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大成建設 CSR 報告書 2007

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大成建設 CSR 報告書 2007
大成建設 CSR 報告書 2007
会社概要
■ 大成建設の歩み
1873(明 治6)年の創業以来、日本 の 近 代 化と発 展を支え
商 号
大成建設株式会社
(英文名 TAISEI CORPORATION)
つづけてきました。高度な技術力、そして熱い使命感をもって、
社会資産づくりの重責を担ってまいります。
設 立
1917(大正6)年12月28日
資本金
1,124億円(2007年3月31日現在)
1873
明治 6年
本 店
東京都新宿区西新宿一丁目25番1号
新宿センタービル
電話:03(3348)1111(大代表)
1882
明治15年
1883
明治16年
鹿鳴館(東京)
9,310名(2007年3月31日現在の就業人員)
1887
明治20年
有限会社日本土木会社設立[初の建設業法人]
1890
明治23年
琵琶湖疏水閘門トンネル(京都)
従業員数
代表者
代表取締役社長 山内 隆司
① 建築工事、土木工事、機器装置の設置工事、
その他建設工事全般に関する企画、測量、
設計、監理、施工、エンジニアリング 等
② 地域開発、都市開発、海洋開発、宇宙開発、
資源開発、エネルギー供給、排出権取引及び
環境整備に関する事業 等
事業内容
③ 土壌浄化、河川・湖沼・港湾の水質浄化等の
環境保全、廃棄物・建設副産物の収集、運搬、
処理、処分、再利用に関する事業 等
④ 不動産の売買、賃貸、仲介、保守、管理、鑑定
不動産投資に関するマネジメント 等
⑤ 不動産関連の特別目的会社及び不動産
投資信託への出資及び出資持分の売買、
信託受益権の保有及び販売 等
⑥ 住宅の設計、監理、施工及び販売
等
大倉喜八郎が銀座に大倉組商会を創立[創業]
銀座煉瓦街
銀座大倉組商会前にアーク灯点火
1911
明治44年 (株)大倉組土木部発足
1912
明治45年
宇治川発電所(京都)
大倉組本館(東京)
1915
大正 4年
1917
大正 6年 (株)大倉土木組設立[初の建設業株式会社]
1924
大正13年
大倉土木(株)に社名変更
1927
昭和 2年
東京地下鉄道[日本初の地下鉄 上野∼浅草間]
1936
昭和11年
川奈ゴルフリンクス・ホテル(静岡)
1946
昭和21年
大成建設株式会社と改称
1953
昭和28年
有楽土地(株)設立
1955
昭和30年
東京国際空港(羽田)ターミナルビル
1956
昭和31年
成和機械(株)設立
[現・成和リニューアルワークス(株)]
事業所数
子会社
本社、支店 14カ所(国内)、
事業本部 2カ所(国際、住宅)、技術センター、
国内営業所等 61カ所、海外営業所 12カ所
連結子会社 38社(2007年3月31日現在)
1957
昭和32年
株式を東京証券取引所に上場[建設業で初]
1958
昭和33年
国立競技場(東京)
1960
昭和35年
技術研究所を開設
1961
昭和36年
大成道路(株)設立[現・大成ロテック(株)]
■ 2006年度の主な完成工事
忠別ダム建設事業の内
フィル堤体建設第5期工事(北海道上川郡)
(仮称)太平四丁目錦糸町開発
計画新築工事(東京都墨田区)
牛島再開発事業第2期工事
(愛知県名古屋市)
インド プルリア揚水発電所建設工事(インド)
1
大成建設 CSR 報告書 2007
(仮称)東京ミッドタウンプロジェクト
(B・E棟)新築工事(東京都港区)
CONTENTS
1962
昭和37年
ホテルインドネシア[戦後初の海外工事]
1963
昭和38年
大成プレハブ(株)設立
1
会社概要
3
社長対談
王道を歩み、社会から信頼される
企業づくりに邁進します
[現・大成ユーレック(株)]
1964
昭和39年 ホテルニューオータニ本館(東京)
9
[日本初の超高層ビル]
1965
昭和40年
特 集 CO2削減に向けた取り組み
∼よりサステナブルな社会への提言∼
大幸設備工事(株)設立[現・大成設備(株)]
富士山測候所(静岡)
ガバ ナンス/マネジメント
1971
昭和46年
大成サービス(株)設立 1973
昭和48年
創業100周年
13
大成建設のCSR
1979
昭和54年
本社を新宿に移転
15
大成建設の企業行動憲章と事業全体像
17
コーポレート・ガバナンス
18
リスクマネジメント
19
企業倫理・コンプライアンス
新宿センタービル
1985
昭和60年
青函トンネル本坑貫通[世界最長]
1987
昭和62年
本四架橋南北備讃瀬戸大橋開通
1990
平成 2年
新しい経営理念とシンボルマークを導入
1991
平成 3年
東京都第一本庁舎
1993
平成 5年
創業120周年
公益信託「大成建設自然環境基金」を創設
[現・
「大成建設自然・歴史環境基金」]
横浜ランドマークタワー[日本一の高さ296m]
社会面の取り組 み
21
安全・安心な構造物の提供
25
会社の情報・知的財産の管理
26
株主・投資家のための情報開示
1994
平成 6年
関西国際空港(大阪)
1997
平成 9年
東京湾アクアライン(神奈川・千葉)
27
社員とともに
2000
平成12年
JRセントラルタワーズ(愛知)
29
社員・作業員の安全衛生のために
2001
平成13年
札幌ドーム
2003
平成15年
国立劇場おきなわ
31
地域社会とともに
2004
平成16年
九州国立博物館(福岡)
33
グループ会社・協力会社とともに
2005
平成17年
中部国際空港(愛知)
2007
平成19年
忠別ダム(北海道)
■ 表紙について
① 武蔵関公園のカワセミ
(東京都)
② 忠別ダム非常用洪水吐けを
越流する水
(北海道)
環境面の取り組 み
35
環境経営活動の実績と目標
37
環境の取り組み全体像
39
マテリアルフロー
41
地球温暖化防止に向けて 43
資源・廃棄物の適正管理
45
生態系保全に向けて
③ 大成建設のデザイン耐震補強壁
47
環境技術の研究開発
④ ドバイの砂漠
(UAE)
49
環境法規制とその対応
50
環境会計
⑤ 至仏山から尾瀬ヶ原
(群馬県)
⑥ オゼイトトンボ
(新潟県)
⑦ 砂浜で遊ぶ少女
(UAE)
①
④
⑨
⑥
⑩
⑦
②
⑤
③
⑧
⑧ 新宿御苑ビオトープにメダカなどを
放流する子供たち
(東京都)
⑨ フェンネルと
アカスジカメムシ
(埼玉県)
51
ステークホルダー・ダイアログ
「大成建設のCSRを問う∼期待と課題∼」
57
第三者保証報告書
58
大成建設「CSR報告書2007」第三者意見
⑩ 友愛みどり園のサークルで絵を
学ぶ岩崎正子さんの作品
(千葉県)
大成建設 CSR 報告書 2007
2
コンプライアンスを徹 底し、
社 会からの 信 頼 回 復を目指します
動しています。従ってコンプライアンスを徹底するためには、
一回言えば事が足りるというわけではなく、繰り返し言ってい
くしかないと思っています。取締役会、あるいは執行役員会、
松田:今、建設業界はコンプライアンスにどう対応していくの
支店長会議などで、それについては繰り返し指示をし、常に高
かということが大きくクローズアップされていますが、大手建
いコンプライアンス意識を保たせるようにしています。
設会社のコンプライアンス徹底宣言が出された後に名古屋市
松田:昨今、企業各社はそれぞれ内部統制の体制づくりを進
営地下鉄の談合事件が報道されたりして、本当に真剣に進め
めてきていますが、御社ではコンプライアンスの体制づくりは
ていく気があるのだろうかと疑念が持たれています。
どのようにしておられますか。
山内:業界団体をあげて、談合・調整行為は止めようと決めた
山内:体制づくりについては、社外の有識者の方も加わった
にもかかわらず、それが徹底を欠いて、疑心というか疑念を社
コンプライアンス委員会をつくって、統制を図ってきました。
し
会に与えたということは大変残念だと思います。当社におい
かし、今までいろいろなことを指示したり、方針を立てても、な
ては、コンプライアンスについて考えつく取り組みはすべてや
かなか社員一人ひとりまで徹底しないということがありました
るということで、やってきていますし、
この4月の社長就任にあ
ので、内部監査部門を拡充して、この4月からはそれを社長直
たっての全役職員へのメッセージでも、
「王道を歩む」ことの
轄にして、そこで、会社の方針が周知徹底されているかモニタ
大切さを訴えました。
「王道」とは本来、徳を持って治世を行う
リングをする体制としています。
政治思想を指しますが、それは公正かつ誠実な企業活動を行
松田:法令を守りなさいとか、上から命令されて渋々やるの
うことであり、反社会的なことは一切やらないという強い決意
ではなく、働きがいですとか、社員のやる気を起こさせるよう
を込めた言葉です。新入社員の入社式でも「王道」の大切さに
な仕組みづくりも、
これからは必要ではないでしょうか。
つ いて、人に見られて困るようなことはするな 、堂 々と胸を
山内:おっしゃる通りです。大成建設というのは社員こそが最
張って仕事をやっていこうということだと、かみ砕いて説明し
大の経営資源です。社員がその気になって一生懸命になって
ました。
くれなければ何も生まれないのですから、社員が皆、胸を張っ
松田:建設業は社会資本の整備を通して国づくりの根幹を
て仕事ができるような環境を整えるのがわれわれの務めだと
担ってきた産業であり、社員の方々も自負をお持ちだと思い
思います。私は、社員とのコミュニケーションを強化し、風通し
ます。
「 王 道を歩 む 」というメッセージが そ れぞ れの 社 員 の
の良い組織づくりを目指して、意見や提言を直接私に送って
方々の意識改革にどれだけ響いていくかというのが重要だと
もらうメール窓口を開設しました。すべてのメールに返事を出
思うのですが。
すことは難しいかもしれませんが、必ず目を通して何らかの対
山内:当社は、社員だけで1万人、関係会社などを含めると2
応を図るようにしています。
万 人 近 い 大 所 帯 で す 。事 業 所 も 全 世 界 に 展 開して おり、
松田:現在、各業界ではサプライチェーンのCSRをどう取り
1300ヵ所以上の事業所がそれぞれテンポラリー、有期で活
組んでいったらいいか、どこまでやればいいのか、というのが
大成建設 CSR 報告書 2007
4
社長対談
大きな課題になっています。不法投棄問題などを含めて、建設
にも周知され、理解が進んでいることがよくわかりますね。
業としてのサプライチェーンにおけるコンプライアンスにつ
山内:会社のトップが口先だけなのか、本気で取り組もうとし
いてはいかがでしょうか。
ているのかは、従業員が見ていればすぐわかります。経営トッ
山内:サプライチェーンと一口に言っても、そこで関係する企
プ自らが間違いなくやり抜くぞという姿勢を見せることが何よ
業はわれわれより規模の大きな会社もあれば、小規模な会社
り重要ですね。
もあります。また、建設関連の協力会社のほとんどは、当社専
属ではないため、今日は当社の現場で仕事をやっているけれ
地 球 温 暖 化 対 策 に取り組 んで います
ど、明日は他社の現場に行くということがありますので、コン
プライアンス対応もひとくくりにはいかないのが現状です。そ
松田:環境への取り組みをCSRの中心戦略としてとらえる企
こで、
リスクの高いところほどしっかりモニタリングするなど、
業が増えており、とりわけ地球温暖化は世界的にも最優先課
できるだけ効率良くやるようにしています。それには、まずそ
題として緊急の対策が求められています。これからの環境経
この経営のトップにその気になってもらうことではないでしょ
営において、
どのような取り組みをお考えですか。
うか。そのためにはわれわれが真剣に取り組む姿を彼らに見
山内:地球温暖化は人類が直面する最大の環境問題であり、
てもらうことです。ただお題目のように唱えているだけでは、
われわれも温室効果ガス排出抑制に貢献する技術開発に積
徹底しませんから、不退転の決意でやっていることを事あるご
極的に取り組んでいます。全産業のCO 2 排出量に占める建設
とに繰り返し言っていかなくてはならないと思っています。
施工段階の排出量は約1%と少ないのですが、省燃費運転等
松田:私もISOの審査などで地方の建設会社を訪ねて回るこ
の削減努力を続けております。今、最も力を入れているのは、
とが多いのですが、朝のミーティングなどでしっかりと教育さ
増加傾向にあるオフィスビルやマンションなどの運用にかか
れている会社と、あまり力を入れていない会社に分かれるよう
わる設計段階の省エネ化です。
です。親会社がしっかりしていますと、協力会社の現場作業員
松田:御社は各支店で建築・土木でそれぞれ1件以上の「エ
コモデル・プロジェクト」を推進されておられますね。
山内:ええ、
「 環境配慮設計、CO 2 削減、ゼロエミッションの推
進」をテーマに行っています。中でも、都心部のヒートアイラ
ンド現象や温暖化に影響があるとされる建物の冷暖房で消費
するエネルギーは決して少なくありません。建物の環境性能
を上げてエネルギー消費量を削減していくことは、環境負荷
の大幅な低減につながります。例えば、2006年に竣工した大
5
大成建設 CSR 報告書 2007
成札幌ビルは、外断熱工法や自然換気システム、集光システ
山内:今、世の中では地球規模の環境問題として「地球温暖
ムなどによって、空調や照明などにかかるビルの消費エネル
化」が最も大きなテーマとして取り上げられていますが、同じレ
ギーを年間25%程度削減しています。また、本社が入ってい
ベルの問題として「生物多様性」があると認識しています。特に
る新宿センタービルでも、ずいぶん以前から生活排水を再生
われわれ建設業では、今ある環境を直接的に改変するわけです
処理した中水をトイレの洗浄水として利用しています。中水は
から、その責任は重大です。当社では国内はもとより海外にお
飲み水には適しませんが、上水利用と比較してランニングコス
いても、生態系に配慮した工事に取り組んでいます。
トが低く、節 水 効 果があり、環 境 負 荷 の 低 減にもつながりま
松田:ドバイのパームジュメイラの海底トンネル道路工事にお
す。このほか、改修工事でもさまざまな環境配慮技術を導入
ける多種多様な魚類の救出活動が昨年の報告書に掲載されて
するなどしてCO 2 削減を図っています。
いましたが。
松田:こうした環境配慮設計や技術は、設計・施工の一貫体制
山内:ええ、
ドバイの場合は工事の規模が大きい分、環境に与
により効率良く実現されるそうですが、自社内に設計セクショ
える負荷も甚大であることを当初から予想していました。その
ンや技術開発セクションを持っている建設会社は、日本のゼネ
ため早期から生態系への配慮を工事の中に織り込むようプロ
コンだけだそうですね。
ジェクトチームに指示し、今回のような救出作戦を講じたわけで
山内:いわゆる日本のゼネコンという業態は欧米にはありま
す。また、
この海域では現地企業と共同で海草移植技術を開発
せん。このように技術開発・研究から設計・施工が一体となった
し、実施しており、
これが地元の人々に良好な環境を提供するこ
「総合力」こそが、地球温暖化防止への貢献も含め、われわれ
とにもつながっています。本開発により2006年度の土木学会
の大きな強みであり、将来の本格的な海外進出に際しての大
環境賞を受賞しています。すべての工事に言えることですが、も
きな足掛かりになるものと考えています。
のづくりを通して地元に良好な環境を還元するのは建設業の使
命ですから。
生物多様性への
取り組 みも進 めて います
松田:ダムやトンネル工事などの開発では動物が行き来する道
をつくる研究や工事をされていますね。
松田:最近は企業の生物多様性への取り組みが国際的にも重
要性を帯びてきています。自然生態系に配慮して、多くの生物
種との共生を図った開発の方法や構造物のつくり方は避けて通
れなくなっていると思いますが、
この生物多様性についてはどう
お考えですか。
大成建設 CSR 報告書 2007
6
社長対談
山内:ええ、従来はダムの脇に魚道を設置するくらいでしたが、
実施されたそうですね。
近年はアニマルパスウェイ等、山間部における動物の移動経路
山内:ええ。首都圏直下型の東京湾北部地震を想定し、地震
を設置する取り組みも行っています。やはり生態系へ配慮する
が発生した時に速やかな対応を身につけてもらうことを目的
ことは建設に携わる者として当然ですから。社員に対しても、大
に実施し、首都圏の1都6県に在住する約6,000人の社員が
成建設はただ指定されたものを造る企業ではなく、環境を創る
参加しました。当日は、本社や被害が大きいと想定される範囲
企業であるということを、常日頃から伝えるようにしています。
に位置する作業所など、あらかじめ指定された48ヵ所の拠点
に集合し、そこから当社の元施工物件へと移動し目視によって
巨大地震から暮らしや産業を守り、
安全・安心の継続を図ります
被災状況などを確認する訓練が行われました。
松田:地震に備える技術はもちろん、地震が発生した後の復
旧活動の迅速さも求められているということですね。
松田:日本の国土は世界の陸地の約0.25%。その小さな国
山内:首都圏直下型地震が発生しても、おそらく48時間以内
土に、世 界 で 起 きるマグニ チュード6以 上 の 巨 大 地 震 の 約
には救援物資が到着すると言われています。人的被害を最小
20%が集中していると言われます。そうした巨大地震から暮
限にとどめ、速やかに復旧作業にかかれるかどうかがポイント
らしや産業を守り、安全・安心の継続を図るために、建設業とし
となると思います。
てどのような取り組みをされていますか。
松田:地震防災と関連する技術として、超高強度コンクリート
山内:災害に強い国づくりを目標に、当社は、地震防災技術の
の開発にも取り組まれており、技術的にも他社をリードされ
分野で先駆的役割を果たしてきました。2003年に発生した
ていますね。
三陸南地震では、半導体工場などを中心に、建物そのものの
山内:超高強度コンクリートの開発では、世界最強レベルで
損害は軽微ながら、製造機械や設備が損傷し、長期間にわたる
ある 150 ニュートンのコンクリートを開発し超高層マンショ
操業停止や工場閉鎖などの深刻な被害が発生しました。そうし
ンに実用化しています。通常 100 ニュートン以上を超高強
た中で当社が業界に先駆けて進めてきたのが建物の揺れを吸
度コンクリートと呼んでいますが、150 ニュートンとは1平方
収する免震装置の開発です。2004年の新潟県中越地震で被
センチに 1.5 トン、乗用車一台分の荷重がかかっても耐えら
災した小千谷総合病院では、薬瓶やカルテなどが飛散する大
れる強度を表した数字です。超高強度コンクリートは、柱の
きな被害が出ましたが、当社開発の免震装置を組み込んだ病
太さや本数を最小限に抑え、より少ない材料で、効率の良い
棟ではほとんど被害がなく、震災直後から被災者を受け入れる
長寿命・高耐久性の空間づくりを可能にしています。
ことができたそうです。
松田:今や、事 業 継 続 計 画(BCP)へ の 取り組 みは、企 業 の
危 機 管 理 上 の 最 重 要 課 題となっていますね。昨 年 1 0 月に、
御社では、事業継続計画(BCP)に基づく大規模災害訓練を
7
大成建設 CSR 報告書 2007
本業に真摯に取り組んでこそ、
社会貢献です
続的に行ってほしいと思います。
山内:現代という時代は、国境というボーダーラインをどんど
ん越えて人やモノが自由に行き来しており、そうした急激な変
松田:国内の公共工事が減少傾向にある中で、今後は、海外プ
化に企業が対応できるかどうかの分かれ道に差しかかっていま
ロジェクトへのシフトが加速していくと思われますが、現地の法
す。かつて戦国時代の日本で、織田信長が楽市楽座をつくり、人
律や習慣への対応など、留意されていることはありますか。
や物資の往来を自由にしたことで、日本という国がやがて統一
山内:現地での法令遵守や、文化・習慣・宗教を尊重することは
されていったわけですが、今は、それと同じことが世界規模で起
大前提ですが、現地のローカル企業との単純な価格競争はやめ
きようとしています。
ようと言っています。われわれは、現地企業にはできない高度な
松田:そうした変革の時代の中でCSRのあり方をどうとらえて
技術力が要求される、付加価値の高い仕事に注力します。中東
いけばいいとお考えですか。
のカタール国・
ドーハ国際空港の建設工事では、空港建設のエ
山内:本業に真摯に取り組むことこそが社会貢献につながると
キスパートのリスト提出が求められました。当社は日本国内で空
考えています。社員全員がルールに従い総合力を発揮して、
顧客
港の実績がナンバーワンですから、優秀な技術者がたくさんい
が十分に満足する成果物をつくる。
そして企業収益を向上させる
ます。そうした実績が評価・考慮されてカタール国での受注が決
ことが、結果的に社会へ利益を還元し、企業価値を高めることと
まったのです。
なる。これが当社としてのCSRの大前提であると考えています。
松田:海外では現地企業との共存共栄を基本的スタンスにし
松田:それが山内社長の提唱される「王道」ですね。
ようということですね。それから、ベトナム・カントー橋建設工事
山内:おっしゃる通りです。われわれがつくった建物や施設は
作業所において、HIV/エイズ対策プロジェクトが展開されてい
50年、80年と使われ続けます。今は問題がなくても80年後に
ます。世界的視野から見たCSR活動として大変注目を集めてい
不都合があったら、それまで築き上げてきた信頼が失われてし
るのですが。
まいます。これからも王道を目指すことの大切さを、繰り返し、
山内:海外の作業所では単身で出稼ぎにくる労働者が多く、
繰り返し訴えていきたいと思います。
HIV/エイズをはじめとする性感染症の拡大リスクが懸念されて
松田:ぜひ心の通ったコミュニケーションを心掛け、
より良い社
います。そこで、
カントー橋工事では、当社JVとして、世界的なN
会づくりに貢献できるCSRを推進してください。
GOであるケア・インターナショナル(ジャパン)のご協力を得て、
性感染症への理解促進キャンペーンをはじめ、
コンドームの使用
促進のための情報提供などを行い、確かな成果を上げています。
松田 布佐子 氏 プロフィール
◆
学術博士
(生物生産科学)
◆(株)
環境経済研究所
松田:こうした地球規模の問題に対して持続的に取り組むこ
◆
CEAR環境主任審査員
◆
とがグローバル企業を目指す御社にふさわしいCSRのあり方
◆(財)
地球環境戦略研究機関持続性センター エコアクション21参与
◆
だと思います。ぜひ、プロジェクト終了後にもこうした活動を持
所長
GHG審査員
経済産業省 省エネルギー促進情報提供技術審査会委員
大成建設 CSR 報告書 2007
8
CO2
特 集
CO2 削減に向けた取り組み
∼よりサステナブルな社会への提言
よりサステナブルな社会への提言∼
∼よりサステナブルな社会への提言∼
大成建設では、CO 2排出量の削減に向けた取り組みを各生産プロセスで推進しています。
ここでは、当社技術センターのリニューアルの取り組みと、
新エネルギーとしての風力発電、太陽光発電の施工例を紹介します。
CO2
リニューアルによるCO 2 削減
次世代型研究施設に生まれ変わった
大成建設技術センター研究本館
今回のリニューアルのテーマは、コミュニケーション、セーフ
ティ&セキュリティ、サステナビリティの3つです。吹き抜けに
して見通しの良い空間をつくるなど、社内で働いている研究
者間のコミュニケーションが促進される工夫をしています。
改修にあたっては、さまざまな最新の防災技術・環境配慮技
大成建設の研究開発拠点である技術センター研究本館(横
術を導入し、ライフサイクルCO 2 、ライフサイクルコスト、運用
浜市)は2007年2月に、執務する人々が快適に感じながら、
CO 2 、運用コストを大幅に削減しました。まさに、次世代型研
創造性を喚起できる分野融合型研究開発施設になりました。
究施設としてふさわしい建物に生まれ変わりました。
リニューアル前
9
大成建設 CSR 報告書 2007
リニューアル後
特集:CO 2 削減に向けた取り組み
CO2削減のために省エネルギー技術を導入 、CASBEE*1(改修)
で最高評価のSランクを実現
解体・新築ではなく、
リニューアルを選択したこと
と、省 エネル ギー 技 術 を 導 入したことで 、
CASBEE
(改修)
Sランクを実現しました。ライフ
サイクルCO2、
ライフサイクルコスト、運用CO2、
運用コストなどが大幅に削減されました。
コンパクトダブルスクリーン
調光天井
従来のダブルスキンと同等の
省エネルギー性能を、約1/3
の厚さ
(200mm程度)
で実現
しました。
厚さ0.1mmの軽量フィルムを
用いた二重膜調光システムの
ため躯 体への負担が少なく、
断熱効果もあります。
研究室
クリエイティブコート
ダクタルAF*2
天井吊り型パーソナル空調
4FL
通 常 のコンクリートと比 べ 圧
縮強度が5∼8倍という、桁違
いの強度を発揮する革新的な
コンクリート系素材です。
個 人のパソコンから風 向・風
量を座 席ごとに個 別にコント
ロールできる吹出口を設置し、
省エネルギーと快適性を実現
しました。
研究室
3FL
*2ダクタルAF:耐火性能を付加した
ダクタル
オープンミーティング
既存躯体
解体撤去
2FL
エントランスホール
エントランス
風除室
氷水直接搬送システム
既存緑地
縦格子鋼板補強工法
1FL
シャーベット状の氷水を夜間貯
水タンクに蓄熱。氷で効率よく
熱を運び、省エネルギーと配管
のサイズダウンを図ります。
増床部
縦横の格子に鋼製パネルを自
由に配置することで、建物の耐
震性を向上させるとともに、
採光
性、
デザイン性に優れています。
既存改修部
*1 CASBEE :建築物総合環境性能評価システム
ライフサイクルCO 2*3、運用CO 2、運用コストを削減
■リニューアルの選択により、
ライフサイクルCO2を解体・新築に比べ11%削減
竣工
1979年
7,000
躯体解体
2043年
リニューアル
2006年
4%
LCCO2 [kg-co2/m2]
6,000
CO2排出量
(kg -CO2/年m2)
15%
解体・新築の場合
5,000
80
4,000
既存建物利用の場合
60
40
2,000
30
1,000
0
20
0
5
10
15
20
25
30 35
経過年
4.0
40
45
50
55
60
空調熱源
65
※躯体寿命 65年を想定
*3ライフサイクルCO₂:建物の建設から運用、解体までのライフサイクルを通して
10
- 35%
/年m2
空調送風
空調熱源
照 明
空調送風
換 気
そ の 他
0
リニューアル前
4.08千円/年m2
- 24%
3.5
50kg-CO2
50
リニューアルの場合
運用コスト
(千円/年m2)
4.5
77kg-CO2 /年m2
70
11%
3,000
■ 省エネルギー技術の導入により、
年間の運用CO2を35%削減、運用コストも24%削減
照 明
換 気
そ の 他
リニューアル後
3.10千円/年m2
3.0
2.5
電力
2.0
電力
1.5
灯油
1.0
灯油
0.5
上水道
0
下水道
上水道
下水道
リニューアル前
リニューアル後
排出する二酸化炭素量の合計
大成建設 CSR 報告書 2007
10
CO2
特 集
CO2
CO2 削減に向けた取り組み
CO 2 削減の救世主として新エネルギーに期待
地 球 温 暖 化 の 原 因である二 酸 化 炭 素などの 温 室 効 果ガスを削 減する切り
札として期待されるのが「再生可能エネルギー」です。太陽光、風力、バイオマ
スなど自然を活用した資源枯渇の心配がない「再生可能エネルギー」は、未来
を切り拓く新エネルギーとして注目されています。
「田原リサイクルセンター風力発電所」
運用スタート
大成建設が建設および運営に参画している愛知県田原市の
「炭生館」に隣接して建設された風車
都市ごみリサイクルセンターである「炭生館」の隣接地に風力
発電施設が完成し、2006年12月より運転を開始しました。田
原市が推進する「たはらエコ・ガーデンシティ構想」の一環として、
「炭生館」の運営に必要な電力を再生可能エネルギーで賄うこ
とを目的に、建設された発電施設です。今回のプロジェクトは、
当社にとっても、風力発電の事業企画から参加し、設計・施工・
維持管理まで対応するのは初めての試みで、今後の風力発電事
業への試金石として重要な意味を持つプロジェクトです。
「炭生館」PFI事業の参画企業グループ((株)NGK水環境シス
風 車 は 、国 内 で 初 め て 導 入 さ れ るド イツリパ ワ ー 社 製
テムズ、当社など民間5社)が、田原市と第三セクター「(株)
グ
「MM82」
(発電出力 1,980kW)
、
羽の直径は82m、最高到達
リーンエナジーたはら」を設立し、風力発電事業を行うもので、
高さは121mとなります。
当社は風車選定委員会において、いくつかの候補者の中から選
風車の完成により、
「 炭生館」は、都市ごみの炭へのリサイク
ばれ、施設の建設と維持管理((株)明電舎との共同管理)を担
ル、
ビオトープによる自然再生、
そして再生可能エネルギーの製
当します。
造が体験できる環境教育施設として機能がより充実しました。
リサイクルセンター「炭生館」、都市ごみのリサイクルとともに
環境学習に最適な施設として多くの見学者が訪れている
風車の施工状況
11
大成建設 CSR 報告書 2007
特集:CO 2 削減に向けた取り組み
ショッピングセンター屋上に太陽光発電設備
太陽光発電のメリットを普及
京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター屋上に設置された太陽電池モジュール
太陽光発電はクリーンで無尽蔵な太陽エネルギーから電
発 電 設 備 を 設 置した の は 、遊 技 場 を 利 用 さ れる 来 店 者 の
気を作るため、省エネルギーとともに温室効果ガス削減効果
方々に新エネルギーを知っていただくためです。平成18年
が期待できる発電システムです。現在、日本における太陽光
度 独 立 行 政 法 人 新エネルギー・産 業 技 術 総 合 開 発 機 構が公
発電の累積設置容量は 約142万kWですが、2010年度末
募した「太陽光発電新技術等フィールドテスト事業」による半
までの 国 の 累 積目標 容 量は4 8 2 万 k Wであるため今 後 、急
額 補 助を活 用し、2 0 0 6 年 1 2 月に竣 工しました。太 陽 電 池
速な普及が期待されています。
は単結晶シリコンタイプで、総容量は10kW、日射量・発電量
大 成 建 設は2 0 年 以 上にわたり積 極 的に太 陽 光 発 電シス
等 の 運 転データは1階 案 内カウンター 前 のパネルに表 示さ
テムの計画・設置に携わり、特にビル外壁、屋根などへの建材
れます。来店者の方々は、このパネルを見れば現在どのくら
一体型等の計画・施工に注力してきました。
い発電しているのかがわかる仕組みです。
最 新 事 例 の 一つとして、京 王 電 鉄( 株 )の 京 王 聖 蹟 桜ヶ丘
太 陽 電 池 モジュー ルは、日影シミュレーションなどを行っ
ショッピングセンター(東京都多摩市)に設置した太陽光発電
て、最 適と考えられる屋 上 機 械 室 の 南 壁 面に設 置しました。
設備があります。ショッピングセンター屋上遊技場に太陽光
設 置 の 方 法も壁 面に直 接 設 置するのではなく、下 地 鉄 骨を
介して固 定することで、通 風による放 熱 効 果を確 保し、電 池
モジュールの昇温に伴う出力低下を抑えました。
導入効果の予想
予 想 発 電 量 :7,000 kWh/ 年
省エネルギー効果 :原油換算で1,800 L / 年
CO
2
削 減 効 果:2,700 kg-CO 2/ 年
発電状況がわかる屋内表示パネル
大成建設 CSR 報告書 2007
12
ガ バ ナ ン ス / マ ネ ジ メ ント
大成建設の C S R
社会からの信頼を得るために、大成建設はCSR推進のための方針・体制を整備し、
CSRを経営そのものに組み込んでいきます。
基本的な考え方
「人がいきいきとする環境を創造する」という経営理念の下
続的に発展することを目指しています。この目的達成のため
で、建設業を中核とする企業活動を行い、安全で快適な社会
に、企業倫理の確立をはじめとする企業としての社会的責任を
基盤と生活環境の整備を通じて社会に貢献し、企業として持
果たし、社会から信頼される企業づくりを推進していきます。
CSR推進のための方針・体制
CSRの 取り組 みに関 する基 本 方 針で ある企 業 行 動 憲 章
である業務委員会が、技術開発・安全衛生・環境保全・労働環境改
(P15参照)の下、重要な取り組み分野についてはさらに個別の
善等個別の課題について審議し、社長に答申しています。また、
方針を制定しています。それら諸方針に基づくCSR活動推進の
CSR委員会の事務局機能・全社的なCSR活動推進機能を果た
ため、取締役6名で構成されるCSR委員会が、
CSR活動に関す
すための組織として社長室にCSR推進室を設置しています。
る基本諸方針の審議・遵守状況把握を行うほか、社長の諮問機関
◆
CSR推進体制
災害時における事業
継続に関する方針
品質方針
取締役会
CSR委員会
社長
CSR推進室
技術委員会
情報開示方針
安全衛生方針
中央安全委員会
企業行動
憲章
地球環境委員会
業務改革推進委員会
リスクマネジメント
方針
環境方針
所管部門
CSR対象分野
個人情報の保護に
関する方針
知的財産に
関する方針
■コンプライアンス
■人権尊重
■品質・技術
■工事の安全
■環境保全
■社会貢献
■情報開示
■職場環境
■その他
グループ会社
経営計画への組み込み
2 0 0 7 年3月に発 表した「 大 成 建 設グループ中 期 経 営 計
から積極的に支持され、かつ信頼される企業グループ」を目指
画」においても、
CSRの取り組み強化を基本方針の一つに位
すことを明確にしました。
置付け、
「公正なる企業活動の下、あらゆるステークホルダー
地域社会
顧 客
高付加価値の
サービス
社会貢献
成長期待感
株主・投資家
「魅力ある大成建設グループ」の構築
働きがい
従業員
13
大成建設 CSR 報告書 2007
協力・信頼
取引先
ガ バ ナンス / マ ネジメント
大 成 建 設 のCSR
CSR推進活動の実績と課題
項 目
コーポレート・ガバナンス
内部統制
2 0 0 6 年 度 実 施した 主 な 活 動
● 取締役・執行役員の懲戒規程制定
● グループ経営理念・
ビジョン・行動憲章制定、共有
● 監査役の情報収集体制強化
● 工事受注リスク管理の強化
● 海外大型工事リスクの管理強化
リスクマネジメント
● 情報管理基本規程の制定
● 知的財産に関する方針制定
● BCPのための大規模災害訓練実施
● コンプライアンス委員会設置
● コンプライアンス推進体制整備
● コンプライアンス研修実施
コンプライアンス
● コンプライアンス通信発行
● 談合防止策の導入
関連
ペ ージ
今後の重要課題
20
—
—
●
意思決定システムの見直し
●
財務報告の適正確保のための体制整備
—
—
—
25
18
●
19
19
20
20
19
● コンプライアンス意識の定着
● グループ経営体制の強化
全社的リスクマネジメントの定着
● グループのリスクマネジメント体制の整備
●
●
情報管理規程体系の再構築
BCP関連諸規程に基づく大規模災害対策訓練
の全国展開
● コンプライアンス体制の運用状況の確認、
必要に応じた改善
● 自部門監査の実施・定着
● グループのコンプライアンス体制の整備
●
反社会的勢力による被害を防止するための
指針制定
● 高性能架構技術の開発
● 次世代制振システムの開発
安 全・安 心な
● 超高強度コンクリートのプレキャスト化の実現
構 造物 の 提 供
● 放射性廃棄物地層処分安全性評価技術の開発
● 原子炉施設廃止措置技術の開発
株 主・投 資 家 のために
21
22
47
24
24
●
都市再生計画の実施に寄与する構工法技術の開発
●
少子高齢化社会に対応する医療福祉技術等の開発
●
超高強度コンクリート技術の強化
●
新たな免震・制振技術の開発と適用
●
放射性廃棄物地層処分技術の高度化
●
原子炉施設廃止措置技術のロボット化
26
26
●
株主・投資家からの認知度のさらなる向上
● 作業所見学会の実施
● 女性の働きやすさを高めるための取り組み
28
●
女性の働きやすさを高めるための取り組み
● 決算説明会の実施
(職域拡大、管理職任用)
(増員、推進組織設置)
● ワーク・ライフ・バランスの推進
良 好な
(法定以上の制度整備)
職 場環 境 のために
● 持ち運べる警報機を使った地震防災システムの開発
28
● ワーク・ライフ・バランスの一層の推進
●
海外作業所におけるHIV/エイズ予防対策の
30
30
30
取り組み推進
32
31
32
●「社会貢献方針」
制定
34
34
●
●「安全帯シール」
の配付
● 大成アジェンダ2006
35
●
● アスベスト無人化除去・回収システムの開発
● ベトナム・カントー橋PJでの HIV/エイズ予防
対策の実施
● 地震災害復旧支援活動
(能登半島)
地 域社 会 のために
●「ギャルリー・タイセイ」
運営
●「公益信託大成建設自然・歴史環境基金」
からの助成
専門工事業者との協働
環境
● 大成建設安全衛生 環境協力会活動の実施
協力会社と一体となった生産性向上のための
体制整備
大成アジェンダ2007
大成建設 CSR 報告書 2007
14
ガ バ ナンス/ マ ネ ジ メ ント
大成建設の 企業行動憲章と事業全体像
●
「人がいきいきとする環 境を創 造 する」
●
●
商品企画・開発
販売 施工
住 宅
当社のCSR活動に取り組む姿勢をイメージしていただくために、
事業全体とりわけ建設事業のプロセスにおいて、
どのように取り組み、実践しているかをチャートで表現しました。
企業行動憲 章
2.
3.
5.
6.
7.
8.
9.
公正、透明、自由な競争を旨として企業
活動を行います。
政治、
行政との健全かつ正常な関係を保
ちます。
株主をはじめ、広く社会に対して正確な
企業情報を適時・適切に開示します。
人種、宗教、性別、国籍、社会的身分、身
体上の理由等による差別をせず、人権を
尊重します。
工事の施工にあたっては安全第一主義
を徹底します。
働きや すい 職 場 環 境の確 保と社員や
その家族のゆとりと豊かさの実現に努
めます。
環境保全のための取組みを推進し、良好
な環境の創出に寄与します。
建 設 事 業にお ける主 な 活 動
4.
適切な品質管理や先進技術の開発等を
通じて、建設生産物・関連サービスの品
質の確保と向上に努めます。
果 た すべ き 責 任
1.
研究開発
安全・安心を提供する
技術の開発
● 作業の安全を確保
する技術の開発
●
●
人と環境に優しい
技術の開発
■
超高強度コンクリート
技術の開発
■
エネルギー関連技術の
開発 P.11∼12,48
営 業
法令等を遵守した
営業活動
● 顧客要求事項の
的確な入手
顧客要求事項の的確
な文書化・図面化
● 安全・安心を提供
する技術の提案
●
●
●
エンドユーザーを
視野に入れた提案
■
●
独占禁止法を遵守した
営業活動 P.19∼20
■
社内通報制度の確立
■
■
計 画・設 計
適切情報の開示
■
P.20
■
ユニバーサル
デザインの提案
P.26
■
■
まちづくりの提案
情報セキュリティの徹底
P.25
■
免震・耐震・制振の提案
P.21∼22,24
防災技術の開発
P.21∼22,24,30,48
人と環境に優しい
技術の提案
■
環境保全技術の開発
P.45∼46
■
次世代医療福祉・
教育施設の提案
知的財産の保護・活用
P.25
■
環境配慮設計の提案
P.9∼12,41
地域社会との良好な関係を構築し、良き
企業市民として社会の発展に貢献する
よう努めます。
10. 反社会的勢力・団体に対しては毅然とし
た態度で臨みます。
11. 海外事業においては、現地の法令を遵
守し、文化や慣習を尊重します。
建 築
12. 財務諸表等の作成にあたっては、会計処
理基準等に準拠し、株主をはじめとする
ステークホルダーに対して財務報告の
適正性を確保します。
● コーポレート・ガバナンス体制
● コンプライアンス体制
● リスクマネジメント体制
15
大成建設 CSR 報告書 2007
P.19∼20
P.18
P.17
ガ バ ナンス / マネジメント
ガ バ ナンス/ マ ネ ジ メ ント
大成建設の 企 業 行 動 憲 章と事業全体像
「人がいきいきとする環 境を創造する」
●
●
●
住 宅
事業全体とりわけ建設事業のプロセスにおいて、
2.
適切な品質管理や先進技術の開発等を
通じて、建設生産物・関連サービスの品
質の確保と向上に努めます。
公正、透明、自由な競争を旨として企業
活動を行います。
政治、
行政との健全かつ正常な関係を保
ちます。
4.
株主をはじめ、広く社会に対して正確な
企業情報を適時・適切に開示します。
5.
6.
7.
人種、宗教、性別、国籍、社会的身分、身
体上の理由等による差別をせず、人権を
尊重します。
工事の施工にあたっては安全第一主義
を徹底します。
働きやすい 職 場 環 境の確 保と社員や
その家族のゆとりと豊かさの実現に努
めます。
8.
環境保全のための取組みを推進し、良好
な環境の創出に寄与します。
9.
地域社会との良好な関係を構築し、良き
企業市民として社会の発展に貢献する
よう努めます。
10. 反社会的勢力・団体に対しては毅然とし
た態度で臨みます。
11. 海外事業においては、現地の法令を遵
守し、文化や慣習を尊重します。
建 設 事 業にお ける主 な 活 動
3.
果 た すべ き 責 任
1.
営 業
研究開発
●
安全・安心を提供する
技術の開発
●
作業の安全を確保
する技術の開発
●
人と環境に優しい
技術の開発
■
超高強度コンクリート
技術の開発
●
●
●
顧客要求事項の
的確な入手
●
エンドユーザーを
視野に入れた提案
■
安全・安心を提供
する技術の提案
●
独占禁止法を遵守した
営業活動 P.19∼20
調 達
顧客要求事項の的確
な文書化・図面化
●
●
安全・安心を確保する
労務・資材の調達
●
エネルギー関連技術の
開発 P.11∼12, 48
■
社内通報制度の確立
■
■
適切情報の開示
P.21∼22,24,30,48
免震・耐震・制振の提案
■
業者評価制度の実施
施工中の安全確保
建設構造物の
維持・再生
●
解 体
●
周辺環境への配慮
●
施工中の安全確保
地球環境の保全
周辺環境への配慮
■
グリーン調達の推進
免震・耐震・制振の施工
■
P.43
超高強度コンクリートに
よる超高層住宅の施工
■
次世代医療福祉・
教育施設の提案
■
建物の高機能化・
コンバージョン
■
原子力施設の
デコミッショニング
■
P.24
アスベストの除去・回収
P.23,44
生態系の修復活動
HIV/エイズ対策
プロジェクトの実施
■
環境配慮設計の提案
■
P.45∼46
P.30
知的財産の保護・活用
■
■
P.29
■
P.25
構造物の劣化診断・
長寿命化 P.23
安全第一主義の徹底
まちづくりの提案
■
■
P.47
情報セキュリティの徹底
■
●
P.21∼22,24
ユニバーサル
デザインの提案
環境保全技術の開発
P.45∼46
●
P.26
P.25
■
■
■
■
●
P.21∼22,24
防災技術の開発
リニューアル
安全・安心をカタチに
するものづくり
●
国 際
人と環境に優しい
技術の提案
■
P.20
PFI
J−REIT
● プロパティマネジメント
● アセットマネジメント
● ファシリティマネジメント
●
施 工
環境に優しい
資材の調達
■
■
●
インフラ整備
日本企業の海外拠点づくり
人材育成
技術移転
●
医薬品施設、食品施設、
デバイス施設、エネルギー関連施設、
レジャー施設の設計・施工
● 物流、
交通、HACCP、
工場再構築のコンサルティング
計 画・設 計
法令等を遵守した
営業活動
●
●
●
どのように取り組み、実践しているかをチャートで表現しました。
企業行動憲 章
●
大 成 建 設の企 業 行 動 憲 章 と事 業 全 体 像
当社のCSR活動に取り組む姿勢をイメージしていただくために、
開 発
エンジニア
リング
商品企画・開発
販売 施工
■
施工段階でのCO2削減
有害物質の回収・
適正保管 P.44
土壌・水質汚染の
調査・対策 P.44,47
P.42
P.9∼12,41
■
建設廃棄物の適正管理
P.43∼44
建 築
土 木
12. 財務諸表等の作成にあたっては、会計処
理基準等に準拠し、株主をはじめとする
ステークホルダーに対して財務報告の
適正性を確保します。
● コーポレート・ガバナンス体制
● コンプライアンス体制
● リスクマネジメント体制
P.19∼20
P.18
P.17
● マネジメント体制
・ 品質(ISO9001)
大成建設 CSR 報告書 2007
・ 情報管理
・ 安全衛生(OHSMS)
・ 環境(ISO14001)
15
● 社会貢献
P.29
P.35∼36
P.25∼26
・ 事業継続(BCM)
・ 部門、業務
P. 31∼34
P.18
P.27∼28
大成建設 CSR 報告書 2007
16
ガ バ ナ ン ス / マ ネ ジ メ ント
コーポレート・ガ バ ナンス
経営の最重要課題の一つとして、コーポレート・ガバナンス体制の強化に努めています。
基本的な考え方
企業としての持続的な発展を図り、社会からの信頼を獲得
よび透明性を確保することを、コーポレート・ガバナンスの基
するため、経営における意思決定の迅速性、的確性、公正性お
本的な方針としています。
コーポレート・ガバナンス体制
■
取締役会・執行役員制度
要な財産の取得等に関する検討)、
CSR委員会など、各種の
経営上の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離し、各々
取締役会委員会を設置しています。
の機能の活性化を図るため、執行役員制度を導入しています。
■
取締役会は、現在14名の取締役(社内取締役12名、社外取
監査の独立性およびグループ全体の監査体制の強化を図
締役2名)で構成されており、毎月1回定時取締役会が開催さ
るため、5名の監査役で構成される監査役会を設置し、各監
れているほか、必要に応じて臨時取締役会が開催されています。
査役は、監査役会において定めた監査方針に従い、取締役会
なお、2006年6月に定款を変更し、取締役の人数の上限を
に出席するほか、取締役などから経営状況の報告を聴取する
20名から15名に引き下げています。
など取締役 の職務執行 の監査を行っています。社長直轄 の
執行役員は、取締役会が決定した基本方針に従って業務執
内部監査部門である監査部は、年度監査計画などに基づき、
行の任にあたっています。2005年4月からは、経営の機動
管理・運営の制度および業務遂行状況の合法性・合理性に関
性のさらなる向上を図るために執行役員の任期を2年から1
する内部監査を、グループ会社も含めて実施しています。会
年に短縮しています。
計監査業務は、主要グループ会社の会計監査業務も含めて、
■
取締役会委員会
監査体制
あずさ監査法人に所属する公認会計士が執行しております。
取締役会審議の活性化・実質化を目的に、重要案件別の取
締役会事前審議機関として、役員人事委員会、財務委員会(重
◆
コーポレート・ガバナンス体制
株主総会
選任
選任
会計監査人
監査役/監査役会
選任
監査
取締役/取締役会
連係
選定・監督
取締役会委員会
事前審議・報告
特別委員会
連
係
監
査
連
係
監査役業務部
代表取締役社長
業務委員会
報告・答申
監
査
部
内部監査
業務執行部門
ガ バ ナン ス / マ ネ ジ メント
リスクマネジメント
事業活動のリスク把握とそれに対処するための体制を整え、
建設業の社会的責務として事業の継続、災害復旧のための取り組みを強化しています。
リスクマネジメントの基本的な考え方と社内規定の体系
大成建設は2004年9月に「リスクマネジメント方針」
・
「リ
識と行動指針を宣言しており、また「 基本規程 」では、
リスク
スクマネジメント基本規程 」を制定し、
リスクマネジメント体
マネジメントを実施する上で遵守すべき基本事項を定めてい
制の構築に取り組んでいます。
「方針」では、
リスクの基本認
ます。
リスクマネジメント方針:行動指針
1 全ての役職員一人一人が、リスクマネジメントの担当者としての意
識を持って行動する。
2 会社は、リスクマネジメントにおける組織の責任と役割を明確化する。
3 各部門は、自部門の業務遂行におけるリスクを認識する。
4 各部門は、認識したリスクに関して、発生を未然に防止する方策を
策定するとともに、発生した場合の損失を最小化するリスク対策を
整備し、実施する。
◆
社内規定の体系
有事
5 各部門は、リスク対策の実施結果を検証し、その改善を行う。
6 会社は、グループ会社、専門工事業者、その他取引先等に対し、リ
スクマネジメントに関する理解を求め、リスクマネジメントの徹底を
図る。
7 会社は、社会や経営に重大な影響を与えるリスクに関し、適宜情報
開示を行う。
平時
リスクの 基 本 認 識と行 動
指針に基づくリスクマネジ
メント実施を宣言
緊急時・災害時
リスクマネジメント方針
緊急対策本部等設置基準
リスクマネジメントの
実施上遵守すべき基
本事項を規定
災害時の事業継続に関する
基本規程
リスクマネジメント基本規程
BCPのための大規模災害対策訓練実施
衛星電話で集められた
各拠点被災状況を
本部にてチェック
社会の基盤づくりを支える総合建設会社は、災害時の事業
を継続し、社会資本・企業施設の復旧活動をいち早く支援す
る大きな社会的責務が課せられています。大成建設では、事
業継続計画( BCP )の整備を危機管理上 の最重要課題とと
らえ、2005年11月に行動方針および諸規定を策定しまし
た。2006年10月に、まずは首都圏において実際の災害を
想定した本格的な「 大規模災害対策訓練 」を実施し、最重要
事項を再確認しました。今後もこの訓練は毎年継続的に実施
していく予定です。
各拠点とはテレビ会議でも
連絡を取り合った
コ
ー
ポ
レ
ー
ト
・
ガ
バ
ナ
ン
ス
/
リ
ス
ク
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
ガ バ ナ ン ス / マ ネ ジ メ ント
企 業 倫理・コンプライアンス
企業倫理・コンプライアンスの確立こそ経営の根幹であるとの認識から、
コンプライアンス体制の強化、役職員の啓蒙等を進めています。
基本的な考え方
防衛施設庁発注工事をめぐる
独占禁止法違反に関して
大成建設は、企業倫理・コンプライアンスの確立こそ、経営の
2007年6月、公正取引委員会から、防衛施設庁発注工事を
めぐる独占禁止法違反事件(違反期間:2004年12月20日∼
2006年1月16日)に関し、排除措置命令および課徴金納付
命令を受けました。
根幹であり、
コーポレート・ガバナンスにおける最も重要な課題
であると認識し、大成建設の状況に合った「しくみ・体制」の整
備を図っています。さらに、グループ全体の役職員の一人ひと
りに確実にコンプライアンスの意識を根付かせることが重要で
グループ各社においても、業種・業態に応じて、大成建設に
あるとして、啓蒙・教育を、継続的に繰り返し行っていきます。
準じたコンプライアンス体制の整備を進めています。
コンプライアンス推進体制の整備
■
コンプライアンス委員会
当社取締役および社外有識者で構成する「コンプライアン
具体的な施策の提言を行っています。すべての提言内容が業
ス委員会」を設置し、社長に対しコンプライアンス推進に係る
務活動において実行されています。
主な提言内容と実践
1 コンプライアンス推進のための社内体制の整備
コンプライアンス室
◆
コンプライアンス推進体制図
法 務 部 内にコンプライアンス室を 設
置し、コンプライアンス委員会の事務局
機能を担うとともに、役職員のコンプラ
イアンス意識の浸透・定着を推進してい
社 長
CP委員会
統括体制
本社
管理本部
CP統括責任者
CP統括推進者
(管理本部長)
(法務部長)
【事務局】
CP室
ます。
コンプライアンス実施者
コンプライアンスの 推進を業務活動
の 一 部として 位 置 付け 、全て の 職 位 部
長をコンプライアンス実 施 者に任 命し
実施体制
本社
事業本部・支店
部門CP責任者(総本部長・本部長など)
部門CP責任者(事業本部長・支店長)
部門CP推進者(管理担当職位部長)
部門CP推進者(管理部長)
ています。職 位 部 長が自らの 担 当 部 署
に所 属するすべ て の 役 職 員 等 の 啓 蒙、
教育などを実施する全社的な推進体制
CP実施者
CP実施者
(全ての職位部長)
(全ての職位部長)
全ての役職員等
全ての役職員等
を整えています。
*CP:
「コンプライアンス」の略称
2 談合行為防止のための業務体制の整備
談合防止対策として、応札方針、
JV編成理由、営業活動、積算業務などについて、入札業務が適正に行われたかどうかを
支店長・事業本部長が確認することとし、確認記録の作成・保存、社内監査等について制度化しました。
ガ バ ナン ス / マ ネ ジ メント
3 法令等違反行為に対する役職員の懲戒等の厳正化
法令遵守に関する社長メッセージにおいて、法令等違反行為に対して、会社規程にのっとり厳正に処分することを周知す
るとともに、役員を含めた社内懲戒規程を整備しました。
4 役職員からの誓約書の徴集
全役職員から、法令等の遵守、コンプライアンス研修などへの積極参加、疑義ある場合の法務部長への相談、会社に重大
な損害を与える行為を知った場合の通報義務、懲戒厳正化への同意について、誓約書を徴集しました。
5 重大な法令違反行為に対する通報の義務化
指名停止、営業停止など会社に重大な損害を与える行為を知った場合、会社に通報することを義務化しました。
6 官公庁退職者の採用審査の厳正化
官公庁退職者の採用について、採用基準を厳格化し、重要な人事については、コンプライアンス委員会の意見を聞いた上
で、取締役会で決定することとしました。
7 コンプライアンス研修の実施
役職員の一人ひとりに、企業倫理・コンプライアンスの意識を定着させるために、全役職員を対象に、コンプライアンス研
修を行っています。大成建設のコンプライアンスに対する基本的な考え方、社会的な要請や意義、社内体制の周知などを徹
底しています。さらに、タイムリーな問題を取り上げて、いかにコンプラ
イアンスの実践が重要であるかを具体的に説明し、理解を深めるよう
にしています。
コンプライアンスマニュアルの整備
役職員のコンプライアンスに関するマニュアルとして、
「コンプライ
アンスはやわかり」と「独占禁止法遵守マニュアル」の2種類のマニュ
アルを整備・改訂しています。紙媒体での配布だけでなく、社内イント
ラネットに全文を掲載し、適宜、参照できるようにしています。
コンプライアンス研修の様子
8 啓蒙メッセージの発信
社内教育の実施だけでなく、日頃から役職員のコンプライアンス意識の向上を図るため、身近な話題を平易な言葉で解説
する「コンプライアンス通信」を月に2回発行し、社内イントラネットに掲載しています。
9 企業倫理ヘルプラインの改善等
法令違反その他コンプライアンスに関する事実についての社内通報制度「企業倫理ヘルプライン」を整備し、社内イント
ラネットに、
「通報」
「相談」のメニューを設けることにより、一層の活用を図っています。
また、取引先の従業員等からの通報についても窓口を設け、取り扱い方法などを公開ホームページに掲載しています。
企
業
倫
理
・
コ
ン
プ
ラ
イ
ア
ン
ス
社 会 面 の 取り 組 み
品全
安
質・
向上に向けて
安心な構造物の提供
安全・安心な構造物の提供、社会資本の整備・維持・改善のために不可欠な技術で、社会からの
信頼に応えます。
品質方針
大成建設は、
「人がいきいきとする環境を創造する」という
行動指針
経営理念の下で、建設業を中核とする企業活動を行い、安全
1 高品質で性能に優れた建設生産物を提供するため、先進的で社
会のニーズを先取りした技術の研究・開発を推進する。
で快適な社会基盤と生活環境の整備を通じて社会に貢献し、
2 建設生産物・関連サービスの提供にあたっては、契約内容や法
令・基準等に従って、顧客の要求事項を誠実に実現する。
企業として持続的に発展することを目指しています。顧客や
社会に対し、高品質の建設生産物・関連サービスを効率的か
3 長期にわたって建設生産物の品質や性能の維持・向上を図るた
め、建設生産物のライフサイクルを通して必要な各種のサービ
スを提供する。
つ継続的に提供することは、当社の重要な使命です。この使
4 建設生産物・関連サービスの品質の維持・向上を確実なものとす
るため、品質マネジメントシステムを継続的に維持・改善する。
命を果たすために、行動指針に従って企業活動を行います。
安全・安心な構造物のために
■
超高層住宅を地震や風の揺れから守り
安全・安心を提供
◆
免震構法「ハイブリッドTASS構法」
住宅の高層化が進み100mを越える鉄筋コンクリートの
軒高
10.7m
最高高さ PHRSL
RSL
32SL
超高層住宅が多数建設されていますが、大成建設では地震や
を実施しています。免震構法としては「ハイブリッドTASS構
109.9m
99.2m
風の揺れから建物を守るためのさまざまな工夫(免震・制振)
法(積層ゴム支承+弾性すべり支承)」により地震時の揺れを
免震層
1/3∼1/2に低減させる方法や、制振構法としては大成建設
開発の高性能架構技術「T-RC+(ティー・アールシー・プラス)」
GL
1SL
積層ゴム支承
弾性すべり支承
に組み込まれた高性能制振間柱システムで地震時の揺れや
通常時
風揺れを効果的に制御します。これで地震や風による建物の
揺れを大幅に低減することで入居者に「安全・安心」を提供し
長周期化
地震時
ています。
変形
すべる
高性能架構技術
制振構法「高性能制振間柱システム」
◆
高強度高性能鉄筋コンクリート梁
(主筋 USD685)
高性能制振間柱システム
粘弾性ダンパーが
変形
高性能制振間柱システム
鋼材ダンパーが
変形
強風時の小さな揺れ
地震時の大きな揺れ
社 会 面 の 取り組 み
■
次世代制振システム「TASMO」の開発により
◆
知的制振システム「TASMO」
(図1)
フリーな大空間スペースを実現
TASMO(TAisei
Smart
suppression
境界梁
(LOYAL鋼材ダンパー)
system
with MOnitor)とは、剛性の高い壁柱と、
これをつなぐ境界
梁(LOYAL 鋼材ダンパー)および壁柱脚部のオイルダンパ
ーにより構成される制振システムです(図1)。さらに、建物の
壁柱
TASMOの構造
健全性を常に把握するモニタリングシステムを取り入れるこ
オイルダンパー
とで、新しい制振システムを構築しています。
TASMOの導入により、地震エネルギーを吸収する部分と
〈平常時〉
建物の重量を伝える部分を完全に分離することができるため、
〈地震時〉
支えるだけの柱は細くて数も少なくできます。そのため、広
い空間建築が可能になり、用途の変更や設備機器の更新が容
易です。また太い柱や梁といった制約がないため、さまざま
なデザインの外壁に対応できるなど建築デザインと融合した
新たな構造体が実現できます。さらに、制振システムの効率
的な配置により、制振効果を最大限に発揮でき、地震時の揺
れを通常の建物より大きく低減できます。
このシステムは「大成札幌ビル」に導入されています。
大成札幌ビル
内観
実体験から生まれ、業務の中で培ってきた富士通の地震対策
最先端の半導体製品を安定供給することが当工場の使命です。当然、
リスクマネジメントの 観 点から、地震対策は重要です。また、弊 社は
2003年5月に岩手工場で震災経験がありますので、新棟建設に際し
ては「岩手工場の経験を生かそう」を合言葉にしていました。半導体
製品の生産には、非常に微細な加工を必要としますので微振動制御
富士通株式会社
三重工場長
は必須ですが、以前の免震構造は、この微振動制御が困難と言われて
いました。ところが、大成さんのMic免震システムでは、これが出来て
大野 秀樹 氏
しまうので驚きました。こうして「 地震動と微振動を制御した世界初
の半導体工場」として、富士通三重工場300mm第1棟は、2005年
4月に竣工しました。お客様から効果検証について聞かれることもあ
りますが、
こればかりはないに越したことはありません。しかし、小さな
地震でも効果を確認できた事例がありますのでご紹介します。2007
年4月15日に、三重県中部地震が発生しました。最大震度は5強と発
表され、工場では震度3程度でした。最先端の半導体工場は非常に高
精度ですので、影響がないと思えてもその確認は必要です。これまで、
免震を大規模地震へ の対策と考えていましたが、中小規模地震でも
生産の継続性を確保できることがわかりました。現在は、同じMic免
震システムを採用した300mm第2棟も稼動開始しています。
富士通(株)三重工場(Mic免震)
安
全
・
安
心
な
構
造
物
の
提
供
社 会 面 の 取り 組 み
社会資本の維持・改善
社会の成熟化とともに、過去に構築された多くの構造物が
を維持・改善するためには、変状を早期に発見し、適切に対応
老朽化しつつあります。また、社会環境やライフスタイルの変
をする必要があります。大成建設では、土木構造物に関する
化に伴い、構造物を改善・向上させる必要が生じています。重
豊富なノウハウを生かし、専門知識を有する技術者が最先端
要な社会資本である橋梁やトンネルなど土木構造物の機能
の技術を駆使して総合的なリニューアルを実施します。
■
調査・診断・予測技術
ロボットアーム
30cm
自動シフト
コンクリートの劣化診断・予測技術
打音装置
現地調査および最先端の機器を用いた詳細調査結果に基
づき、コンクリートの劣化原因の究明と現状の耐力や耐久性
自動距離
測定装置
の評価を行います。その上で、劣化進行予測手法を利用して
幅
150cm
ライフサイクルコストを考慮した最適な維持・改善計画を提
障害物位置
測定装置
案します。
(図1)打音システム概念図
トンネルドクター「ソニックマイスター」
「ソニックマイスター 」は、
トンネルの剥離・空洞診断技術
の主体である打音診断を「確実に早く」実施する目的で開発
した実用機です。油圧式5連装備で得られた「 音 」を人間の
聴覚判断機能に近いデジタル信号に処理し、それを分析・保
存することでコンクリート表層部の一次診断を高速で行いま
ソニックマイスター
す(図1)。
■ リニューアル技術
トンネルリニューアル
高 強 度プレキャストコン
クリート版 内 巻きによる
トンネル補修
コンクリートの剥落や漏水が生じたトンネルの補修や、通行
車両の大型化に伴うトンネルの拡幅などの事例が増えていま
す。大成建設では、さまざまな状況に応じて、高強度プレキャ
ストコンクリート版を「内巻き」したり、高強度モルタルを「吹
き付け」ることにより、短期間でトンネルのライフサイクルを
大幅に延ばします。
海底パイプラインリフレッシュ工法
パイプラインの老朽化対策は、
「新パイプラインの敷設」が
通常でしたが、新敷設ルートの確保が難しく、工費と工期が膨
大になるなどの課題が山積していました。大成建設は、老朽
化した既設パイプラインに新設パイプラインを挿入する工法で、
それらの課題を解決し、経済性に優れ、短期間でのリニューア
ルを可能にしました。
海底パイプライン
リフレッシュ工法全景
社 会 面 の 取り組 み
社会に安全・安心な技術を開発
■
放射性廃棄物地層処分の安全性評価技術
岩盤中の亀裂構造モデル
原 子 力 発 電 に 伴って 発 生 する高レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 は 、地 下
300m以深の岩盤中に地層処分することが法律によって定められ
ています。大成建設では、地下処分場の建設技術だけでなく、放射
性廃棄物を安全に処分するための技術開発にも取り組んでいます。
その中の一つである安全性評価技術は、放射性核種*が地下水の流
れで岩盤中の亀裂の中をどのように運ばれるかをコンピュータによ
りシミュレーションする技術を導入・開発し、より安全性能の高い地
下処分場のシステム構成やレイアウトの検討が可能となりました。
■
*放射性核種:ウラン、
プルトニウム
などの放射性元素
原子力施設の跡地を有効利用するために
原子力施設は役目を終えると解体撤去され、新たなエネルギー供給
施設へと生まれ変わります。この跡地を有効利用するために行う施設
解体作業を「廃止措置」
(デコミッショニング)と言います。原子力施設
は放射性物質が蓄積しているので、デコミッショニングではこの残存放
射能の取り扱いが重要で、一般的な建造物とは異なる高い技術が要求
されます。大成建設は、
「安全・安心」を提供するため、放射化コンクリー
トの切断をはじめ、除染、放射性物質の閉じ込め、あるいは遠隔操作な
どの技術開発に取り組み、環境や作業員の安全確保に努めています。
レーザ照射で放射能汚染したコンクリートを除染
戸建住宅の耐震性能∼パルコン・空間王∼
壁式構造は、壁・床・屋根で六面体を構成し、箱として、地震
壁も抵抗する部材として機能するので、高い耐震性を実現す
の揺れに抵抗します。地震の揺れを、面で分散・吸収するので、
ることがコンピュータによる解析結果でもわかります。阪神・
極めて高い耐震性を発揮します。
「大成建設の家」は、
「パル
淡路大震災、新潟県中越地震、福岡県西方沖地震、能登半島
コン」
「 空間王 」ともに、壁式構造を採用しています。壁式構
地震でも「大成建設の家」は、全半壊がゼロ、ガラスの破損も
造は、横からの揺れを受けても変形が少ないため、被災後の
なく、軽微な損傷が数棟あったのみで、極めて高い耐震性を
補修も容易で、補修費用も少なく済みます。また、直交方向の
有することが証明されています。
地震による構造体への負荷のかかり方(パルコン)
パルコン
地震による構造体への負荷のかかり方(空間王)
直交壁の
ある場合
在来鉄骨軸組構造
直交壁の
ない場合
空間王
在来鉄骨軸組構造
安
全
・
安
心
な
構
造
物
の
提
供
社 会 面 の 取り 組 み
会 社 の情報・知的財産の管理
企業活動に関する有用な情報の漏洩・流出を防止するため、
情報セキュリティ対策とともに知的財産の管理・活用に取り組んでいます。
情報セキュリティの徹底
情報セキュリティの社員教育
大成建設は、
「 情報セキュリティ対策推進コミュニティ」参
■
加企業として、
「ITの利用も安全第一!」をスローガンに掲げ、
情報セキュリティに関し、社員に周知すべき内容は、随時通
専門工事業者などの協力企業とともに、情報セキュリティへ
知やガイドラインを作成し、社内イントラネットに掲載し徹底
の意識の向上と強化を推進しています。
を図っています。また、新入社員や中途採用者を対象者とし
■
情報セキュリティガイドブックの作成
情報セキュリティガイドブック(社員用)
て集合研修を継続的に実施しており、今後はさらに対象者の
範囲を拡大していく予定です。
すべての役職員が最低限守るべき事項を「情報セキュリティ
ガイドブック」としてまとめました。このガイドブックを社員が
いつでも閲覧できるように社内イントラネットに掲載し、社員
の情報セキュリティに対する意識向上に努めています。
情報セキュリティポケットブック(協力会社用)
専門工事業者などの協力企業に対しては、
「情報セキュリティ
ポケットブック」を作成しました。情報セキュリティ対策の実施
状況を自己評価するための「自己点検シート」を作成・公開し、
社外に対する啓蒙活動も併せて実施しています。
知的財産に対する取り組み
■
知的財産に関する規程の整備
2002年以降 の「 知的財産立国 」に向けた国家的取り組
みとともに、知的財産への関心が一段と高まってきており、ま
■「 知 的 財 産 管 理 規 程 」2007年1月1日制定
知的財産の重要性を明確にするとともに、特許権・著作権・
た建設業界では総合評価入札制度の導入に伴い、企業の独
ノウハウ等の知的財産に関する役職員の認識を深め、知
自技術・ノウハウがより重視される一方、特許などの権利侵害
的財産リスクの軽減と戦略的な管理、活用を図ります。
による知的財産紛争も増加しています。
このような環境の中で、大成建設は、知的財産の創造、保護、
活用に関する全社的取り組みを強化し、知的財産管理ルール
■「 知 的 財 産 に 関 す る 方 針 」2007年1月1日制定
知的財産を戦略的に活用し、技術競争力の強化と企業価
を整備しました。知的財産に対する社員の意識を一段と高め、
値の向上を図るため、知的財産を重視する企業姿勢を明
独自技術やノウハウの流出、権利侵害などによるリスク軽減
確にしました。
を図ります。
新たに定めた「 知的財産に関する方針 」、
「 知的財産管理
行動指針
1 知的財産をベースにした事業戦略及び研究開発戦略の推進
2 戦略的な取得・管理体制の構築
規程」をもとに知的財産戦略を再構築し、技術競争力の強化、
3 戦略的な活用の推進
企業価値の向上に取り組みます。
4 知的財産に関するリスクマネジメントの徹底
5 グループ全体の知的財産力の向上
社 会 面 の 取り組 み
株主・投資家 のための情報開示
株主・投資家の皆様からの適正な評価をいただくことを目的に、
大成建設の企業価値について、タイムリーかつ的確な情報提供に取り組んでいます。
株主・投資家の皆様とのコミュニケーション
決算説明会
国内の機関投資家・アナリストの皆様に対しては、中間決算
時、期末決算時の年2回、説明会を開催しています。決算説明
会は社長自ら出席し、業績・経営戦略に関する説明および質
疑応答を実施しています。決算説明会以外にも、スモールミ
ーティング、個別の説明会(ワンオンワンミーティング)、注目
案件や当社の最新技術をご理解いただくための作業所見学
会を実施しています。また個人や海外の投資家の皆様に対し
ては、ホームページ上に決算説明会の資料やアニュアルレポ
作業所見学会
ートを和文・英文それぞれ掲載しています。こうした株主・機
大成建設ホームページのIRサイトは、業種別ランキング上位の
外部評価を得ています。
関投資家の皆様との日々のコミュニケーションを通じて得た
ご質問や関心事を、毎月「IRレポート」として経営陣をはじめ
建設業ランキング
第3位(日興アイ・アール(株)) 第5位(Gomez)
幹部社員にフィードバックし、常に市場を意識した企業戦略・
企業活動に生かしています。
世界の代表的なSRIインデックスに組み入れられています
近年、財務的見地からだけでなく、法令遵守や社会貢献と
いった観点から企業を評価・選別し、安定的な収益を目指す「社
会的責任投資(Socially Responsible Investment)」が
モーニングスター(日本)
注目されています。2007年5月現在、大成建設は海外の代
FTSE(英国)
表的なSRIインデックスである英国のFTSE4Good Global
*「モーニングスター社会的責任投資株価指数」は、モーニングスター(株)が国内上
場企業の中から社会性に優れた企業と評価する150社を選定し、その株価を指数化
した国内初の社会的責任投資株価指数。
Indexのほか、国内の「モーニングスター社会的責任投資株
*
価指数」
(2007年5月1日付)にも組み入れられています。
財務情報
◆
受注高(単体)
◆
売上高(単体)
◆
建築工事 土木工事 開発事業等
(億円)
建築工事 土木工事 開発事業等
(億円)
18,000
18,000
14,256 14,154
15,000
12,000
12,070 12,038
9,000
6,000
3,000
0
15,139
8,858
8,931
2,999
213
2,620
487
2002
2003
9,672 10,594 10,676
3,848
2,905
4,125
736
655
338
2004
2005
2006 (年度)
13,502 14,010
3,000
0
433
15,065
456
466
2005
2006 (年度)
400
12,400 12,326
337
339
300
9,000
6,000
(億円)
500
15,000
12,000
経常利益(単体)
8,996
8,864
3,213
191
3,040
422
2002
2003
10,017 10,088 10,891
2,794
3,409
3,658
691
513
516
2004
2005
2006 (年度)
※詳細データについては、弊社ホームページ「投資家の皆様へ」⇒「財務ハイライト」または「決算関連資料」をご覧下さい。
http://www.taisei.co.jp/about_us/ir/index.html
200
100
0
2002
2003
2004
会
社
の
情
報
・
知
的
財
産
の
管
理
/
株
主
・
投
資
家
の
た
め
の
情
報
開
示
社 会 面 の 取り 組 み
社 員とともに
一人ひとりの能力を最大限に発揮できるように、公正な人事評価を行い、
働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。
社員の能力開発と評価制度
■
キャリアアップ支援
公正な人事評価
■
社員の意欲・希望を重視しながら適材適所の配置を図り、
会社と社員が十分にコミュニケーションをとることにより、
キャリア形成を支援しています。
一人ひとりの社員が自分の能力を最大限に発揮できる環境を
● キャリア選択制度
(FA制度)・・・希望する業務・部署を申告登録し、登録データを参考に
整え、会社の活性化を促します。
して異動配置
●
社内公募制度・・・社内イントラネットに募集提示
● 目標管理制度で、
一人ひとりの目標を明確にします(年3回の上司面接)。
●
進路選択制度・・・高年齢社員の再就職支援、地域限定職への転換
●
■
上司同士が話し合って評価基準のレベルを合わせる会議を開催しています。
●
評価結果は本人に開示し、上司が説明しています。
●
昇進・昇級は、評価結果に基づいて決定しています。
研修体系・資格取得支援
入社後一貫した研修制度と資格取得支援を推進し、
トップ
レベルの技術者集団を養成しています。
◆
取得を推進している主な公的資格
建築施工
設 計
技術士(建設・総合技術監理)
一級建築士
一級建築施工管理技士
一級土木施工管理技士
建築構造士
一級電気工事施工管理技士
コンクリート技士
技術士
一級管工事施工管理技士
コンクリート主任技士
建築設備士
建築設備士
コンクリート診断士
電気主任技術者
監理技術者
土木学会認定技術者
一級建築士
研修体系
◆
土木施工
入社
キャリアアップ期
不動産鑑定士
技術士(機械・経営工学・情報工学)
技術士(建設・環境・衛生工学)
不動産証券化協会認定マスター
一級電気工事施工管理技士
一級土木施工管理技士
土壌環境監理士
技術士(都市及び地方計画)
一級管工事施工管理技士
ファシリティマネージャー
プロジェクトマネジメントスペシャリスト
一級造園施工管理技士
宅地建物取引主任者
情報処理技術者
ビオトープ計画及び施工管理士
再開発プランナー
中小企業診断士
公害防止管理者
定年退職
選択研修*1
OJT*2
エコロジ ー 部 門
キャリア活用期
英会話講習・集中講座等
部門別専門研修
エ ン ジ ニ アリン グ 部 門
45歳
キャリアプラン期
コンプライアンス研修・人権研修
労働安全コンサルタント
開発部門
32歳
導入研修
キャリアビジョン研修*3
マネジメント研修*4
コア人材研修*5
社外派遣・国際要員研修*6
*1 本人が選んだ社外講習等の費用を会社が負担
*2日常業務の中で指導員がマンツーマン指導
*3 管理職へのステップアップ研修
*4 管理職のためのマネジメントスキル研修
*5 将来の経営を担うビジネスリーダーの早期育成
*6 高度専門知識習得のため国内外の企業・大学に派遣
医業経営コンサルタント
社員のゆとりと安心のための制度
■
多様な労働時間制度
●
●
■
社員が心身共にゆとりを持ち、安心して働ける環境をつ
85.5%)
75.1%) メンタルヘルスケアへの取り組み
フレックスタイム制・専門業務型裁量労働時間制・変形労
社員や家族が抱える精神的・肉体的負荷による不安や問題
働時間制など、多様な労働時間制度により社員のやりが
を未然に防止することを目的とした4ステップのメンタルケ
いを高める柔軟な働き方を推進しています。
アプログラムを導入し、安心して働くことのできる環境を提
供しています。
年次有給休暇のほかにも、半日休暇、リフレッシュ休暇、
介護休業、ボランティア・自費留学のための休職制度など
を設けています。
●
節目休暇・
・
・外勤者の異動時や工程節目(2006年度取得率
■
節目休暇などを設け、取得を促進しています。
●
●
くるために、労働時間の短縮に取り組んでいます。
休暇・休職制度の充実
●
● リフレッシュ休暇・
・
・勤続10年・20年・25年・満55歳時(2006年度取得率
疾病時の休暇と給与を保証しています。
◆
4ステップのメンタルヘルスケアプログラム
● EAPによるセルフケア
●
職場環境等の改善及び管理職の教育によるラインケア
●
産業医及び保健スタッフ等によるケア
●
医療機関および地域保健機関の活用によるケア
社 会 面 の 取り組 み
働きやすい職場環境の確保
■
女性・高齢者が活躍するために
2007年6月に女性活躍推進室を設置し、女性の働きやす
さを高める取り組みを積極的に行うとともに、女性の新卒採
用数を増やしています。また、再雇用制度の拡充により、高い
技術力を持つOB・OGが定年退職後も活躍しています。
●
再雇用者数(2007年4月1日時点)264名
女性社員と新卒採用数
◆
◆
社員数(在籍者)の推移
(総合職・専任職)
女性新卒採用数
女性(総・専)
(名)
52
(名)
50
200
(名)
10,000
女性
10,048
9,748
9,561
9,465
男性
9,432
40
30
8,679
5,000
15
17
8.300
8,244
8,247
2005
2006
画」を策定し、2005年度より実施しています。
◆「一般事業主行動計画」
10
146
205
0
■
8,421
20
50
116
仕事と家庭の両立支援
次世代育成支援対策推進法に基づく「 一般事業主行動計
150
100
■
2007(年度)
0
1,369
1,327
1,261
1,221
2003
2004
2005
2006 2007(年度)
(3月末現在)
1,185
女性の職域拡大
●
男性のための配偶者出産休暇の導入(2006年度実績63名)
●
育児のための短時間勤務制度の拡充・・・子が3年生を終了するまで
(2006年度実績17名) ●
年次有給休暇の取得率の向上(2006年度実績 31.9%)
●
育児・介護休業に関する諸制度の周知
男性社員への波及効果も含め、全社の活性化を促進する目
◆
的で、女性社員の職域拡大に取り組んでいます。2006年度
育児休業取得率
(育休取得者数/出産者数)
2004年度
2005年度
2006年度
から、社内公募により女性の外務営業職を募集し、現在、5名
女性の育児休業取得者
12
22
23
の女性社員が外務営業職に配属されています。従来、建設業
取得率
80%
100%
96%
界は「男性の職場」という固定観念が根強く、営業職などでは
※2006年度中は男性2名が育児休業を取得
女性の活躍の場が限られていました。時代の変化に伴い、社
※育児休業は子が2歳に達するまで取得可能(法定以上)
会・顧客のニーズは多様化し、大成建設の営業活動も新しい
障害者の雇用
スタイルへと変化しています。今後さらに企画提案営業が重
■
要になることから、女性の優れた感性を広く営業活動に生か
障害のある方の雇用を促進し、働きやすい環境を整備する
し、女性の職域拡大を図っていきます。
とともに、活躍できる場を提供しています。
●
障害者雇用率(2007年4月1日時点)1.75%
人権の尊重
大成建設は、人権尊重の精神を浸透させるために「人権啓発
教育体系の中に人権研修を組み込み、入社時のほか、年次ごとに
推進委員会」を設けているほか、
「東京人権啓発企業連絡会」に
集合研修を実施しています。さらに、セクハラ、パワハラなどの
加盟して、社外の人権啓発活動にも参加しています。また、社員
問題に対応するために、社内に苦情・相談窓口を設けています。
社
員
と
と
も
に
社 会 面 の 取り 組 み
社員・作業員 の安全衛生のために
「TAISEI OHSMS」を展開し、内部監査、作業所パトロール、社員教育等を実施するととも
に、専門工事業者の安全衛生環境協力会活動を指導・支援しています。
安全衛生方針
「全国安全週間」に社長が巡視
大成建設は、体系的・組織的に実施する「TAISEI OHSMS」
2007年7月の「全国安全週間」は、
“組織で進めるリスク
( 大成労働安全衛生マネジメントシステム)を安全衛生管理
の低減 今一度確認しよう安全職場”をスローガンとして、事
の基本とし、
「 安全第一主義 」により、働く人々が安心できる
故・災害を発生させる可能性がある危険有害要因についてリ
安全衛生環境の向上と整備に努め、社会からも信頼と共感を
スクアセスメントを確実に実施すること等を目的に展開され
もって受け入れられる企業を目指しています。
ました。大成建設では安全週間の行事の一環として、7月5日
1.「 事故・災害の撲滅」
に東京支店 富ヶ谷トンネル工事作業所と横浜支店(仮称)モ
2.「 第三者災害の防止」
リモト横濱ポートサイドビル新築工事作業所を社長が巡視し
3.「 安全衛生水準の向上」
ました。当日社長は作業員一同を前に、
「自分の現場からは絶
この方針のもと、従業員ならびに関係する専門工事業者がそ
対に事故や災害を発生させないという強い信念を持ち、無事
れぞれ培った管理技術と安全に対する熱意を結集し、
「すべ
故・無災害で竣工を迎えて欲しい」と訓示し、安全作業を呼び
ての災害は防ぐことができる」という信念を持って全員参加
かけました。
による安全衛生管理活動を積極的に展開しています。
厚生労働大臣表彰を3事業場が受賞
厚生労働省より「平成19年度 安全衛生にかかる優良事
業場、団体又は功労者に対する厚生労働大臣表彰」受賞者の
発表があり、大成建設では下記の2作業所において優良賞、
1
作業所において奨励賞を受賞しました。この優良賞は、全産
作業所を巡視する山内社長
業の中でも安全な職場環境の確保について特に優秀で他の
模範であると認められた8事業場に贈られました。
安全成績
(優良賞)
・関西支店:高速電気軌道第8号線 自 城東区鴫野東二丁目
過去5年間の建設業全体の労働災害発生度数率は、1.0∼
至 東成区東中本一丁目 間 地下線路および緑
1.5で推移しています。大成建設の災害発生度数率は、安全
橋停留場工事(6工区)
衛生管理の徹底により2006年には0.53となり、建設業平均
・東北支店:秋田中央道路整備工事SA20−10
(奨励賞)
と比べて極めて低く、業界トップレベルを維持しています。
◆
災害発生度数率の推移
・札幌支店:
(仮称)読売新北海道ビル新築工事
全産業度数率 建設業度数率 当社度数率
高速電気軌道第8号線地下線路および
緑橋停留場工事
2.5
2.0
1.77
1.5
1.04
1.78
1.61
1.85
1.77
0.0
秋田中央道路整備工事
0.7
2002年
1.90
1.55
0.97
1.0
0.5
1.95
0.8
2003年
0.64
2004年
0.51
0.53
2005年
2006年
社 会 面 の 取り組 み
作業員の安全性向上
作業員の安全性向上を目指し、工事中の防災システム、危険作業の無人化施工システムを開発しました。
■
持ち運べる警報機を使った地震防災システム
大成建設は、地震の揺れが来る前に警報する持ち運び
■
アスベスト無人化除去・回収システム
大成建設は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総
可能な警報システムを開発しました。建築現場では、工事
合開発機構(NEDO)の委託事業として、建物解体時にお
の進捗に伴い危険な作業場所が頻繁に変わるため、有線
ける乾式系吹付けアスベスト無人化除去・回収システムを
LANを使った固定式の警報システムの採用が難しい状況
新たに開発しました。このシステムは、アーム先端部に水
でした。本システムでは、特定小電力無線を使った小型警
と圧縮空気および粉体などを同時に噴射するノズルを装
報機(重さ3.8kg)を用い、一定以上の地震が予想される
着したロボットを、別室にいる作業員が遠隔操作し、室内
場合、大音量音声と警報ランプにより地震の揺れが来る数
やロボット本体に取り付けられた監視カメラからの映像に
秒前から数十秒前に作業員に知らせ、避難行動を喚起する
より、アスベストを除去・回収するものです。従来の専用防
ことが可能です。
護具を付けて行う作業を大幅に削減することで、安全性、
※本警報システムは(株)サンコーシヤとの共同開発です。
作業効率性において格段の向上が図れます。
◆
吹き付けアスベスト除去・回収システムの概要
【剥離・除去】
【収集・回収】
警報機を作業エリアに設置
HIV/エイズ対策プロジェクト
ベトナム・カントー橋建設工事作業所にて、円借款(有償
世界的視野からみたCSR活動として、今後、こうした地球
資金援助)主体である国際協力銀行(JBIC)の積極的推
規模の問題に対して人道的な見地から長期的、持続的に
奨のもと、大成建設JV作業所、CARE International
取り組んでいきます。
Japan (NGO)、現地保健局が一体となった「HIV/エイズ
対 策プロジェクト」を展 開しています 。現 在 、世 界 中で約
4,000万人とも言われているHIV感染者、中でも開発途
上国では、不十分な知識、教育の不備からの感染拡大が大
きな問題です。プロジェクトでは、感染症への理解促進キャ
ンペーン、政府関係者や地元企業とのミーティングなどさ
まざまな活動を展開しており、関係者の意識向上、作業員
の生活習慣の改善など、活動の成果が表れています。大規
模インフラ開発に伴う“負の影響”を軽減するためにこの
ような活動は、不可欠であると考えています。大成建設は、
月例会議を利用しての「正しい対策知識」の講義
社
員
・
作
業
員
の
安
全
衛
生
の
た
め
に
社 会 面 の 取り 組 み
地 域 社会とともに
地域社会と共生し、良き企業市民として社会のニーズに応えるよう、貢献します。
大倉集古館への支援
日本棋院への支援
大成建設の創業者である大倉喜八郎翁が収集した日本・東
大倉喜七郎を名誉総裁として、伝統文化である囲碁の普及
洋の絵画、彫刻、工芸などの美術品を展示公開する「 大倉集
を目的に日本棋院は1924(大正13)年に設立されました。
古館」は、1917(大正6)年に日本初の私立美術館として設
以来、囲碁を通して社会に貢献することを使命とし、国内、海
立されました。関東大震災後に再建された建物(伊東忠太設
外へ の囲碁の普及、国際交流を積極的に推進している(財)
計、大倉土木施工)は有形登録文化財で、現在も国内外の観
日本棋院に、大成建設では毎年資金的な支援を行うとともに、
覧者を集めています。大成建設は運営する(財)大倉文化財
1992年の第13回大会より文部科学大臣杯少年少女囲碁
団に毎年資金的な支援を行っています。
大会に特別協賛をしています。
第27回文部科学大臣
杯少年少女囲碁大会
全国大会
写真提供:
大倉集古館
ギャルリー・タイセイに約8,600名が来場
近代建築の巨匠ル・コルビュジエの油彩・デッサンなど200
点以上を所蔵する大成建設は、ル・コルビュジエの造形活動を
多角的に紹介することを目的に常設ギャラリー「ギャルリー・
タイセイ」を1992年11月に開設しました。
2006年度は「大熊喜英の建築−和のまなざし−」展、
「ル
シアン・エルヴェ/ル・コルビュジエ−写真家と建築家の協奏−」
展ほかを開催し、建築を学ぶ学生を中心に約8,600名の来場
者を迎えました。
ギャルリー・タイセイ
国際親善交流特別演奏会の支援活動
大成建設は、日本音楽文化交流協会、国際親善交流特別演
奏会実行委員会主催の「国際親善交流特別演奏会」に協賛し
ています。この演奏会は、互いの文化発展向上を目的に世界
各国の著名な演奏家を日本に招き、毎年12月の「 障害者週
間」に開催されています。日頃演奏会を楽しむ機会の少ない
視覚障害者や身体障害者、その方々を支えるボランティア団
体、母子家庭、養護施設の子どもたち、高齢者をご招待する社
会貢献活動です。
日本・ルーマニア文化交流演奏会の様子
社 会 面 の 取り組 み
能登半島地震で復旧支援活動
2007年3月25日に発生した能登半島地震では、発生後、
の自主点検結果と復旧方法等を管理者へ提案したほか、要請
社員が駆けつけて、地域の災害復興に協力しました。大成建
に応じて国道トンネルの復旧方法等を管理者へ提案しました。
延べ64台の
収集運搬車両を提供
設も出資する(株)門前クリーンパーク(本社:輪島市)と連携
して支援物資の提供をはじめ、緊急支援活動をタイミング良
く実施し、災害廃棄物撤去作業に協力しました。延べ64台の
ダンプ車両を提供し、市内各所の災害廃棄物をリサイクルセ
ンターまで収集・運搬しました。これは、同期間の災害廃棄物
収集運搬車両の約2割に相当します。また、大成建設が施工
した施設・構造物について被災状況を確認し、被災した橋梁
災害廃棄物撤去作業に協力
公益信託 大成建設自然・歴史環境基金
大成建設自然・歴史環境基金は、創業120周年の記念事業
を次世代に継承することによって、人類の健康で文化的な生
の一環として、1993年に10億円を信託し、設立されました
活を確保することです。大成建設が企業市民として果たすべ
。その目的は、現在および将来の人類共通の財産である自然
き社会交流の一つです。
環境や、歴史的建造物の保護に役立つ事業に助成し、これら
◆
2006年度助成先一覧
分 類
自然環境・研究
自然環境・活動
歴史環境・研究
場 所
地域
団 体 名
研 究・活 動 の 内 容
関東
小笠原諸島
NPOエバーラスティングネイチャー
小笠原諸島に繁殖来遊するザトウクジラの社会構成を解明する研究とその啓蒙
東北
東北地方の山岳地帯
NPO日本ツキノワグマ研究所
ドングリの不作とツキノワグマの出産の相関関係の研究
中国
紀伊・播磨・備讃瀬戸等
瀬戸内海研究会
瀬戸内海の自然環境保全のための新たな景観評価の動きに関する研究
関東
岐阜県不破郡垂井町
NPO泉京・垂井(セントタルイ)
垂井町の水みちについての調査研究と災害時対応地図の作成
関東
横浜市瀬谷区・泉区・旭区
NPO楽竹会
荒廃した竹林の整備再生と間伐材の粉末化及びその用途開発実践活動を通じた
環境技術の開発・環境づくり
九州
鹿児島県・沖縄県石垣市等
海辺の環境教育フォーラム
サンゴ礁保全をテーマにした海外資料の翻訳と研修会の実施
関東
小笠原諸島・嫁島
NPO小笠原野生生物研究会
帰化植物(ヤダケ)の増殖を抑え、海鳥の生息環境を保全する
海外
ネパール王国パルバット県
NPO・アイウエオサークル
ネパール住民主導の植林により棚田を再生する環境保全活動
海外
インドネシアマレンゲ島
バビルサ基金東京支部
インドネシアの稀少動物バビルサとその生息地環境の保護実態調査ならびに
自然環境教育の実施
関東
足立区千住地区
NPO千住文化普及会
千住大橋と橋詰テラスゆかりの歴史文化をまちづくりに活かすための調査研究
北信越
長岡市
中越震災復興プランニングエイド
長岡市小国法末地区の景観再生調査とDVD作成
北信越
坂井市三国町
若越建築文化研究所
三国湊の町家に関する調査報告書の刊行(修理工事報告など)
四国
高知県安芸郡
中芸地区森林鉄道遺産を保存・活用する会
高知県東部中芸地区に残る森林鉄道遺産の詳細な記録
中部
名古屋市千種区
NPO揚輝荘の会
多様なまちづくり資源「揚輝荘」の保全、PR、活用
近畿
京都市東山区
NPO古材文化の会
伝統木造建築技能を学ぶための市民向けの普及啓発教材の作成
九州
熊本県阿蘇郡
旧国鉄宮原線跡地再活用検討委員会
戦時下に建造された竹筋コンクリート造と言われているコンクリートアーチ橋の調査
中国
山口県熊毛郡
祝島ネット21
上関町祝島にある石積み練塀集落の保存
「民家バンク制度」によって移築再生される民家の映像記録・報告書の制作及び
その上映・販売活動
関東
千代田区平河町他
日本民家再生リサイクル協会
関東
北杜市須玉町
NPOえがおつなげて
伝統的な建築構法の体験学習の展開及び都市農村交流活動拠点としての古民家改修事業
放置された近代産業遺産をアートというソフトを導入して主に観光資源として
地域活性化を図る
歴史環境・活動
京都市東山区六波羅
近代産業遺産アート再生学会
北信越
近畿
大町市
猿ヶ城風穴調査委員会
信州山村文化の源流∼風穴を利用した養蚕保存用の天然冷蔵庫の保存及びその活用事業
北信越
長野市松代町
NPO夢空間松代のまちと心を育てる会
文化財の登録で元気なまちづくり
九州
平戸市
庭を守る会
平戸城下武家屋敷庭園のオープンガーデン
関東
前橋市
NPO住・環境支援ネット
臨紅閣・別館の構造的安全性の調査および活用を考える
近畿
京都市中心・全国
関西木造住文化研究会
既存伝統木造住宅の住まい手向け防火改修の手引きの作成と普及活動
地
域
社
会
と
と
も
に
社 会 面 の 取り 組 み
グループ会 社・協力会社とともに
グループ会社・協力会社とは、ともに歩むパートナーとして、ともに成長し、
良好な関係を構築します。
ウッドファイバー舗装が資源環境技術システム表彰を受賞 −大成ロテック(株)− 大成ロテック
(株)の開発したウッドファイバー舗装が
(財)
ク
リーンジャパンセンターの資源環境技術システム表彰の会長
賞に選ばれました。従来の木質系舗装は雨水によってチップ
が流出したり、河川の冠水がある場所では水に浮いてしまう
など、耐久性に問題がありました。そこで、バインダにウレタン
樹脂を使用して耐久性を飛躍的に向上させ、歩行性にも優れ
た木質系舗装技術を開発しました。また、材料に間伐材を使
用したことが、森林の健全な育成に貢献していると高く評価
され、エコマーク認定を受けています。
ウッドファイバー舗装
平成19年度郡山地方消防防災協会表彰を受賞 −(株)ホテルプリシード郡山−
(株)ホテルプリシード郡山は、ホテルにスポーツクラブおよ
業所が加盟する郡山地方消防防災協会より「防火管理部会・個
びショッピングモールを併設した複合商業ビルを開業以来お客
人表彰」を受賞しました。これは長年にわたり防火管理者とし
様の安全を第一とする
て同社のみならず地域社会の火災予防に尽力した功績が認め
経営姿勢をもって運営
られたものです。表彰に際し、
ご来賓の郡山市長、郡山地方広
し て ま いりまし た が 、
域消防組合の高田繁消防長、郡山警察署長より地域社会の模
2007年5月同社執行
範であるとのお言葉をいただきました。なお、
ビル管理法に基
役員が郡山市および周
づく維持管理は同社より大成サービス(株)が受託しており、同
辺市町村 の1,214事
じ大成建設グループ経営理念の下で、技術力を発揮しています。
表彰受賞の模様
社会見学 体験学習実施について −
(株)ホテルプリシード名古屋・大成ユーレック
(株)
−
(株)ホテルプリシード名古屋では、2007年2月、社会見学
参加者からは、
「建築について勉強になった」とお礼のお手紙
の一環として「体験学習」を行いました。将来ホテルに就職を
をいただきました。
希望する女子中学2年生3名を招待し、ホテル内で実際に接
今後もこのような「 体験学習 」に協力していきたいと考え
客業務を体験していただきました。また、昼食時間にはフラン
ています。
ス料理のテーブルマナー講習も実施し、参加者からは、ホテ
ルの業務を体験した喜びと、業務を経験した驚きの声を聞く
ことができました。
大成ユーレック(株)では、東京城西ロータリークラブのジ
ュニア支援活動に協力し、中学生の職場訪問を受け入れてい
ます。2006年9月に、杉並区立天沼中学校の2年生2名が
本社オフィスを来訪、大成ユーレックと建設会社の仕事につ
いての説明を受けた後、実際に設計業務を体験したり、作業
所では内装の壁紙やボード貼り工事の様子を見学しました。
作業所の見学風景
社 会 面 の 取り組 み
新ビル管理支援システムによりタイムリーな省エネルギー提案が可能に −大成サービス(株)−
大成サービス(株)は、水・電気・熱の「エネルギー管理」を
自に開発し、運用しています。毎日の管理日誌に入力するだけ
より速く集計可能とするビル管理支援システム(BUILDING
で各種台帳(点検・故障・修理・工事・警報・依頼事項)が分類
MANAGEMENT SUPPORT SYSTEM『B-MAX』)を独
され、確実な履歴管理を行うことができ、また、設備管理業務
●B-MAXの機能
―― 機能ラインナップ ――
報告書管理
作業進捗管理
安全衛生管理
履歴管理
エネルギー管理
建物情報管理
設備機器管理
予備品管理
保全計画管理
に必要なその他の管理システム(エネルギー管理・作業進捗
管理・予備品管理・予防保全計画等)が一つにまとまっている
ため、お客様へのタイムリーな省エネルギー提案を可能とし、
業務計画や中期修繕計画の立案に活用することができます。
「安全帯シール」を全作業員に配付
大成建設安全衛生環境協力会は、全国約1万社の専門工事
環境協力会では、
「 安全帯
業者が加入し、労働災害の撲滅と環境保全に努めることを目
シ ー ル 」を 全 作 業 員 に 配
的として活動を行っています。2007年1月には、墜落災害
付しまし た 。今 後 も 、
「す
の防止に向けて、作業員一人ひとりが安全帯の完全使用を図
べ て の 災 害 は 防ぐことが
るとともに安全帯の使用状況を遠くからでも確認できるよう、
できる」という強い信念を
「安全帯シール」を作製しました。
グ
ル
ー
プ
会
社
・
協
力
会
社
と
と
も
に
持って、災害の撲滅に向け
特に墜落災害は、一歩間違えば死亡災害につながる災害で
てさまざまな活動を行って
あり、災害発生件数の中で占める割合も高いため、安全衛生
いきます。
シールを貼ることで、
安全帯の使用状況が
遠くからでも確認できる
空き缶リサイクルによる車椅子の寄贈
建築現場は一般的に地域との関係が疎遠になりがちですが、
店の複数作業所にて実施され、全国的な広がりを見せていま
私たちのことを理解していただくために、さまざまな形で地
す。この 中には、アルミ缶
域社会とのかかわりを持つような活動を行っています。大成
21万本で自治体へ車椅子
建設および安全衛生環境協力会では、作業所に設置した自動
10台を寄贈したこともあ
販売機の空き缶を回収し、自治体や学校、
NPO等に寄付をし
ります。
ています。2006年度は、東京、関西、東北、広島、四国の各支
感謝状を手にする職長会の皆さん
専門工事業者経営者の環境研修会実施
大成建設名古屋支店、東京支店の安全衛生環境協力会で
は、
「地球温暖化防止と省燃費運転」というテーマで、当社の
講師により、名古屋では172人、東京では160人の参加者に
対し、研修会を行いました。日頃のちょっとした心掛けで、地
球環境に貢献し、コストも削減できるエコドライブの推進を、
これからも進めていきます。
名古屋支店
協力会での研修
環 境 面 の 取り組 み
環 境 経営活動の実績と目標
すべての活動において、環境方針にのっとって具体的な環境目標を設定し、
環境リスクや環境負荷の低減を実践しています。
環境方針
大成建設は、
「人がいきいきとする環境を創
造する」ことを企業使命とし、
「人と自然との関
係を大切にする」という経営姿勢のもとに、建築
及び土木の施設・構造物の建設等を通じて良質
な社会資本のストック形成に貢献している。
しかし、その過程において、自然の改変、資源・
エネルギーの消費、廃棄物の発生等、地球環境
に様々な影響を与えていることも事実である。
行 動 指 針
1 大成建設及びグループ会社は、各々環境目標を掲げて環境保全活動を展開し、そ
の実施結果等の環境情報を公開するとともに、継続的改善を図る。さらに、専門工
事業者をはじめとする取引業者の自主的な活動を支援することにより、環境保全
活動の輪を広げる。
2 環境に関する法律、規則、協定等を順守するとともに、自主的な目的・目標を設定
し実行する。
3 企画・設計段階において、地球環境及び生物多様性への配慮を行い、自然環境と
共生した施設の創造、ライフサイクルにわたる省エネルギー・省資源等について顧
客に提案する。
このことを真摯に受け止め、当社は、全ての
4 施工段階では、地球温暖化防止、環境汚染の予防、ゼロエミッションを目指した建
設副産物の発生抑制・リサイクル・適正処理を推進し、環境への負荷の低減に努める。
企業活動において、「環境マネジメントシステム
5 環境に関する技術開発を積極的に推進し、その応用展開を図る。
( E M S )」を有 効に活 用して「 環 境 の 保 全と創
造」に努め、良き企業市民として社会的責任を
果たしていく。
6 地域社会とのコミュニケーションを図り、地域環境の保全に協力する。
7 海外諸国やNGO等に対しても、環境の保全と創造に関わる技術的、経済的な支
援を行う。
2007年4月1日
大成アジェンダ2006実績
大成アジェンダ2006の取り組みにおいて、ほぼ目標は達成できましたが、建設廃棄物リサイクル率など3項目において目標
を下回りました。
目 的
目 標
エコシートCASBEEの活用による
建物運用段階でのCO₂予測排出量の削減
(1990年度省エネルギー法適応ビル比)
計 画・設 計
エコシートCASBEEによる
グリーン調達品目の採用提案
運用段階の省エネ省資源
(環境配慮設計・提案の推進) 環境配慮チェックシート適用件数の増加
(前年度比)
環境関連技術のプレゼン件数の増加
(前年度比)
環境技術の提案および展示会・セミナーの推進
2006年度
目標値
実 績
評価
関連
ページ
15%
24.5%
719t-CO₂/年
運用段階でのCO₂削減量 :16,
○
41
主要品目の推進
ー
平均 7 品目/件(前年度 : 6 品目/件) 主要品目は、断熱材、再生鋼材、高炉セメント等 8 品目
○
43
1%
1.7%
適用件数 : 60 件(前年度 :59 件) ○
ー
エンジニアリング
1%
3.2%
提案件数 : 128 件(前年度 : 124 件)
※エンジニアリングでの提案件数
○
ー
社内外へ環境保全
活動を周知徹底
ー
環境に関する提案件数 : 建築236件 土木 173 件
環境を主とした展示会等を4 回実施
○
ー
△
施 工・リ ニュ ー ア ル・解 体
ー
作業所環境パトロール実施率 : 99.6 %
実施延べ回数 : 1,263(予定延べ回数 : 1,268 )
環境リスク
研修の実施
ー
環境リスクマネジメント研修・教育を実施
受講者数 : 672 名
○
10%
32.1%
CO₂排出量 : 30.8 万t-CO₂ エコドライブ研修の実施
○
42
42%
42.5%
作業所環境パトロール
実施(年2回/作業所)
環境関連法規制等の順守
CO₂排出量の削減(1990年度比)
活動内容と成果
49
施工段階の省エネ・省資源
*1
グリーン調達比率
建設副産物の削減
・リサイクル・適正管理
の向上
建設廃棄物リサイクル率*2(汚泥を除く)の向上
建設廃棄物の適正管理
(電子マニフェスト導入の推進)
有害物質(石綿、PCB、ダイオキシン等)の
適正処理および管理
有害物質の
適正処理及び管理
汚染土壌の適正処理と記録の保管
94%
全国主要作業所
への導入
*7
工事に伴う汚染
土壌管理の徹底
*8
研究開発
環境技術の研究・開発
とその応用展開
環境関連研究開発コスト比率*3 の増加
オフィス
電力使用量の削減(前年度比)
オフィスにおける省エネ・省資源 事務用品の有効活用および
(チームマイナス6%活動の推進) グリーン購入比率*4 の向上
PPC用紙使用(購入)量の削減(前年度比)
○
43
ゼロエミッション重点実施作業所 210 作業所{建築(120 )、土木(90 )}
指定業者制度による委託処理業者の選定
△
43
ー
電子マニフェスト導入率: 45.2 %
全国主要作業所で導入。デジタルペンによる運用モデルを開発
○
44
ー
石綿除去業者登録制度を創設し、運用開始
保有PCBの適正管理の実施
○
44
ー
対応件数 :239 件(建築:127 件 土木:112 件)
○
ー
○
44
エネルギー、住環境、持続可能社会構築、浄化・再生等の関連技術
の研究・開発を継続実施
○
47
電力使用量 :1,854 万kWh(前年度 :1,952 万kWh)
夏季28℃、冬季20℃の室温設定管理、不要な照明の消灯
○
ー
93.6%
ー
22%
22.5%
1%
5.3%
76%
76.9%
1%
−0.8%
全支店に
「エコモデル・プロジェクト」
を選定し、
環境配慮設計、
エコモデル・プロジェクトの推進
トータルCO₂リダクション、
ゼロエミッション等の活動を推進する。
60品目選定
「2006年度グリーン調達ガイドライン」を作成し、
調査件数 :11 件
「土壌汚染業務確認リスト」等による適正処理・管理の実施
○
ー
PPC用紙購入量 :414.7t(前年度 :411.
4 t)
×
ー
( )は竣工した作業所
全支店にプロジェクトを選定し、活動を展開
対象作業所数 : 建築 15(13)作業所 土木 15(5)作業所
○
ー
「グリーン購入標準」による事務用品の購入の徹底
評価基準 ○:目標達成 △:前年度目標又は前年度実績を超えたが今年度目標は未達成 ×:前年度目標と前年度実績を超えないで今年度目標を未達成
35
大成建設 CSR 報告書 2007
環 境 面 の 取り組 み
◆
組織体制
ISO14001認証取得状況(グループ含む)
登録組織名
認証取得年月日
大成建設(株)*1
社 長
地球環境委員会幹事会
地球環境委員会
委員長 : 副 社 長
・環 境マネジメント部 会
統括環 境管理責任者
・建築環境部会
・土木環境部会
全社EMS事務局
(安 全・環 境 本 部 長 )
環境協議会
内部環境監査員
大成グループ
環境推進会議
本社環境委員会
〔本社〕
2004.6.21
中建一大成建筑有限責任公司*4
2006.4.28
審査登録機関は
*1 :
(財)建材試験センター
(JTCCM-EMCA)
*2 :日本化学キューエイ
(株)
( JCQA)
*3 :
(株)
マネジメントシステム評価センター
(MSA)
*4 :CNAB
本部環境委員会
環境管理責任者
研修・教育
(2006年度)
〔支店〕
支 店 長
研修内容
環境管理責任者
支店EMS事務局
( 安 全・環 境 部 長 )
環境担当室長
環境担当室長
人数
新入社員研修
支店環境委員会
本部EMS事務局
1999.9.6
大成ロテック(株)*3
◆
本 部 長
1998.9.20
大成建設ハウジング(株)
テクノ事業部
ジオウッド工場*2
作業所
※住宅事業本部、国際事業本部を含む
82
支店一般環境教育
2,998
年次別専門研修
1,036
専門工事業者研修
3,593
環境スキルアップ教育
205
環境パトロール者研修
38
大成アジェンダ2007目標
大成アジェンダ2007の策定に際し、①「環境社会貢献」
「生態系保全」項目の追加②CO 2 排出量の目標基準③グリーン調達基
準・目標値の変更④オフィス活動目標の一部廃止など、内容の見直しを行いました。
2007年度
目標値
2010年度
目標値
*1
:グリーン調達比率=
(全グリーン調達特定品目購入
費/期中の材工を除く全材料購入費)
×100
20%
30%
*2:建設廃棄物リサイクル率(汚泥を除く)=[( 発生量
−最終処分量)/発生量]×100
主要品目の推進
主要品目の推進
*3
:環境関連研究開発コスト比率=
(環境関連研究開
4%
7%
環境関連技術のプレゼン件数の増加(2003年度比)
5%
10%
環境提案の推進
ー
ー
目 的
目 標
エコシートCASBEEの活用による建物運用段階での
CO 2 予測排出量の削減(1990年度比)
計 画・設 計
環境配慮設計の推進
エコシートCASBEEによるグリーン調達(主要品目)の推進
環境配慮チェックシート適用件数の増加(2003年度比)
環境関連技術の提案の推進
環境リスクの低減
(環境関連法規制等の順守)
施 工・リ ニュ ー ア ル・運 用・解 体
地球温暖化防止
ー
ー
<年2回/作業所>
<年2回/作業所>
環境リスク研修の実施
ー
ー
施工段階のCO 2 排出原単位*5
9%
12%
作業所環境パトロールの実施の徹底
グリーン調達の促進
グリーン調達指標*6 の向上
(環境配慮資源の有効利用)
建設副産物の削減・
リサイクル・適正管理
有害物質・化学物質の
適正処理および管理
44ポイント
47ポイント
建設廃棄物リサイクル率*2 の向上
94%
96%
電子マニフェスト導入率の向上
50%
70%
解体、改修工事に伴う吹付石綿と石綿含有建材の
適正処理および管理の徹底
ー
ー
工事に伴う汚染土壌の適正処理および管理の徹底
ー
ー
全売却予定土地における汚染土壌の調査等管理の徹底
ー
ー
研究開発
オフィス
社会貢献
地域生態系の保全
生態系ガイドラインに基づく保全活動の推進
活動の推進
活動の定着
環境関連技術の
研究・開発の推進
環境関連研究開発コスト比率*3 の向上
20% 以上
20% 以上
77%
日常管理
<年2回>
<年10 回>
ー
ー
オフィスの省エネ・省資源
グリーン購入比率*4 の向上
(チームマイナス6%活動の推進)
環境ボランティア機会の提供
(t-CO2)
/
*5
:CO 2 排出原単位=施工時CO2排出量
施工高(億円)
環 境 経 営 活 動の実 績 と目 標
温暖化防止プロジェクトの推進
発費/全研究開発費)
×100
*4:グリーン購入比率(対象4品目)
=
(環境配慮事務
製品の購入費/事務製品の総購入費)
×100
*6
:グリーン調達指標=
(主要なグリーン調達品目購入
費/総合調達における材料費)
×100
*7:解体、改修工事に伴う有害物質の適正処理及び
管理の徹底
*8
:全売却予定土地における汚染土壌の調査等管理
の徹底
環境社会貢献活動の推進
作業所における地域貢献活動の推進
総合的な環境活動の推進
エコモデル・プロジェクトの推進(各支店建築1、土木1以上のプロジェクトを選定)
大成建設 CSR 報告書 2007
36
環 境 面 の 取り組 み
環境の取り組み 全体像
建設業の業務プロセスごとに、大成建設が開発した技術などの取り組み内容を、
地域環境問題、環境共生、有害物質などの環境影響別にまとめました。
環境影響項目
環境にかかわる法規制
E M Sにおい て環 境 法 規 制を特 定
するとともに、関 連 の 深 いものに
ついては規制遵守の手順等を作成
しています。
●
環境基本法
京都議定書
●
京都メカニズム
●
地球温暖化対策推進大綱
●
地球環境
地球温暖化対策推進法
● フロン回収・破壊法
●
建設事業が展開される土地や周辺の状況を把
握し、お客様の要望に応えながら最適な環境配
慮 計 画 / 設 計を行 い 、建 物や施 設のデ ザイン、
構造、設備仕様を設計図書にまとめます。
環境配慮設計
寒冷地のエコ空調システム
(北国空調)
● ライフサイクル
● 床吹出し空調
● コンパクトダブルスクリーン
CO 2 の算定
● パッシブ建築
● 躯体蓄熱空調システム
● 省エネルギー設計・提案 ● 放射エアバリアシステム
● 省エネルギー診断技術
● 地中熱利用空調システム
● 建物緑化計画
の展開
● 氷蓄熱・多機能ヒートポンプシステム
● 再生可能エネルギーの適用
(風力、太陽光など)
● 太陽光採光システム
(T-ソレイユ)
●
●
● エコシートCASBEE
エンジニアリング
環境保全、環境創造、土壌・地下水浄化、
水処理、リサイクル、廃棄物処理・処分、エ
ネルギーなどに取り組み、お客様のニーズ
にお応えするとともに、新しい事業の創出
も行います。
● コージェネレーションシステム
●
季間氷蓄熱空調システム
●
地域冷暖房
●
風力発電システム/太陽光発電システム
● バイオエタノール製造
● バイオディーゼル燃料製造
循環型社会形成
●
改正省エネルギー法
●
住宅品質確保促進法
●
都市緑地保全法
●
京都議定書目標達成計画
●
循環型社会形成推進基本法
●
長寿命設計、耐震(免震、制振)
●
●
資源有効利用促進法
●
次世代知的制振システム(TASMO)
● PF
I による最終処分場の整備・運営事業
●
建設リサイクル法
●
超高強度コンクリート施工計画技術
● クローズドシステム最終処分場
●
CFT構法
●
廃棄物中間処理施設
●
廃棄物最小化計画
●
建設廃棄物RPF製造
●
環境配慮型解体計画
●
廃棄物最終処分場再生システム
●
雨水有効利用
● PF
I による都市ごみ炭化リサイクル事業
●
地域ゼロエミッション計画
●
廃食用油からバイオディーゼル燃料製造技術(BDF)
●
家畜ふん尿、生ごみバイオガス発酵・発電システム
●
●
建設廃木材からエタノール製造技術
間伐材を支柱とした屋外照明灯
●
総合騒音予測システム(TSounds)
● グリーン購入法
●
改正廃棄物処理法
● グリーン調達
●
騒音規制法
振動規制法
●
水質汚濁防止法
●
大気汚染防止法
●
NO X・PM法
環境影響評価法
●
●
環境アセスメント
● クーリング舗装システム
下水汚泥から土壌改良材の製造
地域環境
● ヒートアイランド解析評価システム
(T-Heats)(下図)
● ビル風予測評価システム
(Twinds-Ⅱ)
● 自然環境保全法
● エコロジカルプランニング
● ビオトープ完成後の生物調査
都市緑地保全法
● 自然公園法
● 野生生物保護法
● 森林法
● 自然再生推進法
● 景観法
● 特定外来生物法
●
生態保全技術
●
底泥浄化工法
●
景観計画
●
底泥置換覆砂工法
●
海洋深層水
土壌汚染対策法
●
●
感染性医療廃棄物無害化処理技術
●
室内空気汚染防止技術
農業集落排水処理の試行
●
環境共生
●
●
有害物質
37
計 画・設 計
● ダイオキシン類対策法
●
PCB廃棄物特別措置法
●
建築基準法
●
PRTR法
石綿障害予防規則
●
大成建設 CSR 報告書 2007
● ランドスケープデザイン
環境共生計画
● 建物緑化計画
●
健康建築:シックハウス対応
戸建住宅用循環型換気システム(タルカス)
● 土壌浄化ダブルキャップ保証
●
●
環 境 面 の 取り組 み
施 工
運 用・リニューア ル・解 体
研究開発技術の応用
計 画 書 や 設 計 図 書をもとに、資 機 材を搬 入
し、クレーン等の建設機械を駆使して、ビル
やトンネルなどを建設します。騒音・振動や建
設廃棄物、CO 2 の排出をできる限り抑制しな
がら、迅速・確実な建設工事を実現します。
耐震化による建設構造物の長寿命化、既
存建設物の延命化や構造物を効率的に解
体します。その際、排出される建設廃棄物
の適 正 処 理 、リユース、リサイクル 、 工 事
周辺への影響を低減します。
社会のニーズを常に幅広く探求し、的確に対応
するために、建 設に関 する工 法や 技 術の研 究・
開発を行い、実用化へと技術レベルを高めてい
きます。
省燃費運転研修
省エネ工法の採用
●
●
●
未利用エネルギー利用
燃料電池コージェネレーションシステム
●
施工時のCO2 排出量算定
●
●
輸送距離の低減
● リニューアルによる省エネルギー化
●
風力発電システム/太陽光発電システム
●
建物のLCA
● ハーモニカ工法
●
(右図)
●
全面床吹出空調を可能とする製品単体の開発
場所打ち杭利用地中熱空調システム
●
ESCO事業
● フロン回収・破壊
SF 6 の回収
●
● コンパクトダブルスクリーン
●
太陽光採光システム(T-ソレイユ)
● ハーモニカ工法
● テプサム屋上緑化システム
● クールウォール
● ゼロエミッション施工
●
廃棄物最終処分場再生システム
●
環境データ管理システム(E-DAM)
●
伐採材のマルチング材、堆肥、炭化
●
解体したコンクリートの骨材への再利用技術
●
伐採材の堆肥化、炭化技術
● コンバージョン
(建物用途変更技術)
●
使用済み発泡スチロールのリサイクル
廃木材からのエタノール抽出技術
● コンクリート塊のリサイクル
● ゼロエミッション解体
(写真下)
●
歴史的建造物の保存
●
●
●
建設発生土の有効利用
●
長寿命化補修
●
建設汚泥の流動化処理
●
免震/制振構法
●
省梱包・無梱包およびプレカット工法
●
●
建設発生木材のリサイクル
● ビル建替え杭の再利用
●
超高強度繊維補強コンクリート「ダクタル」
●
空調エコダクト
●
騒音・振動自動モニタリングシステム
仮囲いの緑化
●
●
地域環境評価システム
振動解析システム
●
総合騒音予測システム(TSounds)
●
大気汚染予測評価システム(T-diff)
●
●
●
環境配慮型解体
低騒音・低振動工法(ワイヤーソー)
● レーザーノンスリップ工法
超高強度繊維補強コンクリート「ダクタル」
設計施工技術
超高強度コンクリートのプレキャスト化
●
集中豪雨の洪水予測
● ビオトープ
(写真下)
●
文化財の保全
●
環境共生住宅
● ミチゲーション
●
地域文化の継承・発展
●
水域環境の再生技術、水質浄化水路
●
生態系保全施工
●
干潟/アマモ場の再生技術の開発
●
建物緑化
●
水域環境評価
●
人工浮島
● ウェットランドの再生技術
環 境の取 り 組 み 全 体 像
● ヒートアイランド解析評価システム
(T-Heats)
● リアルタイム海洋環境観測システム
汚染土壌の浄化技術(揮発性有機化合物、
石油系、重金属等、PCB、ダイオキシン類等)
●
●
石綿対策
● ダイオキシン対応焼却炉解体システム
●
地下水浄化技術
●
PCBの適正保管
●
MSDSに関する指導
● フロン回収・破壊
●
高濃度酸素水による水質浄化
●
大気浄化技術
●
土壌・地下水の浄化技術(下図)
● ダイオキシン無害化処理技術
● シックハウス対策技術
●
石綿除去ロボット
大成建設 CSR 報告書 2007
38
環 境 面 の 取り組 み
マテリアルフロー
事業活動にかかわる資源・エネルギーの収支バランス全体の把握に努めることによって、
環境効率の向上を目指し、地球温暖化防止対策や循環型社会形成の構築・推進を図っていきます。
事 業 活 動
*1*2
化石燃料
8.0 万 kl
(軽油および灯油)
*1*2
2.5 億 kWh
電 力
INPUT
*2
都市ガス
14.0 万 m
(オフィス)
主要建材・
資材投入量
*3
OUTPUT
3
925.0 万 t
367.1 万 t
*3
(グリーン調達量)
*1*2
840.7 万 m
水
3
再資源化施設
他産業
他産業
INPUT DATA
◆
エネルギー使用量*1
作業所
化石燃料使用量*1
◆
オフィス
軽油
X10 9 MJ
4
4.99
5.09
5.19
0.23
0.22
0.22
4.96
79
80
4.86
4.97
4.76
4
7
75
2
76
73
5
40
80
2
87
74
2003
2004
2005
2006 (年度)
◆
<この見開きデータについて>
四捨五入してあるため、合算値は合計値と異
なる場合があります。
* 1 サンプリング手法を用い集計した推計値です。
* 2 データの集計範囲は、本社・支店・事業本部
の各社屋
(オフィス)
と当社持ち分工事として
います
(ただし国外は除く)
。
* 3 データの集計範囲は、当社の単独工事および
当社が代表者の共同企業体工事としていま
す
(ただし国外は除く)
。
*4 熱帯材型枠使用量のみ計上しています。
* 5 グループ会社のマテリアルフローは、
大成ロ
テック
(株)
、大成ユーレック
(株)
、成和リニュー
アルワークス
(株)
、有楽土地
(株)
、
大成サービ
ス
(株)
、
大成設備
(株)
計6社の集計値を計上
しています。
大成建設 CSR 報告書 2007
23
163
21
211
100
177
79
50
141
19
20
22
182
192
2004
2005
230
0
0
2002
203
199
150
20
0
248
200
84
5.31
1
39
91
60
4.76
オフィス
250
100
0.19
0.20
3
2
作業所
百万kWh
120
5.50
電力使用量*1
灯油
千kl
6
5
◆
2002
2003
2004
2005
2006 (年度)
主要建材・資材投入量
年 度
生コンクリート
2002
6,680
2002
◆
(千t )
2003
7,192
2004
6,944
2005
9,199
2006 (年度)
コンクリート型枠使用量および代替型枠比率*1
熱帯合板型枠
2006
7,915
2003
代替型枠
代替型枠比率
千m 2
14,000
骨材
(砂利・砕石等)
361
355
324
361
431
セメント
246
85
348
381
262
10,000
鋼 材
682
633
505
595
569
8,000
%
11,792
12,000
40
11,080
10,302
35
9,473 10,473
33.4%
27.1%
23.7%
26.0%
30
25
24.2%
20
木 材 *4
57
49
52
46
52
6,000
アスファルト
38
51
25
20
21
4,000
合計
8,063
8,365
8,199 10,603
9,250
2,000
5
グリーン調達量
3,067 2,696 3,157 4,155 3,671
0
0
15
10
2002
2003
2004
2005
2006 (年度)
環 境 面 の 取り組 み
COLUMN
■ 建設業のCO2排出状況
建設構造物
CO2
*1*2
NOX
*1*2
SOX
*1*2
31.7 万 t-CO2
1,516 t
590 t
1,008kg
*3
フロン・ハロン回収量
2005年度の日本のCO2総排出量は約12億9,300万トンで、基準年
(1990年度)
に比べて13.1%増加、前年度に比べて0.5%増加していま
す。日本が排出するCO2のうち、管理主体別では企業・公共部門関連で
約8割、家庭関連で約2割占めています。また、総排出量のうち建設業が
占める割合は約1%です。ただし、製造された多くの製品を建設材料として
使用したり、構造物の運用エネルギーにかかわる建設業では、構造物の計
画・設計段階で省エネルギー・省資源対策に取り組むことにより、間接的
にCO2排出削減に大きな影響を与えています。
◆
排出形態別、管理主体別の二酸化炭素排出状況(2005年度)
一般廃棄物
(2%)
*3
建設発生土
390.3 万 m
(場外搬出量)
3
産業廃棄物
(1%)
工業プロセス
(4%)
家庭関連[家庭での家電使用等]
(13%)
エネルギー転換
(6%)
家庭関連
21%
*3
建設廃棄物排出 量
再資源化量および
*3
中間処理量
188.9 万 t
運輸
[家庭の自家用車]
( 6%)
181.5 万 t
業務その他サービス
(18%)
*3
直接最終処分量
(アスベスト処理量)
合計
12億9,300万t
建設業(1%)
産業
[製造業、建設業、鉱業等]
(35%)
運輸[貨物車、船舶、企業の
自家用車等]
( 14%)
7.5 万 t
( 0.1万 t )
企業・公共部門関連
79%
出典:環境省「2005年度
(平成17年度)
の
温室効果ガス排出量
(確定値)
について」
より
OUTPUT DATA
◆
*1
NO X・SO X 排出量
NOX排出量
t
SOX 排出量
2,000
1,648
1,500
1,429
1,468
1,404
1,516
1,000
564
544
590
2004年度の日本の産業廃棄物のうち、建設業から排出される建設廃棄
物は、電気・ガス熱供給・水道業、農業に続き、
3番目に多く、約2割を占め
ています。
また、2005年度は、年間約7,700万トン排出し、
そのうち92.2%
が再資源化等(縮減含む)されています。最終処分された建設廃棄物は約
600万トンありますが、
コンクリート塊や建設発生木材などは再資源化等
が進み、年々減少してきました。
しかし、建設汚泥や建設混合廃棄物などの
割合は依然として多く、廃棄物の分別や処分方法に課題が残っています。
建設廃棄物の品目別最終処分量
(2005年度)
産業廃棄物の業種別排出量
(2004年度)
◆
◆
0
2002
2003
2004
2005
2006
(年度)
窯業・土石製品製造業
956万t
(2%)
食料品製造業
979万t
(2%)
*5
グループ会社のマテリアルフロー
化石燃料
電 力
都市ガス
L P G
水
3.5 万 kl
0.5
億 kWh
68.1 万m3
402 t
11万m3
CO2 排出量 11.5 万 t-CO2
事業
活動
廃棄物排出量
・再資源化量
・最終処分量
35.1 万 t
34.5
0.5
飲料・たばこ・飼料製造業
434万t
(1%)
万t
万t
化学工業
1,689万t
(4%)
パルプ・紙加工製造業
3,678万t
(9%)
建設発生木材
40万t
(7%)
その他業種
2,832万t
(7%)
鉱業
1,339万t
(3%)
排出量合計
投 入量 合 計
マテ リ ア ルフロー
627
550
500
■ 建設業の産業廃棄物排出処理状況
電気・ガス・
熱供給・水道業
9,236万t
(22%)
アスファルト・
コンクリート塊
40万t
(7%)
建設混合
廃棄物
210万t
(34%)
合計
4億1,716万t
合計
600万t
農業
8,929万t
(21%)
鉄鋼業
3,730万t
(9%)
建設業
7,906万t
(19%)
出典:環境省
「環境循環型社会白書 平成19年度版」
より
その他
60万t
(10%)
コンクリート塊
60万t
(10%)
建設汚泥
190万t
(32%)
出典:国土交通省
「平成17年度版 建設副産物実態調査結果」
より
大成建設 CSR 報告書 2007
40
環 境 面 の 取り組 み
地球温暖化 防 止に向けて
計画・設計から施工・運用そして解体までを一つの活動ととらえ、
すべての活動において最善の温暖化防止対策を提案し推進しています。
地球温暖化防止対策の基本的な考え方
大成建設は、
「人と自然の関係を大切にする」という経営姿
設設備が多く稼働し、自然環境に負荷がかかる可能性があり
勢のもと、従来から温暖化対策に力を入れています。大成建
ます。
設がかかわる事業の中で、直接間接を問わず、地球温暖化に
また、建物の省エネルギー性能は、建物の計画・設計時にほ
影響を与えているのが、土木構造物を建設する際の資源およ
ぼ決定してしまうため、計画・設計段階での地球温暖化防止対
びエネルギーと、建築後の建物(ビルなど)を運用する際のエ
策が非常に重要になっています。大成建設では、こうした地球
ネルギーです。土木構造物の建設は、地形自体を変更するこ
温暖化に影響を与える原因を追求し、効果的な対応策を検討・
とが多く、ビ ルなどを建てるよりも、大 規 模な建 設 機 械や仮
実施し、推進していきます。
環境配慮設計の取り組み
■
建物運用段階でのCO₂予測排出量
大成建設の環境配慮設計は、CO₂排出量、
CASBEE評価、
◆
CO₂予測削減量(2006年度)
グリーン調達を三本柱とする「エコシートCASBEE」を設計
プロジェクトに適用することにより、設計段階で地球温暖化防
1990年度
基準値
68,359t-CO2/年
止や循環型社会構築に貢献することを目的としています。
日本の年間CO₂排出量の中では、業務・家庭部門の占める
割合が大きく
(2005年度で約32%)、
これらを減らすために
74kg-CO2/年・m²
16,719t-CO2/年削減
2006年度
実績
は設計段階での建物運用CO₂の削減努力が大切です。
-24.5% 56kg-CO2/年・m²
51,640t-CO2/年
0
20,000
40,000
60,000
80,000
CO₂予測削減量*1は16,719t-CO₂/年で、1990年の省エ
ネルギー法基準による標準的な建物と比べて、24.5%の削
◆
CO₂予測削減率
2010年度目標
CO₂予測排出量30%削減
千t-CO2
減 率 を 達 成しました 。また 、床 面 積 当 たりの C O ₂ 排 出 量 は
-20.3%
-20.5%
-23.1%
-24.5%
150
150
年度の削減率−19.8%から今年度は−24.5%となってお
り、2010年度目標のCO₂削減率−30%に向けて推移して
(1990年度比)
-17.3%
-19.8%
56kg-CO₂/年・m²となっています。
建物運用段階でのCO₂予測削減率*2については、2001
100,000
(t-CO2/年)
2006年度の当社の環境配慮設計プロジェクトにおける、
124
128
-30.0%
120
102
います。
*1
:CO₂排出量および削減量は、2,000㎡以上で省エネルギー計画書のデータが記載された70件
のプロジェクト68万㎡から、
エコシートCASBEE提出プロジェクト118件、92万㎡に面積比例配
分して算出しました。
また、算出においては仮想消費エネルギー量およびCEC値(設備システム性能基準)から計算し
ており、工場用途でCEC/L値(電気設備システム性能基準)
が0.4未満の場合は標準1.0に読
み替えています。
*2:各年度により、主要な建物用途および延床面積が異なるため、結果としてCO₂排出量および予
測削減量は年度ごとに差があります。
90
60
CASBEE評価については、延床面積2,000m²以上の提出
41
60
84
kg-CO2/年・m²
123
80
65
64
48
49
2002
90
60
30
2001
120
68
52
84
74
0
■ CASBEE評価
123
2003
2004
当社独自の計算方法
(AURORA)
により
CO₂排出量を算定
2005
56
30
2006
0
2010(年度)
省エネルギー法の計算方法により
CO₂排出量を算定
1999年の標準的建物
(千t-CO₂/年)
1990年の標準的建物
(千t-CO₂/年)
プロジェクト86件のうち、
S、
A、
B+ランクのプロジェクトが77
各年度の実績
(千t-CO₂/年)
床面積あたりのCO₂排出量
(kg-CO₂/年・m²)
件で90%、
B-のプロジェクトが9件で10%となっています。
CO₂予測削減率
(延床面積加重平均)
大成建設 CSR 報告書 2007
環 境 面 の 取り組 み
作業所における取り組み
■
施工段階でのCO₂排出量の目標と現状報告
大成建設は、施工段階でのCO₂排出量を推定するにあた
り、2006年度は174作業所(前年度比41作業所増)をサン
プリングし精度を高めました。
◆
施工段階でのCO 2 排出量
CO₂排出量
千t-CO₂
500
2010年度目標
CO₂排出原単位12%削減
454
各作業所では、建設機械のエコドライブ研修、省エネルギー
度と比べて、建築では、緩やかな景気回復により施工高*1が増
kg-CO₂/百万円
(1990年度比)
400
279
275
タイプ照明の使用など地球温暖化防止対策を積極的に実施
して、
CO₂排出削減に努めています。2006年度は2005年
CO₂排出原単位
300
279
300
278
243
246
300
295
254
308
242
279
200
200
加し、土木では、
トンネル工事や造成工事などCO₂排出割合の
高い工事が増えました。このためCO₂排出量は、1990年度
比32.1%削減となりましたが、2005年度比10.6%増加と
100
100
0
1990
2002
2003
2004
2005
2006
2010 (年度)
なりました。
CO₂排出量での目標管理は、受注金額による変動
<温室効果ガス排出量の算定基準>
が大きいため、2007年度より目標をCO₂排出原単位*2に変
更し、削減努力が結果に表れるように管理していきます。
*1
:施工高:当社持分の工事で実際に消化した金額(国内のみ)
*2
:CO₂排出原単位=CO₂排出量(t-CO₂)/施工高(億円)
■
1)環境省「事業者からの温室効果ガス算定方法ガイドライン
(試案Ver1.6)」に準じて算
定 。ただし、電力については電気 事 業 連 合 会 発 表の係 数を使 用 。2 0 0 6 年 度は、
2005年度(0.425 kg-CO₂/kWh)の値で算出。
2)CO₂排出量は作業所のサンプリング調査結果より推定。
3)土木工事のCO₂排出量は、工種別売上シェアを考慮して算定。
注)2005年度の電力係数等の変更により
「CSR報告書2006」の記載値とは一部異なります。
エコドライブ(省燃費運転)研修で温暖化防止に貢献
エコドライブ研修
大成建設は、さまざまな建設機械が存在する作業所で、各
機械の作業特性に合わせた内容のエコドライブ研修(実地運
転を含む)を行い、施工段階のCO₂削減に努めています。
研修後の作業所では、社員と作業員が運転方法を理解して
協力することで、作業効率を落とさずに、ダンプトラックでは5
地 球 温 暖 化 防 止に向けて
∼10%、重機では5%程度燃費が向上し、CO₂の排出を抑制
しており、研修の成果が顕著に表れています。2006年度は、
4ヵ所の作業所で実施して、253名が受講し、累計作業所数
12ヵ所、累計人数は500名を越えました。
■
実地研修
仮囲いを緑化しヒートアイランド現象を緩和
緑化した仮囲い
東京都の赤坂四丁目薬研坂南地区第一種市街地再開発事
業施設建築物新築工事では、仮囲いを緑化することで、ヒート
アイランド現象の緩和や地域社会の環境へ貢献しています。
使用済み仮囲いパネルの裏側に、
「スナゴケ」を植えつけ約
18m²を壁面緑化し、ゲートの両側にはツタ性植物や中低木
を使い緑化しました。同様の取り組みは、東京都内の他の2作
業所でも実施しています。
「スナゴケ」
を植えつけたブロック
大成建設 CSR 報告書 2007
42
環 境 面 の 取り組 み
資源・廃棄物の適正管理
リサイクルの推進に取り組み、建設廃棄物の発生量削減を図っています。
また、電子マニフェストの導入などで、廃棄物の適正管理に努めています。
廃棄物のリサイクル目標と現状
大成建設の2006年度の建設廃棄物の排出量は前年度を
◆
建設廃棄物の処理の内訳(汚泥および当社由来分以外を除く)
約125千トン下回る1,889千トンでした。減少した廃棄物の
広域再生、
場内利用等 101
種類は汚泥で、前年比約165千トンの減少でした。2006年度
前年比では向上しています。リサイクル率はほぼ限界に近づい
ており、2007年度の目標値は2006年度と同等の値としてい
1,195
ます。今後は、各作業所において3R
(リデュース、
リユース、
リ
サイクル)をさらに推進し、長期目標を達成するために、分別の
︵マニフェスト対応︶
委託処理量
排出量
のリサイクル率は目標値94%をやや下回る93.6%でしたが、
1,094
徹底、
リサイクルルート先の新たな確保などを図ります。
再資源化量
939
再資源化施設
838
リサイクル量
1,118
リサイクル
179
中間処理量
235
中間処理残渣 56
最終
処分量
77
21
直接最終処分量
(単位千t)
◆
建設廃棄物排出量
◆
再資源化量
中間処理量
直接最終処分量
( )
内は汚泥および当社由来分以外を除いた量
2,015 1,889
(1,213)
(1,195)
千t
2,500
2,000
962
53
75
(25) (21)
1,613
680
47
711
(231)(235)
633
579
780
1281 1,103
932 (957)(939)
2002
2003
2004
1,697
81
1,807
65
1,500
1,000
1,036
500
0
2005
建設廃棄物の種類別排出量
◆
建設廃棄物の工事別排出量
住宅工事
7千t(0%)
金属くず 18千t
(1%)
土木解体
266千t
(14%)
混合廃棄物
102千t
(5%)
2006年度
合計
1,889千t
アスファルト・
コンクリート
102千t
(5%)
住宅新築
7千t
(0%)
その他 147千t
(8%)
木くず
32千t
(2%)
コンクリート
852千t
(45%)
土木工事
902千t(48%)
土木新築
636千t
(34%)
建築新築
481千t
(25%)
2006年度
合計
1,889千t
建設汚泥
637千t
(34%)
建築解体
499千t
(26%)
建築工事
980千t(52%)
2006 (年度)
※合算値は四捨五入により、合計値と異なる場合があります。
循環型資源等の有効利用(グリーン調達)
大成建設では、構造物の設計・施工・運用・解体時に、環境負荷
の小さい資機材および工法の適用を目的とした「グリーン調達
ガイドライン」を定め、毎年グリーン調達品目を見直し、特定し
ています。2006年度は前年度に引き続き60品目を特定しま
した。2006年度の設計プロジェクト106件においては、52
品目が採用されました。1プロジェクトあたりの平均採用数は7
品目となり、対前年度比1品目増加しました。採用率の高い品
目は、節水型衛生機器3品目、断熱材、再生鋼材、Hfインバータ
式照明器具、電気ヒートポンプ式空調機(ビル用マルチ)、高炉
セメント、変圧器、再生せっこうボードとなりました。効果的にグ
リーン調達をするには設計で取り組むこと、施工時の仮設など
で取り組むことが重要になっています。各支店では重点品目を
指定し、作業所への導入を推進しています。2006年度のグ
リーン調達比率は42.5%となり、目標を達成しました。
43
大成建設 CSR 報告書 2007
◆
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
20.
21.
22.
23.
24.
25.
26.
27.
28.
29.
30.
31.
32.
33.
34.
35.
36.
37.
38.
エコシートCASBEEによるグリーン調達品目の採用結果
水洗式大便器(節水型)
Hfインバータ方式照明器具
自動水洗
断熱材
再生鋼材
自動洗浄装置と組込み小便器(節水型)
電気ヒートポンプ式空調機
高炉セメント
再生せっこうボード
変圧器
金属型枠パネル
再生ビニル系床材
建物緑化(屋上、壁面緑化)
断熱サッシ・
ドア
ステンレス管
透水性舗装(保水性舗装も含む)
下塗用塗料(重防食)
ガス温水機器
高強度コンクリート
再生陶磁器質タイル
再生骨材
再生材料を用いた舗装用ブロック
再生タイルカーペット
太陽光発電システム
打込型枠
木質系セメント板
排水・通気用再生硬質塩化ビニル管
再生材混入型枠
パーティクルボード
低揮発性有機溶剤型路面表示用水性塗料
氷蓄熱式空調機
再生加熱アスファルト混合物
製材および製材製品
EM電線・ケーブル
吸収冷温水機
ガスエンジンヒートポンプ式空調機
建設汚泥から再生した処理土
鉄鋼スラグ混入路盤材
72
61
61
60
59
59
51
39
25
25
21
19
19
16
16
16
13
13
11
10
9
9
9
8
6
6
6
5
5
5
5
5
4
4
4
3
3
3
建築系品目 構造系品目 設備系品目 環 境 面 の 取り組 み
有害物質に対する取り組み
ゼロエミッションへの取り組み
中央合同庁舎第7号館整備等事業建設工事では、エコモデ
■
ル・プロジェクトとして、ゼロエミッションに取り組んでいます。
2006年度は石綿に関して、各種法律が改正され、その規制
作業所では、
3Rの推進と徹底した廃棄物の分別と減容化によ
はさらに厳しくなりました。法律を遵守し、適正な施工を行うた
り、混合廃棄物の大幅な削減とリサイクルを推進しています。
めに講習会を開催するとともに、石綿の解体にかかわる社員に、
現在の廃棄物は、一般廃棄物16品目、産業廃棄物78品目に
石綿作業主任者の資格の取得を推進しています(2007年3月
分別集積し、
「圧縮・破砕・溶解」などにより徹底した減容化の
30日現在:246名)。また、イントラネットでの情報提供や、
「石
上、サーマルリサイクル(燃料化)、マテリアルリサイクル(原
綿除去等の施工マニュアル」の改訂を行ったほか、信頼できる
材料化)、ケミカルリサイクル(油化)などのリサイクルを行う
石綿除去工事を行う業者を選定するために、
「 石綿除去業者登
とともに、有価物は売却しゼロエミッションを推進中です。
録制度実施要領」を作成しました。以上のマニュアル・要領に
石綿除去工事の取り組み
のっとり、適正な施工を行っています。石綿廃棄物は、
これから
もその発生量の増大が予測され、今後、廃棄物処分場の不足も
懸念されることから、新しい廃棄物処分場を探すとともに、実際
に適正な処理場かどうかを現地に赴き調査しています。
産業廃棄物を78品目に分別
電子マニフェストの導入
産業廃棄物の処理状況を管理するマニフェスト伝票を電子
石綿の除去工事場所の隔離事例
化することで、管理が容易となり、環境リスクの低減が期待さ
■
れます。現 在 の 導 入 作 業 所は全 体 の 4 5 %に達しました。ま
大成建設が保有する土地で売却予定の2カ所の土地につい
た、さらなる導入推進を図るため、手書きのマニフェストの内
て、
「 土壌汚染対策法」等に基づき施行規則・告示に定める方法
容を自動的に電子データに変換することができる「デジタル
により試料を採取し、調査を行いました。そのうち、一箇所では
ペンによる電子マニフェストシステム」を開発しました。
基準を超過した物質はなく、もう一箇所では表層の一部分で主
土壌汚染対策
資 源・廃 棄 物 の 適 正 管 理
◆
石綿含有産業廃棄物の集積状況
に鉛が基準値を超えたため、汚染されていない土で入れ替えを
デジタルペンによる電子マニフェストシステム
行いました。
■
PCBの保管
2006年度、当社が都道府県知事に報告した保管数量は以
①積み込み
②デジタルペンにて
専用伝票に記入
下の通りです。
③データ送信
◆
PCBの保管状況
種 類
高圧コンデンサ等
⑤電子マニフェストASP
にデータ送信
④デジタルペン
サーバにてデータ受信
台 数
518
油入遮断機
4
油入開閉器
4
蛍光灯の安定器
1,334
大成建設 CSR 報告書 2007
44
環 境 面 の 取り組 み
生態系保全に向けて
われわれ人類も地球上の一生物であり、生態系に支えられて存在していることは明らかです。
この生態系・生物多様性の保全は人類共通の課題です。
生態系保全の取り組み
地球に生命が誕生してから40億年、生態系はお互いが関
環境方針および大成アジェンダにのっとり生物多様性保全の
係し合い生命を維持しています。生物多様性に基づく生態系
ための生態系ガイドラインを作成し、計画設計から施工に至る
保全活動は人類が生存するために必要な行為であり、特に自
まで、多角的に生態系保全に取り組んでいます。
然とのかかわりが深い建設業の役割は重要です。大成建設は
◆
大成建設の生態系保全活動(生物多様性への取り組み)
テーマ
当社の対応手法・技術
実施事例
重要地域等の保全・生態的
ネットワークの形成
● ヤマネ、
リスなどの樹上動物のための獣道の確保
● アニマルパスウェイ
(キープ協会、清水建設との協働実施)
● 動物用の横断カルバート、
側溝の設置
●トンネル、
道路工事
里地・里山保全
● 緑地保全ボランティア
●
● 干潟/アマモの再生工法
●
● 水域環境再生技術、
水質浄化水路
●
水域・湿地・干潟保全
● 水域環境評価
● ウェットランド再生技術、
人工浮島
自然の再生・修復
野生生物の保護管理
(絶滅種、移入種など)
● 不要木材の再資源化
(炭化) ●
● 自然河川の再生 ●
底泥置換覆砂工法
表土マット工法
● 絶滅植物の再生
● 希少種・絶滅危惧種の保全
東京都のグリーンシップ・アクション
(2007年度)
英虞湾の干潟再生など
魚道(堰堤などに伴う)
● 湿地のミチゲーション
● 浮体式防波堤
(諏訪湖)
三宅島の枯損木炭化リサイクル
諏訪湖、宍道湖中海の底質再生
● 多自然型河川付け替え
(甲南トンネル)
●
●
●
埋土種子による印旛沼の希少水草の再生
● エコロジカル・プランニング
都市部の生態系保全
● 環境アセスメント
(生物調査技術)
● ノリタケの森
● 景観計画、
ランドスケープデザイン
●
● 建物緑化計画、
環境共生計画
●
学校や都市公園のビオトープ
屋上緑化、建物緑化、校庭緑化
● ビオトープ、
完成後の生物調査
国際的な取り組み
● 亜熱帯のリゾート人工島沿岸部に水域生態系の環境を創造
● アラビア湾における海草移植など
●
海洋生物の救出
希少動植物の保全、猛禽類の繁殖配慮
作業所の緑化、仮囲いの緑化
● 野鳥園の樹木の枝伐採など
● 国内外の環境NGO/NPOへの支援
●
社会貢献活動
● 作業所における生態系配慮施工
● 公益信託大成建設自然・歴史環境基金
●
「ノリタケの森」における取り組み
ビオトープ池
「ノリタケの森」は2001年に(株)
ノリタケカンパニーリミ
テドが、名古屋の本社工場内に、市民の憩いの場として創造し
た都市の森です。大成建設の緑地生態計画技術により樹林や
草地、せせらぎ、池を配置することで、都市中心部に森の再生
を 目 指した 新し い 生 態 系 を 樹 立 で き ました 。完 成 4 年 後
(2005年)の調査では、鳥類12種、蝶類7種、
トンボ類8種、
バッタ7種が確認されています。鳥類の中には3km離れた庄
内緑地から飛来したと思われる種もおり、都市部における生
態系ネットワークが構築できたと考えられます。これらの功績
により日本建築学会の作品選集2007、愛知県の愛知まちな
み建築賞をはじめとする過去10の賞を受賞しています。
45
大成建設 CSR 報告書 2007
樹林と草地
環 境 面 の 取り組 み
アニマルパスウェイ研究会
埋土種子による印旛沼の希少水草の再生
大成建設は、
( 財)キープ協会やまねミュージアムおよび清
湖沼の水中に生育する水草は、湖沼環境の重要な役割を
水建設(株)との協働で、道路建設などで分断される樹上小動
担っています。しかし、日本国内の湖沼に生息する1/3の植物
物(リス、ヤマネ、モモンガなど)のための通り道の実証的研究
種が絶滅の危機に瀕しています。大成建設は、湖底に埋没し休
開発を行っています。リス・ヤマネをはじめ鳥・昆虫も利用して
眠している埋土種子といわれる水草の種子に対して、回収、発
います。現在、公道上への設置を計画しています。
芽、増殖、移植による地域固有の水草復活に取り組んでいま
アニマルパスウェイ
(動物の通り道)
す。水域再生技術と組み合せ、湖岸生態系再生を目指してい
ます。2005年から千葉大学園芸学部と協働で印旛沼の固有
な水草の再生に着手しており、大成建設技術センター内の水
槽で、希少種を含む水草が埋土種子から発芽しました。
アニマルパスウェイを
通っているホンドリス
セキショウモ
(千葉県要保護生物)
アラビア湾岸の水域生態系の環境を創造
ムサシモ
(環境省レッドデータブック絶滅危惧IA類)
三宅島の自然再生へ貢献
三宅島では2000年の噴火により、有害な火山ガス(SO 2 )
ナキール社による巨大人工島リゾート開発を含め、ウォーター
が 火 口 より 大 量 発 生し 、島 内 に あ る 森 林 の 約 6 0 %( 約
エリアの建設工事が進められており、その周辺部に創出する
2,500ha)が被害を受けました。大量の枯損木処理と植生再生
水域の環境創造に期待が高まっています。大成建設は同社と
は土石流被害拡大防止と自然回復という観点から喫緊の課題
共同で現地の静穏な水域に自生するウミジグサという海草に
となっています。大成建設は枯損木を「廃棄物として処理するの
着目し、アマモ場再生で実績のある自然繁殖工法を応用して、
ではなく、環境改善資材(=炭)
として活用する試み」を提案、実
魚類の産卵場・稚魚の育成場となる水域生態系の創造研究に
施することで、島の環境再生や地域振興に貢献しています。
取り組んでいます。将来的にはドバイ沿岸域にとどまらず、世
現在、発注者の東京都では、三宅島の環境再生を目指し、枯
界各地のさまざまな水域生態系の環境創造への貢献が期待
損木を炭化し、再資源化を図ることについて検討しています。今
されています。
回の試みは今後の三宅島再生計画の重要なデータとして活用
生 態 系 保 全に向けて
アラブ首長国連邦ドバイでは、政府系デベロッパーである
されることになります。
現地炭焼き窯(特許出願中)
で
生産された炭
海草マットを設置
海草が根付いた移植マット
大量の枯損木
大成建設 CSR 報告書 2007
46
環 境 面 の 取り組 み
環境技術の 研究開発
地域環境から地球環境までの環境問題を解決するために幅広い分野で研究開発を進め、
技術でお客様のニーズに応えるとともに、社会的責任を果たしていきます。
環境技術の研究開発の方向性
研究開発の方向性
大成建設の環境技術研究開発の重点課題は、
( 1)循環型
(3)自然環境保全のための環境アセスメント、生態系の修復・
社会形成のための、材料・構造物の長寿命化技術の適用性拡
保全の技術開発、
( 4)地球温暖化対策として、CDM事業の早
大、バイオ関連技術を活用したリサイクル技術の開発と事業
期実施の4つです。これらに関する技術開発を継続的に推進
化促進、
( 2 )土 壌・地 下 水 汚 染 対 策に特 化した技 術 の 開 発 、
していきます。
地中熱を活用した空調システム
研究開発の方向性
地中からは、1年を通じて安定した温度を得ることができま
空調
す。大成建設は、
この特徴を利用して夏は冷房排熱を地中へ放
場所打ちコンクリート
杭本体1500∼4000 φ
熱、冬は地中から採熱して暖房に利用することで、季節を通し
た排熱の有効利用による省エネルギー・二酸化炭素排出削減
に貢献する安価な空調システムを開発しました。また、これま
で日本では地中と熱交換する配管を設置するコストが高く、普
地中熱
ヒートポンプ
土
と
熱
交
換
及が進んでいませんでした。大成建設は、建物の基礎杭として
広く用いられる場所打ち杭の周囲に地中と熱交換する配管を
一緒に埋設することで、大幅なコストダウンを可能にしました。
基
礎
杭
地中熱交換用配管
場所打ち杭を利用した地中熱利用ヒートポンプシステム
超高強度コンクリート技術で高耐久・長寿命な建物
超高層集合住宅は、柱に超高強度コンクリートを使用するこ
とで、高耐久・長寿命な建物にできるほか、柱と柱の間隔を広
げ、柱を細くするなどのメリットがあります。大成建設では、現
場打設で設計基準強度(Fc)150N/mm²の使用実績があり、
設計・施工法は確立しています。さらに、2007年には、このコ
ンクリートのプレキャスト
(PCa)部材を用いた超高層集合住宅
を実現しました。また、PCa部材を使用することで、建設現場で
の型枠材(ベニヤ・桟木など)の使用量や、資材の搬入・搬出量
が低減され、環境面でもメリットの大きい工法と言えます。
PCa部材を取り付けている様子
高濃度酸素水による水域浄化システム
研究開発の方向性
47
富栄養な閉鎖性水域では、慢性的な貧酸素の環境になり、
200%以上に達する大量の酸素を溶け込ませて再び水中に
生物の生息が難しく、水質の悪化が問題となっています。この
放水する、効率的な酸素の供給を利用した水域浄化システム
ような環境の改善方法として、酸素を供給する各種の方法が
を開発しました。このシステムは酸素の供給量が多く、より広
ありますが、酸素供給量は100%の酸素飽和度(水中に溶け
範囲の貧酸素環境を改善することが可能です。水域再生技術
込む酸 素 の 比 率 )が限 界でした。大 成 建 設は、酸 素 飽 和 度が
の一つとして、湖沼、ため池などでの利用を目指しています。
大成建設 CSR 報告書 2007
環 境 面 の 取り組 み
集中豪雨対応型の河川流出解析システムを開発
研究開発の方向性
近年、日本各地で猛烈な集中豪雨による洪水が頻発し、そ
従来
の被害規模も年々拡大しています。このような集中豪雨に対
し、洪水のリスク管理や被害低減対策を支援するツー ルとし
て、河川流量を正確に解析・予測するシステムの開発が強く求
められていました。集中豪雨は、数km四方という局所的な地
⁴⁰⁰
域で発生するため、最大20km間隔で設置された雨量計に基
³⁰⁰
づく従来の解析では、その予測が困難とされてきました。今回
開 発した「 集 中 豪 雨 対 応 型 河 川 流 出 解 析 システム 」で は 、
²⁰⁰
1.0km間隔の高解像度レーダー雨量データを用いて、50m
¹⁰⁰
間隔の地形・土地利用データ(国土数値情報)
と統合して解析
することにより、あらゆるタイプの降雨に対して、より正確な
洪水流出解析を実現しました。
⁰
地上雨量データ
(11データ:流域外含む)
レーダー雨量データ
(2.5km間隔、72データ)
従来の予測と比較するとレーダー雨量は局地的な集中豪雨の予測が可能
既存傾斜屋根を利用した斜面緑化技術
研究開発の方向性
2005年2月に完成した「下北沢成徳高等学校」
( 東京都世
田谷区)は、都市部教育の場における豊かなみどりの景観を
実現するために既存校舎上部から地面まで緩やかに湾曲する
傾斜屋根の全面を緑化しました。この斜面緑化によって、校舎
の窓からの景観が向上、また、教職員・生徒への癒しの効果の
みならず、窓から入る日射照り返しの抑制など環境負荷低減
にも貢献しています。当施設は、屋上緑化・壁面緑化などを対
象とした第5回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールにおいて
環 境 技 術の研 究 開 発
「壁面・特殊緑化大賞 環境大臣賞」を受賞しました。
傾斜屋根を利用した斜面緑化
バイオエタノール燃料の製造開始
研究開発の方向性
地球温暖化対策として注目されているバイオエタノール燃
料の製造施設を2007年、大阪府堺市に建設しました。大成
建設を含む5社で事業会社を設立し、バイオエタノール燃料
の製造をしています。原料に建設廃木材を使用することで、廃
棄物のリサイクル率を高めるとともに、温室効果ガスの排出
量削減にも貢献します。
※バイオエタノール燃料製造技術は、丸紅(株)、月島機械(株)が米国セル
ノール社から導入したものです。
バイオエタノール燃料製造施設
大成建設 CSR 報告書 2007
48
環 境 面 の 取り組 み
環境法規制とそ の対応
環境マネジメントシステムを有効に活用し、環境リスクに対応しています。
意図せずに起こった事案や、工事現場周辺の皆様からの苦情には、対策を立て、対応しています。
環境法規制 等 へ の 対 応
大成建設では環境マネジメントシステムの運用において、
◆
指摘項目別割合(2006年度)
法的およびその他の要求事項の見直しを年2回行っており、
その都度支店、作業所に周知、徹底しています。周知の方法
は、社内イントラネットや掲示板を利用して、あるいは集合研
修や年次教育などを通じて行います。作業所における環境法
規 制 等 の 遵 守 状 況については、
「 作 業 所 環 境パトロー ル」に
よって点検しています。2006年度は、作業所環境パトロール
環境目標
(7%)
法規制等
チェックリスト
(10%)
廃棄物処理法
(59%)
環境法令
などへの対応
(58%)
教育・日常
管理等
(25%)
資源有効利用
促進法
(15%)
建設リサイクル法
(13%)
者研修を新規に38名(累計405名)に対し実施しました。
作業所環境パトロールは全国で計1,263回行いました。パ
労働安全
(4%)
地方条例
(2%) 衛生法
石綿障害
その他
(4%)
予防規則
(4%)
トロールで指摘された主な項目は、円グラフのとおりです。
環境事案とそ の 対 応
2006年度は廃棄物処理法18条に基づく報告の徴収が2
トにより、業者確認を徹底することなどを指導しています。
件ありました。
1件は廃棄物の収集運搬において、大成建設が
ほかの1件は、当社が過去に委託した廃棄物中間処理業者
委託した業者以外の者が行っていたことに対して、自治体より
の中で、不法投棄を行った業者とかかわりがあるものがあり、
18条の報告の徴収が行われ、社長へ勧告書が出されました。
この 業 者と当 社との 関 係について報 告 の 徴 収が行われまし
これを受け、委託業者の処理能力を確認するとともに、再委託
た。すべて事実に基づき行政に報告済みです。
禁止の徹底を図りました。また、パトロール時の運搬車両リス
環境に関する苦 情とそ の 対 応
2006年度に全支店の建設作業所へ寄せられた環境に関
種 別
するの周辺からの苦情はコミニュケーションシートによって記
録・報告を行っています。内容と対応策は右図のとおりです。
内 容
●
発破騒音
●
夜間工事
騒 音
● はつり作業
◆
対応策
●
防音壁・防音扉の設置
●
使用機械の小型化、
運行速度の低下
●
削岩機の代わりに
騒音の少ないドリルに変更
●
敷鉄板をやめて
アスファルト舗装化
●
稼動台数を絞り、
振動計を配置してレベルを監視
作業所への苦情内訳(2006年度)
●
工事車輌による振動
振 動
その他
(32.6%)
● くい打ち作業による振動
騒音
(29.4%)
水質汚染
(2.3%)
●
道路規制で車が渋滞
●
道路規制予告看板の設置
●
誘導方法が不適切
●
誘導員の指導、再教育
●
行政・住民と協議の上、
対処エリアを決めて修繕
●
既存CSアンテナを移設
交通障害
振動
(22.8%)
地盤沈下
● 地下水の揚水に伴う周辺
地盤の沈下
●
電波障害 地盤沈下
(2.6%) (3.0%)
交通障害
(7.3%)
電波障害
水質汚濁
49
大成建設 CSR 報告書 2007
CS放送の電波受信障害
● テレビの画像の乱れ
●
豪雨時の濁水の河川放流
● ケーブルテレビ幹線への切替、
TVチューナー調整
●
沈殿池の増設
環 境 面 の 取り組 み
環境会計
1998年度より導入している環境会計では環境保全コストとその結果得られた保全効果、
経済効果を金額および物量の両面からとらえ、環境負荷の低減、環境効率の改善に努めています。
環境会計の内 訳
◆
環境保全コスト(事業活動に応じた分類)
分 類
2005 年度
主 な 取り組 み の 内 容
投資額
1.事業エリア内環境保全コスト
●
① 公害防止コスト
② 地球環境保全コスト
③ 資源循環コスト
2.上・下流コスト
3.管理活動コスト
●
設計、エンジニアリングにおける環境配慮のための人件費と経費
●
EMSにかかわる人件費、教育費、審査費、作業所周辺の緑化、地域協力他
4.研究開発コスト
●
環境関連の研究開発のための人件費、経費
5.社会活動コスト
●
環境NGO等への寄付金
1,282
1,592
6
3
14,773
14,289
当社所有の販売物件の土壌調査・浄化費用3億5,900万円、
地盤沈下・道路・近隣補修費等1,300万円、PCB調査費15万円
環境保全コスト 計
567
630
1,200
1,100
2,105
12
●
6.環境損傷対応コスト
費用額
15,885
作業所における仮設工事のうち、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動等を防止するためのコスト
作業所等における廃棄物処理費、再資源化コスト、アスベスト回収・処理費
投資額
16,061
● フロン・ハロンの回収費など
●
2006 年度
費用額
30
2,039
16
8
951
373
20,899
20,035
(単位:百万円)
◆
環境保全効果
環境保全効果の分類
環 境 パ フォー マ ン ス 指 標
単位
● 電力
事業活動から環境負荷および
排出する廃棄物に関する環境保全効果
差 額
248
▲37
kl
73,149
78,712
▲5,562
● 灯油
kl
2,235
1,710
525
● 都市ガス
千m 3
161
140
21
●水
千m 3
8,482
8,408
74
● CO 2 の排出量
千t-CO 2
288
317
▲29
● NO X の排出量
t
1,404
1,516
▲112
● SO X の排出量
t
544
590
▲46
● 建設廃棄物排出量
千t
2,014
1,889
125
● 建設発生土
(場外搬出量) 千m 3
3,700
3,903
▲203
16,825
16,719
● 運用段階の年間CO2 予測削減量
事業活動から算出する
財・サービスに関する環境保全効果
2006年度
211
軽油
●
事業活動に投入する
資源に関する環境保全効果
2005年度
百万kWh
t-CO 2
※
(環境配慮設計による効果)
※1990年度省エネルギー法適応ビル比、算定方法 :エコシートCASBEE活用による予測排出量の算出
◆
環境保全対策に伴う経済効果
環 境 保 全 対 策 に 伴う経 済 効 果
収 益
環境保全対策に伴う経済効果
(実質的効果)
費用節減
主たる事業活動で生じた廃棄物のリサイクル
●
省エネルギーによるエネルギー費の節減
●
省資源、
リサイクルに伴う廃棄物処理費の節減
187
▲8
308
環境負荷低減量の換算金額
64
見做し効果 :
廃棄物の再資源化、
フロン、ハロン、用紙等についてそれぞ
れをCO 2 排出削減量に換算、2002年度三重県で実施した
排出権取引シミュレーションの参加企業内部の削減単価(環
境省公表資料「平成14年度三重県型CO 2 排出量取引制
環 境 法 規 制 とその対 応 / 環 境 会 計
環境保全対策に伴う経済効果
(推定的効果)
金 額
●
度提案事業報告書」)1トン≒6,370円を採用しました。
(単位:百万円)
環境経営指標 の 推 移
◆
環境関連研究開発コスト比率(%)
25
20
15
10
5
0
19.3
2002
21.9
2003
21.4
2004
22.9
2005
環境関連研究開発費/全研究開発費
22.5
2006(年度)
◆
環境負荷率(k g / 百万円 )※当社由来分以外を除く
60
50
40
30
20
10
62
42
54
41
2002
2003
2004
19
2005
直接最終処分量/施工高
集計および取りまとめは次のガイドラインを参考にしました。 『環境会計ガイドライン2005年度版』
( 環境省) 『建設業における環境会計ガイドライン』2002年度版(建設業3団体)
集計範囲 1.
当社(本社・支店・事業本部等)の各社屋 2.
当社単独工事(新築、増改築、改修、
解体)
および当社が代表者の共同企業体工事(ただし海外工事は除く) 3.
CO₂データ
は当社の持ち分工事(ただし海外工事は除く)。
2006 (年度)
◆
環境効率(百万円/t-CO 2 )
5
4
3
2
1
0
4.3
4.0
4.4
2002
2003
2004
4.9
4.8
2005
2006 (年度)
売上高/環境負荷排出総量(施工+オフィス)
対象期間
データ収集
2006年4月1日から2007年3月31日まで
作業所の詳細データについては、当社独自のE-DAM(環境データ管理シス
テム)
により収集を行いました。
サンプリング集計 CO₂データ収集など一部のデータはサンプリング集計を行っています。
人件費
人件費は当社の役職別標準人件費(管理活動コスト)
および、付帯事業に
伴う人件費(上・下流コスト)。
大成建設 CSR 報告書 2007
50
ステークホルダー・ダイアログ
「大成建設のCSRを問う∼期待と課題∼」
2007年5月30日、各界から有識者6名をお招きしてステークホルダー・ダイアログを開催しました。
ダイアログに先駆け、横浜市のオフィスビル建設作業所を見学し、
その後、本社で大成建設のCSRについて意見交換いたしました。
建築作業所を見学の後、有識者の皆様より質問をいただき、弊社担当者から回答したものを以下に抜粋します。
Q :この現場ではどのぐらいの資源が使われているのでしょう
か。また、建物の環境対策としてはどのような取り組みをし
Q :この地域の中での街づくり、景観については話し合われた
のですか。
A :地区の協議会があり、
「アート&デザイン」のテーマで地区
ていますか。
A:鉄骨が7,000トン、コンクリートは地上だけで1,500m³ぐら
全体のマスタープランがありました。敷地の公開庭園部分
い使用しています。施工段階での環境対策としては、耐火
に彫刻を置き、
トータルで建物のデザインを考え、街並みに
被覆材の吹き付け時に出る残材を再利用して、産業廃棄物
貢献することを積極的に提案し、
「アート&デザイン」として
をゼロにすることをはじめ、廃棄物の分別徹底や作業員の
横浜市から評価されました。
発案による減容化、梱包材の削減、アイドリングストップ、周
辺道路のボランティア清掃や美化などを行っています。設
Q :「見せる現場」をコンセプトにした作業現場ということです
が、効果は上っていますか。
計段階での環境対策としては、中水の利用、屋上や外構の
A :建設業は、3Kの職場ということでイメージ良くない場合も
緑化、空調負荷の少ない外装計画、省エネルギータイプの
ありますが、この現場では「見せる現場」をモットーに透明
照明器具の採用、フロアごとに調節できる個別空調システ
な塀を設置するなどして、外からでも作業の状況が見えるよ
ム の 採 用 など 、環 境 配 慮 設 計 を 徹 底 す ることにより、
うにしています。外部の方に現場を見ていただくことを意識
*
CASBEE で最高評価のSクラスを達成し、横浜市のホー
することにより、全作業員が「この現場で誇りを持ってもの
ムページに掲載されています。
づくりをしよう。」という思いを共有できるようにと考えてお
*CASBEE:建築物総合環境性能評価システム
ります。作業所は単なる人の寄せ集めではなく、今日現在で
は約30社の専門工事業者から延べ300人程度の作業員が
仕事をしていますが、各会社とわれわれ大成建設職員がと
もにこの現場を自分の事業所として責任を持って仕事を進
めています。
Q :最近は現場に女性が従事されていることが多いようです
が、この作業所ではどうなのですか。
A :この作業所でも現在職人さんを含め5人くらいの女性が活
躍しています。自ら希望して現場に来る女性も増えていま
す。女性がいると男性も少しは気をつかうようになり、現場の
雰囲気も柔らかくなります。今後どのように女性に活躍して
もらうかを考えていきたいと思っています。
◆(仮称)
モリモト横濱ポートサイドビル新築工事の概要
■規模
敷地面積: 7,156.58m²
建築面積: 3,778.85m²
延床面積:55,714.40m²
階数:地上 20 階+塔屋、地下 1 階
51
大成建設 CSR 報告書 2007
■特徴
・大成建設 設計・施工
・当社制振構造設計技術(シェイプアップ ブレース/LOYAL)採用
・CASBEE Sランク評価達成
・「快適職場推進計画認定証」取得 ステ ー クホ ル ダ ー・ダイ ア ログ
ダイアログに先立って
大成 本日の意見交換に先立ちまして、建設業の特性について
ムやトンネルといった特殊なものを除けば、大体、
1∼2年という
簡単にご説明させていただきたいと思います。建設業は、他産業
スパンです。こういった業種特性が、当社のこれからのCSRへの
に比べて生産性が低く、付加価値額が少ない産業です。当社で
取り組みにおいて、さまざまな面で障害になるでしょうし、知恵を
も、利益率は3%程度です。また、生産の場である作業所の数が
出していかねばならないと思います。
多く、当社も世界各地で1300ヵ所以上あり、
しかも有期です。ダ
コンプライアンスへ の 取り組み
水口 大学教員として学生に接している立場上、ゼミの卒業生
成建設のように、
1300ヵ所以上もの作業所が日本中や世界各地
や、
社会一般の若い人たちがどういう働き方をしているかというこ
に分散していて、
しかもそこでは別会社の人たちが多数働いてい
とに大変関心があります。大成建設の経営理念も「人がいきいき
るという状況下でのコンプライアンスというのは、そのような特殊
とする環境を創造する」
ことですから、ぜひ、
「人がいきいきできる
な就労環境で働く人たちの意識をどのように高めていくかという
職場」
というような観点を盛り込んで議論をしていただけるようお
ことも含めたものとして解釈させていただいて議論を進めさせて
願いしたいと思います。
いただきたいと思います。
河口 コンプライアンスというのは、法令遵守、つまり、あれは
足立 海外では児童労働がコンプライアンス上、
大きな課題になっ
やってはいけない、
これをやったら違反だぞ、
という「鞭」の話が中
ています。世界中で、15歳以下の児童の7人に1人が働いている
心になりがちです。
しかしそもそも働く人たちの志が高ければ、意
という統計があり、一番多いのは第一次産業ですが、建設業も少
図的な法令違反はおきません。そのために働く人たちの意識が高
なくありません。大成建設が直接、児童を雇用していることはない
まる職場づくり、
「アメ」をどうするのか、
ということが広い意味で
と思いますが、
下請会社では、
もしかしたらあるかもしれません。そ
のコンプライアンスの基本にあるのではないでしょうか。特に大
の意味で、
建設業界は大きなリスクを抱えていると思います。
ファシリテーター
(株)
大和総研
経営戦略研究所 主任研究員
河口 真理子 氏
ご参加いただいた方々
(株)
レスポンスアビリティ 代表取締役
理学博士
足立 直樹 氏
アール・エス・アイ
代表
工学博士
佐藤泉法律事務所
弁護士
川合 廣樹 氏
佐藤 泉 氏
国際協力NGO
(財)ケア・インターナショナル ジャパン
常務理事・事務局長
野口 千歳 氏
高崎経済大学
経済学部 准教授 経営学博士
水口 剛 氏
大成建設 CSR 報告書 2007
52
ス テ ー ク ホ ル ダ ー・ダ イ ア ログ
水口 現場でしっかりとルールが守られることがコンプライアン
川合
ゼネコンはどうしてもハイリスクハイリターンになりがちで
スにつながります。そのためには、現場で働く人のロイヤリティが
すが、CSRの観点からすれば、
これは避けるべきではないでしょう
必要であり、
ロイヤリティを持てるような処遇が必要です。特に建
か。社会的要請に基づいてどうしても赤字工事をとらなければな
設業は、多種多様な働き手を受け入れる仕組みであり、社員の方
らないこともあろうかと思いますが、
ミドルリスクミドルリターン
と現場作業者の方、
さらに職種の違いによっても処遇に差が出る
へ、すなわち上ブレ、下ブレの少ない方向を目指すべきだと思い
と思いますが、そのような中で全体の処遇のあり方についてどう
ます。
お考えでしょうか。
大成 ハイリスクハイリターンの仕事は、基本的に受注していませ
大成
建設業は利益率が3%程度と生産性が低い上、建設業者の
ん。確かに、赤字でも長期的にとらえればそれなりのリターンがあ
数は52万社と多く、競争が厳しい状況にあります。生産性を上げ
ると判断される場合もあります。
しかし、見積もりをする段階で一
て業界全体として底上げを図っていくとともに、人材を育てながら
定の利益が見込まれるケースがほとんどない中で、当社の技術力
魅力ある産業にしていく必要があると思います。これまでのよう
や社員の能力をフルに活用して、何度も検討を重ねて利益を上げ
に経済が右肩上がりの時期はそれなりの賃金を払うことができま
るという方針を取っておりますので、そのような意味でハイリスク
したが、現在のように労務単価が下がり、一方で人手不足感も出
ハイリターンではないと思います。
ている状況では、ゼネコンがリーダーシップを取って全体の底上
河口 昨年もテーマとなった談合に関しては、
1年経過してかなり
げを図っていくことが必要になってくると思います。作業現場のコ
しっかりと社内で動き出しているという印象を受けました。ただ、
ンプライアンスももちろん大切ですが、いまわれわれが考えてい
業界の体質を変えていくのは大変だと思いますが、世間の人は
る最も重要なコンプライアンスは、談合をなくすことです。不退転
「今はもうやらなくて当たり前」
と考えていますから、意識のギャッ
の決意で挑んでいます。社員一人ひとりに徹底させるため教育を
プがまだあるのかなという気はします。
しかし実際に会社の体質と
繰り返し、
プロジェクト1件ごとにチェックシートを使って、適正であ
して、談合をしなくても利益を出せる運用の仕方や経営のあり方
ることを確認しています。そういう活動を地道にやっていかなけれ
に変えつつあることを実感しました。
ばならないと思っています。
社会貢献への 取り組み
野口 大成建設スポンサーの大成・鹿島・新日鐵JVが、ベトナム南
長さんが問題を理解し本腰を入れて取り組んでおられることで
部に橋を建設しています。日本の円借款事業ですが、労働者に対
す。一つのプロジェクトで終わらせるのではなく、今後の大きな
する安全対策だけではなく、HIV/エイズの感染予防も行うことが
流れととらえていただき、会社全体として本格的に取り組まれ、
円借款の条項に盛り込まれた第1号のプロジェクトとして行われ
他社のお手本となっていただきたいと思います。
ています。建設作業者には出稼ぎ労働者が多く、家族から離れた
河口 HIV/エイズの問題は、日本企業はあまり取り組んでいま
寂しさや、現金収入が入ることで、現場周辺には性産業が発達し、
せんが、世界的にはとても重要な課題なので、ぜひ新しいCSR
HIV/エイズの感染リスクが高まります。感染した労働者が、故郷
の柱に据えてほしいですね。
に戻って感染を広めると、深刻な問題に発展します。今までは
大成 これは非常に良い取り組みだと思っておりますので、今後
NGOなどが個別に取り組んでいましたが、
ここでは企業とNGO
もほかのプロジェクトに広げていきます。
が共同して実施しています。現場を視察して強く感じたのは、所
地球温暖化防止のため の 取り組み
53
水口 建設業のCO2排出量はどのぐらいですか。
水口 コストをこれだけ上げていいならCO2排出量をこのぐらい
大成 建物などの使用段階も含め、全産業の中で約40%が何ら
減らせる、あるいは大成建設の売上がこのぐらい伸びたらCO2排
かのかたちで建設業にかかわっている部分だと言われています。
出量をこのぐらい減らせる、
というデータは算出していますか。
このうち施工段階は全体の1%程度で、多いのは使用段階です。
大成 現状ではそこまで把握していませんが、設計する建物の仕
そこには設計段階での工夫の余地があります。
様設定に際しCO2削減量について算出しています。ニーズがあれ
大成建設 CSR 報告書 2007
ステ ー クホ ル ダ ー・ダイ ア ログ
ば今後把握していきたいと思います。
の仕方で搬入するという方法を取っています。エネルギーの節約
大成 具体的な取り組みの一つとして、超高強度のコンクリート
になり、
コストの低減にもつながると研究を進めています。
を開発しています。単価は上がりますが、
高強度ですから原材料の
河口 今ロンドンでは、家を売買するときに省エネルギー証明が
量が少なくてすむので、CO2排出量は減るという利点があります。
ないと売買できない仕組みができていると聞いています。今後日
佐藤 建設現場だけでなく、
原料の採掘から輸送、加工段階の
本でも、日常生活にかかわるいろいろな施策が出てくると思いま
長い目で見た温暖化対策が大切だと思います。
CO2排出量も含め、
す。CO 2 排出量が特に増えているのは業務部門ですので建物に
大成 LCA(ライフサイクルアセスメント)
には業界として取り組
対する省エネルギーなどの要求が増えると思いますが、かなりド
んでいます。鉄鋼などの資源はライフサイクルを通したCO2排出
ラスティックな対策を取らないと大幅な削減は難しいでしょう。御
量を把握しやすいのですが、建設業では材料メーカーの協力も必
社としての長期的な方向はどうなのでしょうか。
要なので厳密には難しい面もあります。
大成 現在、2010年までの設計・施工・運用段階のCO2 削減目
大成 輸送面での工夫も行っています。一般的な建設現場では、
標を立てています。
しかし、今国会で公共工事における環境配慮
資材を納める業者に対して、現場に都合のいい時間を指定して、
契約法が成立し、CO2排出量の削減が契約条件に盛り込まれるな
搬入してもらっています。
しかし、各業者がバラバラに運んでいる
ど、排出量の削減提案が求められる時代になりましたから、当社と
ので無駄が生じます。そこで、一つの現場をモデルにして、納入側
しても、提案できるためのアイテムを多数用意しておかなければ
の都合の良い方法で資材をある場所に搬入して、それらを1ヵ所
なりません。技術開発がかなりのカギを握ると思います。
に集めておき、そこから現場へは施工側にとって効率の良い運搬
生物多様性へ の 取り組み
足立 2010年に生物多様性条約の締約国会議の開催が日本
河口 今後も橋などのインフラをたくさんつくっていかれると思
で予定され、各国の進捗の報告が求められます。また、環境省の
いますが、その際には自然の生態系を生かしつつ、人間に利用で
環境報告書ガイドラインが改正され生物多様性という項目が加
きる構造物をつくっていくという方針なのでしょうか。
わるなど、企業にも生物多様性の取り組みを求める動きが広がっ
大成 まさにその通りです。単思考的な考え方でなく、総合的な
ています。今後、
この流れは加速すると思います。
生態系を根本的に考え、国や自治体などと一緒になって、良い道
大成 これまで建設業は、高度成長に伴い沿岸や内湾を埋め立
を探っていくことが今後も必要だと思っています。
ててきたわけですが、その結果水質が悪くなって赤潮が出るなど
の問題が起こりました。そこで当社では10年程前に干潟を回復
する研究を始め、現在は干潟だけでなくそこに集まる生物や陸上
の植物、海草などを含めた総合的な生態系を再現する研究に取
り組んでいます。
大成建設 CSR 報告書 2007
54
ス テ ー ク ホ ル ダ ー・ダ イ ア ログ
安全・安心な 構 造 物 の 提 供
55
川合 地震で倒れた建物の所有者に対して、被害にあった方の
当社がそういう機会を与えられる案件は非常に少ないのが現実
遺族が裁判を起こして、民法の「建物保存義務違反」にあたるとし
です。低い利益率で競争する中で、当社一社が提案をして当社の
て勝訴するということがありました。一方では、建築基準法が最低
工夫を取り入れていただき多少のコストアップも了承していただ
基準であるとして、多くの地震被害訴訟は「不可抗力」
として敗訴
ける、
という物件はかなりまれです。また、建設業の特殊性として、
しています。こうした矛盾がある中で、大成建設が率先して社会に
製品をつくって棚に並べておいて、買う側に選んでいただくのと
対して安全・安心のポリシーを出していってはどうでしょう。
は違い、注文を受けてから契約に基づきモノが生産されていくた
大成 建築基準法は最低基準であると認識し、独自に地震に強
め、われわれが勝手に品質をアップすることはできないというこ
い建物のあり方を研究し、技術を取り入れています。大地震がき
とがあります。請負業という特殊性がCSRでも制約になっている
たときに建物のどこが壊れやすいのかを調べ、そこに特殊なデバ
面があり、今のお話は非常にハードルの高いテーマだと思います。
イスを入れてエネルギーを吸収するような工夫をしています。業
足立 確かに社会は企業を結果でしか見ていません。外から苦
界全体としても同様に取り組んでいると思います。法はあくまで
労は見えませんから、非常に大変なことだと思います。すべてに
最低基準で、それを上回る性能を提供することを考えています。
ついて明日から実行するのは無理でしょうが、できるところから
佐藤 建物は注文者から請け負って建てるわけですが、建物が安
一歩ずつ取り組んでいただければと思います。その結果、社会
全でないと、利用者や転売先、通行人が被害を受けることになりま
からの信頼感も生まれるはずです。
す。ですから、請負業としては施主の意向だけではなく、公共性を
川合 100億円で受注している案件で、最低基準の法を満足
考えて安全を確保することが大きな使命になっていると思います。
するだけではなく、将来の資産価値を考えて120億円かけるこ
大成 確かにその通りですが、現実には、お客様はコストで業者
とを施主に求めるようなスタンスをスーパーゼネコンが1社で
を評価します。ですから、安全性を高めるための費用を受け入れ
も持てば、優良な社会資本を次の世代に残していけるのではな
るような社会のシステムになっていないことが問題だと思いま
いでしょうか。
す。一企業だけで取り組むには限界があり、安全性に対するニー
河口 建物というのは施主さんのプライベートなプロパティです
ズを組み込んだ発注システムが必要になってくると思います。
が、一方で非常に公共的なものでもあります。先ほどの裁判の事
足立 従来は、災害で建物の利用者が被害にあっても、所有者
例では、地震による被害のコストや建物の外部不経済のコストを
や施工者は法律を守っていれば責任は問われないという考え方
結局、建物の所有者が負担したということになります。すなわち、
が当たり前でしたが、
これがCSRで変わりつつあるのだと思い
公共財としての建物を所有する人には、なるべく安全な建物をつ
ます。企業の技術力やノウハウを生かして、法規制以上の提案
くらせる、所有者責任という考え方も今後必要になってくるので
をし、なおかつコストも抑えていく。それがCSRで企業に求めら
しょう。そういう点で、施主さんには、多少コストアップになっても
れていることです。
安全な建物にするよう働きかけるということも事業者として求め
大成 CSRという点ではまさにその通りだと思います。ただ、
られるようになってくるのではないでしょうか。
大成建設 CSR 報告書 2007
ステ ー クホ ル ダ ー・ダイ ア ログ
大成建設のCSRに対する期待・課題
川合 大成建設のように技術力のある会社は、
BCM
(事業継続マ
はなく、
「歴史に残る仕事」をしていただきたいと思います。
ネジメント)
をきちんと推進するようあらゆる知恵を出して、顧客
佐藤 これからは、官民の役割分担が急速に変化していく新しい
の損失を最小限にするよう支援していくことが極めて重要ではな
競争環境の中でどうやって生き抜くかという生き残りの時代に
いかと思います。
なっていくと思いますが、生き残るためには、技術はもちろん、そ
野口 インフラ事業の建設工事現場がHIV/エイズのホットスポット
れ以上に、新しい社会システムにおける役割分担が非常に重要に
としてマッピングされないよう、建設現場で働く人々の生活改善に
なるのではないかと思います。
つながるような「地図に残る仕事」
をしていただきたいと思います。
河口 外部のステークホルダーは、
コンプライアンスのように社
水口 現在のマクロの社会経済システムは、建設業がCSRに取り
内をきちんと固めた上で、旧来の社会の枠組みをステークホル
組みやすいような仕組みにはなっていないようですが、今日、実際
ダーのニーズに合うように壊したり広げたりするような先進的な
の現場を拝見して、第一線の社員の方々には非常に熱意と技術力
取り組み、例えば、
グローバル社会で重要なHIV/エイズの取り組
があると思いました。そのギャップを埋めるのはマネジメントの力
みや生物多様性のための自主的な取り組みですが、そのようなも
だと思います。
のを求めていると思いますので、大成建設が持っている経営資源・
足立 大成建設の今までの長い歴史で積み重ねてきた知識・経
能力・熱意によって旧来の枠組みを壊し、またより良い社会をつ
験・技術を使って、社会の諸問題に関する大成建設としてのベスト
くっていくことを通じて、
「地図に残る仕事」
・
「歴史に残る仕事」を
な方法というものを提案していただき、
「地図に残る仕事」だけで
なさっていただきたいと思います。
∼ステークホルダー・ダイアログに参加して∼
当社では、
2002年よりステークホルダーミーティング
今回のダイアログのテーマでもありました「安全・安心な
を開催してまいりましたが、今年も、各界でご活躍中の6名
構造物の提供」は、
「 人がいきいきとする環境」を創造し、社
の社外有識者の方をお招きしてダイアログ(対話)形式で
会基盤の整備を担う当社にとっては、社会に対する貢献の
意見交換を行いました。
中でも特に重要なテーマであると認識しております。
「大成建設のCSRを問う∼期待と課題∼」をメインテー
しかし、一方では560万人の雇用者を抱え、セーフティ
マとし、地球規模で議論されている「地球温暖化防止の取
ネットも十 分に整 備されないまま投 資が年々減 少してい
り組み」をはじめ、
5つのテーマについて社外有識者の方
く建設業のなかにあって、当社が「ステークホルダーの一
から貴重なご意見とご示唆をいただきました。当社も関係
員として 建 設 業 に 従 事 する人 達 に
部門の責任者が出席し当社の基本的な考え方や取り組み
対するCSR」をどのようにとらえる
をご説明し、率直な意見交換が出来ましたことは、今後の
べきなのか、今後とも社外有識者の
当社のCSR活動を推進していく上で、とても有意義であ
方 の お 知 恵 も お 借りしな がら考 え
りました。
ていきたいと思っております。
私共は、本格的にコンプライアンスへの取り組みを行っ
今後ともこのような機会を積極的
ており、一層CSR活動に積極的・継続的に取り組んでまい
に設け、当社のCSR活動をより発展
ります。
させていきたいと考えております。
代表取締役副社長
CSR委員会委員長
岡本 敦
【大成建設 出席者】
岡本 敦(代表取締役副社長・CSR委員会委員長)
阿久根 操(常務役員・経営企画部長)
佐藤 利省(広報部長)
矢吹 純夫(総務部長)
松田 稔雄(法務部長)
大竹 公一(環境マネジメント部長)
勝井 秀博(土木技術研究所担当部長)
舘 康太郎(エンジニアリング計画部長)
細澤 治(設計本部副本部長)
阿波 正文(国際事業本部管理部長)
大成建設 CSR 報告書 2007
56
第三者保証報告書
第三者保証報告書
大成建設株式会社
代表取締役社長 山内 隆司 殿
2007年6月30日
1.保証業務の対象と目的
私たち、
株式会社みすずサステナビリティ認証機構は、
大成建設株式会社(以下、
「会社」
という。)
からの依頼に基づき、
会社が作成した「CSR
報告書2007」
(以下、
「同報告書」
という。)
に関して保証業務を行った。保証業務の目的は、
同報告書に記載されている環境情報を対象として、
以
下の点について独立の立場から結論を表明することである。
・同報告書に記載されている環境情報が、
会社の定める基準に従って、
収集、
報告されているか。
同報告書は会社の責任のもとに作成されたものであり、
私たちの責任は独立の立場から結論を表明することにある。
なお、
本年度が8年度目の
業務であるため、
1998年度以前の情報は保証の対象とはしてない。
また、
定量情報に関しては会社、
定性情報に関しては会社及びその国内グ
ループ会社のみを保証の対象としている。
2.実施した保証業務手続の概要
私たちは、
「環境報告書審査基準案」
(2004年3月制定 環境省)
に準拠し、
また、
「過去財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務
(ISAE3000)
」
(2003年12月改正 国際会計士連盟)
を参考にして業務を行った。
保証業務において行った手続の概要は以下のとおりである。
・会社の全般的状況及び環境マネジメントに関する資料の閲覧、
質問等
・会社の定める基準の適用状況に関する質問等
・保証対象が測定、
集計、
報告される方法に関する資料の閲覧、
質問等
・保証対象についてサンプリングしたデータと根拠資料の証憑突合等、
各根拠資料間の整合性の評価、
分析的手続
・東京支店薬研坂作業所、
横浜支店川縦線作業所への現地視察と重要な環境情報の集計報告過程の確認
・会社が委託している産業廃棄物業者への現地視察
3.私たちの結論
保証業務の結論は、
以下のとおりである。
・同報告書に記載されている環境情報が会社の定める基準に従って、
収集、
報告されていないと認められる重要な事項は発見されなかった。
4.独立性
会社と私たちの間には、
公認会計士法等の規定に準じて記載すべき利害関係はない。
以 上
株式会社みすずサステナビリティ認証機構
代表取締役社長
IA2007-0004
私たちから大成建設への提言
私たちは保証業務実施中に上記報告のほか会社に対していくつかの提言をしました。そのうち主なものを示します。
■ 大成アジェンダの運用向上 : 大成アジェンダは会社の環境経営も骨格となるものですが、項目によってはその目標に対する評価方法・
基準が定まっていない場合(有害物質の適正管理)や目標設定の是正が必要な項目等があります。該当項目について見直しされるこ
とが望まれます。
■ 環境パフォーマンスデータの経年変化の留意点 : 会社の環境パフォーマンスデータの集計は、年々計算に含める範囲の拡大、算出
様式を改善され、
より実態に合わせるように向上されています。今後、経時的な変化を示す場合に、単純にその時点での計算結果を
表すのではなく、その目的に応じて過去に遡って算出を変更するなど読み手の誤解の無い様に対応することをお勧めします。
57
大成建設 CSR 報告書 2007
大成建設「CSR報告書2007」第三者意見
一橋大学大学院 商学研究科 教授 経営学博士
谷本 寛治 氏
大成建設では、2007年初めからグループとしての経営理
スにかかわる非財務の年次報告書であるからには、やはり取り
念、ビジョン、行動憲章が施行され、CSRへの取り組みも第二
組み毎の1年間の目標、達成度合い、次年度への課題という形
段階に入ったといえよう。これまでのところCSRについて、部
で可能な限りまとめ、開示していく工夫が必要である。またグ
門間、支店間、またグループ会社の中には意識や取り組みに差
ループ会社に関する記述については、
トピックス的な紹介にと
が見られるものの、2007−2009年の中期経営計画にも位
どまっており、今後はグループ全体としてのCSRへの取り組み
置づけられ、具体的な取り組みが進められている。今後グルー
を深めて、そのデータも示していくことが必要であろう。
プとしての C S R 、サプライチェーンも含めたC S R の 定 着を
図っていくことが期待される。
ステークホルダーとの関係について
中期経営計画において、
「あらゆるステークホルダーから積
コンプライアンスについて
極的に支持されかつ信頼される企業グループを目指す」と明
まず昨年の「脱談合宣言」を受けて、社長の諮問委員会とし
記されているが、その取り組みについては報告書を通して見え
て「コンプライアンス委員会」が昨年6月に立ち上がっている。
にくいという印象をもった。p.15-16に「企業行動憲章と事業
同委員会から示された9つの提言を受け(p.19)、すべての項
全体像」が示されているが、事業活動の諸局面において、どの
目についてその取り組みが始まっている。コンプライアンスの
ようなステークホルダーとどのようにかかわっているかマッピ
他、CSRにかかわる諸項目についても各部署において具体的
ングし、それぞれの課題について考えていくことが必要ではな
な課題・目標に落とし込み、取り組んでいくことが始まってい
いだろうか。例えば従業員についても、昨年度と同様、制度面
る。昨年の報告書では「脱談合」へのトップのコミットメントは
での記載が中心となっている。従業員からのどのような期待や
示されたが、具体的な道筋が示されていたわけではなかった。
要求があり、この1年間どのような目標をもって、どのような活
社会的な関心の高さからすると、本年の報告書においては、こ
動をし、成果を上げたのか、可能な限り示していくことを期待し
の1年間の関連する動きを特集で示しても良かったのではな
たい。また社会貢献活動にしても、現在検討中の「社会貢献指
いかと思う。
針」がとりまとめられれば、さまざまな活動を位置づけ直し、さ
らにそれぞれの成果をも示していくことで、社会に対し明確な
開示のあり方について
メッセージが伝わっていくと思われる。顧客との関係について
私は昨年の第三者意見において、社会面においても1年間
はとくに項目を立てて記載されていないが、どのような声があ
の目標と達成度合いを示していくことが必要だと書いた。本年
りコミュニケーションを行っているのか、示した方がいいので
の報告書ではp.14に「CSR推進活動の実績と課題」が掲載さ
はないか。最 後に、環 境に関する「 大 成アジェンダ」について
れているが、ただそこでは骨子だけにとどまっている。しかしそ
は、環境情報に関する第三者保証においても指摘されている
れぞれの重要課題については、各部署において実際に取り組
ように、有害物質の規制への新たな取り組みや、各項目自体の
みが始まっているのであるから、もう少し具体的に開示するこ
見直しなど、時代の流れに沿って積極的に改訂していくことも
とができるのではないか。CSRの活動状況をどのように報告
大切であろう。
書において書き示していくかという問題は、どの企業において
2007年7月
も課題となっている。
「CSR報告書」が、環境、社会、ガバナン
大成建設 CSR 報告書 2007
58
大成建設はチーム・マイナス6%に参加しています。http://www.team-6.jp
編集方針
このCSR報告書は、
CSR
(企業の社会的責任)
に関する大成建設の考え方や取
り組みをステークホルダーの方々に対してわかりやすくご報告することを目的
として発行しています。
CSR報告書は、
ガバナンス/マネジメント・社会・環境という3つのパートで構
成されていますが、特に今年は、
「 読みやすさ」に重点を置いて、記事内容や文
字の大きさに留意しました。
また、昨年同様、報告書全体にかかわる重点テーマを設定することとし、今年は、
以下のテーマを取り上げました。
●
コンプライアンスに対する取り組み
●
安全・安心な構造物の提供
●
社会貢献への取り組み
●
地球温暖化防止のための取り組み
●
生物多様性への取り組み
さらに、大成建設の事業展開をステークホルダーの方々にイメージしていただく
ために、昨年は「イラスト」を使って表現しましたが、今年は「大成建設の企業行動
憲章と事業全体像」
として表現しています。
■ 対象組織
大成建設株式会社
(ただし、
海外作業所におけるパフォーマンスデータは含まな
い)
を対象とし、
グループ会社
(関係会社)
の取り組みについても掲載しました。
■ 対象期間
2006年度
(2006年4月1日∼2007年3月31日)
、
ただし、一部の情報につ
きましては、2007年6月までの最新情報も含めて報告しています。
■ 参考ガイドライン
GRI
(Global Reporting Initiative)の「サステナビリティ・レポーティング
・ガイドライン2006」
●
環境省「環境報告ガイドライン
(2007年度版)」
■ 本報告書の第三者の意見
「第三者保証報告書」株式会社みすずサステナビリティ認証機構
(MSCert)
による環境情報に関する保証
●
●
「第三者意見」一橋大学大学院教授 谷本寛治氏による報告書全体に対する
意見(上記を含む)
●
企画・編集 CSR報告書2007編集会議事務局
編 集 協 力 株式会社クレアン
発 行 2007年 8月発行
(次回発行予定:2008年8月)
お問い合せ先 社長室 経営企画部 CSR推進室
〒163-0606 東京都新宿区西新宿1- 25 -1 TEL:03(5381)5003
Cert no. SGS-COC-1808
E-mail:[email protected] URL:http://www.taisei.co.jp
0709・25000・S・N
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