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業務継続ガイドライン

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業務継続ガイドライン
社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の
業務継続ガイドライン
目 次
用語集 1
1.はじめに 2
1-1.ガイドライン作成のねらい 2
1-2.ガイドラインの構成・利用方法 3
2.新型インフルエンザ等 BCP の基礎知識 4
2-1.新型インフルエンザ等とは 4
2-2.発生段階・対応ステージとは 5
2-3.特別措置法・特定接種とは 6
2-3-1 新型インフルエンザ等対策特別措置法 6
2-3-2 特定接種 6
2-3-3 特定接種の登録対象となる事業者 7
2-3-4 特定接種の登録手続き 7
2-3-5 登録完了の連絡・公表 8
2-3-6 特定接種の実施 8
2-4.業務継続計画(BCP)とは 2-4-1 新型インフルエンザ等 BCP とは(自然災害 BCP との違い)
2-5.介護・福祉事業所に求められる役割 3.BCP の策定、運用のポイント 9
9
11
13
3-1.BCP 策定のポイント 13
3-2.BCP の構成モデルと主な内容 15
3-2-1 体制 18
3-2-2 感染予防対応 18
3-2-3 業務継続対応 21
3-3.種別ごとに留意すべきポイント 22
3-3-1 種別ごとの優先業務一覧(例)
23
3-3-2 高齢者入所施設 24
3-3-3 高齢者通所施設 25
3-3-4 高齢者、障害者・児、保育 訪問事業所 26
3-3-5 障害者・児入所施設 27
3-3-6 障害者・児通所施設 28
3-3-7 救護施設 29
3-3-8 保育所 30
3-3-9 乳児院 31
3-3-10 児童養護施設 32
4.BCP 作成例 33
付録:新型インフルエンザの基礎知識 58
用語集
●業務継続計画(Business Continuity Plan:BCP)
新型インフルエンザ等や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施することが困難にな
ります。そうした場合でも優先業務を実施するため、あらかじめ検討した方策をまとめたものを指します。
●新型インフルエンザ
ことができるように変化し、さらに人から人へ効率よく感染するようになったインフルエンザをいいま
す。毎年流行する季節性インフルエンザと異なり、未知のウイルスであるため、
ほとんどの人は免疫を持っ
ておらず、容易に人から人へ感染して拡がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性が
あります。
●新感染症
感染症法第 6 条第 9 項において、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られた感染
性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が
重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると
認められるものをいいます。
●新型インフルエンザ等
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)第6条第7項に規定する新型
インフルエンザ等感染症、及び同条第9項に規定する新感染症(全国的かつ急速に蔓延するおそれがあ
るものに限る)をいいます。
●特定接種
新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)第 28 条に基づき、新たに規定された予防接種
制度をいいます。「医療の提供並びに国民生活及び国民経済の安定を確保するため」に行うものであり、
政府対策本部長がその緊急の必要があると認めるときに行われます。基本的に住民接種よりも先に開始
されますが、特定接種の対象となる事業者は厚生労働省への登録が必要になります。
●住民接種
特措法第 46 条に基づき実施される接種と、予防接種法第6条第3項に基づき実施される接種に分かれ
ます。前者は緊急事態宣言下で実施され、後者は緊急事態宣言が出されていない場合に実施されます。
市町村が実施主体となり、原則集団的接種として実施されます。
●濃厚接触者
新型インフルエンザ等の患者と長時間居合わせたなどの理由により、新型インフルエンザ等への感染
が疑われる者を指します。患者と同室の利用者や患者と同居する家族などが想定されます。
●感染予防対応
ここでは、新型インフルエンザ等の発生時に感染予防・感染拡大防止・感染者対応等の観点から必要
となる対応事項をいいます。
●業務継続対応
ここでは、新型インフルエンザ等の発生時における業務の継続・縮小・休止等の観点から必要となる
対応事項をいいます。
●パンデミック
感染症の世界的大流行のことをいいます。新型インフルエンザ等は未知の感染症であるため、ほとん
どの人が免疫を持っておらず、感染が拡大することが想定されています。
新型インフルエンザBCP | 1 |
用語集
特に鳥類にのみ感染していた鳥インフルエンザウイルスが、遺伝子の変異によって人の体内で増える
1 はじめに
1
1−1
ガイドライン作成のねらい
新型インフルエンザ等対策のため「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が平成 25 年4月 13 日に
施行されました。特措法では、「サービスの停止等が利用者の生命維持に重大・緊急の影響がある介護・
はじめに |ガイドライン作成のねらい|
福祉事業所」が「介護・福祉型」と整理されており、住民接種に先立つ「特定接種」の事前登録のために、
「新
型インフルエンザ等にかかる業務継続計画(以下、BCP)」の策定が求められています。特定接種の事前
登録を受けた事業者(登録事業者)は、新型インフルエンザ等発生時においてサービス提供の継続に努
める必要があります。
ガイドラインではサービス形態などに基づき「介護・福祉型」の事業者を9種類の区分けに再整理し(下
表1参照)、「BCP 検討のきっかけを提供すべく」情報をまとめました。また、事業者や専門家等へのヒ
アリングを通して抽出した項目やポイントなどを整理し、9種類の BCP 作成例を整備しました(「高齢
者入所」区分の BCP 作成例のみ本ガイドラインに盛り込んであります。残り8種類の BCP 作成例は厚
生労働省のホームページに掲載される予定です)。
単独の事業者が一から作成するのは容易ではないので、ガイドラインで示した考え方や BCP 作成例な
どを参考にしていただきたいと思います。
表1
ガイドラインでの区分け(主に参照いただきたい区分けに○)
介護・福祉型の事業者(※)
高齢者、障
害者・児
保育
高齢者
入所
通所
訪問
障害者・児
入所
通所
○
○
障害者支援施設
○
○
障害児入所支援施設
○
介護保険施設
○
指定居宅サービス事業
○
○
○
指定地域密着型サービス事業
○
○
○
老人福祉施設
○
○
○
有料老人ホーム
○
障害福祉サービス事業
○
救護施設
児童福祉施設
救護
施設
保育所
乳児院
児童養
護施設
○
○
○
○
○
※厚生労働省告示第 369 号参照(2−3−3に掲載)
なお、ガイドラインは BCP 作成に最低限必要な情報を整理したものであり、作成後も継続的に検討・
修正を繰り返すことで各事業所の状況に即した内容へと発展させていただくことが望ましいです。
| 2 | 新型インフルエンザBCP
1−2
ガイドラインの構成・利用方法
1
本ガイドラインの構成ならびに利用方法は以下のとおりです。
構成
利用フェーズ
内容・利用方法
1.はじめに
趣旨を理解する
−
2.新型インフル BCP の基礎知識
前提知識を習得する
後記「3.BCP 策定、運用のポイント」の理解を
深めるために必要な項目を整理しています。
まずは、これら項目について理解をしてください。
2 1 新型インフルエンザ等とは
2 2 発生段階とは
2 3 特措法・特定接種とは
2 4 業務継続計画(BCP)とは
2 5 介護・福祉型事業者の役割
3.BCP 策定、運用のポイント
策定項目を決める
3 1 BCP 策定のポイント
3 2 BCP の構成モデルと主な内容
3 3 種別ごとに留意すべき点
4.BCP 作成例
実際に策定する
前記2から導かれる「3−1 BCP 策定のポイン
ト」をもとに「3−2 BCP の構成モデル※」を
作成しチェックリスト化しています。
当チェックリストをベースに、各事業所の事情と、
「3−3 種別ごとに留意すべき点」等を考慮のう
え、必要な策定項目を取捨選択してください。
※高齢者入所施設を前提に整理
前記3で整理をした「3−2 BCP の構成モデル」
に沿って、サービス形態などを踏まえ整理した9
種類の BCP 作成例を掲載しています(「高齢者入
所」区分の BCP 作成例のみ本ガイドラインに盛り
込んであります。残り8種類の BCP 作成例は厚生
労働省のホームページに掲載される予定です)。
前記2で整理をした策定項目につき、当モデルを
ベースにアレンジを加え、BCP を完成させてくだ
さい。
新型インフルエンザBCP | 3 |
はじめに |ガイドラインの構成・利用方法|
(用語集)
2 新型インフルエンザ等BCPの基礎知識
2
2−1
新型インフルエンザ等とは
■ 新型インフルエンザ等の定義
本ガイドラインの対象とする感染症は、特措法第2条第1号に規定する「新型インフルエンザ等」と
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |新型インフルエンザ等とは|
します。具体的には以下の通りです。
・感染症法第6条第7項に規定する新型インフルエンザ等感染症
・感染症法第6条第9項に規定する新感染症で、その感染力の強さから新型インフルエンザと同様に社
会的影響が大きなもの
■ 新型インフルエンザ等の被害想定
新型インフルエンザ等の症状や感染経路は未確定ですが、発熱、咳(せき)
、といった初期症状や飛沫
感染、接触感染が主な感染経路と推測されるなど、基本的には通常のインフルエンザ共通の特徴を有し
ていると考えられます。
しかし、新型インフルエンザはほとんどの人が免疫を持っておらず、ワクチンもありません。そのため、
通常のインフルエンザと比べると爆発的に感染が拡大し、非常に多くの人がり患して甚大な健康被害が
引き起こされると想定されています。
有効な対策を考えるために被害想定として、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」等で示されて
いる患者数等の流行規模に関する数値を表2にまとめています。
ただし、新型インフルエンザ等の病原性や感染範囲を正確に事前予測することは難しく、発生被害が
想定を上回る事態や下回る事態があり得ることを念頭に置くことが重要です。
表2 被害想定
<政府想定(重度のケース)>
発症者数:3,200 万人(全人口の 25%)、受診患者数:1,300 万人∼ 2,500 万人、
入院患者数:∼ 200 万人、死傷者数:約 64 万人(致死率 2%)、欠勤率:最大 40%
国における発生段階
未発生期
海外発生期
国内発生早期
国内感染期
小康期
0∼2週間
2週間後∼4週間
4週間後∼ 12 週間
12 週間後∼
WHO が警戒期を宣
WHO がパンデミッ
WHO が移行期を宣
WHO に よ る 新 型 イ ン
言(新しい亜型イン
ク期を宣言(新しい
言(世界的なリスク
フルエンザ警戒フェー
フルエンザの人への
亜型インフルエンザ
が下がり、世界的な
ズ
感染を確認)
の人への感染が世界
対応の段階的縮小や
的に拡大)
国ごとの対策の縮小
感染速度
(参考)
※国の発生段階とは必
ずしも対応しない
等が起こりうる段
階)
都市部で感染第1号
感染状況
| 4 | 新型インフルエンザBCP
某国で感染発生
感染者数がピーク
感染者数は減少。一
が発生。各地で徐々 (感染率は約3割)。
部地方で感染が続
に増加。
く。
2−2
発生段階・対応ステージとは
■ 新型インフルエンザの発生段階
新型インフルエンザ等の対策は、感染の段階に応じて採るべき対応が異なることから、事前の準備を
そのため、国の「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」では、あらかじめ新型インフルエンザ等
の発生段階を設け、各段階において想定される状況に応じて対応方針を定めております。
■ 対応ステージ
本計画では上記「発生段階」をもとに、以下ステージを設定し、ステージ区分ごとに対応方針等を整
理します。
・ステージ0:発生段階における「未発生期」
・ステージ1:同「海外発生期」~「国内発生早期・地域未発生期」
・ステージ2:同「国内発生早期・地域発生早期~国内感染期・地域発生早期」
・ステージ3:同「国内感染期・地域感染期~小康期」
表3に、上記発生段階と対応ステージの関係を示します。
表3 発生段階と対応ステージ
発生段階
段階
未発生期
新型インフルエンザが発生していない状態
海外発生期
海外で新型インフルエンザが発生した状態
国内発生早期
国内感染期
小康期
ステージ
状態
ステージ0
(地域未発生期)
国内のいずれかの都道府県で新型イ 各都道府県で新型インフルエンザの患
ンフルエンザの患者が発生している 者が発生していない状態
が、全ての患者の接触歴を疫学調査
(地域発生早期)
で追える状態
各都道府県で新型インフルエンザの患
者が発生しているが、全ての患者の接
触歴を疫学調査で追える状態
国内のいずれかの都道府県で、新型
(地域感染期)
インフルエンザの患者の接触歴が疫
各都道府県で新型インフルエンザの患
学調査で追えなくなった状態
者の接触歴が疫学調査で追えなくなっ
た状態
ステージ1
ステージ2
ステージ3
新型インフルエンザの患者の発生が減少し、低い水準でとどまっている状態
注:地域感染期に至らない段階で、自施設で感染者が発生した場合は、ステージ3に準じた対応を実施する。
新型インフルエンザBCP | 5 |
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |発生段階・対応ステージとは|
進め、状況の変化に即座に応じて意思決定を行うことが重要になります。
2
2
2−3
特別措置法・特定接種とは
2−3−1 新型インフルエンザ等対策特別措置法
平成 21 年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)の経験を踏まえ、平成 23 年に政府行動計画「新型
性を高めること、国民の生活や経済に及ぼす影響が最小となるようにするため平成 25 年に制定されました。
なお、
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の疾病対象は、
新型インフルエンザの他、
未知の感染症(新
感染症)で、その感染力の強さから新型インフルエンザと同様の対応する必要のあるものとしています。
2−3−2 特定接種
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第28条
に基づき、新型インフルエンザ等が発生した場合に、医療の提供の業務又は国民生活・国民経済の安定
に寄与する業務を行う事業者の従業員や、新型インフルエンザ等対策の実施に携わる公務員に対して臨
時に行う予防接種のことです。
表4 特定接種の接種対象業種と接種順位の考え方(厚生労働省資料「特定接種(医療分野)の登録について」より抜粋)
○ 政府行動計画において、特定接種の登録対象となる業種等を下表のとおりとするとともに、接種順位は、下表のグループ
①(医療分野)からの順とすることを基本とされている。
※ 実際の特定接種対象者の範囲や接種順位等については、新型インフルエンザ等発生時に、政府対策本部において、
発生状況等に応じて柔軟に決定することとされている。
医療分野
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |特別措置法・特定接種とは|
インフルエンザ対策行動計画」が改定されました。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は、その実効
類型
事業の種類
新型インフルエンザ
等医療型
新型インフルエンザ等医療
重大・緊急医療型
重大緊急医療
国民生活・国民経済安定分野
新型インフルエンザ等の発生により対応が必要となる業務に従事する者
新型インフルエンザ等対策
国民の緊急の生命保護と秩序の維持を目的とする業務や国家の危機管理に関する
の実施に携わる公務員
業務に従事する者
介護・福祉型
サービスの停止等が利用者の生命維持に重大・緊急の影響がある介護・福祉事業所
指定公共機関型
医薬品・化粧品等卸売業、医薬品製造業、医療機器修理業・医療機器販売業・医療
機器賃貸業、医療機器製造業、ガス業、銀行業、空港管理者、航空運輸業、水運業、
通信業、鉄道業、電気業、道路貨物運送業、道路旅客運送業、放送業、郵便業
接種順位
グループ
①
グループ
②
指定同類型
(業務同類系)
医薬品・化粧品等卸売業、医薬品製造業、医療機器修理業・医療機器販売業・医療 グループ
③
機器賃貸業、医療機器製造業、映像・音声・文字情報制作業、ガス業、銀行業、
空港管理者、航空運輸業、水運業、通信業、鉄道業、電気業、道路貨物運送業、
道路旅客運送業、放送業、郵便業
指定同類型
(社会インフラ系)
金融証券決済事業者、石油・鉱物卸売業、石油製品・石炭製品製造業、熱供給業、
その他の
登録事業者
飲食料品卸売業、飲食料品小売業、各種商品小売業、食料品製造業、石油事業者、 グループ
その他の生活関連サービス業、その他小売業、廃棄物処理業
④
注:※指定公共機関型の事業者と同様の業務を行う公務員については、指定公共機関型と同順位とする。
※上下水道、河川管理・用水供給、工業用水道の業務を行う公務員については、公共性・公益性から整理し、指定公共
機関型と同順位とする。
※医療分野、介護福祉型、その他の登録事業者と同様の業務を行う公務員についてはそれぞれ民間の事業者と同順位とする。
| 6 | 新型インフルエンザBCP
この特定接種の登録対象となる業種は、新型インフルエンザ等政府行動計画において、優先順位が決
められています。実際の特定接種対象者の範囲や接種順位等については、
新型インフルエンザ等発生時に、
政府対策本部において、発生状況等に応じて柔軟に決定することとされています。介護・福祉事業所はサー
ビスの停止等が利用者の生命維持に重大な影響があるものとして、国民生活・国民経済の安定に寄与す
特定接種は基本的に住民接種よりも先に開始されることになっており、また国が主体となって接種を
行うこととされています。
2−3−3 特定接種の登録対象となる事業者
特定接種の登録対象となる事業者は以下のⅰ)、ⅱ)の要件を満たしている必要があります。特に、特
定接種を希望する事業者は、あらかじめ業務継続計画を作成していることが必要ですので、ご留意くだ
さい。また、登録を受けた事業者は、特措法第 4 条第 3 項に基づき、新型インフルエンザ等の発生時に
おいても、福祉サービスの提供を継続的に実施するよう努めなければなりません。
ⅰ)特措法第 28 条第 1 項第 1 号の規定に基づき厚生労働大臣が定める
基準(平成 25 年厚生労働省告示第 369 号)において定められた基
準のうち、「事業の種類の細目」で記載された事業に係る事業者で
あること(表5参照)。
ⅱ)業務継続計画を作成していること。
業務継続計画に記載すべき事項は以下の通りである。
・新型インフルエンザ等発生時の業務継続方針
・新型インフルエンザ等発生時の重要業務、縮小業務及び休止業務の分類並びに重要業務の継続方針
・新型インフルエンザ等発生時の重要業務継続のための具体的方策
・その他必要な事項(特定接種の実施に必要な事項等)
表5 平成 25 年厚生労働省告示第 369 号抜粋
事業の種類
事業の種類の細目
対象業務
社会保険・社会
福祉・介護事業
介護保険施設(特措法第 31 条第1項に規定
する患者等に対する医療の提供(以下「新型
インフルエンザ等医療提供」という。)を行う
事業の項に分類されるものを除く。)
指定居宅サービス事業
老人福祉施設
有料老人ホーム
障害福祉サービス
障害者支援施設
障害児入所支援施設
救護施設
児童福祉施設
要介護度3以上、障害程度区分4以上(障害
児にあっては、短期入所に係る障害児程度区
分2以上)又は未就学児の利用者であってサー
ビスの停止等が生命維持に重大かつ緊急の影
響があるものがいる入所施設又は訪問事業所
において、介護職員、保健師、助産師、看護師、
准看護師、保育士若しくは理学療法士等又は
施設長その他の意思決定者が行う介護等の生
命維持に係るサービスの業
2−3−4 特定接種の登録手続き
特定接種の登録対象となる事業者は、あらかじめ登録を行う必要があります。詳細は後日厚生労働省
のホームページに掲載される予定です。
新型インフルエンザBCP | 7 |
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |特別措置法・特定接種とは|
る業種の一つとして含まれています。
2
2
2−3−5 登録完了の連絡・公表
厚生労働省は、事業者が登録事業者として厚生労働省に備える管理台帳に登録された場合には、厚生
労働省のホームページにおいて、当該事業者名、事業の種類、事業所名及びその所在地、登録年月日並
びに登録番号を公表し、公表をもって連絡に代えます。
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |特別措置法・特定接種とは|
2−3−6 特定接種の実施
特定接種の実施が決定された場合、政府対策会議が決定した特定接種の総枠及び接種対象者数が厚生
労働省から登録事業者に対し通知されます。
登録事業者と接種実施医療機関は、厚生労働省から伝達されたワクチン配分量等を踏まえて、接種日
時を調整し、実施に移します。
実施に際して、登録事業者は職員に対して予防接種について説明し、同意を得た上で接種予定者名簿
を作成し、接種実施医療機関に提出します。
接種時の対象者の確認は、接種予定者名簿と職員証等で行います。
(参考)ワクチン接種の同意取付について
上述の通り、特定接種の枠組みでワクチン接種を受けることが想定される職員には「説明の実施、同
意の取付」が求められます。
一方、施設・事業所の利用者は「住民接種」の枠組みで新型インフルエンザ等ワクチン接種を受ける
ことになります。健常人と比べて健康に配慮を要する必要性がより大きいため、
「説明の実施、同意の取付」
については慎重に行うことが肝要です(住民接種にあたり、新たに同意を取り付ける必要があります)。
なお、利用者の中には意思表示が困難な方も存在し、さらに家族・後見人・保護者・親権者等からの
同意取付が困難なケースも想定されます。
施設・事業所では、そうした同意取付が困難なケースが存在することを認識し、事前に該当する利用
者をピックアップしておくなどの準備を行うことが望まれます。
| 8 | 新型インフルエンザBCP
2−4
業務継続計画(BCP)とは
BCP とは Business Continuity Plan の略称でビー・シー・ピーと呼ばれ、日本語では業務継続計画な
どと訳されます。新型インフルエンザ等や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施する
をまとめたものを指します。
2−4−1 新型インフルエンザ等 BCP とは(自然災害 BCP との違い)
新型インフルエンザ等と大地震をはじめとした自然災害では、被害の対象や期間などに違いが見られ
ます(両者の主な相違は表6)。ここから導かれる重要な特徴は以下の3点です。
①情報を正確に入手し、その都度、的確に判断をしていくことが重要
感染の影響期間は、不確実性が高く予測が困難です。それでも、利用者・職員への感染リスク、業務
を継続する社会的責任、施設・事業所を運営していくための収入の確保などの観点を踏まえて業務継続
レベルを判断していく必要があります。そのため、正確な情報を収集し、その都度的確に判断を下して
いくことが施設・事業者には求められます。
②業務継続は、主にヒトのやりくりの問題
建物設備やインフラなどに甚大な被害を及ぼす自然災害と違い、新型インフルエンザ等ではヒトへの
影響が大きくなります。そのため、感染拡大時の職員確保策をあらかじめ検討しておくことが重要です。
③感染防止策が重要
上述の通り、新型インフルエンザ等における業務継続はヒトのやりくりが中心的な問題になります。
職員の確保策に加え、感染防止策についてもあらかじめ検討し、適切に実施しておくことが肝要です。
表6 新型インフルエンザと地震との違い(厚生労働省「事業者・職場における新型インフルエンザ等
対策ガイドライン」にインターリスク総研が加筆)
項目
地震災害
事業継続方針
被害の対象
新型インフルエンザ
◎できる限り事業の継続・早期復旧を図る
◎感染リスク、社会的責任、経営面を勘案し、
事業継続のレベルを決め、事業を継続
◎主として、施設・設備等、社会インフラへ ◎主として、人への健康被害が大きい
の被害が大きい
地理的な影響範囲
◎被害が国内全域、全世界的となる
◎被害が地域的・局所的
(代替施設での操業や取引事業者間の補完 (代替施設での操業や取引事業者間の補完
が不確実)
が可能)
被害の期間
◎過去事例等からある程度の影響想定が可能 ◎長期化すると考えられるが、不確実性が高
く影響予測が困難
◎主に兆候がなく突発する
被害発生と被害制御 ◎被害量は事後の制御不可能
事業への影響
◎海外で発生した場合、国内発生までの間、
準備が可能
◎被害量は感染防止策により左右される
◎事業を復旧すれば業績回復が期待できる
◎集客施設等では長期間利用客等が減少し、
業績悪化が懸念される
情報を正確に入手し、
その都度、的確に判断をしていくことが必要
感染防止策が重要
業務継続は、主に
人のやりくりの問題
新型インフルエンザBCP | 9 |
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |業務継続計画︵BCP︶とは|
ことが困難になりますが、そうした場合においても優先業務を実施するためにあらかじめ検討した方策
2
また、上述の違いを踏まえると、業務量の時間的推移も異なってきます(図1参照)。
2
自然災害が発生すると、インフラ停止などによる通常業務の休止や、避難誘導・安否確認などによる
災害時業務の発生のため、通常の業務量が急減します。
一方、新型インフルエンザ等は国内で感染が拡大し始めると、自身が感染したり、感染した家族の看
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |業務継続計画︵BCP︶とは|
病を行ったりして出勤できなくなる職員が出てきますが、通常業務が急減することはなく、対応可能な
業務量が徐々に減少していくものと想定されます。
そこで、新型インフルエンザ等 BCP では「不要不急の業務から順次休止・縮小していき、感染のピー
ク時でも優先業務は最低限継続させる」ことが目的となります。
図1 災害と新型インフルエンザ等の発生後業務量の時間的経過に伴う変化
事故・自然災害等のBCP
平常業務量
災害
業務回復(優先度の高い業務から回復)
緊急時
対応
業務量0
(数日程度)
パンデミックのBCP
沈静化
平常業務量
第一
段階
第二
段階
業務縮小
(流行によって業務量は変動)
コア業務の継続(優先度の高い業務のみ継続)
業務量0
(1~2週間)
| 10 | 新型インフルエンザBCP
(2~3ヶ月から数ヶ月)
2−5
介護・福祉事業所に求められる役割
■ サービスの継続
介護・福祉事業所は、利用者の健康・身体・生命を守るための必要不可欠な責任を担っています。また、
する業務を継続的に実施する努力義務が特措法第4条3項により課せられます。
したがって、入所施設においては新型インフルエンザ等の感染拡大時にも業務を継続できるよう事前
の準備を入念に進めることが必要です。また通所事業所や訪問事業所においても極力業務を継続できる
よう努めるとともに、万一業務の縮小や事業所の閉鎖を余儀なくされる場合でも、利用者への影響を極
力抑えるよう事前の検討を進めることが肝要です。
■ 利用者の安全確保
介護・福祉事業所は、体力が弱い高齢者や障害者、乳幼児等に対するサービス提供を行います。いっ
たん集団感染が発生した場合、深刻な人的被害が生じる危険性があるため、利用者の安全確保に向けた
感染防止策をあらかじめ検討しておき、確実に実行する必要があります。
■ 職員の安全確保
感染拡大時に業務継続を図ることは、職員が感染するリスクを高めることになります。したがって、
職員の感染防止のために適切な措置を講じることが使用者の責務となります。
新型インフルエンザBCP | 11 |
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |介護・福祉事業所に求められる役割|
その中でも登録事業者は新型インフルエンザ等発生時において、医療の提供及び国民経済の安定に寄与
2
2
新型インフルエンザ等BCPの基礎知識 |介護・福祉事業所に求められる役割|
| 12 | 新型インフルエンザBCP
3 BCPの策定、運用のポイント
3−1
BCP策定のポイント
3
<1>正確な情報集約と判断ができる体制を構築
響を総合的に勘案して決めていくことが求められます。そのためには正確な情報がいち早く判断者の
もとに集約される体制づくりが重要です。
・したがって、平時と緊急時の情報収集・共有体制や、情報伝達フロー等の構築がポイントとなります。
<2>事態の進展に合わせた段階的な対策を整理
・前記のとおり、政府行動計画においては、5つの「発生段階」で新型インフルエンザ等対策を整理し
ています。介護・福祉事業所は、前記「特定接種」の「登録事業者」になりうる以上、その対策方針
は政府対策によって左右されることは明らかです。
・したがって、本ガイドラインにおいても、政府の「発生段階」を簡易化した「対応ステージ」を設定し、
ステージごとに対策を整理することとします。
<3>体制の確立、感染予防策の検討、業務継続の3つの観点から対策を整理
・「新型インフルエンザ等対策ガイドライン(平成 25 年6月)」(新型インフルエンザ等及び鳥インフル
エンザ等に関する関係省庁対策会議)では、事業者・職場における業務計画及び BCP 策定に際し、「体
制の確立」「感染予防策の検討」「業務継続の検討」の3つの観点で整理することが記載されています。
・したがって、本ガイドラインにおいても政府ガイドラインと同様の観点から対策を整理することとし
ます。
<4>業務の優先順位を整理
・前記のとおり、新型インフルエンザ等 BCP は、不要不急の業務から順次休止・縮小していき、感染の
ピーク時でも優先業務は最低限継続させることを目的とします。
・したがって、業務に優先順位をつけ、最低限継続させる業務を特定しておくことが重要です。本ガイ
ドラインでは、業務を重要度に応じて以下(表7)の4段階(A-D)に分類し、事態の進展に合わ
せて優先度の低い業務から順番に縮小・休止するよう整理をしております。
表7 業務分類
優先度
業務
内容
1
A
通常時と同様に継続すべき業務
1
B
感染予防・感染拡大防止の観点から新たに発生する業務
2
C
規模・頻度を減らすことが可能な業務
3
D
休止・延期できる業務
新型インフルエンザBCP | 13 |
BCPの策定、運用のポイント |BCP策定のポイント|
・前記のとおり、新型インフルエンザ等の対策方針は、その時々の感染状況、社会的影響、事業への影
<5>「ヒト」資源に対する対策を手厚く整理
3
・前記のとおり、インフルエンザ等のリスク特性として、対策は「ヒト」資源に対する対策が中心とな
ります。
BCPの策定、運用のポイント |BCP策定のポイント|
・したがって、感染防止対策はもちろん、地域感染期における人員の確保対策を手厚く整理することが
ポイントとなります。
<6>施設利用者への対応を手厚く整理
・介護・福祉事業所は、施設に利用者が一定期間滞在することを前提としたサービスを提供しており、
しかも、前記のとおり、その利用者には、体力が弱い高齢者や障害者、乳幼児等が多いことを業務特
性としております。
・したがって、利用者に対する感染防止対策、サービス継続対策を手厚く整理することがポイントとな
ります。
<7>未発生期に実施する周知・教育、訓練等についても整理
・新型インフルエンザ等 BCP は、策定するだけでは実効性があるとは言えません。危機発生時において
も迅速に行動が出来る様、BCP を全関係者に周知・教育し、定期的に教育・訓練を行う必要があります。
(表8参照)
・したがって、未発生期の対応として、BCP に教育や訓練の実施計画等に関する記載を組み込むことが
ポイントとなります。
表8:(参考)主な教育・訓練の方法
種類
概要
主な目的
主な参加者
授業形式で、マニュアルについての学習を行
授業形式の
う
学習
インフルエンザ等感染症発生時に関する危 マニュアル利
機管理体制の理解
用者(全職員)
マニュアル記載内容の理解
職場ミーティング等において、マニュアルを
読み合わせし、内容を理解する。
読み合わせ
その発展として、読み合わせ参加者相互間で
訓練
具体的にどのように対応するか話し合ってみ
る。
マニュアル記載内容の理解、自身の危機発 マニュアル利
生時の行動への落とし込み
用者(全職員)
メンバーが集まり、マニュアルに基づき、特 判断力強化、対策本部、各部門における役
図上シミュ
定の仮想シナリオに対しての対応を協議す 割の理解、危機に対する想像力強化
レーション
る。
実地訓練
マニュアルに基づき、必要な行動を実際に実 管理者層による判断力強化、対策本部、各 管理者層
部門における役割の理解、危機に対する想 危機発生対策
施する。
本部メンバー
例:危機管理組織の立ち上げ訓練・個人防護 像力強化
具の着用・出勤時の体温測定・職場内で発症
者が出た場合の対応訓練(発熱外来への連絡、
病院等への搬送、職場の消毒、濃厚接触者の
特定、発症者リストの作成等)
クロスト
レーニング
複数の重要業務を担当し、業務運営を理解す
る。
| 14 | 新型インフルエンザBCP
欠勤者が出た場合に代替要員として機能
担当者層
3−2
BCPの構成モデルと主な内容
・前記ポイントを踏まえた新型インフルエンザ等 BCP 構成モデル(対応項目と対応実施ステージ)は表
9の通りです。
・以下、「3-2-1 体制」、「3-2-2 感染予防対応」、「3-2-3 業務継続対応」の順に内容
を確認します。
表9 新型インフルエンザ等 BCP 構成モデル
対応項目
組織
3−
2−
1
体制
対応実施ステージ
ステージ ⇒
ステージ0
発生段階⇒
未発生期
ステージ1
海外発生期
国内発生早期
地域未発生期
ステージ2
ステージ3
国内感染期
地域発生早期
地域感染期
小康期
全体統括
情報収集
役割分担
利用者家族等への情報提供
感染予防対応に関する業務(業務B)の統括
業務継続対応に関する業務(業務A、C、D)の統括
マスク・手洗い等の対策実施を依頼
個人対応の依頼
備蓄品(感染予防対応用)の配備
来所時のマスク使用
入口/トイレでのアルコール使用
公共交通機関による来所禁止
施設関係者に感
染(疑)者が発
生していない時
から対応※
※発生後も継続
して対応
組
織
と
し
て
対
応
不要不急の来所禁止
業務B①
施設来所に関 来所者への施設入口での検温実施
するルール
体調不良者の立ち入り禁止
ハイリスク職員の出勤禁止
行政措置による受入への対応
(可能な限り直行・直帰)
業務B②
その他ルール
業務Dの
縮小・休止
3−
2−
2
感染
予防
対応
検温・体調のデイリーチェック
状況に応じてワクチン接種
実習生・ボランティアの受け入れ休止
不要不急の行事休止
不要不急の外出・会議の休止
業 務 A・ C・ 最低限の人数で業務を遂行するようシ
Dの業務体制 フト検討
縮小
情報収集・報告
発症者にマスクを装着させる
空間的隔離を実施
施設関係者に感
染(疑)者が発
生した場合の緊
急対応
組
織
と
し
て
対
応
施設内で発症
施設からの退出を依頼
病院に搬送
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
情報収集・報告
感染者の来所禁止
施設外で発症
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
業務の絞り込み
業務手順の変更
3− (省力化等)
2−
3
業務
継続 ヒトのやりくり
対応
その他
業務Dの縮小・休止
業務Cの縮小・休止
業務Aの業務手順変更
出勤情報の集約管理・欠勤可能性の検証・シフト変更
法人内での人繰りの検討
OB・OG 活用
地域応援要請
委託業者の確保
備蓄品(業務継続用)の確保
過重労働・メンタル対応
新型インフルエンザBCP | 15 |
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
(詳細は<別表>ご参照)
3
3
<別表> 新型インフルエンザ等 BCP 構成モデル(詳細版) 高齢者入所施設
対応項目
ステージ⇒
ステージ0
発生段階⇒
未発生期
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
・計画メンテナンス
・計画の周知
・各種対応の事前準備
主な対応事項
・主管部門による統括
・緊急時体制の在り方検討
組織
3−
2−
1
体制 役割分担
全体統括
情報収集
利用者家族等への情報提供
感染予防対応に関する業務(業務B)の統括
業務継続対応に関する業務(業務A、C、D)の統括
個人対応の依頼
施設関係者に感染(疑)
者が発生していない時 組
織
から対応※
と
※発生後も継続して対 し
て
応
対
応
3−
2−
2
感染
予防
対応
組
織
施設関係者に感染(疑) と
者が発生した場合の緊 し
急対応
て
対
応
業務手順の変更
3− (省力化等)
2−
3
業務
継続 ヒトのやりくり
対応
その他
| 16 | 新型インフルエンザBCP
マスク・手洗い等の対策実施を依頼
備蓄品(感染予防対応用)の配備
来所時のマスク使用
入口/トイレでのアルコール使用
公共交通機関による来所禁止
不要不急の来所禁止
業務B①
施設来所に関する 来所者への施設入口での検温実施
ルール
体調不良者の立ち入り禁止
ハイリスク職員の出勤禁止
行政措置による受入への対応
(可能な限り直行・直帰)
検温・体調のデイリーチェック
業務B②
その他ルール
状況に応じてワクチン接種
実習生・ボランティアの受け入れ休止
業務Dの縮小・休
不要不急の行事休止
止
不要不急の外出・会議の休止
業務A・C・Dの 最低限の人数で業務を遂行するようシフト検討
業務体制縮小
情報収集・報告
発症者にマスクを装着させる
空間的隔離を実施
施設からの退出を依頼
施設内で発症
病院に搬送
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
施設外で発症
業務の絞り込み
対応実施ステージ
・役割分担・代行者の検討
・連絡方法等の整備
・事前教育
・備蓄管理
・管理ルールの整備
・該当者の把握
・健康状態確認
・管理ルールの整備
・方針整備/事前登録等
・人員と対応能力等の分析
・病院との事前連携
情報収集・報告
感染者の来所禁止
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
業務Dの縮小・休止
業務Cの縮小・休止
・業務分類の整理
・業務分類の整理
業務Aの業務手順変更
・業務手順変更の検討
出勤情報の集約管理・欠勤可能性の検証・シフト変更
・人員と対応能力等の分析
・クロストレーニング
法人内での人繰りの検討
OB・OG 活用
地域応援要請
・近隣施設等との事前連携
委託業者の確保
備蓄品(業務継続用)の確保
過重労働・メンタル対応
・委託業者との事前連携
・備蓄管理
・病院との事前連携
ステージ1
海外発生期
国内発生早期
地域未発生期
ステージ2
地域発生早期
・感染予防対応の本格実施
・業務継続対応の準備
・各担当者による役割遂行
・対策本部を組成した組織一丸対応
・実施
・実施
ステージ3
地域感染期
小康期
・感染予防対応の継続
・段階的縮小
・業務継続対応の本格実施
・実施
・実施
・配備(また、不足分を見越して調達)
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・利用者家族/委託業者等に事前案内
・利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・該当職員に事前通知
(実施せず)
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者/委託事業者等に事前案内
・職員に事前通知
・実施・受付掲示・予備用意
・実施・受付掲示
・実施
・実施
・実施・受付掲示
・実施・受付掲示
・実施
・実施
(実施せず)
・実施
・同意とりつけ
・実施
・実施
・実施
・同上
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員に事前通知
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員に事前通知
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・接種(体制が整い次第)
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・実施
・実施
・関係者(職員・利用者・家族)に事前連絡
・実施
・情報集約開始
・実施
・OB / OG へのアプローチ
・近隣施設等との情報共有
・実施
・実施
・委託業者との情報共有
・実施
・配備
・実施
新型インフルエンザBCP | 17 |
3
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
・情報収集
・感染予防対応の準備
・感染予防対応/事業継続対応の事前アナウンス
・実施
・実施
国内感染期
3
3−2−1 体制
・本項目における対応事項は以下チェックリストのとおりです。
・本リストをもとに、各事業所の事情と、後記「3-3 種別ごとに留意すべきポイント」等を考慮のう
え、各事業所にとって必要な策定項目を取捨選択してださい。
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
対応項目
・以下役割分担を明確にし、「代行者」を決める
・ステージ2(地域発生早期)以降は、主に情報共有の観
点から、会議室に集合して業務を遂行(=対策本部の設
置)
組織
役割分担
対応概要
全体統括
・全体を統括する責任者・代行者を選定
情報収集
・情報収集する担当・代行者を選定
利用者家族等への情報提供
・利用者の感染状況、感染予防対応、業務継続対応の実施
状況等、利用者家族等へ適宜情報を提供する担当・代行
者を選定
感染予防対応に関する業務
(業務B)の統括
・主にステージ2(地域発生早期)以降本格対応が求めら
れる感染予防対応の統括責任者・代行者を選定
業務継続対応に関する業務
(業務A、C、D)の統括
・主にステージ3(地域感染期)以降本格対応が求められ
る業務継続対応の統括責任者・代行者を選定
3−2−2 感染予防対応
・本項目における対応事項は、以下チェックリストのとおりです。
・以下の2つの項目に分けて整理をします
<1>施設関係者に感染(疑)者が発生していない時から対応 ※発生後も継続対応
<2>施設関係者に感染(疑)者が発生した場合の緊急対応
| 18 | 新型インフルエンザBCP
チェック
<1>施設関係者に感染(疑)者が発生していない時から対応 ※発生後も継続対応
対応項目
対応概要
備蓄品配備
組織として
対応
業務B②
その他ルー
ル
業務Dの縮
小・休止
・必要な備蓄品を配備
マスク着用
・施設内でのマスク着用
施設入口・トイ
レでのアルコー
ル使用
・施設立ち入り前、施設内トイレ使用後に手を消毒
公共交通機関に
よる来所禁止
・極力、公共交通機関を使っての来所を制限
・不可能な場合はラッシュ時を避けて来所
不要不急の来所
禁止
・不要不急の来所を避けるよう依頼
来所者への施設
入口での検温実
施
・施設立ち入り前の検温を実施
・熱がある者の施設立ち入りを禁止
体調不良者の立
・体調不良職員の出勤禁止
ち入り禁止
・体調不良の来所者の立ち入りを禁止
ハイリスク職員
の出勤禁止
・ハイリスク職員※の出勤を停止
※妊婦、慢性疾患、COPD、免疫抑制剤服用者等
感染すると重篤化する恐れがある者
行政措置による
受け入れへの対
応
・対象者を一時空間的に隔離し感染の疑いがないこと
を確認したうえで正式に受け入れ
・空間分離が困難な場合は、当分の間受け入れを中止
検温・体調のデ
イリーチェック
・職員(職員家族)と利用者を対象に、毎日体温と体
調のチェックを実施
空間的隔離
・建物内、敷地内での移動制限(空間的隔離)の可能
性を、利用者と家族に伝える
状況に応じて
ワクチン接種
・対職員・サービス提供に欠かせない委託事業者等へ
の「特定接種」を実施
・利用者へ「住民接種」を実施
除菌の徹底
・水回り、トイレ等の除菌の徹底
実習生・ボラン
ティアの受け入
れ休止
・実習生・ボランティアの受け入れを休止
不要不急の行事
休止
・不要不急の行事を休止
不要不急の外
出・会議の休止
・職員・利用者の不要不急の外出を休止
・外部(近隣施設・委託業者等)との不要不急の会議
を休止
業務A・C・Dの業務体制の
縮小
・最低限の人数で業務を遂行するようシフトを検討
新型インフルエンザBCP | 19 |
3
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
・施設関係者に、個人として実施する以下「感染防止
策」の実施を依頼
・マスクの着用
・手洗い・うがい・咳エチケットの励行
・極力人ごみを避ける(2mルールの励行)
等
個人対応の依頼
業務B①
施設来所に
関するルー
ル
チェック
<2>施設関係者に感染(疑)者が発生した場合の緊急対応
3
対応項目
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
情報収集・報告
・施設内で感染(疑)者が発生した時の情報集約ルールを構築
・状況に応じて、自治体・保健所等に報告
発症者にマスクを
装着させる
・N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、感染(疑)
者にマスクを装着
空間的隔離を実施
・N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、状況に応じて、
空間的隔離を実施
施設からの退出を
依頼
<職員・利用者家族・委託業者等が発症>
・家族・所属企業に連絡し迎えにきてもらったうえで、施設
からの退出を依頼
<利用者が発症>
・家族に連絡を入れ状況報告(施設からの退出を依頼する訳
では無く、状況報告を行う)
病院に搬送
・N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、状況に応じて、
感染(疑)者を病院に搬送
消毒
・N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、感染(疑)
者が接触した箇所を中心に清掃を実施
濃厚接触者の来所
禁止
・濃厚接触者を特定したうえで、該当者に一定期間(例:1∼
2週間)の来所を禁止
(例)濃厚接触者の特定例_以下を濃厚接触者とする
*感染者と同居している者
*感染者と食事等をともにした者
情報開示
・状況に応じて感染者が発生した事実を関係者に開示
情報収集
・施設外で発症した感染者の情報集約ルールを構築
報告
・状況に応じて、自治体・保健所等に報告
感染者の来所禁止
・感染者に一定期間(例:1∼2週間)の来所を禁止
消毒
・N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、消毒を実施
濃厚接触者の来所
禁止
・濃厚接触者を特定したうえで、該当者に一定期間(例:1∼
2週間)の来所を禁止
情報開示
・状況に応じて感染者が発生した事実を関係者に開示
施設内で発症
施設外で発症
対応概要
| 20 | 新型インフルエンザBCP
チェック
3−2−3 業務継続対応
・本項目における対応事項は、以下チェックリストのとおりです。
対応項目
業務手順の変更
(省力化等)
業務Dの縮小・休止
・業務Dの縮小・休止を検討・実施
業務Cの縮小・休止
・上記対応後、業務Cの縮小・休止を検討
業務Aの業務手順
の変更
・業務Dの縮小・休止後、業務Aの業務手順の変更を検討
する
(例)・食事をレトルト食品にする
・皿を使い捨てにする など
出勤情報の集約管
理・欠勤可能性の検
討・シフト変更
・職員の現在の出勤状況と今後の欠勤可能性を検証
・上記「業務の絞り込み」「業務内容の変更」の検討と合
わせ、業務遂行のためのシフト変更を実施
同一法人内別組織
への応援要請
・上記シフト変更の結果、人手不足が発生することが見込
まれる段階で、同一法人内別施設等に応援を要請
OB・OG 活用
・上記シフト変更の結果、今後人手不足が発生することが
見込まれる段階で、OB・OG ※に出勤を依頼
※感染者である可能性があることに留意
ヒトのやりくり
地域応援要請
その他
チェック
・上記シフト変更の結果、今後、人手不足が発生すること
が見込まれる段階で、連携する施設等※に応援を要請
※感染者である可能性があることに留意
委託業者の確保
・委託業者の稼働情報を適宜入手
備蓄品の確保
・業務内容変更によって使用する備品、感染予防対策用品
を配備
・感染拡大により、納入困難が予想される物品や納期遅延
する可能性が高い物品、利用者の処方薬等の備蓄を確保
過重労働・メンタル
対応
・長時間労働を余儀なくされる状況が一定期間続くなか心
の不調者がでないよう配慮をする
非常時における
サービス内容の確
認
・人権を尊重した個別支援をはじめ、良質・快適なサービ
スが提供できない可能性について、利用者やご家族に理
解を求める
新型インフルエンザBCP | 21 |
3
BCPの策定、運用のポイント |BCPの構成モデルと主な内容|
業務の絞り込み
対応事項
3
3−3
種別ごとに留意すべきポイント
・下表 10 は、前記「新型インフルエンザ等 BCP 構成モデル」で整理した対応項目ごとに、モデルをア
レンジが必要か否かを種別ごとの例示したものです。
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
・以下、種別ごとに留意すべきポイントを整理しますので、表 10 とともにモデルをアレンジされる際に
ご参照願います。
表 10 新型インフルエンザ等 BCP モデルと、種別ごとアレンジ項目(例)
対応項目
組織
体制
役割分担
※発生後も継続
して対応
○
○
○
○
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情報収集・報告
発症者にマスクを装着させる
空間的隔離を実施
施設からの退出を依頼
病院に搬送
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
○
○
○
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情報収集・報告
感染者の来所禁止
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
○
○
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○
○
○
●
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
○
○
○
○
○
○
○
×
○
●
○
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
出勤情報の集約管理・欠勤可能性の検証・シフト変更
法人内での人繰りの検討
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
OB・OG 活用
地域応援要請
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
委託業者の確保
備蓄品(業務継続用)の確保
過重労働・メンタル対応
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
組
織
と
し
て
対
応
感染
予防
対応
施設関係者に感
染(疑)者が発
生した場合の緊
急対応
マスク・手洗い等の対策実施を依頼
(職員 / 職員家族 / 対応可能な利用者 /
利用者家族 / 委託業者等向け)
備蓄品(感染予防対応用)の配備
来所時のマスク使用
入口 / トイレでのアルコール使用
公共交通機関による来所禁止
不要不急の来所禁止
業務 B ①
施設来所に関 来訪者への施設入口での検温実施
するルール
体調不良者の入所禁止
ハイリスク職員の出勤禁止
行政措置による受入への対応
(可能な限り直行・直帰)
検温・体調のデイリーチェック
業務 B ②
その他ルール 状況に応じてワクチン接種
実習生・ボランティアの受け入れ休止
業務 D の
不要不急の行事休止
縮小・休止
不要不急の外出・会議の休止
業 務 A・C・
最低限の人数で業務を遂行するようシ
D の業務体制
フト検討
縮小
組
織
と
し
て
対
応
施設内で発症
施設外で発症
業務の絞り込み
業務 D の縮小・休止
業務 C の縮小・休止
業務手順の変更 業務 A の業務手順変更
(省力化等)
業務
継続
対応 ヒトのやりくり
その他
3-3-10
児童
養護
○
全体統括
情報収集
連絡体制の構築
感染予防対応に関する業務(業務 B)の統括
業務継続対応に関する業務(業務 A、C、D)の統括
個人対応の依頼
施設関係者に感
染(疑)者が発
生していない時
から対応※
3-3-2
入所
○
種別ごと特性
(○:そのまま使用、●:アレンジ必要、×:不要)
高齢
障害
3-3-7
3-3-9
3-3-8
救護
乳児
3-3-3
3-3-4
3-3-5
3-3-6
保育
施設
院
通所
訪問
入所
通所
| 22 | 新型インフルエンザBCP
3−3−1 種別ごとの優先業務一覧(例)
・種別ごとの優先業務を一覧に整理しました。施設・事業所での優先業務検討の土台に活用ください。
概要
高齢者
入所
通所
訪問
食事
排泄
与薬
清拭
障害・児
入所
救護施設
保育所
乳児院・
児童養護施設
通所
A
通常と同様に継続 食事
すべき業務
排泄
与薬
医療的ケア
清拭
B
感染予防・拡大防 利用者家族等への各種情報提供、空間的分離のための部屋割り変更、施設内の消毒/感
止の観点から新た 染物の処理、来所者の体温測定、特定接種/集団接種対応 等
に発生する業務
C
規模・頻度を減ら 入浴
すことが可能な業 リハビリ
務
D
休止・延期できる 上記以外
業務
入浴
生命を維持す 食事
食事
るためのケア ケアワーク 保育
食事
医療的ケア
排泄
与薬
入浴
リハビリ
入浴
外出
行事
外出
体操
食事
保育
看護
医療的ケア
専門的ケア
清拭
入浴
面会対応
新型インフルエンザBCP | 23 |
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
業務
分類
高齢者、
障害者・児
保育
3
3
3−3−2 高齢者入所施設
●優先業務について
食事・排泄・与薬・医療的ケア・清拭は、優先度が高い業務と考えられます。入浴・行事等は頻度削
減や中止を検討します。
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします
・利用者の家族・後見人等に緊
急時の連絡が取れるよう準備
します。
・マスクを嫌がる、異食する危
険がある利用者に対してはマ
スク装着を強いません。
・留意すべき利用者の情報は職
員間で共有するなど、バック
アップ体制を築きます。
・定期的な通院が必要な方の代
替診療手段を、医療機関と相
談します。
■感染予防対応を本格的に実施 ■感染予防対応を継続的に実施
します
します
・消毒液設置、来所者の体温測 ・利用者に感染(疑)者が発生
定、不要不急の来所制限など、
した場合、感染予防対策をし
外部からの感染予防策を準備
た職員が隔離・消毒を行いま
します。
す。
・利用者感染時の対応を、ご家 ・職員に感染(疑)者が発生し
族や医療機関などとあらかじ
た場合、帰宅・出勤停止とし、
め相談しておきます。
感染予防対策をした職員が消
・来所者が体調不良の場合には
毒を行います。
面会に制限をします。
・実習生・ボランティア等の受
入れは休止します。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・給食・清掃・クリーニングな
どサービス提供に不可欠な委
託業者とは感染拡大時の対応
について事前に相談しておき
ます。
・グループホームなど小規模施
設 の 場 合、 法 人 内 他 施 設 を
巻き込んだ人繰りを検討しま
す。
■業務継続対応の準備が中心で
す
・夜勤体制を縮小し、最低限の
人員で対応します。
・業務を省力化するための使い
捨て食器やレトルト食品など
を多めに準備します。
・OB、OG などへの臨時勤務
可否の打診、近隣施設との情
報共有などを行います。
| 24 | 新型インフルエンザBCP
■業務継続対応を本格的に実施
します
・食事・排泄・与薬は業務レベ
ルを保つよう努めます。
・入浴やリハビリは中止しま
す。入浴は清拭などで代替し
ます。
・通院介助は、 医療機関との申
し合わせのもとに対応します。
・東日本大震災などの非常時に
自立利用者に紙おむつを着用
して省力化した事例がありま
したが、あくまで緊急避難的
な対応に留めることが望まし
いです。
3−3−3 高齢者通所施設
●優先業務について
感染症発生時には事業そのものを中止する可能性が高いと思われます。一方で、利用者が通所に行け
なくなることによりご家族が出勤できないなどの影響が発生することも考えられますので、配慮が必要
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします
・利用者・ご家族に発症者が出
た場合、事業所に連絡しても
らうよう依頼します。
■感染予防対応を本格的に実施
します
・送迎前に連絡し、利用者の検
温結果などを尋ねます。
・送迎時にマスクや擦式手指消
毒剤を活用し、外部からの感
染防止を図ります。
・行政より臨時休業の要請が出
される場合があることを利用
者・ご家族に周知します。
■感染予防対応を継続的に実施
します
・患者が多く発生した場合は、
利用者・職員の感染予防の観
点からサービスの臨時休業を
検討し、利用者・ご家族に周
知します。
・サービス利用中に発症した場
合は、一時的に隔離し、家族
などに連絡した上で送り届け
ます。
・帰宅後に発症した場合、感染
者本人と濃厚接触者の来所を
禁止します。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・利用者やご家族の通所サービ
ス提供継続に関する意向・事
情を確認します。
・感染拡大時には通所サービス
の中止・頻度削減を行う可能
性を説明します。
■業務継続対応の準備が中心で
す
・生命・健康に大きな影響を与
えない利用者・家族に対して
サービス中止・頻度削減を申
し入れます(即座に実施では
ない)。
■業務継続対応を本格的に実施
します
・限られた人員で対応するた
め、業務Aに注力します。
・食事はレトルト食品や配送を
活用するなど省力化を検討し
ます。
・入浴はできるだけ中止しま
す。
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
新型インフルエンザBCP | 25 |
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
となります。
3
3
3−3−4 高齢者、障害者・児、保育 訪問事業所
●優先業務について
出来る限り業務は中止・延期するようにしますが、利用者・ご家族等の事情を踏まえて、食事・排泄・
与薬・清拭に関する業務は継続することが望ましいです。
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします
・利用者・ご家族に発症者が出
た場合、事業所に連絡しても
らうよう依頼します。
・ヘルパーが感染源とならない
ようマスクなどの感染予防備
蓄品を多めに確保します。
■感染予防対応を本格的に実施 ■感染予防対応を継続的に実施
します
します
・ヘルパーにはマスクや擦式手 ・患者が多く発生した場合は、
指消毒剤を配布、外部からの
利用者・職員の感染予防の観
感染防止を図ります。
点からサービスの臨時休業を
・利用者ごとにマスクを替え、
検討し、利用者・ご家族に周
感染拡大を防ぎます。
知します。
・利用者が発症した場合、原則 ・サービスを実施する場合、ヘ
ルパーは直行直帰とするなど
サービスを一時中止すること
を家族に伝えます。
感染拡大を防ぎます。
・行政より臨時休業の要請が出
される場合があることを利用
者・ご家族に周知します。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・利用者やご家族の訪問サービ
ス提供継続に関する意向・事
情を確認します。
・感染拡大時には訪問サービス
の中止・頻度削減を行う可能
性を説明します。
■業務継続対応の準備が中心で
す
・生命・健康に大きな影響を与
えない利用者・家族に対して
サービス中止・頻度削減を申
し入れます(即座に実施では
ない)。
| 26 | 新型インフルエンザBCP
■業務継続対応を本格的に実施
します
・限られた人員で対応するた
め、業務Aに注力します。
・食事はレトルト食品や配送を
活用するなど省力化を検討し
ます。
・入浴はできるだけ中止しま
す。
3−3−5 障害者・児入所施設
●優先業務について
生命を維持するためのケア(呼吸確保、水分補給、体温調節、喀痰吸引や経管栄養など)、食事、排泄、
与薬が最も優先度が高い業務と想定されます。入浴やリハビリは状況に応じてサービスの提供を中止・
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします
・利用者の家族・後見人等に緊
急時の連絡が取れるよう準備
します。
・マスクを嫌がる、異食する危
険がある利用者に対してはマ
スク装着を強いません。
・留意すべき利用者の情報は職
員間で共有するなど、バック
アップ体制を築きます。
・定期的な通院が必要な方の代
替診療手段を、医療機関と相
談します。
■感染予防対応を本格的に実施 ■感染予防対応を継続的に実施
します
します
・消毒液設置、来所者の体温測 ・利用者に感染(疑)者が発生
定、不要不急の来所制限など、
した場合、感染予防対策をし
外部からの感染予防策を準備
た職員が隔離・消毒を行いま
します。
・利用者感染時の対応を、ご家
族や医療機関などとあらかじ
め相談しておきます。
・来所者が体調不良の場合には
面会に制限をします。
・実習生・ボランティア等の受
入れは休止します。
す。
・職員に感染(疑)者が発生し
た場合、帰宅・出勤停止とし、
感染予防対策をした職員が消
毒を行います。
・食堂等での多人数の食事を避
け、居室での対応を基本とし
ます。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・給食・清掃・クリーニングな
どサービス提供に不可欠な委
託業者とは感染拡大時の対応
について事前に相談しておき
ます。
・グループホームなど小規模施
設 の 場 合、 法 人 内 他 施 設 を
巻き込んだ人繰りを検討しま
す。
■業務継続対応の準備が中心で
す
・生命を維持するためのケア、
食事・排泄・与薬は業務レベ
ルを保つよう努めます。
・夜勤体制を縮小し、最低限の
人員で対応します。
・業務を省力化するための使い
捨て食器やレトルト食品など
を多めに準備します。
・OB、OG などへの臨時勤務
可否の打診、近隣施設との情
報共有などを行います。
・生産活動を行う入所施設にお
いては、納期等必要に応じて
取引先企業等と契約内容の変
更等について相談し、必要な
対応を図ります。
■業務継続対応を本格的に実施
します
・夜勤体制は、利用者の生命維
持に影響のない範囲で縮小
し、最低限の人員で対応しま
す。
・入浴やリハビリは中止しま
す。入浴は清拭などで代替し
ます。
・通院介助は、医療機関との申
し合わせのもとに対応しま
す。
・東日本大震災などの非常時に
自立利用者に紙おむつを着用
して省力化した事例がありま
したが、あくまで緊急避難的
な対応に留めることが望まし
いです。
新型インフルエンザBCP | 27 |
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
延期する等の対応をします。
3
3
3−3−6 障害者・児通所施設
●優先業務について
感染症発生時には事業そのものを中止する可能性が高いと思われます。一方で、
利用者が通所に行けなくなることによりご家族が出勤できないなどの影響が発生す
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
ることも考えられますので、配慮が必要となります。
●留意すべきポイント
ステージ1(海外発生期
∼地域未発生期)
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備を
します
・利用者・ご家族に発症
者が出た場合、事業所
に連絡してもらうよう
依頼します。
■感染予防対応を本格的に実
施します
・送迎前に連絡し、利用者の
検温結果などを尋ねます。
・自ら通所できる利用者は、
自宅で検温してもらい、結
果を尋ねます。
・送迎時にマスクや擦式手指
消毒剤を活用し、外部から
の感染防止を図ります。
・行政より臨時休業の要請が
出される場合があることを
利用者・ご家族に周知しま
す。
■感染予防対応を継続的に実施します
・患者が多く発生した場合は、利用者・
職員の感染予防の観点からサービスの
臨時休業を検討し、利用者・ご家族に
周知します。
■業務継続対応実施に関
する家族等へのアナウ
ンスが中心です
・利用者やご家族の通所
サービス提供継続に関
する意向・事情を確認
します。
・感染拡大時には通所
サービスの中止・頻度
削減を行う可能性を説
明します。
■業務継続対応の準備が中心
です
・生命・健康に大きな影響を
与えない利用者・家族に対
してサービス中止・頻度削
減を申し入れます(即座に
実施ではない)。
・生産活動を行う事業所にお
いては、納期等必要に応じ
て取引先企業等と契約内容
の変更等について相談し、
必要な対応を図ります。
■業務継続対応を本格的に実施します
・生命を維持するためのケア、食事・排
泄・与薬は業務レベルを保つよう努め
ます。
・限られた人員で対応する為、業務Aに
注力します。
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
| 28 | 新型インフルエンザBCP
・サービス利用中に発症した場合は、一
時的に隔離し、家族などに連絡した上
で送り届けます。
・帰宅後に発症した場合、感染者本人と
濃厚接触者の来所を禁止します。
・生産活動に関する業者等の施設の出入
りについては、業者と相談し、必要な
対応の協力を求めます。
・接客等不特定多数の方と接する生産活
動を行う事業所は、地域の感染状況よ
り、休業等の対応をします。
・食事はレトルト食品や配送を活用する
など省力化を検討します。
・入浴はできるだけ中止します。
・生産活動を行う事業所においては、対
外的な取引上の責務が発生する業務に
ついて優先順位をつけ、当該業務に集
中して対応します。その際、必要に応
じて、地域の共同受注窓口および関係
事業所等とも協力体制をとれるよう相
談をすすめ、対応します。
・施設外就労は、取引先企業等との相談
のうえ、実施の有無や規模について申
し合わせ、対応します。
3−3−7 救護施設
●優先業務について
食事・ケアワーカー業務・医療対応業務が優先業務と想定されます。外出および入浴(職員定数確保
不可の場合)は中止又は規模縮小する業務になります。施設外での日課は縮小し、外注や業者委託によ
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします
・利用者の家族・後見人等に緊
急時の連絡が取れるよう準備
します。
・必要に応じて行政等と連絡を
取れるよう準備します。
■感染予防対応を本格的に実施
します
・消毒液設置、来所者の体温測
定、不要不急の来所制限など、
外部からの感染予防策を行い
ます。
・利用者感染時の対応を、ご家
族や医療機関などとあらかじ
め相談しておきます。
・来所者が体調不良の場合には
面会に制限をします。
・訓練用住居(アパート、借家
等)で生活訓練を行う救護
施設居宅生活訓練事業を中止
し、本体施設に戻って感染防
止の対応をします。
■感染予防対応を継続的に実施
します
・利用者に感染(疑)者が発生
した場合、感染予防対策をし
た職員が隔離・消毒を行いま
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・サービス提供に不可欠な委託
業者とは感染拡大時の対応に
ついて事前に相談しておきま
す。
■業務継続対応の準備が中心で
す
・夜勤体制を縮小し、最低限の
人員で対応します。
・業務を省力化するための使い
捨て食器やレトルト食品など
を多めに準備します。
・OB、OG などへの臨時勤務
可否の打診、近隣施設との情
報共有などを行います。
・納期のある生産活動は納期の
変更等の対応を行います。
■業務継続対応を本格的に実施
します
・食事・ケアワーカー業務・医
療対応業務は業務レベルを保
つよう努めます。
・入浴は職員の通常確保が困難
になれば、頻度を少なくしま
す。
・ケアワーカー業務を維持する
ため、他職種の職員は補助職
員としてこれをカバーする体
制を構築します。
・向精神薬を含む朝・昼・晩・
就寝の与薬、生命維持に関わ
る定期インシュリン注射等の
医療的ケアの継続を確保しま
す。
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
す。
・職員に感染(疑)者が発生し
た場合、帰宅・出勤停止とし、
感染予防対策をした職員が消
毒を行います。
・極力外部との接触を遮断し、
感染源を施設内に入れないよ
う、厳戒態勢を敷きます。
・ 職 員 の 出 入 り に は、 入 館 前
チェックを始め、万全の防護
体制を強化します。
新型インフルエンザBCP | 29 |
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
る必要物品等は納期等を予め調整し、早期納入・備蓄を図ります。
3
3
3−3−8 保育所
●優先業務について
園児の保育が優先業務のため、可能な限り業務継続できるよう、体制を整えることが望ましいです。
イベントや園外保育等は中止または延期します。
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします
・園児・ご家族に発症者が出た
場合、保育所に連絡してもら
うよう依頼します。
・園児にマスク装着・手洗いう
がいなどの教育を行います。
■感染予防対応を本格的に実施
します
・自宅で検温し、結果を登園時
に共有してもらいます。
・送迎時にマスクや擦式手指消
毒剤を活用し、外部からの感
染防止を図ります。
・園児・職員にマスクを装着さ
せます。
・水回り、トイレだけでなく、
遊具など園児が接する機会が
多いものは除菌を徹底しま
す。
・行政より臨時休業の要請が出
される場合があることを利用
者・ご家族に周知します。
■感染予防対応を継続的に実施
します
・保育所で発症した場合、一時
的に隔離した上で、ご家族に
連絡し、お迎えいただきます。
・帰宅後に発症した場合、園児
本人と濃厚接触者の登園を禁
止します。
・患者が多く発生した場合は、
利用者・職員の感染予防の観
点からサービスの臨時休業を
検討し、利用者・ご家族に周
知します。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・感染拡大時には保育所が閉園
する可能性を説明します。
・食材調達に関わる事業者とは
感染拡大時の対応について事
前に相談しておきます。
■業務継続対応の準備が中心で ■業務継続対応を本格的に実施
す
します
・不要不急の行事や外出、危険 ・開園維持が重要であり、限ら
を伴う体操など原則中止しま
れた人数でも対応できるよ
す。
う、業務Aに注力します。
・園児に過度なストレスを与え ・食事はレトルト食品や配送を
ないよう絵本の読み聞かせ、
活用するなど省力化を検討し
園庭・自由部屋の開放など配
ます。
慮します。
・近隣の保育所と連携して地域
としての保育体制構築を検討
します。
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
| 30 | 新型インフルエンザBCP
3−3−9 乳児院
●優先業務について
食事・保育・看護・医療的ケア・専門的ケア・清拭が優先業務になります。外出等は中止する業務に
なります。入浴は、職員の状況を見て頻度を少なくする業務になります。環境の変化に敏感な子ども等
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします ■感染予防対応を本格的に実施
・乳幼児に発症者が出た場合を
します
想定し、親権者等への連絡可 ・定時に検温するなど、状態変
否を検討します。
化に注意します。
・緊急時に行政・児童相談所・
親権者等に連絡が取れるよう
準備します。
■感染予防対応を継続的に実施
します
・乳幼児に感染(疑)者が発生
した場合、感染予防対策をし
た職員が隔離・消毒を行いま
す。
・職員に感染(疑)者が発生し
た場合、帰宅・出勤停止とし、
感染予防対策をした職員が消
毒を行います。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・児童相談所や行政などと事前
に対応を協議します。
・紙おむつやレトルト食品など
の備蓄を多めに確保しておき
ます。
■業務継続対応を本格的に実施
します
・食事・保育・看護・医療的ケ
ア・専門的ケア・清拭は業務
レベルを保つよう努めます。
・環境の変化に敏感な子ども等
に対するケアに留意します。
・入浴は頻度を減らし、清拭な
どで代替します。
・不要不急のものを除き、面会
はお断りします。
■業務継続対応の準備が中心で
す
・幼児の不要不急の行事や外
出、危険を伴う体操などを原
則中止します。
・幼児に過度なストレスを与え
ないよう絵本の読み聞かせ、
園庭・自由部屋の開放など配
慮します。
新型インフルエンザBCP | 31 |
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
に対するケアに留意します。
3
3
3−3−10 児童養護施設
●優先業務について
食事・保育・看護・医療的ケア・専門的ケア・清拭が優先業務になります。外出等は中止する業務に
なります。入浴は、職員の状況を見て頻度を少なくする業務になります。環境の変化に敏感な子ども等
BCPの策定、運用のポイント |種別ごとに留意すべきポイント|
に対するケアに留意します。
●留意すべきポイント
ステージ1
(海外発生期∼地域未発生期)
感染症の
予防・対策
業務継続の
ポイント
ステージ2
(地域発生早期)
ステージ3
(地域感染期∼小康期)
■感染予防対応の準備をします ■感染予防対応を本格的に実施
・子どもに発症者が出た場合を
します
想定し、親権者等への連絡可 ・定時に検温するなど、状態変
否を検討します。
化に注意します。
・緊急時に行政・児童相談所・
親権者等に連絡が取れるよう
準備します。
■感染予防対応を継続的に実施
します
・子どもに感染(疑)者が発生
した場合、感染予防対策をし
た職員が隔離・消毒を行いま
す。
・職員に感染(疑)者が発生し
た場合、帰宅・出勤停止とし、
感染予防対策をした職員が消
毒を行います。
■業務継続対応実施に関する家
族等へのアナウンスが中心で
す
・児童相談所や行政などと事前
に対応を協議します。
・紙おむつやレトルト食品など
の備蓄を多めに確保しておき
ます。
■業務継続対応を本格的に実施
します
・食事・保育・看護・医療的ケ
ア・専門的ケア・清拭は業務
レベルを保つよう努めます。
・環境の変化に敏感な子ども等
に対するケアに留意します。
・入浴の頻度は減らし、清拭な
どで代替します。
・面会対応は不要不急のものを
除き、お断りします。
| 32 | 新型インフルエンザBCP
■業務継続対応の準備が中心で
す
・子どもの不要不急の行事や外
出、危険を伴う体操などを原
則中止します。
・過度なストレスを与えないよ
う、施設内の開放など配慮し
ます。
4 BCP作成例
新型インフルエンザ等発生時における業務継続計画(案)
高齢者入所
○○施設
総論
1 目的
本計画は、日本国内で新型インフルエンザ等の大流行が懸念される場合に備え、当施設の実施すべき
事前対策、感染防止対応ならびに業務の継続・縮小・休止に関する行動基準・実施事項等を定める。
2 基本方針
当施設の社会的責任を全うするため、本計画に関する基本方針を以下のとおりとする。
① 利用者の安全確保
利用者は一般人に比べ相対的に体力が弱いことに留意して感染防止に努める。
② サービスの継続
利用者の健康・身体・生命を守る機能をできる限り維持する。
③ 職員の安全確保
業務の特性上、職員は一般企業と比べ感染リスクが高いことに留意して感染防止に
努める。
3 用語の定義
本計画において使用する用語の定義は以下のとおりとする。
用語
定義
① 新型インフルエンザ等
感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)第6条第7
項に規定する新型インフルエンザ等感染症、及び同条第9項に規定する新感染症(全
国的かつ急速に蔓延するおそれがあるものに限る)をいう
② 発生段階
国における「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」で規定されている新型イン
フルエンザ等の流行レベルをいう。(表1)
③ 対応ステージ
事態の進展に合わせた段階的な対応を実現するために、本計画では上記「発生段階」
をもとに、以下ステージを設定し、ステージ区分ごとに行動方針等を定める。(表1)
・ステージ0:発生段階における「未発生期」
・ステージ1:同「海外発生期」∼「国内発生早期・地域未発生期」
・ステージ2:同「国内発生早期・地域発生早期∼国内感染期・地域発生早期」
・ステージ3:同「国内感染期・地域感染期∼小康期」
④ 感染予防対応
新型インフルエンザ等の発生時に感染予防・感染拡大防止・感染者対応等の観点か
ら必要となる対応事項
⑤ 業務継続対応
新型インフルエンザ等の発生時における業務の継続・縮小・休止等の観点から必要
となる対応事項
⑥ 特定接種
新型インフルエンザ等対策特別措置法第 28 条に基づき、「医療の提供並びに国民生
活及び国民経済の安定の確保」に必要不可欠な事業に従事する者に対して臨時に実
施される予防接種のこと。
新型インフルエンザBCP | 33 |
4
BCP作成例 |総論|
第Ⅰ章
社会福祉法人○○会
4
BCP作成例 |総論|
⑦ 住民接種
ここでは、新型インフルエンザ等対策特別措置法第 46 条に基づき実施される予防
接種のことをいう(参考:予防接種法に基づくものもある)。市町村が主体となり、
集団的接種を原則として実施されるが、基本的に前記「特定接種」が先に開始される。
⑧ 濃厚接触者
新型インフルエンザ等の患者と長時間居合わせた等により、新型インフルエンザ等
への感染が疑われるもの。
表1 発生段階と対応ステージ
発生段階
段階
ステージ
状態
未発生期
新型インフルエンザが発生していない状態
海外発生期
海外で新型インフルエンザが発生した状態
国内発生早期
国内感染期
小康期
ステージ0
(→第Ⅱ章)
(地域未発生期)
国内のいずれかの都道府県で新型イ 各都道府県で新型インフルエンザ
ンフルエンザの患者が発生している の患者が発生していない状態
が、全ての患者の接触歴を疫学調査
(地域発生早期)
で追える状態
各都道府県で新型インフルエンザ
の患者が発生しているが、全ての
患者の接触歴を疫学調査で追える
状態
国内のいずれかの都道府県で、新型
インフルエンザの患者の接触歴が疫 (地域感染期)
各都道府県で新型インフルエンザ
学調査で追えなくなった状態
の患者の接触歴が疫学調査で追え
なくなった状態
ステージ1
(→第Ⅲ章)
ステージ2
(→第Ⅳ章)
ステージ3
(→第Ⅴ章)
新型インフルエンザの患者の発生が減少し、低い水準でとどまっている状態
注:地域感染期に至らない段階で、自施設で感染者が発生した場合は、ステージ3に準じた対応を実施する。
4 業務分類
本計画では、当施設の業務を重要度に応じて4段階(A-D)に分類し、事態の進展に合わせて優先
度の低い業務から順番に縮小・休止することで、利用者の健康・身体・生命を守る機能のできる限り維
持する。(表2)
表2 業務分類
業務
内容
A
通常時と同様に継続すべき業務
食事、排泄、与薬、医療的ケア、保清(清拭等) 等
B
感染予防・感染拡大防止の観点
から新たに発生する業務
利用者家族等への各種情報提供、空間的分離のための部屋割り変
更、施設内の消毒/感染物の処理、来所者の体温測定、特定接種
/集団接種対応 等
C
規模・頻度を減らすことが可能
な業務
入浴、リハビリ 等
| 34 | 新型インフルエンザBCP
当施設における業務
D
休止・延期できる業務
上記以外の業務
※当施設の組織自体を維持するために、職員への給与支払い、各種物品の調達 / 整備 / 修繕、資金繰り、取引先への
支払い等、ヒト・モノ・カネに関する業務も上記「業務A」に位置付ける。
BCP作成例 |ステージ0︵未発生期︶の対応|
5 主管部門
本計画の主管部門は、○○とする。
6 対応全体像
本計画で定める対応全体像は【様式1】のとおり。
以下(第Ⅱ章~Ⅴ章)、ステージごとに対応を整理する。
7 被害想定
本計画が前提とする被害想定は【様式2】のとおり
第Ⅱ章
ステージ0(未発生期)の対応
本ステージにおいては、新型インフルエンザ等がまだ発生していない状況。
したがって、対応は、計画のメンテナンス・周知と、ステージ1以降の緊急時対応を見据えた事前準
備が中心となる。
1 対応主体(誰が)
本ステージにおける対応は、○○の統括のもと、関係部門が全会一丸となって対応する。
2 対応事項(何をするか)
本ステージにおける対応事項は以下のとおり。
項目
4
対応事項
関係様式
計画のメンテナンス
毎年以下の観点からメンテナンスを実施
□業務分類の妥当性の検証
□新型インフルエンザ等に関する最新情報(法改正・被害想定
改定等)の反映
□組織変更・人事異動・連絡先変更等の反映
□訓練等で洗い出された課題の反映 等
計画の周知徹底
定期的に以下の研修・訓練等を実施
□新型インフルエンザ等感染症の基礎知識に関する研修
□本計画の内容に関する研修
□本計画の内容に沿った実動・机上訓練 等
様式3
様式4
新型インフルエンザBCP | 35 |
体制構築
以下に関する検討・見直しを実施
□緊急時の以下役割分担・代行者の検討
・全体統括
・情報収集
・利用者家族等への情報提供
・感染予防対応に関する業務(業務B)の統括
・業務継続対応に関する業務(業務A、C、D)の統括 等
□ステージ3(地域感染期)における体制の在り方
・○○会議室に対策本部を設置 等
感染予防対応
以下に関する検討・見直しを実施
□利用者家族等との連絡方法の整理
□職員に対して、マスク・手洗い等個人レベルで実施する対策
に関する事前教育
□備蓄品管理
□来所者向け検温ルールの整備
□職員・利用者向け検温・体調チェックルールの整備
□ハイリスク職員※(妊婦、慢性疾患、COPD、免疫抑制剤服
用者等)の把握
※インフルエンザに罹患すると重篤化する恐れがある者
□特定接種の登録手続※
※上記に付随して以下を整理
*接種対象の特定(例:業務A・B従事者等)
*集団接種体制の確保
(接種対象が 100 名未満なら登録の事業者団体と体制
構築につき協議が必要)
□保健所・病院等と特定接種等に関して事前協議
□自治体と住民接種の接種体制(施設集団接種)等に関して事
前協議
□特定接種・住民接種の同意取り付けが困難な者をリストアッ
プ
□病院と感染者受入等に関して事前協議 等
業務継続対応
以下に関する検討・見直しを実施
□人員と対応能力の評価・分析
*業務A・Bを遂行するために最低限必要な人員数の把握
*業務A・Bを遂行するために必要なスキルの把握
*職員の家族構成・住所・通勤手段等の把握 等
□出勤情報の集約管理・欠勤可能性検証の方法
□委託業者のサービス継続対応につき事前協議
□備蓄品管理
□クロストレーニングの実施
□近隣施設等と応援要員派遣に関して事前協議 等
4
BCP作成例 |ステージ0︵未発生期︶の対応|
緊急時対応
の事前準備
| 36 | 新型インフルエンザBCP
様式3, 5, 6
様式6
様式4
様式7
様式8
様式9
様式 10
様式 10, 11
第Ⅲ章
ステージ1(海外発生期∼地域未発生期)の対応
本ステージにおいては、新型インフルエンザ等は発生しているものの、施設の周辺地域では感染者が
発生しておらず、感染予防に関する本格対応の必要性が顕在化していない状況。
に実施する「感染予防対応」の準備、ならびに、同対応・
「業務継続対応」の実施に関する利用者家族等
への事前アナウンスが中心となる。
1 対応主体(誰が)
本ステージにおける対応は、○○の統括のもと、以下の役割を担う者が各担当業務を遂行する。
役割
担当者
代行者
全体統括
○○
○○
情報収集
○○
○○
利用者家族等への情報提供
○○
○○
感染予防対応に関する統括(主に準備)
○○
○○
2 対応事項(何をするか)
本ステージにおける対応事項は以下のとおり。
項目
対応事項
関係様式
情報収集
主に以下に関する情報を収集
□新型インフルエンザ等の感染拡大状況
□国・自治体・保健所等の対応状況
□委託業者・近隣病院・近隣他施設の対応状況 等
利用者家族等への情報提供
利用者等家族に、ステージ2(地域発生早期)以降実施する以
下対応に関して情報を事前伝達。
□施設来所時のルール(詳細は第Ⅳ章)
□ワクチンの住民接種時の同意について(同上)
□利用者感染(疑)時の対応(同上)
□提供業務の縮小・休止(詳細は第Ⅳ章、第Ⅴ章) 等
発生段階「国内発生早期」以降は、適宜以下情報を提供
□利用者の現状 等
感染予防対
応の実施
様式3
様式6
様式6
個人対応の依頼
職員/職員の家族/利用者※/利用者家族/委託業者等に、
各々が以下を実施するよう依頼 ※実施可能な者に対してのみ
依頼
□マスクの着用
□手洗い・うがい・咳エチケットの励行
□極力人ごみを避ける(2mルールの励行) 等
組織として対応
施設入口とトイレに以下備蓄品を配備し使用を励行
□アルコール 等
様式6
様式6
様式7
新型インフルエンザBCP | 37 |
BCP作成例 |ステージ1︵海外発生期∼地域未発生期︶の対応|
したがって、ここでの対応は、感染状況を中心とした情報収集と、ステージ2(地域発生早期)以降
4
以下対応を実施 □備蓄品のチェック(不足があれば調達)
様式7
職員/利用者/委託業者等に対して、ステージ2(地域発生早期) 様式6
以降実施する以下対応に関して情報を事前伝達する。
□施設来所ルール(詳細は第Ⅳ章)
□体温・体調のデイリーチェック(同上)_職員・利用者の
み
□ワクチンの特定接種・住民接種の同意(同上)
_職員・利用者のみ
□感染(疑)者発生時の対応(同上)
□業務Dの縮小・休止(同上)_職員・利用者のみ 等
4
BCP作成例 |ステージ2︵地域発生早期︶の対応|
感染予防対策の準備
以下対応を開始する
□出勤情報の集約管理・欠勤可能性検証
□同一法人内での情報共有(ステージ3(地域感染期)以降
の応援可能か確認) □過去勤務していた OB・OG へのアプローチ(ステージ3(地
業務継続対応の準備
第Ⅳ章
様式 10
域感染期)以降の臨時勤務が可能か確認)
□近隣施設との情報共有(ステージ3(地域感染期)以降の
応援可能か確認) 等
職員/利用者に対して、ステージ3(地域感染期)以降実施す
る以下対応に関して情報を事前伝達する。
□業務A・C・Dの縮小・休止(詳細は第Ⅴ章) 等
ステージ2(地域発生早期)の対応
本ステージにおいては、新型インフルエンザ等の感染者が施設の周辺地域で発生しており、感染予防
に関する本格対応の必要性が顕在化している一方で、職員や家族に感染者が発生しておらず、業務継続
対応に関する本格対応の必要性はまだ顕在化していない状況。
したがって、対応は、感染予防対応の本格実施と、ステージ3(地域感染期)以降に実施する「業務
継続対応」に関する準備が中心となる。
1 対応主体(誰が)
本ステージにおける対応は、処理する業務量が膨大になることと、状況が刻々と変わる中での情報共
有が重要となることから、以下の役割を担う者を構成メンバーとする対策本部を構成し、○○会議室で
業務を遂行する。
役割
担当者
代行者
全体統括
○○
○○
情報収集
○○
○○
利用者等家族への情報提供
○○
○○
感染予防対応に関する統括
○○
○○
業務継続対応に関する統括
○○
○○
| 38 | 新型インフルエンザBCP
2 対応事項(何をするか)
本ステージにおける対応事項は以下のとおり。
項目
対応事項
関係様式
利用者等家族への情報提供等
適宜以下情報を提供
□利用者の現状 等
感染予防対
応の本格実
施
様式3
様式6
様式6
様式5, 11
様式6, 11
様式5
個人対応の依頼
職員/職員の家族/利用者※/利用者家族/委託業者等に、
各々が以下を実施するよう依頼※実施可能な者に対してのみ依頼
□マスクの着用
□手洗い・うがい・咳エチケットの励行
□極力人ごみを避ける(2mルールの励行) 等
組織として対応
以下(表3)の実施
業務継続対応の準備
以下対応を継続実施する
□出勤情報の集約管理・欠勤可能性の検討
□同一法人内での情報共有(ステージ3(地域感染期)以降
の応援可能か確認) □過去勤務していた OB・OG へのアプローチ(ステージ3(地
域感染期)以降の臨時勤務が可能か確認)
□近隣施設との情報共有(ステージ3(地域感染期)以降の
応援可能か確認) 等
様式 10, 11
表3 感染予防対応(組織として対応)の本格実施
項目
対応事項
備蓄品配備
施設関係者
に感染(疑)
者が発生し
ていない時 業務B①
から対応
施設来所に
関するルー
ル
※発生後も
継続対応
関係様式
様式7
□必要な備蓄品を配備
マスク着用
<対職員・利用者家族・委託業者等>
□施設内でのマスク着用を依頼
□入口受付に依頼文を掲示
□入口受付に持参しない方用にマスクを一定数配置
施設入口・トイ
レでのアルコー
ル使用
<対職員・利用者・利用者家族・委託業者等>
□施設入口・トイレにアルコールを設置
□施設立ち入り前、トイレ使用後の手の消毒を依頼
□入口受付に依頼文を掲示
□利用者の消毒をサポート
公共交通機関に
よる来所禁止
<対職員・利用者家族・委託業者等>
□極力、公共交通機関を使っての来所を制限
□不可能な場合はラッシュ時を避けての来所を依頼
様式6
様式7
様式7
新型インフルエンザBCP | 39 |
BCP作成例 |ステージ2︵地域発生早期︶の対応|
情報収集と共有
以下に関する情報を継続して収集のうえ施設内で共有
□新型インフルエンザ等の感染拡大状況
□国・自治体等の対応状況
□委託業者・近隣病院・近隣他施設の対応状況
□職員・職員家族・利用者の感染状況
□その他利用者家族・委託業者等の感染状況 等
4
4
BCP作成例 |ステージ2︵地域発生早期︶の対応|
不要不急の来所
禁止
<対利用者家族・委託業者等>
□不要不急の来所を制限
来所者への施設
入口での検温実
施
<対利用者家族・委託業者等>
□施設入口に非接触型体温計を設置
□施設立ち入り時の体温チェックを依頼
□体温が○度以上ある場合は立ち入りを制限
□入口受付に依頼文を掲示
体調不良者の立
ち入り禁止
<利用者家族・委託業者等>
□体調不良者の立ち入りを制限
□入口受付に依頼文を掲示
ハイリスク職員
の出勤禁止
<対職員>
□ハイリスク者※の出勤停止
※妊婦、慢性疾患、COPD、免疫抑制剤服用者等
行政措置による
受け入れへの対
応
□対象者を一時空間的に隔離し、感染の疑いがない
ことを確認する
検温・体調のデ
イリーチェック
<対職員・職員家族>
□毎朝出勤前の検温と結果記録を依頼
□検温結果が○度以上の場合、その他体調がすぐれ
ない場合は、上長への報告を義務化
□上長は、上記報告に対して以下のとおり対応
*職員本人が○度以上ある場合、その他体調が
すぐれない場合は出勤停止
*職員家族が○度以上ある場合、その他体調が
すぐれない場合の職員の出勤可否は適宜判断
<対利用者>
□毎朝○時に検温を実施し、結果を記録
□検温結果が○度以上の者、その他体調がすぐれな
い者がいる場合、上長への報告を義務化
□上長は、上記報告に対して以下のとおり対応
*対象者にマスクを装着(装着が可能な場合)
*空間的隔離を実施するかは適宜判断
業務B②
その他ルー
ル
状況に応じて
ワクチン接種
| 40 | 新型インフルエンザBCP
<対職員>
□体調不良者の出勤禁止
<対職員・サービス提供に欠かせない委託事業者>
_特定接種
保健所から特定接種実施の通知(総枠・対象者数等)
を受けた後、以下を実施。
□接種実施医療機関等と日程を調整
□対象者に接種につき説明し同意をとりつけ、接種
医療機関等に接種予定者名簿を提出
□ワクチン接種を実施※
※職員証等身分証明を携行することが必要
様式7
様式8
様式9
様式8
様式9
様式9
様式6
実習生・ボラン
ティアの受け入
れ休止
□実習生・ボランティアの受け入れを休止
不要不急の行事
休止
□不要不急の行事を休止
不要不急の外
出・会議の休止
□職員・利用者の不要不急の外出を休止
□外部(近隣施設・委託業者等)との不要不急の会
議を休止
業務A・C・Dの業務体制の
縮小
□最低限の人数で業務を遂行するようシフトを検討
情報収集・報告
□施設内で感染(疑)者を発見時の上長への報告を
義務化
□状況に応じて、自治体・保健所等に報告
発症者にマスク
を装着させる
□ N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、 様式7
感染(疑)者にマスクを装着※
※対象が利用者の場合は職員が見守る中での一時
的な装着にならざるをえない。
空間的隔離を実
施
□ N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、 様式7
状況に応じて、空間的隔離も実施
業務Dの縮
小・休止
施設関係者 施設内で発
に感染(疑) 症
者が発生し
た場合の緊
急対応
施設からの退出
を依頼
<職員・利用者家族・委託業者等が発症>
□家族・所属企業に連絡し迎えにきてもらったうえ
で、施設からの退出を依頼
<利用者が発症>
□家族に連絡を入れ状況報告(施設からの退出を依
頼する訳では無く、状況報告を行う)
4
BCP作成例 |ステージ2︵地域発生早期︶の対応|
<対利用者>
_住民接種(基本的に開始は特定接種よりも後)
自治体による住民接種実施の情報を入手後、以下を実
施
□自治体所定の手続きに沿って接種(施設集団接種
※)申請
※医師を含む接種体制を構築できる場合は、施設
側で体制構築するが、それ以外は、市町村が派
遣する接種チームと合同で体制を構築。
□対象者に接種につき説明し、同意※をとりつける
※利用者の意思表示の確認が可能な場合
_本人の同意
※利用者の意思表示の確認が不可能な場合
_利用者家族・後見人の同意
※利用者の意思表示の確認が不可能 かつ事情が
あって利用者家族等の同意取り付けが困難な場
合_留意が必要(臨機応変対応)
様式9
様式6
様式5, 6
様式6
病院に搬送
□ N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、 様式7
状況に応じて、感染(疑)者を病院に搬送
消毒
□ N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、 様式7
感染(疑)者が接触した箇所を中心に清掃を実施
新型インフルエンザBCP | 41 |
4
BCP作成例 |ステージ2︵地域発生早期︶の対応|
濃厚接触者の来
所禁止
情報開示
情報収集
施設外で発
症
様式5, 6
様式5, 6
□感染していることが確定した場合、状況に応じて、 様式5, 6
その情報を関係者に伝達
□状況に応じて、施設入口に情報を掲示
<対職員>
□本人・家族が感染した場合の上長への報告を義務
化
様式9
<対利用者家族・委託業者等>
□感染者の来所が発症から○週間以内であった場合
の報告を依頼
報告
□状況に応じて、自治体・保健所等に報告
感染者の来所禁
止
□感染者に○週間の来所を禁止
消毒
□可能な限り、発症前○週間の行動(施設内のどこ
に行って、何を触った)を確認
□ N95 マスク・ゴーグル・手袋を装着した者が、 様式7
上記情報をもとに消毒を実施
濃厚接触者の来
所禁止
情報開示
| 42 | 新型インフルエンザBCP
□発症者等に感染しているか否かの診断結果を確認
□可能な限り、感染者等に発症前○週間の行動(誰
に会って、何をしたか)を確認
□上記情報から濃厚接触者を確定※
※組織実態に応じて臨機応変に判断
⇒(参考)濃厚接触者とする例
*感染者と同居している者
*感染者と食事等をともにした者
□該当者に○週間の来所を禁止
様式5, 6
□可能な限り、感染者等に発症前○週間の行動(誰
に会って、何をしたか)を確認
□上記情報から濃厚接触者を確定
様式5, 6
□該当者に○週間の来所を禁止
様式5, 6
□状況に応じて、感染者発生情報を関係者に伝達
□状況に応じて、施設入口に情報を掲示
様式5, 6
第Ⅴ章
ステージ3(地域感染期∼小康期)の対応
本ステージにおいては、新型インフルエンザ等の感染者が施設内でも発生しており、感染拡大防止に
関する本格対応のみならず、業務継続に関する本格対応の必要性が顕在化している状況。
業務継続対応の本格実施が中心となる。
なお、小康期においては、各対応を事態の進捗に応じて段階的に縮小していく。(以下、小康期固有の
記載はしない)
1 対応主体(誰が)
本ステージにおける対応は、前ステージ同様、対策本部にて実施する。
2 対応事項(何をするか)
本ステージにおける対応事項は以下のとおり。
項目
対応事項
関係様式
情報収集と共有
以下に関する情報を継続して収集のうえ施設内で共有
□新型インフルエンザ等の感染拡大状況
□国・自治体等の対応状況
□委託業者・近隣病院・近隣他施設の対応状況
□職員・職員家族・利用者の感染状況
□その他利用者家族・委託業者等の感染状況 等
利用者等家族への情報提供
適宜以下情報を提供
□利用者の現状(罹患状況・ワクチン接種状況等)
感染予防対応の
本格実施
個人対応の依頼
職員/職員の家族/利用者※/利用者家族/委託業者等に、
各々が以下を実施するよう依頼
※実施可能な者に対してのみ依頼
□マスクの着用
□手洗い・うがい・咳エチケットの励行
□極力人ごみを避ける(2mルールの励行) 等
組織として対応
第Ⅳ章(表3)の継続実施
業務継続対応の本格実施
様式3
様式6
様式6
様式 5, 11
様式 6, 11
様式6
以下(表4)の実施
新型インフルエンザBCP | 43 |
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
したがって、対応は、ステージ2(地域発生早期)から本格実施している感染予防対応の継続実施と、
4
4
表4 業務継続対応の本格実施
項目
業務Dの縮小・休止
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
業務の絞り込み
業務手順の変更
(省力化等)
対応事項
関係様式
□業務Dの縮小・休止を検討・実施
業務Cの縮小・休止
上記対応後、以下の順に検討・実施
□入浴・リハビリの規模・頻度の縮小を検討・実施
□入浴の休止(清拭に切替)を検討・実施
□リハビリの休止を検討・実施
業務Aの業務手順の
変更
業務Dの縮小・休止後、以下を検討・実施する
□食事をレトルト食品に変更
□食器を使い捨て可能なものに変更
□食事を外部からの配達に変更
□緊急避難として排泄介助にオムツを使用
□外部への支払に関して期限延長を依頼 等
様式7
出勤情報の集約管
理・欠勤可能性の検
討・シフト変更
□職員の現在の出勤状況と今後の欠勤可能性を検証
□上記「業務の絞り込み」「業務内容の変更」の検討
と合わせ、業務遂行のためのシフト変更を実施
様式 10, 11
同一法人内別組織へ
□上記シフト変更の結果、人手不足が発生することが
見込まれる段階で、同一法人内別施設等に応援を要
様式6
□上記シフト変更の結果、今後人手不足が発生するこ
とが見込まれる段階で、OB・OG ※に出勤を依頼
様式6
様式6
地域応援要請
□上記シフト変更の結果、今後、人手不足が発生する
ことが見込まれる段階で、連携する施設等※に応援
を要請
※感染者である可能性があることに留意
委託業者の確保
□委託業者の稼働情報を適宜入手
□上記情報を、上記「業務の絞り込み」「業務内容の
変更」の判断材料とする
様式6
備蓄品の確保
□業務内容変更によって使用する備品を配備
様式7
の応援要請
ヒトのやりくり
OB・OG 活用
その他
過重労働・メンタル
対応
請
※感染者である可能性があることに留意
前提として、以下を実施する。
□勤務時間管理をしっかりとやる
□日頃の声掛けやコミュニケーションを大切にし、心
の不調者がでないように努める
長時間労働を余儀なくされる状況が一定期間続く場合、
状況に応じて、以下のように対応
□週に1日は完全休日をもうけるようシフトを組む
□ひと月あたりの残業が 80 時間を超える者に対し
て、医師による面談・健康状態等へ助言を実施
等
以 上
| 44 | 新型インフルエンザBCP
<更新履歴>
更新日
○年○月○日
4
更新内容
作成
NO
様式
1
新型インフルエンザ等対応全体像
2
新型インフルエンザ等被害想定
3
新型インフルエンザ等に関する情報入手先
4
新型インフルエンザ等に関する研修資料
5
施設内職員連絡網
6
施設外連絡先リスト
7
備蓄品リスト
8
来所者立ち入り時体温チェックリスト
9
職員・利用者体温・体調チェックリスト
10
職員属性管理リスト
11
感染者管理リスト
備考
新型インフルエンザBCP | 45 |
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
<添付様式>
4
様式1 新型インフルエンザ等対応全体像
対応項目
ステージ⇒
ステージ0
発生段階⇒
未発生期
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
・計画メンテナンス
・計画の周知
・各種対応の事前準備
主な対応事項
・主管部門による統括
・緊急時体制の在り方検討
組織
3−
2−
1
体制 役割分担
全体統括
情報収集
利用者家族等への情報提供
感染予防対応に関する業務(業務B)の統括
業務継続対応に関する業務(業務A、C、D)の統括
個人対応の依頼
施設関係者に感染(疑)
者が発生していない時 組
織
から対応※
と
※発生後も継続して対 し
て
応
対
応
3−
2−
2
感染
予防
対応
組
織
施設関係者に感染(疑) と
者が発生した場合の緊 し
急対応
て
対
応
備蓄品(感染予防対応用)の配備
来所時のマスク使用
入口/トイレでのアルコール使用
公共交通機関による来所禁止
不要不急の来所禁止
業務B①
施設来所に関する 来所者への施設入口での検温実施
ルール
体調不良者の立ち入り禁止
ハイリスク職員の出勤禁止
行政措置による受入への対応
(可能な限り直行・直帰)
検温・体調のデイリーチェック
業務B②
その他ルール
状況に応じてワクチン接種
実習生・ボランティアの受け入れ休止
業務Dの縮小・休
不要不急の行事休止
止
不要不急の外出・会議の休止
業務A・C・Dの 最低限の人数で業務を遂行するようシフト検討
業務体制縮小
情報収集・報告
発症者にマスクを装着させる
空間的隔離を実施
施設からの退出を依頼
施設内で発症
病院に搬送
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
施設外で発症
業務の絞り込み
業務手順の変更
3− (省力化等)
2−
3
業務
継続 ヒトのやりくり
対応
その他
| 46 | 新型インフルエンザBCP
マスク・手洗い等の対策実施を依頼
・役割分担・代行者の検討
・連絡方法等の整備
・事前教育
・備蓄管理
・管理ルールの整備
・該当者の把握
・健康状態確認
・管理ルールの整備
・方針整備/事前登録等
・人員と対応能力等の分析
・病院との事前連携
情報収集・報告
感染者の来所禁止
消毒
濃厚接触者の来所禁止
情報開示
業務Dの縮小・休止
業務Cの縮小・休止
・業務分類の整理
・業務分類の整理
業務Aの業務手順変更
・業務手順変更の検討
出勤情報の集約管理・欠勤可能性の検証・シフト変更
・人員と対応能力等の分析
・クロストレーニング
法人内での人繰りの検討
OB・OG 活用
地域応援要請
・近隣施設等との事前連携
委託業者の確保
備蓄品(業務継続用)の確保
過重労働・メンタル対応
・委託業者との事前連携
・備蓄管理
・病院との事前連携
対応実施ステージ
ステージ1
海外発生期
国内発生早期
地域未発生期
ステージ2
地域発生早期
・感染予防対応の本格実施
・業務継続対応の準備
・各担当者による役割遂行
・対策本部を組成した組織一丸対応
・実施
・実施
ステージ3
地域感染期
小康期
・感染予防対応の継続
・段階的縮小
・業務継続対応の本格実施
・実施
・実施
・配備(また、不足分を見越して調達)
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・利用者家族/委託業者等に事前案内
・利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・該当職員に事前通知
(実施せず)
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者に事前案内
・職員/利用者/委託事業者等に事前案内
・職員に事前通知
・実施・受付掲示・予備用意
・実施・受付掲示
・実施
・実施
・実施・受付掲示
・実施・受付掲示
・実施
・実施
(実施せず)
・実施
・同意とりつけ
・実施
・実施
・実施
・同上
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員に事前通知
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・実施(施設内で発症者が出た場合)
・職員/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員に事前通知
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・実施(施設外で発症者が出た場合)
・接種(体制が整い次第)
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・職員/利用者/利用者家族/委託業者等に事前案内
・実施
・実施
・関係者(職員・利用者・家族)に事前連絡
・実施
・情報集約開始
・実施
・OB / OG へのアプローチ
・近隣施設等との情報共有
・実施
・実施
・委託業者との情報共有
・実施
・配備
・実施
新型インフルエンザBCP | 47 |
4
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
・情報収集
・感染予防対応の準備
・感染予防対応/事業継続対応の事前アナウンス
・実施
・実施
国内感染期
4
様式2 新型インフルエンザ等被害想定
<死傷者数、流行期間、ピーク時欠勤率等>
政府想定
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
感染(罹患)者数
3,200 万人
(感染率…人口の 25%)
医療機関受診者数
2,500 万人
入院者数
200 万人
(感染者入院率…6.25%)
死亡者数
64 万人
(感染者死亡率…2%)
流行期間 2ヵ月
(1回の流行の波に対し)
感染ピーク時欠勤率
40%
政府想定の参考文献は以下の通り
・「新型インフルエンザ対策政府行動計画(平成 25 年6月)」
・「新型インフルエンザ等対策ガイドライン(平成 25 年6月)」新型インフルエンザ等及び鳥インフル
エンザ等に関する関係省庁対策会議
・「新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定(一つの例)」(平成 21 年2月)
<発生段階ごとの被害想定概要>
感染速度
感染状況
社員の
出勤状況
電気
水道
ガス
社
会
イ
ン
フ
ラ
鉄道
バス
航空
旅客
海外発生期
国内発生早期
国内感染期
小康期
0∼2週間
2∼4週間
4∼ 12 週間
12 週間後∼
某国で感染発生
(平常通り)
(平常通り)
(平常通り)
国内で感染者第一号が
発生
一部で欠勤
(家族の感染など)
(平常通り)
銀行
証券
| 48 | 新型インフルエンザBCP
感染者は減少し、一部
地域で感染が継続
欠勤率 40%
社内感染発生
徐々に出勤回復
一部で支障
(人員不足で障害対応 (平常通り)
の遅延など)
運行減少
発生地域を中心に一部
(鉄道等で間引き運行
支障
を実施)
発生国からの帰国増
加。国内空港で水際対 (平常通り)
策開始
外部
(平常通り)
関係先
感染者がピーク
(平常通り)
徐々に回復
(平常通り)
取 扱 業 務 の 一 部 縮 小 徐々に回復
窓口業務の一部中断
一部で委託業務の遅
延・縮小
委託業務の遅延、中断
徐々に回復
様式3 新型インフルエンザ等に関する情報入手先
4
<新型インフルエンザ等に関する主な情報入手先リスト(2015 年2月現在)>
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html
【内閣官房 HP > 新型インフルエンザ等対策室】
外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/
【外務省 HP > 渡航関連情報 > 海外安全ホームページ】
厚生労働省感染症情報
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_
iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html
【厚生労働省 HP > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医
療 > 健康 > 感染症情報】
国立感染症研究所感染症疫学センター
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
【厚生労働省戸山研究庁舎 HP > 国立感染症研究所 > 感染症疫学
センター】
日本医師会インフルエンザ総合対策:
http://www.med.or.jp/jma/influenza/
【日本医師会 HP > 日本医師会 > インフルエンザ総合対策】
□□都道府県・新型インフルエンザ等対策
http://www.
△△保健所
http://www.
様式4 新型インフルエンザ等に関する研修資料
研修教材(2015 年2月現在)
(1)新型インフルエンザの基礎知識(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/090217keikaku-08.pdf
【厚生労働省 HP > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症情報 > 新型インフルエン
ザ(A/H1N1)対策関連情報 >「新型インフルエンザ対策ガイドライン」について > 事業者・職場における新
型インフルエンザ対策ガイドライン >「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」の第2章】
(2)新型インフルエンザ等対策について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/inful-poster25c.pdf
【厚生労働省 HP > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症・予防接種情報 > インフ
ルエンザ対策 > 啓発ツール > 新型インフルエンザ等対策について】
(3)正しい手の洗い方(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/poster25b.pdf
【厚生労働省 HP > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症・予防接種情報 > インフ
ルエンザ対策 > 啓発ツール > 手洗いポスター】
(4)高齢者介護施設における感染対策マニュアル ( 厚生労働省 )
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/dl/130313-01.pdf
【厚生労働省 HP > 政策について > 分野別の政策一覧 > 福祉・介護 > 介護・高齢者福祉 >「高齢者介護施設に
おける感染対策マニュアル(平成 25 年 3 月)」の公表について】
新型インフルエンザBCP | 49 |
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
内閣官房・新型インフルエンザ等対策
4
様式5 施設内職員連絡網
<理事長・施設長>
役職
氏名
自宅電話番号
携帯電話番号
電子メール
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
理事長
○○ ○○
**-****-****
**-****-****
****@**.****.jp
施設長
○○ ○○
**-****-****
**-****-****
****@**.****.jp
自宅電話番号
携帯電話番号
<○○(事務担当)>
役職
氏名
電子メール
○○
○○ ○○
**-****-****
**-****-****
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
**-****-****
****@**.****.jp
自宅電話番号
携帯電話番号
<○○(現場担当)>
役職
氏名
電子メール
○○
○○ ○○
**-****-****
**-****-****
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
**-****-****
****@**.****.jp
| 50 | 新型インフルエンザBCP
様式6 施設外連絡先リスト
<行政>
名称
担当者
メール
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
・・・・
・・・・
・・・・
住所
備考
○○○○○
・・・・
・・・・
<医療機関>
名称
担当者
電話番号
メール
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
・・・・
・・・・
・・・・
住所
備考
○○○○○
・・・・
・・・・
<委託業者・取引先等>
名称
担当者
電話番号
メール
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
・・・・
・・・・
・・・・
住所
備考
○○○○○
清掃委託
・・・・
食材購入
<同一法人他施設・その他近隣施設>
名称
担当者
電話番号
メール
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
・・・・
・・・・
・・・・
住所
備考
○○○○○
清掃委託
・・・・
食材購入
<利用者家族>
名称
担当者
電話番号
メール
****@**.****.jp
○○
○○ ○○
**-****-****
・・・・
・・・・
・・・・
住所
備考
○○○○○
・・・・
新型インフルエンザBCP | 51 |
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
電話番号
4
4
様式7 備蓄品(感染予防対策用品、業務継続用品)リスト ※最低限、3日分をめどに備蓄すること
<感染予防対策用品リスト>
品名
数量
保管場所
消費期限
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
不織布マスク
消毒用アルコール(擦式手指消毒剤)
液体せっけん(ハンドソープ)
うがい薬
N95 マスク
ゴム手袋(使い捨て)
ゴーグル
ウェットティッシュ
ティッシュ
タオル
毛布
漂白剤(次亜塩素酸ソーダ)
ビニール袋
加湿器
体温計
非接触型体温計
(注:施設・事業所の状況に応じて、リスト内の品目を追記・削除してください。)
| 52 | 新型インフルエンザBCP
備考(配布記録等)
<業務継続用品リスト>
品名
数量
保管場所
消費期限
備考(配布記録等)
飲料水
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
缶詰
4
レトルト食品
インスタント食品
経管栄養食
ベビーフード
高血圧対応食
糖尿病対応食
アレルギー対応食
高カロリー食
栄養ドリンク
アトピー性皮膚炎用粉ミルク
調味料
毛抜き
消毒薬
脱脂綿
滅菌ガーゼ
絆創膏
綿棒
オブラート
包帯
眼帯
三角巾
女性用下着
生理用品
オムツ
トイレットペーパー
消毒薬
胃腸薬
鎮痛剤
目薬
(注:施設・事業所の状況に応じて、リスト内の品目を追記・削除してください。)
新型インフルエンザBCP | 53 |
立ち入り
時間
10:10
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
月日
10/10
/
| 54 | 新型インフルエンザBCP
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
11:11
退出時間
○○食品
※利用者のご家族の場
合は記載不要
企業名
○○ ○○
氏名
○○課・○○
訪問先
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
利用者/職員
訪問先属性
(立ち入り者名/担当者名など) (いずれかに○)
36.5 度
検温結果
(体温を記載)
※備え付けの非接触型体温計で検温願います。体温が●度を超える場合は立ち入りをご遠慮いただいておりますので予めご了承願います。
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
様式8 来所者立ち入り時体温チェックリスト
←記載例
備考
4
(例)
○
×
○
3せき
4くしゃみ
5全体
○
○
8咽頭痛
9間接痛
新型インフルエンザBCP | 55 |
**
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
※上記チェック項目ごと対象者全員が問題なければ○印、一人でも症状があれば×印をつけ該当者を特定
チェック者サイン
7
(該当者氏名)
(++ ②)
(** ①)
問題ある項目
4
×
7嘔吐
10 その他
○
6下痢
怠感
○
2鼻水
10/10
○
月日
1体温(●度以下⇒○)
チェック項目
チェック対象者の氏名:(①___、②___、③___、④___、⑤___、⑥___、⑦___、⑧___、⑨___、⑩___)
チェック単位=対象組織(いずれかに○) : 職員ならびに家族 ・ 施設利用者[ ]号室
様式9 職員・利用者 体温・体調チェックリスト
/
/
4
4
様式 10 職員属性管理リスト
1 徒歩 30 分以内で施設まで来られる職員のリスト
所属
役職
氏名
家族構成
住所・出勤経路
連絡先
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
○○
○○
○○○○
妻
○○県○○市○○町
子(12, 15 才) ○○
自宅∼当施設
徒歩 10 分、自家用
車3分
○○ - ○○○○ - ○○○
○
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
2 徒歩 30 分∼1時間で施設まで来られる職員のリスト
所属
○○
役職
○○
氏名
○○○○
家族構成
妻
子(15 才)
要介護者1名
住所・出勤経路
連絡先
○○県○○市○○町
○○
自宅∼当施設
徒歩 60 分、自家用
○○ - ○○○○ - ○○○
○
・・・・
・・・・
車 15 分
電車利用 20 分、最
寄駅○○駅
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
3 施設に来るまで徒歩で1時間以上かかる職員のリスト
所属
○○
役職
○○
氏名
○○○○
家族構成
妻
子(5才)
住所・出勤経路
連絡先
○○県○○市○○町
○○
自宅∼当施設
徒歩4時間、自家用
○○ - ○○○○ - ○○○
○
・・・・
・・・・
車なし
電車利用 45 分、最
寄駅○○駅
・・・・
・・・・
| 56 | 新型インフルエンザBCP
・・・・
・・・・
様式 11 感染者管理リスト
4
<職員/利用者>
職員⇒所属
(いずれかに
利用者⇒
○)
10/10
氏名
感染者区分
発症日
部屋番号
職員 / 利用者 ○○課
発症日から○週間前までの
出勤
可能日
(見込)
○○○○
本人 / 同居家族
10/5
10/20
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
/
職員/利用者
本人/同居家族
/
/
間の行動
管理
(感染者が会った職員名・
完了
触った施設箇所等)
△△と夕食を食べた/○号
室で嘔吐した
<その他>
報告日
10/10
企業・組織名
氏名
発症日
発症前直近の
発症日から○週間前までの間の行動
管理
施設訪問日
(感染者が会った職員名・触った施設箇所等)
完了
10/5
10/9
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
/
○○食品
○○
○○課○○と面談した
済
新型インフルエンザBCP | 57 |
BCP作成例 |ステージ3︵地域感染期∼小康期︶の対応|
報告日
属性
付録:新型インフルエンザの基礎知識
厚生労働省「事業所・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン(以下、事業所・職場ガイ
ドラインという)」より感染予防にかかる個人対応事項を抜粋した。本付録については、必要項目のみ抜
粋したため、一部項目番号等が順序通りになっていない箇所があるが、ご容赦いただきたい。事業所・
職場ガイドラインの URL は以下に示す。
付録
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/090217keikaku-08.pdf
新型インフルエンザの基礎知識 |新型インフルエンザの概要|
1
新型インフルエンザの概要
(1)新型インフルエンザの発生
○新型インフルエンザウイルスとは、特に鳥類にのみ感染していた鳥インフルエンザウイルスが、当初
は偶発的に人に感染していたものが、遺伝子の変異によって、人の体内で増えることができるように
変化し、さらに人から人へと効率よく感染するようになったものである。このウイルスが人に感染し
て起こる疾患が新型インフルエンザである。
図1 鳥インフルエンザと新型インフルエンザの関係
○新型インフルエンザウイルスは、人類にとっては未知のウイルスであり、人は免疫を持っていないため、
容易に人から人へ感染して拡がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性がある。
○鳥インフルエンザウイルスにも様々な種類がある。現在最も新型インフルエンザに変異する可能性の
高いウイルスとして、H5N1と呼ばれる型のものがあるが、実際にどの型が流行するかは明らかで
はない。
| 58 | 新型インフルエンザBCP
1)新型インフルエンザと通常のインフルエンザの違い
○新型インフルエンザと通常のインフルエンザとの違いについて、現段階で想定される違いを表1に示
す。
付録
表1 新型インフルエンザと通常のインフルエンザとの違い
新型インフルエンザ
通常のインフルエンザ
発病
急激
急激
38℃以上の発熱
咳、くしゃみ等の呼吸器症状
頭痛、関節痛、全身 怠感等
症状
(典型例)
未確定(発生後に確定)
潜伏期間
未確定(発生後に確定)
2∼5日
人への感染性
強い
あり(風邪より強い)
発生状況
大流行性/パンデミック
流行性
未確定(発生後に確定)
※アジア・インフルエンザ:約 0.5%
スペイン・インフルエンザ:約 2%
0.1% 以下
致死率
※ 1)
※1)致死率=一定期間における当該疾病による死亡者数/一定期間における当該疾病の罹患者数
○通常のインフルエンザはインフルエンザウイルスに感染して起こる病気で、風邪よりも、比較的急速
に悪寒、高熱、筋肉痛、全身倦怠感を発症させるのが特徴である。
○新型インフルエンザの症状は未確定であるが、大部分の人が免疫を持っていないため、通常のインフ
ルエンザと比べると爆発的に感染が拡大し、非常に多くの人が罹患することが想定されている。それ
と同時に肺炎などの合併症を起こし、死亡する可能性も通常のインフルエンザよりも高くなる可能性
がある。
○毎年流行する通常のインフルエンザは、ある程度人と共存しており、高齢者や既に何らかの病気を持
つ者を除き、感染による致死率は 0.1% 以下である。我が国では1年間に約 1,000 万人がインフルエン
ザに罹患し、約1万人が死亡しているという研究結果もある。
(2)インフルエンザウイルスの感染経路
○毎年人の間で流行する通常のインフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染であると考えら
れている。現段階では、新型インフルエンザが発生していないため、感染経路を特定することはでき
ないが、飛沫感染と接触感染が主な感染経路と推測されており、事業所においては基本的にはこの二
つの感染経路についての対策を講ずることが必要であると考えられる。空気感染の可能性は否定でき
ないものの一般的に起きるとする科学的根拠はないため、事業所等においては空気感染を想定した対
策よりもむしろ、飛沫感染と接触感染を想定した対策を確実に講ずることが必要であると考えられる。
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新型インフルエンザの基礎知識 |新型インフルエンザの概要|
項目
○また、ウイルスは細菌とは異なり、口腔内の粘膜や結膜などを通じて生体内に入ることによって、
生物の細胞の中でのみ増殖することができる。 環境中(机、ドアノブ、スイッチなど)では状況によっ
て異なるが、数分間から長くても数十時間内に感染力を失うと考えられている。
付録
図2 新型インフルエンザの主な感染経路
新型インフルエンザの基礎知識 |新型インフルエンザの概要|
飛沫感染
1 ~ 2m
感染者
接触感染
免疫がない人
1)飛沫感染
○飛沫感染とは感染した人が咳やくしゃみをすることで排泄する、ウイルスを含む飛沫(5ミクロン以
上の水滴)が飛散し、これを健康な人が鼻や口から吸い込み、ウイルスを含んだ飛沫が粘膜に接触す
ることによって感染する経路を指す。
なお、咳やくしゃみ等の飛沫は、空気中で1~2メートル以内しか到達しない。
2)接触感染
○接触感染とは、皮膚と粘膜・創の直接的な接触、あるいは中間物を介する間接的な接触による感染経
路を指す。
例えば、患者の咳、くしゃみ、鼻水などが付着した手で、机、ドアノブ、スイッチなどを触れた後に、
その部位を別の人が触れ、かつその手で自分の眼や口や鼻を触ることによって、ウイルスが媒介される。
(参考)空気感染
空気感染とは、飛沫の水分が蒸発して乾燥し、さらに小さな粒子(5ミクロン以下)である飛沫核となっ
て、空気中を漂い、離れた場所にいる人がこれを吸い込むことによって感染する経路である。飛沫核は
空気中に長時間浮遊するため、対策としては特殊な換気システム(陰圧室など)やフィルターが必要に
なる。
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2
基本的な新型インフルエンザ対策
(2)個 人 や 事 業 者 が 実 施 で き る 具 体 的 な 感 染 防 止 策
考えられる感染防止策としては、以下が挙げられる。
・手洗い
・咳エチケット
・職場の清掃・消毒
・定期的なインフルエンザワクチンの接種
1)対人距離の保持
○最も重要な感染防止策は、対人距離を保持することである。特に感染者から適切な距離を保つことに
よって、感染リスクを大幅に低下させることができる。 逆に、人が社会活動を行うことで、感染リス
クが高まると言える。
(目的)
・咳、くしゃみによる飛沫感染防止策
(効果)
・通常、飛沫はある程度の重さがあるため、発した人から1~2メートル以内に落下する。つまり2メー
トル以上離れている場合は感染するリスクは低下する。
(方法)
・感染者の2メートル以内に近づかないことが基本となる。不要不急の外出を避け、不特定多数の者が
集まる場には極力行かないよう、業務のあり方や施設の使用方法を検討する。
2)手洗い
○手洗いは感染防止策の基本であり、外出からの帰宅後、不特定多数の者が触るような場所を触れた後、
頻回に手洗いを実施することが推奨される。
(目的)
・本人及び周囲への接触感染の予防
(効果)
・流水と石鹸による手洗いは、付着したウイルスを除去し、感染リスクを下げる。また、60 ~ 80% の濃
度のアルコール製剤に触れることによって、ウイルスは死滅する。
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・対人距離の保持
付録
○新型インフルエンザの感染防止策は、一般の人々が普段の生活の中で実施できるものも多い。有効と
(方法)
・感染者が触れる可能性の高い場所の清掃・消毒や患者がいた場所等の清掃・消毒をした際、手袋を
外した後に手洗い又は手指衛生を実施する。
・手洗いは、流水と石鹸を用いて 15 秒以上行うことが望ましい。洗った後は水分を十分に拭き取るこ
付録
とが重要である。速乾性擦式消毒用アルコール製剤(アルコールが 60 ~ 80% 程度含まれている消毒
薬)は、アルコールが完全に揮発するまで両手を擦り合わせる。
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3)咳エチケット
○風邪などで咳やくしゃみがでる時に、他人にうつさないためのエチケットである。感染者がウイルス
を含んだ飛沫を排出して周囲の人に感染させないように、咳エチケットを徹底することが重要である。
(目的)
・咳、くしゃみによる飛沫感染防止策
(効果)
・咳エチケットによって感染者の排泄する飛沫の拡散を防ぐことができる。
(方法)
・咳やくしゃみの際は、ティッシュなどで口と鼻を被い、他の人から顔をそむけ、できる限り1~2メー
トル以上離れる。 ティッシュなどがない場合は、口を前腕部(袖口)で押さえて、極力飛沫が拡散し
ないようにする。前腕部で押さえるのは、他の場所に触れることが少ないため、接触感染の機会を低
減することができるからである。呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュは、すぐにゴ
ミ箱に捨てる。
・咳やくしゃみをする際に押さえた手や腕は、その後直ちに洗うべきであるが、接触感染の原因になら
ないよう、手を洗う前に不必要に周囲に触れないよう注意する。手を洗う場所がないことに備えて、
携行できる速乾性擦式消毒用アルコール製剤を用意しておくことが推奨される。
・咳をしている人にマスクの着用を積極的に促す。マスクを適切に着用することによって、飛沫の拡散
を防ぐことができる。
4)職場の清掃・消毒
(目的)
・周囲への接触感染の防止
(効果)
・感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後や鼻水を手でぬぐった後に、机、ドアノブ、スイッチなどを
触れると、その場所にウイルスが付着する。ウイルスの種類や状態にもよるが、飛沫に含まれるウイ
ルスは、その場所である程度感染力を保ち続けると考えられるが、清掃・消毒を行うことにより、ウ
イルスを含む飛沫を除去することができる。
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(方法)
・通常の清掃に加えて、水と洗剤を用いて、特に机、ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、テーブル、椅子、
エレベーターの押しボタン、トイレの流水レバー、便座等人がよく触れるところを拭き取り清掃する。
頻度については、どの程度、患者が触れる可能性があるかによって検討するが、最低1日1回は行う
・従業員が発症し、その直前に職場で勤務していた場合には、当該従業員の机の周辺や触れた場所など
着用して消毒を行う。作業後は、流水・石鹸又は速乾性擦式消毒用アルコール製剤により手を洗う。
清掃・消毒時に使用した作業着は洗濯、ブラシ、雑巾は、水で洗い、触れないようにする。
*食器・衣類・リネン
食器・衣類・リネンについては、洗浄・清掃を行う。衣類やリネンに患者由来の体液(血液、尿、便、
喀痰、唾液等)が付着しており、洗濯等が不可能である場合は、当該箇所をアルコール製剤を用い
て消毒する。
*壁、天井の清掃
患者由来の体液が明らかに付着していない場合、清掃の必要はない。患者由来の体液が付着してい
る場合、当該箇所を広めに消毒する。
*床の清掃
患者が滞在した場所の床については、有機物にくるまれたウイルスの除去を行うために、濡れたモッ
プ、雑巾による拭き取り清掃を行う。明らかに患者由来の体液が存在している箇所については、消
毒を行う。
*事業所の周辺の地面(道路など)
人が手であまり触れない地面(道路など)の清掃は、必要性は低いと考えられる。
(消毒剤について)
・インフルエンザウイルスには次亜塩素酸ナトリウム、イソプロパノールや消毒用エタノールなどが有
効である。消毒剤の噴霧は、不完全な消毒やウイルスの舞い上がり、消毒実施者の健康被害につなが
る危険性もあるため、実施するべきではない。
*次亜塩素酸ナトリウム
次亜塩素酸ナトリウムは、原液を希釈し、0.02 ~ 0.1w/v%(200 ~ 1,000ppm)の溶液、例えば塩素
系漂白剤等を用いる。消毒液に浸したタオル、雑巾等による拭き取り消毒を行う、あるいは該当部
分を消毒液に直接浸す。
*イソプロパノール又は消毒用エタノール
70v/v%イソプロパノール又は消毒用エタノールを十分に浸したタオル、ペーパータオル又は脱脂綿
等を用いて拭き取り消毒を行う。
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の消毒剤による拭き取り清掃を行う。その際作業者は、必要に応じて市販の不織布製マスクや手袋を
付録
ことが望ましい。消毒や清掃を行った時間を記し、掲示する。
5)定期的なインフルエンザワクチンの接種
(目的)
・通常のインフルエンザの罹患者による医療機関の混乱防止
付録
(効果)
新型インフルエンザの基礎知識 |基本的な新型インフルエンザ対策|
・新型インフルエンザの発生時に、通常のインフルエンザに罹患し、自分が新型インフルエンザに感染
したと誤解した者が発熱外来等を受診することで、医療機関において混乱が発生することが予想され
る。
・新型インフルエンザと区別がつきにくい通常のインフルエンザ等の発熱性の疾患については、予防接
種を受けることで、流行時の発熱外来の混雑緩和にもつながる。
(方法)
・医療機関で通常のインフルエンザの予防接種を受ける。ただし、副反応のリスクも十分理解した上で
接種を行う。
(3)感染防止策に有効な個人防護具と衛生用品
○一般的な企業が新型インフルエンザの感染防止策として使用を検討する代表的な個人防護具は、マス
ク、手袋、ゴーグル等がある。感染防止策については、前述のように外出を控える、手洗いの励行といっ
た方法を主にしながら個人防護具は補助的に用いる。
個人防護具は、適正に使用しないと効果は十分には得られない点に留意する必要がある。
1)主な個人防護具について
○一般的な企業において、新型インフルエンザの感染防止策として使用を検討する、マスク、手袋、ゴー
グル、フェイスマスクの考え方を以下に示す。
ア マスク
・症状のある人がマスクを着用することによって、咳やくしゃみによる飛沫の拡散を防ぎ、感染拡大を
防止できる。ただし、健康な人が日常生活においてマスクを着用することによる効果は現時点では十
分な科学的根拠が得られていない。そのため、マスクによる防御効果を過信せず、お互いに距離をと
るなど他の感染防止策を重視することが必要となる。やむを得ず、外出をして人混みに入る可能性が
ある場合には、マスクを着用することが一つの感染防止策と考えられる。
・一般的な企業の従事者においては、家庭用の不織布製のマスクを使用することが望まれる。マスクの
装着に当たっては説明書をよく読み、正しく着用する。特に、顔の形に合っているかについて注意する。
・マスクは表面に病原体が付着する可能性があるため、原則使い捨てとし(1日1枚程度)、捨てる場所
や捨て方にも注意して、他の人が触れないようにする。
・なお、家庭用の不織布製マスクは、新型インフルエンザ流行時の日常生活における使用においては、
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医療用の不織布製マスク(サージカルマスク)とほぼ同様の効果があると考えられる。
・N 95 マスク(防じんマスクDS2)のような密閉性の高いマスクは、日常生活での着用は想定されな
いが、新型インフルエンザの患者に接する可能性の高い医療従事者等に対して勧められている。事業
者においても、新型インフルエンザの患者に接する可能性が高い者においては、使用が想定される。
着用の教育・訓練が必要となる。
イ 手袋
・新型インフルエンザウイルスは、手から直接感染するのではなく、手についたウイルスが口や鼻に触
れることで感染する。つまり、手袋をしていても、手袋を着用した手で鼻や口を触っては感染対策に
はならない。
・手袋着用の目的は、自分の手が汚れるのを防ぐためである。したがって、滅菌されている必要はなく、
ゴム製の使い捨て手袋の使用が考えられる。手袋を外した後は、直ちに流水や消毒用アルコール製剤
で手を洗う。
ウ ゴーグル、フェイスマスク
・ ゴーグルやフェイスマスクは、眼の結膜からの感染を防ぐために着用が考えられる。ゴーグルは、直
接的な感染だけでなく、不用意に眼を触ることを防ぐことで感染予防にもつながる。
・ しかし、ゴーグルは、すぐに曇ったり、長時間着用すると不快である。購入にあたっては、試着して
従業員の意見をよく聞きながら選択する。
・ ゴーグルやフェイスマスクは、患者に接触する可能性が高い場所で必要になるため、一般の企業で使
用する場はそれほど多くないと考えられる。
2)個人防護具の購入
○個人防護具を購入するに当たっては、次のプロセスで行うことが望ましい。
・感染のリスクに応じた個人防護具を選択し、実際に使用する従業員の意見を聴取する。その際、個人
防護具の密着性、快適性などについても考慮する。また、候補となる個人防護具は複数の型やサイズ
を選択する。
・コストを評価する。管理面又は環境面の改善により個人防護具が不要となり全体として費用がかから
ないことがある。
・流行時に安定した供給が可能か確認する。
・個人防護具の選定を行ったら、個人に配付して一人一人の身体の形にあっているかを確認する。その
際に正しい着用方法を指導する。個人にあったサイズを確認して、記録しておく。
・選択の際は、使用する時間を想定し、使用可能なものを選ぶ。
新型インフルエンザBCP | 65 |
新型インフルエンザの基礎知識 |基本的な新型インフルエンザ対策|
・マスクの使用の詳細については、別途、厚生労働省が定める。
付録
しかし、これらのマスクは、正しく着用できない場合は効果が十分に発揮されないため、あらかじめ
3)個人防護具の管理・教育
○個人防護具は自らを守るものであり、感染リスクがある場所に入る前に着用する。必要な場所ですぐ
に入手・使用できるよう、供給の管理者を決める必要がある。
付録
○個人防護具は、定められた着用方法に従わなければ効果が十分には発揮されないため、説明書などを
確認して適正に着用できるようにする。その際、個人防護具は着用により不快感も伴うため、時間が
新型インフルエンザの基礎知識 |基本的な新型インフルエンザ対策|
経つにつれ正確に着用されなくなる可能性もあることも含めて、教育・訓練を行う。さらに、新型イ
ンフルエンザ流行時には、感染に対する恐怖で不必要に個人防護具を使いすぎることの無いよう、適
正に使用するよう教育なども行うことも考えられる。
4)個人防護具の廃棄
○個人防護具の着用時、廃棄や取り替えの時には、自らが感染したり、感染を拡大するおそれがあるた
め注意が必要である。
○基本的に、個人防護具は使い捨てであり、できる限り1日に1~2回は交換し、使用済みのものはす
ぐにゴミ箱に捨てる。
○しかし、使い捨てはコストがかかる上、場合によっては個人防護具が不足する可能性もある。そのよ
うな状況では、使用時間を長くする、繰り返し使用することも検討する。
○全ての個人防護具を外した後には、個人防護具にウイルスがついている可能性もあるのですぐに手洗
いや消毒用アルコール製剤による消毒を行う。また、廃棄場所を定め、その処分をする人の感染防止
策についても十分に検討しておく必要がある。
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社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の
業務継続ガイドライン
平成27年3月
発行
発 行 者
株式会社インターリスク総研
〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町 2-105 ワテラスアネックス
TEL 03-5296-8911
FAX 03-5296-5940
この事業は、平成26年社会福祉推進事業の一環として厚生労働省から補助金の交付を受けて
実施したものです。
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