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JEITA TT-6004
目
次
······················································································································
1
················································································································
1
······························································································
1
··········································································································
2
3.1 用語の定義
············································································································
2
3.2 用語の解説
············································································································
4
················································································
4
まえがき
1.
適用範囲
2.
引用規格及び関連規格
3.
用語及び定義
4. ITS 車載器用音声合成記号の構成
4.1
ITS 車載器用音声合成記号の種類
··············································································
4
4.2
ITS 車載器用音声合成記号の構造
··············································································
4
·········································································
6
·········································································································
6
5.2 読み記号
···············································································································
6
5.3 韻律記号
···············································································································
8
5.
日本語の読み記号及び韻律記号の表記
5.1 使用する文字
·······················································································
10
·······································································
11
····································································································
11
··························································································
11
·············································································································
11
··································································
12
···························································
14
·············································································
15
····································································································
16
·······················································································
16
·············································································································
18
····················································································
20
················································································
20
7.1 声の高さ
·············································································································
20
7.2 発声速度
·············································································································
21
7.3 音 量
················································································································
22
7.4 抑 揚
················································································································
22
·······················································································································
23
····················································································································
32
5.4 韻律記号を含んだ記述例
6.
外国語の読み記号及び韻律記号の表記
6.1 基本的な考え方
6.2 開始記号及び終了記号
6.3 読み記号
6.3.1 肺気流の子音((Pulmonic Consonants)
6.3.2 非肺気流の子音(Non-pulmonic Consonants)
6.3.3 その他の記号(Other symbols)
6.3.4 母音(Vowels)
6.3.5 補助記号(Diacritics)
6.4 韻律記号
6.5 外国語用音声記号の記述例
7. 制御記号(日本語・外国語共通)
解
説
参考文献
JEITA TT-6004
電子情報技術産業協会規格
ITS車載器用音声合成記号
Speech synthesizer symbols for ITS on-Board Unit
まえがき
この規格は,ITS 車載器を活用した次世代の道路システムにおいて,DSRC 応用システムに適
用可能な ITS 車載器カーナビ部のヒューマンインタフェースで音声合成技術が広く利用されるために,
JEITA IT-4002(日本語テキスト音声合成用記号)をベースに,すでに車載器で使用されている音声合成
用記号も考慮して,規格化されたものである。JEITA IT-4002 は,日本語の音声合成技術が多くのアプ
リケーションに適用できるように,幅広く,一般的に扱えるように規格化されているため,特定のアプ
リケーションに特化した場合,最適な記号となっていないことが考えられる。この規格では,JEITA
IT-4002 の読み記号及び韻律記号をベースにしながらも,次世代道路システムの ITS 車載器のアプリ
ケーションに適した音声合成用記号を規格化したので,JEITA IT-4002 と異なる記号を採用したところ
もある。したがって,その差異を明確にするとともに,ITS 車載器用音声合成記号として適用範囲を限
定する。また,JEITA IT-4002 において,規格対象外であった,制御記号及び外国語向け音声合成用記
号についても,アプリケーションとして必要な部分についての規格化を行った。
1.
適用範囲
この規格は,DSRC 応用システムに適用可能な,ITS 車載器カーナビ部のヒューマンマ
シンインタフェースの音声合成部で使用する記号だけを規定する。対象とする言語は,日本語及び日本
国内で使用される外国語の音声合成器の英語,ドイツ語,フランス語,中国語,韓国語とする。
2.
引用規格及び関連規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部
を構成する。これらの引用規格のうちで,発行年[日本工業規格(以下,JIS という。)の場合は,発行年]
を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正
版,Amendment 又は追補には適用しない。発行年(又は発効年)を付記していない引用規格は,その最新
版(Amendment 又は追補を含む)を適用する。
a)
JEITA 規格
JEITA IT-4002
b)
日本語テキスト音声合成用記号
JIS
JIS X 0201
情報交換用符号化文字集合の 8 ビット符号の片仮名用図形文字集合
- 1 -
JEITA TT-6004
3.
用語及び定義
3.1
用語の定義
この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
(1) ITS 車載器
ITS 車載器は DSRC 応用システムにおいて,路側無線装置が提供する所定の通信領
域内で路車間通信を行い,DSRC 応用の多様なサービスを実現する車載器である。
(2) ITS 車載器カーナビ部
ITS 車載器において,ナビデータ処理部,高精度測位計測部,地図デー
タ部,ヒューマンマシンインタフェース部,操作部及び表示部の機能を有するカーナビゲー
ション部である。
(3) アクセント
語や句を構成する音節の高さや強さが強められる現象。日本語ではモーラの音の
高低の配置によってアクセントを表現する。
(4) アクセント核
日本語のアクセントにおいて,アクセント句中で「高」から「低」に変化する
ときの,「高」のモーラ。
(5) アクセント句 発声の際にアクセントを形成する単位。たかだか 1 個のアクセント核を有する。
(6) 異
音
音声学的に異なる単音で同一音素に属するものの集合。
(7) 異音レベル
JEITA IT-4002「日本語テキスト音声合成用記号」の規格において日本語テキスト
音声合成用記号を三階層に分類して,その最下位層の,仮名レベルで表記できない異音までを
含めて記述する階層と定義する。異音レベルの記号は IPA 及び SAMPA に準じたアルファベット
で表記する。この規格では,異音レベルの表記は使用しない。
(8) 韻律記号
文字列から音声を合成するために,語句の発音を表す記号以外に,アクセント核の
位置,フレーズの境界,イントネーション,ポーズの挿入位置や長さなどの韻律的特徴を音声
合成システムに指示する記号。
(9) 韻律情報
発声すべき音声のアクセント核の位置,フレーズの境界,イントネーション,ポー
ズなどの情報。
(10) 音
節
音声を構成する単位で母音を中心とする音のまとまりであり,1 個以上の音素の連続
で構成される。日本語の場合,特殊な音節(「もー」,「ほん」,「けっ」などの長音節,撥音節,
促音節)を除いて,母音又は子音+母音で構成される。特殊な音節を除いて,50 音や「ひゃ,
ひゅ,ひょ」など,基本的な音節として 100 種類があり,外来音まで考慮すれば 200 種類程度
ある。
(11) 音
素
一つの言語において,言葉の意味の区別を表すのに用いられる最小の音の単位。
(12) 音
量
声の大きさ。
(13) 仮名レベル
JEITA IT-4002 において,日本語テキスト音声合成用記号を三階層に分類して,
その中間層の日本語解析処理からの出力となる階層と定義する。仮名レベルの記号は,読み記
号及び韻律記号で構成される。
- 2 -
JEITA TT-6004
(14) 声の高さ
音の心理的属性として音の高さに対応する。音声合成では,一般に,声帯振動の基
本周波数に対応する。
(15) 制御情報
合成音声の特性を指定する情報。代表的な特性としては,ピッチ,話速,音量など
がある。
(16) テキスト音声合成(text-to-speech)
テキスト解析と規則音声合成を組合せて,テキストから
音声を生成する技術。
(17) テキスト音声合成システム
テキスト音声合成の技術を用いて,テキストを入力として音声を
出力するシステムの総称。単体の音声合成装置,機器に組み込まれたもの,コンピュータのソ
フトウェアなどの実現形態がある。
(18) テキストレベル
JEITA IT-4002「日本語テキスト音声合成用記号」の規格において日本語テ
キスト音声合成用記号を三階層に分類して,その最上位層の,テキストが入力される階層と定
義する。この規格では,テキストレベルの表記は使用しない。
(19) DSRC(Dedicated Short-Range Communication:狭域通信)
この規格では,狭い範囲(数 m~
30m)を対象とする 5.8GHz 帯を利用したアクティブ方式の単方向通信又は双方向通信として定
義する。
(20) DSRC 応用システム
DSRC 応用システムは,5.8GHz 帯の電波を用いて,ETC,VICS 等に加え次
世代道路サービスなど DSRC の多様なサービスを提供するものである。
(21) ピッチ
音の心理的属性として音の高さに対応する。音声合成では,一般に,声帯振動の基本
周波数に対応する。
(22) フレーズ
一呼吸で発声する一つ以上のアクセント句の集まり。
(23) ポーズ
文中,文間の息継ぎ,話し方の間(ま)などによって生じる音声の休止区間。
(24) モーラ
時間的なまとまりの単位を表す音韻論的概念で,1 モーラは,短母音を含む 1 音節に
相当する。撥音,促音も 1 モーラ。長母音,二重母音は,1 音節 2 モーラ。拍ともいう。
(25) 抑
揚
声の高さの高低の変化によって表される韻律的なパターン。
(26) 読み記号
JEITA IT-4002「日本語テキスト音声合成用記号」の規格において日本語音声を構
成する個々の音節を読むための記号。単音節を読むための仮名レベルの記号と,さらに細かな
読みを指定するための異音レベルの記号とに分類される。この規格では,異音レベルの読み記
号は使用しない。また,韻律情報を表す記号は含まれない。
(27) 読み情報
(28) 話
速
日本語音声を構成する個々の音節を読むための情報。韻律情報は含まれない。
合成される音声の発話の速度。速度の単位として,日本語ではモーラ/秒が用いられ
る。
- 3 -
JEITA TT-6004
3.2
用語の解説
(1) IPA
国際音声記号(International Phonetic Alphabet)の略。世界の言語音声を共通の記号に
よってあらわそうとするものであり,1949 年に International Phonetic Association によって
決められ,その後改定が重ねられている。
(2) SAMPA(Speech Assessment Methods Phonetic Alphabet)
1987 年~89 年にヨーロッパの ESPRIT
プロジェクト 1541(SAM)で開発された,コンピュータで読み込み可能な ASCII コードで表され
る音声記号である。その後,ヨーロッパ系言語を中心に改訂が進んでいる。
4.
4.1
ITS 車載器用音声合成記号の構成
ITS 車載器用音声合成記号の種類
音声合成記号は,「制御記号」,「文」及び「空白文字」に分類
される。「制御記号」は合成音声の音量や話す速度などを表す記号から成り,「空白文字」を入れること
なく,複数の制御記号を連続して記述することが可能である。「文」は読み方を表す「読み記号」と,
アクセントや区切りなどを表す「韻律記号」から成る文字列と定義する。「読み記号」及び「韻律記号」
は,日本語とその他の外国語で異なったものが用いられる。日本語の「文」は文末記号で終端され,文
末記号で終端される読み記号及び韻律記号の複数の文字列とすることができる。外国語の「文」は,開
始記号及び終了記号で囲まれる IPA に準拠する「読み記号」及び「韻律記号」の文字列から成る。「空
白文字」はスペース(0x20)から成り,「制御記号」と「文」の境界を示し,後述される日本語の韻律記
号の空白とは異なる。これらの記号は,JIS X 0201 に規定された全て 1 バイトのラテン文字用図形文
字集合(ASCII に対応)の文字であり,詳細は 5.に記述する。
4.2
ITS 車載器用音声合成記号の構造
ITS 車載器用音声合成記号の構造を図1に示す。音声合成記
号は「制御記号」,「文」及び「空白文字」で構成される。「制御記号」と「文」の間には一個の「空白
文字」が必要である。「文」は一つの言語から成り,複数の言語の記述は行わない。「制御記号」,「文」
だけの記述及び「制御記号」,「空白文字」,「文」の連続する記述もできる。
「制御記号」で指定された音量や話す速度などのパラメータはそれ以降の「文」に影響し,同一の「制
御記号」が現れるまで有効である。また,テキスト音声合成システムの起動以降受理されていない「制
御記号」については,当該「制御記号」の標準値が指定されたものとみなす。
制御記号
制御記号
空白
文
空白
文
文
制御記号
図1
制御記号
空白
ITS 車載器用音声合成記号の構造
- 4 -
文
..
.
JEITA TT-6004
具体的な記述方法の例を以下に示す。
表1
ITS 車載器用音声合成記号の記述方法(日本語)
記 述 方 法
F2S6
コ メ ン ト
制御記号だけ
1
F2S6_オ'-イ/ミナミ.( )
制御記号+空白+文
オ'-イ/ミナミ.
文だけ
注(1) _は空白を示す。
表2
ITS 車載器用音声合成記号の記述方法(外国語)
記 述 方 法
コ メ ン ト
F2S6
制御記号だけ
F2S6
制御記号+空白+文(英語:good morning)
+/#”gUd._”mOR+.nInk#/+
※文は,開始記号(+/)+読み記号(韻律記号)
+終了記号(/+)
+/#”gUd._”mOR+.nInk#/+
文(英語:good morning)だけ
※文は,開始記号(+/)+読み記号(韻律記号)
+終了記号(/+)
一方,以下の例は書式違反となり,テキスト音声合成システムの動作は未定義である。
(1) 制御記号の中に空白がある。
P2_S6 オ’-イ/ミナミ.(2)
注(2) _は空白を示す。
(2) 文の最後が文末記号で終端されていない。
P3S5 ムサシ/シ’ンジョー. ニシ%カ’マタ
- 5 -
JEITA TT-6004
5.
5.1
日本語の読み記号及び韻律記号の表記
使用する文字
読み記号及び韻律記号は,ASCII 文字(0x20~0x7E 内の記号・数字),半角片仮
名(JIS 8 0xA7~0xDF)だけを使う(具体的には表3の網掛け部分)。
表3
0x00
0x10
0x20
0x00
使用する文字
0x30
0x40
0x50
0x60
0x70
0
@
P
`
p
0x80
0x90
0xA0
0xB0
0xC0
0xD0
-
タ
ミ
0x01
!
1
A
Q
a
q
。
ア
チ
ム
0x02
"
2
B
R
b
r
「
イ
ツ
メ
0x03
#
3
C
S
c
s
」
ウ
テ
モ
0x04
$
4
D
T
d
t
,
エ
ト
ヤ
0x05
%
5
E
U
e
u
・
オ
ナ
ユ
0x06
&
6
F
V
f
v
ヲ
カ
ニ
ヨ
0x07
'
7
G
W
g
w
ァ
キ
ヌ
ラ
0x08
(
8
H
X
h
x
ィ
ク
ネ
リ
0x09
)
9
I
Y
i
y
ゥ
ケ
ノ
ル
0x0A
*
:
J
Z
j
z
ェ
コ
ハ
レ
0x0B
+
;
K
[
k
{
ォ
サ
ヒ
ロ
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,
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L
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l
|
ャ
シ
フ
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-
=
M
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m
}
ュ
ス
ヘ
ン
0x0E
.
>
N
^
n
~
ョ
セ
ホ
゙
0x0F
/
?
O
_
o
ッ
ソ
マ
゚
5.2
読み記号
0xE0
0xF0
日本語解析処理からの出力に相当し,規則音声合成処理の入力となる仮名レベルの表
記のうち,読みに関するものを指す。表4にこの規格で使用する読み記号を示す。使用する文字コード
には,JIS X 0201 情報交換用符号化文字集合の 8 ビット符号の片仮名用図形文字集合を用いる。
端末側は,この範囲の記号を受理しなければならないが,端末側の音声合成処理の中にこの範囲の音
節がない場合は,代替音で読み替えてもよい。
- 6 -
JEITA TT-6004
表4
読み記号
ア
イ
ウ
エ
オ,ヲ
カ
キ
ク
ケ
コ
キャ
キュ
キェ
キョ
キ%
ク%
シ
ス
セ
ソ
シャ
シュ
シェ
ショ
シ%
ス%
チ
ツ
チェ
チョ
チ%
ツ%
ティ
トゥ
サ
タ
ツァ
ツィ
ナ
ニ
ハ
シュ%
テ
ト
チャ
チュ
チュ%
ツェ
ツォ
ヌ
ネ
ノ
ニャ
ニュ
ニェ
ニョ
ヒ
フ
ヘ
ホ
ヒャ
ヒュ
ヒェ
ヒョ
ヒ%
フ%
フェ
フォ
メ
モ
ミャ
ミュ
ミェ
ミョ
リャ
リュ
リェ
リョ
ファ
フィ
マ
ミ
ヤ
ム
ユ
ラ
リ
ワ
ウィ
ガ
ギ
ガ&
レ
ロ
ウェ
ウォ
グ
ゲ
ゴ
ギャ
ギュ
ギェ
ギョ
ギ&
グ&
ゲ&
ゴ&
ギャ&
ギュ&
ギェ&
ギョ&
ザ
ジ
ズ
ゼ
ゾ
ジャ
ジュ
ジェ
ジョ
ダ
ヂ
ヅ
デ
ド
ヂャ
ヂュ
ヂェ
ヂョ
ディ
ドゥ
バ
ビ
ブ
ベ
ボ
ビャ
ビュ
ビェ
ビョ
パ
ピ
プ
ペ
ポ
ピャ
ピュ
ピェ
ピョ
ピ%
プ%
ー
ッ
ン
ル
ヨ
デュ
備考 1.
「ガ&」は,か行鼻濁音を表し,「カ」に「゙&(JIS X 0201 0xDE, 0x26)」
備考 2.
「ー」は,長音を表し,JIS X 0201 0xB0
備考 3.
「ッ」は,促音を表し,JIS X 0201 0xAF
備考 4.
「%」付きの読み記号は,その音節の母音が無声化することを表し,JIS X 0201
0x25
備考 5.
「ヂ」「ヅ」「ヂャ」「ヂュ」「ヂェ」「ヂョ」は「ジ」「ズ」「ジャ」「ジュ」「ジェ」「ジョ」
と同じ音を表す記号とする。
- 7 -
JEITA TT-6004
5.3
韻律記号
日本語解析処理からの出力に相当し,規則音声合成処理の入力となる「文」の表記の
うち,アクセント,フレーズ及びポーズの韻律情報を表現するための記号を韻律記号と定める。アクセン
トに関してはアクセント核の位置で表記する。
なお,説明で述べる各値は目安とし,合成方式や読み上げる文の違いによって厳密に合わせることが
難しいため,多少の変動は許容される。例えば,ポーズの長さの「目安」とは,話速によってポーズの
長さが変化するなど,状況に応じた多少の変化を許容することを表す。
表5及び表6に韻律記号をまとめる。
(1) アクセント核の位置
表記:「'」「*」「"」
説明:日本語共通語のアクセント核の位置を表し,本記号の直前のモーラにアクセント核が存
在することを表す。一つのアクセント句に 1 箇所のアクセント核の位置を指定すること
ができる。
":非常に弱いアクセント
*:弱いアクセント
':通常のアクセント
(2) アクセント句の区切り
表記:「 」(空白)「_」
説明:アクセント句の区切りを表す。
(3) アクセント句の強調
表記:「<」
説明:この記号の直後のアクセント句に含まれるアクセント核の位置を表す記号のアクセント
の強さ(普通/弱/非常に弱いの三種類)を,指定されたアクセントよりも強調する方向
に働く。
(4) フレーズの区切り
表記:「/」
説明:フレーズの区切りはアクセント句の区切りも示し,フレーズの区切りの前にはアクセン
ト句の区切りの記号の表記は必要ない。また,この記号はポーズを含まない。
(5) フレーズの区切り(ポーズを含む)
表記:「//」
説明:フレーズの区切りはアクセント句の区切りも示し,フレーズの区切りの前にはアクセン
ト句の区切りの記号の表記は必要ない。この記号は標準話速で約 100ms のポーズを含む。
- 8 -
JEITA TT-6004
(6) 文末記号(通常のイントネーション)
表記:「.」「。」
説明:通常の文末のイントネーションを表し,文の終端となる。この記号は文末相当のポーズ
を含む(標準話速では,約 800ms を目安とする)。
(7) 文末記号(疑問のイントネーション)
表記:「?」
説明:疑問の文末のイントネーションを表し,文の終端となる。この記号は文末相当のポーズ
を含む(標準話速では,約 800 ミリ秒を目安とする)。
(8) ポーズ
表記:「,」「、」「:」「・」
説明:ポーズは文中での発声の区切り(息継ぎの単位)で,フレーズの区切りも示し,ポーズの
前にはフレーズの区切り記号の表記は必要ない。
「,」:標準話速では約 300ms のポーズを表す。
「、」:標準話速では約 300ms のポーズを表す。
「:」:標準話速では約 100ms のポーズを表す。
「・」:標準話速では約 100ms のポーズを表す。
(9) センテンス間のポーズ
文末記号(「?」「.」「。」)の前に「@nn」(nn は 0 から 99 まで)を記述する
ことによって,文末のポーズ長を変更できる。nn の値に 10 を乗じた時間(ms)のポーズを表す。
「@0」で,文末のポーズを解除し,ポーズ無しで音声合成を行う。
表5
記号
名
アクセントを表す韻律記号
称
機
能
"
ダブルクォート
非常に弱いアクセント
*
アスタリスク
弱いアクセント
'
シングルクォート
通常のアクセント
- 9 -
JEITA TT-6004
表6
記号
名
称
?
疑問符
.
ピリオド
。
句点
,
コンマ
、
読点
:
コロン
・
中点
//
斜線(二つ)
/
斜線
<
不等号
空白
_
アンダーライン
@nn
単価記号+数字
5.4
区切りとなる韻律記号とポーズ
機
能
境界種別
疑問文の終わりを表す
ポーズ長
800ms
800ms
平叙文の終わりを表す
ポーズ
(呼気段落)
800ms
300ms
300ms
文中での発声の区切りを表す
100ms
100ms
発声中の呼気の追加を表す
フレーズ
直後のアクセント句を強調する
通常のアクセント句境界を表す
韻律記号を含んだ記述例
ポーズ長の変更
100ms
0ms
0ms
アクセント句
0ms
0ms
なし
指定される長さ
仮名レベルで表記した文の記述例を示す。これらは音声合成記号の使
用の一例である。
(1) 大井南
→オ'-イ_ミナミ.
(2) 武蔵新城
→ムサシシ'ンジョー.
(3) 西蒲田
→ニシ%カ'マタ.
(4) 子安通生麦交差点鳳来橋ビル
→コヤス%ド'ーリ:ナマムギ&コーサテン/ホーライバシビ'ル.
この例では,聞き取りやすさを考慮して単語間の関連が弱い位置にポーズ記号を用いている。
(5) ここに白い花が咲いています。
→ココニ/シロ'イ_ハナ'ガ&_サイテイマ'ス%.
この例では,「ここに」が少し後の「咲いています」を修飾するために,「ココニ」の後ろにフレー
ズ記号を用いている。
(6) これは,音声合成装置です。
→コレワ,オンセーゴーセーソ'-チデス%.
- 10 -
JEITA TT-6004
(7) 文章を,自然な音声で読み上げます。
→ブ'ンショーオ,シゼンナ_オ’ンセーデ/ヨミアゲマ’ス%.
(8) 故ケネディ大統領
→コ//ケ'ネディー ダイト*ーリョー.
(9) これは甘い水です。
→コレワ・アマ*イミズデス%.
この例では,「甘い」を弱く発声させたいため,弱いアクセント核位置の記号を用いている。
6.
外国語の読み記号及び韻律記号の表記
6.1
基本的な考え方 車載器用音声合成記号を扱うこの規格において,外国語の音声合成記号は,IPA
記号(International Phonetic Alphabet 記号)[13]に準じた体系で規定される。しかしながら,IPA 記号
は表記に独自の記号(文字)を用いているため,必ずしもコンピュータによる処理に適しているとはいい
がたい。そこでこの規格では,IPA の体系に準じつつ,用いる記号(文字)を ascii 文字に限定した体系
を用いる。
外国語の音声合成記号における「文」は,「開始記号」「読み記号」「韻律記号」及び「終了記号」か
ら構成される。「読み記号」は母音,子音などの読み方を表す記号であり,「韻律記号」は声の高さ,大
きさ,長さを規定する超分節要素(suprasegmentals)を表す記号である。「読み記号」及び「韻律記号」
は IPA 記号の体系に準じており,ascii 文字を用いた体系である。
6.2
開始記号及び終了記号
外国語の音声合成記号における「文」は,「開始記号 +/」で始まり「終
了記号 /+」によって終わる。外国語の音声記号における「終了記号 /+」は,「文」記述の終端を示す
ための記号に過ぎない。「文末記号(「?」「.」「。」)」に続いて新たな「読み記号」を後続させることがで
きる日本語の音声記号とは異なる点に注意が必要である。
6.3
読み記号
この規格の「読み記号」で用いる IPA 記号の一覧と,各 IPA 記号に準拠したこの規格
での記号一覧を示す。各セルの上段には,IPA 記号及び IPA 番号,各セルの下段には,この規格で使用
する記号を示している。
読み記号は,
・肺気流の子音
・非肺気流の子音
・その他の記号
・母音
・補助記号
から成る。
- 11 -
JEITA TT-6004
6.3.1 肺気流の子音((Pulmonic Consonants) 子音を表す読み記号は,調音位置(place of articulation)
及び調音方法(manner of articulation)の組合せによって表現される。(3)
注(3) 音声学的な特徴の詳細については,参考文献[13]を参照。
表7
りょうしん
調音位置
plosive
しけい
両 唇音
唇歯音
歯音
歯茎音
後部歯茎音
そり舌音
bilabial
labiodental
dental
alveolar
postalveolar
retroflex
調音方法
破裂音
肺気流の子音(Pulmonic Consonants) 1
p
b
t
d


101
102
103
104
105
106
p
b
t
d
t+
d+
鼻音
nasal
m

n

114
115
116
117
m
M
n
n+
顫動音

r
(ふるえ音)
121
122
trill
B0
r
せんどう
単顫動音


(たたき音/はじき音)
124
125
tap / flap
r6
r+
たんせんどう
摩擦音
fricative


f
v


s
z




126
127
128
129
130
131
132
133
134
135
136
137
P
B
f
v
T
D
s
z
S
Z
s+
z+
側面摩擦音
lateral fricative
接近音
approximant


148
149
l-
lF



150
151
152
V
r¥
R+
l

155
156
I
I+
側面接近音
lateral approximant
- 12 -
JEITA TT-6004
表8
調音位置
肺気流の子音(Pulmonic Consonants) 2
こうこうがい
軟口蓋音
palatal
velar
調音方法
破裂音
plosive
なんこうがい
硬口蓋音
こうがいすいおん
口蓋垂音
uvular
いんとう
せいもん
咽頭音
声門音
pharyngeal
glottal
c

k

q


107
108
109
110
111
112
113
c
j-
k
g
q
Q
?



鼻音
118
119
120
nasal
n∼
nK
N
顫動音

(ふるえ音)
123
trill
R
せんどう
たんせんどう
単顫動音
(たたき音/はじき音)
tap / flap


x





h

摩擦音
138
139
140
141
142
143
144
145
146
147
fricative
C
J
x
G
X
R¥
h-
?¥
h
H6
側面摩擦音
lateral fricative
j

接近音
153
154
approximant
j
wK


側面接近音
157
158
lateral approximant
l∼
L
- 13 -
JEITA TT-6004
6.3.2
非肺気流の子音(Non-pulmonic Consonants)
6.3.1 で示した肺気流(plumonic)の子音は,肺か
らの呼気を用いて生成される子音であったのに対して,6.3.2 では非肺気流によるそれ以外の子音を示
す。(4)
注(4) 詳細については,参考文献[13]を参照。
表9
非肺気流の子音(Non-pulmonic Consonants)
りょうしん
両 唇音
bilabial
歯音
dental
にゅうは
’ (401)
吸着音
有声入破音
clicks
voiced implosives
ejectives


p’
176
160
101+401
b!
b¥
p`
放出音

177
d!

t’
162
103+401
d¥
t`
しけい
歯茎音
alveolar
!
後部歯茎音
178
postalveolar
r!

こうこうがい
硬口蓋音
164
palatal
j¥

k’
166
109+401
なんこうがい
軟口蓋音
velar
g¥

こうがいすいおん
口蓋垂音
168
uvular
こうこうがい
しけい
硬口蓋 歯茎音
Palatal alveolar
しけい
歯茎 側面音
Alveolar lateral
k`
G¥

179
j!

180
l!
s’
しけい
歯茎 摩擦音
132+401
Alveolar fricative
s`
- 14 -
JEITA TT-6004
6.3.3
その他の記号(Other symbols)
主要子音表の「調音位置と調音方法」の枠にうまくはまらない
いくつかの子音について,「その他の記号」として示す。
表 10
なんこうがい
無声唇 軟口蓋 摩擦音
voiceless labial-velar fricative
なんこうがい
有声唇 軟口蓋 接近音
voiced labio-velar approximant
その他の記号(Other symbols)

169
w
171
approximant
h¥
こうとうがい
voiceless epiglottal fricative
こうとうがい
有声 喉頭蓋 摩擦音
Voiced epiglottal fricative
こうとうがい
喉頭蓋 破裂音
epiglottal plosive
alveolar lateral flap
w
voiced labial-palatatl
無声 喉頭蓋 摩擦音
しけい
歯茎側面 はじき音
170

こうこうがい
alveolo-palatal fricative
W
有声唇 硬口蓋 接近音
こうこうがい
しけい
歯茎 硬口蓋 摩擦音
 
182
183
c∼ z∼

181
l¥

同時に発した s と x
simultaneous S and x
175
h6∼

破刹音と二重調音

172
Affricates and double
433
H
articulations
&

174
?¥-

173
?-
- 15 -
JEITA TT-6004
6.3.4 母音(Vowels) 母音は,母音を生成する際の舌の位置に応じて記述され,母音空間(vowel space)
と呼ばれる四角形に配置されて表現される。
表 11
母音(Vowels)
ぜんぜつ
ちゅうぜつ
中舌
後舌
front
central
back
前舌
こうぜつ
i
y



u
狭
301
309
317
318
316
308
Close
i
y
i0
u0
u-
u



319
320
321
l
Y
U
e
ø



o
半狭
302
310
397
323
315
307
Close-mid
e
e+
e0
o0
o-
o

322
$
半開 半広
Open-mid
開 広
open
6.3.5

œ

ɞ


303
311
326
395
314
306
E
E+
E0
O0
^
O
æ

325
324
@
a0
a



304
312
305
313
a
a+
A
A+
補助記号(Diacritics)
「補助記号とは,母音や子音の記号に付け加えられる小型の文字やその
他の印であり,これによって記号の意味を様々に変更したり精密化したりできる」[13]。この規格において
は,各音声の記号に続いて“%”以降に補助記号を付与することができる。補助記号を複数付与する場
合は,引用符で括ることができる。
例 1.
[basic symbol]%”diacritic1diacritic2…”
以下の二つの表記(例 2.及び例 3.)は同一の内容となる。
例 2.
[basic symbol]%”[diacritic]”
例 3.
[basic symbol]%[diacritic]
- 16 -
JEITA TT-6004
表 12
無声
voiceless
有声
voiced
たい き
帯気音
aspirated

402A
>

403
<

404
{
Not IPA
Not aspirated
}
強めの円唇
more rounded
弱めの円唇
less rounded
前寄り
advanced
後ろ寄り
retracted
中舌寄り
centralized
中段・中舌寄り
mid centralized
音節主音
syllabic
音節副音
non syllabic
あーるおん
R 音性
rhoticity

411
+

412
-

413
/

414
¥

415
0

416
x

431
)

432
(
補助記号(Diacritics)

息もれ声
405
breathy voice
:

きし
軋み声
406
creaky voice
!

舌(先端)唇音
407
linguolabial
^

円唇化,唇音化
420
labialized
w

こうこうがい
硬口蓋化
421
palatalized
j

なんこうがい
軟口蓋化
422
velarized
G

いんとう
咽頭化
423
pharyngealised
?
なんこうがい
軟口蓋化あるいは
いんとう
咽頭化

428
K

上寄り
429
Raised
T

下寄り
430
Lowered
t

舌根前進
advanced tongue root
417
@

舌根後退
retracted tongue root

419
r
- 17 -
418
$
しおん
歯音
dental
ぜっせん
舌尖音
apical
ぜったん
舌端音
laminal
びおん
鼻音
nasalized
びこう
鼻腔開放
nasal release
側面開放
lateral release
無開放
no audible release

408
[

409
]

410
_

424
∼

425
n

426
l

427
7
JEITA TT-6004
6.4
韻律記号
音声の特性のうち,多くは複数の分節にまたがって諸々のパターンを形成したり,ま
た分節の標的とは無関係に変化することがある。これが当てはまるのは,特に声の高さ(pitch),大き
さ(loudness)及ぶ知覚される時間的長さ(timing)である。このような諸要素は,しばしば「超分節要素
(suprasegmentals)」とも呼ばれる[13]。
表 13

第 1 強勢
Primary stress
第 2 強勢
Secondary stress
長
Long
半長
Half-long
超短
Extra-short
501
'
韻律記号
Not
Sentence
accent
ESCape for
Not
IPA
punctuation
IPA
"
marks
*

Not
502
end of declarative
'2
IPA
*.

Not
end of
503
exclamation
:

IPA
*!
Not
504
end of question
IPA
:-
*?

Not
505
comma
:∼
IPA
*,
|
小さな切れ目(韻脚)
507
Silence
Minor (foot) group
not
symbol
supported
Not
Not
IPA
IPA
semicolon
#
*;

Not
大きな切れ目(イントネーション)
508
IPA
Major intonation group
not
colon
*:
supported
音節の切れ目
(syllable break)
.
506
.
Not
Word
separator

連結(切れ目なし)
509
Linking (absence of break)
not
IPA
_
Not
opening question
mark (¿)
opening
exclamation mark
(¡)
supported
- 18 -
IPA
*?¥
Not
IPA
*!¥
JEITA TT-6004
表 14
音調と語アクセント
平板
超高
Extra high
高
High
中
上下動




512
519
524
529
5
5
[vowel]55
[vowel]55




513
520
525
530
4
4
[vowel]51
[vowel]51


514
521
上昇
下降
not Unicode &
高上昇
Mid
低
3
3


515
522
高目
upstep
531
not Unicode &
低上昇
[vowel]35
SIL IPA font

supported
532
527
2
2


516
523
1
downstep
supported
[vowel]35
昇降
Extra low
低目

526
Low
超低
SIL IPA font
1

[vowel]13
[vowel]13
not Unicode &
not Unicode &
SIL IPA font
SIL IPA font
supported
supported
528
533
[vowel]214
[vowel]214

517
全体的上昇
510
not supported
Not supported


518
511
全体的下降
not supported
Not supported
- 19 -
JEITA TT-6004
6.5
外国語用音声記号の記述例
理解の便に供するため,各外国語の表記例及び日本の地名をこの規
格の外国語用音声記号で表記した例を示す。
表 15
言
語
英語
ドイツ語
フランス語
中国語
外国語の表記例
テキスト表記
本規格による音声合成記号表記
There is a 2km traffic jam, near
#'DER+_'Iz_'$_'tu_kI.'lA.m$.t$R+_'[email protected]_'d
Shibuya station, caused by an
&Z@m#'niR+_SI.'bu.ja_'ste&I.S$n#'kOzd_'ba&I
accident.
_'$n_'@k.s$.d$nt#
Es gibt 2 Kilometer Stau in der
#Es_'gi:pt_'t&sva&i_ki:.lo:.'me:.t$R_'Sta&u_'?In
Nähe von Shibuya Station, wegen
_de:R_'nE:.$_'fOn_'Si:.bu:.ja:_'Ste:.S$n#[150]'ve:
eines Unfalls.
.g$n_'?a&i.n$s_'?Un.falts
Il y a un embouteillage de deux
#'il_i_a_'E+%-_nA%-.bu.te.'jAZ_d$_'de+_ki.lO.'
kilomètres, près de la gare de
mE.tR$#'pRE_d$_'la_'gaR_d$_Si.bu.'ja#'a_'koz_'
Shibuya, à cause d'un accident.
dE+%-_nak.si.'dA%-#
澀谷火車站附近發生車禍,交通堵塞
#s+I.pu.ja_XwO214.t&s+{o-55.t&s+a51n_fu51.t
長達兩公里.
&c~i51n_fa55.s+$55nK_t&s+{o-55.XwO51#t&c
~ja55&U.t{o55nK_tu214.so-51_t&s+{A35nK.ta3
5_ljA214nK_ko55nK.li214#
韓国語
시부야역 근처에 사고로 인해 2
#si.bu.ja.jOk_ku-n.c%{O.'e_sa.go.'ro_i.'nE_'i_k%
킬로미터의 교통체증이 있습니다.
{il.lo.mi.t%{O.e_gjo.t%{onK.c%{e.j-inK.'i_i.s`u-m
-ni-'da#
表 16
大井南
武蔵新城
西蒲田
日本の地名の表記例
o:.i_mi.na.mi
mu-.sa.c~i_'c~in.d&zo:
n~i.c~i%>.'ka.ma.ta
7. 制御記号(日本語・外国語共通) 制御記号は,アルファベット大文字 1 文字と 1 桁の数値で構成する。
なお,説明で述べる各値は目安とする。したがって,合成方式や読み上げる文の違いによって厳密に
合わせることが難しいため,多少の変動が許容される。制御記号を省略した場合は,それ以前の最後に
指定された値が用いられる。デフォルトは,「M3S5V7I2」。一つの制御記号内に,同じ種別の制御の指定
が複数ある場合,後から指定されたものが有効となる。制御記号に誤りがある場合は,誤りの部分だけ
が無効となる。
7.1
声の高さ
Mn で男性の声の高さを設定する。Fn で女性の声の高さを設定する。数値が大きいほど
声が高くなる。男女の切り替え機能を持たない音声合成器においては,Mn 又は Fn が指定されても,そ
の音声合成器の標準の男女の声に任せられ,声の高さだけが設定される。
- 20 -
JEITA TT-6004
表 17
記号
標準値
男声の声の高さ
Mn (n は 1~5)
3
絶対的な高さは定めない
1:男声標準値 3 の声の高さより約 0.5 オクターブ低い
2:男声標準値 3 の声の高さより約 0.25 オクターブ低い
値
3:男声の標準値
4:男声標準値 3 の声の高さより約 0.25 オクターブ高い
5:男声標準値 3 の声の高さより約 0.5 オクターブ高い
表 18
記号
標準値
女声の声の高さ
Fn (n は 1~5)
3
絶対的な高さは定めない
1:女声標準値 3 の声の高さより約 0.5 オクターブ低い
2:女声標準値 3 の声の高さより約 0.25 オクターブ低い
値
3:女声の標準値
4:女声標準値 3 の声の高さより約 0.25 オクターブ高い
5:女声標準値 3 の声の高さより約 0.5 オクターブ高い
7.2
発声速度
発声速度を設定する。数値が大きいほど速くなる。
表 19
記号
標準値
発声速度
Sn (n は 1~9)
5
約7~8 モーラ/秒の発声速度とする
1:標準値 5 の発声速度の約 0.6 倍の速さである
2:標準値 5 の発声速度の約 0.7 倍の速さである
3:標準値 5 の発声速度の約 0.8 倍の速さである
4:標準値 5 の発声速度の約 0.9 倍の速さである
値
5:標準値
6:標準値 5 の発声速度の約 1.1 倍の速さである
7:標準値 5 の発声速度の約 1.2 倍の速さである
8:標準値 5 の発声速度の約 1.3 倍の速さである
9:標準値 5 の発声速度の約 1.4 倍の速さである
- 21 -
JEITA TT-6004
7.3
音
量
音量を設定する。数値が大きいほど音量が大きくなる。
表 20
記号
標準値
音
量
Vn (n は 1~9)
7
絶対的な音量は定めず,音声合成器の適切な標準値とする
0:標準値 7 の音量より約 21dB 低い
1:標準値 7 の音量より約 18dB 低い
2:標準値 7 の音量より約 15dB 低い
3:標準値 7 の音量より約 12dB 低い
値
4:標準値 7 の音量より約 9dB 低い
5:標準値 7 の音量より約 6dB 低い
6:標準値 7 の音量より約 3dB 低い
7:標準値
8:標準値 7 の音量より約 3dB 高い
9:標準値 7 の音量より約 6dB 高い
7.4
抑
揚
抑揚の強さ,すなわち,アクセントの全体的な強度を設定する。数値が大きいほど抑揚
が強くなる。
表 21
記号
標準値
抑
In (n は 0~3)
2
絶対的な値は定めない
0:フラットな抑揚とする
値
1:標準値 2 より抑揚が弱い
2:標準値
3:標準値 2 より抑揚が強い
- 22 -
揚
Fly UP