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【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止 【 FI

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【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止 【 FI
【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止
【 FI
】F16K27/00@C
【技術名称】2−1−2−1 管端防食コア内蔵形バルブ
【適用分野】水道・ガス設備
【技術内容】
亜鉛めっき鋼管に代えて内面ライニング鋼管が使用されてきているが、内面ライニング鋼管の場合、
腐食される個所がパイプ端面のみとなるためこの部分に集中して犠牲的な著しい腐食が生じる(図 1)。
バルブ側の対策として、管端防食コア付きのバルブが使用されるようになった。管端防食コアの種類
にコア内蔵形、コア組込形、コア挿入形の 3 種類が規定されている。
そのうち、コア内蔵型青銅バルブの構造例を図 2 に、そのコア部の詳細を図 3 に示す。コアは塩化
ビニル樹脂を弁箱と一体射出成形したものであり、ゴムリングを弁箱ねじ部と管端コアの間に組込み
内部流体の侵入を確実に防止している。可鍛鋳鉄弁のものは、内外面に樹脂コーティングを施し、弁
棒・弁座輪は SUS304 製としている。コア構造は青銅弁のコアと同様である。この弁では青銅弁のね
じ込み形弁に比較し、ガルバニック電池がほとんど形成されないことになり、より理想の防食システ
ムに近いといえる。給湯用についてはコア材質をポリブテンとし、あらかじめシール材をコア部に充
填している。
【図】
図 1 管端コアの無い場合の鋼管端部の腐食
出典:「給水・給湯用管端防食バルブ
コア内蔵型バルブ」
、「建築設備と配管工事 VOL.29 No.5
99 頁」、「1991 年 4 月 1 日」、「前田持(日立金属株式会社)
、長柄斉(日立バルブ株式会社)著」
、「日
本工業出版株式会社発行」
- 301 -
図 2 管端防食コア内蔵形バルブ
出典:「給水・給湯用管端防食バルブ
コア内蔵型バルブ」
、「建築設備と配管工事 VOL.29 No.5
100 頁」、「1991 年 4 月 1 日」、「前田持(日立金属株式会社)、長柄斉(日立バルブ株式会社)著」、「日
本工業出版株式会社発行」
図 3 コア部の構造
出典:「給水・給湯用管端防食バルブ
コア内蔵型バルブ」
、「建築設備と配管工事 VOL.29 No.5
100 頁」、「1991 年 4 月 1 日」、「前田持(日立金属株式会社)、長柄斉(日立バルブ株式会社)著」、「日
本工業出版株式会社発行」
【出典/参考資料】
「建築設備と配管工事
VOL.29 No.5 99−103 頁」、「1991 年 4 月 1 日」、「前田持(日立金属株
式会社)、長柄斉(日立バルブ株式会社)著」、
「日本工業出版株式会社発行」
- 302 -
【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止
【 FI
】F16K27/00@A
【技術名称】2−1−2−2 海水用ライニング弁
【適用分野】プラント一般
【技術内容】
海水系の弁として種々の金属材料が使用されているが、弁箱として長期使用が難しい。表 1 に示す
9 つの材料について要求性能に関しては、PTFE の欠点を補う材料として開発された ETFE(エチレ
ン・4 フッ化共重樹脂)が海水弁のライニング材として適している。フッ素樹脂ライニングには、弁
箱・弁蓋・ブッシュ類等の内面ライニングは回転ライニング法を、弁体・弁棒等の外面へは静電粉体
塗装を採用しているが、ライニングのための下地処理が重要である。
(1)小型ライニング玉形弁の断面を図 1 に示す。口径が 50A 以下では下地処理のためのグライン
ダが弁箱の中に入らない問題があった。そこで、弁箱、弁ふたをロストワックス鋳鋼にて製作しグラ
インダ処理を省いた。ライニング材自身がガスケット材にもなるため、ガスケットを使用していない。
(2)スイング型ライニング逆止弁を図 2 に示す。この弁は、弁体とスイングアームのつなぎ部分
の構造や回転摺動部がライニング施工に適さないため、ライニング構造の実現が難しい。そのため、
ライニングを行うため弁体とスイングアームは一体構造とし、弁体と弁座のつなぎ部分に微圧シール
機構を採用することにより従来弁と同じ機能を持たせている。
(3)パラレルスライド仕切弁の構造を採用したライニング仕切弁では、この構造の採用により、
弁座部のライニングがクサビ力により剥離する可能性が排除される。
【図】
表 1 海水用供試材比較試験結果
出典:「ライニング弁」、
「配管技術
VOL.39 No.4 52 頁」、「1997 年 3 月 1 日」、
「浜田信善(岡
野バルブ製造株式会社)
、著」、「日本工業出版株式会社発行」
- 303 -
図 1 小型ライニング玉形弁
出典:「ライニング弁」、
「配管技術
VOL.39 No.4 53 頁」、「1997 年 3 月 1 日」、
「浜田信善(岡
野バルブ製造株式会社)
、著」、「日本工業出版株式会社発行」
図 2 スイング型ライニング逆支弁
出典:「ライニング弁」、
「配管技術
VOL.39 No.4 54 頁」、「1997 年 3 月 1 日」、
「浜田信善(岡
野バルブ製造株式会社)
、著」、「日本工業出版株式会社発行」
【出典/参考資料】
「配管技術
VOL.39 No.4 51−55 頁」、「1997 年 3 月 1 日」、「浜田信善(岡野バルブ製造株式
会社)、著」
、
「日本工業出版株式会社発行」
- 304 -
【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止
【 FI
】F16K1/226@J
【技術名称】2−1−2−3 完全密着ゴムライニングのバタフライバルブ
【適用分野】一般工業分野
【技術内容】
トランスファー射出成形法による加硫技術に基づき完全密着のゴムライニングを施したバタフライ
バルブである。その基本構造を図 1 に示す。ゴムライニングは適切な弾力性とショア硬さを有し、ト
ランスファー射出成形法のプロセスにより均一な品質を有する。口径 40mm から 2000mm に至るま
で、同様の設備とプロセスによりライニングを行う。はめ込み構造とは異なり、ライニングにより加
硫ゴムを 100%本体に密着させた構造であるので真空環境でも使用できる。
完全密着により弁開閉時にゴムシート(ライナー)が弁に押されて移動することがないため、本体
とライナー間の摩擦が無く、したがってライナーの摩耗が無い(図 2)。また、完全密着により、流体
が本体とライニングとの間に入り込むことが無く、本体とゴムライニングの間での腐食が発生しない
(図 3)。したがって、本体に高価な耐腐食性材料を用いる必要が無い。耐用年数が長く、配管全体の
取替え時期(15∼20 年後)までバルブの交換が不要である。流線型の弁体により乱流が発生しにくく、
少ない圧力損失、高いKv値、低いエネルギー使用量を実現している。ライニング用の標準的ゴム材料
として、NBR、EPDM、およびFMP(フッ素ゴム)の 3 種を使用している。
【図】
図 1 完全密着ゴムライニングのバタフライバルブの基本構造
出典:「「トランスファー射出成形法」によるバタフライバルブの加硫技術」、「配管技術 VOL.37
No.4 104 頁」、「1995 年 3 月 1 日」
、「中川哲(株式会社昭和バルブ製作所)著」、
「日本工業出版株
式会社発行」
- 305 -
図 2 弁開閉時のゴムシート・ディスク関係
出典:「「トランスファー射出成形法」によるバタフライバルブの加硫技術」、「配管技術 VOL.37
No.4 105 頁」、「1995 年 3 月 1 日」
、「中川哲(株式会社昭和バルブ製作所)著」、
「日本工業出版株
式会社発行」
図 3 弁本体とゴムシートの密着
出典:「「トランスファー射出成形法」によるバタフライバルブの加硫技術」、「配管技術 VOL.37
No.4 105 頁」、「1995 年 3 月 1 日」
、「中川哲(株式会社昭和バルブ製作所)著」、
「日本工業出版株
式会社発行」
【出典/参考資料】
「配管技術
VOL.37 No.4 104−109 頁」、「1995 年 3 月 1 日」、「中川哲(株式会社昭和バルブ
製作所)著」
、「日本工業出版株式会社発行」
- 306 -
【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止
【 FI
】F16K1/226@J
【技術名称】2−1−2−4 耐海水性を有する大口径のバタフライ弁と逆洗弁
【適用分野】プラント一般
【技術内容】
発電所蒸気タービンの戻り蒸気は海水で冷却して復水するが、復水器の内部冷却管は清掃のため定
期的に海水によって逆洗を行う。逆洗にはバタフライ弁を用いる方法と逆洗弁(四方切換弁)を用い
る方法がある。これらの弁には長期間の耐海水性が要求される。
海水用バタフライ弁の構造の変遷を図 1 に示す。弁体の腐食に関し、弁体への容易な施工、厚いラ
イニング厚さ、容易な修理の観点から、硬質ゴムライニングは信頼性のある防食方法である。弁体先
端の金属とゴムライニングの境界から剥離するという過去の事例を考慮し、ゴムと金属の境目を海水
に触れさせず、海水接触部に金属を露出させないよう、オールゴムライニングのバタフライ弁が設計
できる(第三世代の方式、図1参照)。実機による作動試験により、ライニングの剥離に対する健全性、
およびオールゴムライニングバタフライ弁の耐海水性が立証されている。ダクタイル鋳鉄製の
4200mm オールゴムライニングバタフライ弁を図 2 に示す。鋼板製に比べ変形が大きいので、圧力に
抗するためにゴム硬度を高めている。
大型オールゴムライニング逆洗弁とシート部の詳細を図 3 に示す。鋳物(FC)製の弁箱の内面は軟
質ゴムライニングで、シート部は硬質ゴムライニングである。弁体は先端にのみ軟質ゴムライニング
が施され、口径は最大規模の 2800mm である。弁箱が大きすぎ、ゴムライニングの加硫釜がない場合、
弁箱本体を加硫釜として用いることができる。
【図】
図 1 海水用バタフライ弁の構造の変遷
出典:「耐海水性を有する大型弁」、「バルブ技報
VOL.14
No.1
45 頁」、「1999 年 9 月 30 日」、
「島田昌作(株式会社クボタ)著」
、「社団法人日本バルブ工業会発行」
- 307 -
図 2 オールゴムライニングバタフライ弁
出典:「耐海水性を有する大型弁」、「バルブ技報
VOL.14
No.1
48 頁」、「1999 年 9 月 30 日」、
「島田昌作(株式会社クボタ)著」
、「社団法人日本バルブ工業会発行」
図 3 大型オールゴムライニング逆洗弁とシート部
出典:「耐海水性を有する大型弁」、「バルブ技報
VOL.14
No.1
49 頁」、「1999 年 9 月 30 日」、
「島田昌作(株式会社クボタ)著」
、「社団法人日本バルブ工業会発行」
【出典/参考資料】
「バルブ技報
VOL.14 No.1 44−49 頁」、「1999 年 9 月 30 日」、「島田昌作(株式会社クボタ)
著」、「社団法人日本バルブ工業会発行」
- 308 -
【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止
【 FI
】F16K27/00@A
【技術名称】2−1−2−5 脱亜鉛腐食を防ぐ黄銅鍛造バルブ
【適用分野】衛生機器
【技術内容】
給水栓および管径 2 インチ以下のラインのバルブ類の材質は、主に青銅系か黄銅系の銅合金である。
黄銅系材料の場合、使用される水質によっては脱亜鉛腐食が発生する。日本の水質は水処理の影響も
あり脱亜鉛腐食域に属する水質となっており、青銅系のみが認可されてきた。市場開放の観点から、
1990 年に日本でも黄銅系の給水・給湯器具類が認可され、耐脱亜鉛対策黄銅を使用した耐脱亜鉛対策
黄銅鍛造バルブが実用化されている。この耐脱亜鉛対策黄銅では、化学成分構成と熱間鍛造製品自身
の保有する熱エネルギーの相乗効果によって、鍛造のまま(As Forging)で自然冷却中の自己焼鈍に
よって組織調整がなされる。従来必要とした後熱処理を行わなくても耐脱亜鉛性を発揮する。本鍛造
用脱亜鉛対策黄銅合金の化学成分を表 1 に示す。
As Forging の脱亜鉛対策黄銅鍛造品で構成したボールバルブのライフテストは、人工海水および
Na 塩化物温泉で 1 年間に亘って実施されている。脱亜鉛腐食深さの測定部位を図 1 に示し、ライフ
テストの結果を表 2 に示す。60℃の人工海水に対し、開発した本バルブは極めて優れた耐脱亜鉛性を
発揮することが確認されている。温泉での試験の結果、C3771(鍛造用黄銅材)では激しい脱亜鉛腐
食が発生するが、本バルブでは脱亜鉛腐食は全く発生していない。耐食性の面で、表面に 20∼30μm
の安定な耐食皮膜を生成し、青銅鋳物と同等であることが確認されている。
【図】
表 1 鍛造用脱亜鉛対策黄銅合金の化学成分
出典:「耐脱亜鉛対策黄銅鍛造バルブの実用化」
、「バルブ技報 VOL.11
No.2 36 頁」、「1996 年
10 月 31 日」、「助川東輔(東洋バルヴ株式会社)著」、「社団法人日本バルブ工業会発行」
- 309 -
図 1 脱亜鉛腐食深さの測定部位
出典:「耐脱亜鉛対策黄銅鍛造バルブの実用化」
、「バルブ技報 VOL.11
No.2 39 頁」、「1996 年
10 月 31 日」、「助川東輔(東洋バルヴ株式会社)著」、「社団法人日本バルブ工業会発行」
表 2 ライフテスト結果
出典:「耐脱亜鉛対策黄銅鍛造バルブの実用化」
、「バルブ技報 VOL.11
No.2 39 頁」、「1996 年
10 月 31 日」、「助川東輔(東洋バルヴ株式会社)著」、「社団法人日本バルブ工業会発行」
【出典/参考資料】
「バルブ技報 VOL.11
No.2 32−41 頁」、「1996 年 10 月 31 日」、「助川東輔(東洋バルヴ株式
会社)著」、
「社団法人日本バルブ工業会発行」
- 310 -
【技術分類】2−1−2 信頼性の拡大/耐久性/錆・腐食の防止
【
FI
】F16K27/00@A
【技術名称】2−1−2−6 ガス用ポリエチレン製バルブの耐環境性能向上
【適用分野】水道・ガス設備
【技術内容】
ポリエチレン製バルブ(PE バルブと呼ぶ)をガス配管システムに導入するに際し、バルブが地中
に埋設されるという環境を考慮し各構成部材の耐環境性能を評価している。
PE バルブの全体構造を図 1 に、その構成部材を図 2 に示す。本バルブはストレートプラグ方式を
採用している。バルブは、金属製コアをインサート成形した樹脂製ボディ(弁箱)、熱融着されるトッ
プカバー、自己潤滑性シールゴムとストレートプラグによるシール部、バルブ開閉用キャップ、外部
シール用 O リングなどの部材で構成されている。トップカバーとボディは最終的に熱融着によって一
体化する。バルブの開閉はキャップを 90 度回転させて行う。
PE バルブの各構成部材に対して環境性能試験を実施した。土砂に接触するキャップの材質として
ABS 樹脂と PP 樹脂(汎用と耐衝撃性)を検討している。環境性能試験の項目と試験内容および結論
を表 1 に示す。これにより、本 PE バルブでは、下記の対策が施されている。
(1)トップカバーとボディの熱融着を一枚ヒータで実施することにより、均一なクリープ強度を持
つ融着が可能となる。(2)キャップの材質には耐衝撃性 PP を選定し、環境液の侵入を防ぐためプラ
グとシール部位のほかトップカバーとのシール部位にも O リングを設ける。(3)O リング径を大きく
し、シール特性(圧縮永久歪特性)が向上する。
【図】
図 1 ポリエチレン製バルブの全体構造
出典:「ポリエチレン製バルブ構成部材の材料環境性能評価」、「バルブ技報 VOL.15 No.1 63
頁」、「2000 年 3 月 31 日」、「樋口裕思、井上博道、山口秀樹(大阪ガス株式会社)著」、「社団法人日
本バルブ工業会発行」
- 311 -
図 2 ポリエチレン製バルブの構成部材
出典:「ポリエチレン製バルブ構成部材の材料環境性能評価」、「バルブ技報 VOL.15 No.1 63
頁」、「2000 年 3 月 31 日」、「樋口裕思、井上博道、山口秀樹(大阪ガス株式会社)著」、「社団法人日
本バルブ工業会発行」
表 1 ポリエチレン製バルブ構成部材の材料環境性能評価の結果
出典:「ポリエチレン製バルブ構成部材の材料環境性能評価」、「バルブ技報 VOL.15 No.1 69
頁」、「2000 年 3 月 31 日」、「樋口裕思、井上博道、山口秀樹(大阪ガス株式会社)著」、「社団法人日
本バルブ工業会発行」
【出典/参考資料】
「バルブ技報 VOL.15 No.1 63−69 頁」、「2000 年 3 月 31 日」、「樋口裕思、井上博道、山口秀
樹(大阪ガス株式会社)著」、「社団法人日本バルブ工業会発行」
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