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東南アジア造船関連レポート31
は じ め に (社)日本中小型造船工業会及び(社)日本舶用工業会では、我が国造船 業・舶用工業の振興に資するために、ボートレース事業の交付金による日本 財団の助成金を受けて「造船関連海外情報収集及び海外業務協力」事業を実 施しております。その一環としてジェトロ関係海外事務所を拠点として海外 の海事関係の情報収集を実施し、収集した情報の有効活用を図るため各種報 告書を作成しています。 本書は、 ( 社 )日 本 中 小 型 造 船 工 業 会 及 び( 社 )日 本 舶 用 工 業 会 と 日 本 貿 易 振興機構(ジェトロ)が共同で運営しているジェトロ・シンガポール事務所 船舶部(池田陽彦部長)及び舶用機械部(竹内智仁部長)が、シンガポール を中心とした東南アジアの経済と海事産業の最近の動向を取りまとめたもの です。 東南アジアを中心にアジア各国の経済と海事産業につき利用価値の高い情 報 を 提 供 す る こ と を 使 命 と し て 、1992 年 よ り 継 続 的 に 発 行 し て ま い り ま し た 「 東 南 ア ジ ア 造 船 関 連 レ ポ ー ト 」 も 本 書 で 31 冊 を 数 え ま す 。 シ ン ガ ポ ー ル の最新情報を紹介した本書は、当該地域に関心をお持ちの我が国の造船・舶 用事業者の皆様の参考になると思われますので、関係各位に有効にご活用い ただければ幸いです。 ジェトロ・シンガポール事務所船舶部 (社団法人 日本中小型造船工業会共同事務所) ディレクター 池 田 陽 彦 ジェトロ・シンガポール事務所舶用機械部 (社団法人 日本舶用工業会共同事務所) ディレクター 竹 内 智 仁 目 次 Ⅰ.シンガポールの経済 ···················································· Ⅱ.シンガポールの海運 ···················································· 15 Ⅲ.シンガポールの造船 ···················································· 27 Ⅳ.シンガポールの舶用工業 Ⅴ.シンガポールの港湾 1 ··············································· 43 ···················································· 83 Ⅰ.シンガポールの経済 - 1 - シンガポール経済の概況(2011 年) 1 経済全般 ( 1) 実 質 GDP と 成 長 率 2011 年 の 暫 定 GDP は 2,996 億 2,470 万 シ ン ガ ポ ー ル ド ル ( S ド ル ) と 、 前 年 比 4.9% 増 、額 に し て 139 億 6,620 万 S ド ル 増 と な っ た 。2008 年 は 世 界 的 な 金 融 危 機 の 影 響 で 1.7%と 落 ち 込 み 、2009 年 に は IT バ ブ ル 崩 壊 直 後 の 2001 年 以 来 の マ イ ナ ス 成 長 と な っ た も の の 、2010 年 に 入 っ て 景 気 は 急 速 に 回 復 し 、14.8%と 記 録 的 な 伸 び を 示 し た 。 2011 年 は 、 世 界 経 済 が 失 速 し 外 部 環 境 が 悪 化 す る 中 で 、 4.9%と 伸 び は 鈍 化 し た 。2012 年 6 月 現 在 、世 界 経 済 の 先 行 き が 不 透 明 な こ と か ら 、政 府 は 2012 年 の 成 長 率 を 1~ 3%と し 、 更 な る 減 速 を 見 込 ん で い る 。 図 1 実 質 GDP と 成 長 率 の 推 移 (単位:百万 S ドル、%) 350,000.0 16.0 14.8 299,624.7 300,000.0 251,374.0 250,000.0 12.0 248,911.2 10.0 285,658.5 百 200,000.0 万 S 150,000.0 ド ル 100,000.0 14.0 8.0 6.0 4.9 1.7 0.0 2008 基 準 年 : 2005 年 4.0 2.0 -1.0 50,000.0 伸 び 率 % 2009 実質GDP 0.0 2010 実質GDP成長率 2011p -2.0 P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) ( 2) 産 業 部 門 別 GDP 部 門 別 に 見 て も 、ほ ぼ 全 て の セ ク タ ー で 成 長 率 が 鈍 化 し た 。特 に 製 造 業 で は 、2010 年 の 前 年 比 29.7% か ら 2011 年 は 同 7.6%と 、最 も 落 ち 込 み が 大 き か っ た 。製 造 業 の 成 長 を 牽 引 し た の は 、昨 年 に 引 き 続 き バ イ オ メ デ ィ カ ル 産 業 で 前 年 比 32% 増 、次 い で 好 調 だ っ た の は 精 密 エ ン ジ ニ ア リ ン グ で 同 15% で あ っ た 。他 方 、エ レ ク ト ロ ニ ク - 3 - ス 産 業 は 半 導 体 の 需 要 が 低 迷 す る な ど 外 部 環 境 の 悪 化 に 伴 い 、前 年 比 13% 減 と 大 き く 落 ち 込 ん だ 。 シ ン ガ ポ ー ル の GDP の 6 割 強 を 占 め る サ ー ビ ス 業 の 実 質 GDP は 1,851 億 8,630 万 S ド ル 、 前 年 比 4.4% 増 と 、 2010 年 の 2 桁 成 長 か ら 伸 び が 大 幅 に 鈍 化 し た 。最 も 下 げ 幅 が 大 き か っ た の は 、卸 売 り 、小 売 業 で 、2010 年 の 15.1%増 か ら 2011 年 は 1.1% 増 に と ど ま っ た 。こ れ は 、小 売 業 は 堅 調 で 前 年 を 上 回 っ た も の の 、 卸 売 業 の 成 長 率 が 前 年 の 17% か ら 2011 年 は わ ず か に 0.8% 増 と な っ た た め で あ る 。 そ の 他 、2010 年 に マ リ ー ナ ベ イ と セ ン ト ー サ の 二 ヵ 所 に カ ジ ノ を 含 む 総 合 リ ゾ ー ト ( IR)が 開 業 し 前 年 比 14.7%増 と 大 き く 伸 び た そ の 他 の サ ー ビ ス は 2011 年 は 6.7% 増 、 ホ テ ル ・ レ ス ト ラ ン は 12.2% 増 か ら 5.8% 増 へ と 、 そ れ ぞ れ 成 長 率 が 前 年 を 大 き く 下 回 っ た 。ま た 、金 融 サ ー ビ ス は 、前 年 の 12.4%増 か ら さ ら に 2011 年 の 9.1% 増と、堅調であった。 表 1 産 業 部 門 別 実 質 GDP 額 の 推 移 (単位:百万 S ドル) 区 2008 分 2009 2010 2011p 73,465.3 72,467.9 90,392.9 96,506.8 製造業 60,738.5 58,217.8 75,492.8 81,236.0 建設業 8,975.3 10,509.4 10,918.2 11,205.8 3,644.7 3,635.8 3,880.2 3,960.2 106.8 104.9 101.7 104.8 161,302.9 159,660.6 177,365.5 185,186.3 卸売り、小売業 41,807.0 39,859.8 45,895.7 46,413.5 運輸、倉庫 25,082.2 22,588.0 24,367.4 25,509.1 ホ テ ル・レ ス ト ラ ン 4,661.1 4,569.1 5,124.9 5,421.5 情報、通信 9,371.5 9,701.8 10,030.3 10,178.4 金融サービス 29,581.1 30,223.5 33,960.0 37,038.1 ビジネスサービス 28,382.6 29,216.2 31,035.5 31,875.0 その他のサービス 22,417.4 23,502.2 26,951.7 28,750.7 6,289.8 6,315.3 6,295.5 6,281.7 251,374.0 248,911.2 285,658.5 299,624.7 生産業 公共事業 その他生産業 1 サービス業関連 不動産業 実 質 GDP 総 額 1) 農 業 、 漁 業 、 石 工 業 が 含 ま れ る P = 暫 定 値 出 典:Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) - 4 - 表 2 産 業 部 門 別 実 質 GDP 成 長 率 の 推 移 (単位:%) 区 2008 分 2009 2010 2011p -1.5 -1.4 24.7 6.8 製造業 -4.2 -4.2 29.7 7.6 建設業 20.1 17.1 3.9 2.6 1.9 -0.2 6.7 2.1 -4.3 -1.8 -3.1 3.0 4.6 -1.0 11.1 4.4 卸売り、小売業 3.2 -4.7 15.1 1.1 運輸、倉庫 5.1 -9.9 7.9 4.7 ホ テ ル・レ ス ト ラ ン 0.9 -2.0 12.2 5.8 情報、通信 8.0 3.5 3.4 1.5 金融サービス 5.2 2.2 12.4 9.1 ビジネスサービス 7.3 2.9 6.2 2.7 その他のサービス 2.1 4.8 14.7 6.7 -0.4 0.4 -0.3 -0.2 生産業 公共事業 その他生産業 1 サービス業関連 不動産業 1) 農 業 、 漁 業 、 石 工 業 が 含 ま れ る P = 暫 定 値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) 各 産 業 の 全 体 に 占 め る 寄 与 度 を み る と 、 生 産 業 の 割 合 が 2010 年 の 31.6%か ら 2011 年 に は 32.2%、サ ー ビ ス 業 関 連 は 62.1%か ら 61.8%と 、あ ま り 変 化 は 見 ら れ な か っ た が 、過 去 4 年 で は 生 産 業 の 寄 与 度 が 増 加 し 、サ ー ビ ス 業 関 連 が 減 少 す る 傾 向 に あ る 。 生 産 業 に お い て は 、 製 造 業 の 寄 与 度 が 0.7%増 加 し 、 建 設 業 が 0.1%減 少 し た 。サ ー ビ ス 業 関 連 に お い て は 、最 も 大 き い 卸 売 り・小 売 業 で 16.1% か ら 15.5%と 微 減 、 運 輸 ・ 倉 庫 は 8.5% で 横 ば い 、 法 務 会 計 な ど の ビ ジ ネ ス サ ー ビ ス で 10.9%か ら 10.6%に わ ず か に 減 少 し た 。 - 5 - 表 3 産 業 部 門 別 実 質 GDP へ の 寄 与 度 (単位:%) 2009 2010 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 29.2% 29.1% 31.6% 32.2% 製造業 24.2% 23.4% 26.4% 27.1% 建設業 3.6% 4.2% 3.8% 3.7% 1.4% 1.5% 1.4% 1.3% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 64.2% 64.1% 62.1% 61.8% 卸売り、小売業 16.6% 16.0% 16.1% 15.5% 運輸、倉庫 10.0% 9.1% 8.5% 8.5% ホ テ ル・レ ス ト ラ ン 1.9% 1.8% 1.8% 1.8% 情報、通信 3.7% 3.9% 3.5% 3.4% 金融サービス 11.8% 12.1% 11.9% 12.4% ビジネスサービス 11.3% 11.7% 10.9% 10.6% その他のサービス 8.9% 9.4% 9.4% 9.6% 2.5% 2.5% 2.2% 2.1% 区 2008 分 GDP( 実 質 ) 生産業 公共事業 その他生産業 1 サービス業関連 不動産業 2011p 1) 農 業 、 漁 業 、 石 工 業 が 含 ま れ る P = 暫 定 値 注 : 統 計 局 が GDP の 算 出 に 考 慮 し て い る 金 融 仲 介 業 手 数 料 等 控 除 ( FISIM:Financial Intermediation services Indirectly Measured) 及 び 課 税 分 加 算 額 を 上 記 表 で は 省 略 し た た め 、全 て の 項 目 を 加 算 し て も 100% に は ならない。 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) ま た 、 2011 年 の 国 内 総 支 出 は 対 前 年 比 プ ラ ス 4.9% で 、 2010 年 の プ ラ ス 14.8% を 大 幅 に 下 回 っ た 。民 間 消 費 支 出 、政 府 消 費 支 出 は そ れ ぞ れ 対 前 年 比 プ ラ ス 4.1% 、 同 0.9%で 、政 府 消 費 支 出 の 伸 び 率 の 低 下 が 顕 著 だ っ た 。総 固 定 資 本 形 成 の 伸 び 率 も 2010 年 の プ ラ ス 7.0%か ら 3.3%と 伸 び 率 は 鈍 化 し て い る 。輸 入・輸 出 も 同 様 に 、前 年 は 二 桁 の 高 い 伸 び を 示 し た が 、2011 年 は そ れ ぞ れ 2.6% 、2.4% の 増 加 に と ど ま っ た。 - 6 - 表 4 実 質 国 内 総 支 出 ( GDE) の 推 移 ( 前 年 比 ) (単位:%) 区 分 2008 2009 2010 2011p 1.7 -1.0 14.8 4.9 民間消費支出 3.3 0.1 6.5 4.1 政府消費支出 6.4 3.6 11.0 0.9 13.0 -2.9 7.0 3.3 モノ・サービスの輸出 4.7 -7.8 19.1 2.6 モノ・サービスの輸入 9.5 -11.1 16.2 2.4 国 内 総 支 出 ( GDE) 総固定資本形成 輸 出 -輸 入 P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) 2 雇 用 ・賃 金 ・生 産 性 ( 1) 概 況 シ ン ガ ポ ー ル で は 、1972 年 に 設 立 さ れ 、政 労 使 三 者 の 代 表 で 構 成 さ れ て い る 全 国 賃 金 審 議 会( NWC)が 賃 上 げ に 関 す る 勧 告 を 行 っ て い る 。こ の 勧 告 は 強 制 力 を 持 つ も の で は な い が 、毎 年 行 わ れ る シ ン ガ ポ ー ル の 賃 金 決 定 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 。 基本的なスタンスは、企業や従業員の業績に応じた賃金体系の導入で、公共、民間 部門を問わず社会経済状況に考慮した秩序ある賃上げを毎年奨励している。 2010 年 の 勧 告 で は 経 済 の 力 強 い 景 気 回 復 を 背 景 に 、業 績 が 上 向 い て き た 企 業 に 賃 金 の 引 き 上 げ を 求 め 、2011 年 4 月 の 勧 告 に お い て も 、堅 調 な 経 済 と 企 業 の 業 績 を 背 景 に 総 賃 金 の 引 き 上 げ を 求 め た 。2012 年 5 月 の 勧 告 で は 、企 業 に 対 し 現 在 の 労 働 市 況およびそれぞれの事業実績と今後の展望を考慮して、長期的な実質賃金を引き上 げを求めた。企業の業績と労働者の貢献に応じて適切な場合はボーナスなどの可変 的手段を通じた報奨を与えるべき、とも述べた。また、低所得者層の賃金に関して は 、 基 本 給 が 月 給 1,000S ド ル 以 下 の 労 働 者 に 対 し て は 、 最 低 50S ド ル の 賃 上 げ を す べ き と の 具 体 的 な 提 言 が な さ れ た 。 さ ら に 、 雇 用 主 に 対 し 一 定 の 要 件 の 下 62 歳 か ら 65 歳 ま で の 労 働 者 の 再 雇 用 を 求 め る「 定 年・再 雇 用 法 」に つ い て も 言 及 し た 。 同 法 は 2012 年 1 月 に 施 行 さ れ た 。中 央 積 立 基 金( CPF)に 関 し て は 、2012 年 9 月 か ら 雇 用 者 負 担 が 51 歳 か ら 55 歳 ま で は 2% 、 56 歳 か ら 60 歳 ま で は 1.5% 、 61 歳 か ら 65 歳 ま で は 0.5% そ れ ぞ れ 引 き 上 げ ら れ 、労 働 者 負 担 が 51 歳 か ら 60 歳 ま で を 対 象 に 0.5% 引 き 上 げ ら れ る 。 - 7 - ( 2) 労 働 事 情 労 働 事 情 を 見 る と 、 景 気 回 復 を 背 景 に 、 2011 年 の 新 規 雇 用 者 数 は 12 万 1,300 人 と 、 前 年 実 績 の 11 万 5,900 人 か ら さ ら に 増 加 し た 。 部 門 別 で 見 る と 、 製 造 業 で は 2009 年 、2010 年 と 厳 し い 雇 用 情 勢 が 続 い た が 、2011 年 は 2 万 6,200 人 増 と 回 復 の 兆 し を 見 せ て い る 。一 方 サ ー ビ ス 業 全 体 で は 、2011 年 は 9 万 5,100 人 増 と 、新 規 雇 用 者 数 の 74% を 占 め た 。2011 年 の 年 平 均 失 業 率 は 2.0% と 、昨 年 同 様 の 低 水 準 で 推 移している。 表 5 シンガポールの労働事情の推移 区 分 2008 2009 2010 2011 労働力 労 働 人 口 ( 年 中 央 値 、 1000 人 ) 2,939.9 3,030.0 3,135.9 3,237.1 就労者 就 労 者 数 ( 年 末 値 、 1000 人 ) 2,952.4 2,990.0 3,105.9 3,228.5 年平均 2.2 3.0 2.2 2.0 12 月、季節調整値 2.7 2.3 2.2 2.0 年平均 3.2 4.3 3.1 2.9 12 月、季節調整値 3.9 3.3 3.0 2.9 13,920 20,160 7,740 8,350 名目(前年比、%) 4.2 -0.4 5.5 5.3 実質(前年比、%) -2.4 -1.0 2.7 0.1 221,600 37,600 115,900 121,300 85,200 -21,000 3,300 26,200 製造業 19,500 -43,900 -800 2,900 建設業 64,000 24,000 3,400 22,200 その他 1,600 -1,100 700 1,100 136,400 58,600 112,600 95,100 卸売り、小売業 16,400 5,700 14,500 15,500 運輸、倉庫 13,700 -2,400 6,200 5,700 ホテル・レストラン 16,900 3,200 12,700 9,700 5,700 2,900 8,800 7,800 金融サービス 11,500 2,200 11,400 10,600 ビジネスサービス 36,100 15,100 25,000 22,000 その他のサービス 36,100 31,900 34,000 23,800 失業率%(全体) 失業者 失業率%(居住者) 解雇者 賃金 解雇者数 新規雇用者数総数 生産業 新規 雇用者数 サービス業 情報、通信 出 典 : 労 働 省 ( Ministry of Manpower)、 新 規 雇 用 者 数 は Economic Survey of Singapore 2011 (シンガポール貿易産業省) - 8 - 3 物価 消 費 者 物 価 指 数 は 2003 年 か ら 2007 年 ま で 前 年 比 0.5~ 2% 台 の 低 い 伸 び に と ど ま っ て い た が 、 2008 年 に 6.6% 上 昇 し た 。 2009 年 に は 景 気 後 退 の 影 響 で 0.6%増 に と ど ま っ た も の の 、経 済 の 回 復 と 共 に 2010 年 と 2011 年 は そ れ ぞ れ 2.8%、5.2% の 上 昇 と な っ た 。 項 目 別 で 見 る と 、 最 も 上 昇 率 が 高 か っ た の は 運 輸 の 11.9%で 、 背 景 に は 自 動 車 取 得 権 利 証( COE)石 油 の 価 格 高 騰 が あ る 。次 い で 上 昇 率 が 高 か っ た の は 住 宅 で 、 2010 年 の 2.0%か ら 2011 年 に は 8.3%増 と な っ た 。 ま た 、 世 界 的 な 食 料 価 格 高 騰 を 背 景 に 食 料( 加 工 品 を 除 く )が 3.6%上 が っ た ほ か 、大 学 や 幼 稚 園 な ど の 学 費 が 値 上 が り し 、 教 育 が プ ラ ス 2.9% と な っ た 。 2012 年 に 入 っ て か ら も 引 き 続 き 国 内 物 価 は 上 昇 傾 向 に あ る が 、金 融 管 理 局( MAS) は 、上 昇 率 は 下 半 期 に か け て 鈍 化 す る と 見 て お り 、2011 年 6 月 現 在 、年 間 上 昇 率 見 通 し を 「 前 年 比 3.5% ~ 4.5%の 上 昇 」 と し て い る 。 表 6 区 消費者物価指数上昇率(%)の推移 分 ウェイト 2008 2009 2010 2011p 8.5% 9.7 2.5 2.3 3.6 13.5% 6.1 2.1 0.8 2.8 衣料 3.4% 1.5 0.8 0.5 0.2 住居 25.5% 13.3 1.7 2.0 8.3 運輸 15.5% 4.2 -3.2 10.3 11.9 通信 4.8% 0.2 0.2 -2.2 -1.5 教育 7.4% 3.3 0.8 2.7 2.9 医療 5.9% 5.6 2.0 1.9 2.4 15.6% 3.6 -0.3 1.2 1.4 100.0% 6.6 0.6 2.8 5.2 食料(加工食品を除く) 加工食品 その他 全体 P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) 4 貿 易 ・国 際 収 支 2011 年 の 国 際 収 支 は 214 億 8,770 万 S ド ル の 黒 字 で あ っ た 。 前 年 の 574 億 8,050 万 S ド ル に 比 べ て 黒 字 額 は 359 億 9,280 万 S ド ル 減 少 し た 。経 常 収 支 は 前 年 比 5.3% 減 の 716 億 7,950 万 S ド ル の 黒 字 と な っ た 。 こ れ は 、 貿 易 収 支 の 黒 字 が 前 年 に 比 べ 11 億 9,310 万 S ド ル 減 っ た ほ か 、所 得 収 支 と 移 転 収 支 で 赤 字 幅 が 拡 大 し た た め で あ る。 一 方 、 資 本 収 支 は 503 億 6,050 万 S ド ル の 赤 字 と な っ た 。 こ れ は 、 直 接 投 資 の 純 受 取 額 が 487 億 7,140 万 S ド ル だ っ た 一 方 、 証 券 投 資 や 金 融 派 生 商 品 、 そ の 他 投 資 の 純 流 出 額 に よ り 、 投 資 収 支 全 体 の 赤 字 が 約 991 億 3,190 万 S ド ル あ っ た た め で あ る。 - 9 - 表 7 国際収支の推移(所得収支、移転収支を確認) (単位:百万 S ドル) 2008 2009 2010 58,948.3 68,755.4 86,033.6 84,840.5 輸出 502,067.2 419,493.0 505,937.3 540,049.1 輸入 443,118.9 350,737.6 419,903.7 455,208.6 -3,781.3 -4,637.0 2,083.9 2,319.8 所 得 収 支 ( C) -12,617.7 -14,470.6 -5,390.4 -7,038.8 移 転 収 支 ( D) -5,273.8 -5,811.8 -7,040.4 -8,442.0 37,275.5 43,836.0 75,686.7 71,679.5 -21,860.8 -32,985.8 -17,626.8 -50,360.5 3,116.4 5,606.0 -579.4 168.7 18,531.1 16,456.2 57,480.5 21,487.7 区 分 貿 易 収 支 ( A) サ ー ビ ス 貿 易 収 支 ( B) 経 常 収 支 ( E=A+B+C+D) 資 本 ・ 金 融 収 支 ( F) 誤 差 ・遺 漏 ( G) 総 合 収 支 ( H=E+F+G) 2011p P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) 為 替 レ ー ト を 見 る と 、2006 年 か ら 2008 年 は 日 本 円 に 対 し て シ ン ガ ポ ー ル ド ル 高 の 基 調 が 続 い て い た が 、 2008 年 後 半 以 降 円 高 が 進 ん だ 。 2011 年 通 年 で は 、 円 の 対 S ド ル 相 場 は 100 円 あ た り 1.5780S ド ル ( 1S ド ル = 63.4 円 ) と 前 年 よ り も 1.5 ポ イ ン ト 円 高 が 進 ん だ 。 一 方 、 2011 年 の 対 米 ド ル 平 均 は 1 ド ル あ た り 1.2579S ド ル と 前 年 の 同 1.3635S ド ル を 大 き く 上 回 る シ ン ガ ポ ー ル ド ル 高 と な っ た 。 図 2 シンガポールドルの交換レートの推移 2.5 2 S$/各通貨 マレーシア・リンギット 1.5 USドル ユーロ 100日本円 1 100韓国ウォン 香港ドル 0.5 0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011 ( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) - 10 - 5 運輸関連産業 ( 1) 旅 行 者 の 動 向 シ ン ガ ポ ー ル を 訪 れ る 外 国 人 で 最 も 多 い の は イ ン ド ネ シ ア 人 で あ る 。第 2 位 の マ レ ー シ ア 人 の 来 訪 者 数 は 、 統 計 に 「陸 路 」が 含 ま れ な い た め 、 実 際 よ り も 過 小 評 価 さ れている。次いで多いのは、中国やオーストラリア、インドからの旅行者である。 2011 年 の 外 国 人 シ ン ガ ポ ー ル 来 訪 者 数 は 、 2010 年 に 比 べ 、 13.1%増 の 1,317 万 人 と な っ た 。 2008 年 、 2009 年 は 世 界 的 な 景 気 後 退 に よ り 前 年 比 割 れ が 続 い て い た が 、2010 年 に 入 っ て ア ジ ア で の 景 気 回 復 が 鮮 明 と な り 、マ リ ー ナ ベ イ と セ ン ト ー サ の 総 合 リ ゾ ー ト ( IR) が 開 業 し た こ と な ど が 来 訪 者 数 の 増 加 に つ な が っ た 。 日 本 人 は 、 1997 年 ま で は 年 間 100 万 人 強 を 数 え て い た 時 期 も あ っ た が 、 98 年 よ り、日本の景気低迷やアジア経済危機に伴う出張者の減少などにより来訪者数は減 少 、 2003 年 は 同 年 4 月 に 発 生 し た 肺 炎 SARS を 背 景 に 前 年 比 40% 減 の 43 万 人 と 大 幅 に 落 ち 込 ん だ 。そ の 後 は 50 万 人 台 後 半 で 推 移 し 、2009 年 に は 同 14.2% 減 の 約 49 万 人 と 50 万 人 を 下 回 っ た が 、2010 年 に 入 っ て 53 万 人( 8.0%増 )と 回 復 を 見 せ 、 2011 年 は 24.1%増 の 66 万 人 と 大 幅 に 増 加 し た 。 2011 年 の シ ン ガ ポ ー ル の 空 の 玄 関 で あ る チ ャ ン ギ 空 港 の 旅 行 者 扱 い 数 は 、前 年 比 10.7%増 の 4,650 万 人 と 2 年 連 続 の 二 桁 増 と な り 、 昨 年 に 引 き 続 き 過 去 最 高 を 更 新 した。成長を牽引したのは、堅調なアジア太平洋地域の需要で、東南アジアおよび 東 ア ジ ア で と も に 二 桁 増 を 記 録 し た 。2012 年 に 入 っ て か ら も 引 き 続 き 好 調 を 維 持 し 、 1 月 ~ 5 月 の 旅 客 者 数 は 2,060 万 人 で 、 前 年 同 期 比 12.0%の 増 加 と な っ て い る 。 チ ャ ン ギ 空 港 で は 2006 年 3 月 に 格 安 航 空 会 社 向 け の バ ジ ェ ッ ト タ ー ミ ナ ル が 開 業 、2008 年 1 月 に は 大 型 旅 客 機 A380 の 導 入 に 合 わ せ 、地 上 4 階 、地 下 3 階 、総 床 面 積 38 万 平 方 メ ー ト ル の 第 三 タ ー ミ ナ ル が オ ー プ ン し た 。 同 空 港 で は 、 格 安 航 空 会 社 の 利 用 者 が 年 々 増 加 し 2011 年 に は 利 用 者 全 体 の 25.6%を 占 め る 中 、 バ ジ ェ ッ ト タ ー ミ ナ ル を 閉 鎖 し 新 た に 1600 万 人 の 旅 客 取 り 扱 い 能 力 の 第 4 タ ー ミ ナ ル を 建 設 す る こ と を 発 表 し 第 四 タ ー ミ ナ ル は 2013 年 建 設 開 始 し 、2017 年 開 業 す る 予 定 で ある。第一ターミナルの拡張工事も進められており、完成すれば第四ターミナル建 設 と 合 わ せ て 、 年 間 旅 客 取 扱 能 力 を 6,600 万 人 か ら 8,500 万 人 に ま で 引 き 上 げ る 予 定だ。 なお、これまでチャンギ空港は民間航空局が直接運営してきたが、空港運営事業 と 行 政 部 門 を 分 離 す る こ と と な り 、2009 年 7 月 に チ ャ ン ギ 空 港 運 営 会 社「 チ ャ ン ギ 空港グループ」が設立された。柔軟な会社組織でチャンギ空港を運営する仕組みを つくることで、シンガポールはアジア域内で激化する航空ハブ(中核)競争を勝ち 抜く戦略である。 - 11 - 表 8 シンガポールへの主な国・地域別来訪者数の推移 区 2008 分 2009 2010 2008 2011p 2009 千人 2010 2011p 前年対比(%) 571.0 490.0 529.0 656.4 -3.9 -14.2 8.0 24.1 3,571.4 3,684.8 4,821.8 5413.1 -4.1 3.2 30.9 12.3 1,078.7 936.7 1,171.5 1577.4 -3.2 -13.2 25.1 34.7 オーストラリア 833.2 830.3 880.6 956.0 8.4 -0.3 6.1 8.6 英国 492.9 469.8 461.8 442.6 -0.6 -4.7 -1.7 -4.2 米国 396.6 370.7 417.2 440.5 -3.0 -6.5 12.5 5.6 10,116.1 9,682.7 11,641.7 13,169.7 -1.6 -4.3 20.2 13.1 日本 ASEAN 中国 1 全来訪者数 1) 香 港 を 含 ま な い P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) ( 2) 貨 物 輸 送 ① 航空輸送 航 空 貨 物 取 扱 量 は 、 対 前 年 比 2.9%増 の 187 万 ト ン と な っ た 。 表 9 シンガポールにおける航空機による貨物取扱量等の推移 区 分 貨物取扱量 単位 1970 1980 1990 2000 2009 2010 2011p 千トン 21.0 181.8 624.5 1,688.5 1,636.6 1816.2 1,868.2 荷揚げ 千トン 8.2 90.7 324.4 894.4 848.2 942.8 985.0 荷積み 千トン 12.8 91.1 300.1 943.9 788.3 873.4 883.2 千回 17.1 38.0 51.7 90.3 123.7 135.5 154.5 総着陸回数 P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011 ( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) ② 海上輸送 2011 年 の シ ン ガ ポ ー ル 港 の コ ン テ ナ 取 扱 量 は 、 2010 年 の 2,843 万 TEU( 20 フ ィ ー ト コ ン テ ナ 換 算 個 数 )か ら 5.3% 上 昇 し 2,993 万 TEU と な っ た 。ま た 、入 港 船 腹 量 は 2010 年 の 19 億 1,940 万 総 ト ン か ら 2011 年 に は 21 億 2,030 万 へ と 10.5% 増 加 し た 。 シ ン ガ ポ ー ル は 主 要 な 船 舶 登 録 国 と し て 発 展 を 続 け て お り 、2011 年 末 で 世 界 第 5 位 、 2,877 隻 、 5,383 万 総 ト ン と な っ て い る 。 - 12 - 表 10 シ ン ガ ポ ー ル の 海 上 貨 物 取 扱 量 等 の 推 移 区 分 海上貨物取扱量 単位 MFT 2 1970 1980 1990 2000 2010 2011p 43.5 86.3 187.8 325.6 503.3 530.5 一 般 ・ば ら 積 MFT 10.5 33.8 212.3 285.4 326.3 347.3 石油ばら積 MFT 33.0 52.5 113.3 137.7 177.1 183.2 コンテナ取扱量 千 TEU - 968 5,224 17,087 28,430.8 29937.7 - 241.2 491.2 910.2 1,919.4 2120.3 入港船腹量 1 百万 総トン 1) 入 港 船 腹 量 に は 、 全 て の 国 際 航 海 に 従 事 す る 船 舶 と 75 総 ト ン 以 上 の 旅 客 船 が 含 ま れ る 2) MFT : Million Freight Tonnes P = 暫定値 出 典 : Economic Survey of Singapore 2011 ( シ ン ガ ポ ー ル 貿 易 産 業 省 ) ( 3) 造 船 業 2008 年 の 後 半 か ら リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 の 世 界 景 気 後 退 の 影 響 で 減 速 し 始 め た 造 船 業 は 、2009 年 前 半 も 発 注 元 の 資 金 難 や 契 約 解 除 、新 規 受 注 の 低 迷 と い っ た 状 況 が 続 い た が 、 2009 年 後 半 か ら は 景 気 の 回 復 と と も に 受 注 も 持 ち 直 し 始 め た 。 2010 年 4 月におきたメキシコ湾での原油流出事故の影響も懸念されたが、深海開発の凍結 は 同 年 10 月 に 解 除 さ れ た 。2010 年 第 4 四 半 期 以 降 は 、高 止 ま り し て い る 原 油 価 格 と石油探鉱の増加なども追い風となって、シンガポールの造船業界ではオフショア 部門を中心に好調が続いている。シンガポールの造船業の内訳を見ると、従来は修 繕 及 び 改 造 部 門 が 最 も 大 き か っ た が 、2008 年 に は オ フ シ ョ ア 部 門 が 逆 転 し た 。2011 年 も オ フ シ ョ ア 部 門 が ト ッ プ を 占 め 、造 船 業 売 り 上 げ 全 体 の 半 分 を 超 え る 56%( 前 年 は 60% )に 達 し た が 、売 上 高 は 対 前 年 比 8% 減 の 74 億 5,900 万 S ド ル と な っ た 。 一 方 、修 繕 及 び 改 造 部 門 は 対 前 年 比 7% 増 の 51 億 9,500 万 S ド ル で 、全 体 の 39% ( 前 年 は 36% )を 占 め た 。新 造 船 部 門 は 、6 億 6,600 万 S ド ル と 対 前 年 比 24% 増 、 全 体 に 占 め る 割 合 は 前 年 の 5% と な っ た 。 ま た 、労 働 者 数 を み る と 、2004 年 か ら 5 年 連 続 し て 増 加 し て い た 労 働 者 数 は 2008 年 の 141,000 人 を ピ ー ク に 減 少 し て お り 、2011 年 は 再 び 増 加 に 転 じ 前 年 比 4%増 の 111,000 人 と な っ た 。 - 13 - Ⅱ.シンガポールの海運 - 15 - シンガポール海運業の概況(2011 年) 1 シンガポール港の貨物取扱量 2011 年 の シ ン ガ ポ ー ル の 貿 易 は 、 輸 出 は 前 年 比 7.5%増 の 5,147 億 シ ン ガ ポ ー ル ド ル ( S ド ル )、 輸 入 は 前 年 比 8.6%増 の 4,597 億 S ド ル と 、 昨 年 に 引 き 続 き 堅 調 で あ っ た。 貿易が伸びたことにより、海上貨物やコンテナ貨物の取扱量も前年の減少から増加 に 転 じ た 。シ ン ガ ポ ー ル に お け る 海 上 貨 物 取 扱 量 は 、前 年 比 5.3%増 の 5 億 3,050 万 ト ン 、コ ン テ ナ 貨 物 取 扱 量 は 前 年 比 5.3% 増 の 2,994 万 TEU と な っ た 。ま た 、シ ン ガ ポ ー ル へ の 寄 港 船 腹 量 は 前 年 比 10.5% 増 の 21 億 2,030 万 総 ト ン と な り 、 前 年 に 引 き 続 き伸びている。 一 方 、 航 空 分 野 に つ い て は 、 航 空 貨 物 取 扱 量 は 前 年 比 2.9%増 の 187 万 ト ン と な っ た。シンガポールにおける国際貿易は、その殆どが海上貨物の輸送により行われてお り、海上貨物やコンテナの取扱量の増減から経済の状況が伺える。 こ れ ら の 貨 物 は 、国 内 外 約 200 の 船 社 に よ り 世 界 約 600 港 と の 間 で 輸 送 さ れ て い る 。 2 シンガポールの商船隊 2011 年 末 時 点 で 、 4,111 隻 、 5,736 万 GT の 船 舶 が シ ン ガ ポ ー ル 船 籍 と し て 登 録 さ れ て い る 。 こ れ は 2010 年 末 と 比 べ 、 そ れ ぞ れ 133 隻 増 、 858 万 GT 増 と な る 。 一 隻 あ た り の 平 均 規 模 は 、2010 年 の 12,262GT か ら 2011 年 に は 13,953GT と な っ て お り 、 登録船舶には近年大型化の傾向が見られる。 シ ン ガ ポ ー ル 籍 船 は 、92 年 に 1,000 万 GT を 超 え て 以 来 、毎 年 100 万 GT 台 の ペ ー ス で 増 加 を 続 け て き た が 、 96 年 に 入 っ て 増 加 の ピ ッ チ を 急 速 に 早 め 、 1,800 万 GT を 超 え 、 さ ら に 97 年 8 月 に 1,900 万 GT と な っ た 。 そ し て 、 シ ン ガ ポ ー ル の 海 事 港 湾 庁( MPA;Maritime and Port Authority)の“ 2000 年 ま で に 2,000 万 GT を 超 え る ” と い う 当 初 の 目 標 を 遥 か に 早 回 り 、97 年 10 月 に は 2,000 万 GT の 大 台 に 乗 り 、98 年 は 2,200 万 GT、 99 年 に は 2,300 万 GT を 超 え た 。2000 年 か ら 2002 年 ま で は 登 録 船 舶 ト ン 数 は 伸 び 悩 ん だ が 、 2003 年 か ら は 船 舶 の 大 型 化 も 手 伝 っ て 伸 び が 続 き 、 2007 年 、2008 年 に は 前 年 比 13.8% 、10.4% 増 加 し て い る 。景 気 後 退 に よ り 2009 年 は 前 年 比 4.4% 増 、2010 年 は 6.9%増 に と ど ま っ た が 、2011 年 は 17.6% と 大 幅 な 伸 び を 記 録 し た 。2012 年 に 入 っ て か ら も 順 調 に 伸 び て お り 、5 月 時 点 で 6,029 万 ト ン と 6,000 万 GT を 突 破 し た 。 一 方 、隻 数 は 98 年 か ら 毎 年 減 少 し 、2001 年 に 歯 止 め が か か っ た も の の 、2003 年 に は 再 び 減 少 し 、 2004 年 以 降 は 毎 年 増 加 を 続 け て い る 。 2007 年 と 2008 年 に は そ れ ぞ れ 前 年 比 9.4% 増 、 同 8.2% 増 と 高 い 増 加 率 を 記 録 し た が 、 2009 年 は 前 年 比 2.8%増 、 2010 年 は わ ず か 同 0.7%増 に と ど ま っ た 。 2011 年 は 、 2 月 に 4,000 隻 を 突 破 し 、 12 月 時 点 で 前 年 比 3.3%増 の 4,111 隻 と な っ た 。 - 17 - 表 1 シンガポールの籍船の推移 ( 単 位 : 隻 、 万 GT) 区分 隻数 総トン数 2001 3,353 2,317 2002 3,355 2,355 2003 3,063 2,557 2004 3,109 2,771 2005 3,219 3,296 2006 3,249 3,479 2007 3,553 3,960 2008 3,843 4,370 2009 3,950 4,563 2010 3,978 4,878 2011 4,111 5,736 出 典 :シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( Maritime and Port Authority of Singapore:MPA) 図 1 シンガポールの籍船の推移 7,000 隻/万GT 6,000 5,000 4,000 隻数 総トン数 3,000 2,000 1,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( Maritime and Port Authority of Singapore:MPA) シンガポール海事港湾庁では船舶種別の登録データを発表していないため、ロイズ 統 計 か ら 船 舶 種 別 登 録 状 況 を 見 る と 、2011 年 の 登 録 船 舶 で 最 も 多 い の は オ イ ル タ ン カ ー で 1,762 万 GT、全 体 の 32.8%を 占 め て い る 。次 い で バ ル ク キ ャ リ ア が 1,235 万 GT ( 同 23.0% )、 コ ン テ ナ 船 1,107GT( 同 20.5%) の 順 と な っ て い る 。 - 18 - 表 2 シンガポール籍船の船種別総トン数 (単位:万 GT) 船 タンカー 貨物船 その他 種 オ イ ル ・タ ン カ ー ケ ミ カ ル ・タ ン カ ー 液 化 ガ ス ・キ ャ リ ア バ ル ク ・キ ャ リ ア 自動車運搬船 コンテナ船 一般貨物船 その他 旅 客 船 ・フ ェ リ ー タ グ ・ボ ー ト オフショア・サプライ船 その他 合 計 2009 年 末 総 トン数 (% ) 1,391(33.9) 276(6.7) 231(5.6) 739(18.0) 253(6.2) 892(21.8) 133(3.2) 46(1.1) 2(0.0) 48(1.2) 90(2.2) 0 4,101(100) 2010 年 末 総 トン数 (% ) 1,463(32.6) 315(7.0) 254(5.7) 853(19.0) 261(5.8) 993(22.2) 150(3.3) 59(1.3) 1(0.0) 27(0.6) 106(2.4) 0 4,484(100) 2011 年 末 総 トン数 (% ) 1,762(32.8) 336(6.3) 271(5.0) 1,235(23.0) 296(5.5) 1,107(20.5) 164(3.1) 59(1.1) 1(0.0) 30(0.6) 115(2.1) 2(0.0) 5,378(100) 注)表の数値は 1 万 GT 未満四捨五入のため末尾が合わない場合がある。 出 典 : “World Fleet Statistics”( Lloyd’s Register) 各 年 版 一 方 、ロ イ ド 統 計 に よ る と 、2011 年 末 時 点 で シ ン ガ ポ ー ル は 世 界 第 5 位 の 商 船 隊( 船 籍)を保有する海運国となっている。 表 3 商船隊(船籍)の世界ランキング(2011 年) 区分 総トン数 隻数 1.パナマ 21,476 8,127 2.リベリア 3.マーシャル 12,152 3,030 7,605 1,876 4.香 港 7,021 1,935 5.シンガ ポール 5,383 2,877 6.バハマ 5,239 1,409 ( 単 位 ( 総 ト ン 数 ); 万 GT) 10.キプ 7.ギリシャ 8.マルタ 9.中 国 ロス 4,512 1,815 4,128 1,386 3,792 4,147 2,099 1,022 注 ) ロ イ ド 統 計 で は 、 非 自 航 船 及 び 100GT未 満 の 船 舶 を 除 い て い る た め 、 前 述 の シ ン ガ ポ ー ル 籍船の統計数値と異なる。 出 典 : “World Fleet Statistics 2011”( Lloyd’s Register) ロ イ ド 統 計 を 用 い て ASEAN 10 カ 国 の 商 船 隊 を 総 ト ン 数 ベ ー ス で 比 較 す る と 、2011 年 末 時 点 に お い て ASEAN 10 カ 国 で 世 界 の 総 船 腹 量( 10 億 4,308 万 GT) の 8.3%に 相 当 す る 8,615 万 GT を 保 有 し て い る が 、 こ の う ち シ ン ガ ポ ー ル が ASEAN10 ヶ 国 全 体 の 62.5%の 船 隊 規 模 を 誇 っ て お り 、 次 い で イ ン ド ネ シ ア 12.1%、 マ レ ー シ ア 9.5%、 フ ィ リ ピ ン 5.8% 、 ベ ト ナ ム 4.4%、 タ イ 3.2%の 順 と な っ て い る 。 - 19 - 表4 区分 総トン数 隻数 ASEAN10 カ国の商船隊(2011 年) ( 単 位 ( 総 ト ン 数 ): 万 GT) シンガ インドネ ASEAN マレーシア フィリピン タイ ベトナム カンボジア ブルネイ ミャンマー ラオス ポール シア 計 5,383 820 1,043 501 272 380 143 54 19 2 8,615 2,877 1,449 6,332 1,995 850 1,525 591 80 127 2 15,828 出 典 : “World Fleet Statistics 2011”( Lloyd’s Register) 2011 年 の 商 船 隊 の 船 腹 量 で は 、シ ン ガ ポ ー ル が 前 年 比 20.0%増 と ASEAN10 ヵ 国 の 中 で は 最 も 高 い 増 加 を 記 録 し 、 イ ン ド ネ シ ア が 同 12.4%増 で こ れ に 続 い た 。 他 方 、 前 年 よ り も 減 少 し た の は 、ベ ト ナ ム( 前 年 比 12.5%減 )、タ イ( 同 7.6%減 ),フ ィ リ ピ ン ( 同 4.7%)な ど で あ っ た 。ま た 、ASEAN 上 位 6 カ 国 の 2006 年 末 以 降 の 推 移 を み る と 、 5 年 間 の 増 加 率 で は シ ン ガ ポ ー ル が 1.5 倍 、 ベ ト ナ ム が 1.5 倍 、 イ ン ド ネ シ ア が 1.8 倍 、 マ レ ー シ ア が 1.2 倍 、 フ ィ リ ピ ン と タ イ は ほ ぼ 横 ば い と な っ て い る 。 これらの数字からわかるように、近年シンガポールを除くとインドネシアとベトナ ムで商船隊が大きく伸びている。インドネシアではカボタージュ規制が本格的に導入 され、基本的には自国の貨物輸送を国内船籍で行う方向で進んでおり、ベトナムでも 海 運 部 門 の 強 化 に 力 を 入 れ る な ど 、 ASEAN 域 内 諸 国 に お け る シ ン ガ ポ ー ル 商 船 隊 の 優位を脅かす可能性も出てきた。 図2 ASEAN 主要海運国の商船隊の推移 ( 単 位 : 万 GT) 9,000 8,000 7,000 万GT 6,000 ベトナム タ イ インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 '07 '08 '09 '10 '11 年 出 典 : “World Fleet Statistics 2011”( Lloyd’s Register) - 20 - し か し な が ら 、過 去 5 年 間 の 保 有 船 腹 量 の 増 加 量 で は 、シ ン ガ ポ ー ル が 全 増 加 量 の 71.3%を 占 め 、 第 2 位 の イ ン ド ネ シ ア ( 19.3% ) を 大 き く 引 き 離 し 、 ア セ ア ン 域 内 で は 依 然 と し て 圧 倒 的 に ト ッ プ で あ る 。シ ン ガ ポ ー ル が 船 籍 と し て 好 ま れ る 要 因 と し て 、 シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( MPA) は 以 下 の メ リ ッ ト を あ げ て い る 。 ①国際基準の採り入れ シ ン ガ ポ ー ル は 、1974 年 SOLAS 条 約 、1978 年 STCW 条 約 、1996 年 LL 条 約 、 1973/1978 年 MARPOL 条 約 、1969 年 ト ン 数 条 約 な ど 、全 て の 主 要 な 船 舶 安 全 及 び 海洋汚染防止に関する条約に加入している。 ②優秀な安全実績 シ ン ガ ポ ー ル 船 籍 船 は 、 米 国 コ ー ス ト ガ ー ド ( USCG) の Qualship 21 Program に 認 定 さ れ て い る 。2003 年 に 過 去 3 年 間( 2001 か ら 2003 年 )の 平 均 拘 留 率( Port State Contral に お け る 平 均 Detention Ratio) が わ ず か 0.95%で あ り 、 3 年 間 の 登 録 船 の 平 均 拘 留 率 が 1%以 下 で あ る こ と と す る Qualship 21 基 準 を 満 た し た 。 シ ン ガ ポ ー ル 船 籍 船 は 良 好 な 安 全 実 績 を 残 し 、 パ リ MOU、 東 京 MOU に お い て 「 ホ ワ イト・リスト」入りしている。 ③管理能力 シ ン ガ ポ ー ル 船 籍 船 は 、 非 便 宜 地 籍 船 ( non-FOC ) と し て 国 連 貿 易 開 発 会 議 ( UNCTAD) 及 び 国 際 運 輸 労 連 ( ITF) に 承 認 さ れ て い る 。 シ ン ガ ポ ー ル 船 員 機 構 ( Singapore Organization of Seaman:SOS)及 び シ ン ガ ポ ー ル 海 員 組 合( Singapore Maritime Officer ’s Union: SMOU)と の 間 で 結 ん だ 合 意 は ITF に よ っ て 認 め ら れ て いる。 ④所得税からの利益控除 シ ン ガ ポ ー ル 船 籍 船 か ら 得 ら れ た 利 益 は 、シ ン ガ ポ ー ル の 所 得 税 か ら 控 除 さ れ る 。 控除は、国際航海における旅客、郵便物及び商品としての家畜の運送により得られ た収入、並びに船舶のチャーターにより得られた収入に適用される。 これらの利益は配当として申告でき、控除は持株会社の株主に適用することがで きる。 ⑤船員の国籍に関する制限なし 船 舶 所 有 者 は 、当 該 職 員 ま た は 乗 組 員 が 改 正 も 含 め 1978 年 の STCW 条 約 の 規 定 に適合していれば、船舶職員及び乗組員を国籍に関係なく雇用することができる。 ⑥外国の資格証明書の承認 有効な海外の船員資格証明を有する船員は、業務が資格証明に合致すればシンガ ポール船籍船で働くことができる。この場合、事前申請は必要ないが、船舶所有者 は 資 格 保 有 者 を シ ン ガ ポ ー ル 船 籍 船 に 従 事 さ せ る こ と に つ い て の 裏 書( COE)を 申 請 す る 必 要 が あ る 。COE の 有 効 期 間 は 5 年 間 ま た は 資 格 証 明 書 の 有 効 期 間 の う ち い ずれか早い時期。 ⑦シンガポールの政治、経済、社会の安定性 シンガポールは無比の政治的、経済的、社会的安定性を誇っている。海外の投資 - 21 - を受け入れる開放政策と効率的なインフラ施設も相まって、広く海外船主をシンガ ポール船籍船に引き付けている。 ⑧貿易地域の制限 シンガポール船籍船は、船舶に通商禁止を課すことのできる国連安全保障理事会 決議に基づいて、貿易地域に制限が無い。 ⑨船級協会の選択 シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( MPA) の 検 査 に 基 づ き 、 国 際 的 に 認 め ら れ た 下 記 の 9 つの船級協会にトン数、船舶安全及び海洋汚染防止に関する検査の執行及び証書発 給の権限が与えられている。 - American Bureau of Shipping( ABS) - Bureau Veritas( BV) - China Classification Society( CCS) - Det Norske Veritas( DNV) - Germanischer Lloyd( GL) - Korean Register of Shipping( KRS) - Lloyd’s Register( LR) - 日 本 海 事 協 会 ( NK) - Registro Italiano Navle( RINA) 参 考 1) シ ン ガ ポ ー ル の 船 舶 登 録 料 Initial Registration Fee: S$2.50/NT ( NT は 船 舶 の 純 ト ン 数 ) 最 低 S$1,250( 500NT に 相 当 )、 最 高 S$50,000( 20,000NT に 相 当 ) Block Transfer Scheme 1) 2隻 で 合 計 純 ト ン 数 が 40,000NT以 上 2) 3隻 で 合 計 純 ト ン 数 が 30,000NT以 上 3) 4隻 で 合 計 純 ト ン 数 が 20,000NT以 上 4) 5隻 で 合 計 純 ト ン 数 の 制 限 な し の 場 合 、 S$0.50/NT 最 低 S$1,250/Vessel 最 高 S$20,000/Vessel 参 考 2) シ ン ガ ポ ー ル 船 舶 登 録 要 件 1. 次 の も の が シ ン ガ ポ ー ル 船 舶 の 所 有 者 と な れ る 。 1.1 シ ン ガ ポ ー ル 国 民 、 永 住 者 ( PRs) 1.2 シ ン ガ ポ ー ル に 登 記 さ れ た 企 業 2. シ ン ガ ポ ー ル に 登 記 さ れ た 企 業 で あ れ ば 、外 資 系 企 業 、シ ン ガ ポ ー ル 企 業 い ず れ が所有する船舶もシンガポールで登録することができる。 外 資 系 企 業 と は 、シ ン ガ ポ ー ル に 登 記 さ れ た 企 業 で あ っ て 50%以 上 の 株 を シ ン ガポール国民以外が所有するもの シ ン ガ ポ ー ル 企 業 と は 、シ ン ガ ポ ー ル に 登 記 さ れ た 企 業 で あ っ て 50%以 上 の 株 をシンガポール国民または他のシンガポール企業が所有するもの - 22 - 3. 外 資 系 企 業 が 所 有 す る 船 舶 は 、 下 記 の 条 件 で 登 録 す る こ と が で き る 。 3.1 企 業 は 最 低 資 本 金 S$50,000 を 支 払 う こ と 。 こ の 資 本 要 件 に か か わ ら ず 、 当 該 企 業 あ る い は そ の 関 連 企 業 は 、 Block Transfer Scheme の 隻 数 及 び 総 純 ト ン数要件を満足する船舶を登録すれば(または登録することを申請すれば) 資本金の支払いを免除される。 3.2 船 舶 は 1,600 総 ト ン 以 上 で あ り 、 自 航 船 舶 で あ る こ と 。 3.3 3.2の 規 定 は 当 該 船 舶 が シ ン ガ ポ ー ル か ら 運 航 さ れ 、ま た は シ ン ガ ポ ー ル に 本 拠を置く場合には、ケース・バイ・ケースで免除される。所有者は免除申請 を出さなければならない。 4. シ ン ガ ポ ー ル 企 業 は 上 記 3.1の 条 件 を 満 た せ ば 登 録 す る こ と が で き る 。 5. シ ン ガ ポ ー ル 企 業 ま た は そ の 持 ち 株 会 社 の タ グ 及 び バ ー ジ に つ い て は 、払 う べ き 資 本 金 要 件 は 、 最 初 に 登 録 し た タ グ ま た は バ ー ジ の 価 格 の 10%ま た は S$50,000 の い ず れ か 低 い 方 。 最 低 S$10,000。 一 般 的 に 、 船 齢 17年 未 満 の 船 舶 を 登 録 の 対 象 と す る 。 3 シンガポール船主協会 シンガポールの海運業者の多くは、シンガポール船主協会 SSA(Singapore Shipping Association)のメンバーとなっており、2012 年 7 月現在、メンバー数は 437 に達して いる(このうち正会員 255 社、準会員 180 社、個人 2)。SSA は、97 年 5 月、名称をそ れまでの SNSA( Singapore National Shipping Association,1985 年 設 立 )か ら SSA に変更するとともに、海運業に関連する準会員(造船所、修繕業者、シップブローカ ー 、船 級 協 会 、船 舶 金 融 業 者 、海 上 保 険 業 者 等 )の 加 入 を 容 易 に す る た め の 会 則 ・組 織 の 改 正 等 を 行 っ た 。 こ れ に よ り 準 会 員 数 が 、 改 正 前 は 8 社 で あ っ た の が 、 180 社 に ま で増加した。 ま た 、SSA は 、海 運 業 を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化 に 迅 速 に 対 応 で き る 体 制 を 整 備 す る た め、7 から成る評議員会を持つ。 図3 SSA の組織図 評議員会 総 務 委員会 財政・投 資・監査 委員会 国 際 委員会 技術 委員会 サービス 委員会 法務・ 保険 委員会 オフショア サービス 委員会 出 典 : SSA ウ ェ ブ サ イ ト - 23 - 4 主要海運企業の概要 ( 1) Neptune Orient Lines Limited ( NOL) 定期コンテナ船事業を中心とするシンガポールを代表する海運会社である。 1997 年 の 11 月 に 米 国 第 2 位 の コ ン テ ナ 船 社 American President Lines ( APL) を 傘 下 に 収 め た こ と に よ り 、 買 収 前 は 世 界 第 16 位 だ っ た NOL グ ル ー プ は 2012 年現在、世界第 7 位の海運会社となっている。 NOL グ ル ー プ 全 体 の 2011 年 の 売 上 は 、主 力 の コ ン テ ナ 輸 送 部 門 で の 燃 料 価 格 の 高 騰 と 運 賃 相 場 の 下 落 な ど に よ り 、 92 億 US ド ル と 前 年 の 94 億 US ド ル か ら 2%の 微 減 、 税 引 き 後 利 益 は 前 年 の 4 億 6,402 万 US ド ル の 黒 字 か ら 、 4 億 7,800 万 US ド ル の 赤 字 に 転 落 し た 。定 期 コ ン テ ナ サ ー ビ ス 部 門 で は 、傘 下 の APL の ブ ラ ン ド 名 の 下 に 、 NOL の コ ン テ ナ 輸 送 ネ ッ ト ワ ー ク は さ ら に 広 が り 、 北 米 、 中 ・ 南米、欧州、アジア、中東、豪州の各航路でサービスを行っている。 2003 年 7 月 に 同 社 の 原 油 タ ン カ ー 事 業 部 門 で あ る American Eagle Tankers ( AET) を マ レ ー シ ア 国 営 石 油 会 社 ペ ト ロ ナ ス ( PETRONAS) が 62.4%の 株 を 有 す る マ レ ー シ ア 国 際 海 運 ( MISC) に 売 却 し た 。 AET が 保 有 す る 31 隻 全 て を 4 億 4,500 万 US$で 売 却 し た こ と で 、 同 グ ル ー プ の 負 債 を 軽 減 し 、 コ ア 事 業 で あ るコンテナ輸送部門及びロジスティック部門に資源を再投入することが可能にな った。 ま た 、2004 年 3 月 に NOL は プ ロ ダ ク ト・タ ン カ ー 及 び バ ン カ ー リ ン グ 会 社 の Neptune Associated Shipping( NAS)を 香 港 の Titan( Holdings)Limited の 完 全 子 会 社 Titan Orient Lines に 5,510 万 US$で 売 却 し た 。計 22 隻 、205,000DWT の船舶を売却したことで、同グループはチャーターリング及びタンカーマーケッ トから撤退した。 同 グ ル ー プ は 2012 年 6 月 末 時 点 で 、319TEU~ 17,740TEU の 約 150 隻 の コ ン テナ船隊(フィーダー船を含む)を有している。 ( 2) Pacific Carriers Limited ( PCL) 海 運 ( 船 舶 保 有 ・マ ネ ジ メ ン ト 、 チ ャ ー タ ー )、 貨 物 貿 易 等 を 行 っ て お り 、 海 運 業 で は ド ラ イ ・バ ル ク が 中 心 で あ る が 、液 体 貨 物 市 場 に も 手 を 広 げ 、タ ン カ ー 部 門 ( プ ロ ダ ク ト 及 び ケ ミ カ ル タ ン カ ー )の 強 化 を 進 め て い る 。97 年 か ら は ア ジ ア 域 内 で の コ ン テ ナ フ ィ ー ダ ー サ ー ビ ス( 現 在 、シ ン ガ ポ ー ル と マ レ ー シ ア ・イ ン ド ネ シ ア・イ ン ド・タ イ を 結 ぶ 10 ル ー ト )に も 手 を 広 げ 、さ ら に 99 年 か ら は ブ レ ー ク バ ル ク ラ イ ナ ー サ ー ビ ス を 手 掛 け て い る 。ま た 、子 会 社 の PACC オ フ シ ョ ア サ ー ビ シ ズ ホ ー ル デ ィ ン グ ス 社 を 通 じ て 、オ フ シ ョ ア 支 援 船 事 業 に も 参 入 し て い る 。 グ ル ー プ 全 体 の 2007 年 の 売 上 は 10 億 7,900 万 S ド ル で 対 前 年 比 81% 増 と 、 ほ ぼ 倍 増 し た 。税 引 き 前 利 益 は 4 億 7,180 万 S ド ル で 対 前 年 比 167%増 で あ っ た 。 同 社 は 2007 年 以 降 、 財 務 情 報 を 公 開 し て い な い 。 同 グ ル ー プ が 所 有 あ る い は 運 営 す る 船 舶 隻 数 は 2012 年 6 月 時 点 で 78 隻 で あ る 。 - 24 - ( 3) Pacific International Lines( PIL) 海運(船舶の保有・オペレーション等)を主要業務としており、アジア-ヨー ロ ッ パ・カ ナ ダ 間 、イ ン ド 、中 東 、東 ア フ リ カ 、南 西 ア フ リ カ 、豪 州 ・ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 南 米 、 米 国 へ の コ ン テ ナ ・サ ー ビ ス 及 び 域 内 フ ィ ー ダ ー ・サ ー ビ ス 等 を 行 っている。 同 社 は 、1960 年 代 か ら 中 国 市 場 に 進 出 し て お り 、中 国 に お け る ビ ジ ネ ス に 積 極 的 で あ る 。 現 在 は 中 国 か ら 定 期 コ ン テ ナ 船 を 週 16 便 就 航 し て お り 、 共 同 経 営 の 物 流 セ ン タ ー が 4 ヵ 所( 寧 波 、上 海 、無 錫 、廈 門 )、支 店 が 10 ヵ 所 、代 理 店 が 13 ヵ所ある。 同 グ ル ー プ は 、 2012 年 7 月 時 点 で 、 コ ン テ ナ 船 141 隻 297,520TEU を 運 航 し て い る 。 同 社 は ま た 、 世 界 有 数 の コ ン テ ナ 製 造 会 社 で 中 国 国 内 に 11 ヶ 所 に コ ン テ ナ 工 場 を 持 つ ) SINGMAS 社 の 主 要 株 主 で も あ る 。 ( 4) Cosco Corporation( Singapore) Limited 中 国 の COSCO グ ル ー プ の シ ン ガ ポ ー ル 企 業 で 、 海 運 、 船 舶 修 繕 業 等 、 コ ン テ ナ貨物取扱い、不動産等を主な業務としている。シンガポール株式市場に上場し て い る が 、 同 社 の 株 式 の 50% 以 上 は 中 国 の China Ocean Shipping( Group) Company( COSCO) が 保 有 し て い る 。 グ ル ー プ 全 体 の 2011 年 の 売 上 は 、2010 年 の 38 億 6,145 万 S ド ル か ら 7.8% 増 の 41 億 6,300 万 S ド ル と な っ た 。2011 年 の 純 利 益 は 前 年 比 43.8% 減 の 1 億 4,000 万 S ド ル と な っ た 。Cosco Corporation の 100% 子 会 社 の Cosco( Singapore)Pte Ltd が ド ラ イ バ ル ク シ ッ ピ ン グ に 従 事 し て お り 、保 有 す る バ ル ク・キ ャ リ ア は 14 隻 で あ る 。 な お 、 コ ン テ ナ 輸 送 は 中 国 ・ 上 海 の 兄 弟 会 社 で あ る Cosco Container Lines 社 が 、コ ン テ ナ 船 165 隻 を 所 有 し 73 万 TEU 以 上 の 輸 送 能 力 を 持 つ 。シ ン ガ ポ ー ル に は Cosco Container Lines の エ ー ジ ェ ン ト の 業 務 を 行 う Costar Shipping Pte Ltd が あ る 。 Cosco グ ル ー プ の 造 船 ・ 修 繕 業 務 は Cosco Marine Engineering( Singapore) Pte Ltd と 中 国 の Cosco Shipyard グ ル ー プ の 造 船 所 が 行 っ て い る 。 中 国 に は 、 南通、大連、上海、舟山、広州などに造船所を持つ。 - 25 - Ⅲ.シンガポールの造船 - 27 - シンガポール造船業の概況(2011 年) 1 概況 ( 1) 造 船 業 全 体 2008 年 の 後 半 か ら リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 の 世 界 景 気 後 退 の 影 響 で 減 速 し 始 め た 造 船 業 は 、2009 年 前 半 も 発 注 元 の 資 金 難 や 契 約 解 除 、新 規 受 注 の 低 迷 と い っ た 状 況 が 続 い た が 、 2009 年 後 半 か ら は 景 気 の 回 復 と と も に 受 注 も 持 ち 直 し 始 め た 。 2010 年 4 月の米国での史上最悪の原油流出事故を受けてメキシコ湾の深海開発が凍結され、 オ フ シ ョ ア 産 業 は 一 時 先 行 き 不 透 明 と な っ た が 、 凍 結 は 同 年 10 月 に 解 除 さ れ た 。 事故後のリグの品質を問う動きにより、現在では高性能リグの受注が伸びている。 今後は、老朽化したリグの世代交代も進む見通しで、リグを得意とするシンガポー ルの造船業界には好材料となっている他、高止まりしている原油価格と石油探鉱の 増加なども追い風となっている シンガポールの造船業の内訳を見ると、従来は修繕及び改造部門が最も大きかっ た が 、 2008 年 に は オ フ シ ョ ア 部 門 が 逆 転 し た 。 2011 年 も オ フ シ ョ ア 部 門 が ト ッ プ を 占 め 、、造 船 業 売 り 上 げ 全 体 の 半 分 を 超 え る 56%( 前 年 は 60% )に 達 し た が 、売 上 高 は 対 前 年 比 8% 減 の 74 億 5,900 万 S ド ル と な っ た 。 一 方 、 修 繕 及 び 改 造 部 門 は 対 前 年 比 7% 増 の 51 億 9,500 万 S ド ル で 、全 体 の 39%( 前 年 は 36% )を 占 め た 。 新 造 船 部 門 は 、6 億 6,600 万 S ド ル と 対 前 年 比 24% 増 、全 体 に 占 め る 割 合 は 前 年 の 5% と な っ た 。 ま た 、労 働 者 数 を み る と 、2004 年 か ら 5 年 連 続 し て 増 加 し て い た 労 働 者 数 は 2008 年 の 141,000 人 を ピ ー ク に 減 少 し た も の の 2011 年 は 再 び 増 加 に 転 じ 前 年 比 4%増 の 111,000 人 と な っ た 。 表 1 年 造 船 業 の 総 売 上 額 の 推 移 ( 2007- 2011 年 ) 2007 総 売 上 額 ( 百 万 S$) 13,050 2008 2009 2010 2011 16,800 16,830 13,470 13,320 出 典 : 経 済 開 発 庁 ( Economic Development Board : EDB) 図 1 造 船 業 の 総 売 上 高 の 推 移 ( 2007- 2011 年 ) 出 典 : 経 済 開 発 庁 ( EDB) 2 - - 29 図 2 シ ン ガ ポ ー ル 造 船 業 の 分 野 別 売 上 げ ( 2011 年 ) 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( Association of Singapore Marine Industries: ASMI) Annual Report 2011 図3 労働者数の推移 出 典 : 人 材 省 ( Ministry of Manpower) 造 船 所 に お け る 労 働 安 全 の 確 保 に つ い て の 指 標 で あ る 事 故 件 数( Accident Rate)、 1 Accident Frequency Rate) 2 Accident Severity Rate) 及 び 事 故 重 大 度( 事 故 発 生 率( を み る と 、2011 年 の 事 故 件 数 は 336 件 で 、2010 年 の 395 件 か ら 15% 減 少 し た 。ま 1 2 百万工数(人・時間)当たり事故発生件数 百万工数(人・時間)当たり喪失延べ労働日数(人・日) 3 - - 30 た 、 事 故 発 生 率 も 減 少 し 1.0 で 、 事 故 の 重 大 度 は 2010 年 の 146 か ら 2011 年 に は 226 と 増 加 に 転 じ た 。 図 4 事故発生率と事故重大度の推移 定義)事故発生率:百万工数(人・時間)当たり事故発生件数 重 大 度 : 百 万 工 数 ( 人 ・ 時 間 )当 た り 喪 失 延 べ 労 働 日 数 ( 人 ・ 日 ) 出 典 : 労 働 省 ( Ministry of Manpower) ( 2) 船 舶 修 繕 部 門 2011 年 の 船 舶 修 繕 ・改 造 部 門 の 売 上 げ は 、51 億 9,500 万 S ド ル で あ っ た 。船 舶 修 繕 ・改 造 部 門 が 造 船 全 体 に 占 め る 割 合 は 、 39% で あ っ た 。 シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( Maritime and Port Authority of Singapore, MPA) の 統 計 に よ れ ば 、 修 繕 の た め に シ ン ガ ポ ー ル に 寄 港 す る 船 舶 の 数 は 2010 年 の 8,631 隻 か ら 2011 年 に は 8,235 隻 へ と 5% 減 少 し た が 、 総 ト ン 数 で は 3,459 万 ト ン か ら 3,727 万 ト ン へ と 8% の 増 加 と な っ た 。2011 年 に 完 成 さ れ た 主 な 修 繕 プ ロ ジ ェ ク ト と し て は 、タ ン カ ー 、コ ン テ ナ船、ガスキャリア、バルクキャリア、旅客船などがある。 ま た 、 シ ン ガ ポ ー ル は FPSO( Floating Production Storage and Offloading) 、 FSO( Floating Storage and Offloading) の 修 繕 、 改 造 工 事 ・ 改 良 工 事 を 行 う 世 界 の主要基地のひとつである。この分野が近年の造船業の売上げに大きく寄与してい る 。 2011 年 に は 10 件 の プ ロ ジ ェ ク ト が 完 了 し た 。 4 - - 31 表 2 修 理 入 港 隻 数 ( 2007- 2011 年 ) 年 2007 2008 2009 2010 2011 入渠船舶数 5,995 6,588 7,200 8,631 8,235 出 典 : 海 事 港 湾 庁 ( Maritime & Port Authority of Singapore : MPA) 図 5 修繕・改造部門の売り上げ 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( ASMI) Annual Report 2011 ( 3) 新 造 船 部 門 2011 年 の 新 造 船 部 門 の 売 上 げ は 、6 億 6,600 万 S ド ル で あ っ た 。新 造 船 部 門 の 造 船 業 総 売 上 げ に 占 め る 割 合 は 5% と 少 な い 。2011 年 に 進 水 し た 船 舶 の 隻 数 は 、2010 年 の 78 隻 か ら 88 隻 へ と 率 に し て 13% 、隻 数 で 10 隻 の 増 加 と な っ た 。総 ト ン 数 ベ ー ス で は 、 2010 年 の 246,638 総 ト ン か ら 298,150 総 ト ン と 21% 増 加 し た 。 2011 年 に 進 水 し た 船 の 多 く は バ ー ジ 、作 業 船 、及 び オ フ シ ョ ア サ プ ラ イ・サ ポ ー ト ベ ッ セ ル で あ っ た 。 そ の 他 2011 年 に 進 水 し た 船 舶 に は 、 タ ン カ ー 、 発 動 機 艇 、 ヨットなどがあった。 2011 年 に 完 成 し た プ ロ ジ ェ ク ト と し て は 、パ イ プ 敷 設 船( Derik pipe lay Vessel) 揚 錨 タ グ 補 給 船 ( Anchor Handling Tug Supply vessels) な ど が あ っ た 。 2011 年 に 引 き 渡 し を 行 っ た 船 舶 は 、ホ バ ー バ ー ジ 、地 震 探 査 船 、潜 水 作 業 支 援 船 、 作業員輸送船、高速フェリーなどである。 5 - - 32 図6 進水船舶数の推移 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( ASMI) 図 7 Annual Report 2011 進水船舶総トン数の推移 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( ASMI) 6 - - 33 Annual Report 2011 図 8 新造船部門の総売り上げ 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( ASMI) Annual Report 2011 ( 4) オ フ シ ョ ア 部 門 オフショア部門は、ジャッキアップリグ、半潜水型海洋掘削装置その他のプラッ トフォーム構造物などオフショア・ユニットの修繕、アップグレード及び改造を含 む 。こ の 部 門 の 2011 年 の 売 上 げ は 74 億 5,900 万 S ド ル で 、造 船 業 全 体 に 占 め る 割 合 は 56%と 昨 年 の 60% か ら シ ェ ア を 減 ら し た 。2011 年 に は 合 計 15 隻 の ジ ャ ッ キ ア ッ プ リ グ( 5 隻 )と 半 潜 水 型 海 洋 掘 削 装 置( 8 隻 )、固 定 式 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム( 2 隻 ) を 引 き 渡 し た 。2011 年 に 行 わ れ た オ フ シ ョ ア 部 門 の 修 繕・ア ッ プ グ レ ー ド プ ロ ジ ェ ク ト は 、 半 潜 水 型 海 洋 掘 削 装 置 ( 5 隻 )、 半 潜 水 型 パ イ プ 敷 設 バ ー ジ ( 1 隻 )、 移 動 式海洋生産ユニット(1 隻)である。 図 9 オフショア部門の売り上げ 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( ASMI) 7 - - 34 Annual Report 2011 2 造船所の動き ( 1) セ ム コ ー プ ・ マ リ ー ン ( SembCorp Marine) セ ム コ ー プ は 9,000 人 を 超 え る 従 業 員 を 持 ち 、 世 界 10 ヵ 国 以 上 で 事 業 を 展 開 す る複合企業で、主力事業は造船・オフショア関連事業および電力や水処理などの公 益 事 業 で あ る 。2011 年 の グ ル ー プ 全 体 の 総 売 り 上 げ は 90 億 4,700 万 S ド ル で 、造 船 ・ オ フ シ ョ ア 部 門 が 54% 、 公 益 事 業 が 44%を 占 め た 。 造船・オフショア部門を担うセムコープ・マリーン社は、シンガポール国内に 4 ヵ 所 の 造 船 所 ( JURONG SHIPYARD PTE LTD, SEMBAWANG SHIPYARD PTE LTD, JURONG SML PTE LTD, PPL SHIPYARD) を 持 ち 、 セ ム コ ー プ ・ マ リ ー ン の 2011 年 の 売 上 げ は 、 2010 年 の 45 億 5,486 万 S ド ル か ら 13.1% 減 少 し 、 39 億 6,023 万 S ド ル と な っ た 。 売 り 上 げ の 部 門 別 の 割 合 は リ グ 建 設 が 56% と 最 も 高 く 、続 い て 船 舶 改 造 及 び オ フ シ ョ ア 部 門 が 27% 、 次 が 船 舶 修 繕 の 16% で あ っ た 。 各 部 門 別 に み る と 、リ グ 建 造 部 門 の 売 上 げ は 、2010 年 の 30 億 S ド ル か ら 27%減 の 22 億 1,000S ド ル と な っ た 。 2011 年 に 引 き 渡 し た も の は 半 潜 水 型 海 洋 掘 削 装 置 ( semi-submersible rig) 4 隻 と 、 3 隻 の ジ ャ ッ キ ア ッ プ リ グ の 合 計 7 隻 で あ っ た 。 船 舶 改 造 及 び オ フ シ ョ ア 部 門 の 2011 年 の 売 り 上 げ は 10 億 7,300S ド ル と 前 年 の 8 億 2,000S ド ル を 上 回 っ た 。2010 年 中 、浮 体 式 石 油 ガ ス 生 産 貯 蔵 積 出 設 備( FPSO) 3 隻、オフショア船とプラットフォームそれぞれ 1 隻の合計 5 隻を納入した。 船 舶 修 繕 部 門 の 売 り 上 げ は 、2010 年 の 6 億 4,600 万 S ド ル に 対 し 2011 年 に は 6 億 4,400 万 S ド ル と ほ ぼ 横 ば い だ っ た 。年 間 の 修 繕 件 数 は 合 計 264 隻 だ っ た 。内 訳 を 見 る と 、タ ン カ ー の 修 繕 が 31%で 最 も 多 く 、LNG/LPG 船 の 修 繕 17% 、掘 削 船 ・ FPSO 改 造 13 % が 続 い た 。 同 グ ル ー プ は 、 イ ン ド ネ シ ア に 100% 出 資 の P.T. KARIMUM SEMBAWANG SHIPYARD と 90%出 資 の P.T.SMOE Indonesia を 有 す る な ど 、 海 外 進 出 や 資 本 参 加 に も 積 極 的 で あ る 。 中 国 で は 2002 年 に COSCO ( DALIAN) SHIPYARD の 株 を 獲 得 し た こ と に 始 ま り 、2004 年 に は COSCO と の 間 で 修 繕 ヤ ー ド で あ る Cosco Shipyard Group の 株 30% を 買 収 し た 。 ま た 、 2005 年 に は 米 国 の Sabine Industries を 子 会 社 の PPL Shipyard が 買 収 ( 後 2007 年 に セ ム コ ー プ ・ マ リ ー ン の 直 接 子 会 社 化 ) し た 。 2007 年 に は イ ン ド の Pipapav 造 船 所 に 3.31% の 資 本 参 加 、 2008 年 に は ブ ラ ジ ル の Mac Laren Shipyard と オ フ シ ョ アの石油ガス関連プロジェクト向けの造船事業を共同で実施することで提携した。 2009 年 に は イ ン ド の カ キ ナ ダ 港 と 合 弁 で 、 船 舶 ・ オ フ シ ョ ア の 合 弁 会 社 「 Sembmarine Kakinada Ltd ( SKL)」 を ア ン ド ラ プ ラ デ シ ュ 州 に 設 立 、 2011 年 8 月 に は 合 弁 会 社 へ の 出 資 比 率 を 19.9% か ら 40% に 引 き 上 げ た 。現 在 イ ン ド で 建 設 中 の 造 船 所 は 、2012 年 内 に 完 全 操 業 開 始 を 見 込 ん で い る 。さ ら に 、2011 年 12 月 に はブラジル中南部エスピリサント州アラクルスで国外初の新規総合造船・修理施設 の 建 設 を 開 始 し た 。 同 施 設 は 2014 年 に 完 成 予 定 で あ る 。 また、シンガポール最西部のトゥアス地区でも巨大総合造船・修理施設の建設を 進 め て い る 。206 ヘ ク タ ー ル の 用 地 を 3 期 に 分 け て 12 年 間 で 開 発 す る 計 画 で 、第 1 期 工 事 は 2013 年 に 完 了 す る 予 定 と な っ て い る 。 な お 、 同 社 が 85% を 所 有 す る シ ン ガ ポ ー ル の PPL シ ッ プ ヤ ー ド に つ い て 、 残 り 8 - - 35 15% を 所 有 す る 地 元 企 業 の ベ ー カ ー・テ ク ノ ロ ジ ー が 中 国 造 船 企 業・揚 子 江 船 廠 な ど 2 社に売却を決めた。これに対し、セムコープ・マリーンが株式の先行取得権を 主 張 し ベ ー カ ー ・テ ク ノ ロ ジ ー を 提 訴 し た が 、 2012 年 6 月 シ ン ガ ポ ー ル の 高 等 裁 判 所はセムコープ・マリーンの申し立てを却下する判決を言い渡した。これに対し、 セムコープ・マリーンは訴訟を継続する意向を示している。 表 3 セムコープ・マリーンの売上等の推移 (単位:百万 S ドル) 年 項目 売 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 上 1,068 1,363 2,119 3,545 4,513 5,064 5,725 4,555 3,960 税引前利益 95 114 160 310 365 545 908 1,078 860 出典:セムコープ・マリーン 表 4 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト 2011 セムコープ・マリーンの分野別売上構成 (単位:百万 S ドル) 分野 セムコープ・マリーン 2010 年 船舶修繕 646 644 0 0 3,048 2,210 820 1,073 41 33 4,555 3,960 新 造 船 (リグ除 く) リグ建 造 改 造 ・オフショア その他 合計 出典:セムコープ・マリーン 表 5 2011 年 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト 2011 セムコープ・マリーンの主要株主(第 5 位まで) 株 主 の名 称 保有株数 SembCorp Industries Ltd シェア (%) 1,265,370,764 60.74 Citibank Nominees Singapore Pte Ltd 172,048,864 8.26 DBSN Sevices Pte Ltd 116,125,815 5.57 DBS Nominees Pte Ltd 91,553,933 4.39 HSBC (Singapore) Nominees Pte Ltd 67,595,914 3.24 1,891,302,574 90.78 全 体 (Registered shares) 出典:セムコープ・マリーン 9 - - 36 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト 2011 ( 2) ケ ッ ペ ル ・ グ ル ー プ ケ ッ ペ ル ・ グ ル ー プ は 、 シ ン ガ ポ ー ル に 本 拠 を 置 き 、 世 界 30 カ 国 以 上 に 事 業 を 展 開 し て い る 。総 従 業 員 数 は 、33,747 人 で 、主 な 事 業 は 造 船・オ フ シ ョ ア 関 連 、エ ネ ル ギ ー・イ ン フ ラ 関 連 、不 動 産 、投 資 な ど で あ る 。総 従 業 員 の 77% に 当 た る 25,830 人 が 造 船・オ フ シ ョ ア 部 門 に 従 事 し て い る 。2011 年 の グ ル ー プ 全 体 の 総 売 上 は 、前 年 比 10.3%増 の 100 億 8,200 万 S ド ル で 、営 業 損 益 は 前 年 比 21.9% 増 の 18 億 9,700 万 S ド ル で あ っ た 。 税 引 き 前 利 益 は 前 年 比 15.2%増 の 21 億 7,700 万 S ド ル で あ っ た。 ケ ッ ペ ル ・ グ ル ー プ の 造 船 ・ オ フ シ ョ ア 部 門 を 管 轄 す る の は 、 2002 年 5 月 に Keppel FELS と Keppel Hitachi Zosen( 99 年 1 月 に 日 立 造 船 シ ン ガ ポ ー ル と Keppel Shipyard と が 合 併 )を 統 合 し て 設 立 さ れ た 、ケ ッ ペ ル・オ フ シ ョ ア & マ リ ン ( Keppel Offshore & Marine) で あ る 。 ケ ッ ペ ル ・ オ フ シ ョ ア & マ リ ン は 、 世 界 に 20 箇 所 の 造 船 所 ネ ッ ト ワ ー ク を 持 ち 活 動 し て い る 。シ ン ガ ポ ー ル 国 内 に Keppel FELS( オ フ シ ョ ア・リ グ )、Keppel Shipyard( 修 繕・改 造・新 造 )、Keppel Singmarine ( 新 造 )及 び Offshore Technology Development( ジ ャ ッ キ シ ス テ ム 製 造 )、米 国 に Keppel AmFELS Inc( オ フ シ ョ ア・リ グ 建 造 ・修 繕 )、オ ラ ン ダ に Keppel Verolme 、 ブ ラ ジ ル に Keppel FELS Brazil SA( オ フ シ ョ ア ・ リ グ 建 造 )、 ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン に Caspian Shipyard Company( オ フ シ ョ ア ・ リ グ 建 造 )、 フ ィ リ ピ ン に Keppel Philippines Marine Inc( 修 繕 ・新 造 、リ グ 建 造 )、ア ラ ブ 首 長 国 連 邦 に Arab Heavy Industries( 修 繕・改 造・新 造 ),ノ ル ウ ェ ー に Keppel Norway( オ フ シ ョ ア・リ グ 建 造 ・修 繕 )、 カ ザ フ ス タ ン に Keppel Kazakhstan LLP が あ る 。 Kepple Shipyard は 、 2002 年 5 月 の 統 合 に よ り Keppel Hitachi Zosen が 名 称 変 更 と な っ た も の で 、 本 部 機 能 を 有 す る Tuas Yard、 Benoi Yard 及 び Gul Yard の 3 造 船 所 を 有 す る 。 Tuas Yard は タ ン カ ー の FPSO 及 び FPO へ の 改 造 を 得 意 と す る が 、掘 削 船 、セ ミ サ ブ 、多 目 的 サ プ ラ イ ベ ッ セ ル な ど の 建 造 に も 実 績 が あ る 。Benoi Yard は 旧 日 立 造 船 シ ン ガ ポ ー ル で あ り 、ア ジ ア に お け る LNG、LPG の 修 繕 拠 点 で あ る ほ か 、多 様 な 船 種 の 修 繕 、改 良 、大 型 化 、改 造 な ど を 行 っ て い る 。Gul Yard は 中・小型船の修繕、改造、新造を行っている。 Keppel Philippines Marine は 、 Subic Shipyard and Engineering 、 Keppel Batangas Shipyard の 2 造 船 所 を 有 し て い る 。 ケ ッ ペ ル・グ ル ー プ の オ フ シ ョ ア 部 門 の 売 上 げ は 、2011 年 は 57 億 600 万 S ド ル で あ り 、2010 年 の 55 億 7,700 万 S ド ル か ら 2.3% の 微 増 と な っ た 。同 グ ル ー プ 内 の 総 売 上 に 占 め る 割 合 は 、 2010 年 の 61% か ら 2011 年 に は 57% と 減 少 し た 。 こ れ は、オフショア部門の売上がほぼ横ばいだったのに対し、エネルギー・インフラ部 門 と 不 動 産 部 門 の 売 上 が 前 年 比 そ れ ぞ れ 14% 、41% 増 加 し た た め で あ る 。オ フ シ ョ ア 部 門 の 売 り 上 げ は 微 増 に と ど ま っ た が 、営 業 利 益 は 2010 年 の 11 億 1,900 万 S ド ル か ら 2011 年 に は 13 億 1,800 万 S ド ル へ と 17.8% 伸 び た 。2011 年 に は リ グ 8 隻 、 船 舶 改 造 ・ 高 度 化 プ ロ ジ ェ ク ト な ど 7 件 、 特 殊 船 11 隻 を 完 成 さ せ た 。 オ フ シ ョ ア 部 門 の 中 核 を 占 め る シ ン ガ ポ ー ル の Keppel FELS は 、 2011 年 、 2 隻 の ジ ャ ッ キ ア ッ プ リ グ 、 4 隻 の 半 潜 水 式 海 洋 構 造 物 ( semisubmersibles) を 完 成 さ - 10 37 - せ た 。 2011 年 の 新 規 受 注 で は 、 ジ ャ ッ ク ア ッ プ リ グ 11 隻 、 半 潜 水 式 海 洋 構 造 物 2 隻の建造などがある。 海 外 で も 多 く の オ フ シ ョ ア 事 業 を 実 施 、契 約 締 結 し て い る 。米 国 の AmFELS は 、 Keppel 及 び FELS の ブ ラ ン ド 名 を メ キ シ コ 湾 に 浸 透 さ せ る た め 、2004 年 に 名 称 を Keppel AmFELS に 変 更 し た 。 Keppel AmFELS は 2011 年 に は 米 ロ ー ワ ン 社 に ジ ャッキアップリグを納入した Keppel FELS Brasil は 2005 年 1 月 6 日 に 100% 出 資 子 会 社 と な っ た 。ブ ラ ジ ル の 政 府 系 石 油 会 社 ペ ト ロ ブ ラ ス 社 と は 良 好 な 関 係 を 持 っ て い る 。2011 年 中 に は 、初 の 完 全 ブ ラ ジ ル 生 産 に よ る 世 界 最 大 級 の 浮 体 式 生 産 設 備( FPU)を ペ ト ロ ブ ラ ス に 納 入 し た 。Keppel Shipyard は 、2011 年 は 船 舶 の 修 繕・改 造 産 業 が 厳 し い 中 、売 上 を 保 っ た 。2011 年 中 、281 隻 の 修 繕 と 7 隻 の 改 造 プ ロ ジ ェ ク ト を 手 が け た 。修 繕 を 行った船舶のほどんどはタンカー、コンテナ船、ガス輸送船であった。 Keppel Singmarine は 2011 年 に は 3 隻 の 船 舶 を 引 き 渡 し た 。2011 年 の 新 規 受 注 で は 、SBM オ フ シ ョ ア 向 け の 多 目 的 潜 水 作 業 支 援 建 設 船 な ど 10 件 を 受 注 し て い る 。 2011 年 は 、欧 州 債 務 危 機 に よ る 世 界 的 な 景 気 減 速 へ の 懸 念 な ど 不 安 定 要 素 も あ っ たが、原油価格が高止まりするなど市場環境は良好だった。今後、とくにオフショ ア石油ガス分野が大きく伸びるとされ、ブラジル海洋資源開発を中心とした南米で は FPS で 大 き な 需 要 が 見 込 ま れ て い る 。 ケ ッ ペ ル で は 、 ペ ト ロ ブ ラ ス だ け で 2020 年 ま で に 100 隻 以 上 の オ フ シ ョ ア 支 援 船 が 必 要 と な る と し て い る 。ま た 、ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン に 同 国 国 営 石 油 会 社( SOCAR)な ど 2 社 と の 合 弁 で 新 造 船 所 を 建 設 中 で 、 2013 年 第 3 四 半 期 の 操 業 開 始 を 予 定 し て い る 。 表 6 ケッペル・グループの売上高・税引き前利益の推移 (単位:百万 S ドル) 年 項目 売上高 税引前利益 2007 2008 2009 2010 2011 10,114 957 11,784 1,079 11,990 1,190 9,140 1,307 10,082 1,491 出 典 : Keppel Corporation Summary Financial Report 2011 - 11 38 - 図 10 ケッペル・グループの分野別売上シェア 出 典 : Keppel Corporation 3 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト 2011 今後の見通し 2008 年 後 半 か ら の リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 世 界 的 不 況 、そ し て 2010 年 の メ キ シ コ 湾 に お け る 原 油 流 出 事 故 な ど 、厳 し い 状 況 が 続 い た シ ン ガ ポ ー ル の 造 船 業 界 で あ る が 、 2010 年 第 4 四 半 期 以 降 、 力 強 い 回 復 を 見 せ て い る 。 シ ン ガ ポ ー ル が 得 意 と す る の は 、世 界 の シ ェ ア 70% を 持 つ 石 油 ガ ス 産 業 向 け の ジ ャ ッキアップリグ建設であり、石油ガス産業のファンダメンタルズは強い。造船業界を リードするケッペル、セムコープ・マリーンはいずれも、ブラジルなどオフショア産 業 の 盛 ん な 国 へ の 投 資 を 拡 大 し 、オ フ シ ョ ア 産 業 に お け る 競 争 力 の 強 化 を 図 っ て い る 。 原 油 価 格 の 高 止 ま り を 背 景 に オ フ シ ョ ア で の 掘 削 、生 産 が 活 況 を 呈 し て い る こ と か ら 、 石油リグの需要は底堅く推移する見通しである。また、世界のジャッキアップリグの 68%、 半 潜 水 式 掘 削 リ グ の 約 60% が 船 齢 25 年 以 上 と な っ て い る こ と か ら 、 取 替 え 需 要 も 見 込 ま れ て い る 。2010 年 4 月 に お き た メ キ シ コ 湾 で の 原 油 流 出 事 故 を 受 け て 規 制 が強化されたことも、リグの改造や取替え需要につながるとしてシンガポールのリグ 建造業界としては受注増に自信を見せている。実際、セムコープやケッペルの受注は 伸 び て お り 、 ケ ッ ペ ル の 2011 年 の 受 注 額 は 100 億 S ド ル と 、 過 去 最 高 を 記 録 し た 。 FPSO へ の 改 造 、 オ フ シ ョ ア ・ サ ポ ー ト 船 と い う シ ン ガ ポ ー ル が 得 意 と す る 2 つ の ニ ッチ部門も活力を維持している。修繕部門に関しては、シンガポール造船所はここ数 年 、よ り 専 門 的 マ ー ケ ッ ト に 重 点 を 置 く よ う に な っ て い る 。す な わ ち 、LNG 運 搬 船 の 修 繕 で あ る 。シ ン ガ ポ ー ル は 、LNG 運 搬 船 の 修 繕 に 関 し て 長 期 契 約 を 結 ぶ こ と に よ っ て LNG 船 の 修 繕 セ ン タ ー に な っ て き た 。 一方、中国や中東などの競合国が、オフショアや修繕・改造分野で力を伸ばしてい る 。特 に 中 国 の 造 船 業 の 発 展 は 著 し い 。セ ム コ ー プ・マ リ ー ン が 同 社 子 会 社 の PPL シ ッ プ ヤ ー ド の 15% の 株 式 を 保 有 す る ベ ー カ ー・テ ク ノ ロ ジ ー に よ る 中 国 造 船 企 業・揚 - 12 39 - 子 江 船 廠 な ど へ の 売 却 に 強 く 反 対 し て い る が 、こ れ も 揚 子 江 船 廠 が PPL シ ッ プ ヤ ー ド 造船の優れたリグ建造能力を利用できるようになることを阻止したいためである。 PPL 造 船 は 高 温 高 圧 対 応 の 最 新 鋭 PPL375 型 ジ ャ ッ キ 式 リ グ の 設 計 能 力 を 持 つ 。PPL 造 船 の 15% の 株 式 を め ぐ っ て は 、法 廷 で 争 わ れ た 結 果 、裁 判 所 は セ ム コ ー プ・マ リ ー ン の 申 し 立 て を 棄 却 し て お り 、同 社 に と っ て は 厳 し い 状 況 と な っ て い る 。こ う し た 中 、 経 済 開 発 庁( EDB)は シ ン ガ ポ ー ル の 造 船 業 の 競 争 力 と 生 産 性 向 上 の 方 策 を 探 る た め の調査を実施する計画である。この調査ではシンガポールを拠点とする企業がオフシ ョ ア 石 油 リ グ 、 浮 体 式 石 油 ガ ス 生 産 貯 蔵 積 み 出 し 設 備 ( FPSO)、 オ フ シ ョ ア 支 援 船 、 その他の外航船の生産をどのように行っているかを分析し、世界の市場で競争力のあ る部分と不足する部分をあぶりだした上で、生産性を向上できる部分を指摘する。韓 国、ノルウェー、中国など競合他国と比較し、人員一人当たりの付加価値や人員の内 訳( 製 造 人 員 と 研 究 開 発 人 員 の 比 率 、技 術 者 と 事 務 担 当 者 の 比 率 な ど )、学 歴 、出 身 国 や 、 各 国 ト ッ プ 10 社 の 設 備 投 資 額 な ど を 幅 広 い デ ー タ を 元 に 調 べ る 。 造 船 所 と 下 請 け ・部 品 供 給 会 社 と の 関 係 も 分 析 す る 。 ま た 、政 府 機 関 で 工 業 団 地 開 発 な ど を 行 う JTC は 、シ ン ガ ポ ー ル の 西 部 ト ゥ ア ス 地 区 に 5400 万 シ ン ガ ポ ー ル ド ル を 投 資 し て 13 ヘ ク タ ー ル の 「 オ フ シ ョ ア ・マ リ ン ・ セ ン タ ー 」 の 建 設 を 2010 年 9 月 に 着 工 、 2012 年 7 月 に 開 設 し た 。 最 大 20 社 の 接 岸 施 設 を 作 る こ と が で き 、 オ フ シ ョ ア 海 洋 産 業 の 物 資 供 給 ・支 援 の 拠 点 と な る 。 このようにシンガポールの造船業界はまだ充分競争力を保ち、活況であるが、こう した好況の間に、政府は上述のような競争力強化に向けた試みに乗り出している。長 期的な成長を図るためには、こうしたイニシアティブは重要である。 - 13 40 - 資 料 1. シ ン ガ ポ ー ル の 主 な 造 船 及 び 修 繕 設 備 SHIPBUILDER/ DOCK、SLIPWAY, SHIPREPAIRER etc. Keppel FELS Keppel Shipyard (Tuas Yard) Keppel Shipyard (Benoi Yard) Keppel Shipyard (Gul Yard) Jurong Shipyard Sembawang Shipyard CAPACITY DIMENSION (M) (D) 400,000DWT 380 × 80 × 13 Tuas(D) 360,000DWT 350 × 66 × 6.6 Raffles(D) 330,000DWT 355 × 60 × 6.6 Temasek(D) 150,000DWT 301 × 52 × 7.4 No.1(D) 300,000DWT 350 × 60 No.2(D) 170,000DWT 300 × 60 (S) 30,000DWT 230 × 70 No.1(F) 14,000DWT 190 × 33 No.2(F) 5,000DWT 120 × 27 No.3(F) 12,000DWT 170 × 26 (BB) 14,000DWT 150 DD1(D) 100,000DWT 270 × 40 × 10 DD2(D) 300,000DWT 350 × 56 × 12 DD3(D) 500,000DWT 380 × 80.2 × 14 DD5(D) 200,000DWT 335 × 56 × 11 Premier(D) 400,000DWT 384 × 64 × 8.5 King GeorgeⅥ(D) 100,000DWT 303 × 39.6 × 13.1 President(F) 150,000DWT 290 × 48 × 8.5 Republic(F) 60,000DWT 202.3 × 42 × 10.3 KPD(F) 65,000DWT 230 × 35 × 7.3 FDⅠ(F) 4,000T Drydocks World Singapore FDⅡ(F) 16,000T 195 × 34.6 (元 Pan-United Shipyard) FDⅢ(F) 16,000T 187.5 × 36.5 122 × 22 (BB) 30,000DWT Benoi Yard(Syncro) 10,000DWT 96 × 20 Benoi Yard(Syncro) 12,500DWT 110 × 20 Singapore Technologies Benoi Yard(BB) 18,000DWT 150 × 23 (×2) Marine Ltd Tuas Yard(F) 40,000DWT 185 × 33.2 Tuas Yard(F) 70,000DWT 240 × 42.25 Tuas Yard (BB) 30,000DWT 180 × 26 (×2) (注 ) DOCK、SLIPWAY, etc. の 欄 中 、( ) 内 の 記 号 は 造 修 設 備 の 種 類 を 示 す 。 D: DRY DOCK, F: FLOATING DOCK, S: SLIPWAY, BB: BUILDING BERTH CAPACITY の 欄 中 単 位 T は 、 lifting capacity を 示 す 。 出典:各社ウェブページ - 14 41 - 資 料 2. シ ン ガ ポ ー ル の 船 舶 進 水 量 出 典 : ASMI Annual Report 2011 項目 年 進水隻数 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 80 102 97 84 127 102 139 127 78 88 123 116 149 210 249 349 197 226 247 298 1,531 1,138 1,545 2,500 1,952 3,422 1,417 1,780 3,167 3,386 進水船舶 合計総トン数 ( 1,000ト ン ) 平均船型 (総トン) 注 )( 平 均 船 型 ) = ( 進 水 船 型 合 計 総 ト ン 数 ) /( 進 水 隻 数 ) 出 典 : ASMI Annual Report 2011 - 15 42 - Ⅳ.シンガポールの舶用工業 1 - 43 - 業界の概要 1. 舶 用 機 械 関 連 企 業 数 シ ン ガ ポ ー ル 海 事 産 業 協 会 ( Association of Singapore Marine Industries : ASMI) の 2011 年 ア ニ ュ ア ル レ ポ ー ト に 掲 載 さ れ た 経 済 開 発 庁 ( EDB) の デ ー タ に よ る と 、 シ ン ガ ポ ー ル の 海 事 産 業 の 規 模 は 133.2.7 億 S ド ル ( 2011 年 ) と 、 2010 年 度 の 134.7 億 S ド ル か ら 1.1%減 少 し た 。 ( そ の 前 年 の 2009 年 度 の 海 事 産 業 の 規 模 は 168.3 億 S ド ル だ っ た 。 ) な お 、 2011 年 度 の 海 事 産 業 の 内 訳 は 、 船 舶 修 繕 が 51.05 億 S ド ル ( 全 体 の 39% )、造 船 が 6.66 億 S ド ル( 同 5% )、オ フ シ ョ ア セ ク タ ー が 74.59 億 S ド ル ( 同 56% )と さ れ て い る が 、舶 用 機 械 と い う 形 で は 算 出 さ れ て い な い 。舶 用 機 械 に つ いては、造船や船舶修繕のコストに含まれているものと考えられるが、造船及び船舶 修繕の規模はあくまでも、造船所の売り上げをベースに算出されたもので、そのうち どの程度が舶用機械のコストであるかは造船所で公表していないためである。 ASMI の 会 員 数 は 、 2012 年 5 月 現 在 、 普 通 会 員 、 賛 助 会 員 、 名 誉 会 員 を 含 め 246 社 で あ る 。 ASMI の 会 員 の 業 種 別 の 内 訳 は 、 図 1 の と お り で あ り 、 海 洋 エ ン ジ ニ ア リ ン グが最も多く、海洋オフショア機器製造及び供給、造船および腐物管理の順となっ ている。 ま た 、1 年 前 と 比 較 す る と 、海 洋 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 、海 洋 オ フ シ ョ ア 機 器 製 造 及 び 供 給 の 業 種 な ど の 企 業 が 増 加 し 、 新 規 入 会 企 業 は 14 社 、 会 員 数 は 10 社 の 純 増 と な った。新規入会企業を表 1 に示す。 図 1 ASMI 会 員 企 業 の 業 種 別 内 訳 ( 2012 年 5 月 現 在 ) 100 91 80 80 社 数 60 40 22 20 22 12 10 9 6 5 23 19 そ の 他 & 供 給 ン 造 製 洋 海 洋 ・オ フ 海 シ ョア 洋 エ 機 器 海 ン ジ エ リ ニ ア 通 子 電 ン ジ ン グ 信 機 器 理 食 管 蔵 腐 ・冷 場 空 調 足 査 検 協 級 船 造 船 会 0 出 所 : AS M I ウ ェ ブ サ イ ト ( ww w.a s mi .c o m ) よ り 作 成 註:1 社 で 複 数 の 業 種 に 登 録 し て い る ケ ー ス が あ る の で 、業 種 別 企 業 内 訳 の 合 計 は A S MI のメンバー企業数と合致しない。 - 45 - 2 表 1 ASMI 新 規 入 会 企 業 ( 2012 年 5 月 現 在 ) No ASMI New Members Nature of Business 1 Alphatron Marine Systems Pte Ltd Electronic & Communication Equipment 2 Imtech Marine South East Asia Electronic & Communication Equipment, Marine/Offshore Equipment & Supplies 3 Aflex Ships Equipment Pte Ltd Marine/Offshore Equipment & Supplies 4 Apbco Offshore & Marine Pte Ltd Chemical Cleaning, Hot Oil Flushing & Pressure Testing 5 Ark Vision Spare & Engineering Pte Ltd Marine/Offshore Equipment & Supplies 6 Blue-Sea Ventures Pte Ltd Marine Engineering, Corrosion Control 7 Eureka Control Systems Pte Ltd Marine Engineering 8 Griffin Group International Pte Ltd Filtration systems, Water separators systems 9 LPJ Marine Services Pte Ltd Shipbuilding/Shiprepairing 10 Megawatts Engineering Services Pte Ltd Marine Engineering 11 Offshore Construction Services Pte Ltd Marine Engineering 12 Power Diesel Engineering Pte Ltd Marine Engines 13 Trans-Asiatic Trading Pte Ltd Marine/Offshore Equipment & Supplies 14 Voith Turbo Pte Ltd Marine Engineering 出 所 : AS M I ウ ェ ブ サ イ ト ( ww w.a s mi .c o m ) よ り 作 成 な お 、 シ ン ガ ポ ー ル の 舶 用 機 械 取 り 扱 い 業 者 は 、 上 記 の ASMI メ ン バ ー が 全 て で は な い 。シ ン ガ ポ ー ル の 海 事 産 業 関 連 企 業 の ダ イ レ ク ト リ ー で あ る Singapore Maritime Directory 2011/2012 年 版 に よ る と 、舶 用 機 器・サ プ ラ イ( Marine Equipment & Supply) の 分 野 に 掲 載 さ れ て い る 企 業 数 は 1,884 社 に の ぼ る 。 Singapore Maritime Directory では舶用機械の業種をより細かく分類しており、取り扱い商品別登録企業数は表 2 のとおりである。 - 46 - 3 表 2 Singapore Maritime Directory の 舶 用 機 器・サ プ ラ イ( Marine Equipment & Supply) に掲載されている企業の取り扱い商品別内訳 No. Category 分野 掲載企 No. 業数 1 ACTUATORS 作動装置 2 2 ADHESIVES & GLUES AIR CONDITIONING 3 EQUIPMENT & SYSTEMS ALUMINIUM & ALUMINIUM 4 ALLOYS 5 ANCHORS 6 ANODES AUTOMATION SYSTEMS & 7 EQUIPMENT 接着剤 2 8 BEARINGS 9 BELTING - MECHANICAL 10 BLASTING EQUIPMENT BOILER DISTRIBUTORS & 11 MANUFACTURERS 12 BRAKES & CLUTCHES 13 BUNKER FUEL 14 BUNKER SUPPLIERS 15 CANVAS - WHSLE & MFRS CATHODIC PROTECTION 16 SYSTEMS 17 CHAINS 18 CHEMICALS - MARINE CLEANING SYSTEMS 19 PRESSURE, CHEMICALS, ETC 20 COATINGS - PROTECTIVE COMMUNICATION SYSTEMS 21 & EQUIPMENT 空調機器 47 アルミニウム 4 錨 陽極 1 6 自動化装置 21 ベアリング 9 ベルト機 ブラスト機器 4 3 Category 分野 ELECTRIC & ELECTRICAL SUPPLIES 35 ELECTRIC APPLIANCES 電気供給 50 電気機器 1 36 ELECTRIC SWITCHBOARDS 電気配電盤 ELEVATORS/ESCALATORS/T RAVELATORS 38 ENGINES - DIESEL 39 ENGINES - MARINE エレベーター/エスカレーター/ト ラベラーター ディーゼルエンジン マリンエンジン 51 16 40 EXPANSION JOINTS エクスパンションジョイント 10 34 37 1 フェンダー 空気圧フェンダー 4 1 2 ボイラー 13 44 FIBREGLASS FABRICATORS ガラス繊維加工 ブレーキ&クラッチ バンカー燃料 バンカーサプライヤー 帆 3 24 75 1 45 46 47 48 フィルター 火災警報器システム 防火用毛布 防火システム 11 2 1 41 1 49 受動的防火システム 1 18 35 50 51 2 52 塗装 26 53 通信機器 28 54 GAS - INDUSTRIAL 陰極保護システム チェイン 海洋ケミカル クリーニングシステム FILTERS FIRE ALARM SYSTEMS FIRE BLANKETS FIRE PROTECTION SYSTEMS FIRE PROTECTION SYSTEMS - PASSIVE FORKLIFT TRUCKS FOUNDRIES FRESHWATER GENERATING PLANTS GALLEY EQUIPMENT GAS DETECTORS INDUSTRIAL 56 GASKETS フォークリフト ファウンドリ 13 9 淡水製造機器 2 ギャラリー機器 3 工業ガス ガス探知機 6 57 GAUGES ゲージ NIL 1 58 GEARBOXES 変速機 4 21 59 GENERATORS 発電機 33 50 60 HARDWARE 金物 52 33 1 61 HEAT EXCHANGERS 62 HOISTS HOSES, HOSE COUPLINGS & 63 FITTINGS HYDRAULIC EQUIPMENT & 64 SUPPLIES 熱交換器 ホイスト ホースカップリング・フィッティン グ 12 6 23 COMPRESSORS - AIR & GAS CONTAINER HANDLING EQUIPMENT CONTAINER 25 LASHING/SECURING EQUIPMENT CONTAINERS - CARGO & 26 FREIGHT - LEASING & SALE CONTROLS, CONTROL 27 SYSTEMS & REGULATORS 28 CRANES 29 DECK COVERINGS コンプレッサー 48 コンテナ機器 コンテナ 30 DECK EQUIPMENT デッキ機器 4 31 DEHUMIDIFIERS 除湿機 1 ダイビング機器 9 65 HYDRAULIC STEERING GEARS 水圧ステアリングギア ダイナミックポジショニングシステ ム 2 66 貨物・貨物運送コンテナ コントロールシステム・レギュ レーター クレーン デッキ被覆 16 55 1 DIVING EQUIPMENT & SUPPLIES DYNAMIC POSITIONING 33 SYSTEMS 11 換気・排気用ファン製造・販売 コンパス・磁気 32 20 FANS - VENTILATING & 41 EXHAUST - MFRS & DISTRIBUTORS 42 FENDERS 43 FENDERS - PNEUMATIC 22 COMPASSES - MAGNETIC 24 掲載企 業数 INSPECTION DEVICES INDUSTRIAL - 47 - ガスケット 水圧機器 検査機器 9 1 29 28 3 1 4 No. Category 分野 掲載企 No. 業数 INSULATION MATERIALS COLD & HEAT 68 LAUNDRY EQUIPMENT 断熱材(冷温) 6 100 洗濯機器 4 101 69 LIFEBOATS & LIFE RAFTS ライフボート 13 102 70 LIFTING EQUIPMENT 71 LIGHTING FIXTURES LIQUEFIED NATURAL GAS 72 (LNG) 73 LUBRICANTS 74 MACHINING 75 MARINE CABLES MARINE DOORS & 76 OUTFITTINGS MARINE ELECTRONIC 77 EQUIPMENT & SUPPLIES MARINE EQUIPMENT & 78 SUPPLIES 79 MARINE PROPELLERS MARINE PROPULSION 80 SYSTEMS NAUTICAL CHARTS & 81 PUBLICATIONS 82 NAVIGATIONAL BUOYS NAVIGATIONAL EQUIPMENT & 83 SUPPLIES 84 NOZZLES OIL DISCHARGE MONITORING 85 EQUIPMENT 86 OIL SUPPLIERS 87 OPTICAL DEVICES 88 OUTBOARD MOTORS 89 PAINTS - MARINE 90 PALLETS - PLASTIC 91 PALLETS - WOOD 92 PIPES & PIPE FITTINGS 93 PLATE - HEAT EXCHANGERS リフティング装置 照明器具 6 103 16 104 94 POWER TOOLS 電動工具 1 127 95 PRESSURE VESSELS 圧力容器 1 128 96 PROPELLERS プロペラ 5 129 97 PUMPS - MFRS & DISTRS ポンプ 67 液化天然ガス NIL 105 潤滑油 マシニング 海洋ケーブル 41 106 2 107 3 108 海洋扉・船体艤装 海洋電子機器 海洋機器 海洋プロペラ 海洋推進機器システム 分野 RADIO COMMUNICATION 無線通信機器 EQUIPMENT & SYSTEMS REFRIGERATION EQUIPMENT 冷却機器 REMOTE FUEL MONITORING 遠隔燃料モニタリング・バンカー & BUNKERING SYSTEM システム ROPES ロープ RUBBER PRODUCTS ゴム製品 SAFETY EQUIPMENT & 安全装置 SUPPLIES SCAFFOLDING 足場 SEALS & SEALING PRODUCTS シール製品 SEPARATORS 分離機 4 109 SHIP CHANDLERS 船チャンドラー 28 110 SHIP CHANDLERS' SUPPLIES 船チャンドラーサプライ SHIPBUILDING EQUIPMENT & 143 111 造船装置 SUPPLIES 15 112 SLINGS スリング 10 113 STAINLESS STEEL 掲載企 業数 39 32 1 4 4 59 11 10 3 92 7 1 3 不錆鋼 2 航海チャート・出版物 6 114 STEEL DISTRIBUTORS 鋼ディストリビューター 6 航海用浮き 1 115 STEEL FABRICATORS 鋼ファブリケーター 4 航海用機器 30 116 SURVEY EQUIPMENT 調査機器 10 ノズル 1 117 SURVEYING INSTRUMENTS サーベー機器 1 油排出監視機器 2 118 TANK GAUGING SYSTEMS タンク計測システム 2 TESTING EQUIPMENT 検査機器 TIMBER 木材 TOOLS - PNEUMATIC 空気圧工具 TRANSFORMERS トランスフォーマー TURBINES タービン TURBOCHARGERS ターボチャージャー UNIVERSAL JOINTS 自在継ぎ手 VALVES バルブ WALKIE TALKIE EQUIPMENT & ウォーキートーキー SUPPLIES WATER COMPANIES 水道会社 BOTTLED WATER TREATMENT 水処理機器 EQUIPMENT & SUPPLIES WELDING EQUIPMENT & 溶接機器 SUPPLIES 7 3 1 4 1 6 1 41 油サプライヤー 光学素子装置 船外エンジン 海洋塗料 プラスチックパレット 木材パレット パイプ 熱交換版 PURIFIERS/CLARIFIERS, OIL, 清浄機/浄化機、油、遠心分離 機 CENTRIFUGAL, ETC RADAR EQUIPMENT & 99 ラーダー機器 SUPPLIES 出所: Singapore Maritime Directory 2011/2012年版より作成 98 Category 3 1 2 18 8 6 29 119 120 121 122 123 124 125 126 87 130 6 131 WINCHES 10 132 WIRE ROPES - 48 - 6 1 13 23 ウィンチ 11 ワイヤーロープ 21 5 シンガポール舶用機械輸出入統計 世 界 貿 易 統 計 1 ( World Trade Atlas) を も と に 、 シ ン ガ ポ ー ル の 舶 用 機 械 輸 出 入 動 向 を 概 観 す る 。 な お 、 同 輸 出 入 統 計 は HS コ ー ド で 分 類 さ れ て い る が 、 舶 用 機 械 に 特 化したコードの数は限られている。ここでは下記のとおり舶用機械を扱っていると 確認できる品目だけを取り上げる。よって、本章で概説する数値がシンガポールに おける全ての舶用機械の輸出入値ではない。 ま た 、 レ ー ダ ー 機 器 ( HS85261010) 、 航 行 用 無 線 機 ( 同 85269110) 、 無 線 遠 隔 制 御 機 器 ( 同 852692) に 関 し て は 、 HS コ ー ド の 最 小 分 類 に お い て も 航 空 機 用 な ど が 混 在していることに注意を要する。 以下、表 3 を 除 く 表 4 ~ 33、 及 び 図 2~ 32 の 出 所 は 全 て 世 界 貿 易 統 計 で あ る 。 表 3 本章で取り上げる舶用機械 HS コ ー ド 内容 英語標記 840610 タービン(船舶推進用) Turbines for marine propulsion 840721 船 外 機( ピ ス ト ン 式 、往 復 動 機 関 及 Outboard motors ( petrol-driven, びロータリーエンジンに限る) output not over 20 kW) 船 内 機( ピ ス ト ン 式 、往 復 動 機 関 及 Other marine propulsion engines びロータリーエンジンに限る) ( inboard) 840729 840810 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン ( ピ ス ト ン 式 、 Compression-ignition ディーゼル及びセミディーゼルエ marine propulsion engines ンジン)(船内外機関を除く。) 84834021 船舶推進エンジン用の歯車および Gears & gearing ball or roller 及び 歯 車 電 動 機 、ボ ー ル ス ク リ ュ ー 、ロ screws etc for marine propulsion 84834029 ーラースクリュー engines output 85261010 レ ー ダ ー 機 器 ( 航 空 機 又 は 船 舶 用 ) Radar apparatus ground base or for aircraft or sea-going vessels 85269110 航 行 用 無 線 機 ( 航 空 機 又 は 船 舶 用 ) Radio navigational aid apparatus for aircraft or sea- going vessels 852692 無 線 遠 隔 制 御 機 器 ( 航 空 機 、 船 舶 、 Radio remote control apparatus リモコンカー含む) 1 シンガポールの数値は、シンガポールの政府機関(経済開発庁)に基づく。 - 49 - 6 1. 輸 入 ( 1) 全 体 像 2011 年 の シ ン ガ ポ ー ル へ の 舶 用 機 械 の 輸 入 金 額 の 合 計 は 、 9 億 7,746 万 シ ン ガ ポ ー ル ド ル ( 以 下 、 S ド ル ) で あ っ た 。 こ れ は 、 前 年 同 期 実 績 の 11 億 2,618 万 S ド ル か ら 約 13% 、 2 年 前 の 13 億 5,224 万 S ド ル か ら 約 28% そ れ ぞ れ 減 少 し た 。 なお、輸出のところで詳しく述べるが、シンガポールを経由して他国に輸出する 再 輸 出 は 、 2011 年 は 、 前 年 比 3% 減 の 2 億 7,724 万 S ド ル と な っ て い る 。 2010 年 の 前 年 比 減 少 幅 は 15% だ っ た 。 輸入金額は年によって増減があるものの、再輸出金額は 3 年続けて減少しているこ とから、船用機械の輸入は、再輸出のためではなく、シンガポールの国内需要が主流 になりつつあると推測される。すなわち、舶用機械の貿易に関し、シンガポールが、 従来は、輸入したものを再輸出するという中継貿易的な貿易が中心であったのが、輸 入した舶用機械を使って船舶の修理・海洋構造物等を建造する等を行い、舶用機械と は別のカテゴリーにして輸出するといった形態にかわりつつある可能性がある。 表 4 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 舶用機械輸入額の推移 国名 2009 569.31 210.66 140.24 103.92 50.55 53.38 69.37 13.18 13.22 9.75 171.98 合計 1,352.24 アメリカ 日本 ドイツ 中国 イギリス フランス ノルウェー オランダ 台湾 韓国 その他 単位:百万シンガポールドル 2010 2011 523.33 426.92 193.09 213.04 87.99 125.90 94.74 44.00 44.86 34.23 60.33 30.07 11.09 16.52 12.11 12.65 13.72 12.34 4.26 8.81 63.56 52.98 1,126.18 977.46 輸 入 元 を 見 る と 、 ア メ リ カ が 44% を 占 め て 1 位 で あ る 。 輸 入 額 全 体 に 占 め る ア メ リ カ の 割 合 は 、2009 年 に は 42% 、2010 年 は 46%と 過 去 3 年 間 4 割 以 上 を 占 め て い る 。 日本は、2007 年にトップだったが、2008 年から 2011 年にかけて 2 位にとどまっている。 2011 年は他国からの輸入額が減少したこともあり、全体に占める割合は 22%と前年の 17% を上回った。また、最近では中国からの輸入が増加していたが、2011 年の輸入額は半分以 下に大きく落ち込んでいる。2011 年の全体への寄与率は 13%で、第 4 位に後退した。 輸 入 元 上 位 10 カ 国 を 2011 年 実 績 で み る と 、ア メ リ カ 、日 本 、ド イ ツ 、中 国 、イ ギ リス、フランス、ノルウェー、オランダ、台湾、韓国の順となっている。上位 4 カ 国 で 舶 用 機 械 関 連 輸 入 総 額 8 割 以 上 を 占 め る 。 2011 年 に お け る 各 国 比 率 は 下 記 の 通 りである。 - 50 - 7 図 2 オランダ 1% 舶 用 機 械 輸 入 元 ( 2011 年 ) 韓国 1% 台湾 1% ノルウェー 2% フランス 3% その他 5% イギリス 4% 中国 5% アメリカ 44% ドイツ 13% 日本 22% 上 位 10 カ 国 か ら の 輸 入 額 過 去 3 年 分 の 推 移 を 表 示 し た も の は 、図 3 の 通 り で あ る 。 輸入量第 2 位を維持してきた日本の実績はほぼ横ばい、トップを占めるアメリカの 輸入額が減少していることがわかる。品目別統計からわかるように、アメリカは、 船外機と船舶推進用エンジン、船舶推進エンジン用の歯車および歯車電動機等の輸 入を除いた品目において輸入額が減少している。 図 3 舶 用 機 械 輸 入 上 位 10 カ 国 か ら の 輸 入 額 推 移 (単 位 :百 万 シンガポールドル) 600 550 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 イギリ フラン ノル オラン 台湾 ス ス ウェー ダ 韓国 その他 2009年 569.31 210.66 140.24 103.92 50.55 53.38 69.37 13.18 13.22 9.75 171.98 2010年 523.33 193.09 87.99 94.74 44.86 60.33 11.09 12.11 13.72 4.26 63.56 2011年 426.92 213.04 125.90 44.00 34.23 30.07 16.52 12.65 12.34 8.81 52.98 アメリ カ 日本 ドイツ 中国 - 51 - 8 品 目 別 に 表 示 し た も の は 、 表 5 及 び 図 4 の 通 り で あ る 。 品 目 別 に み る と 、 2011 年 は 、 航 行 用 無 線 機 ( 航 空 機 又 は 船 舶 機 用 ) が 最 も 多 く 、 全 体 の 38% 程 度 を 占 め て お り、次いで、船舶推進用エンジン(ピストン式、ディーゼル及びセミディーゼルエ ン ジ ン ) が 全 体 の 36% 程 度 、 レ ー ダ ー 機 器 ( 航 空 機 又 は 船 舶 機 用 ) が 全 体 の 12% 程 度 で 続 い て い る 。 2011 年 は 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン の 割 合 が 増 加 し 、 航 行 用 無 線 機 の 輸 入金額及び割合が減少したが、この 2 品目で全体の 7 割以上を占める構図に変化は ない。 表 5 舶用機械品目別輸入額の推移 順位 品目 1 船舶推進用エンジン(ピストン式、ディーセル及びセ ミディーゼルエンジン) 2009 単位:百万シンガポールドル 2010 2011 464.85 344.79 348.79 2 航行用無線機(航空機又は船舶機用) 492.51 503.25 371.08 3 レーダー機器(航空機又は船舶機用) 262.29 208.64 114.54 4 船舶推進エンジン用の歯車および歯車電動機、 ボールスクリュー、ローラースクリュー 船内機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエ ンジンに限る) 船外機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエ ンジンに限る) 97.53 38.49 105.60 22.20 15.79 7.52 7.33 7.52 6.31 5 6 7 タービン(船舶推進用) 3.16 2.68 17.41 8 無線遠隔制御機器(航空機、船舶、リモコンカー含 む) 2.37 5.02 6.21 図 4 舶 用 機 械 輸 入 の 品 目 別 割 合 ( 2011 年 ) 船内機(ピストン式、往復 動機関及びロータリーエン ジンに限る) 0.76% 船外機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエンジンに限る) 0.65% タービン(船舶推進用) 2% 無線遠隔制御機器(航空 機、船舶、リモコンカー含む) 0.64 % 船舶推進エンジン用の歯 車および歯車電動機、ボー ルスクリュー、ローラース クリュー 11% レーダー機器(航空機又は 船舶機用) 12% 船舶推進用エンジン(ピス トン式、ディーセル及びセミ ディーゼルエンジン) 36 % 航行用無線機(航空機又 は船舶機用) 38% - 52 - 9 ( 2) 品 目 別 1.タ ー ビ ン ( 船 舶 推 進 用 ) タービンの輸入は、年によって大きく輸入国及び金額が大きく変化している。 2009 年 で は 日 本 、 2010 お よ び 2011 年 で は ア メ リ カ と い っ た 特 定 の 1 カ 国 が 50% 以 上 を 占 め て い る 。 全 体 金 額 は 、 2010 年 に 比 べ て 2011 年 は 34%減 少 し た 。 な お 、 輸 入 額 と 再 輸 出 金 額 の 金 額 が 同 じ よ う な 傾 向 で 増 減 し て い る こ と を 考 え る と 、輸 入 したタービンの相当部分は、再輸出されていることが考えられる。 図 5 ドイツ 3.9% タ ー ビ ン 輸 入 元 ( 2011 年 ) 英国 0.3% タイ 0.1% スペイン 0.03% マレーシア 0.01% アメリカ 95.7% 表 6 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 合計 国名 アメリカ ドイツ 英国 タイ スペイン マレーシア カナダ オーストラリア ベルギー 中国 その他 タービン輸入額推移 単位:千シンガポールドル タービン(船舶推進用) 2009 2010 2011 445.09 2,371.11 1,667.11 0 76.14 67.09 115.70 0 5.09 0 0 1.16 0 0 0.55 173.33 0 0.25 0 0 0.07 0 158.78 0.00 0 37.24 0 0 13.43 0 878.85 0 0 1,612.97 2,656.70 1,741.32 - 53 - 10 2.船 外 機 2004 年 か ら 2011 年 に お け る 船 外 機 の 輸 入 先 ト ッ プ は 日 本 で あ り 、2010 年 は ア メ リ カ か ら の 輸 入 額 が 急 増 し た も の の 、2011 年 に お い て も 日 本 の 割 合 は 依 然 全 体 の 約 68% を 占 め て い る 。 全 体 額 で は 、 2011 年 実 績 は 前 年 比 15% 程 度 の 減 少 と な っ た 。 図 6 中国 1% マレーシア 1% 船 外 機 輸 入 元 ( 2011 年 ) オランダ 1% カナダ ドイツ 0% ポルトガル 1% 0.5% その他 1% アメリカ 6% 香港 8% ベトナム 12% 日本 68% 表 7 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 国名 日本 ベトナム 香港 アメリカ マレーシア 中国 オランダ カナダ ドイツ ポルトガル その他 合計 船外機輸入額推移 2009 2,703.05 409.53 907.22 208.67 297.37 33.85 2,589.90 0 10.80 0 1,004.18 8,164.57 - 54 - 単位:千シンガポールドル 船外機 2010 2011 3,677.36 4,278.06 61.68 778.39 8.63 514.07 2,645.65 406.01 113.91 71.06 183.64 69.10 602.58 37.91 0 31.82 121.89 31.37 0 30.79 26.49 61.05 6,309.6 0 7,441.83 11 3.船 内 機 2011 年 の 輸 入 実 績 は 、2010 年 の 約 1,579 万 S ド ル か ら 約 752 万 S ド ル に 縮 小 し た 。 各 国 別 の 割 合 を み る と 、 オ ラ ン ダ の 割 合 が 最 も 大 き く 、 2011 年 の 全 体 輸 入 額 の 約 23% を 占 め た 。 日 本 の 全 体 に 占 め る 割 合 は 、 2008 年 か ら 2010 年 ま で は 20% 前 後 で 推 移 し て い た が 、 2011 年 は 1.9%と 大 き く 落 ち 込 ん だ 。 な お 、 下 記 図 表 に は 表 示 さ れ て い な い が 、 2007 年 に は イ タ リ ア か ら の 輸 入 が 1,714 万 S ド ル と 全 体 の 57% を 占 め た が 、 2010 年 以 降 の 実 績 は ゼ ロ と な っ て い る 。 図 7 台湾 3% 船 内 機 輸 入 元 ( 2011 年 ) 日本 2% オーストラリア 2% その他 2% スイス 3% アメリカ 5% オランダ 23% 中国 11% ドイツ 20% 香港 15% マレーシア 15% 表 8 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 国名 オランダ ドイツ マレーシア 香港 中国 アメリカ スイス 台湾 日本 オーストラリア その他 合計 船内機輸入額推移 2009 3,581.16 1136.32 531.35 0 416.02 8,374.29 32.22 85.83 4,004.24 7.64 4,028.23 22,197.28 - 55 - 単位:千シンガポールドル 船内機 2010 2011 6,213.42 1,710.25 9.98 1,498.22 872.16 1,155.78 21.01 1,121.60 1,113.14 789.45 916.79 400.34 0.00 214.57 468.09 210.14 3,866.88 140.21 6.91 116.33 2,297.91 158.23 15,786.30 7,515.13 12 4. 船舶推進用エンジン 2011 年 に お け る 輸 入 実 績 は 、 2010 年 の 約 3 億 4,479 万 S ド ル か ら 約 1 % 増 加 し 、 約 3 億 4,879 万 S ド ル と な っ た 。 国 別 で は 、 例 年 、 日 本 、 ア メ リ カ 、 ド イ ツ の 順 と な っ て お り 、2011 年 で は 、日 本 の 占 め る シ ェ ア が 53%、次 い で ア メ リ カ が 21%、ド イ ツ が 8%と な っ て い る 。 な お 、 2011 年 は 、 オ ラ ン ダ が 前 年 比 約 2.7 倍 金 額 を 増 や し 、 上 位 10 位 の ラ ン キ ン グ に 登 場 し た 。 図 8 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン 輸 入 元 ( 2011 年 ) オランダ スウェーデン 1% 1% 中国 フィンランド 1% 2% イタリア 1% その他 2% ノルウェー 3% 英国 6% ドイツ 8% 日本 53% アメリカ 21% 表 9 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 国名 日本 アメリカ ドイツ 英国 ノルウェー フィンランド 中国 オランダ スウェーデン イタリア その他 合計 船舶推進用エンジン輸入額推移 単位:千シンガポールドル 船舶推進用エンジン 2009 2010 2011 147,868.68 151,342.30 184,490.94 89,696.21 65,608.70 73,121.68 67,273.56 59,780.69 28,181.91 30,586.18 18,995.61 22,277.85 64,218.87 6,573.03 9,817.57 9,436.61 12,141.54 6,490.09 2,379.41 6,370.95 4,587.98 1256.14 1456.49 3,948.45 2,200.38 8,450.18 3,774.49 13811.41 1903.04 3,480.67 36,125.18 12,165.09 8,617.16 464,852.63 344,787.64 348,788.79 - 56 - 13 5.船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン の 歯 車 等 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン の 歯 車 及 び 歯 車 電 動 機 、ボ ー ル ス ク リ ュ ー 、ロ ー ラ ー ス ク リ ュ ー の 輸 入 元 は 、2011 年 で は ド イ ツ の シ ェ ア が 79%を 占 め 、次 い で 日 本 が 9%を 占 め た 。 ド イ ツ は 、 2010 年 に 輸 入 額 ・ シ ェ ア と も に 大 き く 減 少 し た が 、 2011 年 は 2008 年 ・ 2009 年 を 上 回 る 約 8,321 万 S ド ル で 再 び ト ッ プ と な っ た 。一 方 、2010 年 は ド イ ツ を 抜 き ト ッ プ だ っ た 日 本 か ら の 輸 入 は 大 き く 減 少 し 、 前 年 比 43% 減 の 約 900 万 S ド ル だった。 図 9 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン の 歯 車 等 輸 入 元 ( 2011 年 ) フィンランド フランス 1% 1% アメリカ ノルウェー 1% オーストリア 1% 0.2% イタリア 2% オランダ 3% 中国 3% 日本 9% ドイツ 79% 表 10 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 国名 ドイツ 日本 中国 オランダ イタリア ノルウェー フィンランド フランス アメリカ オーストリア その他 合計 船舶推進用エンジンの歯車等輸入額推移 単位:千シンガポールドル 船舶推進エンジン用の歯車および歯車電動機、 ボールスクリュー、ローラースクリュー 2009 2010 2011 62,130.41 14,096.15 83,208.99 19,161.26 15,650.43 8,996.55 1,172.64 2,438.12 3,241.70 2,974.15 889.10 2,946.69 234.91 457.66 2,215.08 2,938.58 768.63 1,240.91 829.82 900.31 1,019.07 717.76 690.57 781.17 2,422.66 729.88 776.94 220.12 31.94 217.01 4,727.08 1,832.34 959.49 97,529.39 38,485.13 105,603.60 - 57 - 14 6.航 空 機 又 は 船 舶 用 レ ー ダ ー 機 器 レ ー ダ ー 機 器 に 関 し て は 、シ ン ガ ポ ー ル の 貿 易 統 計 で は 航 空 機 用 と 船 舶 用 と を 分 け ていないため、船舶用レーダーだけを分析することは出来ない。 レ ー ダ ー 機 器 の 全 体 輸 入 額 は 、 2009 年 を ピ ー ク に 2 年 連 続 で 減 少 し て お り 、 2011 年 は 前 年 比 45%減 の 1 億 1,453 万 S ド ル と な っ た 。レ ー ダ ー 機 器 の 輸 入 先 は 、ア メ リ カ が 例 年 1 位 で あ り 、 2011 年 も ア メ リ カ は 58% の シ ェ ア を 占 め て 1 位 と な っ た 。 次 い で フ ラ ン ス 、 英 国 、 日 本 の 順 番 と な っ て い る 。 日 本 の シ ェ ア は 、 2008 年 の 約 10% だ っ た が 、 年 々 低 下 し て お り 、 2011 年 は 4% に と ど ま っ た 。 図 10 航 空 機 又 は 船 舶 用 レ ー ダ ー 機 器 輸 入 先 ( 2011 年 ) 中国 1% ドイツ 2% オーストラリア ブラジル 1% 1% その他 4% オランダ 3% ノルウェー 4% 日本 4% 英国 6% アメリカ 58% フランス 16% 表 11 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 航空機又は船舶用レーダー機器輸入額推移 国名 アメリカ フランス 英国 日本 ノルウェー オランダ ドイツ 中国 オーストラリア ブラジル その他 合計 単位:千シンガポールドル 航空機又は船舶機用レーダー機器 2009 2010 2011 131,402.29 101,901.17 66,471.57 44,764.21 45,164.25 18,495.62 14,336.86 19,660.90 6,434.30 13,870.54 8,924.28 5,086.93 1,028.83 2,120.19 4,669.11 539.12 1,075.42 3,640.56 6,133.46 7,730.72 2,012.39 29,820.01 11,130.06 1,367.45 1,458.18 1,060.96 1,016.88 26.35 0.00 958.05 18,907.93 9,870.72 4,383.44 262,287.77 208,638.66 114,536.30 - 58 - 15 7.航 空 機 又 は 船 舶 用 航 行 用 無 線 機 本 項 目 は 前 項 目 と 同 様 、シ ン ガ ポ ー ル の 貿 易 統 計 で は 航 空 機 用 と 船 舶 用 と を 分 け て いないため、船舶用無線機だけを分析することは出来ない。 航 行 用 無 線 機 の 全 体 輸 入 額 は 、 近 年 大 幅 な 増 加 傾 向 に あ っ た が 、 2011 年 は 前 年 比 26%減 の 3 億 7,108 万 S ド ル と 、 減 少 に 転 じ て い る 。 輸入元としてアメリカが常に優位に立っており、全体の 7 割強を占めている。日 本 は 、前 年 比 3% 増 と ほ ぼ 横 ば い の 984 万 S ド ル 、シ ェ ア は 2.6% だ っ た 。近 年 金 額 、 シ ェ ア と も に 伸 び て い た 中 国 は 2011 年 、 輸 入 額 が 5 割 以 上 落 ち こ ん だ 一 方 、 ド イ ツ や 韓 国 は そ れ ぞ れ 1.9 倍 、 2.9 倍 と 大 き な 伸 び を 示 し た 。 図 11 航 空 機 又 は 船 舶 用 航 行 用 無 線 機 輸 入 元 ( 2011 年 ) フランス 2% インド 2% 韓国 2% 英国 1% ベトナム 1% その他 3% ドイツ 3% 日本 3% 台湾 3% 中国 9% アメリカ 72% 表 12 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 航空機又は船舶用航行用無線機輸入額推移 国名 アメリカ 中国 台湾 日本 ドイツ フランス インド 韓国 英国 ベトナム その他 合計 単位:千シンガポールドル 航空機又は船舶機用航行用無線機 2009 2010 2011 336,351.33 347,713.08 267,853.14 69,617.74 72,745.89 32,072.39 11,879.22 12,084.28 9,837.47 21,165.80 9,437.99 9,729.87 3,090.38 5,105.19 9,584.82 7,393.62 13,107.03 8,905.15 9,146.48 12,011.20 7,405.51 4,595.34 2,228.63 6,448.21 2,373.19 5,975.63 4,929.40 10,851.75 5,145.66 2,530.32 16,047.65 17,697.73 11,782.70 492,512.51 503,252.31 371,078.99 - 59 - 16 8.無 線 遠 隔 制 御 機 器 無 線 遠 隔 制 御 機 器 に 関 し て は 、 HS コ ー ド の 最 小 項 目 区 分 で も 航 空 機 、 船 舶 機 、 及 び玩具用のものが含まれており、船舶関連の無線遠隔制御機器だけを分析すること は出来ない。 無 線 遠 隔 制 御 機 器 の 輸 入 額 は 、 2011 年 は 前 年 比 24%増 の 621 万 S ド ル と な っ た 。 輸 入 シ ェ ア は 、 2011 年 は 、 中 国 が 30% で 1 位 で あ り 、 ア メ リ カ 、 ド イ ツ 等 の 国 が 続 い て い る 。日 本 の シ ェ ア は 、2008 年 は 約 10% あ っ た が 、近 年 は 低 迷 し て お り 、2011 年 は 5%だ っ た 。 図 12 無 線 遠 隔 制 御 機 器 輸 入 先 ( 2011 年 ) その他 ノルウェー 8% 2% インドネシア 3% カナダ 3% 日本 5% 中国 30% マレーシア 6% 英国 6% 台湾 6% アメリカ 20% ドイツ 11% 表 13 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 国名 中国 アメリカ ドイツ 台湾 英国 マレーシア 日本 カナダ インドネシア ノルウェー その他 合計 無線遠隔制御機器輸入額推移 単位:千シンガポールドル 無線遠隔制御機器(航空機、船舶、玩具用) 2009 2010 2011 475.46 739.90 1,870.51 412.93 1,441.65 1,222.92 462.59 1,071.58 714.25 198.50 109.23 385.04 2.08 70.68 371.16 157.26 246.57 366.45 42.30 177.97 317.43 7.01 11.19 170.68 6.36 216.33 156.64 163.32 346.44 121.70 442.24 586.64 515.72 2,370.05 5,018.19 6,212.50 - 60 - 17 2. 輸 出 全体像 シ ン ガ ポ ー ル に お け る 輸 出 統 計 は 、「再 輸 出 」 2 お よ び 「地 場 輸 出 」 3 に 分 け て 表 示 さ れ て い る 。 市 場 を ほ ぼ 100%開 放 し て い る シ ン ガ ポ ー ル で は 、 国 内 で 生 産 さ れ た 物 品 の 輸 出 で あ る 「地 場 輸 出 」に 加 え 、 シ ン ガ ポ ー ル を 経 由 し て 他 国 へ 輸 出 す る 「 再 輸 出 」 の割合が大きいためである。 本章でも、舶用機械の輸出を再輸出及び地場輸出に分けて概観することとする。 輸 入 の 項 と 同 じ 品 目 の 輸 出 統 計 を 見 る と 、 全 体 で は 2011 年 の 再 輸 出 額 合 計 が 前 年 比 3%減 の 2 億 7,724 万 S ド ル 、 地 場 輸 出 合 計 額 が 前 年 比 4%増 の 2,937 万 S ド ル だ っ た。 すなわち、シンガポールの輸出の大部分は再輸出が占めている。 ま た 、 2011 年 の 舶 用 機 械 輸 入 総 額 が 9 億 7,746 万 S ド ル で あ り 、 再 輸 出 額 が 2 億 7,724 万 S ド ル で あ る の で 、輸 入 さ れ た も の の う ち 、金 額 的 に 約 4 分 の 1 程 度 の も の が再輸出となっている。 表 14 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 2 3 舶用機械再輸出額の推移 国名 インドネシア マレーシア 中国 米国 ベトナム オランダ インドネシア 台湾 タイ 香港 その他 合計 2009 184.55 41.76 35.29 4.62 7.12 2.15 7.18 11.13 3.90 5.88 32.03 335.61 単位:百万シンガポールドル 2010 2011 180.18 138.07 31.07 38.36 23.82 19.49 1.49 11.50 7.89 7.19 0.12 6.45 3.39 6.12 4.15 6.04 3.15 5.85 8.15 5.09 23.18 33.09 286.58 277.24 海外から輸入したものを、付加価値を付けずに一定期間内に海外へ輸出する形態。 シンガポールで生産された物品の輸出。 - 61 - 18 表 15 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 - 舶用機械地場輸出額の推移 単位:百万シンガポールドル 2010 2011 13.02 14.18 1.62 3.45 4.55 2.88 0.28 2.04 0.54 1.26 0.05 1.08 0.09 1.02 0.25 0.73 0.29 0.48 0.02 0.39 7.55 1.86 2009 9.88 0.29 5.50 0.43 1.42 0.02 0.13 0.02 1.36 0.00 6.56 国名 インドネシア アメリカ マレーシア 香港 中国 UAE タイ 日本 オーストラリア ドイツ その他 合計 25.60 28.26 29.37 再 輸 出 及 び 地 場 輸 出 先 上 位 10 カ 国 の 2011 年 実 績 を 元 に 見 る と 、再 輸 出 先 と し て は 、 イ ン ド ネ シ ア が 1.38 億 S ド ル で 全 体 の お よ そ 50%を 占 め 、 マ レ ー シ ア ( 14% ) 、 中 国( 7% )と 続 い た 。地 場 輸 出 先 も 1 位 は イ ン ド ネ シ ア で 1,418 万 S ド ル と 全 体 の 48% を占め、アメリカ、マレーシア、香港、中国の順となっている。 図 13 台湾 2% 舶 用 機 械 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) タイ 2% その他 12% オランダ 2% ベトナム 3% 米国 4% 舶 用 機 械 地 場 輸 出 先 ( 2011 年 ) オーストラリア ドイツ 2% 1% 日本 2% その他 タイ 6% 3% UAE 4% 香港 2% インドネシア 2% 図 14 中国 4% インドネシア 50% インドネシア 49% 香港 7% 中国 7% マレーシア 10% マレーシア 14% アメリカ 12% - 62 - 19 ま た 、再 輸 出 及 び 地 場 輸 出 に つ い て 、そ れ ぞ れ 品 目 別 に み る と 、船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン(ピストン式、ディーゼル及びセミディーゼルエンジン)が最も多く、再輸出の 59% を 占 め て い る 。 一 方 、 地 場 輸 出 で は 、 そ こ ま で 突 出 し た 品 目 は な く 、 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン( ピ ス ン 式 、デ ィ ー ゼ ル 及 び セ ミ デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン )が 35%、船 内 機( ピ ス ト ン 式 、 往 復 動 機 関 及 び ロ ー タ リ ー エ ン ジ ン に 限 る ) ) が 25%な ど と な っ て い る 。 表 16 舶用機械再輸出の品目別推移 2009 順位 品目 単位:百万シンガポールドル 2010 2011 船舶推進用エンジン(ピストン式、ディーセル及びセ ミディーゼルエンジン) 船舶推進エンジン用の歯車および歯車電動機、 ボールスクリュー、ローラースクリュー 船内機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエ ンジンに限る) 216.70 206.40 164.87 38.06 20.16 27.71 35.57 27.73 23.14 4 タービン(船舶推進用) 12.99 3.24 20.95 5 無線遠隔制御機器(航空機、船舶、リモコンカー含 む) 10.11 9.01 14.64 6 レーダー機器(航空機又は船舶機用) 9.85 7.87 11.62 7 航行用無線機(航空機又は船舶機用) 8.47 8.87 10.84 8 船外機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエ ンジンに限る) 3.85 3.30 3.47 1 2 3 表 17 舶用機械地場輸出の品目別推移 順位 品目 船舶推進用エンジン(ピストン式、ディーセル及びセ 1 ミディーゼルエンジン) 船内機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエ 2 ンジンに限る) 無線遠隔制御機器(航空機、船舶、リモコンカー含 3 む) 船舶推進エンジン用の歯車および歯車電動機、 4 ボールスクリュー、ローラースクリュー 2009 単位:百万シンガポールドル 2010 2011 3.80 8.33 10.29 3.57 3.16 7.41 1.44 0.44 4.70 6.15 4.57 2.83 5 レーダー機器(航空機又は船舶機用) 2.08 3.55 2.00 6 航行用無線機(航空機又は船舶機用) 6.99 7.79 1.49 7 船外機(ピストン式、往復動機関及びロータリーエ ンジンに限る) 0.06 0.41 0.46 8 タービン(船舶推進用) 1.51 0.02 0.18 - 63 - 20 図 15 レーダー機器(航空機又 は船舶機用) 4% 無線遠隔制御機器(航空 機、船舶、リモコンカー含 む) 5% 舶用機械再輸出の品目別内訳 船外機(ピストン式、往復 航行用無線機(航空機又 動機関及びロータリーエ は船舶機用) ンジンに限る) 4% 1% タービン(船舶推進用) 8% 船舶推進用エンジン(ピ ストン式、ディーセル及び セミディーゼルエンジン) 60% 船内機(ピストン式、往復 動機関及びロータリーエ ンジンに限る) 8% 船舶推進エンジン用の歯 車および歯車電動機、 ボールスクリュー、ロー ラースクリュー 10% 図 16 舶 用 機 械 地 場 輸 出 の 品 目 別 内 訳 ( 2011 年 ) 船外機(ピストン式、 往復動機関及びロー タリーエンジンに限 る) タービン(船舶推進 航行用無線機(航空 2% 用) 機又は船舶機用) 1% 5% レーダー機器(航空 機又は船舶機用) 7% 船舶推進エンジン用 の歯車および歯車電 動機、ボールスク リュー、ローラースク リュー 10% 無線遠隔制御機器 (航空機、船舶、リモ コンカー含む) 16% 船舶推進用エンジン (ピストン式、ディー セル及びセミディー ゼルエンジン) 35% 船内機(ピストン式、 往復動機関及びロー タリーエンジンに限 る) 25% - 64 - 21 ( 2) 品 目 別 タービン(船舶推進用) タ ー ビ ン の 輸 出 は 、大 部 分 が 再 輸 出 に よ る も の で あ り 、地 場 輸 出 の 116 倍 近 い 金 額 で あ る 。 再 輸 出 の 輸 出 先 は 、 2011 年 は ア メ リ カ が 第 1 位 で 、 オ ラ ン ダ が 第 2 位 で あ っ た 。 金 額 は 、 2011 年 に は 前 年 比 約 6.4 倍 と な っ た 。 地 場 輸 出 の 輸 出 先 は 、再 輸 出 と 異 な り 、特 定 の 国 に 偏 っ て お ら ず 、第 1 位 も 頻 繁 に 変 わ っ て お り 、 2010 年 は オ ー ス ト ラ リ ア 、 2011 年 は ド イ ツ で あ っ た 。 金 額 は 、 前年比約 8 倍と、大幅な増加となった。 図 17 図 18 タ ー ビ ン 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 18 タ ー ビ ン 地 場 輸 出 先 ( 2011 年 ) - 65 - 表 19 タービン再輸出額推移 タービン地場輸出額推移 22 2. 船 外 機 船 外 機 の 再 輸 出 先 の ト ッ プ は イ ン ド ネ シ ア 、2 位 は ベ ト ナ ム で あ る 。輸 出 額 は 、2008 年 か ら 2010 年 に か け て 減 少 傾 向 に あ っ た が 、 2011 年 は 前 年 比 5% 増 の 347 万 S ド ル だった。 地 場 輸 出 先 は 、2010 年 に 引 き 続 き セ イ シ ェ ル が 1 位 で 、全 体 の 55%を 占 め た 。第 2 位 の イ ン ド ネ シ ア 向 け の 輸 出 額 の 急 増 を 受 け 、 2011 年 の 地 場 輸 出 総 額 は 、 前 年 同 期 比 14%拡 大 し た 。 図 19 図 20 船 外 機 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 20 船 外 機 地 場 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 21 - 66 - 船外機再輸出先 船外機地場輸出先 23 3. 船 内 機 2011 年 に お け る 船 内 機 の 輸 出 先 と し て 、 イ ン ド ネ シ ア 向 け は 再 輸 出 、 地 場 輸 出 と も に 約 7~ 8 割 を 占 め て い る 。 全 体 の 輸 出 額 は 、 2011 年 に は 再 輸 出 は 前 年 比 で 35% 減少したが、地場輸出は前年の倍以上の増加となった。 図 21 船 内 機 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 22 船内機再輸出額推移 図 22 船 内 機 地 場 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 23 船内機地場輸出額推移 - 67 - 24 4. 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン 船 舶 推 進 用 エ ン ジ ン の 再 輸 出 先 、地 場 輸 出 先 も イ ン ド ネ シ ア が ト ッ プ で あ り 、2011 年 に お け る 同 国 寄 与 率 は 再 輸 出 先 で 62%、 地 場 輸 出 先 で 50% で あ っ た 。 ま た 、再 輸 出 額 全 体 を 見 る と 、2010 年 、2011 年 と そ れ ぞ れ 前 年 比 5%、20% 減 少 し た 。 一 方 、 地 場 輸 出 金 額 は 、 2011 年 は 前 年 比 2 4% 増 と 、 前 年 に 引 き 続 き 増 加 し た 。 図 23 船舶推進用エンジン 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) 図 24 表 24 船舶推進用エンジン再輸出額推移 船舶推進用エンジン 地 場 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 25 - 68 - 船舶推進用エンジン地場輸出額推移 25 5. 船 舶 推 進 エ ン ジ ン 用 の 歯 車 等 船 舶 推 進 エ ン ジ ン 用 の 歯 車 及 び 歯 車 電 動 機 、ボ ー ル ス ク リ ュ ー 、ロ ー ラ ー ス ク リ ュ ー の 2011 年 の 再 輸 出 額 は 、 前 年 比 37%増 の 2,771 万 S ド ル に 拡 大 し た 。 輸 出 先 は マ レーシア、インドネシア、香港、台湾、インドの順となっている。地場輸出は、前 年 比 38% 減 の 283 万 S ド ル 。 輸 出 先 は 、 イ ン ド ネ シ ア 、 マ レ ー シ ア 、 中 国 の 順 に な っている。 図 25 船舶推進エンジン用の 表 26 歯 車 等 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) 図 26 船舶推進用エンジンの 歯車等再輸出額推移 船舶推進エンジン用の 表 27 歯 車 等 地 場 輸 出 先 ( 2011 年 ) 船舶推進用エンジンの 歯車等地場輸出額推移 - 69 - 26 6. 航 空 機 又 は 船 舶 用 レ ー ダ ー 機 器 2009 年 以 降 減 少 傾 向 が み ら れ た レ ー ダ ー 機 器 の 再 輸 出 額 は 、 2011 年 は 1,162 万 S ド ル と 前 年 比 48% の 増 加 に 転 じ た 。 再 輸 出 額 の 上 位 3 カ 国 は 、 2011 年 は 、 韓 国 、 日 本 、イ ン ド ネ シ ア の 順 と な っ て い る 。日 本 は 、2010 年 は 前 年 の 212 万 S ド ル か ら 105 万 S ド ル に 減 少 し た が 、 2011 年 に は 204 万 S ド ル と 増 加 に 転 じ た 。 地 場 輸 出 で は 、 2010 年 は 前 年 比 70%増 の 355 万 S ド ル だ っ た が 、 2011 年 は 200 万 S ド ル と 、 同 44%減 と な っ た 。 輸 出 先 は イ ン ド ネ シ ア が 51% を 占 め て い る 。 ただし、輸入の項でも述べたとおり、これらレーダー機器の数値には航空機用が 含まれている。 図 27 レ ー ダ ー 機 器 再 輸 出 先 ( 2011 年 ) 表 28 レーダー機器再輸出額推移 図 28 レーダー機器地場輸出先(2011 年) 表 28 レーダー機器地場輸出額推移 - 70 - 27 7. 航 空 機 又 は 船 舶 用 航 行 用 無 線 機 航 行 用 無 線 機 の 2011 年 に お け る 再 輸 出 金 額 は 、前 年 比 22% 増 の 1,084 万 S ド ル で あ っ た 。 再 輸 出 の 輸 出 先 の ト ッ プ は 、 イ ン ド ネ シ ア で 、 全 体 の 57% を 占 め て い る 。 次いで中国が続いている。 地 場 輸 出 額 は 、 前 年 を 大 き く 下 回 る 150 万 S ド ル で 、 輸 出 先 の ト ッ プ は 2011 年 実 績 で は ア メ リ カ 、 中 国 、 UAE の 順 と な っ て い る 。 なお、輸入の項でも述べたとおり、これら航行用無線機器の数値には航空機用及 び船舶用が含まれている。 図 29 航行用無線機器再輸出額(2011 年) 表 30 航行用無線機器再輸出額推移 57 図 30 航行用無線機器地場輸出額(2011 年) 表 31 航行用無線機器地場輸出額推移 - 71 - 28 8. 無 線 遠 隔 制 御 機 器 2011 年 に お け る 無 線 遠 隔 制 御 機 器 の 再 輸 出 額 は 1,464 万 S ド ル で 、 前 年 比 62 % 増 と な っ て い る 。再 輸 出 先 ト ッ プ は 中 国 で 、全 体 へ の 寄 与 度 は 29%で あ っ た 。続 い て 、 マレーシア、アメリカの順となっている。 一 方 、 地 場 輸 出 額 は 、 2011 年 は 前 年 比 約 11 倍 に 増 加 し た 。 国 別 で は 、 ア メ リ カ 、 日 本 、 イ ン ド ネ シ ア の 順 に な っ て い る 。 日 本 は 、 2010 年 は 前 年 比 約 9.2 倍 、 2011 年 は 同 2.6 倍 と 大 幅 に 増 加 し た 。 なお、輸入の項でも述べたとおり、これら無線遠隔制御機器の数値には航空機、 船舶、及び玩具用が含まれている。 図 31 無線遠隔制御機器再輸出先(2011 年) 表 32 無線遠隔制御機器再輸出額推移 図 32 無線遠隔制御機器地場輸出先(2011 年) 表 33 無線遠隔制御機器再輸出額推移 - 72 - 29 主要企業リスト Singapore Maritime Directory の 広 告 掲 載 サ イ ズ 、 及 び 有 名 欧 米 メ ー カ ー の 現 地 子会社に絞って、主要企業と思われるところを外資系、地場企業別に紹介する。 ま た 、シ ン ガ ポ ー ル で の 舶 用 機 械 に 従 事 す る 日 系 企 業 の 集 ま り で あ る「 JSMEA CLUB」 のメンバーリストを紹介する。 地場企業(別添1) 外資系企業(別添2) JSMEA CLUB( 別 添 3 ) - 73 - 30 別添1 地場企業 会社名 BH Global Marine Ltd Codar (Pte) Ltd Heatec Jietong Pte Ltd 住所 TEL FAX 8 Singapore 609189 (65) 6291 4444 (65) 6291 5777 /6296 7775 / 6294 4474/4844 315 Outram Road #1106/07/08 Tan Boon Liat Building Singapore 169074 (65) 6550 9533 (65) 6224 0890 18 Tuas Avenue 18A Singapore 638868 194 Pandan Loop, #0605 PanTech Industrial Jason Electronics (Pte) Ltd Complex, Singapore 128383 LYCKAD Marine Pte Ltd 25 Kian Teck Drive Singapore 628842 Mentrade Marine Engineering Pte Ltd ん Mentrade Industrial Engineering Pte Ltd No. 64 Penjuru Lane Singapore 609209 (65) 6861 1433 (65) 6872 0211 (65) 6264 8136 (65) 6264 8868 (65) 6861 1347 主要事業内容 *船具商、船主、船舶管理会社、造船事業者、船の修理業者に船舶海 洋電気製品の包括範囲を供給 *http://www.bhglobal.com.sg オートパイロット、音波発信機、航海用レーダなどの代理、販売及び サービスの提供。 *配管作業 *空気冷却器の製造とサービス提供 *外板と管の熱交換サービス(クリーニング、配管交換、製造、リエンジ ニアリング) *プレート熱交換サービス(取り付け、化学的洗浄、高圧プレート洗浄 など) http://www.heatec.com.sg (65) 6872 1800 商業、船舶業、オフショア・オンショア産業に関する、舶用電子、地上 通信、及び総合システムの提供。 シンガポールでは、販売、設置、アフターサービス、メンテナンスサー ビスを提供する。船舶関連の取り扱い商品は ・ 通信システム(舶用VHF無線、衛星通信、船舶インターコム&パブ リックアドレッシングシステム) ・ 総合システム(総合ブリッジシステム) ・ 航海システム(自動操縦システム、深度音響器、電子海図ディスプ レイ情報システム、GPS、回転羅針、レーダーシステム、探査&救命 システム ・ ダイナミック・ポジショニング・システム ・ 舶用シミュレーション用アプリケーション http://www.jason.com.sg/ (65) 6264 8135 下記の生産 ・ グレーチングぶた ・ 通風筒 ・ ギア ・ シーチェストぶた http://www.lyckadmarine.com.sg (65) 6382 2323 * プロペラの製造とサービス提供 * ウインチ及び起重機の製造とサービス提供 * マリンシステムの製造とサービス提供 *エンジンの修理サービス http://www.mentrade.com/ Patronics (S) Pte Ltd 51 Bukit Batok Crescent #07-08 Unity Centre Singapore 658077 (65) 6473 0048 (65) 6473 0042 *電子航海システムと無線通信機器の販売とアフターセールスサービ ス *SOLAS条約や個別顧客層の要望に沿ったプロジェクトのコンサル テーションサービス *新規造船、改良、転換、その他特殊プロジェクトのターンキーシステ ム統合 http://www.patronicsgroup.com Seagull Marine Pte Ltd 33C Benoi Road Singapore 627787 (65) 6820 5525 (65) 6820 5535 *専門の修理、メンテナンス、再調整のサービスを提供 *全世界の出荷、オフショア海洋施設、産業プラントと発電所のため、 エンジニアリング成分の取引 http://www.seagullmarine.sg/ Soh Tong Heng & Co 59Tuas South Avenue 1, (65) 6593 5000 Singapore 637401 (65) 6291 2897 SPCO Holdings Pte LTd 10Tuas Avenue 6 Singapore 639298 (65) 6558 7670 (65) 6558 7807 - 74 - * 43,000のPSIへのハイドロブラストのジョッブを専門する * ポート、アンカレッジと航海船、救命ボート修理 * パイプの断熱材の作業、ゴムコーティングとライニング *各種類のファイバーガラス製品の供給と捏造 www.sohtongheng.com.sg *海洋と石油化学産業、に特殊化したサービスの提供 *建設と一般的な産業にエンジニアリングと建設サービスの提供 http://www.spcosg.com/index.html 31 会社名 Stewart Engineering Works (S) Pte Ltd 住所 42 Kaki Bukit Industrial Terace Singapore 416122 TEL (65) 6292 0136 / 6741 9228 FAX (65) 6296 3338 / 6745 2268 主要事業内容 下記の設計と製造 *油圧パワーパック(最大ゾーン2の要件) *電気パワーパック *ポンプ (泥液体ポンプ、DNV規格に組み込んだ循環ポンプ等) *消防ポンプ (FF1の要件) *発電機 *コンプレッサー *有線単位 *サービス&ディーゼルエンジンのオーバーホール www.stewartengrg.com 153 Pioneer Road, Tatlian Hardware Pte. Ltd. Singapore 639600 (65) 6861 0777 / 3222 (65) 6861 0132 下記の代理、販売 ・ マリンバルブ ・ ガスケット ・ 作動装置 ・ マリンシステム 1 Commonwealth Lane Teho Ropes & Supplies Pte #09-23 One Commonwealth Ltd Singapore 149544 (65) 6744 8777 (65) 6744 8788 *艤装や係船機器のサプライヤ(鋼線ロープ、合成繊維スリングと チェーン) * 負荷テスト、艤装機器のインストールや認証サービス http://www.teho.com.sg 35 Pioneer Road, Jurong (65) 6862 2724 Town, Singapore 628503 (65) 6863 3557 ポンプ、ブレーキ・ライニング、ウインチなどの修理及び鉄骨製作。 テール・シャフト・スリーブ、冷却器カバー、羽根車などの生産。 http://www.unicast.com.sg Unicast Engineering & Trading Pte Ltd クレーン、フック付ローダー、テールゲート(尾門)などのエンジニアリ ングサービス、取り付け、修理 Wong Fong Engineering Works (1988) Pte Ltd Xin Ming Hua Pte Ltd 79 Joo Koon Circle Singapore 629107 (65) 6861 6555 44 Sungei Kadut Avenue (65) 6368 0188 Singapore 729667 (65) 6861 3230 (65) 6368 0633 - 75 - * 船舶用積荷システム * 廃棄物処理システム * その他リフトなど http://www.wongfong.com 下記の代理、販売 ・ エンジン (16ps - 2,500ps) ・ マリン発電装置 (6kva - 1,900kva) ・ 汎用内燃機関 (4kw - 2,105kw) ・ その他の部品 http://www.engine.com.sg 32 別添 2 外資系企業 会社名 ABB Industry Pte Ltd 住所 2 Tuas Lane, Singapore 638611 11, Joo Koon Circle Alfa Laval Aalborg Pte. Jurong Point P.O. Box 259 Ltd. Singapore 916409 TEL (65) 6861 9722 (65) 6261 9898 Alfa Laval Singapore Pte Ltd 11 Joo Koon Circle, Jurong Singapore 629043 Alphatron Marine Systems Pte Ltd 59S Tuas South Avenue 1, Ho Lee Industrial (65) 6863 0335 Development Singapore 637418 Atlas Copco (SEA) Pte 25 Tuas Ave. 2, Singapore 639456 Ltd Caterpillar Marine Asia 14 Tractor Road, Singapore 627973 Pacific Pte Ltd Consilium Marine Singapore Pte Ltd (65) 6559 2828 (65) 6210 8000 (65) 68287333 7030 Ang Mo Kio Avenue 5 #05-58 Northstar (65) 6570 8998 Singapore 569880 8 Tanjong Penjuru Cummins Sales and Service Singapore Pte Jurong Industrial Estate Singapore 609019 Ltd (65) 6261 3555 FAX 主要事業内容 資本 (65) 6861 8126 グループとしての業務は下記マリンシステムのデザイ ンと製造。シンガポールは販売とサービスのみ。 ・ 推進システム ・ モーター ・ 電力システム ・ 起重機 (65) 62661111 ボイラー、不活性ガスシステム、熱流体システム、バー ナー、制御システム、その他熱交換システム等を含む アクセサリ関連の供給とアフターサービス。 取り扱い商品は ・蒸気ボイラー (デンマー ・熱湯ボイラー ク) ・排気ガス燃焼エコノマイザー ・コンポジットボイラー(オイル又は排気ガス燃焼) ・不活性ガスシステム ・熱流体加熱システム ・熱交換 http://www.aalborg-industries.com/ (65)6862 3567 (スイス) アルファ・ラバルグループ商品の販売及びアフター サービスが主要業務。 製品分野は分離システム、熱移転、および流体技術関 連。 取扱商品は 舶用及び電源関連 (スウェー ・プレート熱交換 デン) ・水生成装置 ・油、潤滑油、油圧オイル用遠心分離機 ・燃料調整モジュール ・Moatti自動フラッシンングフィルター ・IMOポンプ及びスペアパーツ(ディストリビューター) http://www.alfalaval.com/ (65) 6863 3305 *海運業界向けの高品質なナビゲーション機器のイン ストール、供給と輸入 *海洋のための通信機器、オンショアアプリケーション の供給 *アフターサービスのメインテナンスと修繕 http://www.alphatronmarine.nl/ (65) 68621562 空気とガスコンプレッサー、ジェネレーター、建築および 鉱山業機器、組立機器、の修理保守や部品・付属品供 給、及びレンタル。コンプレッサー、ジェネレーター、建 (スウェー 築および鉱山業機器を取り扱う。 デン) http://www.atlascopco.sg/ http://www.atlascopco.com/us/system/splash.asp (65) 68287302 アジア太平洋地域における船舶用エンジンの販売、 サービス。取扱商品は 高速推進エンジン 中速推進エンジン 完全推進エンジン 高速補助用エンジン 中速補助用エンジン http://www.mak-global.com/ (65) 6570 8698 シンガポールでは船舶関連電子系統部門に特化。船 舶用のハイテク機器(海洋ナビゲーションシステム、セ キュリティシステム、火災・ガス探知器、タンクレベル測 (スウェー 定システム)などに関するコンサルテーション、販売、 デン) サービスを提供している。 http://www.consilium.se (65) 6261 2405 *エンジン供給(船舶用にはディーゼルエンジンを供 給。その他、重量トラック、農業用機械等のエンジンも 供給) *発電機供給(船舶用には、補助発電機を供給。その 他、電力発電所、天然ガス発電所の発電機も供給) * 濾過装置(Filtration)供給、その他 * 国際ロジスティックセンターを完備 http://www.cummins.com http://www.cspl.cummins.com - 76 - (オランダ) (ドイツ/US) (米国) 33 会社名 Deutz Asia-Pacific (Pte) Ltd Hamworthy Pte Ltd Ingersoll-Rand South East Asia (Pte) Ltd Jotron Asia Pte. Ltd. Kelvin Hughes (S) Pte Ltd 住所 110 Gul Crescent Singapore 629523 Hamworthy Pte. Ltd. 15 Benoi Crescent Singapore 629978 42 Benoi Road Singapore 629903 19 Loyang Way, Changi Logistics Centre, Rear Office Block #04-26, Singapore 508724 896 Dunearn Road #03-05 Sime Darby Centre Singapore 589472 TEL (65) 6672 7800 FAX (65) 6264 1779 主要事業内容 エンジン及びスペアパーツの販売からテクニカルサ ポートサービスまで網羅。 http://www.deutz.com.sg/ http://www.deutz.de 資本 (ドイツ) 舶用関連及び石油ガス関連の流体制御装置の販売と サービス。取り扱い商品は ・エンジンルームポンプ ・ポンプルームシステム ・ウォーターシステム (イギリス) ・ガスシステム ・不活性ガスシステム http://www.hamworthy.com (65) 62616066 (65) 62616011 (65) 6861 1555 air 68622086 tool 68621373 空気圧縮機及びポンプの取り付けからテクニカルサ ポートサービスまで網羅。 http://www.ingersollrand.com (65) 65429415 ジョトロングループは、舶用及び航空市場における通信 システムを製造し販売する。取扱商品は 【舶用関製品】 EPIRB, レーダートランスポンダー, AISファミリー, SVDRフロートフリー 倉庫カプセル, VHF無線, 緊急時ラ イト, EPIRBテストキット, アクセサリー,新古品 , MSDS (ノル リチウム,警報 ウェー) 【船舶用通信システム】 CIS 3000コマンドインターコム, BTS 4000バッテリー不 要電話機など、 http://www.jotron-asia.com/ http://www.jotron.com/ (65) 65426350 (65) 6545 9880 (65) 65458892 (アメリカ) 航海関連製品、航海システム及びデータの提供。取扱 商品は 商業&軍用航海製品 ・ IBS, レーダー, ECDIS, VDR, SSAS, GPS, 自動操縦, GYRO, エコーサウンダー, 方位磁石, NTD, WECDIS, (イギリス) NTD - 潜水艦 航海図&その他グッズ ・ 地図、電子海図、その他出版物など http://www.kelvinhughes.com/ MAN Diesel Singapore 29 Tuas Avenue 2, Singapore 639460 Pte. Ltd. (65) 63491600 (65) 68982201 同社は下記商品を世界で取り扱っている。 ・船舶推進用の2ストロークディーゼルエンジン(1100 kW - 97 300 kW) ・船舶推進用および船内ディーゼル発電機への電源供 給用4ストロークディーゼルエンジン(450 kW - 23850 (ドイツ) kW ・4ストロークディーゼル-ガスエンジン、およびスパー クイグニッション・ガスエンジン(709 -7200 kW) ・ディーゼルおよびガスエンジン用ターボチェンジャー http://www.manbw.com/ Moteurs Baudouin 360 Orchard Road #0604 International Building Singapore 238869 (65) 6734 7911 (65) 6734 1477 下記のデザイン、製造、供給 *船内のディーゼルエンジン *ギアボックスを実現 *プロペラシャフト *プロペラ *ノズルと船外の発電機セット *マリンディーゼルエンジン (85 - 1300bhp) *マリンディーゼル発電機セット (900kVAまで) http://www.baudouin-engine.com Niigata Power Systems Co., Ltd 50 Bukit Batok Street 23,#04-21 Midview Building Singapore-659578 6899-1500 6899-1600 親会社が製造する商品の販売とアフターサービス - 77 - (フランス) (日本) 34 会社名 Radio Holland Singapore Pte Ltd Raytheon Anschuetz Singapore Pte Ltd 住所 8A Tuas Avenue 12 Singapore 639030 51 Bukit Batok Crescent #07-08 Unity Centre Singapore 658077 TEL (65) 6862 2218 (65) 6473 0048 25 International REINTJES Asia Pacific Business Park #01-51/52 (65) 65628818 German Centre, Pte. Ltd. Singapore 609916 Rolls-Royce Marine Singapore Pte. Ltd No. 6 Tuas Drive 1, Singapore 638673 22 Boon Lay Way #01-59 Tradehub 21 Sauer-Danfoss-Daikin Singapore 609968 Pte Ltd Sulzer Pumps Asia Pacific Pte Ltd. Toei Engineering (S) Pte Ltd Voith Turbo Pte Ltd 88 International Road, Singapore 629177 14 Tuas Link 1 Singapore 638596 2 Pioneer Sector 3 Jurong, Singapore 628341 (65) 68621901 (65) 62623833 (65) 65505000 (65) 6268 9277 (65) 68615100 FAX (65) 6862 2430 主要事業内容 海洋関連および石油・ガス産業関連の通信及び航海機 器の供給 資本 *深海部門:多種多様なスペアパーツを保持しており、 販売とサービスを行う。 *石油・ガス部門および海事関連機器のターンキーソ (オランダ) リューション。 *その他、ワイヤレスソリューション(ワイヤレスリモート クレーン) http://www.radioholland.com.sg (65) 6473 0042 下記の生産: *完全な統合ブリッジシステム, *アナログとデジタルの指標のようなリピータユニット *海洋及び内陸部のナビゲーションにオートパイロットと 操縦を追跡制御装置 *レーダー(ARPA/ATA )システム、電子チャートシス テム( ECDIS ) 、ナビゲーション情報ディスプレー( NautoConning ) (ドイツ) *電気ステアリング制御システムと組み合わせるステア リング( NautoSteer ) *音響測深機、GPS / DGPS受信機, *世界的な海上遭難安全システム (GMDSS) *海洋慣性航法システム (MINS)、 リングレーザーの高 性能プラットフォームシステム *貯蔵設備やサービスステーション http://www.raytheon-anschuetz.com (65) 65628819 グループとしての業務は下記ギアボックスのデザインと 製造。シンガポールは販売とサービスのみ。 - ワークボート用(250 – 20,000 kW) - 高速船用(350 – 4,900 kW) (ドイツ) - 高速フェリー用(600 – 13,200 kW http://www.reintjes-gears.de (65) 6862 2477 シンガポールでは民間航空部門、国防空軍部門、エネ ルギー部門、船舶部門に携わる。船舶部門では電源シ ステムに重点が置かれており、推進機器、エンジン、甲 (イギリス) 板機械設備を取り扱う。 http://www.rolls-royce.com (65) 62654836 主に、車輌用油圧機器の総合的なシステム・ソリュー ションを提供。取扱商品は ・閉回路用ポンプ・モータ ・開回路用ポンプ ・油圧モータ ・バルブ ・ステアリングユニット ・電子油圧制御機器 ・電動モータ http://www.sauer-danfoss-daikin.com (65) 62624311 シンガポールでは販売とアフターサービスだけを行って いる。販売を担当しているのが同社スズラーポンプ・ア ジア太平洋社であり、サービスはシンガポール・サービ (スイス) ス&パッケージングセンターが管轄している。 http://www.sulzer.com (65) 6261 7371 (65) 68615052 - 78 - 米と日の企 業の合弁 会社。本社 は日本。 * ディーゼルエンジン部品の修理 * クロムめっき * 特別仕様鋳型鉄溶接 * コンサルテーションおよびアドバイザリーサービス * 海洋関連エンジンと船舶部品に関する、その他機械 (日本) 的エンジニアリング * 船舶部品の供給 * 三菱製エンジンの公認販売店 http://www.toei.com.sg ヴォイス社が舶用産業用に取り扱う商品は下記の通り (シンガポールに限定しない) ・プロペラ(フェリー用、船舶用、特別船用、ウォータート ラクター用) (ドイツ) ・舵 ・水平陀 http://www.voithturbo.com/index_e.htm 35 会社名 Volvo East Asia Pte Ltd Wartsila Singapore Pte Ltd 住所 33 Joo Koon Circle, Singapore 629111 11 Pandan Crescent Singapore 128467 ZF South East Asia Pte 11 Tuas Drive ,1 Singapore 638678 Ltd TEL (65)6221 3111) (65) 6265 9122 (65) 64248787 FAX 主要事業内容 資本 (65) 6339 7925 レジャー船舶関連パワーシステム、商業用及び産業用 の舶用関連アプリケーションとパーツの供給。取り扱い 商品は (スェーデ ディーゼルエンジン(5 – 16 litres、 100 – 496 kW) ン) パワーシステム レジャー船用エンジン http://www.volvo.com/ (65) 6265 0910 *現場での修理サービス -シリンダーライナーのホーニング -機械加工 -オーバーホールサービス -メタロッキング(Metalocking service) -その他種々の機械の修理 *エンジン、部品の修理 *修理工場での修理 *部品の販売 http://www.wartsila.com/sg/en/home.htm (65) 64248788 - 79 - (フィンラン ド) 舶用関連及び自動車関連の下記商品の販売及びサー ビス提供。 ・ZF船舶用ギアー ・バス及び特別車用自動トランスミッション ・パワーシフトトランスミッション ・オフロード及び建設機械用アクセル (ドイツ) ・トランスミキサー・ギアボックス ・パワーステアリングギアー ・マシンツールギアボックス ・電磁クラッチ ・その他のZFトランスミッション関連商品。 http://www.zf-seasia.com 36 別添3 JSMEA シンガポール支部メンバーリスト (2012年10月現在) 会社名 住所 186 Gul Circle, Jurong, Azuma Engineering Pte. Ltd. Singapore-629631 91 Bencoolen St. #10-01 BEMAC Marine Engineering Sunshine Plaza Singapore Service 189652 (S) Pte Ltd Chugoku Marine Paints (S) Pte. 22 Tuas Street, Singapore 638459 Ltd. Daihatsu Diesel (Asia Pacific) 128 Pioneer Road, Singapore-639586 Pte. Ltd. TEL FAX ホー ムペー ジ 主要事業 http://w w w .azumaengineering.com/ 舶用エンジンのメンテナンス 6861-4677 6861-5406 6884-7989 6884-7980 http://w w w .bemac-uzushio.com 6861-6500 6861-3002 http://w w w .cmp.co.jp/ 舶用、産業用及びコンテナ用塗料の製造 販売 6270-7235 6270-6236 http://w w w .dhtd.co.jp/ 舶用ディーゼル機器販売 http://w w w .daikai.com/ 主にダイハツディーゼルエンジン販売、部 品販売、修理/その他エンジン舶用機械全 般部品販売修理 渦潮電機の製品、電装工事のアフター サービス・メンテナンス拠点 Daikai Engineering Pte. Ltd. 128 Pioneer Road, Singapore-639586 6863-2856 6863-2876 Diesel United, Ltd. Singapore Representative Office 27 Tanjong Kling Road Singapore-628052 6603 5731 6266 5302 ディーゼルエンジン製造・販売・サービス 6271-8366 6271-1460 船舶用品一般、船舶代理店 6830-3523 6733-1039 161 Pasir Panjang #01-28, Eagle Marine & Trading Pte.Ltd Pasir Panjang Distripark Singapore-118499 16 Nassim Road Embassy of Japan Singapore-258390 Fuji Horiguchi Engineering Pte. 24 Chia Ping Road, Singapore-619976 Ltd. 24 Chia Ping Road, Singapore-619976 17 Gul Street 4 Harris Pye Singapore Pte Ltd Singapore-629242 Blk 192, Pandan Loop #04NYK Trading (Singapore) 07 Pantech Business HUB Pte.Ltd Singapore-128381 1 Kim Seng Promenade NIPSEA Management company #10-04/06, Great World City Pte.Ltd East Tower Fuji Trading (S) Pte. Ltd. IHI Marine Engineering (S) Pte. 27 Tanjong Kling Road, Singapore-628052 Ltd. 16 Raffles Quay, #38-05 Hong Leong Building JETRO Singapore Singapore-048581 26 Boon Lay Way #01-82 JRCS Engineering Singapore Tradehub 21, Singapore Pte.Ltd 609960 29 Tanjong Kling Road, Jurong Shipyard Pte. Ltd Singapore-628054 Kawasaki Heavy Industries (S) 6 Battery Road, #18-04 Singapore-049909 Pte. Ltd. Block 2, No.26 Pandan Loop KEMEL Asia Pacific Pte.Ltd Singapore-128244 171 Tras Street #04-171 Kokusai Engineering & Union Building SingaporeServices Pte. Ltd. 079025 Misuzu Machinery Co. Ltd. 56 Peck Seah Street, Heritage Court Singapore-079321 16 Raffles Quay, #41-02 Hong Leong Building Singapore-048581 26 Boon Lay Way #01-81 Miura South East Asia Pte. Ltd. Tradehub 21, Singapore609960 102E Pasir Panjang Road, Nabtesco Marine Service Pte. #05-03 Citilink Industrial Complex Ltd. Singapore-118529 8 Temasek Boulevard #32Nakashima Asia Pacific Pte.Ltd 01B, Suntec Tower 3, Singapore 038988 50 Bukit Batok Street 23, Niigata Power (Singapore) Pte. #04-21 Midview Building Ltd. Singapore-659578 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co.,Ltd. http://w w w .sg.emb-japan.go.jp/ - 6863-6368 6863-8310 http://w w w .fujifhe.com/ 沖修理、Dock入渠中の船舶への機械整備 Service、陸揚げ修理手配等、船舶保持修 理関係 6264-1755 6265-0443 http://w w w .fujifts.com/ 舶用機器、船舶用物資の供給 6863-3188 6863-3166 http://w w w .harris-pye.com/ 6779-3832 6774-8550 6773-0853 6774-8556 http://w w w .amcoeg.jp/ 6238-2033 6308-9055 9115-9801 6268-7360 6266-5302 6265-0780 http://w w w .imes.com.sg/ 6221-8174 6224-1169 http://w w w .jetro.go.jp/singapore/ 6515 8286 6515 9334 6262-7067, 6265-0201 -7091 ボイラー・エコノマイザ修理 船用品・舶用機器・石化製品販売 物流機器資材販売・据付・メンテナンス 日本ペイント(株)アジア合弁会社統括 塗 料全般製造販売(船舶塗料製造含む) 船舶修繕 造船・舶用工業関係の各種調査等 Repair and Maintenance Service of Control systems and electric equipment for vessels http://w w w .jspl.com.sg/ 船舶建造修理 船舶修繕 6225-5133 6224-9029 http://w w w .khi.co.jp/ 6779-1300 6777-9224 http://w w w .kobelcoeagle.com/ 6338-0388 6336-1797 6372-1307 6372-1506 http://w w w .misuzumachineries.co.jp/ 6220-4065 6225-9643 http://w w w .mes.co.jp/ 6465-1147 6465-1148 http://w w w .miuraz.co.jp 6225-6559 6225-7393 http://w w w .nabtesco.com/ 6836-5015 6836-5278 http://w w w .nakashima.co.jp/ 船舶用 プロペラ製造・販売・修理 6899-1500 6899-1600 http://w w w .niigata-pow er.com/ エンジンの販売とアフターサービス - 80 - 船尾管シール装置・部品販売、サービス等 銅鉄の供給 自社製船舶機器の販売とメンテナン(Valve Remote Control System, Inert Gas System, Control Air Dryer など)、船舶部 品販売 造船・船舶修繕等 ボイラメンテナンス、パーチサプライ 精密機器、輸送用機器、航空・油圧機器、 産業機器メーカー 37 会社名 Nippon Kaiji Kyokai Singapore Nippon Paint Marine(S) Pte. Ltd. Nobu Marine Pte. Ltd. NKM Coatings Co.,Ltd Polestar Marine Engineering Pte Ltd Sanki Marine Singapore Pte Ltd Shinko Ind. Ltd Shin-Taiyo Co. Pte. Ltd. 住所 101, Cecil Street #21-01 Tong Eng Building Singapore 069533 1, First Lok Yang Road, Singapore-629728 Blk N, Unit 81 Pandan Loop Singapore 128292 37 Tuas View Crescent Singapore 637236 3 Tuas Ave. 13 Singapore-638975 7 Chin Bee Avenue Singapore 619931 24 Chia Ping Road, Singapore-619976 150 Cecil Street, #08-01 Singapore-069543 FAX ホー ムペー ジ 6222-3133 6225-5942 http://w w w .nkkk.com.sg 6268-1161 6268-1191 http://w w w .nippe-marine.co.jp/ 6273-5811 6273-2264 TEL 主要事業 舶級協会 船舶用塗料の製造・販売 舶用機器、船舶用物資の供給、シッピング エージェント 6316-9930 6316-9972 http://w w w .nkmc.jp/products/index.html 6863-0822 6863-0688 http://w w w .polestarmarine.sg/ 6268-7991 6265-9201 6265-1089 6264-3927 http://w w w .shinkohir.co.jp/ 舶用ポンプ及びタービンの販売 6220-7511 6225-2430 http://w w w .shintaiyo.com/ タンカー洗浄サービス http://sdel.com.sg/ 船舶塗料メーカー ディーゼルエンジン部品修理エンジンメー カー承認工場 船舶の検査一般と施工 舶用及び産業用機器の修理、自動化シス テムの設計など Singapore Daito Engineering (Pte) Ltd. 19, Tuas South Street 5 Singapore-637650 6261-4715 6265-1055 Spry Asia (Asia) Pte Ltd 22 Gul Lane Singapore 629147 6862-3161 6862-3761 舶用機器の供給 SSP Engineering Pte. Ltd. 18 Benoi Road, Jurong Singapore-629890 6861-5155 6861-0282 内部タンク洗浄、塗装サービス Taiyo Electric Co.Ltd 8 Penjuru Lane BH Global Marine Building, Singapore, 6210-8082 609189 6261-1644 各種電気機器(発電機、配電盤、監視盤、 その他)軸初電システム、イニバータ制御 システム、電気推進システム、製造販売 237 Pandan Loop #05-07 Westech Building Singapore 6777-5856 128424 83 Clemenceau Avenue, 6734-0534 Yamamizu Singapore (Pte.) Ltd. #13-08 UE Square, 4 Tuas Lane, Singapore6861-5077 Yanmar Asia (S) Corp Pte. Ltd. 638613 Taknas Engineering (Pte) Ltd. 6779-6711 http://w w w .taknas.com/ 6732-3936 http://w w w .yamamizu.co.jp/ 6861-1509 http://w w w .yanmar.co.jp/yasc/ - 81 - 舶用機器の供給、修繕サービスなど 船舶・陸上タンクのタンククリーニング・錆打 ち塗装工事、乗船作業及び各種沖修理、 ディーゼルエンジンメーカー 38 Ⅴ.シンガポールの港湾 - 83 - シンガポール港の概況(2011 年) 1 シンガポール港の概要 シ ン ガ ポ ー ル 港 は 、世 界 の 主 要 航 路 の 要 衝 に 位 置 し 、世 界 中 の 約 200 の 船 社 に よ り 123 カ 国 600 港 と 結 ば れ て い る 。 2011 年 の 寄 港 船 舶 は 、寄 港 船 舶 数 が 12 万 7,998 隻 と 2010 年 比 0.5% の 微 増 、寄 港 船 腹 量 は 21 億 2,028 万 GT と 2010 年 比 10.5% の 増 加 で あ っ た 。こ の う ち 、コ ン テ ナ 船 は 前 年 比 7.1% 増 加 し て 6 億 5,702 万 GT で 全 体 の 31.0%を 占 め 、 次 い で タ ン カ ー が 対 前 年 比 14.6%増 の 6 億 5,268 万 GT で 同 30.8% 、バ ル ク キ ャ リ ア が 対 前 年 比 13.2% 増 の 6 億 474 万 GT と な っ て い る 。 入 港 目 的 で は 、 2011 年 は 隻 数 ベ ー ス で 、 荷 役 が 全 寄 港 隻 数 の 約 28% 、 バ ン カ ー が 約 20% 、 補 給 が 約 12% 、 修 繕 が 4%の 順 で あ り そ の 他 が 35% で あ っ た 。 総 ト ン 数 ベ ー ス で は 、 バ ン カ ー が 約 39% 、 荷 役 が 約 24% 、 補 給 が 約 18% 、 修 繕 が 約 1% 、 そ の 他 が 18% で あ っ た 。 2011 年 の 海 上 貨 物 取 扱 量 は 、 対 前 年 比 5.5% 増 の 5 億 3,118 万 ト ン と な り 、 2 年 連 続 の 増 加 と な っ た 。 全 体 の 半 分 以 上 を 占 め る コ ン テ ナ は 2010 年 の 2 億 8,969 万 ト ン か ら 2011 年 に は 3 億 938 万 ト ン と 6.8%増 加 し 、 全 体 の 35% を 占 め る バ ル ク オ イ ル も 1 億 8,384 万 ト ン で 前 年 比 3.8% 増 と な っ た 。 ま た 、 バ ン カ ー オ イ ル は 4,315 万 ト ン ( 同 5.6% 増 ) を 積 み 込 み 、 シ ン ガ ポ ー ル 港 は 世 界 有 数 の 燃 料 油 積 込 み 基 地 と し て の地位を保持している。 コ ン テ ナ 取 扱 量 は 、 前 述 の と お り 総 ト ン ベ ー ス で 前 年 比 6.8%の 増 加 で 、 TEU ベ ー ス で も 2,994 万 TEU と 同 5.3%の 増 加 と な っ た 。 シ ン ガ ポ ー ル 港 は 、 1990 年 に 初 め て 世 界 一 の コ ン テ ナ 港 に な り 、1992 年 に そ の 座 を 香 港 に 譲 っ た も の の 、毎 年 激 し い 首 位 争 い を 展 開 し 、 1998 年 に は 香 港 を 抜 い て ト ッ プ の 座 に 返 り 咲 い た が 、 1999 年 に 再 び 香 港 に そ の 座 を 奪 わ れ た 。2004 年 は 香 港 に 約 140 万 TEU の 差 を つ け ら れ た も の の 、 2005 年 に は 、 76 万 TEU の 差 で 首 位 に 戻 り 、 2006 年 に は 更 に 差 を つ け 120 万 TEU の 差 で 首 位 を 守 っ た 。2007 年 に は 伸 び 率 が 前 年 比 1.9% と 著 し く 低 か っ た 香 港 に 変 わ り 上 海 が 第 二 位 と な り 、そ の 他 上 位 に 深 圳 ,青 島 、寧 波 、広 州 と 中 国 の 都 市 が 目 立 ち 、 中 国 本 土 の 港 湾 が 追 い 上 げ て い る 。2010 年 に 入 っ て か ら は シ ン ガ ポ ー ル の 取 扱 量 も 回 復 し た が 、上 海 港 は そ れ 以 上 の 伸 び を 記 録 し て シ ン ガ ポ ー ル を 50 万 TEU 上 回 っ た た め 、シ ン ガ ポ ー ル 港 は 2005 年 か ら 守 っ て き た 世 界 一 の 座 を 上 海 に 譲 る こ と と な っ た 。 シンガポール港では、東南アジア地域のハブ港を目指して港湾施設の整備、コンピ ュータシステムを用いた入出港手続き等の簡略化、港湾サポート機能(タグ、燃料・ 食 料 等 の 補 給 、船 舶 修 理 等 )の 充 実 等 、顧 客 サ ー ビ ス の 向 上 に 努 め て き た 。こ の 結 果 、 同 港 で 取 り 扱 わ れ る コ ン テ ナ 貨 物 の 85%程 度 は 周 辺 諸 国 へ の ト ラ ン シ ッ プ ( 積 み 替 え)貨物であると言われるまでになっている。なお、ハブ港として、シンガポールの 対 岸 に あ る マ レ ー シ ア ・ ジ ョ ホ ー ル 州 の タ ン ジ ョ ン ・ プ ル パ ス 港 ( PTP) が シ ン ガ ポ ール港の強力なライバルに育ちつつある。 - 85 - 一方、マレーシア、インドネシア、タイ等周辺諸国で自国の貨物を自国の港から直 接 目 的 地 ま で 輸 送 し よ う と す る 動 き が 活 発 化 し て お り 、近 年 、マ レ ー シ ア の ク ラ ン 港 、 インドネシアのタンジョン・プリオク港、タイのレム・チャバン港等におけるコンテ ナ取扱量も増加傾向にあり、域内の港との競争も激しくなってきている。 優れたインフラ、高度な情報システムを持ち、効率的な港湾運営では定評のあるシ ン ガ ポ ー ル は 、2010 年 、ア セ ア ン 域 内 港 湾 の コ ン テ ナ 貨 物 取 扱 量 の 約 41% 1 を 占 め る が、今後その地位は相対的に低下する可能性はある。そのため、シンガポールの港湾 オ ペ レ ー タ ー 、 PSA は 世 界 各 国 で 港 湾 事 業 を 拡 大 し 、 収 益 源 の 多 様 化 を 図 っ て い る 。 表 1 シ ン ガ ポ ー ル の 港 湾 利 用 状 況 ( 2011 年 実 績 ) 入港船舶(トン数) (隻 ( : 21 億 2,028GT( 19 億 1,940 万 GT) 数) : 12 万 7,998 隻 ( 12 万 7,299 隻 ) 貨物取扱量 : 5 億 3,118 万 ト ン ( 5 億 334 万 ト ン ) コンテナ取扱量 : 2,994 万 TEU( 2,843 万 TEU) 燃料補給量 : 4,315 万 ト ン ( 4,085 万 ト ン ) 入港船社数 : 約 200 社 シンガポール港と航路を持つ港 : 約 600 港 以 上 ) 内 の 数 字 は 、 2010 年 実 績 値 出 典 :シンガポール港 湾 庁 (Maritime Authority of Singapore : MPA)ウェブサイト、 PSA コーポレーションウェブサイト 図 1 シンガポール港の入港船舶の推移 ( 単 位 : 百 隻 / 百 万 GT) 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( Maritime and Port Authority of Singapore:MPA) 1 Contanerisation Yearbook 2012 の デ ー タ よ り 試 算 。ミ ャ ン マ ー 、ラ オ ス は デ ー タ が な く 試 算 に 含 ま れ な い 。 ま た 、 ブ ル ネ イ は 2009 年 の デ ー タ を 使 っ て 試 算 し た 。 - 86 - 図 2 シンガポール港の貨物取扱量の推移 (単位:フレート・トン) 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( Maritime and Port Authority of Singapore: MPA) 図 3 シンガポール港のコンテナ取扱量の推移 ( 単 位 : 百 万 TEU) 出 典 : シ ン ガ ポ ー ル 海 事 港 湾 庁 ( Maritime and Port Authority of Singapore: MPA) - 87 - 表 2 世界の港のコンテナ取扱量 ( 単 位 : 千 TEU) 順位 港名 2010 年 2009 年 伸 び率 1 (2) 上海 29,069 25,002 16.3% 2 (1) シンガポール 28,431 25,867 9.9% 3 (3) 香港 23,699 21,040 12.6% 4 (4) 深 圳 (中 国 ) 22,510 18,250 23.3% 5 (5) 釜山 14,194 11,980 18.5% 6 (8) 寧波 13,114 10,502 24.9% 7 (6) 広州 12,550 11,190 12.2% 8 (9) 青島 12,012 10,260 17.1% 9 (7) ドバイ (UAE) 11,600 11,100 4.5% 10(10) ロッテルダム 11,146 9,743 14.4% 11(11) 天 津 10,080 8,700 15.9% 12(12) 高 雄 9,181 8,581 7.0% 13(13) ポート・クラン (マレーシア) 8,870 7,310 21.3% 14(14) アントワープ(ベルギー) 8,468 7,310 15.8% 15(15) ハンブルグ 7,900 7,008 12.7% 16(16) タンジョン・プレパス(マレーシア) 6,530 6,016 8.5% 17(17) ロングビーチ 6,263 5,068 23.6% 18(18) 厦 門 (中 国 ) 5,820 4,680 24.4% 19(19) ニューヨーク/ニュージャージー 5,292 4,561 16.0% 20(20) 大 連 5,242 4,552 15.2% 21(21) レム・チャバン(タイ) 5,068 4,538 11.7% 22(22) ブレーメン/ブレーメルハーフェン(ドイツ) 4,871 4,536 7.4% 23(23) JN ポート(インド) 4,752 4,112 15.6% 24(25) タンジョン・プリオク(インドネシア) 4,715 3,805 23.9% 25(24) 東 京 4,285 3,811 12.4% 26(26) バレンシア 4,207 3,654 15.1% 27(27) ロサンゼルス 4,078 3,583 13.8% 28(30) コロンボ 4,000 3,464 15.5% 29(35) 連 雲 港 3,870 3,021 28.1% 30(28) ホーチミン 3,856 3,563 -7.6% 36(37) 横 浜 3,280 2,798 17.2% 45(46) 神 戸 2,556 2,247 13.8% 注 )( )内 は 2009 年 の順 位 出 典 : Containerisation International Yearbook 2012 - 88 - 2 貨物ターミナルの概要 シ ン ガ ポ ー ル 港 に お け る バ ル ク ・オ イ ル を 除 く 殆 ど の 海 上 貨 物 は 、97 年 10 月 に 民 営 化 さ れ た PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン ( PSA Corporation Ltd; シ ン ガ ポ ー ル 港 湾 公 社 ) が 運 営 す る 5 つ の タ ー ミ ナ ル 、 及 び JTC( Jurong Town Corporation; ジ ュ ロ ン 開 発 公 社 ) が 運 営 す る ジ ュ ロ ン ・ポ ー ト の 合 計 6 つ の タ ー ミ ナ ル で 取 り 扱 わ れ て い る 。 ま た 、 バ ル ク ・オ イ ル は 石 油 関 連 事 業 者 の 運 営 す る 各 タ ー ミ ナ ル で 取 り 扱 わ れ て い る 。シ ン ガ ポ ー ル 港 全 体 の 管 理 は 、 MPA( Maritime and Port Authority of Singapore: シ ン ガ ポール海事港湾庁)が行っている。 コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル と し て は 、 PSA が 運 営 す る タ ン ジ ョ ン ・パ ガ ー 、 ケ ッ ペ ル 、 ブ ラ ニ 及 び パ シ ー ル ・パ ン ジ ャ ン( 新 タ ー ミ ナ ル )の 他 、ジ ュ ロ ン・ポ ー ト の 中 に も 2001 年 中 旬 に 開 設 さ れ た コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル が あ る 。非 コ ン テ ナ 貨 物 タ ー ミ ナ ル と し て は 、 パ シ ー ル ・パ ン ジ ャ ン ・ワ ー ブ ズ 、セ ン バ ワ ン ・ワ ー ブ ズ 、及 び ジ ュ ロ ン ・ポ ー ト が あ る 。 シ ン ガ ポ ー ル は コ ン テ ナ 取 扱 い 施 設 を 建 設 し た 東 南 ア ジ ア で 最 初 の 国 で あ り 、 PSA ( 1964 年 設 立 )が 1972 年 に イ ー ス ト ・ラ グ ー ン ・コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル( 現 在 の タ ン ジ ョ ン ・パ ガ ー )の 供 用 を 開 始 し た 。ブ ラ ニ ・タ ー ミ ナ ル は 、1991 年 に 第 1 バ ー ス が 供 用 開 始 さ れ た 。ま た 、1997 年 か ら パ シ ー ル・パ ン ジ ャ ン の 埋 立 地 に 新 タ ー ミ ナ ル の 建 設 を 開 始 し た 。第 1、第 2 期 で は 3 つ の 自 動 車 専 用 バ ー ス を 含 む 26 の バ ー ス を 建 設 す る 。 23 の コ ン テ ナ バ ー ス は 完 成 済 み で 、 合 計 54 に 及 ぶ コ ン テ ナ バ ー ス の 取 り 扱 い 能 力 は 3,500 万 TEU に 達 す る 。 現 在 、 タ ン ジ ョ ン ・パ ガ ー 、 ケ ッ ペ ル 、 ブ ラ ニ 、 パ シ ー ル ・ パ ン ジ ャ ン の 4 つ の コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル に は 、 計 54 の コ ン テ ナ バ ー ス が あ り 、 総 面 積 600 ヘ ク タ ー ル 、 最 大 喫 水 16m で 190 基 の 岸 壁 ク レ ー ン が 稼 動 し て い る 。 さ ら に 、16 バ ー ス を 追 加 す る 第 3、第 4 期 工 事 も 計 画 さ れ て お り 、こ れ ら も 完 成 す れ ば コ ン テ ナ 取 り 扱 い 能 力 は 5,000 万 TEU と な る 。第 3、第 4 期 の 埋 め 立 て 工 事 は 既 に開始した。 表 2 項 目 PSA の 各 コ ン テ ナ ・ タ ー ミ ナ ル の 概 要 タ ン ジ ョ ン・パ ガ ー ケッペル ブラニ パ シ ー ル・パ ン ジ ャ ン 面 積 (ha) 85 100 80 335 喫 水 (m) 14.8 15.5 15 16 8 14 9 23 29 42 32 87 2,300 3,200 2,600 7,900 バース数 :メインフィーダー(基 ) 岸 壁 クレーン(基 ) 岸 壁 の長 さ(m) 出 典 : PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン 非 コ ン テ ナ 貨 物 タ ー ミ ナ ル の う ち PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン が 運 営 す る パ シ ー ル ・パ ン ジ ャ ン ・ワ ー ブ ズ 及 び セ ン バ ワ ン ・ワ ー ブ ズ は 、 重 機 、 自 動 車 、 鉄 鋼 、 穀 物 な ど を は じ め、特殊貨物を取り扱っている多目的ターミナルである。パシール・パンジャンの多 目 的 タ ー ミ ナ ル に は 、2009 年 2 月 に 供 用 を 開 始 し た 日 本 郵 船 、川 崎 汽 船 と の 合 弁 に よ る自動車専用ターミナルも立地している。 - 89 - な お 、地 元 経 済 紙 は 、MPA は シ ン ガ ポ ー ル の 西 端 の 埋 め 立 て 造 成 地 区「 ト ゥ ア ス ・ ビュー・エクステンション」とその沿岸海域を対象にした地質・地震調査を経て、長 期的にシンガポール中心部の港湾施設を同地区に移転する計画について言及している。 シンガポール中心部の港湾施設を郊外に移転することで、地価の高い都心部の土地を 再開発が可能になる。トゥアス・ビュー地区には造船大手のセムコープ・マリンも最 新 の 大 型 造 船 所 を 新 設 し 、徐 々 に 既 存 の 造 船 所 を 移 転 す る 計 画 で 、す で に 2009 年 12 月 か ら 第 1 期 建 設 工 事 が 始 ま っ て お り 、2013 年 に 操 業 開 始 予 定 で あ る 。ま た 、同 地 区 に は JTC コ ー ポ レ ー シ ョ ン に よ る オ フ シ ョ ・ マ リ ー ン ・ セ ン タ ー ( OMC) も 完 成 し て い る 。 ト ゥ ア ス ・ ビ ュ ー へ の 港 湾 移 転 計 画 に つ い て 、 2012 年 6 月 現 在 、 MPA は ま だ公式発表を行っていない。 3 港湾情報システムの概要 シンガポール港では、ハード面の港湾設備の整備と共に、各種港湾情報システムを 導入し、通関手続きのペーパーレス化を図るなどソフト面やサービス面からも港湾業 務の効率化を図ってきている。 主な港湾情報システムの概要は、以下のとおりである。 ( 1) PORTNET 1989 年 に 導 入 さ れ た PSA コ ー プ 独 自 の シ ス テ ム で 、海 事 関 係 者( 船 会 社 ・代 理 店 、 運送業者、海貨業者、荷主等)を対象に、バースの手配、港湾関連申請書類等の提 出、荷役関連情報の確認(出入港スケジュール、コンテナ貨物の搬出入、蔵置き、 船 積 情 報 等 )等 コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル 運 営 に 必 要 な 情 報 交 換 ・手 続 き を 24 時 間 リ ア ル タ イ ム で 可 能 と す る 。 政 府 の EDI シ ス テ ム に よ る 貿 易 ネ ッ ト ワ ー ク で あ る TRADENET と の 接 続 に よ り 、 貿 易 関 連 政 府 機 関 等 へ の 通 関 申 請 手 続 き も 容 易 に 行 える。 さ ら に 、PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン は イ ン タ ー ネ ッ ト に よ る PORTNET-TM を 開 発 し 、 1999 年 に 全 面 供 与 し た 。 こ れ に よ っ て 、 既 に パ イ ロ ッ ト ・タ グ サ ー ビ ス の 申 込 み が できるようになっていた他、利用者が海外のオフィスに居ながらにして請求書等の や り と り や 、 下 記 ( 2) の CITOS と リ ン ク し て 例 え ば PSA ヤ ー ド に あ る 冷 凍 コ ン テナの温度監視等も可能となった。 2003 年 8 月 か ら は 、ジ ュ ロ ン・ポ ー ト の オ ン ラ イ ン シ ス テ ム で あ る( JP-ONLINE) とリンクさせ、両港の貨物流通の円滑化を図っている。 ま た 、 2007 年 12 月 に は 携 帯 端 末 で も PORTNET に ア ク セ ス で き る Portnet Mobile サ ー ビ ス を 開 始 し た 。 【 TRADENET】 貿 易 業 者 、 税 関 、 TDB( 貿 易 開 発 庁 ) 等 を 結 ぶ 通 関 シ ス テ ム で 、 航 空 貨 物 、 港 湾 貨物及び陸送貨物のすべての貿易手続き(輸出入貨物の通関書類の申請、審査、認 可等)のペーパーレス化を可能とする。本システムの導入により、通常1~4 日要 し た 一 般 的 な 貿 易 手 続 き 書 類 の 処 理 時 間 が 導 入 当 初 は 2 時 間 程 度 、現 在 は 3 分 程 度 に 短 縮 さ れ た 。 24 時 間 利 用 で き 、 イ ン タ ー ネ ッ ト で の ア ク セ ス が 可 能 。 1989 年 に - 90 - 貿 易 開 発 庁( 現 在 の 国 際 企 業 庁 、International Enterprise Singapore)が 開 発 し た 。 ( 2) CITOS( Computer Integrated Terminal Operations System) ヤ ー ド 内 で の 効 率 的 な コ ン テ ナ 取 扱 い 作 業 の 計 画 ・指 示 を 行 う PSA 独 自 の シ ス テ ム で 、 1988 年 に 導 入 さ れ た 。 船 の 大 き さ 、 貨 物 の 目 的 地 、 貨 物 量 等 情 報 を も と に 、 必要とするバース、ヤード、クレーンの数、作業員数、配置を割り出し、ヤードの 中央制御室より現場の機器類のオペレーターにリアルタイムで作業指示を行う。さ ら に 、PSA は 外 国 の コ ン テ ナ ・タ ー ミ ナ ル 向 け に CITOS の シ ス テ ム を パ ッ ケ ー ジ に し た CITOS-1 を 1997 年 に 開 発 し 、 中 国 大 連 コ ン テ ナ ・タ ー ミ ナ ル で 最 初 に 導 入 さ れている。 ( 3) そ の 他 の 港 湾 情 報 シ ス テ ム “FLOW-THROUGH” CONTAINER GATE SYSTEM コ ン テ ナ 運 搬 車 が PSA タ ー ミ ナ ル の ゲ ー ト を 通 過 す る 際 、TV カ メ ラ 、ト ラ ン ス ポ ン ダ ー や コ ン テ ナ 番 号 自 動 識 別 装 置 等 に よ り 、 ペ ー パ ー レ ス で 瞬 時 ( 約 25 秒 ) に通過することができるシステム。コンテナの積み下ろし位置も自動的にドライバ ー に 通 知 さ れ る 。 1 日 に 約 8000 台 、 ピ ー ク 時 に は 1 時 間 に 約 700 台 を 取 り 扱 う こ とができる。 こ の 他 、 港 湾 管 理 を 管 轄 す る MPA は 、 寄 港 ・ 出 港 の 届 け 出 や 危 険 物 の 申 告 な ど を 受 け 付 け る ”MARINET”と い う シ ス テ ム な ど 複 数 の シ ス テ ム を 稼 動 さ せ て い る 。 4 海外におけるターミナル共同開発プロジェクト PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン は 、世 界 の ハ ブ 港 を 目 指 し 、顧 客 の ニ ー ズ に 応 え る べ く サ ー ビス網を拡大するため、シンガポール港の運営等で培ってきた経験とノウハウを世界 の 港 湾 の 開 発・管 理・運 営 に 活 用 す る こ と に も 力 を 入 れ て お り 、1996 年 に 中 国・大 連 港 の コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト に 参 画 し た の を 皮 切 り に 、 既 に 世 界 17 カ 国 で タ ー ミ ナ ル の 共 同 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト を 展 開 し て い る 。2002 年 4 月 に は ベ ル ギ ー の ヘ ッ セ ・ ノ ー ル ド ・ ナ テ ィ ( 現 PSA ア ン ト ワ ー プ ) を 買 収 し 、 2004 年 3 月 に 北 九 州 の ひ び き コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル 共 同 運 営 を 開 始 し た 。ま た 、経 済 成 長 の 著 し い 新 興 国 、 特 に 中 国 や イ ン ド で の 事 業 拡 大 が 目 立 つ 。 中 国 で は 天 津 港 を 2006 年 に 、 東 莞 コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル を 2008 年 に 完 成 さ せ た 。 イ ン ド で は コ ル カ タ ・ コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル を 2004 年 に 、カ ン ド ラ・コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル を 2007 年 に 開 設 し た 。2011 年 7 月 に は 、 サウジアラビアで政府系投資ファンドと合弁会社を設立し、ダンマンにあるキングア ブドゥルアジズ港の第二コンテナターミナルの開発・運営の受託を発表した。第一期 工 事 は 2014 年 に 完 了 予 定 で 、 最 終 的 に は 75 ヘ ク タ ー ル の 敷 地 に 岸 壁 ク レ ー ン 12 基 を 設 置 し 、 年 間 コ ン テ ナ 取 扱 能 力 180 万 TEU と す る 。 さ ら に 報 道 に よ れ ば 、 現 在 建 設 中 の キ ュ ー バ の ハ バ ナ か ら 西 45 キ ロ メ ー ト ル に あ る マ リ エ ル 湾 の コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル の 運 営 も 受 託 し た 。 同 タ ー ミ ナ ル は 2014 年 に 操 業 開 始 予 定 と な っ て い る 。 - 91 - 表3 国名 PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン の 海 外 展 開 プ ロ ジ ェ ク ト 港 ・ターミナル 岸壁長 面積 最大喫水 バース数 (m) (ha) (m) 岸壁 クレーン 数 13 3,953 200 17.8 34 福 州 コンテナターミナル 6 1,502 128.2 16 11 広 州 コンテナターミナル 4 810 27 12.5 6 東 莞 コンテナターミナル 2 678 48.5 14.3 6 3,400 281 16 34 大 連 ターミナル 中 国 コンテナ 天 津 ターミナル 10 香 港 ターミナル 2 740 28.5 15.5 8 ベニス・コンテナターミナル 5 852 28.3 10.6 6 ボルトリターミナルヨーロッパ 5 1433 110 15 12 ツチコリン・コンテナターミナル 1 370 10 11.9 3 チェンナイ・インターナショナルターミナル 3 832 35.8 15.5 10 PSA ABG コルカタ・コンテナターミナル 2 411 4.56 9 PSA ABG カンドラ・コンテナターミナル 2 545 40 12.5 4 タ イ 東 海 レムチャバン ターミナル 4 1,250 49 15 13 ベトナム SP-PSA インターナショナルポート 4 1,200 54 14.5 12 10,215 602 17 66 3,500 132.5 > 17 21 300 10 5.5 2 イタリア イ ン ド ベルギー PSA アントワープ 29 PSA ゼーブルッヘ 8 Barge オランダ PSA アントワープ(ロッテルダム) ポルトガル シネス・コンテナターミナル 3 940 36.4 16.5 10 仁 川 コンテナターミナル 3 900 35.5 14 9 釜 山 ニューポートインターナショナルターミナル 3 1,200 84 16 9 日 本 ひびきコンテナターミナル 4 1,225 43 15 3 アルゼンチン エクソルガンコンテナターミナル 4 1,324 47 10 7 パナマ PSA パナマ・インターナショナルターミナル 1 330 22.5 14.5 3 パキスタン PSA グワダル・インターナショナルターミナル 602 50 14.5 2 シンガポール PSA シンガポールターミナル 15,500 600 16 192 トルコ メルシン・インターナショナルポート(MIP) 9 3,255 110 14 14 イギリス PSA グレートヤーマス コンテナターミナル 1 200 10 11 2 4 1,200 75 16 12 韓 国 Operation 52 サウジアラビア サウジ・グローバルポート 出 典 : PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン - 92 - 5 旅客ターミナルの概要 PSA コ ー ポ レ ー シ ョ ン が 開 発 し た シ ン ガ ポ ー ル ・ク ル ー ズ ・セ ン タ ー( SCC)は 、1991 年にオープンした初の旅客専用ターミナルで、ハーバー・フロント・センター(旧ワ ー ル ド ・ト レ ー ド ・セ ン タ ー ) の サ イ ト に あ り 、 長 さ 310m、 270m の 2 バ ー ス を 有 す る国際旅客ターミナル、6 バースを有する近海フェリーターミナル(近くのインドネ シ ア の 島 々 及 び ハ ー バ ー ク ル ー ズ )か ら 成 る 。さ ら に 、1995 年 に は 、近 海 フ ェ リ ー タ ーミナル(インドネシアのバタム島・ビンタン島及びマレーシア半島東岸への航路) と し て 、 現 在 4 バ ー ス を 有 す る タ ナ メ ラ ・フ ェ リ ー タ ー ミ ナ ル が オ ー プ ン し た 。 こ れ ら の 他 に 、 国 内 専 用 の パ シ ー ル ・パ ン ジ ャ ン ・フ ェ リ ー タ ー ミ ナ ル 等 が あ る 。 こ れ ら に 加 え 、2012 年 5 月 に マ リ ナ・サ ウ ス 地 区 に 新 国 際 ク ル ー ズ・タ ー ミ ナ ル「 マ リ ー ナ ベ イ ・ ク ル ー ズ セ ン タ ー ・ シ ン ガ ポ ー ル( MBCCS)」が 完 成 し 、同 年 下 半 期 の 本 格 開 業 を 予 定 し て い る 。 2015 年 ま で に ク ル ー ズ 旅 客 受 け 入 れ 人 数 を 160 万 人 ま で 増やす目標に対して、ハーバー・フロントのターミナルだけでは増加するクルーズ観 光 の 需 要 を 満 た せ な く な っ て い る こ と に 加 え 、 高 さ が 52 メ ー ト ル を 超 え る 大 型 旅 客 船 が 停 泊 で き な い な ど の 問 題 が 生 じ て い た た め で あ る 。新 タ ー ミ ナ ル に は 22 万 GRT、 長 さ 360m の 大 型 旅 客 船 が 寄 港 で き る 2 つ の バ ー ス を 建 設 、 十 分 な 水 深 が あ り 、 高 さ 制限もないことから、超大型客船の寄港が可能になる。また、ターミナルの運営事業 は、空港の地上支援業務や機内食サービスを行っているシンガポール・エアポート・ タ ー ミ ナ ル ・ サ ー ビ シ ズ ( SATS) と ス ペ イ ン の ク ル ー ズ タ ー ミ ナ ル 運 営 会 社 ク ル ワ ー ズ ・ デ ル ・ ポ ル ト ・ デ ・ バ ル セ ロ ナ と の 合 弁 会 社 SATS-ク ル ワ ー ズ が 行 う 。 - 93 - この報告書は、ボートレース事業の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました。 東 南 ア ジ ア 造 船 関 連 レ ポ ー ト 31 2012 年(平成 24 年)11 月発行 発行 社 団 法 人 日 本 舶 用 工 業 会 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 1-13-3 虎ノ門東洋共同ビル TEL 03-3502-2041 FAX 03-3591-2206 社 団 法 人 日本中小型造船工業会 〒100-0013 東京都千代田区霞が関 3-8-1 虎ノ門三井ビルディング TEL 03-3502-2063 FAX 03-3503-1479 一般財団法人 日本船舶技術研究協会 〒107-0052 東京都港区赤坂 2-10-9 ラウンドクロス赤坂 TEL 03-5575-6426 FAX 03-5114-8941 本書の無断転載、複写、複製を禁じます。