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第 54 回 NMR 討論論会
チュートリアルコース
NMR 教科書のここがよく分からない
平成 27 年年 11 ⽉月 5 ⽇日
13:00~∼14:30
ご静聴をどうもありがとうございました。これ
が当⽇日の講演で使わせていただきましたスライ
ドです。どうぞよろしくお願いいたします。
千葉葉⼯工業⼤大学 津⽥田沼キャンパス
4号館431講義室
(横浜市⽴立立⼤大学)池上貴久
フーリエ変換とは?初学者は講義や教科書を通して NMR を学ん
でいきますが、そこに書かれた何気ない記述でつまづいてしまう
ことが多いです。例例えば「溶液 NMR では、分⼦子の回転拡散によ
りこのような dipolar 相互作⽤用が平均化されて、ピークがシャー
プになる」などの記述です。「拡散がなぜ回転するの?平均化と
は?なぜシャープになるの?product-‐‑‒operator のプロダクト
(直積)って何?」このような疑問が学習の進⾏行行をそこで妨げて
いるかもしれません。⼀一⽅方、熟練者の中にも、分からないままに
放置して⻑⾧長い時を経てしまい、ある時に逆に初⼼心者から尋ねられ
て ド キ ッ と す る ⽅方 が い る か も し れ ま せ ん 。 あ る い は、
「(3*cos2(Θ)-‐‑‒1) を積分したら0になるでしょ」のような説明
で済ましてしまっているかもしれません。今回はこのようなよく
分からない教科書の記述を何点か採り上げ、これらをいつものよ
うに図で理理解することを⽬目指したいと思います。
(前略略)分⼦子の熱運動が⼤大きければ当然核間の
双極⼦子双極⼦子相互作⽤用は平均化され、線幅の減
少をもたらすことになる。
「核磁気共鳴の基礎と原理理」(北北丸⻯竜三著)
『共⽴立立出版』p. 135
重⼒力力(万有引⼒力力の法則):距離離の 逆2乗
F =G
M ⋅m
r2
静電気⼒力力に関するクーロンの法則:距離離の 逆2乗
1 q1 ⋅ q2
F=
4πε 0 r 2
磁気双極⼦子間相互作⽤用:距離離の 逆3乗
1 Qm ⋅ qm
F=
4πµ 0 r 2
もし、モノポール(単極⼦子)があれば
π r2
双曲⼦子双曲⼦子相互作⽤用のハミルトニアン
γ Iγ S  2
Hd =
(A + B + C + D + E + F)
3
r
A = I Z SZ (1− 3cos2 θ )
1 + − − +
I S + I S ) (1− 3cos2 θ )
(
4
3
C = − ( I + SZ + I Z S + ) sin θ cosθ exp (−iϕ )
2
3
D = − ( I − SZ + I Z S − ) sin θ cosθ exp (+iϕ )
2
3
E = − I + S + sin 2 θ exp (−2iϕ )
4
3
F = − I − S − sin 2 θ exp (+2iϕ )
4
! ! ! !
γ Iγ S ! 2 # ! !
%
Hd =
I
⋅
S
−
3
I
⋅
e
S
⋅
e
(
)
r
r
&
r3 $
(
)
B=−
磁気双極⼦子間相互作⽤用:距離離の 逆3乗 に⽐比例例
1H スピンが α 状態のときの 13C スペクトル
B0
13Cx
1Hα-13Cβ
1Hα
ω13C
1Hα-13Cα
1Hα-13Cβ
1Hα
13Cx
1Hα-13Cα
ω13C
B0
1H スピンが β 状態のときの 13C スペクトル
1Hβ-13Cβ
13Cx
1Hβ
1Hβ-13Cα
ω13C
1Hβ-13Cβ
1Hβ-13Cα
1Hβ
13Cx
ω13C
B0
双極⼦子双極⼦子相互作⽤用 Dipole-‐‑‒dipole coupling
1Hα
1Hβ-13Cβ
13Cx
1Hβ
1Hα-13Cβ
1Hα
1Hβ-13Cα
ω13C
1Hα-13Cα
1Hβ-13Cβ
1Hβ
1Hα
1Hα-13Cβ
1Hβ-13Cα
1Hα
13Cx
1Hα-13Cα
ω13C
分⼦子の回転運動により⼤大きな分裂裂が平均化される。
分⼦子の回転運動の速さの分布
分⼦子が⼤大きくなるほど回転
運動が遅くなり分裂裂が平均
化されにくくなる。
⾼高分⼦子
J (ω )
中分⼦子
τc
=
1+ ω 2τ c2
低分⼦子
€
ω0
遅い回転
横緩和
ω0 で回転
縦緩和
低分⼦子
↓
↓ 遅い
↓
↓ 遅い
⾼高分⼦子
↑
↑ 速い
↓
↓ 遅い
「核磁気共鳴の基礎と原理理」(北北丸⻯竜三著)
『共⽴立立出版』p. 135
(前略略)分⼦子の熱運動が⼤大きければ当然核間の
双極⼦子双極⼦子相互作⽤用は平均化され、線幅の減
少をもたらすことになる。
では、うまく「平均化」できなかった場合にはどうなるの
かな?「残余双極⼦子間相互作⽤用」という単語は、いかにも
双極⼦子間相互作⽤用が平均化されきれず、ちょっと消え残っ
たかのように聞こえる。
"These motions are, however, not completely free as in a
normal isotropic liquid, but restricted by the surrounding
structure of the liquid crystal. The degree of ordering that
results for the solute is relatively low, but it is sufficient to
induce dipole-dipole coupling between protons when the
n.m.r. spectrum of a compound is measured in such an
anisotropic environment. Intermolecular interactions, on the
other hand, are precluded as before because of the diffusion of
the solute molecules through the solvent. They are
encountered only in true solids. The dipolar interaction
between the nuclear spins leads now to an additional line
splitting in the spectrum."(残余双極⼦子相互作⽤用)
原著 Kernresonanz-Spektroskopie von paramagnetischen Stoffen in NMRSpektroscopie: Grundlagen, Konzepte und Anwendungen der Protonen und
Kohlenstoff-13 Kernresonanz-Spektroscopie in der Chemie. by Harald Günther
(Georg Thieme Verlag Stuttgart 1992 & Wiley 1995)
ほんのちょっとだけ残る dipolar coupling
B0
13C
分⼦子が配向していない時
1Hα
2π sinθ
dθ
θ
1Hβ
2
(
3
cos
θ − 1)(sin θ )dθ = 0
∫
1H
積分値が0となり
RDC は観えない。
分⼦子が配向している時
θ
1H
Ω13C
1Hβ
1Hα
2
(
3
cos
θ − 1)(sin θ )dθ ≠ 0
∫
積分値が0とはならず
RDC が観える。
Ω13C
静磁場中での液晶の配向
CHAPSO
bicelle
50 Å
500 Å
B0
B0
双極⼦子双極⼦子相互作⽤用
1H
15N
異異⽅方的溶媒(配向)
等⽅方的溶媒
JAB+DAB
JAB
1H 化学シフト値 (ppm)
15N 化学シフト値 (ppm)
x
{ 99.95% 溶液 + 0.05% 固体 } NMR
Iα
Iβ
分⼦子が⽌止まっている時。
100% 配向
例例:1H-‐‑‒13C 46,000 Hz
分⼦子が静磁場⽅方向に対してほん
の少しだけ配向している時。
0.05% 配向
例例:1H-‐‑‒13C 23 Hz
分⼦子が静磁場⽅方向とは無関係
に均等に回っている時。
0% 配向
例例:1H-‐‑‒13C 0 Hz
双曲⼦子双曲⼦子相互作⽤用のハミルトニアン
γ Iγ S  2
同種核の split = 1.5 * 異異種核の split
Hd =
(A + B + C + D + E + F)
3
r
A = I Z SZ (1− 3cos2 θ )
異異種核 同種核
RDC:ピーク位置
1 + − − +
2
B = − ( I S + I S ) (1− 3cos θ ) 同種核
4
3
C = − ( I + SZ + I Z S + ) sin θ cosθ exp (−iϕ )
2
横緩和:ピークの線幅
3
D = − ( I − SZ + I Z S − ) sin θ cosθ exp (+iϕ )
2
3
E = − I + S + sin 2 θ exp (−2iϕ )
4
3
F = − I − S − sin 2 θ exp (+2iϕ )
4
I の z 成分が S の(位置での)z 成分におよぼす項
I の z 成分が S の(位置での)x,y 成分におよぼす項
I の x,y 成分が S の(位置での)z 成分におよぼす項
I の x,y 成分が S の(位置での)x,y 成分におよぼす項
p. 157 磁気共鳴 – NMR –核スピンの分光学-‐‑‒ (⽵竹腰清乃理理 著)
B0
RDC のようにピークの共鳴位置を論論じる
時は、局所磁場の Bo ⽅方向成分のみ有効
Sx
Iβ
Iα
Iα
Ωs
相互作⽤用の主軸が magic-‐‑‒⾓角に固定されている時
13Cx
(1, 1, 1)
1Hα
2
3cos ( 54.7356 ) −1 = 0
(0, 0, 0)
相互作⽤用の主軸が 360 度度まんべんなく動いている時
2
(
3
cos
θ − 1)(sin θ )dθ = 0
∫
相互作⽤用の主軸を magic-‐‑‒⾓角を軸に回した時
溶液 NMR の緩和機構でもう⼀一つ教科書によく
出てくるのが「化学シフトの異異⽅方性」...
そういえば「残余化学シフト異異⽅方性 RCSA」
というのもあったような。
これも(3cos2θ-‐‑‒1)に取り憑かれていたかも。
B0
化学シフトの異異⽅方性 Chemical-‐‑‒shift-‐‑‒anisotropy
1Hβ-13Cβ
σ ZZ
13C
1Hα-13Cβ
1Hβ-13Cα
σ XX (θ = 90)
Ω13C
1Hα-13Cα
B0
ββ
σ XX
αβ
13C
σ ZZ (θ = 0)
βα
Ω13C
αα
CSA による横緩和は 静磁場の⼆二乗で速くなる
横緩和速度
R2CSA (1/sec)
τc (ns)
磁場強度 (MHz)
回転相関時間
CSA
2
R
(σ − σ ⊥ )
= II
J (ω ) =
2
18
γ I2 B02
{4J (0) + 3J (ω I )}
2 τc
5 1+ ω 2τ c2
Trosy 効果、方向情報など
positive な面を逆に利用する。
13Co
化学シフトの異方性のみ考慮
δ xx = −115.6 ppm, δ yy = −48.6 ppm, δzz = 40.6 ppm
「化学シフトの異異⽅方性」
と
「双極⼦子間相互作⽤用」
の⼆二つが出揃ってしまったら、
もうこれを出さないわけにはいかない。
TROSY パルス系列列による⾼高分⼦子量量への挑戦
⼆二次元 1H-‐‑‒15N 相関スペクトル
15N 化学シフト値 (ppm)
1J
HN 1J
HN 800 kDa ⾼高分⼦子量量でも観測可
1 GHz NMR が理理想的
1H 化学シフト値 (ppm)
1J
HN アミド基、メチル基、芳⾹香環に適⽤用可
H
H
N Cα Co N Cα
H
Co N
双極⼦子間相互作⽤用 & 化学シフトの異異⽅方性
B0
ββ
S
Iα
αβ
βα
Iα
Ωs
αα
ββ
遮蔽が小さい
S
σ XX
αβ
βα
σ XX (θ = 90°)
αα
Ωs
分⼦子が 90°回転して I-‐‑‒S 結合が横を向くと …
B0
ββ
Iα
αβ
βα
Iα
S
Ωs
αα
J ではなく dd
ββ
遮蔽が大きい
S
σ ZZ (θ = 0 )
σ ZZ
αβ
βα
Ωs
αα
I スピンが β 状態にあると …
B0
ββ
Sx
Iβ
αβ
βα
Iβ
Ωs
αα
TROSY-peak
ββ
σ XX
遮蔽が小さい
S
αβ
βα
σ XX (θ = 90°)
αα
Ωs
S スピンの CSA は I スピンが α 状態にあるか β 状態にあるかに依らない。
分⼦子が 90° 回転して I-‐‑‒S 結合が横を向くと …
B0
ββ
Iβ
αβ
βα
Iβ
S
Ωs
αα
S
σ ZZ (θ = 0 )
TROSY-peak
ββ
遮蔽が大きい
σ ZZ
αβ
βα
αα
Ωs
15N-1H
の DD/CSA TROSY 効果は静磁場強度 B0 に依存する
45 40 [
R2 (CSA) − R2 (DD )
]
2
化学シフトの異方性2
30 25 TROSY
系列2 R2(CSA) 15N
系列3 R2(DD) 15N-1HN
双極子双極子相互作用2
系列1 20 15 10 5 0 双極子双極子相互作用 × 化学シフトの異方性
200 250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 850 900 950 1000 1050 1100 1150 1200 1250 1300 1350 1400 1450 1500 緩和速度 (1/sec)
35 TROSY ≈
1H
τr = 20 ns (~50 kDa), θcsa-dd = 15°
核の共鳴周波数 (MHz) TROSY ≈
[
R2 (CSA) ± R2 (DD )
]
2
= ( R2 (CSA)) 2 + ( R2 (DD )) 2 ± 2 R2 (CSA) ⋅ R2 (DD )
化学シフトの異方性2
自己相関 自己緩和
静磁場の2乗に比例する。
双極子双極子相互作用2
距離の6乗に反比例する。
自己相関 自己緩和
(注)NOE は Iz と Sz の間の
⾃自⼰己相関 交差緩和
双極子双極子相互作用 × 化学シフトの異方性 交差相関 自己緩和
静磁場の1乗に比例する。
距離の3乗に反比例する。
双極子双極子相互作用(RDC など)
距離の3乗に反比例する。
(注)CRIPT は Ix と IxSz の間の
交差相関 交差緩和
TROSY の原理理が交差相関緩和である
ことは分かったけれど、あのパルスプ
ログラム ... product-‐‑‒operator で追
いかけていくとスパゲッティになるん
ですよね。
J-‐‑‒カップリングによる展開(1/(4J))
*
化学シフトによる展開
を無視するとする。
y
x
S
t1
Sα
yI
I は右回り
yS
xS
xI
t2
I
Sβ
I は左回り
I と S の同時反転
*
y
t2
I
x
S
t1
I は右回り
yI
yS
xS
xI
I は左回り
J-‐‑‒カップリングによるさらなる展開(1/(4J))
2IxSz
anti-‐‑‒phase
I
*y
x
S
t2
t1
I は右回り
yI
yS
xS
xI
2Sz = (Sα-‐‑‒Sβ)
I は左回り
磁化移動のど真ん中
y*
2IzSz
two-‐‑‒spin order
zI
t2
I
x
S
t1
zS
yI
xI
yS
xS
I の⼆二重線のうち⼀一⽅方だけを反転させたのに等しい
S のスピン状態に選択的に I を反転 Spin-‐‑‒State-‐‑‒Selective inversion
I- Sβ
I- Sα
TROSY パルス系列列における
スピン状態選択的磁化移動
Iβ S± グループとして特殊な π-‐‑‒パルス
y 1/4J y t2 1H Iα S± y t1 15N an@-­‐echo
ββ
ββ
Iβ S- αβ
βα
I- SI- S+
βα
αβ
Iα S+ αα
ββ
αα
echo
I- Sβ
βα
αβ
I- Sα
αα
昔は 1H-‐‑‒15N TROSY が隆盛を誇っていた
けれど、最近はなにやら「メチル TROSY」というのも出てきたね。
これも同じ原理理(交差相関緩和)でいいの
かな?
Cross correlation in MQ {1H-‐‑‒13C} .... (1)
B0
13Cx
1H:α
12C
13C
1Hα
1Hα
1Hβ
1H
Ω13C
メチル基が⾼高速回転すると 1H はあたかも同じ位置にある様
13Cx
1H:β
12C
1Hβ
13C
1Hβ
1H
1Hα
Ω13C
Cross correlation in MQ {1H-‐‑‒13C} .... (2)
B0
分⼦子が 90° 向きを変えた場合でも⼆二つの局所磁場は常に打ち消し合う
1H:α
12C
13C
1Hα
1Hα
1H
13Cx
1Hβ
12C
1Hβ
1Hβ
13Cx
Ω13C
1H:β
13C
1Hα
1H
Ω13C
Cross correlation in MQ {1H-‐‑‒13C} .... (3)
B0
メチル基の残る⼆二つの 1H が同じスピン状態だと打ち消し合わない
13Cx
1H:α
12C
13C
1Hα
1Hα
1H
1Hα
Ω13C
13Cx
1H:α
12C
1Hα
13C
1H
1Hα
1Hα
Ω13C
Cross correlation in MQ {1H-‐‑‒13C} .... (4)
B0
分⼦子が 90° 回転するたびにピークが逆側に振れる
12C
13C
1Hα
1Hα
1H
13Cx
1Hα
12C
1Hα
1Hα
13Cx
1H:α
Ω13C
1H:α
13C
1Hα
1H
Ω13C
メチル基の回転により同じ 1H が再び戻ってきた時は⾃自⼰己相関
1H
13C
1J
1H-13C
1
2J
t1
1H π パルスによって
1J
1H-13C
1H:αβ,
1H:αα
1
2J
スピン状態が替わる
βα
1H:ββ
αβ → βα
βα → αβ
αα → ββ
ββ → αα
Ω13C
Cross correlation in SQ {13C}
局所磁場は完全には打ち消し合わない
B0
1H 90°パルスがスピン状態をごちゃ混ぜにしてしまう
12C
13C
1Hα
1Hα
13Cx
1Hβ
1Hα
1Hβ
1Hα
13Cx
13Cx
TROSY ≈
[
R2 (DD1) ± R2 (DD 2 )
]
2
= ( R2 (DD1)) 2 + ( R2 (DD 2 )) 2 ± 2 R2 (DD1) ⋅ R2 (DD 2 )
双極子双極子相互作用2
自己相関 自己緩和
双極子双極子相互作用1 ×双極子双極子相互作用2
交差相関 自己緩和
(注)Ix と IxIzIz の間の交差相関 交差緩和を
利利⽤用したダイナミクス検出法もある。
メチル HMQC-‐‑‒TROSY はすこぶるややこし
かったけれど、そもそもどうして多量量⼦子コ
ヒーレンスは直接観測できないのだろう?
13C/15N/2H 90° パルス幅の決定
13C-1H
3-OH
メタノール
15N-尿素
in d-DMSO
-Iy
1H
1
2J
θ
15N/13C
€
2IxSz
θ = 0º
-IxSβ
IxSα
-2IxSy
zI
2
1 2
I
yI
-Iy
xI
3
1
2J
S
-IxSβ
3 4
zS
€
Sα
2IxSz
-Iyはなし
yS
xS
Sβ
IxSα
4
-yI
I
直線のまま回転する
-2IxSy
Ix = 1/2 ( I+ + I- )
Sy = 1/2i ( S+ - S- )
2IxSy = 1/2i ( I+S+- I-S- - I+S-+ I-S+ )
S
yS
HMQC はパルスの数が少なくて簡単そうに
⾒見見えるのだけれど、どうも⽔水が消えない。そ
れに 13C-‐‑‒natural abundance だとどうして
も gradient-‐‑‒echo を⼊入れないといけない。
しかし、あの gradient の⼤大きさはどうやっ
て計算するのかな?
傾斜磁場勾配パルス -­‐-­‐-­‐ pulsed field gradient -­‐-­‐-­‐ t
φ ( t ) = γB0 t + γ ∫ 0 G(τ )z(τ ) dτ
Z ⽅方向沿いのパルス -‐‑‒ gradient -‐‑‒
3 ΔG
+3 ΔG
+2 ΔG
+1 ΔG
0
-1 ΔG
-2 ΔG
-3 ΔG
0
追加した磁場強度度
-2 ΔG
(例例) 傾斜磁場勾配(gradient)パルスをかける
30 G/cm for 1 ms (矩形波パルス)
30 G = 0.003 T
0.003 T * (100 MHz / 2.34866 T) = 0.1277 MHz (1H)
0.1277 MHz * 1 ms = 128 回転 (/cm)
1 ミリ秒後には、試料料管の上下 1cm の間で、
128 回転の差が出来ている。
+64 回転
Gr 30 G/cm 1 ms 1 cm 0 回転
-64 回転
Gradientecho (1)
I
1 2
3
4
5
δ
δ
Gr
2
3
遅い
速い
実際は揃っているとする
試料料管を縦に通してみると、
同じ共鳴の磁化でも扇のよ
うに広がって⾒見見える。
Gradientecho (2)
I
1 2
3
4 5
δ
6
δ
Gr
4
扇の広がり度度合いは固定したまま
化学シフトで展開する。
5
反転する。
Gradientecho (3)
I
1 2
3
4 5
δ
6
7
8
δ
Gr
7
6
遅い
速い
扇の広がり程度度は固定したまま
化学シフトで展開する。
扇の広がりが閉じる。
I
Gradientecho (4)
1 2
3
δ
4 5
6
7
8
δ
Gr
8
y x 磁化が揃ったまま +y ⽅方向に⾏行行き着く。
δ の中のどの時間に
Gr を打ってもよい。
Echo/anti-‐‑‒echo gradient selection in HMQC
I-‐‑‒
I-‐‑‒
S+
S-‐‑‒
+80
I-‐‑‒
-‐‑‒80 +40.2
Bruker pulse program catalogue
1H:
42.577 MHz/T (1.0)
13C: 10.705 MHz/T (0.2514)
+80*(-1+0.2514)
-80*(-1-0.2514)
+40.2*(-1)
=0
Echo/anti-‐‑‒echo gradient selection in HMQC
I-‐‑‒
I-‐‑‒
S-‐‑‒
S+
+80
I-‐‑‒
-‐‑‒80 +40.2
Bruker pulse program catalogue
+80*(-1-0.2514)
-80*(-1+0.2514)
+40.2*(-1)
= -80.4
⿊黒のグラジエントに
逆転させると
-80*(-1-0.2514)
+80*(-1+0.2514)
+40.2*(-1)
= 0.0
そういえば、測定後のプロセスの仕⽅方につ
いては今⽇日は何も出てこなかったなあ〜~。
フーリエ変換
S (ω ) =
∞
∫ S(t ) exp(−iωt )dt
−∞
1768-‐‑‒1830 フランスの数学、物理理学者
1789年年 フランス⾰革命に遭遇
ナポレオンに随⾏行行してエジプトに遠征
ロゼッタ・ストーンを発⾒見見
FID をフーリエ変換すると NMR スペクトルになる
FID
(時間軸データ)
フーリエ変換後
スペクトル
(周波数軸データ)
1H スピンの回転速度度を表す
30
25
20
15
10
スピン
-0.5
0.5
1.0
5
500MHz NMR
毎秒5億回転
4.0
電⼦子 -
N
3.5
3.0
2.5
原⼦子核 +
1H
2.0
1.5
1H
1.0
S
0.5
2
4
6
8
10
12
14
FID
7
8
6
6
5
1
ωt
4
8
5
4
3
1
t
Sin 曲線
3
1
3
2
y
1
2
2
x
7
4
Cos 曲線
5
6
7
8
1
t
回転は(振動する) cos, sin 曲線で
表すことができる
1秒間に 30 周回転したとすると
1 秒
30 Hz
フーリエ変換
1秒間に 10 回転していたら ….
1秒
10 Hz の位置にピークが出た。
もう⼀一つ、1秒間に 30 回、しかも、逆向きに回転していたら ….
何が混ざっているのか⼀一⾒見見分からない …
10 Hz と -‐‑‒30Hz の位置にピークが出た。
周波数だけでなく、⼤大きさまで、きっちりと分けれた!
∞
∞
−∞
−∞
S (ω ) = ∫ S (t )exp(− iωt )dt =∫ S (t ){cos(ωt ) − i sin(ωt )}dt
では、試しに cos (40 * t) を掛けてみよう。
端から端まで⾜足し合わせると0になるから、40 Hz は間違いのようだ。
今度度は、もう少し実際の振動に近そうな cos (10 * t) を掛けてみよう。
端から端まで足し合わせても0ではないから、10 Hz が正しいようだ。
では、cos (11 * t) を掛けたら、どうなるのだろう?
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
微妙 … 完全には0にならないようだ。
1.5
1.0
0.5
2
4
6
8
10
12
14
Window 関数の適⽤用
FID の右端に値が残っていると …
フーリエ変換後に wiggle (波)が出てしまう。
FID の右端が0になるように整形すると …
exp(−3.0t )
€
フーリエ変換後に wiggle (波)は消える。
FID の長さを半分にして、同じ window をかけると …
exp(−3.0t )
€
再び wiggle (波)が出てしまう。
最後は、やはりこの図で締めくくり。
電子スピン µ1 により生じた双極子磁場 により
核スピン µ2 が影響を受ける。
核スピンの横緩和にもっとも 影響を与える双極子磁場
∝ µ1µ 2
2
3cos
θ −1)
(
3
r
θ µ2 N µ1 S 分子の回転により、双極子磁場の向きと大きさが変化する。
B0
遷移⾦金金属などによる常磁性緩和
µn 北北極 & 南極
核スピンの位置に作ら
れる双極⼦子磁場を全て
合計すると 0
µe ωn
⾚赤道上
µe 分⼦子の回転によって PRE 緩和は起こるが、
核の化学シフトの平均
値は影響を受けない。
µn ωn
分⼦子が回転しても電⼦子スピンの磁化 µe の⼤大きさが同じ場合
双極⼦子双極⼦子相互作⽤用 Dipole-‐‑‒dipole coupling
電⼦子の緩和が遅い場合(Gd3+, Mn2+)
B0
ββ
eα
Sx
eβ
αβ
βα
eα
ωs
αα
ββ
eβ
eα
αβ
eα
βα
Sx
αα
ωs
分⼦子の回転運動により⼤大きな splitting が平均化される。
双極⼦子双極⼦子相互作⽤用 Dipole-‐‑‒dipole coupling
電⼦子の縦緩和が速い場合(Ni2+)
B0
eα
Sx
eα
eβ
ββ
ωs
αβ
βα
Sx
αα
eβ
ωs
電⼦子の縦緩和により⼤大きな splitting が平均化される。
これの J-‐‑‒coupling 版が、2H-‐‑‒13C における第⼆二種のスカラー緩和
Lanthanide ions ランタノイド金属
f-block transition elements
6s 5p 5s 4f 4d no PCS
4f Eu2+ , Gd3+
4f 4f Yb3+
57 La
58 Ce
59 Pr
60 Nd
61 Pm
62 Sm
63 Eu
64 Gd
65 Tb
66 Dy
67 Ho
68 Eu
69 Tm
70 Yb
71 Lu
4f 5d 6s
0 1 2
1 1 2
3 0 2
4 0 2
5 0 2
6 0 2
7 0 2
7 1 2
9 0 2
10 0 2
11 0 2
12 0 2
13 0 2
14 0 2
14 1 2
B0
分⼦子の回転に伴って電⼦子スピンの磁化 µe の⼤大きさが変わる場合
µn 双極⼦子双極⼦子相互作⽤用
が核スピンの位置に作
る双極⼦子磁場を全て合
計しても 0 にならない。
µe ωn
µe (距離離)の3乗に反⽐比
例例して、核の共鳴値の
平均値が変わる。
µn ωn
静磁場中での分⼦子の⽅方向によってエネルギーの⼤大きさが変わる
E ΔE = µB ge Bo ΔE = µB gzz Bo ΔE = µB gkk Bo Bo 1
gzz
γ  = ge µ B
projec@on onto B0 €
€
1
gxx
Bo isotropic g tensor €
€! ! ! !
γ Iγ S ! 2 # ! !
Hd =
I ⋅ S − 3 ( I ⋅ er ) S ⋅ er %&
3
$
r
(
)
1
gyy
€
1
gxx
1
gkk
€
1
gzz
1
gyy
gkk2€ = gxx2 cos2α + gyy2 cos2β + gzz2 cos2γ
€
B0
Curie-spin relaxation
電子の緩和が速い場合
ββ
Sx
eα
αβ
eβ
βα
eα
ωs
αα
α 状態 > β 状態
ββ
eα
αβ
eα
βα
eβ
Sx
αα
ωs
分子の回転に依って平均化される。
キュリースピン緩和 Curie-spin relaxation
B0
Sx
β
北極 & 南極
eα + eβ
α
Ωs
赤道上
ボルツマン分布による
エネルギーレベルの差
β
eα + eβ
α
Ωs
分子の回転に依って平均化される。
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