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市有財産の有効活用に関する基本方針 [案]
市有財産の有効活用に関する基本方針 [案] 平成26年1月 那 須 塩 原 市 目次 1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (1) 策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (2) 本方針の位置付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (3) 対象とする市有財産・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 市有財産を取り巻く動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (1) 市有施設に対する影響要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 ア 人口・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 イ 財政・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 ウ 職員数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 (2) 市有施設の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 ア 市有施設の調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 イ 分類別の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 ウ 地区別の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 エ 延床面積・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 オ 利用状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 カ 整備年度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 キ 維持管理費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 3 市有施設のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 (1) コストの見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 (2) 質の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 (3) 量の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 (4) 施設の見直しにおける共通のルール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 (5) 施設廃止後のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 (6) 今後の進め方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 市有地の有効活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 4 (1) 基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 (2) 未利用市有地の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 (3) 未利用市有地の有効活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 ア 利用可能性の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 イ 貸付けによる有効活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 ウ 売却処分の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 エ 公共的な利用処分の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 オ 適切な維持管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 (4) 未利用市有地の利用及び処分に関する計画・・・・・・・・・・・・・・・32 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 1 はじめに (1) 策定の趣旨 那須塩原市(以下「本市」という。)は、平成17年1月1日に黒磯市、西那須野町及び 塩原町の1市2町が合併して誕生した。 合併前の旧3市町時代においては、それぞれが基礎自治体として自己完結的に当時の 各種計画に基づき公共施設等の整備を行ってきたため、市内には同種同規模の公共施 設等が点在している。本来であれば、これらの市有財産については、ムダをなくすため合併 に当たって一定の整理を行う必要があったと考えられるが、全体的な整理がされていない 現状にある。 また、施設の多くが築10年以上を経過していることから、今後の維持管理には膨大な経 費がかかり、現行の施設を全て保有することは困難な状況にある。 このことから、市有財産の見直しを総合的な視点に立って進めるために「市有財産の有 効活用に関する基本方針」(以下「本方針」という。)を定める。 (2) 本方針の位置付け 本方針は、本市の総合計画と行財政改革推進計画を踏まえ、本市の将来に向けた市 有財産の基本的なあり方を定めるものとする。 また、各部門において本方針に即した部門別計画等を策定し、目標達成に向けた具体 的な取組を推進することとする。 (3) 対象とする市有財産 本方針における「市有財産」とは、地方自治法 第238条に規定されている「公有財産」のうち、 本市の財産 基金 建物(以下「施設」という。)及び土地とする。 債権 物品 公有財産 行政財産 公用財産 公共用財産 1 普通財産 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 2 市有施設を取り巻く動向 近年では地方分権が進み、自治体自らの判断と責任で時代変化などに対応したより高 度な公共サービスを提供することが求められてきている。 そのため、将来において本市が発展し続けるために人口や財政状況等を視野に入れた 施設のあり方を総合的に見直さなければならない状況にある。 (1) 市有施設に対する影響要因 ア 人口 国立社会保障・人口問題研究所「地域別将来推計人口」における本市の将来人口は、 平成27年頃をピークに人口が減少し続けるとされている。人口の減少は、結果的に使われ なくなる施設が増加するだけではなく、税収など本市における歳入にも大きな影響を及ぼす ことが予測されるため、将来においては、人口集中地区や人口重心などを視野に入れた バランスの良い施設配置を検討していかなければならない。 また、3階層別の人口割合をみると、老年人口の割合は年々増加していくものと予測さ れており、今後は保健、福祉、介護など、主に高齢者を対象とした施設の充実が求められ ることが想定される一方、年少人口の減少に対応した施設数の見直しに取り組まなければ ならない。 しかしながら、安心に出産や子育て、教育などができる環境の整備は、定住促進を図る 観点などからも非常に重要であることから、これらの施設についても一定の配慮が求められ る。 【図表1 人口推移(将来推計)】 (単位:人) 140,000 推計 120,000 100,000 19,523 23,303 28,276 32,134 34,052 34,864 35,781 37,694 68,401 66,388 63,200 58,199 13,885 12,778 12,083 11,591 80,000 60,000 77,505 77,391 74,088 70,779 40,000 20,000 0 17,955 17,118 16,219 14,998 平成17年 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 平成42年 平成47年 平成52年 0~14歳 15~64歳 65歳以上 資料:国立社会保障人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口』(平成17年は国勢調査) 2 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) イ 財政 本市における一般会計の歳入は、市税が毎年4割を超えているものの割合は減少傾向 にあり、地方交付税の割合が増加している。一方、歳出は扶助費などの義務的経費が増 加傾向にあり、施設の整備等に充てる投資的経費が減少している。 また、平成26年度当初予算をベースとして、現在見込まれる一定の条件の下、本市の 今後7年間の財政収支を推計した資料(財政シミュレーション)では、公債費は主に合併特 例債の償還となるが、交付税による財政措置が見込まれるため、本市の財政状況が急激 に悪化することは考えにくいとしている。 しかしながら、交付税合併算定替の期間は、合併後10年(その後5年は段階的に縮減) であり、本市の場合は、あと1年でその期間が終了するため、普通交付税は年々減少する 状況にある。 これらのことから、将来においては厳しい財政状況が予想されるため、今後の施設のあり 方について見直しを実施し、施設を有効に活用するための取組を実施していかなければな らない。 【図表2 合併算定の逓減~終了の影響】 (単位:億円) 合併算定替 減収額 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成31年度 平成32年度 △1.2 △3.6 △6.0 △8.4 △10.8 △12.0 ウ 職員数 本市は、最少の職員数で最大の効果を発揮し、多様化する行政需要に的確に対応す ることができる「精鋭集団」の確立を目指す第2次定員適正化計画に取り組んでいる。 同計画では、平成28年の年次目標職員数を784名に定めており、段階的に職員数が 減少していくことから、施設運営に当たる職員も減少していくこととなる。 そのため今後の施設運営については、指定管理者制度や包括業務委託の推進を図る とともに、市民との協働による管理運営等についても検討を進める必要がある。 【図表3 本市の職員数の推移】 (単位:人) 年次 職員数 年次 職員数 平成17年 平成18年 950 平成23年 949 平成24年 833 811 平成19年 924 平成25年 803 平成20年 895 平成26年 801 資料:那須塩原市統計書 ※平成25年度以降は、第2次定員適正化計画における目標職員数 3 平成21年 883 平成27年 795 平成22年 857 平成28年 784 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) (2) 市有施設の現状と課題 ア 市有施設の調査 市有施設(以下「施設」という。)の現状把握と課題の抽出に当たり、既に長寿命化計 画や適正配置計画等により位置付けられている施設 ※以外を対象に設置状況や利用状 況、整備年度等について実態調査を行った。 なお、調査の範囲は下表「図表4 施設の調査範囲」のとおりである。 【図表4 施設の調査範囲】 施設の調査範囲 行政財産 地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供すること を決定した財産 [地方自治法第238条] 公用財産 市民の利用に供することを目的としている財産 [財務規則第143条第2項第2号] 公共用財産 市民の利用に供することを目的としている財産 [財務規則第143条第2項第2号] 普通財産 行政財産以外の一切の公有財産 [地方自治法第238条] ※橋りょう、道路、小学校、中学校、公営住宅、建築物のない公園など。 イ 分類別の状況 本方針においては、「図表5 施設の分類」のとおり大きく11の分類に分け、施設の現状 や課題等を分析していくこととした。 4 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 【図表5 施設の分類】 施設全体(253施設) (大分類) (中分類) 01 庁舎等 01 行政系施設 (78施設) 02 消防防災施設 01 保育園 02 子育て支援施設 (24施設) 02 幼稚園 03 児童クラブ 01 保健センター 03 保健福祉施設 (10施設) 02 高齢者施設 03 障害者施設 01 学校給食調理場 04 学校教育施設 ( 6施設) 02 サポートセンター 01 公民館 05 社会教育施設 (25施設) 02 図書館 03 博物館・資料館等 04 文化会館 01 スポーツ施設 06 スポーツ・レクリエーション施設(11施設) 02 レクリエーション関連施 01 観光施設 07 観光施設 (31施設) 5 02 公衆トイレ(観光施設) 03 温泉 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 01 牧場 08 農業施設 02 堆肥センター ( 4施設) 03 物産センター 09 公園・広場 (25施設) 01 公園・広場等 01 清掃処理施設 02 廃棄物処理施設 10 供給処理施設 03 大気観測室 ( 7施設) 04 浄化センター 05 水処理センター 01 配湯所・ポンプ施 設 02 駐輪場 11 その他施設 (32施設) 03 公衆トイレ 04 その他施設 6 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 01 行政系施設 78施設 【現状】 中分類 施設数 地区 黒磯地区 庁舎等 消防 防災 施設 5 73 施設数 施設名称 2 西那須野地区 1 塩原地区 2 黒磯地区 44 西那須野地区 14 塩原地区 15 那須塩原市役所、除染センター(旧区 画整理事務所)、西那須野庁舎、塩原 庁舎、箒根出張所 消防詰所など (黒磯地区44施設、西那須野地区14 施設、塩原地区15施設) 【課題】 行政施設として利用されている施設には、那須塩原市役所(本庁舎、東庁舎)、西那 須野庁舎、塩原庁舎、除染センターがある。 このうち、除染センターについては、喫緊の課題である放射能対策に取り組むため、旧 区画整理事務所を利活用しているものである。 ここでは、除染センターを除く3庁舎における平成23年度の光熱水費と通信運搬費を比 較することとした。 光熱水費を比較すると、那須塩原市役所(本庁舎、東庁舎)は約12,033千円、西那 須野庁舎は約14,396千円、塩原庁舎は約6,026千円となっている また、通信運搬費については、那須塩原市役所(本庁舎、東庁舎)は約5,033千円、 西那須野庁舎は約1,796千円、塩原庁舎は908千円となっている。施設間のコストは異 なるが、3施設における光熱水費と通信運搬費(平成23年度市政報告書)の合計は、平 成23年度一般会計歳入額の約0.1%に相当する。 このことから、今後においては、コスト削減への取組を積極的に行っていかなければなら ない。 7 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 02 子育て支援施設 24施設 【現状】 中分類 保育園 施設数 13 地区 施設数 施設名称 黒磯地区 8 西那須野地区 4 塩原地区 1 わかば保育園、とようら保育園、いなむら 保育園、さきたま保育園、ひがしなす保 育園、さくら保育園、なべかけ保育園、 たかはやし保育園、西保育園、永田保 育園、三島保育園、南保育園、大貫 保育園 黒磯地区 幼稚園 児童 クラブ 1 10 塩原幼稚園 西那須野地区 塩原地区 1 黒磯地区 4 西那須野地区 4 塩原地区 2 大原間小学童保育会のびっこくらぶ、 黒磯小学校放課後児童クラブ、鍋掛 小学校放課後児童会なべっこくらぶ、高 林学童保育おひさまクラブ、三島児童ク ラブ、なかよし児童クラブ、大山児童クラ ブ、大山あおぞら児童クラブ、関谷児童 クラブ、大貫児童クラブ 【課題】 本市では、平成25年6月に保育園整備計画(後期計画)を策定し、借地となっている 「いなむら保育園」「わかば保育園」については、民営化による移転統合とし、園舎の新築 に関する施設整備への対応を進めている。 その他の保育園整備計画(後期計画)における民営化対象保育園としては、とようら保 育園及びひがしなす保育園を掲げている。 まず、とようら保育園については、市で取得した元那須塩原警察署跡地に、民営化に よって移転新築する予定である。 次に、ひがしなす保育園については、民営化に向けて保護者会との協議を重ねていると ころである。 なお、今後の保育園や幼稚園のあり方を考えた場合、認定こども園を始めとする幼保一 元化に関する取組が進み、子育て支援に関する環境も時代とともに変化してきているため、 社会情勢の変化を勘案し計画を進めて行くことが求められる。 8 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 03 保健福祉施設 10施設 【現状】 中分類 保健 センター 施設数 2 地区 施設数 黒磯地区 1 西那須野地区 1 施設名称 黒磯保健センター、健康長寿センター(西 那須野保健センター) 塩原地区 黒磯地区 元気アップデイサービスセンターさくら、元気 4 アップデイサービスセンターしまかた、シニアセ 高齢者 施設 7 西那須野地区 ンター、高齢者能力活用センター、元気アッ 2 プデイサービスセンターはつらつ、西地区高 齢者能力活用センター、元気アップデイサー 塩原地区 1 ビスセンターしおばら 黒磯地区 障害者 施設 1 ふれあいの森 西那須野地区 塩原地区 1 【課題】 保健福祉施設においては、ほとんどの施設に指定管理者制度が導入され、民間の活 力が活かされている。 しかしながら、少子高齢化が進んでいるため主として高齢者が利用する施設については、 今後の需要がますます高くなることが予想される。 そのため、今後においても、法改正の動向等を踏まえながら、本市と民間法人とが連携 して市民の保健福祉の維持・向上を図ることを検討していかなければならない。 9 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 04 学校関連施設 6施設 【現状】 中分類 施設数 地区 黒磯地区 学校 給食 調理場 施設数 施設名称 2 黒磯学校給食共同調理場、共英学校給 3 西那須野地区 1 食共同調理場、西那須野学校給食共同 調理場 塩原地区 サポート センター 3 黒磯地区 1 西那須野地区 1 塩原地区 1 児童生徒サポートセンター、適応指導教室 あすなろ、宿泊体験館メープル 【課題】 学校関連施設における特徴として、主に不登校やいじめ、学校生活や家庭生活に悩 みを抱えている児童生徒並びに保護者を対象とした相談業務等を行っている施設が各地 区にあることが挙げられる。 この中でも、宿泊体験館メープルは廃校となった上塩原小学校を有効活用し、キャンプ や川遊び、ハイキング、雪遊び、星空観察、昆虫採集など様々な活動を通じて、地域の特 性を活かした不登校児童生徒の学校復帰の支援を行っている。 今後においては、不登校やいじめをつくりだす一歩前の対応も含めて、これらの施設の有 効活用を検討していかなければならない。 10 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 05 社会教育施設 25施設 【現状】 中分類 施設数 地区 黒磯地区 施設数 施設名称 厚崎公民館、稲村公民館、東那須公民 7 館、鍋掛公民館、とようら公民館、いきいき ふれあいセンター(黒磯公民館)、高林活 公民館 16 西那須野地区 6 力倍増センター(高林公民館)、三島公民 館、狩野公民館、西公民館、西那須野公 塩原地区 図書館 博物館 資料館 等 文化 会館 3 5 1 民館、大山公民館、南公民館、箒根公民 3 黒磯地区 1 西那須野地区 1 塩原地区 1 黒磯地区 3 西那須野地区 1 塩原地区 1 黒磯地区 1 館、塩原公民館、ハロープラザ 黒磯図書館、西那須野図書館、塩原図書 館 歴史自然学習センター日新の館、旧津久 井家住宅、板室自然遊学センター、那須 野が原博物館、関谷郷土資料館 黒磯文化会館 西那須野地区 塩原地区 【課題】 図書館は施設建設から20年以上経過することから、子供から高齢者までの幅広い世 代の市民ニーズにあった既存の施設にはない新たな図書館の整備について検討する必 要がある。 併せて、近年ではタブレット端末やスマートフォンなどを活用した電子図書が流通している ことから、資料の電子化を検討するなどし、時代のニーズに応じたサービス提供方法につい ても検討する必要がある。 一方、文化会館については、照明設備を始めとする多種多様な備品が備え付けられて いるため、当然のことながら施設の修繕には多大なコストがかかる。市内には、三島公民 館に併設された三島ホールやハロープラザに併設された多目的ホール並びに那須野が原 ハーモニーホールなどの類似施設があるため、今後においては、本市の財政状況を勘案 し、これらの施設の集約化を検討しなければならない。 11 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 06 スポーツ・レクリエーション関連施設 11 施設 【現状】 中分類 施設数 地区 黒磯地区 スポーツ 施設 施設数 4 青木サッカー場、くろいそ運動場、那珂川河 畔運動公園(那珂川河畔公園プール)、東 8 西那須野地区 2 小屋運動場、にしなすの運動公園、三島体 育センター、関谷南公園げんき広場、塩原 塩原地区 2 黒磯地区 2 B&G海洋センター レクリエー ション 施設名称 3 田舎ランド鴫内、勤労青少年ホーム、塩原 西那須野地区 温泉家族旅行村(箱の森プレイパーク) 関連施設 塩原地区 1 【課題】 市内には、くろいそ運動場、西那須野運動公園、塩原B&G海洋センターを始めとする スポーツ施設が各地区にあり、グラウンドや体育館などが複数存在している。中でもグラウ ンドについては、スポーツ施設としての役割だけではなく広大な敷地を利用して巻狩まつりや 西那須野産業文化祭などの各種イベントにおいて、市民の交流の場としても活用されてい る。 一方、スポーツの種類は多種多様であるため、多種多様な市民ニーズが存在する。将 来においては、全ての市民ニーズに対応した施設を本市だけで設置し維持管理することは 非常に難しいと考えられるため、近隣市町の施設や県有施設、民間施設と競合しない施 設運営を視野に入れた対応の検討をしていかなければならない。 12 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 07 観光施設 31施設 【現状】 中分類 施設数 地区 黒磯地区 施設数 施設名称 1 巻狩鍋展示場、塩原もの語り館、塩原温泉 観光 施設 6 天 皇の 間記念 公園( 旧塩 原御用 邸御 座 西那須野地区 所)、もみじ谷大吊橋、塩原温泉湯っ歩の 里、塩原交流広場(交流室) 塩原地区 5 沼ッ原園地(白湯山)公衆トイレ、板室市営駐 黒磯地区 車場公衆トイレ、板室園地公衆トイレ、深山ダ 8 ム公衆トイレ、木の俣地蔵園地公衆トイレ、木 の俣橋園地公衆トイレ、上の原園地公衆トイ 公衆 トイレ (観光 施設) レ、乙女の滝園地公衆トイレ、古町1丁目公衆 23 トイレ、古町5丁目公衆トイレ、逆杉公衆トイレ、 西那須野地区 門前交流広場公衆トイレ、七ツ岩園地公衆ト イレ、新湯自然研究公衆トイレ、前山公衆トイ レ、福渡公衆トイレ、福渡駐車場公衆トイレ、新 塩原地区 湯公衆トイレ、新湯キャンプ場前公衆トイレ、蟇 15 石園地公衆トイレ、もみじ谷大吊り橋園地公衆 トイレ、塩釜公衆トイレ、塩の湯公衆トイレ 黒磯地区 温泉 2 1 板室健康のゆ グリーングリーン、塩原温泉 西那須野地区 塩原地区 華の湯 1 【課題】 観光施設の特徴の一つとして、観光施設に併設された公衆トイレが多いことが挙げられ る。平成23年度黒磯地区観光施設管理事業においては、木の俣橋公衆トイレ他修繕を 始めとする修繕料が約1,524千円、トイレの管理業務委託を始めとする委託料が5,077 千円かかっている。 今後においては、これらの経費を少しでも軽減できるような管理運営の方法を検討してい かなければならない。 13 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 08 農業施設 4施設 【現状】 中分類 施設数 地区 施設数 施設名称 黒磯地区 牧場 1 八郎ヶ原放牧場 西那須野地区 塩原地区 1 黒磯地区 堆肥 センター 物産 センター 1 2 塩原堆肥センター 西那須野地区 塩原地区 1 黒磯地区 1 青木ふるさと物産センター、地域資源総合管 西那須野地区 塩原地区 理施設(アグリパル塩原) 1 【課題】 農業施設の中でも、八郎ヶ原放牧場や塩原堆肥センターは、他の施設と比較して、広 大な施設面積を有している。 そのため、当初の施設設置目的にとらわれることなく、施設の運営の妨げにならない範 囲内で、施設の余剰スペースを有効に活用できるような取組を検討していかなければなら ない。 14 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 09 公園・広場 25 施設 【現状】 中分類 施設数 地区 施設数 施設名称 黒磯公園、那珂川河畔公園、いなむらふれ 黒磯地区 あい公園、東那須野公園、戸田水辺公園、 10 鳥野目河川公園、とようらコミュニティ公園、 那須疏水公園、戸田農村公園、豊岡公園、 公園 広場等 25 西那須野地区 永田公園、烏ヶ森公園、乃木公園、南町児 13 童公園、那須開墾社第二農場歴史公園、 一本杉緑地、乃木緑地、西那須野駅前公 園、三小前緑地、疏水パーク、井口公園、 塩原地区 2 大山公園、太夫塚公園、箒川沿岸運動公 園広場、関谷農村公園 【課題】 公園では巻狩まつりや開墾記念祭などの各種イベントが開催され、市民の交流の場とし て有効に活用されている。 公園の多くは指定管理者制度による民間のノウハウを活用した管理運営を行っているが、 他自治体の例を見てみると、公園内におけるケータリングカー営業許可についての規定を 定め、占有した面積に応じて公園の使用料を徴収している自治体もある。 本市においても、今後の財政状況を勘案し、公園を活用した新たな財源を確保できるよ うな取組を検討していかなければならない。 15 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 10 供給処理施設 7施設 【現状】 中分類 施設数 地区 施設数 施設名称 黒磯地区 清掃 処理 施設 廃棄物 処理 施設 1 1 那須塩原クリーンセンター 西那須野地区 塩原地区 1 黒磯地区 1 一般廃棄物最終処分場 西那須野地区 塩原地区 黒磯地区 大気 観測室 1 1 大気観測室 西那須野地区 塩原地区 黒磯地区 浄化 センター 2 西那須野地区 南赤田地区浄化センター、東部地区浄化セ 2 ンター 塩原地区 黒磯地区 水処理 センター 2 1 黒磯水処理センター、塩原水処理センター 西那須野地区 塩原地区 1 【課題】 生活のインフラ基盤となる施設については、施設の建設や修繕などにおいて他の施設よ りも費用がかかることが想定される。そのため、施設の長寿命化に関する修繕計画を立て、 コストの平準化等を検討していかなければならない。 また、施設運営においては、包括業務委託など民間活力の導入により、積極的なコスト 削減を検討していかなければならない。 16 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ● 11 その他施設 32施設 【現状】 中分類 施設数 地区 施設数 施設名称 上・中塩原温泉管理事業第1配湯所、上・ 中塩原温泉管理事業第2配湯所、上・中 黒磯地区 塩原温泉管理事業第3配湯所、上・中塩 配湯所 ポンプ 施設 原温泉管理事業中山配湯所、上・中塩原 9 温泉管理事業中山増設配湯所、上・中塩 西那須野地区 原温泉管理事業野刈戸配湯所、上・中塩 原温泉管理事業金録源泉ポンプ施設、上・ 中塩原温泉管理事業畑カッパ源泉ポンプ 塩原地区 9 施設、上・中塩原温泉管理事業新宮の島 源泉ポンプ施設 黒磯地区 駐輪場 2 西那須野地区 市営西那須野駅西口自転車駐車場、市 2 営西那須野駅東口自転車駐車場 塩原地区 黒磯地区 公衆 トイレ 市営黒磯駐車場屋外便所、四区工業団 1 地グラウンド(調整池)公衆便所、赤田工業 5 西那須野地区 4 団地グラウンド(調整池)公衆便所、井口工 業団地グラウンド(調整池)公衆便所、あた 塩原地区 黒磯地区 ご駐車場トイレ 旧高林南連絡所、旧大田原営林署、旧東 6 那須野調理場、旧穴沢へき地保育所、黒 磯清掃センター、東原地域活動センター、 その他 施設 16 西那須野地区 太夫塚倉庫、第一分庁舎、旧庁舎、旧郷 5 土資料館プレハブ、三島第 2 公会堂事務 所及び倉庫、旧塩原公民館、塩釜山車車 塩原地区 庫、塩原文化会館、市営バス車庫、塩原ク 5 リーンセンター 【課題】 旧穴沢へき地保育所、三島第2公会堂事務所及び倉庫などの施設については、自治 会やNPO法人などへの貸出しや、市の備品等の保管場所として活用している。 しかしながら、これらの施設の多くは昭和56年以前の旧耐震基準に基づき建設されたも のであり、建築から30年以上経過する施設が多くあるため、今後においては、安全性や維 持管理費の観点からも施設の解体を視野に入れた活用をしていかなければならないと考え る。 17 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ウ 地区別の状況 施設の多くは、合併以前において当時の人口規模や住民ニーズ、まちづくりの方向性な どに基づき整備をされてきたものであるため、地区ごとの施設配置状況や整備状況は様々 である。 各地区の特徴を見てみると、黒磯地区では、人口集中地区であるJR黒磯駅周辺に施 設が集中していることが分かる。 また、西那須野地区についても黒磯地区と同様に人口集中地区であるJR西那須野駅 周辺に施設が集中していることが分かる。 そして、塩原地区については、人口が比較的多い箒根地区及び塩原温泉周辺に施設 が集中していることが分かる。 今後においては、効率的・効果的な施設運営や更なるサービスの質の向上、利用者の 満足度の向上を図ることを目的とし、本市に必要な施設を選択し、段階的な統廃合に努 める必要がある。 18 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 【図表6 施設の立地状況(イメージ)】 黒磯地区 塩原地区 西那須野地区 人口集中地 区 19 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) エ 延床面積 各地区の延床面積を見てみると、黒磯地区では、ほとんどの分類で平均を上回っている ことが分かる。 また、西那須野地区については、他の2地区と比較して保健福祉施設と社会教育施設 の延床面積が多いことが分かる。 そして、塩原地区については、他の2地区と比較して観光施設と供給処理施設の延床 面積が多いことが分かる。 今後は、利用頻度や地区ごとのバランスを考慮し、適正な延床面積になるような検討を 行う必要がある。 【図表7 施設の面積】 (単位:㎡) 大分類 行政系施設 平均 黒磯地区 西那須野地区 塩原地区 総計 11242.20 22683.90 8095.21 2947.50 33726.61 子育て支援施設 3168.82 5224.47 3090.31 1191.69 9506.47 保健福祉施設 3253.39 2922.25 6208.60 629.32 9760.17 学校関連施設 2473.75 2853.17 2242.71 2325.36 7421.24 社会教育施設 11870.48 18351.02 13687.41 3573.00 35611.43 スポーツ・レクリエーション施設 8852.50 10693.2 11270.78 4593.52 26557.50 観光施設 2603.47 1235.16 0 3971.78 5206.94 農業施設 7170.50 335.00 0 14006.00 14341.00 公園・広場 1443.18 3192.34 1087.52 49.68 4329.54 供給処理施設 9368.67 6583.17 1002.47 20520.36 28106.00 その他施設 5417.93 7034.54 3344.85 5874.39 16253.78 63606.89 81108.22 50029.86 59682.6 190820.68 総計 オ 利用状況 平成22年度実績を基にした本市独自の調査によると、施設全体での延べ利用者数は、 360万人余りとなっている。 今後は、将来における市民ニーズや財政状況をかんがみ、利用率の低い施設の廃止 や統合も視野に入れ、効率的な施設運営を検討しなければならない。 カ 整備年度 施設の整備年度を見てみると、施設の多くは新耐震基準となった昭和56年以降に建 設されており、耐震については安全性が高いものと考えられる。 しかしながら、本市においては、昭和63年から平成12年にかけて多くの施設が建設され ており、今後における経年劣化に伴う修繕に係る経費が増加することが想定される。 20 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 今後は集中的に発生する修繕工事を平準化する予防的修繕方法について検討を行う 必要がある。 【図表8 整備概要(地区別建築物件数)】 0 昭和27年 昭和30年 昭和32年 昭和33年 昭和34年 昭和37年 昭和41年 昭和42年 昭和44年 昭和46年 昭和47年 昭和48年 昭和49年 昭和50年 昭和51年 昭和52年 昭和53年 昭和54年 昭和55年 昭和56年 昭和57年 昭和58年 昭和59年 昭和60年 昭和61年 昭和62年 昭和63年 平成1年 平成2年 平成3年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 不明 5 10 15 20 25 1 1 1 1 1 1 1 1 旧 4 2 2 耐 震 1 2 1 1 2 2 1 1 2 1 1 3 3 1 1 7 5 3 基 準 1 3 12 3 3 1 11 4 1 1 8 1 1 2 3 1 3 3 3 19 2 3 3 3 6 耐 2 8 1 3 14 13 4 5 4 5 1 3 震 9 基 1 5 準 2 6 5 8 4 2 2 4 1 10 5 8 1 2 5 5 7 7 2 2 4 1 8 2 5 7 1 3 1 3 2 1 1 2 2 新 3 5 1 4 4 2 7 10 黒磯地区 西那須野地区 6 塩原地区 ※建築物数で積算しているため、施設数と同数ではない 21 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 【図表9 整備概要(地区別延床面積)】 (単位:㎡) 0.00 2500.00 5000.00 7500.00 10000.00 12500.00 15000.00 17500.00 20000.00 昭和27年 昭和30年 昭和32年 昭和33年 昭和34年 昭和37年 昭和41年 昭和42年 昭和44年 昭和46年 昭和47年 昭和48年 昭和49年 昭和50年 昭和51年 昭和52年 昭和53年 昭和54年 昭和55年 昭和56年 昭和57年 昭和58年 昭和59年 昭和60年 昭和61年 昭和62年 昭和63年 平成1年 平成2年 平成3年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成25年 不明 旧 耐 震 基 準 新 耐 震 基 準 黒磯地区 西那須野地区 22 塩原地区 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) キ 維持管理費 施設運営には、光熱水費や修繕費、通信運搬費などの経費が必須となる。中でも修 繕費については、建築から10年、20年を経過している施設が多いため、経年劣化に伴う 修繕・改修経費がこれまで以上に多く必要となることが想定されることから、一定の条件の 元、将来における更新費用について試算したところ、40年間で約717億円の費用がかか るという結果となった。 本市の財政は、交付税合併算定替の期間が間もなく終了となることから、現在の厳しい 財政状況に加え、より一層厳しさを増す状況となることが想定される。 そのため、今後においては長寿命化のための修繕計画や施設の統廃合を検討し、経費 の平準化やコスト削減に積極的に取り組む必要があると考える。 【図表10 将来の更新費用の推計】 ※公共施設等更新費用試算ソフトを使用したシミュレーション 23 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 3 市有施設のあり方 本市が将来に向かって持続可能な行政経営を行っていくためには、単に現状を維持す ることにとどめることなく、施設の独自性や持続性、発展性を確保することを見据え総合的 に将来における施設のあり方について考える必要がある。 施設の現状や課題を踏まえると主に「コスト」、「質」、「量」における3つの視点から見直 しに取り組むことが必要になると考える。 施設のあり方を考える上での共通課題 ● ● ● ● 施設に係るコストを抑え、市の財政負担を軽減する 利用率の低い施設の改善を図る 時代ニーズ、市民・利用者ニーズへの柔軟な対応 将来における施設運営に係るコストを軽減する など 施設の見直しをすることで、課題などを解決し施設の有効活用を図る 施設の見直しにおける視点 徹底的なコストの見直しによるムダの排除 資産としての有効活用による新たな財源の確保 コストの見直し 効率的・効果的な施設運営の実現による施設の長寿命化 基金の積み立てによる財源の確保 環境に配慮する施設運営への転換 連携・協働を基調とする官民一体の施設運営への転換 質の見直し 独自性のある施設運営への転換 効率的・効果的な施設運営への転換 合併効果を活かした重複・余剰の整理・合理化 量の見直し 施設の総量圧縮 24 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) (1) コストの見直し 施設を維持するためには、当然のことながら大なり小なりのコストはつきものである。しかし ながら、現下の財政状況は厳しいものであり、将来に向けた持続可能な行政経営を行うた めには、施設に係るコストを見直し、徹底的にムダを削減することが必須となる。併せて、施 設の修繕や建替、整備などを行う際には、その必要性について十分な検討を行い、経費 を抑制していく必要がある。 ついては、将来における市の財政を圧迫させることのないよう、以下の4つの側面から抜 本的な「コスト」の見直しを進めて行くこととする。 ■ 徹底的なコストの見直しによるムダの排除 コストの削減や効率化を図るためには、管理運営に係るコストの見直しを行い、その上 で施設の集約化や一元化、民間委託などの手法についての検討が必要と考える。しか しながら、現在の施設における管理運営方法は、同種類・同規模の施設でも方法が異 なっているため、同種類・同規模の公共施設間において徹底的に比較や検証、分析を 行い、削減可能となるコストを見つけ出し、ムダを省く取組を進める。 また、コストの見直しを行う際には、受益者負担の観点や公平性の観点から施設使 用料の見直しについても視野に入れた検討を行う。 ■ 資産としての有効活用による新たな財源の確保 今後の施設運営においては、施設を資産の観点からとらえ、市民サービスの質の維 持や向上を図りつつ積極的な施設の有効活用を図り、新たな財源の確保に努める必 要があると考える。 ■ 効率的・効果的な施設運営の実現による施設の長寿命化 施設を管理する部門は、「壊れたら修繕」という概念を捨て、施設の耐用年数が少し でも伸びるような点検・修繕計画を策定し、施設の長寿命化を図る。 ■ 基金の積み立てによる財源の確保 施設の維持管理や解体、撤去などには多額の費用がかかることから、予め基金の 積み立てを行い、施設の整理統合に伴う再編整備や解体、撤去並びに長寿命化対 策等の実効性を担保する。 25 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) (具体的な取組案) 〇 省エネルギー機器の拡充による光熱水費の削減 ○ IP電話の拡充による通信運搬費の削減や災害時の連絡網としての二次利用 〇 包括業務委託や指定管理者制度などによる民間活力の導入による経費削減 ○ 施設の売却や貸付けによる歳入の増加 ○ ネーミングライツ(命名権)の売却による財源の確保 ○ 施設の壁面、空きスペース等を活用した企業広告等の募集、施設の空きスペース 等を利用した自動販売機等の設置場所貸付けなどによる財源の確保 ○ 施設の長寿命化によるライフサイクルコストの削減 など (2) 質の見直し 施設や設備の経年劣化は、施設の質を低下させ、利用率の低下につながる大きな 要因の一つとなる。また、計画的な施設の修繕計画を策定せずに老朽化した施設に対 する対症療法的な保全を繰り返していると、予期せぬ不具合が発生する可能性が高ま り、結果として建替サイクルの短縮や利用者に対するサービスの質の低下を招くだけでは なく、施設の保全に係る経費を増大させる事態にもつながりかねない。これらを未然に防 止するためには、現状見直しや無理・ムダのない計画的な施設の修繕計画を策定する ことが必須となる。 ついては、社会的なニーズや財政状況に最適な内容、水準となるように以下の4つの 側面から「質」の見直しを進めていくこととする。 ■ 環境に配慮する施設運営への転換 今後の施設運営においては、利用者環境や自然環境へ配慮した上で、中・長期的 な視点による費用対効果の検討が必要となる。 利用者環境への配慮としては、これまでも取組を実施してきた施設のバリアフリー化な どについて継続した取組を進める。 自然環境への配慮としては、雨水の再利用や太陽光発電、小水力発電の導入等 を進める。また、これらの施設の多くは指定避難所を兼ねており、有事の際にも有効に活 用することが可能となることから積極的に推進する。 ■ 連携・協働を基調とする官民一体の施設運営への転換 今後の施設運営においては、運営側の視点からだけではなく、子供から大人まで幅 広い市民の視点で施設の運営や利用等に関して感じている問題点や課題を洗い出し、 これらに柔軟に対応することが極めて重要になる。 そのため、施設運営に市民が積極的に参加できる仕組みを構築し、柔軟なサービス 提供やユニークな施設の運営を進めることとする。 26 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ■ 独自性のある施設運営への転換 本市には同様のサービスを提供している施設が複数存在し、一つひとつの施設の独 自性が見受けにくい。 今後においては、それぞれの施設が他の施設にはない独自性を持ち、施設の個性が 輝くような施設運営や施設の有効活用を図ることで利用者の増加に繋がる仕組み作り の検討をする。 ■ 効率的・効果的な施設運営への転換 今後の施設運営においては、現下の厳しい財政状況をかんがみ、社会的役割が終 了したと考えられる施設や利用率が低く十分に活用されていない施設についての廃止 や統合を進める必要がある。 しかしながら、廃止や統合といった改革に着手する前に、市民や利用者の視点に 立った利用環境の見直しとして社会情勢に応じた運用形態への改善やサービスの内容 の改善を検討する。 (具体的な取組案) 〇 施設のバリアフリー化による利用環境の向上 〇 施設管理システムの拡充などによる情報提供の充実 〇 地球環境や地域環境に配慮した環境共生型の施設づくりへの転換 ○ PFIやPPPの活用による民間活力の導入による活性化 ○ アンテナショップとしての活用などによる地域資源の有効活用 など (3) 量の見直し 本市の人口が減少することは、利用率の低下だけではなく、施設やスペースの余剰を 生じさせる。そのため、将来的な人口規模を見据え施設の数やスペース(延床面積等) についての見直しが必須となる。ついては、人口や財政の規模に見合った最適な施設 ボリュームへの調整を行うため、以下の3つの側面から「量」の見直しを進めていくこととす る。 ■ 合併効果を活かした重複・余剰の整理・合理化 本市には、設置目的が重複する施設や国・県や民間企業等が整備(又は整備可 能な施設)している施設と競合している施設があるため、合併後の施設の種類や機能の 重複状況を検証し、不要な施設・機能の解消を図ることとする。 また、社会的な役割を終えたと考えられる施設や市民ニーズが低下している施設など についても洗い出しを行い、施設存続の必要性について十分な検討を行う。 27 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ■ 施設の総量圧縮 施設の経年劣化に伴う一斉更新問題(大規模修繕や建替え)が今後は深刻化して いくこととなる。 そのため、社会経済動向や本市の人口動態、財政状況を勘案し、施設数や延床面 積について総量を圧縮するため、施設利用実態調査を実施するとともに市民の意見を 聴きながら、将来を見越した適正配置計画を策定する。 (具体的な取組案) 〇 類似施設の調査等による余剰施設の把握 〇 適正配置計画の策定による施設の効率化 など (4) 施設の見直しにおける共通のルール ◆ 利用者に対しサービスを提供する施設については、市民に対して負担や痛みを求め る前にまずは行政自らができる見直しを率先して進め、詳細なニーズ調査を実施するな どし、現状のサービス内容の見直しや施設存続の必要性などについて検討を行う。 ◆ 施設の修繕や解体には、多くの費用を要することから、あらかじめ基金を積立て、部 門別に施設の修繕や解体計画を策定し、歳出の平準化を図りつつ、実効性の担保 に努める。特に、供用年数が耐用年数を超え、以後想定される修繕費が現存価格を 超える場合には、積極的な統廃合に努める。 ◆ 施設の統廃合や新規で施設を建設する場合は、人口重心であるJR那須塩原駅周 辺地区や人口集中地区であるJR黒磯駅周辺地区、西那須野地区周辺地区を優先 的に検討する。 ◆ 施設の整理を検討する場合には、施設の設置目的や性質だけでなく、施設間の距 離や交通の利便性、地域の特性、施設の利用率などを総合的に判断し、合併前の 旧3市町の行政区域にとらわれることなく、民間施設の活用、自治体間を越えた広域 的な施設利用も視野に入れた上で見直しを検討する。 ◆ 施設の中には、本市の指定避難所に指定されている施設もあるため、自己の部門だ けにとらわれることなく他部門との協議を踏まえながら、施設の設置目的だけではなく、 総合的な観点から統廃合に努める。 28 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) ◆ 補助金等を受けて建設した施設を当初の目的以外に活用する場合には、補助金を 返還しなければならない場合もある。しかしながら、施設の利用頻度や費用対効果な どを総合的に考慮し、将来の本市を見据えた場合にメリットが大きいと判断する場合に は、積極的に有効活用を図る。 (5) 施設廃止後のあり方 見直しを行った結果、廃止を決定した施設は、施設を使用しないまま年数が経過する と老朽化が著しく進むだけではなく、安全性も損なわれ周囲への危険を伴うことが想定さ れることなどから、「思い切った処分」を基本的な考え方とし、以下のとおり廃止後の施設 のあり方を検討することとする。 ●建物の安全性が高い施設・・・施設は解体せずに売却や貸付、企業誘致など施設を 有効に利活用することを検討する。 ●建物の安全性の低い施設・・・原則として施設は解体し、「4 市有地の有効活用」に 基づいた有効活用を検討する。 (6) 今後の進め方 先に挙げた3つの目標を達成していくためには、3つの視点における取組を同時期にス タートし、並行して進めていくことが重要となる。 このことから、各部門において本方針に即した部門別計画等を策定し、目標達成に 向けた具体的な取組を進めることとする。 その上で「質」や「量」の見直しについては、新たに設置した公共施設等有効活用基 金を積極的に活用し、設置施設の再編整備や維持管理、補修等に取組を進めることと する。 また、アセットマネジメントを推進する体制の整備についても併せて検討することとする。 29 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 4 市有地の有効活用 (1) 基本的な考え方 市有地は市有施設と同様に、行政財産と普通財産に分類し、使用、利用及び管理を 行っている。 行政財産に属する市有地の多くは、庁舎、福祉施設、観光施設、教育施設等に附帯 し、これら市有施設と一体的に適切に維持管理がなされ有効に活用されている。 普通財産に属する市有地は、一部については貸付けなどにより有効に活用されているも のが有るものの、その多くは利用計画が無く未利用市有地として、なおかつ、長期に保有し ている状況にある。 普通財産のうち利用目的をもって使用されている土地については、引き続き適切に維持 管理を行い、有効に活用を図っていく必要がある。 未利用市有地については、取得の経過、その後の使用・利用経過及び現在の状況から、 処分も含めた有効活用を総合的に考える必要がある。 将来的な利用の有無を判断することは極めて難しいことではあるが、行政全体として必 要な機能の維持に附帯した市有地を確保しながらも、市としての財源の確保や維持管理 費用の節減を図る観点から、計画的に市有地の規模の縮減を図ることを基本とする。 (2) 未利用市有地の現状 未利用市有地は、市内255か所、面積約47万㎡に及んでいる。各地区における箇所 数と面積は、黒磯地区161か所、22.6万㎡、西那須野地区63か所、7.5万㎡、塩原 地区32か所、16.9万㎡となっている。 また、所管課別における箇所数は、財政課71か所、環境対策課38か所、農林整備 課1か所、都市整備課60か所、道路課66か所、西那須野支所総務税務課9か所、塩 原支所総務福祉課9か所、下水道課1か所となっている。 財政課、西那須野支所総務税務課及び塩原支所総務福祉課では、事業用地として 取得した用地や残地を合併前に用途廃止などによって管財担当課へ所管替えしたものが、 未利用市有地の大部分を占めている。これらについては、公売等により処分を実施している が、思うように進んでいないのが現状である。 農林整備課、都市整備課及び道路課では、道路用地として取得した用地のうち、道路 敷として使用しなかった残地が、未利用市有地の大部分を占めている。これらについては、 隣接地権者からの要望などにより払下げなどの処分を行っているが、土地の形状の問題、 立地や面積、価格の折合いがつかないなど、思うように進んでいないのが現状である。 30 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) 環境対策課及び下水道課では、事業用地として使用していた用地のうち、合併後に用 途を廃止したものが未利用市有地となっている。これらについては、一部新たな用途への 活用を検討されているが、全体として処分が進んでいないのが現状である。 (3) 未利用市有地の有効活用 ア 利用可能性の検証 未利用市有地については、庁内に定期的に照会を掛けるなど利用計画の検討を 行っているが、その多くは利用計画の無いまま長期保有となっている。貸付けや売却処 分により市の財源確保や維持管理費用の節減を図る必要があるが、一方で将来の施 設の移転先として利用可能な一定規模以上の面積の市有地については、保有を継続 することも必要である。 各行政分野の事業計画が日々変化している状況を踏まえ、これまで以上に未利用 市有地の所在や形状などその詳細について庁内に周知を図り、事業用地としての利用 可能性の検証を高め、でき得る限り行政財産としての活用を行うものとする。 イ 貸付けによる有効活用 利用目的があり一定規模以上の面積の貸付けを行っている市有地については、長 期に安定した財源の確保が見込めることから、引き続き貸付けを行うものとする。 事業用地としての利用計画はないが売却が困難な市有地については、民間等への 積極的な貸付けを検討する。 なお、長期に貸付けを行っている市有地で、面積狭小及び単独利用が困難なものに ついては、賃貸借契約の更新は短期的なものとし、売却を検討する。 ウ 売却処分の実施 面積狭小及び単独利用が困難な市有地については、売却を行うものとする。 単独利用が可能な規模を有し、形状や立地が良好で売却が可能と判断される市有 地については、積極的に売却を行うものとする。 エ 公共的な利用処分の実施 地元自治会や他の公共的な団体により公共的な利用又は公益的な利用がなされる 場合については、市有地の活用が有効に発現されることから、譲渡、譲与又は貸付け を行うものとする。 31 市有財産の有効活用に関する基本方針(案) オ 適切な維持管理 形状や立地の条件から貸付けや売却が見込めない市有地については、隣接地権 者や周辺市民の日常生活に支障を来たさないよう、引き続き適切な維持管理を行うこと とする。 (4) 未利用市有地の利用及び処分に関する計画 未利用市有地の利用及び処分に当っては、定期的に未利用市有地の利用の有無 及び処分方針の検討を行い、具体的な未利用市有地の利用及び処分に関する計画 を作成し対処するものとする。また、処分に当たっては、定められた手順に従い適切に行 うものとする。 32