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【ジーディーエフ・スエズ】据置:AA+/安定的 - 日本格付研究所
14-I-0036 2014 年 8 月 8 日 株式会社日本格付研究所(JCR)は、以下のとおり信用格付の結果を公表します。 ジーディーエフ・スエズ (証券コード:−) 【据置】 外貨建長期発行体格付 格付の見通し 債券格付 AA+ 安定的 AA+ ■格付事由 (1) フランスを本拠とする売上高で欧州第 2 位の垂直統合型エネルギー企業。格付は、フランスの天然ガス事 業を主導的に担う当社に対する大株主である政府からの強いサポート、欧州の天然ガス事業を中心とした 堅固な事業基盤、収益基盤の分散、財務構成の改善を主に評価している。他方、格付は、欧州の厳しい事 業環境の中で収益に下方圧力がかかっていること、国内規制下にない外国事業の保有などから制約されて いる。フランスの天然ガス産業における当社の主導的地位やガス事業に関わる規制は変わらないほか、政 府からの影響力も出資に関わる法改正を受けても議決権を通じて維持される見通しである。当社は 11 年 以降、International Power 社の買収による負債の増加を受けて、財務の柔軟性を回復するためコスト削減 等の経営効率化、設備投資の抑制、資産売却を通じた負債の削減などに取り組んできた。収益に下方圧力 がかかる中、これらの施策により 13/12 期には財務構成が改善した。収益は当面厳しい状況が続くものの、 保守的な財務政策により比較的健全な財務構成を維持するとみている。以上を踏まえ、格付を据え置き、 格付の見通しを安定的とした。 (2) 当社は、フランス政府が天然ガスの輸出入および国内供給を独占的に行う国営ガス会社として 1946 年に 設立した旧フランスガス公社(GDF)と、欧州電力大手で水道や廃棄物処理等の環境事業に強みを持つ旧 スエズが 08 年に合併して誕生した。国内では送・配ガス網、液化天然ガス基地等の天然ガスの安定供給 に不可欠な規制対象資産をほぼ独占的に保有し、消費天然ガスの約 6 割を供給するなど、エネルギー安全 保障上重要な役割を果たしている。政府は当社株式の 3 分の 1 以上(現在の出資比率は 33.6%)の保有 を法律で義務付けられてきたが、14 年 3 月の“Florange”法の施行により議決権での保有も認められるよ うになったほか、16 年 4 月 2 日からは議決権が 36.7%を上限に 2 倍に引き上げられる。これにより、出 資に関し政府の柔軟性が高まる一方、当社への影響力はほぼ現状を維持できると思われる。政府はまた、 エネルギー供給の確保という国益を守る観点から当社の黄金株を保有しており、当社およびその国内子会 社による国内の天然ガス規制対象資産の売却や営業権譲渡、担保権設定に関し、拒否権を発動できること が法律で認められている。さらに、17 名の取締役のうち 4 名が政府より任命されており、経営面でも政 府の関与を受けている。 (3) 事業基盤は天然ガス、電力、エネルギーサービスなどに多様化し、地理的にも分散している。主力の天然 ガス事業では、探鉱開発等の上流部門から下流部門まで一貫して展開し、グローバルにガスバリューチェ ーンを構築している。欧州では、有数のガスインフラを保有し、13 ヵ国で供給事業を手掛ける最大手。 フランスでは規制事業である輸送・配給をほぼ独占的に担うほか、小売販売においても家庭向けで 8 割、 法人向けで 5 割のシェアを有している。電力事業では 114GW(13 年末)の発電能力を備え、フランスで は発電量で第 2 位、ベルギーでは子会社 Electrabel を通じて 5 割の発電・供給シェアを有する最大手とな っている。世界有数の独立系発電事業者でもあり、中南米、アジア、中東、トルコ、アフリカ、オースト ラリア、北米でも幅広く事業を展開している。近年は欧州事業の合理化を進めるとともに、電力需要の拡 大が見込まれる新興国事業や上流部門を強化している。なお、環境事業を担ってきた Suez Environment は、 13 年 7 月に連結子会社から持分法適用会社となった。 1/3 http://www.jcr.co.jp (4) 欧州事業は需要低迷やマージンの悪化など厳しい環境に置かれており、収益力に下方圧力がかかっている。 堅調な新興国事業等の収益やコスト削減が欧州事業の収益減を一部補っているものの、13/12 期の EBITDA は 134 億ユーロ(Suez Environment の持分法適用の影響を考慮)となり、連結範囲の変更、為替、 天候およびフランスのガス販売における規制料金の調整の影響を除いたベースでは前年比約 6%減少した。 また、13/12 期には欧州のガス火力発電所やのれんに関して 150 億ユーロの減損損失を計上し、当期純利 益は 97 億ユーロの赤字となった。欧州では依然として、電力価格の低下や米国産石炭の流入による石炭 価格の下落が続く中、ガス火力発電の稼働率は相対的な競争力の低下から低迷したままとなっている。足 元の天然ガス価格の低下や電力価格のヘッジ状況等を踏まえると当面新たに多額の減損が必要となる可能 性は低いとみているが、再生可能エネルギーの推進による電力供給の増加等がもたらす欧州電力市場の構 造的な変化、さらには欧州の主要な天然ガス調達先であるロシアを巡る政治情勢の影響について、引き続 き見ていく必要がある。 (5) 資産売却や設備投資の圧縮等を通じた純有利子負債の削減により、財務構成が改善している。純有利子負 債は、12/12 期末の 429 億ユーロから 13/12 期末に 298 億ユーロ、14/12 期第 2 四半期末にはさらに 260 億ユーロへ減少し、14/12 期末までに 300 億ユーロ程度とする削減目標を 13/12 期に達成した。これに伴 い、純有利子負債/EBITDA 倍率は 12/12 期末の 2.6 倍から 13/12 期末には 2.2 倍(Suez Environment の持 分法適用の影響を考慮)へ低下し、ネット DER も 0.62 倍から 0.56 倍へ改善した。当社は、13 年に 75 億 ユーロまで抑制した投資総額を 14∼16 年には平均で 90∼100 億ユーロに増額するが、必要な資金は年平 均 20∼30 億ユーロの資産売却益などで確保する計画である。これまでの実績を踏まえると、資産売却を 通じて負債の増加は抑えられ、純有利子負債/EBITDA 倍率は当社目標の 2.5 倍以下を維持するとみている。 流動性は、14/12 期第 2 四半期末時点で 15/12 期末までに償還を迎える有利子負債 54 億ユーロを十分に カバーする手元流動性 117 億ユーロとクレジットラインの未引出枠 84 億ユーロを保有している。 (担当)内藤 寿彦・佐伯 ■格付対象 発行体:ジーディーエフ・スエズ(GDF SUEZ) 【据置】 対象 外貨建長期発行体格付 対象 第1回円貨社債(2009) 格付 見通し AA+ 安定的 発行額 発行日 償還期日 650 億円 2009 年 12 月 15 日 2014 年 12 月 15 日 2/3 http://www.jcr.co.jp 利率 1.17% 格付 AA+ 春奈 格付提供方針に基づくその他開示事項 1. 信用格付を付与した年月日:2014 年 8 月 5 日 2. 信用格付の付与について代表して責任を有する者:藤本 主任格付アナリスト:内藤 寿彦 幸一 3. 評価の前提・等級基準: 評価の前提および等級基準は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に「信用格付の種類 と記号の定義」 (2014 年 1 月 6 日)として掲載している。 4. 信用格付の付与にかかる方法の概要: 本件信用格付の付与にかかる方法の概要は、JCR のホームページ(http://www.jcr.co.jp)の「格付方針等」に、 「ソブリン・準ソブリンの信用格付方法」 (2013 年 3 月 29 日) 、 「都市ガス」 (2011 年 12 月 7 日)として掲載してい る。 5. 格付関係者: (発行体・債務者等) ジーディーエフ・スエズ(GDF SUEZ) 6. 本件信用格付の前提・意義・限界: 本件信用格付は、格付対象となる債務について約定通り履行される確実性の程度を等級をもって示すものである。 本件信用格付は、債務履行の確実性の程度に関しての JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該確実性 の程度を完全に表示しているものではない。また、本件信用格付は、デフォルト率や損失の程度を予想するもので はない。本件信用格付の評価の対象には、価格変動リスクや市場流動性リスクなど、債務履行の確実性の程度以外 の事項は含まれない。 本件信用格付は、格付対象の発行体の業績、規制などを含む業界環境などの変化に伴い見直され、変動する。ま た、本件信用格付の付与にあたり利用した情報は、JCR が格付対象の発行体および正確で信頼すべき情報源から入 手したものであるが、当該情報には、人為的、機械的またはその他の理由により誤りが存在する可能性がある。 7. 本件信用格付に利用した主要な情報の概要および提供者: ・ 格付関係者が提供した監査済財務諸表 ・ 格付関係者が提供した業績、経営方針などに関する資料および説明 8. 利用した主要な情報の品質を確保するために講じられた措置の概要: JCR は、信用格付の審査の基礎をなす情報の品質確保についての方針を定めている。本件信用格付においては、 独立監査人による監査、発行体もしくは中立的な機関による対外公表、または担当格付アナリストによる検証など、 当該方針が求める要件を満たした情報を、審査の基礎をなす情報として利用した。 9. JCR に対して直近 1 年以内に講じられた監督上の措置:なし ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。 ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 3/3 http://www.jcr.co.jp