Comments
Description
Transcript
第7章(PDF:1524KB)
第7章 自転車走行空間の設計 本章では、前章でネットワークに位置づけられた道路において、第4章で整理された課題を解 決するために次の視点をもとに、自転車走行空間の環境整備を行う際の設計方針を示します。ま た、歩道の有無や幅員、普通自転車歩道通行可指定の有無によって、設計方針が異なりますので、 次のとおり分類します。なお、現場条件等により、このとおり施工できない場合もあります。 《自転車走行空間の環境整備を行う際の設計方針》 ①歩道上での歩行者と自転車の分離誘導 ②歩道がない車道での自転車の安全対策、自動車への注意喚起 ③交差点部での注意喚起 ④路面の改善 《歩道幅員や自転車通行可指定の有無による主な環境整備の内容》 主要なネットワークを構成する道路 ネットワークを補完する道路 有効歩道幅員 有効歩道幅員 有効歩道幅員 3.0m以上 2.0m∼3.0m 2.0m未満 自転車通行可の指定あり 自転車通行可の指定なし 歩道がない場合 (今後指定が可能となる道路を含む) ・白線(破線)等 による通行部分 ・自転車マークの設置 ・ルール、マナーの看板設 ・注意啓発の路面表 →「7-2」参照 の明示(自転車 置 示、看板設置 →「7-3」参照 →「7-6」参照 マークの設置を ・ルール、マナーの看板 一 含む) 設置 般 →「7-1」参照 →「7-3」参照 ・路側帯の設置(路 側帯は 0.75m 以 部 上、車道幅は対面 通行の場合 4.0m ・ルール、マナー の看板設置 以上) →「7-3」参照 →「7-7」参照 ・支障となる道路付帯施設の撤去 交 ・注意啓発等の路面表示・ ・注意啓発の路面表 →「7-4」参照 差 看板設置 示、看板設置 →「7-5」参照 →「7-6」参照 点 ・注意啓発等の路面表示・看板設置 部 →「7-5」参照 ※「主要なネットワークを構成する道路」の整備は、普通自転車歩道通行可の指定を受けていることを前 提条件とします。 40 7−1.白線(破線)等による通行部分の明示 大阪府の「自転車歩行者道における自転車通行部分の明示に関する実施要領」に準拠します。 (1)明示方法 白線(破線)またはカラー舗装(平板ブロック等も含む)により明示します。なお、有効 幅員が大きい場合は、植栽帯や縁石などの構造物により物理的に分離することにより、歩行 者と自転車の通行部分を区分することを検討します。 ①白線(破線)の表示による明示 W=15cm、L=1.0m間隔による表示を標準とします。 15cm 1.0m ②カラー舗装等による明示 ①の白線(破線)により表示する場合の白線と車道との間に相当する部分をカラー舗装や 平板ブロック等により明示を行います。舗装等の色、材質については、沿道の景観、利用状 況等を考慮し決定するものとします。 (白線(破線)及び自転車マークの明示例) (カラー舗装及び自転車マークの明示例) 41 (2)歩行者・自転車通行部分の幅員構成 幅員3m以上の歩道において、民有地寄りに歩行者通行部分を2m以上、車道寄りに自転 車通行部分を1m以上確保するものとします。 (基本的な考え方) (3)道路付属施設等がある場合の有効幅員の考え方 電柱、照明灯及び標識等については、可能な限り車道寄り(民有地寄り)に設置すること とし、有効幅員を減じるものとみなしません(図) 。また、連続的に設置された防護柵や植 樹桝については、それを除いた幅員を有効幅員とします。 (図①) (図②) (4)幅員別の構成 ①有効幅員4m以下の場合 歩道通行部を2m確保し、残幅員を自転車通行部分とします。 42 (図③) ②有効幅員4m以上の場合 自転車通行部分を標準2mとし、残幅員を歩行者通行部分とします。 ただし、自転車交通量が多い箇所など地域の実情に応じ、自転車通行部分を有効幅員の半分 まで広げることを可能とします。 (5)交差点部・バス停前後の明示 交差点部やバス停のような人が溜まる場所には誘導せず、交差点隅切りまたは視覚障害者 誘導用ブロックより1∼2m程度離した位置から明示します。 ①交差点部の明示例 横断歩道部前後の明示 自転車横断帯がある場合 自転車横断帯がない場合 横断歩道がない場合 43 ②バス停の表示例 (7)部分的に幅員3mが確保されない場合 有効幅員3mが確保されない区間は、その手前のある程度離した位置から明示します。具 体的な事例を以下に示します。 ①右折レーン等により有効幅員3mが確保できない場合の明示 右折レーン等により一部有効幅員3mが確保できなくなる場合、1∼2m手前で誘導を終 えるものとします。 ②マウンドアップ歩道による車両出入口部の明示 マウンドアップ歩道の場合、乗り入れ口に勾配があり、隅切り部に段差があるため、出入 り口部直前まで誘導すると、段差による転倒の恐れがあり危険です。また、それを回避する ための歩行者通行部分への急な進入を防ぐため、車両出入り口の3∼5m程度手前で誘導を 終えるものとします。 すりつけ横断勾配 段差 44 ③地上トランス等占用物件等が設置してある場合の明示 占用物件等の直前まで誘導すると、衝突又は接触する恐れがあるため、またそれを回避す るための歩行者通行部分への急な進入を防ぐため、余裕をもって3∼5m程度手前で誘導を 終えるものとします。 45 7−2.自転車マークの設置 普通自転車歩道通行可の指定がある歩道において、自転車マークを設置します。歩道幅員が 3.0m未満の場合は、 「7−1.白線(破線)等による通行部分の明示」による自転車の通行部分 を明示することは困難ですが、自転車と歩行者をできるだけ分離誘導するとともに、自転車が通 行できる歩道であることをより明確にするため、歩道の車道よりに自転車マークを設置します。 2.0∼3.0m 自転車マーク 【自転車マーク】 自転車が通行する部分を表示するため、下記の「自転車マーク」を原則、交差点前後の歩道 の路面に表示します。マークの向きは、自転車が自転車通行部に進入する向きとします。 (※大 阪府の要領に準拠) また、自転車が放置されることを防ぐため、 「通行可」の文字を入れるとともに、矢印を表示 します。この矢印は、自転車が対向した場合に左側に避けることも意味しています。 ※このマークは法定外表示です。道路交通法に基づく法定表示は、交通管理者が別途設置し ます。 46 7−3.ルール、マナーの看板設置 (1)歩道を通行できる場合 注意・啓発看板については、基礎を含めた新規での設置はおこなわず、基本的には既存の支柱 (道路規制看板の支柱、電柱)等を利用して設置します。標示文言は、道路管理者および警察と 協議の上、決定するものとします。 写真−他市での注意・啓発看板の施行例 (既存電柱を使用) (既存標識柱を使用) (文言のイメージ) (注意・啓発看板の文言イメージ) ・自転車は車道の左側通行が原則ですが、この歩道も通行することができます。歩道では歩行 者の妨げとならないように通行しましよう 等 47 (2)歩道を通行できない場合 普通自転車歩道通行可の指定が無い場合、自転車は基本的に歩道を走行することができませ んが、道路交通法上、歩道を走行することが認められる場合もあります(※)ので、歩道側にも 注意・啓発看板を設置します。 注意・啓発看板 1.5∼2.0m 普通自転車歩道通行可の指定なし (※)普通自転車歩道通行可の指定がない歩道であっても以下の場合は歩道通行が可能です。 ・運転者が児童・幼児(13歳未満の子ども)の場合 ・運転者が70歳以上の場合 ・車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合 (注意・啓発看板の文言イメージ) ・自転車は車道を左側通行しましょう(ただし、13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者は 歩道を通行することができます。 ) ・自動車は自転車に注意 等 48 7−4.支障となる道路付属施設の撤去等について 交差点部の対策を行う場合に、支障となる道路付属施設がある場合は、撤去または移設を検 討します。 (1)横断防護柵の撤去 自転車の通行に支障となる場合は、原則撤去または移設を行います。自転車の通行に支障 がない部分は、交差点での事故防止の観点から切り下げは行いません。 (2)点字ブロックの撤去 交通管理者が設置する自転車横断帯及び横断歩道帯の設置位置により、視覚障害者誘導ブ ロックや縁石等の撤去等が必要となった場合、交通管理者と協議の上、適宜撤去等改修しま す。 (3)歩道縁石の切り下げ 自転車の通行に支障となる場合は、原則切り下げを行います。自転車横断帯を設置する部 分は切り下げ、撤去しますが、自転車の通行に支障がない部分は、交差点での事故防止の観 点から切り下げは行いません。 (4)車止めの撤去 自転車通行部分の明示により、車止めが自転車の通行の支障となる場合は、バリアフリー の観点からも、原則撤去または移設を検討します。やむを得ず撤去できず、既存の設置位置 が自転車通行部分に位置する場合等は、ライン上に移設するなど自転車の通行に支障がない 位置へ移設します。なお、車止めには弾性タイプの製品の使用による衝突時の衝突緩和や、 反射テープ等による衝突防止に配慮するほか、視覚障害者誘導ブロックを設置します。 49 7−5.交差点部における路面表示、看板の設置 (1)普通自転車歩道通行可の指定がある場合 見通しの悪い交差点で出会頭の事故が予測される箇所には、主道路の歩道上に「飛び出し 注意」の路面表示を行うとともに、従道路に「自転車止まれ」の路面表示及び注意・啓発看 板を取り付けます。 注意・啓発看板 路面表示 路面表示 路面表示 (2)普通自転車歩道通行可の指定がない場合 普通自転車歩道通行可の指定が無い場合、自転車は基本的に歩道を走行することができま せんが、道路交通法上、13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者は歩道を走行することが 認められていますので、歩道側にも注意・啓発看板を設置し、見通しの悪い交差点で出会頭 の事故が予測される箇所には、従道路に「自転車止まれ」の路面表示及び注意・啓発看板を 取り付けます。 普通自転車歩道通行可の指定なし 注意・啓発看板 路面表示 路面表示 7−3(2)の注意・啓発看板 50 路面表示 【自転車とまれマーク】 見通しの悪い交差点で出会頭の事故が予測される箇所の従道路に「自転車とまれ」の路面 表示を行います。また、交差点部の場合には T 字マークと併用します。ただし、既に「とま れ」の規制表示があるところについては表示しません。 【飛び出し注意マーク】 見通しの悪い交差点で出会頭の事故が予測される箇所の主道路の歩道上に「飛び出し注意」 の路面表示を行います。 写真−市内での注意・啓発看板の例 (既存標識柱を使用) 51 7−6.歩道がない道路における路面表示・看板の設置 歩道がない歩車共存道路では、ネットワーク路線であることが明確にできるように、起終 点や主要な交差点などの一定の間隔でカラー舗装の帯を引き「自転車歩行者多い 注意徐 行」の路面表示を行います。また必要に応じて通行者の妨げにならないように、既設支柱等 (規制看板、電柱)を利用して注意・啓発看板を設置します。 (一般部) 路面表示 カラー舗装 起終点部 注意・啓発看板 (交差点部) 出会頭の事故が予測される箇所には、交差点部をカラー舗装にし、中央にT字マークを付 けます。また、従道路の一旦停止の規制がない箇所については、 「自転車止まれ」の路面表 示、注意看板を取り付けます。 注意・啓発看板 T字マーク 路面表示 カラー舗装 52 【自転車歩行者多い 注意徐行】 歩道がない道路において、ドライバーへの注意喚起を行うため、路線の起終点の路面に「自 転車歩行者多い 注意徐行」の路面表示を行います。 (注意・啓発看板の文言イメージ) ・自転車は左側通行しましょう ・自転車歩行者は自動車に注意 ・自動車はゆっくり走行しましょう 等 53 7−7.路側帯の設置 車道幅員を最低 4.0m確保したうえで、路側帯として 0.75m以上を確保できる場合は、路 側線を引きます。路側帯についてはできるかぎりカラー舗装とします。路線の起終点に「自 転車歩行者多い 注意徐行」の路面表示を行い、必要に応じて既設支柱等(規制看板、電柱) を利用して注意・啓発看板を設置します。 0.75m 以上 0.75m 以上 カラー舗装 4.0m 注意・啓発看板 路面表示 (注意・啓発看板の文言イメージ) ・自転車は左側通行しましょう ・自転車歩行者は自動車に注意 ・自動車はゆっくり走行しましょう 等 写真−市内での路側帯設置の例 54 7−8.まとめ(路線毎の整備内容) これまでに整理したネットワーク化、走行空間の整備方法の考え方に基づき、市内の路線毎に 具体的な整備内容を示します。 ただし、この整備内容は一定区間の代表的な一例であるため、実施に際しては、現地の状況、 沿道住民の理解や警察署等関係機関との協議調整により、整備内容を決定します。 道路の種類 特 徴 対 有効歩道幅員3.0m以上 路 線 整備区分 国道423号 A 市道萱野東西線 府道箕面池田線 有 効 歩 道 幅 員 2 . 0 m 以 上 市道中央線 市道小野原豊中線 3.0m未満 B 他 市道豊川住宅線 有効歩道幅員2.0m未満 市道阪急箕面東住宅2 C 号線 歩 道 の な い 道 路 ネットワークを補完する道路 歩 道 の あ る 道 路 主 要 なネ ッ トワ ー ク を構成する道路 有効歩道幅員3.0m以上 象 道路幅員5.5m以上で路側 市道新家奥線 帯を設けることが可能な場 市道稲野上野線 合(片側に歩道がある場合 市道箕面団地南線 も含む) 市道箕面今宮線 D 他 市道牧落萱野線 道路幅員5.5m未満 市道西宿小野原線 市道瀬川牧落線 E 他 (注:「歩道のない道路」には、一部で歩道がある箇所も含みます。 ) 55 図7−1 対 象 路 線 56 具体的な整備内容 図7−2 B 有効歩道幅員 2.0m 以上 3.0m 未満 A 有効歩道幅員 3.0m 以上 自転車が通行できる広い歩道では、歩行者との輻輳を 自転車が通行できる歩道では、歩行者との輻輳を防ぐ 防ぐために、区画線と路面表示(自転車マーク)によ ために、路面表示(自転車マーク)により、自転車は り、歩行者と自転車を分離誘導する。 歩道上の車道寄りを走行するよう誘導する。 区画線 自転車マーク 注意・啓発看板 自転車マーク 自転車の歩道走行にあたって 注意・啓発看板 自転車の歩道走行にあたって 歩行者への注意喚起を促す。 C 有効歩道幅員 2.0m 未満 E 道路幅員 5.5m 未満 D 道路幅員 5.5m 以上(路側帯設置可) 自転車が通行できない歩道では、車道 歩道がない道路では、路面表示(注意徐行) の通行を誘導するとともに、ドライバ ーに注意喚起を促す。 歩行者への注意喚起を促す。 見通しの悪い交差点での出 によりドライバーへの注意喚起を促すとと 会頭の事故を防ぐために注 もに、注意啓発看板により自転車、歩行者へ 意喚起を促す。 の注意喚起を促す。 見通しの悪い交差点での出 歩道がない道路では、路面表示(注意徐行) 見通しの悪い交差点での出 会頭の事故を防ぐために注 によりドライバーへの注意喚起を促すとと 会頭の事故を防ぐために注 意喚起を促す。 もに、注意啓発看板により自転車、歩行者へ 意喚起を促す。 の注意喚起を促す。 注意・啓発看板 注意・啓発看板 注意・啓発看板 路面表示 0.75m 以上 路面表示 注意・啓発看板 路面表示 路面表示 4.0m カラー舗装 0.75m 以上 路面表示 路側線 T字マーク (注意・啓発看板の文言イメージ) ・自転車は車道を左側通行しましょう(ただし、13 歳未満の子どもや70歳以上の高齢者は歩道を通 行することができます。) ・自動車は自転車に注意 等 (注意・啓発看板の文言イメージ) カラー舗装 T字マーク カラー舗装(一定間隔ごと) (注意・啓発看板の文言イメージ) ・自転車は左側通行しましょう ・自転車は左側通行しましょう ・自転車歩行者は自動車に注意 ・自転車歩行者は自動車に注意 ・自動車はゆっくり走行しましょう 等 ・自動車はゆっくり走行しましょう 等 56 57