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絶縁型USBケーブルの作成 絶縁型USBケーブルの作成には
絶縁型USBケーブルの作成 絶縁型USBケーブルの作成には、絶縁されたD+ラインとD-ライン、下流のポートとケーブルに 対して電源を供給する絶縁型DC/DCコンバータが必要です。図1の回路例に示すように、 ADuM4160アイソレータとADuM5000 isoPowerデバイスの組み合わせは、特定のアプリケーシ ョンに対して極めてシンプルで効果的なソリューションを提供します。この回路は最大速度 12Mbpsで動作し、下流のUSBケーブルへ絶縁された+5Vを供給します。追加が必要な回路素子 は、種々の電源の入力ピンと出力ピンに対するバイパス・コンデンサと、さらにD+ラインとDラインの外付け直列抵抗だけです。ADuM4160は主にペリフェラルを絶縁するためのデバイスと して開発されましたが、組込みホストとしてUSB 2.0の電気的条件も満たすことができるため、 絶縁型USBケーブルをデザインすることができます。絶縁型USBケーブルでADuM4160を使う際 に幾つかの考慮事項があるため、このノートではこれらをレビューします。これらの考慮事項は、 絶縁型電源、速度モードの設定、伝搬遅延に関するものです。 非絶縁型USBケーブルは、分布容量負荷と分布誘導負荷としてのみデータと電源に影響を与えま す。これに対して、絶縁型ケーブルは電源を消費するアクティブ・デバイスです。USB仕様条件 を満たすためには、ケーブルの上流側はペリフェラルとして、下流側は電源とデータのホストと して、それぞれ動作する必要があります。ケーブルの下流部分は、ペリフェラル・デバイスを常 時プルアップする+5V電源を供給する必要があります。ADuM5000は、この電源を提供し、低消 費電源条件を持つデバイスへ十分な電源を供給しますが、ADuM5000は約6mAの静止電流を必要 とします。これはDC/DCコンバータに対しては非常に小さい値ですが、USBスタンバイ・モード で許容されるVBUSから2.5mAの制限を超えています。2.5mAのスタンバイ制限値を満たすために は、下流ポートで+5Vを切断するようにADuM5000への電源をターンオフできることが必要です。 この機能により、絶縁型ケーブルがUSB仕様条件を満たさないため、ペリフェラルを切り離しま す。 もう1つの考慮事項は、速度モードの設定です。USB 2.0に準拠するためには、下流のポートで低 速デバイスまたはフル速度デバイスを許容し、適切なロジック規則とスルーレートに合わせてバ ッファを自動的に構成する必要があります。ADuM4160の速度は、SPUとSPDで固定値に設定さ れます。これは、ケーブルが固定速度で動作し、下流ポートに接続されるデバイスの速度定格が ケーブルに一致する必要があることを意味しています。これは組込みホスト仕様の下では完全に 許容されますが、一般的なホスト条件は満たしません。このアプリケーションでは、速度モード の設定はシンプルなメカニカル・スイッチ、またはエンド・ユーザの条件に応じてさらに複雑な 回路を使って実現することができます。 図1. isoPowerを内蔵する絶縁型ケーブル・インターフェース 最後の考慮事項は、伝搬遅延です。中継器を接続すると、ケーブル遅延と伝搬遅延が増加するた め、ハブおよびスポーク・バス・アーキテクチャの標準USB規則が満たせなくなるため、USB 2.0 では中継器を使用することはできません。このアプリケーションでは、ADuM4160は中継器とし て機能しますが、ケーブル全長が5mの制限を満たし、かつ延長ケーブルを接続しない限り、シ ングル・ハブの伝搬遅延仕様を満たすことができます。 これらの考慮事項に注意すると、特定のアプリケーションで極めて良好に動作する絶縁型USBケ ーブルを作成することができます。