鉄
路線の 2 駅が会場を結ぶシャトルバスの乗り場に指定され、ローマ中心部から地下鉄に乗
っている時間は 20 分ほどですが、バスで 40 分、会場まで計 1 時間は要する不便な会場で
した。ESC はどこもこんな感じですが、今回は特別遠く感じました。その遠さの感覚を増
強したのが会場入り口のセキュリティ・チェックでした。空港ゲートと同じです。流れは
速いものの、時間帯によっては長い列ができます。さらに会場が広大で、目的のセッショ
ン開始に間に合うためには相当な余裕を持って会場入りする必要がありました。学会でセ
キュリティ・チェックがあったのは初めての経験で、世界情勢から今後こうなっていくの
でしょうか。
ESC は今年も 5 つの新しいガイドラインを出し、影響力のある学会として存在感を示し
ています。心房細動では CHA2DS2-VASc スコアの女性と男性のリスクの差はないという
ことで、男性が 2 点以上、女性は 3 点以上(最初から+1 点あるため)を抗凝固療法の適応
と し て い ま す 。 65 歳 以 上 で 何 か も う 一 つ リ ス ク が あ れ ば 抗 凝 固 の 推 奨 で す 。
CHA2DS2-VASc の Sc を取って CHA2DS2-VA にすればいいのにと思うのですが。また出
血のリスク HAS-BLED スコアがなくなり、コントロールできることをきちんとコントロー
ルしようという考えになりました(年齢はしょうがないので)。そのコントロールすべき因
子は高血圧、ワーファリンであれば INR のコントロール、抗血小板薬の併用、アルコール
多飲(8 回/週)です。 今回は大内先生、香川先生にも出席していただきました。ローマの強烈な陽射しを肌で
感じた ESC が、次の学会発表へのモチベーションになってくれたと思います。ガイドライ
ンを読むのにもジェラートの味を思い出しながら、と気持ちの入り方も違うことでしょう。
私自身は塩野七生さんのローマ史を読んで想像していた街をこの目で確かめることができ
感激しました。観光地はもちろん地下鉄駅の出口などには機関銃を持った軍人の警備があ
り、治安の悪さを感じることはありませんでした。それでもセキュリティ・チェックを受
けて入る学会会場や観光施設の中は安心ですが、そのチェックを受けるためにできる長い
列でテロが起きたら防ぎようがないという不安感はありました。これからも安心して学会
に参加できる日が続くことを願っています。来年はバルセロナ、再来年はミュンヘンです。
演題を持って行きましょう。
第 64 回日本心臓病学会報告 田邊一明
9 月 23 日~25 日、東京国際フォーラムで第 64 回日本心臓病学会が開催されました。発
表の先生方はそれぞれレベルの高い臨床研究の結果を発表していただき、論文化して成果
を残していただきたいと思います。
私が座長をした特別企画の「世界における弁膜症治療の現況」では Cedars-Sinai Medical
Center の Makkar 先生、塩田先生からアメリカの状況をお話いただきました。4 つの弁す
べてにカテーテル治療が応用されており、100 歳の AS+Severe MR に対して MitraClip で
MR を止めたあと、AS に TAVI が当然というように行われていました。次から次へとカテ
ーテル用の弁が開発されており、大丸神戸店の紳士靴売り場を思い浮かべます。欲しい靴
の欲しいサイズが当然のように手に入る世界がそこにはあります。日本でも近い将来アメ
リカのような状況になるのでしょうか。ドイツでは MitraClip の年間施行数が外科的な僧
帽弁形成術と同数になってきており、若い先生たちが目指す手技として注視していく必要
があると思いました。
Onco-cardiology のセッションも考えさせられるセッションでした。抗癌剤もどんどん新
しい世界に入っており、心毒性についてもいつどのタイミングでだれが評価するのかとい
う答えのない世界に入ってきています。今年の ESC ガイドラインも出てきていますのでご
参照ください。それにしても抗癌剤の種類、名前についていくのは大変です。アメリカで
は Onco-cardiology 専門の循環器内科を配置する施設も出てきたそうです。
AHA2016 報告
循環器内科 遠藤昭博
2016 年 11 月 12 日から 16 日まで New Orleans で開催されたアメリカ心臓協会学術集会
(AHA 2016)に参加してきました。今回は伊藤新平先生に同行していただき、2 人で計 14
時間飛行機を乗り継ぎ、マイナス 15 時間の時差を乗り越えて出雲から New Orleans を目
指しました。自分が循環器内科医として駆け出しの頃、AHA は名実ともに循環器領域にお
ける世界最大かつ最高の学会であり、演題を出しても出しても通らない、まさに憧れの存
在でした。最近は ESC に押され気味とはいえ、参加者は 18000 人、5000 もの演題が発表
され、70 ものセッションが広大な学会場の各所において同時進行で開催され、そこで発表
される内容のレベルの高さからも、まさに「big science」を体現する世界最高の学会の一つ
であることを再認識してきました。
今年の AHA は PCSK9 inhibitor にジャックされたかのような状態であり、シャトルバス
の外面も車内の広告もプラルエント一色でした。エクジビションの入り口すぐの一番目立
つ場所にもプラルエントの大きなブースが見られ、手渡されるビラも PCSK9 inhibitor 関
連のセッションで埋め尽くされていました。今回の学会の目玉演題の一つが Late breaking
clinical trial で発表された「GLAGOV」という PCSK9 inhibitor によるプラークの退縮効
果を IVUS で観察したもので、Cleveland Clinic の Steven E Nissen 先生(虚血性心疾患
に対する脂質低下療法の大御所です)が発表されました。それによると冠動脈疾患を有し
スタチン内服中の患者に PCSK9 inhibitor・evolocumab(レパーサ)を月に一度の頻度で
1.5 年投与することにより LDL-C が平均 98 から 36 に低下し、冠動脈内プラークが 64%の
症例で退縮し、平均退縮率は 0.95% (P<0.0001)であったと発表されました。このプラーク
退縮がイベント減少につながるかどうかが重要ですが、大いに期待の持てる結果だったと
思われます。この研究は発表と同時に JAMA に online publication されましたが、エンド
ポイントがプラーク退縮ではなく心血管イベント低下であれば NEJM だったでしょう。巨
大なホール満員だった聴衆のかなりがこの発表を聞き終わると退席してしまいました。同
じセッションでは「Orion-1」という RNA レベルでの PCSK9 合成阻害薬の効果と安全性
を検討した研究が報告されましたが、1 度投与するだけで LDL-C が 50%低下し、効果が 90
日後にも続いているとのことでした。PCSK9 関連の強力な LDL-C 低下療法はまだまだ on
going のようです。Late Breaking Clinical Trial の会場である Main Hall I は軽く 1000 人
以上入れる巨大な会場で、ESC でも見られたように演者と発表スライドがいくつものスク
リーンに同時に映し出される演出になっていました。そこで発表された研究は、多枝病変
に対する CABG で両側内胸動脈を使っても、LITA のみ使用した場合と 5 年生存に差がな
いとか、FFR を用いて治療方針を決定すると予後がかえって悪くなるとか、日常診療で常
識と思っていたことが次々と覆されるものでした。今後の診療を考え直す必要があるかも
しれません。
これらの熱い発表を聴講する中、自分の発表(ポスターですが・・・)は今回も学会参加最
終日の午後であり、常に心のどこかに何か重いものを抱えながらその日を迎えました。少
し緊張しながらポスターを持ってシャトルバスに乗り込み、会場の入口で伊藤先生と記念
撮影をしてからポスターを所定の場所に貼って、いざと待ち構えていたのですが、結局
Poster Professor は回って来ず、英語で激しいディスカッションを交わすことは残念ながら
ありませんでした。発表時間終了と共にポスターを剥がして、これでやっと僕の AHA が終
わったとホッとしました。
New Orleans はニックネームの「Big Easy」そのままの街で、そこらじゅうの店や路上
でジャズの生演奏が響き、大道芸人がパフォーマンスを行い、バーボン・ストリートは夜
が更けるほどに活気づいていきました。テレビではニューヨークなどでの反トランプのデ
モが映し出されていましたが、New Orleans の人々にとっては大統領が誰になるかより
NFL の Saints の勝ち負けの方が大切なようでした。そんな思い出深い New Orleans の中
でも Preservation Hall で聴いた熟練の jazz men により演奏されたスタンダードの数々と
Oyster bar で食べた grilled oyster の味は決して忘れることは無いでしょう。
過ぎてみればあっという間の 1 週間でしたが、AHA の素晴らしさ、海外学会に参加する
重要性を再認識することが出来ました。ぜひ次回はもっと多くの先生方と島根大学循環器
内科御一行様としてご一緒できればと思います。同行いただいた伊藤新平先生には発表だ
けでなくすべての面でサポートいただきましてありがとうございました。また、送り出し
ていただいた田邊教授、そして留守中にお世話いただいた先生方に心より感謝致します。
来年の AHA は 11 月にアナハイム(おそらくディズニーランドの隣)で開催されます。
同門会コーナー
同門会長挨拶 後藤クリニック 後藤泰利
同門会の皆様、元気にお過ごしでしょうか。早いもので 1 期生も 60 歳を超えてきました。
様々な病が出てくる年齢です。健康面で問題があり、なにか医師として不安があれば、ど
うか同門会にご相談ください。できる範囲でなんらかの形でサポートしたいと考えていま
す。
さて今回は医師の発達障害について少し私論を述べてみたいと思います。来年から東大
理Ⅲでも受験で面接が行われると聞いています。真実はわかりませんが、偏差値 75 以上の
日本最難関の学部ですが、将来は医師になるしかない以上、発達障害も確認したいと思っ
ているのかもしれません。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に障害があるため起きると考えられています。人と
の交流や意志疎通に困難を抱えるアスペルガー症候群や、ADHD(注意欠陥・多動障害)、
自閉症、学習障害などがあります。知的レベルが高い医師に多いのは、アスペルガー症候
群と ADHD です。アスペルガー症候群と ADHD は混在することも稀ではありません。超
難関大学では、アスペルガー症候群が潜在的に多く存在するのではないかと言われていま
す。また大人の ADHD の特性は、多動性(気が散りやすい)、衝動性(並んで待つことが
できない)、不注意(忘れ物や紛失物が多い、整理整頓ができない)があります。多くの医
師が思い当たることがあるのではないでしょうか。では、これらはどうして診断したらい
いのでしょうか。発達障害の診断には知能検査が欠かせないと言われています。知能検査
は、単にいわゆる IQ だけみるのではなく、群指数や下位検査評価点のばらつきをみること
でアスペルガー症候群、ADHD が診断できるようです。ではどこでこの診断をすべきかで
すが、私は医学部入学後できるだけ早期に全員になされるべきと考えています。これら発
達障害の人は、単に変人とか性格悪いなどとして心の病気と誤診されるのが悲劇です。脳
の異常なので、言えばわかるとか根性で直すとか言っても全く意味がないのです。アスペ
ルガー症候群は治療がありませんし、ADHD では多少、改善の余地ありますが、脳を直す
ことはできません。ではなぜ治療がないのに診断しないといけないのでしょうか。それは、
発達障害と診断されることで、知能の高い医師を、その特性に合わせて教育し、仕事もそ
の特性を生かすように配置することで、発達障害があっても活用できるからです。知的レ
ベルが高い人ほど障害に気づかれにくいし、社会にでると困難さが一気に表面化するので
す。早めに自分の特性を知ることが大切です。アスペルガー症候群は、自分ではなぜ自分
は孤立するのか理解できませんので、周りのひとがその特性を理解し、その特性を生かす
ように対応しないといけません。
医学部教育でもこのような観点で対応していかないといけない時期にきているように思
います。決して差別するものではありません。アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィ
ンチ、エジソンらも皆が発達障害と考えられています。医学部だからこそ、こんなことも
考えてはどうかと思っています。
第 7 回島根大学医学部内科学講座第四同門会総会開催の報告
同門会会長 後藤泰利
平成 28 年 10 月 22 日、ニューウエルシティー出雲にて、第 4 内科同門会総会が開催さ
れました。同門会総数 112 人中 51 人の参加で開催され、初めに前年の会計報告があり、委
任状も含め総会で承認されたことをご報告します。
今回は第 4 内科初代入局である吉金秀樹先生にご参加していただき、島根心・腎・血管
研究会で特別講演をお聞きすることができました。吉金先生は島根医科大学の 1 期生(1982
年卒)であり、いままでに人生を振り返り、若い先生たちに強いメッセージを与えてくれ
ました。大学時代は走査電顕による心筋細胞の膜構造、コラーゲン構造の詳細な観察をさ
れ、その構造的意味を本田先生とともに生化学的にも解明されました。特に高血圧、心不
全心臓における走査電顕による細胞内膜構造の観察は、世界で初めて捉えられた形態もあ
り、多くの注目を得ました。私も大学院では吉金先生に指導していただき、SHR(高血圧
自然発症ラット)における細胞内膜構造を走査電顕で観察し学位を取得することができま
した。1991 年地元の山口大学に帰られたあとも、大学時代のことを基礎に、多くの研究を
されて、1995 年からは徳山中央病院循環器部長としても活躍された後、1995 年、小郡にて
よしかね循環器内科を開業されました。開業後も研究は継続され、2008 年には日本心臓病
学会にて「生活習慣病、メタボリックシンドロームにおける高感度 C 反応性蛋白の臨床的
意義」が最優秀論文賞を受賞されています。開業医の受賞は極めて稀であり、吉金先生の
研究者としての偉大さを示していると思います。2013 年には、国保功労者厚生大臣表彰も
受けておられます。吉金先生は、医者は一人で生きているわけでなく、多くの医師と関わ
り助けられてきたと言われていました。医者どうしの「縁」が大切と強調されました。4 内
の若い先生も対外的にも多くの先生と連携し、多くのいい仕事ができるといいと思いまし
た。
懇親会では、腎臓内科、循環器内科の活動報告、新規入局として腎臓内科、藤井俊吾先
生、循環器内科の大内 武先生、香川雄三先生の挨拶がありました。盛大の内に会を終え
ることができたと思います。来年は平成 29 年 10 月 21 日(土曜日)を予定しています。多
くの方のご参加、宜しくお願いします。
第 18 回第4内科田邊杯ゴルフコンペ結果報告
同門会ゴルフ幹事 後藤泰利
2016 年 10 月 23 日、第 4 内科同門会総会の翌日、いずも大社カントリークラブにて 18
回目の第 4 内科ゴルフコンペが開催されました。スタート直後から小雨となり、後半こそ
雨は止みましたが強風となり、厳しい状況でのゴルフとなりました。今回は村上先生と並
び、第 4 内科ゴルフの元祖とも言える、1 期生の吉金先生が遥々山口の小郡から参加されま
した。第 1 組は吉金先生と伴に、田邊教授、村上先生、私がラウンドし、30 年前の第 4 内
科創生期にタイムスリップしたような気分でした。
優勝は松江市立病院の竹田先生でした。竹田先生のゴルフは凄まじく、その飛距離は超
人的です。寄せとパターに磨きがかかれば、毎回 70 台のスコアになるでしょう。いよいよ
ゴルフも世代交代の次期を迎えたかと思いました。ドラコンは竹田、北村先生、ニアピン
は梅野、吉金先生が取られました。ベスグロは 3 人が同スコアでしたが、遠方から参加し
ていただいた吉金先生とさせていただきました。吉金先生にはさらに第 4 内科ゴルフの優
勝トロフィーも持って帰っていただきました。第 4 内科でのゴルフの記念として飾ってい
ただけたらと思います。次回からは新しい優勝トロフィーを用意します。今後は若手先生
の名前が刻まれますよう期待しています。次回は 2017 年 5 月中旬の予定です。またご案内
します。多くの参加を宜しくお願いします。
順位
競技者名
美久我
国引
GROSS
HDCP
NET
優勝
竹田昌希
44
46
90
18
72
準優勝
後藤泰利
46
46
92
18
74
3位
村上林児
42
48
90
15.6
74.4
4位
吉金秀樹
46
44
90
15.6
74.4
5位
北村 順
47
47
94
18
76
6位
井上慎一
44
53
97
19.2
77.8
7位
波多野 淳
47
56
103
22.8
80.2
8位
田邊一明
53
56
109
27.6
81.4
9位
梅野哲郎
54
55
109
27.6
81.4
10位
山口直人
63
55
118
36
82
11位
佐藤秀俊
64
58
122
36
122
編集後記
私が受け持たせていただいた患者さんをヒロインとしたテレビドラマが放映されています。
どの患者さんにもドラマがあり、私たちはそのドラマの主人公にそっと寄り添う存在なの
だと思います。放映中のドラマのヒロインと受け持った患者さんとを結び付け、こんな人
生を送っておられたのかと思いを馳せます。もし自分が登場するとすればドラマの最終回
になるのかもしれません。思い返せば患者さん一人一人のドラマが医師としてのドラマを
構成していきます。若い先生方には、自分の医師人生の台本を書くとしたら最も輝かしい
ページはまだ書かれていない、という思いで丁寧に経験値を積み上げていってほしいと願
います。日記をつけましょう。読み返すと自分の壮大なドラマがそこにあるはずです。最
近はブログやfacebookなどSNSもありますが、外に出せる情報と内に秘めた情報は異なり
ます。私はずっと日記をつけ、時に自分のドラマの台本を読み返しています。(田邊)
島根大学医学部内科学講座第四
循環器内科・腎臓内科
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町 89-1
電話(0853)20-2206(医局資料室ダイヤルイン)
Fax(0853)20-2201(医局資料室)
循環器内科ホットライン 070-5672-8109
URL:http://www.med.shimane-u.ac.jp/internal_med4/index.html
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