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2012/9/18 1 下部尿路の構造(正中矢状面) BPH の
2012/9/18 下部尿路の構造(正中矢状面) 2012年9月18日 薬剤師会講演 尿管口 膀胱 前立腺肥大症と前立腺がんの治療 -薬物療法を中心に 薬物療法を中心に-前立腺肥大症 精嚢腺 男性 直腸 恥骨 結合 福岡赤十字病院 泌尿器科 射精管 尿道 後藤 健 前立腺 外尿道括約筋 外尿道口 精巣 山口 脩,他:図説 下部尿路機能障害 前立腺の肥大 正常な前立腺 BPH の臨床症状の特徴 肥大した前立腺 蓄尿症状 排尿症状 尿意切迫感、頻尿など 尿勢低下、排尿遅延など 排尿後症状 前立腺が大きくなり 尿道を圧迫している 下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms; LUTS) 蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状の 3 つに大別される。 蓄尿症状 排尿症状 排尿後症状 (Storage symptoms) (Voiding symptoms) (Post micturition symptoms) 昼間頻尿 頻 尿勢低下 (Increased daytime frequency) (Slow stream) 残尿感 尿線分割,尿線散乱 夜間頻尿 (Splitting, Spraying) (Feeling of incomplete emptying ) (Nocturia) 尿線途絶 排尿後尿滴下 尿意切迫感 (Post micturition dribble) (Urgency) (Intermittent stream, Intermittency) 尿失禁 排尿遅延 (Urinary incontinence) (Hesitancy) (Straining) 終末滴下 (Terminal dribble) 山口 脩,他:図説 下部尿路機能障害 IPSS と QOL スコア 下部尿路症状(LUTS) 腹圧排尿 残尿感、排尿後尿滴下など ICS(国際禁制学会) 2002年用語基準 ICS:International Continence Society 本間 之夫 他. 日本排尿機能学会誌 2003; 14: 278-289 点 国際前立腺症状スコア(IPSS) どれくらいの割合で 次のような症状がありましたか 全くない 5回に1回 の割合より 少ない 2回に1回 の割合より 少ない 2回に1回 の割合 くらい 2回に1回 の割合より 多い ほとんど いつも この1か月の間に,尿をしたあとにまだ 尿が残っている感じがありましたか 0 1 2 3 4 5 この1か月の間に,尿をしてから2時間以内に もう一度しなくてはならないことがありましたか 0 1 2 3 4 5 この1か月の間に,尿をしている間に 尿が何度もとぎれることがありましたか 0 1 2 3 4 5 この1か月の間に,尿を我慢するのが難しい ことがありましたか 0 1 2 3 4 5 この1か月の間に,尿の勢いが弱いことが ありましたか 0 1 2 3 4 5 この1か月の間に,尿をし始めるために お腹に力を入れることがありましたか 0 1 2 3 4 5 0回 1回 2回 3回 4回 5回以上 0 1 2 3 4 5 この1か月の間に,夜寝てから朝起きるまでに, ふつう何回尿をするために起きましたか 点 QOLスコア 現在の尿の状態がこのまま変わら ずに続くとしたら,どう思いますか とても満足 満足 0 1 ほぼ満足 なんともいえない やや不満 2 3 4 いやだ とてもいやだ 5 6 1 2012/9/18 治療指針 腹部エコーと直腸エコー 直腸エコー 腹部エコー 正常な前立腺 前立腺肥大症 三角形 丸い 膀胱 前立腺 全般重症度が 軽症の患者: 経過観察または薬物療法 中等症の患者 薬物療法 低侵襲治療 手術 中等症の患者:薬物療法,低侵襲治療,手術 重症の患者: 低侵襲治療,手術 参考:EBMに基づく前立腺肥大症診療ガイドライン, 2001 主な薬物療法剤 ガイドラインの Recommendation - 薬物治療 日本 AUA EAU アルフゾシン、ドキサゾシン、 アルフゾシン、ドキサゾシン、 タムスロシン、テラゾシン タムスロシン、テラゾシン (副作用は各薬剤間で差異) α1ブロッカー 薬物療法の標準的治療 抗アンドロゲン薬 前立腺体積の緩徐な縮小 効果がある。α 効果がある。 α1ブロッカーと の併用は検討が必要 - - - フィナステリド デュタステリ フィナステリド、デュタステリ ド(前立腺非肥大患者には 不適) フィナステリド、デュタステリ ド デ ド - α1ブロッカーと ブロッカーと5α 5α還元酵素 還元酵素 阻害薬 α1ブロッカーと ブロッカーと5α 5α還元酵素 還元酵素 阻害薬 推奨されない 推奨されない - - 5α還元酵素阻害薬 5α 還元酵素阻害薬 併用療法 植物エキス剤 その他の薬剤 植物エキス剤、アミノ酸製剤、 漢方薬など、今後の検討が 必要 日本:EBMに基づく前立腺肥大症診療ガイドライン(2001) AUA:Guideline on the Management of Benign Prostatic Hyperplasia(2003) EAU:Guidelines on Benign Prostatic Hyperplasia(2004) デュタステリド(アボルブ) 推奨グレードA 前立腺腫大の明確な 患者 (30mL以上) に 対する有効性を支持す る根拠は十分にある ( レベル 1 )。PSA値に 影響を及ぼすため、前 立腺癌の検索には注 意が必要である α1ブロッカー タムスロシン(ハルナール) ナフトピジル(フリバス) ウラピジル(エブランチル) プラゾシン(ミニプレス) テラゾシン(ハイトラシン,バソメット) シロドシン( リ フ) シロドシン(ユリーフ) 抗アンドロゲン薬 クロルマジノン(プロスタール) アリルエストレノール(パーセリン) 植物エキス剤 エビプロスタット 5アルファ還元酵 デュタステリド(アボルブ) 素阻害剤 デュタステリド(アボルブ) 前立腺体積の大きな(30ml以上)BPHの 症状を改善させる PSAを約1/2に低下させる (前立腺癌の予防に有効) 自験例の紹介 2 2012/9/18 【CombAT CombAT試験 試験】 】 試験デザイン 5α還元酵素阻害薬の主な臨床試験 5α 還元酵素阻害薬の主な臨床試験 単盲検 スクリーニング 前立腺肥大症(BPH) First alpha blocker for BPH launched 1990 PLESS 1996 1998 1996–1998 Finasteride launched 1991 Phase IIIa dutasteride 2002 Dutasteride launched 2002 前立腺癌(PCa) Dutasteride 4-year data 2004 MTOPS 2003 CombAT 2007 PCPT 2003 二重盲検 タムスロシン単独療法 (0.4mg/日) プラセボ 観察期間 デ タス リド タ ス シ 併用療法 デュタステリド+タムスロシン併用療法 スクリーニング 24ヵ月 3ヵ月毎に受診、 1日1回投与 ベースライン REDUCE 2010 I-PSS ■ 主な評価項目 (国際前立腺症状 スコア) No drug is currently approved for reducing the risk of prostate cancer 10 8 8ヵ月 6 4 2 0 0 12 24 投与期間 併用療法 累積イベント数 リスク症例数 デュタステリド 累積イベント数 リスク症例数 タムスロシン 累積イベント数 リスク症例数 36 48 (月) 29 1,610 43 1,457 58 1,347 67 1,274 27 1,623 49 1,484 65 1,365 84 1,277 40 1,611 102 1,464 146 1,307 191 1,176 米国2試験の併合データ 前立腺癌と報告された患者(随時生検、有害事象として) vs. 報告さ れなかった患者のPSA推移 23.8 8.3 プラセボ, 前立腺癌(+) (n=54) プラセボ, 前立腺癌(-) (n=1351) 0 6 12 18 -37.2 デュタステリド 前立腺癌(+) (n=31) -59.5 デュタステリド, 前立腺癌(-) (n=1366) p<0.001 (併用療法 vs デュタステリド) -1 -2 -3 -2.8 -3.4 -4 -4.5 -4.4 -5 -4.0 4 0 -4.2 -4.7 -4.5 -4.8 -4.8 -5.4 -6 -4.4 -4.8 -4.5 3.8 -3.8 3.8 -3.8 3.8 -4.0 4 0 -4.0 4 0 -3.8 -4.3 -4.4 -4.1 -4.2 -4.8 -4.9 -5.0 -4.9 -5.6 -6.0 -6.0 -7 0 3 6 -5.3 -5.1 -5.2 -5.2 -5.3 -5.2 -5.4 -5.3 -6.3 -6.4 -6.3 -6.2 -6.2 -6.4 -6.2 -6.3 -6.3 -6.5 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 投与期間 (月) 併用療法 (n=1,610) デュタステリド (n=1,623) タムスロシン (n=1,611) Mean±SE (LOCF法) PSAのまとめ PSA のまとめ 変化率(中央値) 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 p<0.001 (併用療法 vs タムスロシン) 0 -8 前立腺癌の有無別によるPSAの推移 前立腺癌の有無別によるPSA の推移 – 海外 海外BPH BPH第 第Ⅲ相試験 – ・急性尿閉 ・BPHに関連した外科的治療 【CombAT試験】 ベースラインからの調整済み平均変化量 累積頻度 12 追跡期間 (投与終了後 16週間) I-PSSのベースラインからの平均変化量 併用療法 デュタステリド タムスロシン 14 48ヵ月 Siami P et al. Contemp Clin Trials 2007;28:770-779 【CombAT試験】 急性尿閉または前立腺肥大症に関連した 外科的治療の累積頻度 (%) 16 安全性 追跡期間 デュタステリド単独療法 (0.5mg/日) 2倍値補正ルールは、広く用いられている PSA nadir からの上昇も、前立腺癌の存在を疑 わせる指標として考えられている 最近のエビデンスによると、5α 最近のエビデンスによると、 最近の ビデンスによると、5α還元酵素阻害薬は、 ビデンスによると、5α 還元酵素阻害薬は、 BPH由来の BPH 由来のPSA PSAを抑制することにより、 を抑制することにより、PSA PSAによ によ る前立腺癌検出の有用性を向上させる可能性が あると報告されている 24 投与期間(月) Andriole et al. J Urol 2006;175:1657–62 * Marks et al. J Urol 2006;176(3):868–74 3 2012/9/18 【REDUCE REDUCE試験 試験】】 試験デザイン 試験 登録 REDUCE: 主要評価 2年 無作為化 4年 (生検10コア) (生検10コア) 前立腺癌が検出された 被験者の割合 RRR = 22.8% 30% p<0.001 25.1% 25% -1 -7 登録時 生検 0 プラセボ 観察 期間 24 48 (月) RRR = 22.4% p<0.001 19.9% 20% プラセボ 4年間を通して、生検で検出される 前立腺癌の相対リスクは23%低下した デュタステリド 0.5 mg/日 RRR = 23.7% p<0.001 17 2% 17.2% 13.4% 15% 11.9% 9.1% 10% 5% 注) 必要に応じて、プロトコールで規定する以外の生検の実施が可能 n=858 n=659 0% n=578 n=435 n=280 n=224 Years 1–4 Years 1–2 Years 3–4 Placebo group Dutasteride group Andriole G et al :J Urol 172(4 Pt 1):1314–1317, 2004 RRR = Relative risk reduction REDUCE: PSAの PSAの推移 Andriole et al. NEJM 2010;362:1192-202 REDUCE: 結論 PSA ng/mL (mean) Placebo PCa Gleason 7-10 Placebo PCa Gleason 5-6 Placebo PCa -ve Dutasteride Gleason 7-10 Dutasteride Gleason 5-6 Dutasteride PCa -ve デュタステリドはプラセボに比べて、前立腺癌検出 のリスクを22.8% のリスクを 22.8%低下させた 低下させた デュタステリドは、BPH デュタステリドは、 BPHに関する に関する転帰 転帰も も改善した デュタステリドの安全性プロファイル デュタステリドの 安全性プロファイルは はBPH BPHで認め で認め られたものと類似していた デュタステリドは前立腺癌のリスクが増加した男性 に対する治療オプションとなり得ると考えられた Month Andriole et al. NEJM 2010;362:1192-202 Andriole. EAU 2010 患者背景 デュタステリドの治療効果について (自験例) 平均値 (最小値、最大値) 年齢(歳) 69.9 (58 - 90) アルファブロッカー内服期間 (月) 39.4 (3 - 144) アルファブロッカーの内訳 シロドシン 24 名 タムスロシン 14 名 ナフトピジル 8 名 PSA (ng/ml) 前立腺体積 (ml) 4.5 + 3.4 (0.32 - 14.70) 46.7 + 22.1 (18.5 - 106.0) 4 2012/9/18 前立腺体積によるIPSSの変化 (IPSSトータルスコア) 結語 前立腺体積が50ml以上の比較的大きな前立腺肥 大症患者において、デュタステリドの治療効果が顕 著であった。 今後さらに症例を増やして解析を行い、治療効果が 期待できる症例の選択および長期の至適投与方法 などを検討していく必要があると思われる。 IPSSトータルスコア 22 20 18 A群 B群 C群 16 14 * 12 ** 10 治療前 3ヵ月後 6ヵ月後 *P<0.05 **P<0.01 併用療法からデュタステリド単独療法にすると、 ベースラインの症状が強い場合に症状が悪化する 併用療法からデュタステリド単独療法にすると 0 24 デュタステリド + タム タムスロシン シ Moderate (Baseline IPSS <20) 36 (W) デュタステリド + タム タムスロシン シ 93% 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 84% bettet/ same worse 16% 7% DT36 デュタステリド + タムスロシン デュタステリド + プラセボ 12 DT36 bettet/ same worse DT24+ D12 併用継続群 デュタステリド単独変更群 デュタステリド単独変更群 24 (M) 45 40 アルフ ブロ カ アルファブロッカー 35 -24% -26% 30 -9% -13% 25 フィナステリド デュタステリド 20 15 10 5 0 0 デュタステリド + アルファブロッカー 57.5% 42.5% 14% 併用療法からアルファーブロッカー単独療法にすると 前立腺体積の増加率に比べて症状の悪化は軽度 ml フィナステリド + アルファブロッカー ブ カ 86% European Urology 44 (2003) 461-466より改変 European Urology 44 (2003) 461-466 0 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 DT24+ D12 併用継続群 併用療法からアルファーブロッカー単独療法にすると Severe (Baseline IPSS >=20) アルファブロッカー Urology 73: 802-806,2009 12M 24M 前立腺体積の変化 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -5.9 -5.8 -4 4.3 3 -4 4.5 5 フィナステリド デュタステリド 0 12M 24M IPSSの変化 Urology 73: 802-806,2009 5 2012/9/18 過活動膀胱とは? 第18回日本排尿機能学会(福井)における発表より 前立腺体積が50ml以上の症例について排尿ドメイ ン、蓄尿ドメインの改善を認めた (O-113) 併用療法中の患者において、デュタステリドを3か月間 ( ) 中止しても治療効果は持続した (O-114) PFSの検討において、デュタステリドの投与により Schaferノモグラムにおける閉塞度、最大尿流時排尿 筋圧が改善した (O-116) デュタステリドの投与により、排尿症状だけでなく Aging Male Symptom スコアも改善した (P-060) 尿意切迫感 切迫性尿失禁 切 性尿失禁 症状症候群を 指す病名 頻尿 ただし、感染・がん・炎症・結石などを除外する ICS:International Continence Society (国際禁制学会)による 32 Abrams, P. et al.:Neurourol. Urodyn. 21(2):167, 2002 現在使用可能な抗コリン薬 オキシブチン(ポラキス)1988年 オキシブチン(ポラキス)1988 年5月 プロピベリン(バップフォー) プロピベリン(バップフォー)1993 1993年 年5月 トルテロジン(デトルシトール) トルテロジン(デトルシトール)2006 2006年 年6月 ソリフェナシン(ベシケア) ソリフェナシン(ベシケア)2006 2006年 年6月 イミダフェナシン(ウリトス・ステーブラ) 2007年 2007 年6月 ムスカリン受容体の分布 (抗ムスカリン薬の副作用) CNS めまい 傾眠 記憶障害および 認知障害 虹彩/毛様体 涙腺 視力調節障害 唾液腺 口内乾燥 心臓 頻脈 胃および食道 消化不良 大腸 便秘 眼球乾燥 酒石酸トルテロジン(デトルシトール)、コハク酸ソリフェナシン (ベシケア)およびイミダフェナシン(ウリトス・ステーブラ)の 治療効果と副作用の発現の比較検討 膀胱(排尿筋) 35 6 2012/9/18 対象と方法 OAB患者243名(男性132名、女性111名) 使用薬剤:ベシケア、デトルシトール、ウリトス 効果判定:OABSS 副作用判定:口内乾燥と便秘VAS 質問 1 0.非常に満足 1.満足 2.ほぼ満足 3.どちらとも言えない 4.やや苦痛 5.苦痛 6.非常に苦痛 質問 2 治療前後のOABSS 治療前後の OABSS 口の中が乾くような感じがあり、気になりますか 最近便秘がひどくて、気になりますか デトルシトール 0.非常に満足 1.満足 2.ほぼ満足 3.どちらとも言えない 4.やや苦痛 5.苦痛 6.非常に苦痛 治療前後のOABSS (尿意切迫感) ベシケア デトルシトール ベシケア ウリトス 3剤ともに有意にスコアが改善していた。 ウリトス 治療前 治療後 p値 昼間頻尿 0.9+0.60 0.9+0.56 N.S. 夜間頻尿 2.3+0.86 2.1+1.00 0.006 尿意切迫感 3.0+1.43 2.0+1.43 <0.001 尿失禁 1.9+1.71 1.0+1.38 <0.001 昼間頻尿 1.0+0.57 0.8+0.54 0.001 夜間頻尿 2.1+0.87 1.9+0.96 0.012 尿意切迫感 3.1+1.31 1.9+1.64 <0.001 尿失禁 2.0+1.62 1.1+1.46 <0.001 昼間頻尿 1.0+0.56 0.9+0.48 0.016 夜間頻尿 2.5+0.76 2.3+0.81 0.019 尿意切迫感 2.5+1.68 1.9+1.57 <0.001 尿失禁 1.8+1.69 1.1+1.37 <0.001 治療前後のOABSS 治療前後の OABSS (切迫性尿失禁) ベシケア デトルシトール ウリトス 3剤ともに有意にスコアが改善していた。 7 2012/9/18 治療前後の口内乾燥スコアの変化 ベシケア デトルシトール ウリトス 治療前後の便秘スコアの変化 ベシケア デトルシトール ウリトス ベシケア<デトルシトール<ウリトス ベシケア>デトルシトール>ウリトス 結果 各抗コリン剤の治療効果 と副作用(私見) 治療効果については3剤ともに同等 副作用の出現において相違が見られた ベシケアは便秘が多く、ウリトスは口内乾燥 が多く デト シト が多く、デトルシトールはその中間的な性格 はそ 中間的な性格 であった 投与前に患者の状態を把握し、薬剤を選択 すれば副作用を最小限に抑える可能性があ る 治療効果 ベシケア デトルシ ゙ トール ウリトス ステーブラ バップ フォー ポラキス 副作用 各抗コリン剤の副作用 の違い(私見) 口内乾燥 ウリトス ステーブラ バップ フォー デトルシ トール ベシケア 便秘 8 2012/9/18 Dr. Lecture Slide-kit 2012年9月18日 薬剤師会講演 前立腺肥大症と前立腺がんの治療 -薬物療法を中心に前立腺がん Prostate Cancer; PART 1 前立腺癌の疫学 福岡赤十字病院 泌尿器科 後藤 健 世界各地域における前立腺癌罹患率(2008年) 米国における癌の部位別罹患率予測(2010) ヨーロッパ西部 男 性 ヨーロッパ北部 女 性 北米 先進国 前立腺癌 アフリカ南部 ヨーロッパ南部 28% 乳癌 28% 15% 肺 癌* 14% 10% 南米 日本 中米 肺 癌* ヨーロッパ東部・中央 全世界 アフリカ西部 結腸・直腸癌 9% 結腸・直腸癌 膀胱癌 7% 子宮体癌 6% 皮膚黒色腫 5% 甲状腺癌 5% アフリカ中央 アフリカ東部 西アジア 発展途上国 東南アジア 東アジア アフリカ北部 南・中央アジア 0 20 40 60 80 100 *肺・気管・気管支 120(人) 年齢調整罹患率(10万人対) IARC, GLOBOCAN 2008, http://globocan.iarc.fr/ (財)がん研究振興財団発行: がんの統計’10, p78-81, 2010 http://ganjoho.jp/public/statistics/backnumber/2010_jp.html 米国における癌の部位別死亡率予測(2010) Jemal, A. et al.: CA Cancer J Clin, 60(5), 277, 2010. わが国における癌の部位別死亡率の推移(男女) 全国調査1958~2009年 男 性 女 性 男 性 女 性 200 前立腺癌 結腸・直腸癌 29% 11% 9% 肺 癌* 乳癌 結腸・直腸癌 26% 15% 9% 200 年齢調整死亡率( 人口 肺 癌* 100 100 胃 肺 大腸 結腸 膵臓癌 7% 肝 癌** 4% 卵巣癌 5% 10 直腸 結腸 前立腺 1 乳房 卵巣 直腸 1 1960 *肺・気管・気管支 **肝臓・肝臓内胆管 肝臓 肺 10 万対) 6% 子宮 大腸 10 膵臓癌 胃 肝臓 1970 1980 1990 2000 2009 (年) 1960 1970 1980 1990 2000 2009 (年) 標準人口:1985年の日本人口モデル Jemal, A. et al.: CA Cancer J Clin, 60(5), 277, 2010. がん研究振興財団発行:「がんの統計’10」, p28, 2010. 1 2012/9/18 わが国における癌の部位別罹患率の推移(男女) ラテント癌と臨床癌の頻度-人種と地域差 全国調査1975~2005年 男 性 女 性 200 年齢調整罹患率( 人口 100 胃 200 人種 収集地域 100 米国黒人 大腸 肝臓 (非浸潤癌/浸潤癌) 米国ニューオリンズ 67.1~77.0 36.9 (13.4/23.5) 米国白人 米国ニューオリンズ 36.1~44.6 34.6 (16.4/18.2) 子宮 結 結腸 直腸 大腸 10 前立腺 コロンビア人 南米コロンビア 19.8 31.5 (19.8/11.7) ハワイ日系人 米国ホノルル 24.6 25.6 (11.8/13.8) 日本人 (1965~1979) 日本各都市 2.7 20.5 (11.7/ 8.8) 日本人 (1983~1993) 日本各都市 4.9 34.6 (16.8/17.8) 直腸 卵巣 肝臓 万対) 1 肺 結腸 10 10 ラテント癌頻度(%) 乳房 胃 肺 臨床癌頻度 (人口10万人当たり) 1 1975 1980 1985 1990 2000 2005 (年) 1975 1980 1985 1990 2000 2005 (年) 標準人口:1985年の日本人口モデル がん研究振興財団発行:「がんの統計’10」, p35, 2010. 白石泰三ほか:「前立腺癌診療マニュアル」(前立腺研究財団編:金原出版), p19, 1995. 前立腺癌のリスクファクター 前立腺の位置 膀 胱 加 齢 精 嚢 (ラテント癌) 遺伝的要因 (第一近親者の罹患者数、癌診断時の年齢) 前立腺 食生活の欧米化 (動物性脂肪の多い食事。砂糖、ミルク、油脂に正の相関。) など 尿 道 注) 前立腺癌の決定的なリスクファクターはいまだ不明である。 日本泌尿器科学会編:「前立腺癌診断ガイドライン2006年版」(金原出版), p9,10,18, 2006. 前立腺の領域区分(矢状面) 前立腺の領域区分 矢状割面 膀 胱 水平割面 精 嚢 Anterior fibromuscular stroma 前部線維筋性間質 Central zone 中心領域 C t l zone Central 中心領域 Transitional zone Anterior fibromuscular stroma 腹側 移行領域 前部線維筋性間質 Peripheral zone 腹側 背側 辺縁領域 腹側 尿 道 McNealの図をもとに作図. Transitional zone 移行領域 Peripheral zone 辺縁領域 McNealの図をもとに作図. 2 2012/9/18 前立腺の領域区分と前立腺癌の発生頻度 矢状割面 前立腺癌の臨床病期分類 (偶発または触知不能、限局性) 水平割面 Transitional zone=25% 移行領域 限局性 偶然または触知不能 前立腺手術などで偶発的に発見 前立腺に限局して存在 腹側 切除組織の≦5% 片葉の1/2以内 T1a T2a T1b T2b T1c T2c 切除組織の>5% Central zone=5% 中心領域 腹側 Peripheral zone=70% 辺縁領域 触診や画像では 診断できず、 PSA上昇等による 針生検で確認 片葉の1/2を超える 両葉へ進展 TNM分類(UICC2009年改訂第7版)をもとに模式化. McNeal, J.E. et al.: “Anatomy of the prostate. Implication for disease” (edited by Bostwick, D.G. :Churchill Livingstone). P1-14, 1990. 前立腺癌の臨床病期分類(局所浸潤) Dr. Lecture Slide-kit Prostate Cancer; PART 2 局所浸潤 前立腺被膜を越えて進展 T3a 被膜の外へ進展 (片葉または両葉) 顕微鏡的な膀胱頸 部への浸潤を含む T3a T4 前立腺癌の診断 精嚢以外の隣接組織 (外括約筋、直腸、挙筋 および/または骨盤壁) に固定、または浸潤 精囊に浸潤 T3b TNM分類(UICC2009年改訂第7版)をもとに模式化. 直腸診(DRE:Digital Rectal Examination)の方法 前立腺癌の腫瘍マーカー:PSA PSA(prostate specific antigen) 前立腺上皮より分泌される蛋白分解酵素(セリンプロテ アーゼ)で精漿中に高濃度に分泌される。 仰臥位(開脚屈曲) 固形癌の中で最も優れた腫瘍マーカーとして、 1990年代 固形癌の中で最も優れた腫瘍マーカーとして 頃より前立腺癌の診断や経過観察に広く用いられている。 PSA値が上昇するにつれ、前立腺癌の発見率が高くなる が、4~10ng/mLでは、前立腺肥大症との鑑別が難しく、 これをグレーゾーンとして、PSAの診断精度を高める工夫 (PSA関連マーカーなど)が試みられている。 参考:赤倉功一郎:「前立腺癌スクリーニング A to Z」(メジカルビュー社), p44-49, 2006. 市川智彦:「改訂版 前立腺癌のすべて 基礎から実地診療まで」(メジカルビュー社), p83-88, 2004. 3 2012/9/18 前立腺上皮細胞からのPSAの分泌 Dr. Lecture Slide-kit Prostate Cancer; PART 2 PSA(prostate specific antigen) 前立腺癌の治療 PSA濃度 PSA濃度 0.3 5mg/mL 3.0ng/mL未満 通常 (70%が活性型) 前立腺上皮細胞 参考:Lilja, H.:泌尿器外科, 11(8), 902, 1998. 前立腺癌の治療法 前立腺癌治療の考え方 限局性 A. 根治的前立腺全摘除術 B. 放射線療法 局所治療 低リスク その他 ・ ・ ・ ・ ・ 精巣摘出術 エストロゲン剤 LH-RHアゴニスト 非ステロイド性抗アンドロゲン剤 ステロイド性抗アンドロゲン剤 高リスク 転移・進行 局所進行 N(+) M(+) PSA 監視 療法 手術 A 内分泌療法 A. 全身療法 中リスク 前立腺全摘除術 姑息的 照射 対症照射 根治的外照射 放射線療法 薬物療法 B. 化学療法 小線源療法 (単独) 小線源療法+外照射 (局所療法と併用が基本)※ 内分泌療法 (単独) ※内分泌療法単独で治療されることもある 前立腺癌診療ガイドライン2006年版、NCCNガイドライン(前立腺癌 Version 3. 2011)、臨床腫瘍学Third editionを参考に作図. 前立腺癌治療の基本的な流れ 前立腺内に限局 T1a T1b, T2a 前立腺の周囲に進展 T2b, T2c T3a, T3b T4 前立腺癌に対する年齢別治療法 高齢になるほど内分泌療法が主体に 転移あり N1 100 M1 80 PSA監視療法*1 T1c~T3N0M0例 内分泌療法 内分泌療法*2 根治的前立腺全摘除術 または放射線療法 内分泌療法 再燃 割合( %) (照射前) ネオアジュバント内分泌療法*3 放射線療法 +内分泌療法 60 放射線療法 根治的前立腺 全摘除術 +内分泌療法 40 二次、三次の内分泌療法 経過観察 アジュバント内分泌療法 (放射線療法) *1 PSA監視療法が選択肢になることもある *2 初回の治療として内分泌療法のみを行うこともある *3 照射前等にネオアジュバント内分泌療法を行うこともある 再燃 化学療法など 鳶巣賢一:「臨床腫瘍学Third edition」(日本臨床腫瘍学会編), p771-781, 2003を参考に一部改変して作図. 根治的前立腺 全摘除術 20 Watchful Waiting 0 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85~89歳 90歳~ Cancer Registration Committee of the Japanese Urological Association.: Int J Urol, 12(1),46-61, 2005. 4 2012/9/18 Dr. Lecture Slide-kit Prostate Cancer; PART 2 根治的前立腺全摘除術の経路 順行性 前立腺癌の局所療法 恥骨後式 逆行性 会陰式 参考: 三次元原体照射法(3D-CRT) 3D-CRT:3D-conformal radiation therapy 参考: 強度変調放射線治療(IMRT) IMRT:Intensity modulated radiation therapy z 三次元原体照射(3D-CRT)をより 高度化した照射法であり、専用のコン ピュータを用いた逆方向計画による 最適化と、各照射野内の放射線強度を変 調できることが特徴である。 z 三次元治療計画装置と呼ばれるCT画像 を用いた放射線治療計画作成のための コンピュータとマルチリーフコリメータの開 発により、腫瘍の拡がりに一致した複雑 な照射野の作成が可能である。 z 病変が正常臓器を取り囲む場合でも、正 常組織への線量を抑え、病変部への高線 量投与が可能である。 z 前立腺に線量が集中し 前立腺に線量が集中し、膀胱や 膀胱や 直腸への線量が低く抑えられる。 マルチリーフコリメータ 3D-CRTによる線量分布(仰臥位) z 70Gy以上の投与が可能であるが、線量 の集中に限界があり、線量 増加に伴う副作用の増加が懸念 される。 写真提供:京都大学 放射線腫瘍学・画像応用治療学 平岡眞寛先生 z 3D-CRTを超える高線量を安全に 投与できる。 IMRTの概念図 単一強度の照射 による線量分布 強度変調した照射 による線量分布 則久佳毅、平岡眞寛ほか:癌治療と宿主, 16(3), 209, 2004より一部改変. 永久挿入小線源療法(125Iの挿入) 写真提供:京都大学 放射線腫瘍学・画像応用治療学 平岡眞寛先生 則久佳毅、平岡眞寛ほか:癌治療と宿主, 16(3), 209, 2004より一部改変. Dr. Lecture Slide-kit Prostate Cancer; PART 3 前立腺癌の内分泌療法 線源の大きさ 線源挿入時の線量分布 主な内分泌療法の作用と特徴 前立腺内に挿入された線源(X線写真) 写真提供:日本メジフィジックス株式会社 5 2012/9/18 前立腺癌の主な内分泌療法 内分泌療法 薬剤 去 勢 精巣摘出術 薬物的去勢 主な作用機序 - (除睾術) 各種内分泌療法の作用機序 ゴセレリン リュープロレリン 下垂体LH-RH受容体のdown regulation(テストステロン低下) エチニルエストラジオール エチニルエストラジオ ル ホスフェストロール* 間脳 間脳へのnegative g feedback 作用(テストステロン低下) 癌細胞への直接効果? ステロイド性 クロルマジノン酢酸エステル アンドロゲン受容体との結合阻害 間脳へのnegative feedback作用 (テストステロン低下) 非ステロイド性 ビカルタミド フルタミド アンドロゲン受容体との結合阻害 (LH-RHアゴニスト) エストロゲン剤 エストロゲン剤 ステロイド性 抗アンドロゲン剤 テストステロン産生臓器の摘出 LH-RHアゴニスト 精巣摘出術 抗アンドロゲン剤 非ステロイド性 抗アンドロゲン剤 ステロイド性 抗アンドロゲン剤 主な作用点 *本邦では販売中止 参考:金武 洋:新薬と臨牀, 48(3), 307, 1999. 赤座英之:泌尿器外科, 12(5), 623, 1999の記載を参考に作図. 各種内分泌療法による内分泌動態の違い 内分泌療法 LH プロラクチン テストステロン テストステロン生産臓器(精巣)の摘出 主な副作用 去 勢 性機能抑制 (不可逆的去勢) 精巣摘出術 (除睾術) 利 点 – – – – 性機能抑制 flare-up 薬物的去勢 (LH-RHアゴニスト) 性機能抑制 心血管系障害 エストロゲン剤 抗アンドロゲン剤 ステロイド性 性機能抑制 非ステロイド性 乳房腫脹 :上昇 精巣摘出術(除睾術) :軽度上昇 :減少 :軽度減少 問題点 – – – – LH-RHアゴニスト 初回投与直後 LH-RH受容体と結合 不可逆的去勢による精神的苦痛を伴う。 性機能が低下。 ホットフラッシュが頻発。 手術による入院が必要。 :不変 金武 洋:新薬と臨牀, 48(3), 307, 1999. LH-RH テストステロンが速やかに低下。 1回の手術で済む。 安価。 通院が困難な患者や病識が乏しく コンプライアンスの低い患者に適す。 下垂体のLH-RH受容体の down regulationによるLH、 テストステロンの低下 参考:Goa, K.L. et al.: Drugs & Aging, 12(5), 401, 1998. 金武 洋:臨泌, 50(4), 190, 1996年増刊. LH-RHアゴニスト初回投与後の内分泌動態 (海外データ) ゴセレリン3.6mg/4週 IU/L 25 20 n=26 15 下垂体細胞 LH分泌能を 一過性に亢進 LH-RHアゴニスト LH RHアゴ スト LH-RH アゴニスト 連続投与時 LH-RH受容体数の減少 (down regulation) 下垂体細胞 LH分泌能低下 LH-RH テストステロン低下 利 点 – 4週ごとまたは12-13週ごとに 4週ごとまたは12 13週ごとに 1回の投与。 – 可逆的去勢。 – 精巣摘出術と同等の効果1)。 問題点 – 投与開始直後に症状の増悪 が起こることがある(flare-up)。 – 性機能が低下。 – ホットフラッシュが頻発。 LH-RH受容体 1) Kaisary, A.V. et al.: Br J Urol, 67, 502, 1991. 10 血清LH 5 0 nmol/L 25 血清テストステロン 20 15 10 去勢域 5 0 0 5 2nmol/L≒0.58ng/mL 色の範囲は数値の幅を表わす 10 15 20 25 30 35 40 50 60 70 期 間 (日) Beacock, C.J. et al.: Br J Urol, 59, 436, 1987. 6 2012/9/18 LH-RHアゴニスト徐放性製剤の種類 主な抗アンドロゲン剤 (海外データ) 種 類 4週持続型 ゴセレリン 3ヵ月持続型 リュープロレリン 4週持続型 3ヵ月持続型 剤 形 有効成分の含量 投与間隔 3.6mg 4週に1回 10.8mg 12~13週に1回 皮下埋込型(デポ) マイクロカプセル型 3.75mg 4週に1回 11.25mg 12週に1回 本邦で前立腺癌治療に使用されている抗アンドロゲン剤 ステロイド性 非ステロイド性 平均血清テストステロン値 4週持続型と3ヵ月持続型の血清テストステロン抑制効果の比較(初回投与後) 22 20 ゴセレリン3.6mgデポ(4週に1回;n=71~80) 18 フルタミド ゴセレリン10.8mgデポ(12週に1回;n=69~76) 16 14 12 10.8mgデポ 10 8 3.6mgデポ 6 4 クロルマジノン酢酸エステル 去勢域上限(2.5nmol/L=72ng/dL) (nmol/L) 2 *不斉炭素 0 0 4 期間(週間) 8 ビカルタミド 12 Debruyne, F.M. et al.:J Urol, 155, 1352, 1996を一部改変. 赤座英之:泌尿器外科, 12(5), 623, 1999. ステロイド性と非ステロイド性 抗アンドロゲン剤の違い – LH-RHアゴニストとの短期 併用によりflare-upを予防。 – 副腎由来アンドロゲンの 作用も抑制。 問題点 – 性機能が低下。 – 心血管系の副作用。 利 点 – 単独投与で性機能への影響 が少ない。 – LH-RHアゴニストとの短期 併用によりflare-upを予防。 – 副腎由来アンドロゲンの作用 も抑制。 問題点 – 女性化乳房が頻発。 Androgen suppression only Androgen suppression + nilutamide/flutamide Androgen suppression only Androgen suppression + cyproterone acetate (非ステロイド) 6500 men in 20 trials of nilutamide or flutamide 100 80 Treatment better by y 2.9% (SE ( 1.3)) Logrank 2p=0.005 60 40 27.6% 20 24.7% 去勢単独 < CAB 0 0 1 2 3 4 (ステロイド) 100 5 Time since randomisation (years) Proportion alivve (%) 利 点 非ステロイド性 アンドロゲン受容体との 結合阻害 Proportion alivve (%) ステロイド性 アンドロゲン受容体との結合 阻害間脳へのnegative feedback作用によるLH、 テストステロンの低下 生存率 抗アンドロゲン剤による層別 1800 men in 7 trials of cyproterone acetate 80 Treatment worse b 2 by 2.8% 8% (SE 2 2.4) 4) Logrank 2p=0.04 60 40 18.1% 20 0 去勢単独 > CAB 0 1 2 3 15.4% 4 5 Time since randomisation (years) Maximum androgen blockade in advanced prostate cancer: an overview of the randomised trials. Prostate Cancer Trialists' Collabor Collaborative ative Group. LANCET 2000; 355: 19411941-98 参考 Mahler, Ch. et al.: Clin Pharmacokinet, 34(5), 405, 1998. Goa, K.L. et al.: Drugs & Aging, 12(5), 401, 1998. CMA併用のCABによる癌特異的生存率 Dr. Lecture Slide-kit Prostate Cancer; PART 3 前立腺癌の内分泌療法 Maximal Androgen Blockade(MAB療法) 7 2012/9/18 去勢と抗アンドロゲン剤によるMAB療法の考え方 LH-RHアゴニスト 視床下部 LH-RH ビカルタミドのMAB療法 対 去勢単独 試験デザイン:無作為化二重盲検試験 CRH LH または 本邦における比較試験(国内第III相) ACTH ビカルタミドMAB群 n=102 除睾術 下垂体 副腎 精巣 ビカルタミド80mg/日 デヒドロエピアンドロス テロン(DHEA) T Δ4-DIONE DHEA 17β-HSD 無作為割付け 抗アンドロゲン剤 テストステロン(T) アンドロステンジオン (Δ4-DIONE) 未治療 進行前立腺癌 病期 C、D n=203 LH-RHアゴニスト ア ト((ゴセレリンまたはリュープロレリン) リンまたはリ リン) LH-RHアゴニスト単独群 n=101 プラセボ 3β-HSD LH-RHアゴニスト(ゴセレリンまたはリュープロレリン) DHT 前立腺細胞 対象患者の半数以上が病期C/D1 AR 赤座英之:泌尿器外科, 12(5), 623, 1999を一部改変. 本邦における比較試験(国内第III相) Akaza, H. et al.: Cancer, 115(15), 3437, 2009. Dr. Lecture Slide-kit ビカルタミドのMAB療法 対 去勢単独 Prostate Cancer; PART 3 生存率(OS;全症例) 1.0 去勢抵抗性前立腺癌 (CRPC)の治療 0.8 生存率 0.6 ビカルタミドMAB群(n=102) LH-RHアゴニスト単独群(n=101) 0.4 CRPC: castration-resistant prostate cancer 0.2 追跡期間中央値: 5.2年 p=0.0425(log-rank test) 0.0 0 1 2 3 4 5 6 7 追跡期間(年) Akaza, H. et al.: Cancer, 115(15), 3437, 2009. 内分泌療法後の再燃機序(CRPC) ①ARの hypersensitivity ②ARの リガンド特異性の喪失 アンドロゲン (テストステロン) 抗アンドロゲン剤 アンドロゲン アンドロゲン以外の ステロイドホルモン ③リガンドを介さない ARの活性化 初回内分泌療法後の治療の考え方 (EAUガイドライン) EAUガイドライン(2011) PSA >50%低下 増殖因子 (IL-6, IGF, EGF, KGFなど) 平均 反応期間 転移性前立腺癌 5α-還元酵素 DHT 100% LH-RHa 除睾術 CAB療法 36ヵ月 60〜80% 抗アンドロゲン剤 追加 抗アンドロゲン剤 追加 Antiandrogen withdrawn 4〜6ヵ月 ●増殖因子による シグナル伝達とAR活性化 C 既存のアンドロゲン 非依存癌細胞の増殖 細胞 増殖 ●ARの変異 ●共役因子の異常 ARをbypass ●ARの過剰発現・増幅 ●共役因子の異常 ●前立腺癌組織内の アンドロゲン産生増加 A 抗アポトーシス因子 の発現亢進 B 悪性の神経内分泌 細胞の影響 アンドロゲン除去療法(去勢治療、MAB)後の再燃例の多くは、 アンドロゲンへの反応性やARを介した増殖機序が残存 25〜40% 抗アンドロゲン剤の交替 4〜6ヵ月 30〜40% Antiandrogen withdrawal 5〜6ヵ月 二次内分泌療法 40〜60% (副腎由来テストステロン抑制、低用量DES注)、ステロイドなど) 50〜70% 内分泌療法以外の治療(化学療法など) 4〜8ヵ月 10〜12ヵ月 注)DES:本邦発売中止 小宮 顕ほか:Urology View, 7(2), 17-25, 2009を参考に作図. http://www.uroweb.org/guidelines/online-guidelines/ 8 2012/9/18 CRPCに対する抗アンドロゲン剤交替療法の成績 International study: TAX 327 (国内報告) NASA-PC Study Group Docetaxel (75 mg/m2) q3w + prednisone (5 mg bid) 100 90 癌特異的生存率( %) 初回治療として去勢治療+非ステロイド性AA剤を施行 した病期C・D症例のうち、下記条件を満たした232例 ① 初回治療中にPSA再燃をきたし、AWSを観察 ② AWS観察後、別の非ステロイド性AA剤に変更 (Bica ⇒ Flu または Flu ⇒ Bica) ③ 交替療法開始後、原則としてPSAを3ヵ月以上 交替療法開始後 原則としてPSAを3ヵ月以上 経過観察 AA剤交替後のPSA反応 PSA 低下なし 38.8% D3P AA剤交替後のPSA反応性別にみた 癌特異的生存(n=232) 対象 PSA ≧50%低下 35.8% Stratification: 80 70 pain level 60 PPI ≥2 or AS ≥10 vs 50 40 PSA ≧50%低下 30 PSA 低下なし 20 vs p<0.0001 vs p<0.005 Docetaxel (30 mg/m2) qw 5 of 6 weeks + prednisone (5 mg bid) R PPI <2 or AS <10 PSA >0〜<50%低下 10 D1P KPS ≤70 vs ≥80 MP Mitoxantrone (12 mg/m2) q3w + prednisone (5 mg bid) log-rank test PSA >0〜<50%低下 25.4% n=232 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 初回MAB療法再燃後の期間(年) Suzuki H, et al: J Urol, 180(3), 921-927, 2008. Treatment duration in all arms = 30 weeks Tannock IF, et al. N Engl J Med 2004; 351: 1502–1512. タキソテールを含む治療実施中に見られ る副作用とその対策 TAX 327: Overall survival 1.0 0.8 Probability off Surviving ■ 当日~数日にかけて D3P D1P MP 0.9 【悪心・嘔吐】 国内及び海外の臨床試験において、約3割の患者が、この 副作用を訴えています。 副作用を訴えています 悪心・嘔吐対策として5-HT3受容体拮抗型制吐剤及びデキ サメタゾンは、化学療法による悪心・嘔吐の予防に有効とさ れています※ 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 D-Combined: D3P: D1P: MP 0.2 0.1 Median survival (mos) Hazard ratio P-value 18.2 18.9 17.4 16.5 0.83 0.76 0.91 – 0.03 0.009 0.3 – ※ Jantunen IT, et al:Eur J Cancer 33(1):66-74, 1997 Ioannidis JP, et al:J Clin Oncol 18(19):3409-3422, 2000 0.0 0 6 12 Months 18 24 Tannock IF, et al. N Engl J Med 2004; 351: 1502–1512. タキソテールを含む治療実施中に見られる 副作用とその対策 30 RW, Japan April 2008 タキソテール前立腺癌 適正使用ガイドより抜粋 タキソテールを含む治療実施中に見られる 副作用とその対策 ■ 数日~数週間にかけて 【好中球減少】 タキソテール® (ドセタキセル) の 投与により、グレード3以上の好 中球減少 (1000/mm3未満)が高 頻度に発現します。好中球数の Nadirは、投与8~11日後に認め られます。また、2000/mm3以上 に回復するまでの期間は5~9日 間、グレード3以上の持続期間は 1~5日間、グレード4 (500/mm3 未満)の持続期間は1日です。 (社内資料) タキソテール前立腺癌 適正使用ガイドより抜粋 ■ 数週間~数ヶ月にかけて 【浮腫】 タキソテール® (ドセタキセル) の平均蓄積投与量が400mg/m2を超 えると、約半数の患者に浮腫の発現を認めるといわれています ※ ※1 浮腫の多くは、投与中止で軽快消失するといわれていますが、その 回復が遅延し臨床上苦慮することもあります。 海外の臨床試験では、タキソテール® (ドセタキセル)を投与する前 にデキサメタゾンを投与することでグレード3以上の浮腫の発現率 が低くなり、タキソテール® (ドセタキセル)の総投与量が増加する ケースが報告されています※2 国内第Ⅱ相試験における浮腫の発現頻度は20.9% (43例中9例)でした。 グレード3以上の重篤な浮腫は報告されていません。 ※3 タキソテール前立腺癌 適正使用ガイドより抜粋 ※1 Trudeau ME, et al:J Clin Oncol 14(2):422-428, 1996 ※2 Burris HA:Anticancer Drugs 7(Suppl 2):25-28, 1996 Piccart MJ, et al:J Clin Oncol 15(9):3149-3155, 1997 ※3 Naito S et al: Jpn J Clin Oncol. 2008 May;38(5):365-72 9 2012/9/18 タキソテールを含む治療実施中に見られる 副作用とその対策 タキソテールを含む治療実施中に見られる 副作用とその対策 ■ 数週間~数ヶ月にかけて 【爪の変化】 タキソテール® (ドセタキセル)では、稀に爪の変形や脱落と いった症状が発現するとの報告があります。その場合には、 鎮痛剤を使用するとともに その部分を清潔に保ってくださ 鎮痛剤を使用するとともに、その部分を清潔に保ってくださ い。 投与前及び投与中に指先を冷やすことにより、症状が軽減し たという報告もあります。※ ■ 数週間~数ヶ月にかけて 【末梢神経障害】 タキソテール® (ドセタキセル) タキ (ド タキ ) の投与回数が多くなってくると、 投与 数が多くな くると しびれなどの末梢神経障害の発現頻度が増加しますので注 意してください。 対処法としては、休薬以外に確立したものはありませんが、 多くの場合は休薬により速やかに消失します。 ※ Scotté F, et al:J Clin Oncol 23(19):4424-4429, 2005 タキソテール前立腺癌 適正使用ガイドより抜粋 今後の課題 投与量の問題 承認は75mg/m2、国内の治験は70mg/m2 特定使用成績調査を実施中 いつドセタキセルを始めたらよいか いつまでドセタキセルによる治療を続けるか ドセタキセルが効かなくなった後どうするか ドセタキセルのリチャレンジ 新規抗がん剤との併用 タキソテール前立腺癌 適正使用ガイドより抜粋 まとめ これからのHRPCに対する標準治療は ドセタキセル3週毎投与+ステロイド併用 適切な患者選択のために 適正使用ガイド、患者チェックシートを活用 特に注意すべき副作用は 発熱性好中球減少 間質性肺炎 (投与前には胸部X腺、CTで確認) 10