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富士通のモバイルWiMAXへの取組み
富士通のモバイルWiMAXへの取組み Fujitsu’s Challenge for Mobile WiMAX あらまし WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)は移動環境において高速ア クセスを実現するシステムの最有力候補となっている。日本国内ではUQコミュニケーション ズが2009年からサービス開始を予定しており,また米国ではSprint/Clearwireが2008年9月か らサービスを開始している。 本稿では,このWiMAXシステムの特長的技術{OFDMA(スケーラブル直交周波数分割多 重方式) ,AMC(適用的に最適な値を選択する方式) ,およびスマートアンテナ}を説明する とともに,WiMAXを含むコアネットワークの構成およびWiMAXを利用したサービスに言及 し,最後に富士通のWiMAXシステムへの現状の取組みについて説明する。 Abstract Worldwide Interoperability for Microwave Access (WiMAX) system is a promising candidate for providing high-data-rate mobile broadband access systems around the world. UQ Communications Inc. plans to start a commercial service in this year in Japan and Sprint/Clearwire has already started a commercial service in last year. This paper describes specific features of Mobile WiMAX, such as scalable orthogonal frequency division multiple access (OFDMA), adaptive modulation and coding, and smart antenna technologies, a system configuration, candidate applications, and our challenges for WiMAX system solutions. 2 齊藤民雄(さいとう たみお) 高野 健(たかの たけし) NGWプロジェクト部 所属 現在,移動通信システムの研究開発 に従事。 富士通研究所 所属 現在,移動通信システムの研究開発 に従事。 阿波賀信人(あわが まこと) 富士通マイクロエレクトロニクス (株)モバイル事業部 所属 現在,移動端末,基地局向けの各種 システムLSI企画,開発とデバイス ソリューション事業の推進に従事。 FUJITSU. 60, 1, p. 2-9 (01, 2009) 富士通のモバイルWiMAXへの取組み ケーション例および今後の富士通の取組みについて ま え が き 述べる。 ここ数年モバイルインターネットアクセスユーザ 特長的な技術 が急速に増えており,それに伴い高速移動データ通 信 シ ス テ ム の 要 求 も 増 え て き て い る 。 WiMAX ( Worldwide Interoperability for Microwave Access)システムはこの高速移動データ通信シス ここではモバイルWiMAXに採用されている特長 的な技術を説明する。 (1) スケーラブル直交周波数分割多重方式 テムを実現するためのシステムとして注目を浴びて モバイルWiMAXにはスケーラブル直交周波数分 い る 。 こ の WiMAX シ ス テ ム に は IEEE802.16- 割多重方式が採用されている。固定WiMAXとモバ 2004(1) とIEEE802.16e-2005(2) の二つのシステムが イルWiMAXの比較を図-1に示す。直交周波数分割 存在し,IEEE802.16-2004は主に固定無線アクセ 多重方式を用いる場合には一般的に高速フーリエ変 スシステム用の規格であり,IEEE802.16e-2005は 換(FFT:Fast Fourier Transform)アルゴリズム このIEEE802.16-2004に移動関連の拡張を行った が用いられるが,固定WiMAXの場合は割り当てら 規格である。IEEE802.16e-2005の規格の中にはメ れた帯域幅にかかわらず2048ポイントのFFTを用 デ ィ ア ア ク セ ス 制 御 ( MAC : Media Access いるため信号帯域幅が変わった場合にはサブキャリ Control)関連,および物理(PHY)層の数多くの アの周波数間隔が変わる。したがって,もしこの固 パラメタが存在するが,システムにおける相互互換 定WiMAXシステムを移動環境で使用し,システム 性を保つためにWiMAXフォーラムと呼ばれるコン の信号帯域幅が20 MHzから10 MHzに変わった場 ソーシアムにおいてシステムプロファイルと呼ばれ 合には端末が移動していることから起こるドップ る規格が規定されている。この規格の中には周波数 ラー効果の影響が変わることになる。この環境でシ と帯域幅,物理層パラメタおよびMACパラメタな ステムの性能を維持しようとするとチャネル推定機 どが規定されている。富士通は既にモバイル 能をシステムの帯域幅すなわちドップラー効果の影 WiMAX シ ス テ ム の 端 末 向 け に ベ ー ス バ ン ド 響により変える必要があり,回路が複雑になるとい (3),(4) RF ( Radio System-on-a-Chip ( BB SoC ), う問題が存在する。一方,モバイルWiMAXには上 Frequency)モジュール(4),(5)を商用化している。 記問題を解決するためにスケーラブル直交周波数分 本稿では,モバイルWiMAXの特長的な技術, 割多重方式を採用している。この方式は,サブキャ WiMAXシステムのネットワーク構成例,アプリ リア間隔を10.94 kHzに固定になるようにFFTサイ OFDMA:802.16-2004 ・ すべての帯域でFFTサイズは2048 ・ サブキャリア間隔は帯域によって変化 ・ 移動環境において帯域が変化したとき性 能を保つのが困難 Scalable OFDMA:802.16e-2005 ・ 使用する帯域幅によって使用するFFTサイズを 変更 ・ サブキャリア間隔が一定 ・ 移動環境において帯域が変化しても性能が同じ 2048/20 MHz 2048/10 MHz (a)固定WiMAX 2048/20 MHz 1024/10 MHz 512/5 MHz 128/1.25 MHz (b)モバイルWiMAX 図-1 固定WiMAXとモバイルWiMAXの比較 Fig.1-Comparison between Fixed WiMAX and Mobile WiMAX. FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 3 富士通のモバイルWiMAXへの取組み ズを帯域に合わせて変化させる方法であり,この方 (3) スマートアンテナ技術 法を採用することによりシステムの帯域幅が変わっ システムの性能を向上させるために,モバイル たとしてもドップラー効果の影響がどの帯域幅でも WiMAXでは更にスマートアンテナ技術を採用して 同じとなり,一つのチャネル推定方式を用いること いる。スマートアンテナ技術にはビームフォーミン ですべての環境において同じ特性を得ることができ グ技術,時空間符号化技術(STC:Space Time るようになる。 Coding )(6) お よ び 空 間 多 重 方 式 ( SM : Spacial Multiplexing)(7) などが挙げられる。ビームフォー (2) 適応的な変調方式とコーディングレートの選 択(AMC) ミング技術は,複数のアンテナから重みのかかった システムがサービスを提供できる領域と容量を増 信号を送信することでユーザがいる方向にアンテナ やすためにモバイルWiMAXでは変調方式とコー のビームを形成する技術で,システムのサービス範 ディングレートを端末の置かれている環境に応じて 囲の拡大あるいは容量の増加に寄与する。STCは 適 応 的 に 最 適 な 値 を 選 択 す る 方 式 ( AMC : 送信ダイバーシチで二つの送信アンテナから時空間 Adaptive Modulation and Coding)が採用されて 符号化技術によって符号化された信号をそれぞれ送 いる。モバイルWiMAXは下りリンクの変調方式と 信し,一つのアンテナによって受信された信号が最 ゆう し て 4 位 相 偏 移 変 調 方 式 ( QPSK : Quadrature 尤 復号アルゴリズムで復号する技術で,これによ Phase Shift Keying ), 16 値 直 交 振 幅 変 調 方 式 り大幅に伝送効率を改善することができる。本技術 (16QAM:16Quadrature Amplitude Modulation) を用いることにより,空間ダイバーシチ利得を得る および64値直交振幅変調方式(64QAM)を,上り ことができシステムのフェージングマージンが大き リンクの変調方式としてQPSKと16QAMが必須の くなる。SMは複数のアンテナを用いて同じ周波数 変調方式として指定されている。また誤り訂正方式 上にいくつものデータ伝送路を実現する技術で,無 としては畳み込み符号および畳み込みターボ符号が 線リンクに高いピークレートとスループットを実現 あり,それぞれ色々な拘束長のものが採用されてい する技術である。例えばアンテナを送信側2本,受 る。AMCはこれらの変調方式,誤り訂正符号およ 信側2本利用した場合には最も条件の良いときで約 び拘束長を選択することにより効率的に高速データ 2倍のデータ伝送レートを実現することができる。 。 伝送レートを実現している(表-1) 表-1 モバイルWiMAXの伝送レート パラメタ システム帯域(MHz) FFTサイズ ヌルサブキャリア数 パイロットサブキャリア数 データサブキャリア数 サブチャネル数 シンボル周期,Ts(μs) フレーム長(ms) 1フレームあたりのシンボル数 データOFDMシンボル数 変調方式 コードレート 1/2 CTC 6x 1/2 CTC 4x QPSK 1/2 CTC 2x 1/2 CTC 1x 3/4 CTC 1/2 CTC 16QAM 3/4 CTC 1/2 CTC 2/3 CTC 64QAM 3/4 CTC 5/6 CTC 4 下りリンク 上りリンク 下りリンク 104 136 272 17 184 120 720 30 5 512 92 60 360 15 上りリンク 10 1024 184 280 560 35 102.9 5 48 44(32/12) データレート(Mbps) データレート(Mbps) 0.384 0.1088 0.768 0.224 0.576 0.1632 1.152 0.336 1.152 0.3264 2.304 0.672 2.304 0.6528 4.608 1.344 3.456 0.9792 6.912 2.016 4.608 1.3056 9.216 2.688 6.912 1.9584 13.824 4.032 6.912 13.824 9.216 18.432 10.368 20.736 11.52 23.04 - FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 富士通のモバイルWiMAXへの取組み ネットワーク構成 応 用 例 次世代パケットベースネットワークの構成例を 本章では,モバイルWiMAXのいくつかの応用例 図-2に示す。3G/3.5G,LTEおよびWiFi/WiMAXな を紹介する。モバイルWiMAXは高速データレート どのシステムは基本的にこのようなall-IP-based を移動環境の中で安価に提供する。モバイル ネットワークに接続される。先にも述べたように, WiMAXを利用したいくつかのサービスモデルを図-3 モバイルWiMAXは色々なサービスを実現するため に示す。 に様々な機能を持っており,このWiMAXの持って 第一のモデルはケーブルモデム系のサービスの置 いる多様な機能を効率良く実現するためにはall-IP 換えとしての固定広帯域データ通信サービスである。 のコアネットワークは以下のような要求条件を満足 もちろん固定系には固定系WiMAXシステムが存在 (8) する必要がある。 するが,現在固定系WiMAXシステムの価格はモバ (1) 継続して増え続けるブロードバンドサービス のトラフィック要求に耐え得る機能 イルWiMAXのものより高価なため実際には多くの 通信業者はモバイルWiMAXシステムをこの領域に (2) 容易性と拡張性 利用したいと考えている。 ・移動体通信と固定通信の融合サービス(FMC) 第二のモデルはホットゾーンへの適用である。こ のような他サービスとの融合から創造される新し の目的ではデータ中心,リッチメディア中心,およ いサービスの実現 び音声中心の三つの利用法が考えられる。データ中 ・通信の質,セキュリティおよびロバスト性を提供 心の利用法ではモバイルWiMAXは高いデータレー ト を ノ ー ト PC や PDA ( Personal Digital できること Assistants)に提供する。このサービスは今の3G ・自動制御および自己組織化の実現 これらの要求を満足できるall-IPコアネットワー シ ス テ ム で 提 供 さ れ て い る HSDPA/HSUPA クとしては次世代ネットワーク(NGN)が有力で (High-Speed Downlink/Uplink Packet Access)と ある。 ほとんど同様な使い方であるが,モバイルWiMAX はこれらサービスより高速で低価格なサービスを提 擬似回線交換 サービス サービス ストリーミング サービス リソース制御/移動管理 制御/管理 3G/3.5G PSTN インターネット IP コアネットワーク トランスポート/アクセス AGW xGSN xDSL/FTTx RNC 3G-LTE BTS IPマルチメディア サービス AGW AGW WiFi/WiMAX HGW BTS BTS AGW: Access Gateway AP: Access Point BTS: Base Transceiver Station HGW: Home Gateway BTS AP AP LTE: Long Term Evolution PSTN:Public Switch Network RNC: Radio Network Controller xGSN: Serving/ Gateway GPRS Support Node 図-2 次世代パケットベースネットワークの構成 Fig.2-Next-generation packet-based network configuration. FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 5 富士通のモバイルWiMAXへの取組み サービスモデル 低 16d/16e 固定 A B 固定BB C データ中心の リッチメディア 中心 16e 移動度 D 音声中心 ホットゾーン 高 デュアル 16e + 2G / 3G ホット ゾーン メッシュ E ホット ゾーン + 2G / 3G F 利用開始時期 2008~ 利用機器 ディスクトップ,ノートPC サービス ホットゾーン ホット ゾーン ユーザ利用シーン WiMAXを高速サービスある いはDSLの代用として利用 モバイル通信 利用 モバイル通信 利用(デュアル) ノートPCやPDAを利用しWiMAXを高 速データ通信方式として利用。音声 2008~ は2G/3Gを利用 二つの主な使い方 : 1. WiMAXを利用し衛星あるいは ケーブルTV放送 を享受 2. ホームサーバをPMAデータ伝 送に利用 2009~ WiMAXネットワークでVoIPを利用。モ バイルフォンはWiMAX VoIPと2G/3G 2009~ の機能を同時に使用 広域ホットゾーンの利用。 WiMAXにより2G/3Gサービスを 代替 WiMAXネットワークと2G/3Gサー ビスをデュアルモードで利用 ノートPC,PDA ノートPC,PMA,PDA PDA,携帯電話 2010~ PDA,携帯電話 2010~ 携帯電話 PMA:Personal Media Assistant 図-3 モバイルWiMAXのサービスモデル Fig.3-Service models of Mobile WiMAX. 供することが可能である。リッチメディア中心の利 ビス例を図-4に示す。このサービスはユーザが家庭 用法ではWiMAXを利用した衛星,またはケーブル にあるホームサーバと手元にある高画質のカメラを TVの放送,あるいはホームサーバへの個人端末か モバイルWiMAXで接続することにより,相互に高 らの高速データ伝送などが考えられる。この用途は 画質データをやり取りできるサービスである。現在 非常に高速なデータ通信速度が要求され,モバイル の状況では,我々はデジタルカメラあるいはデジタ WiMAXに適したサービスであると言える。音声中 ルビデオカメラで高画質の画像を録画し,データは 心の利用法では,モバイルWiMAXにVoIP(Voice- カメラに内蔵されているメモリあるいはハードディ over-IP)技術を応用する。もちろん現行の2G/3G スクに記録される。しかし,このメモリあるいは セルラ通信システムは既にこの音声通信機能を提供 ハードディスクがいっぱいになってしまったら,何 しているが,モバイルWiMAXは基本的にこの機能 かほかの画像を消去しない限りは新たな画像を録画 を持っていないため,WiMAXで音声利用を取り扱 することはできない。そこで,個人の画像録画にモ う技術として必要である。ホットゾーンメッシュは, バイルWiMAXのような無線データ伝送システムを ホットゾーンをメッシュ状に並べた形態を表しサー 利用すると,このようなメモリやハードディスクの ビスのイメージは現在のセルラ通信システムと同等 容量問題からはすべて開放される。さらにこのよう でWiMAXにより現在の2G/3Gサービスを代替する なサービスは既にホームサーバへ録画したデータの イメージである。 再生も可能となる。このようにモバイルWiMAXを 第三のモデルはモバイルWiMAXシステムとセル 利用することにより,我々は個人画像をいつ,どこ ラシステムのデュアルモードシステムにおけるホッ にいてもホームサーバへ録画あるいは再生すること トゾーンの適用である。この利用法ではセルラとモ が可能となる。また,同じアーキテクチャを利用し バイルWiMAXのすべてのサービスをカバーするこ て時間シフトのテレビ番組プレイバックサービスや, とができるが基本的にデュアルモードの端末が必要 パッケージレスのビデオレンタルサービスあるいは であり,端末コストがボトルネックとなる可能性が オンデマンドのライブニュースサービスなどが実現 ある。 できる。 モバイルWiMAXを利用した新しい移動通信サー 6 FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 富士通のモバイルWiMAXへの取組み て作られている。またRFモジュールはモバイル 富士通のモバイルWiMAXへの取組み WiMAXに必要なすべてのRF素子(RF-LSI,アン 市場にモバイルWiMAXサービスを展開するため テナスイッチ,電力増幅器,フィルタおよび発振 には,モバイルWiMAXのチップソリューションを 器)を集積化し,わずか15×15 mmの大きさに実 開発することが必須となる。チップソリューション 装している。この第1世代のRFモジュールは, のロードマップを図-5に示す。移動環境での応用の MIMO ( Multiple-Input Multiple-Output ) を サ ためにはチップサイズが小さく,かつ非常に低消費 ポートしており,モバイルWiMAXに必須の高速 電力であることが要求される。2007年に富士通は データ伝送環境の構築を可能としている。さらに, ノ ー ト PC の 応 用 製 品 向 け 第 1 世 代 の BB SoC これらのチップとモジュールを用いてモバイル “MB86K21”とRFモジュール“MB86K71”(4)を商 WiMAXの商品を簡単に開発できるようにリファレ 用化した。このBB SoCはCardBusとUSBのインタ ンスデザインキットおよびシステムデザインキット(9) フェースを持っており,90 nm CMOS技術を使っ を 開 発 し た 。 ま た 富 士 通 の 開 発 し た BB SoC が • プライベートライフレコーダ プライベートな生活シーンをディジタルカメラやビデオカメラ ではなく携帯電話などを利用しホームサーバへ記録 USB 接続 プライベート コンテンツ 高速無線ネットワーク (モバイルWiMAX,LTE) ホームネットワーク • ホームサーバに様々なプライベート コンテンツを保存 • いつでも,どこでも再生可能 • 高解像度カメラ (5 Mピクセル以上) • 高度なイメージ処理 • H.264 | MPEG-4 AVCコーデック機能 図-4 新しい移動通信のサービス例 Fig.4-New modile communication service. ターゲット応用 第3世代 ・無線システムの複合化 ・超低消費電力,小型 第2世代 ・モバイル・マルチメディア端末 ・低消費電,小型 第1世代 ・モバイルWiMAX標準準拠 (MIMO Wave 2) ・リファレンスデザインの提供 2007 2008 2009 図-5 SoC開発のロードマップ Fig.5-Roadmap of our SoC developments. FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 7 富士通のモバイルWiMAXへの取組み WiMAXフォーラムで規定されたMobile System からチップセットに必要な様々な電源を発生 Profile version 1.7.0できちんと動くかどうかを これら新たに開発したBB SoC“MB86K22”, WiMAX Forum Plugfest , あ る い は 様 々 な IOT RF LSI と 電 源 制 御 モ ジ ュ ー ル お よ び モ バ イ ル (Interoperability Testing)を通じて検証してきて WiMAXのシステムに必要なすべての素子を集積化 いる。 第2世代のモバイルWiMAXチップソリューショ ンの特徴を以下に示す。 (1) 低価格でIEEE802.16e-2005モバイルWiMAX 標準に準拠 (2) 超小型ハンドセットモジュールの提供 したオールインワンモジュールを19.7×17.2× 0.9 mmの大きさで実現し,さらにユーザの商用開 発時間の短縮に貢献していく。 第3世代ではWiFi/BTとの共存と2.5G,3Gあるい は3.5Gなどのセルラシステムとの共存を実現して いく予定である。 (3) オールインワンモジュールの提供:RF,BB む SoC,PMM,Flashメモリ,SDRAMそのほかの 能動素子およびupper/lower MACをすべて集積 (4) タ ー ゲ ッ ト プ ロ フ ァ イ ル : 2A/B/C , 3A , 5AL/BL/CLのサポート。20 MHzサポート (5) ホストインタフェース:SPI/SDIO す び モバイルWiMAXはユーザに高速データアクセス サービスを提供するシステムとして注目を浴びてお り,日本国内でも2009年からサービスが開始され ようとしている。本稿ではモバイルWiMAXが持つ 第 2 世 代 の BB SoC に 関 し て は 最 新 の 65 nm 特長的な技術,次世代コアネットワークの一般的な CMOS技術を用いて更に高性能,低消費電力を実 ネットワーク構成をまとめ,さらにモバイル 現している。また同時に第2世代のRF LSIおよび電 WiMAXのサービス例について述べ,最後に富士通 源制御モジュール(PMM:Power-Management のモバイルWiMAXのチップセットソリューション Module)の開発も行いPDAあるいはモバイル端末 を 述 べ た 。 富 士 通 は 既 に 第 1 世 代 の BB SoC 向けのチップソリューションの開発を行っている。 “MB86K21”とRF LSI“MB86K71”,第2世代の 第2世代のRF LSIは消費電力および回路設計を最適 BB SoC“MB86K22”,RF LSI“MB86K72”を開 化することにより,大きさを従来比55%減,消費 発した。これらのソリューションはモバイル 電力を従来比50%削減した。電源制御モジュール WiMAXシステムを低価格,低消費電力で短期に開 に関しては超低消費電力化のために高精度な電源監 発できるソリューションである。今後,富士通は更 視制御を適用している。この電源制御モジュールの なる低消費電力化,小型化のソリューションを開発 主な機能を以下に示す。 していく予定である。 (1) 富士通の新しいチップセットによってサポー トされる階層電源監視機能 参 考 文 献 (2) 通信期間中,チップセットのデジタル回路に (1) Air Interface for Fixed Broadband Wireless クロックゲーティング機能を適用し,高出力電 Access System.IEEE STD 802.16-2004,October 力増幅器,アナログフロントエンドおよび 2004. ADC/DACにはパワーゲーティング機能を適用 (3) 富士通のパワーゲーティング機能は,オン チップ電力スイッチ実装と自動保存SRAMマク ロをサポート (4) 動作モードではすべての電源制御はBB SoCに 実装されたARMプロセッサで実行 (5) スタンバイモードではSoCの電源管理ユニッ Wireless Access Systems.IEEE STD 802.16-2005, February 2006. (3) 富士通:モバイルWiMAXTM端末向けベースバンド チップを新発売. http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/05/21-2.html (4) 富 士 通 マ イ ク ロ エ レ ク ト ロ ニ ク ス : モ バ イ ル トと電源管理モジュールを除いてすべての電源 WiMAXTM端末向けチップセット新発売. をオフ http://jp.fujitsu.com/microelectronics/fml/release/ (6) 本電源制御モジュールは一つのバッテリ電源 8 (2) Air Interface for Fixed and Mobile Broadband 20080616.html FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 富士通のモバイルWiMAXへの取組み (5) 富士通:世界最小!モバイルWiMAXTM 端末向け RFモジュール新発売. http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/02/7.html (6) S. M. Alamouti:A Simple Transmit Diversity Technique for Wireless Communications . IEEE Journal on Selected Areas in Communications , Vol.16,No.8,p.1451-1458(1998) . (7) A. Van Zelst : Spase division multiplexing MELECOM 2000 , 10th Mediterranean , Vol.3 , p.1218-1221,May 2000. (8) K. Hayashi, et al. : Fujitsu’s Activities for NextGeneration Network , FUJITSU Sci. Tech. J. , Vol.44,No.4,p.425-431(2006) . (9) 渡辺保信ほか:モバイルWiMAX端末向けハンド セットモジュール/システムデザインキット. FUJITSU,Vol.60,No.1,p.38-44(2009). algorithms. Electrotechnical Confirence , 2000 . FUJITSU. 60, 1, (01, 2009) 9