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自転車のルールとマナー その4
自転車のルールとマナー その4 自転車は、子どもから高齢者まで広い年齢層で、買い物、通勤・通学等の身近な交通手 段としてばかりでなく、レジャー、スポーツ、健康保持など幅広い目的に手軽に利用され ています。 しかし、自転車が関係する交通事故は年々増加しており、自転車利用者の交通ルール・ マナー違反が社会問題となっています。 こうした事態を踏まえ、政府の交通対策本部は平成19年7月10日付けで、「自転車の安全 利用の促進について」を決定し、「自転車安全利用五則」を制定して、国や地方公共団体 に自転車の安全利用の指導、通行ルールの広報啓発などの措置を講ずることを求めてい ます。 今回は、自転車に係る交通事故の現状を認識して、その対策について考えます。 1 自転車に係る交通事故情勢 自転車に係る交通事故は、平成8年には1,103件であったものが、平成18年には1,509 件となり、この10年間で約1.37倍になっている。 これは、同期間の全交通事故の発生が1.28倍であることと比べると、その危険度が実 感できる。 全交通事故発生件数と自転車事故発生件数の推移 件 件 12000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 10000 全 事 故 発 生 件 数 8000 6000 4000 2000 0 平成8年 平成9年 全事故発生件数 自転車事故件数 7843 1103 7993 1123 平成10 平成11 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 平成18 年 年 年 年 年 年 年 年 年 8703 1241 8764 1238 9519 1293 9846 1330 9766 1406 10276 1498 10292 1677 10107 1507 自 転 車 事 故 発 生 件 数 10005 1509 更に、サンプルは少ないが「自転車対歩行者」の事故は、平成8年は3件であったもの が平成18年には11件で3.7倍にもなっており、自転車が加害者になる傾向が目立って いる。 ○ 事故事例1(平成14年横浜市内で発生) 夜間、無灯火のうえ携帯電話を操作をしながら自転車で走行していた女子高校生が、 歩行中の高齢者に後方から衝突して、歩行者に手足にしびれが残り、歩行困難になる 重い後遺症の残る傷害を与え、民事訴訟の結果5,700万円の賠償金支払いの判決があ った。 ○ 事故事例2(平成18年松山市内で発生) 小学2年生の男児が自転車で歩道を走行中、脇見をしていたため、前方から犬を連 れて歩いてきた81歳の高齢者に衝突して転倒させ、死亡させた。 ※自転車事故の当事者は高校生は勿論、小学生等の低年齢層でもなりうる可能性があ り、ひとたび発生すると重大事故に繋がるばかりか、莫大な賠償金を請求される。 2 自転車に係る交通事故の特徴(平成18年中) (1) 一般的には交通弱者であるが、歩行者との事故では加害者になることが多く、交通 強者である。 (2) 自転車に係る交通事故の57.0%は出合頭衝突で、全事故に占める出合頭事故(27.2%) の2倍以上にのぼり、事故原因がルール違反であることが顕著に表れている。 (3) 当事者の年齢層では、小・中・高校生が535人(34.9%)、高齢者が292人(19.0%)で、 中でも高校生が225人(14.7%)、中学生が170人(11.1%)を占めており、これらの世代が 自転車事故に大きく関わっている。 (4) 3 死者は、高齢者が5人(45.5%)、60歳∼64歳が2人(18.2%)を占めている。 自転車利用者の現状 平成17年の県内の自転車保有台数は82万4,000台で、県民の1.6人に1台を保有してい ることになる。(四輪車は2.3人に1台、二輪車は3.1人に1台) 自転車は運転免許がいらずに手軽に乗れる乗り物として、幼児や児童、生徒から高齢 者まで全ての年齢層に亘って、多くの人々に利用されている。 利用目的は、買い物や通勤・通学等の移動手段のほか、近年はレジャー、健康保持、 都市部での業務用など幅広く利用されている。 このように手軽に利用されている一方、利用者の交通ルールとマナーを守らない行動 が交通事故の大きな要因となっている。 昨年の自転車に係る交通事故のうち、自転車が第1当事者になった事故の違反別状況 を見ると、安全不確認49件(全体の21.2%)、一時不停止41件(同6.9%)、信号無視37件(同 15.2%)、前方不注視26件(同10.7%)等となっており、交差点での無謀な行動や携帯電話 を操作しながらの運転等が際だっている。 更に、自転車利用者に対する警告カードの交付状況では、二人乗り1246件(全体の26. 2%)、無灯火891件(同18.7%)、一時不停止606件(同12.7%)、信号無視518件(同10.9%)、 片手運転(携帯電話操作)334件(7.0%)等となっており、若者を中心に交通ルールとマナ ーを守るという姿勢が欠如していることが窺える。 79 49 37 26 そ の 通 右 側 他 行 法 方 行 通 不 注 視 視 5 前 方 号 一 信 不 時 無 停 確 認 止 6 不 全 安 4 41 件 数 警告カード交付件数(18年) 1400 1246 1200 891 1000 800 600 400 200 0 606 533 518 370 334 256 並 携 進 帯 操 作 右 側 通 行 その 他 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 数 二 人 乗 り 無 一 灯火 時 不 停 止 信 号 無 視 件 自転車が第1当事者の違反別(18年) 自転車に係る交通事故の防止対策 このような状況から自転車に係る交通事故の防止対策として、 (1) 小学校から高校まで、自転車を中心とした体系的な交通安全教育の実施 (2) 交通安全対策(交通危険箇所の点検、解消等)に児童・生徒や高齢者を参画させて、 利用者の目線から対策を講じる (3) 家庭では、交通安全教育のほか ・ヘルメットの着用(特に、幼児・児童と高齢者の被害軽減対策として) ・TSマークへの加入(自転車安全整備士のいる自転車店で整備を受けると傷害保 険と賠償責任保険が1年間補償されるTSマークが貼付される) を推進する (4) 地域や学校等で自転車クラブを設けて子供自転車安全リーダーを養成し、子供主体 で安全の輪を拡げる (5) 交通ルールに違反した者に対する取締りの強化 (6) 自転車が快適に走行できる道路環境の整備 等が考えられる。 5 おわりに 地球温暖化対策や石油製品の高騰、健康志向など様々な理由から、今後さらに自転 車の利用は高まっていくと思われる。 こうしたなかで、高齢者に対しては各地で自動車教習所等を活用した「参加・体験・ 実践型」の交通安全教育が行われている。 児童・生徒に対する交通安全教育も、自らが学び、安全確保に関わらせる内容にして、 その重要性を理解させれば、交通ルールとマナーを守る意識が向上し、交通事故の減 少につながると思われる。 (交通政策課 参事 小椋常夫) TSマークについて TSマークは、道路交通法令に定められた大きさ、構造、 性能等の基準に適合した安全な普通自転車であることのしるしです。 TSとは、TRAFFIC SAFETY(交通安全)の頭文字をとったもので、3種類が制定され ています。青色TSマークと赤色TSマークは、自転車安全整備士が点検整備した普通自転車に貼付し、 マークによって付帯保険の補償額が異なります。緑色TSマークは、駆動補助機付自転車(アシスト自 転車)として国家公安委員会の認定を受けた自転車に自転車生産メーカー(もしくは自転車安全整備士) によって貼付され、保険の補償額は赤色TSマークと同じです。 TSマーク付帯保険は、自転車搭 ◎点検整備済みの普通自転車に貼付するTSマーク 第一種TSマーク (青色マーク) 乗者が交通事故により傷害を負った 第2種TSマーク 場合に適用される「傷害補償」と、 (赤色マーク) 自転車搭乗者が第三者に傷害を負わ せてしまった場合に適用される「賠 償責任補償」とがある。 (1) 傷害補償 死亡若しくは重度後遺障害(1∼4級) 入院(15日以上) 第一種点検整備済 第二種点検整備済 TSマーク TSマーク 青色TSマーク 30万円 1万円 赤色TSマーク 100万円 10万円 緑色TSマーク 100万円 10万円 ◎型式認定を受けた駆動補助機付自転車に貼付するTSマーク 駆動補助機付普通自転車用 駆動補助機付自転車用 TSマーク(緑マーク) TSマーク(緑マーク) 重度後遺障害の等級は、自動車損害 賠償保障法に定める等級に該当。 (2) 賠償責任補償 死亡若しくは重度後遺障害(1∼7級) 青色TSマーク 1,000万円 赤色TSマーク 2,000万円 緑色TSマーク 2,000万円 重度後遺障害の等級は、自動車損害 基準適合TSマーク 賠償保障法に定める等級に該当。 付帯保険・基準適合TSマーク TSマークは、『店章』を掲げた自転車安全整備店で取り扱っています。自転車を購入したときや、 点検・整備を受けたとき、点検・整備料を払って貼付してもらうことができます。 自転車の交通安全啓発VTR紹介 中・高生・大学生に是非見てもらいたいVTRを紹介します! ビデオタイトル『まさかの未来』30分 【内容】自転車を傍若無人に乗り回す中学3年生の大樹。教師は、最近自転車事故が急増しているので 自転車通学に気をつけるよう生徒に注意を促すが、大樹は、 「自分が自転車で重大事故を起こすなんて、 まさか…」と、どこ吹く風。そんな大樹の心を見抜くように、「その、まさかが危ないのよ!」と、少 女の声が大樹の頭に響く。そして、帰り道、おばあさんと衝突! 藤田弓子出演 モト冬樹・矢部裕貴子・佐野和真・ 財団法人日本交通管理技術協会制作ビデオです。 県庁:交通政策課077-528-3682にご予約ください。