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EB描画 - メカノマイクロプロセス室
走査型電子顕微鏡(SEM)/EB 描画装置 操作マニュアル 第 10 版 2016 年 5 月 東京工業大学 創造研究棟 メカノマイクロプロセス室(庄司) ※ 本装置の使用に必要な条件: ・入室講習を受講していること ・装置利用講習を受講していること 1.はじめに 本装置は日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM-5610 に(株)東京テクノロジー製の 描画制御システム(ビームドロー、ビームブランキング、ラスターイメージプロセッサ、描画用偏 向アンプ、ステージコントローラ) (図 1)を付加して、微細加工プロセスに必要な電子線描画を 行うものである。図 2 が装置外観である。本マニュアルは、電子線描画及び走査型電子顕微鏡観 察の操作方法について述べている。 なお、本装置の操作のほとんどは Mac 及び Windows の PC によって行う。そこで、Mac での操 作は「 」マーク、Windows での操作は「 」マークを各手順もしくは章の頭に付した。 補正データ(D-Scan) ビームドロー in Mac ・図形情報 ・補正解析 命令 ビームブランキング 図形信号 ステージ 駆動信号 ステージコントローラ ・ステージ駆動制御 ラスターイメージ プロセッサ ・命令実行ユニット 制御 ・電子線 ON/OFF 制御 描画用偏向アンプ ・偏向コイル制御 走査信号 制御 図 1 描画制御システムの概要 冷却水 循環装置 Mac (ビームドロー用) Windows 用 モニタ ビーム ブランキング Mac 用 モニタ 試料室 SEM 電源 Windows PC (SEM 制御用) 図 2 外観写真 1 ラスターイメージ プロセッサ SEM 2.装置の主な仕様 SEM(JSM-5610) <一般性能> 3.0nm保証(加速電圧30kV、WD6mm、二次電子像) 分解能: 倍率: ×18(WD48mm)~300,000(全136段) 像の種類: 二次電子像 照射電流:1pA~1µA <電子光学系> 0.5~30kV(53段) 加速電圧: フィラメント: プリセンタードヘアピン形タングステンフィラメント バイアス電圧: オートバイアス(加速電圧に連動) 軸合せ: 電磁二段偏向方式 コンデンサレンズ: 対物レンズ: 電磁二段ズームコンデンサレンズ方式 コニカル対物レンズ 対物絞り: クリックストップ形、3段切替、XY微動可能 非点収差補正: 電磁8極XY方式、プリセンタード 走査コイル:電磁二段偏向方式 <検出器> 二次電子検出器: コレクタ、シンチレータ、ライトガイド、光電子増倍管で構成 <操作系> 基本システム:IBM/AT互換パソコン(PC)、64MB以上(RAM)、Windows2000(OS) <排気系> 0.1mPaオーダー 到達圧力: 100L/min 1台 油回転ポンプ: 4型420L/s(水冷バッフル付き) 1台 油拡散ポンプ: ラスターイメージプロセッサ プロセッサ: クロック: MC68340-25 24MHz RS-422 38400bps 無手順又はSCSI 図形転送方式: 描画方式: ラスター走査描画 16MB 描画用メモリ: 10000H × 10000V 描画アドレス: 図形位置精度水平方向: 0.0625dots以下(Worst case) 垂直方向 0.01dots以下 ブランキングアンプ 最大応答周波数: ブランキング出力: 信号入力形態: 10MHz 0,+200V ファイバーリンク方式 2 3.装置立ち上げ 1. 使用記録簿に「開始日時」「研究室名」「氏 名」「使用目的」を記入する。 2. 鏡筒の後ろにある冷却水循環装置(図2, 3)の電 源がONであることを確認する。水量を確認し、 少なくなっていたら補充する。 3. SEM左下部の電源キー(図2)を車のイグニッ 電源(常時 ON) ションと同様にONに回してから一瞬STARTに して電源を入れる。 4. 10秒待った後、SEM右下部のWindowsPC(図2) 図 3 冷却水循環装置 を起動し、モニタの電源を入れる。 5. 電流計(図4)の電源をONにし、D GUARD及び ステージ コントローラ A DCボタンを押す。 6. ステージコントローラ(図4)の電源をONにする。 7. 描画用偏向アンプ(図4)の電源をONにする。 電流計 8. ラスターイメージプロセッサ(図2)の電源をON にする。 描画用偏向アンプ 9. Mac(図2)を起動し、モニタの電源を入れる。 10. デスクトップのJSM5000(SEM操作ソフト(図 図 4 各種制御装置 5))を起動する。 11. 描画パターンを作図したVectorWorksファイル を開く。パターン作図に関しては付録1を参照の こと。 12. VectorWorksメニューの[ビームドロー]→ [ビームコントロール]を選択すると 「“BDUtilX”起動中です!」のダイアログが 表示され、OKを押すとビームコントロール画面 が立ち上がる。 13. ビームコントロールの[ビームオン]⇔[ビー 図5 JSM5000 画面 ムオフ]の切り替えに連動してビームブランキ ングの赤ランプが[消灯]⇔[点灯]すること を確認する(図2, 6)。戻るボタンを押してウ ィンドウを閉じる。なお、BDUtilXウィンドウ は閉じてはならない。邪魔な場合は最小化して おく。 ビームブランキング ビームオフ:赤ランプ点灯 ビームオン:赤ランプ消灯 4.試料の取り付け ここでの作業は必ず手袋着用のこと。試料ホルダ、 3 図 6 ビームブランキング 試料室内は素手で触らないよう注意する。また、試料 試料ホルダ ステージは必要のないときは閉じておき、埃やゴミが 入らないよう注意すること。 1. 試料の厚み(0.1mm単位まで)を確認してお く。分からなければ測定する。 試料 2. 試料の角から1, 2mm□程度の範囲をピンセット でこすって傷を付け、ミクロンサイズの小さなゴ ミを作る。 傷をつけた角 図 7 試料ホルダへの 試料のセット(写真) 3. 試料ホルダ(標準ホルダ1)に試料を置く(図7, 8)。ホルダの切り欠き部分に試料の傷を付けた 角がくる向きに置き、ツメで固定する。ホルダか ら試料が浮いていないことを確認する。 描画開始位置 試料 ホルダ 4. 傷をつけた角を基準とした描画開始位置の相対座 標(図8中の ( x , y ) )を測る。単位はµmとす る。 5. JSM5000メニューの試料をクリックして試料交 換のウィンドウ(図9)を開き、真空表示が 「Ready」であることを確認する。「Ready」に なっていなければもうしばらく待つ。 試料 ● y µm Y x µm X 傷をつけた角 図 8 試料ホルダへの 試料のセット(イラスト) 通常は手順3-3の電源キーをONにしてから 20分程で「Ready」になる。 6. VENTボタンを押して真空容器を大気パージす る。パージ完了の合図はないが20秒程で完了す る。 7. 試料ステージを手前に引き出す。引き出す際は両 サイドに窪みに指を掛ける。 8. 試料ホルダを試料ステージに置く(図10)。切 図 9 試料交換画面 り欠き部分が奥になる向きで試料ステージの角と 試料ホルダの角を合せる。置いたら取り付け金具 で試料ホルダを固定する。 試料取り付け作業の際は試料ステージに荷重 ○ Y をかけないよう注意する。 9. 試料ステージを真空容器内に押し入れて真空引き X を行う。試料ステージはゆっくりと動かすこと。 試料ステージを軽く抑えた状態でEVACボタンを 押す。ロータリーポンプの排気音が小さくなれば 手を離してよい。通常は10秒くらいで音は小さ くなる。 取り付け 金具 ファラデー カップ 図 10 試料ステージへの 試料ホルダのセット 4 真空表示が「PRE EVAC」→「EVAC」→ 「READY」と変化する。「READY」のメ ッセージが出れば真空引きは完了である。 目標位置指定 座標の 呼び出し ビーム ON/OFF 10. VectorWorksメニューの[外部機器]→[ステ ージ]でStageControl(図11)を起動する。こ れと同時にステージが初期化される。初期化は2 分程度かかる。 5.電子線調整 軸指定 ドーズ量及びビーム電流を設定しておくこと。詳細 図 11 StageControl 画面 は付録2を参照のこと。 1. StageControl(図11)の「ページ指定」から [FC]pos(ポジション)を選択し、絶対ボタ ンを押す。これによりファラデーカップが観察 位置に移動する。 2. ステージのZ軸つまみ(図12)の目盛を 「20.3mm+試料ホルダ厚み(mm)+試料厚み (mm)」にする。標準ホルダ1の厚みは2.8mmで ある。 Z軸 つまみ 傾斜 つまみ Z軸つまみの目盛りは18mm以下にしてはな らない。ステージが上がりすぎて試料室内 上部の対物レンズや2次電子コレクタにぶつ かるからである。また、ステージ右の傾斜 図 12 Z 軸つまみ つまみ(図12)は動かしてはならない。 3. StageControl(図11)で「ビーム」のオンをク リックする。 4. JSM5000のレシピボタンをクリックしてレシ ピ画面(図12)を開く。「カスタムレシピ」メ ニューから「FC」を選択して実行ボタンを押 す。 5. JSM5000の試料を押して試料交換ウィンドウ を立ち上げて真空表示が「READY」であるこ とを確認し、左上の[HT待機中]をクリック する。これによりボタン表示が[HT像観察] に変わり加速電圧が印加される。 6. 試料交換ウィンドウを閉じる。 7. 電子銃部の放電を安定させるため3分間待つ。 8. JSM5000の電子銃ボタンをクリックしてガン 5 図 13 レシピ画面 アライメント画面(図14)を開く。 9. フィラメント加熱電流バー右端の ► をカチカ チ押してフィラメント加熱電流をゆっくりと上 げていく。カーソルが概ねバー全体の60%くら いの位置(図15)にきたら止める。なお、オレ ンジ色の領域に入らないように注意すること。 10. ファラデーカップの穴(図16)が画面中央に来 るようにStageControlの軸指定(図11)でステ ージを動かす。右側のSpeedバーで適宜スピー ド調整をする。 11. JSM5000の倍率ボタンで倍率を400倍にする。 12. SEM像のコントラスト・ブライトネスを調整し 図 14 ガンアライメント てフォーカス合わせを行う。SEM画面の上にあ るコントラスト・ブライトネス・フォーカスボ タンをクリックしながら上下に動かして調整す る。右クリックは「COARSE」と表示され粗い この位置で ストップ 調整となり、左クリックは「FINE」で細かい 調整ができる。 13. StageControlの軸指定でファラデーカップの穴 図 15 フィラメント加熱電流 のカーソル位置 を画面中央に持ってくる。 14. 倍率を10,000倍にする。 15. JSM5000メニューバーの「制御ツール」-「レ ンズリセット」を選択する。 16. スポットサイズのスケールバーのカーソル(図 17)を動かしてビーム電流(電流計(図4)の 読み値)を所望の値(付録2参照)に設定す る。 17. JSM5000メニューバーの「制御ツール」-「レ ンズリセット」を選択する。 18. ビーム電流を確認し、値がズレていたら再調整 図 16 ファラデーカップ する。 19. ガンアライメント(図14)の「アライメント調 整」項目で傾斜Xスクロールバー両端の ◄ また は ► をクリックしてビーム電流が最大になる ように調整する。 20. 同様の操作を「傾斜Y」「水平X」「水平Y」に 対して行う。 21. ビーム電流がズレていたらスポットサイズで調整 し、メニューバー「制御ツール」-「レンズリセ 6 図 17 スポットサイズ ット」を選択する。ビーム電流のズレがなくなる までスポットサイズ調整とレンズリセットを繰り 返す。 22. StageControlで「ビーム」のオフをクリック し、電流計の値がほぼゼロになることを確認す L.C. る。ゼロでなければビームをオンにしてアライ メント調整(手順19~)からやり直す。 23. 「ビーム」のオンをクリックする。 24. ビーム電流が安定するのを待つ。10分程度放置 して変動が±3%以内であれば十分安定している スポット サイズ とみてよい。値がズレていたらスポットサイズ を調整して正しい値に戻す。 25. 使用記録簿に「ビーム電流」と「L.C.」「スポ 図 18 L.C とスポットサイズ ットサイズ」(図18)を記入する。 26. SEMの倍率を100倍にする。 27. StageControlで「ビーム」のオフをクリックす る。 6.試料上でのフォーカス合わせ 1. MacのStageControlの「ページ指定」で [holder1-1]pos(付録5参照)を選択して絶 観察しやすい 傷を探す 対ボタンを押す。これにより試料の傷を付けた 角(図7, 8)がSEM観察位置に来る。 2. StageControlで「ビーム」のオンをクリックす る。傷を付けた角がSEMの画面に映し出される (図19)。見えなければ倍率を最低倍率にす 試料の角 図 19 holder1-1 ポジション る。 3. 試料上で観察しやすい傷を探し、画面中央に来 るようステージを動かす(図19, 20)。 4. 「コントラスト」・「ブライトネス」・「フォ ーカス」を合わせる。 5. 倍率を400倍にしてフォーカス合わせを行う。 傷を画面中央 に移動 6. 3~10µmの大きさの適当な像を探す。コントラ ストが明瞭で視認しやすく、かつ付近に似たよ うな像がないこと。以下、この像を「Dscan目 標物」(図21)という。 7. Dscan目標物を画面中央に持ってきて「コント ラスト」・「ブライトネス」・「フォーカス」 7 図 20 傷を画面中央に移動 を合わせる。 8. 倍率を15,000倍にしてフォーカスを合わせる。 倍率を上げていく過程でDscan目標物が画面中 央にくるよう適宜ステージを動かす。 9. 倍率を4,000倍にする。 10. Dscan目標物が画面中央にくるようステージを動 かす。 11. コントラストをやや強めにしてDscan目標物を 見やすくする。(図21) 12. StageControlで「ビーム」のオフをクリックす 図 21 Dscan 目標物 る。 7.補正条件の更新 この章ではDscanというソフトを用いて描画の誤差 を補正する。ステージを上下左右に動かした際の移動 ① Pos ボタン をクリック 量とSEM像により検出されるDscan目標物の移動量を 比較し、両者の移動量のズレから描画の誤差を計算し て補正する。 1. VectorWorksメニューより[外部機器]→ [Dscan]にてDscanを起動する。 2. VectorWorksメニューより[外部機器]→[つ なぎ条件送付]を行ってVectorWorksで設定し ② Dscan 目標物を クリック た描画条件をDscanへ送る。 ③ 鉛筆ボタン をクリック 3. Dscanメニューより[Dscan]→[LithDefオ 図 22 Frame 画像 ン]を選択する。 これにより描画専用偏向アンプ(図4)がカ チカチカチと鳴り、[LITH ON]の緑のボ タンランプが点灯する。 4. Dscanメニューより[マークサーチ]→[サ ーチスタート]によりマークサーチ始まる。20 最初の Frame 画面 秒程でマークサーチが終わり手順6-11のDscan マーク サーチ 新たな Frame 画面 目標物がFrame画像に現れる。 5. Frame画像の画面でPos →[Dscan目標物] → 鉛筆マークの順にクリック(図22)すると 再度マークサーチが始まる。なお、Dscan目標 物のクリック位置を正確に憶えておくこと。 6. 新たなFrame画像が現れる。先の手順と同様に Pos →[Dscan目標物]→ 鉛筆マークの順に 8 Dscan 目標物 同じ場所を クリック 図 23 Dscan 目標物のクリック クリックすると再度マークサーチが始まる。こ こで、Dscan目標物のクリックは先の手順と同じ 場所をクリック(図23)すること。 7. Dscan画面左下に「--Normal mode--」メ ッセージ(図24)が現れるまで手順6を繰り返 図 24 Normal mode の表示 す。この手順は通常30~40回行う。 50回を超えても終わらないときはDscanを 失敗している。その場合はDscan目標物を探 すところ(手順6-6)からやり直す。 8. Dscan画面左下に「--Normal mode--」メ ッセージが現われたらDscan終了である。 9. VectorWorksのメニューから[外部機器]→ [つなぎ条件入手]を行い、解析した補正条件 をVectorWorksに取り込む。 10. Dscanで得た補正条件を保存する。 VectorWorksのメニューから[ファイル]→ [保存]で保存する。 図 25 描画オプション画面 8.描画 1. StageControlの目標位置指定(図11)に描画開始 位置の座標を入力してし、絶対ボタンを押す。 これによりステージが描画開始位置に移動す る。描画開始位置の座標の求め方は付録3を参 照する。 2. VectorWorksメニューから[ビームドロー]→ [描画]→[オプション]→「□この場所から スタート」(図25)にチェックを入れる。 図 26 動作状況画面 3. 実行ボタン(図25)を押すと描画が始まる。 4. 動作状況画面(図26)が開き、描画中のフィー ルド番号と1フィールドあたりの描画時間が表示 され描画の進捗状況が確認できる。 描画中に席を離れる場合はディスプレイの 電源をOFFにすること。 描画が翌日以降に渡る場合はポストイット に所属研究室、氏名、終了予定日時、連絡 先を記入したものを立て札に貼って(図 27)描画中であることを知らせる。 5. 動作状況画面が消えたら描画完了である。 9 氏名・連絡先等を書いて貼る 図 27 使用中の注意書き 9.電子線立ち下げ 1. StageControlの「ページ指定」から[FC]posを選択し、絶対ボタンを押してステー ジをファラデーカップの位置に移動する。 2. Dscanメニューで[LithDefオフ]にする。描画専用偏向アンプの[LITH ON]の緑 のボタンランプが消灯したとこを確認する。 3. StageControlで「ビーム」のオンをクリックする。 4. ガンアライメント画面のフィラメント加熱電流のカーソルを左端に戻す。フィラメン ト加熱電流を下げるときは一気に下げてよい。 5. [HT像観察]ボタンを押し「HT待機中」にする。 6. フィラメント冷却のため2分間待つ。 7. 使用記録簿にフィラメント点灯時間(フィラメント加熱電流を上げていた時間)と累 積点灯時間(「前回の累積点灯時間」+「今回の点灯時間」)を記入する。 10.試料取り出し 1. 試料ボタンを押し、試料交換ウィンドウのVENTボタンを押して真空容器を大気パー ジする。 2. パージが完了したら試料を取り出す。 3. 真空容器を閉め、EVACボタンを押して真空引きを行う。 4. 試料を試料ホルダから外す。試料ホルダはエタノールで洗浄してからケースにしま う。 11.終了操作 1. Macで開いているアプリケーションを全て閉じる。 2. Macをシャットダウン([画面左上のリンゴマーク]→[システム終了])し、モニ タの電源を切る。 3. ラスターイメージプロセッサの電源をOFFにする。 4. ステージコントローラ、電流計、描画偏向アンプの電源を切る。 5. 試料交換ウィンドウの真空表示が「Ready」であることを確認し、JSM5000ウィンド ウ右上の終了ボタン押す。確認ダイアログのOKを押してJSM5000を終了する。 6. WindowsPCをシャットダウンし、モニタの電源を切る。 7. SEM本体の電源キースイッチをOFFにする。 8. 使用記録簿の「終了確認」にチェックを入れ、「終了日時」を記入する。ファイルの 持ち出しにUSBメモリを使用した場合は「USBメモリの差込み」欄の「有」に丸を付 ける。使用するUSBメモリは必ずウィルスチェックを済ましておくこと。 9. 冷却水循環装置は停止させず、ONのままにしておく。 10 付録1 パターンの作図方法と注意点 描画パターンの作図は「VectorWorks」というCADソフトで行う。使い方は一般的な CADソフトと同じであるので詳述は省く。但し、電子線描画のための注意点が幾つかある。 以下にそれを挙げておく。 新規に描画パターンを作図する際はデフォルトファイルを使用する。これを用いれば細 かい設定が不要である。デスクトップの「デフォルトファイル」フォルダの中から各自 の条件に適したファイル(表1)を用いる。ファイルを開くとVectorWorksが起動する。 開いたデフォルトファイルにはすぐに別の名前を付けて保存する。 デフォルトファイルへの上書き保存は厳禁 表1 デフォルトファイルの主な条件(加速電圧20kV, 作動距離20.3mm) ファイル名 フィールドサイズ (µm□) 解像度 ドーズ時間 ビーム電流 (µm/pixel) (pA) ドーズ量 (µC/cm2) Def0200um 200 0.02 0.2 40 2 Def0500um 500 0.05 0.5 100 2 Def1000um 1000 0.1 0.4 500 2 ※ 描画の条件はVectorWorksメニューの条件設定から変更できる。以下の項目は実験条件 に合わせて適宜変更すること。但し、それ以外の項目は変更すると適正に描画ができな くなる場合があるので変更しないこと。 条件設定:ドーズ時間、ビーム電流 作図設定:フィールド数 X/Y 描画パターンより大きな描画領域を設定する。描画領域とはフィールドの集合であり、 縦・横それぞれにフィールド数を指定することで得られる長方形の領域である。描画領 域の外に描かれたパターンは描画されない。描画領域の設定は、VectorWorksメニュー の[ビームドロー]→[条件設定]→[作図設定]の「フィールド数 X/Y」に数値を入 力して行う。 描画エリア内の“白”又は“透明”の部分は電子線が照射されず、それ以外の色の部分 が照射される。 面積を持たない図形は描画されない。したがって“線”のみで描かれた図形は描画され ない。 文字は図形に変換しなければ描画されない。図形変換は文字を選択してVectorWorksメ ニューの[文字]→[TrueTypeを多角形に変換]を行い、続いて[加工]→[多角形変 換]を行う。 円、楕円、角丸四角形などの滑らかな曲線を持つ図形の大きさは30,000pixe以下でなけ ればならず、それを超えると図形として認識されない。1pixelのサイズは[ビームドロ ー]→[条件設定]→[作図設定]の「単位」項目で確認できる。制限を超える大きさ 11 の図形を描画したい場合は[加工]→[多角形変換]を行って多角形図形にする。 付録2 ドーズ量及びビーム電流、ドーズ時間の決め方 ドーズ量とは単位面積あたりに照射する電子線の量であり、単位は一般に“µC/cm2”で表 される。電子線描画はレジストを電子線で感光させる必要があるためドーズ量は使用するレ ジストの感度に合せる。ドーズ量 D (µC/cm2)はドーズ時間 t とビーム電流 I (pA)の 2 つのパ ラメータにより決定され、これらは“ D ∝ t・I ”の関係がある。ドーズ時間 t は小さいほ うが短時間で描画できるメリットがあり、また、ビーム電流 I も小さいほうが高解像度で描 画できるメリットがある。先の関係式からドーズ時間を減らせばビーム電流が増し、逆にド ーズ時間を増やせばビーム電流は減らさなければならないため、描画時間と解像度はトレー ドオフの関係にある。但し、原則としては解像度を優先して決めてよい。作製するパターン に必要な解像度から表 2 を参考にビーム電流を決める。な お、ドーズ量 D とビーム電流 I が決まるとドーズ時間 t は必 然的に決まる。決めたドーズ量及びビーム電流、ドーズ時間 表 2 ビーム電流と解像度 ビーム 電流 100 pA 200 nm 1000 pA 400 nm 10000 pA 800 nm を VectorWorks に入力して設定する。 <ドーズ量及びビーム電流、ドーズ時間の設定方法> 解像度の 目安 ① VectorWorks メニューの[条件設定]を開く。 ② ビーム電流を入力する。 ③ 所望のドーズ量となるドーズ時間を入力する。チェックボタンを押すとドーズ量の計 算結果が表示される。なお、ドーズ時間の下限値は「0.2」である ④ 設定ボタンを押す。 付録3 描画開始位置の求め方 描画開始位置の座標の求め方は図 28 の通りである。手順 4-4 で求めた( x , y )に対し、holder11 の座標を基準とした相対位置で描画開始位置を求める。また、CAD 上のパターンにおける描画 開始位置は図 29 に示す通り左下のフィールドの中央である。パターン全体の中心と描画開始位 置は一致しないことに注意すること。 描画開始位置の求め方 描画開始位置 ( Xd , Yd ) � 𝑋𝑋𝑑𝑑 𝑋𝑋ℎ − 𝑥𝑥 �=� � 𝑌𝑌𝑌𝑌 𝑌𝑌ℎ + 𝑦𝑦 フィールド数(3×2)の場合 y µm 描画開始位置 Y Y X x µm パターン全体の中心 holder1-1 ( Xh , Yh ) X 図 29 パターン上の描画開始位置 図 28 描画開始位置の求め方 12 付録4 SEM画像の保存方法 1. 保存したいSEM像を画面に表示させてスキャン4をクリックする。SEM画面でスロ ースキャンが行なわれる。 2. スキャンが終了すると「フリーズ…」バーが現れる。「フリーズ…」バーの保存をク リックし、「保存する場所」を選んで保存をクリックする。 保存場所は[マイドキュメント] >[Users]に“研究室名”フォルダ作成して 保存すること。Userフォルダ以外にあるファイルは断りなく削除する。 3. 「フリーズ…」バーのキャンセルをクリックし、スキャン2をクリックして通常観察 に戻る。 付録5 試料ステージと各種試料ホルダ ステージ動作範囲 mesh@stage y 【試料ステージ】 試料ステージ右図のような構成になっている。 80mm 40mm 「FC」(ファラデーカップ)及び 「mesh@stage」はStageControlのページ指定 o でそれらの位置座標を呼び出すことができる。 ステージの座標原点は特に目印はなく、通常ス テージの角(座標(+17500,-32500))に試料や試 FC(FaradayCup) (+17.5k,-32.5k) 料ホルダを合わせてセットする。試料ステージ の動作範囲は原点を中心にx方向に80mm、y方向に40mmである。 【試料ホルダ】 ● 標準ホルダ1(ホルダ厚み:2.8mm) holder1-1 一般に使用されるホルダである。試料ステージには右図の ようにセットする。切り欠き部分に試料の角をセットし、 StageControlのページ指定holder1-1でその座標を呼び出す ことができる。このホルダを使用した場合、Z軸目盛は 「20.3+2.8+試料厚み(mm)」にセットする。 標準ホルダ 1 13 x ● holder2-2 標準ホルダ2(ホルダ厚み:3mm) 同時に複数の試料を取り付けられるよう5つのツメを付 holder2-4 けたホルダである。StageControlのページ指定に holder2-1, 2, 3, 4, 5の座標を登録している。このホルダ holder2-5 を使用した場合、Z軸目盛は「20.3+3+試料厚み(mm)」 にセットする。 holder2-3 holder2-1 標準ホルダ 2 ● 高精度描画用ホルダ(ホルダ厚み:10mm) 高精度描画を行う際に用いるホルダである。高精度描画の 方法については別紙(高精度描画の方法)を参照のこと。 holderHP-1 holderHP-2 試料ステージには右図のようにセットする。Stage Controlのページ指定にholderHP-1, 2の座標を登録してい る。 高精度描画用ホルダ 14