...

ブロードバンドの技術動向と普及の展望

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

ブロードバンドの技術動向と普及の展望
第12期
情報化推進懇談会
第3回例会 (平成13年12月11日)
「ブロードバンドの技術動向と普及の展望」
株式会社 情報通信総合研究所
情報流通プラットホーム研究グループ
原 田 要 之 助 氏
財団法人 社会経済生産性本部
J:¥懇話会¥第 12 期懇話会¥要約¥第3回例会講演録.doc¥02/04/17
ブロードバンドの技術動向と普及の展望
―
プロフィール ―
株式会社 情報通信総合研究所
情報流通プラットホーム研究グループ
グループリーダー
原田 要之助(はらだ ようのすけ)氏
京都大学工学部 数理工学科 修士課程修了
昭和 54 年日本電信電話公社 武蔵野電気通信研究所入社。入社後、電話通信のトラフィック研
究、混雑時の規制を行うトラフィックの監視・制御システム、通話を自由に迂回させるダイナミ
ックルーティングなどの研究を行う。
昭和 61 年には、英国BT社に研修員として滞在する。
昭和 63 年、平成元年は、NTT研究開発技術本部で担当課長として、NTTの技術評価を行う。
平成 2 年から通信網総合研究所でネットワークのセキュリティ、B−ISDNのネットワークの
構成、接続実験を担当する。
平成 5 年からマルチメディアネットワーク研究所にて、次世代のマルチメディアネットワークの
構成・ユーザとの連携法、国際マルチメディア実験などを行う。
平成 8 年からは、マルチメディアが社会に与える影響などの社会科学面からのアプローチを行う。
1999 年 9 月に情報通信総合研究所に出向、エクゼクティブリサーチャー。情報流通プラットフォ
ームに関係する社会調査、技術動向調査、マーケット調査を主に行っている。
また、情報セキュリティ関係で、1999 年から国連機関の情報セキュリティ監査人として活躍、経
済産業省の情報セキュリティに関する委員会委員を歴任。
2001 年には国際的に情報システムを監査する組織であるISACAの東京支部会長。
●主要著書
(1) 山田、原田、抜山:経営革新と情報セキュリティ、日科技連、平成 10 年
(2) 共著:セキュリティハンドブック第2巻 第3章ネットワーク環境の情報セキュリティ、
日科技連、平成 10 年
(3)共著(R Parker 編、原田要之助ほか ISACA Research Board 著)
:An Executive Guide to Year
2000、ISACA、Information Systems Audit and Control Association、平成 10 年 2 月
(4)共著:情報通信ハンドブック 2000、2001、2002、情報通信総合研究所
(5)共著:情報通信アウトルック 2000、2001、2002、情報通信総合研究所
●所属学会
電気情報通信学会、情報処理学会、OR学会、経営情報学会、セキュリティマネージメント学会、
IEEE、ISACA、現在 ISACA 東京支部の会長、国際本部パブリケーションボード委員
1
Ⅰ.はじめに
【原田氏】これから本日の『ブロードバンドの技術動向と普及の展望』ということで
お話していきたいと思います。今日のお話としまして、まず『ブロードバンドの背景』
として、今迄の 20 年を振り返ってみたいと思っています。それから『インターネット
の高速化』
、それから『次世代のネットワークはどうなるのか』ということで、皆さん
方のいわゆるオフィスだとか、お住まいだとかから通信事業者までつなぐところをア
クセスネットワークと言いますが、特にここの部分の光化をどうするかというのが今
ホットな話なのです。それからもう1つ、事業者のネットワークというものがありま
すが、それを最近バックボーンネットワークと呼んでいます。そういう意味で言葉と
してアクセスネットワーク、バックボーンネットワークという言葉をあとでご理解い
ただければと思います。それから最後に『課題とまとめ』をしたいと思います。
Ⅱ.ブロードバンドの背景
ブロードバンド:繰り返される騒ぎか?本物か?
『ブロードバンド、繰り返される騒ぎか?本物か?』ということで、この 20 年ほど
振り返ってみたいと思います。まず 1970 年代後半からニューメディアというのが出
てきました。この言葉を最初に出したのが、
電電公社の副総裁で北原安定さんという方
がニューメディアということお話になって、
それで当時の電電公社がいわゆる『新しい
通信に出ていくのだ』ということで、ニュ
ーメディアという騒ぎがありました。この
ときの騒ぎは INS(Information Network
System:高度情報通信システム)で、『一
体何のことかさっぱりわからない』といわ
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
ブロードバンド:繰り返される騒ぎか?本物か?
• ニューメディア(1980):電電公社
– ISDN:2001年で750万回線
• マルチメディアVIP構想(1990):NTT
– 携帯電話:2001年で6000万人
• NII/GII(1992∼):クリントン+ゴア
– インターネット:2001年で4000万人
• VOD(1994∼):TCI社
– ケーブルTV:2001年で200万人
• インターネット2(1998∼):米国
– インターネットバックボーン:高速バックボーン
• ブロードバンド(2000∼)
– ADSL、光ファイバー(フレッツB)の急速な普及
InfoCom Research
著作 原田 要之助
れて、マスコミに逆に叩かれたために、導
入が 10 年遅れてしまったのではないかと思います。マスコミに叩かれないで入ってい
れば、この ISDN は、今既に 700 万回線入っていますが、これが今 3,000 万回線ぐら
いになって日本の一つのインフラになっていたのではないかと思います。これも実を
いいますとマスコミに2回叩かれていて、最初は 1980 年のときに、
『64 キロビットの
こんなネットワークを誰が使うのだ、誰も使う人はいない』というのがマスコミの主
張でした。それで2年ほど前に、
『ISDN、こんな遅いもの一体何に使えるか』と、ま
2
たマスコミに叩かれました。彼らのいうとおり『使えないということで導入を遅らせ
たら、今度は逆にいうと遅すぎて今度は使えない』と言われてしまった。これではも
う自分達で考えるしかないというのが、今 NTT とかの連中の悩みです。
次に、1990 年代にマルチメディアという言葉がはやりました。特に NTT が言った
のは VIP といって、ビジュアル、インテレクチュアル、パーソナルという3つの機軸
で 1990 年代のマルチメディアを支えて、2000 年までに 2,000 万までにしたいという
目標でした。ところがご存じのように、2000 年時点で 4,000 万いって、1990 年代の
マルチメディア VIP 構想をはるかに上回る形で成功しています。マスコミの面白いと
ころは、言ったことがきちんと成っているということを一切言わないところだと思い
ます。
その次に NII/GII で、クリントン政権が政権を執ったときに、
『アメリカとしてこ
うやりたいと』いうので NII(National Information Infrastructure)というのを訴
えました。そして『アメリカだけ良くなるのか』と ITU(国際電気通信連合)とか国
連から叩かれて、ではNをGに差し替えて GII(Global Information Infrastructure)と
いうことでゴアさんがいろんなところでお話しされました。何でこの NII と GII が出
てきたかといいますと、実は NTT が VIP 構想をぶち挙げたのを見たアメリカ政府が、
青くなって『これで日本が進まれるとまずい、アメリカも何とかしないといけないと』
いうので出てきたのが NII です。それがいかにもアメリカが元祖のようにして広がっ
たのですが、実をいうと日本から出ている構想なのです。
アメリカでは 1994 年ぐらいに VOD(video on demand)という構想がありました。
これはオーランドでケーブルテレビの一大実験が行われました。このときに大々的に
活躍したのが TCI 社(Tele-Communications Inc.)という会社です。この会社はこの
実験で疲弊してしまい、結局は AT&T に買収されてしまいましたが、このときに『ケ
ーブルテレビという物がインフォメーションのインフラストラクチャーになる』とい
うことを訴えたという意味では、私は功績があると思うのですが、世の中的には大失
敗事業の一つに挙がっています。
その次に、耳に新しいのはインターネット2ですが、このインターネット2は 1998
年から米国を中心に広がっています。このインターネット2を仕掛けたのは、実をい
うと京都大学の数理工学で私と机を並べていた須田教授なのですが、それが NSF(ア
メリカ科学財団:National Science Foundation)に働きかけてインターネット2を
大々的に米国でも広げました。
それから、一番今新しい言葉として出てきたのがブロードバンドですが、日本とし
てはこのブロードバンドが次の復興の大きいきっかけになるのではないかと思ってい
ます。そんなことでいろいろと言葉が出てきてはいますが、それなりに振り返ってみ
ると、やはりインパクトはあったのではないかと思います。
インターネット2
全米の約150の大学と約50の企業が参加する次世代インターネットの研究プロジェクト。大学間組織のUCAIDが推進している。超
高速なネットワークを利用し、次世代インターネットプロトコルIPv6などのネットワークに関する基礎技術の研究や、高度なアプリ
ケーションの研究・開発などが行なわれている。1996年2月に全米科学財団(NSF)の出資によりスタートした。研究・教育用ネット
ワークであるため、商用ネットワークには解放されていない。インターネット2を支えるバックボーンネットワーク「Abilene」(アビリー
ン)はQwest Communications社、Cisco Systems社、Nortel Networks社などが無償で提供している。
3
次世代ネットワークとブロードバンド
インターネットの爆発的な増加ということですが、データ通信が既存電話を超えて
います。これは国際電話の世界では 1996 年に起きていて、固定電話でも起きるだろ
うと言われていて、大体今年が丁度イーブ
ンになったかというのが現状で、これから
どんどんインターネットが増えていって、
いわゆる既存電話というものが減っていく
のかと思っているところです。インターネ
ットで特徴的なのは、個人の量がすごく多
いというところです。今まではデータ通信
と言っても、ほとんどがビジネスでしか使
っていなかったのですが、インターネット
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
次世代ネットワークとブロードバンド
• インターネットの爆発的な増加
– データ通信が既存電話を凌駕する
– 個人のデータトラヒックが急増
• 大容量化とホームネットワーク
– 個人に普及するインターネットとブロードバンド
– 個人が情報発信、情報交換
• 新しいネットワークの構造
– IPベースのネットワーク
– Tbps(兆大容量)のネットワーク
InfoCom Research
著作 原田 要之助
になってきてからは個人の方が多いです。
それから、大容量化とホームネットワークですが、特に面白いのが個人が情報発信、
情報交換、これをインターネットを通じてやるようになってきたということです。特
に最近、インターネット利用の個人の発信のところに女性が増えてきているというこ
とで、いよいよ次世代のネットワークの新しい時代に入るのではないかと私ども見て
いるところです。
それから、いわゆる電話のネットワークというものをベルが 1900 年に発明して、い
わゆる 20 世紀になって大きく発展したのですが、21 世紀になってこれからインター
ネットの世紀に変わっていくのかと思っています。また今まで電話の世界では 1,200
とか 5,600 とかキロ(kilo:10 の3乗)の世界で、今ブロードバンドでメガ(Mega:
10 の 6 乗)の世界、これが大体光ファイバーで提供できます。その先に来るのがテラ
(Tera:10 の 12 乗)の世界で、これが今の技術でほぼ使えるかというところが確認
されつつあるところなので、あと 10 年先ぐらいにすると、このテラの世界になって、
一体どんな世界なのかというのがちょっとまだよくわからないところです。
4
Ⅲ.インターネットの高速化
インターネットの大容量化
インターネットの大容量化というのはどう進んでいるかというと、まず世界の方か
ら見ると、これはテルジオグラフィーという
会社が出しているデータでは、国際間のいわ
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
インターネットの大容量化
ゆる海底ケーブルの容量ですが、1998 年、99
60000
年、2000 年のこの3年間を見たときに、前年
50000
の 10 倍とはいきませんけれど、10 倍近い容
40000
量が増えています。
・北米-欧州間は60Tbyteで、拡大している
1998
1999
2000
30000
国内の方ではどうかというと、インターネ
20000
10000
ットのプロバイダーという観点から見ると、
IIJ(インターネット・イニシアティブ・ジャ
0
アジア−欧州
北米−アジア
北米−欧州 出所:TeleTechnologies2001より作成
InfoCom Research
著作 原田 要之助
パン)さんは 2000 年に、東京とアメリカ間
に 155 メガの回線をなんと3本持っていて、ニューヨークの方に1ギガビットのライ
ンを持っています。ちなみに電話回線では
1996 年ぐらいにトータルでも 155 メガで十
分なぐらいでした。それが今1社で 1.5 ギガ
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
大規模化するインターネットのバックボーン
(IIJ 2000年)
ビットぐらいのバックボーンを持っているわ
けです。更に IIJ さんは、ファイバーに投資
されていて、今年中には2ギガビットを超え
るのではないかと思います。東京−大阪間は
どうかというと、150 メガが2本しかありま
せん。国内の東京−大阪間のトラフィックよ
りも、東京−アメリカ間のトラフィックの方
InfoCom Research
著作 原田 要之助
が何倍も大きいという事実、これが今、いわゆる国境がないインターネットというの
を如実に表していると思います。やはりビジネスの関係だとか、情報のソースがアメ
リカに多いということで、結局アメリカとの回線容量の方が、国内の2番手の都市の
大阪よりもはるかに多いという、とんでもないいびつな現象が起きているというのが
面白いところです。これは他のプロバイダーも多かれ少なかれ同じ状況になっていま
す。こんなところが今までの電話の世界とは全く違う世界できています。また、ここ
の投資をどんどんやらないとお客が逃げていくということで、IIJ さんなどもどんどん
新しくできたファイバーにお金を投資しています。そのために、常に次の投資、投資、
投資というふうにいっているので、なかなかもうからないという面白い構造があって、
なかなか通信事業というのが電話みたいに儲からない事業になっています。
5
日本では 2001 年にインターネットトラフィックが電話を越えると予想されている
1998 年にメリルリンチ証券の通信事業を分析している第一人者の方が出された『日
本の音声・データトラフィックの推移』の
調査結果ですが、2001 年にデータトラフィ
ックがインターネットを中心とするデータ
の需要が抜き去っていくという結果です。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
日本では2001年にインターネットトラヒックが
電話を超えると予想されている
Petabytes ×
Voice and data traffic in JAPAN
10 12
300
これがアメリカでは、1998 年から 1999 年
Data traffic
200
に起きています。これはビント・サーフさ
んというインターネットの父といわれる人
Voice traffic
100
0
で、今はワールドコムの副社長をやってい
る方ですが、その方が『1998 年に逆転する』
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
出所: メリルリンチ証券の調べ。1998年以降は予想。電話には移動体通信を含む。
InfoCom Research
著作 原田 要之助
とおっしゃっていました。日本が 2001 年、
そして世界が 2003 年から 2004 年ぐらいには逆転するだろうと予測されています。フ
ァイナンシャルタイムスがこのデータを実をいうと発表していて、それは世界中が
2003 年から 2004 年くらいに逆転するという状況です。
日本のインターネットトラフィックの特性
日本のインターネットのトラフィックが先ほど一般ユーザーが引っ張っているとい
う話をしましたが、それはこのデータでも
おわかりいただけるのではないかと思いま
す。左側は 2001 年1月、右が 12 月のデー
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
日本のインターネットトラヒックの特性
(昼夜間トラヒックの変動状況)
・23時のピークが鈍化している→常時接続(CATV,ADSL)の影響
タです。まずこの縦軸の軸が 2001 年1月
では2ギガになっていましたが、12 月は 10
ギガになっています。それとピークがどこ
にあるかというと、何と 23 時にあるのです。
いくら何でも日本の多くの企業が 23 時に
仕事をしているとは思えないので、これは
出展:http://www.jpix.co.jp/English/English%20Html/E_traffic2.htm
InfoCom Research
著作 原田 要之助
もうどう見ても住宅なのです。この 23 時と
いうのは、NTT が電話回線でアクセスする割引のスタートの時間でもあります。テレ
ホーダイといって、夜の 23 時から朝の8時までの間はかけ放題というサービスなので
すが、それを提供していて、それの影響が如実に表れてきていると言えます。世界の
いろんなトラフィック出ているのですが、深夜にピークが来るのは日本だけで、アメ
リカにしても他の国にしても大体昼間にピークがあります。それからあとは夕方に少
しピークがあります。これは大体電話のトラフィックと同じで、ビジネスの動きと同
じです。日本の電話のトラフィックというと、ちょうど朝の9時からピークが始まっ
6
て 10 時ぐらいまでピークがあって、少し昼休みに落ちて、それから1時ぐらいに上が
って、あと3時から5時ぐらいに一つ大きいピークがあるというのが、この 20 年来ほ
とんど変わっていません。インターネットというのは、もう最初から夜中にピークが
あるという面白い状況です。
ところが、この夜中のピークはだいぶ落ちてきました。それがこの右側のグラフで
す。そのピークの差が1月はかなり差があったのですが、12 月になるとピークの差が
あまり出てきていません。これはなぜかというと、ケーブルテレビだとか、ADSL と
か、常にインターネットを使える環境が結構入ってきたので、わざわざテレホーダイ
なんて使わなくてもフレッツ ISDN とか、そういういろんなつなぎっぱなしのサービ
スが出てきたお陰で、こんなにも一挙に変わってしまったというので、ちょっとトラ
フィックの変動に私もびっくりしています。先程も電話のところでお話しましたが、
電話の場合は本当にこの 20 年、30 年、ほとんど変わっていませんが、インターネッ
トはこうやって激変してくる、本当にこれは予想しにくい世界だというのが本当にわ
かります。だから設備をする方にとってみても、本当に投機的な感じて予測して設備
をうっていかなくてはいけない、ここらあたりが今までの電話の世界とは全く違う世
界があるのだなということを感じているわけです。だから NTT も苦戦せざるを得ない
のかなと思っているところです。日本のトラフィックというのも今後どうなっていく
か見ていきたいと思いますが、でも日本人はやはり夜遅くまで会社で仕事をしている
ので、帰ってきて自分の好きなサイトを自宅で見る、そうすると、どうしても夜が高
いというのは、これはやむを得ないのかと思います。
ブロードバンド・インターネット 利用意向の変化
『ブロードバンド・インターネットはどうなのだ。本当に使う人がいるのか』とい
うのがあって、情報通信総合研究所では定
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
時的にアンケートをとっています。よく言
報道発表資料から ブロードバンド・インターネット
われるのは『ブロードバンドといっても、
利用意向の変化
利用したい層は増加 利用したくない層が大幅に縮小
問 ブロードバンド・インターネットを利用したいと思いますか?
一時のマスコミの騒いでいる話だけに過ぎ
0%
ない。そんなものはすぐにまたブームが過
2000年10月
20%
40%
60%
62.4%
80%
100%
36.2%
6
1.4%
ぎたら終わるのではないか』というご指摘
をよく受けますが、ずっと私どもは定期的
1.7%
2001年6月
に見ていても、やはり増えてきているとい
うことを感じていて、ブロードバンド・イ
73.2%
25.1%
利用したい
わからない
利用したくない
InfoCom Research
(SA N=1211(2000年10月) N=947(2001年6月))
著作 原田 要之助
出所:株式会社情報通信総合研究所
ンターネットはもう本物の動きになったの
ではないかと感じているわけです。今まで、2000 年 10 月時点で『利用したくない人』
が 36%までいたのですが、それが 2001 年6月に 1.7%で、やはりもう時代の流れで、
7
『これはきらいだ、なんて言っていられない』と皆さん思っているのかと分析してい
ます。定期的にこのデータを私ども研究所の方で調査をして、また Web サイトに出し
ていきますので、ご興味のある方は弊社の Web サイトを見ていただければと思います。
それから、
『なぜ使うようになったか』というのは、やはり面白いことに『価格が安
くなった』というのがあって、やはり日本
の ADSL、ケーブルテレビの競争が激しく
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
報道発表資料から ブロードバンド・インターネット
なって安くなったというのは、やはり大き
問 ブロードバンド・インターネット・サービスを、利用したいと思う理由は何ですか?
いのかと思っております。速度よりもやは
0%
り価格というのが大きいと思います。そう
安くなっていくのは、いいことではないか
10%
20%
30%
価格が安くなったから
7
いう意味で日本の ADSL がどんどん価格が
値下げへの評価
値下げが利用促進の理由に
40%
50%
60%
70%
速度が速いから
17.9%
3.7%
周りが利用しているから
特に理由はなく、
なんとなく
5.2%
2.3%
その他
の低価格競争に陥って、つぶれないように
90%
81.4%
高速で利用したい
コンテンツがあるから
と思っています。ただ、米国みたいに ADSL
80%
35.2%
※ADSL、CATVインターネット、光ファイバによるインターネット毎の設問の解答を合計したもの
(MA N=1644)
InfoCom Research
著作 原田 要之助
出所:株式会社情報通信総合研究所
して欲しいと思っています。アメリカは
ADSL の価格競争を挑んできたコバット・コミュニケーションズ、ノース・ポイント・
コミュニケーションズ、リズムス・ネットコミュニケーションズという3社があった
のですが、この3社が全部今年倒産して、旧電話会社が全部その設備とお客さんを吸
収し、旧電話会社がシェアの8割から9割とっていて、そのために今値段が急に下が
らなくなってしまったというのがアメリカの状況であります。それで価格の逆転が起
きています。日本の方がアメリカより ADSL に関してははるかに安いという状況にな
っています。その辺もユーザーに喜ばれているのかと思っています。それから次に『利
用した』という人に聞いて、本当に利用したいという人たちが増えてきているという
のがこの状況です。
ブロードバンド・インターネットで『速度がやはり早いほうがいいのか』というこ
とで聞いていますと、やはり高速というもの
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
が日本では強く、この辺も韓国の影響だと思
報道発表資料から ブロードバンド・インターネット 高速へのニーズが大きい
います。アメリカは ADSL 事業者がつぶれた
1M以上を望む層が、過半数を占める 5M以上でも30%を超える
問 「ブロードバンド」とは、どの程度の速度と考えますか?
こともありますし、あとでお話ししますが、
7.8%
光ファイバーはアメリカは遅れています。そ
31.1%
9
20.2%
のためにブロードバンドは日本よりはるかに
悪い環境にあるので、そういう意味では日本
5.7%
1.1%
1.6%
の方がはるかに先に行けるのかと思っている
ところです。
100Mbps以上
10Mbps以上
5Mbps以上
1Mbps以上
512kbps以上
256kbps以上
128kbps以上
64kbps以上
わからない
2.4%
5.6%
24.4%
(SA N=1097)
InfoCom Research
著作 原田 要之助
出所:株式会社情報通信総合研究所
8
Ⅳ.次世代ネットワーク
アクセス・ネットワーク
アクセスネットワークは、どんなもので今使われているかというと4種類あります。
まず『既存の電話で使っている銅線ケーブル』
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
ですが、日本の場合はかなりいいものが使わ
れているので、比較的データ通信にも向いて
います。ただし一つ問題があって、ISDN と
アクセスネットワーク
• 既存の銅線ネットワークの有効利用
– 電話とISDN(以外にも多い現実)
– ADSL(1.5Mbps∼8Mbps)
ADSL が実をいいますと干渉してしまうとこ
• 同軸ケーブル
とがあります。それで今銅線を使ったサービ
• 光ファイバーの利用
スとして ADSL というのがありますが、これ
– CATV
– サービス開始:フレッツBおよびユウセンブロードバンド
• 無線技術
– PHSからIMT2000へ
– FWA
– 無線LAN
が今いろんなところで脚光を浴びていまして、
年内には 130 万から 140 万ぐらいいくのでは
ないかと思っています。それで来年には 300
InfoCom Research
著作 原田 要之助
万、
2005 年ぐらいまでには 1,000 万を超えるのではないかと思っています。この ADSL
はデータ通信で 1.5 メガから大体 8 メガぐらいまでいきます。次に『同軸ケーブル』
ですが、皆さんのご家庭で多分テレビの配線のところに黒いケーブルがアンテナから
伸びてきていると思うのですが、あのケーブルが同軸ケーブルというものです。その
同軸ケーブルを使って、ケーブルテレビが配信されています。この同軸ケーブルの中
にインターネットの情報も流せるというのがケーブルテレビを使ったインターネット
なのです。それから、本命と言われているのが『光ファイバー』です。これも光ファ
イバーというのは NTT が盛んに昔から入れていて、多分東京都内はほとんど問題ない
のですが、ご希望されればすぐにつくと思います。それで、光ファイバーで 100 メガ
のサービスが提供されています。もう1つ忘れてならないのは『無線技術』で、PHS、
それから IMT2000、フィックスド・ワイヤレス・アクセス(FWA)といわれる固定
無線、それから無線 LAN があります。
電話網を利用したインターネット接続の構成例
今迄どうやってインターネットをつないで
いたかというと、パソコンにモデムをつない
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
電話網を利用したインターネット接続の構成例
で、そして電話回線をインターネット業者ま
通信業者
でつなぎこむ、そしてデータをその上で流し
ていくというのが従来の形態です。技術的に
インターネット
サービス事業者
交換機
モデム/TA
PC
電話と同じ保証形のネットワークが
インターネットに必要か?
InfoCom Research
9
著作 原田 要之助
インターネット
全世界
は大体 56 キロ bps までいくと言われているの
ですが、私もいろいろと実験しましたが、
東京都内であれば 56 キロですが、少し離れた所につなごうとすると 28 キロとか、場
合によると
20 キロぐらいまで落ちます。
『アメリカはどうか』とよく言われるのです
ISDNとADSL
ISDNの実現方式は国毎に異なるが、日本方式は0∼320kHzの周波数帯域を利用したTCM方式(通称ピンポン方式)。ADSLは
が、
アメリカのいろんなホテルで実験しましたが 30 キロを出たことがないです。アメ
25∼1104kHzの周波数帯域を利用するため、ADSLとISDNを同一回線上に重畳する場合には、使用する周波数帯が重なるためIS
リカのネットワークは、日本より電話が早かった分、使われている電線が古く、工事
DNとADSL相互間で信号漏えい(近端漏話)が生じる懸念がある。日本方式のISDNとの干渉を最小限にするための方式として
G.992.1(G.dmt)とG.992.2(G.lite)ではAnnexC(日本仕様)が定められている。
もご存じのようにアメリカ人ですから雑なので、品質があまり良くありません。です
からアメリカで 56 キロ使えるというのは、ほとんどあり得ないと思われた方がいいと
思います。ホテルから大体アクセスして 28 キロ、悪いときには 20 キロまで落ちてし
まいます。それから『アメリカだったら、ブロードバンドがとっくに進んでいるだろ
う』という話なのですが、今 ADSL が 250 万、CATV が 200 万ぐらい、併せて 500
万加入者ぐらいの方が高速インターネットをアクセスできるのですが、残る 4,000 万
人ぐらいの方々は、ほとんどが電話でアクセスをしています。料金は電話でアクセス
をしても、NTT ですと3分 10 円づつ加算していくのですが、アメリカでは市内であ
れば最初に電話すれば、最初の 10 円だけでつなぎっぱなしになるので、それが一つの
メリットなので使われているということです。そんなこともあってアメリカは2本目
の電話回線がまだ需要が伸びていています。日本は 1996 年に 6,200 万加入の電話回
線が現在 5,200 万まで落ちています。この3年間に 1,000 万電話回線数が減っていま
す。それだけアメリカと状況が違う、そういう意味でこの懇話会でもアジアの方を見
てこられるというのは、私は正しいと思います。アメリカを見たからといって、ブロ
ードバンドの将来は見えるとは少しも思えないと思っております。
ダイヤルアップ接続がまだまだ中心
日本ではダイヤルアップはまだ伸びていますが、2001 年6月から少し伸び率が落ち
始めていて、多分そろそろ飽和すると思っ
ています。それでも大体 2001 年 8 月で
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
1,899 万アクセスになっています。これは
急速に発展するADSL(予測値を含む)
今後、5年はADSLをベースに広帯域通信が進展する
1600000
主要プロバイダー10 社の電話回線数のア
1400000
クセスの合計で出している数字ですが、た
1200000
1000000
だご存じのように、Nifty も IIJ も OCN も
800000
持っているという人達も全部ダブルカウン
400000
600000
200000
トしていますので、そういう意味でダイヤ
ルアップそのものかどうかというのはあや
しいところでありますが、ただ伸びている
ということは見えてくると思います。
10
0
2000年1月 2000年4月 2000年7月 2000年10月 2001年1月
2001年4月 2001年7月 2001年10月
注) 総務省発表資料(インターネット接続サービスの利用者数等の推移)から作成。なお、2001年12月の
加入者数は情報通信総合研究所予測値。
InfoCom Research
著作 原田 要之助
ADSL の概要
ADSL の仕組みは、まず電話用のメタリックケーブルという銅線の両端に切換機み
たいなものを付けます。これをスプリッタ
といいますが、フィルターみたいなもので、
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
ADSLの概要
電話用の部分と ADSL の部分に分けるとい
う形になります。それで従来の電話も、そ
のままケーブルを使って、従来の交換機を
使って、電話がそのまま使えるという形に
なります。また、PC はこのスプリッタの
先に ADSL モデムを付けて使います。局の
スプリッタの先は DSLAM(Digital
上り
電話機
既存電
話・ISDN
交換機
電話/ISDN中継網
下り
スプ
スプ
リ ッ タ 電話用メタリック リ ッ タ
ケーブル
ADSLモデム
加入者宅
DSLAM
インターネット
収容局
注) DSLAMはATMを移用したIPパケットの転送ネットワーク
問題点:110や119の接続には既存電話が必要となる。21世紀にも現在の形態の接続が必要か?
電話は今後も、通信のインフラストラクチャである必要があるのか?
InfoCom Research
著作 原田 要之助
Subscriber Line Access Multiplexer )と
いう ATM(Asynchronous Transfer Mode)の交換機の一種だと思っていいのですが、
その DSLAM でインターネットの方にのびていくということで、ちょうどこの電話線
のところにスプリッタを入れて同居させているという形のものです。それでこのケー
ブルで高速のデータ転送をするために、ケーブルにやはり負荷がかかります。どうし
てもケーブルの距離が長くなると信号は減衰してしまうので、電話局から遠い所は速
度があまり出ません。電話局から 500m以内のところであれば 8 メガぐらいの速度は
問題なく出ますが、しかし電話局から遠くなってしまうと 1.5 メガが精一杯かなとい
うぐらいになります。そういうことなので、
『ADSL が8メガだ』と盛んにプロバイダ
ーの方おっしゃっていますが、あれは、電話局から近い 500mぐらいのところで、い
い条件の場合についてのみ言える姿ですので、あれは鵜呑みになさらないで下さい。
距離によって変わります。遠くなれば8メガと言っていても、実態は1メガちょっと
ぐらいしか出ないということもあります。しかし1メガも使えればこれはすごいこと
です。今まで1メガの専用線と言うと、5年前ぐらいだと 30 万円ぐらい、3年前は月々
10 万円ぐらいしていしたが、今はご存じのように月々2,000 円から 3,000 円ぐらいで
使えるわけで、やはりこの価格低下はすさまじいと思います。そしてインターネット
にそのまま使えるというところがやはり大きいところだと思います。
ただし、この ADSL で1つ問題があります。今 ADSL で、何で電話機がこのまま残
っているかといいますと、実は 110 番だとか 119 番への接続が ADSL ではできないと
いうのがあって、結局これを残しています。ただお客様の判断で、
『110 番なんて連絡
DSLAM(Digital Subscriber Line Access Multiplexer )
複数のxDSL回線を束ね、ルータなどの通信機器と接続して高速・大容量な基幹回線(バックボーン)への橋渡しを行なう集線装置。
xDSLモデムの集合体である。電話局内に設置し、MDF(電話局では大量のケーブルを収容する必要があるため、交換機に接続す
る前に、ケーブルを整理するための配線分配装置であるMDFに接続する)などで電話回線から分離されてきたxDSL回線を収容す
る形で使用される。xDSLモデムとしての機能を持つため、加入者宅のxDSLモデムと同じ規格をサポートした製品でないと通信でき
ない。日本でも各社によるADSLサービスが本格的に始まり、ADSLモデムを集積したDSLAMが全国の電話局に導入されている。
ATM交換システム( Asynchronous Transfer Mode Switching System )
多数の入力ポートと出力ポートを備えたATM(非同期転送モード)交換機をノードとする交換システム。従来の回線交換システム
11
とパケット交換システムの両方の機能を備えた高速交換システムである。スイッチ・ファブリックという接続スイッチの中で、ATMセ
ルのヘッダー部に含まれているVP(仮想パス)及びVC(仮想チャネル)の経路指定データに基づいて、ハードウエア的にATMセルを
指定された出力ポートに送るため、非常に高速の交換接続ができる。
する必要がないのだ』ということで、この電話機を取ってしまわれる方も最近出てき
ています。NTT は総務省のご指導もあって止められないのですが、インフラストラク
チャーとしてもともと電話機の持っていた 110、119、いわゆる非常時に対する連絡手
段をどうするかが、今後社会的な問題点として残ってきます。では、
『警察と消防が電
子メールを受けてくれ』ということで、電子メールで『助けてくれ』と打つ人はいな
いと思いますし、携帯電話に託すのも一つだと思いますが、ただ今は携帯電話でも 110
はできません。現在、110 というのはどうなっているかといいますと、その収容され
ている位置がすぐにわかる情報システムになっています。東京都内ですと桜田門の警
視庁のに全て何処から掛かってきたかというのが表示されていて、掛けた人が電話機
を切っても回線は保留されたままになります。それはなぜかというと、脅されていて
切らされてしまっても、警察の方では場所がわかっているからそこへ急行できるとい
う仕組みになっています。そういう 30 年代の仕組みが入っています。しかし、今若い
人たちは所帯を持っても、固定電話を引かない人が増えてきています。そういう人達
に対して、どうしたらいいのだというのが今後の社会問題として出てくるのではない
かと思っています。その辺もありまして、今この電話機がはずせないわけです。正直
言いまして、
『局の交換機もルーターにしてしまえばいいのではないか』ということが、
今 NTT 内でも検討されているのですが、110 に接続しなくてはいけないという義務が
あるために、今の交換機をはずせないという難しい問題が背景にあります。一つは携
帯電話に全部託して、携帯電話の方で 110 番が確実にできる、でも電池がなくなった
らどうするのだといろいろ難しい話があります。今電話機はご存じのように電気がき
ていなくてもつながります。これは局から給電というのですか、電源を与えているの
で停電になっていてもかかるわけなのです。そういう社会インフラになっているとこ
ろなのですが、それを『本当にこれからどうしていくのか』、『そのコンセンサスをこ
れから高齢社会に移る中でどうを得るのか』
、そのあたりがひとつ総務省、NTT のこ
れからの責務なんかの話として変わっていくのかというところが一つあります。
急速に発展する ADSL
私どもの ADSL の予測値ですが、ちょう
ど 2000 年の 12 月頃は1万いくかいかない
かでしたが、2001 年 12 月末までには 150
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
急速に発展するADSL(予測値を含む)
今後、5年はADSLをベースに広帯域通信が進展する
1600000
1400000
万いくと予想しています。すごい勢いで伸
びていて、この1年間に 100 万伸びたとい
う状況です。
1200000
1000000
800000
600000
400000
200000
0
2000年1月 2000年4月 2000年7月 2000年10月 2001年1月
2001年4月 2001年7月 2001年10月
注) 総務省発表資料(インターネット接続サービスの利用者数等の推移)から作成。なお、2001年12月の
加入者数は情報通信総合研究所予測値。
InfoCom Research
12
著作 原田 要之助
光インターネットアクセス(NTT の B フレッツ)の概要
次世代の光についてですが、先程の電話回線のところのいわゆるメタルケーブルが
光に変わります。この『光は頼んでもすぐに
付くのか』ということをお聞きになる方が多
いのですが、NTT は光化ということに関して
は進んでいるプロバイダーの一つで、大体皆
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
光インターネットアクセス(NTTのBフレッツ)の概要
2000年になって注目が集まった光アクセス:日本では光のインフラスクチャは整っている
米国では、加入者の部分の光が遅れている。日本は巻き返すチャンスはあるが、、、
さん方のオフィスの近くの表通りくらいまで
上り
光
端
局
装
置
は全て光がいっています。NTT の言葉でいい
ますと、き線点といいますが、そこからあと
個人の住宅の場合でれば、そこまで引き込む
ところの光があまりまだ用意されていないと
下り
光
ケーブル
光
局
用
装
置
ルータ
LANインタフェースで接続
加入者宅
InfoCom Research
インターネット
収容局
著作 原田 要之助
いう問題だと理解していただければいいと思
います。そこに関しては、今いろいろ技術があって、光ケーブルを1本もってきたも
のを、光の波長のまま 10 加入とか、20 加入に分けて家庭まで通せばいいという技術
ができていて、これで安くできるという目途がつきました。それで今の NTT とか有線
ブロードバンドさんだとかが同じよう技術でもって、光でエンドまでのサービスをし
ようとしてきています。日本はそういう意味では、表通りまでほとんど光がきている
から、後は裏通りのところを工事していけばいいわけで、場合によってはここに無線
のポールを立てて、無線で最後のところをアクセスさせてもいいということでは、す
ごくブロードバンドのインフラストラクチャーの投資が進んでいるとみていいのでは
ないかと思います。ですから韓国やシンガポールと同じで、本当に光ケーブルでの次
のインフラストラクチャーにはほとんど問題がないといえます。ただし、光も 110 番、
119 番にはつながらないのです。光の場合も、光の中では電気が送れませんので、電
話機が使えません。それがどうしても長い間進まなかった理由の一つでもあります。
今 NTT や有線ブロードバンドさんがサービスをしているのは、LAN のインターフェ
ースというような形で提供をしています。ですからインターネットにアクセスする術
としては、光は大変高速で使いやすいのですが、パソコンを利用できない人達に使え
ないというところがあります。高齢化社会の中で、60 代、70 代の方々はパソコンを
使いたくないというのも結構あって、光をそういう人たちに提供しても結局どうしよ
うもないわけです。では TV かというようなことで、3年ぐらい前からテレビインタ
ーネットというテレビが発売されているのですが、全然売れていないという状況で、
かけ声だけはすごいのですが、全然進んでいないというところが一つあります。
CATV インターネットの概要
CATV のインターネットも、先程の ADSL とよく似ていますが、CATV のインフラ
13
ストラクチャーを使うというところが違っています。ケーブルテレビは、最寄りの放
送設備を持っている業者から、同軸ケー
ブルで電柱を伝ってきて、そしてドロッ
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
CATVインターネットの概要
プされて各家庭に配信されます。CATV
も幾つかあって、都市型 CATV でないと
1加入あたり最大数Mbps
500∼1.5Mbpsが標準
インターネットはできません。なぜかと
上り
いうと、難視聴対策ということで CATV
TV
は日本で結構入れているところがありま
PC
す。ビルの陰になるのでテレビが映らな
セットトップ
ボックス
放送用
設備
ミキサー
下り
同軸
ケーブル
ミキサー
ルータ
ケーブルモデム
加入者宅
放送配信
ネットワーク
インターネット
CATV局
問題点:CATVの提供されているエリアは限られている
いといったところは、一方向しかなくて
InfoCom Research
著作 原田 要之助
上り方向がもともとできるようになって
いません。そうすると、残念ながらインターネットには使えないのです。都市型でな
ぜできるかというと、地域おこしということが重要だという話が背景にあって、イベ
ントを中継できなくてはいけないというのが都市型の CATV の要求条件としてありま
す。つまり、いろんなところで中継して、それを放送局に送り込んで、放送局からま
た配信するというメカニズムが都市型 CATV では盛り込まれました。その機能がある
がために、上り方向が都市型 CATV では使えるので、それをうまく使ったのがインタ
ーネットです。それでパソコンから、どこどこにアクセスしたいというのを上り方向
で出します。そうすると下り方向はテレビの信号と一緒にまぜて送ってきてくれるの
で、ミキサーという箱で分けてパソコンの方に入ってくる、また CNN みたいなテレ
ビの信号は、セットトップボックスというものからテレビの配信をするという形にな
ります。今日本のマンションもかなりこういうのが使えるようになってきていて、同
軸ケーブルが大体各家庭に入っていればまずケーブルテレビにつないで、マンション
の中でも CATV でインターネットのアクセスが可能になっています。
日本の場合は比較的これはいいのですが、アメリカの場合は先程いいましたように、
設備がやはり古くて片方向だけが多くなかなかインターネットの対応ができていない
というのが現状です。アメリカでは 3,000 万、4,000 万という世帯に CATV が入って
いますが、インターネット対応ができているのは、300 万とか 400 万世帯です。全体
の2割ぐらいにしかならないという状況もあって、ある意味では日本の方が CATV に
関しては進んでいるのかなと思います。CATV の場合は、今いろいろと業者さんが工
夫されていますが、大体 500 キロから 1.5 メガぐらいで、少し ADSL より下回るかと
いう感じです。ただ、ADSL みたいな装置を入れなくてもすむという意味では簡単か
もしれません。
問題点としは、CATV の提供されているエリアは限られているという点で、CATV
14
を付ければ全て使えるかというと、難視聴対策みたいな形で行政が入れているもので
は使えないものもありますので、必ずしもどこで使えるかというのは、聞いてみない
とわからないというところがあります。
CATV による家庭 LAN の例
機器の構成例を少しご紹介しますと、インターネットがケーブル会社を使ってケー
ブルモデルを通って、この先にブロードバ
ンドルーターを使います。このブロードバ
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
ンドルーターは『こんなものが普及するの
CATVによる家庭LANの例
か』とよいわれましたが、あっという間に
市場価格が落ちて、2年前に5万円したも
のが昨年に3万円になり、今は1万円台で
ブロードバンド
ルータ
ケーブルモデム
ケーブル会社
PC
ハブ
買えます。このブロードバンドルーターを
インターネット
全世界
付けた後ろにハブを付けます。このハブは、
今4ポートのハブで5年前は 5,000 円ぐら
問題点:家庭内の敗戦、セキュリティの問題はユーザが解決する必要がある
InfoCom Research
著作 原田 要之助
いでしたが、今は 2,000 円から 3.000 円で
買えるので、本当に安くなりました。ケーブルモデムは多くの場合、ケーブル会社か
ら指定されて借りるというのが多いですが、場合によると買い取る場合もありますが、
買い取る場合でも3万円ぐらいで、家庭にとって見ると支出としてちょっと大きいで
すが、手が出ない世界ではなくなってきました。モデムはご存じのように、まだ 5,000
円から 6,000 円するということから考えれば、ブロードバンドルーターが1万円、ケ
ーブルモデム合わせて3万円、買えない世界ではないと思います。それから、ブロー
ドバンドルーターを付けてハブ付けて、複数のパソコンで使う。それからハブのとこ
ろに無線 LAN をつけて、家庭内で無線 LAN というのも出てきています。こんな姿が
近未来の家庭、オフィスの姿になってくるのかと思っています。
NTT の IP 接続サービス
NTT が IP 接続サービスをやっていますが、これは ISDN で1本をインターネット
につなぎっぱなしにする『フレッツ ISDN』
というサービスで、このフレッツ ISDN は今
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
NTTのIP接続サービス
年8月ぐらいまですごく伸びてきましたが、
10 月ぐらいから急に伸びが止まってしまっ
て、今ほとんど問い合わせがないという状況
既存電話網
地域IP 網(1県ごと)
ルータ
N TT
になってきています。このあたりが少し NTT
が苦労しているところなのですが、このサー
ルータ
プロバイダA
D 70+IS M
インターネット
IS D N
TA
ユーザごとに1B
チャンネル64K bps
地域IP 網は今や巨大な地域インターネット
で固定接続
儲からない部分だけN TTに任せるのがよいのか?
InfoCom Research
15
プロバイダB
アクセスサーバ
著作 原田 要之助
ビスが大体月額で 3,000 円を少し下回るぐら
いで、ISDN の基本料金が 2,700 円、合わせて 5,700 円かかります。そうすると ADSL
の方が安いという話になってしまって、皆さん ADSL の方にどんどん流れてしまって
いるという状況です。ただし NTT の地域 IP 網というのは、1県ごとに大きい IP 網
があって、この IP 網が将来ひょっとすると『NTT がインターネットをやってもいい
よ』といったら、とんでもないプロバイダーになる恐れもあるでしょう。どのように
なっているかというと、IP で入ってくるとルーターから地域 IP 網を経てプロバイダ
ーにつないでいます。先ほどの DSLAM もこのネットワークを使ったりしています。
そしてプロバイダーにつなぐというところでは、実をいいますと今 NTT もある意味で
はかなり見えていないのですが、すごい巨大なプロバイダーになりつつあるという現
状があります。この巨大な地域インターネットをそのうち活用すれば、また NTT も株
価が復活するのではないかと思っているのですが、どうなりますか。
PHS データ通信比率の推移
PHS は 1992 年ぐらいに導入して、その後 PHS も携帯電話の NTT ドコモに事業を
吸収しまして継続しています。ただし PHS
というのが、いわゆる格安の電話サービス
にはちょっとできないということで、今は
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
PHSデータ通信比率の推移
(総発信時間に占めるデータ通信の割合)
PHSのデータ通信比率が2000年4月に50%を超えている
※全国ドコモPHS契約者数 約147万(平成12年4月末現在)
どうなってきているかといいますと、2000
年 4 月で 50%ぐらいがデータ通信に使われ
ています。実をいいますと PHS は、いつ
の間にかデータ通信のネットワークに化け
てしまったということが言えます。今どん
どん数が増えていて、今年は更にこれが伸
出所:http://www.nttdocomo.co.jp/top.html
InfoCom Research
著作 原田 要之助
びているという話なので、PHS の7割ぐら
いがデータ通信になっていると思います。『出先でちょっと電子メールを見る』とか、
『ちょっと行き先のルートを見てみる』とか、そんな目的で使う方が多いのではない
かと思いますが、そういう使い方が増えてきているというのが PHS です。
Bluetooh 技術
最近できている技術として Bluetooth があります。Bluetooth は比較的短距離で使
うもので、無線 LAN と大体同じ周波数を使
います。ひとつ問題は、電子レンジの周波数
とぶつかっているために、電子レンジを使っ
ていると通信ができないというのがあります。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
Bluetooth 技術
• 短距離ブロードバンド通信
• スウェーデンEricsson社,米IBM,米Intel,
フィンランドNokia社,東芝が中心
• 携帯電話,ノート・パソコン,PDAなどのモバイル
機器間通信
• 2.45GHzのISM帯
• 低価格
• 干渉に弱い
– 電子レンジ
– 無線LAN
InfoCom Research
16
著作 原田 要之助
ただし Bluetooth は、技術的にはワンチップ
にもうできているので、いろんな機器に組み込めるということが一つの大きい特徴で
す。ですから家庭内 LAN に使うとか、企業のオフィス内のいろんな機器に Bluetooth
を使うとか、外で使える通信にできるかもしれないというようなことで今注目が集ま
っていますが、無線 LAN と Bluetooth をどう使い分けるかというのが、よく見えて
いないところです。
無線 LAN
無線 LAN の基地局と LAN カードは、大体 100mか 200mぐらい通じ、オフィス内
でも結構使う方が増えてきています。また
家庭内でも家庭内 LAN を使っている方が
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
無線LAN
たくさんにいると聞いています。今親局装
置が大体3万円ぐらいで、LAN カードが大
体 7,000 円から 8,000 円ぐらいで、今後も
下がるのではないかと思っています。また
無線 LAN のカードは、大体 10 メガぐらい
まで大体使えるので、オフィスで皆さん方
が使っているのと、ほぼ同じぐらいの速度
•
•
•
•
2.4GHz帯無線
広帯域:2Mbps、11Mbps
到達範囲:20m∼50m程度
エリア内で移動してもアクセス可能(同じフロアー
のオフィス間の移設は簡単)
• ローミング機能により、広域で無線LANのサービ
スエリアが可能(企業・学校・工場)
• 不特定多数にインターネットアクセスを提供(イン
タネットカフェ、ホテルや空港ロビー)
InfoCom Research
著作 原田 要之助
の感覚でファイル転送とかに使えます。
ですから Web などの重たいサイトを見るときに役に立つと思います。無線 LAN はい
ろいろな所で使えるのですが、一つ問題点はやはり無線で飛んでいるので、他の人に
通信しているデータを盗み見られてしまう可能性が残りますが、暗号化して使うとい
う使い方とかいろいろと考えないと、オフィス内なんかでは危険かもしれません。た
だ大変便利は、パソコン等で高速にアクセスできるので、ホテルのロビーでお客さん
待ちの間にちょっと仕事をするために、大きいファイルをやりとりしたいという場合
には便利です。先程の PHS ですと、屋内であまり使えないし、64 キロでは少し遅い。
やはり数メガのファイルをダウンロードしたいというときには、やはり無線 LAN でな
いといけない。こんな使い分けになるかもしれません。米国ではこの無線 LAN でいろ
んなホテルやロビー、インターネットカフェだといって去年ぐらいから盛んになって
いましたが、今年になって、『あんまり売れていない』、『いうほど使ってくれていな
い』ということで、米国ではこの無線 LAN で提供するサービスがつぶれています。日
本ではつい最近始まったところで、東京の有名ホテルの大体ロビーで使えるように今
なっています。いわゆるホテルの設備なので、ホテルの会員にならないと使えないと
かそういうのもあるようですが、そういうのが増えてきています。また日本の場合は
スターバックスはまだやっていなかったと思うのですが、ハンバーガーショップのモ
17
スバーガーで LAN カードを持って実験をやっています。
どうなるのか楽しみなところ
ですが、米国でつぶれたモデルを日本が日本流に立て直してやっていけば、またおも
しろいかもしれません。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
無線LAN(屋外利用)の例
また、この無線 LAN はいろいろな使われ
方があって、ワイヤレスマンションというの
も提供しているところもあります。いろいろ
とこういう形で無線 LAN も使うと、光ファ
イバーと合わせてブロードバンドに使えると
いうことです。
InfoCom Research
著作 原田 要之助
FAW(Fixed Wireless Access)
最近出てきているのが FAW(Fixed Wireless Access)で、例えば電柱みたいなとこ
ろに基地局装置をおいてアクセスを提供する
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
というようなサービスがあります。スピード
FWA(Fixed Wireless Access)
ネットさんとか、ソニーさんとかが FAW で
• P-P方式(ポイント・ツー・ポイント方式):1対1で
アクセスポイントを設定
• P-M方式(ポイント・ツー・マルチポイント方式):
複数でアクセスポイントを共有
• 22Ghz、26Ghz帯
• 広帯域:1.5Mbps∼6Mbps(1加入者当たり)
• サービス例
サービスをやるとおっしゃっていて、ようや
く今年になって埼玉市だとかその辺でこのサ
ービスを提供しています。東京 23 区内も山
手線の内側は、いろんなところで FWA が使
– 高速ディジタル専用線サービス
– 価格は、1.5Mbpsで10万円前後
えるようになっていると思いますので、こう
いうサービスもお使いになってもいいのかと
InfoCom Research
著作 原田 要之助
思います。オフィスで光ファイバーの工事が
ちょっとできないけれど、しかしブロードバンドで高速でアクセスしたいというとき
には使えるかもしれません。大体 1.5Mで数万円ぐらいですが、プロバイダーや場所に
よっても違うので、価格は幾らかはっきりとは言えないのですが、高速デジタル専用
線より少し高いか安いかそんなところで、ADSL ほど安くはないという形になります。
アクセス系の課題
アクセス系をいろいろご紹介してきましたように、いろいろたくさん出てきていま
す。ただ、今アクセス系でいろんなサービス
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
を提供する人が出てきているがゆえに事業者
の倒産とか採算性の低下によって、結局ユー
アクセス系の課題
•
事業者の倒産、採算性の低下によるユーザの不利益
– 米国では、安価な料金→倒産→残った事業者が寡占→料金値上げ
• 東京めたりっくのように採算割れする事業者の出現、通信サービス
• 競争の結果としての安価な料金をどこまで維持できるか?
– 寡占となって値上げは許されるのか?
– 通信サービスの停止が起きてもよいのか?
– サービス提供で結果としてユーザの不利益にならないしくみが必要
• 提供されるサービス内容、料金格差が広がる可能性
•
都市の光化は進んでいるが、地方の光化が遅れている
– 提供されるサービスが地域によって異なる
– 都会は光、地方はADSLというシナリオがとれるか?
ザーが見捨てられているケースが米国等で結
構あります。日本でも今年6月ぐらいに東京
InfoCom Research
18
著作 原田 要之助
メタリック通信さんがやはり経営危機になっ
て、結局はソフトバンクさんが買収して、何
とかお客さんを継続できたので良かったのですが、米国ではこの辺が安価な料金、倒
産、残った事業者が寡占、料金値上げとかの問題も起きています。日本型のモデルと
して、これをどうしていくのか。それからあと通信サービスは、総務省さんあたりが
やはりインフラサービスは重要だと考えておられるのですが、アメリカではもうサー
ビスに徹しているというようなところで状況が違うのかもしれません。そんな中でユ
ーザーに不利益にならないためにはどのようにやっていくのか、ここら当たりが重要
だと思います。企業としても、皆さん方も使っていて、明日からはサービスが止めら
れてしまったら、これはとんでもないことになります。やはり通信というのは、止ま
ってしまうと受発注できなくなってしまうというリスクを考えなくてはいけないので、
そういう意味での今後の通信事業者を、どう選んでいくかというのも一つ重要なポイ
ントになってくるのではないかと思っています。
それからもう1点は、都市はもう光がどんどん進んでいます。東京に関してはほと
んど問題はないと思いますが、ただし、地方をどうするかが問題です。ISDN のとき
に NTT は地方にどんどん引きましたが、ちょうど進藤さんのときにセブンイレブンが
『ISDN 使いたいけれど、4,700 店舗の半分ぐらいしかカバーできていないから、これ
では使えない』といわれて、進藤さんは慌てて『全国に ISDN を展開する』といって
展開されたわけですが、それと同じようなことをやっていかないと、企業としてはや
はり地方にある工場に光が引けないとなると半減してしまうということもあり得るの
で、場合によっては地方はある程度あきらめて ADSL 程度で我慢するというようなス
トーリーもあるかもしれません。この辺は今後考えていかないといけない難しい問題
が残っているというところです。
バックボーンネットワーク
バックボーンは事業者に任せておけばいいと思うのですが、どんなネットワークに
なっているかということで3点ほどお話をします。
第一点は、今まで回線交換というテクノ
ロジーを使ってきましたが、これが今後パ
ケット交換として、ATM(Asynchronous
Transfer Mode Switching System)とか
MPLS(Multiprotocol Label Switching)
とかそういう技術にこれから変わっていき
ます。二点目は、インターネットと同じよ
うな形の階層の少ないネットワークに移っ
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
バックボーンネットワーク
• 回線交換(帯域固定型)から
パケット(帯域可変型)へ
• 階層の少ないネットワークへ
– シンプルな構造
• 光ファイバー+WDM技術で帯域制限がなくなる
– 1波長で10Gbps
– 100波長の利用が可能 → 1Tbps
InfoCom Research
著作 原田 要之助
MPLS (Multiprotocol Label Switching )
インターネットなどの大規模IPネットワークでパケットの転送を高速化するための技術。MPLS対応ルーターでパケットに「ラベ
ル」という識別子を付加し、MPLS対応ルーター間はこのラベルだけを参照してパケットが送られる。一般のルーターのような、パ
19
ケットのヘッダー情報からIPアドレスを検索するという処理を行わなくて済むため、パケットをより速く転送できる。元々は、大量の
パケットを扱うISP(インターネット・プロバイダ)同士のネットワークなどで利用するために生まれた技術だが、一般のルーターが扱
えない識別子を利用することから、VPNを実現する技術としても関心が高まっている。
ていきます。それから最後に大きい点とし
て、
『光ファイバー + WDM (wavelength
division multiplex )』という光ファイバーケーブルをいろんな複数の波長で使う技
術です。今までのファイバーは、ある波長だけしか通していなかったのですが、プリ
ズムで分ければ沢山の光波長が分けられるので、その原理を使った品質のいいファイ
バーを使えば 100 波長ぐらいを1つのファイバーに通すことができます。ということ
は、使っているファイバーに装置を両端に出せば 100 倍に使えるわけです。研究所の
連中の話では、500 波長ぐらいまで問題ないだろうといっていますし、1波長で大体
10 ギガ、うまくいけば 40 ギガぐらいまで通ります。ですから 40×500 で2テラぐら
いまで光ファイバーでいってしまうという話で、今光ファイバーさえ入れていれば、
通すデータ量は私たちの使い切れないぐらい十分に通せるインフラが整いつつありま
す。ですから逆に言いますと、今バックボーンの容量は足らないというところは全く
ありません。日本もほとんどバックボーンでは容量的にはまず今後 50 年くらい大丈夫
でしょう。個人個人がテラビットを使うとなれば別です。とはいえ 10 ギガもあればテ
レビ放送が何チャンネルも同時に見られるぐらいの帯域を持っていますから、そうい
う意味では、ファイバーの問題はまずないのかということがいえます。
ネットワークサービス構造
現在のネットワークはどうなっているかとい
いますと、ISDN、ATM、SDH(synchronous
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
現在のネットワークサービス構造
digital hierarchy)という標準なネットワーク、
電話サービス
IPサービス
その下に光ファイバー/WDM ネットワークと
いう構造になっています。
電話/ISDNネットワーク
ATM他
今4層になっていて、光ファイバーの上に
SDHネットワーク
SDH ネットワーク、ATM ネットワーク、それ
光ファイバ/WDMネットワーク
から IP ネットワークと多重構造をとっていて、
InfoCom Research
著作 原田 要之助
いろんな装置が入っています。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
現在のネットワーク構造 IP/ATM/SDH/Optical
IP
ネットワーク
ATM
ネットワーク
SDH
ネットワーク
光ファイバー
InfoCom Research
光
ネットワーク
著作 原田 要之助
SDH(同期ディジタル・ハイアラーキ) synchronous digital hierarchy
ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が作成した国際標準の高速中継速度体系。北米の光同期伝送網SONET(synchronous
optical network)を基に標準化された。広帯域ISDNに代表される広帯域通信技術で用いられるため,各国の電気通信事業者が基幹伝送網の
通信速度として採用に動いている。SDHの基本となる多重単位はSTM(synchronous transport module)と呼ばれ,基本単位(レベル1)はSTM1(155.52Mビット/秒)である。ITU-Tでは,STM-1のほか,STM-4(622.08Mビット/秒),STM-16(2.488Gビット/秒)などを規定している。STM-1
以上ではSONETとSDHは同じ階層構造であるため,しばしばSDH/SONETなどと表記される。 SDHが誕生するまでは,日米欧の世界各地域
20
ごとの3種類の速度体系が存在していたが,SDHが登場したことにより,さまざまな高速伝送を柔軟に多重化でき,統一的な保守・運用が実現
できるようになった。広帯域ISDNの中核となるATM(非同期転送モード)多重データは,このSDHに従った伝送回線上を転送されることになる。
これが今シンプルになっていきます。WDM ネットワークの上に SDH というネット
ワークがなくなって IP コアネットワークが
21
きます。この IP コアネットワークが今後中
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
心になってくる技術です。技術的にいいます
新しいネットワークサービス構造
と、今の WDM 等を使えば、1本のファイバ
ーぐらいで大体済んでしまい、その上をエッ
電話サービス
ジノード、コアノードという構造で提供でき
電話
ISDN網
るのが今のデータ通信の世界です。そして電
IPサービス
IPコアネットワーク
WDMネットワーク
話も、IP の上で今運べるようになりつつあり
ます。Windows XP は、IP の上で電話のプロ
トコルをサポートできるので、このパソコン
の先に電話機がつながって、IP で電話すると
InfoCom Research
著作 原田 要之助
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
いう時代がいずれくるでしょう。そのような
次世代ネットワークの構造 IP/DWDM
話がこのバックボーンネットワークの背景に
エッジノード
あります。この辺の技術はかなりできていて、
IP
ネットワーク
コア
ネットワーク
数GBPS
大容量の装置を買えば誰でもサービスできる
という状況になってきて、逆にプロバイダー
WDMネットワーク
複数の波長
を利用
の差がなくなってしまって低価格競争になっ
てしまい、それでプロバイダーが儲からなく
なってしまったという状況が今起きています。
InfoCom Research
著作 原田 要之助
新しいネットワーク構造はどうなっているかというと、いわゆるコアネットワーク、
先程いいましたギガビットクラスからテラビ
ットクラスのものをコアノードでつなぎます。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
新しいネットワーク構造
そしてその先にメガビットでエッジノードが
ISP等
つながる構造になってきます。これが将来の
ネットワークの構造で、この中で重要な役割
Mビット
Mビット
を果たしてくるのがデータセンターとかそう
も出てくるでしょう。ですから今後のネット
Mビット
コアノード
~Gビット
Mビット
Mビット
~Gビット
いったものになります。場合によると、コア
ノードすらデータセンターに置くということ
大規模データセンター
エッジノード
大規模
企業ネットワーク
~Gビット
コアネットワーク
∼Gビット
Mビット
Mビット
ISP等
InfoCom Research
エッジネットワーク
他通信業者
著作 原田 要之助
ワークは『光ファイバー + データセンター』
というネットワークになってきます。NTT の電話局はというと、ADSL の回線を集め
るノードになってくるというのが、今後のネットワークの状況です。ですから、これ
から大きくネットワークは変わってくるので、コアノードのコアネットワークを持っ
ている業者は、今のインターネットプロバイダーとかそれに準ずる連中だというふう
に思います。こうなってしまうと、ますます NTT が One of them になってしまって、
どうするのだろうというのが、株価の低下につながっているともいえるのではないで
22
しょうか。
今デジタル交換機とかデジタル加入者交
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
2005年頃のネットワーク
換機というのがありますが、これが 2005
長距離バックボーン
年ぐらいからエッジノードとかコアノード
デジタル中継
交換機
が入ってきて、いずれはコアノードみたい
地域バックボーン
なもののネットワークに置き換えられて、
デジタル加入者
交換機
段々とデジタル交換機が撤去されていき、
R
MG
アクセス網
モデム
今の電話のネットワークはそのうちになく
なって、パケットだけのネットワークにな
R
ISDN 光
電話
CATV
モデム
モデム
ADSL
R:ルータ、
MG:メディアケートウェイ
MG
出所:株式会社情報通信総合研究所 アウトルック2002年版より
InfoCom Research
著作 原田 要之助
るという時代が今後来るだろうと考えてい
ます。技術的にはこういう方向に行かざる
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
2010年頃のネットワーク
を得ないというのが現状だと思います。
長距離バックボーン
パケット型
統合網
地域バックボーン
MG
パケット型
統合網
デジタル加入者
MG
交換機
R:ルータ、
MG:メディアケートウェイ
アクセス網
MG
電話
モデム
光
ADSL
CATV
モデム
MG
電話
出所:株式会社情報通信総合研究所 アウトルック2002年版より
InfoCom Research
著作 原田 要之助
IP-VPN の概要
『IP のネットワークは全部 IP になってしまってどうするのだろう』という話をよ
く聞きますので、一言お話をしておきます。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
IP の中で IP-VPN(Internet Protocol-
IP-VPNの概要
Virtual Private Network)というのが最近
盛んに使われるようになってきています。
これは IP のネットワークの上に、暗号化し
たパケットでデータを送ります。あたかも
専用線みたいに使えるということで、今専
用線のユーザーさんがどんどん IP のネッ
•
•
•
•
•
IPネットワークを専用線のように利用する
インターネットを利用するので安価
IPトンネリング(暗号化)を利用
IPネットワーク
マルチプロトコルで利用可能
必要な技術
 IP firewallを利用する
 既存のIP ネットワークを使う
 データ転送単位に暗号を利用
 通信品質制御が可能
トワークを使った IP-VPN に変わりつつあ
 ログ機能、監査機能が必須
InfoCom Research
著作 原田 要之助
IP-VPN (IP-Virtual Private Network )
伝送プロトコルをIPに制限した仮想閉域網サービス。同じIPネットワーク上のほかの拠点からアクセスできないようにするために,
組織が拠点間をIPネットワーク経由で接続し,ほかから侵入できないようにセキュリティを確保する形態と,IPネットワーク上でIPア
ドレスの重複が許されないグループごとに分ける形態の2つがある。通信事業者の閉域IPネットワーク網を通信経路として用いる
ります。この方がもちろん安く、ソフトで変更が簡単にできるというところがあって、
VPN(Virtual Private Network)。複数のプロバイダのネットワークを経由する必要があるインターネットを用いないため、エンド・トゥ・
エンドで機密性や通信品質に優れたIP接続が行なえる。 IP-VPNのバックボーンに用いられているのは、MPLS(Multi Protocol
世の中全て
IP に向かってどんどん変わっているというのが現状です。この IP-VPN に
Label Switching)と呼ばれるスイッチング技術である。これはパケットに固定長のラベルを付与し、そのラベルを元にパケットを転送
するというもの。具体的には、IP網への入口にあたるエッジルータによってラベルの付与・削除が行なわれ、エッジからパケットを転
送されたコアルータはそのラベルを元にしてパケットを調べた宛先のルータに転送することになる。ラベルには宛先のほか、VPNの
識別子が記述されているため、他のVPNと混じり合うことがなく、不正アクセスや盗聴に対して強固なセキュリティを持つ。また、ル
ーティング処理も簡素なため、高速なパケット転送が可能になる。
23
はどんなのがあるかというと、世界最大のネットワークといわれているのが、いわゆ
る自動車産業がつくっている一つのクロー
ズなネットワークです。これは自動車の部
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
VPNの例 – ANX
品などを売り買いするためのネットワーク
です。例えば、『電球が 10 万個いつまでに
いる』というのを出すと、その部品メーカ
Automobile Manufacture
Certified ISPs
ーの人達が『納期は何時までに、こういっ
たものが幾らでできる』というのを応札し
て、そして商談が成立していくという部品
調達のネットワークが米国を中心に自動車
Automobile Parts Makers
Certified ISPs
ANX: Exchange
Secured VPN
Secured GW
Certified ISPs
Automobile Manufacture
Internet
Automobile Dealers
Automobile Dealers
InfoCom Research
著作 原田 要之助
産業の中で広がりつつあります。こういっ
たものがインターネットの VPN を使って使われています。というのは『いろんなとこ
ろの会社とつながなくてはいけない』。そうするとやはり『インターネットを使うのが
一番便利ではないか』。『でも危ない』。『ではどうしたらいいのだ』。
『IP-VPN がある
よ』。『その中にセキュリティーを実現していけばいいのではないか』というのも一つ
の方向として IP-VPN ということで使えると思います。
Ⅴ.課題とまとめ
ブロードバンド時代の課題
ブロードバンド時代の課題としては、『通信の二面性』で、今日お話ししてきました
ように、『国民のインフラ』とそれから『経済
的なネットワーク』
、ここらあたりで今揺れて
います。それから先程アクセスネットワーク
のところでお話ししました『緊急通信、ライ
フラインとしての電話をどうしていくのか』
、
この辺が今後ブロードバンド時代の課題とし
て残っていくと思います。
ブロードバンドが創る21世紀IT社会 2001/12/11
ブロードバンド時代の課題
• 通信の2面性
– 国民のインフラ(どこでも、誰でも、いつでも、利
用できる)
– 経済的なネットワーク(出来る限り安く、高品質
なサービスを、市場から調達できる)
• 緊急通信:ライフラインとしての電話
• 電話は電力が止まっていても通信が可能
• ISDN、インターネットは電力がないと使えない矛盾
InfoCom Research
著作 原田 要之助
ANX (Automobile Network Exchange) NIKKEI NET 98/12/28 抜粋
米自動車業界が94年から構想を練ってきたインターネット上の「EDI(電子データ交換)」システム。2000年を目標に北米の自動車・
部品メーカー約5000社をインターネットでつなぎ、さらに約4万社にのぼる販売店、物流、保険業者などをその網の中に巻き込むとい
う遠大な計画。 ネットワークは98年11月1日に正式稼働する。推進しているのは、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、クライスラ
ーのビッグスリーのほか、キャタピラー、TRWなどのトラック、部品メーカーなど。部品コードの標準化などを推進する業界組織「AIA
G」が受け皿となり、米電話技術会社のベルコアが基本的な設計を担当する。 ANXは「IPSec」と呼ばれるインターネットの暗号・認
証技術を使って、設計情報や部品の在庫・受発注情報などを、メーカーと部品会社がリアルタイムで共有できるようにする。業界全
体では年間10億ドル以上の経費削減につながる計算。さらにディーラーなど流通過程も勘定に入れれば、1台につき1200ドル近いコ
スト削減が可能になるという。
24
【質 疑 応 答】
【質 問】 ブロードバンドの一連のセミナーで毎回講師の先生に出る質問が、『デジ
タルテレビ、BSデジタルなどがブロードバンドのストリームをどう融合するのか、
それとも別なのか』というテーマ、微妙に講師の方々ニュアンスが違っているのです
が、先生のご意見を伺いたいと思っています。
【原田氏】 大変難しい質問ですが、NTT 出身の立場としてみると、やはり光ファイ
バーで通していただければいいなと思うのですが、現実にはやはり放送の方が便利で、
簡単で、どこでも使えるという意味では、やはり放送がまだまだ続くのではないかと
思っています。それからブロードバンドの場合、経済的に本当に流せるかというのが
まだまだ問題だと思っています。やはりあれだけの帯域のものを流そうと思うと、い
わゆる品質保証という形をやらなくてはいけない。そうするといろんなところにサー
バーが要ります。そのいろんなネットワーク内に要る設備類のことを考えると、少し
採算が合わないのではないか、まだ放送系の方が安いのではないかと思います。ただ、
各家庭に本当に光ファイバーが届いて、もっと今のサーバー類の価格が、一桁下がっ
てくれば可能性はあるのではないかと思います。
【質 問】 NTT の広域 LAN サービスというのはどの形態にあたるのでしょうか。
【原田氏】 NTT の広域 LAN サービスは光ファイバーを使った一つのサービスだと
考えていただいて結構だと思います。今回は述べていませんが、フレッツBの一つの
形態で、広域 LAN でオフィス間をつなぐというサービスです。100 メガが使えるとい
うのは、かなり大きいことだと思いますので、是非お使いいただければと思います。
今、米国等でもメトロポリタンエリアネットワークという分野で、ビル間をつなぐサ
ービスが出てきています。特に米国の場合に大都市、ニューヨークとかサンフランシ
スコ、シカゴとかで、大きいビルを光ファイバーでつないで、そのオフィス間を 100
メガとか、ギガビットでつなぐというサービスが出てきています。NTT がギガビット
を提供するかどうかはまだ不明確ですが、いずれはギガビット級のものを出してくる
のではないかと思っています。
【質 問】 先ほどアメリカで ADSL 業者がつぶれているというお話を承りましたけ
れども、総需要があればつぶれようが何しようが需要はどんどん膨らんでいくのでは
25
ないか。あるいはうまい使い方があって、企業経営なり何なりにどんどん利用できる
のではないかというイメージをずっと持っていたのですが、つぶれてある意味では発
展が止まっているというお話なのですが、どういうふうにブロードバンドの利用の仕
方というのを考えたよろしいのでしょうかいうのが質問です。止まっているというこ
とは、最先端のアメリカで結局使えないのという一番始めの命題のこれは騒ぎか、本
物かというところに戻ってしまうのですが、ブロードバンドの使い方という視点でど
のように考えたらいいのかをお聞かせいただきたいと思います。
【原田氏】 やはりアメリカでもいわゆる値頃感というのがあって、大体安い事業者
で 30 ドルぐらいで提供をしていて、その 30 ドルぐらいの攻め合いできていたのです
が、今 35 ドルから 40 ドルくらいまで上がってしまっています。やはりアメリカの人
達が何に使っているかというと、大体電子メールであり Web にアクセスするぐらいな
のです。ですから、本当にどうしても ADS でなくてはいけないか。その目的だけに本
当に 30 ドルかというと、やはり価格センシティビティがアメリカの方が厳しい。そう
いう意味で、やはり事業者の方が音を上げてしまったということです。
おっしゃるように、アメリカだからコンテンツがあるかというとありません。まだ
Web にアクセスするのと電子メールが中心です。ただアメリカの場合、オフィスの場
合はブロードバンドの需要はちょっと今出てきています。というのは、この間の9月
11 日のテロ事件以降、アメリカの飛行機に乗るビジネスマンが激減して、テレビ会議
を使うようになってきたというので、急にテレビ会議が増えつつある状況です。それ
と、オフィス内で CNN などを見たいというので、ストリーミングサーバーをオフィ
スにおいて、そしてオフィス内で例えばウインドウの一部に CNN を流しておくとい
うようなことをやっているところも今出てきていて、そんな中で少しずつブロードバ
ンドにシフトしつつあります。ただしオフィスの方でどうかというと、双方でテレビ
会議をやるかといったら話はほとんど聞かないです。だからやはり事業者もその辺を
甘く見積もって設備投資して出てきたのだけれど、やはり回収ができなくて、そして
株価で IT 不況の中で落ちてしまって、そして評価が悪くなって、資金調達ができなく
なって、では止めてしまえというそんなアメリカ的な短絡的なところもあるのですが、
そんな形に今なっています。
−以 上−
参考資料・UHL
情報通信事典
http://www.e-words.ne.jp/
NIKKEI NET 技術淡々 98/12/28 抜粋
http://www.nikkei.co.jp/topic3/sansan/eimi053121.html
総務省 DSLに関する用語集
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/dsl/yougo/yougo.htm
26
参考資料1
総務省 「インターネット接続サービスの利用者数等の推移【平成 13 年 12 月】
(速報)」抜粋
平成 14 年 1 月 8 日 http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020108_2.html
1. 電話回線等を利用したダイアルアップ型接続によるインターネット接続サービス
の加入者数の増加傾向
1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 12月末
指 平成11年
100
数 平成12年 104.8 108.3 112.7 117.1 121.3 125.3 129.7 133.3 137.3 141.2 144.8 149.2
平成13年 153.2 156.9 163.1※ 166.8 170.2 173.3 176.1 179.3 181.6 183.2 184.4
注) 数値は、平成 11 年 12 月末における大手プロバイダ 15 社の加入者数(1059 万人)を 100
とした指数であり、平成 13 年 9 月末現在のその加入者数は 1923 万人(1059 万×181.6/100)
となる。
※ 調査対象事業者のうち1社において、加入者数の集計方法に変更が生じており、それが指数
の増加要因の一つとなっている。
2.CATV 網を利用したインターネット接続サービスを行う事業者数
事 平成11年
業 平成12年
者 平成13年
1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 12月末
84
85
86
89
106
110
122
133
141
152
172
179
188
190
198
201
217
221
227
232
233
238
240
243
注) 事業者数には、インターネット接続事業者に対して、専用役務として回線を提供している
事業者を含む。
3.CATV 網を利用したインターネット接続サービスの加入者数
1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 12月末
加 平成11年
3.2
6.6
9.2
15.4
入 平成12年
21.6
32.9
46.3
62.5
者 平成13年
78.4
96.7
115.1
注) 加入者数には、一部ダイヤルアップ型接続によるものも含まれる。
また、事業者が専用役務として回線を提供しているインターネット接続事業者の回線数を含む。
4.携帯電話端末によるインターネットサービスの利用者数
単位:万加入
1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 12月末
利 平成11年
367.3
用 平成12年 459.3
569 749.9 935.1 1057 1272.3 1507 1729 1967.9
2180 2395.6
2687
者 平成13年 2924.4 3141 3457 3694.4 3866 4037.5 4217 4355 4493.7
4618 4717.8
27
注) 携帯電話事業者によるiモード、EZweb(旧 EZaccess を含む)、J-Sky のサービスの利用
者数合計。
5.DSL サービスの利用者数
1月末 2月末 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 9月末 10月末 11月末 12月末
利 平成12年
19
62
211
399
760 1,235 1,605 2,122 2,537 3,171
5,347 9,723
用 平成13年 16,194 34,372 70,655 112,182 178,737 291,333 400,760 510,339 650,796 921,867 1,204,564
注) ・上記の加入者数は東西 NTT の端末回線を利用して提供されているもの。
・詳細は、
「DSL普及状況公開ページ」
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/dsl/index.html に掲載。
6.CATV網を利用したインターネット接続サービスの都道府県別提供事業者数
平成13年11月末現在
都道府県名 事業者数
都道府県名 事業者数
都道府県名 事業者数
都道府県名 事業者数
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
計
4
2
3
4
1
2
0
2
7
4
14
14
25
16
4
8
4(2)
3
5
7
4
5
15
8
3
3
15
10(9)
1
1
2
3
6
8
6
3
注) ・括弧内は、事業者数に増減があった場合における前月末の事業者数。
・インターネット サービス プロバイダ向けに回線を提供している事業者を含む。
・事業者数は、その地域においてサービスの提供を行っている事業者の数。
1社で複数の都道府県にまたがって提供している事業者もある。
28
4
4
2
5
4
3
2
3
3
3
2
257(254)
Fly UP