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EB描画 - メカノマイクロプロセス室

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EB描画 - メカノマイクロプロセス室
走査型電子顕微鏡(SEM)/EB 描画装置
操作マニュアル
第 10 版
2016 年 5 月
東京工業大学
創造研究棟
メカノマイクロプロセス室(庄司)
※ 本装置の使用に必要な条件:
・入室講習を受講していること
・装置利用講習を受講していること
1.はじめに
本装置は日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM-5610 に(株)東京テクノロジー製の
描画制御システム(ビームドロー、ビームブランキング、ラスターイメージプロセッサ、描画用偏
向アンプ、ステージコントローラ) (図 1)を付加して、微細加工プロセスに必要な電子線描画を
行うものである。図 2 が装置外観である。本マニュアルは、電子線描画及び走査型電子顕微鏡観
察の操作方法について述べている。
なお、本装置の操作のほとんどは Mac 及び Windows の PC によって行う。そこで、Mac での操
作は「
」マーク、Windows での操作は「
」マークを各手順もしくは章の頭に付した。
補正データ(D-Scan)
ビームドロー in Mac
・図形情報
・補正解析
命令
ビームブランキング
図形信号
ステージ
駆動信号
ステージコントローラ
・ステージ駆動制御
ラスターイメージ
プロセッサ
・命令実行ユニット
制御
・電子線 ON/OFF
制御
描画用偏向アンプ
・偏向コイル制御
走査信号
制御
図 1 描画制御システムの概要
冷却水
循環装置
Mac
(ビームドロー用)
Windows 用
モニタ
ビーム
ブランキング
Mac 用
モニタ
試料室
SEM 電源
Windows PC
(SEM 制御用)
図 2 外観写真
1
ラスターイメージ
プロセッサ
SEM
2.装置の主な仕様
SEM(JSM-5610)
<一般性能>
3.0nm保証(加速電圧30kV、WD6mm、二次電子像)
分解能:
倍率:
×18(WD48mm)~300,000(全136段)
像の種類: 二次電子像
照射電流:1pA~1µA
<電子光学系>
0.5~30kV(53段)
加速電圧:
フィラメント:
プリセンタードヘアピン形タングステンフィラメント
バイアス電圧:
オートバイアス(加速電圧に連動)
軸合せ:
電磁二段偏向方式
コンデンサレンズ:
対物レンズ:
電磁二段ズームコンデンサレンズ方式
コニカル対物レンズ
対物絞り: クリックストップ形、3段切替、XY微動可能
非点収差補正:
電磁8極XY方式、プリセンタード
走査コイル:電磁二段偏向方式
<検出器>
二次電子検出器: コレクタ、シンチレータ、ライトガイド、光電子増倍管で構成
<操作系>
基本システム:IBM/AT互換パソコン(PC)、64MB以上(RAM)、Windows2000(OS)
<排気系>
0.1mPaオーダー
到達圧力:
100L/min 1台
油回転ポンプ:
4型420L/s(水冷バッフル付き) 1台
油拡散ポンプ:
ラスターイメージプロセッサ
プロセッサ:
クロック:
MC68340-25
24MHz
RS-422 38400bps 無手順又はSCSI
図形転送方式:
描画方式: ラスター走査描画
16MB
描画用メモリ:
10000H × 10000V
描画アドレス:
図形位置精度水平方向: 0.0625dots以下(Worst case)
垂直方向
0.01dots以下
ブランキングアンプ
最大応答周波数:
ブランキング出力:
信号入力形態:
10MHz
0,+200V
ファイバーリンク方式
2
3.装置立ち上げ
1. 使用記録簿に「開始日時」「研究室名」「氏
名」「使用目的」を記入する。
2. 鏡筒の後ろにある冷却水循環装置(図2, 3)の電
源がONであることを確認する。水量を確認し、
少なくなっていたら補充する。
3. SEM左下部の電源キー(図2)を車のイグニッ
電源(常時 ON)
ションと同様にONに回してから一瞬STARTに
して電源を入れる。
4. 10秒待った後、SEM右下部のWindowsPC(図2)
図 3 冷却水循環装置
を起動し、モニタの電源を入れる。
5. 電流計(図4)の電源をONにし、D GUARD及び
ステージ
コントローラ
A DCボタンを押す。
6. ステージコントローラ(図4)の電源をONにする。
7. 描画用偏向アンプ(図4)の電源をONにする。
電流計
8. ラスターイメージプロセッサ(図2)の電源をON
にする。
描画用偏向アンプ
9. Mac(図2)を起動し、モニタの電源を入れる。
10. デスクトップのJSM5000(SEM操作ソフト(図
図 4 各種制御装置
5))を起動する。
11. 描画パターンを作図したVectorWorksファイル
を開く。パターン作図に関しては付録1を参照の
こと。
12. VectorWorksメニューの[ビームドロー]→
[ビームコントロール]を選択すると
「“BDUtilX”起動中です!」のダイアログが
表示され、OKを押すとビームコントロール画面
が立ち上がる。
13. ビームコントロールの[ビームオン]⇔[ビー
図5
JSM5000 画面
ムオフ]の切り替えに連動してビームブランキ
ングの赤ランプが[消灯]⇔[点灯]すること
を確認する(図2, 6)。戻るボタンを押してウ
ィンドウを閉じる。なお、BDUtilXウィンドウ
は閉じてはならない。邪魔な場合は最小化して
おく。
ビームブランキング
ビームオフ:赤ランプ点灯
ビームオン:赤ランプ消灯
4.試料の取り付け
ここでの作業は必ず手袋着用のこと。試料ホルダ、
3
図 6 ビームブランキング
試料室内は素手で触らないよう注意する。また、試料
試料ホルダ
ステージは必要のないときは閉じておき、埃やゴミが
入らないよう注意すること。
1. 試料の厚み(0.1mm単位まで)を確認してお
く。分からなければ測定する。
試料
2. 試料の角から1, 2mm□程度の範囲をピンセット
でこすって傷を付け、ミクロンサイズの小さなゴ
ミを作る。
傷をつけた角
図 7 試料ホルダへの
試料のセット(写真)
3. 試料ホルダ(標準ホルダ1)に試料を置く(図7,
8)。ホルダの切り欠き部分に試料の傷を付けた
角がくる向きに置き、ツメで固定する。ホルダか
ら試料が浮いていないことを確認する。
描画開始位置
試料
ホルダ
4. 傷をつけた角を基準とした描画開始位置の相対座
標(図8中の ( x , y ) )を測る。単位はµmとす
る。
5. JSM5000メニューの試料をクリックして試料交
換のウィンドウ(図9)を開き、真空表示が
「Ready」であることを確認する。「Ready」に
なっていなければもうしばらく待つ。
試料
●
y µm
Y
x µm
X
傷をつけた角
図 8 試料ホルダへの
試料のセット(イラスト)
 通常は手順3-3の電源キーをONにしてから
20分程で「Ready」になる。
6. VENTボタンを押して真空容器を大気パージす
る。パージ完了の合図はないが20秒程で完了す
る。
7. 試料ステージを手前に引き出す。引き出す際は両
サイドに窪みに指を掛ける。
8. 試料ホルダを試料ステージに置く(図10)。切
図 9 試料交換画面
り欠き部分が奥になる向きで試料ステージの角と
試料ホルダの角を合せる。置いたら取り付け金具
で試料ホルダを固定する。
 試料取り付け作業の際は試料ステージに荷重
○
Y
をかけないよう注意する。
9. 試料ステージを真空容器内に押し入れて真空引き
X
を行う。試料ステージはゆっくりと動かすこと。
試料ステージを軽く抑えた状態でEVACボタンを
押す。ロータリーポンプの排気音が小さくなれば
手を離してよい。通常は10秒くらいで音は小さ
くなる。
取り付け
金具
ファラデー
カップ
図 10 試料ステージへの
試料ホルダのセット
4
 真空表示が「PRE EVAC」→「EVAC」→
「READY」と変化する。「READY」のメ
ッセージが出れば真空引きは完了である。
目標位置指定
座標の
呼び出し
ビーム
ON/OFF
10. VectorWorksメニューの[外部機器]→[ステ
ージ]でStageControl(図11)を起動する。こ
れと同時にステージが初期化される。初期化は2
分程度かかる。
5.電子線調整
軸指定
ドーズ量及びビーム電流を設定しておくこと。詳細
図 11 StageControl 画面
は付録2を参照のこと。
1.
StageControl(図11)の「ページ指定」から
[FC]pos(ポジション)を選択し、絶対ボタ
ンを押す。これによりファラデーカップが観察
位置に移動する。
2.
ステージのZ軸つまみ(図12)の目盛を
「20.3mm+試料ホルダ厚み(mm)+試料厚み
(mm)」にする。標準ホルダ1の厚みは2.8mmで
ある。
Z軸
つまみ
傾斜
つまみ
 Z軸つまみの目盛りは18mm以下にしてはな
らない。ステージが上がりすぎて試料室内
上部の対物レンズや2次電子コレクタにぶつ
かるからである。また、ステージ右の傾斜
図 12 Z 軸つまみ
つまみ(図12)は動かしてはならない。
3.
StageControl(図11)で「ビーム」のオンをク
リックする。
4.
JSM5000のレシピボタンをクリックしてレシ
ピ画面(図12)を開く。「カスタムレシピ」メ
ニューから「FC」を選択して実行ボタンを押
す。
5.
JSM5000の試料を押して試料交換ウィンドウ
を立ち上げて真空表示が「READY」であるこ
とを確認し、左上の[HT待機中]をクリック
する。これによりボタン表示が[HT像観察]
に変わり加速電圧が印加される。
6.
試料交換ウィンドウを閉じる。
7.
電子銃部の放電を安定させるため3分間待つ。
8.
JSM5000の電子銃ボタンをクリックしてガン
5
図 13 レシピ画面
アライメント画面(図14)を開く。
9.
フィラメント加熱電流バー右端の ► をカチカ
チ押してフィラメント加熱電流をゆっくりと上
げていく。カーソルが概ねバー全体の60%くら
いの位置(図15)にきたら止める。なお、オレ
ンジ色の領域に入らないように注意すること。
10. ファラデーカップの穴(図16)が画面中央に来
るようにStageControlの軸指定(図11)でステ
ージを動かす。右側のSpeedバーで適宜スピー
ド調整をする。
11. JSM5000の倍率ボタンで倍率を400倍にする。
12. SEM像のコントラスト・ブライトネスを調整し
図 14 ガンアライメント
てフォーカス合わせを行う。SEM画面の上にあ
るコントラスト・ブライトネス・フォーカスボ
タンをクリックしながら上下に動かして調整す
る。右クリックは「COARSE」と表示され粗い
この位置で
ストップ
調整となり、左クリックは「FINE」で細かい
調整ができる。
13. StageControlの軸指定でファラデーカップの穴
図 15 フィラメント加熱電流
のカーソル位置
を画面中央に持ってくる。
14. 倍率を10,000倍にする。
15. JSM5000メニューバーの「制御ツール」-「レ
ンズリセット」を選択する。
16. スポットサイズのスケールバーのカーソル(図
17)を動かしてビーム電流(電流計(図4)の
読み値)を所望の値(付録2参照)に設定す
る。
17. JSM5000メニューバーの「制御ツール」-「レ
ンズリセット」を選択する。
18. ビーム電流を確認し、値がズレていたら再調整
図 16 ファラデーカップ
する。
19. ガンアライメント(図14)の「アライメント調
整」項目で傾斜Xスクロールバー両端の ◄ また
は ► をクリックしてビーム電流が最大になる
ように調整する。
20. 同様の操作を「傾斜Y」「水平X」「水平Y」に
対して行う。
21. ビーム電流がズレていたらスポットサイズで調整
し、メニューバー「制御ツール」-「レンズリセ
6
図 17 スポットサイズ
ット」を選択する。ビーム電流のズレがなくなる
までスポットサイズ調整とレンズリセットを繰り
返す。
22. StageControlで「ビーム」のオフをクリック
し、電流計の値がほぼゼロになることを確認す
L.C.
る。ゼロでなければビームをオンにしてアライ
メント調整(手順19~)からやり直す。
23. 「ビーム」のオンをクリックする。
24. ビーム電流が安定するのを待つ。10分程度放置
して変動が±3%以内であれば十分安定している
スポット
サイズ
とみてよい。値がズレていたらスポットサイズ
を調整して正しい値に戻す。
25. 使用記録簿に「ビーム電流」と「L.C.」「スポ
図 18 L.C とスポットサイズ
ットサイズ」(図18)を記入する。
26. SEMの倍率を100倍にする。
27. StageControlで「ビーム」のオフをクリックす
る。
6.試料上でのフォーカス合わせ
1. MacのStageControlの「ページ指定」で
[holder1-1]pos(付録5参照)を選択して絶
観察しやすい
傷を探す
対ボタンを押す。これにより試料の傷を付けた
角(図7, 8)がSEM観察位置に来る。
2. StageControlで「ビーム」のオンをクリックす
る。傷を付けた角がSEMの画面に映し出される
(図19)。見えなければ倍率を最低倍率にす
試料の角
図 19 holder1-1 ポジション
る。
3. 試料上で観察しやすい傷を探し、画面中央に来
るようステージを動かす(図19, 20)。
4. 「コントラスト」・「ブライトネス」・「フォ
ーカス」を合わせる。
5. 倍率を400倍にしてフォーカス合わせを行う。
傷を画面中央
に移動
6. 3~10µmの大きさの適当な像を探す。コントラ
ストが明瞭で視認しやすく、かつ付近に似たよ
うな像がないこと。以下、この像を「Dscan目
標物」(図21)という。
7. Dscan目標物を画面中央に持ってきて「コント
ラスト」・「ブライトネス」・「フォーカス」
7
図 20 傷を画面中央に移動
を合わせる。
8. 倍率を15,000倍にしてフォーカスを合わせる。
倍率を上げていく過程でDscan目標物が画面中
央にくるよう適宜ステージを動かす。
9. 倍率を4,000倍にする。
10. Dscan目標物が画面中央にくるようステージを動
かす。
11. コントラストをやや強めにしてDscan目標物を
見やすくする。(図21)
12. StageControlで「ビーム」のオフをクリックす
図 21 Dscan 目標物
る。
7.補正条件の更新
この章ではDscanというソフトを用いて描画の誤差
を補正する。ステージを上下左右に動かした際の移動
① Pos ボタン
をクリック
量とSEM像により検出されるDscan目標物の移動量を
比較し、両者の移動量のズレから描画の誤差を計算し
て補正する。
1. VectorWorksメニューより[外部機器]→
[Dscan]にてDscanを起動する。
2. VectorWorksメニューより[外部機器]→[つ
なぎ条件送付]を行ってVectorWorksで設定し
② Dscan
目標物を
クリック
た描画条件をDscanへ送る。
③ 鉛筆ボタン
をクリック
3. Dscanメニューより[Dscan]→[LithDefオ
図 22 Frame 画像
ン]を選択する。
 これにより描画専用偏向アンプ(図4)がカ
チカチカチと鳴り、[LITH ON]の緑のボ
タンランプが点灯する。
4.
Dscanメニューより[マークサーチ]→[サ
ーチスタート]によりマークサーチ始まる。20
最初の
Frame 画面
秒程でマークサーチが終わり手順6-11のDscan
マーク
サーチ
新たな
Frame 画面
目標物がFrame画像に現れる。
5.
Frame画像の画面でPos →[Dscan目標物]
→ 鉛筆マークの順にクリック(図22)すると
再度マークサーチが始まる。なお、Dscan目標
物のクリック位置を正確に憶えておくこと。
6. 新たなFrame画像が現れる。先の手順と同様に
Pos →[Dscan目標物]→ 鉛筆マークの順に
8
Dscan
目標物
同じ場所を
クリック
図 23 Dscan 目標物のクリック
クリックすると再度マークサーチが始まる。こ
こで、Dscan目標物のクリックは先の手順と同じ
場所をクリック(図23)すること。
7. Dscan画面左下に「--Normal mode--」メ
ッセージ(図24)が現れるまで手順6を繰り返
図 24 Normal mode の表示
す。この手順は通常30~40回行う。
 50回を超えても終わらないときはDscanを
失敗している。その場合はDscan目標物を探
すところ(手順6-6)からやり直す。
8. Dscan画面左下に「--Normal mode--」メ
ッセージが現われたらDscan終了である。
9. VectorWorksのメニューから[外部機器]→
[つなぎ条件入手]を行い、解析した補正条件
をVectorWorksに取り込む。
10. Dscanで得た補正条件を保存する。
VectorWorksのメニューから[ファイル]→
[保存]で保存する。
図 25 描画オプション画面
8.描画
1. StageControlの目標位置指定(図11)に描画開始
位置の座標を入力してし、絶対ボタンを押す。
これによりステージが描画開始位置に移動す
る。描画開始位置の座標の求め方は付録3を参
照する。
2. VectorWorksメニューから[ビームドロー]→
[描画]→[オプション]→「□この場所から
スタート」(図25)にチェックを入れる。
図 26 動作状況画面
3. 実行ボタン(図25)を押すと描画が始まる。
4. 動作状況画面(図26)が開き、描画中のフィー
ルド番号と1フィールドあたりの描画時間が表示
され描画の進捗状況が確認できる。

描画中に席を離れる場合はディスプレイの
電源をOFFにすること。

描画が翌日以降に渡る場合はポストイット
に所属研究室、氏名、終了予定日時、連絡
先を記入したものを立て札に貼って(図
27)描画中であることを知らせる。
5. 動作状況画面が消えたら描画完了である。
9
氏名・連絡先等を書いて貼る
図 27 使用中の注意書き
9.電子線立ち下げ
1. StageControlの「ページ指定」から[FC]posを選択し、絶対ボタンを押してステー
ジをファラデーカップの位置に移動する。
2. Dscanメニューで[LithDefオフ]にする。描画専用偏向アンプの[LITH ON]の緑
のボタンランプが消灯したとこを確認する。
3. StageControlで「ビーム」のオンをクリックする。
4. ガンアライメント画面のフィラメント加熱電流のカーソルを左端に戻す。フィラメン
ト加熱電流を下げるときは一気に下げてよい。
5. [HT像観察]ボタンを押し「HT待機中」にする。
6. フィラメント冷却のため2分間待つ。
7. 使用記録簿にフィラメント点灯時間(フィラメント加熱電流を上げていた時間)と累
積点灯時間(「前回の累積点灯時間」+「今回の点灯時間」)を記入する。
10.試料取り出し
1. 試料ボタンを押し、試料交換ウィンドウのVENTボタンを押して真空容器を大気パー
ジする。
2. パージが完了したら試料を取り出す。
3. 真空容器を閉め、EVACボタンを押して真空引きを行う。
4. 試料を試料ホルダから外す。試料ホルダはエタノールで洗浄してからケースにしま
う。
11.終了操作
1. Macで開いているアプリケーションを全て閉じる。
2. Macをシャットダウン([画面左上のリンゴマーク]→[システム終了])し、モニ
タの電源を切る。
3. ラスターイメージプロセッサの電源をOFFにする。
4. ステージコントローラ、電流計、描画偏向アンプの電源を切る。
5. 試料交換ウィンドウの真空表示が「Ready」であることを確認し、JSM5000ウィンド
ウ右上の終了ボタン押す。確認ダイアログのOKを押してJSM5000を終了する。
6. WindowsPCをシャットダウンし、モニタの電源を切る。
7. SEM本体の電源キースイッチをOFFにする。
8. 使用記録簿の「終了確認」にチェックを入れ、「終了日時」を記入する。ファイルの
持ち出しにUSBメモリを使用した場合は「USBメモリの差込み」欄の「有」に丸を付
ける。使用するUSBメモリは必ずウィルスチェックを済ましておくこと。
9. 冷却水循環装置は停止させず、ONのままにしておく。
10
付録1
パターンの作図方法と注意点
描画パターンの作図は「VectorWorks」というCADソフトで行う。使い方は一般的な
CADソフトと同じであるので詳述は省く。但し、電子線描画のための注意点が幾つかある。
以下にそれを挙げておく。
 新規に描画パターンを作図する際はデフォルトファイルを使用する。これを用いれば細
かい設定が不要である。デスクトップの「デフォルトファイル」フォルダの中から各自
の条件に適したファイル(表1)を用いる。ファイルを開くとVectorWorksが起動する。
開いたデフォルトファイルにはすぐに別の名前を付けて保存する。
 デフォルトファイルへの上書き保存は厳禁
表1 デフォルトファイルの主な条件(加速電圧20kV, 作動距離20.3mm)
ファイル名
フィールドサイズ
(µm□)
解像度
ドーズ時間
ビーム電流
(µm/pixel)
(pA)
ドーズ量
(µC/cm2)
Def0200um
200
0.02
0.2
40
2
Def0500um
500
0.05
0.5
100
2
Def1000um
1000
0.1
0.4
500
2
※ 描画の条件はVectorWorksメニューの条件設定から変更できる。以下の項目は実験条件
に合わせて適宜変更すること。但し、それ以外の項目は変更すると適正に描画ができな
くなる場合があるので変更しないこと。
条件設定:ドーズ時間、ビーム電流
作図設定:フィールド数 X/Y
 描画パターンより大きな描画領域を設定する。描画領域とはフィールドの集合であり、
縦・横それぞれにフィールド数を指定することで得られる長方形の領域である。描画領
域の外に描かれたパターンは描画されない。描画領域の設定は、VectorWorksメニュー
の[ビームドロー]→[条件設定]→[作図設定]の「フィールド数 X/Y」に数値を入
力して行う。
 描画エリア内の“白”又は“透明”の部分は電子線が照射されず、それ以外の色の部分
が照射される。
 面積を持たない図形は描画されない。したがって“線”のみで描かれた図形は描画され
ない。
 文字は図形に変換しなければ描画されない。図形変換は文字を選択してVectorWorksメ
ニューの[文字]→[TrueTypeを多角形に変換]を行い、続いて[加工]→[多角形変
換]を行う。
 円、楕円、角丸四角形などの滑らかな曲線を持つ図形の大きさは30,000pixe以下でなけ
ればならず、それを超えると図形として認識されない。1pixelのサイズは[ビームドロ
ー]→[条件設定]→[作図設定]の「単位」項目で確認できる。制限を超える大きさ
11
の図形を描画したい場合は[加工]→[多角形変換]を行って多角形図形にする。
付録2
ドーズ量及びビーム電流、ドーズ時間の決め方
ドーズ量とは単位面積あたりに照射する電子線の量であり、単位は一般に“µC/cm2”で表
される。電子線描画はレジストを電子線で感光させる必要があるためドーズ量は使用するレ
ジストの感度に合せる。ドーズ量 D (µC/cm2)はドーズ時間 t とビーム電流 I (pA)の 2 つのパ
ラメータにより決定され、これらは“ D ∝ t・I ”の関係がある。ドーズ時間 t は小さいほ
うが短時間で描画できるメリットがあり、また、ビーム電流 I も小さいほうが高解像度で描
画できるメリットがある。先の関係式からドーズ時間を減らせばビーム電流が増し、逆にド
ーズ時間を増やせばビーム電流は減らさなければならないため、描画時間と解像度はトレー
ドオフの関係にある。但し、原則としては解像度を優先して決めてよい。作製するパターン
に必要な解像度から表 2 を参考にビーム電流を決める。な
お、ドーズ量 D とビーム電流 I が決まるとドーズ時間 t は必
然的に決まる。決めたドーズ量及びビーム電流、ドーズ時間
表 2 ビーム電流と解像度
ビーム
電流
100 pA
200 nm
1000 pA
400 nm
10000 pA
800 nm
を VectorWorks に入力して設定する。
<ドーズ量及びビーム電流、ドーズ時間の設定方法>
解像度の
目安
① VectorWorks メニューの[条件設定]を開く。
② ビーム電流を入力する。
③ 所望のドーズ量となるドーズ時間を入力する。チェックボタンを押すとドーズ量の計
算結果が表示される。なお、ドーズ時間の下限値は「0.2」である
④ 設定ボタンを押す。
付録3
描画開始位置の求め方
描画開始位置の座標の求め方は図 28 の通りである。手順 4-4 で求めた( x , y )に対し、holder11 の座標を基準とした相対位置で描画開始位置を求める。また、CAD 上のパターンにおける描画
開始位置は図 29 に示す通り左下のフィールドの中央である。パターン全体の中心と描画開始位
置は一致しないことに注意すること。
描画開始位置の求め方
描画開始位置
( Xd , Yd )
�
𝑋𝑋𝑑𝑑
𝑋𝑋ℎ − 𝑥𝑥
�=�
�
𝑌𝑌𝑌𝑌
𝑌𝑌ℎ + 𝑦𝑦
フィールド数(3×2)の場合
y µm
描画開始位置
Y
Y
X
x µm
パターン全体の中心
holder1-1
( Xh , Yh )
X
図 29 パターン上の描画開始位置
図 28 描画開始位置の求め方
12
付録4
SEM画像の保存方法
1. 保存したいSEM像を画面に表示させてスキャン4をクリックする。SEM画面でスロ
ースキャンが行なわれる。
2. スキャンが終了すると「フリーズ…」バーが現れる。「フリーズ…」バーの保存をク
リックし、「保存する場所」を選んで保存をクリックする。
 保存場所は[マイドキュメント] >[Users]に“研究室名”フォルダ作成して
保存すること。Userフォルダ以外にあるファイルは断りなく削除する。
3. 「フリーズ…」バーのキャンセルをクリックし、スキャン2をクリックして通常観察
に戻る。
付録5
試料ステージと各種試料ホルダ
ステージ動作範囲
mesh@stage
y
【試料ステージ】
試料ステージ右図のような構成になっている。
80mm
40mm
「FC」(ファラデーカップ)及び
「mesh@stage」はStageControlのページ指定
o
でそれらの位置座標を呼び出すことができる。
ステージの座標原点は特に目印はなく、通常ス
テージの角(座標(+17500,-32500))に試料や試
FC(FaradayCup)
(+17.5k,-32.5k)
料ホルダを合わせてセットする。試料ステージ
の動作範囲は原点を中心にx方向に80mm、y方向に40mmである。
【試料ホルダ】
●
標準ホルダ1(ホルダ厚み:2.8mm)
holder1-1
一般に使用されるホルダである。試料ステージには右図の
ようにセットする。切り欠き部分に試料の角をセットし、
StageControlのページ指定holder1-1でその座標を呼び出す
ことができる。このホルダを使用した場合、Z軸目盛は
「20.3+2.8+試料厚み(mm)」にセットする。
標準ホルダ 1
13
x
●
holder2-2
標準ホルダ2(ホルダ厚み:3mm)
同時に複数の試料を取り付けられるよう5つのツメを付
holder2-4
けたホルダである。StageControlのページ指定に
holder2-1, 2, 3, 4, 5の座標を登録している。このホルダ
holder2-5
を使用した場合、Z軸目盛は「20.3+3+試料厚み(mm)」
にセットする。
holder2-3
holder2-1
標準ホルダ 2
●
高精度描画用ホルダ(ホルダ厚み:10mm)
高精度描画を行う際に用いるホルダである。高精度描画の
方法については別紙(高精度描画の方法)を参照のこと。
holderHP-1
holderHP-2
試料ステージには右図のようにセットする。Stage
Controlのページ指定にholderHP-1, 2の座標を登録してい
る。
高精度描画用ホルダ
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