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概要 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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概要 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
技術ロードマップ策定へ向けての調査
調査概要報告書
平成16年11月
独立行政法人 情報処理推進機構
1. 背景と目的
情報処理推進機構(以下、IPA)は、ソフトウェア産業振興を担う中核機関として、e-Japan
重点計画の推進に全力を傾ける事業方針を掲げ、中期計画を策定している。本ロードマップの
策定は、中期計画の実施項目の一つである「『e-Japan 重点計画』等を推進するための優先分野
の絞込みと IT ロードマップの策定」の一環として実施するものである。
ここでのロードマップは公的資金によるソフトウェア分野の研究開発事業の方向性を指し
示すものであり、中期的あるいは長期的に国が達成すべき研究開発ゴールと、ゴール達成に必
要な機能とその開発時期を含むマップを意味する。本ロードマップの策定では、より具体的か
つ効果的な成果が求められる今後の IPA 開発事業に活用していくために、利用者ニーズが顕在
化している応用分野においてソフトウェア技術の研究開発ゴールを設定する。具体的には、
「e-Japan 重点計画 2003」で示された IT 利活用重視先導 7 分野である医療、食、生活、中小
企業金融、知、就労・労働、行政サービスの中から応用分野として医療を選択し、当該分野に
おいて今後必要とされるソフトウェア技術のロードマップを作成する。
2. 本ロードマップ策定の意義
本ロードマップは以下の点において意義がある。
●ソフトウェア分野における技術ロードマップの先行事例
半導体ロードマップ(International Technology Roadmap for Semiconductors)に代表される
ように、工業分野における技術ロードマップや個々の企業製品のロードマップはすでに数多く公
表されており、研究開発計画策定の指針として活用されている。一方、ソフトウェア分野におい
ても、ロードマップを策定する重要性は他分野と変わるものではないが、国内外を含め、公開さ
れているものは非常に少ない1。このような状況にあるのはソフトウェアの特質にも原因があると
考えられる。ソフトウェアは無形で目に見えないためにハードウェアのような開発目標の定量的
表現が困難であること、ソフトウェアの適用は特定分野に限定されるものではないこと、ソフト
ウェア分野自体が広範囲の技術分野を持つ等、ソフトウェアが持つ特質ゆえにロードマップを描
くことが本質的に難しい。
こうした点から、本ロードマップの策定は困難かつ先駆的な試みであるといえるとともに、公
開するロードマップはソフトウェア分野における技術ロードマップのプロトタイプ的先行事例と
して提言するものである。
●応用を見据えた具体的ターゲットの設定
ソフトウェア分野におけるより具体的かつ詳細なロードマップを示すためには、広範なソフト
ウェア技術分野に対して何らかの視点で焦点を絞る必要がある。一方、IPA 事業としてより効率
的かつ効果的な研究開発事業を実現するにはニーズに基づいた重点分野の設定が重要であり、本
ロードマップも具体的ニーズに基づいた応用分野でのソフトウェア技術のロードマップとするこ
とが肝要である。
そこでロードマップ策定の最初の試みとして、e-Japan 重点計画 2003 の IT 利活用重視先導 7
1
ロードマップのタイトルのある文献には技術課題の解説を目的としているものも多い。
1
分野の中から、情報化のニーズが高く、かつ様々なソフトウェア技術の応用研究開発の余地が数
多く残されている分野として医療を選択し、ソフトウェア技術のロードマップを策定することと
した。ただし、医療分野におけるソフトウェア技術課題(すなわちロードマップの研究開発ター
ゲット)は、なお多岐にわたるため、医療分野における研究開発動向調査、有識者意見を踏まえ、
以下の視点からロードマップターゲットを設定した。
・技術的イノベーション
技術的進展が著しく、研究開発の実施によって具体的な成果が見込めるテーマであるか?
・情報技術的な新規性、適性
情報技術として新しいテーマか?または情報技術にとって得意なテーマか?
・医療サイドからの開発ニーズ
医療現場におけるニーズを満たす技術であるか?
・ IPA 事業との適性
公的資金で実施するのにふさわしい技術テーマか?
・技術的波及効果
研究開発の実施によって、技術的な波及効果が期待できるか?
●ロードマップ策定プロセスの重要性
ロードマップ策定においては、それぞれ立場の異なる関係者がロードマップ策定という共通の
目標のもと、必要な情報や各自の意見を共有し、議論を通じて相互理解を深め、主張のギャップ
を埋めていくという過程が重要である。特にソフトウェア開発においては、ニーズ側とシーズ側
の現状認識や目的意識の相違が往々にして存在し、これが産業界におけるソフトウェアのさらな
る普及の阻害要因ともなっている。本ロードマップでターゲットとする医療分野においては、医
学的専門性の高い医療従事者と必ずしも医療分野に明るくない情報技術者の間での認識のギャッ
プが、多くの医療情報システムの問題点の源泉にあると指摘されている。
本ロードマップの策定では、医療分野の有識者と情報技術分野の有識者で構成される研究会を
開催し、情報技術に対する医療サイドからのニーズ・課題、医療への応用が期待できる情報技術
等についての意見交換を行い、双方のギャップを埋めるための議論を行った。このような応用分
野コミュニティと情報技術分野コミュニティとの協働フレームを設定することは、より応用性、
具体性の高いロードマップを策定することのみならず、それに基づいた研究事業の基盤を形成す
ることにもつながるといった点で意義がある。
今後はここで得られたロードマップに対して、さらに広範囲の立場からのコメントを収集し、
発散・収束のプロセスを繰り返すことにより、より精度が高く応用性の高いロードマップを策定
していくことが必要である。今回提示するロードマップは、このための最初のプロトタイプとし
て位置付けられるものである。
2
3. 医療分野における情報技術ロードマップのターゲット設定
ロードマップ策定にあたり、国内外の研究施策動向の調査及び医療情報関連の国内学会の研
究動向調査を行った。その結果は以下のように総括できる。
厚生労働省の各種施策および医療関連学会における関連事例は、基本的には医療分野の具体
的な課題の解決あるいは制度・環境整備を本来的な目的としており、情報技術はそのための重
要なツールとして位置づけられている。したがって、そこで取り上げられている情報技術はス
ポット的なテーマが多く、波及効果や情報技術としての重要性は必ずしも考慮されていない。
また、経済産業省の各種施策に掲げられているテーマは医療関連分野の新規事業開拓を目指
したものが目立つ傾向がある。情報技術研究開発の比重が大きいテーマもあるが、その場合は
セキュリティやネットワークなどの基盤的技術分野が主要なターゲットとされるケースが多く、
情報技術的に幅広い観点で検討されているとは必ずしも言えない状況である。
以上のように、日本においては、情報技術的観点からの包括的検討に基づいた医療分野のテ
ーマ設定が十分になされている状況ではないが、一方、米国では PITAC の議論で、医療システ
ムの情報化の遅れが認識され、情報化推進の施策の重要性が強調されている。我が国としては
国際的競争力強化の観点からも、この分野における取り組みを活発化させる必要がある。
以上の認識に基づいて、医療有識者ヒアリング及び情報技術動向研究会で議論を行い、最終
的に以下にあげる3つのターゲットのロードマップを策定することとした。
【ターゲット1:医療安全性向上のためのソフトウェア技術】
医療事故やヒヤリハット事例を防止し、医療の安全性を高めるためのソフトウェア技術。
目標:処方・与薬において、以下のいずれかのヒヤリハット件数を半減する技術の開発を目標と
する。究極目標としては0件にする技術を開発する。
・無投薬、与薬時間・日付の間違い、過剰・過小与薬、患者や薬剤間違い、重複与薬等
【ターゲット2:医療知識共有支援システムの構築】
医師の経験的医療知識を蓄積、共有、活用することにより、医療レベルの向上と均質化を図る
ことを目的とした環境整備。
目標:医療知識共有コミュニティとして、以下の数値を達成することを目標とする。
z
既存のメーリングリスト等をベースにして、数百人以上の専門医から構成される情報交換コ
ミュニティを構成し、医師のスキル向上を実現(満足度評価等を導入する)。
z
実用上価値があると思われる症例の蓄積
また、医療レベルの向上と均等化を達成するために、以下の数値目標を設定する。
z
医療現場での利用における参考事例検索の的中率評価(医師に対する満足度評価)
あるいは、大学、国立病院等、複数の医療教育現場での導入件数等
【ターゲット3:在宅ホームドクター】
自宅にいながらにして、かかりつけのドクターからの医療サポート、看護・介護サポートが受
けられるような環境の構築。高齢者の自立支援。また、家庭医学や保健医療、緊急医療等の情報
を容易にかつ適切に入手できるような環境の構築。
目標:在宅ホームドクターの普及目標として、特にニーズが高いと思われる特定のモデル地域を
設定し、病院、行政、ボランティア、介護士などによるネットワークを構築する。当該地域にお
ける導入数として数百以上などの数値目標を設定する。また、診断精度の低下、信頼性の保証、
コストの増加が遠隔医療の問題点として認識されているため、診断精度が低下しないこと、セキ
3
ュリティ確保、安価な実現、さらには在宅の高齢者や障害者の満足度評価や自立度評価なども達
成目標としてあげられる。
4. 医療分野における情報技術ロードマップ
ロードマップは以下の4つのマップから構成される。
(1) 全体ロードマップ(10 年)
当該ターゲットを達成するために必要な技術的要件を 5 つに分類し、現状の技術レベル
(技術トピック:左端に表示)、ならびに今後 10 年間における各要素技術の達成目安をあ
らわしたもの。マップ中の●は達成目安を表している。各要素技術は、以下のような基準
に基づき、達成目安を推定した。
・ 1∼3 年以内:短期的に達成可能と考えられる技術要素
すでに関連技術開発事例があり、現状の技術開発の延長線上で比較的容易に実現可能
と考えられるもの。たとえば、基盤技術としてはすでに確立しており、医療分野への
応用に向けたデータ整備やカスタマイズ等により実現可能と考えられるもの。
・ 3∼5 年以内:中期的に達成可能と考えられる技術要素
すでに関連技術開発の取り組みがあるが、技術的困難性を抱えており、基盤技術とし
ての確立が待たれるもの、あるいはプロトタイプに対する実験検証が行われており今
後数年で実用的な開発が行われると期待されるもの。
・ 5 年∼10 年以内:長期的に達成を目指すべき技術要素
現在構想レベルとしてはあるものの、具体的な技術的検討が十分に行われていないも
の、あるいは中期的に達成可能なテーマの統合技術として 10 年以内に達成可能と思
われるもの。
また、
「全体ロードマップ」策定にあたっては、医療分野だけでなく、他分野への技術
的波及効果についてもあわせて検討を行った。ロードマップ下段では、短期、中期、長
期の各段階において、医療分野として達成されるサービスのイメージ(とユーザ、効果
など)をまとめ、また、他分野に対する波及効果についても言及した。
(2) 使用イメージ(10 年、3 年)
使用イメージは、全体ロードマップのうち、10 年後(長期)の達成課題に対して、実現
される具体的なサービス内容についてより詳細化を行ったもので、当該システム実現時に
考えられるプレーヤー(ユーザ、情報提供者等)とシステムの関連を図示したものである。
また、3 年後の部分的な達成イメージについて、吹き出しでコメントした。
(3) ロードマップ 3 年後に実現できる利用サービスイメージ
上記使用イメージにおいて、3 年後の実現に焦点をあて、想定されるユーザ分類ごとに主
な利用形態やその効果をまとめたものである。
(4) 3 年後の情報技術動向マップ
(1)の全体ロードマップにおける現状∼3 年に焦点をあて、現状医療応用において技術
的な課題とされている点、また現在の技術開発動向、ならびに 3 年後の目標として詳細化
を行ったものである。
4
【ターゲット1:医療安全性向上のためのソフトウェア技術】
(1) 全体ロードマップ(10 年)
ヒューマンエラー防止のためのディペンダブル情報基盤技術
−技術開発と波及効果に関する全体ロードマップ −
3年後
現在の技術レベル
●厚労省「ヒヤリ・ハット
事例情報データベース」
(200件弱)
●厚労省科研費プロ
ジェクト「ヒヤリハット・
事例の要因分析・デー
タ評価手法に関する研
究」(約1100件)
●事故防止のための
医薬品基本データベ
ースの整備
●UML、MDA等オブジェ
クト指向による医療システ
ム設計
●HPKI(ヘルスケアPKI)
5年後
10年後
インシデント要因分析技術
●インシデント事例自動分類、
類似事例検索技術
●インシデント事例(テキスト)収集技術
●投与記録・生体データ
自動収集技術
インシデント要因自動発見技術●
●インシデント報告、投与記録、生体データ
に基づいた要因分析・評価手法
●インシデント要因分析・評価手法
ヒューマンファクター・失敗学
インシデント事例の管理・データ収集支援技術
インシデント要因の自動発見技術の確立
システム要求分析技術
●医療システム及びセキュリティ
ポリシーの統合設計手法
●セキュリティのための形式
的仕様技術・検証技術
●電子カルテにおける個人
情報保護機能設計技術
セキュアな医療システムのための要求分析技術
医療エラーを軽減するシステム機能の要求分析技術
●医療機器・通信接続技術
医療知識・スキル・状況に応じた適応型インタフェース技術
情報医療機器における誤操作軽減インタフェース技術
システム統合技術
●医療システムにおける
形式的手法によるソフト
ウェア開発技術
●医療情報システムのモデ
リング技術、コンポーネント技術
医療情報システムの統合化技術
医療システムにおけるソフトウェア再編・発展技術
高信頼・セキュアなユビキタス基盤技術
●ディザスタリカバリー技術、
リソース管理仮想化技術
●IPv6モバイル
セキュリティ技術
●大規模病院向け
データグリッド(数百テラバ
イト∼1ペタバイト)
医療個人情報アクセス管
理、不正利用追跡技術●
サーバ耐故障性・可用性技術
医用向けユビキタスセキュリティ技術
●大規模IPv6ネット
ワーク運用技術
●セキュアかつ高信
頼・高速なユビキタス
環境における医療デー
タアクセス技術
●無線LAN(数百Mbps
∼1Gbps)による大容
量ファイル共有技術
高信頼・高品質な大規模ユビキタスシステム基盤技術
院内のインシデント事例要因分析
作業の効率化を実現。処方時の
入力ミスの軽減化。
院内のインシデント事例要因分析
作業の効率化に加え、より正確な
分析が可能となる。
医療情報システム構築支援ツー
ルの高度化
進展するインシデント対策やセ
キュリティポリシーに適応する柔
軟な医療情報システム、人に優し
くミスを減らす医療情報システム
の実現。
リスクマネージメント担当の医療
スタッフ。処方を行う医師。
リスクマネージメント担当の医療
スタッフ。医療情報システム構築
従事者。
リスクマネージメント担当者、情報
システム構築従事者、処方・予薬
にかかわる医療スタッフ全般
インシデント分析と対策検討作業
の負担や処方時の入力ミスの数
が軽減される。
より的確なインシデント分析と対策
の策定が可能となる。
システム構築コストの低減化が図れる。
安全確認が容易かつ機動的に可
能となり、安全性を向上できるとと
もに、医療スタッフの肉体的・精
神的ストレスを軽減できる。
セキュリティポリシーを反映した情
報システムの設計手法の確立
につながる。
他分野でのインシデント(失敗)事例
の分析支援に展開が期待できる
システムが提供するセキュリティ機
能に対する検証技術につながり、高
信頼・セキュアなシステム開発支援
技術が進展する。
(効果)
他分野における
波及効果
●医療システムにおける
発展的ソフトウェア開発技術
●電子カルテ標準統合(EHRモデル
標準)に基づくシステム間連携
●OGSA,ビジネスグリッド
●IPv6、モバイルIP
●無線LAN高速化技術
(約20Mbps)
医療分野 (サービス)
において
想定され
るサービ
(ユーザ)
ス
●医療機器操作
半自動化技術
●医療機器のためのユビキ
タスインタフェース設計技術
医療向けのウェアラブルイン
タフェース技術
●医療知識や操作履歴、コンテキスト
に基づいた入力予測技術
●オーダリングシステム
での入力警報機能
●ユーザビリティ評価
●医療機器警報方式や
通信方式が不統一
●セキュリティポリシーや
医療エラー対策の進展に
適応する柔軟なシステム
設計技術
●医療エラー防止のための
医療システム設計手法
人に優しく、誤動作を減らす
ユーザインタフェース設計技術
●医療用CORBA
(CORBAmed)
●医療情報システムへの
Enterprise Architecture
導入
●電子カルテ標準(HL7拡
張:米国中心,GEHR/Open
EHR:欧州中心)
● は実現に最低限必要と思われる期間の目安
青字はベースになると思われる情報技術または分野
5
セキュリティポリシーやシステム構
成、機能追加など様々な要求変化
に対する柔軟かつ高信頼なシステ
ム(アシュアランスシステム)開発技
術が進展する。
(2) 使用イメージ(10 年、3 年)
− ターゲット達成時に実現できる利用サービスイメージ−
処方医
3年後:誤入力防止技術
による入力ミスの低減
10年後:患者のリアルタ
イムモニタと緊急の処方
変更指示の支援
看護
調剤
3年後:指示受け確認、患者識別・
薬品確認支援によるインシデント
発生の低減
10年後:医療機器誤操作や操作
負担の軽減、緊急の処方変更対
応支援
臨床・薬品情報
医療スタッフ報告、
患者生体情報
患者・薬品確認
投薬報告
処方オーダー、
医療スタッフ指示
指示受け、
患者識別・薬品情報、
医療機器警報
疑義照会
調剤・交付
記録
3年後:処方監査・疑義照会作
業の負担軽減
10年後:緊急の処方変更対
応支援
処方受付
ヒューマンエラー防止のためのディペンダブル情報基盤
技術的要件
3年後:
人に優しく操作ミスを軽減するユーザインタフェース
・インシデントレポートテキストマイ
ニング
・セキュアな医療情報システム設計
・医学背景知識に基づく誤入力防止
インタフェース
・リソース管理技術
インシデントレポート
投薬記録等
情報医療機器から
の警報・生体情報
患者識別・投薬確認
どこでもアクセス可能
10年後:
・インシデント要因分析の高度化・
半自動化
・医療分野における発展的ソフト
ウェア技術
・ユビキタス環境におけるセキュア
かつ高信頼・高速な医療データアク
セス技術
自律的体系化・再構成・知識化・
マイニング処理
処方オーダリング
インシデント要因分析データ
セキュア、ディペンダブルなサーバ
やユビキタス環境のための基盤技術
対策をシステムに反映
医療情報システム、治療計画、投薬記録、患者生体情報、 要求追加・変更に柔軟に
インシデントレポート等の情報を統合した医療安全確認の 適応するシステム構成技術
ための情報基盤
システム統合・拡張・保守
システム・ベンダー
3年後:医療情報分野における新規システ
ム開発・インテグレーションの生産性向上
10年後:医療情報分野におけるシステム統
合・変更・拡張の生産性及び信頼性向上
システム・ネットワーク・
セキュリティ管理
システム部門
3年後:サーバモニタリング、故障対応などの
維持管理作業の負担軽減
10年後:ネットワーク管理、セキュリティ管理
業務の効率化
6
インシデント要因分析
リスク管理部門
3年後:インシデントレポート
管理、分析作業の効率化
10年後:インシデント要因分析
の高度化・半自動化
(3) ロードマップ 3 年後に実現できる利用サービスイメージ
黒字は想 定利用 形態、紫字 は期待 される 効果
高度医療機関(研究、高度先進医療、災害時医療など
民間で困難な機能を持つ大学や公的医療機関)
総合病院等の大規模病院(400床以上の医療機関)
●膨大な量のインシデントレポ ートや患者情報からのインシ
デント要因分析支援
→ エラー防止・信頼性の向上
●インシデント防止、セキュリティ対策 などの追加要件に
対応できる大規模な医療情報システム
→ システムによるインシデン ト防止、セキュリティ対策支援
●高度医療において利用する複雑な医療機器の誤操作
の軽減、患者のリアルタイムモニタリング
→医療レベル・信頼性の向上
●災害時にも対応できる医療情報システム基盤
→高度医療機関 としての評価向上
すべての医療機関
・指示受けから投薬実施までの患者・薬品確認、情報伝達システム
→ エラー防止、医療スタッフの負担の軽減
・入力ミスを軽減する処方オーダリングや誤操作を防ぐ医療機器インタフェースの導入
→ エラー防止、医療スタッフの負担の軽減
・ 個人情報保護やセキュリティポリ シー支援のための機能を具備した情報伝達システム
→信頼性の向上
・セキュアかつ高信頼・高速なユビ キタス環境に おける医療デー タアクセス基盤
→安全確認・情報伝達 システムの高信頼性・可用性の確保
教育・研修機能を持つ医療機関
(大学病院、臨床研修病院等)
●高度医療において利用する複雑な医療機器の誤操作
の軽減、患者のリアルタイムモニタリング
→医療レベル・信頼性の向上
その他の病院・診療所
7
(4) 3 年後の情報技術動向マップ
課題
現在の技術動向(研究開発が行なわれている関連要素技術)
3年後の目標
●インシデントレポートデータに対する要因分析・評価支援機能
●インシデントレポートデータの自動分類・類似検索などの管理・利活用機能
●多観点からの分析が可能なインシデントレポートデータベースの開発
●退院サマリ(入院から退院までの患者記録等)に対するテキストマイニング
●テキストデータの要素分解とユーザプロファイルに基づく知識合成(ダイナ
ミックドキュメント)
●自己組織化マップによる情報可視化・分類技術
●インシデント要因・分析を可能とするインシデントレポート・退院サマリ
データベース
インシデント要因
分析技術
システム要求分
析技術
●UML-Based Framework for Security Requirements Engineering
●セキュリティポリシー策定と医療情報システムの設計を統合して扱う開発支
●ISO/TC215 WG4(保健医療情報のセキュリティに関する標準化)
援機能
●電子カルテシステムの個人情報保護対応要件の検討
●電子カルテに埋め込む個人情報保護機能
誤操作を防止し、
かつユーザフレ ●入力の負担・手間を増幅させない警報インタフェース
ンドリーなインタ ●医療機器からの生体データ通信方式の統一
フェース設計技術
システム統合技
術
●警報インタフェースの評価
●操作履歴等に基づいた予測入力インタフェース
●医療機器警報支援システム
●レポートに対する半自動分類機能やメタデータ(RSS等)の半自動付与
機能、類似検索技術の実現
●UML等による医療システム設計技術とセキュリティ設計技術との統合
●電子カルテ向けセキュリティのためのデザインパターン(設計支援技
術)
●医療知識や操作履歴・コンテキストに基づき、誤った薬品名等、誤入力
候補をより削減する入力支援技術
●医療機器からのデータ(警報データ、生体データ)の通信プロトコル変
換と無線接続技術
●電子カルテシステムモデル特別プロジェクト(保健医療福祉情報システム工
●マルチベンダーが提供する各種コンポーネントによる医療情報システムの設 業会)
●MDA(Model Driven Architecture)、EA(Enterprise Architecture)に基づ
計・インテグレーション支援技術
●EHR標準モデル開発(HL7拡張:米国中心、GEHR/OpenEHRプロジェクト:欧 く医療情報システム設計支援技術
州中心)
●医療データ不正利用追跡技術
高信頼・セキュア ●データ内容や利用のコンテキストに応じた細粒度かつ柔軟なアクセス管理
なユビキタス基盤 ●モバイル医療情報アクセス技術
技術
●医療情報システムにおけるサーバサイドの耐故障性・可用性保障、災害対
策
●異種分散ネットワーク連携
●シンクライアント端末によるネットワーク構築
●情報の分散保存管理
●認証VLAN (個人認証機能を持ったVLAN)
●生体認証
●ビジネスグリッド、ストレージ仮想化、ディザスタリカバリー技術
8
●ロールベースのポリシー管理機能に基づくアクセス管理技術
●多様なレベルの詳細度に応じた(マルチメディア)コンテンツアクセス権
管理技術
●ビジネスグリッドによる医療情報向けリソース仮想化、ディザスタリカバ
リーの実現
【ターゲット2:医療知識共有支援システムの構築】
(1) 全体ロードマップ(10 年)
自律的再構成機能を持ったマルチモーダルナレッジ共有プラットフォーム
−技術開発と波及効果に関する全体ロードマップ −
3年後
現在の技術レベル
病理形態画像の色彩情報
再現技術●
生体/病態過程理解や治療判断等、
高度な医療知識表現技術(シンボル情報)●
●症例→病名等の教
科書的医療知識支援
システム
●医学情報DBの
整備(欧米中心)
●キーワード高速検索や
自然言語処理による概
念検索
10年後
暗黙知抽出支援技術●
生体/病態過程のマルチ
モーダル表現・提示技術●
習熟度、専門性、状況(緊急時、手術中
など)を加味した情報提示技術 ●
バーチャルタイムマシン●
デジタルヒューマン●
可能世界シミュレーション●
ビヘイビアマイニングの医療応用●
医療知識の表現と利用技術の確立
医療アーカイブ化とシミュレーション機能
医療データベースの構築と整備・拡充
臨床経験アーカイブ
(例:4次元手術記録)●
リアルタイムセンシング技術
各DBとの統合●
(EMBASE、MEDLINE等連携)
マルチモーダル情報圧縮技術
医療情報向け時制DB●
医療向けマルチモーダル時制DB●
失敗知識データベース
大規模失敗事例DBの整備●
●ヒヤリハットDB
(厚労省)
●多言語横断検索
5年後
医療知識の表現方法と提示に関する技術
●医用画像(濃淡
情報が中心)
●統合医学用語シス
テム(米国NIH)
● は実現に最低限必要と思われる期間の目安
青字はベースになると思われる情報技術または分野
医療データベースの整備と連携機能
マルチモーダルDBの構築と利用技術の確立
医療情報に適したデータベース機能
医療分野における多言語
検索インタフェース
●
医療情報の検索技術
セマンティックWeb
高精度・高速画像検索
医療分野における背景知識
を兼ね備えた概念検索、類●
似検索の開発
症例マッチング技術●
医療知識向けマルチモーダル情報検索●
医療知識と連携した画像データ検索技術●
医療知識に基づく
検索ナビゲーション技術 ●
●Health Cyber Map(英国)
習熟度、専門性、状況に応じた検索技術 ●
医療知識に基づいた検索機能
検索機能の高度化
様々なモダリティを持つ情報からの知識検索機能
医療情報の自律的再構成技術
●人手による医療DB
管理、専門ML管理
医療情報分類半自動化技術、
メタ情報付与技術●
Web上での医療情報
メタデータ技術
自動収集・統合技術●
セマンティックWeb,異種情報源統合技術、エージェント技術
データマイニング、帰納推論、学習
マルチモーダル医療情報分類の半自動化技
術、メタ情報付与技術●
医療情報の分類支援●
ベイズ推定
●電子カルテによる
患者病歴データアー
カイブ
医療知識の分類支援機能
医療知識・経験知の
再構成支援●
医療知識の自律的構成技術の確立
情報アクセスのための基盤技術
●既存のアクセス管
理技術適用
データ内容や利用のコンテキストに応じた
細粒度かつ柔軟なアクセス管理 ●
携帯電話+
●電子カルテペン入 2次元バーコード技術
力、携帯端末による
アクセス
医療分野 (サービス)
において
想定され
るサービ
(ユーザ)
ス
(効果)
他分野における
波及効果
医療知識・経験知の再構成半自動化●
医療情報の自動収集支援
医療用高臨場感インタフェース●
医療個人情報アクセス管
理、不正利用追跡技術●
モバイル医療情報
アクセス技術●
Everyday Computing/Invisible Computer
医療向けユビキタス・マルチモーダル
入力インタフェース技術●
医療現場の状況に即した情報アクセス技術
人間中心コンピューティング環境 ●
(仮想・現実世界をシームレスに融合
した医療作業環境)
患者と医療従事者中心のコンピューティング環境の確立
医療共有知識(テキストまたは画像)
の電子カルテ内からのシームレスな利
用による診察時の診断支援
(数十秒∼1分で適切な診療情報を把
握できる)
救急医療現場におけるテキスト・画像
型診断・治療知識の利用支援
(数秒で適した治療候補の一覧を提示し、
迅速な診断と治療を支援)
3次元動画像、音声、触覚情報などマルチモーダル情報
による診断・処方の知識共有、シミュレーションによる病
態進行予測や治療計画支援
(救急時や術中においては数秒でマルチモーダル検索・
シミュレーションを行い、リアルタイムに治療方法を決定)
モデルケースとした診療
科の医師
複数の診療科の医師、
看護士、救急医療士
入院を要する治療を実施する中規模病院・救急病院
における各診療科の医師・研修医
医師の診断レベルの質的向上
インフォームドコンセント支援
救急時における医療行為の質の向上
・均質化、医療過誤の防止
医療行為全体の質の均質化や医療過誤の防止、
医療技術の向上、治療方法に関する患者の理解促進
(医者と患者の知識共有)
企業内のナレッジ検索、
ナレッジ分類・整理、
ナレッジアクセス管理
への適用
ADR等法律分野へ
の適用により、法的
サービスの向上、教
育分野における事例
共有とスキル向上等。
協調作業環境による分野発展に寄与。
卓越した技能の継承。トータルなアーカ
イブからのシミュレーションによる未来予
測、シミュレーション機能等。
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(2) 使用イメージ(10 年、3 年)
− ターゲット達成時に実現できる利用サービスイメージ−
救急医療
往診
3年後:専門医による最適な
治療法の支援、関連事例抽出
10年後:緊急時の的確
な対応を支援
手術
3年後: 関連知識・事例抽出に
よる手術計画策定支援
10年後:不測の事態への対応
原因分析、予測シミュレーション
3年後:事例(症例、対
処法)研究によるスキ
ル向上
10年後:緊急時におけ
る応急措置の支援
手術状況の公開・記録・
救急医療における関連事例の抽出
対処法の指示 機器操作指示
症状に対して最適な病院の紹介
緊急時における難度の高い処置の支援
技術的要件
3年後:
症例データの蓄積
治療の記録
臨床データの蓄積
保管により信頼性の高
関連事例、関連ノウハウ、
い医療実現
関連医学知識の検索
介護施設との連携による適切な処置
医薬連携による患者の利便性向上
マルチモーダルナレッジ共有プラットフォーム
・医療知識の標準化
・データベースのフレーム策定と
インタフェース整備
・医学背景知識に基づく情報提示
・ダイナミックなアクセス管理技術
医療画像情報、音声、映像、臨床データ、
電子カルテ、医学知識、診断ノウハウ等を
含めたマルチモーダルデータベース
シミュレーション
関連手術事例の抽出・参照
対処法の指示
機器操作マニュアル
自律的体系化・再構成・知識化・マイニング処理
マルチモーダル情報の高速検索処理
電子カルテ
各種臨床データ
10年後:
手術映像
・マルチモーダルな情報の自律的
管理
・経験的ノウハウの表現と利用
・予測シミュレーションと原因分析
・医療現場での利用を可能にする
コンピューティング環境
3次元医療画像
3年後:集団検診の効率化、早期異常検出
10年後:大部分のがん、重大疾病の早期異常
検出、集団検診効率化
医学知識、経験的ノウハウ
集団検診
医療画像データの蓄積
検診結果の電子化
とその有効活用
共同研究
専門医との議論
症例データの蓄積
関連事例、関連ノウハウ、関連医学知識の抽出
各種臨床データ
の蓄積
関連知識の学習
検診データの自動
スクリーニング結果
3年後:教科書的医学知識、関連事例研究による
よる医学教育の高度化
10年後:臨床現場スキル向上(手技の向上など)
や医学研究の発展に資するプラットフォーム。
マルチモーダルな教育・研究用コンテンツ
関連事例に経験のある
専門医への照会
医学教育・研究
電子カルテシステムと連携
10
診療
3年後:事例研究によるス
キル向上、大規模病院で
の診察支援、診療技術の
均質化、インフォームドコ
ンセント
10年後:診療所も含めた
診察支援、専門医による
連携機能
(3) ロードマップ 3 年後に実現できる利用サービスイメージ
黒字は想 定利用 形態、紫字 は期待 される 効果
高度医療機関(研究、高度先進医療、災害時医療など
民間で困難な機能を持つ大学や公的医療機関)
●高度医療事例の蓄積により、国内医療機関への
積極的 な情報提供を行う。
→高度医療機関 としての評価向上、パブリシティ効果
●教育用コンテンツ、先進研究事例を共有し、医学教育、
医学研究の現場 で使用する。
→ 医学教育、研究の高度化に寄与
●医療現場における症例・対処法知識を活用する
→ 医療レベル・信頼性の向上
総合病院等の大規模病院(400床以上の医療機関)
●院内情報共有により診療科間の診断・治療連携を促進する
→ 診療の効率化、医療レベルの均質化
●医療現場における症例・対処法知識を活用する
→ 医療レベル・信頼性の向上
すべての医療機関
・ソーシャルネットワーク構築支援
→ 医療従事者間に おけるコミュニケーションを促進
・ 関連医学知識・事例の共有・参照
→ 医療従事者の スキル向上
・ 診療方針の比較検討
→ インフォームドコンセントの実践
教育・研修機能を持つ医療機関
(大学病院、臨床研修病院等)
その他の病院・診療所
●高度医療事例の蓄積により、国内医療機関への
積極的 な情報提供を行う。
→高度医療機関 としての評価向上、パブリシティ効果
●教育用コンテンツ、先進研究事例を共有し、医学教育、
医学研究の現場 で使用する。
→ 医学教育、研究の高度化に寄与
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●医療現場における症例・対処法知識を活用する
→ 医療レベル・信頼性の向上
●適切な医療機関やセカンドオピニオンの紹介
→ 医療連携の促進による全体医療レベルの向上
●集団検診、臨床データの蓄積と活用
→ 検診の効率化、早期異常検出
(4) 3 年後の情報技術動向マップ
課題
●病理形態画像の正確な色情報記録・再現技術
●生体/病態過程理解や治療判断等、高度な医療知識表現技術(シンボル情
医療知識の表現 報)
方法と提示に関す ●医学知識表現の標準化
る技術
現在の技術動向(研究開発が行なわれている技術)
3年後の目標
●多原色(マルチスペクトル)映像技術
●既存装置によるマルチスペクトル映像処理技術
●オブジェクト指向モデリング技術
●因果ネットワークによる生体/病態過程表現技術
●臨床決定支援のための臨床指針表現技術
●MML等XMLベースの医療情報表現技術
●既存の撮像・表示装置で皮膚や粘膜の病理形態の色や質感などを忠
実に記録・再現する高画質映像入力・表示技術と高画質画像データの圧
縮・伝送技術
●XMLによる生体/病態過程理解や治療判断等の医療知識表現技術と
その標準化
医療データベース
●各DBとの統合(メルクマニュアル、EMBASE、MEDLINE等連携)
の構築と整備・拡
●現場医療での活用を想定したライブラリ化
充
●失敗事例大規模DBの整備
●オブジェクト指向データベース
●失敗に至る原因、行動、結果の分析(フレーム)に基づく失敗事例の分類・体 ●既存DBの融合による現場での活用を想定したライブラリ整備
系化
●医療失敗事例のフレーム策定と事例収集
●科学技術分野における失敗知識データベースの試験公開
●医療分野における背景知識を兼ね備えた概念検索
医療情報の検索
●医療知識に基づく検索ナビゲーション技術
技術
●ターミノロジーの統一化、標準化
●医学ターミノロジーの自動生成
●テキスト情報に基づくオントロジーの自動生成
●概念辞書に基づく類似検索機能
●重要度の自動判定とキーワードの自動抽出
●多言語横断検索技術
医療情報の自律
●医療情報の分類支援・自動分類
的再構成技術
●医療情報に対するメタ情報付与技術
●セマンティックWEB
●メタデータの自動付与
●テキストマイニング(テキストデータの特徴ベクトルに基づくクラスタリング、
自動分類)
●テキストデータの要素分解とユーザプロファイルに基づく知識合成(ダイナ
ミックドキュメント)
●自己組織化マップ
●医療個人情報アクセス管理
情報アクセスのた ●不正利用追跡技術
めの基盤技術
●データ内容や利用のコンテキストに応じた細粒度かつ柔軟なアクセス管理
●モバイル医療情報アクセス技術
●異種分散ネットワーク連携
●シンクライアント端末によるネットワーク構築
●情報の分散保存管理
●認証VLAN (個人認証機能を持ったVLAN)
●生体認証
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●医学用語オントロジーに基づく概念検索、類似検索システム
●医学的背景知識に基づく質問拡張機能、検索ガイダンス機能の実現
●医学用語辞書、オントロジーを用いた多言語横断検索機能(日英)の
実現
●電子カルテからのシームレスな医療知識の検索機能
●医学背景知識に基づく自動メタデータ付与技術と半自動分類機能
●医学情報の適切な単位での分解と特徴付け・保存
●ユーザプロファイル(専門領域、個人ニーズ)に基づく情報再構成機能
●ロールベースのポリシー管理機能に基づくアクセス管理技術
●多様なレベルの詳細度に応じた(マルチメディア)コンテンツアクセス権
管理技術
【ターゲット3:在宅ホームドクター】
(1) 全体ロードマップ(10 年)
在宅ホームドクター/次世代知的コミュニケーションネットワークの構築
−技術開発と波及効果に関する全体ロードマップ −
3年後
現在の技術レベル
診断データ解析技術
●主に文字レベルで
の診断
●動画像(連続画像)
認識は実用レベルに
ない
5年後
●実物色画像システム
二次元パタン識別技術●
10年後
●遠隔リハビリテーション支援
遺伝子解析技術
●連続動作の認識
三次元形状計測・
検出・識別技術●
動画像解析技術
数値データに対する
診断支援技術●
自動音声認識による●
異常検出
生体情報センシング技術
人体モデルの構築とシミュレーション機能
五感通信●
皮膚感覚ディスプレイ
超小型・情報解析型健康データ測定機器●
(指輪型、腕時計型)
人間の機能モデル予測・ ●
機能変化予測
●人体機能モデルの構築
マルチメディア情報解析・診断支援技術
●カメラ、パソコン、
体温、血圧、脈拍、
心拍、心電図など
のバイタルセンサー
● は実現に最低限必要と思われる期間の目安
青字はベースになると思われる情報技術または分野
ユビキタスセンシング技術●
●マイクロ生体情報分析技術
コンテキストアウェアな各種サポート●
環境融合型人体センシング●
分散型センサ協調技術●
家庭内センシング技術とデータ連携
協調作業支援技術
●医師、看護婦のほ
か、コメディカル、ケア
マネージャ、ヘルパー、
家族を含めた協調環
境は整備されていない
コンテキストアウェアなユビキタスセンシング技術
医療知識検索支援システム
地域内データ共有環境の整備
●高齢者、障害者が
対象となることが多く
システムの煩雑さが
利用の妨げになって
いる
医療関連知識の広域連携●
(患者情報、診療情報)
医療データ表現の標準化●
医療・ヘルスケア従事者
間での医療情報・経過共有 ●
(ヘルスケア情報共有システム)
ユーザインタフェース技術
家庭内健康管理システムと遠隔医療
システムの融合 ●
家庭内健康管理システム●
作業環境の広域共有化
医療機関における患者データ
との連携インタフェース ●
高齢者・障害者を考慮したバイタル
センサ利用インタフェース ●
●センシングデータの
伝送インタフェース
医療作業環境と家庭環境のシームレスな情報共有
医療用高臨場感インタフェース●
高齢者・障害者に使いやすいインタフェース
仮想世界と現実世界の融合
●テレビ会議システム
(15フレーム/秒
ネットワーク基盤技術
640×480程度)
医療個人情報アクセス管
HPKI
●VPN
理、不正利用追跡技術●
データ内容や利用のコンテキストに応じた
●既存のアクセス管
細粒度かつ柔軟なアクセス管理 ●
●動画像高精度伝送
理技術適用
携帯電話+
(NTSCレベルの画質伝送の保証)
モバイル医療情報
プライバシ情報保護●
●電子カルテペン入 2次元バーコード技術
アクセス技術●
力、携帯端末による
アクセス
医療現場の状況に即した情報アクセス技術
医療分野 (サービス)
において
想定され
るサービ
(ユーザ)
ス
(効果)
他分野における
波及効果
小型センサによる健康管理
システムの普及による地域
内ヘルスケアシステム
(内科診療、経過観察)
人間中心コンピューティング環境 ●
(仮想・現実世界をシームレスに融合
した医療作業環境)
医療向けユビキタス・マルチモーダル
入出力インタフェース技術●
Everyday Computing/Invisible Computer
●伝送時の真正性の保証
●セキュアかつ高信頼・
高速なユビキタス
環境における医療デー
タアクセス技術
●セキュアな大規模無線
ネットワーク運用技術
患者と医療従事者中心のコンピューティング環境の確立
高信頼・高品質な大規模ユビキタスシステム基盤技術
在宅医療における広域連携、
在宅サポートの高度化(動画像、
音声を含めた診断システム)
(皮膚科、眼科、外科診療
(リハビリテーション)、精神科 など)
日常生活と医療システムの融合
による健康管理システムの構築
地域内の遠隔医療を要する
患者、老人ホーム、介護施設、
医師、看護婦、ホームヘルパー
地域内の医療従事者のほか、
専門医師、専門ヘルパー等。
健康管理を必要とするすべての
ユーザと医療従事者、行政
既存インフラを用いた効率的な
在宅医療、健康管理が可能になる
質的に高度な医療を享受できる。
地域内では困難な内科以外の
遠隔診療が可能になる。
往診とほぼ同等の医療サポート、
健康管理、行政との連携が可能に
なる
地域内の連携強化のための
情報通信インフラ(センサー、
データ伝送、インタフェース)
を提供する。
三次元動画像、音声等、高度
センシング技術の他分野(監視
等)への適用
家庭内、地域行政、その他連携
機関とのシームレスな情報共有
とサポート支援サービスが可能に
なる(例:セキュリティサービスなど)
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(2) 使用イメージ(10 年、3 年)
− ターゲット達成時に実現できる利用サービスイメージ−
家族
10年後:日常的な状況
監視、診断データ参照、
遠隔サポート
3年後:小型化されたバイタル
センサーにより外出先での緊急
状況に対処。
10年後:環境と融合したセンシ
ングにより、人体の変化を事前
に予測
外出時
家庭・老人ホーム・介護施設
診療に関する
質問・コメント
リアルタイムの
バイタルデータ
(心拍数、血圧、
体温等)
遠隔監視、
病状把握、
診断データ参照
リアルタイムのバイ
タルデータ(心拍数、
血圧、 体温等)
環境センサー(家庭
内)からの状況
緊急時のサポート
介護施設との連携
による適切な処置
3年後: 地域医療機関、行政、ヘル
スサポートと連携した健康管理
10年後:環境と融合したセンシ
ングにより、人体の変化を事前
に予測。日常生活と医療サポート
が融合。
緊急時のサポート
介護施設との連携による適切な処置
定期的診断に基づく健康アドバイス
在宅ホームドクター/次世代知的コミュニケーションネットワークの構築
技術的要件
3年後:
・バイタルセンサの小型化
・家庭内環境でのインタフェース
整備
・医療関係者、行政、患者のロール
に応じたアクセス管理技術
10年後:
地域医師、広域専門医、看護婦、ホームヘルパー、
患者、家族、行政、ケアマネージャ、コメディカル(検査
技師、薬剤師、栄養士、リバビリ士等)を含めた健康管理
のための広域ネットワークインフラストラクチャー
診断データ解析技術
(人体モデルとシミュレーション)
高精度リアルタイムセンシング技術
・人間の機能予測モデルとシミュレ
ーション
・環境融合型人体センシング
・家庭内健康管理システムと医療
システムの融合
各種臨床記録データ
電子カルテ
3年後:行政、医療サポートの連携。ヘルパー
派遣、ヘルパーの作業の効率化。その他、健
康管理に関する行政サポートの充実。
10年後: 広域連携
広域医療関係者による協調作業支援
医療(健康)監視システムと日常生活のシームレスな融合
ヘルパーからのアドバイス
ヘルパーの派遣
サポート情報
定期的な検診データ
監視すべき患者のリスト
関連事例に経験のある
専門医への照会
ヘルパーへのサポート
情報、診断結果、
医療機関の紹介
バイタルデータ
問い合わせ
専門医療機関
3年後:在宅医療の効率化。
診療負担の軽減。
10年後:広域連携による医
療の質的向上。
行政・ヘルスサポート
電子カルテシステムと連携
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地域医療機関
(3) ロードマップ 3 年後に実現できる利用サービスイメージ
黒字は想 定利用 形態、紫字 は期待 される 効果
高度医療機関または400床以上の大規模総合病院
地域医療機関
●地域医療機関との連携
→ 全体医療レベル・信頼性の向上
● 緊急医療や難度の高い治療への適切な対応
→ 医療レベルの均質化、高度化に寄与
●患者のバイタルデータの定期的 な監視、既存電子カルテ
システムとの連携
→ 在宅医療の効率化、診療の効率化
●行政、ヘルスサポート、介護との連携
→ 適切な医療・対処レベルの選択
すべての医療・福祉関連機関
・ソーシャルネットワーク構築支援
→ 医療従事者間、福祉関係者、患者間コミュニケーションを促進
・診断データ、ヘルスサ ポートの(経緯)情報の共有
→ 医療、福祉サービスの効率化
→ インフォームドコンセントの実践
行政・ヘルスサポート
家庭・老人ホーム・介護施設(または外出時)
●医療機関や各家庭と連携した行政サポート、ヘル スサポ
ートを実施する。
→ 行政サポ ートの効率化
●日常的なバイタル情報の送信
→ 医療レベルの向上
●ヘルスケア情報、心療情報の共有
→ 適切な医療、サポ ートの選択
●外出時のリアルタイムセンシング
→ 安心感、緊急時における適切な対応
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(4) 3 年後の情報技術動向マップ
診断データ解析
技術
課題
現在の技術動向(研究開発が行なわれている技術)
●データをもとにした自動的な診断は実用化されていない。
●動画像認識における診療に必要な精度保証
●連続動作、動画像の三次元識別。(遠隔リハビリテーションへ
の適用など)
●色情報、触覚等の情報伝達
●二次元動画像解析 (異常検知技術)
●各種バイタルセンサからの数値データ、動画像データ、音
●三次元形状計測・検出・識別技術
声データ等からの自動診断サポート機能の構築
●連続動作認識技術
●自動音声認識技術・高精度音声識別技術
●診断データ解釈に対する推論技術(ファジイシステム、
ニューロ等の適用)
●マルチスペクトルイメージング技術
●高齢者、障害者が不便なく使用できるデバイスの開発
生体情報センシン
●マイクロレベルのセンシング
グ技術
●場所によらないセンシングデバイス
●健康データ測定機器の小型化(指輪型、腕時計型な ●超小型・情報解析型健康データ測定機器(指輪型、腕時計
ど)
型)
●マイクロセンシング
●マイクロ生体情報分析技術
●環境状態(室温、湿度、明度、人の動きなど)のセンシ
ング
●医師、看護婦だけでなく、コメディカル、ケアマネージャ、ヘル
●医療情報記述言語の研究開発(Medical Markup
パー、家族を含めた協調環境
協調作業支援技
Language などのXML記述言語仕様)
●電子カルテデータ等医療データの標準化 (広域データ連携
術
●電子カルテデータの特定病院間連携
ができない)
●家庭内健康管理システムとの連携
ユーザインタ
フェース技術
3年後の目標
●医療データの標準化
●電子カルテデータ、診療記録などをもとにした地域内医
療、健康サポート連携
●医師、看護婦のほか、コメディカル、ケアマネージャ、ヘル
パーを含めた情報共有機能
●センシングされたデータを病院に伝送する際のインタフェース
の使い勝手。容易なデータ伝送を可能にするインタフェース、も
●医療機関とその他の施設との情報共有・連絡を支援するコ
●センシングデータの伝送インタフェース(携帯電話への
しくは自動的なデータ伝送の仕組みが必要である。
ミュニケーションインタフェース
伝送、等)
●高齢者、障害者でも容易に使える機器インタフェース(ユニ
●バイタルセンサと健康管理システム、遠隔医療システムと
●テレビ会議システムの利用
バーサルインタフェース)
の自動連携
●日常生活とシームレスな利用環境の構築
●家庭におけるブロードバンドインフラを活用した遠隔医療シス
テム
ネットワーク基盤
●伝送時の真正性の保証
技術
●医療従事者、患者、行政サポート、家族を含めた情報アクセ
ス管理とプライバシ情報保護技術
●異種システム分散ネットワーク連携
●シンクライアント端末によるネットワーク構築
●情報の分散保存管理
●認証VLAN (個人認証機能を持ったVLAN)
●生体認証
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●既存インフラ(家庭内ケーブルテレビ、ADSLなど)を活用し
た連携ネットワークの構築
●医師、看護婦、ヘルパー、患者、家族など、役割と状況に
応じたアクセス管理技術
Fly UP