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(平成22年11月付)(PDF:216KB)
埼玉親善大使レポート 2010年 11月 青年海外協力隊 21年度4次隊 グアテマラ「経済・市場調査」 丸山篤子 お久しぶりです。グアテマラで活動中の丸山です。10月初旬に任地変更の話題があが り、11月中旬にオフィシャルに任地を変更致しました。 本レポートは任地変更と新たな配属先での業務について書きます。 配属先変更 11月15日付で配属先(任地)ならびに居住地を変更致しました。 チマルテナンゴ県サンフアン・コマラパ市→チマルテナンゴ県チマルテナンゴ市(県都) これにより、これまでは天然染色とキノコ栽培を行っている1グループのみとの活動で したが、今後はこれまでの活動を継続しながら、家具、花、コーヒー、アボガド、布織物、 トマトなどの生産者グループ、プラスチックの再生プラントをやりたいグループなどと活 動していくことになります。また、グループ横断型プロジェクトとしてコミュニティ観光 プロジェクトも実施していきます。 <FROM> <TO> 110あるグループの 地域統括オフィスに勤務し 末端の1グループとのみ活動 その管轄下にある13グループと活動 <理由> ①現地受け入れ団体による調整不足 当初の配属先はグループの現地メンバーも本業を他に持ったボランティアのため、JIC Aボランティア(丸山)と責任を持って活動できるメンバーがいなかった。 ②グループとJICAボランティアとの活動時間の差 現地メンバーが恒常的に活動していたのは週に1、2日であり、週5日働いていたJIC Aボランティアとかけられる時間差があった。 ③活動のための予算の不足 現地メンバーがボランティアという状況にあり、末端のグループでは予算がなく、JIC Aボランティアのための交通費などを捻出できる状態ではなかった。 ③配属先上位機関からのオファー 現地メンバーのニーズがJICAボランティアのキャパシティを下回っており、配属先上 位機関より、 「あいている時間やキャパシティを使って他のグループも是非支援してほしい」 とオファーがあった。結果、常勤スタッフ(カウンターパートとなる人材がいる)がおり、 予算もある上位機関に任地変更をした方が得策との合意に至り、所属先を変更した。 <新たな配属先での活動内容について> ◆マーケティング等グループの活動に合わせた支援 13グループの段階に応じた支援を行う。 ①組織化・プロジェクト未策定段階 ・どのようなプロジェクトをやるのかというプロジェクト策定支援 ・メンバーの持っているスキルや専門性、地域性を活かしたプロジェクトの提案 ・それぞれの意見を共有化、見える化させるためのお手伝い (1人1人に意見を出してもらう、言語化、数値化、図示化等) ・他グループがどのようにプロジェクト計画策定し活動していったのかという事例紹介 ・プロジェクト活動計画の立て方とフォーマット提供 ・プロジェクトの目的、各活動内容とその目的、何をもってできたとするのか(尺度) 、 誰やるのか、いつやるのか、実施のために必要なリソースは何か、等。 ②生産プロセスの確立段階 ・メモ(記録)取りの徹底 ・5Sや改善をもとにした生産プロセスの向上 ・作業標準作りの指導 ③市場調査・プロモーション段階 ・市場調査の支援 ・アンケート作成、アンケート実施対象選定、アンケート実施方法 ・アンケート実施後のデータの使い方、報告書作成 ・プロモーション支援 ・プロモーション材料作りの支援 ・カタログ、パンフレット、プレゼン資料、グループの名刺、 メール送付方法、顧客リストの作成と管理方法 ・プロモーション方法の支援 ・win-win の姿勢、外部機関との関係作り(展示会参加のため等) 日本での勤務時代の工場実習を始め、営業での職務経験を活かすことができていると感 じています。その場その場で自分が持っているものを全部持ち出しての勝負になりますが、 非常に緊張感のある仕事をさせていただいております。自分の経験や知識の棚卸、言語化、 プレゼンをする中で自らの能力アップにもつながっていると感じています。 現在はファシリテーション、社会調査法、マーケティング等の書籍を読んでいます。か つて読んでいた天然染色、マヤ文化、歴史等の書籍よりは実用書を読むことが増えました。 ◆コミュニティ観光プロジェクト テーマ: ガイドブックにも載っていない特に観光資源があるわけでもない町に観光客を誘致する 方法: 110の自治体にグループをもつという特長を活かし、 従来型の「ただ見て帰る」というツアーではなく「実際にコミュニティに入り体験する」 という体験型ツアーの提供 プロジェクトの流れ: ①各コミュニティ(自治体)の魅力となりそうな場所のリストアップ ②各コミュニティ(自治体)を実際に訪問、体験プランの作成 ③コミュニティ観光プランのテーマについてグループで話し合いを行う ④観光プランをプレゼンテーション資料にまとめる ←現在はこの段階です。 ⑤各コミュニティ(自治体)のグループにて調整、プラン見直し、コスト計算 ⑥他グループメンバーによるモニターツアーの実施(評価活動も同時に行う) ⑦各ツアーのテーマに合わせて1日~3、4日のパッケージツアーの作成、資料策定 ⑧プロモーション資料の作成(カタログ・パンフレット他) ⑨観光地アンティグアのメンバーと共にプロモーション計画の作成、実施 ※下記は主なターゲット先(カッコ内は目的) ・観光庁(HP掲載可否、観光案内所での紹介依頼他、広報面での支援依頼) ・経済省(プロジェクトへの資金援助可否) ・文化庁(文化財保護などに関する協働の可否) ・語学学校(土日を使ったコミュニティ観光プランの提案) ・旅行代理店(旅行代理店と連携したコミュニティ観光プランの実現可否の検討) ・地元観光協会(観光案内所での紹介依頼、現地団体との協働促進) ・コミュニティ観光の本の出版元(掲載可否の打診) ・観光ガイドブックの出版元(掲載可否の打診) ・配属先上位機関のメンバー(訪欧するので、その際にプロモーション依頼) ・ラジオ局、テレビ局(モニターツアーなどでの広報のため) ・対外競争力強化委員会 (コミュニティ観光が対外競争力強化と判断されれば支援を受けられる可能性あり) ・大統領夫人による女性支援プロジェクト(支援可否) ・各市役所の観光課、開発課(看板などの整備、広報、現地他団体との協働促進) まだ各コミュニティでのポテンシャル調査段階ですが、110の自治体にネットワーク をもつグループの特色を生かして「よりコミュニティの協力を得られた」ツアーに仕上が りそうです。その提案資料ができてからの勝負にはなりますが、すでに経済省の方等、興 味を持ってくださっている方はいらっしゃいます。 <ツアーの例> ①コーヒーツアー <既存型>(所要1時間、10ドル程度) コーヒー農園を30分程度歩き、コーヒー精製所を15分くらい見て試飲して帰る。 <今回提案するスタイル>(1日、価格は未定) コーヒー農園で実際に収穫作業やコーヒーの木を植える作業などを労働者と共に行う。働 きながら、農園オーナーや労働者からも話を伺う。その後、コーヒー農家で地元ごはん。 午後はコーヒー精製所を訪問・見学。最後にコーヒーのカッピングを行う。5、6地域の 輸出用コーヒーと共に、国内で流通しているコーヒーも試飲します。 ②森林ツアー <既存型>情報なし <今回提案するスタイル>(1日、価格は未定) 苗床に植林したい種を選んで植える。苗のサイズまで成長している数種類の苗木の中から 好きな苗木を選ぶ。それを持って山を1時間登り、地元の農民と一緒に植林を行う。帰り はシーズンであれば、次の観光客のため種の採取も行う。お昼ごはんは地元の民家で。 ③花の町体験ツアー <既存型>情報なし <今回提案するスタイル>(1日、価格は未定) 早朝、花市場を見学。その後、その花々がどこから来ているのかを知るため花農家を訪問。 そこで花の収穫や種まき、水やりなどを農家で体験。お昼ごはんは農家で家族と一緒に。 午後は農家の花や近くの山野から草木を摘み取り、フラワーアレンジ。それを観光客同士 で発表し合い、帰路へ。 ④家具の町体験ツアー <既存型>情報なし <今回提案するスタイル>(1日、価格は未定) まずは森林へ。家具の材料となる木がどこから来ているのかを知る。その後、木材加工工 房、家具工房へ。実際に家具を作っている工程を見学したら、観光客もコースター作りを 実施。その後、家具販売店も訪問することで家具のバリューチェーンがひと通り見られる ツアーになっている。 (可能であれば使用した分の木材分、植林をして帰る) ⑤民族衣装を着た踊りで有名な町のツアー <既存ツアー>情報なし <今回の提案スタイル>(1日、価格は未定) まずは木の仮面を作っている工房へ。作業工程を見たあとは仮面かキーホルダーへの着色 体験。お昼ごはんを民家で食べた後は、民族ダンスを地元の方に習う。その後、民族衣装 を着て仮面をかぶって記念撮影。 その他、ジーンズの製造工程(縫製工場、業務用洗濯機・乾燥機、パッキング工程を見学、 その後オリジナルジーンズを作る?)やアイディア自転車工房、布織物教室、画家さんと 一緒に町に出て絵を描くコース、籐工芸を習うコース、農家ステイをしてチーズやジャム、 果実酒等を作るコース、貧しい山奥の村を訪問して実際に話を聞くコース、木箱を作るコ ース、持続的なプロジェクトを行っている団体を訪問する持続的開発コースなど。 一村一品運動の考え方を活かし、 「人もない、カネもない、なにもない」と言っているだ けではなく、 「何をつかえるのか、何があるのか」という視点に立ったいいもの探しを住民 と共に行い、それを活かした体験プランを考えるという流れで仕事をしています。 これまで54カ国を訪れた経験を生かし、一旅行者としてどんなツアーがあれば魅力的 かにこだわって企画を提案しています。 実施に向けた地元住民との調整作業、広報作業が一番ネックになってくるとは思います が、まずはいい提案資料ができるよう地元の人々と頑張ります。